グライムズ
- 【Desert Mirage】 --
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- 「臭うが気配が見えない。やはり近づかないとわからないな…外からでは無人の廃村に見える」 --
- 砂漠近郊の村で少年が幻影の男を見続ける映画はなんだったか…途中で寝てたから思い出せない。
風と砂が舞う砂漠地帯近郊の村に、砂漠偵察車両を使って遠征してきたのが今だ。 時間を撒き戻せば、廃村からミイラが溢れて村を襲っている…と情報を聞いて実地調査に来たのもある。 その背景に不審な男が関与している…見かけた、目撃した。とのこともあってだ。 --
- とにかく。俺とフィウラはその砂漠の村を転々と砂漠偵察車両ことDPVで回っていた。
そしてみつけたのが、今見下ろしている人っ子一人見えない村だ。 よくある砂と日干し煉瓦で出来た村。そんな人っ子一人いない村を前に俺は呼吸するのも苦しい重装備を纏っていた。 話に聞くとミイラは大量に現れ一人の人間を次々と囲んでかみ殺すとか。 だというものだから、10kgあるPKPペチェネグ機関銃にメディケイターの手を借りて改造した対爆スーツを装着している。 そもそも爆発防御用の繊維やプレートを一部銀製のチェインメイルに交換してゾンビやグール、吸血鬼の防御用にとしたものだがいかんせん重すぎる。 潜水服で山登りしたほうがまだ楽だというぐらいの息苦しさ。おまけにこの砂漠の暑さ。拷問に等しかった。 --
- 一方相棒のフィウラは、普段の服にデザートストール…砂漠用のマントみたいなものだ。
そいつをつけてる。砂漠では昼は日差し、夜は寒さから身を守るためにこのようなものが現地で生まれている。 といっても普段の服がメディケイター特製のものだったりそもそも吸血鬼のなにがしかに感染しない上に素手で充分なフィウラに装備など邪魔になるだけ…というのが大きい。 とかくもう、なんというか素っ裸になりたいぐらいに今、この砂漠の台地で蒸し焼きになりかけていた… --
- 「…聞いているのかマスター?ともかく、降りてみないことにはわからない。現地調査を薦めるが」
あぁ、わかってる。そうしよう。 と短く応えればフィウラは頷き先導を始める。 どう呻こうが、相棒もよくわかっている。いかなる状況でも連中の影がある場所から目を逸らすことなんて、できないことを…… 薄く流れる砂の大河に2組の足跡が生まれていった --
- 『ここは さばくの むら』 --
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「……本当に何もないない」(一軒の家のドアを蹴破り砂埃を立てれば) クリアゴーグル越しに砂が散りたゆたうのが目で確認できるほど、寂れていた。 この場所はハズレだろうな、と呟き外を見やると…フィウラだけは真剣な眼差しで周囲を見渡していた。 --
- 「気配も臭いもすれど、姿が見えない…気を抜くなマスター、どこかに必ずいる」
家屋の扉を用心深く素手で破壊し制圧を行っていくフィウラ。確かにこの村は異常だ。どの風景を見ても先ほどまで生活していた痕跡ばかり残っている。 食事の途中だったろうテーブル、干しかけだったのか砂まみれの洗濯物…時間の止まったような村に風と太陽は吹きつける。 --
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そうこうしている内に全ての家屋を開け放ち、誰もいないことの確認が取れてしまった。 しかし…そうなるとますますおかしくなってくる。 「………確かに、おかしいな」 何をもってそういえるのか、は口に出すまでもない。相棒がそういっているのだからこの村は怪しいのだ。人の道から外れた連中の臭いも気配もすれど姿が見れない… 何かがおかしい。村の中心部の広場でそこらを見渡すように歩く。フィウラに至っては警戒する番犬のような…唸り声を上げそうな、顔で ふと、その時。こんなクソ暑い中徒労に終わった…という緩みか。集中力が不覚にも切れたためか。砂漠の街の中心といえば必ずある井戸に足をぶつけて 組石の1つを崩してしまった。 崩した石はそのまま井戸の中へ…闇へ消えて、ドボン、と音を立てた --
