名簿/348247
- (警報音が鳴り響いた)
!……これは……(その警報が鳴り響く研究室の主は、あるときの事を思い出していた) (かつて、バグが発生した時に記憶と自我が流入したクローン実験体が現れたときも、こういう感じだった) (嫌な予感がした) --
- (駆け込んだ。その先は、クローン実験体保管カプセルが並ぶ部屋)
(ああ、悪い予感は当たっていた カプセルのひとつが割れ、その先に一人の女がゆらりと立っていた) (またアレッサのようなアリスの記憶を持った少女を作り出してしまったのか?後悔は尽きないが、それよりも先に確認しなければ) 君は……誰だ? --
- ……アレッサ。 --
- !?(意外な反応だった 確かに随時アレッサの記憶は転送させているが、アレッサの記憶が中心になって流入することは――)
……アレッサ。……アレッサ・リデルなのかい?君は。 --
- ……(女は立ち尽くし、背中を丸めてぶつぶつと何かを呟いている 奇妙だ)
(アレッサが目覚めたときは自分がアリス・リデルであると勘違いしていた だからここを脱出しようとするなり、ここがどこか確認するなり、そういった行動的な面が現れた) (だがこの女はそういう様子が無い 記憶が流入したにしても――様子が変だ) ……アレッサ。誰が……アレッサだとぉぉぉぁぁあぁあああああああ!!!! --
- !!!(飛び掛ってきた その女は、見開いた目をまっすぐザンマに向けて、獣がごとく跳躍したのだ)
(その瞳の色は紫に輝き、下唇からは唇を思い切り噛んだのか血が滴っている) (その女が振り下ろした爪を受け止めたのは、同じくアリスの顔を持つ女 しかしこちらは自我を持たない、忠実なクローン実験体だ) 「アイ」!よく来てくれた……だが、君はどう思う?この獣のようなクローンは、君と同種と思うか? 「NOです、マスター。彼女には自我と記憶が混入しています。ケース・アレッサと同じ……」 (しゃべりながら、吼える女の猛攻を盾で受け止め続ける) 馬鹿な。アレッサと同じだと、これが? --
- Whooooooooo!!!!(咆哮をあげながら、がりがりと盾に爪を立て、ついには爪がばりばりと割れていく)
フシュゥウウウウウウ……ア、ガが……シギィィイイイイ!!!! (するとその女は、その場にあったカーテンを引き裂き、ソレを身にまとって逃げ出した かつてアレッサが通った非常口だ) --
- !アイ、逃がすな!やつを追え!!「……YES」
(忠実な僕は逃げたクローンを追う そしてザンマは制御室へと向かった) (状況を確認する 手元のコンソールを動かし、何が起きたのかを機械に分析させる) ……!なんてことだ…… (確かに、アレッサと状況は同じだった。外は嵐、雷によって一瞬だが電流が混濁し、制御が乱れてオリジナルであるアリス・リデルの記憶が流入したのだ) (だが、問題は――どこの記憶が流入したか、だ) ……アリス・リデルに存在していた「闇」の時期……悪夢にとらわれていた、この時の自我が……
--
- (ザンマの僕である、同じ顔をした女の生首を持ち上げ、何度も地面にたたきつける)
(悪夢。悪夢悪夢悪夢。自分はいったいどんな夢に囚われている?) (家族が炎に包まれ燃え尽きた姿が鮮明に思い出せる だが不思議なのはその後の記憶があるのだ) (幸せな家庭を築いた自分の姿が 愛する人を何人も得た自分の姿が そして、それを受け継いだ「アレッサ」という女の記憶が) (それが自分の記憶ではないことはすぐに分かった なぜなら自分は「あの悪夢の中」目覚めさせられた自分だという自覚がなぜかあったからだ) (だからこそ憎い。憎くて憎くて仕方ない。私はこんなにも不幸なのに、私は幸せに生きた記憶があるのだ) (私でない誰かが!私でない誰かが!幸せに!私を置き去りにして!!!) ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!! (考えるだけで反吐を吐きそうになる) (殺してやる) 殺してやる……幸せな奴らは、全部…… (グチャグチャの肉の塊になった頭部を齧り、投げ捨てると その血でさっき引きちぎったカーテンに逆さの星を描いた) 幸せなアリス……お前とは真逆だ……私は……Ecila……エシラ・リデル……
(外套のようにそれを羽織ると、ずるずると引きずりながら、森の中へ消えていった) --
- --
- (―――所変わって、こちらは現実世界 ヴィーラを相手に機械の監視をしていた彼は、心底混乱していた)
……何が起きてるんだい、これは?(ヴィーラを仮想空間に送り込んだC-S-Sが、ビー、ビーと警告アラートを鳴り響かせ止まないのだ) (もちろん、戦いの内容はモニタで映し出していた ヴィーラが混乱する様子をお茶を飲みながら楽しく鑑賞していたのだが……その映像がノイズだらけでまともに映らない) くそ……(キーボードに、カタカタと文字を打ち込む 強制終了のコマンドだ ……だが、文字入力を受け付けない)まずい……反応しない! (さっきの映像を思い返す バイドが「世界」のカードを引いた――それは、今までに無いことだった データ上で彼女を何度も戦わせたことはあるが、そのカードを引いたことは一度としてなかった) (それはおそらく、そのカードの影響力が余りにも強すぎるからだ そういうふうにできているものなのだ 決して、世界全てに干渉まではできないという、そういうもののはずだ) 初めて引かれた「世界」のカード……バイド・ラクウェットの「法則を破る能力」……まさか、この機械の「仮想世界」…… つまり、この機械のシステム全体にまで影響を及ぼしたってことかい!?
