名簿/484580

  • いつもの話 -- 2012-07-02 (月) 00:54:25
    • (行きつけの酒場。『ガートネグロ』にて)
      (それほど広くない小じんまりとした酒場の入り口から離れたカウンター席で頼んだ食事と酒を摂る)
      (猫人のマスターに頼んだドライフルーツを摘まんでいた左目の視界に、窓が映る…曇り空と)
      (軽く手を引っ込めてそれを待ち受ける)
      (目の前で、タイミングを合わせて両手の指で目当ての物を掴んだ)
      -- 2012-07-02 (月) 00:55:45
      • 『あいたっ! 何するかな君は!』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 00:58:03
      • (僕の手は小さな20cm程の人影の背に生えた、透き通る二枚羽根を掴んでいる)
        (『妖精』だ。極濃の魔術汚染地域から生まれるという、小人の様な種族)
        (極濃魔術汚染地域の昆虫や小動物が変異した種族、という説を僕は信じているが、真実は定かではない)
        -- 2012-07-02 (月) 00:59:15
      • それはこっちの台詞だ
        (視線を向けた先には、その小さな両手で握られているドライフルーツ―僕の注文したものだ─がしっかと握られている)
        -- 2012-07-02 (月) 01:00:43
      • 『一つくらい、いいじゃないー!』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 01:01:16
      • 以前そう言われて許可したら半分以上食べたのは誰だったかな、リンカ
        (どうやら、その手を離すつもりはないらしい。一つだけだぞ、と視線を釘を刺しておく)
        -- 2012-07-02 (月) 01:02:19
      • 『結構金持ってるのにケチくさいなぁ…仕事も持ってきたのに』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 01:02:54
      • (仕事。そう、彼女は僕にゴーレム技師としての仕事を紹介する事がある。きっちり紹介料を取っている、これも彼女の商売の一つだ)
        それは後で聞くとして。別に頼んでいる仕事の方は?
        (懐が寂しくない今は、そちらが気になった。しかし答えは…)
        -- 2012-07-02 (月) 01:04:10
      • 『ダメだね。本当にこの街に居たのシュルス? ここまで探れないのはどうかしてるよ』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 01:04:44
      • (ドライフルーツに齧りついたまま、首を振る妖精)
        (彼女に頼んでいたのは、僕の過去についてだ。出会った時から頼んでいたが…どうにも芳しくない)
        (分かったのはごくわずかな過去と市民権の登録が確かにされていること。その他に細々とした事だけ)
        (自分がどこの生まれで何者なのか。その答えは得られない…3年ほど前から途切れて消えた記憶は埋まらないようだ)

        ……仕方ない。そっちは続けておいてくれ。じゃ、仕事の話を聞こう
        -- 2012-07-02 (月) 01:06:40
      • 『待ってました。知り合いのお人形さんから紹介された依頼でね…』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 01:08:31
      • (『お人形さん』文字通りの意味ではなく、上層の貴族に愛玩動物として飼われている妖精を示す隠語だ)
        (最も、隠語とはいえ妖精の間で共通認識が取れているかは怪しい気がするが。その程度には彼女らは奔放だ)
        (内容はまあ、それほど珍しくは無い。貴族の屋敷で使われる門番用のゴーレムの修繕と調整だった)
        (最後に、重要な事を聞いておく)
        …それで。報酬は?
        -- 2012-07-02 (月) 01:08:47
      • 『はい』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 01:12:43
      • (一言と共に返って来たのは…貴族様の出す額にしては安い)
        …で、リンカの取り分は?
        (そう聞くだけで目を背けた。言葉を続けずプレッシャーだけかけていると、相手が折れる。いつもの事…でもない。最近覚えた)
        -- 2012-07-02 (月) 01:12:56
      • 『チッ。シュルスは最近扱い辛くなってきた…』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 01:13:20
      • 舌打ちしたね? -- 2012-07-02 (月) 01:13:34
      • 『してないよ?』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 01:13:50
      • (花開く様な可憐な笑顔……だが二度騙される気は無い。だいたいの値段交渉をやり直す) -- 2012-07-02 (月) 01:15:47
      • 『腕はいいから報酬の相場の記憶だけ忘れてくれればもっと儲かるのに…まぁいいや。じゃあお願い』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 01:16:04
      • 分かった。期限までには上層にお伺いしておくよ -- 2012-07-02 (月) 01:16:15
      • 『ガスマスクつけていきなよ? 心証よくなるし。ていうか常識だし』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 01:18:32
      • (何度もしたやりとりだ。だから返す返答も決まっている)
        それはごめんだ
        -- 2012-07-02 (月) 01:19:15
      • 『変人め。それじゃ私は行くよ。またね』 -- リンカ 2012-07-02 (月) 01:19:34
      • (リンカは羽をはためかせ、浮かびあがると窓の外から出て行った)
        (羽音がしないのは、魔力を使っているからだろうか)
        (…ふと。猫人のマスターも同じ方向を見ている事に気付いた)
        …どうかしたかいマスター
        -- 2012-07-02 (月) 01:20:36
      • 『またあの娘、何も頼んで行かなかったと思ってな。おやつはやらないでくれよな、それと』 -- 猫人のマスター 2012-07-02 (月) 01:23:28
      • それと?
        (冗談めかしたおやつについてのやりとりはいつものことだが。続く言葉が気になり先を促した)
        (マスターは、酒場の入り口の横にある、小さな開閉口を指差す。あれは…)
        -- 2012-07-02 (月) 01:23:41
      • 『妖精は普通のドアは開けられんというから作ってやったのに。使われた試しがない』 -- 猫人のマスター 2012-07-02 (月) 01:24:52
      • (そういえば、リンカは空いている窓から去って行った。まあ…)
        窓を締めきればいいと思うけど…結局、彼女らには重いんじゃないかな。ドアっていうのは
        -- 2012-07-02 (月) 01:25:39
      • 『そうかもしれないな』 -- 猫人のマスター 2012-07-02 (月) 01:27:50
      • (消極的な同意の後に、マスターは仕事に戻っていった)
        (重いというなら、彼女らにはそもそもこの街・この国で暮らす事自体が重そうだが…)
        まあ、それは誰でも大差ないか
        (独り言を呟いて。食事を終えて帰る間際。妖精用のドアを押してみる)
        (妖精が使わなかった扉はしかし、実にあっさり開いたのだった)
        -- 2012-07-02 (月) 01:28:20
  • 非日常の話 -- 2012-07-06 (金) 23:25:04
    • (先んじて上層の貴族様の依頼を確認した所、倉庫にあった素材では足りない事が発覚した)
      (オリハルコンとまでは言わない、希少な魔力結晶…魔石の一種が必要なのだがいくら漁っても見つからなかった)
      (仕入れるにしても、要求された日時に間に合わない…そういう事なら取る手段は一つ)
      (下層から更に進んだ先。魔術汚染地域に出向く。)
      -- 2012-07-06 (金) 23:29:41
      • (中層より治安の悪い下層に出向く時、なおかつモンスターも珍しくない場所に赴く時は護衛を頼む)
        (…予定だったのだが、今日に限って馴染みの傭兵は捕まらない)
        どうも、きな臭い話がいくらか聞けた。彼らの稼ぎ時…戦争でも近付いているのだろうか)
        (まあ、騎士でもなければ傭兵でもない平民の僕が気にしても仕方ない事だ。仕方なく、一人で用心しながら下層に向かう)
        -- 2012-07-06 (金) 23:31:24
      • (子供ではないし、下層慣れもしている。記憶を失ってすぐは下層住まいだった事もあり、注意していればそれほど危険も無いだろう)
        (そう結論して、単身目的地を目指す事にした)
        (段を降りる様に下層に降りて行き、目的地に向けて進むその途中で、見知った顔に出会う)
        -- 2012-07-06 (金) 23:43:34
      • 『あ、先生』『にーちゃんおーっす』 -- ディンとクアール 2012-07-06 (金) 23:47:19
      • やあ、君達か。義肢の調子はどうかな
        (この二人は、下層に居る数少ない知り合いだ)
        (僕がある理由で、無料で義肢を提供した相手でもある…男の子の方は左足を太股から)
        (女の子の方は右肩から先を)
        (どちらも、異形化したからだ…とだけ言えば医療処置のように思えるが。事実は違う)
        (あれは、親に斬り落とされ売られたのだ。それでもまだ、不幸中の幸いなのだが)
        (異形化した身体部位を買っていく商人がいるのだ。売り先は恐らく、神国アルメナ)
        -- 2012-07-06 (金) 23:49:24
      • 『大丈夫です!』『俺、ちょっとギチギチ言うかも…』 -- ディンとクアール 2012-07-06 (金) 23:53:56
      • …ギチギチ、ね(横道に逸れた思考を、元に戻す)
        (理由は単純だ…恐らく、身体の成長に義肢の大きさが合わなくなったのだろう)
        今は仕事がある。今度診て上げるよ
        (そのまま、遊んでいたと思しき二人に早く帰るように促して立ち去ろうとした)
        -- 2012-07-06 (金) 23:54:05
      • 『あ、先生。仕事で汚れ場に探し物?』『ヤード知らない?』 -- ディンとクアール 2012-07-07 (土) 00:01:35
      • ヤード?(子供らしい説明不足で問われても何の事か分からない。鸚鵡返しに尋ね返した) -- 2012-07-07 (土) 00:03:43
      • 『昨日、そっちの方に行ってから帰ってきてないんです』『見つけたら教えてくれよにーちゃん』 -- ディンとクアール 2012-07-07 (土) 00:04:28
      • …ああ、分かった(安請け合いしたが、社交辞令だ)
        (高濃度の魔術汚染地域に子供一人で入って、丸一日以上帰って来ないなら…末路は想像に難くない)
        (あの子らもそれが分かった上で一縷の望みをかけたのだろう…応えてはやれないが)
        -- 2012-07-07 (土) 00:08:15
      • (それからしばらくの移動を経て、軽度の魔術汚染地域から高濃度の汚染地域に入る)
        (人の気配や、動物の気配がしないが、気にせずに目的の場所…以前も魔力結晶があった場所に向かう)

