名簿/480615

  • 激戦に敗退した黒衣の巨漢は、隙を見て己を縛る闇を焼き切り、脱出していた。
    向かう先は焼け落ちたかつての塒。
    炭化した子供達の死体は野ざらしにされ、生身の残っていたものも既に腐敗臭を漂わせている
    地下もまた、信者達の死体で溢れ返った、あの時のまま…腐敗した死体に囲まれた祭壇に、あの悪魔像は無い
    祭壇前の階段に男は座り込むと、静かに己が僕の帰還を待つ
    -- 2012-09-15 (土) 01:35:06
    • (夜闇はあっけらかんとしている)
      (ここで、屍体はゴミと同義。遺棄された人の抜け殻は、ただ、無造作に転がる)
      (二つぽっかり空いた眼窩がなければ、炭と見間違うような、ひときわ無残な屍体の傍に、影が立つ)
      (ぬらりと、影が立ち上がったような男がそこに居る。音も、光すらもなしに)
      -- キャスター 2012-09-15 (土) 02:02:19
      • 来ましたか、キャスター(姿すら見ずに相手の名を口にした男が、ゆっくりと立ち上がる)
        さて…手ひどく、やられてしまいましたな。まさかあの二人があれ程の実力を秘めているとは…
        バーサーカーのマスターにも裏切られ、正直戦況は芳しくありません
        (口とは裏腹に、冷静さを失わない巨漢、その内では新たな策を練っているのだろう…よりおぞましく、より無慈悲な暗黒の策を)
        -- シャンゴ 2012-09-15 (土) 02:06:22
      • (死を彫刻すれば、きっと、この場所のようになる)
        (シャンゴの存在が、静寂に色を与えている。石炭を熔かして塗り込めたような黒へ、染めてゆく)
        (俺は、祭壇の遺骸に立つその姿に死の祭司(ダンス・マカブル)を見た)
        (季節の循環であるような、自然的な、終わらない死の化身を……)
        (沈黙していた口を開き、死臭を肺に取り入れた)
        (それが当然であるかのように、黄金の短刀を懐から抜き、我が主人へ突きつける)
        (金の刀身は、あたりを反映して灰色に煙った。鋭利な切っ先が、震える)
        -- キャスター 2012-09-15 (土) 02:24:15
      • 何の真似ですかキャスター?
        (見せた表情は、怒り。鬼や悪魔等という言葉では到底表現しきれない、さながら地獄の裁判官たる閻魔の如き形相で)
        (巨漢は己が僕の向けた刃へ、視線を向ける)
        勝てなかったことへの苛立ちであれば、その剣を降ろせば許しましょう。
        私とてこんな下らない事で令呪は使いたくありません、さあ
        (見るだけで魂を抜かれそうな、恐ろしい重圧感を持って威圧する様子は、先程まで致命傷に近い重傷を負った怪我人とはとても思えない)
        -- シャンゴ 2012-09-15 (土) 02:36:37
      • (表情筋が連なり、その躰そのものが邪神の木像と化してしまったかのような、激怒を示す)
        (「御子を信ずる者は永遠の生命をもち、御子に從はぬ者は生命を見ず、反って神の怒りその上に止るなり。」)
        (そう、まるで神の怒り。従うには、慈悲と幸福を。背信には、天罰を。傲慢ではない、確かにそのようなのだ)
        (これが人の所業だろうか。呪術へ深く精通したとて、このようにはなるまい。絶対に。この男は、悪そのものだ)

        (黄金の短刀が、浅く燦めく。光なきこの場にて、何かの輝きを映し出す)
        …………令呪で、何を命ずる?(真摯な眼差しのまま、訊う)
        -- キャスター 2012-09-15 (土) 02:52:32
      • 貴方が思っている様な事ですよ(何を、とは明確に言わない)
        (万が一本当に発動でもしてしまえば、貴重な切り札を単なる仲間割れで使用してしまう、それだけは男は避けたい事であった)
        (加えて、巨漢には切り札もある)
        貴方の細君…名は確か、アスタリスクと申しましたかな、彼女を蘇らせたいのでしょう?
        (握っていた弱みを、ここぞとばかりに、わざわざ名を口にしてまで突いてくる)
        (信頼でも恐怖でも無く、この男がここまで付いてきたのは、正しく自身の悲願のため。ならばそこを揺さぶれば)
        (この手の手合はたいてい大人しくなる、最悪令呪を使おうとも、令呪はまだ二つ、一つ使っても0になるわけではない)
        (顔からは余裕が伺えた)
        -- シャンゴ 2012-09-15 (土) 03:02:13
      • (砕けた天蓋が夜空を覗かせている。黄金の儀礼剣のちょうど腹の部分で、反射した夜空から星が流れた)
        (古傷に棘を突き刺され、添って抉られたような痛みが心に湧き出る。……けれど、渇望はもうない)
        (今の心は、水鏡。煮え立ち、行き場を求める蒸気のようでなく、静かにただ揺れるのみで──)

        あいつは、死んだよ。

        (悲哀を込めた言葉が落ちる。一歩、足が進みだした。細かな炭が靴底に磨り潰され、砂利を踏んだような音を立てた) (刃は已然前へ向けられたまま、歩む)
        -- キャスター 2012-09-15 (土) 03:18:11
      • 貴方は…(怒りの色は更に濃くなる、シャンゴの近くを漂う低級霊が、荒れ狂う魔力に恐怖の悲鳴を上げた)
        失望しましたよ、たかが一度の敗北で、脆く崩れ去る程度の覚悟でこの戦いに挑むとは…これなら、ランサーの小娘の方がまだマシですな…
        (大げさに、哀しみを表す様に肩を竦める)
        策も、贄も、魔力もまだ用意する術はいくらでもあるというのに…まあいいでしょう
        ああそうそう、貴方の奥方は…生きていますよ
        ここは貴方が生きた世界と並行する、別の世界、ここでは貴方も、貴方の奥方も平穏無事に暮らしています
        (不意を突く様に出た、巨漢の動揺を誘う真実。そして、その唇が動く、宿す言霊の強さが、輝く令呪が、今まさに巨漢が奥の手を使用する事をあらわしている)
        -- シャンゴ 2012-09-15 (土) 03:39:38
      • (瞑目して、自分の瞼だけを見る。夢を見るように、眠るように)
        (砕けた天蓋から月光が差し込んだ。そして、想起されるは、いつもの記憶────)
        (俺が、俺にかけた呪い。月を見るたび、あいつが死んだその時のことを、鮮明に追体験する呪い)
        (決して、この痛みを忘れぬようにと。決して、揺るぐことなきようにと)

        死んだんだ……。(月明かりに頬が白む)
        生き返っても、別の世界で生きていても……俺にとって、あいつは死んだままだ。
        決して変わることはない。
        そうでしか、ないんだ。
        時は戻らない。起こった出来事は取り返せない。この悲しみも、何もかも。
        だから俺も……覚悟を決めたんだ。

        (儀礼剣に小さな光が宿る。小指から順繰りに柄を握りしめて、切っ先で空を撫添った)

        ぞぶり

        (嫌な音がした。斬撃の音だ。斬られたのは────令呪から迸る、命令の魔導。英霊が決して抗えないはずの、摂理)
        (シャンゴが口にした命令は、中空で斬られ、霧散した。青い、小さな光が舞った)

        宝具、《綾千波》(アサメイ)────概念すら断ち切る、俺の親友の斬撃、だ。
        …………俺たちの聖杯戦争は終わりだ、シャンゴ・ソポナ。引導は……俺が渡す。
        (言うと、もう一振り。先の、例の音がして、令呪ごと、シャンゴの腕を斬った)
        -- キャスター 2012-09-15 (土) 03:59:10
      • (至高の魔導が、英雄の御霊すら縛る絶対の規律が、ただの一振りで青い光となり散っていく)

        (美しいと感じた、そして、見惚れていたが故に、避けられなかった)

        っぐぉお…!!(令呪の描かれた右肩ごと、腕を切り落とされた男は、その場に膝をつく)
        …っふ、ふふ…素晴らしい、素晴らしい力ですよキャスター…ここで貴方と別れる事になるのが、惜しい程です…ですが、貴方は一つ間違えている
        (その体に、纏う死霊が吸い込まれれば、先の戦闘と同じく巨漢は禿鷲の獣人へと姿を変える、流れる血を強化された筋肉で締め、無理やり止血すると)
        私達の戦争に幕を引き、生き残るのは…この私です(片腕の醜悪な鷲の獣人は、告げる様に黒衣の魔犬へと言葉をかける)
        -- シャンゴ 2012-09-15 (土) 23:22:51
      • (朽ちた祭壇に、死肉を貪る怪鳥が羽を広げた。その翼に相応しい形容は、醜悪。死人の皮膚を剥ぎ、縫い合わせたような土色をしている)
        (音なき悲鳴を上げる死霊を装飾にして、痲れるほどの威圧を纏った睨みをきかせてきた)
        (手負いの獣が渾身を振り絞るのではなく、それは獰猛な、獲物を前にした猛禽に他ならなかった)
        (怯むわけにも、慄くわけにもいかない。足裏の地面を確かめて、最後の呼吸をして、視線を返した)
        (空気が戦慄く。英霊も、そのマスターも、尋常のものではない。ここがどこか、地獄に近い異界へ変わってしまったかのようだ)

        そうか。……なら。(握り締めた短刀を振り翳すと、突如、熱風がこの場所を吹き抜けた)
        (屍骸は、焼かれて炭から灰になる。燃されて死んだ時を今一度繰り返すように、屍骸は焼かれて跡形をなくす)

        お前が正しいというのなら……示してみせろ。冒涜された運命を手掴みにして、俺を打ち倒してみせろ!!
        (熱風は炎の渦へと変じてゆく。全てを巻き込み、無に帰してゆく)
        (半人半獣の化物へ向けて、両足で地面を蹴り、飛び込むように走り出した)
        -- キャスター 2012-09-16 (日) 00:08:58
      • (祭壇が炎に巻かれる、焼ける、焼けていく…何もかも)
        (罪に塗れた邪教の祭壇も、その信徒の亡骸も、哀れな生贄を囲っていた孤児院も、生贄の子供達だった墨屑も)
        (何もかもが、赤い炎に消えていく)
        行きましょうか…!(かつてアーチャーと対峙した時と同じく、召喚術を唱えフレイムデーモンを呼び出す)
        さあ、行きなさいお前達…(現れた3体の悪魔に命令を出しつつ、自身は斬られた腕を拾い距離を離す)
        (そして聞こえてくる異形の祝詞、それと同時に、その切り落とされた腕は徐々に繋がり始めていく…)
        -- シャンゴ 2012-09-16 (日) 00:31:56
      • 古びた納屋の隅に思いが吹き溜まる 刻まれた年月の 風の痛み
        杖をつき片足を引きずる老爺が それを見ている 不規則についた傷が伝えようとしていることを
        そこに浮かぶは 長い巻き毛と燃える目をもつ尨


        ヘアリー・ジャック!

        何かを知る彼は 螺子の数本外れた目覚し時計にそっくりにけたけたと笑うのだ
        怖い それは彼が怖いんじゃない いったい何を知り 僕を見て嘲り笑うのか!
        大口で笑う彼の唇が裂けて 鼻先が伸びて 毛むくじゃらに……!


        ギャリートロット!

        石畳に巨大な爪あとがある 一つではない この城に組まれた石材全てにそれがついている
        がらり がらり 鎖を引き摺る音がする 悲鳴や呻きのようだ 音が近づく 足はもう動かない
        炎のように赤い目が二つ 奥の闇に浮かんだ


        バーゲスト!

        大波の砕ける音に混じって 吠え声が聞こえてきた もう慣れっこになって それを誰も気にしない
        燭台が灯されて ぼんやりとした橙が 椅子や机や寝台や本棚や開いた扉を映して 影をつくる
        その中に一つ 主人を持たない影がある 横たわる大きな黒い犬 こいつが最初に現れた時にとらわれた恐怖はもう薄らいでしまっていた
        けれど これは危害を及ぼす正当な理由を待ちうかがっている悪霊なのだと思っているから みだりに罵言はけっして吐かなかった


        モーザ・ドゥーグ!

        美しい雪山が見えるこの村の外には 怪物が住まうのだと母親が教えてくれた
        けれど怪物を見た人はだれも居ないのだと言う とある人はこう言っていた 出会えば最後 巨大な尾の一振りで必ず殺されてしまうからなのだと
        それももう昔のお話 わたしが語り継ぐ番になった 相変わらずそれを見た人は誰もいない もう信じてはいない お伽話だ そう なのだけれど ある日 目の前に現れたこの 犬のような セイウチのような生き物は それそのものであるように思えて……


        アズ・イ・ウ・グム・キ・ムク・ティ!

        (濁流のように魔力が身から吹き出し、炎の渦に混ざり込む。そこから這い出してくる黒い犬たち)
        ガブリエル・ウィシュトの猟犬群……ワイルド・ハント!!
        (狗らは四肢を地面に伸ばし、フレイムデーモンの右へ左へ飛び掛りそれを噛み千切ってゆく)
        (炎は已然として勢力を増し続ける。乾いた屍骸はよく燃えて、孤児院の構造もまだ燃える)
        (魔力で創られた幻想の炎は、ここにあったはずの思い出を吸い込んで、この世のものとなり俺の手を離れる)
        (俄に、火が夜空を衝いた)

        終わりだ……!!(魔犬と悪魔が混濁する場所をすり抜けて足を踏みしめ、シャンゴへ距離を詰めてゆく)
        (右腕の先に握られたアサメイが輝き、渾身をかけて振り抜いた。命を刈る、心臓部を両断するために)
        -- キャスター 2012-09-16 (日) 01:18:08
      • はは!やりますなあ!!(腕はもう8割繋がっている、証拠に、その腕で両手斧を持ち、魔力を己に溜め始めている)
        (目前では悪魔と、伝承の犬達が激闘を繰り広げている)
        (まるで地獄を表す絵画のワンシーンを切り取ったかの様な場面を前に、躍り出たかつての僕はその心臓へ…)
        ふっ!(届かない、それより前に突き出された掌が、キャスターの短剣に刺し貫かれながらも、その手を掴み剣を振らせない)
        くくく…キャスター、これで頼みの綱の剣は振れませんな
        キャスター…自害なさい(明確に告げられる、最後の令呪、それは確実に死を齎す呪いとなり、キャスターへと向かってくる。防ぐための剣は…マスターたる巨漢に、がっちりと握り込まれ、そのまま掌ごと潰さんばかりの力で固められている!)
        -- シャンゴ 2012-09-16 (日) 01:51:07
      • (該を切断する短刀は、掌の骨までも空気のようにするりと切り裂く。斯くあれど、それは阻まれる)
        (戦いの時間が止まる。押し留めたのは、俺の腕。手に掴まれただけで、動かなくなっている)
        …………!! (令呪を無に帰すことで得ていた圧倒的な優位が、今崩れた。覚束無い足元が、思考をぐらつかせる)
        (前提が覆されれば、残りは簡単なものだ。雨の日に外を大手を振って歩けるのは傘があるゆえ、それがなくなれば、降られて濡れる)
        (簡単なものだ、それが今、振りかかる。悪魔と狗は、相討ちになって地面に骸を伏していた。それは、炎の嵐に巻かれた)

        シャンゴ・ソポナ……英霊キャスターの名に於いて、命令を遂行する。
        (抗う気持ちが空白になり、氷のように冷めた心が、慈悲もなく迅速にそれを成しはじめる)
        (令呪に含まれた魔力は、日常目にすること叶わないほどに強く、それを後押しする)

        (先程砕いた令呪の粒子が、炎の嵐に吸い込まれ、我が身の魔力もそれに追随して、濁流を混ぜ込んでゆく)
        (令呪の命令が施されて、ほんの数秒も経たないうちにそれは形成された)
        (六本足の、炎を纏った巨躯。それが、大口をあけて、主人と、隷属する英霊と、祭壇全てを口へ含み)

        最後まで、付きあわせたな…………アミアントゥス……。

        (摂氏幾度とも予想のつかない、神域の灼熱。ラージ・サラマンダーがそれを噛み砕いた)
        (後には灰も残らないぐらいに、大きな熱い閃光がその場に起こった)
        -- キャスター 2012-09-16 (日) 02:36:14
      • (勝利を確信した巨漢の前に立ちはだかる、地獄の業火の如き燃え盛る炎)
        (それは、今まで罪の重さを物語るかの様に、ごうごうと燃え盛っている)
        …ふ、ふはは…ふははは!!成程成程…この様な隠し玉を、用意していたとは…
        (ここへ来て、もはや残された手建ては無い、祭壇では召喚した悪魔達が、魔の域より呼ばれし猟犬達に、食い尽くされていた)
        くくく…実に、実に楽しい一時でした…キャスター、礼を言いましょう、貴方のおかげで、最高の舞台へ立てた事を…存分に武を、暴を振るえた事を…
        (貫かれた手を引き裂きながら、サラマンダーへ向け両の手を広げる)
        さあ、地獄の業火よ…私を誘い給え…更なる闘争へ、無限に続く地獄の底へ…!!!
        ははは、はははははは!!はーっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!
        (その最期に後悔も懺悔もなく、更なる地獄へ想いを馳せ狂ったように笑いながら)
        (黒き巨漢は灼熱の顎に消えていった…)
        -- シャンゴ 2012-09-16 (日) 03:12:05
      • あ、はは、は……!! 最高の皮肉だな、マスター! (尽き果てている。最期を互いに確信した。まさしく狂喜といったていで笑い声を上げる主人へ言葉を返す)
        (罪滅ぼしと口にして驕り高ぶる心算はない。ただ、もう、自分を縛っていた鎖のような何かから解き放たれるようだ)
        (英霊の見る走馬灯は、甘く、苦い。生きていた頃は確か、騎士団に所属して、異常発生したモンスター相手に戦っていた)
        (自殺をして天に昇れば妻から笑われる気がしてならなかったから、死に場所を求めていた)
        (ああ、そして、俺はどうやって死んだのだったか……祭壇の上で黒犬が吠える……あいつらとは、どう知り合ったのか……)
        (覚えていないが、碌な死に方ではなかったのだろう。死の淵へと誘う凶兆の黒犬と、仲良くなっているのだから)

        死に場所を求めて………………。(真紅の幕が、降りてくる)
        ああ……この死に様は……。(熱が身をぼろぼろと焼いてゆく)

        悪くない。



        ごぷん

        (全て、跡形もなく、焼き飛ばされて、消えた。)
        -- キャスター 2012-09-16 (日) 03:58:17
  • 尋常ではない魔力の流れを感知したセイバーと那智は、他の者達と同盟を組む間もなく
    スラムの一画へと立ち入る。そこに満ちるのは異常なまでの闇と炎の力に満ち
    一点へと向かい流れていく魔力
    キャスターとそのマスターの仕業である事を確信した二人は、魔力の流れる先…生きた魔法陣の中央へと進んでいった
    -- 2012-05-28 (月) 22:54:13
    • 陣の中央に位置する強大な魔力と、その付近にある禍々しい気配。
      二手に別れた那智は陣の中央付近、覚えのある邪悪な気配へと向かう…。
      果たして、そこに目的の人物はいた。
      黒いローブに身を包み、生贄に使うつもりであろう数人のスラムの住人を跪かせた状態で
      キャスターのマスター、シャンゴ・ソポナは静かに、現れた那智へと視線を向ける
      -- 2012-05-28 (月) 23:02:48
      • (魔力感知は弱いがこれほど大きな動きであれば流石に察知できる。急ぎその奔流の中心へと向かった)
        随分と豪勢な宴を用意したものだな。(静かな視線にこちらもゆっくりとそう答えるが、腹の底に鉛でも入っているかのような感覚がする)
        (あぁ、嫌な空気だ) -- 那智 2012-05-28 (月) 23:09:06
      • おや、まだ準備中なのですが…まあいいでしょう、これだけの異常な流れをした
        魔力なら、嫌でも他の者達も気づくでしょう。
        さて、こうなるとこの者達は用済みになりますが…(視線を、贄にする予定だった住人達に移す)
        (祭儀の時とは違い、そこにいるのは子供から老人まで様々だ。)
        まあいいでしょう、さあ貴方達、邪魔なのでさっさと失せなさい。
        (その言葉を聞くや、恐怖から我先にと逃げ出すスラムの住人達、だが…)

