名簿/492363

  • (四月になり、2年生として迎えるこの街4回目の春。3年で終わるだろうと思っていたのに、まさかこんな事態になるとは思っていなかった。)
    (望んできたわけではない。だけど、ここで得た出会いは少なくともかけがえのないものばかりで、来てよかったと思えるようになっていた。だが、いいことなどありはしなかったのだ)
    (そもそも、ここに来た理由は自分探しでも見聞を広めにきたのでもない。ただ一つ、自らに課された試練。依然何事もなく済んではいるものの、ここまで足止めを食らってしまっている現状は厳しく、そして―――)
    ………なんで、こんなとこにいるんだよ、母さん。(学校からの帰宅途中。いつもの道を歩いていた。しかし、何かに誘導されるように足は家から真逆の場所へと向かっていたようだ。気づけばここは市街地から大きく離れた広大なゴミ捨て場。)
    こんなまだるっこしい真似までしてどういうつもりなの? 母さんだけではなくて(マフラーが形状変化し、左腕に纏わりつき、弓を象る。弦と思われる部分がしなり、その緊張がとけると同時に魔力で形成された矢が放たれる。アルマの斜め後ろ。矢は真っ直ぐに進み、しかし甲高い音を立てて上空へと飛ばされる)
    彼まで連れてくるなんて、一体何事なの?(矢をはじいた影が現れる。背丈が高く、その腕にはアルマと同じ色の包帯が巻かれている男が立っていた) -- アルマ 2013-01-03 (木) 02:03:22
    • わかっているでしょう、アルマ。継承者たる者がまさか二度も留年しているとは……母は恥ずかしくて表に出ることすらままなりません。
      それだけならばまだしも、本家の方からも疑問視する声が上がっています。「継承者候補の力量に問題があるのではないか?」と。
      ゆえに、私たちが派遣されたの、アルマ。今代の頭首の言によって。下された言葉は一つ、「試せ」よ -- ??? 2013-01-03 (木) 02:35:00
      • それってつまり……(言葉が終わるよりも先に、後ろにいた男の急接近で言葉は止まる)
        (爆発的な加速を利用して放つ右腕の拳。それを盾へと変化させたマフラーで防御。しかし威力はそのままアルマの体を後方へと盾諸共吹き飛んでいく)
        (マフラーの強度は並大抵いのものではない。大多数との戦闘を想定されているそれは、大砲の一撃すら身動ぎもせず防ぎきる。それがこうもあっさりと吹き飛ぶのには理由がある)
        (アルマの腕に巻かれたものと同じ包帯。それは魔装具を制作する際にできた副産物。術者の身体強化と包帯の硬質変化。その強度は銃弾を弾き、身体能力はその人間の持つ魔力量によって変わり、5倍から数十倍とふり幅は大きい)
        (吹き飛ばされる体を空中で回転、姿勢制御を行って突き立つ鉄骨の側面に着地。着地した部分がぐにゃりと曲がるも特に問題なくそのままがらくたや様々な物にまみれた地面に足を着く)次代頭首補佐の君が出てくるとはね、エスカ。君がいずれは仕える相手に手をあげるなんていうのは、ちょっとどうかと思うけどね -- アルマ 2013-01-03 (木) 02:49:30
      • それは失礼をしました、アルマ様。ですが、名を継承していても、いまだ正式な継承者として認められていないということをゆめゆめお忘れなきよう、お願いしたいところですね(その言葉と同時に、再びアルマへと襲い掛かる)
        (補佐役の主な任務は頭首の周辺警護と戦闘での近接戦闘担当。ゆえに、名前の由来通りの囮を任される)
        (魔装具での攻撃、破壊から逃れたものを仕留める。もしくは近距離まで迫った相手を遠ざける為に頭首以上に接近戦の修練を要求される)
        (そして、彼の瞬発力は歴代の中でも最速と呼ばれ、捉えることのできる相手はほとんどいない)