        (森林、とまではいかないが木のぽつぽつ立つ雑木林の様な場所。地面は荒れ果てている)
        (ここを抜けて、岩場に行けばいいのだが…その前に。僕は人の気配や動物の気配がさっぱりと失せていた理由を悟った)
        -- 2012-07-07 (土) 00:10:22
      • (林の中央。木がまばらな平地に大輪の花が咲いている。横幅はざっと3m。高さはもう少し低いが、人間よりは高い)
        (異形種。魔術汚染が生み出した、モンスター…一般にモンスターと呼ばれるそれすら更に変異したもの)
        (元は食虫植物だったのだろうか。しかし汚染され大怪物となった今では、周囲の生物全てを食い尽す魔物と化している)
        -- 2012-07-07 (土) 00:21:10
      • (その周囲に、鎧や武器の残骸があった。恐らく、ここに貴重な資源を取りに来たか、その護衛達の残した物だろう)
        (そしてアレに食われたのだろう。散らばった生き物たちの遺物の中には、子供の靴があった)
        ……(歩きだす。あの魔物に向けて。見知らぬ他人。子供の死に義憤を覚えるような正義感は無い)
        (それでも、あの手の異業種を見ると心が燃える。理由が記憶の中に見当たらないのにあれを許すなと感情が叫ぶ)
        (…恐らくは、記憶があった頃からあるこだわりなのだろう。そう、思う事にしている)
        (ならば逆らうまい。この衝動に従うのが、記憶を取り戻す導になるのなら迷うまい)
        -- 2012-07-07 (土) 00:23:01
      • (だが、僕に戦闘は出来ない。魔の植物に近付いた瞬間に、何が起きたのかも分かっていなかった)
        (胸に鋭い痛み。悲鳴は上げられなかった。息が全て吐き出す音だけ)
        (ついで、赤い色が目の前に広がる。マスケット銃の銃弾の如き早さで飛来した緑色の蔦に、心臓と肺が同時に破られたらしい)
        (視界が狭くなる。脳に酸素が行かなくなって死ぬ…その前に)
        -- 2012-07-07 (土) 00:27:22
      • 『その死は記憶している』(人は二度死なず) -- 2012-07-07 (土) 00:29:10
      • その一言で。全てが裏返った
        (痛みが消える。時間が巻き戻ったようにぶちまけられた血が身体に収まる)
        (破れた服までもが元通り。最初から最後まで、痛みに発狂もせず冷静だった思考が全てを見届けた)
        -- 2012-07-07 (土) 00:30:02
      • ……これでもダメか
        (敵を睨む。意思の無い魔の植物が怯んだ…僕にではなく。僕の背後に顕現したそれに)
        (玄い鋼で包まれた人型の巨人。不死を与えるゴーレム。名前はつけていない)
        (これが何なのか。ゴーレムなのか。一切不明。分かっている事は)
        (彼は、僕の意のままに動くという事だけ。そして、何が出来るかという事も分かっている)
        -- 2012-07-07 (土) 00:33:03
      • (眼帯をむしり取る。頭痛を意識しないまま、目の前の異形を同じ異形の右目で見据える)
        (魔力偏差を感じ取る。核はどこか。どこを潰せばアレは死に至るのか。崩壊するのか。手に取るように分かる)
        (指揮者の様に腕を振り上げる。連動して、背後のゴーレムの腕が緩やかに上がる。速度は必要ない)
        -- 2012-07-07 (土) 00:34:34
      • (異形の触手が再び放たれる。右目で把握した数は、同時に14本。全て食らえば、鋼のゴーレムですら砕け散るだろう)
        …止めておけ
        (その全てが、僕の身体に触れた瞬間に力を失った。同じ死は、訪れない。現象すら起させない)
        -- 2012-07-07 (土) 00:35:59
      • (紅の右目が、植物の中に取り込まれた子供の骸を見つけた。一度の死で、終わらせてやらねばならない)
        (核を見つける。元は、小さな花だった痕跡。そこから焼き滅ぼす)
        (告げる言葉は短くていい)
        (ゴーレムの右手刀が、魔の植物を貫いた。着弾より遅く風切音が鳴った後に)
        (だが、それではこの魔物は死なない。その程度で死ぬなら脅威ではない。だから)
        (ゴーレムがその内部で拳を握りしめて)
        -- 2012-07-07 (土) 00:45:23
      • 『再演』 -- 2012-07-07 (土) 00:45:38
      • 熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!
        燃える! 燃えてる! 助け…
        ぁああああああああああああああAaahhhhhhhhhhh!!!!!!!!!!
        -- 23人目 2012-07-07 (土) 00:45:56
      • (僕ではない。誰か別の人間の焼死の記憶が脳裏を焦がしていった)
        (同時。握りしめられた拳から業火の華が咲く)
        (閃光が奔る)
        -- 2012-07-07 (土) 00:47:02
      • (目が眩む閃光の炎。その後には、黒く焦げた残骸すらない。高熱で蒸発したのだ)
        (それで終わり。近くに居れば無事で済まないであろう熱も、僕には届いていない)
        (僕を、その不死にしたゴーレムも。役目を果たせば消えている)
        -- 2012-07-07 (土) 00:47:49
      • ……あの二人になんて説明するかな
        (小さな靴を拾った。必要な物以外焼かなかった再演の名残)
        (非日常はここまで。後は、ゴーレム技師としてのいつもの仕事だ)
        (溜息を吐いた後。魔力結晶を探す為にのんびり歩きだした)
        (どうせ、時間をかけても死にやしない…死ぬ事はできないのだから)
        -- 2012-07-07 (土) 00:48:43
  •   -- 2012-07-07 (土) 00:48:52
  • 過去の破片 -- 2012-07-10 (火) 22:55:22
    • 『見つけた! どう!?』 -- リンカ 2012-07-10 (火) 22:55:41
      • (仕事の合間に家で休んでいた僕の所に来客)
        (彼女が意気揚々と示したのは…)
        …卒業証書だって?
        -- 2012-07-10 (火) 22:57:07
      • 『上層の魔術院の。妖精は研究素材にされそうだからって近づかなかったのがいけなかったわ』 -- リンカ 2012-07-10 (火) 22:57:57
      • (確かに記載されている僕の名前。ゴーレム製作技術を中心に、魔術を修めた証明書である)
        卒業した年は…僕が記憶を失う前年か…それで他に情報は?
        -- 2012-07-10 (火) 23:04:21
      • 『それなんだけど…問題があってね。卒業記録はあったけど、あんたの事知ってる人が全然居なかったよ?
        なんかやらかしたか、余程性格悪くて居なかった事にされてるんじゃないのシュルス?』 -- 2012-07-10 (火) 23:07:36
      • (記憶の無い頃の僕の素行は不明だ。そこで難癖をつけられても困るのだが)
        …誰一人として? 不自然じゃないか…
        -- 2012-07-10 (火) 23:11:11
      • 『うん。そりゃ院の所属者全員に聞けたわけじゃないけど…何かあるのかもねー。一度、自分で行ってみるといいよ
        どうするの? まだ調べる?』
        -- リンカ 2012-07-10 (火) 23:11:30
      • よろしく。報酬はちゃんと支払おう
        結局自分の足で調べに行くしかないな。魔術院か…
        -- 2012-07-10 (火) 23:11:44
      • 報酬弾んでよね。じゃ、また仕事の話が… -- リンカ 2012-07-10 (火) 23:14:20
      • (その後は、いつもの通り仕事の話になった)
        (過去の断片は僅かに見えても、見通しの暗さが明らかになっただけだった…まあ、それでも貴重な一歩だったと思う事にする)
        -- 2012-07-10 (火) 23:14:30
  •   -- 2012-07-10 (火) 23:18:23
  • 面倒な出会い -- 2012-07-15 (日) 20:24:20
    • (黄金歴222年12月の某日、僕の家に一通の美しい封書が届いた)
      (この手の高級な素材での連絡を使うのは貴族か大商人と相場が決まっている)
      (そして、そのうち前者だと確定させるものが印としてある…紋章だ)
      (どうせ面倒事だろうと思って渋々開くと…)
      -- 2012-07-15 (日) 20:28:18
      • …呼び出し?
        (貴族からの仕事の依頼はあっても、直の呼び出しというものはまずない)
        (代理人を通して平民に「仕事をさせてやる」というのが彼らの本音だ、建前ではなく)
        (だが、この手紙は…定型文を除いて簡潔に訳すと僕に、直に「仕事があるので来訪せよ」とある)
        -- 2012-07-15 (日) 20:31:23
      • (目的地は第一層状都市の中でもかなりの上層部。つまりはお高いお高い土地だ。差出人は…)
        (スロート侯爵家。とんでもない事になったものだ)
        (無視しては国外にでも逃げなくてはならなくなるだろう)
        (家にある中で一番マシな─貴族の所に赴く時に着る一張羅だ─高級な服を着て、家を出る)
        -- 2012-07-15 (日) 20:40:51
      • (滅多に来る事の無い上層、その更に上。平民の一生ではまず目に触れないであろう地域)
        (実際、貴族の招待状として家紋が入っている手紙を持っていなければ中途に居た衛兵やゴーレムに捕縛・殺害されてもおかしくない様な場所だ)
        -- 2012-07-15 (日) 20:44:21
      • (辿り着いたその屋敷は、敷地だけで平民の家なら10や20は入りそうな大豪邸だ)
        (門番はゴーレムのようだが、更にそこに一人、人が待ちかまえていた)
        (ガスマスクをしているため、外見からは人間かそれに近い亜人としか分からない…女性だ)
        -- 2012-07-15 (日) 23:22:03
      • 『ゴーレム技師のシュルス様ですね』 -- 貴族の召使 2012-07-15 (日) 23:22:30
      • (声の響きも、くぐもって入るが女性だ。しかし…)
        はい。しかし…敬語など使われなくても結構ですよ?
        (珍しい事だ。貴族の召使は、平民だとしても貴族の住んでいる場所に居る自負からか々平民を見下す趣があるが)
        -- 2012-07-15 (日) 23:23:20
      • 『いいえ。主から賓客として扱えとの事なので…そのような事は出来ません。どうぞお入り下さい』 -- 貴族の召使 2012-07-15 (日) 23:23:41
      • (彼女と共に、屋敷の中に入る。敷地は広い…大庭園が広がる中…一つ妙な点があった)
        ……
        (人の気配がしない。このレベルの貴族なら、人の少ないスリュヘイムであっても多数の召使を抱えていておかしくないし)
        (そも、屋敷の維持には人が必要だ。アンデッドやゴーレムを総動員したとしても細やかな点は人の手が必要だろう)
        -- 2012-07-15 (日) 23:31:17
      • 『…気付かれましたか。この屋敷には、人が居ません…亜人もその他の生物は誰も。私と主だけです』 -- 貴族の召使 2012-07-15 (日) 23:33:57
      • (先行する門番…恐らく執事なのだろう。彼女がこちらの様子を察してそう言った)
        …全てアンデッドとゴーレムに管理を任せていると?
        -- 2012-07-15 (日) 23:34:24
      • 『そう言う事です。そも、主が生きている誰かに会うというのも珍しい事なのですが…』 -- 貴族の召使 2012-07-15 (日) 23:34:50
      • (そこまで話した所で、大きな扉の前についた) -- 2012-07-15 (日) 23:36:17
      • 『ここから先はお一人で。真っ直ぐに進んで下さい。寄り道などなさらぬよう…危険ですので』 -- 貴族の召使 2012-07-15 (日) 23:36:40
      • ありがとう。では
        (一礼すると、開いたドアから中に入る。その後ろから)
        -- 2012-07-15 (日) 23:39:07
      • 『…主は、相当の変わり者です。お気をつけて』 -- 貴族の召使 2012-07-15 (日) 23:44:52
      • (そんな忠告が飛んできた。案外いい人なのかもしれないな、と先に進む事にする)