        爆ぜよ

        (男が一言、魔力を込めた言霊を放った瞬間、那智の方へと向け逃げ出した者達の体が、まるで内側から何かが飛びだそうとするかのように、歪に膨れ上がる)
        (そして…次の瞬間、体に埋め込まれた魔導器が暴走し、人間爆弾と化した住民たちが大爆発を起こす!)
        -- シャンゴ 2012-05-28 (月) 23:23:33
      • (この男がまっとうに解放する訳がない、それは分かっていた)
        (蜘蛛の子を散らすように逃げる住民を一人でも多く自分の後ろにと思ったその時、水疱が弾けるかのように命が消えた)
        (反射的にその場に這うように姿勢を低くして爆風をやり過ごすが、住民たちは連鎖するように爆散している)
        (ほんの一瞬だけ自分の周りから爆風が途絶えた好機を見逃さず、右拳を変形させアンカーを射出)
        (壁にめり込ませ巻き取る力でその場から離れる)
        (このことに関して何かを言うつもりはない、この男はこういった行為がお手の物なのだ。頭に上る血を抑えシャンゴの位置を確認する) -- 那智 2012-05-28 (月) 23:39:05
      • (巨漢は先程の位置から一歩も動かず。何か呪文を唱えている。)
        燃え盛れ!!
        (男が先程と同じく、魔力を込めた言霊を叫んだ直後)
        (巨漢の翳された手から、黒い炎球が勢いよく放たれる!)
        (本来、雷魔術を得意とする筈の男だが、陣の中にいる以上は炎の魔術を使う方が効果が高いと踏んだのだろう)
        (事実、普段よりも数倍強力な威力を持った火球が、恐るべき速度で那智へと襲いかかる!)
        -- シャンゴ 2012-05-28 (月) 23:45:56
      • なるほど、その陣は炎の力を強くする訳か。(迫る火球にタイミングを合わせ、懐から試験管のようなものを取り出しその蓋を開ける)
        (それと同時に詠唱もなく那智の目の前に大きな氷壁が現れ火球を防ぎ、自身はそのまま横へ飛び出す)
        (二本目の試験管を取り出し蓋を開けると中に水球が5つ現れ那智の周りをくるくると回り始めた)
        壱・弐射出。(その声とともに二つの水球から小さな水弾がシャンゴに向けて打ち出される) -- 那智 2012-05-29 (火) 00:00:14
      • ぬう!(放たれる水弾を視認するや、防御の呪文を唱え始める)
        我を守りたまえ
        (その言葉と共に、燃え盛る炎が、水弾とシャンゴの前に現れ攻撃を防ごうとする。)
        ふむ、早くも気づかれましたか…ただ、強化されるのは炎だけではありません…(水を扱うなら雷を放つべきかと、一瞬思案する。)
        (シャンゴの持つ斧は、彼の故郷においては嘗て雷神が武器として使った、神聖な武具として奉られていた)
        (事実、斧自身が常に微弱に帯電しているそれは、所持者の雷魔術の威力を高める効果を持つ)
        (雷を打つかどうか、一瞬迷った末男は、陣の力を頼り、闇魔術を行使する。)
        こういった術も、強化されているのですよ(死した者達の魂を弾丸とする、死霊術を放つ)
        (瘴気を放ちながら、那智へ向け明りに誘われる虫の様に迫る死霊)
        (当たれば何らかのバッドステータスを引き起こしかねない)
        -- シャンゴ 2012-05-29 (火) 00:10:16
      • (炎壁に阻まれ水弾は音を立てて蒸発し、届くことはなかった)
        (シャンゴの得意な属性などは知らなかった、風体や性格からして闇属性の魔術に長けていると考えており雷を操るなど想定外だ)
        (しかしそれを想定していなかったのはとある理由からであり、果たして死霊術を行使したシャンゴの選択はこの時に於いては限りなく正解に近かった)
        くっ、……ぐ、ぁ、ああああああ!!(いくつかの死霊を払い除けるも食らいついたそれの怨嵯の声に恐慌状態に陥りかけ、前後不覚となる) -- 那智 2012-05-29 (火) 00:46:16
      • (長柄の戦斧を肩にかつぎ、男が恐慌状態の那智へと歩み寄ってくる)
        くく、如何です…私に殺された者達の、怨念の味は?
        死霊術師というものは、恨まれれば恨まれる程、強くなるものでしてな…さて、それでは(死神の鎌の様に、斧を振り被ると)
        貴方も、我が操る死霊の仲間となりなさい(首を斬り飛ばさんと勢いよく斧を真横に振る!)
        -- シャンゴ 2012-05-29 (火) 22:28:09
      • ぐっ、ぁぁぁ……。(見えない何かを払うように腕を振る、その動きは一見不規則なようで確かな意味を持つ祓魔の挙動)
        ――絶!(死霊を祓い目に入ったのは首を断たんと戦斧を振るうシャンゴの姿、一瞬でも遅ければ首と胴が泣き別れになっていたことだろう)
        (その場にしゃがみ込みそのまま足払いを仕掛けると共に)参・肆!(周りを回る水球が円錐状に変形しシャンゴを突き刺そうとする) -- 那智 2012-05-30 (水) 00:31:08
      • 何と!?(那智にまんまと騙された形となった男は、足払いを踏ん張る事も出来ず、勢いよく転倒する)
        っぐう!!(背中を強かに打ちつけ、呼吸すらままならなくなった一瞬に、更に襲いかかる円錐状の水の槍は、容赦なく巨漢の上腕部分と脇腹を切り裂く)
        (そのまま血を流しつつも転がりながら、那智と距離をとる。握っていた斧を構え)
        まさか演技とは…。まあいい、死霊術が駄目ならこれで…
        (男が詠唱に入る、周囲の魔力が男の眼前に集まり、更に巨大な火球を形成し始める!)
        お前達、私の代わりに、少しの間彼の相手をしてあげなさい
        (そう言って合図をすれば、物陰から2体の獣人、彼の手下ではなく一般人を使ったのだろう。)
        (その体躯や、放つ気迫こそ通常の獣人より弱いものの)
        (かといって放置できる程度の弱さでも無い)
        くく、さあ、早く私を止めないと黒焦げですよ…
        (獰猛な笑みを浮かべ、魔術の詠唱を続ける、その火球は詠唱が進むとともに大きくなり、黒い炎を燃え上がらせる)
        -- シャンゴ 2012-05-30 (水) 01:00:46
      • 耐性だけはあるからな……!(魔を祓う仕事をしていたものとして自負がある)
        壱・弐・参射出!(離れるシャンゴに追い打ちをかけるかのように3つの水球から小さな水弾が連続して打ち出され、)
        (しかしそれは熱気を纏う魔力に酔って掻き消える、巨大な火球が形作られるのを見た)
        チッ。
        (舌打ちを一つ、それは火球とシャンゴを守るように出てきた二人の獣人に対してであり)
        (その立ち方から訓練されたものではないのが分かる)
        ……無関係の者か。(獣人化はその術式にもよるがあの魔術師からして元に戻れるような物を使うとは思えない)
        すまんな。(獣人から漂う魔の気配に血がたぎる。元が人間とはいえ容赦はない)
        (そのうち一人を右腕から展開した肉厚のブレードでずんばらり)
        (もう一人は手首から発射されるアンカーを巻きつけ縛り上げる) -- 那智 2012-05-31 (木) 00:01:23
      • く…!!(元より、急場凌ぎで用意した、一般人を使い作った獣人だ。時間稼ぎ以外の成果は期待していない)
        (だが、それでも予想以上の早さで倒される二体の獣人に、思わず舌を打つ。更に…)
        ぬぅ!?(シャンゴをも超える程に巨大になった火球が、今度は空気の抜けた風船の様に、徐々に縮み始める)
        どういう事だ、これは…!?(それは、魔法陣を作り上げた本人だからこそわかる異変。陣自体が保有している魔力が徐々に弱まり、効果が、薄れつつあるのだ…そう、まるで誰かに、陣の魔力を奪われているかのような
        …やってくれますな、あの女狐…!(そのイレギュラーな事態すらも楽しむかのように、狂気の滲む笑みを浮かべる、そして)
        焼け死になさい!(いくらか規模が縮小したとはいえ、それでも途轍もない熱量を誇る火球が、那智めがけ迫っていく!)
        (運悪くその進路上にいた、アンカーに縛りあげられた獣人はごく短い悲鳴をあげ、火球に呑まれ一瞬で灰と化す)
        (当たれば勿論、ひとたまりもない!)
        -- シャンゴ 2012-05-31 (木) 00:37:17
      • (その異変はこちらも気付く、縮む様子とシャンゴの表情の変化はこの事態がイレギュラーなものだと物語っている)
        (となればこれは好機、魔術が先程よりも弱るというのならばやりようはある)
        (しかしその考えを消し炭になった獣人の悲鳴で改め直す。陣の力は弱まってなお手に余るものだ)
        (アンカーを巻取りし、火球が那智を飲み込む直前にその場から姿を消した)
        危なかった……!(位置としては先ほど立っていた場所からそれほど離れておらず、超スピードで移動しただけである)
        (その方法は足の側面から展開されたローラーダッシュで)無粋だろう?
        (苦笑を浮かべながらシャンゴを見たあと火球を確認する。流石にあれだけ時間をかけて作ったものだ、ホーミングしないわけがないだろう) -- 那智 2012-05-31 (木) 00:58:09
      • やりますな…!(まるで起こりうる事すべてが楽しくてしょうがないと言うかのように、巨漢は嗤う)
        ですが、これは予想していましたかな!?(那智の予想通り、漆黒の炎球は那智めがけ、周囲のものを溶かし尽しながら大きくカーブを描きな、進路を修正、再度迫りくる!)
        (そして、それと同時、別方向から上がる超強力な、魔力の気配)
        …万全の態勢で、とはいきませんでしたが…どうやら陣が生きている内に間に合った様ですな(ローブの右肩を破り、全身に描かれた術式のその上、肩に浮き上がる令呪に左手で触れ)
        キャスターよ…令呪にて命ずる、セイバーを全力を以て殺すのです。(明確な、殺害の意思をのせ、キャスターへと令呪を使用する)
        (ローブの上半身を脱ぎ、その筋肉の鎧に覆われた上半身を顕にする、その全身には、入れ墨の様に彫られた魔術式)
        さて、では私も…陣に頼ることなく、私自身の本気をお見せしましょう…(巨漢が殺めた者達の霊が、従える無数の動物霊が…巨漢の体へと吸い込まれる様に集まる…何かをしようとしているのは明らかだ)
        -- シャンゴ 2012-05-31 (木) 01:11:40
      • (火球が迫るその時、一枚の符を取り出す)くそっ、使いたくなかったがしょうがない!
        (取り出した符は那智の祖父謹製の陰陽符であり、これを使うとドヤ顔でひよっこ呼ばわりされるのでできる限り使いたくはなかった)
        (しかしシャンゴの方から感じる魔力の鼓動はそんなことを言っていられないほどに大きくなっている)
        (奴は使えるもののほとんどを投入してこの戦いに臨んでいる。相対する者もまた奥の手を出し惜しみしていてはこの戦いには勝てないのだ)
        (那智の周りをゆっくりと回っていた五つの水球がその前面に飛び出し高速回転を始める)
        (回っている内に遠心力で水球はどんどん伸びていき、一枚の大きな膜となって火球を包み、そして音も立てずにそのまま消滅させた)
        ――水剋火。(五行思想の相剋にて火を消し止めたのだ)
        随分カッコイイじゃないか、えぇ?(火球の処理を終えシャンゴに目を移せばその様子は自分の戦いにも似ており、楽しくなった)
        セイバー! 令呪にて命ずる! キャスターを全力を持って打倒しろ!
        (その命令は同じようで違う。殺すための命令ではない、あくまで打倒だ)
        こちらも本気だ。(懐を軽く叩くと先ほど那智の周りにいた水球とは少し違うサイズの水球が飛び出した)
        精霊憑依!(胸に押し付けられた水球は那智の身体に沈み込み、程なくして全身へと行き渡る)
        (大気中の魔力を吸収し、そして死者の霊や動物霊を取り込むシャンゴとは正反対にその孤児院に微かに残された幸福の残滓を纏い那智は相対する) -- 那智 2012-05-31 (木) 01:55:50
      • カァア…アァアアアア…!!(死霊を取り込み終えた瞬間、男の体に変化が起きる)
        (メキメキと音を立て、その巨体が一回り膨れ上がったかと思うと、背中から何かが生える…それは、羽だ。漆黒の、鳥の様な羽が巨漢の体に生えたのだ。)
        (変化はさらに続く。体中に羽毛が生え始め、顔もバキバキと音を立てながら、姿を変えていく。そして、完全な変化を終えるとそこにいるのは最早黒い肌の巨漢ではなく…)
        お待たせいたしました…では、本気でいかせて頂きますよ。
        (黒い、巨大な禿鷲の獣人とかした男の姿。長柄の戦斧は電を帯び、空気中に微弱に放電を続け)
        (巨漢自身は、全身から死霊術師の様に、取り込んだ死者達の怨念を、己が力として纏っている…その羽には、犠牲者たちの苦悶の表情が、一枚一枚に刻まれていた…まるで、己がコレクションを見せびらかすかのように)
        しかし、あの火球を無効化するばかりか、精霊と同調して見せるとは…殺すのが実に惜しい実力。
        どうですか、私と組む気は、ありませんかな?
        -- シャンゴ 2012-05-31 (木) 02:09:02
      • なるほど、ヴァルチャー・グリードとはその身体を指してということか。(その姿に小さく頷いた)
        ……悪趣味だな。(その羽がシャンゴのこれまでの所業を物語っている)
        (こちらは人型を保っているものの身体には紋様が浮かび上がっており、いつその人型が崩れてもおかしくない様子である)
        組む気、だと?(少しだけ、驚いた。まさかそんなことを提案されるとは思わず)
        (しかし答えは決まっている)
        誰が組むか――!(意識の隙間に入り込むようにその間合いを詰める、シャンゴは一瞬にして目の前に現れたように感じるだろう)
        メテオドライブ!(右腕から展開されたブレードでシャンゴの頭上から真っ向両断と振り下ろす) -- 那智 2012-05-31 (木) 22:36:59
      • 残念ですな、貴方と貴方のサーヴァントと組めれば
        更なる闘争を味わう事ができたでしょうに
        (振り下ろされる刃を、両の手で握った斧の柄で防ぐ、地面に両足がめり込む程の威力に、内心感心するも)
        …では、次は私の番ですな、しかし貴方も運の無い人だ…(シャンゴの持つ斧が、金色に光り輝き始める…否、それは斧自身が纏っていた雷が、今まさに稲妻の矢として放たれ様としているが故の発光!)
        まさか、雷を得意とする私に、水で挑む事になるとは(次の瞬間、禿鷲の獣人が持つ斧から、那智めがけ二本の雷撃が放たれる!
        -- シャンゴ 2012-05-31 (木) 22:58:34
      • 闘争を目的にした時点でそれもう人ではあるまい。
        (防がれた斧の柄を押し込むようにすれば、地を砕く)
        ……ッ!(雷撃をもろに喰らいがくがくと震え、そのまま両膝をついた)
        (ダメージは深いようであるが、まだ倒れないところから何らかの方法で致命傷は避けたようだ) -- 那智 2012-05-31 (木) 23:28:07
      • ほう、手加減したつもりはありませんでしたが…(めり込んだ足を地面から引き抜き、那智に近づく)
        (人ではない、その言葉に、軽く鼻を鳴らし)ふう…貴方程の強者ならわかって下さると、思ったのですが…
        いいですか、マスター・那智。戦いこそが、争う事こそが人の性であり、この世の真理、無上の快楽なのですよ
        弱者を嬲り、虫けらの様に蹂躙する事も…嬉々として破壊のための力を、知恵を駆使して生みだす事も、己が持つ力の全てを出し尽し戦う事も
        全ては人の本性であり、そこからは逃れられない定めなのです。
        貴方も誰かが一度位口にしたのを、聞いた事があるでしょう?「何故戦争は無くならないのか」と
        考えるまでもない単純な事です、それこそが人と言う獣の、習性だからですよ。
        私はかつて、己が部族のために、他の者達を殺め続けました。戦う事は私にとって生き甲斐であり、敵対者の血だけが、酒でも、女でも鎮められない私の渇きを潤してくれました…。
        時が経ち、一国の王となった私は、戦いからは無縁の生活を送っていました、国も何事もなく、傍から見れば私の国は平和そのものだったでしょう。
        ですがね…その時こそ私は、かつてない地獄を味わっていたのですよ。あの心躍る様な兵達の雄叫びも、血も、悲鳴も、何もない…ただただ緩やかに腐るだけの日々。
        そんな時、ある日王となった私を打倒しようとする者達が現れましてね…理由は、今となっては覚えていませんが…彼等の目だけは、今も覚えています。
        アレは、あの目は…明らかに闘争を、殺戮を望む者の目つきでした。
        それを見て私は悟ったのですよ、人は、平和など求めていない。己以外の全てを、滅さずにはいられない…争う事こそが本性であると。
        私はただ、そんな人の本性に、少し素直なだけです。
        -- シャンゴ 2012-06-01 (金) 00:03:02
      • (膝をついたままシャンゴの言葉に耳を傾ける)
        (そして彼が話す間に大気に存在する魔力が精霊体となった那智の傷を癒していく)
        (彼の話に思う所が無いでもない、戦いは本性であるというのは間違いではないかもしれない)
        俺は……争うことを、否定するつもりはない。
        しかし……。(ぐぐ、と拳を握った。身体はもうほぼ全快状態に近く、むしろ先ほどよりも気力が満ちていると言ってもいい)
        それは、人の本性ではない。(ゆっくりと立ち上がり顔を上げる)
        それは、動物の本性だ。(左肘からブレードを展開し構える)
        人であると言いたいのならば、それを理性によって抑えなければならない。
        それを放棄した時、人は人でなくなる。
        お前が人でないと言うのならばそれもいい。そして闘争を目的にしようとお前の勝手だ。
        だがな……それを人間の本性だからなどと言って自分の仲間を作ろうとするな!(ほんの一瞬だけ巨大な殺気を放ち即座にそれを隠す)
        (殺気の差に那智の位置をほんの少しの間見失うかもしれない。それと同時にシャンゴの懐へと踏み込み肘から伸びたブレードをその中心に捻り込もうとする) -- 那智 2012-06-01 (金) 00:41:01
      • 人こそが最も獣らしい獣だと、私は思いますがね
        ふう…理解されないというのは、幾度体験してもやはり悲しいものです。まあいいでしょう、それでは…む
        (突風が吹きつける様に、全身に浴びせられる殺気。戦士の性か、反射的に眼前の敵からの反撃に身構えてしまう)
        これは…(そうして、見事術中におちた男は容易く敵の懐への侵入を許してしまう)
        ぐぅ、おおお!!(那智のブレードの一撃は、寸分違わず、男の胸元目掛け突き刺され…)…く…小癪な真似を…(どれ程体を強化すればそのような芸当ができるのか、男は咄嗟に斧から離した左掌を盾に、それでも止まらぬ那智のブレードを)
        (あろうことか極限まで力を込め、締め上げた胸筋で、辛うじて致命傷を防いでいる!)
        -- シャンゴ 2012-06-02 (土) 21:54:00
      • (鋭く鍛えあげられたブレードは差し入れられたその手をまるで無いものかのようにいとも簡単に貫く)
        (それ以上に驚くべきはシャンゴの肉体と、実践の中で練り上げられた強化の魔術)
        な……ッ!(ブレードの先端がほんの少し沈み込むのみで、その臓腑には至らない)
        (筋肉により締め上げられるそれを軽く下に押し込んで切り傷を広げ、引き抜く)
        ならば!(右拳をシャンゴの右脇腹へ静かに当て)
        八神無刀流――散花!(押し込むような一撃を放つ)
        (何もしないのならば衝撃がその肉を突き抜けシャンゴを内部から破壊するだろう) -- 那智 2012-06-02 (土) 22:33:37
      • がふ!!(辛うじて致死の一撃を免れ、再度反撃を試みるも、不意に当てられる那智の手)
        (寸剄の類かと再度体を強化し、那智の一撃に備える。だが、襲ってきたのは、内側からの、体を突き破る様な衝撃)
        ぐぅぅううう!!(たまらず背中の翼を羽ばたかせ、血へ度を吐き、傷口を押さえながらも空へ逃げようとする巨大な獣人。
        -- シャンゴ 2012-06-02 (土) 23:04:06
      • 一つだけ聞こう、シャンゴ。(空へと逃げるシャンゴを追撃するでもなく見上げる)
        戦うことが人の本性と言うが、そんな姿をしているお前は人であると言えるか?
        (投げかけられる問い、その答えが肯定にせよ否定にせよ、また返答がなくとも戦いが終わることはないのだが疑問を聞かずにはいられなかった)
        (お前はどの立場で物を言っているのだろうか、と) -- 那智 2012-06-02 (土) 23:20:22
      • (空へと逃げた獣人は、那智からの問いに傷口を押さえたまま、耳を傾ける)
        …人間ですよ。例え誰が何と言おうと
        内なる人の本性に従順に生きる私は
        欲望のままに、衝動のままに他の全てを犠牲にし、踏み躙り、貪る私は
        まさに人間そのものです。
        (人から大きくかけ離れたその顔は、どのような表情をしていたか判別し辛い)
        (だが、その声はまさに、あの巨漢の偽らざる本心であるという事を、那智に十分なほど伝えてきた)
        -- シャンゴ 2012-06-02 (土) 23:49:48
      • その衝動は人の本性ではなくただお前自身の嗜好だとは思うが……持論を並べあったところで交わることはないのだろう。
        (自身を人であることを肯定する姿は自分と重なるところもある)
        (この男のことは嫌いではない。だとしても、無関係の人間を巻き込むことを看過することは出来ない)
        (戦いを望むのならそれを受けて立ち、真っ向からへし折ってやるしか無い)
        (問いかけの間は音を出すのを忘れていたかのように静かだった世界がまたしても戦場の音を奏で始める)
        行くぞ……!(その言葉とともに那智がはじけ飛ぶ)
        (精霊体となった那智が自らの身体を霧状にしシャンゴを、そしてその周囲を広く包みこむ) -- 那智 2012-06-03 (日) 00:02:26
      • …やはり、理解されませんか(一瞬だけ、その瞳に悲しみの色が浮かぶ。だが、それもすぐに消え去り)
        …自殺でもする気ですかな、私の得意とする属性、忘れたわけではないでしょう(己が再び金色に輝く)
        (次の瞬間、霧を払うかのように、強烈な電撃が舞う様に、獣人を中心に八方へ射出される!)
        (それだけではない、斧に宿る雷が、男の魔力を吸い上げ更に強力な電気を帯電し始める…)
        この程度でやられるタマではないでしょう…
        さて、楽しい宴でしたが…そろそろ、幕を引きましょうか…(斧から放たれる雷撃は、既に持ち主自身も焼き焦がさんばかりの威力となっている…)
        -- シャンゴ 2012-06-03 (日) 00:24:00
      • (悲鳴のような雷撃の音が他の音を覆い尽くすが、その中に那智の悲鳴はない)
        電気は水を通す、それはたしかにそうだ。(霧の中から声がする)
        しかし、純水に限ってはその限りではない。(先程雷撃を二発モロに食らったにもかかわらず戦いが終わらなかった理由がそれだ)
        (霧は濃くなってゆく、シャンゴが手を伸ばしたらそれすら埋まってしまうほどの濃霧)
        ただ、完全に通さない訳ではない。(シャンゴの背後に那智の気配、顕現すると同時に切りつけ、また霧に戻る)
        その戦斧に込められた神鳴る力、それを全て放たれたらどうなるかは……分からないな。 -- 那智 2012-06-03 (日) 00:37:07
      • まさか…そうか、それで…!?(決して加減などしていないにも拘らず、二度の雷撃を生き延びたのはそのためか)
        (突如、背後に現れる気配、と同時に迫る殺気。辛うじて翼が斬られるのだけは避けるも、背中に切り傷を負った巨漢は睨む様な顔となる)
        (確かに、この斧の全力を以てすれば、この霧ごと那智を墨屑に出来るだろう)
        (だが、あの男は明らかに誘っている、それは…言い換えれば何かしらの秘策を持っているという事)

        …面白い!!その誘い、受けてたちましょう!!!!!!!

        (魔力を極限まで注いだ斧、それが纏う雷を、全力で解放する!!)
        (極大の雷撃はまるで暴れる大蛇の様に唸り狂い、霧を蒸発させんとばかりに乱舞する!)
        くかかかか!!!(己が手の焼け焦げる匂いが漂う中、巨漢は狂ったように笑う)
        (本来はこの雷撃は放つ物ではなく、地上にいる敵へ叩きつけ、放電させ、周囲の敵事爆心地にいる標的を打倒するものであり)
        (この様に力を全方に放射すれば当然、威力は一か所にぶつけるより減算する。)
        (だが、それを補って尚、脅威となり得る程の威力をこの雷撃は持っている!)
        -- シャンゴ 2012-06-03 (日) 00:59:59
      • (先程よりも強い雷撃はまさに神のものに近い)
        おおぉぉおぉッ!!(霧がシャンゴを中心に次々と蒸発してゆき、那智の身体も同じく消耗する)
        (外部から取り込む魔力よりも削り取られる方が大きく、そして、機は熟した)
        (まるで焦げてしまったかのように白い霧が黒くなる)
        (その黒の正体は――闇)
        (先ほどまでの那智が水の精霊体であったのならば今の那智は闇の精霊体に変化していた)
        (それに触れ、稲光は黒に塗り潰される)
        そろそろ終わりにしようシャンゴ。(闇からずるりと現れた那智はそれを掴みマントのように羽織った) -- 那智 2012-06-03 (日) 01:16:02
      • (倒した、そう確信するとともに、男は一抹の寂しさを覚える。他のマスターは皆、調べた限りでは非戦闘員)
        (恐らく、以後全力を振るえる相手などいないだろう。故に、これが男の、この戦争で唯一、最初にして最後の戦い。)
        (戦いは終わったとばかりに、地へ降りようとし…そこで今までに感じた事の無い気配に気づく)
        …これはまた、何という…
        (その姿に、その所業に、男はこの戦争で始めて、驚異を感じる。)
        (闇を、暗黒の力を手足の様に自在に操る姿、それはまるで、『混沌』と称される彼の主を思い出させ…)
        それが、本当の貴方と言うわけですか…(斧を握り、再び魔力を注ぐ。それだけで斧は息を吹き返したように再び雷を纏い、金色の光を放ち始める)
        -- シャンゴ 2012-06-03 (日) 23:38:56
      • どの俺だって本当の俺さ。
        (頭の横で指を弾いて一度鳴らせばシャンゴの下に出来た影が足にまとわりつく)
        少々不本意な力ではあるがな。
        (その腕を水平にもう一度鳴らせば周囲の闇が数多の剣となって打ち出される)
        しかし、これを使わなければ勝てそうにないからな。
        (シャンゴへ向けて三度指を鳴らせばその頭上から巨大な闇の刃が断頭台のように落ちてくる)
        さて、どう切り抜ける。 -- 那智 2012-06-03 (日) 23:48:54
      • ぬううううう!!(足元の影を己で一閃、金色の軌跡を残し、闇は一瞬で払われる。)
        くはははは!!!素晴らしい力ですな!全く、貴方も人が悪い…これだけの力を、出し惜しみする等!(斧を振りつつ一回りすれば、その剣を迎撃する様に雷撃が撃ち出される)
        (闇の刃を翼による高速移動で回避、片方の翼を中程から切断されるも、那智の真上に止まると、先程と同じく金色に輝く斧を振り上げ)
        ぉぉおおおおおお!!
        (全力で己を真下目掛け振り下ろす!金色の光を纏い天から降りるその姿は、まさに一筋の雷光の如く)
        (恐らく、これが男にとって最後の一撃となるだろう、その力を、その魔力を全てこの一撃に込め、巨漢が今まさに那智を両断せんと迫りくる!)
        -- シャンゴ 2012-06-04 (月) 00:11:40
      • ほう。(感嘆の声を上げる)
        (魔力によって作られた闇はそれ以上に高い魔力によって消滅するのだが、決して少なくない魔力で練った拘束である)
        (打ち出す剣は更に多くの魔力を込めたが、それもまた雷撃に触れ霧散する)
        (羽根を切断されてもなお迫りくるシャンゴ、頭上から振り下ろされる力は渾身である)
        ならばッ!(こちらもまた全身全霊を以って返さねばなるまい)
        (闇で出来たマントを翻せばその右手に握っているのは刀身まで漆黒の愛刀、黒鶴)
        (柄頭に付けられた朱の飾り紐が舞って――)
        八神一刀流――斬魔。(何気ない一振りで斧の纏う魔力を祓い、剣と斧がぶつかり合う音がした)
        (あとは落ちるシャンゴとそれを迎え撃つ那智の単純な力比べ)
        ぐぅ……!(肉体強化を解除してなお重いその斬撃に歯を食いしばり横に弾き飛ばし、それを追い)

        八神一刀流――無明。

        (八方から同時に放たれる斬撃は一筋の光もない、まさに無明) -- 那智 2012-06-04 (月) 00:52:31
      • バカな…!!?(纏った雷撃が、魔力が、一瞬で消滅する。先の戦闘における魔術への対応から、那智が魔術師殺しの技の持ち主であった事は、完全に誤算であった)
        く、ぐぅうう!!(それでもなお、呪術は解除されていない、獣人と化した自らの力と、斧の重量を以てすれば刀程度、苦もなく持ち主ごと両断できる筈)
        (だが、それすら敵わず横に弾かれ、空中で横に飛ばされる。血を撒き散らしながら体勢を直そうとした瞬間)

        ぐは!ば、馬鹿な…!?

