名簿/512909

  •  ――話などない。
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  • ――話がしたいです。一つの区切りとして。 -- ナナシ 2014-11-13 (木) 02:58:37

    • スラム街。頭蓋が砕かれた死体の側に、少女が座り込んだ。 -- 2014-11-13 (木) 02:59:22

      • ――結局のところ、こういう結末になってしまったわけですね。
        最初から最後まで、ずっとワタシは貴方を見ていたんです。
        貴方だけではない、この世に遍く存在する事象はワタシに観測されるためにあると思っています。
        貴方もそのワタシが観測すべき対象の内の一人であったと、ただそれだけなんです。
        あくまで客観的な観測でしかないがゆえにその内面についてはワタシの憶測の域を抜けることはけしてできませんが、それでもワタシは貴方にお疲れ様と言おうと思います。
        きっと、疲れたことは間違いないでしょうから。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 03:01:53

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 03:02:06

      • その疲労を、努力か徒労かに分けろと言われれば、ワタシはきっとそれを徒労に分類すると思います。
        これは、貴方の性格や目的を詳しく知っていればいるほど、そう位置づけせざるを得ないと思います。
        貴方とは老人窟で一時期肩を並べただけの関係ではありますが、それでも理解することは出来ました。
        きっと貴方は、他の老人窟の住人よりも持論を他人にぶつけることが多かったですから。
        だから、先ほどのお疲れ様も、半分は労いの意味で、半分は皮肉で言ったのだと思います。
        全てが思い通りになるのに何一つ成せず、殆ど全ての物を手に入れる事が出来た代わりに一番欲しいものだけを手に入れることが出来なかった貴方は、
        非常に残念でしたと言わざるをえないからです。
        貴方が貴方の理由やルールに縛られた上で、出来る限りのことをしてきたことは理解できますが、
        そんな次善が何の慰めにもならないことを他ならぬ貴方が知っているでしょうし、
        何より貴方自身がその結末について面白いと笑って死ねなかったことが、ワタシは可哀想でなりません。
        努力の全ては結果に結びつかなければ無意味であるという一般的な価値観が、貴方を死後も苛み続け、
        誰かから見れば綺麗な終わりに見えるそれは確かな傷口となって死後も血を流し続けるでしょう。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 03:08:23

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 03:08:40

      • 何がいけなかったのかを自省することにもきっと意味は無いです。
        死体である貴方にそんな自省を促すことはまさに死者に鞭打つ行為であると思うのですが、
        それを棚上げして鞭打ったところで、貴方は貴方の理由に於いて、何度繰り返したとしても細部を研究しなおしたとしてもここにたどり着くと思うからです。
        何故なら貴方は表層的な理由を貴方自身の中から探そうとするでしょうが、けしてそこには明確な解答はないからです。
        貴方は必死にやりました。恐らくそれがベストと言っていいと思います。
        だからといって貴方はそれを環境のせいには出来ない。運命のせいには出来ない。誰かのせいには出来ない。
        そうしてしまえば簡単に証明が出来るにも関わらず、貴方は貴方の信条に於いて自らを縛っているからです。
        また、もう一つ言えるとするなら、貴方はきっともう少し深いところにある理由も理解しているのです。
        貴方にとっての最善が訪れなかった理由は、何より貴方自身の実力不足が招いたことであると。
        心の何処かで気づいているから、外側に理由を求めることも内側に理由を求めることも出来ずに、
        何度も何度も何度も改善すら出来ずにここに辿り着き、死ななければならないのです。
        貴方にとってこの場所は、貴方という生き方をしていれば必ず辿り着く終端であると、ワタシは思うのです。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 03:14:14

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 03:14:42

      • それが限界なんです。
        一人の人間は、信条の奴隷に成りきれない。
        理論に肉がついてしまえば、それはもう理論という最小単位でいることが出来ないのです。
        貴方という人間が信条を抱えたままここに辿り着き死ぬことは、もはや一人の人間がそれを抱えておける限界のようなものなのです。
        これはワタシも含めた老人窟全ての人間に言えることです。
        事象を人間の形として確定させてしまえば、そこには余計な情報が入り込んでくる。
        混ざり物は純粋性を失わせて、理論の奴隷という立場を放棄して、理論を携え始める。
        貴方の良し悪しの判断に理論が使われることで、人間の意思が介在してくることになり、理論は所々綻び始めるのです。
        これは、書物でも同じことです。
        物語性を、話題性を含ませることによって、書物という物は初めて成立する。
        そういった理論の純度を落とす人間性の介入によって、理論は物語として形を持つのです。
        これはきっと『狂徒』の彼以外の全ての人間の信条が一部綻びを最初から持っている理由になるのです。
        貴方の理論も、ワタシの理論も、人の言語で人が伝える以上、必ず貴方やワタシにとって都合の良い物にねじ曲げられてしまう。
        貴方もワタシも、温度のない理論の奴隷には絶対に成り切ることは出来ないからです。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 03:20:57

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 03:27:11

      • でもきっと、それは仕方がないことなのだと思います。
        人間は生まれた時から有限性に縛られた生き物であり、
        言語という枠組みの外側には必ず非言語という括りが存在しています。
        無限に生きる生物であっても無限を無限と括ってしまえばその外側にある事象については語ることが出来ませんし、
        現状でも非言語で伝える術を人間が、ひいては書物が有して居ない限り、必ず伝えきれない情報というものは出てくるものです。
        貴方という存在の全てを費やせば、きっとその中に一つの楔くらいは打てると思って抗っていたのでしょうが、『お疲れ様でした』。
        貴方の物語は、きっと誰の心の中にも存在せずに、大きな流れの中に組み込まれるでしょう。
        誰も貴方の水流がどんな拘りを持って流れていたものかなど気にせずに、ただその水の流れは来るべき最後の時に向けて流れていくものです。
        人が、指先の毛細血管が切れても問題なく活動を続けられるように、痛みすら感じないように、
        貴方のここで潰えた夢も希望も、命もあり方も、理論も理想も、何もかもここで途切れると思います。
        でも、安心してください。
        貴方が死んだところで、一つの話が下らない結末を迎えたところで、きっと貴方の物語の外側には貴方が向かっていた道と同じような道は最初からあって、
        貴方がそれを紡ぐ必要もなく、きっと貴方の知らない誰かがそこに向けてまた船を漕ぎだすでしょうから。
        全ての理論や話、物語や語りに、貴方という人間性は最初から必要ないのです。
        安心して死んで下さい。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 03:27:24

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 03:27:48

      • だからお疲れ様でした。
        貴方はきっと、貴方自身でも認められないこの結末のために努力を重ねてきました。
        日々積み重ね、研鑽し、努力をしてきたことと思います。
        さぞ辛い道であったと同情こそしますが、同情をされたところで貴方は嬉しくないでしょうしね。
        きっとこの結末こそが全てで、次も、前もないのですから、悔しさを感じることもなく死ねたことでしょう。
        人は死ねば全て終わりですから。
        物語は読まれなくなれば終わりですから。
        ですが、やはり先程から申し上げている通り、貴方が存在していた大きな流れはけして止まることはありません。
        貴方の理論すら飲み込み、淘汰の中に組み込んで、人の営みの中にあり続けるでしょう。
        もしかしたら数年後にその理論は駆逐されてしまうかもしれませんし、人間が滅ぶその時まで流れの中にあり続けるかもしれません。
        ですがそれは、人から人へと、口伝から口伝へと、物語から物語へと形を変えて、
        少しずつその時代と背景に沿った物に変化していくと思います。
        貴方がその理論の中に組み込んだ自身の経験や心情など、何一つ介さず。
        だってそうでしょう、貴方の付けたそうとしたそれは、後世の人間にとっては不純なものであり、純度の高い理論を残すためには不要でしかないものですからね。
        だから貴方のパーソナリティが組み込まれたそれだけは、大きな流れの中に組み込まれず、貴方の死と共にここに置いていくことになります。
        どれだけ巧妙に隠したとしても、貴方より頭のいい誰かが、必ずそれを詳らかにした上で排除すると思います。
        ご心配なく、貴方の名前や功績は、必ず淘汰されて排斥される運命にありますから。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 03:37:41

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 03:38:18

      • きっと、だからこそ最期くらいは綺麗な物語を自身の『終末』としたかったのでしょうね。
        貴方はだから、己の理論の純度を高めた上でそれをここに残そうとした。
        ですが、それは他ならぬ貴方が理論の権化で居られなかったという理由に於いて、頓挫することになりました。
        余りにも純粋に追い求め過ぎたことで、人間同士の営みまでを鑑みて理論を構築しようとしてしまった。
        貴方の目論見は殆どが上手くいっていましたね。
        ですが、それだけです。
        貴方がどれだけ最適解を出そうが、最初から問題が間違っていたのであれば、けして正解にはたどり着けないのです。
        そして貴方は自らの理論の証明のためにその最も困難な道を選び、争いに負けたのです。
        最初からその理論の正しさを証明する必要などなかったのにです。
        貴方の敗因は、自らの人間性に於いて理論を道具として使い、それを証明しようとしたことにあります。
        全てが思い通りに行くその思い通りがすでに間違っていたのであれば、それはワタシから見れば実力不足にしか思えないのです。
        貴方は最初から思い違いをしていた、読み違いをしていたのですよ。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 03:42:50

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 03:47:44

      • いえ、それはきっと今回だけに限らないと思います。
        貴方は最初からそういう間違った考えを以って、大きな流れに挑もうとしていた。
        自らの存在を楔として、理論によって抗おうと思ってしまった。
        その目的自体が行動と破綻をしていたからこそ、貴方の人生はこうやって志半ばで失われてしまったのです。
        ただ一つ貴方に言えることがあるとするならば、
        世界はきっと貴方が思う程綺麗でもなければ、貴方が思う程汚れているわけでもなく、
        貴方が思う程隣人は賢くなければ、貴方が思うほど愚かでもないということだと思います。
        やはり、死人に鞭を打つような言葉になってしまいますが、貴方の読みは徹頭徹尾、一から十まで全て外れていたのだと思うのです。
        貴方ほどに人は綺麗な物に執着をすることも、汚い物を許容することも出来ず、
        綺麗ではない物に拒絶感を抱かず、汚くない物に偽善を感じることもないのだと思います。
        これは残酷な事実ですが、きっとそれを貴方も心のどこかで分かっていたのではないでしょうか。
        ……それでも、それに抗う為に筆を取っていたのだとしたら、貴方はやっぱりワタシから見れば最初から間違っていたのです。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 03:47:55

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 03:48:36

      • 貴方が、貴方の人生で得てきた教訓や理論、思惑や技法は、貴方が思うように誰かに伝わることはないと思います。
        これは、貴方自身が100%それを表に出したところで、貴方に興味のある人間が全体から見ればほんの微小な割合でしか存在しないからです。
        例えばこの場に百人の人間が居て、貴方が声を大にして叫んだところで、振り返るのは一人だけだったとします。
        その一人が、貴方の言葉に耳を傾けてくれることなど稀であるのです。
        何故ならその一人もまた、自分の周囲の百人に向けて声を掛けなければならないからです。
        そして運良くその一人が貴方の言葉を聞いてくれたとしても、
        その言葉の本当の意味を悟ってくれるかもまた未知数です。
        貴方という人間性に対するバイアスや、発言の時期といった不純な情報がその理論の到達を妨げることになります。
        また、その誰かがその理論を他の誰かに伝えようとしてくれる確率は更に小さくなるでしょう。
        他人の理論に影響をされるような人間が更に啓蒙をしてくれるとは考えにくいからです。
        今は百人の人間に声を掛けることを想定して話をしてみました。
        ですが、死体の貴方はこう思うかもしれません。
        それを千人にしたら、一万人にしたら。
        もっと自分の声に耳を貸してくれる人間がいるに違いないと。
        ですが、貴方の声を例え何万人何億人に届けようとしたところで、きっとその中で耳を貸してくれるのはほんの数人。
        それも、きっと本来なら不純であるところの人間性に興味を持った人間だけではないかと思います。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 03:55:32

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 03:55:44

      • 貴方の顔を知り、貴方のことを知っている人間はその声を無視しない優しさを持っているかもしれません。
        ですが、その誰かはきっと貴方の理論にはそれほど興味が無いのです。
        生き方には、方法には興味がないのです。紡いだ物語には興味がないのです。
        そんな数人に取り巻かれ、視線を感じることが、恐らく貴方という人間の限界なのだと思います。
        どんなに優れた通る声を出していても、万人に好かれる声や意見というのは存在し得ないからです。
        貴方はその中で一番誰かを振り向かせることにずっと拘ってきました。
        それがどれだけ無意味なことかを知っていながら、いや、知らずにいたかもしれませんが、
        そういう価値基準の中でしか息を吐き、吸うことが出来なかったからです。
        それはきっと、貴方の理論に対して最初に生まれた矛盾ではないでしょうか。
        ワタシはそれも見てきましたし、それを外側から眺めていました。
        ですが、声をかけることはしませんでした。きっと、どんな声を掛けたところで貴方はここという終端にたどり着くだろうなと思っていたからです。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 04:03:48

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 04:04:41

      • 結果として、予測され、予想された通りの面白みのない結末に辿り着いたなというのがワタシの感想です。
        ここでこうやって死体になって、物言わぬ塊と化した貴方を見ても、驚きは微塵も感じられませんでした。
        きっと、貴方は無自覚な自覚によって必ずここに辿り着くように出来ていたのだと思います。
        個人としては貴方のお話はそれほど嫌いではなかったので、少し残念ではありますが、
        ですがワタシは終末にしか興味がありませんので、また貴方に似た話を作る誰かが、
        或いは貴方よりもそれを上手くつくり上げる誰かが現れてくれるのを待つでしょう。
        もしかしたら出てこないかもしれません、それは終末まで分かりませんが、分かった時には全てが終わっていますからね。
        ――問いは投げません。老人窟の住人。
        欠落した一つの席はやがて、別の理論の権化が埋めることでしょう。
        貴方が死んでも何も変わりませんし、多分何も変わらないことが老人窟という場所なのだと思いますから。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 04:08:33

      • 死体は喋らない。 -- 2014-11-13 (木) 04:08:46

      • 貴方以外の人間の終末にも、きっとワタシはこうやって現れると思います。
        そして一方的に言葉を投げ、その不勉強や不努力を嘆くと思います。
        ですが、それ以外にワタシはワタシが創作をする術を知らないのです。
        許してください。そして、出来れば死後の貴方に安らかなる安寧があることを願っています。
        では、失礼します。
        ――いい創作を。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 04:10:29
      • そちらこそ――いい創作を。 -- 2014-11-13 (木) 04:11:32

      • ……ありがとうございます。
        失礼します。
        -- ナナシ 2014-11-13 (木) 04:12:08
  • ――話がしたいな。 -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 19:44:21

    • いいよん。別に。
      あたしも丁度暇してたしさ。リリちゃんが老人窟に居るの珍しいなって気になってたし。
      -- エリオス 2014-11-11 (火) 19:45:20

      • 少女の返答に、女は肩を竦めた。 -- 2014-11-11 (火) 19:45:41

      • 単純に退屈だからだよ。この老人窟という場所が。
        基本的に干渉をしなければ不干渉であるからね、ここの住人は。
        それにしても余りにも何も起こらないからまた出かけようと思っていた矢先にキミを見かけてね。
        私の退屈を埋めるのに付き合って貰って悪いね、『言語学徒』さん。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 19:48:31
      • あっはっは! そりゃリリちゃんが悪いよ。
        同性愛者が異性に囲まれても何も楽しくないのと同じで、本に対して興味が無いリリちゃんがこんな場所に居て楽しいわけないじゃん。
        それもあたし達書いたり読んだりする人の当て付けだろうなっって思うから馬鹿とは言わないであげるけど、
        もしそれに気づかずに自分の興味のない集団に身を置いて退屈だって言ってるならただの馬鹿だよね!
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 19:50:48
      • 結局言ってるじゃないか。馬鹿とは失礼な、乙女心が傷つくじゃないか。
        それに一つだけ訂正をするなら、わたしは書物に興味が無いんじゃなくて、
        わたしの興味を引く書物に出会えていないだけだよ。
        何も書物を完全に否定しているわけではないからそこは慎重に語って欲しいところだね。
        でないと、それは一見皇前くんの信条と似たような物だと思われてしまう。
        あれの同類だと思われるのは少しばかり困る。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 19:56:04
      • 本を開いてもみないで理想の本に出会えないなんて、否定より性質悪いと思うけどな、あたし。
        たまたま一回だけ買った宝くじで大金を当てたいみたいな感じに聞こえるし、
        最初に出会えた自分をたまたま好きになった男が理想の相手だって思うような愚かさを感じるよ。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 19:57:47
      • 精神の基本構造は乙女なんだよ、わたしは。こんな格好をしているがね。
        さて、退屈だ。楽しませて欲しい。
        古来よりたくさんの魔女がこの退屈というものに殺されて来たらしいが、
        わたしもまた魔法使いの一人としてこの毒に体を蝕まれている。
        哀れに思うのであれば須臾の隙間を埋める手伝いをして欲しい。
        ……わたしの信条に触れてくれたが、キミは確か『要素』が信条であったね。
        寡聞にしてキミの信条について耳にするのは初めてであるゆえ、説明してもらえると嬉しいね。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 20:01:17

      • 女が足を組み替えると、少女は小さく笑う。 -- 2014-11-11 (火) 20:01:42

      • 説明も何も、そのままだよ?
        これはね、書物に限らないことなんだけど、あたしは単に物事の全体像にあんまり興味はないんだ。
        全ての書物が一冊の枠組みの中で一貫性を以って書かれていることに何にも興味を持てないの。
        それよりはむしろ、部分部分で素晴らしい表現を使ってくれたり、ワクワクさせて楽しませてくれるそんな書物の方が好きなんだ。
        だって、本って楽しむためにあるものでしょ? 一時でもワクワクさせてくれるって凄いことだよね。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 20:03:58
      • 成る程。それで要素と言うわけか。
        物語の大枠には興味がなく、その中の一つの要素のみを追求するとそういう形になるわけだね。
        ああ、その点についてはわたしも同意しておくよ。
        本というのは一時的に没入させるためのものであり、その際に得られる高揚感というものは素晴らしいものだと聞いている。
        わたしは書物を読まないが、まだ見ぬ書物がどれだけ自分を楽しませてくれるか、ワクワクさせてくれるか、高揚させてくれるか、
        それを想像するだけでこの世界に書物が生まれてきてくれたことに感謝してもいいくらいだ。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 20:06:30
      • ぶー。出来ればそれは本をしっかり読んでくれる人に言って欲しい台詞ー。
        でもまあ、見たことのない本を楽しみにするその気持ちはあたしも分かるよ?
        本の冒頭で、ぐっと引き込んでくれるような要素があればただそれだけで本を買って良かったなって思うもん。
        逆に言えばそこでその本に寄せていた期待分をペイしてくれたなら、あたしはそこから先を読まなくても十分満足しちゃえるもん。
        だから、そういう部分部分で魅せるべきところで魅せてくれるなあ、後は蛇足みたいなものでも構わないかなって思うの。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 20:08:49
      • それはまた、珍妙な読み方だね。初めて耳にする。
        期待をさせられ、生じた高揚を回収する必要はないのかい?
        例えば未知の展開があったとして、それがその先どう転ぶかをワクワクしたら、その高揚に相応しい結末が欲しいとは思わないのかな。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 20:10:17
      • 別にー?
        だってワクワクさせてくれたんだから、いいんじゃないって思っちゃうよ。
        それに、あたしも本は飽きる程、溢れる程読んじゃってるから、大体本を類型化することも出来ちゃってるし。あ、なんかコルディアくんみたいだね。
        そういう類型化された本を見ると大体どこかで見たような描写や展開だったりするんだよね。
        ジャンル、っていうラベルが貼られることがその証拠だと思うんだけど、ある程度お約束ってあるわけじゃない?
        いつだって独創性と大衆性は相性が悪いし、奇抜さと安定感は水と油だもん。
        だから、そういうどこかで見たような物語よりは、その人が一生懸命考えた斬新な展開を見せてくれたら、あたしは別にそれでいいんだよね。
        本当に一握りの人間はそこに解答を差し出すことが出来るんだけど、それってもう多分特殊な能力だと思うんだ。
        無から有を生み出すみたいなね?
        あたしはエンプレスちゃんほど寛容じゃないけど、そこまでは要求しないっていう読み手だってことかな。
        多分あたし自身も本を書くからそういう評価になってるんだろうけど。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 20:15:58
      • キミにとって書物や書き物というのは一過性の娯楽でしかないわけだ。
        その辺りは『アナザーワン』の彼と似ているね。
        ただ、わたしは書物を読まないが、例えば探偵物であれば犯人が捕まるシーンが欲しいと思うし、
        復讐物であれば復讐を遂げるか諦めるシーンが欲しいと思ってしまう。
        人を殺した者にはそれ相応の罰や苦しみがあって欲しいと思うし、
        何の葛藤も無く現状を打開してしまうような作品には何のカタルシスも感じられないと思うのだが、どうだろう。
        枕詞には対応する単語があって初めて成立するものだと思うが、その辺はどう思うのかな。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 20:20:32
      • それはね、考え方として逆なんじゃないかなって思うよ。
        探偵物であれば犯人が捕まるシーンが欲しいっていうのは、その方が話として収まりがいい場合が多いからだと思う。
        逆に考えれば話として収まりが良ければ探偵物で犯人が捕まるシーンがなくてもいいってことになるでしょ?
        それに、そういうお約束を外してきた作品がそうやって話の収まりまで気にして作られてたって方が驚かせてくれるし、価値高いと思うんだよね。
        だから、あたしにとっては枕詞に対してのそういう単語的な『シナリオの整合性』みたいなものは、部分部分を楽しんだ後に後付でつけられるものであって、
        最初からそれを目的にして部分部分の刃やトゲを落とした毒にも薬にもならないものは、あんまり楽しめないってだけかな。
        もちろん話として纏まっててくれればそれに越したことはないけどね。
        でも、そのために部分の楽しめる要素を削ぎ落とすようなことして欲しくないかなって。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 20:24:15
      • やはり少しばかり異質ではあると思う。
        大体の人間は期待をさせられたらその期待に応じた返答を求めるものだ。
        敷いた伏線は回収されるべきであるし、意味のない単語を挟まない話が無駄のない話だと評価される物じゃないのかな。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 20:25:29