        (屋敷の中は、外観に負けぬ豪華さだった。人の気配が無く、灯りが暗い事を除けば)
        (窓は多いので、昼の今は明るいが…夜は月灯り以外入らないのではなかろうか?)
        (言われた通りに真っ直ぐ進むと、ホールの先に階段があり…昇るとやはり扉)
        (…開けば、そこに広がっていたのは…)
        -- 2012-07-15 (日) 23:47:26
      • (すり鉢状の客席に、直下には演壇…演劇をするようなホール)
        (その壇上には薄幕で覆われた一角があった)
        ……どういう趣向だ
        (呟いて、壇上に向かう様に降りて行く半ばで、唐突に声が響いた)
        -- 2012-07-15 (日) 23:54:36
      • 『ようこそ我が邸へ。シュルス…家名はないはずだな』 -- 草食侯 2012-07-15 (日) 23:56:38
      • …お招きに預かり光栄ですスロート侯爵閣下
        (低い声だ。男性のものだろう…その場で深く一礼─貴族の正式な礼儀作法など知らなかったが─して)
        (ともかく、演壇の下までは進んだ方がよかろうと一歩を踏むとまた声が飛んできた)
        -- 2012-07-16 (月) 00:00:18
      • 『待て、声をかけたのだからそこで止まって話を聞けばよい。止まりたまえ』 -- 草食侯 2012-07-16 (月) 00:08:37
      • …このままでは閣下を見降ろす形になってしまいますが
        (声の出所に尋ね返すと何故か切羽詰まった声が聞こえた)
        -- 2012-07-16 (月) 00:09:34
      • 『よい。生物とこれ以上接近しては生き物の匂いが! 匂いがな! 止まるんだ』 -- 草食侯 2012-07-16 (月) 00:10:25
      • (止まる。変人という意味がはっきり理解できて辛い。貴族に呼び出しを受けたという緊張もいつの間にか失せてしまった) -- 2012-07-16 (月) 00:14:01
      • 『よし。殺さずに済んだか……まあ君はまだマシな方だがね。死者に近い匂いだ。それ故に呼んだのだが』 -- 草食侯 2012-07-16 (月) 00:16:18
      • ……お言葉ですが忖度できません
        (言葉を選んで答える。正直、ゴーレムの話になると面倒が多いのだ、はぐらかすに限る)
        -- 2012-07-16 (月) 00:17:19
      • 『不死のゴーレムを持つというのもあながち嘘ではなさそうだな…まあいい。君を呼んだのは依頼があるからだ』 -- 草食侯 2012-07-16 (月) 00:30:50
      • …は。して、侯爵閣下御自らがどのような…?
        (言葉づかいは丁寧だが、もはやあまり気を使わずにこちらから尋ね返す。向こうもそれを望んでいるとみた)
        -- 2012-07-16 (月) 00:32:48
      • 『君は話が早くていいな、余計な装飾も無い…依頼は単純。私が望む物を君に手に入れて来て欲しい。というものだ』
        『ゴーレム技師としての依頼ではなく怪訝そうだがね、知っての通り私は生きている下僕は一人に限定しているし、あれは私の望む物を判別する知識を持たない』
        『魔術院を出た程度の知識はないとつまらなく騙されて帰還してきそうなのでね。抱えている技師も居ない事だし君を選んだわけだ』
        『特に国外に出たりする事もあるだろう。そこは私の力でなんとかしてやるから心配せずによい』
        -- 草食侯 2012-07-16 (月) 00:33:23
      • 国外にまで…?
        (予想していた依頼とはかけはなれていた。つまり、旅をして何かを手に入れろという事か)
        -- 2012-07-16 (月) 00:47:14
      • 『リストは後で受け取れ。そして、報酬は君の望むままに…金は勿論…そうだな。君は自身の過去を調べているらしいな?』 -- 草食侯 2012-07-16 (月) 00:48:31
      • ……はい
        (その程度は調査済みだったようだ。是非もなく頷く)
        -- 草食侯 2012-07-16 (月) 00:50:16
      • 『失われた物を確かめる。それは興味深い行いだ。私が手伝ってやろう…どうだ?』 -- 2012-07-16 (月) 00:51:07
      • (どうだ。と問いながら相手が釣られる事を確信している言葉だ…そして、僕も抗う言葉は持たない)
        (手掛かりになるならそれくらいはやってのける)
        …その条件ならば。謹んでお受けしましょう
        (ほぼ即答して一礼する)
        -- 2012-07-16 (月) 00:52:43
      • 『よろしい。必要なものは全て揃えさせよう。外に居る下僕に伝えるがいい』 -- 草食侯 2012-07-16 (月) 00:54:03
      • (以後、言葉は無く。下がれと言う意味だろう)
        (だが背を向けてホールを去る…その間際に、声がかかった)
        -- 2012-07-16 (月) 00:54:39
      • 『君の巡礼に幸あらん事を』 -- 草食侯 2012-07-16 (月) 00:55:06
      • (彼が僕に言ったその言葉の意味は…今の僕には理解できない事だった) -- 2012-07-16 (月) 00:55:32
  •   -- 2012-07-16 (月) 02:15:45
  • 鉱山の奥に潜んでいたもの -- 2012-07-24 (火) 21:24:12
    • (戦争が続く中、需要が凄まじいのか、鉱山の仕事は非常に忙しいらしい)
      (今回は、馴染みの親方からの作業用のゴーレムのメンテナンスの依頼だった)
      -- 2012-07-24 (火) 21:24:25
      • やあ、忙しい所すまないな先生 -- 鉱山の親方 2012-07-24 (火) 21:25:57
      • 気にしないでくれ。その分鉱石を回して貰ったりしてるだろう…
        それにしても酷いな
        (ゴーレムの使用状況の話だ。作業に出ていない10機ほどを見ていたのだが…)
        簡易メンテナンスも無しでずっと動かしてるせいかガタが来ているね
        (そんなにも忙しいのか、と言われれば親方は苦笑いし)
        -- 2012-07-24 (火) 21:26:57
      • 飯の値段が随分あがっただろ、俺も女房に子供がいるからよう -- 鉱山の親方 2012-07-24 (火) 21:29:01
      • (まあ、分からない話ではなかった。食料品の値段が高騰し、最下層では餓死者が出る有様)
        (中層の平民も、随分と苦しい生活が続いている。そしてそれはきっとこれからも続くだろう)
        (そんな思いが、親方を需要と同じくらいには仕事に駆り立てていたのだろう)
        技師としては総交換、鋳潰して作り直しを提案するけどね。それもしないんだろう?
        (ともあれ、仕事だと一機ずつ出来る限りの調整をしておく)
        -- 2012-07-24 (火) 21:29:48
      • 鉱員『親方! 先生! ちょっといいですか!』
        (鉱員の一人が走りこんでくる)
        鉱員『またゴーレムが一機消えちまって…廃坑に近い坑道の方だったんですがね…』
        (何やってやがんだ! とどやされる中弁解を続けているが、鉱員は小さくなる一方である)
        (さすがに仕事相手とはいえ他人の前で怒り狂ったままではいなかったのか、僕の方を親方は向いて)
        -- 2012-07-24 (火) 21:35:58
      • ちょいと前からこんな事が何度もあってね。奥に見に行ったんだが…
        汚染が酷くて立ち入り禁止にしてる場所まで行っても見つからねえんだ
        そこまで行かない様に命令してあるはずなのにな -- 鉱山の親方 2012-07-24 (火) 21:38:47
      • (何度か起きているらしい予期せぬ損失を忌々しげに語る親方を見て)
        …ふむ。もしかして僕の仕事が疑われているのかな
        (話しながらも続けていた調整を終えて、苦笑いする)
        -- 2012-07-24 (火) 21:39:42
      • ああいや、そうは言っちゃいねえよ。先生はかなり休めでゴーレム診てくれて本当に助かってんだからよ! -- 鉱山の親方 2012-07-24 (火) 21:40:13
      • (慌ててフォローしてくれる辺り、まだ彼とは上手くやっていけそうだ。それならばと)
        君、すまないけどゴーレムを見失った場所まで案内してくれるかい
        少し探してくるよ
        -- 2012-07-24 (火) 21:41:26
      • 先生、そいつはちょっと危ないですぜ…!? -- 鉱山の親方 2012-07-24 (火) 21:41:58
      • (慌てて止めにきた親方に首を振り)
        万が一にも僕のゴーレム調整のミスだったら困るからね。大丈夫、無理はしないよ
        僕は魔術汚染も気にしない変人なんだ、依頼料も取らないからそこも気にしないでいい
        (そういうと、親方は、今きた鉱員に僕を案内しろと指示してくれた)
        -- 2012-07-24 (火) 21:43:38
      • (案内された場所は、鉱山の奥。このまま真っ直ぐに行けば廃坑があるという)
        (そこで、鉱員を返し僕は一人進む事にした)
        -- 2012-07-24 (火) 21:44:25
      • (右目を開いてみて、ゴーレムのものである特徴的な足音を追って行く)
        (どうも、魔術式に割り込みをかけられて連れていかれたか。そんな高度な術式を扱う泥棒がいるとは思いたくないのだが)
        (更に進んでいくと廃坑に入ったらしい。地下にゆっくりと降りて行く、洞窟染みた空洞を進む)
        (ゴーレムが通れるギリギリのサイズの坑道は、人間には広い。さほど狭さを感じずに道を抜けていくうちに)
        (細かい振動が断続的に起きている事に気付いたその揺れは、道の先から響いている。それに)
        -- 2012-07-24 (火) 21:46:10
      • …何の匂いだ…っ!?
        (腐臭。そして…濃い血の匂いも。どちらも鉱山ではあまり縁のなかろう匂いだ)
        (細い道から出た場所は、廃坑であったのだろうが、大空洞に改造されていた)
        (大空洞に入った瞬間に、轟音が響いた。どうも、防音用の魔術結界か何かを張っていたようだ)
        (振動だけで、音がなかったのはそれだろう。廃坑で秘密の作業をしていたようだ)
        -- 2012-07-24 (火) 21:47:13
      • ………何だ、これは………
        (全長4m程はあろうか、凄まじい腐臭を発する…ゴーレムのようなもの)
        (アンデッドゴーレムだ。だが、こんな大きさの物は見た事が無い…そして、明らかに制御出来ていない!)
        (呆然とそれを見上げている最中うめき声を聞いて、そちらに視線をやれば…あれにやられたであろうローブ姿の男がいる)
        -- 2012-07-24 (火) 21:49:33
      • …アルメナの術師…だと…何があった!?
        (特徴的なチェインローブ…─体その物に埋め込んだ狂気の鎖帷子だ─に身を纏うその姿。確か、アルメナで「使徒」と呼ばれる術者)
        『…神の御業に届かず…届かず…』
        (揺り起してみると、高みから叩き落とされたらしく。致命傷だ…ぼそぼそとこちらに答えず何か呟くと目の前で死んでいった)
        -- 2012-07-24 (火) 21:52:15
      • ……くっ!
        (見回してみれば、空洞には作業場があり、それが破壊されて、死体も多くばらまかれている)
        (そして…アンデッドゴーレムが。それを食らっている怖気を振るう光景)
        (見れば、鉱山作業用のブロンズゴーレムの破片もあった。それは、あの巨体の装甲と化している…ここの術者達が密かに盗んでいたのだろう)
        (胃の中身を吐きださずに済んだのは、人の死を何度も体験させられたからか。幸い僕は正気を保てていた)
        -- 2012-07-24 (火) 21:53:25
      • (他の死体をあらかた食い尽したのか…それは、足元に居る僕に目をつけたらしい)
        (意思の無い目が、こちらを餌として睨んでいる。このまま大人しくしていれば、人ならば死ぬべき攻撃が振り、食われるだろう)
        (だが─あんなものに。殺されてなるものか。死への冒涜を形にしたあんなものは、許せない)
        -- 2012-07-24 (火) 21:54:24
      • Tu fui, ego eris. -- 2012-07-24 (火) 21:55:04
      • (僕のこの呪文は。僕自らが彼を呼ぶ時の呼び声だ)
        (敵を睨む。意思の無い屍の巨人が怯んだ…僕にではなく。僕の背後に顕現したそれに)
        (玄い鋼で包まれた人型の巨人。不死を与えるゴーレム。名前はつけていない)
        (これが何なのか。ゴーレムなのか。一切不明。分かっている事は)
        (彼は、僕の意のままに動くという事だけ。そして、何が出来るかという事も分かっている)
        -- 2012-07-24 (火) 21:55:53
      • (眼帯をむしり取る。頭痛を意識しないまま、目の前の異形を同じ異形の右目で見据える)
        (魔力偏差を感じ取る。核はどこか。どこを潰せばアレは死に至るのか。崩壊するのか。手に取るように分かる)
        (アレは、ネクロマンシーとゴーレム技術と…アルメナの神聖魔術。キメラ生成魔術により構成された。多数の死体の集合体だ)
        (だが、不完全だ。制御できていない。完成には何かが足りないのだろう…いや、足りない物が多いくらいか)
        (それでいい。そのまま破壊してやる)
        (指揮者の様に腕を振り上げる。連動して、背後のゴーレムの腕が緩やかに上がる。速度は必要ない)
        -- 2012-07-24 (火) 21:57:09
      • !!!!!!!! -- 2012-07-24 (火) 21:57:36
      • (畏怖に駆られてか、4mの巨体が、体から腐肉を零れ落ちさせながら、こちらを踏みつけて来る)
        …止めておけ
        (その腐った足が…僕の頭に触れる直前で何も出来ずに停まった)
        -- 2012-07-24 (火) 21:59:53
      • 『その死は記憶している』(人は二度死なず) -- 2012-07-24 (火) 22:00:12
      • (同じ死は、訪れない。現象すら起させない)
        (ゴーレムの右手が、伸びる。腐った巨人の左足についていたブロンズの装甲を砕き)
        (衝撃だけで、付け根まで破砕した)
        …脆い
        (告げる言葉は短くていい。肉片一つ残すつもりはない、以前と同じ死因を再現する)
        -- 2012-07-24 (火) 22:00:59
      • 『再演』 -- 2012-07-24 (火) 22:01:33
      • (業火が弾ける。火葬された男の死の記憶が頭を通り過ぎて体験させられる)
        (それでも、僕は死なずにここに居る)
        (生きていて、そして燃えて行くのは4mはあった肉の巨体)
        (どろどろとしていた腐肉が、黒焦げになって、蒸発していく)
        (その最中で…何かに引火したのか、爆発音がした。それは連続したもので…)
        -- 2012-07-24 (火) 22:02:33
      • (後日) -- 2012-07-24 (火) 22:02:46
      • (スリュヘイム下層において、廃坑山の崩落事故が起きた)
        (街の情報を告げる新聞に、小さく乗ったその記事を見て)
        …誰かお偉いさんが一枚噛んでいたみたいだな
        (証拠は消えたが、あそこで何か研究をしていたのは極秘らしい)
        (鉱山の親方には、爆発前に別の出口から出たと誤魔化しておいた。替えのゴーレムをただで1台譲ったので、上機嫌に誤魔化されてくれた)
        (新聞を畳んで茶を手に取る)
        …まあ、僕にはこれ以上関係ない事だな
        (ある意味願いであるそれをぼやいて、新聞の他の面を読んでいく)
        -- 2012-07-24 (火) 22:03:59
  •   -- 2012-07-24 (火) 22:32:38
  • 黄金歴223年7月。経過報告 -- 2012-07-31 (火) 20:42:10
    • (草食侯の下に、仕事の報告書を届けにいった僕は)
      (『話は直接聞く。との事です、報告書は先に届けておきますので』
      (という執事の一言で邸の中の劇場に向かう、執事さんはさっさと歩いて行ってしまった)
      -- 2012-07-31 (火) 20:43:29
      • 『御苦労。報告書を読みながら質問をさせて貰うとするよ、楽にしていてくれたまえ』 -- 草食侯 2012-07-31 (火) 20:45:38
      • (僕が声をかける前に気付き、椅子に座る用に促された。素直に従っておく)
        (しばしの紙を捲る音。しかる後に草食侯が口を開いた)
        -- 2012-07-31 (火) 20:49:10
      • 『ミスリルに関しては確かに届いた。中々に質がいい物を拾って来たものだ』
        『は、ありがとうございます…お分かりになるのですね』
        『言葉をもう少し崩しても構わんぞ? ミスリルに関しては依頼完了としよう』
        『問題は残りだな、やはり武具結晶の入手は難しいかね』
        -- 草食侯 2012-07-31 (火) 20:51:36
      • そうですね…一般流通してないのは驚く事ではありませんでしたが
        どうも、恐ろしく産出量が少なく、その僅かな物も聖少女騎士団…という適性者の集団に回されるとか
        -- 2012-07-31 (火) 20:52:50
      • 『そうかね、ならば情報収集だけにしておこうか。あまり権力を駆使して目立ちたくはないしな』
        『残る龍鱗だが…これはもう一度旅に出て貰う必要があるな。何、旅はしやすくなるさ』
        -- 草食侯 2012-07-31 (火) 20:53:52
      • (武具結晶に関してはあっさりしたものだった。やはりこの侯爵の考えは読めない)
        …戦時中なのにですか?
        (不思議に思う。平民には知りえない事情でもあるのか…と思ったら)
        -- 2012-07-31 (火) 20:54:44
      • 『君に改めて仕事を頼むからだよ。ミスリルで騎馬のゴーレムを作って欲しい』
        『そしてそれを使って旅をするといい。ああ、馬車にしたいなら二頭立てでな』
        -- 草食侯 2012-07-31 (火) 20:56:49
      • …騎馬の製作ですか。変わっていますね…しかもミスリルで?
        (造形が難しいな、と思う。まあ、不可能ではないが…)
        -- 2012-07-31 (火) 20:58:01
      • 『移動手段としては上等だろう? 私もそんな無駄もした事がないのでは貴族として失格だからな』 -- 草食侯 2012-07-31 (火) 20:59:33
      • (くつくつと笑う声はどう考えても冗談だが…口ぶりからして本気ではあるのだろう)
        分かりました。では以上でこちらの報告は終わりとさせて頂きます
        -- 2012-07-31 (火) 21:01:08
      • 『結構。では君への報酬を一つ渡そう』
        『魔術院で遺棄されそうになっていた君の過去についての書類だ』
        -- 草食侯 2012-07-31 (火) 21:02:44
      • …どうやってそんなものを!?
        (僕は魔術院にも当然訪れていたが、記録が無いと言われていたのに…)
        -- 2012-07-31 (火) 21:03:16
      • 『君の過去について潰して回っている人物がいるようだ。特に学院内ではね』
        『どうにも杜撰だったようで、執事が見つけてきたが。ともかく、資料は執事から外で受け取るといい』
        『今日はここまでにしよう。仕事が済んだらまた報告してくれたまえ』
        -- 草食侯 2012-07-31 (火) 21:04:40
      • (草食侯に一礼し、即座に外に飛び出た)
        (受け取った資料を慌てて開けば…ある事故の記録。それに付随した僕の略歴だ)
        -- 2012-07-31 (火) 21:05:36
      • (212年 魔術院に推薦入学。寄宿舎に居住)
        (215年 グラフゼン研究室に研究生として参加)
        (216年 ゴーレム技師としての免状を取得・技師系の生徒の中では主席で学院卒業)
        (同年7月 寄宿舎05火災事件後行方不明) -- 2012-07-31 (火) 21:06:30
      • …(頭痛がする。右目を開けた時とはまた別の鈍痛だ)
        (だが、都合良く記憶は戻ってくれないらしい…それでも手掛かりは得た)
        …遺棄された事故に関する書類。か…
        (魔術院にはまた行ってみる必要がありそうだ…と、決意を新たにして、その日は自宅に戻る事にした)
        -- 2012-07-31 (火) 21:06:59
  •   -- 2012-07-31 (火) 21:07:05
  • ウラスエダールの絶望 -- 2012-08-19 (日) 23:22:54
    • 黄金歴225年。12月 -- 2012-08-19 (日) 23:24:00
      • 黄金歴225年。12月(竜鱗と、竜骨をなんとか手に入れ、輸送の手はずを整える)
        (これで、滞りなく草食侯の下に届くだろう)
        (彼の願いが、これで果たされるとは思えないが…仕事は完了だ)
        (フロッセは見送ったしアフィクルルカ達に渡すゴーレムも完成している)
        (溜まっている仕事は全て消化してから旅立ったのが夏を過ぎた頃だったか)
        -- 2012-08-19 (日) 23:24:30
      • (予言で聞いた、滅びに見舞われる都市に滞在する)
        (移動に使ったミスリルの馬は、地面に埋めておいた)
        (いずれ、誰かが使うのだろうかと思いながら、その時を待つ)
        -- 2012-08-19 (日) 23:25:00
      • (そして、ついにその日が来た)
        (訪れて見れば呆気ない物で。竜による蹂躙は、絶対的なものだ)
        (オリハルコンすら耐えられないであろう炎に焼かれ、周囲が全てガラスと化す中)
        …ついに。ついに来た。僕の待ち望んでいた死よ!
        (両手を広げる。周囲には狂ったとしか映らないが。最早、それを狂ったと見る生者は周囲には居ない)
        (生を求めて逃げ惑う人々に死を求める狂気は届かない)
        -- 2012-08-19 (日) 23:27:10
      • 与えてくれ、安息を。不自然な生から解放してくれ…お前なら出来るだろう!
        (人智を超えた存在に向けて、滑稽なまでに炎を懇願するその姿を)
        (一顧だにせず、他の全てと等しく竜の炎が焼いた)
        (太陽を直視したのと同じような、白に染まる視界が最後の記憶で)
        -- 2012-08-19 (日) 23:31:30


