名簿/377913
- (埠頭の倉庫。「灰」との約束の場所だ。随分早く着いて、手頃な場所を見つけて座り込んでいる)
(眉間に刻み込まれた皺は店で見たときのまま、いくらか緊張しているようにも見える) -- 飯
- (時間は刻一刻と過ぎていく…約束の丁度五分前、倉庫の戸がゆっくりと開いた)
……待たせた、かな?(淡々とした声、奥に佇むその姿を見つけて) -- グリ?
- (近づいてくる「灰」に、ゆっくりと顔を上げて)ボクが早すぎただけだヨ……(震える声、緊張か、あるいは覚悟か)
……さあ、ひと思いにやっておくれヨ(自分が心変わりする前に。喪失の切欠となったあの感情の蘇らないうちに) -- 飯
- 了解、じゃあ早速始めよう(前置きも気負いもなく、やはり対照的に淡々と告げる)
(右手で短剣を引き抜くと触れるためにゆっくりと近づいていった) -- グリ?
- (深呼吸して目を閉じる。何も考えるな。もうすぐ楽になれる。そう自分に言い聞かせる)
(最愛の家族を失った記憶が。契約者として多くの者達を殺めてきた記憶が。自分を苦しめることはまた無くなるのだ―――) -- 飯
- (額へと伸ばされる左腕、放たれるランセルノプト放射光の青い輝き…赤く爛々と輝く目が見つめた) -- グリ?
- (契約者になること。それには何らの感覚も伴うものではない。呼吸した酸素が全身に行き渡るように速やかに、その変化は訪れる)
(それは再び能力を取り戻すときにも同じ事。突然に思考は合理性を得て、今まで己に痛苦を与えていたものたちが、ただの記憶以上のものでなくなる) ……ありがとウ(それは契約者の特有の声だった。述べられたのは礼。心からのものかどうかは、判然としないが) -- 飯
- なるほど、巧く行ったようだね…(聞き覚えのある独特の抑揚のない声音に)
これで半ば証明されたわけだ(そういうと自らの腕に二度三度と刃を走らせた) -- グリ?
- アア。とてもスッキリしタ(能力を使ってみようとはしない。そうするまでもなく、「使える」という感覚が己の中にある)
よく分からないガ……ホラ(包帯を投げ渡す) -- 飯
- そりゃ何よりだ、とりあえず血肉のつくもので支払って貰うよ…(包帯を受け取ったものの、依然足りないのか止血もせずに対価を支払い続けている) -- グリ?
- 仕方ないネ……今度店に来たら奢ってやるヨ(自傷行為を続ける相手の様子を、感情のない目で見つめて)
大丈夫カ?(単に出血多量で倒れられると面倒なので聞いたのであって、心配しているわけではない) -- 飯
- 思いの外対価が重いみたいだ…乱用はできないというか実戦には無理そうかな、なかなか勉強になる実験だ(座り込んだ) -- グリ?
- 傷つけるのは自分じゃなくてもイイんだろウ?……状況に因るだろうガ(無防備の仲間を放置するのは危険だと判断し、回復を待つつもりのようだ) -- 飯
- いずれにせよ使いどこは難しいな……ふぅ、OK。移動しよう
(暫らく経つと微かに震える手で止血を始め、ふらつきながらも立ち上がった) -- グリ?
- (頷くと、並んで倉庫を後にした。住処への護衛くらいはやったかもしれない) -- 飯
- やってる…かな?(朝も早い頃合、『金宝飯店』にやってくる一人の「客」) -- グリ?
- ヤァ。いらっしゃイ……(前に見たことがあるなら、その時よりいくらか萎んでいるだろうか。不健康そうな青い顔をして客を迎えた) -- 飯
- 貧血気味でね、朝から悪いけど血肉の足しになりそうなもの頼むよ(席に着くとメニューを見て)
景気の悪い顔してるけど繁盛してるかい?(注文を終えると新聞を広げて店内を見回す) 最近は街も静かなものだね…そういえば星が一つ消えたって聞いたけどどうなるやら(新聞を眺め、流れたとは言わずに) -- グリ?