      • 女の言葉に、少女は微笑んだ。 -- 2014-11-11 (火) 20:26:02

      • 本読まないのに詳しいね、リリちゃん。
        でもね、リリちゃん本読まないから知らないだろうけど、過去に名作と呼ばれたお話って、大体が無駄とか矛盾ばっかりなんだよ?
        だって人が作ったものだもんね、全てが全て完璧なわけはないんだ。
        後から有識者によって矛盾が発見されたりしてるし、必要のない単語や設定が挟まれていたりする。
        本来は読み手に委ねなければならないはずの情報を作者の方で勝手に設定していたりもするし、
        あたしみたいなニワカな人間が読んですらおかしいなって思う部分がある本がバンバン売れてたりするんだ。
        それってなんでかって言ったら、そういう細かな矛盾を差し置いてもそのお話に『面白い』って思える部分があるからだと思う。
        ワクワクさせてくれるからだと思う。一時の退屈を埋めてくれるからだと思う。
        だからそういう細かい矛盾とか気にせずにどんどんワクワクさせて欲しいかなって思うんだけど、おかしいかな?
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 20:30:24
      • ……成る程。誰かが言い合っていたのを聞いたことがあるな。
        大衆に広く受け入れられる書物を是とするか、書物としての完成度を是とするかという話か、これは。
        成る程、書物の価値が前者で決まるとするならば、それもまた否定はできない。
        キミの中での書物の価値観が一時でもそういう高揚感を齎してくれる物である以上、書物の完成度は二番目三番目に重要な要素となるわけか。
        ありがとう、『要素』という信条がどういう物を指しているか分かったよ。
        ……しかし、その考え方でいけば、キミにとって人生そのものには余り重要な意味を持たないものになってしまうな。
        いや、失礼、単語の強度に少しだけ笑いが出てしまった。キミの生き方を笑ったわけじゃないから安心してほしい。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 20:34:27
      • んーん。別に正解だと思うよ、それ。
        何もあたしの信条って本に対しての物だけじゃないって言ったしね。
        言葉にしてしまうと強いというより軽いんだけど、その時その時を楽しめないのに終わりのことを考えるってなんかなーって思うしね。
        もちろんそういうことを考えてる人を否定するわけじゃないんだけど、明日にでも死んじゃうかもしれないのに何十年も先のこと考えるって凄いなって思う。
        本にしても、今読まれて今楽しく、今面白いと思われる物って流行や世相を反映してると思うんだよね。
        何年経っても面白い名作っていうのはあるけど、それにしたって五十年かそこらの話だし、
        今黄金歴以前の書物を読んで、あ、これ面白いなって思うことは出来ないと思うんだ。
        それに、場所だってそうだよ、その場所にちなんだジョークとか、分かりやすいところでいくと宗教観とかがベースになかったら笑えなかったりする本とかあるなじゃない?
        そういう、ある意味で書物や文、ユニークさやバラエティ感がドメスティックな側面を持っている限り、この問題ってどこに行っても付きまとってくる問題だと思うよ。
        だから、今、この場で、自分が面白いと思った本が最高の本だっていうのって、そんなにオカシーのかな?
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 20:39:09
      • それはあるかもしれないね。
        例えばジョークにしたってそうだ。
        冗談というのは程度の差こそあれ『不謹慎であること』が必要条件になる。
        境遇が違う全ての人間に対してそれが最高のジョークになるなんてことはない。
        これは他者に対してのジョークであっても、自虐であってもそうであるわけだからね。
        昔彼女のいない男の後輩に対して、わたしも童貞だから安心しろとジョークを飛ばしたところ、3日ほど口を聞いてくれなくなったことを覚えている。
        本人にとってその境遇が笑えるものでなければないほど、ジョークというのはただの雑言になり下がる。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 20:44:06
      • それってさ。さっき言ってた伏線の話も似たような物だと思ってるんだよね。
        伏線があってそれが納得できる回収をされることが良い物語の前提条件みたいにリリちゃん言うけどさ、
        その伏線が回収されて皆が皆それで納得するかって言ったらそうじゃないと思うんだよ。
        探偵物の殺人犯だってそうだよね、もしかしたら殺されたキャラクターが本当に生理的にダメで、
        殺してくれたことに感謝しながら読み進めた人にとっては、その犯人が法で裁かれるところなんて蛇足でしかないよ。
        人間の欲求は千差万別だし、その価値観が様々である以上、それぞれがそれぞれで自分に合った楽しみ方が出来るような本が優れた本だと思ってるよ。
        それに、何も本ってその一冊だけが本っていうわけじゃないしさ、自分が楽しいと思える『要素』が見つからなかったら別の本を読み始めればいいんだし。
        全体が楽しむっていうことと個人が楽しむっていうことは、いつだって折り合いが悪いものだしね。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 20:48:41
      • ……一理はあるし、筋は通ってると思う。
        ただ、それでも、それを至上の価値観とするには違和感が拭い切れないな。
        要素、または個人の一時の幸せを至上とする、その価値観は他人に迷惑をかけずに一切の罪がないように見えるが、
        大前提が抜けているな。
        いや、違うか、意図的にキミが触れなかった部分になるのかな。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 20:55:46

      • 女は、薄く笑う。 -- 2014-11-11 (火) 20:55:58

      • それは、相互の幸福がトレードオフではないという前提があっての話だ。
        キミの理論を以って万人がその価値観で創作を眺め、人生を謳歌すれば、干渉や軋轢に苛まれることになる。
        最大多数の最大幸福を求めろ言うつもりはないが、それは人と人との間で生きていく者が掲げていい価値観ではない、わたしはそう思うんだがどうかな。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 20:57:51
      • どうして?
        お互いがお互いの良さを否定しあわないこのあり方で、
        他人の幸福と干渉しあうことってないと思うけど。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 20:59:13
      • それが恣意的な想定であることを自覚して言っているのであれば、こちらもまた恣意的な想定を引っ張りだしてくることにしよう。
        例えば、相互の幸福がどうしても譲れない状態にあり、読める書物が限られている場合、その主張は対立を避けることは出来ないと思うがどうかな。
        これを書物と想定してしまえばそれこそキミの言うとおりにいくらでも替えが聞く星の数に似た書物が存在するが、人生であったらどうだろう。
        一時の楽しさを同時に求めた者が二人居て、その幸福が互いにトレードオフの関係にあった時、争いが生じるとは思わないかな。
        いや、これは書物にしても変わりはないか。
        本は山ほど星の数ほどあるかもしれないが、大体の人間は寿命が限られていて、手に取る書物の数にも限りがある。
        そんな状況下で自己の価値観と99%合致する書物が見つかったとして、残りの1%で対立が起こった二人がいたときはどうなるかな。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 21:03:19
      • 相手の案を否定しなければいいんじゃないの。
        それか、それまで99%楽しませてもらったなら、残りの1%に期待を持つ方がおこがましいかなって思うよ。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 21:04:27
      • では言い換えよう。
        今は書物という単位であったけれど、これが一節であった場合どうかな。
        一節の中の最後の一表現が気に入った人と、別の物に変えた方がいいと思う人がいるとする。
        その二人がかち合ったときに、そこに争いは起きないかい?
        キミの論理でいけばその一節の最後の一表現までは楽しませてもらったんだから、最後くらい多めに見ればいいって言うのかな。
        では、それが一文であった場合は?
        一単語であった場合は?
        ……一文字であった場合は?
        ――問おう。老人窟の住人。
        そうやって要素を分解して最小単位まで突き詰めたとき、絶対に譲れない一文字で出会ってしまった二人は、果たしてそれを譲ることは出来るのかな。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 21:07:41
      • ――答えよう。老人窟の住人。
        余りにも想定が恣意的すぎるからだけど、その想定で言えば最小単位で争いは起きると思うよ。
        でも、それって残りの99.99999……%の人が楽しめてる前提があるから、それくらいはやっぱり多めに見てよって思っちゃうかな。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 21:09:11
      • キミは、というか……これは大多数の人間がそうなんだけれど、忠告をしておくよ。
        その99.99999……%の裏側に存在している小数点の遥か先に居る0001%の誰かが、絶対に自分でないと言い切るのは危険じゃないかなって思うよ。
        最小単位の要素に分解して個人個人の幸福を追い求めるというあり方は、一見一つの完成形に思える。
        その時が楽しければそれでいいという考えも、大きく間違っている解答ではないとわたし個人も思っている。
        でも、その価値観が普遍的であるという想定だけは絶対にしてはいけないものだと思うよ。
        前提条件として、キミが幸福であることが他者の不幸であるという想定がされていないからね。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 21:11:58

      • 女の言葉に少女は苦笑いをこぼす。 -- 2014-11-11 (火) 21:12:16

      • それは余りにも性格が悪すぎるんじゃないかな?
        リリちゃんも、その他人の幸福が不幸であるって人も。
        それって、他者を介入したり物事に対しての感想じゃなくて、
        ただあたしが幸せなのが不幸っていう人間を指すんだよね?
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 21:13:19
      • 大学時代に良く言われたから自覚もあるね。
        ただ、こちらの考えが非普遍的であるともわたしは思えない。
        だってそうだろう、キミの想定には自分がいいと思う、好きだと思うものしか出てこない。
        要素として分解したときに好きだと思える部分しか出てこなかった。
        でも、人間は好き嫌いをする生き物だ。
        好きな要素があれば嫌いな要素もある。
        好きな人間が居れば嫌いな人間も居るだろう?
        その好きな要素と嫌いな要素が合致してしまって鉢合わせれば、そこには好きを持参した人間同士の争いよりも醜いものが展開されるよ。
        特に話と話が共存を求められているときに起これば最悪の泥仕合になるだろうね。
        個人が好きと思う物を尊重するのであれば、個人が嫌いだと思う物も尊重すべきではないかな。
        キミのことが大嫌いな人間が、キミが幸せそうにしているだけで不幸だと思う想定くらいは、しておくべきだと思う。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 21:17:08
      • そんなこと。普通創作の世界では表立って言う人はいないし、それは建設的な関係じゃないよ。
        そういう個人まで想定してたら、あたしが想定している状況よりも全体の最大幸福っていうのは遠いものになるんじゃないの?
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 21:18:15
      • そうだね。表立って言わないのは、この説が余りにも無差別であり、
        それぞれがそれぞれの胸にそれぞれの形で突き刺さるからだし、
        何よりそんなことは誰でも分かっていて言わないで居ることだからだと思う。
        でも生憎、わたしは本を書いたりしないし、今のところ読むに足る物にも出会えていない『部外者』であるから堂々と言うことにするよ。
        この世界にある全ての物事は完全なる対比構造を取っている。
        明るくなる場所があれば必ずそれと対比して暗い場所というのは出てくるものなんだよ。
        これは、数値として絶対値が存在する限りどんなジャンルであろうが、どんな分野であろうが出てくる。
        逆に言えばそれを操ることによって人は物語を紡いだりすることが出来るんだろうけどね。
        優れた者の陰には劣った者が居るし、愛される者の側には愛されない者が居る。
        好きな物の側にはそれより嫌いな物があるし、幸せな誰かの側にはそれにより不幸になる者が必ず存在している。
        そういう相互の関係を無視して、ミクロ的に幸福を捉えてマクロ的な視点を放棄することは、それほど賢いこととは思えない。
        自分が良ければそれでいいという意見に反駁心が芽生えるのは、その他者がいいと思うことが自己を侵害する可能性があるからだ。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 21:23:47

      • 女は言葉を続ける。 -- 2014-11-11 (火) 21:24:01

      • 集団の中に居る自己を見つめなければ、全体の中にある個別を意識しなければ、それはただの理論でしかない。
        それは単純に生き方の標本であって温度のある意見ではないと思うよ。
        キミの大きな幸せのために小さな幸せでも構わないなんて殊勝な人間はこの世にはいないし、
        理由なく優れている者の側で理由を付けて優れていない様を演じる者は酷く滑稽に見えるんだ。
        永遠の命を理由なく持つ人間の側で命の大切さを説くことは酷く陳腐に聞こえるし、
        他者との障壁を容易に超えてくる存在の横で他者との障壁を描くことは酷く場違いだ。
        何の苦悩も葛藤もなく解決される物語の横で難解な問題に立ち向かう人間は大きく迂回しているように見えるし、
        何の代償もなく叶う願いがある横で叶わなかった願いに嘆くことは酷く馬鹿らしいじゃないか。
        人がそうやって相互の関係の中にある以上、個人の幸福を至上の物として振る舞うことは、それが出来ない者の苦悩にしかなり得ないんだよ。
        完全に無軌道であるという軌道が誰かの道と交わってしまえば、きっとそれは他者の進む道の大きな妨げになる。
        それも意識せずにただ自分の幸福だけを求めようとするその様には、少しばかりわたしは灸をすえたくなるのさ。
        ……大体が、退屈しているからね。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 21:30:09
      • ……でも、それも極端な意見だし、何より全体を意識して行動を起こせば、それこそ個人の幸福を阻害するんじゃないのかな?
        誰かの幸せのために自分の幸せを棚に上げるような人間が居ないというリリちゃんの語った理論をそのまま転用して、
        そういう全体の利益のために個人の利益を損なう理由が見つからないよ。
        自分が楽しいことを追い求めるっていうのはある程度そういう側面があるっていうこと、
        あたしは声を大にしては言わないけどあるっていうことは知ってるから。
        でも、それを気にして一歩も踏み出せず、整合性ばかりを考えて行動するって絶対に誰にも無理だと思う。
        切り捨てないといけない意見がある以上、最大多数の最大幸福は必ずそういう苦悩とともにあるんじゃないかな。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 21:33:50
      • そうさ。間違っていないよ。
        そこに存在するのは扁平化した幸福か、絶対値として高い幸福かという違いでしかない。
        わたしはどちらかというと扁平化した幸福の方が好きだというだけだよ。
        見ての通り争い事は余り好きじゃないからね。
        ただ、こちらとしては他人の幸福を考慮の中に入れて出来るだけ苦しむ道を選んでいる人間と、
        キミのように自己の幸福のために他者の幸福を阻害することを意識していない人間を見るとね。
        後者の方を、死なない程度に首を締めてやりたいなって思うのさ。
        それは、平等じゃないだろう? 退屈で性格の悪いわたしの、ちょっとした暇つぶしだよ。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 21:36:44
      • ……リリちゃん、もしかしてあたしのこと嫌いなの?
        どっちを選んでも問題ない上、きっと誰もがリリちゃんが支持するような考えを以って行動したら、
        きっとそれってあたしが期待するワクワクするような話や、ドキドキするような話を誰も書けない世界になっちゃうよ。
        他人に気ばっかり使ってたら、きっと疲れて死んじゃうんじゃないかな。
        ……言いたくなかったけど、程度の問題だとも思うし。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 21:38:51
      • わたしには、好きだと思える人間が居ないだけだよ。それもまた未知なのさ。
        だからこそ、嫌いで構成されている人間の存在を、キミの世界に提案しているだけだとも言える。
        程度の問題と言われてしまえばそうだね。
        現実はそれこそモデルケース通りに進むわけじゃない。
        どちらも極端な意見であるがゆえに、きっと一番生きやすいのはその中間の丁度良い考え方だとも思う。
        あえて生きづらい生き方を選ぶような人間は、きっと自己愛の塊か、重度の被虐趣味者だね。
        女性に指を折られて悦ぶような手合だ。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 21:41:45
      • 気持ち悪い。最初から結局平行線だったね。
        でも、あたしはリリちゃんの中にも好きな要素あるよ?
        次から、きっと多分そこばっかりと仲良くしていくと思う。
        じゃ、その時まで、少しの退屈を埋められるような――いい創作を、ね。
        -- エリオス 2014-11-11 (火) 21:42:59
      • そうだね、キミの未知なる部分が少し見えて、退屈は紛れたよ。
        では、次また退屈で死んでいなければここで会おうか。
        基本的にわたしは約束を違えないから、キミが会いたいと思っていてくれる限りまた会えるだろう。
        では、その時まで、キミの幸福が他人の幸福を阻害しないような――いい創作を、だ。
        -- リリシアーナ 2014-11-11 (火) 21:44:35
  • ――話をしよう。 -- アンリ 2014-11-10 (月) 23:44:05

    • 後ろから掛けられた男の声に、男は振り返る。 -- 2014-11-10 (月) 23:44:56

      • ―――。
        ……ああ、成る程。
        それは、流石に驚いた。
        そういう奴が『居る』っていうのは聞いてたけどさ……この老人窟でまさか『自分に』話しかけられるとは思ってなかったよ。
        -- アンリ 2014-11-10 (月) 23:46:25

      • それはまあ、お互い様だよね。
        俺だって『自分に』話しかける日が来るとは思ってなかった。
        自分と全く同じ外見のやつが目の前に立ってるって妙な気分になるな。
        見たくもない自分の傷口を無理やり見せられてるみたいな気分になるよ。
        -- アンリ 2014-11-10 (月) 23:48:04

      • 目の前に立つ男と全く同じ外見をした男は苦笑して肩を竦める。 -- 2014-11-10 (月) 23:48:33

      • まあ、俺が老人窟に居る限り、誰に持ちかけられた話でも乗るって決めてるからさ。
        自分を相手にしても丁重にオモテナシしてやるよ。いい機会だし、いい申し出だよ。
        俺はさ、ずっと俺と話してみたいなって思ってたんだ。『蒐集癖』。
        エトランゼル=メイガスってちゃんと呼んだ方が好みかな?
        -- アンリ 2014-11-10 (月) 23:51:54

      • 男は、現れた自分と同じ姿をした男に、缶コーヒーを手渡す。 -- 2014-11-10 (月) 23:52:24

      • 漸く出会えたもう一人の自分に対して、最大のオモテナシが缶コーヒーかよ。
        まあそうだな、俺も多分もう一人の自分に会って持て成せって言われたらそうするしな。
        ああ、そうだな、居たなそんな奴。他人の価値観を書物から集める変態だっけ。
        ってことはだ、俺の著作も読んでくれたってことでいいのかな。そりゃ素直に嬉しいよ。
        んで、この再現性って中々他人を見る目がある優秀な読み手ではあるよね。
        ただ作者にまで会いに来る変態性は評価しがたいけどさ。
        -- アンリ 2014-11-10 (月) 23:54:53

      • 男のためにコーヒー淹れる方が気持ち悪いだろ。
        自分が相手なら尚更だよ。どんなナルチシズムだよ。作品で昇華しろよそんなん。
        いやあ……俺ってこんな顔してたんだなあ、鏡とかあんまり見ないから知らなかったよ。
        まあ座れよ、って言われなくても、きっと俺なら我が物顔で座るだろうけどさ。
        -- アンリ 2014-11-10 (月) 23:57:05

      • ただ、これ無糖とは解ってるじゃん俺。俺だから当たり前だけどさ。
        砂糖みたいな贅沢品を摂ってたら、人生に満足しちゃって何にもアイディアとか出てこないもんな。
        でさ。
        俺は、ずっと俺に出会えたらしようと思ってたことがあるんだよ。
        きっとアンタも俺であるなら解ってるんだろうけどさ。
        そんな幸運が訪れたら、絶対にしようと思ってたこと、していいかな。
        いや、まあアンタも俺だから聞くまでもないし、きっと俺と同じ目的を以って俺の前に座ったんだと思うからさ。
        ――論破していいよな。自分を。
        -- アンリ 2014-11-10 (月) 23:59:51

      • ああ、いいよ、俺。
        俺も似たようなこと考えてたし、飲む予定もない缶コーヒー買いに行くくらいは暇してたからな。
        自分を論破出来る機会なんて滅多にないから退屈しのぎくらいにはなることを心の何処かで期待してるし。
        エトランゼル、俺をどこまで再現出来たか確かめてやるよ。
        そして許可なんて与えられるわけはないだろ。
        俺は、いつも引き金を引くときは撃たれる覚悟を以って臨んできた。
        安全圏から汚れないように引き金を引いて、他人がその銃弾でどんな反応を返すか見てるような腰抜けとは違う。
        実弾で、己の銃で、ただそれだけを携えて歩いてきたんだ。
        今更、自分と同じ姿の存在が現れたからって、命乞いをすると思うか?
        来いよ。芸の肥やしにして、笑い話に仕立ててやるから。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 00:03:25

      • 成る程。ホットでしか売ってないコーヒーが冷めてるわけだ。
        俺と同じ存在の癖に冷えたコーヒーの方が好きなのかと思って笑いこらえるのに必死だったよ。
        んじゃ、早速突き刺させて貰うけど、なんでこんなクソみたいな場所でクソみたいな連中とつるんでるんだ?
        確たる理念と確かな美学を持ってるはずの俺が、クソみたいな場所で他人と居る理由って何だ?
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 00:08:02

      • まさか俺が訪ねて来るとは思ってなかったからな。
        知ってたら俺の大好きな飲み物の一つでも用意してたさ。或いは大嫌いな飲み物かのどっちかだな。
        ……面白いなこれ。メタ構造的に。
        アンタが俺と同一の思考と理論を以って臨んでるなら、その問いに自答出来るかどうかは明らかなはずなのに、
        それを知っていてなお自問するっていうのはどういう心境でのことになるんだろうな。
        俺は深層心理下では自己を糾弾する立場に居たいのか自己への糾弾を跳ね除ける立場に居たいのか考えれば考える程面白いテーマだ。
        まあ大方いつもどおりある立場から別の立場に向けて問いを投げる切り分けの客観視みたいな視点だろうからあえて回答者としてこのバカバカしい問いに答えるとするなら、
        この老人窟にはクソみたいに共感できないが確固である極端な価値観を持ってる人間が居るからじゃないかな。
        どいつもこいつもクソであるという事実は否定しないが、少なくとも俺に付和雷同するような最低のクソよりはまだ価値のあるクソだしな。
        そういう自分に取って都合の悪い人間の集まる場所に自分の身を置くことは少なくとも自分の孤独を感じられていいと思ってる。
        俺は心の何処かで、本当の創作っていうものは孤独で、他者の存在の介入が許されない物であると思っているだろうからな。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 00:15:56

      • まあ、じゃあそんなノリ気じゃない気持ちで買ってきた飲み物は、退屈したら飲むことにするよ。
        俺は俺を退屈させないと信じてるから、或いはせっかくの俺からのプレゼントだけど飲めないかもしれないな。
        ああ、俺の言うことだから理解できるが、集団の中に居るときに感じる孤独の方が、より己という個を浮き彫りにするからか。
        本質的に顔のある他人を必要としてない俺の言いそうなことだな。
        つまりは連中は価値観の体現であって個として、アンリ=アルジェントとして集団の中に属しているわけじゃないと。
        自分と違う価値観を持った、自分にとって都合の悪い人間を周囲に置くことによって集団の中で主観だけが浮き彫りになるようにしているってわけだな。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 00:20:14

      • その場合は置いていってくれ。
        アンタが好まない物は俺も好まないだろうが、それでも自分で生み出した物のツケくらいは払うし、責任を取れと言われれば取ろうと思う。
        うっわ、俺ってムカつくんだな。知ったような口利きやがって。
        何がムカつくって付け足す必要がないくらい完璧に理解されてるのが最高に腹立つわ。何なんだお前。他人に問い投げておいて。
        まあ、俺だからだろうけど。わかりやすく単純化して説明すればそんな感じだ。
        何か、言いたいことはあるかな、俺。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 00:29:59