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事態はその時急変した!突如砂漠の砂を吹き上がらせ地中から網の毛布を跳ね除けて方々からグール、ゾンビ…不死者が怒涛のように現れた! たったその一瞬の出来事でもいい。緩みかけた精神を引き戻す引き金が掛かれば、鋼鉄を弾く指に力が入る。 軽機関銃が轟音を上げて鉛弾を群れに向けて吐き出した。 フィウラは、というとそれよりも早く。ストールをたなびかせ舞うように大口径拳銃を引き抜き、その低速炸裂弾で線でくる敵に対し穴を開け、ゾンビウォールを穴あきチーズに変えていた。 いつもながらこの、イニシアチブ…戦闘での主導権を得る事に関して。切り替えし等特に強く思える。それがまた、頼もしい。 どんな不利な状況でも切り返せる…文字通りの切り札なのだと。弾帯を交換しつつ掃射を続けながら思う。 かくして、ホラー映画をフィルムごとひっくり返すような活劇は、瞬く間に幕を下ろした --
- 「これで全部か?」
熱せられ、この砂漠でも蜃気楼を作る軽機関銃の銃身を尻目に、相棒に問う。 だろうな、と答えが返ってくれば心なしか一息つける余裕が生まれるものの… 収穫はなしか、と。確かに村1つ足りるほどの人数がいたが…だからといって何を得たというものではない。 吸血鬼が戯れに作った遊び場か、ゾンビかグールのような出来損ないを作るために産み出した村か… 徒労感もあり、自然と足はDPVに向かっていた。 --
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「どうした?帰るぞ」 しかし、フィウラは倒したはずの不死者を並べ、転がしては何か調べるような所作を繰り返すばかりであり 「フィウラ?何してるんだ」 とっとと帰ろう。と言わんばかりの強めの語気になるも、ゆっくりと歩みを相棒に向けて砂を踏みしめると、静かにフィウラは口を開いた 「見てくれマスター、この死体の群れを」 --
- なにが、とも言わずに気だるげに表と裏に、転がし調べる。
どれもモンスター図鑑に載っててもおかしくない代表的といってもいい不死者だ。 何の不審点がある、と目で訴えるとその目線は鋭く、切り込むように応えた。その手は死体の首筋に。手に、背中に…足に当てられて、ようやく気づく 「こいつら…噛み跡がない……」 続く…… --
- 【The Rock】 --
- 「吸血鬼が優雅な貴族的存在」であるというイメージは創作の影響が大きいだろう。 --
- しかし実際には不死という力、生命力とでもいうべきか…超人的な生物的なパワー
人を超えた力が闇の世界の権力に結びつく。表の世界の人間社会を侵略し脅かすように。 「今月も滞りなくか。よい、次を」この玉座に座る男もそうだった。 貴族の諸侯という出で立ちで頭には王冠、顔には蓄えられた髭。侍らせている侍従の女たち。 一見有力な諸侯に見えるが実際は違う。なぜならこの土地を治める諸侯は今玉座の間で跪いていた。 --
- 「マグヴェース様。かの地はいかがしますか」
かの地とは冒険者の街のこと。最近吸血鬼が集まり、狩人も釣られるように集まる…あの街だ。 「構うな。我らには関わり知らぬこと…詰まらぬ些事で余の耳を汚すな」 ここは冒険者の街とは離れたある深い森にある居城。魔女が住むような深い闇に潜んだ街を見下ろすように立てられた城 表の当主はこの男、容姿は一流の貴族であるがその才気は凡庸といっても何一つ間違うものではなく。 事実として裏の支配者であるマグヴェースがこの界隈を取り仕切っていた。人間社会をうまくコントロールするためにこの男を利用したのだ。 --
- 「しかし噂ですと連中はかの街だけではなく他の地にまで…」
お陰で領地は他の諸侯から守られ平和を保っていた。しかしその裏では神隠しや怪奇事件が時折起きては人々の安息を脅かしていた。 それもそのはず、この領地は社会的な見地からもよくある土地だというように偽装された吸血鬼の餌場なのであるから。 「くどい!ここは余の領地。余の世界。何人たりとも犯させはせぬ。」 「はっ!失礼しました…」 一方その頃…… --
- 月夜が噴水に浮かぶ庭園は静まり返るように薄暗く… --
- 「今日も蒸すな…」
衛兵が自身を守るその防具を鬱陶しそうに鳴らしながら庭園の見回りに勤めていた。 この時期この領地は特に湿気と蒸し暑さが併せて訪れ、城を守る衛兵の気力を削いでいた。 「城にまで化け物がでるなんてことは勘弁してほしい…」 巷じゃ化け物がでて人をさらっていくなんて噂が立ちっぱなしだが、こうも不気味さが沈殿しているような土地だと…信じてしまいたくなる --
- その不気味な土地であってもこの城は権威を前面にだしたようなつくりであるし、事実見事な庭園を維持していた。