(仮想空間内は、暗闇に包まれている 静寂と、闇だけが全てだ ……もちろん、バイドの姿も見えない というか、気配すら感じない) --
- ……!(ノイズの嵐の中、「何か」を感じ取り、身構える)
(漠然とした焦燥、恐怖、そして……僅かな親近感) (吹き荒れる異界の嵐の中、ザンマに呼びかける事すら忘れ、戦慄と好奇心の狭間で身を捩る) (何が……何が起こっている……いや、起ころうとしてるんだ……!?) -- ヴィーラ
- ザ ア ッ
(突如、暗闇が突風に吹き飛んでいく 辺りに現れたのは、とてつもなく広大な荒野) (空は紫雲に染まり、雷鳴が轟き、周囲には岩の地面以外何も無い) (……何か、気配――というよりは、重圧 みしみしと身体にのしかかるようなプレッシャーが渦巻いていた) --
- (暗闇から晴れた視界の先に見えたのは、無限に広がる荒野)
(まるでこの世の終わりのような、漠然とした絶望感を掻き立てるその風景……そして、そこに渦巻く名状し難いプレッシャーに……身震いする) おいおい、何が「世界」だよ……タロット占いだってーんなら、コイツはどうみたって「世界」っつーより……! 「塔」じゃねーか……! -- ヴィーラ
- 「世界」よ。
(声が響いた 女の声、凛として透き通り、しかし力強い声) 「世界」の法則は変わった。ここで言う世界、それはC-S-Sのこと。私は、このC-S-Sを変革した。 私は、この機械に左右されない。再現された存在じゃあない。私は、私の「意志」でここに来た!! (瞬間、巨大な落雷が、四方からヴィーラの前方に集うように落ちた そのポイントが、バチリ、バチリと電流を帯びる) ヴィーラ、貴方には感謝するわ。私がこの機械をぶち壊し、この世界を破壊し、外に飛び出していく――そのきっかけになってくれたのだから!! --
- 何……!?(響く声。轟く稲妻)
(白光が世界を包み込み、電流の中に浮かぶ「影」が際立つ) (自然と、身構える。反射的に身体がそうする) 感謝されるのは悪い気分じゃねぇが……どうにも知らない奴にそういわれると萎縮しちまうな……! (目がピリピリする。クチの中が乾く。背筋がビリビリする) (でもどうしてだろう、退く気にはなれない) (「逃げる」気になれない) ……アンタ、一体何者だ…… -- ヴィーラ
- アリス。(声の主はそう、呟いた)
(雷光が晴れ、その場に一つの女の影 マントと長い髪をたなびかせ、堂々と立っていた) (額には十字傷、そしてひときわ目を引くのは、ぎらりと光る、殺気立った碧の眼光) 鉄血の「意思」、この胸にあり。 「最強」の力、この腕にあり。 この正義は、「星」にあり。 (ぶん、と腕を振るうと、残った雷光が四散し、その姿を完全に露にした) 正義の英雄。アリス・リデル。……参上。 --
- ……!?(その名乗りあげに驚愕する)
アリス……リデル……!?(この町に生きる者なら聞いた事くらいある。過去の英雄。かつていたその名を轟かせた女傑) ……なるほど、アンタが、か……(答えるように剣を右手に構えなおし、ビッと剣先を突きつけて名乗る) ヴィーラ・フィヨルド。しがない黒騎士だ。もっとも、そっちは俺の名を知っていた。名乗る必要はなさそうだけどな…… (ったく、ザンマ先輩、こいつはとんでもない裏ボスだぜ……!) -- ヴィーラ
- (ザザッ、とノイズ音が聞こえ、その後に続いて聞きなれた声が響いた)
ヴィーラ君!まずいことになった、本当にまずい。この機械がそいつにジャックされた! (みし、みしと地面を響かせ、アリスが歩いてくる)そいつは、インストールされてからすぐに、自己意思を持ち始めたんだ! ……っ、とにかく、それより……今、一番まずいのは、こいつのせいでシステムが暴走して、君の仮想空間での魂と身体のシンクロ係数が異常値を示している! つまり、ここで受けたダメージは身体にすべてフィードバックされる!だから……逃げてくれ!数分でなんとか君を強制帰還させ……ッ (ぶつん、と声が途切れた)……ふん、煩いわね。私とヴィーラのコミュニケーション、邪魔しないで貰いたいわ。 それにしても……私を知ってるなんて、ずいぶんと「長生き」してるわけね。……その人生、そろそろ終わらせようかしら? --