      • あるさ。手の中の温いコーヒーへの文句以上のことを、今思いついた。
        突くべき穴であるなとは思うんだが、なんせ自分が相手だからきっとこれは罠だろうなと思うとゾクゾクしてる。
        ああ、自分の話法が相手に齎す緊張感ってこういうものなんだなと思うと、貴重な体験させてもらってると思うよ。
        その論理はさ、自己矛盾してるよな。
        都合の悪い他者を求めてるっていうことは、言い換えれば都合のいい『都合の悪い他者』を求めてるってことになる。
        それは元々の命題である自分が他人を欲しているかという問いに対しての否の答えにはならないだろう?
        結局はアンタは、そして俺は他人の存在を求めてるっていう下らない結論が導き出されるんだけど、どうだい?
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 00:34:10

      • 自分の買ったもんに対して自分から文句を言われるとは思わなかったわ。これも俺流に言えば基調な体験か?クソが。
        それはまあ自己言及のパラドックスだし、ある程度は程度の問題も存在するさ。
        他者という存在が数値でない限り、他者の論理がロジックでない限りそれは完璧に俺にとって都合の悪い存在ではないし、
        心の何処かでそういう都合の良さを求めている部分も否定はしない。
        ただ、完全に極端な理想を追い求めてロジックやロジカルな世界に足を踏み入れることが出来ない程度には俺だって有機物だし、
        論理の化物でもないっていうだけの話だ。
        何よりそういう理想にばかり目を向けて今与えられている環境や状況を見下すような真似はしたくない。
        俺に取っての最善や最良は、何処か遥か高みにあるものじゃなくて、その状況や枠の中で己の側に常に寄り添ってるものだからな。
        こんな感じでの反論はどうだよ。俺が俺にする言い訳だったら、これくらい曖昧な物でも問題ないだろ。
        それとも、俺から見れば俺はもっとロジカルな物であって欲しかったか?
        それこそ自分に無い物を自分に求める無い物ねだりだと俺は思うが、どうか。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 00:39:22

      • 当然ながら反論らしい反論は思いつかないな。しても無意味だっていうことが理解出来たっていうのもある。
        どこまで行っても行動が先にある以上高尚な理論を持ち出してきたところでただのお為ごかしだしな。
        好きでも嫌いでもないこんなコーヒーを買ってくるような俺が、まさか理論や意欲の権化であるなんて自分でも思ってないしな。
        俺はあくまでどこにでもいる平凡な存在で、特別優秀でもない、悪魔でなんか絶対にない人間で、
        その人間と同レベルの存在と、その人間にすら及ばない人間が居る、なんにも面白くない世界が俺の世界だ。
        俺だって実際の人生が波瀾万丈に満ちていて俺が想像するより面白いことの連続だとしたら、空想の世界に思いを馳せるようなこともなかったからな。
        ただ、だからこそ俺はそんな現実に俺の考えた世界の方が楽しいだろうっていう当てこすりをするために筆を取るわけで。
        ……分かってたけど、かなり退屈な話だな。
        俺が俺に投げる問いは全て俺が答えられることを前提にしか作れない。
        極端な質問には極端な回答が返ってくる、ただの鏡みたいな存在だしな。
        ……楽しいか? 異なる価値観を知るっていうのは。
        或いは、老人窟で極端な価値観に触れるっていう体験は。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 00:44:49

      • 男は、手の中でコーヒーを弄びながら、男に向かって尋ねる。 -- 2014-11-11 (火) 00:45:12

      • 退屈だよ。その手の中のコーヒーと同じだ。アンタ自身、俺自身が良く知ってるようにな。
        ただ、退屈でもやって無意味だとは思ってないさ。少なくともそう信じてはいる。
        極端な価値観に触れてそれを理解し、許容出来るようになれば、そこからここまでの価値観は全て許容出来ることになる。
        どいつもこいつも理論として突飛ではあるけど破綻だけはしてない連中だから、そこだけは少し信頼してるかな。
        俺は、俺が大嫌いな人間から何かを得るっていう行為がすこぶる好きでね。まあ本質的に俺自身がマゾっていうのもあるのかもしれないけど。
        そしてそういう極端な価値観に触れてなお、自分の価値観に揺らぎがないっていうことが、逆に自分の価値観を強固に出来る。
        俺の価値観だって生まれた時からずっと確固たるものがあったわけじゃない。
        俺の人生の中で色々な経験や体験を通じて少しずつ形にしてきた物の総体であり、
        それは結構何か強い衝撃を与えられたら揺らぎやすい物でもある。
        それが正しいのかどうかっていうのは、手に持って武器として戦ってみないとわからないし、
        蔵に眠らせておいたら容易に錆びるものだとも思ってるからな。
        実際、今面白いことを考えついたからといって明日も同じように面白いことを考えつくとは俺には到底思えないし、
        今日思いついたその面白いことが、明日の空気の中でも必ず面白いとは言い切れないからな。
        センスやユーモアは簡単に時の流れで錆び付くし、一度切った刃には脂がついて切れ味が落ちる。
        だからこそ必死に磨いて己の刃をいつ何時、誰が襲いかかってきても切れるようにしておく必要がある。
        俺はさ、こういう生き方だから結構他人に恨みを買いやすいんだよ。
        だからこそ、身一つ、誰も守ってくれないような場所に立つ必要があるとき、手元には信頼出来る武器を持っておきたいのさ。
        人より臆病だからな。ちょっと格好いいなこの台詞。俺なら分かるだろ?
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 00:52:25

      • 少なくともその伏線で冷めたコーヒーを投げて寄越したならまあいいセンスしてるな、実にハードボイルドで俺好みだ、当たり前だけどな。
        それに俺が他人より臆病だって台詞も、殺してやりたいくらい口の端が持ち上がる。
        相対的に考えて強固でありながら柔和な部分を曝け出せば普通の人間に見てもらえるかもしれないという浅ましさを感じて笑いすら出るよ。
        ただ、これも当たり前だけど理解出来る。
        少なくともそういう場面や場所に己の身一つで立たないといけなくなったときに、手に携えている物が自分の得物じゃないなんて事態、考えたくもないしな。
        己の空虚さを知るような絶望感味わうくらいなら、傷つきながら前のめりに死んだ方が幾分マシだ。
        他人の価値観に触れてその価値観がどれだけ羨ましく思えたとしても、
        その価値観に阿ってしまえば他人の価値観に乗っかることになる。
        相手の価値観に乗っかれば本当にいざというときに自分がどうしていいか分からなくなる。
        その価値観の人間であるならばどう行動するべきか、なんていうのは物語の中で表現するだけで十分だからな。
        己まで物語の登場人物とするようなメタ構造、創作の中でこそ好みな部類ではあるが、自分の人生をそれに対する伏線にするには少しばかり他人と同じように自分というものに対して愛着は持ってるしな。
        それが高尚であるとか優れているとか正しいとかではなく、そういう中からしか物事を動かし、生み出すことは出来ないと信じてるからこそ。
        いや、むしろ信じたいからこそ、そういう生き方を選んでいるんだろうし。
        ……泣き事の一つでも言ってみるか? 少しは人間らしい精神構造に見えるかもしれないぜ。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 00:59:12

      • 気持ち悪いだけだろ。
        男が訪ねてきてコーヒー淹れるのと同じくらい気持ち悪ぃと思う。
        俺はホモを書くけどホモは大嫌いだし、レズを書くけどレズは大嫌いだ。知ってるだろうけどな。
        人間を描くのは大好きだけど人間そのものは多分大嫌いだし、本質的に他者全てを憎んでいる節すらあるよ。
        ただ、だからこそ寄り添って好きなところを探したり、好きになろうと努力したりしているわけだが、まあ普通に考えて化物と仲良くなろうなんていうのは物語の中でしか成立しないものだとも思ってるよ。
        誰が好き好んで欠落している人間を愛することが出来るのかって常に思ってる。
        だからそれに対して百の理由や千の理由を携えて話として成立させるのが創作者の義務だともな。
        それにさあ、俺ってまあエンターテイナーだから、踊れって言われりゃ踊るし歌えって言われたら歌っちゃうんだよね。
        いやあ、さっきはああ言ったけど俺もしかしたら人間大好きなのかもしれんね!
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:05:26

      • どんなだよ。まあ俺らしいちゃ俺らしいな。
        はあ、クッソ退屈だわ、どんな問いを投げたところで俺の想像を絶対に上回らないっていうのはかなり退屈なもんだ。
        想像を上回ろうとして上滑りすることの次に退屈だから、そろそろ話を切り上げようと思うけど、いいか、俺。
        貴重な体験ではあったが、貴重が故にもう二度と必要ないな、こんな時間。
        俺を相手にすれば少しは面白い話が出来ると思ったんだが、中々上手くは行かないな、俺。
        ただ、コーヒーは有難く頂いて帰る。俺に感謝しながらさ。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:08:18

      • 自分に感謝っていうのも最高に気持ち悪いな。
        ま、俺が俺に与えられるもんなんてそんなもんだろ。
        だからこそ回りくどく回りくどく、自己に悦びを与えるために創作なんてものをやってるんだろうしな。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:09:47

      • 男は、立ち上がり、膝を払い、肩を竦める。 -- 2014-11-11 (火) 01:10:37

      • んでさ。
        俺、俺自身がもう一人居たら絶対にやろうと心に決めてたこと、実は二つあるんだよ。
        一つはこうやって俺と話をしてみることでさ。
        んでもう一つは、俺が俺自身に出会えたら、絶対にぶっ殺してやろうと思ってたんだ。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:12:17

      • 男は貰ったコーヒーを片手に、懐から銃を取り出して躊躇いなく引き金を引いた。 -- 2014-11-11 (火) 01:12:53

      • ―――。
        おい。
        ……マジ、か、そりゃ。
        めっちゃウケる。……いや、理解るけど。
        -- 2014-11-11 (火) 01:13:33

      • 胸に開いた三つの銃創は確実に心臓を貫いており、男の膝を折らせる。 -- 2014-11-11 (火) 01:14:08

      • だってさ。
        共存出来る理由無いだろ。
        俺と、俺だぞ。絶対に殺しあうしかないだろ。
        今日こうやって話が出来て良かったと思ってるよ。
        次からは、出会い頭に引き金が引ける。
        俺は、俺を殺す覚悟が出来た。それだけは、ありがとな。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:15:22

      • ちょっと、ちょっとだけ驚いた。いや、どこかで期待してたの、かもな。
        俺が、俺を、殺すか?
        頭おかしいんじゃねえの、エトランゼル。
        老人窟での殺傷は許されない前提を完全に無視して、普通そういうことやるか?
        はっ……だからこそ、だと思うと、笑えて、来たけどな……。
        ああ、だからこそ、か、んじゃ……そりゃ傑作だよ、俺。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:17:13

      • 男は自らの血溜まりの中に倒れ込む。 -- 2014-11-11 (火) 01:17:49

      • ……不味いコーヒーだなこれ。
        退屈を埋めるどころか、飲む時間を無駄だと感じるレベルだ。
        俺って、こういうセンスだけは絶望的にないのな。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:19:08

      • 俺の、死に際に、飲みやが、って。
        正直、アンタに殺される、より、そっちの方が、創作者としちゃ、ショック、だな。
        退屈、させたか?
        俺が、俺に。
        そんな救いの、ない、話……あるかよ。
        そう、いうのは、俺は、認められないからさ。
        ――問おう。老人窟の住人。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:20:39

      • 男は、今際の際に口の端を持ち上げて傑作を作り上げた時のように笑った。 -- 2014-11-11 (火) 01:21:13

      • ――殺された俺と。
        ――殺したアンタ。
        さて、どっちが、本物のアンリ=アルジェントで。
        どっちがエトランゼル=メイガスの傀儡でしょう?
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:22:37

      • 男は、その言葉を最後に絶命した。 -- 2014-11-11 (火) 01:23:38

      • そりゃ、面白いな。
        まあ、自分が、自分のために考えたナゾナゾなんだから、面白いに決まってるけどな。
        俺が、俺を楽しませるために投げた謎であるなら、絶対に面白いって分かりきってるけど、やっぱ安心するな、そういうの。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:25:33

      • 男は呟き、缶コーヒーをその男の死体の側に置いた。 -- 2014-11-11 (火) 01:26:04

      • ――答えよう。老人窟の住人。
        ……それは、どちらでも、何も変わらないのさ。

        ――いい創作を。
        -- アンリ 2014-11-11 (火) 01:28:06
  • ――話に、なるかなぁ。 -- コルディア 2014-11-10 (月) 04:30:23
    • さあ、どうだかな。
      それはどっちかというとテメエ次第なんだがな、『解釈者』。
      -- カフジェス 2014-11-10 (月) 04:31:32

      • 男と男が、机を挟んで椅子に座り向き合っている。 -- 2014-11-10 (月) 04:32:34

      • そもそもがさ、同属性の人間が二人机を挟んで議論したところで、何の発展性もない気はするんだよね。
        ほら、君と私ってあくまで何かを受けての『創作』なワケじゃない。
        君は作品を読んでそれを批評や批判をすることで自己を表現する。
        そして私は作品を読んでそれを分類や解釈をすることで自己を表現する。
        ほら、何を言い合ったところでお互いの領域を侵害しない平和的な二つの主義じゃないか。
        元々私はさ、誰とも争う気はないんだよ。『瑕探し』の君には退屈に思われるかもしれないけどさ。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 04:36:08
      • 同類であっても同義じゃねえだろ。
        オレの信条が批判である以上、お前のその創作のあり方にも批判をせざるを得ない。
        加えて、オレからすればその解釈とやらでの自己表現ってやつも随分と瑕だらけに見えるぜ。
        こういう言い方をするとどこかのエゴイストみたいで腹立たしいが、オレはテメエが気に食わない。
        テメエという人間以上に、その信条が癇に障る。
        オレのことを同類、同属性扱いするのは勝手だが、オレの目にはテメエの信条とオレの信条は似て非なる物だよ。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 04:39:30
      • まあ、私の信条の方が平和的ではあるよな。そこは認めるよ。
        君のように批判や批評で他人を矯正させることもない。
        ただ、私の解釈の中でどう分類されるかを明文化して棚に並べているだけだ。
        『蒐集癖』程ではないけれど、私も私でそうやって棚に並んできちんとラベルの貼られた価値観や思想を見ることが楽しくもあるしな。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 04:41:30
      • 良く言うぜ。
        オレはな、テメエのそういうところが気に食わないんだよ。
        テメエの分類や解釈が、他人を矯正しない?
        本気で面白くもねえ冗談だし、嘯いてるんだとしたらテメエの性格は壊滅してるな。
        その創作自体と己の批評を密接に結びつけようとしているオレとは違って、
        「そういうスタンス」を以って己の解釈を表向きに位置づけようとしてるその態度が気に食わねえんだよ。
        テメエは、テメエの解釈がどの程度他人に影響を与えるのか知っててやってんだからな。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 04:44:24

      • 男は机の上に足を投げ出して背もたれに体を預ける。 -- 2014-11-10 (月) 04:44:52

      • あくまで元となる創作の外側に居ながら、その創作が解釈されて噛み砕かれることの影響力を利用してるのがテメエだ。
        ラベル張りだったりレッテル張りだったりそういった行為が相手の行動に与える影響を完璧に理解していながら知らない振りをしてんだ。
        オレがオレとしての批評を正面から飛ばして相手の顔面を殴りつけるのに対して、
        テメエの解釈は差し出した拳に誘導して自分から殴られに行くように仕向けてる。
        そのやり方は完璧に詐欺師のそれだし、それによって得られる効果や状態まで把握してその信条を掲げてるんなら、虫唾が走るぜ。
        そうだよな。
        人は、貶されるよりも認められるのが嬉しいもんな。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 04:48:48
      • 少しだけ訂正するなら、人は貶してくる相手よりも認めてくれる相手の方が好きだというだけだよ。
        そして、その言葉の客観的な正誤よりも、発言者を好いているかどうかで、良し悪しを判断する存在であるというだけさ。
        そう考えると、私は君のように嫌われて誰にも批判を聞いてもらえなくなる可能性がある、茨の道が怖い臆病者なのさ。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 04:51:18
      • クソ野郎。
        創作をする人間なら絶対に抗えない欲求を逆撫でするような真似しやがって。
        どう足掻いても創作をする以上、誰一人として承認欲求からは逃れられねえのを知っててやってんだ。
        テメエのそのやり方、オレは最高に腹が立つ。
        だがそれとは別に、上手く考えたもんだと思うぜ、そのシステムは。
        理論的にも論理的にも矛盾がなく、不幸になる人間がおらず、自分の言葉を聞いてもらえる。
        万人が耳を貸せば、その口から出る言葉の信憑性が高まる。
        正しい分析という評価は分析の正しさを補強し、更なる分析を信じやすくする。
        そうなればその相手からの評価が場に於いて一定の評価を得る。そうなれば正論であろうが持論であろうが、その発言は正しさを纏って誰かの耳に届く。
        ――耳聞こえのいい、心擽る言葉に乗った誰かの持論は、さぞ染みこんでいくだろうよ。
        特に、何の持論も持たないスカスカのスポンジみたいな人間にはな。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 04:56:30
      • 私はただ納得したいんだよ。
        納得するためには、自分の中の論理や理由を当てはめて、『解釈』するしかない。
        自分の中の価値観に当てはめてみて、それでも合わなければ他人の価値観に当てはめてみて。
        そうやって主観と客観を歩き回って、自分が納得できる場所にその事実や、書物や、心情にラベルを張って回りたいんだ。
        そうすることでしか、私は他人の基準や行動の理由を理解することが出来ないからね。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 04:58:35
      • じゃあ、心の中に仕舞っておけよ。
        何故それを、表に出してんだよ。
        テメエが言うように、テメエのその解釈が自分のためだけにあるっていうんなら、それを表に出す必要はないよな。
        テメエはその解釈やラベル、レッテルを貼ることによって、他者すらも操り、誘導しようとしてる下衆だろ?
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 05:00:06

      • 男は、男の問いに、静かに笑った。 -- 2014-11-10 (月) 05:00:28

      • どうしても、私の中のそういう側面を露出させたいんだな。
        正直な、そんなものは露悪でしかないし、それを認めたところで君が望むような『瑕』にはなりえないよ?
        そこにあるのはただの事実だし、その事実は私の解釈の中でかなりの自信を以って証明されていることでもある。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 05:02:25
      • テメエのあり方を、批判してやるよ、『解釈者』
        ――問おう。老人窟の住人。
        テメエは何故、己の解釈を外側に発露する。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 05:03:36
      • ――答えよう。老人窟の住人。
        それは、どいつもこいつもが馬鹿だからだよ。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 05:04:20

      • 男は眼鏡を取り、机の上に置いた。 -- 2014-11-10 (月) 05:04:48

      • ……言葉のインパクトを利用するのは創作者として卑怯なやり方かもしれないな。
        だから正確に言おう。『馬鹿』というよりは、『私より頭が悪い』だ。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 05:05:58
      • ようやく化けの皮が剥がれたと思ったら、元から化物だったみてえだな。
        成る程、テメエはそういうあり方なわけか。
        そういう考えが根底にあるから、そうやって己の考えや解釈を外側に出すことに躊躇がないわけだ。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 05:08:09
      • 客観的事実はどうであるか知らないが、少なくとも私の主観はそう思っているよ。
        私は、私以外の全ての人間を『ただの馬鹿』だと思ってる。
        考えることも、決めることも、認めることも、省みることも出来ない、理解出来ない程の低能だと思ってるんだ。
        他人の解釈や理解に流され、それを一つの正しい価値観として捉える自己のなさは見ていて滑稽ですらある。
        どれだけ考えることを放棄すればそういうあり方が出来るのかと興味すら湧いてくるくらいにさ。
        思考力がないわけでも、知能がないわけでもない、ただそれを面倒だという理由だけで停止している人間を見ると、馬鹿だという感想以外湧いてこないんだ。
        だから私にとって世界は単純で退屈で、面白くもなんともないから、自分のために様々な解釈をしてやってるんだよ。
        あくまで、私自身のためにな。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 05:13:00
      • 全ての人間がそういう愚かさを内包していると思うなよ。
        現にテメエの理論の埒外に居る人間がこの老人窟にも居るだろうが。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 05:14:48
      • 私にとっては老人窟も『程度の問題』だよ。
        多少自分で考えている振りをしている連中が居るな、くらいにしか思えない。
        誰だって共感は出来ないが理解は出来る範囲内の逸脱だ。
        分類し、解釈して棚に並べれば、相容れない14冊の本になるにすぎない。
        その棚には似たような思考や思想を持った人間が五万とラベルを貼られてそれぞれの主張を口にしているよ。
        それもまた誰かから借りてきた価値観でしかないことを知らないままにさ。
        そういう人間であればあるほど、私が理解を示してこういう分類であると示すと安心したような、嬉しいような顔をするんだ。
        ああ、自分の価値観を分かってくれる人が居る。自分の主義主張に賛同してくれる人が居る。
        伝わる人には伝わるんだ、自分は何一つ間違ってなかったってさ。
        それが、私の価値観の中で理解出来る口当たりのいい言葉や収まりやすい枠であることも気づかないままにな。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 05:19:00

      • 男は、退屈なため息を言葉に重ねる。 -- 2014-11-10 (月) 05:19:25

      • それにな、そうやって枠に収めてやらなければ他者も自己をも理解出来ない『本物の馬鹿』が多い。
        そういう人間のために、高尚な創作であったり難解な傑作であったりを、一度噛み砕いてやる必要がある。
        そうしなければ他者に対して興味を持てないような欠陥製品は多いし、自己分析も出来ない故障品も多い。
        馬鹿が物事を理解するために、個性を取り払って解釈されたラベル付きの無個性を出荷するのが私の役割だと思ってる。
        私より頭の悪い誰かに、私が感じている素晴らしさの一端だけでも伝えてやろうとしてるんだよ。
        君が、他者に対して批評という物を通じて行っていることと、目的は同じだ。
        巡り巡って、己に返ってくることも期待はしていたが、今は余りそれも期待はしていないな。
        世界は退屈だよ、私の解釈があったとしてもね。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 05:24:37
      • ……違うな。
        世界が退屈なのは、世界が退屈だからじゃねえよ。
        テメエ自身が退屈な人間であり、その退屈な人間が齎す価値観を有難がる馬鹿を周囲に侍らせてるからだろ。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 05:26:52