衛兵でよかったと思えるのは快適な時期に行える見回りぐらいのもだがここ最近はそうでもなくなってきたのがより一層士気を削いでいた。 こんな時期でも庭師も仕事をきちんとしているのだから、たいしたものだと思う。 辺りを見渡しながらそんなことを考えているとふと、月明かりに照らされた用水路の一角が目に入る。 普段は人が落ちないように下ろされている鉄格子が開けられていたのだ。 「庭師もこんな雰囲気じゃ、手も抜くか。」 夜中に誰かが見逃して落ちてしまったら危険だ。やれやれと思いつつ用水路に近づき鉄格子を下ろすために手をかけた。 --
- その瞬間
衛兵は凄まじい力で足を掴まれ、用水路の中に引きずり込まれた。 もがく頭は首を捻られ息絶え…そのまま城の外までの流れに乗って消え… 静かな水音を立ててその用水路から出てきたのはミスリル色の髪と月のような肌の、人狼の女 獣の如き瞳を見開かせながら周囲を見渡した後、問題ないと言わぬばかりに用水口へ手を差し入れてもう1人男を続かせるように引き上げる --
- 「今回は連中の時間だ。出来る限りの下準備を行いつつ向かおう」
水中作業用の装備、酸素マスクなどを纏めフックで用水路内部に引っ掛けるとプラスチック爆薬を括りつけそのまま沈めた。 鉄格子を下ろし建物の影に添うように体を滑り込ませる。 フィウラとグライムズは静かに城に侵入していた… --
- この城の立地は深い森の中に建てられたものだが築城の際に山間を選んでいたらしく
庭園を流れる水路も、付近の川も全てこの城が建てられたすぐ上方にある山からの支流… そこから流れてきているものだった。お陰で篭城となるときも水に困ることのない設計となっている。 外周だけでいえば蒸すような季節であっても清流の通る城壁付近には涼しい風が流れていた。 その流れのためか。極力控えた足音は掻き消され環境そのものが我々に味方していた。 この清流のせいか、吸血鬼の臭いもまた掻き消されるのではと思っていたが先導するフィウラを見れば 心配は杞憂だったようだ。静かに見張りの衛兵を眠らせ壁に立てかけていく。 後ろで外見から予測したものと、内部からみた城の構築を修正しつつ爆薬を仕掛ける。 今回の敵は中堅というより代表的に強いと言われるような存在の吸血鬼。 決して余裕を持って相手できるような相手でない。しかもこの時間帯は夜…リスクが大きい反面 そこを付くことが重要と言えた。遠回りに迂回するように玉座へと進入を試みる。 連中が衛兵の巡回が滞っていることを気づくのに一時間かかるかかからないか…とにかく時間との勝負 その上で吸血鬼を相手にしなければならない、シビアな戦いだ。 自然と作業の手を見る顔、額には汗が浮かぶ --
- 流れる雲がゆったりと月明かりを隠す闇夜。
要所に爆薬を仕掛け終わった今、最後の爆薬を仕掛け終わった。 城の山際…川の流水を受け入れる場所から玉座の真上まで静かに足を運び 腰にまわしていたラペリングロープを取り出す。先端に取り付けられた金具を天井の基部 通気口塔に回し、締めたことを確認。隣にいるフィウラに目を送り、頷く。 この明かりのない闇の中でも月の如く輝く瞳は肯定を。いつでもと語る。 目標はこの真下、ラペリングロープを持つ手を緩め、屋根石を蹴り飛んだ。 石を破砕する音が2つ。しかし真下にいる者らは気づかないだろう。 なぜならそのすぐ後に大窓のガラスを破砕する音が2つ同時に響いたから。 だが気づいたときには遅い。家臣と呼べる男らは火薬と硝煙、鋼鉄が空気を切り裂き音速となった音に打ち抜かれる。 玉座の間は一瞬にして血の華が割く小庭園と化す。 もっとも小口径の自動小銃、アーマメントライフルが生み出すエネルギー量よりも 60口径の大口径拳銃炸裂弾が生み出すエネルギー量と音量の方がだれぞの声を掻き消すほど大きいのだが 「制圧!」 言葉とは裏腹に制圧は完了はしていない。玉座にいる男は何事もなかったように構えている。 いや、その気迫は薄暗く染み出た夜のようにこの玉座の間を侵食し… その気配を感じてかフィウラは既に銃をしまい、徒手空拳を 拳の具合を確かめながらその様子をじっと睨み付けていた。 獲物を前にした狼の如く。これが真の気性かといわぬばかりの強かな雰囲気を纏う。 「無断で余の領地に踏み入りこの無礼。よもや唯で済むとは思うまいな」 苛立ちの混じる声と皺の寄る眉間を作る顔から放たれる怒気 装飾が施された剣を取り玉座からから立ち上がればその闇の呼吸はより深く強く放たれる。 その間もただじっと、その後ろにあるものの盾になるように。その前にあるものへの剣となるように フィウラは立つ。 既に確認済みのことであるが吸血鬼連中に対して自身が非力であることは間違いない。 だからこそ役割を分担しているわけだから。相手を任せている。 玉座の間の正規の扉、正面扉から騒ぎを聞きつけて集まってきただろう衛兵の足音が聞こえる。 流石にこの城に収められている人間全てを相手にすることはできない。 故に。フィウラにあの吸血鬼と戦うことに集中させるには誰かがかく乱し、攪拌し続ける必要がある。 それが今回の役割。 今、扉を開き突入せんとする連中を扉越しに背中に刺していたM72ロケットランチャーで狙い 撃つ。発射音と扉ごと人を吹き飛ばした成形炸薬の炸裂音がフィウラと吸血鬼の戦いの始まりを告げる鐘となった。 --
