:夜のポストリュード
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1人遊び用コメントです
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コメントページを参照
午睡の夢の続きのように、私は見知らぬ部屋で見知らぬ女と卓を挟み座っていた。 --
バス
誰が用意したのか、卓上に置かれていたコーヒーカップを手にとり啜りながら女を観察する。
美女にはちがいない。だが、窓から零れる柔かな日差しのもとでも
その媚を含んだ微笑、薄衣の下の豊かな肢体がどこか淫らがましい印象を見る者に与えるだろう。
それに加えて私はこの女の面貌に、ある強烈な既視感を覚えていた。
「どうかなさったの?幽霊でも見たような顔をしてらっしゃるわよ…」
ギクリとした。既視感の正体…この女は明らかに知っている、そして…
「幽霊か、まさにそうだな…あんたは、”本人”なのか?それとも他人の空似…いや、まさかな」
「ふふ、どうなのかしら…私の話の前に、あなたの話が伺いたいわね…思い出したのでしょう?」
「…何のことだ?」
「私に似た女性に…もう何十年も前になるでしょうけど、出会ったのでしょう?」
なるほど、そういうことか。ならばこれをあの黒い女の手妻だろう。よく似た女を用意し、あの時の話を引き出す…しかし何のために?
「俺からすればつまらん思い出話の一つに過ぎないが、それでも茶飲み話の類ではないさ。
天秤が釣り合わなけりゃ取引は成り立たない、そうだろ?俺からその話を聞き出したい理由は何だ。まずそれを言ってもらおう」
「あら、ずいぶんとせっかちなのね。単純に興味があるじゃあ駄目なのかしら
30年前、いくつかの陰惨な事件の舞台となったジュランソンの城館がついに崩壊を遂げたとき、あなたはまさにその現場にいた…
多少なりとも裏の事情を知っているなら何があったのか知りたくなるのは当然ではなくて?でも、あなたが話を出し惜しむ気持ちもわかるわ
交換条件ということなら、あなたの話に見合う情報を私も提供できると思うけれど、いかがかしら」
「見合う情報だと?」
「そう…たとえば、私がどうして”彼女”に似ているのか、とか…」
女は艶やかに微笑む。
身に纏う官能的な雰囲気を排除して容貌だけを取り出したなら、確かに似ているどころではない。
仮にこのための詐術として顔を変えてるとしても、それはこの女たちがこちらとは別の方角から彼女の存在に辿り着いているということになる。
「…いいだろう。少々長くなるが、たまには美人とともに回想にふけるのも悪くはないさ
あれは…177年の秋だったかな。1枚の肖像画にはじまり、1枚の肖像画に終わる事件だ」
………………
似ているな、と思った。
だからそのままを口にした。が、少々唐突に過ぎたかもしれない。
お名前:
ちなみにバスコは90まで生きて大往生…そして今ここにいるわけだが…
--
バス
2011-09-12 (月) 20:15:15
それも私の仕業…なのです
--
全身黒ずくめの女
2011-09-12 (月) 20:17:59
えっ誰
--
バス
2011-09-12 (月) 20:18:50
まあまあいいじゃないですか。それよりもフレンとサラ・ローサの秘密には迫れたんですか?ひょっとして悔いを残してるんじゃないかと思って、魂をしばらくここに留まらせてあげたんです
--
全身黒ずくめの女
2011-09-12 (月) 20:21:27
ああ、うん・・・まあなんだ、結局核心には至らなかったがそれほど悔いみたいなものはないよ。俺にとっては余生の暇つぶし程度のことだったし
--
バス
2011-09-12 (月) 20:24:43
ふーん・・・別にそれならそれでいいですけど。とりあえず暫くここにいて、気が向いたら調べものの続きでもするといいですよ
あっちにはいつでも行けるんですから…むせおー?
--
全身黒ずくめの女
2011-09-12 (月) 20:28:38
あいあーい? --
むせお
?
2011-09-12 (月) 20:29:34
(蹴る)
--
全身黒ずくめの女
2011-09-12 (月) 20:30:32
ぎゃーし!? --
むせお
?