- フィードバックしてるってことは……いままでよりずっと上手く身体が動くってことだろ?(ザンマの警告を聞きつつも、口に張り付いているのは酷薄な笑み)
ああ、実は少しばかり「生き飽きる」程度には長生きしてるよ。気がつきゃ知ってる同輩で生き残ってるのなんざ片手で数えられる程度だ だけどな……そんな俺でも帰りを待ってくれる奴らがいる。俺の居場所を守ってくれてる家族が居る ……ちょっとその誘いには乗れねぇや、悪いな (ザンマ先輩、忠告嬉しいが……逃げ回ることすら無茶な注文だぜ) (ただ逃げるだけじゃだめだ……コイツ相手には逃げるんじゃない……) (……抗わないと……!) -- ヴィーラ
- そう……貴方、守りたいものがあるのね。それなら……示してみなさい。護る「意思」、私の「意志」、どちらが上か……
(キィイイイイ、と空気が響き、アリスが掲げた右手に「闇」が集まる)星が示す。私の未来……貴方の未来。どちらに光があるかを。 (その闇に、吸い寄せられるように「光」の粒が集まる それは夜闇に輝く星のよう そして――闇は剣を形作り、星はその周りに漂う) 星剣。私の正義は、星にあり。(カツ、カツと金属製のレギンスの足音を立て、近づいてくる) --
- わるいぃけど、俺は意思の力に優劣なんざねぇと思っているよ……(右手に持った長剣……魔剣から漆黒の瘴気が漏れる。それはじわじわとヴィーラの身体を覆い、禍々しい漆黒の影へとその姿をかえていく)
まぁ、だから……(……だが……) お互い、互角以上ってことは……負ける気はしねぇってことだわ (その瞳には一抹の闇も含まれていない) 正義なんて俺にはねぇ。俺にはそんなもの必要ねぇ 俺が持つのは……俺がそうしたいと願い、そうしようと思う、人らしい欲望だけだッ! (魔剣を振るい、構える) こいよ、正義の味方……お前の正義、俺の欲望で測ってやる -- ヴィーラ
- 欲望を叶える為にどうする?……意思はそこに現れる。(ゆっくりと、腰を落とし)……行くわよ。
(ダン、と地面を蹴って、飛び込んできた と同時に星剣を振るい始めた 剣の疾さは……疾い、というか、それどころではなかった) ……ッ!!!(かつてチェイサーが高速移動を腕に応用して凄まじい速さの斬撃を行っていたが、それと同等かそれ以上) (しかも、それが息切れせずに、二撃、三撃、四撃ととどまる所を知らない ノンストップで超高速の斬撃が積み重なっていく!) 私の魔法剣には重さが無い……私はまるで綿を振るうかのよう。最速で振るう剣先の動き……捉えられる? (さらに厄介なのは、「闇」で出来た剣の部分の斬撃の後にワンテンポ遅れて、その軌道を追尾してくる「光」の粒子) (高速の斬撃に併せて無数の星がヴィーラを貫こうと迫ってくるのだ!) --
- そんなことは決まってる(漆黒のシルエットが動く。影と化したヴィーラが魔剣を振るい合わせる)
(重さがないのはこちらも同じ。漆黒の魔剣に重さはない。しかし、振るえば重さが生まれる。矛盾を孕んだ魔王の剣) (捉え、打ち返す。寸分違わず打ち返し続ける。漆黒の稲妻によって極限まで強化された神経、電気刺激によってリミッターを解除され、限界を超えて酷使する事を許された膂力) 欲望を叶える為にやることなんていつだって一つ(剣の残滓にあわせて迫る光……だが、そんなものは歯牙にもかけない。それらは同じようにヴィーラが剣を振るうたびに生まれる瘴気……闇によって相殺される) (チェイサーと戦ったとき、その速度を捉える事はできなかった。力に追いすがることが精一杯だった) (だが、今はちがう。今の自分は違う。経験は蓄積される。時は人を劣化させるだけではない) 足掻き続けることだ (斬撃をしのぎきり、呟く) -- ヴィーラ
- なるほどね……よく分かってるじゃない。なら、足掻いてみなさい。生きるために!!