        (目の前の、自分以上の才能以外だが―――) -- エスカ 2013-01-03 (木) 02:57:57
      • (手加減などはない、してる内に自分が倒れるだろうことはわかっている。継承者となる前から、散々手合せしてきているのだ。わからないわけがない)
        (異常とも言えるスピードで突進してくる彼をひらりひらりと避ける。正面から相対する方法はあるが、母は言った。「試す」と。思考の隙間を縫うように攻撃は続く。それを躱し、避け、捌き続ける。ミスの許されない攻防だ。彼のその愚直なまでの突進を食らい、バラバラになったものは少なくない。暴風ともいえるそれは、対象をまっすぐ撃ち抜く。鋼鉄すら紙のように撃ち抜くその拳だけは、食らえない)
        (マフラーを形状変化、巨大な拳となる。そうしてその場で躱すと同時に跳躍、進行方向と思しき所へと思い切りその巨大な拳を振りぬく。狙った相手には当たらず、地面から土煙をあげさせ、周辺の地面を揺らす)
        徒手でやるのではなく、魔装具を用いて退けろってことでいいんだよね、きっと(答えるものはいない。だが、それこそが答えだ。次の瞬間、爆発音とともに周辺から土煙が舞い上がる。恐らく移動しながら何かの爆発物を設置していたのだろう。一瞬で視界が0になる)
        (慌てることなく、マフラーを拳から変化。背中でマフラーが変化して羽となる。その羽ばたきで近くの煙を吹き飛ばし、空中へ―――) -- アルマ 2013-01-03 (木) 03:16:11
      • そうするのを待っていましたよ(大きな音を立てて、なにかが煙から飛び出してくる)
        (その凄まじい脚力をいかした跳躍というにはあまりにも速く、鋭いそれは、アルマへと向かって一直線に跳ぶ)
        (狙いは単純。この勢いを持ったまま殴る。それだけだった。しかしエスカの攻撃力をもってすれば、その狙いもまた、冗談で済むような威力ではない) -- エスカ 2013-01-04 (金) 01:11:58
      • (――安易な選択をした。魔装具を使い戦うというのは、決して戦闘で楽をするということではない。わかっていたつもりが、わかっていなかった。それが現状に繋がっている)
        (盾を出せば押し負ける。不安定な空中でそれをすれば、着地の際に怪我を負う可能性も出る。負傷して、治す時間を相手が許すわけがない。先程までの攻防を経験しているのだ。それはわかる)
        (では、どうするか。思考する時間すらない今、賭けに出るしかなかった)
        (足元にマフラーを集中。形状変化させる。その形は槍。普通なら、この一撃でエスカを倒すことはできるだろう。ダメージやそういったものに対する躊躇はない。戦闘中であり、ましてや仕掛けたのは向こうだ。殺せというのなら躊躇なくできる。問題があるとすれば)
        っっっつつ!!(こちらへと向かい、迫るエスカへと今出せる全力で迎え撃つ。十二分に力をためて、放つ。) -- アルマ 2013-01-04 (金) 01:26:55
      • それでは、どうにもならないわ、アルマ(目の前の光景を見て、呟く)
        (行きつくまでの戦闘でも言いたいことはある。だが、それ以上にあるとれすば。アルマの中で無事に出せる最大攻撃力は「槍」だけだろう。本来の力であれば、充分過ぎるほどだ。だが、本来の力であれば、だ―――)
        (そしてそれは、アルマが、いや、あの子が使用している以上どうすることもできない。言ってしまえば、あの子に残された手段で一か八かがあるとすればそれは一つ。あの子が作り出した「アレ」以外にない)
        (その考えを決定づける光景が、目の前に現れる)