      • (気がつくと、ガラスの中に横たわっていた。そして、それらはこの身を浸食すらしていない)
        (身体を上げれば、ガラスは脆く崩れ、周囲を見渡せる)
        (死に満ちたガラスの大地で、僕だけが異物の様に立ちつくしていた)

        ……これでも、ダメなのか……! どうして…!

        (記憶にある限り。あの言葉は聞かなかった。聞く間もなかった。それでも生きている)
        (例え人智の及ばぬ竜の炎でも「焼死」は「焼死」らしい)
        (そういう規則(ルール)に護られた僕は、無様にここに立っていた)
        -- 2012-08-19 (日) 23:33:44
      • …どうして、僕だけが生きている。僕より生きていたかった人間なんて、いくらでもいるだろう
        (天を見上げ、神がいるとするなら怨嗟の声を吐きかける様に。僕は恨み事を言うしかなかった)
        …生き死にを司る神が居るなら…お前は理不尽だ
        (ここに佇んでいても、何もならない)
        (ミスリルの騎馬を掘り起こして、使える事を確かめると飛び乗った)
        (やはり、己の正しい死を目指す道は…消えた過去にしかないのだろう)
        (スリュヘイムで、探し直さねばならない)
        (生存者等居ない、その中をひたすらに移動し。僕は南を目指す)
        -- 2012-08-19 (日) 23:35:17
  •   -- 2012-08-19 (日) 23:35:27
  • 草食侯の依頼の顛末 -- 2012-09-11 (火) 21:02:45
    • 黄金歴225年。7月 -- 2012-09-11 (火) 21:02:52
      • (アリシアから入手した武具結晶を含めて、依頼を完璧な形で達成したわけであるが)
        (その結果か、僕と召使、全員を呼んで草食侯が話したい事があるという)
        (家まで迎えにきた召使に連れられ、上層の草食侯邸に向かう事になった)
        -- 2012-09-11 (火) 21:04:37
      • 『よく来てくれた。今日は素晴らしい日になるだろう』br;(いつも以上に芝居かかった声で、僕らを招き寄せたのは…意外な場所だった)br;『壇上に上がりたまえ。見せたいものがある。シュルス君。そして我が娘よ』 -- 2012-09-11 (火) 21:04:47
      • (そこは、いままで立ち入りを許さなかった場所だ、そして…)
        娘…?
        (隣を振り向けば、顔を強張らせた召使の姿があった。)
        「そう、呼ばれるのは何年ぶりでしょうか…」
        (そんな言葉を聞きながら、壇上に上がる。常にかかっていた幕の奥には一人の金の毛を持つ人狼と…)
        (一つの石棺があった。大理石で作られた特注品のようだ)
        -- 2012-09-11 (火) 21:06:02
      • 『開けてくれたまえ。それは純粋な人間に開けられて初めて意味を為すものだ』 -- 2012-09-11 (火) 21:06:15
      • (どうやら、僕の仕事らしい。純粋かどうかは疑わしい物だが)
        (重い棺の蓋に手をかけ、ゆっくりと引きずる様に蓋をずらしていくと…)
        -- 2012-09-11 (火) 21:06:23
      • 『美しい…』
        「…!?」
        -- 2012-09-11 (火) 21:08:44
      • ……これは……ゴーレム……?
        (三者三様の声が漏れる。中にあったのは死体…にしては美しすぎる少女)
        (…ではない。確かに人間の形をしているが、呼吸をしていない)
        (死体でもない。死体ならば、どのように飾ろうと現れる印が出ていない)
        -- 2012-09-11 (火) 21:08:55
      • 『検分してみたまえ。触れても良いぞ』 -- 2012-09-11 (火) 21:10:06
      • (草食侯の言うままに、その少女に触れる。質感は…驚いた事に人間の少女そのままだろう)
        (眼帯を外してみれば…人の皮ではない。もっと別の…少なくとも、この国や西方にはない技術による柔らかい物質。その奥には…金属?)
        -- 2012-09-11 (火) 21:10:16
      • 『かつて。我が妻…そこの娘の母が存命である頃に遠方の、境界の街よりそれが届いた』
        『そして彼女は、我が妻と戦い機能停止した…もう20年以上は経つか』
        『美しい、生命ではなく。形をそのままにし…そして。目的の為だけに動いている』
        『彼女の再起動は、損傷を補うためのマテリアルが必要だった。君に集めて貰ったのはそれだ』
        『武具結晶まで手に入れてくれたのは僥倖だった。これで彼女は私の望み通り目覚める…そして』
        -- 2012-09-11 (火) 21:10:25
      • (隣で、はっと息を呑む執事…草食侯の娘。彼女のその驚きの意味を知る前に)
        (僕が検分していた彼女が目を見開き…)