        (白刃の軌跡すら無い、無明の斬撃の檻が、巨漢を捉え切り裂く)
        (両の翼を断たれ、限界を超えた一撃を受けた巨漢は両膝をつき、人の姿へと戻ってゆく…勝負は決したのだ)
        ゴボォ!!はぁ、はぁ…あのような、切り札を、持っていたとは……
        (水溜りの様な、大量の血だまりができる程の血を吐きながら、男は那智へ視線を向ける)
        -- シャンゴ 2012-06-04 (月) 01:15:52
      • 隠していた訳ではない、追い詰められなければ使えないだけでな。
        (それほどまでにお前は強い、と言おうとしてやめた)
        (辺りを包む闇はそのままに、空気が重苦しいものから軽い物へと変わる)
        (先ほど魔力を祓ったことの副次的で一時的にだが一帯の負の念が四散したのだ)
        さて、こちらの勝負は決したが……。(闇でシャンゴを縛り上げ、ここからは見えないサーヴァントの戦場に視線を向けた) -- 那智 2012-06-04 (月) 01:26:49
    • (黒人の邪神の僕と魔王の君の戦いを、遠くの影から眺める闇に溶けた少女が一人、見つめていた)
      (混濁した魔力の渦が蠢いてシャンゴの魔力の根源となっている)
      (灼熱の紅蓮と深淵の蝕みが其処に存在するかのような歪な魔力の織りなす空間と、目の前の獲物の青年を捉える事に夢中でこちらは眼中にないだろう)
      (戦況が彼に戦の女神も微笑んでいる事を確認すると)
      (闇に姿を溶かした少女もまた、小さく口元を歪ませる)
      ……ふふふ。せいぜい2人で戯れているがいいわ……
      (密かに囁くと、背を向けて歩きだす)
      (シャンゴの案内した、魔法陣のところへと) -- アイリス 2012-05-29 (火) 01:01:53
      • かつて黒衣の巨漢が案内した魔法陣からは、更に多くの残留思念と、魔力が放たれている。
        恐らく彼らとの決戦へ向け、更に『材料を足した』のだろう。霊的な感受性の強い者なら一瞬で
        精神が崩壊する程の思念の渦と、邪な力を付与された魔力が赤い霧の様に空気中を漂っている。
        これだけの濃度なら、アイリスでなくとも視認できるだろう。魔法陣は人の血管の様に脈打ち、魔力を漲らせている
        -- 2012-05-29 (火) 23:45:12
      • (魔法陣の近くへと、一歩一歩足を踏み入れる度にどろりと濃厚な負の感情と魔力が絡みついてくるように纏わりつく)
        (以前よりも更に濃度の濃さが増しているのは……きっとそれだけの数の犠牲者が増えたのだろう)
        (魔力から人肉や血、腐臭などが混ざり合い……死者の犠牲そのものの香りが色濃く匂い立つようで)
        (それだけで十二分に眩暈と吐き気を催しそうだった)
        (邪悪な魔力の根源は紅い霧のように空気中を漂うのが視えるが、もはやそれも材料と化した犠牲者の無念の血が滲んでいるかのよう)
        (人を喰らい、生命を喰らい、擬似的にこの世に生まれ落ちたかのように仮初の生命を与えられ息づくかのような魔法陣は、皮肉にも人体そのものに近いのは犠牲になった者が人間だからだろうか)
        (呼吸と共に脈を打ち、血が流れるようにして魔法陣からは魔力が流れ放出されている)
         
        (あまりにも、むごたらしく、傍に寄るだけでも気持ち悪い)
        (正直、近寄るだけでも勘弁蒙りたい程に関わりたくない念や負の感情や嘆きや呻きが)
        (死者達の叫びが聞こえ、助けてくれと救いを求めるかのように私の周囲を纏い絡む)
        (けれど)
        (今の私は魔力が足りない)
        (バーサーカーの消費が大きすぎる)
        (自分自身を蝕むと分かりつつも、其れに手を伸ばして魔力を奪い、バーサーカーの魔力の根源へと変換する為に自身の体内に取り入れて行く)
        (目を瞑り、ゆっくりとゆっくりと……呼吸を深くすれば。呼吸法を開始して……) -- アイリス 2012-05-30 (水) 00:05:45
      • アイリスが魔法陣に触れた瞬間、白黒の、砂嵐に塗れた、壊れたテレビの映像の様な光景が脳裏に浮かぶ
        触れる度に起きるそれは、恐らくは取り込まれた死者達の最期の記憶だろう。ニット帽を被った少女、赤いジャージの青年、黒いウィンドブレーカーの男、そして、視線の主…死者を引き摺る、褐色肌の青年
        あの神父の仲間と思われる面々の姿が映る中、最後にあの巨漢の姿がまるで目の前にいるかの様に、脳裏に浮かぶ。
        死した者達の恐怖から歪められた巨漢の貌は、正しく悪魔そのものであり、恐ろしい笑みを浮かべ合成音の様な笑い声を上げる。
        その映像が終わった瞬間、取り込まれた者達の魔力が、怨嗟の声が
        アイリスの脳神経を焼き切らんばかりに、濁流の様に流れ込んでくる!!
        犠牲者たちの生前の記憶、未練と怨念、そしてその身に宿っていた魔力…それら全てが、まるで仇を取ってくれと言うかのように、助けてくれと縋るかのように
        たった一人の少女の身に際限なく注がれる。その心身の負荷たるや、想像を絶するものだろう
        -- 2012-05-30 (水) 00:37:04
      • (魔法陣の魔力が手に伝わると同時に、目の前の映像が切り替わるかのように情景が"視える")
        (恰も、それらの惨劇が目の前で起こっているものを視るかのように)
        (死者達の、犠牲者たちの嘆きの最後が代わる代わる繰り広げられてゆく)
        (あの神父だけではなく、浮かび上がる彼らの仲間らしき姿……恐らく、それは組織ぐるみで行われていたのだろうか?)
        (面々の中に最後に浮かんだ黒人の神父は……まるでこの惨状の宴の首謀者を彼とでも告げるかのようでも、邪心の為の残忍なサバトの主催の悪魔のようにも視えた)
        (おぞましい笑みと、合成音の様な不気味で奇怪な嘲笑う声が耳に張り付いて不愉快だ)
        (それは、まるで)
        (この魔法陣自体が、無残に死んだ後も彼らを痛みや悲しみ、絶望から逃れられず 未だに魔法陣の中で餌となり、成仏することも安らかになる事も許されぬ……永久の牢獄の場でも拷問の延長戦でもあったかのように)
        (手を伸ばした私に、それらは救いを求めるかのように。縋るかのようにして流れ込んでくる)
        (蜘蛛の糸を思い出す……今の私は、彼らから見たらきっと 地獄からの救いの道を差し出した天の使いの様でもあるのだろう)
        (犠牲者達の生前の記憶や未練や無念が幾重にも重なり混沌とした感情と魔力が流れ込んでくる)
        (けれど)
         
        ……くっ……あは、あははははははははははははははははははははッ!
        (私には、それはそれは滑稽で……高らかに嗤う)
        (手を、救いを述べた者たちから見れば、もしかしたら私は仏にも似た存在なのだろうけれど)
        (私から言わせれば、見ず知らずの 赤の他人が……まして自分の未練を自分の代りに仇を取って欲しいと言うのは随分と図々しい願いそのものだ)
        (簡単に願いを託している犠牲者達が……仮に平和にこの世に顕在していたとして)
        (その時、私が困っていた時に手を差し伸べていた連中だろうか?)
        (たったほんの少し魔法陣に手を翳した程度の繋がりで。犠牲者達の未練を知った程度の相手に救いを求めるのは、身勝手すぎるのではないか?)
         
        蜘蛛の糸の逸話があるが……だとしたらお前達は生前どんな善行を積んだんだ
        ましてや見ず知らずの私が救いを求められて手を差し伸べる存在なのか?
        あはっ……あはっ……あはははっ……あははははははははははははははははっ!

         
        (――……あぁ、愉快だわ)
        (きっと。私が彼らに優しく微笑み助ける素振りを見せたところで……蜘蛛の糸を仏が立ち切るように絶望を見せたらもっと愉快だったのだろうけれど)
        (高らかに 高らかに嗤う) -- アイリス 2012-05-30 (水) 22:28:12
      • 余りに多くの意思を取り込み、半ば疑似的な生命体と化しつつあった魔法陣が、声無き悲鳴を上げる。
        それは己が生命を脅かす物への恐怖の叫び。上げるのは声でなく歪められ、集まった魔力の唸り
        アイリスを拒絶するかのように、更に数多くの残留思念が、魔力と共に激しくアイリスの頭に流れ込んでくる。
        こうなればもう、後はアイリスの精神力が持つか、魔法陣の魔力が尽きるかの勝負であった
        -- 2012-05-31 (木) 00:46:22
      • (亡者たちの声なき悲鳴が、唸るように魔法陣から叫ばれる)
        (勝手に救いだと思い込み、一方的に希望の光と勘違いした亡者たちの嘆きは凄まじく、全ての感情が怒りの色に染まるかのように 魔力が唸り、歪められてゆく感情を取り込んでゆくけれど……)
        (拒絶するかのような思念が取り込んでゆくたびに私の脳を揺さぶらんばかりに責め立てるのが、私には愉快で愉快で仕方なかった)
         
        (この場に限った事ではない)
        (他の場所でも、目が合うと、自分の事が"視える"と思われる人物に霊は近付いて助けを求めたり接触をしてこようとする)
        ("視える"能力を持ったところで親近感を寄せられるとは甚だ図々しいことこの上ない)
        (言い変えてしまえば、それは『趣味が合う』だけで、突如見知らぬ人に話しかけてくるのと何ら変わりは無いのだから)
        (ようするに、霊となり他者とのコンタクトが不可能な状態を。視える人にシンパシーを感じて寄っているのだから)
        (好き勝手一方的に自分の不幸話をするように映像を見せて)
        (自分は哀れだと、まるで悲劇の主人公の様な語り草だ)
        (どいつも、こいつも)
         
        あはははは……あはは、はははははは! あはははははははははははははっ!
        (可笑しくて可笑しくて、堪らない)
        (私は黒魔女の娘だ。呪術を学び、誰かの負の感情を喰いものにして生業にしようと思っている女だ)
        (幼い頃から母の仕事を垣間見ており、自分の欲の為に、自分勝手な願いを喋る者を数多く見て来た)
        (自分の好きな人に彼女が居る、そいつが邪魔だから呪ってくれ)
        (職場で自分を苛める上司が居て不愉快だ、邪魔だから不幸を呼んでくれ)
        (いつも自分の隣で幸せそうにしている美にも才にも恵まれた友人が居る。私は努力をしても足元に及ばないのに、隣で私を嘲笑っている。苦しい目に合えばいいのに)
        (願いの大小はあれど、どれもこれも自分の願いの為に他人を引きずり下ろす様な願いばかりだ……呪術だから尚更かもしれないけれど)
        (自分はろくな努力や行いもしないで、他者を羨望し、妬み勝手に運命を曲げようとする者ばかり)
        (そうでなくても。自分が呪術師であるが故に後ろ指を指し避難する人も多いのだ)
         
        (けれど。今のお前等はどうなのだ)
        (今はこうして不幸の惨劇の被害者と言わんばかりの顔をしているが……)
        (今ももし、平和に生きていたら呪術師の私を罵倒していたのではないか?)
        (自分が不幸になったから、代りに仇をうってくれだと?)
        (随分と虫のいい連中だ)
        (きっと。今も世に顕在していたら私を非難していたろうに)
        (自分の為に願いを託す存在の時点で、私と同類ではないか)
        (他者を呪うのが行けないだと?だったら見ず知らずの人間に一方的に望みを叶えてくれと唱えるお前等はどうなのだ)
         
        ……馬鹿馬鹿しい
        実に馬鹿馬鹿しいよ。あんた達、生贄も
        もしお前等の目の前に溝鼠やゴキブリが出て来て、殺さないでくれと非難して生かしておくか?
        喋れたところで躊躇いなく殺すだろ?
        それと、お前等は一緒だよ!
        下等生物の分際で、この世に未練を持って殺された怨念を他者に仇を討ってくれと望む存在が!
        上位存在の神や、生きとし生を全うし、人生を謳歌している人間になんて聞きいれて貰えないんだよ!亡者共め!
        怨むなら自分の不幸を、運の無さを……自分自身を呪うがいい!
        お前達の様な存在を呑み込み、喰い物にする為に存在する人種なのだよ!私は!
        嘆け! 喚け! 足掻け!
        お前等の呪いが、怨念が 私の中で更に糧となり力を得るだろうよ!
         
        あはっ……あはははは……あはははははははははははははぁ!

        (高らかに嗤って魔法陣を吸いこんでゆく)
        (亡者たちが呪うほどに、嘆くほどに、抵抗するほどに吸う勢いは増していく) -- アイリス 2012-05-31 (木) 22:09:09
      • その言葉が引き金となった。救いを願う声は踏み躙られ、方向性の無い、無差別に振り撒かれた憎悪と悲哀は
        全てがアイリスへと向けられる!
        何十人、何百人分の悪意が一斉に牙を剥き、取り込む魔力は内で嵐の如く荒れ狂い、アイリスを傷つけていく
        だが、それは同時に、魔法陣自身が、魔力を奪おうとする相手へむざむざ自分から差し出すのと同じ事であり
        魔法陣の魔力は更に加速度的に減っていく、そして…

        「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!!!!」

        鼓膜が破れる程の、金切り声の様な、断末魔の様な思念の叫びと、魔力の唸りがしばらく続いた後
        赤く光を放っていた魔法陣は、色を失った不気味な肉塊へと変わり
        あれ程この場に満ちていた魔力も、偏った属性の力場も、完全とは言わないまでも殆ど消失してしまっている。
        そしてアイリスは感じるだろう、一歩でも間違えれば、自身を内から食い破らんとばかりに暴れる
        負の感情に染まりきった、どす黒い魔力を
        -- 2012-05-31 (木) 22:42:44
      • (引き金となり勢いを増した憎悪と悲哀が全て向けられる)
        ふんっ……!都合の良い解釈をしているようだけどね!
        もし私が白魔術師だとしても!あんた達を癒す存在だとしても!
        それは都合良くあんた達の憎悪も、悲哀も、全て受け止めて浄化する都合の良い存在であるには変わらないわ!
        自分で全うできない望みを!他者に望むなど……!
        それ自体が歪みであり身勝手な……!他者の人生に寄生する虫と何ら変わりのない存在なのよ!

         
        (例えばそれは、亡霊を癒す為に浄化するヒーラーや白き魔術師達に負担がかかる事や)
        (親が自分の出来なかった事を、自分の子に託し、人生を曲げるのにも等しい)
        (私も、所詮方向性が違うだけなのだ)
        (亡者を喰らい、自分の中に取り込み魔力に変換するだけ)
         
        未練で、欲望で現世に縋ろうとする亡者たちよ!
        滅すがいい……!消滅して、楽になればいいわ……!

         
        (加速度を増して自分の脳を、神経を、精神を攻撃して来る亡者たちに 今にも気が狂わんばかりだ)
        (けれど、私はこいつらを足元にして存在する為に戦っているのだ)
        亡者の分際で! 魔術師に……!それもお前等の憎悪や悪意が力の根源の呪術師に敵うと思うな!!

        (夢中になって、喰らい、吸いつくしかけて 魔力の残量が少なくなっているのがわかる)
        (けれど、最後の最後で、例えるならば汚水の下に沈澱して固まっていたかのように)
        (どす黒い負の感情のどろりとした塊が 自身を喰い破らんと暴れ出す)
        (眩暈がして気絶しそうになるのを耐えて、腕にしていたモリオンとヌーマイトとテクタイトのブレスを外し、握りしめて)
        (それに魔力を、彼らの負の念を送りこむかのようにイメージングして呼吸法を行う)
        (6のリズムで吸い、12で吐き、2で止めるを繰り返して)
        1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2…………
        1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2…………
        1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2…………
        1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2…………
        1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2…………
        (回す、回す……ゆっくりと……)
        (ドロドロとした怨念は、黒水晶に吸収されていくようにして、私の中で暴れるのが収まっていく)
        (黒水晶は"強い浄化能力"と謳われるが、それはヒーラーが売れるように)
        (良い印象を与える為の建前であり……その真価は)
        ("黒い欲望を" "人前には到底晒せ無いような邪な想い")
        (それらが餌であり、それに対して働く石である)
        (発作のように暴れる怨念が収まれば、全てを吸いつくしきったと思って私はまた高らかに嗤う)
         
        (けれど)
        (許容を超えた怨念の様な欲望を受け止めて)
        (其れを餌として、糧として喰らい……自らのカルマを自ら塗りつぶし始める一歩を歩み始めたのだ)
        (少しづつ……少しづつ 狂気に蝕まれていくのに まだ本人ですら気付かなかった) -- アイリス 2012-05-31 (木) 23:20:17
    • 不思議なことに、歪んだ灼熱の核へ近づくにつれて、静けさが漸進的に深まってゆく。
      災禍の中心部であるところの魔法陣の中心などは、まるきり深海底のようで微かな音すら響かない。
      諍いが酒瓶を割り砕く喧しさもなければ、調理用ストーブの上でシチューがなみなみ満たされた鍋をかき混ぜる穏やかも無い。
      栄華の抜け殻たるスラムの廃墟群の中でさえ、その清寂は異様に目立つ。本当に静かで、寂しい空間がそこにある。
      そんなこの場所へ、深夜の街灯が作る影法師のごとく孤独な人影が一つ立っている。
      -- 2012-05-30 (水) 00:27:39
      • (影に近付いていくと腰の刀に軽く手を当てたまま目を細めた)
        ……最後の戦いをしましょう、キャスター。こんなことは終わりにしなくてはいけない。
        (彼女が何を思って「こんなこと」と言ったのか、それは言葉にすることなく。ただ銘刀・旋空の周囲から風が流れていく) -- セイバー 2012-05-30 (水) 21:11:14
      • (無言の返事を返した後に、向うを指し示す)見てみろよ、酷い世界だろう。(指先には地獄が広がっている)
        (人が爆ぜる瞬間など、まともに目にした者がどれだけ居ようか。戦争の末期に産れる非人道的な兵器といえどもあれはやらない)
        (越えてはならぬ一線を軽々と踏み越えて、生命を蹂躙する姿は悪魔と形容するに相応しい)
        (これまでも幾多と目にしてはそれを看過してきた。高熱炉で生きたままグリルにされる少年少女を眼の前で見た)
        (黒い犬は魔女の使い、悪魔の使いと言い伝えられている。俺はまさしくそれそのもので、そして、同罪なのだろう)

        (腕を力なく下ろすと、地獄を示した指先も下を向く。ここは未だにとても静粛で、向うの光景が全て嘘のように見える)
        もう、殺しすぎた。喩え、聖杯に願いを聞き届けられて、俺の永年の想い人が眼の前に現れようとも……。
        (満月の浮かぶ空に手を翳して、攫みとるジェスチャーをする。掌に残るのは虚無感と寂しさだけで、寒くて震えた)
        抱きしめたり、愛をささやいたり、泣き言を云ったり、甘えたり、声を聴いたり、頭を撫でたり、傍に居たり……。
        「ああ、ここに居るんだな」って確かめるような事を一つもできないだろう。こんなに穢れた奴にアストを触れさせたくない。
        (声も震えている。躰は正直なものだ。魔法陣が、溶岩に似た緋色で俺の顔を照らしているけれど、きっとそれは青い)
        もう、とっくの昔から絶望していて、今言ったように、重ねて絶望をしていて、もう、辛くて仕方がないのに。
        まだ諦めきれないんだ。(瞼が言う事をきかない。ぴくぴくとして眼窩を半開きにしては、涙をすそから零し続けている)

        もうすぐ目が覚めて、あいつが居て、「悪い夢でも見たの?」って、言ってくれないかなあって、思ってるんだ。
        なんでも願いが叶うのなら、そうして欲しい。聖杯に俺は、そう願いたい。
        ────……現実逃避? 馬鹿を言っちゃいけない。
        (ああ、世界の老年期が終わりを告げたかのように静けさはここに打ち破られる。魔力が金色の儀礼剣に集まっている)
        (その中心に嵌り込んだ紅いローズクォーツが、目映い程に輝く。綺麗な緋色の輝きは、原初の炎の証なのだろう)
        ───────ここは、夢だ─────。

        我は今日 この炎に火を燈す
        生命の光よ 我は汝を召喚す

        汝 我の前の輝く炎となり
        汝 我の頭上の導く星となり
        汝 我の足元の緩やかな径とならん

        我の心のうちに燃え上がる汝よ

        我の近隣のもの

        我の仇

        我の友

        我の血族

        地上に広く住まう人類全てへの 愛の炎とならんことを……


        (溶岩で水練をしているかのような熱気が満ちる。あらゆる熱がここへ集結していたから、空気は静謐だった)
        (けれど、今はもう違う。怨恨や哀しみや寂しさが黒く熱を持ち、濁流の魔力となり流れてゆく)
        (爪の先から心の奥まで、躰の中では小さな発火がたくさんたくさん起こっている。細胞が動く音が、耳に聴こえる程になる)
        (駿馬が蹄から火花を散らして走るさまが、頭に思い浮かべられた。南の地平線一杯に炎が燃えて、そこを駆け抜ける)
        (イメージを崩さずに手から出力する。アサメイが空に五芒星を描き始め、足先が鼓動の音を刻む)
        (我こそは、魔術の行使者。世界の大きな流れを指揮し、望むが如く奏でるものなり)

        パンタ・レイ・ウーデン・メネイ 全てのものは動き とどまるものはなし

        ヘーカス ヘーカス エステ ベーバロイ

        oh-ee-pay
        tay-ah-ah
        pay-doh-kay

        胸にきて 暖めてくれ
        ────────────《永劫に燃え尽き得ぬ紅水晶》(アミアントゥス・オブ・ファイアーズ)


        (火精が顕現する。あの、描かれた大きな魔法陣を舞台にして、漸くその姿を現す)
        (まるで山火事がそのまま立ち上がったかのような威容は、夜中であった筈の空を真昼の色に染めた事で表される)
        (ラージ・サラマンダー『アミアントゥス』は、炎のたてがみを靡かせてそこに座っている。おとなしく、そばに)
        -- キャスター 2012-05-31 (木) 00:25:25
      • ……ええ、酷い世界ね。(ゆっくりと目を瞑る。現実を直視したくないからではない、自らの罪を噛み締めるために)
        人の命は未来そのものだわ。それがこうも簡単に失われていくというのは…酷いことよ。
        (唇が爆ぜる人の脂に湿っていく。それはまさに地獄のような―――いや、地獄そのものだ)