      • 男は身を乗り出し、机に人指し指を突く。 -- 2014-11-10 (月) 05:27:24

      • お前がお前の周囲より頭がいいという理論を、歴然たる事実として扱うとするなら、
        オレはオレのこの言葉を温度のない事実としてお前に突きつける。
        きっとその事実はお前の体に存在する瑕を、必ず膿ませることになるだろうな。
        ――オレの批評は他人に瑕を作るためのものじゃねえ。
        元々存在していた瑕を表出させるだけだ。
        瑕っていうのは、それに気づいたときに痛み出すものだからな。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 05:30:44
      • 恐らく退屈な結末になるだろうが……聞こう。
        その批評、正しく解釈して並べて飾ってあげようじゃないか『瑕探し』。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 05:32:16
      • テメエからすればお前以外の人間は全て馬鹿であるように見えているんだろうけどな、
        それはテメエ以外の人間が馬鹿なんじゃなく、馬鹿がテメエの周囲に集まってきてるだけなんだよ。
        そして、馬鹿でない人間もテメエの側に寄れば馬鹿になる。何故ならテメエはそういう存在だからだ。
        己の価値観をまき散らすことで、テメエは他者から伸びしろを奪うんだ。
        だからテメエの側にはテメエの予想や期待を上回る人間が出てこない。
        何故ならテメエの箱庭で評価されようとすれば、テメエの理解より上の行動を取る訳にはいかねえからだ。
        つまりは、テメエが理解出来る程度の馬鹿でなければ評価されないという理解によって、テメエの退屈は埋まらない、それが事実だよ。
        テメエが分類や解釈なんてものを信条として持って、それを周囲に、コミュニティに撒き散らし続ければ、テメエはいつまで経ってもその集団の中では退屈し続けるだろうな。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 05:42:40

      • 男は、男を嘲笑うように口の端を持ち上げた。 -- 2014-11-10 (月) 05:43:07

      • それにな、テメエが解釈してラベルを張って棚に並べたそれが、もしかしたら別の解釈によってテメエを楽しませる何かであった可能性は本当にゼロか?
        テメエがそう解釈したことによって、テメエの望む形までしか成長出来なくなった実が本棚の中で窮屈そうにしてねえか?
        テメエがテメエのためにわかりやすく解釈したそれは、本当はテメエが理解出来なかっただけで、分類できなかっただけで、解釈出来なかっただけで、素晴らしい何かであった可能性はないのかよ。
        テメエが馬鹿と見下す人間は確かにお前より頭が悪いかもしれねえけどな、頭が悪い人間に面白い話が書けないなんて誰が決めたよ。
        表層だけをなぞって、他人のためとわかりやすく解釈出来たところで読み進めるのを切り上げた物語が、
        本当に批評に足る何かであった可能性が、いつかテメエの内部から発芽して、テメエを喰い殺すだろうって思うぜ、オレは。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 05:47:40
      • 恣意的解釈からの批判だな。
        一つの仮定に対してその裏側の仮定も成立する以上その恣意的な選択だけをもしと問うのは卑怯じゃないかなあ。
        そのIFを持ち出してくるならさ、頭が悪い人間に面白い話が書けるかもしれないって誰が決めたよ。
        今まで私が私の認識の中でラベルを貼ってきた物達が、全て正当な評価である可能性の方が、きっと正当でない可能性より高いと思うよ。
        私だってデタラメにレッテルやラベルを貼って分類解釈してきたワケじゃない。
        頭から、最初から馬鹿と決めつけて他者と接してきたわけじゃないんだ。
        誰だって一度はチャンスを与えるし、その判断だけは慎重に行ってきた。
        その結果、私は私以外の人間は全て馬鹿で、その種類は二種類しかないことに気づいたのさ。
        一つは馬鹿であることすら気づいていない馬鹿、もう一つは他人に馬鹿と思われたくない馬鹿。
        それが、私の世界に対する解釈だよ。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 05:56:05
      • 逆に言えばそれだけの時間と認識を以って挑んできたものであるからこそ、凝り固まった固定概念に囚われてる可能性はねえのかよ。
        今更撤回出来ない様々なレッテルに外側を縛られてるのは、むしろお前のほうだと思うぜ?
        分類することによって、分類出来ない存在を認識出来なくなってるように思える。
        それは……批評という信条を持ってるオレも良く理解していることだからな。
        自己の批評もまた、その正当性を批評する立場に立つ必要があるが、オレはオレの価値観の中でしか批評を批評出来ねえ。
        それと同じように、テメエの解釈を解釈するときには、テメエの枠の中でしか解釈出来ないという自己矛盾を内包してる。
        人は完全に客観に立つことは出来ねえ、だから恣意的に解釈をして一つの側面からの批評や解釈を行うんだ。
        ああ、そういう意味ではテメエとオレは割りと似てるかもしれねえな、虫酸が走るが。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 06:02:46
      • そうだなぁ。少しばかり最初に口にしたときとは違う理由でそう思っているけどな。
        『瑕探し』は、自分の瑕だけは見つけることが出来ないわけか。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 06:04:30
      • 『解釈者』が、テメエだけは他の解釈が出来ねえようにな。 -- カフジェス 2014-11-10 (月) 06:06:08

      • 男が二人、机を挟んでため息を吐いた。 -- 2014-11-10 (月) 06:07:04

      • なあ、テメエよ。『解釈者』。
        テメエは本書くのか? 物語を書くのか?
        話を作るタイプの創作家なのかよ。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 06:08:09
      • 残念ながら書くタイプだよ。アンリやエリサと同じようにね。
        自らの中の解釈が、構築の際に正しく発露出来るかを確認する意味でも、出力というものも大切なものだと思ってるからな。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 06:09:26
      • ハッ! いい度胸してんなおい。
        ああ、違ぇか、テメエの周囲にはテメエの価値観の傀儡しかいねえから、そういう創作してても誰も批評するやつはいねえわけか。
        何か生み出せば生み出したことを褒めて、中身なんて見ずにきっと面白いだろうと思って斜め読みするような連中ばっかりだろうしな。
        ああ、んじゃ、見せろよ、テメエの創作。
        ……誠心誠意、切り刻んでやるから。温い創作は、オレの好みだからな。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 06:11:17
      • 『瑕探し』自ら批評を? そりゃ贅沢な話だ。
        是非頼むよ。私も解釈した事実が正しいかどうか、全力で創作に載せて君に説明しようと思う。
        まあ、せいぜい詰まらない退屈な当たり障りのない批評に終わらないように頑張って欲しい。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 06:12:44
      • クソが、誰にでもチャンスを与えるってオレにも適用されんのかよ。
        安心しろよ、オレはどんな創作であっても、誰がした創作であっても、平等に批判して平等に批評して悪いところはクソミソに貶してやるからな。
        テメエが二度と筆を取る気が起きなくなるまで、永遠に正当にテメエの創作を批評してやるよ。
        言い訳や泣き言なんて一切聞かずに、言いたい放題言ってやる。
        テメエの発言ターンは創作に載せたことで終えてるんだからな。文句は言わせねえからな。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 06:15:04
      • それくらいは弁えてるさ。
        だけど、どうせ君もきっと表面的な事でしか批評出来ないんだろうなとも思ってるよ。
        ただ、万が一君の批評が私の心に届くようなことがあれば……もしかすると、それは退屈を紛らわせてくれるかもしれないな。
        そして、そういうことを心の何処かでいつも期待していたのかもしれない。
        -- コルディア 2014-11-10 (月) 06:17:10

      • 男は、男に皮肉げな笑顔を送り、男はそれに見せたことのないような笑顔を返した。 -- 2014-11-10 (月) 06:17:37

      • 気持ち悪ぃんだよ、メンヘラかテメエ。
        んじゃ、せめてオレの批評に足るような――良い創作を。
        -- カフジェス 2014-11-10 (月) 06:19:09
      • 君こそ、私の解釈に足るような――良い創作を。 -- コルディア 2014-11-10 (月) 06:19:21
  • ――話をする気ないのが来たな。 -- アンリ 2014-07-25 (金) 18:53:06

    • 男は本を閉じ、男を迎える。 -- 2014-07-25 (金) 18:53:37

      • ……今日は貴様しかいないのか。
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 18:54:24
      • おいおい、誰が居たって興味もクソもない癖に良く言うよ。
        それとも何かな、俺以外の人間が良かったっていう当てこすりみたいなの覚えたのかい、オウゼン君。
        だったら『この俺をして読書を中断したこと』以上の価値がある最大級に爆笑出来る冗句なんだが。
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 18:57:06
      • ……かもしれんな。
        老人窟で最も嫌いな男に『処理』をさせることに、柄にもなく高揚したのかもしれん。
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 18:58:32

      • 男は表情一つ変えずに血糊を拭いて呟き、右手で掴んでいた死体を真っ白な床に放る。 -- 2014-07-25 (金) 18:59:29

      • ……あのさ、家庭ごみは家庭で処理してくれよな。
        こういうの持ち込むための場所じゃないんだけど、何でこんなひどいことすんの?
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 19:01:18
      • ……自分で答えを口にしていただろう。当てこすりと。
        それなりに納得できるその舌触りのいい真実を駄賃に、処理をしておけ、アンリ。
        いずれ誰かが同じように貴様を処理する姿を思い描きながらな。
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 19:03:25
      • うっわクソ陳腐。読書量少ないからその程度の底の浅いセリフしか出てこないんだよオウゼン君。
        普通言うかな?「次はお前の番かもしれん」的なそんなセリフ。
        ぶっちゃけ「自分は今ここで貴方を殺すことが出来ない腰抜けです」っていうのを打ち上げ花火で宣伝してるように見えるんだけど大丈夫?
        『今殺せないやつ』が『粋がるなよ』三下。
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 19:06:13
      • ……貴様こそ。役割を貰って気が大きくなったか?
        自分がいなければこの死体を『処理』して、隠蔽しする者がいないから、自分は少なくとも今は殺されないとでも思っているのか?
        老人窟の住人同士に敷かれた不戦の約定が貴様を守ってくれるとでも思うか?
        自分で口にしただろう。――老人窟に今目撃者は居ないと。
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 19:08:39

      • 男は、男の顔面を掴むと、机にその顔面を叩きつけた。 -- 2014-07-25 (金) 19:09:30

      • ……だが、認めよう。
        今我が貴様を殺せぬことも事実だ。
        済まないアンリ、我は貴様を殺してやることすら出来ない。
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 19:10:53
      • ……これだから書物に対して『否定』なんてクソみたいな属性持ってる奴相手にしたくねーんだよ。
        他の連中なら手出してきた時点で確実に俺の勝ちなのによ。作り手に対する気負いも何にもないやつどう相手にしろってんだ。
        いいから手離せよ、きっちり出血するように叩きつけやがって、痛いだろ。
        それに、こんな牽制より何より、書物の否定を是とするお前に殺されないことの方が胸に痛いよ、オウゼン君。
        そこで転がってる死体よりも、俺は面白いものを書けないと思われてるのか?
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 19:14:54
      • 相性が悪かったな。
        貴様のそれは我には通じん。が、老人窟に居る限り我が貴様を殺せぬ以上、明確な勝敗もそこにはなかろう。
        結局のところこれはじゃれ合いに過ぎん。
        貴様に言わせてみれば創者を全て殺すのが先か、創者を殺すのを躊躇わせるのが先か、そういう争いになるだろうか?
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 19:17:15
      • 馬鹿かお前。勝負? そんなもん俺とアンタの間にあるわけないだろ?
        何いっちょ前に舞台に上がろうとしてるわけ? 図々しいにも程があるだろ。
        『否定』なんて属性の体現としてアンタが何をしようが、俺には全然興味が無いし、そうやって何人だって人を殺せばいいと思ってるよ。
        可哀想だなあとか、勿体無いなあとか思うと思ってるなら大間違いだよ。俺は出会えなかった人間には興味ないし、
        視界の外で死んでくれるなら何人でも何十人でも、いくらでも死ねばいいと思ってるからさ。
        そこまでは面倒見切れないし、俺は俺の視界を維持したり、俺自身を見てもらうことで忙しいんだよ。
        だから、俺はアンタのやってることに何一つ興味はないし、それどころか蔑んですらいるよ。
        自分の理解出来ない、共感できないことを全て潰して回るような狭量さを暴力に込めて発露してるアンタを見てたら、それこそ可哀想だなあって思っちゃうしね。
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 19:22:24
      • 物事を形骸として理解や納得出来るような形に収めて理解したと思っている者には、そう見えるだろうな。
        やはり貴様は貴様自身の放った言葉以上の意味を他人に与えることは出来ないのだろう。
        その価値観こそが、我には狭量に見えるな。
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 19:25:38
      • 話をスライドさせて俺を語る方向に持って行くなよ『活字中毒』。
        自分の語りたいこともないくせに他人に語らせて悦に浸って賢ぶるやつ、大嫌いなんだよ、俺。
        ――んじゃ聞くがさ、老人窟の住人。
        『作り手を殺す』ことにどんな納得出来る意義と理由と、出来れば展望があるって言うんだ?
        俺はさ、そうやって簡単に他人を殺す癖に、大した理由も持ってない奴、さっきのやつより嫌いなんだよ。
        人を殺すって、そんなに簡単に処理していい情報じゃねえだろ? 甘えんな、クソ野郎。
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 19:29:33

      • 男は自分の鼻血の海にあぶくを浮かべながら笑って尋ねた。 -- 2014-07-25 (金) 19:30:39

      • ――応えよう。老人窟の住人。
        それは我のエゴだ。
        貴様らと同じように、一個人のエゴで動き、一個人のエゴの為に創る事そのものを否定している。
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 19:35:46
      • 開き直りかよ。クソすぎるだろ。開き直らないよりはマシだがそれでもクソだわ。
        もうちっと納得出来る返答がいただけると思って、老人窟の住人として質問したのにダークヒーロー気取りかよ。
        あまつさえ皆もやってるから俺も好き勝手やりまーすってか? 何なのアンタ、ただのキチガイなの?
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 19:38:35
      • ……そうだな。正確に返そう。
        我は貴様らとは違う。他者を必要としていないあり方を望んでいる。
        個人として、我のエゴを以って、貴様ら作り手を否定する立場でありたいと願っている。
        思想をまき散らし、衆愚を先導し、要らぬ知恵や空想力を与える書物自体を、我のエゴは否定したいのだ。
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 19:41:26
      • んじゃ本のない無人島行って一人で餓死してろよ。他人に迷惑掛けんな。
        キチガイがこの世界に居ていい理由って必要条件が他人の利益になることで、
        十分条件が他人の迷惑にならないことだって学校で習わなかった?
        ああ、本読むの嫌いなら学校なんて行ってないよね、ごめんごめん、早く死んでね。
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 19:43:48
      • 価値観の外側を許容していながら、理解出来ない思想をに気狂いと名前をつけるのか? -- 皇前 2014-07-25 (金) 19:46:06
      • 本が嫌いな癖に反論に必要な一端な教養身に付けてんじゃねーよクソが。
        俺はさ、何がムカつくってそういうアンタが『特に理由もなくそうしたいから創作者を殺す』って謳ってることそのもの以上に、
        じゃあそれをするならもっと効率的な方法あんだろうがって俺自身に言わせようとしてるのがムカつくんだ。
        中途半端なことしやがって、本当に書物を否定したいなら、それこそ徒党を組んだほうが効率いいだろうが。
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 19:48:43
      • その言い方では、それに対する反論も既に頭のなかに浮かんでいるようだな。 -- 皇前 2014-07-25 (金) 19:49:24
      • 生憎とな。他人に質問を投げるときは解答まで必ず用意しとくもんだろ、礼儀として。
        アンタがそうしないのは、それこそが書物を綴る人間が自分の思想を書に込めるのと同じだからだろ。
        そうやって思想をばら撒く書物自体を否定するために、その書物と同じことをすることすら出来ない。
        徹することも出来ない癖に、徹する必要のないところで徹しようとするその姿勢、半分は大好きだが半分は大嫌いで、ついでに言うなら俺はアンタが大嫌いだ。
        アンタに展望っていう質問を叩きつけた理由がそれだ。
        自分でもう理解出来てるだろうが、他人に叩きつけられたことがないっていう可能性に賭けて、あえてぶつけてやるよ。
        アンタっていう個人は、確実に何も達成出来ないまま、集団性によって殺されるだろう。
        これは、予言だ。そして、確実に来る未来予測でもある。
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 19:54:29
      • その言葉は、恐らく、鏡面に反射するように、貴様自身にも振りかかるだろう。
        そうだろう『エゴイスト』。
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 19:57:24

      • 男が笑うと、男も組み敷かれたまま笑いを返した。 -- 2014-07-25 (金) 19:58:01

      • ……そういうところだけは割りと嫌いじゃないな、俺は。
        そしてそこまで折込済みで『創作者殺し』を名乗ってるなら、そこだけは別で評価してやるよ。
        『個人の思想や価値観』が『集団の評価』に絶対に勝利しえないことを体現することを以って、『全ての創作者を殺そう』としているのなら、
        アンタのその中途半端な刃がつけた傷は膿み爛れるだろうからな。
        なんだよ、本嫌いな癖にお話大好きじゃないか、アンタ。
        そういう視点で見れば、確かにアンタは絶対的な個人であり、集団の敵対者であると同時に、
        俺たちは『衆愚』や『観客』を必要とする阿った存在に見えるだろうな。
        己の思想や主張一つと、己の創作のみで立っているつもりでありながら、その実それを外部から評価し、見定める誰かを必要としている。
        他人の創作のあり方をそれこそ『否定』しながらも、互いに非武装不干渉を貫いて共存しているようにも見えるからな。
        『否定』の本場から見れば、この老人窟はヌルく見えるかよ?
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 20:03:20
      • だが、その言葉もまた我に返るだろう。
        己が出来るだけ人を殺すために最も疎む場所に身を寄せるこの身の矛盾を外側に置くつもりはない。
        その上できっちりと言葉を返すのであれば、この老人窟はヌルく見えるな。
        -- 皇前 2014-07-25 (金) 20:09:04
      • ……だろうよ。結局アンタの存在も俺たちの存在も、一つの思想の体現でしかない。
        どれだけキチガイを気取っても、一個人という枠を抜け出す事が出来ない以上、現象にはなり得ない。
        他人を自分の思想の思い通りに動かせるような人間はどこにも居ないのさ。
        だから、程々にしてくれると嬉しいんだけどさ、俺は。
        老人窟がキチガイの集団だと思われたら溜まったもんじゃない。
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 20:16:34
      • それは、同じ老人窟の住人としての助言か? -- 皇前 2014-07-25 (金) 20:17:15
      • ふざけろ。
        他の住人は死んでくれたら嬉しい程度の存在だけど、俺にとってアンタは唯一死んで欲しい存在だよ。
        出来るだけ他人に迷惑を掛けず、俺の視界の外側で出来るだけ無残に死んでくれ。
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 20:18:14

      • 男はそこで、ようやく男の上から退く。 -- 2014-07-25 (金) 20:29:10

      • ただ、さあ。
        例え個人同士の争いとか、そういう形に還元されて、単純化してもさ。
        それでも、俺はアンタには負けないと思うんだよね。
        アンタは確かに他人を殺せる能力と、殺せる度胸と、躊躇わないでいい理由を持ってるかもしれないけどさ。
        それでもきっと、俺には絶対に敵わないと思うよ。
        今、ここで、やりあうことになっても、さ。
        -- アンリ 2014-07-25 (金) 20:39:19

      • 俺は言うと、自らの血だまりで濡れた白机に拳を叩きつける。
        テーブルが跳ね上がり自分の背後に陣取っていた相手へ向かう。
        俺の背後にいた男はそれを首の捻りと体勢を傾けるのみの回避動作で避ける。
        ――避けた顎先に、靴裏が突き刺さる。
        テーブルを目眩ましに使った後ろ蹴りの感触と共に、足をしっかりと掴まれた感触に震える。
        防御が間に合わなかったんじゃない。
        防御をする必要がないと判断したから正面で受けて、確実に俺を捉えることを選んだんだ。
        掴まれた足と反対の足で地面を蹴りあげて、体を捻る。
        大きく270度捻った体から巻き取るような横蹴りが空中で男のこめかみを捉えた。
        ――ダメージというよりは衝撃の大きさに男の体が揺れる。
        蹴り飛ばした衝撃で掴んでいた足の拘束が緩み、そのまま距離を置く。
        漆黒の服を身に纏う死神は青い瞳で俺を睨みつけている男がそこにいた。

        俺はへらりと笑って尋ねる。

        「不思議か? 俺があんたと互角なことが。
         書物を書く奴が他のことが出来ないとでも?
         暴力が自分の専売特許だと思っているからこうなるんだよ。
         俺がこんな方法に頼らないのはそれが出来ないからじゃなくて、それをしても面白くないからなのさ」

        俺が言うと男は首を二、三度傾けて拳を握る。
        ただそれだけで空気が静謐を纏うのだから冗談ではない。
        俺は俺の土俵に持ち込むべく言葉を弄ぶ。

        「俺の力は知ってるんだろ?
         んじゃ、俺が今どういう状態なのかは良く解ってるはずなんだけどな、アンタも。
         楽勝とも惨敗とも言わないけど、ここから先に待ってるのは完全なる泥仕合だよ。
         アンタが強ければ強い程俺はそれを理解して分解して構築し直せる。
         アンタは、絶対に、楽に、俺に勝つことは出来ない」
        「――良く喋るな」

        いいね、短い恫喝はかなり効果的であるというのを良く分かっている。
        特に想像力と瞬間思考能力に長けてる人間にはそういう手法の方が効果的であることは認めよう。
        ただ手法として優れているだけでそれを理解して使ってないならただのラッキーパンチだけどな。

        「喋らないやつよりマシだろ」
        「不安か。再現しえない我の力が」
        「逆だろ。何もかも再現されるかもしれないアンタが不安なんだろ」
        「貴様のその力はまがい物だ。
         巧く出来るかもしれないが上手くはない。
         貴様のそれが後出しであるのならば、一撃にて屠られた場合はどうする」
        「俺を一撃で屠れると思ってるアンタを笑い話に変えてやるよ」

        相手の筋肉が盛り上がる。
        成る程、筋力を上げるために筋肉の断面積を無理やり増やすわけか。面白いな。
        単純に計算しても2倍以上に膨れ上がった両腕から元々の相手の膂力を乗算した破壊力が来るとするなら確かに初撃は一撃必殺の可能性はある。
        だが、だからどうした。
        目の前に存在する危険が、自分の身を脅かす全てではないことを俺は知っている。
        本当に恐ろしいものはきっと音もなく背後から俺に全く悟られることなく近寄り、そして俺に一切の興味もなく俺のたどり着きたい場所に到達する存在だ。
        だったら、目の前の障害なんていつだってどこでだって誰だって気にすることも気に病むこともない。

        むしろ同情するのはこっちの方だ。
        悪いけど――面白半分に凌駕させてもらおうと思う。

        「いいな、そういう一芸がある人間っていうのは。
         俺は全然嫌いじゃないよ、一芸もないやつに比べたら面白いと思うし、二芸以上あるやつより可愛げがあると思う。
         ただ、それにしか頼れない、それでしか生きていけない奴がさ。
         ――俺の前に気軽に現れたらダメだろ。
         もう少し、出会いに慎重になれば良かったな。
         お前のその一芸なんて、俺は簡単に再現できるし、なんならその一芸を見なくても予想を立てて再現することくらいわけないとは思わなかった?」