- 爆発により巻き起こる噴煙を貫く鋼の切っ先
高速の突きがフィウラの胸へ打ち出される! その一撃や常人ならばすぐさま串刺しなり開きにされてしまうだろう。 「……ッ!」 しかし人造兵器、いや人造の人狼であるフィウラにとって捉えることは易い。 手抜きか、牽制か。その一撃を掌底で討ち払う。その鋭さはまさに狼の牙の如し! 鋼鉄と牙が打ち合う音が響いた! 「ほぅ。ただの賊ではないか…ならばこれはどうだ」 煙が晴れた空間に佇む吸血鬼の構えはレイピア術の構え。馬上の騎士が槍を構えるように 舞台の貴族が舞うように剣を構え高速の三段、三角突きを描く! 一瞬にして三点を打ち抜く、剣術。頭と両肩を貫かれれば如何様な動物も動けはしまい。 「何?」 しかしそれらは常人か、狩人となった人間かに向けて撃てばのこと。 今フィウラはその高速の三点突きの一手目を掴んでいた! 吸血鬼の剣と人狼の拳、ミシミシと唸りを上げて震える剣。 力を入れて捻れば容易く折れる…もはや人の技など意味を成さない。 この場にいるのは人の姿をしつつも人とは大きく離れた生命体なのだから! 「どうやら貴様も我と同じく虫ケラとは一線をも超えたもの同士…ならば本来の力を持って相手をしてやろう!喜べ賊物!」 折れた剣の柄を捨てて舞台演劇かの如く体を捻り優雅なポーズをとったかと思えば。 その異変は一瞬のうちに起きた。口を裂くような紅い亀裂、メキメキと音を立てて膨れ上がる肉体! 目の前にいる吸血鬼は本来の姿か、醜悪な巨漢の化け物へと姿を変えた! そこからはまさに獣と化け物との戦い!力と力のぶつかり合いが繰り広げられていた! 石床を抉る暴力の嵐!迎え撃つは蹴り、空中、反転、サマーソルト!かかと落とし! 人狼の力と機動力の三次元戦闘で迎え撃つフィウラ! 一進一退、跳躍猛撃、力は旋風となって吹き荒れる! だがしかし、相手はあのような姿でも吸血鬼、徐々に弱るかと思えばいやしかし。 余裕の笑みを浮かべその勢いは増すばかり。そしてついに現れた、その力、変身能力。 いや変身能力ならばあの肉体の膨張の時に出ていたのだろう。だがこれはまるで分裂かの如く。 体をいくつかの蝙蝠、はたまた狼、霧としいたるところに出現しては消え、現れてはフィウラに喰らいつく! いかに力と機動力があれど、分散されては打ち込む力もまた分散する。 各個撃破とはいかぬ相手。想定はしていたものの確かに難しい能力…… 「クハハハ…遊ぶのも飽きた。貴様は特別に剥製として飾ってやろう!」 危うし!このままイタズラに弄ばれて殺されてしまうのか!? --
- 「何事だ!」
その言葉が出るより早く…方々の隙間や壁、はては天井が破壊され水流が暴流となって流れ込んできた! 瞬く間に玉座の間は水流の中、いや河川に置かれた大石の如く。周囲は水流でまさに川となった。 それも全て潜入時に行っていた破壊工作の成果、山間の河川からここ。城の中まで川となるように爆薬を仕掛けて川の流れを変えたのだ! そう、それは吸血鬼が川。流れる水を渡れないという伝承。 命が止まった不死者は、流れることができないということ! 「いつのまにこのようなものを…これでは…!」 気づいたのは遅い。既にフィウラは傷つきながらも己の闘志を極限まで高めていた。 空を飛べる動物になって「いた」ならまだしも実体として存在していた今、ここから逃れる術も 変身しどこかへ映れる術もない…ましてや霧になることも… 流れる川すらも共鳴し震えるかのように、その闘志は果てなく溢れていく! 「おのれ…!姑息な、最初からこのように仕組んでいたのか…!」 苦痛に歪む顔をフィウラに向けるも、その顔が変わることはなかった。 今、月夜の晩に人狼の決戦兵器がついに真の力を解放したのだから! 轟音が鳴り響き、決着はついた…朝日が昇る山間の城。 流れる川の音は、命の脈動を伝えているようで涼しく聞こえる。 城に残る衛兵や他の者らから逃げるようにタグボートで渓流下りを慣行した後、遅めの朝食と昼寝を取ることとなった… これもまた、続くための1つの戦いであった 続く… --
- 【The Untouchables】
- 「牙を研ぐ」という言葉がある。獣の武器である牙を研ぎ鋭利にするということは戦う前の準備を意味する。 --
- 合わせて何かしらの計画に向けて準備を行うという意味もある。