フッ!(100ほどの剣撃を放って、いったん飛びのいて距離を置いた) なるほど、無傷。……最高じゃない。(ヒュンヒュン、と剣を振るって、ヴィーラに突きつけた) それじゃあ……私がこの世界で「足掻いた」結果を見せてあげるわ。……データの記録として生まれた、私のこの足掻きを…… そして、星に埋もれていったいくつもの「正義」を。(ぱ、と手を開くと星剣が収束し、球体になった) かつて捨てられた女たちの情念の塊として生まれた悪霊がいた。 その悪霊は無差別に男を愛し、憎しみ、殺してきた。そんな悪霊が見つけた居場所こそは、情欲のみが全ての館。 情欲の悪霊の正義。「居場所を守ること」―――全方位プレッシャー!!! (たちまち、球体の爆発とともに星のフィールドが一瞬で世界を包んだ その星々が瞳のようにいっせいにヴィーラを見た) (次の瞬間、まさしく全方位から――無数の星剣がヴィーラに飛び出してきた!) --
- (100の剣戟を凌ぎ切り、構えなおす。未だその身体から力は微塵も衰えない)
(フィードバックしたことで完全に身体とリンクしたその心……生身の心がどうして幻影の前に折れようか) 足掻いてみせろか……いいだろう、そうさせてもらう (静かに呟いて詠唱。一節。一言……たったそれだけで……身体を纏う雷撃が膨れ上がり、漆黒の球電となって重圧からヴィーラの身を護り、) 護るものが出来た。帰るべき場所ができた……なら、俺はそれを守り、そして帰るだけだ 理屈も理由も理合もいらない。俺がそうしたいからそうする。それだけだ! (漆黒の稲妻と化したその身でアリスに迫り、文字通り電光石火の諸手突きを放つ!) -- ヴィーラ
- ふん……(全方位に広がった星のフィールドを収束させ、また球体へ)隙の無い奴ね。いい戦士だわ……
自分の意志だけでここまで強くなった男。まさにヒーローと言うべき男かしらね……だけどね。私だって、負けやしないわ。 かつて平和で退屈な世界から引っ張り込まれたただの粗悪な女がいた。 夢も理想も無く、罵詈雑言だけを吐き散らす女が、それでも希望を抱いたものがある。それは粗悪な自分を受け入れる存在。 粗悪な女の正義。「ありのままの自分で生きること」―――ウルトラグラビティ!!! (瞬間、星がアリスの姿を包みこむ そして次に感じたのは、地響き) (アリスを中心に地割れが続いていた それは地震を発生させる能力とか、そういう類ではない――単純に、アリスの「重量」によるものだ) (その凄まじい質量で、ガードすることもせず、電光の突きを真正面から受けた!) …………痛いわね。いい痛みよ。(血まみれになりながら、その場から一歩も退くことなく攻撃を額で受け止めていた ビクともしない) (パチパチと電気が走っている その表情は、鬼の如き「笑顔」)さあこれで至近距離……逃がさない。 くらえ。(ゴウン と轟音を立てて、超重量の両拳がヴィーラの頭を挟み潰そうと迫った!) --
- (突きとは、全体重をかけ、最速で、最短の距離を、最大の圧力で一点に斬り込む攻撃。それを真正面から受ける女……しかし、動揺はしない。予測済みとは言わないが、そうなのではないかという危惧程度は脳裏に存在していた。なら、その危惧にしたがって動くまでのこと)
ヒーロー? バカ言え。そんなんじゃねーって (迫るアリスの両腕。間合いの理などこの暴力の前には無意味。拳も剣も違いなどない) ただの冴えないお父さんだよ! (しかし、それはこちらも同じ事) (剣が煌く。光を反射しないはずの闇が閃く。雷光を纏い、瘴気を振り撒き、そして切り払わんとアリスの腕に斬撃が迫る) (完全な変則軌道。本来なら勢いなど乗ろうはずもなく、そしてものが斬れるだけの圧など加わるわけもない) (しかし、今は違う。今は出来る。電気を纏い、そしてその一撃がアリスに触れたことでアリスの身体に纏われた磁力) (その磁力に吸い付くように、一瞬でヴィーラは剣に磁力を纏わせる) (万有引力に導かれるが如く剣は振るわれる。光とも見紛う速度で拳を後から振りはらわんと) -- ヴィーラ
- (―――気付けば、ここは森の中、だろうか 自分の立っている道は草が生えておらず、土だけだ まっすぐな道が続いている)
(よくよく見れば、冒険の帰り道には良く見かけるような森道だ) --
- ……お、ホントに前よりよく出来てるな、入っていきなり違和感ねぇや(既にフルプレートを装着した姿で森を進む)
さてと、順路には従わないとな -- ヴィーラ
- (……と、歩き出した方向から白く長いシャツと、ダボダボのズボン、そして黒いロングヘアの女がてけてけと必死に走ってくる)
(のろい走りで、ぜーぜーと息を上げている 背は170ほどで女性としては長身だが、顔は幼さを感じさせる) ぜぇぇ〜、ぜえぇえ〜……ま、まってください〜、あれ、あれれ〜?見失いましたですかねぇ〜?ぜぇえ…… --
- ん?(だいたい自分と大差ない身長の女性に目を向ける)
おねーさん、誰か探してるの?(無機質なフルヘルムを被ったまま、明るい声でそう問いかける) -- ヴィーラ