2011-09-12 (月) 20:31:08
これも私の分だッ!!…コホン、こっちの人の世話お願いね
--
全身黒ずくめの女
2011-09-12 (月) 20:33:27
(この女こえー・・・)
--
バス
2011-09-12 (月) 20:33:57
ところでコウモリくんよ
--
バス
2011-09-26 (月) 20:27:37
はいはーい? --
むせお
2011-09-26 (月) 20:27:51
ぶっちゃけ俺をここに連れてきたあの女は何者なんだ?あまりの怪しさに本人に聞きそびれたんだが
--
バス
2011-09-26 (月) 20:29:35
あのひとは僕のごしゅじんだよ。黒い魔女の話は聞いたことない? --
むせお
2011-09-26 (月) 20:30:38
お前…いや、黒い魔女という呼び名は少なくともお前のような闇の眷属にとっては、指し示すのは只1人…だよな?
--
バス
2011-09-26 (月) 20:32:27
?うん、そうだよ。長年追ってきた相手にあっけなく出会えておどろいてる? --
むせお
2011-09-26 (月) 20:35:10
いや…ふむ、さて。これはどうしたことだろうな…まあいいや、そのうちまた会うことがあればサインでもねだるさ
--
バス
2011-09-26 (月) 20:36:05
セックス!
--
バス
2011-10-04 (火) 17:06:29
たまってるってやつなのかな…(距離をとりながら)
--
全身黒ずくめの女
2011-10-04 (火) 17:30:44
そりゃ一日中こんなとこに引きこもってりゃいろいろ溜まるってもんだよ。あ゛ー…ニナは元気でやってるのかなあ…
--
バス
2011-10-04 (火) 18:59:27
別に外に出ちゃいけないって言った覚えはないんですが…会いに行けばいいじゃないですか
--
全身黒ずくめの女
2011-10-04 (火) 19:41:04
いや、今更どんな顔で…というのがあるしな。そうなったことにいろいろと理由はあるが、まあ自己正当化できるような筋合のことじゃないな
--
バス
2011-10-04 (火) 19:47:12
いろいろと?
--
黒ずくめの女
2011-10-04 (火) 19:47:59
いろいろと。そのうち一つはあんたにも関係してることだが
--
バス
2011-10-04 (火) 19:48:52
はて、なんでしょう…
--
黒ずくめの女
2011-10-04 (火) 19:49:55
あんた、あの蝙蝠くんには自分がサラ・ローサだと名乗ってるようだが…ぶっちゃけ嘘だろう?
--
バス
2011-10-04 (火) 19:56:43
どうしてあなたにそれがわかるんですか?半生を費やしていながら一度として会ったこともないのに?ああ、勘だなんて言わないでくださいよ。私は歴とした論拠を求めます。それが、ここのルールです
--
黒ずくめの女
2011-10-04 (火) 19:59:54
(ただのカンだってすげえ言いづれぇ…!)あー…ええと、俺が今まで調べたことから総合的に判断してだな…あんたは何というか、らしくないんだ。俺はそもそもサラ・ローサなる存在が人の姿をとって顕現することにも疑問があるんだよ
--
バス
2011-10-04 (火) 20:06:26
…それはまた大胆な説ですね。黒い魔女の目撃談は多く、有名なところでは黄金暦41年のバスピレノ…
--
黒ずくめの女
2011-10-04 (火) 20:09:57
それがサラ・ローサだと誰が証明できる?さっきの言葉を返すようで悪いがね。もし仮にあんたが名を騙ってるんだとしたら、過去にも…いや、あんた自身が
--
バス
2011-10-04 (火) 20:11:48
さすがに私はその頃には生まれてもいませんよ。もっとも、全く無関係でもなさそうですが…それは別のお話です
確かに私が詐称しているのは事実だし、過去にもそういう者はいたかもしれませんね。ではサラ・ローサとは何者なのでしょう?