車内で助手席にいる相棒からガスマスクを受け取り装着用バンドを引っ掛けフードを被る。 衛星座標システムの携帯端末に表示されている時刻と明るくなり始めた空は夜明けを指していた。 --
- 吸血鬼と戦う上で有効な時間は昼間。しかしもう一つ存在することが何度かの調査でわかった。
それは『明け方』である。夜と朝の狭間の時間帯。 吸血鬼が眠りにはいり下僕たちが主人を守るために出てくる時間帯だ。 夜と朝が入れ替わる時間帯はどうやら油断が生じているらしい。 なにせ寝る前の時間だ。あとは下僕に任せて棺おけの中でゆっくり家で寛ごう。 そんな古めかしい貴族のような生活も性質も、血肉を啜る鬼だけの余裕でしかない。 --
- 基本的に夜に仕掛けたがるハンターはよほどの猛者か頭のネジの外れた怪物ぐらいだ。
先日あった血を浴びて喜ぶ人の形をした怪物と人でありながら人に作られた狂った怪物。 連中なら真夜中でも戦いを嬉々として売りに行くのだろうが。 さておきであるからこそ、連中は自らの弱点である太陽が昇る時間帯に守りを強化しなければいけないのだ。 下僕も集め隠れ家である本拠地も要塞のごとき守りで固め、仇名すハンター達から自らの体を守らなければいけない。 しかし夜の眷属である吸血鬼は長く生きれば長く生きるほど余裕も増徴していく。 --
- 今回の相手もその一つ。
夜に吸血鬼に会いに行く人間は三種いる。キチガイかキチガイハンターか吸血鬼に媚を売るものだ。 そういった連中で特に多いのが人間でありながら太陽に背を向けるもの。犯罪組織の人間だ。 今回の相手はは非合法組織と繋がりを築き、人身売買により集められた人間の血を啜っているらしい。 そしてその対価として非合法組織の幹部らに幾分かの恩恵を与えているようだ。 大方自らの血を与えて血徒とすることで矮小な欲を満たしてやっているのだろう。 一時的な仮初の奴隷になって何が嬉しいのか。それらを知ることもなくただ与えられた何物かを喜ぶ その先の結果がどうなるかなどどうでもいいことだが。 --
- 「出てきたぞ、わかるか」
距離を取っているものの非合法組織が拠点としている館の地下から不釣合いな車両 霊柩車が顔を出してきた。そのまま通りに入り館から遠のいていく。 確率は高い、と人狼の相棒フィウラは応える。この朝が近い空気の中微かに臭う血と異形の臭いを嗅ぎ取ったのだろう。 「さすがКрс́ник、鼻は効くな」 なんだそれは、と問うフィウラの言葉を聞きつつもキーを捻りエンジンをかける。 そう、今回の目的は日中もしくは日の出時刻に吸血鬼が移動用として使う霊柩車を襲撃することだ。 棺がすっぽりと収まるその車両ならば問題なく運送できるし…なにより外見を高級車に偽装することも容易。 事実、些か原型は留めていないようだがそれらしい車になっていた。 クラッチを入れアクセルを踏み込み静かに後を追い、走り出した。 --
- Крс́никについて雑談を交えつつ霊柩車を追う。
今回重要なのは場所だ。なにせ非合法組織の連中のところに近ければ応援が出てくる可能性がある。 あの霊柩車の中にも血徒がみっしり詰まっているのだろうに、その可能性を潰さなければ 吸血鬼を仕留めることは今回難しい。二人で始末するというのならばそれ相応の用意が必要だしある程度時期を見る必要があった。 ゆえにこのような手段をとる必要があり…今静かにライトも付けずあの霊柩車を追っているのだ。 何分夜明けに走っている霊柩車もどきなぞ人が起きていればそれは目立つもの。 朝方であることが連中にとって幸いなのだろう。目撃する人間も少なくてこの情報を得るのに苦労した。 そしてそろそろころあいか…と思ったその時。急加速で霊柩車が走り出した。 追跡に気付いたのだ。 --
- 急いでアクセルを踏み込みギアを変える。本拠地に逃げられて溜まるか。
本拠地に逃げ込まれれば連中の配下がごっそりでてくる上にこの方法は二度と使えない。 「フィウラ!ヤツの足を止めろ!」 車のサンルーフをハンドル片手に力尽くで空けると助手席のフィウラに顔を出させた。 連中も相当焦っていたのか霊柩車の車体が傷付くことも省みず、窓から短機関銃を出しこちらに向けて発砲しながら逃走を計り続ける。 しかしある程度の装甲を施してあるこちらの軽車両にとってはガラス代とミラー、照明の請求書を増やすのみの結果である。 路上を跳ねる様な急ハンドルをいくつか繰りかえし、街中のレンガ外壁を体当たりで壊し騒音を響かせた後… 60口径の大轟音が鳴り響いた。 --