        (そこには、槍を砕かれ、両足を文字通り粉砕されたアルマがそこにあった)

        (マフラーを使用できず、地面に無様に叩きつけられるアルマ。両足はまるで、ガラス細工でできていたかのように粉々に砕かれている。比喩ではなく、文字通りだ。)
        (―――つまり、魔装具を継承するということは、人をやめるということでもある)
        (だが、人をやめて、この程度であっていい筈がない)それがわからないあなたではなかったでしょう、アルマ……(その眼差しには、悲哀と憐憫が混ざっているようだった) -- ??? 2013-01-04 (金) 01:39:01
      • (衝撃はすぐに来た。槍が砕かれ、そのまま自分の体へと到達する。足が無くなる感覚がわかった。だから、それ以上を防ぐために何とか体を捻り、それ以上の破損は防いだ)
        (だけど、それまでだった。そこで終わってしまった。四肢の破損は以前経験している。痛みはもちろんだが、それ以上に大きいのが喪失感だった。だが、治す事が出来ることを知った今ではそれほどではない。ただ、問題は治癒する時間がないこと。悪手に次ぐ悪手は、戦闘の終着をもたらした)
        (落下していく中、母の顔が見えた。その表情はとても明るいとは言えない。結果を見て、どう思っているかなんて、わかっている。失望しているのだ)
        (このままでは、継承者としての座は消されるだろう。それだけは駄目だ。それだけはいけない。こんなもの、背負うのは僕だけでいい)
        見たかったものは、これなんでしょ……?(ぼそりと呟く一言。エスカにはそれが敗れた故の言葉に聞こえ、アルマの母には、それはまるで、後悔するなと、言われているようで) -- アルマ 2013-01-04 (金) 02:36:56
      • (必要なのは魔力ではない。心の切り替え。それが必要だ。常に使わないよう心掛けてきたそれを、使う為に。)
        (つまるところ、これの威力が衰えてないかどうか、それが重要らしい。当たり前だ。これがあるから今の僕があり、私になれる。わかっている、自分でもその重要性くらい)
        (だけど、これを一度、たった一度だけ使ったときに、何が起きたのか。知らないわけじゃないというのに) -- アルマ 2013-01-05 (土) 00:36:29
      • (あの子は、元々は補佐役になることに決定していた。継承権は妹へと引き継がれる筈だった。それは決まり事であり、決定された未来だった)
        (それの変化が起きたのは4年前。補佐役となり、様々な知識を得た結果、継承者に課せられる呪い。それらを知った事が間違いの始まり。少なくとも、私はそう思っている)
        (補佐役である分には、あの子にはその才能は誰よりもあった。恐らく、歴代でも最強だっただろう。だが、継承者になる為に必要なものが欠けていた。ただ一つ、生まれてすぐ決まるもの。それだけがなかった。ゆえに、継承者としての才能は絶無だったはずだった。だが……修練と、元々の才能がそれを凌駕する)
        (継承者となり、必要となるのはその操作。あの子は確かに魔装具を扱えるようにはなっていた。だが、それは本来の3、4割程度しか出ない。攻撃も防御でもだ。それではどうしようもない。結局は異例の継承者移譲は白紙になる、筈だった)
        (継承者として必要なのは、操作。だがこれはあくまでも最低限必要なものだ。魔装具には、何代にも渡り続けてきたことがある。それが魔装具の強化。要は形態変化の追加だ。代々の継承者には自身の得意な型があり、それこそが自分の生み出した武器だ。一つ一つ増やし、生み出してきた歴史。魔装具を強くし、国を守り続けていく事。それこそが目的だ。)
        (あの子が最終試験というように、それを命じられたのは戦場でのこと。周辺の国との大規模な戦争の中で、それは実施された。理由は、戦闘の中でこそ武器の真価が発揮される。ゆえに、闘争の中に身を置くことで武器は生み出される。それが本家の言葉だった。言ってしまえばそれは死刑宣告のようなものだ。できるわけがない、誰もが思っていた。私もまた、魔装具の回収班としてずっと後方で待機していた。そして、なにも抵抗することなく前線へと進む姿を見送ってしまった。それは、できないならば逃走できるだけの実力を持っていることを知っているからだ。それが、私の間違い。止めるべきだったのだ。なにがなんでもそこで止めるべきだった。しがみついてでも、なにをしてでもだ。見送った後に見た光景を、今でも覚えている)
        (紅い、紅い、光を―――) -- ??? 2013-01-06 (日) 05:58:22
      • 凶剣……使うよ(マフラーが変化する。形はまとまらず、ぐにゃぐにゃと動く)
        がっ……ぐぅぅぅううううう(マフラーの変化とともに、身体の方にも変化がやってくる。マフラーの色が少しずつ、青から色を変えていく)
        (吐き気が止まらない。汗が噴き出してくる。その間もずっと、自分の口からは低い唸り声が続いている)
        (変化はマフラーだけにとどまらず、その肉体の方にも変調、そして変異をもたらす。)
        (駄目だ駄目だ駄目、このまま同じようになってしまえばまた、どうしようもないことにしかならない。それだけは避けなければならない。避けなければならないのに。変化は止まらず、その形は見ようによっては剣のような形に整ってきていて)
        あ、あ、ああああああアアあああああああアアアアアあああああ!!(絶叫する。獣のような絶叫。天に向かい、言葉でもない、叫びを発し続ける中で、全身には軋むような痛み、いや、違う。体中の皮、肉、臓器、すべてに渡り引き剥がされて、すべてが裏になり表になる。)
        アアアアアあああああああああははハハハははははははは!! 気分がいい。ああ、こんなに気分がいいのは久しぶりだヨ!(叫びはいつのまにかマフラーの形状は完全に変化して、「剣」の形となっている。しかし変化はそれだけじゃない。肌は浅黒く変わり、その体のラインもまた、女性らしさが強調されるようになっている)
        ふふ、久しぶりだね、お母さん(にこりと笑う。しかし、それは張り付けられたかのような、不自然な笑顔だった)
        http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst082129.jpg
        -- アルマ 2013-01-06 (日) 06:22:28