        アスト。それがあなたの愛した人の名前なのね。(寂しげに俯いたまま)あなたは愛する人を取り戻したかった。
        あなたは悲しい人だわ。忌むべき運命に何もかもを奪い去られて、成す術もない大きな『流れ』に逆らうこともできなかった。
        ――――来なさいよ、キャスター。(刀をゆっくりと抜き放つ。見開かれる眼)我が名はリルカ。
        神を内在せし花盗人にして、剣の英雄。リルカ・バントライン。諦められないのなら、掴み取るために私の命を奪えばいい!!
        私だって退けない望みがある!! 許せない悪がある!! 信じたい道がある!!
        (ラージ・サラマンダーが召喚される。綺麗な綺麗な紅の色。あの世に咲く花の色)
        (それに臆することなく、女は立ち向かう。決戦のために―――目の前の魂を解放するために)
        (刀を脇構えに持ったままキャスターに向けて疾駆し) -- セイバー 2012-05-31 (木) 00:55:18
      • (「戦いの火蓋が切って落とされた」などとお決まりの文句が挟まる場面だけれど、心は踴らない)
        (勇躍する高潔な精神は、恋人の棺へ花と一緒に置き忘れてきた)
        (怪物を討ち倒し世界すら救う力はもう、他人の願いを踏み躙って簒奪する邪悪な暴力と化す。正義は、風化した)
        喃々と御託を並べるじゃないか。誰にでもそういう事を言うのだろう。優しく心強い、身を奮い立たせる勇気の言葉────。
        特価大廉売されている、そんな戯言は聞けないね。俺が聴きたいのは、あいつの無闇に活発な言葉ばかり。
        セイバー、貴様が何者であるかなど俺は知らない。そして、貴様の命を奪い去るなどという意識すら持たない。
        行く手を阻む、まつろわぬ者の独りとして、藁束のように滅びるのだ。

        物品作成(トレース・オン)

        (耳を劈く轟音が響く。空気を破壊する、雷撃が幾多も響く。建物が燃え、叩き割れる。自然の猛威が巻き起こる)
        (それすらもただの前兆にすぎない)
        (濁流の魔力は天へ昇り、音を響かせる。世界を洗い流す大洪水の引鉄となった、大雨の前触れに起こる雷撃である)
        (そう連想すれば見えてくる。幾多も響いた雷撃の次に降り注ぐものは雨。戦いを喚ぶ鉄の雨だ)
        既に対抗策は練ってあるんだ。ここに踏み込んだ時点で、もう、囲い込まれたようなものさ。
        (大火蜥蜴に疾駆するセイバーの眼前に突き立つものは──剣──洋刀型の剣が、大粒の雨とも言わんばかりに降り注ぐ)
        (空を埋め尽くす程大量の刃の雨が──魔術ではなく、魔術で実体を与えられた存在が──切っ先を鋭くして降り注ぐ)
        ああ、月が……綺麗だな……。(空を見上げて、微笑んだ)
        -- キャスター 2012-05-31 (木) 01:28:10
      • 誤魔化すための言葉は使わない!(刀を握る手に力が篭る)もう嫌なのよ、その場しのぎの嘘はッ!!
        あなたがいくら拒もうとも! 夢を司るガーディアン『アルテミドロス』の名にかけて、あなたの悪夢を切り裂いてみせる!!
        ………!(嵐の前に、静けさはない。嵐の前には、大暴風雨(テンペスト)がある。しかしそれは――)
        この街の命を全て刈り取るつもりなの……!?
        (上空に向けて刀を振る。実体剣を切り払う。刀を振る。剣を振り払う。きりがない)
        く……! こんなことをしている暇はないのに……!(降り注ぐ剣の雨を切り払うだけで手一杯になって)

        (狂気の満月は煌々と銀に輝くばかり) -- セイバー 2012-05-31 (木) 01:42:37
      • (“剣山”と称される生花の用具がある。針が整然と畳の目のように並んでいて、頗る暴力的な風貌をしている)
        (それに目を近づけた時と同じ風景が眼の前に広がっている。貧民窟のつたない地面に突き立つ無数の剣が、何千とある)
        (捌こうなどと思わばそれに呑まれるだろう、隙間なく降る雨を躱す手段などどこにも存在しないのだから)
        人の心に土足で踏み入る事を、まるで大業のように喧伝するなよ。(けれど、それでは終わらない)
        (戦闘への本能が戦略を積立て、第一の戦術を講じ、第二の戦術を講じる。ロジックが動き、連鎖して策を成してゆく)

        フレイムソード

        (突如、一帯に注いだ剣が一斉に燃え盛る。スラムは緋色の赤絨毯を敷かれて、熱気を空へ立ちのぼらせる)
        (剣に炎を付与するだけの、全く単純な術式が、全てを灼き尽くす劫火の大魔導へと姿を変貌させた)
        無数の術式を無数の媒体に乗せて無数の炎を産み出す。
        ほら、アミアントゥス。(傍に付き添う火蜥蜴へ手を差し伸べて、その肌に籠った熱を間接的に感じ取る)
        いっておいで……。(炎の海を掻き分けて、巨大な火蜥蜴が猛進する。形容し難いその姿は、喩えるならば炎の津波であろうか)
        (ひといきに呑み込み、浚ってしまう無慈悲な大口。セイバーへ向かって、ぼうと炎を唸らせて走ってゆく)
        (それを見届けた後に、細路地へ駆け込む。英霊の躰でも心臓は従順に高鳴っている。酷く怖いし、厭な感触だ)
        -- キャスター 2012-05-31 (木) 02:04:15
      • (瞬間、燃え上がるスベテノ剣――煉獄の刃は周囲を、街を地獄へと変えていく)
        うっ うう……!(燃え上がる手足に歯噛みをし、耐える)これがキャスターの力……!
        (襲い掛かってくるラージ・サラマンダーの巨大な口。咄嗟に刀をつっかえ棒にして飲み込まれることを防ぐ)
        ……私としたことが忘れていたわ。(風が、熱気を払いながらセイバーに収束していく)
        『目の前で消し去られそうな光があるのなら、この手で守りたい』そう誓ったことを。
        (令呪は効果を発揮する。それはシンプルに、目の前の敵を倒すために全力を出すということ)
        (白の極光が放たれ、サラマンダーを吹き飛ばす。奇跡と無限を孕んだ風は一帯の炎を、半分ほど吹き消しながら女に収束していく)
        はああああああああぁぁぁッ!! プログレスッ!!
        (光の粒子が舞い上がり、そこにいる女は純白の髪に真っ白な装束を身に纏い、血のように紅い瞳を輝かせてその場に再臨した)
        切り裂けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!(空へ向けて神の力を携えし一刀(ガーディアンブレード)を振りぬくと、夜空が断たれた)
        (そう形容するしかない事象―――空から降り注ぐ洋刀はその一切を次元の断裂に飲み込まれて消えていき)
        (今もラージ・サラマンダーはそこにいる。街を覆う炎も半分しか消えていない。ただ、空から降り注ぐ洋刀が断たれただけだ)
        (それでも依然としてセイバーの、リルカの眼差しから希望は消えないッ!)
        出て来い、キャスター! 姿を隠したまま吹き消せるほど安い命は持ち合わせていないッ!!
        (プログレス形態―――セイバー最強の姿がそこにあった) -- セイバー 2012-05-31 (木) 02:25:32
      • (気炎を上げるサラマンダーを前にし、緊迫した空気に包まれた)
        (キャスターの気配を見失ったのだ。よもやこの局面で逃げることはしないだろうが―――)

        (瞬間、背後から頭を捉まれる)……ッ!?(キャスターは既に半分以上詠唱が終えている。間に合わないッ!)
        うっ………(詠唱が終わると共に頭の中を深い霧が包む)こ、これは………!
        (一歩、前につんのめって踏み止まる)わ、私の対魔力を見切っていただけならまだしも……
        こんなにも完璧なロジックで術を行使できるというの……!?
        (唇を噛んで痛みで眠気を遠ざけようとするも、ただの睡眠ではなく魔術で行使された眠りに抗う術はなく)
        う、うう……(口の端から血を流したまま、白装束を身に纏った剣の英雄は)
        (その場に倒れ伏した) -- セイバー 2012-06-03 (日) 23:34:02
      • (灼けついた空気がのどもとや肺の中身を焦がしている。肌は爛れるほどに乾き、罅割れてしまうかのようだ)
        (頭皮から伝った汗の水滴が、頬で乾く。英霊らしからぬ生気が俺の中にある)
        (この生気は、嘗て生きていた頃を思い出して湧いて出たのか、剣士に打ち勝った歓喜によるものなのか)

        けほっ、あ、ははっ。呆気ない……! まだ、全然、余裕があるっ! 一発で決まるんだもんな、あ、はははっ!

        (古びた煉瓦に焦げ目がついて、ここはまるで暖炉の隅のよう。暗く光も届かず、塵芥だけが履き溜められる)
        (スラムの路地裏にあった、五分ほどの生活感は脆くも崩れ去り、ただ火に巻かれるそれだけの場所に変わってしまった)
        (そこを寝床にするのは、真白い銀灰色の猫。息すら苦しいこの場所でどんな夢を見るのだろうか)

            ぜ、ぇ……ひっ、げっ、ごほっ、……。

        (何かが俺の心を苛む。絹糸の一筋ほどのか弱い力であるのに、それを俺は振りほどけないでいる)
        (「こいつは、セイバーだ……」負傷もないのに、爪先が地面に引っ掛かる。歩きながらにして這いずるように、セイバーに近寄った)

        …………もっとだ。

        (横たわる姿に、泥沼のようなマナが触れる)

        引き摺り込んでやる。……そんなふうに強いお前の、底の、底の、底の部分……抗いようのない、孤独の悪夢……へ。

        (催眠の呪法は紡がれ編まれ、柔らかな毛布のように覆い被さる。眠りを深く、深く誘い、奥底にある闇へと導く)

        結局お前だって俺と同じだ。一皮剥けば、弱い心が剥き出しで、二度と、戦えなくなる。
        -- キャスター 2012-09-13 (木) 23:38:27
      • (夢を―――――夢を見ていた)
        (どこまでも静謐な闇が広がる、瞼の裏の暗がりにも似た安寧に包まれていた)
        (何か大切なことを忘れている気がする―――どこかで何かの焦げるような匂いがした)

        (途端、闇は変質し攻撃的にセイバーの心を蝕む)
        うっ う、ああぁ……! やめて……私の心に入って来ないで…!

        (セイバーがかつて、リルカ・バントラインという一人の少女だった頃から変わっていないもの)
        (それは表向きの強さで塗り固めた心の弱さ。その間隙を突く汚泥のような魔力が彼女を苛む)

        あっ あああぁ……! やめて、お母さん……! やめてよぉ…どうして、どうしてなの…っ
        愛して……お母さぁん…私を、愛して………


        (現実。苦しみ続ける彼女の頬を、涙が一筋伝った) -- セイバー 2012-09-13 (木) 23:48:47
      • (引き攣る肩に黒衣が揺れる。鑑賞する男の眦には歪んだ甘美が刻まれて、引きつり笑いの声がだらだらと漏れて出た)
        (俺には自分が他人事のように見えた。狂ったように燃え盛る緋色が、表情にまでヤケついた自分が、他人のように見えた)
        (どこの分かれ道で選択を誤ったのか、他ならない己の瞳に映る景色は、最も望まぬもの)
        (俺を動かしていた果敢なまでの愛は、どこへ消えてしまったのだろう)
        (抜け殻に残った執念しかなくなって、それに突き動かされる俺はまさに亡霊のごとくだ)
        (悲しみもなく、命を刈りにゆく)

        まるで赤子だ。(セイバーに視線をぽつりと落として、無感情に呟いたのはその言葉だけ)
        …………物品投影。(トレース・オン)
        (手のひらの上にある空間が悲鳴を上げながらサーベルを形成してゆく)
        心も躰も隙だらけ……。堰へと穴を空けるがごとく、一突きでおしまいだ。精々、絶望して逝きな。
        (セイバーの首元に白刃が滑る。冷え冷えとした鋭利が、喉に落ちた)
        -- キャスター 2012-09-14 (金) 00:48:52
      • (キャスターの放ったマナは、リルカ・バントラインが最も愛し、その愛を裏切られた母親の姿を取って彼女を苛む)
        (手足も伸びきらぬ童女の姿まで退行した夢の中のセイバーは、その白く細い首を母の手で絞められていた)
        (もう涙も流れない。ただ自分を産んだ母親の手で殺されるという結果に心が従ってしまっていた)

        (ふと、リルカ・バントラインの手に何かが触れる)
        (それは見ようによっては醜い、目と鼻のないネズミのような姿をした一匹の獣だった)
        アルテミドロス………(そう、それは彼女と共に在る守護獣(ガーディアン)――――夢を司るアルテミドロスの姿)
        (アルテミドロスは顔をリルカの手に擦り付ける。暖かな感触と共に、何かが心の中に流れ込んでいく)

        (浮かび上がるそれは遠い過去、自分がまだただの冒険者だった頃に出会った数々の仲間たちの顔)
        (それは和装の少女であったり、青い肌の悪魔であったり、あるいは―――人間の魔王であったりした)
        那……智…!(右手に触れる暖かな感触、それを強く掴み取る)
        私は……セイバー…リルカ・バントラインだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
        (右手が掴んだガーディアンブレードを振るい、目の前の母の幻影を振り切るッ!!)
        さようなら……お母さん……!!(それは過去との決別)


        (突如、眠っていた女が目を覚ます。喉元に突きつけられる刃を見て笑って見せた)
        レディを起こすのに、ソレは少し無粋じゃない?(ガーディアンブレード『旋空』を振るい、トドメの一撃を切り払う) -- セイバー 2012-09-14 (金) 01:05:57
      • (夢を見ている時ほどの孤独は、世界のどこを探しても無い。瞼越しの光は薄明で、映像の輪郭も掴めない)
        (頭蓋骨の中へ投射される、七色の電光が全てとなり、そこに他人の干渉は殆ど起こり得ない)
        (瞑想で見えるものよりも哲学的なものが見えて、そこにイデアを探し求める。大仰に表現すればこんなところだ)
        (誰の助けも借りないままに、睡魔の静まるその時まで、上下も区別しない場所を彷徨わなければならない)
        (そして、俺はそこへ手を伸ばし、背を押し、突き飛ばした。もう戻ってこれないぐらい深い場所まで、陥れた)

        …………なんだ……。(銀灰色の剣士は、心安らかで強い表情を顔に浮かべる)

        (それは悪夢を見る者の顔などではない。朝陽を見据え、背筋を伸ばした、快い覚醒を思わせるようなものだ)
        (自分が空目でも起こしたのかと疑った。けれど、瞼はするりと上がる。琥珀の瞳は瞳孔を乱さずに、鋭剣を捉えた)

        (剣の一振りがサーベルを砕く。──セイバーに見せていたはずの悪夢は、現実に抜け出て、今度は俺に絡みついた)
        ぞっ、とする。指先まで篭ったセイバーの心に、希望の光に、俺は嫌悪を感じている)
        (くらくらするような、吐き気がするような。ぐるりと、平衡感覚が狂ったような。強い嫌悪が呼び起こされた)

        (よろめきながら後方へ歩き、金色の短刀を懐から取り出して構えた。右肘を伸ばして、「これ以上近づくな」と怯えるように)
        (何に怯えているのか、自分にもわからない。ともかく、短刀の切っ先は小刻みに震えていた)
        なんなんだ……なんなんだ。その目は、なんだ。希望に満ちた目は、なんだ。……なんでそんな目ができる。
        お前が恵まれた者で……俺が恵まれていないからか……?(自分を嘲る笑みが、頬を引きつらす)
        -- キャスター 2012-09-14 (金) 01:48:33
      • (刃を切り払うとそのまま体を跳ねさせて跳躍、立ち上がり)
        違うわね……(白刃を構えると、その刀身を白い輝きが立ち上っていく)
        恵まれた人間なんていない。人間、誰だって不幸と折り合いをつけて生きているのよ。
        あなたにどんな大きな不幸が訪れたかは知らない。(刀身の白い光はどんどんその力を増していく)
        それでも、あなたが違う誰かの命を奪ってまで願いを叶えて良い理由にはならない!!
        (白の極光が周囲に満ちていく)
        (絆に、思い出に、人と人とが引き合う引力に――――全てを)
        …これが最後よ、キャスタァァァァァァァァァァァァァ!!!(白い輝きを迸らせる刀を携え、相手へ向けて走り出す) -- セイバー 2012-09-14 (金) 22:55:35
      • (「ハナから判っていたことだ」セイバーの静かな糾弾が胸を舂く。小難しい理論も何もない、ただ自然の摂理を述べたまでのこと)
        (高々それほどの言葉は、精神にできた綻びの糸を引く。ほどけてゆく)
        (この世を憂いで、自分の不幸に泣いて、逆うらみをした。それは、砕けた心を繋ぐ仮初めの縫合に過ぎず、このように、容易くとける)

        (紅蓮色の炎が四方を塗りつぶしていて、熱気は冷めやらない。セイバーの剣はその中で尚明るく輝いている)
        道理がどうした…………正しいことがいつも、どんなときも、正しいって言うのかよ。
        そんな説教が聞きたくて戦ってるんじゃない。
        こんな、結末のために、人を殺めてきたわけじゃないんだ……。

        (燃え立つ炎を仰ぐ。元凶の俺の意志と関係なく、炎は罅割れた壁を呑んで一段とその高さを増した)
        (この火災は俺そのものだ。最初は小さな種火程度の、暖かな輝きであったはずなのに、気が付けばもう手がつけられなくなっている)
        (唇を犬歯で噛んだ。がりっ、と、ぶちっ、の中間あたりの音がして、冷たい血の味が口に広がってゆく)
        (涙が滲んだ)
        (緋焔の毛並みを持つ巨大な生き物が、火中から首を伸ばす。炎嵐の風に乗って、するりと俺の傍へ擦り寄ってきた)
        アミアントゥス……。

        ごめんな。もう……後戻りなんて、できないんだ。…………負けても、勝っても……っ!
        苦しいことしか、待ってないのに……!!(溜まった涙が溢れて、炎に蒸発して消えた。悔しさに、焼け爛れる)

        (希望の光を、セイバーが翳す。迷いはない。朝陽は向かう先に迷うことなく、窓へと射す。それとなんら違いない、真っ直ぐさだ)
        (あれは嘗ての自分のようだ。希望に充ち満ちて、強くて、迷えども、正しい道を歩いて……)

        (周囲の炎が突然に、消え失せる。パチパチと爆ぜる音も、ごうと空気が唸る音もなくなり、熱気だけが残された)
        (炎は俺の右手へ集っている。高らかな炎の剣が、黄金の短刀(アサメイ)を芯にして形成されている)
        (ラージ・サラマンダーが宿り、夜空を明かすほどの煌めきが迸る。もう、退くことはできない)

        (記憶に、思いに、人同士を突き放す運命の皮肉に、磁石のように気紛れな運命に────全てを)
        示してみせろ……正しいって言うのなら、運命を味方につけてでも……俺に打ち勝ってみせろ。
        (炎が巻き上がる。膨張した空気が、突風になって吹き荒れた)
        (懴悔の念で頭は一杯なのに、どうしてだろう。躰が無暗に熱い。何もかも蹴り飛ばしたい気分だ)

        (駆け出し────互いは、人型のものではなく、打ち贏ちあう二つの風となり────)
        ─────サラマンドラ!!!
        (炎剣は極大の爆擁となり、爆ぜた)
        -- キャスター 2012-09-15 (土) 00:03:08
      • 私も私自身を正しいなんて思っていないわ。勿論、こんな綺麗事だけで片付けられないこともたくさんある。
        ……抱えきれないほどの業を背負うことも、人間だもの。あるわよね。
        それでも……それでも、私はあなたを超えて前に進まなきゃいけないのよッ!!

        (噴き上がる炎。ラージ・サラマンダーがキャスターの隣へと寄り添う)
        (この男がかつて持っていた『明るい未来』を取り戻させるために―――この男を、消滅させなければならない)
        (走りながら、唇を噛んだ)
        運命は………(ガーディアンブレードを振り上げる)誰の味方でもないッ!!
        (綺麗な綺麗な紅の色。あの世に咲く花の色。火の粉が金粉のようにぱっと舞い散る)
        (その中を、ただひたすら走り抜ける)

        アークインパルス!!
        (極光を宿す刃は、輝きの奔流となって全てを包んだ) -- セイバー 2012-09-15 (土) 00:24:54
      • (水素を燃やす恒星にも似た、大きな光へ指先から飛び込んでゆく)
        (恐怖はない。これは俺も持っていた光だから、懐かしさすら感じている)
        (海原に浮いて、仰向けで搖蕩うような……心に反して、炎の剣は砕けて空へ散ってゆく。滅びの痛みが俺を通りすぎてゆく)

        (本当は全部判っていた。阿婆擦な運命の女神様は、どこにもおらず、居たとしても俺なぞ気にかけていないのだと)
        (散った花びらは舞い戻らず、枯れてしまえばそれまでだ。時間は常に不可逆で、起こってしまったものは巻き戻せない)
        (けれど、納得はできなかった。因果も、宿命も、それどころか世界の全てを敵に回したって、叶えたい思いがあった)
        (硝子の向こうに願った未来がある。そこに爪を突き立てることを、俺は許されないことだとは思わない)
        (何度も爪を立てるうちに、分厚い硝子は傷ついて磨りガラスと変わって、向こう側が見えなくなった)
        (後悔などはしていない。何度人生をやり直したって、俺はこの選択をするだろう)
        (聖杯とは、願いの叶う事物とは、残酷なものを作りなさる。誰かは知らないが、趣味の悪い話だ)

        (……運命とは、運命とは……誰の味方でもない、敵でもない)
        (けれど思うのだ、運命はひとつではなく……寄り添う運命は、人の心によりけりなのだと)
        (そうだ、俺のような者に碌な運命は来ず……きっと、正しく、強い者へと……)