- ぜぇ……ぜぇ、あ、はい……?(ぐったりとへたり込む勢いのところ、声をかけられ顔を上げる)
えっとですねぇ〜、そうなんですぅー。依頼ででしてねぇー、おたずねものをコテンパンにしてやろーという依頼なわけなんですよぉー。そうそう、人相はですねぇー。 えーと、フルヘルムで、フルプレートで、わたしと同じぐらいの身長でぇー。それでさっき見かけて追っかけてきて。 そうそう、大体あなたみたいなぁー。(あはは、と指を刺して笑い)………………(しばし固まり)いたぁーーーーー!!!! --
- 依頼? へぇなるほど、フルヘルムで、フルプレートで、ねーさんと同じぐらいの身長でぇー
そうそう、大体俺みたいなぁー(あはは、笑い返して)………………(相手の声に驚いて)って俺なのぉーーーーー!!?? ちょ、おい、ザンマ先輩俺を前科一般設定なのかよ!? -- ヴィーラ
- そーだそういえばこんな顔でした!みなさぁーん!!ここにいましたよぉーーーー!!!(大声で仲間を呼んだ)
(………………しばしの静寂) ……アレレ?来ませんねぇー……アレ?(きょろきょろと見回し、耳を澄ませ)……はぐれた……? ……(くるっと向き直り、ぴょんとバックステップすると背中の杖を構える どうにも安っぽい木の杖だ)わ、わわ、わたしがぁー相手ですよぉー!!!かかってこぉーい悪党ぉー!!! わたしはバイド・ラクェット!!おじけづいたら早めに降参してくださいよぉー!?ほんとに!!! --
- え、いや、えーと、その……な、なんか調子狂うなぁおい……(一応剣を構えるが、こっちも面食らって若干引け腰)
え、えと、ヴィーラ・フィヨルド……です(少し不安そうに自己紹介) -- ヴィーラ
- むむむ……むむむむむ……(杖を構えたまま、じり、じり、じりと……近寄らずに後ずさっていく)
こ、こ、こないんですかぁー……こないんですよねぇー?こないならこ、こ、こっちからいきますよぉー?いいんですかぁー?痛いですよぉー? ……んぐぐ。(どうにも怖気づいた雰囲気が見えてこないので、困り顔になって)や、やるしか……(目を閉じて、腕に力を込める)ふぁいやっ!!!! ぼ ん っ (―――杖の先から音を立てて火球が発射された ……が、そのサイズは野球ボール程度、スピードはチェンジアップ、のろのろとヴィーラにまっすぐ向かってくる) (避けようと思えば余裕綽々に回避できるだろうが、正直 当たっても痛くなさそうなほど魔力を感じない) --
- ……(フルフェイスに隠れてわからないだろうが、凄く困った顔をしている)
(問1。眼前の攻撃に対応しなさい) (A..強キャラして楽々避けてみせる) (B.彼女の体面も考えて、ここはやられたフリをする) (ニア C.戦略的撤退)
(即実行!!!) (踵を返し、そのまま尻尾を巻いて逃走するヴィーラ) (良心ある一人の男として、ああいう健気な子に凶刃を振るうなんてそんなこと……!) -- ヴィーラ
- ああっ!!!ま、待ちなさいぃー!なんというチキン男!さすがおたずねものですー!!
(へろへろ火球は10mくらい進んだあたりで自然消滅したが、あわてているのはこの女)どうしようどうしよう、逃げられたらぁーお手柄がぁー…… はっ!そうですぅー、気を引く作戦でゴぉー!!!えーっと、えっと……(ばらばらとポシェットからタロットカードを出す) おい、おたずねものぉー!そっちに逃げるとえーっと……(ぱっ、とタロットを一枚引き抜く 太陽のカードだ) そう!そっちに逃げるとお空から光がふりそそぐよーにイイコトが……ああっ!ダメだそれじゃそっちに逃げちゃう! --
- へ? 逃げると、なんだって?
(あまりに健気なので振り返って様子を伺う俺) (ここがヴァーチャル空間で、相手がデータ上の存在だということはもう完全にすっかりさっぱり綺麗に忘れている) -- ヴィーラ
- だぁ、かぁ、らぁー!逃げると、お空から、光が、ふりそそぐように、イイコトが起きる!!!
と、このカードの占いで、でたん、ですよぉーーー!!!(太陽のカードを振り上げて遠くでアピールしている) (―――刹那 ヴィーラの足元の感覚が消えた ふわり、と浮いたような感覚) はれ? (……足元を見れば、地面に、暗闇が、走っていた 今、この瞬間に、良くない事にヴィーラの足元に地殻変動、つまり「地割れ」が発生していた!) --
- へー、ってことはねーちゃん占い師なの? なんか、ウチの嫁とかと話があいそ……おおおおおぅおお!?(足元に突如亀裂が走り、ぱっくりと開いた地割れに驚くヴィーラ)
なななな、なんだこれ!? 良いことどころか死にかけたんですけど!? 何!? そっちのほうだとあれなの? 死ぬと神様のところいけるから超絶いいところとか、そういうこと抜かす系の文化なわけ!? 全力でノーセンキューだよ!(うひょーとかあひえーとか言いながらぴょんぴょん跳ね回って地割れを避ける) -- ヴィーラ
- のぉぉおお!?予想外なデキですねぇー!!しかしこれはラッキーですよぉー!!