--
黒ずくめの女
2011-10-04 (火) 20:14:36
それは…
--
バス
2011-10-04 (火) 20:15:22
曰く言い難し、でしょうか。なら別の質問を…完全なものから不完全なものが生まれることはあるでしょうか?
--
黒ずくめの女
2011-10-04 (火) 20:16:43
はあ…?ずいぶんとまた哲学的というか、いや、神学か?うーむ…
--
バス
2011-10-04 (火) 20:19:24
最後にもう一つの質問。あなたの目から見て、この世界は美しいですか?
…以上の問いに答えることができたなら、サラ・ローサの正体も掴めると思いますよ
--
黒ずくめの女
2011-10-04 (火) 20:22:20
(ティン タタン トン)
夢から現への途上、ぼやけた想念が次第にかたちをとっていく。
あの音はなんだろう…私の意識はしかしそちらには向かわず、ある男のことを思い出していた。
--
バス
2011-10-17 (月) 23:35:08
ジャッカルの眼、ハイエナの眼、猛禽の眼…己の前に立つ者全てを竦ませ、魂を奪い取ってしまうような
この世の何もかもを見下し、ただ己自身のみを己独りの世界の神として崇めているような
「傲慢なサトゥルノス」…サトゥルノ・バルノ。それが男の名前だった。
--
バス
………
「…完成された世界とは、すなわち原初の一刹那、神の言葉が発せられ世界が作り上げられようとするその一瞬間にのみ存在した。
あたかも砂の城が風の一吹きで崩れ落ちていくかのように、その後の世界は一から多、完全から不完全へと崩壊の途を辿っている。
君の専門で言うならば…破り裂かれた絵に価値はあるか?叩き割られた彫像に魂は宿るか?ただ完全なるもののみが真なのだ。何も欠けていないことだけが意味を持つのだ。それ以外の一切合財は皆…価値がない」
--
バス
重厚な体格に似合った低くよく響く声…カリスマとはこのような男を指すのだろうな。
私は素直に感心した。彼の言葉にではなく彼の持つある種のムード、いわばオーラに。
--
バス
………
音のした方向、部屋の扉の前にゆっくりと闇が凝固し人型をとっていく。
手の先まで覆った黒い装束、長くまっすぐ伸びた黒髪、黒い帽子が影を落とす透き通るような白い面。
私をここへと、現世へと連れ戻した張本人、黒き魔女サラ・ローサを騙る女。
--
バス
「あれ、すみません。まだお休み中でしたか?」
--
黒ずくめの女
「いや、今起きたところだ…そうか、この前あんたが妙な質問をしたせいで」
完全なものから不完全なもの。完全な言語。神の言葉。
「…そうだ、お前さんサトゥルノ・バルノという男を知ってるか?」
--
バス
「ええまあ。ある意味では有名人でしたからね」
--
黒ずくめの女
その返事に引っ掛かりを覚え、思わず聞き返す。
「…でした?」
--
バス
「ご存じなかったんですか?サトゥルノの一党は10年前に弾圧を受け滅んだんですよ。
サトゥルノ本人は今もどこかの牢獄に繋がれたままの筈です」
--
黒ずくめの女
「まさかあの男がそんなあっさり…」
私が覚えているサトゥルノスは決して誰にも膝を屈することのない男、地に這い蹲り鎖に繋がれている姿など想像もつかない男だった。そのはずだった。
--
バス
「すみません、ひょっとしてご友人だったとか…」
--
黒ずくめの女
「いや…大昔に一度会っただけだよ。それだけの間柄だ」
--
バス
「そうですか…ちなみに弾圧のきっかけは反対一派による現地行政官への使嗾と言われてます。
その一派の長は狂女フー・スアリ。別に狂ったトラキア女とも…」
--
バス
「ちょっと待て。それは、その呼び名はサラ・ローサの」
--
バス
「ええ、数ある呼び名のうちの一つですね」
--
黒ずくめの女
「どういうことだ?そいつもあんたと同じように騙りなのか?」
--
バス