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BAOM! 路上には横転した霊柩車が一両。四輪のうち一輪をなくし地面を抉りながら石壁と並列していた。 車のドアを開け用意しておいた消音機付きのMP5A4を手に取る。 構えを取ると光学照準器の赤い小点が横転した霊柩車のドアを捉えた。 相棒はサンルーフからそのまま飛び出しボンネットの上を歩き先導するように霊柩車へ向かっていく。 その瞬間、霊柩車のドアは開くと男がうめき声を上げながら這い出てきた。 SHCOCOCOCOM! 撃つが早く男の頭から身体に向けて9mm拳銃用法儀式済み水銀弾を刺し込む。 うめき声も上げず崩れると、朝日を浴びてそのまま塵に還って行く --
- もし、車両に残っていた場合の血徒の排除は俺が。
フィウラには予め頼んでおいたことを任せていたため、このような役割になっている。 霊柩車の車両後部にある収容スペースの扉を強引にフィウラが音を立てて剥がして行く。 中に納められていたのは…棺。既に吸血鬼の存在を確信しているためか扉をそこらに捨てると棺を掴み朝の路上に放り投げた。 GRUUUUSH! 家財道具一式を屋上から投げ捨てたような音が響き、木材と土が散乱すると中に入っていた人の形をした鬼が 数度地面を跳ねた後、何が起こったのかわからないという慌てふためきようで地面をのた打ち回る。 朝日を浴びた吸血鬼は大火傷を負い続けているような悶え苦しみようでうめき… 何か怨嗟の言葉をこちらに吐き出そうとしたのか大口を開けたところで、その声は60口径低速炸裂弾によって掻き消された。 --
- 朝日は完全に昇りきった。
太陽の光を受けつつ焼夷手榴弾を霊柩車に投げ込み葬儀を挙げてやる、死ねば一緒だからな。 朝日と炎を伴って吸血鬼のバラバラになった物を大袋に入れて確保する。 この中には塩や聖水、ニンニクや柊の葉などを混ぜ込んだ悪霊退治用のそれらしい何かをぶち込んでいる。 もちろん、水銀は仕上げに入れた。 退治報告の懸賞金、それに怪生物研究の資料としてだがここまでして解析できるのだろうかという疑問もなくはない。まぁそれにしても安全第一だ。 車のトランクに叩き込むとエンジンを入れ、引き返すように道を走らせる。 仕事は終わりじゃないのか、と問う相棒。最もだがまだやることが残っていた。 俺はギアチェンジとアクセルを伴い答えた。 「ゴミ掃除が終わっていない」 その日の夕刊に新興のマフィアグループ、壊滅させられるとの記事が載ったのは後の話。 --
- 続く… --
- 【Lethal Weapon】
- (改めて銃器の選定を考えつつ今日も今日とて酒場で酒を煽る) -- グライムズ
- (そもそもあの赤外線暗視装置<IR>越しにでも額を捕らえたはずなのに当たっていたのはコメカミ。即頭部。) -- グライムズ
- (何を持ってして感づいたかはわからない。獣じみた野生か、まさか殺気を感じたか?)
(効果的だと思われた闇夜にまぎれた狙撃は失敗に終わった。7.62mmでは不足だったか?ならば50口径を…違うな。と目つきだけは鋭く肉を噛む) -- グライムズ
- (50口径弾頭の質量は7.62mmより遥かに大きい。長距離であれば風の影響を受けるためより正確な計算が必要なくらいだ)
(風を切って進む弾、それがより大きいとなればあの化け物は今回よりもより読まれやすい。) (そんな不確定な要素があるというのに使用することは憚られる。つまるところ…) -- グライムズ
- (7.62mmによる狙撃と倒れた後も打ち込み続ける必要があると…)
(問題は距離。1キロ未満の距離でないと確実に当てられない。確実性を欠く狙撃など持っての他だ) (そして後は緊急手段か…これも考える必要はある。銀核の9mm弾頭をつめた短機関銃MP5を使用するまでの交戦距離となった場合だ) -- グライムズ
- (にんにくが効くというなら、それを材料にした臭気ガスを使用すればいいが効かない場合は致命的な痕跡、目印を作ってしまう)
(ブラム・ストーカー等を読んだもののやはり曖昧な部分が多い。そもあの男に通用するかどうか未知数だ。そうなるとやはり頼らざる負えない有効打は) あいつか…(人狼の相棒を思い出し、やはりなという顔で酒を再び流し込む) -- グライムズ
- 数日前 --
- 昼間だというのに雨の降りしきる薄暗い世界。泥と錆の臭いにまみれた安宿の屋上が今日のネスト。
なぜこんな場所で構えているか。偽装シートの下で吸血鬼との戦いにおいてのセオリーを思い出しながら赤外線暗視装置を覗く --
- まだ今の相棒の人狼。フィウラと組むことになると決まってからすぐのことだ。