        俺は相手と同じように、拳を構える。

        「悪いけどさ。
         ――アンタつまんねえよ」

        ――俺は、大きく跳躍して、相手との距離を詰め。
        思い切り、その拳を――。 -- 2014-11-09 (日) 22:51:48

      • 男は男の目の前で本を閉じた。 -- 2014-11-09 (日) 22:52:17

      • ……なんてな。
        -- アンリ 2014-11-09 (日) 22:54:12

      • 男はその話を笑った。 -- 2014-11-09 (日) 22:55:01

      • ……下らん。
        -- 皇前 2014-11-09 (日) 22:56:08

      • 男はその話を笑わなかった。 -- 2014-11-09 (日) 22:57:10
  • ――話をしないかい? -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 22:33:09
    • あら。
      それは、とても珍しいことね……。
      或いは、だけれど、私とならば仲良くお話が出来ると、思われているのかしら。
      だったら、過分に光栄だけれど。
      -- エリサ 2014-06-10 (火) 22:34:16
      • もし仲良くさせて貰えるのだとしたら嬉しいけど……そうは行かないんだろう。
        だからせめて話を、と思ったんだけど。
        それでも、他の老人窟の住人に比べれば、僕は君とならば少しは話になるかなとは思ってるよ。
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 22:36:41

      • 男は傷だらけの腕を撫でて、女に言葉を投げる。 -- 2014-06-10 (火) 22:37:08

      • そうね、貴方のそれは『手段』で、私のそれは『方法』だものね。
        外から見れば同じことをしているように見えるかもしれないけれど、本質は全くの別……。
        だけど仲良くは出来なくても、仲良く見せかけることは十分に出来ると思っているわ。
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 22:40:02
      • 酷いなあ、それは本質的には仲良く出来ないって言われているのと同義じゃないか……。
        僕は、君の創作にしろ、誰の創作にしろ、語り合いたいと思っているんだよ?
        だったら、その観客に対しては少しは優しくしてくれてもいいんじゃないかな……。
        ほら、僕もさ、君の創作を更に解釈して砕いて、語り合おうと思ってきたんだよ。
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 22:41:58
      • だから、貴方は嫌なのよ。
        私は、私の創作が二次的な物であり、それは一次的な創作ありきの物だと自分で理解しているわ。
        それでいて、一次のそれよりも価値の高い、純度の高い物をお出ししていると自負しているの。
        遺伝が世代を経て「進化」をするように、後から産まれた創作の方が、圧倒的に質が高いものであるとも思っているしね。
        でも、貴方は違う。貴方はその二次創作ですら、純粋な創作として解釈している。
        正直に言えば、貴方の賞賛は息苦しいし、更に言うのであればそれを手段として用いている時点で、創作に対する敬意も全くと言っていいほどない。
        かと言って受け手に回るかといえばそうでもない、貴方は他者に「作る」ことで寄ろうとする。
        私と似ているようで、少し違うから、私は貴方を直視することが出来ないのよ。
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 22:45:29
      • それは、恣意的な言葉選びだと思うなあ、僕は。
        そこまで打算の上で何かを作っているつもりはないし、自分の創作に愛着がないわけでもないよ。
        ただ、僕は他人より自分の判断基準が曖昧なのさ。
        アンリより、エリサより、ブライクより、己の創作の価値が分からない。
        創作の質の上下を感じる事が出来ないからこそ、他人の評価を、判断を求める。
        結局のところその創作がどれほどの価値を持っているかっていうのは、質の問題でも方向性の問題でもなく、どれだけの『共感』を得られるかに依る物だと思っているのさ。
        自分が思い、綴った文に、どれだけの人の共感を載せられるか、それが創作の価値だと思っている。
        だからこそ僕は、出来るだけ多くの価値観と触れ合いたいんだよ。
        共通する言語や分野、ジャンルや作品について語り合いたいんだよ。
        そしてその中から最も多くの他者を掬い上げられる価値観を選び、それを語り合いたいのさ。
        作品を通して、または感想を通してね。
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 22:49:52

      • 女はため息を吐く。 -- 2014-06-10 (火) 22:50:07

      • 質や方向性、引いて言うのであれば創作の中身なんかは問題にならず、
        ただ同じ分野について語り合いたい、その名刺が欲しいだけなのでしょう?
        創作という分野に、畑に乗っていなければ誰も貴方の感想や共感に耳を傾けてはくれないから。
        だから貴方は、自分の創作を相手と同じ土俵に立つためだけの手段としてしか見ていない。
        私は、だから貴方を創作家としては認められないのよ、悪いけれど。
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 22:52:05
      • でもそれは、エリサもそうなんだろう?
        でなければ、君は自分が相乗りさせてもらうジャンルを選ぶ事が出来ない。
        自分の創作を出来るだけ多く人が居る価値観に乗せて表現するために、それを手段として用いている。
        出来るだけの人間に、そうそうこういうのがいいんだよ、っていう同意を得たいがための創作であると、僕は思うんだけど。
        けしてそこには驚きや楽しさなんてない、ただ共通の言語を以って綴られる舌触りの良さだけが、君の創作の本質だ。
        そこに情熱が乗っているか、乗っていないかの違いを感じるのであれば、僕だって情熱くらいは載せているよ。
        僕なりの語りたいことを、僕なりの載せて、同じように何かを創った人と笑いあいたいんだからね。
        ……君も、僕と同じ側面を持っている人間だと思っているのだけど。
        どうかな。
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 22:56:34

      • 男の言葉に、女は薄く笑った。 -- 2014-06-10 (火) 22:56:52

      • 成る程、納得したわ。
        貴方という攻撃的な性格ではない人間が老人窟に居ること自体、疑問だったのだけど、どうやら勘違いだったようね。
        貴方は共感で他人を攻撃してくるタイプの人間なのね。貴方に近しい人間から順番に飲み込んでいく毒のような存在。
        嫌いだわ……。アンリの方が、まだ正面から唾を吐けるからまだ好ましいと思えるくらいに。
        貴方は誰にでも当てはまる、創作を行っている人間なら誰でも少なからず思う感情を刺激して、自分の中に取り込もうとしている。
        占い師と同じね。どちらにでも取れる言動で相手を揺さぶり、揺さぶった方向に自分も流れるだけ。
        そうやって、誰かと『集団』を形成することによって、それを是として生きてきたのね。
        共感を得て、共通の記憶を持ち、あの頃は楽しかったと人を腐らせていく猛毒が貴方よ。
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 23:00:45
      • それもまた、恣意的な僕という存在の定義ではないかな……。
        その言葉の全てを否定するわけではないけれど、だったら創作における価値って何だろうって思わないかい。
        有名な画家が描いた絵が高値で取引されるのは、それが万人に於いて共通の価値を成しているからさ。
        後世に残す文書がもてはやされているのは、それを多くの人間が読んで共感したからでもある。
        例えばエリサが最高の価値を見出した創作があったとして、それを誰かに薦めても誰にも受け入れられなかったらどうだい?
        それに価値があるっていうのを、エリサはちゃんと信じ続けられるのかな。
        加えて言うなら、そんな風に信じ続けて墓までそれを持っていったところで、その行為に何の価値があると思う?
        それよりはさ、百点満点の創作なんてする必要なんてなくて、皆揃って六十点の創作で、あの頃は楽しかったって語り合う方が、よっぽど有意義だよ。
        思い出っていうのはどんどん美化されていいく物でもあるから、そうやって二度取り返せない位置に思い出を於いておけば、勝手に点数は上がっていくのさ。
        創作っていうのは一番新しい創作が面白いんじゃないよ。いつか楽しかった記憶とともに眠らせている物こそが面白い、最高傑作なのさ。
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 23:04:52
      • それだけは真っ向から否定させてもらうわ『共感応』。
        今を生きている人間にとって、最も面白いのは次の創作であるわ。これはリリシアーナの言葉だけれど、これになら私は相乗りしてもいいと思っている。
        そうやって綺麗な記憶の中に閉じこもっていれば、貴方はいつか他者と同じ目線に立てなくなる。
        何かを作ることも出来なくなり、共感を得ることも増やすこともできなくなる。
        ――問うわ。老人窟の住人。
        そうなったとき、貴方はどうするつもりなの。
        貴方の主義にすら添えなくなったとき、貴方は何を以って創作を続けるのよ。
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 23:09:25
      • ――答えよう。老人窟の住人。
        今のところそんな感覚はないので、ただの杞憂だよ。
        少し休んで離れたくらいで過去より大きく劣化することはないし、いつだって本気になれば人は遅れを取り戻せるのさ。
        それにね、もし取り返しがつかないところまで他人に共感を与える事が出来なくなっていても、それまでには手にしてきた沢山の共感が人の目を曇らせている頃だと思うよ。
        それは愛着という名前であり、経歴という服であり、レッテルという外装でもある。
        人が緩やかに劣化していくのだとしても、距離が近ければ近い程それはわかりづらいものになる。
        それに、それまで得た信頼や実績によって、それは口にしづらく、切り込みにくい傷となっているはずさ。
        それくらいの優しさの中では、きっとその実力不足を取り戻せるだけの時間は稼げるはずだよ。
        少しは迷惑を掛けるかもしれない。
        言ってしまえば、リハビリに時間が掛かるかもしれない。
        それでも、許されるのさ。
        なんでか分かるかな、それは君たちの創作のように、孤独で、質だけでしか他人と分かり合えないわけではないからさ。
        僕の創作を手段であると君は言ったけど、ある意味でそれは正しいよ。
        だってさ、そうやって出来た輪が、輪の中で広がっていく楽しさが、僕にとっての創作の楽しさなんだからさ。
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 23:16:15

      • 男の言葉に、女はため息を吐く。 -- 2014-06-10 (火) 23:17:17

      • 呆れたわ。
        何に呆れたって、そんな内心を持っていながら、私に仲良くしたいなんて近づいて来れる神経の太さに呆れたわね。
        それとも、最初から私なら取り込める、丸め込めると思って来たのかしら?
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 23:19:38
      • まさか。
        もしかしたら仲良くなれるんじゃないかと思ったし、今でも思っているよ。
        あの頃、こんな喧嘩したよね、っていう思い出も、僕にとっては楽しさの一つでもあるからね。
        それに、僕は今でも君の本質が僕のそれと似たような位置にあると思っているよ。
        誰だって本当に誰にも理解出来ない良さよりは、共通で共有であるという前提を持った良くも悪くもない何かの方が価値があると思うものなんだよ。
        人は絶対にその欲求には抗えない。
        良く言うだろう、孤独という物が良いものだというのは確かなことだが――。
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 23:22:09
      • ――孤独が良い物であると語り合える相手が居るというのもまた幸福である。
        ……創作家であれば誰もが持っている、折り合いをつけていかなくてはならない感情じゃない。
        それを貴方は大きく取りだたして、人を自分の道に引きずり込もうとしているだけ。
        誰かとつるむのはそんなに楽しい?
        誰かと傷を舐め合えるのは、そんなに楽しいかしら?
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 23:25:29
      • 楽しいよ。
        そのためだけに創作を続けられるくらいにはさ。
        逆に聞きたいけれど、一人で創作をやっていて楽しいなんて思えるかい?
        皆で仲良くつくり上げる方が、絶対に楽しいし、責任持って出来るとは思わない?
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 23:27:29
      • きっと、楽しいと思うわよ。
        貴方と同じ立場で、貴方のように他人の中に一員として紛れて、そういう風に生まれてきていたのなら、きっと私もそうしていたわ。
        それは何一つ否定しないし、貴方をそこから掬い上げようとは思わないわ。
        私だって、他人に目を掛けていられる程の余裕もないし、暇もない。
        貴方のように他人を毒しようなんていう害意を外側に向けられる程、他人に興味もないからね。
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 23:29:14

      • 女は、静かに笑う。 -- 2014-06-10 (火) 23:30:17

      • でもね。
        今から貴方の同類になるのは、死んでも嫌。
        これから先、どんなに自分が落ちぶれたとしても、貴方になるのだけは絶対に御免ね。
        貴方自身がどれだけ成功し、賞賛され、安寧の中にあったとしても。
        貴方が、腐敗し、瓦解し、地獄に落ちるとしても。
        何一つ関係なく、未来も過去も関係なく、私は、貴方にだけは絶対になりたくないわ。
        価値観の違いと断じて貰えればそれでもいいと思えるくらいに、絶対に嫌なの。
        貴方自身が貴方をどう思っているかなんて関係ない。
        貴方がその生き方に幸福を感じているかなんて、全然関係ないの。
        私、エリサ=レヴィア=エルワードは、ルーハッド=エルアシシュカの生き方を、全否定するわ。
        貴方は創作をやる資格があるとは思えないし、私と同じ言語を使っているとも思えない。
        貴方に共感を抱いている人間を、一人残らず軽蔑するし、そういう安易な安寧を求めるのならば他でやって欲しいとも思うわ。
        何かが出来たつもりになっている、滑稽な貴方を外側から見ていると、私はそう思うの。
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 23:36:54
      • 気が合うな、って思うよ。
        僕は、そこまで情熱を掛けている君や他の老人窟の人間を思うと、笑いが出るのさ。
        だって、たかが創作だろう……?
        何故そこまで本気になってやる必要があるのかが、僕には分からない。
        そんなことをしなくても創作というものは間口を広げてくれて、誰もが楽しめるツールなんだ。
        それに対して、力を入れて何かをして、ねじ曲げている君みたいな人間には、けしてなりたくないよ。
        共感を主義とする僕が共感出来ないなんて、君たちの主義は相当な主義だと思うよ。
        僕はきっと間違ったことを言っていないし、僕に共感してくれる人も何人も居ると思う。
        僕にとってはね、君こそが異常者なんだよ。
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 23:40:13
      • 平行線ね。きっと、程度の問題の違いで、ある程度共感出来る部分もあるからこそ、こじれているんだと思うわ。
        でも、安心していいわよ。きっとね、貴方が取り込める人間は、この老人窟には誰もいないわ。
        貴方は外側に共感を求めてみるべきだと思う。
        きっと、貴方のその主義は多くの人の共感を、それこそ集めることが出来る強力なものだから。
        だからこそ、私には二度と近づいてほしくないわ。
        創作を、たかが創作と、たかが遊びと評することのできる人間と、仲良く話が出来るとは思わないから。
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 23:43:03
      • そうかい。
        残念だ。だったら、君の創作を同じように良いと思う人と君は永遠に出会えない。
        そして僕は、君が嫌いな僕の知り合いと、君の創作の良さについて語る事ができる。
        これは、どちらが幸せなことなんだろうなって、思うよ。
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 23:44:31
      • そうね。どちらが幸せか、という問いは難しいわ。
        幸せは私にとっては主観が決めるものだからね。
        貴方にとっては、客観が決めることであるみたいだけれど。
        ……いつか貴方が、本当に何もできなくなって、立ち止まったとき。
        その時に出来るだけ苦しみながら死を迎えることを願うわ。
        そして、貴方の創作を形作っていたものが、他人の頑張りや奮闘であり、自分では何一つ積み重ねていなかったことを知って愕然として欲しいものね。
        貴方の成功は、けして貴方が作り上げたものじゃないわ。
        愚かな貴方に――せめて良き創作を。
        -- エリサ 2014-06-10 (火) 23:46:42
      • そのときはきっとね。
        昔の創作を見てゆっくりと考えることにするよ。
        あの頃は楽しかった、全力で頑張ったって、楽しく語り合いながらね。
        賢い貴方にこそ――良い創作を。
        -- ルーハッド 2014-06-10 (火) 23:49:37
  • ――話をしよう。 -- ブライク 2014-06-10 (火) 01:44:02
    • ……マジで。
      正直言って――そりゃ、死ぬほど予想外だったっていうか。
      アンタが、俺と……? 何の……?
      -- アンリ 2014-06-10 (火) 01:44:51
      • 可笑しいか?
        俺がお前と話をしようっていうのが。
        ただ、俺の方も単なる気まぐれだ。
        丁度創作活動の谷間の時期で暇しててな。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 01:46:37

      • 男の言葉に、男は腰を折って笑う。 -- 2014-06-10 (火) 01:47:04

      • 『創作活動』って。
        お互いに共通の言語みたいに使うの辞めようぜ。聞いてて反吐通り越して笑いが出る。
        なんでみなさんお馴染みの『創作活動』みたいに口にしちゃってるの?
        フッハハ!! ウケる。アンタの創作よりもよっぽど面白いなそれ。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 01:49:04

      • 男の笑いに、男も煙草に火を着けながら苦笑で返す。 -- 2014-06-10 (火) 01:49:20

      • 他ならぬお前が、他人の創作を笑うか?
        他人に足を引っ張られるのが大嫌いなお前が、他人の足を引っ張る嘲笑を零すか。
        或いはそういう方向性に鞍替えしたのか、『エゴイスト』。
        だったら、お前は唯一のアイデンティティさえ失って、創作家ですらなくなったことになるが。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 01:51:50
      • 安心していいよ。俺は何も変わってないよ。
        あとさ言葉の妙で一般論にすり替えるようなテクニックは、本当に本読んでる奴には通用しないから。
        俺は他人の創作を笑ってるんじゃなく、アンタの創作を笑ってるのさ。
        創作してる気分に浸りたいだけなのに、同じことをしてるなんて共感の為に俺を使うなよ。
        そういうのは迷惑だし、そういう形で他人を欲しがるなら少なくとも俺以外にしてくれ。
        俺は、そんな暇はないし、そんな配役されるような人間じゃないんだ。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 01:54:38
      • 言ったろ、暇なのさ。
        お前も知っている通り、カフジェスやらがやってる創作以外で創作を語る愚行は、すべてただの慰みさ。
        振り返り、賞賛し、賛美し、反省し、後悔する。それら全ては創作活動の範疇に入ってはいない。
        だから俺たちは必死こいて創作してるんだろう?
        だから、今ここで暇を潰すなんて目的で二人の男が顔を突き合わせてる時点で、お前も俺も等しくそんな配役をされる人間なのさ。
        まさか過去に作った物によって自分がいつだって賛美されるべき人間であると思ってるわけじゃないだろう?
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 01:58:49
      • ……真逆。
        アンタと一緒にされるのは死んでも御免だと思うが、理論自体には賛成してあげようかな。
        悲しいもので、俺なんかは新しい何かを作れなくなったその瞬間、完全に無価値になることは承知してるよ。
        ただ、だからって俺を壁にしてアンタが何を語る?
        俺たちの創作は、完全に相反してる。根本を同じくしていても、全く別の方向を向いている。
        そして一つだけ言っていいならさ。
        ――俺は老人窟の中でお前の創作が一番大嫌いだよ。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 02:02:04

      • 男は、その言葉にタバコを灰皿に置いて足を組んだ。 -- 2014-06-10 (火) 02:02:36

      • ……それは、俺の創作が他人を向いていて。
        ……アンタの創作が自己を向いているから、か?
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 02:03:40
      • 違うね。
        そういうところが嫌いなんだよ。
        アンタ自身が、アンタの創作が外側へ、他人へ向けられていると思いながら作られたものだから。
        アンタ自身がそれを『勘違い』しているから、死ぬほど、殺してやりたくなるくらい大嫌いなのさ。
        創作自体が全く無価値でない分、エリサより救いようがあるが、逆に言えば無価値でない分更に殺してやりたくなる。
        ――この老人窟において、最も自己の主義と矛盾した創作を行っているのがアンタだからな。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 02:06:16
      • ほう。それは初耳だ。
        そして聞き捨てならない言葉でもある。明確な主張がなければそれはただの因縁で終わるぞ。アンリ。
        お前が一番嫌いなものに、お前自身がなる恐れがある言葉だ。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 02:07:28
      • 安心しろよブライク、俺はいい加減な言葉だけは一度も吐いたことがないんだ。
        嘘もまやかしも冗談も方便も使うけれど、それはそういう意図を含ませた言葉として吐いている。
        言葉を使う者を創作者と呼ぶのに、言葉すら使えなかったらそれこそ無価値だろ、ブライク。
        ――問おう。老人窟の住人。
        アンタにとって創作とは何の為にある。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 02:09:32
      • ――答えよう。老人窟の住人。
        俺の創作は、『他者』の為にある。
        他者の一時の暇を縫い、他人を喜ばせることにある。
        俺の創作で、他人が幸せになり、楽しんで貰えることが無常の悦びだ。
        俺はこの言葉を、誰にだって胸を張って言えるし、それはどの創作家にとってもそうだと思っている。
        物を作る者にとって、その作った物に反響があれば嬉しいものだろう?
        それを否定するならば、創作家など完全なる内側に引きこもっていればいいのだから。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 02:11:50
      • 素晴らしい答えだと思うよ。
        俺はさ、だから主義主張自体には何の文句もつけられないと思ってる。
        それは、俺の理論とは違うけれど、はっきりとした理論だからさ。
        他者を喜ばせ、楽しませる為に書いている側面を、俺は完全に否定はしないし、出来ない。
        己の創作が自己の為にだけあると思っている俺も、その自己という存在は他人の存在があって初めて定義される物だと思ってる。
        だから俺は、それを面と向かって理論として提示されたら、ああそういう創作もあるよねって返すさ。
        俺とは相容れないけれど、立派な理論だからな。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 02:14:47
      • 俺は、お前程高尚な創作は出来ない。
        こちらもそれを認めよう。
        己の創作の能力を高める為に自己を痛めつける自罰的な行為を容認出来ない。
        苦しむ時間があれば、今現在の力で誰かを楽しませ、喜ばせたい。
        俺にとって創作は苦しいものであるとは、思えないんだ。
        理論自体に文句がないのだとしたら、お前は何がそんなに腹立たしいんだ、アンリ。
        俺の、どこが悪いと言っているんだ。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 02:16:34
      • 俺にはさ、それはただの綺麗事に聞こえるんだよ。
        所詮物事を単純化して机上に載せただけの、温度のない理論に見えるのさ。
        言ってしまえば標語みたいなものでさ。細かい部分を詰めずに、こうだからいいでしょ? って言うディティールのない大枠にしか見えない。
        他人の為だからと、自己の研鑽不足を容認する言い訳にしか聞こえない。
        理論自体は正しいが、理論に則した行動を持って創作を行うとするならば、俺はアンタの創作も俺のように苦しむべきだと思うんだよ。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 02:20:49
      • 何故、そんな必要がある。
        ……俺には、そうは思えないな。
        嫌な思いをしたりさせたりして、何が楽しく、何が喜べるんだ。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 02:21:44