        …………アスト。

        (声は風に乗り、消えて。光が消えた頃には、その場にキャスターの姿も形もなく、世界は平和な静寂を取り戻していた)
        -- キャスター 2012-09-15 (土) 00:43:40
      • (炎の奔流を受けて少なからずダメージを受けたセイバーは、その場に膝を着く)
        どうして……(小さく呟く言葉は風に流されて消えて行った)
        (どうしてキャスターは最後に女性の名を呟いたのだろう? それが彼の望みだとしたら、私は)
        私は………(刃を足元に突き立てて立ち上がり)私は、勝ち抜くわよ…(ふらりと歩き出す) -- セイバー 2012-09-15 (土) 01:03:12
  • (世界が深い闇が安らぎを与えている時刻に、孤児院を少し離れた場所から眺める魔女……以前に送った使い魔の主だった)
    (『あれが……キャスターとそのマスターの城、か……』)
    (あれから孤児院について調べたけれど、裏を知れば知るほどきな臭い話が纏うけれど……噂が本当なら……) (綺麗ななドレスを纏い、ヴェール付きの帽子で顔を半分ほど隠し、髪を綺麗に結った姿で、孤児院の戸を静かに叩く音が響き渡る)
    ……御機嫌よう。入信希望の者ですわ -- アイリス 2012-05-21 (月) 01:00:10
    • (孤児院の扉が開き、漆黒の、修道士服の様なローブに身を包んだ巨漢が姿を現す)
      この様な時間に女性の来客など珍しい…ふむ、ここはただの孤児院ですが…
      (初対面の人物、その口から突如入信という単語が出た瞬間、僅かに警戒する。目の前の女性は自分の裏の顔を知っているのか、と)
      とにかく、どうぞ中へ…(扉を開き、客間へ招き入れる。)
      -- シャンゴ 2012-05-21 (月) 01:20:01
      • (君の悪さとおぞましさの入り交じる黒人の司祭を目の当りにすれば、ぞっとする)
        (彼の周囲のオーラが……邪の黒で塗りつぶされているだけでなく、犠牲になった孤児達の呻き声や、こちらに助けを求めるかのように……既に白骨化してしまった手が伸びて来るのが視える)
        (吐き気がしそうになりながら、表情は限りなく穏やかで世間知らずな小娘を演じるのに努めて)
        (警戒する彼とは対象的に、笑顔を崩さない)
        ありがとう、お邪魔しますわ……(丁寧に一礼すると、中へと招かれてから口を開く)
        その……外では迂闊に喋ってしまってごめんなさい
        夜ですし……こちらに伺った際に周囲にどなたもいらっしゃらなかった事と……私、なんて声をかければよいか……わからなくて
        (困ったようにはにかんでみせて。格好を見れば、いかにも高価そうなドレスは最近流行っているものだ)
        (指にさりげなく飾られている宝石もファイア・オパールの美しい遊色が炎のようにちらついて輝きを放っている)
        (顔と肌を見れば年も若く、まだ10代の中盤程度だろう) -- アイリス 2012-05-21 (月) 01:32:46
      • (客間のソファにアイリスを座らせると、向かい合う様に己も座り込む)
        …(『迂闊に』その言葉に、目の前の女性が自身の秘匿している行いを、全て知っている事を確信する。始末すべきか、とも一瞬思うが)
        (続く言葉と、身に付けた豪華な品々に、単に面白半分で首を突っ込んできたのではという別の可能性が頭に浮かぶ)
        …成程、どうやら貴方は相当な情報網をお持ちの様だ。(完璧とはいかないまでも)
        (目の前の少女に邪教の事を掴まれる程、その存在を明るみに出した事は無い。何より、ばれる事は破滅を意味する、自身の信者達がそれを全力で阻止する筈)
        (突如現れた謎の人物に脅威を覚えつつも、話を続ける)
        特に難しい事等ございませんよ、貴方が望みに見合う、代価を払う覚悟さえ見せて頂ければ
        それで貴方も、我等の仲間となります…。ああ、それと、差し支えなければ、貴方が何を望むのかも、聞かせて頂いてよろしいですかな?
        -- シャンゴ 2012-05-21 (月) 01:46:18
      • (丁寧に頭を下げて促されてからソファへと腰掛けると、にこやかな笑顔を向ける)
        (その下では、どう出るかで思考を巡らせながら)
        (さて……自身が調べた、信者になる者たちの特徴から近しい格好等をしたつもりではあるが訝しげな目線の様に思うのは、何か違和感を感じさせているからか?)
        (いや。邪教を知っている相手が来れば、それは警戒するだろう……考えすぎかもしれない)
        (相手の警戒心を緩める為に、どこぞの金持ちの道楽娘を気取ってみたが……自分の雰囲気から見れば違和感なのだろうか?と)
        ええ……ちょっと、お茶会でお伺いしましたの(にこやかな返答)
        (傍から聞けば裕福な少女の会話だ……けれど、お茶会は上流の女性にとっては社交の場 なのである)
        (言いかえれば噂やゴシップが飛び交い、時には相手の腹の探り合いの場でもある)
        まぁ……本当ですか?(望みが叶う喜びを秘めた笑みで)
        ……何を望むか……
        実は、私には妹が居るんです。とっても綺麗な
        (望みには事実を交えた。様々な信者の願いや望みを聞いているのであれば、嘘偽りを言ったところで、それを感じさせてしまえば違和感を与えかねない)
        …………私は あの子より……美しく生まれたかった…………
        (昔の事を思い出しながら、絞り出すかのように答える) -- アイリス 2012-05-21 (月) 01:59:04
      • ふむ…求めるは美、ですかな…?(振り返らず、その顔を醜悪に歪めアイリスの望みを口に出す)
        (戦のみが生き甲斐である男に、アイリスの苦悩は理解等できない…だが、その口ぶりからそれを強く渇望してる事だけは、伺えた)
        わかりました、よくぞ話して下さいました…余程、お悩みになられたと見える。だがご安心を。
        私と共にあれば、必ずやその願い、成就される事でしょう…(不意に、キャスターへと念話を送る)
        <<キャスター、この者の名前を聞き出すので、貴方が見聞きしたマスターに該当する名前があるか教えなさい>>
        (それだけを魔力を介した念話で伝えると、アイリスを気遣うふりをしながら)
        では…おっと失礼、まだ、お名前をお伺いしてませんでしたな。よろしければお聞かせ願えますかな?
        私はシャンゴ、シャンゴ・ソポナと申します。(それとなく、意識の不意を突く様にアイリスの名前を聞き出さんとする)
        -- シャンゴ 2012-05-21 (月) 02:10:01
      • …………ええ
        (小さく頷きながら、シャンゴを見る……顔の美醜は自分で左右できない)
        (きっと。他に女性の入信者が居るとするなら、美を求めた者も少なくは無い筈……女の価値は美しさで大きく左右される節があるから)
        ありがとうございます(安心を、と声をかけられ心底安心する)
        …………?(微かにだが、魔力の流れが変わり 何処かに意思が動いている)
        (それは男のすぐ傍……そちらに意識を傾ければ、強大な漆黒の魔力が渦巻いている)
        (間違いない、英霊の中でも最も魔力に長けたサーヴァント……キャスターだ)
        (邪教のマスターに相応しい黒く塗りつぶされたカルマを感じさせる魔力の方へと眼を向ける)
        ……シャンゴ・ソポナさん ですね?
        お名前をありがとう……キャスターのマスターさん……
        (歪む口元は、先程の少女とは思えない程に禍々しさを秘めていて)
        (蛇の様な視線が絡み、シャンゴを捉える)
        ……私の名前はアイリス・フィヨルドよ…… -- アイリス 2012-05-21 (月) 02:19:27
      • (麗美を求むる貴様は宝石を気取るのか。曇りや不純物の混じった石はどんな細工師でも敬遠してカットを施さないに極まっている)
        (先刻から観察してみれば、この年齢の少女だと言うに、まるで夜を棲家にした蝙蝠や下卑た猛禽、野犬の如き瞳をする)
        (その双眸異色(ヘテロクロミア)の片方は死者の書に記された冥界石カーネリアンで、残るは夜を凝縮した群青のラピスラズリとでも宣うようだ)
        (凡そマトモじゃない。だと言うのに、顔立ちの創りが無闇に懐かしい。それが魔性、魔女の業の一環なのだろうか)
        (そして、見透かしたと言わんばかりの視線が面く。“厭な”視線だ。探るようで、不躾な視線だ。俺の中に潜む犬達も機嫌が悪い)

        (主人の指先へ従うのは癪だが、利害は一致している。場の空気が日常の殻を破ろうとする中で、名前を注聴した)
        (殻を破り雛がいざ出て、シーンの色が一時に変ずる。もう、探りあいの面影など俺の中から消えて、一つだけになる)
        (嵐撒き起こればそれに呼応して大波ががぶるように、濁流の魔力が感情に沸き立ち、溢れ出る)
        (アイリス・フィヨルドのすぐ眼前にサーヴァント・キャスターは現界せり。細い顎を不躾に掴み、顔立ちを今一度凝視する)
        ……今、“フィヨルド”と、言ったか?
        -- キャスター 2012-05-21 (月) 03:04:25
      • (投げかけた視線の先から、私を快く思わない視線が伝わってくる)
        (こちらを伺うような視線が突き刺さる……その中でも主に顔に集中しているのは私の顔を忘れぬように覚える為だろうか……?)
        (もしかしたらキャスターには言葉を発する前から私がマスターだと察せられた可能性も否めない)
        (それとも、一介の入信者としては魔力がありすぎて、どちらかと言えばキャスターとそのマスター寄り……つまりは魔術師系統である事でも見抜かれて違和感でも感じられているのかもしれない)
         
        (名前を答えると同時に、禍々しい魔力が渦巻き、形作られると漆黒の狂犬は"フィヨルド"の名を確認するかのように)
        ………………ええ そうよ
        (自分自身、驚きを隠しきれないと同時に『またか』と妙に不思議な物を感じながら頷く)
        (これで、4人目……彼もまたパパとの繋がりのある人物なのかと興味を抱く) -- アイリス 2012-05-21 (月) 22:01:14
      • (遠国へ渡航して荒涼たる嘔吐塗れの場末へ屋根を構え、世界を恨みながら目的へ邁進する。目的は切なる願い、道程は死屍の路だ)
        (そこへ遙か昔の知己の“娘”らしき者が来訪している。正体不明の苛立ちが気焔となって肺の中へ渦巻いた)

        (黄金騎士団で嘗て眼にした顔は今も記憶で色褪せず残っている。あの頃の幸福が蘇り、舌裏に胆を嘗めた様な苦味が濫れる)
        (面影が確かにあるのだ。母親似である事は疑いようも無い。だが、地下水の如くその表情へ彼の雰囲気を纏っている)
        (俺の表情は険悪のまま揺るが無い。曇り硝子の虹彩で、琥珀色の意志を突き刺す。「何故ここに居るのだ」と)
        (入信者だと嘯いていたが、そんな筈は無い。その魔力は大樹の陰に寄ろうなんて大きさをしていない)
        (遇奇な運命がここに引き合わせたなどと都合の良い解釈をする心算は無い。確実にこの娘は聖杯戦争の関係者だ)
        (願いが叶うお伽話と曰えど、流星にみたび祈るとはまるでワケが違う。殺し合いなのだ。互いの願いの殺し合いだ)
        嘘だ。貴様があのヴィーラ・フィヨルドの娘だとしたら……こんな処に来る筈があるものか。
        -- キャスター 2012-05-21 (月) 22:49:55
      • (マスター…その単語を聞いた瞬間、袖から取り出した短刀で、その首を掻き切ろうとするも、キャスターの思わぬ行動に短刀を握ったまま、様子を伺う)
        (アイリス・フィヨルド…目の前の少女がキャスターの知己だったとはと、内心驚きを覚えつつ)
        …まさかお知り合いとは、では、部外者は黙っているとしましょう。
        (アイリスの視線が蛇に例えられるなら、男の目はさながら、猛禽。隙あらばその喉元を狙わんと)
        (アイリスへ敵意のある視線を向ける)
        -- シャンゴ 2012-05-21 (月) 23:05:16
      • (二度目の返事にキャスターが父と面識がある事が表情で伝わる)
        (私が聖杯に関わっている事を、非常に不愉快に感じている。ここにいるのは何故かと問うような視線)
        入信者というのは孤児院に侵入しやすくなる体裁よ……アーチャーのように秘密の入り口から侵入して脅かしても良かったのだけれど……
        (不敵な笑みで微笑み、キャスターを見つめる)
        (彼の問いには答えることはなかったが、彼女の漆黒の癖っ毛はまさにヴィーラの髪質をそのままに受け継いでいる)
        (夜空のきらめきを結晶化して閉じ込めたようなオッドアイも、ヴィーラの目が鮮明に重なるように……)
        (もしも。キャスターが遠い昔……彼の妻のところに、突如現れた慇懃無礼な魔女の記憶があれば……アイリスの雰囲気や口調等が酷似している事を察せられるだろう) -- アイリス 2012-05-21 (月) 23:07:44
      • (皮肉は通用せず空振りに終わる。肯定も否定も口にせず、風貌が伝達する事実のみを俺へ述べようと言うのだ)
        (あの海藻頭を彷彿とさせるが、夜の泉に楽浪を立たせた様に優雅なその髪は、幾年前の幸せな現実を語るようだ)
        (「目元が似ている」等とこの巫山戯た場所で言いたくも無い。その瞬間に天罰か何かで俺の口元は腐り落ちるだろう)
        (極めつけは口調のイントネーションだ。耳は人より良い。母親の気質の芯がその声に通っている。見紛う事も無い)
        (その娘がどうだ。愛嬌の変わりに振り撒くのは邪悪な微笑みだ。この年頃の娘が酷い顔をする。到底許容できようも無い)
        (糞まみれの世界だ。運命は不平等に雨を降らせては陽を当てて風を吹かす。その皺寄せを喰らった俺と同様なのだろう)
        (加えて未だ腹に収まりかねぬ事柄がある)
        ────はは……酷い口振りだ。化粧道具の良し悪しや、余計なお世話の恋話しなどでなく、えらく物騒だ。
        これじゃあまるで自分は聖杯戦争のマスターだとでも言うような語調じゃないか、アイリス・フィヨルド?
        敵地へ侵入って身に危機がどうのと慇懃に忠告してやる口は持たない。俺が訊きたいのはたった一つだ。
        なぜ貴様は聖杯戦争(こんなところ)に居る。答えろ。……他ならぬ“あいつ”の娘が、何故だ。
        (眼が血走って、怒気の気焔がその奥に燃える。“もしも”良からぬ答えが反れば、双眸に秘められた月の狂気が彼女へ向く)
        -- キャスター 2012-05-21 (月) 23:37:59
      • (キャスターの事を私は知らない……けれど、彼の私を見る目が酷く驚いているのを察するに、私から父や母の面影を感じとったのだろう)
        (物騒だ、というからには尚更)
         
        (マスターだとでも言うような語調じゃないかと問われても答えない)
        (代りに、キャスターの方を微笑みながらこれみよがしに両手を絡め頬づえをつく)
        (手袋も嵌められていない手、両手を絡めたことで姫袖から露わになる腕にも、令呪の聖痕は見られない)
        ……こんなところに?(眉を歪めて笑みにも等しい表情を作れば)
        ねぇ……キャスター……?貴方勘違いしていないかしら
        聖杯のマスターの資格は聖痕が浮かび それが令呪となるのがそうでしょう?
        (参加するつもりで来た訳では無くてよ?と、焦燥感の見てとれるキャスターを煽るように答えて)
         
        ……やだ 怖い。冗談よ
        ”年下の少女に凄むのも、いい大人の男が恥ずかしいだろう……?”
        (母の口調と声を少しだけ真似る……黒魔女の生き写しがそこに現れて)
         
        何故居るかと答えれば、令呪から選ばれた者なのは確か……だわ。貴方達からは見えないでしょうけれど
        (キャスターの血走る眼から狂気を感じてはぐらかす……迂闊に発言すると、それはまるで狼や狂犬が今すぐにでも喉元に喰らいつくようで……) -- アイリス 2012-05-21 (月) 23:56:59
      • …あまり我が英霊をおちょくるのはやめて頂きたい
        何より、迂闊に手を出せばそこの狂犬、手を食いちぎるだけでは済まないので(唐突に、会話に割って入る)
        にしても…あのアーチャーの時に感じた違和感、彼だけかと思いましたが…貴方もだったのですね。
        目的は何ですか、同盟?服従?まさか正義の味方を気取るつもりでは、無いでしょうな?
        (狂戦士の気配を警戒しつつも、アイリスへの敵意は緩めない。)
        -- シャンゴ 2012-05-22 (火) 00:05:49
      • (靴先が地面を敲く。規則的なリズムは孤児院へ異様な響きを奏でてゆく。曲のお題目は見て取れるように焦躁だ)
        (蝋の白さを持った指先が絡むと、細く繊細な手首が露出する。わざと見せ付けているのは明白で、そこに令呪は破片すら無い)
        (空転する俺を見て揶揄ったのか、無邪気さすら含んだ微かな笑みが向けられた)
        (世間話めいた令呪談義は緩慢としている。投げ掛けた言葉からすり抜けられたのを感じて、苛立ちは深まった)
        (不愉快を隠そうともせずに、沈黙の底に唸り声を上げる。獣のそれに等しい、禍々しい敵意を“そこ”に潜ませる)
        (性悪この上無く、悪びれを匂わせもせず母君の口調を真似る。成程母と子だ、鋳型から抜き出した様に全く似通っている)
        (最悪に不愉快だ。俺が過去に感じていたものや記憶を冒涜された気すらあるのだ。歯を食いしばる)

        ははは、あは、は!(前触れもなく、感情が微塵もない笑いを散らす)そうじゃないだろう?
        願いだ。願い。渇望してやまない、10人を蹴落として踏み躙っても構わないぐらい、形振り構わない願いがあるんだろう?
        (眼球が震えながらアイリスを視る。投げつけられる、血に塗れた言葉。滲む狂気が、グロテスクな香りを声に乗せる)
        アイリス・フィヨルド。いい事を教えてやる。夕刻に陽が半分沈む頃、雁が一列に並んで翔ぶのを見たらそれを余さず数えろ。
        それから目を瞑ってその回数ぶん願いを頭で唱えるんだ。目を開いた時にまだ雁の群れが飛んでるならその願いは成就する。
        (愉悦に微笑み、おまじないを語る。心底楽しそうな表情は、それを言い終わった後に崩れて、先程よりも暗澹としたものになる)
        ……身を引け、身を引け、身を引け。身を引けよ。言わないなら知らない。さっさと家へ尻尾巻いて帰れ。
        なんで。こんなところに居るんだ。どうしてここにいる。クソッ。“正義のために”なんて理由じゃないんだろう。
        (「そんなのは前衛的な着物の傾奇者だけで充分だ」己が経験した聖杯の優勝者を思い浮かべ、首を振る)
        なんでこんなところに来た。クソッ、クソッ。あいつの娘なんだろう、お前……。莫迦が、クソッ、最悪だ……。最悪の気分だ。
        (精神の均衡は崩落し、情緒不安定の言動をし始める。糾弾は嘆きに変わり、向けられていた敵意は失くなって、頭を抱えた)
        (主人など殆ど気に留めることなく、ただ、何かへ向かって悲嘆を重ねていた)
        -- キャスター 2012-05-22 (火) 00:36:19
      • ……失礼(静かな口調で話せば表情は沈み、いつもの彼女のものへと戻る)
        みたいね……とても鋭い目をしているわ。今にも襲いかからんばかりに……
        (会話に割って入られると、シャンゴの方へと目を移して)
        ……ああ。やはり気付いていたのね
        そう、使い魔を送って偵察していたの……そのマスターが私よ
        (敵も魔術師、気取られている可能性は想定内だったので特に驚いた素振りもなく、淡々と語ってゆく)
         
        ……目的? 正義の味方……?まさか
        (嘲笑するかの様な笑みで)……寧ろ正義側か否かと問われれば、貴方達の性質の方に近いものがあるわ
        (敵意の感じる瞳をシャンゴから受けながら答える)
        ……今回は、単にお話しをしに来ただけよ……本当に。時にはこうして、お喋りすることも必要でしょう?
        (その発言を裏付けるかのように、バーサーカーの気配は無い……しかしそれは彼女のサーヴァントがどのクラスか……逆に特定は 今は出来そうにないけれど)
         
         
        (キャスターの血走った目と"フィヨルド"の名を聞いた動揺と焦燥感に狂気と今すぐ噛みつかれ兼ねない様子から業とはぐらかす様に……そしてそこには煽りを交えて放り投げれば)
        (ふつふつと、ふつふつと 彼の中に秘められている混沌とした感情がどろりと混ざり合い溢れかねない危険の色を混じり初めてきている)
        (これ以上ふざけた返答をするのは自身を、自ら危機へと 破滅へと進みかねない愚かしい行為と同様だろう)
        (返答次第では"死"がすぐ自分を抱擁するかのような状況に緊張と手にはうっすらと汗が滲む)
        (けれど、同時に彼女も忌々しそうにキャスターを睨みつけ返して答える)
         
        そぉぉ……おまじない……ねぇぇ……東洋の文字で書けば、おまじないもお呪いだわね……(は、と嘲笑を交えて返すと苛立ちを抑えきれない様子で)
        どうして、"フィヨルド"の娘が って……
        (吐き捨てるかのように。視線に冷たさが加わって 狂犬に氷柱の突き刺すような厳しい目を向ける)
        (恐らくはきっと……彼も、父の事を大切な友人として過ごしてくれた人なのだろう。だからこそ私の事を許せないし、何故聖杯に関わっているのかを問うのだろう)
        (けれど……それが私には実に不愉快で)
        あんたの事なんて知らないけど……! あんたがパパの事を良く思っていたのくらいは察せられるけど!
        ……私は、アイツの事が 大っきらいなの!!
        (キャスターを忌々しそうに煽った、先程の返答が 全てそこには含まれていて)
        あんた達はパパの事を好きだったかもしれないけれど、私は邪魔だとすら感じているの!
        フィヨルドの名を出せば……!そうよ!
        ねぇ……私はアイツの娘と同時に、母の娘でもあんのよ……
        私は三つ子の中で、限りなく"マキャフリーの血"が濃いの……
        目的と理由はそれよ
        (敵同士だからか、こちらを見る彼の狂気がおぞましいからか……全ては答えないものの)
        (生前、両親と関わりのある彼だからこそ察せられると思い、敢えて伏せたのだ)
        (マキャフリーの家に関わりは薄いとはいえ……キャスターには十分察せられただろう)
        (彼女の願っている事は、呪術や魔術の奥義に関するものだ と) -- アイリス 2012-05-22 (火) 00:58:05
      • アイリスさん…でしたかな?(アイリスの本心の吐露に、付け入る隙を見たのか、不意に巨漢が声をかける)
        同じ魔術師として、貴方が聖杯にそれを求める気持ちは分かります…それはもう、痛いほどに。
        ですが、私も参加者である以上叶えたい願いは持っていますし、それを譲る気はありません。
        だが、貴方を見ていると…まるで、かつて魔の、呪いの術の奥義を求めんと志に燃えていた、自分を思い出してしまいましてな…
        嘘だ、男には闘争こそ唯一絶対の生き甲斐であり、魔術も一般の者が不老不死や、根源へ至る事を目標とするのに対し)
        (男の中では、あくまで戦いの一手段という認識しかない。強者との戦いのため、研纉こそ積んでいるものの、その奥義を究めようなどとは一度たりとて、無い)
        だが貴方に生き残って欲しいのも事実、どうでしょう、これは私の勝手なお願いですが…
        他の参加者を倒すまでは、一時的に同盟を組んではくれないでしょうか?
        勿論、無理に、とは言いません。ただ、こちらには豊富な魔力供給手段があります。私としても、後衛のエキスパートたるキャスターに、頼れる前衛の仲間が増えるのはありがたいの一言に尽きるので…
        -- シャンゴ 2012-05-22 (火) 01:13:34
      • (氷の棘を深々と神経まで突き刺されようが、こちらの双眸は一つも動かない。どころか、敵愾心を余計に増長させる)
        (言い分を静聴して、噛み砕いて呑み込む。そのまま反吐にしてぶち撒けてやりたいぐらいに気に食わないご高説だ)
        はっ……!(言い争う火種を踏み消し、鼻で嘲り嗤う。レッテルを貼り付けて笑いものにしてやる趣味は無い)
        (けれどそんなのは父親に対する反抗心の一言で片付く。だから、二の句も継がずに嘲笑を飛ばしたのだ)
        (呪術魔術の奥義ならば、15フィート円描いて悪魔召喚でもすればよろしい。欲求を把握するも、理解には及ばない)
        (そうこうと思索するうちに主人が口を挟んだ。この語調は識っている。論理的に釈き解かす“演技”の匂いだ)
        (成り行きを見守る。同盟を締結しようが知るものか。この娘が“いたいめ”見て現実を知る一助となるだけだろうよ)
        -- キャスター 2012-05-22 (火) 01:32:49
      • ……何か?
        (再びシャンゴの方へと目を向ける)……そう
        (彼の願いは知らないが、聖杯参加者ということはそれだけで強く渇望する願いを持っている事だけは理解できる)
        でしょうね……貴方の願いは知らないけれど……私も譲る気は無いのは同じよ
        (丁寧ではあるが……いささか慇懃無礼なものが見え隠れする)
        (わざとらしいと思うのは、私がこの孤児院の事を ほんの少しとはいえ調べたことと、彼の周囲の……悪行を積んだ証である黒いカルマと纏うオーラのせいだろうか)
        (本位の底知れぬ、薄気味悪さだけは感じとれる。何を言いたいのか、と思いながら話に耳を傾ければ)
        ……同盟?
        (眉を顰めながらも彼の提案に 少し考えて)
        ……そう、ね(確かに。ずっと味方では居られないだろうが、誰かと手を組むのは効率が良いだろう)
        (ましてや、先に交流を交えた他のマスターとはお互いに相容れられる人なぞほとんど居ない)
        (魔力の言葉に顔色が僅かばかりだが変化する……そう。自身のサーヴァントがいかに強力とはいえ……魔力の消費が重すぎるのだ)
        (また、サーヴァント同士に得手不得手もあるのも確か。キャスターが魔術抵抗力の高いランサー等を苦手とするように、バーサーカーにも……) 考えておくわ……
        (短く返事だけを済ませると、立ちあがる)
        (他に組める相手も存在しないだろう……思わぬ幸運ではある)
        (けれど、信頼しきれないのも確か)
        (隙を見せれば、自分が窮地にすぐに追い込まれるだろう……)
         
