名簿/493516

  • 「嘲笑う機械の王」
    • それは過去である。《旭光》を背負いし女が学園へと転校してくるよりも前の話。
      彼の《機械王》の玉座の前で、《機械王》と《旭光姫》が対峙したときのこと。
      • あらゆる機械がそこにあった。ぜんまい仕掛け、時計仕掛け、からくりからくり、蒸気機関、電気機関――あらゆる機械、鉄に囲まれた房室に二つの影があった。
        一つは、機械で埋め尽くされた空間、時計仕掛け、蒸気、電気、あらゆるもので突き動かされる機械の奔流。
        その最奥の機械の玉座にて、機械に抱かれる男。機械的な表情を浮かべ、感情らしい感情を見せない男。
        もう一つは、何やら不可思議な、軍服めいた、あるいは魔術めいた、奇怪な衣服を身に纏った少女であった。長い黒髪の小柄な少女であった。腕を組み、神をも畏れぬような不遜な態度で、男を見ていた。見上げていた。
        少女のいるところだけは、この薄暗い機械の房室の中に置いて、陽が差したかのように、輝いていた。

Last-modified: 2012-12-29 Sat 01:50:25 JST (4135d)