      • 男の糾弾に、男は両手を大きく広げて大声で謳う。 -- 2014-06-10 (火) 02:22:23

      • 俺はさあ、その理論自体は正しいと思うんだよ、本当にな。
        でもな、それを『他者』の為と定義したことは、圧倒的に間違いだと思ってる。
        アンタのそれは『他者』のためではなく『自己』のため、つまり俺と同じ理論なのさ。
        行う方法が違うから、根底にある動機が違うから、別枠に収まってるだけの破綻した理論だ。
        他者のために創作をやってる?
        そう謳われるたびに俺は反吐が出そうになる。
        誰かが喜んでくれるために筆を取る? 誰かが楽しんでくれるために筆を取る?
        そんな動機を持っていたら、アンタの理論では自分で筆を取る必要なんかないだろ?
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 02:25:08

      • 男は言葉を続ける。 -- 2014-06-10 (火) 02:25:26

      • 別にその他人はアンタの創作で喜ぶ必要はないんだ。
        もっとアンタより上手な、アンタより時間のある、アンタより素晴らしい物を生み出す人が一人いればさ。
        アンタは創作をする必要なんてなくなるだろ?
        理由を他人に求めて、他人のため他人のためなんて嘯いてるくせに、どうしてそうしないんだ?
        そういう意味では間接的に批判で創作をしていると謳うカフジェスのクソや書物自体を否定する奴らの方がまだ俺は許せるよ。
        でも、アンタは『他人を喜ばせたいから』なんて理由で創作の対象を他者だけに向けて、自己を省みることをしない。
        別にその他者はアンタからの創作で楽しむ必要もないし、それだけが楽しみなわけでもない。
        だったら、アンタが本当に他人を喜ばせるためだけに創作をやっているんなら、その自分より優れた人をおだてて喜ばせて、アンタより良い物を届けてもらったらいいじゃん?
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 02:29:13

      • 男は更に言葉を続ける。 -- 2014-06-10 (火) 02:31:11

      • だから俺はアンタが嫌いなのさ。
        他人の足を舐めることも出来ないプライドの檻の中で、自己や他者を研鑽の中にも置かず、
        ただ自分が何かを生み出し、それによって何かを得ようとしている浅ましさを認めようとしない。
        俺はさ、それこそが驕り高ぶってると思うんだよ。
        だってさ、その理論は自分の創りだした物が他人を喜ばせられるという前提の上にしか成り立たない。
        つまりは、自分の現在の能力が自分が喜ばせたい誰かを満足させるに足るものであるって広告を打ち上げてるのと同じだ。
        俺が死ぬほど苦しんで、手に入れて、磨き、削り、そうやってなんとかやっている物が、何の苦労もなく手に入ると思ってる。
        考えたことがあるか? 人間は刺激に慣れてしまえばそこで飽きるのさ。
        人生全てを掛けて『飽き』というものに挑んだシェルトのような人間もいるのに、何故アンタは自己の創作がもう現在の時点で他人を喜ばし、喜ばし続けられる物だと謳える。
        アンタより上手な創作家がその喜んでいる誰かに何かを提供しないと思える。
        俺は何度も何度もそういうことを経験して、今この老人窟でようやく一人の創作家として他人に剣を向けることができている。
        でもさ。君はどうだよ。俺のこの理論に対して、自分の理論で反論出来るかな……?
        俺を、正面に据えて、言葉の一つも返せるのかよ。なあ。『アナザーワン』。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 02:38:43

      • 男はその言葉を聞き、灰皿に置いていた煙草を再び吸う。 -- 2014-06-10 (火) 02:39:26

      • ああ、返せるさ。
        むしろ、返すことを期待しているお前にとっては、そちらの方が望むところなのだろう?
        ただ、その前に……俺は、ひと通りお前の話を聞いてそれなりに腹が立った。
        安心しろ、ただ一方的に捲し立てて気分を良くしているアンリという青年自体に腹が立っただけで、
        老人窟の住人としてのお前に腹を立ててるわけじゃない。
        だから、一言だけ、お前という存在に意趣返しをしておく。
        ――嫉妬だろ、それ。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 02:41:50

      • 男の言葉に、男は少しだけ苦笑して眉根を寄せる。 -- 2014-06-10 (火) 02:42:15

      • 俺はな、俺の理論は破綻していると思っていないし、俺の創作はその理論に則って行われていると思っている。
        俺の創作は他者を喜ばせるためにあるし、他者を楽しませるためにあると思っているよ。
        ただ、俺がその喜ぶ姿を見て楽しむという二次的な効果を全く度外視しているわけでもないのさ。
        要は程度の問題、お前より人間を、他者を必要としている、ただそれだけの話だ。
        この場合、重きをおいていると言ったほうが正しいだろうな。
        だから、お前が想定している、ある種高潔で、ある種俗物的な考えを以って全てを行っているわけでもないのは最初に告げておこう。
        -- 2014-06-10 (火) 02:45:11

      • 男は言葉を続ける。 -- 2014-06-10 (火) 02:45:25

      • 1つずつに反論するのは面倒なので、全てに於いて言えることを返してやろう。
        前提に条件に当てはまらない物を持ってくるのならば、条件に当てはまる物を持ってきても構わないわけだ。
        つまりは、俺が創作によって喜ばしている誰かは、ずっと俺の創作で喜んでくれる可能性もある。
        条件を単純にするために、俺が他者への創作で一切成長をしなかったと仮定しても、それで楽しんでくれる可能性もあるわけだ。
        そして、その楽しんでくれる誰かは、その相手が流転することもある。
        俺という人間が行う創作に飽きた誰かが去った後でも、俺という刺激に慣れていない誰かが来ることだってある。
        そういう意味では俺の創作が一定のレベルを保ってさえいれば、その組み合わせでいくらでも他人を楽しませ、喜ばせる事ができる。
        例え俺より上手い創作をする者が出てきたとしても、その相手と味が違えばこちらが好みだと言う者も出てくるかもしれないし、単純にその劣化だったとしても新しく生み出していく方に興味を持ってもらえるかもしれない。
        創作がある程度ドメスティックな側面を持つ以上、大衆に人気のある創作家はその全ての需要に応えられるわけじゃない。
        だったら、その時点で俺の創作は求められることになる。……アンリ、お前はそれを知っていて、極論をぶつけてきたんだろう?
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 02:51:09

      • 男の言葉に、男は肩を竦めた。 -- 2014-06-10 (火) 02:51:55

      • お前は単に嫉妬してるのさ。
        バカになりきれないくせにバカを羨んでるだけだ。
        高尚で高潔な創作をする自己を特別視し、もっと単純な動機で創作に挑んでいる者が許せないだけだろう。
        お前のそれはかくあるべしという理論ではなく、己がこうであるのだから他人もこうあるべきだという押し付けに過ぎない。
        中庸であることという極論を以って他者へ挑み、その極論の脇を己の能力で固めているだけだ。
        安易な方法で餌を貰う人間が許せず、本当は自分も餌が欲しいにも関わらず腹を見せる事が出来ない。
        だからお前は『エゴイスト』なのさ。
        自身の成長でしか他者を自分に惹きつけることが出来ないから、お前の創作はそんなに苦しく、そして孤独なんだと思うが、どうか。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 02:55:57
      • いやー、まあ、なんていうか。
        互いに互いのことしか言わないこれって会話になってんのかとは思うけどな俺も。
        まあ良くたどり着いた、良く認められたねとは褒めておくよ。
        俺にとってアンタの創作が他者のためにあるなんていうそれこそ高尚な言葉さえ否定させられればそれでよかったしね。
        そういう創作をするなら、俺たちはきっちりしっかり畑違いだし。
        俺はそんな創作をする奴には死んでも負けないから安心したよ。
        まあ創作頑張って、としか思えないね。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 02:59:12
      • 暇潰しだと言ったろ。創作家同士の会話にはなってない。
        俺もお前には負けるつもりはないよ。
        振り返ってみて、どれだけの人間を喜ばせる事が出来たかという点で採点をするなら、きっとお前には絶対に負けない。
        他人をどれくらい揺らせるかという勝負でも、俺は負けないと思うからな。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 03:01:11
      • いや、無理だろ。
        アンタの創作つまんねーもん。
        練りが足りない。積み重ねがない。甘えすぎ。
        何の価値も見いだせないくらいに劣悪だと俺は思うよ。
        むしろ必死にやってた昔のほうが輝いてたかも。これ助言ね。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 03:02:43
      • でも、その今の俺の創作を喜び、楽しみ、評価してくれる人間がいる。
        お前からの評価なんて、ただの一側面さ。
        このことについては、どう思う?
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 03:03:48
      • はらわたがさ。
        煮えくり返るよ。
        何が面白いのか、お前に面白さの何がわかるのかって、本人が泣くまで問い詰めたい。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 03:04:48
      • 丁重に扱ってくれよ。
        ……俺の創作のファンで、観客なんだからさ。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 03:08:33

      • 男の言葉に、男は笑う。 -- 2014-06-10 (火) 03:08:51

      • 死ねばいい。心の底から。
        精々見る目のないゴミどもに愛想つかされない、クソみたいな――いい創作を。
        -- アンリ 2014-06-10 (火) 03:10:14
      • お前はいずれ死ぬから死ねとも思わないよ。出来るだけ苦しむといい。
        誰にも理解されない、高尚で孤独な――いい創作を。
        -- ブライク 2014-06-10 (火) 03:11:11
  • ――おいおい、話をしようぜ? -- カフジェス 2014-06-05 (木) 00:22:19

    • 男は男に、虚ろな目で襲いかかった。 -- 2014-06-05 (木) 00:23:01

      • ハッハー、いきなり老人窟の玄関ぶちやぶって、ご挨拶なカス野郎だ。
        ヤクか? 魔術か? あるいは生まれつきのキチガイか?
        目がイってんぞカス野郎。刃物なんか持ちだしてどうする気だ?
        おいおい辞めてくれよ善良な市民に対してよ、社会への鬱憤の発露なら別んとこでやったほうがいいぜ?
        オレの言葉なんて便所の落書きよりも価値のねえゴミ中のゴミなんだからよ。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 00:25:57
      • 私は許可を頂いた。 -- 2014-06-05 (木) 00:26:34
      • ハァ? 誰に? 何の?
        んで、その許可が下りてから地球が何回回ったよカス。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 00:27:20
      • 私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。
        私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。
        私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。
        私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。
        私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。
        私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。私は許可を頂いた。 -- 2014-06-05 (木) 00:28:39
      • 聞こえたか? 話をしようぜって言ったんだ。
        つまりは会話だ。対話って言い換えてもいい。意思疎通しようって譲歩してんだよ。
        テメェの言いたいこと書き散らしたり言い散らしたりするのが会話だと思ってる畑のカスか?
        誰様が許可下ろしてくれたから陰茎尖らせて涎垂らしてんだよ。自慰なら他所でやれ?
        ……ああもう、わかったわ。テメェの正体。今まで気付かなかった方がどうかしてるってやつだな。
        おいカス。批判しか口にしねえせいで大抵の人間に嫌われるオレだが、そのオレが更に嫌いなもん教えてやるよ。
        ――オレは、テメエの言葉で語らないカスが大嫌いなんだよ。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 00:32:39

      • 男がナイフを突き出し、男はそれを避けて踵で頭を微塵に砕く。 -- 2014-06-05 (木) 00:33:38

      • ……意外にそこそこ脳みそ入ってやんの。
        ああ、面倒臭え。汚した奴が片付けるルールさえなけりゃこのまま腐らせとくのにな。
        それか、片付けまでしてくれんのかなぁ、グリードさんよぉ!! ハッハー!!
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 00:35:02

      • 男が笑声を上げると、女が出てくる。 -- 2014-06-05 (木) 00:35:32

      • ……酷いことをするのですね、カフジェスさん。
        一つの生命が潰えてしまったではないですか……。
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 00:37:04
      • でも、それも許してくれんだろ?
        優しい優しい『全寛容』さんはさぁ。おい腐れ女、テメェのせいで靴が汚れた。
        テメェ程他人に寛容にはなれねえんだから、野良犬に餌やってんじゃねえぞカス。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 00:39:46
      • ええ、許しましょう。
        彼がここで刃を取り出したのも、貴方がそれから身を守ったことも。
        全ては摂理の上で行われた自由意志の結果であるのであるならば。
        私などがそれに干渉しようなどというのは烏滸がましいことであると、そう思いますから。
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 00:40:53
      • 反吐が出る。他人の殺意を煽っておいていけしゃあしゃあと。
        言っとくが、テメェのそれが自動的なんだか能動的なんだか知らねえが、少なくとも『老人窟』の中にそれを持ち込むんじゃねえよ。
        ここじゃ『創作』と関係を持たない奴は邪魔なんだよ。違う畑で遊べ。
        あんな外界のカスを差し向けてれば、テメェが無罪だとか高くくってんじゃねえぞグリード。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 00:43:29
      • 全ては摂理がゆえ……最初から決まっていたのです。
        であれば、私はその全てを『許す』ことしか出来ませんから。
        私は、自らの無力を知っていますからね……。
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 00:45:05
      • グリード幹部の中で唯一の『一人も殺したことがない殺人鬼』が良く言う。
        テメェのそれはただ単に自分の手を汚していないだけだろうが。
        無力で最初から決まっていて、それを許すだ? テメェが動かずとも人が死ぬからテメェは満足してるだけだろう。
        いい加減自分の組織帰れ疫病神が。オレもそれなら許すぜ?
        正直言えばテメェの存在はアンリやエリサ以上にオレの主義と相性が悪ぃ。今すぐ殺してやりたくなるくらいにな。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 00:47:47
      • もし、本当に私のことが許せないのであれば、排斥していただいても構いません。
        私は、それも許しますので……。
        あるいは、それが正しき道なのかもしれませんからね。
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 00:50:15

      • 女が男に微笑みかけると、男は一層不機嫌になる。 -- 2014-06-05 (木) 00:50:41

      • そうなりゃテメエと一緒にオレも老人窟から追い出される。
        この場は『創作』以外で他人を殺すことだけは許されてねえからな。テメエが良くてもオレが嫌だ。
        ハッ、黙って殺されることがないからこそ叩ける大口だな。
        テメエが許しさえすりゃテメエの周囲の人間が何十人何百人と殺して回る殺人発生装置が何を許すってんだ。
        いいから消えろよ、オレはテメエが老人窟の中で二番目に大嫌いなんだからよ。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 00:53:03
      • ……そんな。
        私は、私の有り様は貴方の主義を傷つけるとは、思わないのですが……。
        貴方の主義が私の主義に反することも許しますが、後学のために何がそれほど貴方を苛立たせているのか、教えていただけますか……?
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 00:54:23
      • 一番端的に答えてやるよ。
        オレは『否定』から入り、テメエは『肯定』に抜けていくからだ。
        相反する意義の存在が同時に存在出来るわけがねぇだろ。
        もっと噛み砕いて言ってやるとな、テメエの主義とオレの主義は厳密には相反する主義ですらねえ。
        オレのは発射点でテメエのは着地点だ。分かるか、腐れ女。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 00:56:59
      • 『拒絶』と『容認』が相反する概念であることは理解出来ます。
        ですが、『容認』が『拒絶』すらも『容認』しているのであれば、お互いは不平等であれども共存出来るのではないですか?
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 00:58:04
      • 概念の上ではな。でもテメエの主義は厳密に言えば捻じ曲がってんだよ。
        オレの主義は『面白い創作以外の創作を批判する』だが、テメエの主義は『全ての創作を容認する』だ。
        振れ幅がねえ。最初からテメエの中で結論が出ちまってる。
        こっちがあくまで前提であるにも関わらず、テメエのそれは結論なんだよ。
        だから、テメエと話すことは何もないし、相容れることもない。以上。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 01:00:05
      • ですが、カフジェス様の主張も、最終的には全て『批判』で帰結しているではありませんか。
        聞くところによれば、貴方は今まで読んだ全ての話に対して『批判』を行っている。
        であれば、私の主義と変わりがないのではありませんか……?
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 01:01:17
      • そりゃ理論と現実の乖離だろうが。
        批判は楽しいし、批判しようと思って創作を読んでるわけだが、オレはもし最高の、非の打ち所もない創作に出会えたら賞賛すると思うぜ?
        生憎、そんな創作に今までお目にかかったことがないから、批判でしか自分の創作が出来ずに困ってるけどな。
        でも、テメエのは違うだろ。どんな創作であろうとも、存在を許し、許容する。
        程度の差があれば批判の程度も違うオレと違って、全てに100点を与える。
        その行為自体が気に食わねえんだよ。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 01:03:49
      • ……そうですね。
        私は、全ての創作を褒めてあげたいのです。
        だって、作ったことだけで素晴らしいじゃないですか。
        形にして、外に出せただけでも、それは素晴らしいことだと思うのです。
        誰だって完璧な創作を出来るわけじゃない、それでも、その人の精一杯を表に出せたということは、褒められて然るべきではありませんか?
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 01:05:14

      • 男は女の言葉にげらげらと笑う。 -- 2014-06-05 (木) 01:05:32

      • バァカ!
        褒められて伸びるやつなんて、創作者にいねえんだよ。
        持ち上げられたら腐る代物なんだよ創作っていうのはな。
        そりゃ一時的に速度や能力以上の物を出すことが出来るやつもいるさ。
        でもな、賞賛っていうのは減衰する。悦びの感情っていうのは強い刺激を求めるんだよ。
        褒められ慣れ過ぎて効きが悪くなってきたら、そのブーストも終わって、ただ肥大化した自尊心だけがそこに残るぜ?
        それにな、逆説褒められてそれだけの力を出せるっつーのは、褒められなくなったらその力を出せなくなるっつーことだからな。
        結局のところ、地力が育たずどこか無理が生じて破綻する。
        その結果何が生まれるか分かるか?
        安易に他人の賞賛を求め、他人の反応を求める肥え太った豚どもだよ。
        そういう方法を編み出しちまったらもうオシマイだわ。創作しなくても餌が貰える、許容して貰える環境にあれば、絶対にそいつは創作なんかしなくなる。
        テメエの主義は、そういう存在を生み出すんだよ。そういう存在に対して責任取れんのか? テメエ。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 01:10:04
      • ……なぜ、そういった存在に対して、責任を取る必要があるのですか……?
        その彼らでさえ、より効率良く自己の実現を果たすために進化したと見るべきでしょう……?
        辛いのなら辞めればいいですし、もっと楽しいことがあるのならばそちらを優先した方がいい。
        私は、それも許しますよ……? それもまた一つの、人間としての最大の創作ではありませんか。
        力を失った者が創作をしてはいけないというルールなんて、どこにもないんですから。
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 01:12:20
      • やっぱりオレはテメエが大嫌いだ。
        オレは少なくとも、オレの批判に対してさらなる批判を覚悟してるぜ?
        でもテメエは肥え太らせた豚どもが肥大化した自尊心で動けなくなることすら許して責任を取ろうとしていない。
        それすらも許すカスっぷりのせいで、その豚は永遠にそのサイクルから抜け出すことが出来ない。
        テメエは飼い殺しの天才だな。反吐が出る。安易に餌を与えたせいでほらみろ、テメエの足元で一人人が死んだぞ?
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 01:15:18

      • 男は足元に横たわる男の死体を蹴散らした。 -- 2014-06-05 (木) 01:15:41

      • ですが、一時でもその賞賛で彼らが伸びたこともまた、カフジェス様は認めておられる。
        でしたら、その一時に書かれた創作を楽しむことを、許容することは出来ないのですか……?
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 01:17:52
      • ああいいぜ。
        それは認めてやるよ。認めた上で問題点指摘してクソミソに貶してやるけどな。
        それでも、その良さだけはちゃんと批評して評価してやるさ。ただ、オレは言える。絶対にそのクオリティは維持出来ねえ。
        批評と批判、評価と賞賛だけを糧に人は空を飛ぶことはできねえのさ。
        そんなもんを燃料に他人の顔色伺ってるような話が、誰の心に響くんだよ。
        だからオレはそんな、他人の存在が介入する創作を創作とは呼ばねえよ。この世に共同で行う創作活動なんか、ねえんだ。
        他人の存在自体が俺に言わせてみれば『瑕』なんだよ。笑えるだろ。他でもないオレが言うんだからよ。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 01:20:46
      • 批評をする立場でありながら、批評の無意味さを説いているわけですか……。
        ある意味で、そこはカフジェス様の方が寛容なのかもしれませんね……。
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 01:21:39
      • それもまた、違う。
        少し違って全然違うぜ、グリード。
        オレは自分の批評を無意味な物だとは思っていない。
        オレがする批評の正しさは、オレ自身が自信を持って他人にお出し出来る質を持っていると自負してる。
        言ったろ。オレにとって『批判』とは『創作』なんだよ。この場合で言ったら二次創作になるのか? エリサのカス女思い出して笑えるが。
        だからオレはその『創作』に手を抜いたりしねえ。これに手を抜いてしまったら、オレは老人窟に居られなくなる。
        オレは全ての創作者に言うのさ。批判はする、だが鵜呑みにはせず、その中から言葉を掬い上げろってな。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 01:24:45
      • 難しいことを言いますね……。
        全てを受け入れるわけではなく、自身に有用な部分だけを受け取れと、そう仰っておられるのでしょう?
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 01:26:06
      • そうだよ。オレの意見なんて一つの側面から見た正しさでしかねえんだ。
        一番痛いところは他人じゃないと突けないから、一番痛いところを他人が突いてやってるだけだしな。
        それを受け入れるかは作り手次第だ。ただ、それを頭から嫌悪で否定してりゃそいつは絶対に伸びやしねえけどな。
        何故かって言えば、オレの批判は一つの側面から見たら正しいからだ。その側面からは絶対に見せないっていうんならどうぞ取り繕ってくれと思うよ。
        ただ、欠点っていうのは取り繕うもんじゃなくて、地道に一つずつ埋めていくもんだとも思うがね。それを怠れば、褒め太らせた豚たちのように一瞬で瓦解するだろうさ。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 01:29:27
      • それは、ですが言い換えれば、他者の変化全てに寛容になるということではありませんか……?
        カフジェス様は自身の批判がある種無意味である側面を許容されてらっしゃる……。
        で、あれば、私ともそれなりに仲良く出来るのではないかと、そう思うのですが……。
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 01:30:52
      • ――んじゃ、問うぜ。老人窟の住人。
        ずっと褒めてる奴が他人を褒めなくなったとき、どう思われると思うよ。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 01:32:07
      • ――お答えしましょう。老人窟の住人。
        そうですね……きっと、再び褒められようと、頑張るのではないでしょうか。
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 01:32:51

      • 男は再び笑声を上げた。 -- 2014-06-05 (木) 01:33:12

      • 話になんねえ。
        やっぱテメエとは仲良く出来そうもねえわ。エンプレス・グリード。
        永遠に可能性を潰していけよ。てめえの牧場の温度と居心地だけは保証してやるさ。
        テメエの牧場の豚どもに――いい創作を。
        -- カフジェス 2014-06-05 (木) 01:35:04
      • 挫折し、安寧の中で創作をすることを求めた者たちにも、創作をする権利はあると思うのです。
        きっと彼らは、彼らなりの良さを表現してくれるでしょう。
        緊張状態からしか生まれないものが創作であると、私は思わないからです。
        肥え太った鴨の肝臓が料理界で重宝されるように、恐らく彼らを欲する人もまた、居るのでしょうから。
        ――貴方にこそ、良き創作を。
        -- 『女帝』(エンプレス) 2014-06-05 (木) 01:37:49
  • ――話をしよう! ねえねえ、聞かせてよ、お話。 -- シェルト 2014-05-10 (土) 00:45:33