        (帰ろうとして、玄関の扉へ向かいながら狂犬の方へと目を移す)
        (私の事を気に入らない眼と嘲笑混じりの嗤うのを受けながら扉を開けようと手を伸ばす)
        (邪悪な狂気のマスターと、其れに相応しい漆黒の狂犬のサーヴァントだと思っていた……)
        (けれど……彼から何処か哀愁と不運ななれの果ての狂気の様な……呪術に手を染めた特有の黒ではない、何かを感じるのは何故だろう……)
        (彼と父は、生前どのような繋がりを持ち)
        (彼は父に、生前どの様な感情を抱いていたのだろうかと思いながら……孤児院を後にした) -- アイリス 2012-05-22 (火) 02:00:35
      • (去っていくアイリスを止めようともせず、ただ一言だけ)
        ええ、何れ、共に闘える事を…楽しみにお待ちしていますよ(そう告げると、キャスターの方へ振り返りもせず)
        キャスター、どのような手段を用いても構いません、あの小娘をこちら側に引き入れなさい、アレには魔道へ堕ちる見込みがあります…
        何より、使える手駒は多いに越した事は無いですからね。
        (それだけ告げると、自身の部屋へと戻っていく)
        -- シャンゴ 2012-05-22 (火) 02:12:06
      • (崖の底で蹲っている獣に、転落しかけた少女の手を引き救い上げる事など出来無い。出来て同類へ引き摺り込めるかどうかだ)
        (かれどもそれに甘んじて夜行性の野獣に零落れる気もさらさら無い。精誠、突っ撥ねて現実を思い知らせてやる)
        (「俺にそんな資格など、無いのだろうな」奇妙に冷静な頭がそんな事を考えた。余りにも当然で、議論の余地も無い)
        (先程アイリス・フィヨルドにかけた言葉を思い出す。「何故こんな処に居る?」自分を棚に上げて偉ぶった言い様だ)
        (妻が死んだ瞬間から少し後の記憶が黄泉返る。“あいつ”俺を引留めてくれていたような気がする)
        (その顛末が“こう”なのだから笑い話にもなりゃしない。兎に角、俺に思い遣る資格が無いのは確かだ)
        了解した。(けれど口先だけでこう答え、次に来れば恐怖を根付かせて自分を省みさせてやろうと予定立てをした)
        (癪なのだ。この、冷徹で醜悪な、人の悪意が醸しだす魔物のような男に従うのが癪なのだ)
        (そのまま姿を消し、また、内省に戻る。もう少しで新月が来る)
        -- キャスター 2012-05-22 (火) 23:33:00
  • 夜、星も月も雲に隠れ、街灯の明かりだけが光源となった宵闇の時間…
    日の光を疎んじる闇の卷族達が動き始める時の中
    闇に紛れる様に、巨躯の男はスラムの一画、朽ちた噴水の縁に腰かけていた。
    -- 2012-05-20 (日) 00:06:26
    • <<旦那〜、こっちは準備完了っすよ〜>>
      不意に、男の頭に響く青年の声。続く様に
      <<終わった、よ…>>
      <<こちらも完了した。問題ない。>>
      <<こっちも終わったぜ。しっかし…アンタらしくねえなあコレ…>>
      念話の中に、かつて召喚の儀に立ち会ったあの青年の声が聞こえる。
      「時には大胆になることも必要という事ですよ。年中ド派手な貴方にはわかりませんでしょうが。」
      念話で飛んでくる青年の罵詈雑言は無視し、すっくと立ち上がり、噴水から一歩前へ。
      -- 2012-05-20 (日) 00:27:03
      • 夜の闇に紛れ見えなかったが、噴水…広場には、血で描かれた、巨大な魔法陣が展開されている。
        その付近には、あの地下祭壇での惨劇を逃れた信者や、スラムの住人、付近の村や町から攫ってきた者達の、亡骸が山積みとなっていた。
        念話を飛ばした者達の付近にも、同様に無数の死体があちこちで山と積まれてる。
        -- 2012-05-20 (日) 00:34:06
      • 「今晩は、『屍山の王』さん。いやー、昔の君を思い出すね。」
        気づけば背後に銀髪の青年が立っている。自身と同じく闇を切り取った様な、黒い衣装を纏ったその人物は
        「…懐かしい名前ですな、マスター・ケイオス。」
        混沌の称号を持つ銀髪の青年は、にこやかに続ける。
        「『屍山の王シャンゴ』と言えば、暗黒大陸じゃ割と有名だからね。
        敵対する部族を悉く皆殺しにして、自身の部族を勝利に導き…その僅か1年後に、僕等と組み自らの手でその国を滅ぼし
        それでも飽き足らずあちこちの戦争に加担した狂乱の戦士。
        あれだけ戦いに飢えてた君が、今じゃこんなに丸くなっちゃって…時の流れは偉大だね。」
        -- 2012-05-20 (日) 00:46:51
      • 茶化す様に話すケイオスに対し、巨漢は懐かしむ様に遠くを眺める。
        「…あの頃は楽しかった。闘争とそれに付随する、ありとあらゆるものが私の血を、肉を、魂を
        震わせてくれました…いつからでしょうな、戦いを、純粋に楽しめなくなったのは。
        より激しい闘争を、より強い者との戦いを。それだけを望みグリードへと加わり、戦技と呪術に加え魔術まで
        学んだというのに…強くなり過ぎたが故に、次第に、私の心を躍らせる様な兵はいなくなってしまった…ですが」
        -- シャンゴ 2012-05-20 (日) 01:05:28
      • 巨漢は、凶悪な笑みを誰へともなく向ける。
        「キャスターという最高の武器を手に入れ、聖杯戦争に参加した今
        久々に、血沸き肉躍る闘争を楽しめるようになりましたよ。
        これ程の愉悦は、今まで味わった事もありません…、貴方とカープには、感謝せねばなりませんね
        しかし、私はこれで満足する気はありません…」

        突如、両の手へ魔力を集めた巨漢が、魔法陣にその双掌を叩きつける。
        「私は聖杯に勝ち、望むのです。終わらぬ戦いを、神魔霊獣全てが入り乱れ
        生も死もない、果ての無い修羅界の様な闘争を…」
        -- 2012-05-20 (日) 01:17:46
      • 男は陣に魔力を通し始める、魔力は広場を中心に、彼の仲間が描いていった陣をなぞり…最終的にスラムの一区画を覆ってしまう。
        「はは、一区画丸々魔法陣に、か…。何を呼ぶ気だい?」
        「呼ぶのではありません、これは準備です…。そう、闘争という、宴のね」
        -- 2012-05-20 (日) 01:29:19
      • 魔の力が、スラム中に満ちる。犠牲となった者達を、赤光する魔法陣は引き寄せ、己が陣の一部として取り込んでいく
        死体を取り込む度に、呪文が終わりに近づくにつれ、光りはより強く、激しくなる…そして

        …万物の創造と破壊の力よ…母なる闇よ…我と我が僕に力を…
        男が最後の呪文を唱えた瞬間、一際強い赤光が放たれたと同時、魔法陣は姿を消す。
        一見、何も変わっていないスラムの一画…だが、魔力のある者なら分かるだろう、この区画に漂う魔力が
        異常なまでに、炎と闇の属性に偏っているのを。
        -- 2012-05-20 (日) 01:33:18
      • そして陣の中心へと尋常ではない魔力が集中しているのを。
        男が行ったのは、召喚では無く、極端に属性の偏った力場の形成と、魔力の流れを意図的に集中させる事。
        今この区画は、最も炎と、闇の魔術を扱うのに適した場となっている。
        そして、意図的に循環をねじ曲げられ、陣の中心に流れる魔力たるや、大魔術を幾ら使おうと尽きぬ程の量だ。
        「…一体何をする気だい、これ。一区画丸毎吹き飛ばすのかな?」
        ケイオスの問いかけに、巨漢は嗤いながら、答える。
        「…戦争ですよ、最高の、とびっきりの…ね」
        いつの間にか、満月がその顔を覗かせ、狂気の光を地上へと注いでいる。闘争の狂気に取り憑かれた、漆黒の悪魔は…満足げに笑っていた。
        -- 2012-05-20 (日) 02:00:12
  • その地下におぞましき秘密を抱える孤児院は、丘の上にひっそりと佇んでいる。
    この場所には、シャンゴ以前の司祭が築いた、一目見ただけではわからない幾重にも張り巡らされた、人避けや不可視化、カモフラージュの結界が張られ
    更に視覚的に見辛い位置にある、秘密の入り口や、対魔術師のための近代技術を用いた隠し扉や
    その逆の魔術師にしかわからない仕掛けの施された入口が数か所ある
    だが、サーヴァントと化したウィリアム…アーチャーになら、その視覚の自然に隠された、秘密の入り口に気づけるだろう。
    -- 2012-05-13 (日) 23:36:48
    • (ずいぶんと手の込んだ防壁だった。物理的なものもあるが、このスラムのはずれの丘)
      (孤児院を囲むようにそれらは張り巡らされ…意識さえすれば。逆に不自然に思えるほどにそれらは列挙されていた)
      (今回単独行動となったのもこの要因が大きい。これら障壁、防壁、魔術や技巧を凝らした仕掛けは複数でいればいるほど仕掛けた人間に気づかれやすい)
      (そうして観察していった結果が…汚水、下水道に繋がる廃水道だった。)
      (誰も来ない場所、誰もが避けたがる場所こそまさにその入り口に相応しい)
      (この汚水に混ざったゴミを止めるようにある円状の鉄格子を調べれば解ることだが、つい最近まで人が動かしていた痕跡があった)
      (静かにゆっくりとそれを外すと、暗黒と臭気に満ちた世界へ身を屈め足を踏み入れていく)
      (実体化したその左手にはライトが、右手には消音機つきの44マグナム拳銃が握られていた) -- アーチャー 2012-05-13 (日) 23:53:04
      • (糞尿の乾いた臭気が強く、肺が焼け爛れるほど芳醇な量のアンモニアが空気中に漂っている)
        (星月の光さえ望めない、街中にある日陰の中でも特に闇へ近い場所であり、不気味と一言で表すには足りない醜悪な不快が満ちていた)
        (溝鼠も避けて通るような、旧い石造りの下水溝である。ライトで照らすと、名状しがたい蟲がそこから逃げてゆく)
        (右折する曲がり角があり、俄に胸元へ這い上がるような違和感が湧く。見かけは普通であるのに、その先に“何かある”と思わせてやまない)
        (目星をつけていたものが見つかるのと同時期に、どこかから睨みを感じる。それは疑いようもない、剥き出しの殺意だった)
        -- キャスター 2012-05-14 (月) 00:11:08
      • (実体化の才に顔に撒きつけたアフガンストール、シュマグ越しにでも解る臭気)
        (その厳しい刺激臭は肺を焼くほどであるが。この奥先から漂う親しみ深い気配を感じれば、気にはならなくなる)
        (名状しがたい蟲も、矮小な生物も光を避けて散っていく。おそらくここに光が入ってきたのは常ではないのだろう)
        (しばらく進み、行き当たった曲がり角。魔術的なものか…奥底から沸いてくるような気配。違和感…闇か。だが逆に)
        (読みがあたりであったことを告げている。ただ偵察に来たものならばこのまま後ずさりもどればよし…いや、この殺意が喰らい付かんと待ち受けている)
        (何にせよ進むために来たのだ。些か不利な場であるため、できれば開けた場所で落ち合いたいものだが。と。回転弾層式のマグナム拳銃とライトをその先に向け進む。殺意は近い) -- アーチャー 2012-05-14 (月) 00:30:11
      • (儀式の準備が着々と進む広間、他の事については大体キャスターに説明したが、ここと、自身の行っている事については)
        (未だ何の説明もしていない、それは単に、彼の本来の性質を知っているからである。)
        (他人のために剣を振るう様な人物…今でこそ堕ちてしまったが、時折見せるその本来の性根は、未だ彼が闇へ染まりきっていない事を証明している)
        (故に、まだここを教えるのは早いと感じたのだ、彼が完全に堕落しきったその時にこそ、ここと、供給する魔力の真実を教えるべきだと考え)
        …む?(ふと、一瞬感じる違和感。普段の彼ならば、決壊が破られ侵入者を許した事を見抜くが)
        (祭事の熱狂に僅かばかり浮かされた理性と、かつて、前司祭が殺された一度の例外を覗き、一度も侵入を許さなかった結界への安心感に、判断を誤ってしまう)
        -- シャンゴ 2012-05-14 (月) 00:32:17
      • (手入れも補修もなく朽ち果てかけた壁に、ただ汚水が流動し蠢く音だけがしている。首吊り死体から垂れ流される汚物を連想させる)
        (煮詰められた死の気配があり、肌に感じ取れるのは鳴動する“世界”の響き。他ならない、異様な魔導の気配である)
        (曲がり角を抜けた先にはまた水路が続いている。果ては、深い闇の帳に覆い隠されて見通す事もできない)
        (さあ、一歩その先に踏み出せば、形なく渦巻いていた強烈な殺意が、一つの形となって創りだされてゆく)
        (闇の底へ棲まう、吠え声で死を運ぶもの。そして、その影は“守護”の精神と役目を仰せつかり、今それを果たそうとしている)
        (ライトを持つアーチャーの背後、即ち、光源によりてその逆方へ産み出された影の中から、飛び出してくる、巨大な黒犬が!)
        GUAAAAAAAAAAOOOOOOOOOOAAAHAAHHAH!!!!>(闇に混ざり、爪を剥き出しにして、飛び掛る!)
        -- キャスター 2012-05-14 (月) 00:49:55
      • (孤児院に向けて魔力が集中している。いや近づくにつれて気配が強くなっているのか)
        (やはり、この先にある。邪教か何かは知らんがこの時期に存在していることは偶然よりも必然を感じた)
        (そうした気配を先に、乾いた水路を進んでいくも、強烈な殺意が凝固したような気配が闇に垂らされた)
         
        (咆哮!)
         
        (前方、いや背後から迫る猛獣の雄たけび)
        (振り向きざまに逆手へと持っていた軍用ライトを気配に叩き付けるように振るう!)
         
        (ケルベロスか。オルトロス…?いいやバーゲスト、ブラックドッグか!親しく近しいフォークロアが古い記憶から呼び起こされる)
        (墓地の番犬、死を守る黒き妖犬…孤児院の近くにはあまりにも似つかわしくない走狗が現れたのだ)
        (最も今、ここの場所がただの児童のための施設だとは微塵も思っていないが) -- アーチャー 2012-05-14 (月) 01:04:02
      • (打撃に弾かれ通路に転がる黒妖犬は、そのうちに体勢を立て直して四肢で立つ。暗中でも顕著に見える、青いギラつく瞳が睨む)
        (先制の襲撃こそ成らなかった。されど、そこに黒犬が控えていたのは撃退の為ではなく、守衛の為であり、)
        (主人の棲家を狙う不届きへ、巨大な咆哮を上げて飛び掛る事であり、それは、控えていた主人にも届いていて)

        そのまま牽制を続けろ、“墓守りグリム”。(闇に隠れた水路の果てから、幽かに命令の声が響いた)
        (常人ならば微風の音ほどにも聞こえない音量の、静かで意志ある命令は墓守りグリムに届き、命令を遂行する)
        (墓守りグリムは影に潜り、その姿を消した。もう既に手の内は“見せている”。影、地の底から“かれ”は出ずるのだ)

        (そしてまた、しんとする。ほんの一瞬、何事も無かったかのような清寂が訪れて、それは風切り音に打ち破られた)
        (アーチャーの光源、ライトを目印にして射掛けられるは、3本の矢。アーチャーの腹を串刺しにするため、闇の中から翔ぶ!!)
        -- キャスター 2012-05-14 (月) 01:17:00
      • (見事に警戒装置を踏んだか…だがここで出るということは、近い)
        (そう思わせるに充分な経路ではある。事実強力な気配は近い)
        (ならばここで犬とじゃれ合うのも一興だが生憎犬は嫌いであるからして)
         
        (闇と静寂が再びその無音を打ち破ったものは剣戟、いや弓の音)
        (アーチャーが弓を仕掛けられるとは滑稽な話だがそういう冗談を楽しむ時間ではない)
        (あの黒妖犬は闇に潜みこちらを伺いいつぞ首を掻き切ろうかと待ちわびているのだ)
        (決して広くはないため水路の壁にぶち当たるように避ける形となった)
        (あの黒き番犬の出現が無ければ、意識を向けることに遅れが出ていただろう)
         
        (この闇の中では、防衛ということも、地の利も闇の世界の黒き番犬が有利)
        (明かりは異物であり目印となる。すぐさまライトの明かりとライト自身も消すと背を向けるように駆け出した)
        (応戦することも可能だろう。だが向こうは闇の世界の支配者。こちらの発砲時に生じる火薬の光が馬鹿みたく居場所を教えてしまう)
        (物音を立ててでも走る先はあの強烈な気配のある場所へ)
        (もちろんただ逃げるだけではない。無防備な背を晒して逃げることなどは戦術的撤退とはいえない)
        (懐から取り出しピンを引き抜き…床を転がすように投げた筒状のそれは、閃光音響手榴弾)
        (炸裂すれば闇を押しのけるようにまばゆい光が水路を照らし、けたたましい音が水路に響くだろう)
        (ここまで来たからこそ思い切りよく使える手段でもあった) -- アーチャー 2012-05-14 (月) 01:39:20
      • (矢を番え随らに考えていたのは、招かれざる訪問者についてだ。余計な好奇心出して殺されに来た阿呆であるかもしれない)
        (けれど“墓守りグリム”を棒術の一戟で弾く膂力に、偽装とプロテクトを破り侵入する手管といい、並の者とは思えない)
        (鬣と蹄と尻尾が見えれば馬だと予測できるように、その全景を見なくとも正体は判然とする)
        (相手は聖杯戦争の参加者だ。墓守りグリムの反応からして単独であるらしい。単独行動持ちのサーヴァントであれば厄介だ)
        (闇に紛れて展開している《魔の世より来る審判の濁流》(デリュージュ)の領域内から、相手は僅かに外れている)

        (気付き先手に射掛けた矢も、牽制以上の効果は発揮しなかった。然し、グリムと挟撃すれば次は無い)
        ……? 唯の、斥候だった、のか?(されど、背を晒して逃げる。光源も無い以上、頼りはグリムの送る情報だ)
        (侵入者が向かう先は、グリムが潜む闇である。グリムに合わせれば、直ぐ様奴は圧殺されて────)
        !?!(轟音が闇を消し飛ばした。控えていたグリムの感覚が途切れるのを感じる。巨大な黒犬が蹲っている)
        (耳にまだ残響する、音の残滓を振り払いながら、俄かに湧いて出た焦躁を押さえて、次の手を思索し始めた)
        …………!! 墓守りグリムの耳と眼がやられた。気絶はしてないが、光でダメージも貰っている。
        爆発魔術か何かか!? ……。(未だ闇の中に潜めているうちに、新しい矢を番えながら、宝具を発動させる)
        《馥郁たる手向けの香華》(セイヴァリー・ウィンズ)……。(自らの周囲30mにへ香魔領域を展開する。オリバヌムの香りが満ちる)
        -- キャスター 2012-05-14 (月) 02:00:50
      • (やはり、隙はできたか。と水路を駆けながら思い、次につなげる)
        (大音響と閃光が一時的にでも支配したこの闇は、闇の住人にとって相当面食らったものだろう)
        (自らはヘッドセット…人の声は聞こえていても、銃声などある一定の耳を痛めかねない音をシャットダウンする機能を持つ現代通信器具)
        (それらに守られているというのもあり、確かに水路を駆けることができた)
        (しかし、徐々にこの水路を満たす気配、香りの気配。ここは暇なマダムの社交場ではない)
        (汚臭と腐臭が満ちた漆黒の世界…そこに発生し、満たしつつある香の気配は明らかに異常だ)
        (何者がここの番犬か、弓騎士、魔術師?暗殺者…?)
        (思考しつつも近づきつつある魔力の気配、その流れを先に見ると水路の石壁から微かに漏れた明かり)
         
        (そこか!)
         
          (焦燥もある。まったく得体の知れない追跡者が闇の中から、英霊と対峙しうる存在がいるのだ)
        (些か過剰な火力でもある66m口径の使い捨て対戦車ロケット弾M72ロケットランチャーを呼び出し)
        (シャコ、と展開。駆けつつも石壁に向けて放つ!)
        (轟音と爆発が響く中、より大きくなった明かりに向けて身を投げ出した!) -- アーチャー 2012-05-14 (月) 02:18:13
      • なっ…!!?(その驚愕の表情は恐らく、この聖杯戦争で初めて男が見せた歓喜以外の表情であった)
        (それほどまでに、この巨漢が受けた衝撃は大きかったのだろう。思わず祝詞を中断し、突如侵入してきた招かれざる客人へ視線を向ける)
        (アーチャーの眼前に広がるのは、さながら神の怒りにより滅ぼされた、退廃の都市ソドムとゴモラを再現させたような光景。)
        (麻薬の効果のある香の匂いが広間には漂い、そこかしこで裸の男女が交わっている。別のある者は下品に手づかみで机に並べられた御馳走を食い漁っている)
        (そして祭壇に目をやれば、そこには巨大な悪魔の青銅像と、その入口…覗き口から、微かに伺える)
        (恐怖と絶望に怯える子供達の姿)
        …油断していましたよ、まさか…ここへ侵入者が来るなどとは…ギルモア前司祭の時では、考えられなかった事態ですからね…(即座に冷静さを取り戻した男は、全身の魔術式を発動させ臨戦態勢に、信者達は一瞬の呆然の後、我先にと隠し扉から逃げ出していく)
        -- シャンゴ 2012-05-14 (月) 02:27:37
      • (「儀式の参列を外れて欲しい」とは主人の談である。故に、幾重の魔術城壁を敷いたこの水道にて構えていたのだ)
        (墓守りグリムを遊ばせて、独り物思いに耽る程度の心地だった。けれど、実際はどうだ。不審者は見事“侵入者”と成ったのだ)
        (予想の埒外にある出来事なれど、俺の“不運”に於いてどんな事故が起ころうと不可思議である筈が無い)
        (檸檬に似て香木味のある、清めの純白が香る。対応が随分後手だがどうにもならぬではない。領域に踏み込んだ以上圧殺あるのみだ)

        (弓に番えた矢へ香華が吸い込まれ、百光が舞う。光の粒が水面に反射する太陽もかくやというほど氾濫を始める)
        しっとりした絹のような空気が満ちた午後の事 南中した太陽がそれを暖める 心よく微睡む日々
        ────刹那 降り注ぐ陽光が全て矢に変わる 光の速さで突き刺さる

        打て ライトアロー

        (飛び込む侵入者の背を、輝く一閃が貫こうとし、壁を叩き割ったミサイルの爆炎を突き破り翔んでゆく)

        (そのまま、墓守りグリムを引き連れて水路を駆ける。あの侵入者の放った攻撃の規模に感嘆としながらだ)
        (自分が魔術師でなければ、相手を派手好きの魔術師と推測してしまいそうになるほどの、惚れ惚れする技量である)
        (そして、魔の裂け目から儀式の間へ、追って飛び込む。────ここで視る光景を予め知れたのなら、決して、ここへ来はしなかった)
        (最初に眼についたのは怯えた子供達、ソレ以外何も目に入らない。爆炎に怯えたふうでもないのだ)
        (焦躁する。突然に、──知ってはいけない、何かが、ドス黒いタールのように、心へこびり付く。己が主人を見定めた)
        …………何を、やって、いるんだ…………これは。…………????
        -- キャスター 2012-05-15 (火) 00:05:50
      • (爆炎、そして光。儀式の魔力の胎動の根源がある場所へ飛び込んだはいいものの)
        (後ろから貫かれる感覚、いや事実。ボディアーマーの背中側に挿入していたセラミックプレートが)
        (貫かれていた。本来小口径でも威力の高いAK47等の弾の直撃も防ぐレベルの厚さであっても、その一矢は貫く一条の光)
        (所謂脊髄には達してはいないものの、光速で撃たれた矢は前哨戦程度の戦いで負うに痛いダメージだった)
        (止血するほどの時間もなく、爆炎と光から転がりこんだ先はまさにソドムとゴモラ、業の世界を煮詰めたような混沌)
        (原初の人間の業罪がそこに全て詰まっていた)
        (床を転がり起き上がったその先では混乱が始まり、人々は逃げ出していた)
         
        『創世記 19章 25節』
        『これらの町と、全ての低地と、その町々の全ての住民と、その地に生えているものを、ことごとく滅ぼされた』
         
        (破壊された石壁の瓦礫に体を打ち付けられ、悶え苦しむ裸の男に44口径マグナム弾が打ち込まれ、近くでなんとか逃げようとしている男女もまた鉄と火を受けて内蔵を吐き出した)
        (ここにいる儀式に加わっている連中はおそらく目的と定めた、この行いを取り仕切っているものではないだろう)
        (で、あるが鉄と火を打ち込む。リボルバー拳銃は既に手になく、その手には7.62mm軽機関銃M60が唸りをあげて)
        (そこらにいる逃げまどうものら、隠し扉へと走るものらをなぞるように炎と鉄の牙を吐き出していく)
        (なぜならば、確信めいたものであるが。サーヴァントのための、聖杯戦争に加わるもののための…この儀式)
        (それに加わるもののにどうなるか知らしめるためと。敵である陣営のものらを始末するため)
        (頭領、おそらく自身を背から狙ったものも…サーヴァント。既に遭遇したものら、聞いたものらから憶測すると…まさか、キャスターか)
        (ならば1人、戦う姿勢を見せた男、あの巨漢のものがマスターだろうか…)
         