ここはわたしの占いパワーが役に立つかもしれませんねぇー、ではもう一枚……(しゅぱ、と引き抜いたのは悪魔のカード) これは!いけませんねぇー、ふっふっふ〜。このカードの暗示は、あなたがですねぇー、誰かに裏切りをうけることを意味しているんですよぉー!! さぁ裏切られなさいぃー!……えっと、お仲間とかいらっしゃらないんですかぁー?……いないのかなぁー、いないのならどうすれば良いんですかねぇー……? (首をかしげたあたりで、ピョンピョン飛び跳ねたヴィーラの周りから何かの気配がする ……ずん、ずんと足音 森の奥から迫ってきた) ……って、えぇ……?(ヴィーラを両サイドから挟み込むように現れたのは、熊 手練の冒険者殺しと恐れられる凶暴な熊だ) ななな、なんでこんなところに熊ですかぁぁぁぁ!?ヴィーラさん、熊とお仲間だったんですねぇー!? --
- 仲間じゃねーから!? 裏切られるも何も最初ッからそういうのじゃねぇからぁああああ!(絶叫しつつ最後には口の中で短く詠唱を済ませ、手から眩い閃光を放って熊とバイドの目を潰そうとする)
(熊は嗅覚とかのがたしか敏感だったような気がするけど……すげぇ臆病な動物であるとも聞いた覚えがある。これで逃げてくれりゃいいけど……つか、逃げてくれないと俺以上にあのねーちゃんがあぶねぇ……!) ……ちっ、確かに今まで戦ったことがないようなタイプだぜ、ザンマ先輩……ここまで手がかかりそうな敵は初めてだ(小さく舌打ちをしながら疾駆し、バイドに近付く) -- ヴィーラ
- ウゴォオオオォォォオオ!!!(一匹の熊はその閃光で目をやられ、目を押さえながらふらつく)
(が、もう一匹の熊は木の枝が陰になり、閃光によって目を潰されなかったのかひるまずのしのしと歩いてくる) め、めめめ〜、目が〜……チカチカしてなんにも見えなぁいです〜!!(で、向こう側にいるバイドもしっかり閃光を食らっており、目を押さえてうずくまっている) ……ガウ!(と、なぜか目を潰されなかったほうの熊がヴィーラに手を上げて鳴いた 不思議なことになぜかその鳴き声に敵意を感じない) (……が、その直後に熊はバイドの方を向くと、爪を立てて猛然と走り出した その姿には明らかな攻撃性が見える)ガァアァアァァアアアッ!!! (そう、またも占いは逆を向いた ヴィーラが裏切られたのではなく、手助けを受けたという結果が訪れたのだ バイドは目に気を取られ、迫る熊に気付いていない!) --
- 一匹仕留め損ねたか……来るかッ!?(と、手を上げた熊に対して身構えるが、攻撃が来る様子はない。むしろ愛嬌のある鳴き声で親しげな様子)
……はれ? 俺のこと助け……って、だからってそっちのねーちゃんに襲い掛かっていいわけじゃねぇって! (急いでバイドへと駆け寄り、バイドを抱き上げようと手を伸ばす) うおおおおお! ま、間に合うか!? -- ヴィーラ
- へっ……(やっと目が開いたと同時に、目の前にいたのは戦っている相手のヴィーラ)ぴえっ!?(驚いて体が固まった)
ウガアアッ!!!(と、バイドを抱き上げようとしたヴィーラの背にバイドを襲おうとした熊の爪が振り下ろされた!) --
- くっそぉおおおお! ぐっ……!(バイドを抱えているので攻撃をかわしきることが出来ず、背に一撃を受けたまま逃げる)
(ダマスカス製の鎧がまるでバターのように引き裂かれ、浅くない傷が背中に刻まれる) ……ちっ! -- ヴィーラ
- あ、あわ、あわわわ……(ヴィーラに抱き上げられたまま、成す術もなくふるふると震えている)あ、ありがとうございま……け、怪我……
(敵なのやら、感謝していいのやら、怪我の心配をすべきなのか、自分の心配をすべきなのか、熊をどうすりゃいいのか、そもそも何が起こっているのか、頭がゴチャゴチャで何もできない) (と、ぱらとカードが一枚、地面に落ちた カードは裏向きに落ちて、何のカードなのかは分からない) --
- 別にこの程度大したこねぇよ、気にすんな!(とは、クチではいっているが、実際は結構深手だ。短く詠唱して紫電をクマへと放ちつつ距離を取ろうとする)
(ちっくしょう……確かにコイツはやり辛いっつーかそれ以前の問題っつーか……どうすりゃいいんだよ、畜生!) -- ヴィーラ
- (紫電が熊に当たり、呻きを上げてよろめいた が、とどめを刺すには至らず、すぐさまヴィーラを睨む もう一匹の熊も体勢を立て直し、のしのしと迫ってくる)
ひぅう!ピンチですよ〜!!(もはやどうすることもできず、身を丸めて目を閉じる と、ほのかに風が吹き、先ほどのカードがぱらり、とめくれた) (「刑死者」 それが表を向いた瞬間、熊二匹の足元に大穴が開いた)ガァッ?(その大穴から――飛び出すは、血に染まったロープ) ギャウッ!?ガッ!?ギャアア!!(ロープが二匹の熊に生き物のように絡みつき、もがく熊を地中に引きずり込んでいった)ちゅぽん(そして、穴が閉じる) (吊るされるのではなく、引きずり込まれるという結果)……ふぇ? --