「騙りかどうか、そもそも本物を知らない者が偽者を見分けられるのでしょうか?」
--
黒ずくめの女
そう言うと悪戯っぽく微笑みを浮かべる。
たまさかに見せる感情めいたもの。こいつは…
「その女についてそれ以上の情報はないのか。それとも俺には明かせないということか?」
--
バス
「その返答はどちらもイエスです。調べればわかるでしょうけど…でもあからさまなヒントを要求するのはどうなんでしょうね」
--
黒ずくめの女
「…ならこういう質問はどうだ。サトゥルノは今も生きているのかどうか、生きているなら居場所はどこだ?」
--
バス
「えっ。それを知ってどうするんです…?まさか会いに行くとでもいうんですか」
--
黒ずくめの女
「さあ、まだなんとも言えんが…どうなんだ。それともこれもヒントになると?」
--
バス
「いえ、それは…調べるならむせおに命じればすぐに済むとは思いますけど」
--
黒ずくめの女
「あの頼りなさそうなコウモリくんに?」
--
バス
「馬鹿にしたものではないですよ、あの子の調査能力は。一晩に千キロを飛翔し闇にまぎれて王宮の宝物庫だろうと易々と出入りできます」
--
黒ずくめの女
ああ、そうだな。見た目じゃない。
この連中は皆…夜の種族だ。
俺も含めて。
--
バス
午睡の夢の続きのように、私は見知らぬ部屋で見知らぬ女と卓を挟み座っていた。 --
バス
誰が用意したのか、卓上に置かれていたコーヒーカップを手にとり啜りながら女を観察する。
美女にはちがいない。だが、窓から零れる柔かな日差しのもとでも
その媚を含んだ微笑、薄衣の下の豊かな肢体がどこか淫らがましい印象を見る者に与えるだろう。
それに加えて私はこの女の面貌に、ある強烈な既視感を覚えていた。
「どうかなさったの?幽霊でも見たような顔をしてらっしゃるわよ…」
ギクリとした。既視感の正体…この女は明らかに知っている、そして…
「幽霊か、まさにそうだな…あんたは、”本人”なのか?それとも他人の空似…いや、まさかな」
「ふふ、どうなのかしら…私の話の前に、あなたの話が伺いたいわね…思い出したのでしょう?」
「…何のことだ?」
「私に似た女性に…もう何十年も前になるでしょうけど、出会ったのでしょう?」
なるほど、そういうことか。ならばこれをあの黒い女の手妻だろう。よく似た女を用意し、あの時の話を引き出す…しかし何のために?
「俺からすればつまらん思い出話の一つに過ぎないが、それでも茶飲み話の類ではないさ。
天秤が釣り合わなけりゃ取引は成り立たない、そうだろ?俺からその話を聞き出したい理由は何だ。まずそれを言ってもらおう」
「あら、ずいぶんとせっかちなのね。単純に興味があるじゃあ駄目なのかしら
30年前、いくつかの陰惨な事件の舞台となったジュランソンの城館がついに崩壊を遂げたとき、あなたはまさにその現場にいた…
多少なりとも裏の事情を知っているなら何があったのか知りたくなるのは当然ではなくて?でも、あなたが話を出し惜しむ気持ちもわかるわ
交換条件ということなら、あなたの話に見合う情報を私も提供できると思うけれど、いかがかしら」
「見合う情報だと?」
「そう…たとえば、私がどうして”彼女”に似ているのか、とか…」
女は艶やかに微笑む。
身に纏う官能的な雰囲気を排除して容貌だけを取り出したなら、確かに似ているどころではない。
仮にこのための詐術として顔を変えてるとしても、それはこの女たちがこちらとは別の方角から彼女の存在に辿り着いているということになる。
「…いいだろう。少々長くなるが、たまには美人とともに回想にふけるのも悪くはないさ
あれは…177年の秋だったかな。1枚の肖像画にはじまり、1枚の肖像画に終わる事件だ」
………………
似ているな、と思った。
だからそのままを口にした。が、少々唐突に過ぎたかもしれない。
Last-modified: 2013-04-06 Sat 18:09:33 JST (4031d)