         
        (そしてそんな戦場と化したこの場所で。悪魔の像から覗く怯えた子供達の目は、変わりつつあった)
        (今から殺される、なぜ殺されなければいけないのか、どうして焼かれなければいけないの?誰か助けてくださいと)
        (悪魔の口の中で祈っていた…彼らの前に突如現れた者たち)
        (儀式をブチ壊した2人の乱入者。俄かに移りつつある瞳、祈りは届いたと…)
        (邪悪を裁き、正義を謳う英雄が現れたのだと。子供達の希望に満ちた瞳が2人に向けられ始めていた) -- アーチャー 2012-05-15 (火) 00:47:27
      • (突然の乱入者は、見る間に資金の提供者でもある信者達を、次々と虚空から取り寄せた銃器で薙ぎ倒していく。)
        これはまた、何という…(顔を手で押さえる巨漢、それは僅かばかりの良心が、己を教祖と敬う信者達を、屠殺場の豚の様に殺す敵への怒りからか)

        (答えは 否 である)

        まさか、侵入者がサーヴァントとは…くくく、私とした事が…ほんのひと時とはいえ、忘れていましたよ
        (男の顔は亀裂の様な笑みを浮かべ…その様子は、それこそ彼が崇める悪魔の様であった)
        今は、戦争の時でしたね(虚空から武器を召喚する、そのような芸当をこれ程の短時間に、多彩かつ大量に出来る存在)
        (加えて今の自分を嗅ぎ回る存在などサーヴァントを置いて他にいないだろう、男の直感はそう告げる。)
        (キャスターの言葉に、男は魔道器へ駆け寄り、その像に手を置く)
        何を、ですと?わかりませんか…ならばお教えしましょう。(そして、男は魔道器へ魔力を通す)
        (次の瞬間、魔道器の内部、焼却炉の様な構造をしたそれが、猛烈な炎を吹き上げる!)
        (中に置かれた子供達は、踊り狂う様にもがき苦しみ、喉が裂けんばかりの悲鳴を上げ、入口を叩く。)
        (普段は祭事の熱狂と、魔導器にかき消される声が、はっきりと広間に響き渡る。)
        (子供達は叫ぶ。何故、と、己を育ててくれた恩師の行為に問いかけながら)
        (子供達は入口を叩く。熱さから逃れようと、血が出る程閉められた蓋を叩きながら)
        さあ、餌の時間ですよキャスター、存分に喰らいなさい。
        そして…彼の者を滅するのです。(キャスターにはわかるだろう、子供達の命を、絶望を喰らう青銅の悪魔から、キャスターへと魔力が供給されるのを、そしてそれが…宝具を使う度に、どこからか供給される魔力と、全く同質のものである事に)
        さて、私も…手を貸すとしましょう。ここなら、あれも呼べます。(不意に巨漢が、呪術とは違う、オーソドックスな呪文を唱える。それは召喚術の呪文、呼び出されたのは)
        フシュウウウウ…(鞴から放たれる空気の様な吐息、それらは全て、燃え盛る炎と共に吐き出される。漆黒の全身に熔鉄の様な色をした、血管を浮かべたそれは)
        (デーモンの中でも特に火と親和性の高い、フレイムデーモンと呼ばれる種族だ)
        (呼び出されたデーモンは3体、数こそ少なく、更に召喚のため力を制限されているものの、それは)
        (冒険で相手をする悪魔たちほどではないものの、十分な実力を持っている。炎の様な色をした6つの生気無き目が、アーチャーを捉えるやじりじりと近づいてくる)
        -- シャンゴ 2012-05-15 (火) 01:17:24
      • (山岳の寒村に住んで居た頃の話だ。12かそこらだった俺は弓の腕を買われて狩人達に連れ添って森へ入った事がある)
        (幼きながら弓の鍛錬は弛まず行なっていた俺は、大人顔負けに猪を仕留めて誇らしげだった)
        (出来のいい兄君に較べられて日々を過ごしていたから、その時は随分と鼻高高になった記憶が焼き付いている)
        (そしてその後に、血抜きとほな開きをさせられた。獲物の心臓を掻っ捌いて、山の神様に魂を返すというあれだが、その役目が回った)
        (手際は散々だったけれど、羞恥を感じるよりも、獣の血は人の血と紙一重に酷似したものだという事が恐ろしくてならなかった)
        (今でもその感触を憶えている。後に村を出て兵士団に入り、学園へゆき、冒険者になって、沢山の命を奪うようになっても)

        (命を簒奪する事の必要性を、俺はあの時この手で学んだ)
        (だから、ちゃんと、善と悪なぞの玉虫色の理論を展開して心を隠さず、必要な事なのだと“割り切っている”。)
        (今でもそうだ。牛豚が屠殺されたり、若鶏が縊り殺されたりするのを目の前で見たって心など傷もうはずもない)
        (それと全く同様に、聖杯戦争に頭を突き出してる連中の首を刎ねるのにも一切の躊躇も、憐憫も擁く事は無い)
        (「必要なのだ」「理解しているはずだ」「この掌に沁みつけた赤が語っている」「断じて必要なのだ」)

        …………あ、あ、嫌だっ……やめろ、やめろおっ!!(目の前で諸手を広げる絶望のパノラマは、どうだ)
        (信徒の皆様方が妖しげな儀式に精を出しているのは良く知っていたし、それで死んでも身から出た錆だ)
        止めろ、やめてくれ。焼くな、駄目だ。そんなのはやだ、やめろ、そんなことは駄目だ!!
        (けれど、子供たちは。幼いあの子達は、どうだ。何も知らないで、何も理解できないで、理不尽に魂を奪われてゆく)
        (瞳が純粋な色をしていた。していたのだ。磨かれた硝子球にあの子らを喩えるなら、それは地面に叩き付けられて粉砕した)
        (道理に叶わぬ、命の鏖殺だ。自らの主人に明確な殺意を憶える。声も手も届かず、“ざらり”と命の器は割れて炎に毀れた)
        あ……あ!! ………、………………あ…………え? …………あ??
        (そして、その欠片が、硝子球の砕けた破片が、炎に毀れた命の器が、胸中へ濁流と化して流れ込んでくる)
        (怒りを噛み締めていた奥歯はかちかちと鳴り始める。視界が、陽炎のようにぼうっと歪む。目の前を認めたくない)
        (次の瞬間に心が破裂した)ああああああ!!!(叫びがかたちにならない、獣の唸りより下等のものになる)
        (血が冷たくなる。舌の裏側から苦くて塩気のある唾液が湧きだして、吐き気が鼻をついた)
        (儀式の場にある全てが遠く。敵サーヴァントが起こす撃発音も、主人の起こした炎の悪魔も、気に留まる事は無い)
        え、? え……? うわっ、嫌だ。そん、な、の……っ。ぃあ、ぁ……!!
        (どんなに非道な手段だって使えると、己の覚悟を自負していた。脆い脆い、俺の心がした覚悟なんて、脆いものだ)
        (堰き止めたはずの、哀れみや罪を咎められる激痛が流れてくる。神経を炙られる)
        (無垢にして無罪の子供らを、擂り潰して。悲鳴が何度も聞こえる。もう死んでいる子供たちの悲鳴が、何度も何度も聞こえる)
        …………っ!!(膝を突いて蹲り、爪で頭皮を剥ぎ取るぐらい、頭を掻き毟った)
        -- キャスター 2012-05-17 (木) 00:00:41
      • ようやくキャスターを見つけたと思ったが……成る程キャスターらしい戦術だ。
        おそらくこれも陣地構成のスキルがあるもの、キャスターに出来るこその特技…よもや孤児院の地下にこのようなものを造り、子供達を炉にくべていたとはな
        (讃えるわけでもない。蔑むようでもない。ただ事実のように、見たままを告げるように。ガラス玉のような研ぎ澄まされた瞳は。儀式が行われ魔力の胎動が流れていけば、その先に再び移り、見る)
        (しかしそこには。生気を漲らせ、魔力溢れる大魔導の英霊ではなく…苦しみもがくただの男がいた。 解する事が、合わぬ)
         
        何を、何が気に入らない。これはお前が望み仕組んだことだろう。この場所も、何を用いるかも。実によく出来ている。
        場所も場所。子供の命はいくらでも溢れているしな…先の戦い方をみればアサシンかとも思えたが、キャスターで間違いないようだ
        (簡単に言葉にすれば。見事な手腕だ、流石キャスターのクラスを持つ英霊という賛辞にもにた評価。事実よくできた拠点だ。だが)
        (本当にこいつはキャスターかと思えるような男が声をかけている相手だった。まるで今にも吐き出し自害してしまいそうな…不可解さ)
         
        (しかしその疑問を挟む余地はなかった。あの巨漢の男が、魔力を練り、呼び出したのは3体の冥府よりの死者。いや魔界からの使者か。炎の悪魔が現れ…)
        (それに加えて魔力が充分に漲ったキャスターのサーヴァントが1人)
        悪いがここで今ここで相手をするほど私は優しくない(と、煙幕手榴弾を悪魔らに投げて。無論発動しなくてもいい、視線を少しでも移せればいい)
        (そのまま信者たちの死骸を踏みつけて隠し扉か、通路か。ともかく別の場所に向かった。)
        (そして…出た先は) -- アーチャー 2012-05-17 (木) 00:59:05
      • (隠し扉からアーチャーが飛び出した先は、孤児院の内部。)
        (恐らくあの巨漢が使用していた部屋だろう、壁には魔力を高める為の呪具や)
        (強化魔法の施された槍や盾、剣に銃がかけてある。)
        (本棚にはそれなりに値の張るであろう魔道書が敷き詰められており、更に別の棚には呪術の触媒であろう品々が保管されている。)
        (対して、人間らしい家具やインテリアなどはベッド以外一切見当たらない。およそ人間味というものの一切がこの部屋からは欠落している)
        (それはまるで、おとぎ話の悪い魔法使いの部屋を、そのまま現実に持ってきたかのような―)
        人の部屋に無断で立ち入るとは、行儀の悪いサーヴァントもいたものですな。(気づけば、巨漢とその僕たる炎の悪魔たちが直ぐ後ろに。)
        -- シャンゴ 2012-05-17 (木) 01:11:06
      • (死が輪舞している。青銅製の像が隠す扉の先には炭素の塊に変わり果てた子供たちの肉体がごろごろ転がっているのだろう)
        (足元には脂身の多い屍体が、穴ぼこをあけて横たわっている。肉からどろりどろり血が流れ拡がり床を赤く染めている)
        (この場面を作り出すのに加担したのだと思うと、そこに突立っている悪魔の偶像より、自分がそれを象るのに相応しい)
        (この狂気の坩堝の源泉となり、たった今目の前で起こった惨劇を創りだしたのだ。理不尽な暴力へと、この身が変じたのだ)

        (己の最愛のひとを奪ったのもまた、理不尽な力だ。「どうしてこんなめにあうんだ」と、身に憶えの無い辛苦に喘いでいた)
        (世界を怨み返してやると、怨嗟の吠え声を空の満月へ投げ、剥がれるぐらい爪を地面へ突き立てて指先で血を流した)
        ────あっは…………はは、は……ははははははは!!
        (そうだとも。何の身に憶えもないあの子らの命を俺が刈り取って喰い千切った)
        (嘗て、目の前で“そのように”された最愛のひとと同じく。そう、同じく、同じく!!)
        畜生…………。
        (俺の願いなどささやかなものだった。「また元通り幸せに暮らしたい」とそれだけだ。それを求めた結果がこれだ)
        (聖杯の呼掛けに応えて、英霊と化して、あの男へ己の主人へ仕えて、なんて“ざま”だ)
        (煙幕が視界を覆い隠す。「このまま醒めてくれ。頼むっ……頼む。もう、やめてくれ、やめてくれ……!!!」)
        俺の願いがそんなに罪か。う、えっ、……げ、くっ……。何がいけなかった? 何がいけない……教えてくれ。
        教えろよ、教え゛、ろっ! 何が悪いんだ、何がっ、何がっ!!! ぐ、ぅ…………ゔぁあああああ!!!
        (拳を床へ打ち付ける。主人も侵入者ももう居ない。この環境下で、次の戦局へ移ろうと言うのだ。「狂っている」)
        (侵入者は生贄を“戦力”と換算して、称賛すらした。冷徹にこんな場を見極めた)
        (朝日が昇りベッドで寝惚け眼をこすり、起きて冷たい水を一杯飲み下す。そのようにこの場を見た。生活感すら滲むほどにだ)
        戦場(ここ)がねぐらなんだろう。「狂っている」勝利を掴むのは、こうして徹底的にやれる者なのだろう)
        (ならば俺は違う。全く違う。河へ植木を放っても根は生やせまい。ましてや、泳ぐ事などもっての他だ。違うのだ)
        (ならば、ならば)────いらない……!! こんなの、俺の欲しかったものじゃ、無い……!! ぅ、げほ、ぅう……
        -- キャスター 2012-05-17 (木) 02:12:19
      • 悪の魔術師が「おうちに帰ったら手を洗いましょう」など言っても感慨は沸かないな
        (よくまぁぬけぬけというものだと。後ろを見ずに、孤児院施設への扉へ体をたたきつけた)
        (扉が壊れ、廊下にでると深夜の寝息だけが支配する孤児院が全ての世界となっていた)
        (そこを駆ける姿はまさに押し込み強盗の如く。廊下を駆ける音が響くと…)
        (寝息を立てていた子供達が置き始め、何人かが寝室の扉を開けて顔を出し始めた)
        (その様子を感じ、失敗だったかと。彼らは食料である。この孤児院という名の祭壇に集められた生贄の羊)
        (生きて、肉を喰らい魔力を垂れ流す絶好の糧…燃えれば、サーヴァントを動かす燃料となる)
        (駆ける背に、新たな武器を呼び出し準備を始める)
        (あの修道士のような男が呼び出した悪魔と同じものに属しているのでダメージを与えることは不可能だろうがなんとしてもこれ以上サーヴァントの糧になるのは阻止しなければならない。)
        (施設を一気に制圧するにはこれが一番の手段であることは…二度目の大きな大戦で実証されていた)
        (振り向きざまに軽く引き金を引くと。ガソリンが吹き付けられ、壁に赤い炎の線が生まれ。そのまま引き金を引き絞れば廊下を、いや開け放たれた寝室のドアから入り込み窓ガラスを突き破るような威力で炎は飛んでいく)
        (おもちゃで作ったスプレーではない…軍用の火炎放射器、塹壕や施設内部を焼き払うための兵器が夜の孤児院で行使された) -- アーチャー 2012-05-17 (木) 02:51:44
      • (そして、焦熱地獄は再度顕現する。)
        (運の悪い…いや、この場合よかったと言うべきだろうか。火炎放射の直撃を喰らった数人の孤児達は、あっという間に火達磨となり何が起こったかわからないまま、息絶える)
        (運の悪い残った子供は、己が身を焼かれる痛みに、臭いに絶叫し、恐怖しながら叫び、転げ回る)
        はっはっはっは!!楽しい、楽しいですなあ!やはり戦とはこうでなくては!
        この芳しい人の焼ける匂い…心地よい弱者の絶叫、やはり生は良い、魔道器越しに味わう地獄等
        何の愉悦も感じませんでしたしな。(両足を焼かれ、這いずりながら神父の足を掴む子供の一人を、悪魔が掴みあげ、頭を一齧りすると投げ捨てる)
        さて、お次はどう来ますかな?まだやりますか?
        (燃え盛る孤児院も、生贄も、気にも留めない。手負いのサーヴァントへ向け、勝ちほこる様な笑みを浮かべ)
        何なら、私のサーヴァントと第二戦と洒落込みますかな?
        -- シャンゴ 2012-05-17 (木) 03:06:32
      • (孤児院はまさに炎熱の地獄と化していた。火炎放射器で焼かれ、消し炭になり)
        (中途半端に焼かれたものは、窓ガラスを割るように暴れ、外にでて水を求めるもそのまま息絶えた)
        (孤児院の外には芋虫のような黒い焼け炭が溢れるように這い出てくる)
        (孤児院の敷地にも飛び火したガソリンと炎が、世界の終末を思わせるような地獄を描いていた)
        (炎と燃える肉の音に紛れつつも聞こえるあの男の弾む声、らしい連中が組んだ物だとの感想が出る)
        (しかし、アーチャーであるもののキャスターに一矢撃たれた身でこれ以上戦うのは愚策。何より目的は大方達成できたのだ)
        (これ以上とどまることもないと…炎をさんざくさ振り巻いた挙句、霊体化し炎が映る闇夜のスクリーンに消えていった…) -- アーチャー 2012-05-17 (木) 03:16:37
      • …振られてしまったようですな(宵闇へ姿を消した敵を見届けると、少しばかり残念そうな面持ちで呟く)
        さて…ついつい浮かれて対応を後にしてしまいましたが(燃え盛る孤児院は完全に崩れ落ち、その原型を留めていない、恐らく中の子供達ももう生きてはいないだろう)
        …まあいいでしょう、スラムへ下りれば代わり等幾らでもいます…魔道書や、呪具がやられたのは少しばかり痛いですが(男の手には、いつの間にか長柄の戦斧が握られている)
        私にはこれさえあれば最悪構いませんしね…では、塒を移すとしましょう
        (召喚した悪魔達を元いた場所へ送り返すと、街とは反対の方向へと歩を進める)
        (後日、祭壇の間にあった青銅像ともども、男の姿は影も形も無くなっていたそうだ)
        -- シャンゴ 2012-05-17 (木) 03:33:02
      • (場面の転換が折り重なり、表舞台が白熱しようとも済んでしまったものは戻りも好転もする事は無い)
        (生塵芥を放り込んでおく場所だって、こんな酷い有様にはならない。戦場だって、こんな酷い有様にならない)
        (屍体ではなく単なる無機質な有機物に変わり果てた子供たちは、まともに死ぬ事すらも許されず物言わぬチリと化した)
        (肌に熱の残滓が纏わり付く。魂の破片が俺の皮膚へ突き刺さるかの熱さを感じる。怨恨の籠った責め苦を喰らうようだ)
        (募る後悔は何者をも産み出さず、流れる涙は自分の火傷を癒す効果しか齎す事は無い)
        (爪を掌へ食い込ませて血の雫を床へ溢すのも、「違う。俺がやったんじゃない」などと言った弁明の嘆願すらも、)
        (結局のところ意地穢いエゴイズム以外の何でも有り得ない)何でこうなる……っ!! もっと巧くいくだろ、普通うぅ……!!

        (海を底から引っくり返す時化とも似た、己の心の昏迷乱流はその“自己満足”に因ってひと時の平静を見た)
        (悪夢の場面は画き割の背景を差し替えるように、無慈悲にも移り変わる)
        (第二幕カーテンコールのBGMは、現世の街中で巻き起こるとは到底思えぬ、聞き覚えのある悲鳴であった)
        (哀しみと涙と自責の念で覆い隠したはずの、焔に巻かれる幼子の悲鳴が今一度耳へ蘇る。咄嗟に両耳を手を塞いで、震えて蹲る)
        (不可思議な事に、そうすると声は消えた。脈拍が止まる程押さえつけていた手を耳から離すと、また悲痛の叫びが聞こえる)
        (「幻聴じゃない?」)……“あいつ”は?(握り締めた手をほどいて、地面を掻くようにして、焦躁気味に立ち上がる)
        (太陽の尻尾も見えない地の底で、哀しみに喘いでいた。これより悪い境遇など無いと、ある種の安心を憶えていた)
        (けれど、予想建てをすると、その見当は全くの的外れで、底だと思った床は脆い木造で、それは端から燃えている)
        (孤児院へ向かう階段を駆け登る。何度も脚を外しそうになった。英霊なぞと偉ぶっても、心が弱けりゃこのざまだ)

        (地上へ辿り着いて最初に気がついたのは、臭いが全く変わらない事だった。あの、鼻腔に張り付く蛋白の燃える香りがする)
        (これはもう、絶望の彫像に仕上げのヤスリをかけられたに等しい。果たして、悪夢は二度現実と化す)
        うわあああ あああああ、あああああっ あっあっああ(燃え盛る材木を抜けて、子供らの寝室へ向かう)
        ひぃっ、あ あ あ あああああ!!!
        (焼け爛れた皮膚がグロテスクに変形している。髪の毛が燃えて頭皮が見えている。ひん剥かれた眼球が、零れ落ちそうになっている)
        (そこに生ける者は独りとしておらず、無邪気に生活していた子供たちの形骸が存在するのみ。死屍、みんな死屍の群れだ)
        (焼夷魔術を放たれた形跡は無い。侵入者が未知の兵器を撒いていったのが良く解る)関係、ないだろ。こいつらは。
        なんで!! なんでここまでやった!!(「そんな必要はあるのか」ある。思い至る)
        (あの侵入者は魔力供給を戦力の一つを看做していた。なれば、それを破壊するのも理に適う。全く有効な手段だ)
        (もう、“間接的に”や“知らなかった”の日和見を言う贅沢は無い。「俺が、殺したのだ」)
        ああ ははは あ、はははは……。(虫の息を吐いて、生き残る子供を見付ける。体躯の半分が炭化するほど灼かれていた)
        (腰の短剣でその喉元を引き裂き、息の根を止める。抵抗する余力も無かったようで、「げ」という一言で命は絶たれた)
        う、あぁあ…………なんで……。あ、ははは、は、ああぁあ。 あ あ あああ こんなの、こんな、事って……。
        (崩れ落ちた天蓋の向うへ三日月が見えた。その後のキャスターの行方もまた、ようとして知れない)
        (退路は無い。月を見た瞬間に、瞳には狂気が宿る。哀しみを擁いた人の狂気だ。我を通すだけの狂気を抱えて、姿を消したのだ)
        -- キャスター 2012-05-18 (金) 22:56:26
    • (他の聖杯のマスターやサーヴァントを探り、監視するように命じられた使い魔の一匹が 見覚えのあるアーチャーの後を追い、戦いを監視していた)
      (ぱたくたと宙を飛び舞う精霊は、霊体の状態でしかない為に肉眼では見てとれない)
      (けれど確かにそれはキャスターとアーチャーの戦いを"視"て捉えていた……) -- ??? 2012-05-14 (月) 01:09:27
  • 半分にかけた月が夜空に登る晩、袋を抱えた夜盗の様にも、暗殺者の様にも見える者達が
    スラムの街を駆け抜ける。目指す先はスラムの外れにある孤児院
    主の元へ生贄を届ける為、手下達は熟練の斥候の様に、気配を消し移動する…自分達がその足元にも及ばない様な実力の持ち主達に、つけられているとも知らず
    -- 2012-05-11 (金) 23:29:06
    • (追いかけながら考える。袋を持つ者の挙動からいって人、そして大きさから子供であると推測する)
      ただの人さらいではないなあの動き。そういえば魔力を確保するために人間を使うものもいると聞いたが……。
      当たればラッキー、違ったら……いや、違っていても突入だな。(傍らにいるセイバーに語りかける) -- 那智 2012-05-11 (金) 23:38:19
      • ええ……この街を覆う影は少ないほうがいい。(マスターである那智の側を駆けながら)何があっても止めるわ。
        もし相手が英霊ならば、仕掛けるチャンスでもあるわ……(それは半月の不確かな月明かりの元)
        (追いかける二つの影は決して追いつかず、そして離されもしない) -- セイバー 2012-05-11 (金) 23:43:37
      • やがて、夜盗らしき者達が、揃って歩みを止める。その先にあるのは
        何の変哲もない、教会を改築、改装したと思われる孤児院。
        そして、その孤児院から出てきたのは…2mを越える、黒い肌の大男。
        頭の半分にびっしりと書き込まれた魔術の呪文は、首を境に左側にも書き込まれている。)
        恐らくはほぼ全身に施されているのだろう…己の力を高める為に
        「…どうやら、余計なものまで連れてきてしまった様ですね…」ため息をつくと、気配を隠している筈の那智とセイバーのいる方を見やり
        「出てきなさい、いるのはわかっていますよ」と、短く警告した。手下達は、逃げるように孤児院の中へと駆け込んでいく
        -- 2012-05-11 (金) 23:54:35
      • どうやらあの大男、あいつらより何枚も上手というわけか。(存在を看破されどうしたものかと一瞬考えるが素直に姿を現す)
        この孤児院、随分いい趣味をしているようだな。え?
        子供なんかをさらってどうする気だ。ここがネバーランドというわけでもあるまい。 -- 那智 2012-05-11 (金) 23:58:19
      • そのようね。(那智に遅れて姿を現し)自身の魔術回路のためにあんな紋様を刻んでいるなんて。
        (腰の刀に手を掛けて)ピーターパン気取りにしては少し年を取りすぎているようね。
        さて……何をするつもりなのか吐いてもらいましょうか。それこそ、力ずくでも。 -- セイバー 2012-05-12 (土) 00:03:31
      • (顎に手を当てて、姿を現した二人を見やる。)
        貴方達の推測通りですよ、ピーターパンというよりは、フック船長ですな。
        (手下の後をつけられたとなれば、隠す事等無意味だと考えたのだろう、あっさりと自身の目的をばらす)
        で、貴方がたはどちら様でしょうか?正義の味方気取りで私に挑もうというのなら…お勧めはしませんが
        (二人程の熟練者ならばわかるだろう、男の放つ殺気は、尋常なものではない。)
        (空気が歪むような錯覚を覚えさせるそれは、目の前の大男がただの神父は勿論、盗賊や人攫い程度では無いと警告している) -- シャンゴ 2012-05-12 (土) 00:14:52
      • 正義の味方気取り……か、俺はそういうつもりはないんだがな。(息を吐く)
        (ここまで大きな殺気を放つものはこれまでの経験でも少ない。相当の相手であると分かるがここで簡単に引くつもりもない)
        ただ、こいつをそんじょそこらの正義の味方気取りと一緒にすると痛い目を見るぞ。
        小悪党なんぞ敵ではない、正義の味方だからな。こいつを倒して突入するぞ!(高らかに戦いの始まりを宣言する) -- 那智 2012-05-12 (土) 00:25:00
      • (大男の殺気に身じろぎ一つせず、涼しげな表情を崩しもしない)
        どちら様かと聞かれても。(剣気発勝、周囲に緩やかな風が巻き起こる)通りすがりの正義の味方だわ。
        (尻尾をゆらりと揺らして軽く腰に帯びた刀、その鉄拵えの鞘を撫でて)
        ええ! いくわよッ!!(マスターの宣言と共に抜刀居合いの構えを取ったままシャンゴに向かって駆け出して) -- セイバー 2012-05-12 (土) 00:28:37