- チッ……!(もうダメかと思って咄嗟にバイドの前に出て庇おうとするが……)
ふぇ?!(次の瞬間目の前で起きたことが理解できずに身体が止まる) ……!!(しばらく緊張した面持ちで事の成り行きを見守っていたが、ひとまず脅威が去ったと見るとふぅと息を吐く) よ、よくわかんねぇけど……とりあえず助かったの、かな? -- ヴィーラ
- …………お、おりますー。(脅威が去ったと見るや否や、慌ててヴィーラの腕から降りる)……ふうっ……
えーと。(ちら、とヴィーラを見て)た、助けてくれたのは嬉しーのですよー。ですけどねぇー……い、いちおう、賞金首なわけですよぉー!! ほっとくわけにはいけないんですよぉー。ですからぁー……(す、と少し距離をとって、一枚のタロットカードを見ないように抜く)……私のタロットはですねぇー。 開くと……何かがおきるんですよぉー。なのでぇー……(抜いたタロットカードをめくらず、そっと地面に置く)……このカードで、勝負しましょー。 出たカードの結果で何かが起きると思うんですよぉー。……それで、被害こうむっちゃったほーが、負けってことで……どーでしょー? なんだかお互い、戦うのもーやだーっってかんじですしねぇー…… --
- (相手の提案を聞きつつあーとかうーとかいって返答を軽く返し)
……ん、わかった。じゃあそうしようか。俺もはっきりいって、バイドみたいななんつーか……善い人にきりかかるッツーのはどうにもアレでなー 良心の呵責的にこれ以上無理だからそれで頼むわ(と、いってどっしり腰を下ろして武器を納める) -- ヴィーラ
- はい、決定ですね〜♪(それを聞けば喜び勇んで、す、と地面に置いたカードを手に取る)では……おーぷん!!
(ぺら、とめくられたカードに記されているのは……「世界」のカード)………………………… (そのカードを見たバイドの顔から、笑顔が消えた)…………あの、えっと。…………初めてなん、ですよぉー……このカード…………引いたの。……意味、は……………… 意味……は……(顔が、蒼ざめていく) --
- おうよドンと来い!(と、啖呵を切って札の絵柄を注視する!)
(そして出てきたカードをみて、冷や汗) いや、おい、その世界って……(タロット呪術に詳しくない俺でも意味くらいしってる) (世界。示す意味は完全。完結。正位置においては鬼札となりえる力を持つそのカード) (そんな絶大な力を持つカード……それがもたらす災厄となると……) お、おい……これ、やばいんじゃ…… -- ヴィーラ
- ……意味は……(ごく、と唾を飲み込んだ そして 口を開いた)
「世界の完成」―――もしわたしの占いが逆に当たるなら、起きるのは………… 「世界の崩壊」
ザッ ザザッ
(目の前の風景全てにノイズが走り始めた!) --
- なっ……!? コイツは……!(急激に変わり始める周囲の風景に身構える。ヤバイ、何か来る)
(何か……そう、何かとしか形容できない、異様な何かが……!) -- ヴィーラ
- ……えーと、この辺だったかなぁ(古い記憶を頼りに地下通路を進む) -- ヴィーラ
- (広がる、地下通路の先の研究室 いつか来た日よりもさらに広く、機械は増えたように見える)
(その部屋の機械の前でテスト運転をしている、白い服の男) --
- お、いたいた……って、あれから結構たってるから違う人かもだけど、まぁまずそんなことはないよな。こんなところにそうそう人なんてこねーし
な? そうだろ? ザンマ先輩(かつて来たときと欠片も変わらない姿で、そう問いかける) -- ヴィーラ
- そういう君はヴィーラ君、かい?(振り返れば、こちらも変わらぬ姿 ……いや、変わっていたとしてもその容姿は相変わらず包帯で隠されているのだが)
久しいね。一体何年ぶりだい?君はまるで変わらないようだけど。(手を止めて弾む声で歩み寄った) --
- さぁなー。歳食わなくなってからは黄金暦とか数えなくなったからわかんねぇや
それはそうと久しぶり、もういないんじゃねぇかってちょっと心配したけど……まぁ、杞憂って奴だったな (こっちも歩みを進めて屈託のない笑みで返す) -- ヴィーラ
- 僕も変わらずと言いたいところだが、随分年をとった。まあ、色々勉強するうちに不老長寿になる方法なんていくらでも見つけたし、そのうちやろうかな。
そして君は実にいいタイミングで来るね。ちょうど君にいい相手を見つけたんだよ、この機械の中にね。(こんこん、とその機械を叩く) --
- へぇ、やっぱりかい……いや、実はね、なんだか呼ばれたような気がして来たんだよ。胸騒ぎって言うか、直感っつーかさ? そういうの?