        (鈍い音。その一瞬の間に起きた光景が顔を上げると見えた)
        (僕に向けて大きくその腕を振り上げ、降ろそうとしていた草食侯と)
        (その、胸部。心臓がある辺りを腕で貫いている、棺の中の少女の姿)
        -- 2012-09-11 (火) 21:10:35
      • [敵性異族を排除。マスター、ご無事ですか] -- 2012-09-11 (火) 21:10:44
      • (ゴーレムの合成音声とは程遠い、滑らかな高い声が耳に届く)
        …マスター?
        -- 2012-09-11 (火) 21:11:08
      • 『…ふ。彼女らは目覚めた時に仕える主を再決定するそうでね』
        (まだ、息があったのか。驚異的な生命力で草食侯が笑う。血を吐きだしながら)
        『私の望みはこれで全て叶った。これで妻と同じ場所に逝けるだろう…さぁ、止めを刺すといい』
        「父上…!」
        (困惑を隠せない声が彼を呼ぶ。当然だろう、いきなりの展開についていけないのは僕も同じだ)
        (そこで、彼は娘に目を向けた)
        『後の事は全て任せた。家を継ぐもよし、狼として野に戻るもよい。妻と見守ろう』
        (その言葉を末期の台詞と受け取ったのか、棺の中の少女が手を下そうとする。それを…)
        -- 2012-09-11 (火) 21:11:20
      • 待て!
        (そう、僕が静止していた。場の時間が止まる)
        -- 2012-09-11 (火) 21:11:40
      • [………] -- 2012-09-11 (火) 21:12:01
      • (不思議そうにこちらを見て来る少女は従順だったようで助かった)
        (僕は少し気を落ち着けて…)
        僕の命令を聞いてくれるなら、この場は僕に合わせてくれ。そのまま引いて
        (そう言うだけで、棺の少女はゆっくりと腕を抜くと、僕の傍らに退いた)
        草食侯。失礼ですが、もう少し貴方はお子さんと話をすべきかと
        …同じ死なら同じ場所に逝ける。その願いは分からないでもないですが
        -- 2012-09-11 (火) 21:12:12
      • 『我が愛の遵守を祝福してはくれないのかね? 死の巡礼者よ』 -- 2012-09-11 (火) 21:12:24
      • 金の人狼…そのあなたの生命力であれば、その状態でもまだ生きていられるはずだ
        それでも死に向かうといなら止めはしません。もう少し、話し合って下さい
        (そう言って、僕はその場を辞した)
        (その後の会話は、彼ら家族のものだ。僕の感知する所ではない)
        (人形の「彼女」と共に出た空はどんよりと曇っていた)
        -- 2012-09-11 (火) 21:12:34
      • (その後、しばらくして外で待っていた僕らに会いに来たのは娘一人だった)
        (彼女はこちらに礼を言うと共に、一枚の手紙を差し出した)
        (最後の報酬。そこには僕の生家の場所と魔術院のある地点を指示していた)
        (そしてもう一つ。遥か南の街の、貸金庫の番号。)
        (これらを抱えて、自分を主という人形を連れて、僕は帰る事になった)
        (全ての道が見え始める)
        -- 2012-09-11 (火) 21:12:42
  •   -- 2012-09-11 (火) 21:12:50
  • 生家にて見たもの -- 2012-09-11 (火) 21:44:15
    • 僕の生家だという場所は、下層の孤児院だった
      辿りつけば、異形を持つ子もそうでない子もいる場
      軽く挨拶をしながら進めば、世話役らしい人間に会う事が出来た
      -- 2012-09-11 (火) 21:44:23
      • 『シュルス…ああ。何年も前に魔術院に引き取られていったと記録にありますね』 -- 2012-09-11 (火) 21:44:35
      • 記録にある。という点について疑問を覚え尋ねると。どうも5年前程に一度この孤児院は焼けおちているらしい
        その際に、当時居た職員や子供はほとんどが死亡。残っていたのはたまたま焼けのこった羊皮紙で作られた名簿
        礼を言い、記録を覗いたのだが、分かった事は…やはり、自分の過去を消して回っている人物がいるという事
        そして、鍵が一つ。家の鍵ではないであろうそれは、記憶を失う前の自分が前院長に託していたものらしい
        -- 2012-09-11 (火) 21:44:52
      • …ありがとうございました
        (礼をいい、その場を辞する。一歩ずつ、真実に向かう中で僕が思う事は…)
        -- 2012-09-11 (火) 21:54:20
  • 妖精の運ぶ日記 -- 2012-09-11 (火) 21:54:45
    • 知り合いの妖精の妹に、貸金庫の番号とそれの輸送を依頼する
      信用出来る相手でよかった。人格は…この相手の場合、道中で失くす事の方が心配だったわけだが
      海路を使って来たらしく、護衛らしい少年と共に来たその妖精を迎える
      久しぶりだねイスカ。頼んだものは?
      -- 2012-09-11 (火) 21:54:55
      • 『ここにあるのだわー。重いので自分で出して欲しいのだわ』 -- http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst080312.png 2012-09-11 (火) 21:55:29
      • (相変わらずの間延びした声。そして指し示すのは、護衛の少年が差し出してきた鞄だ)
        (中身を検めると…)

        日記…? 錠前付き、とはね。ああ──

        (記憶を失う以前の、僕自身の意図を感じる)
        (それが何かを理解して…僕はようやく、自分の為すべき事が見えた気がした)

        ありがとう。これで依頼は完了だ。報酬は規定通り渡すとして…これからどうするんだい?
        -- 2012-09-11 (火) 21:55:47
      • 『お姉ちゃんに会っていくのだわー。ルシード君はここまでなのだわ。ありがとうなのだわ?』 -- http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst080312.png 2012-09-11 (火) 21:56:58
      • (護衛の少年の名前らしい。仕事だから、と気にしない様に言う彼に僕も向き直り)
        …僕からも感謝の証として何か差し上げようか
        (それならば、と護衛の少年が所望したのは、武具の一種だった。どうも、僕の仕事をイスカから聞いていたらしい)
        (オリハルコンの双剣とワイヤー。しっかり金も用意してあるらしい。用意周到だがそういうのは嫌いではない、快く引き受ける事にした)

        (届けるべき場所の相談だけして、護衛の少年と別れると、イスカと僕の家に向かう)
        (この後、妖精の姉妹が僕の家で散々騒いだわけだが…どうも、「妖精の姉妹」に振り回される縁でもあるのだろうか)
        -- 2012-09-11 (火) 21:57:15
  • 魔術院の邂逅 -- 2012-09-11 (火) 21:58:28
    • (鍵と日記を手に入れた僕は、それを開く事なく魔術院の一角に向かった)
      (僕が記憶を失った時期に起きた事故以来、封鎖されている地区に踏み入れる)
      (不思議と見咎められる事がなかったのは、誘いだされていたからか)
      -- 2012-09-11 (火) 23:06:44
      • (瓦礫が積み重なる廃墟。埋まっているのは、グラフゼン教室の面々なのか。──僕を除いた)
        (記憶があれば、もっと感慨や、悲しみや怒りが沸くものだろうが。僕にはそれさえ浮かべられなかった。──まるで別人であるように)
        -- 2012-09-11 (火) 23:07:50
      • 『記憶を取り戻し、辿り着いたかね』 -- 2012-09-11 (火) 23:13:00
      • (的外れな割に、自信ありげな声は、反響してどこから聞こえてきたか掴めない。魔術だろう)
        ……グラフゼン
        (静かに誰何の声を投げる。誰何というのは正しくなかったか、予測通りならば、だが)
        -- 2012-09-11 (火) 23:13:09
      • 『そう。私だ。大分変ったようだが…まぁ誤差の範疇だろう』
        『全く、余計な事をしてくれたものだ。あの時に生徒どもとまとめて死んでいてくれれば、蒐集の手間が減ったものを』 -- 2012-09-11 (火) 23:13:57
      • ……蒐集?
        (変化を悟られない様に、言葉少なに答える。知り合いの妖精と調べた、僕の記憶ではない情報を並べる)