    • 跳ねる少年に、男は笑った。 -- 2014-05-10 (土) 00:45:57

      • そこまで意欲的に来られたら、俺みたいな人間は絆されるよなあ。
        俺はそういうの大好きだから、どんな話でもしてやりたくなるよ。
        OK、任せろ、シェルトの好きそうな話は大体把握してる。不思議だろ? そういうの、分かっちゃうんだよ俺。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 00:48:30
      • えっ、そうなの……!? アンリは凄いね……それって、お話を作っていれば誰でも分かっちゃうことなの?
        それとも、アンリだけが持ってる力みたいなものなのかな……魔術師なんでしょう、アンリは。
        -- シェルト 2014-05-10 (土) 00:50:36
      • そうだなぁ、まあ俺は少しだけ特別かもしれないな。いい意味でも悪い意味でも、じゃあないけど、どちらかと言えば悪い意味で特別なんだよ。
        そういう生き方しか出来ないから、そういうことが出来る、って言った方が正しいかもしれない。
        でも、そんなこと別にシェルトにとっても、他の老人窟の住人にとってもどうでもいいよね?
        俺がシェルトを大好きで、シェルトは俺のお話が大好き、だったらそれでハッピーエンドじゃない。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 00:52:27
      • そうだね……! 僕は面白い話を教えてくれるアンリのこと、大好きだよ!
        アンリは自分でお話も作れるし、そういうことを僕は出来ないから凄いなあって思うんだ。
        -- シェルト 2014-05-10 (土) 00:53:23
      • うーん、あんまり褒められると体調崩れるから勘弁してほしいなあ。
        特に面と向かって言われるとなんて返していいか分かんないわ。余りにも稀有な体験すぎて。
        でもまあ、少なくともシェルトが本心で言ってるのはわかるし、そういう意見もある、くらいに受け止めておくよ。
        んで、なんだっけ、話か。ちょっと待ってて、何個か終わらせたのあるからさ。
        じゃあ、多分シェルトは大好きだろうから、この『良い魔王と悪い勇者』のお話を貸そう。
        きっと気にいるだろうと思う。俺も中々面白い物が描けたと思ってるから。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 01:12:54

      • 男は少年に本を渡す。 -- 2014-05-10 (土) 01:18:26

      • うわあ……面白そう。
        まだ読んだことのない話って、見るとワクワクするよね……!
        -- シェルト 2014-05-10 (土) 01:22:29
      • そうだなぁ。ただ、それをこじらせるとリリシアーナみたいに「絶対に面白いであろう次の一作を読まない」ってこじれ方するから、程々に消費していきなよ。
        創作や話なんていうものは消費しなければ腐っていくし、時代に取り残されていく可哀想な存在なんだ。
        どんないいアイデアだって虫干ししなけりゃ端から腐っていくしな。ままならないもんだ。
        でもまあ、俺は俺の作る話の面白さだけは、誰にだって胸を張って勧められるから安心するといいよ。
        結果合う合わないはあるだろうけど、多分だけどこの話はシェルトに合うと思うから。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 01:30:14
      • アンリがそう言うなら、きっと面白い話なんだと思うよ。
        ありがとう、アンリ、感想絶対聞かせるから、覚悟しておいてね。
        あっ、カフジェス程は酷評しないから安心して!
        -- シェルト 2014-05-10 (土) 01:31:19

      • 少年は本を片手に笑顔で去る。 -- 2014-05-10 (土) 01:31:35

      • ……さあ、そこでこじらせ女の登場だが?
        青少年に悪影響を与えないでほしいものだ。他者の噂というものは思った以上にバイアスが掛かると誰よりも知っているはずだろう。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 01:32:58
      • だって事実じゃない、リリちゃん。実際俺らみたいな創作畑にいる人間にとって、その信念は冒涜に近いよ。
        だからちょっと青少年を通して当て擦りをするくらいは許して欲しいもんだと思うよ。
        だって、「面白いから読む」、「面白くないから読まない」、これならどっちでもどうにでもなるのに、「面白そうだから読まない」なんて信念で来られたらさ。
        俺たち創作畑の人間はどう対処すればいいのさ。読んでもらうために。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 01:34:55
      • 安心するといい。どの道読んだところで満足などという物は得られないだろうからな。
        わたしは物事の本質を表現するときにその含有する全ての情報を伝えない言語という概念がとりわけ好きではないのだ。
        が、故に言語で綴られている本という物それ自体にさほど興味を抱くことは出来ないのだよ。
        だからわたしは本を開かないのさ。文字が書かれているという情報を確定させないためにな。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 01:37:11
      • 口がないお客様が来店した時に出せる料理なんかないよ。店の外で光合成してればいいさ。
        で、何かな、俺に話しかけてくるなんて珍しくない? 何々?
        絶対に俺の創作に興味を持つことはありえないリリシアーナちゃんが俺に話しかけてくる理由って何? 俺自身に興味あるとか気持ち悪いこと言わないよね?
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 01:38:57
      • 真逆。
        わたしは同類は嫌いなんだよ。
        キミのような生物は男性として以上に人間として咀嚼しがたい。存在しているだけで破綻が見られる。
        かつて隣国の大学に居た頃にキミと似たような「破綻した存在」を見たことがあるが、それも例外なくわたしは嫌いだったからな。
        だが、嫌悪をしていることと、わたしがキミに興味を持つことを気持ち悪いと表現されることは、また別問題だ。
        キミ、レディに対して失礼だろう。
        実際にはそんなことはないが、わたしのような少女に好かれることは、わたしがキミを嫌っていることを棚に上げてでも喜べよ。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 01:43:56
      • 『お前のことは嫌いだが、もしお前のことが好きだとした仮定に対しては喜べ』って凄いこと言うよね、リリちゃん。確定されたぬか喜びじゃない。 -- アンリ 2014-05-10 (土) 01:47:40
      • それについても安心すればいい。キミがこれから出会う喜び全てが、きっとぬか喜びだ。一つの例外もなくな。
        要件は一つ、わたしの暇つぶしに付き合え。
        シェルトに物語を貸したな。
        毎度毎度、飽きもせずに芝居を打てるキミの感性はやはり人間のそれではないと思うよ、わたしは。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 01:49:27

      • 女の溜息に男は笑う。 -- 2014-05-10 (土) 01:49:40

      • そういうのを語るときはさ、しっかりわかりやすいように語った方が楽しいと思うよ、リリちゃん。
        まあリリちゃんは話を創らないし分かんないか、その辺。
        俺がシェルトにあの物語を貸すのはこれで300回目くらいだってこととか、
        その度にこれと同じようなやりとりをしてることとか、言葉にしちゃったほうが滑稽で面白いと思う。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 01:51:35
      • わたしは他人の生き様や性質を嘲笑う程人間として破綻しているつもりはないだけさ。 -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 01:53:16
      • 嘘吐けよ。
        リリちゃんは単に嘲笑う対象に自分が嘲笑っていることが伝わらないならそれをしないだけだろ?
        実際そうじゃなきゃ、キミの性質は老人窟に存在する必要や意義すらないものだ。
        自分より本に拘泥している人間を下の存在として嘲笑いたいが為に、本自体を否定しに来てるのさ。
        シェルトの性質を嘲笑ったところで、シェルトが一人の人間の価値観として完成されていれば、それはただの愚痴になってしまう。
        揺るがない相手への悪態程、自分が惨めに感じることはないだろうからさ。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 01:58:21
      • まるで理解以上の共感が出来るような口ぶりと口の回り様じゃないか『エゴイスト』。
        自分が漠然と思考している物に対して明確な器を与えれば誰もがその器に収まると思うなよ?
        わたしは単に、シェルトという少年の生き方、生き様を認めていて、性質にもしっかりと理解を示し、
        その上で共感までは出来ないが為に彼を否定する必要などないとそう考えているだけだが?
        立派じゃないか、彼が何年前からあれを続けているのかは知らないが、彼の有り様は読者としては一つの完成形に思える。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:01:35
      • ……話の中心ズラすしな。だからリリちゃん苦手なんだよ、俺は。ムカつく。
        ああ、まあシェルトはいい子だし、いい読者だよ。
        だから俺も少しくらい小芝居に付き合ってもいいって思えるくらいに『人間として破綻しているつもり』はないのさ。
        読み終えた本を必ず忘却すればいつだって手に取る本は新作だもんな。
        正直羨ましくもあるよ、俺が作り手じゃなく読み手だったらああいう生き方もありかと思ってる。
        俺も物語で一番重要な物はサプライズだと思ってるからな。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:04:18
      • ただ、読書によって情報の蓄積をすることは出来ず、
        読書を通じて自己の感性を育てる事も出来ない。
        本が完全なる娯楽の性質しか有しないのであれば何の問題もないだろうが、その点は書き手としてどう考えている?
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:05:30
      • 別に。どうとも。
        読み方まで指定しなきゃならない物書くつもりはないし、人が本に求める物なんて人それぞれだろ。
        娯楽としての側面も理解出来る以上、それを否定するなんて死んでもしたくないし、そういう側面からでも俺の本を手にとってくれるならそれは俺にとっては喜ばしいことだ。
        俺にとってそれは別段重要なことじゃない。
        逆に言えば、それくらいの欲求がないなら、こんなこと続けられる訳がないだろう。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:09:21
      • へえ。思ったよりも真摯に答えてくれるんだね。
        はぐらかされるとばかり思っていたので、本当に暇つぶしだったわけだけど、そこそこに面白いよ、その話は。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:10:13

      • 女は二度頷いた。 -- 2014-05-10 (土) 02:10:24

      • 俺がはぐらかすのは聞かれて答えられないことと、今は言うべきことじゃないことだけだよ。
        別に誰に後ろめたさも感じずにただ好き勝手やってるだけのことを説明してるだけだしね。
        シェルトだってそうなんだろうさ。
        自分が物語を読むことが面白くて仕方がなかったから、それ以外の全てを切り捨てたんだ。
        自分が楽しむ為だけに、自分の成長や研鑽を止めた、ある意味俺と真逆の生き方だけどそこにはしっかりとした信念と欲求がある。
        共感は出来ないけど理解は出来る、っていうこの老人窟の人間が好んで使う表現の体現者だ。
        同じ話を何度も何度も楽しめるならば、この世はきっとシェルトの主観にしてみれば天国のようなものなんだろうな。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:13:53
      • それは、勝手に外野が決めていいものではないと。そう言うわけだね。
        彼が物語を愛しても、物語が彼を愛し、育ててくれないことは客観から見た悲劇であって、
        それを憐れむのはお門違いであると、キミは言いたいわけだ。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:15:26
      • そりゃそうだろ。
        何が幸せか、何が楽しいのかを他人が決める人生なんて、きっと最悪だぞ。
        他人がいいと言う物、思う物しか好めない量産型の人生送るくらいなら俺は死んだほうがマシだと思ってる。
        他人がなんと言おうが本人が幸せなんだとしたら、永遠に少年の心の中に閉じこもったシェルト少年は少なくとも老人窟の中ではトップクラスに幸福な存在だと思うよ。
        実際、あいついくつなんだろうな。
        時々エンプレスとかにじゃれついてるの見ると、少年とお姉ちゃんって感じで中々絵になるんだが、もしかして俺たちより年上かもしれないな。
        魔術師ってこれがあるから面倒臭いんだよ。リリちゃんだって実際は俺よりずっと年上なわけじゃん。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:19:13
      • レディの歳を詰まることも気遣うこともなく真正面から口にするなよ。
        まあ事実だろうから仕方がない。実際、キミなどはわたしから見れば尻の青い子供に見えるのも確かだ。
        キミがキミの進む道の上でへし折れればいいと本気で思っているよ。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:21:08

      • 男は小さく笑った。 -- 2014-05-10 (土) 02:21:20

      • まあ、だろうなと思うよ。
        老人窟の顔が割れてる人間の中で、一番寿命が短そうなのは俺だからな。
        実際何回殺しても死ななそうな連中ばっかりで、肩身が狭いしな。
        それこそリリちゃんの言うように、それは事実だから否定することもないよ。
        きっと俺は、創作の苦しみの中で、苦しみながら死んでいくんだと思ってる。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:23:20
      • ほう、それは興味深いな。
        ――問おう。老人窟の住人。
        創作が生き甲斐とする、アンリ=アルジェントを以ってしても、創作は苦痛の中にあると?
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:25:02
      • ……クソほどアホな質問だな。
        ――答えよう。老人窟の住人。
        そんなの当たり前だろ。創作なんてもんはどんな分野であろうが、どんな天才がやろうが、苦しくて仕方がないもんだろ。
        と同時に最高に気持ちがいいからこそ、自慰を覚えた猿みたいに毎日毎日やってんだ。当たり前過ぎるだろこんなの。
        正義の反対は別の正義、くらい聞いてて鳥肌立つレベルの言い古されて使い古された言い回しだわ。
        ぬるま湯の中に居たら、人間はどんどん腐っていくからな。別に腐りたきゃ腐っていけばいいだろ。
        腐った先にワインになる果実だってあるわけだからさ。
        ただ、腐った果実は他の果実も腐らせるから、住み分けは大事だけどな。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:29:53
      • いやあ、気分がいいな。
        キミがキミが大好きな物のために苦労をしているのだと思うと、わたしは最高に気分がいいよ。
        せいぜい頑張って欲しいと嘲笑いたいような気持ちだ。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:30:52
      • せめて最後まで取り繕えよ。
        他人の生き様や性質を嘲笑う程人間として破綻してないんじゃなかったのか?
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:32:21
      • それはその他人が他人であるときの理論だろう。キミは他人じゃない。人じゃないからな、わたしに言わせれば。
        なのでキミの苦しみはわたしの舌の上に甘いし、キミが苦労して何かを作っていると知ってよりキミを嫌いになれそうだよ。
        わたしはさ、頑張ってる青年を見るとちょっかいを掛けたくなるんだよ、昔からさ。
        可愛いだろう?
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:34:31
      • うーん、控えめに言って死ねばいいなって思う。
        俺は他人の足を引っ張る奴が大嫌いだから、尚更。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:35:11

      • 男が笑うと女も笑った。 -- 2014-05-10 (土) 02:35:24

      • まあ、リリちゃんじゃ俺の足を引っ張ることすら出来ないと思うけどね。
        はっきり言ってリリちゃんと俺とじゃ人間としてのランクが二つくらいこっちの方が上だから。
        正直言ってリリちゃんの何一つに興味を持てないし、何も生み出さない人間を俺は人間扱いするつもりないからさ。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:37:11
      • わたしは気が向いた時以外キミにちょっかいを掛けるつもりはないよ。
        老人窟のことを、わたしはわたしなりに楽しい場所だと思っているからな。
        わたしは集団に属すのが、集団を破壊するのと同じくらい好きなんだよ。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:39:00
      • うっわ。マジ俺が何か話書くとき絶対にプレイヤーとして居てほしくないわリリちゃん。
        嫌いだわー。シェルトの方がまだ他人に迷惑掛けないだけ、無能としてもランク上だわ。
        なるべく早く死ぬか俺の目の前から居なくなってほしいって願っとくわ。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:41:56
      • 表面上は仲良くしようじゃないか。そういうのは得意分野でね。
        ――さて、そろそろお昼だが、キミはどうするんだい、読書の予定でも?
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:42:56
      • いや? 別に。
        何か食いに行こうかなって。行く?
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:44:14
      • おや、再三言ってきた甲斐があって、しっかりとレディの扱いを弁えてきたじゃないか、アンリ。
        何処か宛てがあるのなら、ご一緒しようじゃないか。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:45:16
      • んー、別に宛てって宛てがあるわけじゃないけど……。
        まあ、いいか、適当に探そう。
        では、レディ、このアンリ=アルジェントがエスコート差し上げましょう。
        ――お手を。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:46:49

      • つまらなそうに女は差し出された手を弾く。 -- 2014-05-10 (土) 02:47:16

      • そういうのはいい。
        ドーナツが食べたいな。甘いものを昼食としたい。
        ほら、どうした、エスコートするのだろう? グズグズしないでほしいな。
        -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:48:12
      • うーん、俺割りとリリちゃんのそういうところは嫌いじゃないなあ。
        んじゃ、まあ礼儀なので……どうでも――良い創作を。
        -- アンリ 2014-05-10 (土) 02:49:23
      • そう来るか。じゃあこっちも、やらなくても――良い創作を。 -- リリシアーナ 2014-05-10 (土) 02:49:51
  • ――話をしよう。 -- リリシアーナ
    • いいぜ?
      あんまりにも暇で、大人しく読書なんてしてるくらいだからな。
      -- カフジェス

      • 男の前に女が座る。

      • ここに居れば、嫌でも読書くらいするだろう。ここは老人窟だ。
        書物に触れない人間が居ていい場所じゃあない。
        -- リリシアーナ
      • ぶっは、面白え。最悪のカスジョークだがアンタが言えば最高の皮肉だな、クライメンツ。
        しかし読みたくもねえもん読んでる時の苦痛ったらねえな。死ぬほど詰まらねえわこの創作。
        誰だよ老人窟にこんなカスみたいな本置いたの。詰まらねえにも程があるぞこれ。
        多分シェルトのガキだろうな。こんなもんでも楽しく読める奴は。
        -- カフジェス
      • 寡聞にしてその本については読んだことがない。
        良ければキミなりの批評を聞かせてほしいものだ。わたしは他人の批評を聞くのが好きでね。
        -- リリシアーナ
      • 何が寡聞にしてだ。鉄板ネタでも重ねられると冷めんだよ。
        ここにどんな本があったとしても興味の一つも持たずに絶対に読もうとしないだろ、アンタは。
        -- カフジェス
      • 間違ってはいない、が、正鵠を得てもいないな。
        わたしは興味がないから読書をしないのではなく、興味があるから読まないでいるんだよ、カフジェスくん。
        言い換えればレディの複雑な乙女心というやつかもしれない。相思相愛であるよりは恋焦がれている方が楽しいのさ。
        -- リリシアーナ
      • そんなナリして良くレディだの乙女心だの言えるな。背のことじゃねえぞ。服装のことだ。
        まあ、スーツ着ようが何着ようが別にどうでもいいけどな、オレは。
        んで、感想だったか。ちょっと待て、あと2ページで全部読み終わる。
        ………。
        ……ああ、最後まで読んだがカスだなこれは。適当に端折るけどいいか。まあどうせ読まねえだろうしざっくりネタバレ含めるぞ。
        -- カフジェス

      • 女を前にして、男は本を片手に両手を広げる。

      • 概要は普通の冒険活劇だ。主人公が世界を救う為に困難に立ち向かうって言うのが主軸だ。
        色々設定に変化球を織り交ぜてはいるが、基本的に今まであった話の焼き直しだ。
        恐らく市場で一番ウケがいいテーマに乗っかったんだろうな。だから圧倒的に練りが足りてねえ。
        一人称で語られる物語なんだから主人公の内面はいくらでも描写出来る以上、ある程度共感、さもなくば理解させなければならない主人公の主張が、
        場面によってふわふわと移ろってきっちり定まってない。結果共感も理解もできない、シナリオにおいて便利な存在にしかなってない。
        その癖場面の描写は主観にも関わらず正確に羅列するもんだから情報に偏りが生じて、主観がその状況やバックグラウンドを利用しない理由が分からなくなっている。
        例えて言うならば自警団とか騎士団とかいうリアルに存在するいわば法的拘束力を持つ存在になぜ頼らないのかの説明がない。
        だから主人公の行動が全てエゴむき出しに見える。結果理解も共感も出来ないくらいふわふわとした便利な存在のエゴっていうちぐはぐさを生み出してる。
        -- カフジェス
      • キミは割りと対象年齢が低めの作品も読むんだね。
        それが一番意外といえば意外だったよ。
        -- リリシアーナ
      • そうでもねえぞ。専門用語を逐一説明したり、兵法について語りを入れたりしてるから、恐らく対象年齢は普通の冒険活劇より若干上だ。
        かといって専門知識を学ぶことを主目的とした話の作りになっていないがために、その部分もただ作者が知恵や知識をひけらかしたい為だけにねじ込んだ場面に見える。
        しかも良く調べもしていない、聞きかじりか調べたてホヤホヤの底の浅い理論を、世界を隔てたことでの常識の違いで上手く包んで分からないようにしてやがる。
        これはそういうものだっていう植え付け自体は批判する程じゃないが、それにしては文量も少ないし、文質も悪すぎる。
        明らかに手を抜いてる後が見えるのが最悪だ。このくらいできっと頭が良いと思ってもらえるっていう舐めがあるのが読んでて死ぬほど苦痛だったよ。
        例えるなら定食屋で美味い物を食おうと思って来たのに、いかにその料理がいい素材を使っているか、その素材はどういう人間しか手に入れられないかを説明されてる気分だったよ。
        -- カフジェス

      • 男はバンバンと本の表紙を叩く。

      • 着想は認める。ただその着想に酔い過ぎてて圧倒的に練りが足りない。
        既存の冒険活劇に香辛料を振りかけて自分なりにアレンジしたつもりになっているんだろうが、そこ止まりで後味にまで気を配れてない。
        その着想によって生じる歪みというべき細かいバグ取りをしなかったせいで、こっちの頭の中で正常にシナリオっていうプログラムが動かなくなってる。
        実際作者に面と向かって口頭でこの話を語られたらいくらでも矛盾は突けるな。お前の話は駄作だよ、って懇切丁寧に説明出来る。
        実際読んでて最高にイライラしたわ。何せ行動の理念が良く分からないカス男が、自己満足の為に行動を起こして、その行動が正義として成功していくんだからな。
        取り巻きの女も脳みそしっかり搭載されてんのかって思うようなカス女か、身体が性器で出来てんのかって言うくらいのクズ女しか出て来ねえ。
        10ページ過ぎた時点で、何を楽しみにページ捲ればいいのか分からなかったくらいだからな。
        それくらい見どころも落とし所もヤマもオチもない最低のクソ作品だったよ。題名ももう忘れたわ。
        -- カフジェス
      • 10ページ目の時点でそう思っていたのならば、途中で辞めることも出来ただろうに。
        キミの面白いところは、それだけ確信めいたつまらなさを見抜いていながら、必ず最後まで読むところだとわたしは思うよ。
        -- リリシアーナ