無国籍武装医療団メディケイターとの雇用関係を結んでいたためか、保護下にあるためか。彼ら経由である人物から面会の要請があったと聴いてとある支部の一室に呼び出された。 正直な話、国家に帰属しない武装医療団など信頼していいものかと今も思っているがこうして今も彼らのお陰か生きているのだから文句は出るはずもなくやれといわれればやるだけだった。 しかし呼び出された一室で俺を待っていたのは意外な人物だった。 --
- 「久しいな友よ。極圏の演習以来か」
客室のような部屋の椅子から立ち上がると俺の肩を叩き、再会を喜ぶ男。 もみ上げから顎、鼻の下まで髭が伸びており鍛えられた筋肉が服の上からでもわかる偉丈夫 「コズロフ…コズロフ・ヴィーチャ・カミンスキー!どうしてここに!?」 彼は俺が住む国家とは対象位置にある凍えるような氷の凍土が存在する国の兵士だ。 その彼がなぜここに、いや俺を呼び出したのか今はまだはっきりとはわからずただ驚愕するしかなかった。 --
- 「我が母なる大地は遥か昔から連中と戦ってきた。東の果てへの紛争…歴史の闇に葬られようとも流した血は消えることはない」
全てわかっている。という顔で応え、席を促し酒を薦めてきた。想定していない再会だったが、この再会が何を意図しているものか薄々感じ始めていた。 世界の闇の中、歴史の闇に連中は存在していたんだと。コズロフは告げている。 「彼らは残念だった。もっと早く上がВампирの存在を認めていれば…あぁなることもなかったろう」 --
- 「その通り。我々連合王国の兵士が積み上げた歴史の中にも吸血鬼との戦いは残されている」
邪魔するよ、と言って入ってきたのは俺と同じぐらいか、しかし些か細い文官ような男だった。 黒い髪にスーツ、ベスト。どこかの新聞記者がまぎれたような服装だった。 「ルイスだ。連合王国の情報局に勤めている。今回呼ばれたのには察しが付いているだろう?あの吸血鬼についてさ」 --
- 渡された資料…ある程度調べられた諜報結果によると最近活発に活動し始めた吸血鬼の傭兵らしい。
「ヤツは血を求め啜るために紛争という手段に手を伸ばした。東のアスレン共和国、中東のムガン帝国。そしてジャヒル王国…」 資料に記載された遠方からの撮影で捉えた顔写真の影をみて体が震える。 あの時感じた地獄の恐怖が、今も尚俺に染み付いているのだと嫌がおうにも実感させられた 「そしてヤツはかの街に潜伏し次の計画を実行に移そうとしているとの話だ」 不確定だがね、と苦笑いをするルイスの手から渡された資料に書かれていた場所…それは冒険者雇用の非合法ともいえるような混沌とした街を指している --
- 「我々が公的に支援することはできない。だが友よ、お前は彼らからКрс́никを与えられたはずだ。白き獣と共に吸血鬼と戦う術を教えよう」
後で聞いた話だがクルースニクとか彼の国で人として生まれながら吸血鬼と戦う力を持ち、獣に変身する力を持った者のことらしい。 吸血鬼もにたようなものだが、変身するとき白い獣になるから違うのだとか。要するに人造の人狼であるフィウラのことを指しているのだ。 「狩人と犬は遥か太古からの盟約であり定石。人が吸血鬼を狩るならば必要とされる相棒さ。ではまず第一に…」 --
- 「夜に吸血鬼と会わない、か…」
夜は吸血鬼、闇の世界だ。一番本領を発揮するのが深い深い夜の闇の世界 だが昼間はそうではない。連中は大方、大抵昼間は動けないのだ。日差しに弱かったり…まぁ色々だろう だからハンターは昼間に連中のねぐらを探し出し叩く。徹底的に叩くのだ。 そのためにフィウラは昼間に調査に出てるし、俺も昼から酒場で情報を集めている。 --
- 連中は所謂人間の世界に対する異物だ。比べ、耳を澄まし目を研ぎ澄ませば必然と浮かび上がる異質な存在。
それを見つけるのが昼間の俺たちの仕事の一つ。もちろん連中の下僕が当然守っているだろう。 だがそれでも下級のグール、いや吸血鬼であっても排除できる力をフィウラは持っているし そのために下僕を掃除し、サポートする技術も俺は持っている。 だからこそ今雨に打たれながら…赤外線暗視装置越しにとある洋館を覗いている。 --
- 見つけた目標の洋館。ここに押し入り強盗を行い家主の吸血鬼が寝ている間に再び死んでもらうのが目的だ。
そのために家の外周の下僕…脅威を排除し、内部の下僕を排除するフィウラを屋敷に静かに入れさせるのが第一段階だ。 その後、二人で内部の脅威を排除し、目的となる吸血鬼を引きずり出して死んでもらい情報を得るのだが… どうやらフィウラが無事目標の洋館近くに到達したようだ。アイツは鼻が利くし本能的に無事に見つからないルートを探し出せるのだろう。 それでは作戦開始だ。まずはフィウラの進行ルートに居る下僕を排除していかなければ。 M40A5ライフルのチークピースを構成するカーボン樹脂の感覚が頬越しに伝わる中、頭をただ目標を撃ち抜くことだけに集中させる 下僕の一人、歩哨が歩みを止めた瞬間。引き金を引く。乾いた音も雨に掻き消されて湿った空気の中に溶けていった… --