案外、ソイツが呼んでくれたのかもな(例の機械を指差し、口元だけで笑う) -- ヴィーラ
- 機械が君を呼ぶ、か。確かにこの機械はツワモノを求めているからね。電波でも飛ばしたかな?ははは。
……つまり、戦ってくれる気で来てくれたってことでいいのかい?(ひょい、と例のヘルメットを見せる デザインが洗練されたのか、ヘルメットから大量に伸びていたコード類が無くなっている) --
- 一言でいや、そういうことさ(さっさと椅子に座り、いつでも良いぜ、といった様子で取り出されたヘルメットを見つめる)
ずいぶん軽量化したみたいじゃない、先輩のほうも調整に余念がないみたいだね -- ヴィーラ
- ははは、いい意気だね。君のそう言う実にこざっぱりしたところ、僕は中々気に入ってるよ、ははは。
ああ、重いヘルメットだと脳に僅かだが負担がかかり、仮想世界でも影響が出るようなんでねえ。時代とともによくなり続けるよ。 ……さて、今回の相手は……そうだな。多分、君は戦ったことの無いタイプの相手だと思うよ。性格的にも、能力的にもね…… 先に概要だけ伝えておこう。……この相手のバトルスタイルを僕は「フォーチューンブレイカー」と名づけている。 さ、ヘルメットを被りたまえ。(ヘルメットを手渡した) --
- 脊髄だけで生きてるようなタイプなんでね、へへへ。俺もザンマ先輩の話が早いところは大好きだぜ
で、面白そうな相手だなそれ(一通りザンマからの説明を聞いて興味深そう頷き) ……運命を打ち砕くもの、か、楽しみだねぇ (ヘルメットをかぶり、目を瞑る) お、本当に軽いな。これなら確かに重さなんてきにならねーや、いつでもいいぜ -- ヴィーラ
- ……運命を打ち砕く者……ね。そんなかっこいい意味じゃあないよ。彼女は、正しくは……
(かちり、とスイッチの入る音)予想ぶっ壊し女、だ。(その言葉を最後に、現世からの意識は途絶えた) --
- あの叫び声が耳から離れませんわ… レイズマジ格好良い、けど絶対に許しませんわよ(例の角度)
アリス・リデル嬢 その節は世話になった 息災を祈る 双子は平等に甘やかし隊 子供は何人か… チェイサーとは良い酒を飲み交わし隊! そんなこんなで、今年も有難う御座いました 来年もよろしくね! (ザンマは知らない…かもしれない、お嬢様やら騎士やら囚人やらが集まった写真と、そんな手紙が届いた年末だった) -- 手紙
- ふむ。なんだいこれは……(ぺら、と手紙と写真を見比べ)レイズに、アリスに、チェイサー、双子……ふんふん。
(研究室の機械のモニタをつけた)どうもここに登録されてる冒険者の縁者からの手紙のようだね。しかし、どうやって届いたのやら。オバケ、かな?ははは。 スキャニング データを組み込みます(手紙をモニタにスキャンさせ、内部に取り込ませる) さて、どんなリアクションかな?シミュレートしてみようか。 --
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- ンン〜♪このおれに手紙、とはまた、珍しいこともあるもんじゃあないか。ン?お前もそう思わないか?(物言わぬ死体にしゃがみこんで話しかける)
(その顔は笑い顔のように裂けて、血の涙を流している)そうだな、そうだ。珍しい、レアなケースと言う奴だぜ?ン?しかも、しかもだぞ。聞けよ、ン?(ぺち、と死体の顔を叩いた) 大の男が女から手紙を貰ってはしゃいでる時の話なんざ、そりゃあろくなもんじゃあないのは分かるが、ま、聞けよ。ン?聞いて驚くな、俺の想い人からの手紙だ! しかもおれを格好いいと言ったぞ!ジョークにしたって出来すぎだぜ、オッホッホワッヒャッハハハハハハハハハハハハーーーッ!!! (高笑いしながら、死体の顔を拳銃で撃ち抜いた) --
ザッ ザザザッ ザーーーーーー…………
(ノイズの嵐の中、女が可笑しそうに、軽く笑った) --
酒、ね。(手紙を太陽に透かす)空の上から手紙なんて、なかなか粋じゃないか、なあ! ――YES。キャプテン・チェイサー。粋だと思ワレます。質問でス。誰からのメールですカ? 誰から?決まってんだろ、ダチだよ、ダチ。酒ねえ……ま、お前からのオゴリ、だな。ヘヘッ。 (大空の上で、笑う 飛空艇は音を立ててその空を抜けて行った) --
……ふむ。あと一人、というか二人か……には、直接渡した方がいいねえ。 --
- ビラ配り完了と。ま、そうそう来るまいがね、ははは。 --
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