        (アルコー・グラフゼン。魔術院では、カルカノンの三姉妹と並んで秘に包まれた存在)
        (彼が公に研究室を作り、生徒を募ると発表した時は大層騒ぎになったそうな)
        (スリュヘイムにおけるゴーレム研究の第一人者。量産される兵士タイプのゴーレムの素案をいくつも開発していた)
        (だが、彼の研究にとってそれは副産物だったらしい。彼の研究は…ゴーレムと人間の接続。そして、特異種のゴーレムの研究)
        (特異種ゴーレム。統一王朝時代の未知の技術や、異国からきた技術からなる全く別の系統のゴーレムの総称だ)
        -- 2012-09-11 (火) 23:14:54
      • 『そう。君の背後に居る「彼」の任務だよ。せっかく、一度に7つの死因を与え、私の研究の礎になる栄誉を与えようとしてやったのに』
        『君が、何の偶然か彼のマイスターになってしまった。計画を全て練り直さねばならなくなったよ』
        『スリュヘイムの鉱山地下で彼が動いたという話を聞いた時はよもやと思ったがね。まさか記憶を失っていたとは』 -- 2012-09-11 (火) 23:15:05
      • 『窒息死』 -- 2012-09-11 (火) 23:25:21
      • 『失血死』 -- 2012-09-11 (火) 23:25:30
      • 『凍死』 -- 2012-09-11 (火) 23:25:40
      • 『焼死』 -- 2012-09-11 (火) 23:25:50
      • 『熱死』 -- 2012-09-11 (火) 23:25:57
      • 『水死』 -- 2012-09-11 (火) 23:26:05
      • 『圧死』 -- 2012-09-11 (火) 23:26:13
      • 『この7つだよ』
        『なまじ、「彼」が完成に近づいていたおかげで君に今まで手を出せなかったが』
        『全ての準備は整った。そろそろ君も、彼の供物になる時間だよ…最後の授業は終わっていたな、なら不出来な生徒に補講といこう』
        (嘲笑の色を帯びた言葉の後に彼は確信をもってこう告げた。記憶を失う前の僕をよく知っているのだろう)
        『来るがいい、仲のよかった生徒の仇を討ちたいのだろう? 君が、記憶を取り戻しているならそうすべきだ』 -- 2012-09-11 (火) 23:26:29
      • 貴様……
        (声に僅かに怒気が灯る。相手を騙すための演技ではなく…死というものを、侮辱している)
        (これは、生贄ですらない。記録の為の無為な殺戮。柱の騎士のような存在よりも、僕には理解しえない)
        (記憶にない生徒達、友人だったかもしれない彼らのための義憤ではない。だが、相手は勘違いしてくれたようだ)
        -- 2012-09-11 (火) 23:27:08
      • 『スリュヘイム上層、大侯爵の居られる区域の一角に、君が訪れる場所がある。最上層に来れば分かるはずだ…』 -- 2012-09-11 (火) 23:27:31
      • (それきり、声は消えて僕には聞こえなくなった)
        (ここで決着をつける気はないらしい)
        ……僕じゃない君の望む結末になるかどうか。まあ、尽力はしよう
        (少なくとも、グラフゼンを許せないという見解は一致しているのだから)
        -- 2012-09-11 (火) 23:28:27
  • 閑話。始まりと終わり -- 2012-09-12 (水) 00:00:59
    • 『遠い場所。ここではないどこか。全く関係の無い場所で』 -- 2012-09-12 (水) 00:08:34
      • 『桃の髪に、フリルの多いドレス。それだけなら似合わない事もなかろうに、不釣り合いな眼帯をつけた少女が居る』 -- 2012-09-12 (水) 00:08:43
      • 『ロリポップキャンディーを舐めながら、彼女は弟子と会話する。遠くて近い、ゴーレムの話だ』 -- 2012-09-12 (水) 00:08:54
      • 『ゴーレムは、今でこそ純機械の産物もあるが。元は魔術の産物だ、神が作りだしたものだしな』 -- 2012-09-12 (水) 00:09:08
      • 『勿論、話が違う地域も世界もあるだろうがそれはいい。ではそういった神話で、考えるのはなんだろうな』 -- 2012-09-12 (水) 00:09:49
      • 『そう。始まりと終わり』 -- 2012-09-12 (水) 00:09:59
      • 『ゴーレムと何の関係があるかって? あるようなないような。そうさね、あるのはあいつくらいさ』 -- 2012-09-12 (水) 00:10:08
      • 『始まり。原初の鉄。アーキタイプ・フェルム。アキフェルだ』 -- 2012-09-12 (水) 00:10:18
      • 『あれは、0に至る事を、始まりに戻すゴーレムを作る事で為そうとした機体だ。ゴーレムを、泥人形ではなく神の似姿に見立てたんだろうな』 -- 2012-09-12 (水) 00:10:26
      • 『人間でそれを為さなかった理由はそれこそ製作者に聞くしかない、あたしゃ知らないよ』 -- 2012-09-12 (水) 00:10:39
      • 『結果としてはまぁ、あれは未だに進化途中だ。マナによって励起される「魔術」という現象を0にする所に至って、足止め食らってる』 -- 2012-09-12 (水) 00:10:49
      • 『魔滅の力? そりゃあ鉄というネーミングから意味づけたものさね。始まりの方じゃない。いったろ、 「はじまり」の「くろがね」と』 -- 2012-09-12 (水) 00:10:59
      • 『まあ、アレの話はいい。本題は別にある…そう、終わりの話は出て来なかった。あたしは一度それを求めたが、どうにもうまくいかない…いや、違うね』 -- 2012-09-12 (水) 00:14:23
      • 『先を越されてた』 -- 2012-09-12 (水) 00:14:33
      • 『真に高等な存在は2つと創れやしない。生体クローンですら、遺伝子情報が同じでも違う魂が宿る始末だ』 -- 2012-09-12 (水) 00:14:44
      • 『まあ、何事にも例外があるがね、今回はそれに当てはまった』 -- 2012-09-12 (水) 00:15:54
      • 『既にあったんだよ。人の終わりを記録して。それを完全とした時点で0に至るもの』 -- 2012-09-12 (水) 00:16:10
      • 『死を蒐集するゴーレムが、ね』 -- 2012-09-12 (水) 00:16:18
  • 終わりを蒐集するもの -- 2012-09-12 (水) 00:30:15
    • (黄金歴227年 12月初頭)
      (第一層状都市・最上層。大侯爵の屋敷…と呼ばれている邸宅がある場所から、少し移動した。開けた場所)
      (石畳の上に精緻に紋様を彫られたその場所から、呼ばれているのだと分かった)
      -- 2012-09-12 (水) 00:33:44
      • …ここか
        (軽く、地面に手をついて術式を読み解く。魔力を流せば…)
        (動いた。石畳が、スライドして。これは…)
        …階段か
        (螺旋階段。下へ、下へ、降り続ける。まるで、地の底に誘う様に)
        (冥府の暗喩とでもいいたいのか。儀式的に意味があるのは認めるが)
        …馬鹿げてるな
        (僕は、そこを進む。進む以外の道は、全て断ってきた)
        (今日こそ僕は)
        -- 2012-09-12 (水) 00:33:55
      • (気が遠くなりそうな時間、僕が階段を踏む音だけが響いていた)
        (地の底まで降って行けば、自然とそうなるとでもいうように、魔術汚染の気配が増して行く)
        (壁にはひたすらに紋様が彫られている。儀式魔術の一巻だろう)
        -- 2012-09-12 (水) 00:37:34
      • (螺旋階段の色は鈍い赤色。全てオリハルコン製らしい)
        (降りていく。降りていく。降りていく度に音が鳴る)(ようやく底につけば、老人が佇んでいる。濃い魔術汚染の中、何ら影響を受けていないかの様に)
        -- 2012-09-12 (水) 00:37:59
      • 『ようこそシュルス。我が生徒、最後の授業の時間だ…暁には、真の不死と「彼」の完成を見せてあげよう』 -- 2012-09-12 (水) 00:40:22
      • 僕から貴方に語る事はない。全て、終わりにするだけだ
        (僕は僕の目的を持ってここにきた。もはや演技をする気もない)
        (眼帯を剥ぎ取り、投げ捨てる。そして呪を唱えた)
        -- 2012-09-12 (水) 00:40:36
      • Tu fui, ego eris. -- 2012-09-12 (水) 00:40:46
      • (「彼」が背後に現出する) -- 2012-09-12 (水) 00:40:57
      • 『「私はあなたであった。あなたは私になるだろう。」か。中々良くわきまえている』
        (老人はにんまりと笑うと、手を上げた)
        (螺旋階段のある、この穴の壁にあった紋様が全て光った)
        (輝く紋章から、怨嗟の声が響き、霊体が飛びだしてきた)
        (死霊の類。ただし低級。規模が大きくても巨大なだけだ)
        (僕に向けて、死に引きずり込もうと集合する)
        -- 2012-09-12 (水) 00:41:43
      • 貴様は何も弁えていないようだな
        (「彼」を現出させた状態の僕に、死霊が近づき、そして一定圏内に入る度に消滅して行く)
        止めておけ。こんなもので何が出来ると思っていたんだ
        (「彼」は死を識るモノ。死、そのものだ。死から無駄に目覚め、未練がましく冥府から這いだした霊など、近付くだけで消えるが運命)
        (自分が死んでいる事を思い出させられて。消えていくのだ)
        -- 2012-09-12 (水) 00:42:35
      • 『…これは驚いた。まさかそこまで「彼」と適合しているとは」
        『侮っていた事は認めよう、だが、前言は撤回して貰おうか』
        (老人が指を鳴らす。今度は…虚空から。違う、階段のレールが解けて、無数の蜘蛛のゴーレムになった)
        (穴にあった階段にびっしりと蜘蛛がまとわりつく様は、シュールというより単純に悪趣味だ)
        (彼らは何かを吸引するようにして…一斉に吐き出す、濁った水を丸めたような球体) -- 2012-09-12 (水) 00:43:00
      • これは……!!
        (無数の蜘蛛が吐き出すそれは、魔術汚染、という要素そのもの)
        (糸を吐きだす様に、蜘蛛のゴーレムに圧縮させたらしい。さしずめ汚染砲と言った所か)
        (大部分を「彼」の腕が消滅させてくれたが。いくつか僕の身にも降りかかる)
        (汚染砲に被弾した部分の外套が、未知の生物と化した…即座に彼を操作して叩き潰す)
        -- 2012-09-12 (水) 00:46:28
      • 『さすがに記録しておるまい? 「異形化」による生体としての完全変容。つまり人としての死滅はな…!』
        (何らかの魔術的防護を纏っているのか。それとも別か)
        (赤い目で老人を捉えるも、解析が遅々として進まない…だが)
        -- 2012-09-12 (水) 00:46:46
      • …それが貴方の切り札だとしたら、哀れだな
        頼んだよ。
        (「彼」ではない。ある指示をしていた「彼女」が動く)
        (穴の遥か情報から、壁を蹴りながら下降、蜘蛛を撃破していく)
        (戦闘能力を鑑みる限り、彼女がこの蜘蛛の群れに遅れを取る理由はないだろう)
        -- 2012-09-12 (水) 00:46:58