- (相手の対価は心得ている。血が足りないというならレバーでいいかと調理に入り)
客入りはいつも通りだヨ。飯時以外はガラガラダ(だから堂々と話も出来るのだ) (苦笑いを浮かべる。消えたのは、この男の星だ)偽りの星が可視域から消えル。喪失者は珍しイ……近いうちに研究機関送りだろうネ(表情に滲み出るのは苦悩だ。契約者ではありえない感情の発露) -- 飯
- 研究所、ね。ぞっとしないな…(知ってか知らずか対照的に無感情に淡々と呟く)
その未来を知ってるとすれば、契約者のままがよかったと思うのか…それとも人間らしくありたいと思うのか。 選べるなら喪失者は如何思うんだろうね… そういえば……俺の能力の事、どのくらい知ってる?(唐突にそんな事を口にした) -- グリ?
- 研究所でどうなるかなんて関係ないネ。感情なんてモノは一度無くしたら戻らない方がイイ……
今更戻られても、苦しみばかりダ(無感情な相手を、細められた目で見る。その奥に浮かぶのは羨望か) 人間らしさなんテ、糞食らえだヨ(吐き捨てるように、そう言った) (話題の急転換に一瞬きょとんとして)「治癒」だろウ?怪我を治す。対価は流血……他に何かあるのカ? -- 飯
- 中々参考になる話だ
そう、その通り。組織も俺もそう思っていた……でも、それは少し違うのかもしれない 病人相手に能力を試したことがある…完治したのもいたが 一時的に状態が改善しても後日同じ病で結局死んだ奴もいたんだ 容態の差かとも思ったけど其処から少し考えた…俺の治癒は状態を、時間を巻き戻す副産物なんじゃないかって -- グリ?
- ふん。それならば……喪失者も元に戻せるかもしれナイ。そういいたいわけだネ
(はたと違和感に気付いて手元に目をやれば……僅かとはいえ、料理を焦がしてしまったなど何時ぶりだろう。苦笑いながらそれを皿に盛り) ……今戻ったところデ、同じことかも知れなイ。切欠があれば何時でも、能力を無くしてしまうかもしれなイ (だが、この苦しみから逃れられるのならば、その可能性があるならば)お願い、出来るだろうカ -- 飯
- 理解が早くて助かる……それを俺は確かめたい、それが可能なら…もう一つの可能性も確かめられる
此方にも利がある話さ、頼まれるまでもない -- グリ?
- (もう一つの可能性。喪失者を契約者に戻すことができるなら……あるいは)
そうでなければ合理的な契約者がわざわざこんなことを言い出すはずはなイ、カ コチラはいつでもイイ。……といっても、研究所送りになる前ならだガ -- 飯
- 俺も何時でも構わないが…場所は変えた方がいいかも知れない
そっちとしては店内に血の池が広がるのも避けたい、だろう?(傷だらけの腕を見せて) -- グリ?
- ……そうだネ。ここじゃあマズい(相手の傷の様子を見て納得した。あの傷痕は、それなりに深く傷つけないと残らない)
(そんなことが分かってしまう自分が嫌で、その嫌悪感を持つ自分が嫌だった) (いつ研究所送りになるかはわからない。早いほうがいいだろう、と考え)今夜。場所は……そうだナ。ここにしよウ(紙切れにさらさらと住所を書いて渡す。そこはこの街の埠頭にある倉庫のひとつ)そこなら邪魔もはいるまイ -- 飯
- 了解…さて、腹ごしらえ腹ごしらえ(メモ書きを受け取り一瞥すると無表情に料理へと箸を伸ばす) -- グリ?
- (グリが料理を食べている間、他に客もいないので、奥の椅子に腰を下ろし、終始険しい表情を浮かべて思考にふけっていた) -- 飯
- // -- リサ
- 港の方は随分と派手にやってるみたいだけど、警護に回された連中は大変だねえ……ボクにお鉢が回ってこなくて本当によかった(キッチン以外は明かりの落ちた店内、ぼやきながら鍋を振っている) -- 楊
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