- 続く --
- --
- (初依頼を受けた帰り、酒場にて)相席よろしいか、御仁。連れ合いの居らぬ身で新席を占領するのは気が引かれる。
気に障るなら椅子のみ借りるが。(手の干し肉で椅子の背もたれを叩いた) -- ハリウカ
- ご自由に。連れは仕事中だ。
(背もたれに上着が掛かった椅子に腰掛けた男はウィスキーの封をしていたコルクを口であけるとそのまま飲み始め) (こいつも人狼か。耳の形が狼に見えないが確か高山に住んでいるトラをも殺す狼がそんな形だったかと) (しかしこの男もひどいものだ。連れが仕事をしているのに酒と目の前の革靴のような干し肉とじゃれ合っている) -- グライムズ
- 左様か。言葉に甘えよう。(小さく頷き、座るや干し肉に牙を立てた)
……硝煙の匂いがするな。肌の白い男も酒場にいたものだと目を引いたが、火薬細工使いか。(グライムズの見た目を揶揄したが、それでも熟練の雄の匂いも捉えていた。確かめるためにカマをかけた) 昔から、鼻は利くんだ。特に雄相手にはな。(左手で剣を床板の隙間に刺して固定し、言いながら食事を続ける) -- ハリウカ
- (そのまま黙って酒を煽るがハリウカの言葉の酒を進める手が止まる。どうやらとんでもない猛獣を招いてしまったようだ)
ただの兵士だ。アウトローじゃない (火薬細工で遊ぶごろつきではないと暗に応えつつリベラルな国を生まれとする男には白い肌について応えることはなかった) お前も人狼か。獲物を追ってここまで来るのは殊勝な心がけだが俺はお前の獲物じゃない (こいつも吸血鬼を追って来たろうに何を俺に嗅ぎ取ったか。それとも連中の配下かといつでも背中にある銃に手を回せるように意識はしつつ肉をかじる) -- グライムズ
- (人狼と言われ)さあな、良く分からぬよ。私は雑種だからな(人狼扱いも、犬扱いも慣れているので嘯いて笑う)
安心するがいい、バチスカーフの女は男を襲うときは往来で正面から正々堂々食らう。食卓に上るにはいささか旬を過ぎている気もするしな。 しかし、その物言い、ハンターか。良き出会いだ、血が滾る。ここが往来でないことは私にとっての不幸だな。(干し肉を腹に収めた) ハリウカ・バチスカーフだ。狭い町だ、また顔を突き合わすこともあるだろう。その時は、できれば私を標的と「間違えてもらいたい」。そういう類の生き物でな、バチスカーフの女というものは(冗談とも本気ともつかない笑みを零した) -- ハリウカ
- そうか(ただの獣人か、と思い酒を再び煽るもその笑いと共に漏れる言葉の意味が解らない)
(往来で襲う?旬を過ぎているというのは俺のことか、とか頭がおかしいんじゃないのかこの女はとしか思えない) 成る程、お前は血を吸う鬼ではなく。血を流し浴びて喜ぶ怪物かハウルカ・バチスカーフ (フラッシュバックのように惨劇の記憶が怒りのような感情がふつふつとわいてくる) グライムズだ。だが俺はハンターだ。白昼堂々正々堂々戦うとは思わないことだな (狩人の瞳と牙を剥いた笑顔がハウリカを迎える。次会うときは飯時ではないぞ、と) -- グライムズ
- (クククと笑い)血を流し浴びて喜ぶ怪物か。言い得て妙だな、私を評した言葉の中ではかなり正鵠を射ている。
血の匂いのしない食卓は味気ない物だ。干し肉で我慢する野生の動物など、誰が尊ぶ。私は貴き野生の獣でありたいだけだ。 グライムズか、覚えておこう。期待しよう、奇策妙策喰らってこその女よ。その言葉の虚実は血の匂いを交えて確かめあいたいものだな。褥の睦言の代わりだ。 失礼した。一人で宅を囲むより、有意義な時間だったよ、グライムズ。(小さく笑いを残して、席を立った) -- ハリウカ
- 血を求める唸るのは勝手だが俺は人間で、狩人だ。気高かろうがなんだろうが
暴れる野獣は狩られるのが運命だ。覚えておけ野獣、次の食卓はお前がメインになるかもしれないことをな 虚か真か確かめる前には墓へ何と刻むか考えておけ。出荷日だけじゃ物足りないだろう 楽しみにしてろよバチスカーフの怪物 -- グライムズ
- (廃ビルの寂びたポストにチラシが入れられている)
(娼館Honey&Bunnyの割引券付きだ。) (裏には秘密紳士同盟の署名とハニバニ裏通りの簡単な地図が書かれている。 ) --
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