      • 『伏兵だと…!? 貴様の知己でそのような力を持つ者は…!』  -- 2012-09-12 (水) 00:47:11
      • (始末したはずだ、とでもいいたかったのか。彼は僕の過去を消して回るついでに、そのような事をしていたのだろう)
        (僕、という今の存在ではなく。シュルスという生徒しか見ていなかった)
        了見の狭い…!
        (「彼」が手を伸ばし。この戦いを終わらせる為に、グラフゼンヘ僕は攻撃を開始した)
        『再演』
        (業火が弾ける。焼死の記憶を追体験しながら)
        (魔術の防護だろうと、並大抵の物なら貫くはずだが…)
        -- 2012-09-12 (水) 00:47:20
      • 何……!!
        (そもそも、炎が老人の眼前で消滅した)
        (床を溶かしただけで、業火の影響を受けた物は他にはいない)
        -- 2012-09-12 (水) 00:47:35
      • 『くくく…無駄だよ。分かるだろう?』
        (大きく手を広げて、己が存在を誇る様に手を広げる老人)
        『私は「彼」の複製に成功したのだ!』
        『君の「彼」と同調して、死の記録を読み取る我がゴーレム…サナトス!』
        (老人の背後に、「彼」と酷似した形状の、しかし鮮血の様に赤い人型のゴーレムが現れた) -- 2012-09-12 (水) 00:47:52
      • (バカな、という言葉はかろうじて飲み込んだ)
        (なるほど、グラフゼン教授。存在が秘されているだけの天才だったらしい)
        同調…か
        (…それでも、驚きから醒めてしまえば、僕がら出る表情は平坦なものだった)
        (「彼」は唯一無二だ。真似をする事は出来ても、同一の物を創れるはずがないのに)
        -- 2012-09-12 (水) 00:48:08
      • 『そう。同調だ…君が死んだ数だけ死のバリエーションも増えていった。感謝しているぞ?』
        『どうした、恐れ慄いたかね? 才能の違いを感じたか? よろしい、君は今も未熟な弟子でしかないという事だ』
        『だが、さすがにオリジナルを手に入れずには入れられない。サナトスと、「彼」を合わせて初めて私の研究は、不死は完成する!)
        『大人しく、私に「彼」を渡せ!!」
        (赤のゴーレム─サナトスは、汚染砲を放つ機能を有していたらしい。蜘蛛以上の汚染を収集して、こちらにぶつけようとしてくる、が) -- 2012-09-12 (水) 00:48:43
      • ……遅い
        (その前に、僕は走る。動きが先読み出来る、戦闘に関して、グラフゼンは僕以下の経験しか持たないようだ)
        -- 2012-09-12 (水) 00:48:54
      • 『な、なにっ!? 何を!?』 -- 2012-09-12 (水) 00:51:48
      • (床に、彼の拳を思い切り叩きつける)
        (圧殺の記憶と共に、その一撃は僕たちのいる底…だと思っていた床を砕き、更に地底へと導く)
        (落下の最中、更にある地底で…本当のグラフゼンであろう、老人がうろたえて頭上を見上げていた)
        (ゴーレムは本物だが、老人自体は偽物…見え透いた手だ)
        -- 2012-09-12 (水) 00:52:08
      • 『何故分かった…! サナトス! サナトス! こいつを撃て!!!!!!!」 -- 2012-09-12 (水) 00:52:20
      • 喚くな
        (落下の勢いに任せて、「彼の」の腕で老人を壁に向けて吹き飛ばした)
        -- 2012-09-12 (水) 00:52:31
      • 『き…きさま…こんな事ででわしは死なんぞ!」
        (グラフゼンが、間近にサナトスを召喚し直した。驚異的な召喚速度…確かに、他の誰にも真似できまい) -- 2012-09-12 (水) 00:52:50
      • (その凄さに対して、しかし極平坦に答えた)
        …なるほど、確かに貴方はは天才だ。それを超える前の生徒では貴方に何もできないだろう
        だが、僕は貴方の生徒ではない。仕組まれた勝負は、貴方を教授としては見ていなかったんだ
        -- 2012-09-12 (水) 00:53:03
      • 『…!?』
        『撃て、撃てサナトス!!!』 -- 2012-09-12 (水) 00:55:06
      • (黙って、懐に手を伸ばす。切り札に手を伸ばす僕を護る様に彼は)
        (鋼の手を)
        (ただ前へと──伸ばす──!)
        (サナトスを拘束する「彼」力比べは同等に見えるが、威容は「彼」が比べるまでもなく上だ)
        (そして、僕は取りだした。日記と、鍵を)
        -- 2012-09-12 (水) 00:55:32
      • 『なんだそれは…!?』 -- 2012-09-12 (水) 00:55:50
      • 日記と鍵。見ての通りのものでしかない
        僕はね、グラフゼン。シュルスなんて人間じゃないんだ
        同じ体に宿った、別の人格…なのかな。よくわからないけども、とにかく精神的には「別者」なんだ
        そして、その人格は。脳が記憶を取り戻す事によって消去される、仮想人格だ
        -- 2012-09-12 (水) 00:56:00
      • 『……まさか!?』 -- 2012-09-12 (水) 00:56:15
      • 分かってくれたようだね。精神の死。「僕」が消えてシュルスに戻る時
        「彼」が死と認識してそれを記録すれば僕の勝ちだ
        何、死にはしないさ…グラフゼン。貴方も同調して全ての記憶を失い、ただの老人になるだけ
        最も──死を記録された時点で、彼との接続は途切れ、仮初の不死は失われるだろうけどね
        (それが、僕の望んだ結末だ)
        -- 2012-09-12 (水) 00:56:27
      • 『やめろ! やめてくれ! シュルスでないならわしに恨みなどなかろう! そのまま消えるをよしとするのか!」
        『貴様とて、生きたいはずだ! それが生物として自然の願望、欲望のはずだ!!!』 -- 2012-09-12 (水) 00:57:12
      • …それが自然な生ならばその通りだ。だが、僕の生はもう、とっくに終わっているはずだった
        死という、人が遂げるべき終着点を無為に踏み越えてただ動いているだけの生に興味などない!
        -- 2012-09-12 (水) 00:58:02
      • 『あああああああああああああああああ!』 -- 2012-09-12 (水) 00:58:12
      • (老人の絶叫に耳を貸す事無く。僕は、その鍵を開けて。全ての記憶を読み返した) -- 2012-09-12 (水) 00:58:54
  • 願いを叶えた者 -- 2012-09-12 (水) 00:59:16
    • 黄金歴227年 12月 -- 2012-09-12 (水) 00:59:26
      • (「俺」が目を覚ますと、日の光も差さない縦穴の底。凄まじい戦闘痕に、一人で立っていた)
        (そして、目の前に赤いゴーレムと、蹲る…グラフゼン。俺の、復讐の相手)
        ようやく…ようやく追い詰めた。お前が、全てを奪った…俺の居場所も…教室の皆も…!
        (呆けている老人に、その首に手をかける。あっけないもので、それだけで仇敵は絶命した)
        -- 2012-09-12 (水) 01:00:31
      • 孤児院の…研究室の皆の仇を…取れたぞ…!
        (死体を投げ捨てて、空に快哉を叫ぶ。ついにやった)
        (仮想人格を仕立て、残したヒントで誘導する。事情を全て話したわけではないが、妖精たちが上手くやってくれたのかもしれない) -- 2012-09-12 (水) 01:01:25
      • ……
        (しばらく、全てをやりきったまま呆けていると、近くに少女が来た)
        (武装が腕から剥き出しな辺り、新型のゴーレムなのだろうか。趣味が悪い) -- 2012-09-12 (水) 01:01:38
      • 「…マスター…ではありませんね?」 -- 2012-09-12 (水) 01:01:47
      • …ああ。違う。お前はどこへなりともいくといい
        (恐らく、仮想人格に仕えていたのだろう。だから、違うと言ってやった)
        (仮想人格にも、それくらいの義理はある) -- 2012-09-12 (水) 01:02:02
      • 「…御意。危険なゴーレムは全て排除しておきましたので危険はありません」
        (そう告げると、少女は俊敏に立ち去っていった) -- 2012-09-12 (水) 01:02:29
      • ……は。ははは
        (空の両手に残る日記を眺める。全て終わった)
        (外に出る事にして、街を歩いて…そして)
        (絶望した) -- 2012-09-12 (水) 01:02:43
      • (何も残っていない。10年以上の歳月は、俺が居たスリュヘイムからは遠く)
        (変わらない物もあったけれど。俺には関係のないものばかり)
        ……くそっ…くそっ!
        (何処に行くあてもない。魔術院には戻れない)
        (結局、俺は願いを叶えても……その後に得るものを何も考えていやしなかったのだ) -- 2012-09-12 (水) 01:03:03
      • 悪い…悪いな皆。でも、やっと終わったから──今から行くよ -- 2012-09-12 (水) 01:03:22
  • 望みを叶えたもの -- 2012-09-12 (水) 01:03:35
    • (無明の闇の中で、ふと意識が醒めた)
      (仮想人格であった「僕」が目覚めるとしたら、あの計画が失敗して)
      (シュルスの身体で目覚めるはずだと思ったが。そうでもない)
      (そもそも、夢を見ているような感覚の希薄さだ)
      -- 2012-09-12 (水) 01:04:10
      • …ここは
        (ハノイと話した時のような、念話の感覚。意識だけの存在…浮遊霊にでもなったのだろうか?)
        -- 2012-09-12 (水) 01:08:50
      • “違う”
        “私が呼び寄せた” -- 2012-09-12 (水) 01:09:10
      • …誰だ?
        (聞いた事の無い。男にも女にも聞こえる曖昧な声)
        -- 2012-09-12 (水) 01:09:23
      • “死”
        “意識ある存在が概念として関連づけた死に纏わる遍くものを司るもの”
        “君の言語に合わせるなら、死の神というのが理解しやすいと判断する” -- 2012-09-12 (水) 01:09:31
      • ……その神が、僕に何を?
        (正直な話、「彼」なのかとも思ったが…余り興味が沸かない)
        -- 2012-09-12 (水) 01:09:44
      • “「彼」、君がそう呼んだものは私の端末だ”
        “ヒトというものの死を見せる代価に、死からの脱却を願い、全て揃えた暁に記録の源点を見たいと願ったモノとの契約の結果だ” -- 2012-09-12 (水) 01:09:55
      • …そのあなたがどうしてここに僕を呼んだんだ?
        (不思議と疑う気になれず、更に心を読まれているらしい。だが、それも驚くほどではなく先を促す)
        -- 2012-09-12 (水) 01:10:26
      • “君は端末を引き受けた存在としては希有な存在だった”
        “私に祈る存在は、ほぼ全ての場合、自身の私からの脱却や、他の存在に私を与える事を望んでいたものだ”