      • (二度目の闇。意識があるのに何も見えず、聞こえない。夢を見ているわけでもない。ただぼんやりと暗闇の中を揺蕩っている)
        (初めて来たときは恐怖しかなかった。死んだのだと、そう思った。しかし違う。意識と体が乖離し、奥底へと追いやられている。そう後で聞いた。以前の継承者にもそういった傾向の見られる人間がいたらしい)
        (言ってしまえば、今表に出ている彼女が、いつもいるのがここなのだろう。なんて寂しい場所なのだろう。以前とは違い、そう思う。ここはなにもない。何も聞こえないし、何も見えない。ただただ闇の中でいつまでこうしているかもわからず揺蕩う)
        (時間の流れすらもわからない、こんなところが、自分の中にある。不思議だと思う反面、そんなものなのだと思う気持ちがある。それもまた、心境の変化というものなのだろうか)
        (とはいえ、それは置いておくにして、今現実でどうなっているのか、それが気にかかる。以前は目を覚ました時には国が一つ消えていた。聞いた情報でしかなくて現実味はなく、確認したわけでもないので、なんにも実感が湧かなかった。だが、今回は違う)
        (自分の知り合いが、友人がいる街での事だ。以前と同じ結果なんて、考えたくもない)
        (不安だけが募る中、時間はどれ位経ったのだろうか。やがて、ゴポン、という水面に石を放り込んだような音がする。そして、闇の中からゆっくりと引き上げられていく感覚、その刹那―――)

        もう少しだったのに、ざぁんねん……それじゃ、またね、スパーダ

        (自分の真名を、通り過ぎるそれは呟いた。つまり、こちらに話しかけてきたのだ。何か言わなければ、そう思ったのに。意識は覚醒する) -- アルマ 2013-01-08 (火) 23:48:03
      • 目覚めましたか、アルマ。おかえりなさい、それと、報告することがあります。
        (そうして、機械的ともいえるような口調で話しだす。アルマの意識が沈んでからの出来事を)
        (まず、傍にいたエスカが重傷を負ったらしい。とはいえ補佐役だ。怪我をしても治せるだけの備えがある。ゆえに、心配するなと告げた)
        (表に出た彼女を止めたのは、母と、その母、先代でもある祖母が止めたとのことだ。二人がかりでようやく止めたということらしい。戦闘の詳細も事細かに話されたが、言えることは一つだ)
        (圧倒的暴力。その一言に尽きる。負傷者はエスカくらいで、そもそもゴミ捨て場でもあり、だいぶ街から離れていたのもあり、人的被害は皆無に等しい。だが、広大なゴミ捨て場、とも呼んだあの場所は、まっさらに、すべてを塵にして霧散したらしい。残ったのは荒野。それだけだったという)
        (全て本家の方で手を回していたので、その被害に関しては問題はない、と言った)
        (そして、最後に先代からの伝言「卒業までに使いこなせるようになるのも、継承者になる条件の一つに加える」とのことだった) -- ??? 2013-01-09 (水) 00:06:34
      • (身体を起こす。周辺を見ると、どうやら家ではなく、病院らしい)卒業までに、かぁ……あと1年でどれだけできるだろう……(しかし、やるしかない。そうでなければならない) -- アルマ 2013-01-09 (水) 00:10:02
      • いえ、あと2年ですアルマ。実は、言い忘れていましたが、あなたが倒れてから今日まで、どれくらいの時間が経っていたか、教えていませんでしたね。
        現在は10月。アルマ、こちらが巻き込んだことですので、これについては咎めませんが、2年生、3回目もきちんと励んでくださいね(そういうと病室からさっさと出て行ってしまった) -- ??? 2013-01-09 (水) 00:12:43
      • え!? え、ちょ、母さん!? 6か月も眠りっぱなし!? 半年休学で留年!? いやいやいや、えぇぇえええええ!?(病院でアルマの悲鳴が木霊したという) -- アルマ 2013-01-09 (水) 00:13:55

Last-modified: 2013-01-09 Wed 00:13:56 JST (4097d)