      • 男は大笑いする。

      • 冗談! 途中で読むの辞めろってか? ありえねえだろそんなの。
        次のページから最高に面白くなったらどうすんだよ。何の文句も問題もないくらいに最高のストーリーが始まったらどうするんだよ。
        残りの人生ずっとこの本だけを繰り返し読み続けようみたいな超名作だったらどうすんだっての。
        今までそういう物に出会ったことがないから、それが運命の本じゃないって判断、途中じゃ出来ねえしな。
        だからきっちり最後まで読んで、完全にカス、完全に駄作だったと知れてホッとしたよ。
        あんなもん読む価値ゼロ、目を通す必要なし、ただ文字が連なってるだけ、時間の無駄だわ。
        -- カフジェス
      • なるほど、それは道理だ。
        だとするなら、わたしは永遠にその運命の本に出会えない愚か者であるとキミの目には映っているわけだ。
        -- リリシアーナ
      • いや? オレは案外クライメンツのことは同類側だと思ってるぜ?
        アンタが本を読まないのは、まだ読んでいない次の一冊こそが最高傑作であると思ってるからだろ。
        シュレディンガーの何とかじゃねえけど、まだ未知の物っていうのは可能性っていうオブラートに何重も包まれてるから、その味が甘露か辛酸か分からないもんな。
        オレは1つずつ詳らかにしていくことを選んで、クライメンツは1つも詳らかにしないことを選んだ。
        だったら行動が異なるだけで発想は同じところにあると思ってる。
        実際、駄作に時間を掛けてるオレの方がよっぽど人間としては愚かだよ。
        -- カフジェス

      • 小柄な女は静かに微笑む。

      • 『批評家』をしてそう言わしめるのであるのだから、それは正確な観測であるのだろうね。
        随分と買って貰っているようで嬉しいよ。
        -- リリシアーナ
      • 『瑕探し』って正確に呼べよ。でないと、同じ穴のムジナ扱いされてるのに、アンタが気づけないだろ?
        言っておくがオレと同類なんていうのは手放しで喜べるもんじゃねえぜ?
        だってそうだろう。オレはオレのことは大好きだし、一番好きなところを問われたら性格が悪いところだからな。
        -- カフジェス
      • と、いうことは、わたしはキミに性格が悪い同類だと言われていることになる。
        ……失礼な、レディに向かってその物言いはないだろう?
        -- リリシアーナ

      • 女は小さく笑った。

      • オレはさ、この老人窟の中で一番、他人の創作が大好きなんだよ。
        だってクソミソに貶せるし、本人が気づいてない粗みたいな物を、相手の攻撃できないところから好きなだけ突けるだろ。
        一方的な暴力程面白いものはねえと思ってるオレにとって、この老人窟は最高の止まり木だよ。
        アンリとかエリサとか絶対にオレが殺してやろうと思ってるしな。
        -- カフジェス
      • ……彼らは、わたし達と違って自分で筆を取るからね。 -- リリシアーナ
      • 正直カスかって思うわ。良くもまあクソ詰まらない話を読むのの何倍もの時間を掛けてシコシコ書けるもんだなってな。
        そういう意味ではオレは読まないアンタより、書いてるアイツらの方が馬鹿で愚かだと思ってるよ。
        その筆を執ってる時間で何本の話を読めるってんだ。時間の無駄にも程がある。
        -- カフジェス
      • キミが書物を批判し、批評するように、彼らもまた彼らなりの価値観というものがあるのだとわたしは思うよ。
        その価値観を作品として体現したいがために、キミの言う馬鹿で愚かな行為であるところの執筆活動を行っているんじゃないかな。
        -- リリシアーナ

      • 男は鼻で笑う。

      • んで、それだけの時間を掛けて作った物を、オレみたいな遠慮のないやつにクソミソに貶されるわけだ。
        客観論と主観論を交互に使って、滅多殴りにされて、また筆を取るんだよな。生涯で何本書けるかも分からない、カスみたいな駄文を。
        笑えるわ。それなら別の分野で大金の1つでも稼いで、ノウハウある人間に手当たり次第に書かせればいいじゃねえか。
        自分の中にある理想を体現したいっていう欲求に、自分の手を煩わせる理由がどこにあるよ。
        それかあれだろ、やる気も能力もある人間に、オレみたいに何かと注文つけて批評で強制して、理想の話書かせる方がなんぼか早いだろ。
        分かんねえな、あの手の人間の考えることは。自分で何かを作れる自尊心に酔ってるとしか思えねえわ。
        -- カフジェス
      • ……キミは本当に楽しそうに他人を評するね。 -- リリシアーナ
      • 当たり前だろ? オレはそれが楽しくて老人窟に居るんだ。
        もっと言うなら、オレが何かの作品を見るのはその作品を批評して、粗を突いて、悦に浸るためだよ。そのためなら駄作だろうがなんだろうがしっかりと真摯に読み込んでやるさ。
        オレはそういう意味じゃ老人窟の中で一番幅広く書物を愛していると言ってもいいだろうな。何せ批評の対象になるならジャンルだろうが出来だろうが全然問わない雑食だからな。
        -- カフジェス
      • 色々な楽しみ方があるんだね。わたしなんかはキミやアンリ君がそうやって物語について話しているのを又聞きするだけでもかなり楽しいんだ。
        そうやって未知でありながら興味を煽り、感性を刺激されるのが楽しいから老人窟に居るとも言える。
        -- リリシアーナ
      • いいんじゃねえの? だって楽しみ方は人それぞれだって皆口を揃えて言うもんな。
        だったら問題点指摘して、作者の浅慮さを指摘してやるのが楽しくてしょうがないオレみたいな奴も、優しい皆は認めてくれるってわけさ。
        -- カフジェス
      • いい趣味をしている。良く言われているだろうけどね。
        同時に、キミのような生き方は少しだけ尊敬も出来る。……何かを批評したり批判したりするのは、それなりに労力が掛からないかい?
        -- リリシアーナ
      • そうでもねえかな。生まれつきそういう人間なんだよ、オレは。
        そういう生き方が楽しいのさ。楽しいことはやるべきだって、あのアンリのカスも言ってたしな。
        -- カフジェス
      • しかし、勿体無くはあるな。
        先のキミの論理だけを聞いていれば、逆説そこだけを補正した話ならばキミの評価に足りるということだろう?
        だとするならば、やはりキミの理想の話に一番近いのはキミ自身じゃないかと思うのだが。
        -- リリシアーナ
      • だから冗談きついっての。絶対にオレは創作なんかしねえよ。
        あんな見返りのない、時間ばっかり掛かるようなこと、死んでもゴメンだ。
        それにな、何も話を書くだけが創作じゃないだろ。そういう意見を他人に聞こえるように口にすることで、或いはその作者が言葉の影響を受けてオレ好みの作品を作ってくれるかもしれない。
        それは、一番労力の掛からない創作だと、そう思わねえか?
        -- カフジェス
      • その辺は、あまりなんとも言えないね。
        ただ、自分が出力をしないという点で言っても、わたしとキミの創作活動は似ているのかもしれない。
        わたしがわたししか必要としないように、キミは他者しか必要としていない、それくらいの違いかもしれないな。
        -- リリシアーナ

      • 女の言葉に男は低く笑った。

      • 創作の畑でこういう生き方をしてるとな、必ずと言っていいほど言われる言葉があるんだよ。
        どんな分野であろうが、どんなジャンルであろうが、絶対にどこかの馬鹿が一回はオレに向かって吐く言葉があるんだ。
        オレは、それを聞くのが大好きでな。
        -- カフジェス
      • ……それについては、何故かわたしはどういう言葉なのか分かる気がするよ。 -- リリシアーナ
      • へえ、そうかい?
        ――じゃあ、問おう。老人窟の住人。
        オレが言われると、最高に気持ちが良くなる言葉は、一体何だと思う、リリシアーナ=クライメンツ。
        -- カフジェス
      • ――答えよう。老人窟の住人。
        恐らくだが……。『そこまで言うなら、じゃあ自分で書いてみろ』……ではないかな。
        -- リリシアーナ

      • 男は手を叩いた。

      • やっぱ、アンタ同類かもな。
        微塵も嬉しくはないけどな。
        -- カフジェス
      • かもしれないね。
        じゃあ同類のキミに少しばかり願って、話を締めくくろう。
        じゃあね、カフジェス――良い創作を。
        -- リリシアーナ
      • アンタにこそだ、クライメンツ――良い創作を。 -- カフジェス
  • ――話をしようか。 -- アンリ 2014-05-08 (木) 23:25:23
    • 話をするのが大好きな俺達の為に、話をしよう。
      昔々あるところに、一人の貧しい少女がおりました。
      冬の寒い最中、少女は街頭でマッチを売っていました。
      -- アンリ 2014-05-08 (木) 23:30:21

      • 女はそれを本を閉じて遮る。 -- 2014-05-08 (木) 23:31:14

      • 炎の中に見えた幻想と共に翌日には冷たくなるのでしょう?
        ……つまらない。
        理由を3つあげる。
        1つ、もうすでにその話を私が知っているから。
        2つ、それは貴方が作った話ではないから。
        3つ、貴方から聞く話は全て面白くないから。
        -- エリサ 2014-05-08 (木) 23:33:56

      • 男は肩を竦める。 -- 2014-05-08 (木) 23:34:15

      • つまりは俺は俺の作った話を俺の口から喋らなければいいのか。
        ああ、良かった。まだ俺の話を聞いてくれる気、あるんだ。
        それは凄い嬉しいことだよ、俺にとってはさあ。
        俺のことは大嫌いで大嫌いで仕方がないだろうけれど、
        俺の言葉だけはしっかりと聞いてくれる君のことが、俺は大好きだよ。
        -- アンリ 2014-05-08 (木) 23:36:09
      • ありがとう。
        私は貴方の作る話は少しだけ好きだから。
        不完全でチグハグで穴だらけで取り繕ってあって視野が狭くて特定の人間しか楽しめない話ばかりだから。
        ……だから私は貴方の話が大好きよ、アンリ。
        -- エリサ 2014-05-08 (木) 23:37:34

      • 男は女の対面の椅子に座る。 -- 2014-05-08 (木) 23:38:02

      • こちらこそありがとう。最悪で最低の反吐が出そうな賞賛だ。
        俺のことをちゃんと理解していないと出てこない抉り方してくるよね、エリサは。
        その辺カフジェスとは違うと言いたいところだけど、俺にとっては誰も彼も残念ながら同じにしか見えないんだ。残念ながら。
        でもいいよね、いまさら君に気なんか使わなくても。
        -- アンリ 2014-05-08 (木) 23:41:45
      • 構わないわよ。私は貴方がどんなに取り繕っても、根底に真っ黒な物が沈んでいることを誰よりも理解しているもの。
        私は貴方程他人に失望していないのだけれど、貴方にだけはしっかりと失望してしまえているの。
        貴方が何を言おうが、何を思おうが、全く以って興味はないの。
        貴方がどんな気持ちで話を書いたか、貴方がどんな気持ちで物を作ったか、そんなところまで理解しようとしてあげられなくて、ごめんなさいね。
        -- エリサ 2014-05-08 (木) 23:45:03
      • 俺はそれが理想だとも思うけどね。俺に興味を持ってくれることから、引いては俺の話に興味を持ってくれるなら万々歳だよ。
        そういう意味では、エリサみたいな人にこそ読み、語って欲しいところだと、俺は思うんだけど。
        -- アンリ 2014-05-08 (木) 23:47:44
      • 無理ね。貴方が私にする話は、私向けに創られすぎている。
        貴方は一般大衆という広い何かに向けて物を投げる事が出来ないのだから。
        だからその中の一つをめがけて、そこから広がる波紋で水面を揺らすことしか出来ない。
        そうすることで、貴方の創り出す全てが恣意的であり、作為的に映ってしまう。
        とりわけ、そういった話の作り方をしている貴方の創作は、私の方を向いていれば向いている程、胸が苦しくなるくらい詰まらないもの。
        -- エリサ 2014-05-08 (木) 23:50:20

      • 男が両手を上げる。 -- 2014-05-08 (木) 23:51:12

      • 気ぃ使いなんだよ。君達が思う以上にさぁ。
        -- アンリ 2014-05-08 (木) 23:51:46
      • 嘘ね。貴方は単にそれしかやり方を知らないだけ。
        貴方風に言うとしたら、ただ能力が足りていないだけよ。
        -- エリサ 2014-05-08 (木) 23:52:56
      • 身につまされるね。誰かに向けて放った言葉は、等しく自身の身にも返ってくるものだしね、往々にして。
        そういった側面もあるとは思ってるよ。でも本当に自己が自己で完結しているとするなら、他人に物を見せて同意や反発を得ようとすると思うかい?
        そういう意味ではさ、俺にだって人間的な感情の一つや二つ、あると思ってくれてもいいんじゃないかな。
        ……話をしたいっていうのは、それだけ寂しいんだよ。
        -- アンリ 2014-05-08 (木) 23:55:26
      • 何度も言うようだけど、私は貴方の心の機微になどこれっぽっちも興味はないの。
        貴方の作品に対する気持ちを尊重する気は小さじ一杯分もないし、貴方の創作が面白くないからこそ私という存在が居ることが出来るの。
        私が貴方に出来る感謝はそれだけ。そして加えて願いを言えるのならば、私の方を向いていない話をたくさん、たくさん作ってくれればいいわ。
        アンリ。私は貴方の世界や視界に私が居ない限り、私は貴方の作る話が大好きよ。
        -- エリサ 2014-05-08 (木) 23:58:08

      • 女の言葉に男は肩を竦めた。 -- 2014-05-08 (木) 23:59:18

      • 何を勘違いしているのかは知らないけどさ。俺は君の為に話を書いたことなんて一回もないんだけどね。
        さっきも言ったけど、君に対して俺は気を使っていない。創作者としての君になんか興味もないのさ。
        はっきり言って君が自分をどう思っているかは知らないけれど、俺は君のことは大好きだけど君の作る作品は大嫌いなんだよね。
        だってそうだろう? 理由は1つだけでいい。
        1つ、それは貴方が作った話ではないから。
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 00:02:27
      • あら、意趣返しかしら。
        それとも、誰かさんよろしく批評や解釈を交えて私の話を丁寧に紐解いてくれるのかしら。
        -- エリサ 2014-05-09 (金) 00:03:48
      • ごめんけど、俺は君の話にはそれほどの価値すらないと思っているよ。
        もっと言うならさ、基本的に創作や書物に関して否定的な立場にいる皇前やリリシアーナを除いて見たとき、
        老人窟の人間の中では、君の作る話や創作や書物がダントツで、ぶっちぎりで、
        これ以上ないくらいクソだって言い切っていいほど価値のない代物だと俺は思ってるよ。
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 00:07:39
      • むぅ。
        それはどうしてそう思うの……?
        -- エリサ 2014-05-09 (金) 00:12:06

      • 女は男に尋ねる。 -- 2014-05-09 (金) 00:12:24

      • 君が偽物の創作家だからさ。他人の創作の上にしか物を載せられない、借り物でしか土俵に立てない人間だからだよ。
        君の作る話は面白いよ。見てて楽しいし、きっとそれを喜ぶ人もたくさんいると思うよ。
        だってそりゃそうだろう、その話の根底には俺たちみたいに一から舞台を構築した人間が居るんだからさ。
        その舞台にタダ乗りして、自分の話だ何だって、盗人猛々しいと思わない?
        どの面下げて自分の作品です、だなんて言えるの?
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 00:18:53
      • 思わないわね。そんなところで話に優劣が付くとは思っていないもの。
        世の中の創作が全て平等な条件で見られていることを願う方が傲慢じゃないかしら。
        貴方の言葉をまた借りるとするならば「それすらも利用して」話を作っているのだから、ただそれだけで創作を批判される覚えはないわね。
        逆に訪ねたいのだけれど、じゃあ貴方は貴方の中から生じたその創作欲求が、全て自分の中から純粋に生み出した物であると胸を張って言えるのかしら?
        今まで見てきたどの創作からも影響を受けずに、ただ自分の中から出てきたアイデアだけを昇華した結果であると、私の目を見て言える?
        -- エリサ 2014-05-09 (金) 00:28:56
      • 言えないなぁ。人は他人と喋らなければ言葉を覚えることは出来ないからね。
        でもそれは程度の問題だと、俺は思うけどな。誰もがそれをしているから、自分のそれも許してほしいっていう命乞いに見えるよ。
        君のその創作は俺の創作と違って、完全に誰かが創りだした物に完全に背中を預けている。
        共通する世界観が根底に敷かれているから、前提を説明する必要もなく、起承転結を付ける必要もない。
        ただ都合のいい部分だけを切り取って一番美味しいところだけを描くのさ。
        そりゃ人は喜ぶだろうよ。だって食材の一番美味しいところだけを料理した料理は似たような味覚を持つ相手に喜ばれる。
        だから、半分は嫉妬だって自分を下げて信憑性を高めておいてあげるよ。でなければ言葉の半分も伝わらないだろうから。
        いつか君が決定的に瓦解しないか、俺は楽しみで楽しみで仕方がないんだよ。実はさ。
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 00:33:32
      • あら、じゃあ期待にはきっと答えてあげられないと思うわ。だって私はこれが楽しくて、これがしたいのだもの。
        貴方にとっては甘えに見えて、妥協に見えるかもしれない。でも、私はそうやって行う創作が楽しくて仕方がないのだから。
        貴方から見れば果実の一番美味しいところだけを啄んでいく害鳥にでも見えるかもしれないわね。
        でも、わざわざ必要のない苦労をして全てを作り上げるよりも、自分の苦労を全て自分が作り出す楽しさに向けられる私の方が、貴方より賢いと自分で思っているもの。
        私はけして、貴方と同じ土俵には立たないし、立とうとも思わないし、立ちたくもないの。
        ああ、なるほど。
        だから、マッチ売りの少女の話を私にしたのね。
        ……本当に性格が悪いわね貴方。大嫌い。
        -- エリサ 2014-05-09 (金) 00:37:46

      • 女が笑って言うと男も同じように笑った。 -- 2014-05-09 (金) 00:38:20

      • 俺はさ。あの話大っ嫌いなんだよ。実はさ。
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 00:39:02
      • あら……珍しく意見が合ったわ。少し気持ち悪いけれど。
        私もね、あの話、貴方程ではないけれど好きではないわ。
        -- エリサ 2014-05-09 (金) 00:39:48
      • クソみたいに完成されてて、まるで無駄がないだろ。
        加えて、それに対する他者の手を読者が欲するような構造になってる。
        話として完成をさせないように見えて、これ以上何も加えられないようになってる。
        俺はさ。俺より面白い話を書く人間はさ、一人残らず死ねばいいと思ってるからさ。だから俺は、あの話が大嫌いだ。
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 00:42:18
      • その考え方だと、貴方が嫌いな人間は一人残らず死に、貴方が大好きな人間は貴方が欲しいと思う物を何一つ与えてくれないわね。
        貴方の嫌なところはそれをしっかりと理解しているところね。最初から孤独と蟲毒を覚悟しているくせに、他人に擦り寄って来ないでほしいわ。
        私は、貴方とは別の理由であの話が嫌いだわ。
        だって、登場人物が少なすぎるもの。わかりやすい記号が何もなく、読者に甘えているのが嫌いよ。
        -- エリサ 2014-05-09 (金) 00:44:23
      • ――じゃあ、問おう。老人窟の住人。
        マッチ売りの少女、君はどう創作する。
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 00:47:15
      • ――答えましょう、老人窟の住人。
        私ならば、マッチを擬人化し、その恋が終わるまでのひと時を描くわ。
        一本目のマッチは少女に家庭を、二本目のマッチは少女に裕福さを、三本目のマッチは少女に郷愁を与えてくれるの。
        でもね、所詮は一時の恋。全ての恋が終わった後、少女は冷たい――ただの女になるのよ。
        ……どうかしら。
        -- エリサ 2014-05-09 (金) 00:50:21
      • ……ガチで反吐が出る。
        君の創作に人が寄る理由も今死ぬほど分かるし、
        そんな誘蛾灯みたいな創作ばかりしてる君みたいな人間が一秒でも早く地獄に堕ちることを願うよ。
        老人窟で他人の土俵で相撲を取ろうと甘やかした俺が馬鹿だった。
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 00:52:21

      • 男は苦々しく呻く。 -- 2014-05-09 (金) 00:55:01

      • その返答は、最高に気分がいいわね。
        私は私の嫌いな人間が自分を認めてくれることは大好きだもの。一般的な感性としてね。
        それに、きっと私の創作に、貴方は相性が悪いもの。考えすぎてしまう貴方は、きっとだから私のことを許せないんでしょう?
        大変ね。……貴方みたいな生き方しか出来ない人には、同情を禁じ得ないわ。
        -- エリサ 2014-05-09 (金) 00:55:57
      • 生き方をとやかく言われたところでそんなに簡単に乗り換えることは出来ないしな。
        俺は俺の性質と上手く付き合っていくことにしてるのさ。
        まあ多分、いつかこうやって期待しすぎて全てに絶望して汚辱と憤怒に塗れて死ぬのがお似合いだとは思ってるよ。
        何より。俺なら俺の人生をそう纏めると思うからな。
        ああ、死なないかなこの女……。
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 00:58:47
      • 死なないでしょうね。貴方と違って私の世界は私一個の中だけにあるものじゃないもの。
        貴方のような人間が死に、いなくなったとしてもまた別の貴方が生まれてくる。
        私は、出来るだけ長く、広く、浅くそれを楽しんで創作を続けていくでしょうね。
        貴方よりは、寿命が長い生き方と、創作欲求への付き合い方をしている自覚はあるもの。
        単純な疑問なのだけど、貴方は自分の創作欲求が満たされた時や、自己の中にアイデアが枯渇してしまったときはどうするつもりなの?
        -- エリサ 2014-05-09 (金) 01:01:19
      • 心配しなくていいよ。
        前者も後者も、まずない。
        欲求が満たされたことなんて生まれてから一度もないし、アイデアが枯渇したこともない。
        自分で自分に投げかけた問いに自分で答えを返せなかったことが一度もないから、その気持ちは想像してやれないのさ。
        だから、こればっかりは悔しそうな顔一つしてやれないよ。
        君なんかと、君程度の存在と一緒にするな、と、そう言っておこう。
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 01:03:53

      • 女はくすくすと笑った。 -- 2014-05-09 (金) 01:04:13

      • 時々意見が合うわね。私もそれだけはごめんだわ。
        そろそろいいでしょう? 私、本を読みたいの。貴方の話は、退屈で詰まらないわ。
        -- エリサ 2014-05-09 (金) 01:05:01
      • そうかい? 俺は俺の話がいつでも楽しいよ。
        でもまあ、そう言うならお暇しようかな。
        んじゃ、エリサ――良い創作を。
        -- アンリ 2014-05-09 (金) 01:06:15
      • ええ、アンリ――良い創作を。 -- エリサ 2014-05-09 (金) 01:06:38

Last-modified: 2014-11-13 Thu 04:12:08 JST (3452d)