        “君は違った”

        “ただひたすらに、私になる事を願っていた。よくある自己への見限りなどとは違う理由で”
        “それは、希有な事だ。だから私は君に契約を持ちかける”
        “端末と、新たな身体を与えよう。見た目も能力も不死も全て思いのままだ”
        “代わりに、君が何を見て生きていくのかをまだ私に見せて欲しい” -- 2012-09-12 (水) 01:10:35
      • …断る、と言ったら?
        (分かるはずだ。心が読めているなら。自分は無に戻りたいだけなのだと)
        (為すべき事は全て果たしたはずだし、これ以上の望みはない)
        -- 2012-09-12 (水) 01:10:53
      • “私はその意思を無視することができる”
        “だがそうだな、君の意思を汲み取ろうではないか”
        “君の僅かな思い残しに力を貸そう。その結末を見る俯瞰を与える事で代価とならないかね?”
        -- 2012-09-12 (水) 01:11:05
      • (結末の俯瞰。それは確かに、少しばかり気になる事だ。正直、もういいと思っていた事でもあるが)
        (きっと、これにのればまた長く意識を保つ事になるのだろうけれど。この存在は僕が眠る事を許してはくれないようだ)
        …分かった。好きにしてくれ
        -- 2012-09-12 (水) 01:11:16
  • “契約は為された” -- 2012-09-12 (水) 01:11:24

Last-modified: 2012-09-12 Wed 01:11:24 JST (4243d)