      • ────我は 一疋の黒犬

        (しんとした中空を征く下弦の半月は、夜を癒す輝きと共に引力と狂気を振りまいて、人の血液に潮汐を起こす)
        (物憂げの月光に混じって声がする。真っ直ぐ、天空の巨大な遊星から呪詛にも似た呟きが聴こえた)
        (それは減衰する事もなく、耳元で囁かれた様に、新鮮な響きを持って、血の通った言葉を伝えてくる)

        唾棄すべき獣 破滅の張本人 罵声を浴びせられ 追い立てられる者なり

        (突如として、夜の闇が形を持ち始めた。輪郭を持たず流動する様は液体のようであり、然し掌で掴める事も無い)
        (燻る煙に酷似した“なにか”が、湧き上がり、孤児院を芯にして巻き上がるように、そのかさを増長させてゆく) -- 2012-05-12 (土) 00:38:52
      • (迎撃に入った瞬間、思わぬ援軍に行動を中断する)
        …いい機会かもしれませんね、ここで貴方の力の、デモンストレーションといきましょう
        (キャスター、とは言わなかった。相手が聖杯戦争の参加者かどうか、まだ確たる証拠を掴んでいない)
        (にもかかわらず、わざわざクラスを明かすのは下策と思ったのだろう)
        (何より男自身、キャスターの力がどのようなものか、如何程のものか興味があった) -- シャンゴ 2012-05-12 (土) 00:48:08
      • (これほどまでに魔力が吹き上がればいやでも理解する、孤児院の中で起こっていること、そしてそれを行なっている者のこと)
        (こいつが聖杯戦争の参加者ならば中にいるのはおそらく――)
        セイバー! 当たりだ!(シャンゴに向けて拳を握った義手が勢い良く飛ぶ) -- 那智 2012-05-12 (土) 00:53:51
      • ……!(刀を握り、いつでも抜刀居合いに移れるように周囲の気配を探る)
        この禍々しさ、そして魔術の規模……あまり相手にしたくないタイプの英霊が召喚されているようね……!
        (すぅ、と息を吸い込む。そのオレンジの瞳に迷いなし)
        現れよ、英霊!! 私には戦う意思が、覚悟がある!!
        我がクラスはセイバー! 恐れぬならば姿を見せよ!!

        (裂帛の気合、ただそれだけで濃くなり始めていた夜闇が幾分か澄んだものになる)
        (剣の英雄リルカ・バントライン。その戦いの作法は正統にして正当) -- セイバー 2012-05-12 (土) 01:02:55
      • 噴っ!!(それは、冗談の様な光景だった。一瞬、服の上からでもわかる程に筋肉を隆起させた男は)
        (あろうことか高速で飛来する、鉄の拳へ己が拳を突き出す!)
        (そして聞こえてくるのは、骨と肉の潰れる音…では無く、鉄と鉄がぶつかりあった様な衝撃音)
        (一瞬の衝撃の後、力を失った義手は地面に落ち、男は…)
        …成程、その義手…貴方がスネーク…いや、蛇の目と言った方がいいでしょうか、彼の言っていた那智という人物ですね?
        (顔一つ変えずに、元の直立姿勢へと戻り、一言告げた) -- シャンゴ 2012-05-12 (土) 01:05:23

      • ────然らば我は 爪を大地で蹴散らし 迷々も無く猛然と疾駆し ソーヌの河へ身を擲って我を殺害する

        (裂帛の鬨の声は、濁り色の魔力へ吸われてゆく。この場所が正常な世界から剥離してゆくのが解る。夜より昏き空気が語る)
        (血を蒸留水へ垂らせば、鉄赤は水中へごうと拡がり満たす。そのように、この場所へ“魔”が敷き詰められる)

        我が屍体は濁流に沈んで 水ぶくれ腐り朽ち果てる 朽ち果てた身は河底の泥と化した

        (渦巻く。水底の流れが表面へ現れる。濁流の魔力は、輪郭を創り始めた。指先から脚へ身体に腕から指先、頭に至るまで)
        (それは変哲を一つも介さない、唯の青年だった。琥珀色の瞳が闇の中で光を放つ。橙瞳のセイバーと向い合う)

        水底の汚泥は 世界を洗い流す洪水にて更なる濁流と化し世界を廻る 我は黒犬なり 黒犬にして流転する魔なり
        魔にして濁流なり 濁流にして洪水なり ただ一つの許容もなく慈悲もなく 審判を下す装置なり


        俺の名はミグズ。“混ざりしモノ”のミグズ。意思も覚悟も無い獣であり、黒犬。
        (灰色のコートと帽子を纏って、惑わず立つ。その瞳に月を映して、敵へ狂気を向けている)
        セイバー。貴様は“ばらばら”になって夜風に混ざるために来たのだ。覚悟をしろ。祈れ。俺の悲しみの一片でも喰らって逝け。 -- キャスター 2012-05-12 (土) 01:17:14
      • 飾りかと思ったがそこそこに使える肉だったんだな。(ワイヤーが高速で稼働し義手を回収する)
        なんだ、あれの知り合いなのか。ならば改めて自己紹介しておこう。(重く硬い鉄の塊を殴ったような感触、魔術付与でもされているのだろうか)
        セイバーのマスター、八神那智だ。この顔をよく覚えておけ。(顕現する青年に一瞬だけ目をやり)
        することは一つだ。ぶった切れ、セイバー。 -- 那智 2012-05-12 (土) 01:21:12
      • (現れた英霊、その琥珀の瞳の深さに怖気を感じる。一体どれほどの地獄を見てきたらこんな眼ができるというのか)
        (しかし恐れている暇はない。これは戦争なのだから――マスターの声と共に銘刀・旋空を抜き)
        わかったわ、マスター!!(ミグズに向かって袈裟方に斬りかかり) -- セイバー 2012-05-12 (土) 01:30:33
      • 善処しましょう、もう二度と、その顔を見る事もないでしょうからね
        (キャスターの方を見る、他ならともかく、ここは魔術師の塒。いかな最良のサーヴァントといえど)
        (ここでは蜘蛛の巣に絡め取られた蝶も同然、精々キャスター相手に足掻いてもらうとしよう、後は…)
        シャンゴ・ソポナ…またの名をヴァルチャー・グリードと申します。
        (英霊となったリルカは、或いはその名を聞いた事があるかもしれない。矛盾の魔王と同じく、世に数多ある悪の一つ。現世に仇成し、世界を荒廃へと導かんとする悪鬼の群の名を)
        (剣を持ち、構える。全身の入れ墨は、不吉な黒い光を放ち)では、始めるとしましょうか…
        (静かに、戦いの火蓋を切って落とした) -- シャンゴ 2012-05-12 (土) 01:43:35
      • (事前に聞いていたセイバーの耐魔力ならばキャスターの魔術はある程度なら平気なはずである。序盤に当たるにはいい相手だ)
        (ただ、ここはすでにキャスターが創りだした陣地に入っているだろう。それだけが不安要素だ)
        二度と見ることはない――か。冥土の土産が男の顔ですまないな、不満だったら死ぬ前にはあっちでも見ておけ。(セイバーの方を親指で指し)
        (始めるとしましょうか、その言葉が言い終わる前にシャンゴを自らの技の射程距離に入れており、)
        八神無刀流――流星ッ!(月明かりを受け、踵から突き出した刃が光の尾を引きながらシャンゴの頭上から高速で振り下ろされた) -- 那智 2012-05-12 (土) 21:48:08
      • …「沈黙は金」という諺がある様ですが…どうやら貴方には当てはまらない様ですね(ため息をつくと、剣を下段に構え)
        はぁっ!!(剣を勢いよく、上空…迫りくる那智の足へ向け、ぶつける様に振り上げる!)
        (黒く光る呪印の力は、ただでさえ鍛えられた男の筋力をさらに引き上げている、鉄すら両断する様な力を持った一撃が、剣先の掠った地面を砕き、巻き上げながら)
        (那智の足を斬り飛ばさんとばかりの勢いで、刃と衝突する!) -- シャンゴ 2012-05-12 (土) 22:57:01
      • 身体強化の術か。(礫を全身に食らいながら目は男から離さず)
        (振り上げられた刃と踵の刃がぶつかり合い、鈍い音を発し、)八神無刀流――震撃!
        (衝撃が刃を伝わってそのままシャンゴの掌へと走り、痺れのような感触を起こすかもしれない)
        (同時にこちらはぶつかった足を軽く上げそのまま地に下ろし、至近距離から右拳をシャンゴの腹へと向けて射出する) -- 那智 2012-05-12 (土) 23:10:36
      • ほう…(掌に伝わる、不自然に強烈な衝撃。一瞬麻痺した手は、剣をその手中に維持できず取り落とす)
        面白い力を使いますな、これも義体の機構の一つで?(さして驚く様子もなく、那智へと質問を投げかける、義体については蛇の目から聞いたんどあろう)
        ぬうっ!!(至近距離から射出された右拳を、まともに食らう。またしても聞こえるのは、鉄を殴った様な衝撃音)
        …なかなかの威力ですな(元々の肌の黒さもあり、ダメージの視認しにくい体だがそれでも、その様子から有効打を与えられてはいないというのが、容易に理解できる、そして…)
        では、今度はこちらから(突如疾走、未だ痺れの残る腕ではなく、その鉄の様な頑強な体を弾丸とした、猛烈なショルダータックルを仕掛けてくる!) -- シャンゴ 2012-05-12 (土) 23:21:44
      • 聞く馬鹿がどこにいる、教える馬鹿がどこにいいる。(飛ばした右拳を回収)
        自分で考えろ、鍛えすぎて脳まで筋肉になったか?(浅黒い肌はなるほど夜間であることも合わせてダメージがわかりにくい)
        (ただ、あの様子ではほとんど効いていないだろう。斬るか刺すか、迷った瞬間目前の男が丸まって弾丸のように突き進んできた)
        くっ――(衝突する瞬間右前方に一歩進み、タックルの軌道からほんの少しだけずれる)
         ――そ!(直撃は免れたが左腕をかすり一瞬挙動が怪しくなるがそのままシャンゴの背後から展開した右腕の肉厚ブレードで斬りかかる) -- 那智 2012-05-12 (土) 23:43:25
      • 律儀に答えるあたり、その性根が垣間見えますな。(痺れのとれた腕で、那智の展開した刃を、振り返り様左の腕で防ぐ)
        (呆気なく斬り飛ばされる筈だった腕は、強化された身体と、袖に仕込んだ鉄製の、棍状の暗器により防がれる。)
        (だが、やはり完全にとはいかなかったのだろう、その腕からは血が滴り落ち、暗器の方は綺麗に両断され、袖からズルリと落ち地面に鈍い音を立てて転がった。)
        (だが、それすらも意に介さないという様に、男は更に一歩、那智の元へ踏み込むと、右拳による肝臓打ちを那智へ放つ!) -- シャンゴ 2012-05-12 (土) 23:58:41
      • (服の下に仕込まれていた何かを分断し肉に刃が食い込む感触、分かってはいたが異様に硬い)俺は真面目だからな。
        (落ちる武器に暗器使いであることを理解し、警戒を強める)
        (肉からブレードを引き抜き腕に戻すと同時に肝臓打ち、シャンゴの拳にはしっかりとした手応え、しかし那智は笑っている)
        (八神無刀流の体術、浮雲によって衝撃を体全体に分散させダメージを軽くしており)
        スパイラルエッジ!(高速の蹴りをシャンゴの正中線にめがけて複数放った後、下顎めがけてエネルギーの弧を描くサマーソルトキックを右足で放ち、それに追従するかのように左足でさらにもう一撃をくわえる) -- 那智 2012-05-13 (日) 00:17:19
      • ぐぅ…!!(先程までの余裕が消え、苦悶の声を始めて上げる。そう、如何に強化しようとも所詮は人の体)
        (人体の急所への耐性は、そう鍛えられるものでもない)
        やりますな、先程の一撃も効いておらぬ様子…ならば(空気が変わる、その能面のような無表情に、初めて感情が浮かぶ、それは…まるで猛禽類を思わせる様な、獰猛な笑顔)
        ぐっ!!(迫るサマーソルトの勢いに合わせ、顎を逸らし初撃を避ける。掠っただけで眩暈のするそれを辛うじて回避すると)
        (二撃目の足を、鉄の様な左腕が掴み)
        こんなのはいかがでしょう
        (そういって、右腕の袖から取り出したのは…大型の拳銃。それを迷うことなく那智の頭部へ向けると、今まさに引き金を引かんとする!!) -- シャンゴ 2012-05-13 (日) 00:33:16
      • (左足を摑まれ、視界に入るのは拳銃。銃口はこちらの頭を向いていた)
        (全身義体とはいえ、脳は自身のもので替えは効かない。これを防がなければここで自分の聖杯戦争は終わってしまう)
        (左手を咄嗟にシャンゴの顔の前に突き出して視界を奪い、少しでもその命中率を下げようとする) -- 那智 2012-05-13 (日) 00:47:52
      • ぬう!?(無慈悲に引かれる引き金)
        (銃声音と共に、凶悪な口径の弾丸が拳銃から放たれる)
        (那智が咄嗟に出した義手を容易く砕きながら、鉛の飛礫はなおも那智の頭めがけ迫ってくる!!だが、手に当たった際に多少軌道がずれたのだろう、その弾は、那智の頭を貫く事無く、その頬を掠め、そのままあらぬ方へ)
        ちぃ!なら!!(足を掴んだまま、強引に那智を地面に叩きつけようと、その腕を無造作に地面へ向け振り下ろす!) -- シャンゴ 2012-05-13 (日) 00:58:43
      • ちっ。(破壊される左手、しかし左手から指鉄砲機能をオミットしているためそれほど戦力が落ちたわけではない)
        (むしろそれで頭を守れたなら安いものである)
        (地面に振り下ろし始めた瞬間、シャンゴの指に鋭い痛みが走る。掴んでいた左足のすねあたりから指を落とすほどに鋭いブレードが飛び出したのだ) -- 那智 2012-05-13 (日) 01:13:32
      • っ!!(指に食い込む鉄の刃、強く掴んでいる分、深く斬られたのだろう。)
        (このまま振り抜けば、指を落とされると感じたのだろう、掴んだ手をそのまま話、力の限り那智を遠くへ投げ捨てる形に)
        …ふむ、やってくれますな(諾々と流れる血、見れば、指の肉は切れ、骨が覗いてしまっている…だが、その指は刃から離れると、急速に再生を始める)
        (恐らくこれも、体に描かれた魔術式の力なのだろう)
        さて、お次は…こんなのはどうですかな?(掌を合わせ、男が不気味な、聞いた事もない様な言語で詠唱を始める)
        (それと共に、シャンゴの魔力を糧に、何かが姿を現す)
        (それは…煙の様に朧気な、それでいて人程もある巨大なチーターの動物霊と)
        (やはり通常の何倍もあろうかという、巨大なハゲワシの動物霊)
        …戦士としての戦いはお見せしました。では、次は魔術師としての戦いをお見せしましょう(言うが早いか、二体の動物霊は那智にほぼ同時に襲いかかる!)
        はっ!(そして自身は、魔術で作り出した炎の矢を、那智へ向けて連続して放つ!) -- シャンゴ 2012-05-13 (日) 01:37:26
      • (放り投げられ回転しながら体勢を整え着地、指は再生を始めており恐らくは先ほどの攻撃も今は殆ど問題がなくなっているだろう)
        (となれば攻略法は限られてくる。と、そこまで考えたところで土の隆起する音に一瞬視線を走らせる)
        (視界に入ったのはセイバーが土塊の槍によって貫かれる瞬間。シャンゴに視線を戻せば二体の動物霊がこちらに襲いかかる)
        (左手を壊され万全でない上にセイバーも疲労している、更に言えばここはキャスターの陣地内。となれば選ぶのは一つ)
        セイバー! 撤退だ!(襲いかかる動物霊を右腕から展開したブレードと左肘から展開したブレードで切りつけ、炎の矢を退魔合金で作られた右足で蹴り飛ばし方向を変える)
        ――Set!(コートの下から試験管のような細長い筒を取り出し蓋を開けると目が潰れるような閃光が起きた) -- 那智 2012-05-13 (日) 02:13:27
      • (斬りつけられた動物霊たちは、苦しむ様な動きを見せながらも、まるで形を保った煙の様に元の形へと戻る)
        (が、キャスターが宝具を発動した瞬間、二体は突如霧散する。)
        …素晴らしい(宝具の発動に尋常ではない魔力を消費している筈の、マスターたるこの男は、驚く事に疲労の一つも見せていない、それは身体強化でも、魔力強化でもない、何か別の…)
        (だが、急に魔力を持っていかれたせいか、動物霊の方を維持できなくなったのだろう、仕方なく再度接近をと思った所で)
        ぬぅ!(目も眩む様な閃光が迸る、たまらず手で光を遮った) -- シャンゴ 2012-05-13 (日) 02:25:08
    • (悪を討つ正義として気焔を巻き上げ、士気軒昂として宿命付けられた敵へ向かう。そんな、セイバーや那智を意にも介さない)
      (キャスターの心の内にあるのは半分の月の他に無く、“彼ら”は月光に照らされた挫くべき敵として認識されている)
      (大空へ突き立つ柱の様な嵐が、進行方向にある交易船を無慈悲にも顛覆させるのと全く同じ事で、迷う事は一つとして存在しない)
      (あたりに漂う濁った魔力は、それに感化されて呼応して、脈動の音を響かせる。単なる魔力であるのに、生命を持つかのようだ)

      ────上側が月に照らされて銀色に輝く白く濃い雲海が、ゆっくりと情け容赦なくやってきた。
      這い寄って来る霧の中のどこかから、小さく乾いて連続的なパタパタという音が聞こえる。
      音は呼吸を感じられるくらい接近してきている。どんな恐怖が飛び出してくるのかまったく分からないまま、闇を睨みつけていた。
      そしてすぐに、凝視して堅く動かなくなり、飛び出さんばかりとなる。驚きに口が開く。その瞬間、恐怖の叫び声を上げて地面に這いつくばった。
      霧の影の中から飛び出してきた恐ろしい影を見て、手がしびれ、心臓が縮み上がった。


      (セイバーが駆ける。それでも、呪詛が紡がれる速度は尋常のものではなく、“間に合う”。展開された“領域”の拍動が耳のすぐ傍で聴こえる)

      それは犬だった。巨大な真っ黒い犬。しかしこんな犬はこれまで誰も見たこともないはずだ。
      開いた口からは炎が噴出し、目はくすぶった輝きを放ち、鼻先と首回りの毛と喉袋は、ちらちらと揺れる炎に隅どられていた。
      たとえ狂った頭で見る錯乱した夢の中にさえ出てこないだろう。地獄の底から現れたと思えるほどに、不気味で、獰猛な、黒い獣だ。


      (銘刀が月光を駆け抜ける。雷撃の様に袈裟懸けに落ちる。されどもそれは、“何か”実体のあるものに弾かれてキャスターに届かない)

      凶星の輝きを浴びる、狂気の黒犬の一疋、その名は────魂魄狩り征く黒き猟犬(ワイルド・ハント)────バスカヴィル!!

      (獅子程にもある体躯が、闇の中へ輝く爛々とした瞳が、じらじらと消し損ねた焚火の様に不気味に燃え踊る炎が、)
      (────巨大な黒犬の姿が、キャスターの傍にある。四ツ足を突いて、大地を鳴動させる唸り声を上げて、立っている)
      征け!!!(真正面から、セイバーへ向かいバスカヴィルが風を斬り裂いて疾駆する。狂った獣の意識を揺らして、驀地に!)
      (月光を灼き固めたかのように、怪しく光る凶暴の爪が、セイバーへ向かって振り下ろされた) -- キャスター 2012-05-12 (土) 22:42:04
      • (闇そのものが形になったかのような何かに阻まれ、銘刀・旋空は弾かれる)
        (―――そして巨大な黒犬がセイバーの前に立ちはだかっている)
        (刃に付与された対魔力で無効化できないもの、それは実体化した獣の爪牙)
        (その爪がセイバーの体を捉えるかと思った瞬間、女の姿が掻き消えた)
        (ほんの50センチほど隣の空間に瞬間移動したような―――否。それは超高速で移動しただけに過ぎない)
        確かに強力で獰猛な飼い犬ね。一撃もらえばタダじゃ済みそうにないわ。(刀を鞘に納め)
        ――――しかし、遅い。(銘刀・旋空を用いた抜刀居合い『早撃ち』)
        天笹(あまざさ)ぁ!!
        (破壊力と与える衝撃に優れた、姿勢崩し用の抜刀斬撃をバスカヴィルに向けて放つ!) -- セイバー 2012-05-12 (土) 22:59:35
      • (神域にも達する程に敏捷なサーヴァント・セイバーの捌きに、一介の黒妖犬が反応を“しきれ”ようか? 答えは否しか有り得ない)
        (炬火の瞳はその影すらも捉えきれない。抜刀の速度など、なおさら捉え切れない)
        (大鷲の鉤爪のような鋭さを宿した前足は創つけられ、踏みしめた大地を捉えきれず、よろけり姿勢を撹乱されてしまう)
        (されども、その傍にキャスターの姿はもうない。観客のように、その光景を遠くから俯瞰していた)
        なるほど、捷い。道具作成(トレース・オン)
        (あまり遠間では無い。そのぶん確実に距離を空けて、短く唱えれば指先に黒い燐光が瞬き、道具作成の魔術は成る)
        (金色の指輪が右手人差し指へ嵌まっている。濁色の魔力はそれへ瞬時に纏わり覆い隠すように、魔導を著しく高めてゆく)
        (世界の理を操る魔術であると言うのに、それは掌の中で簡単に、自由に巻き起こった。瞼を閉じて開けるぐらいにとりとめもなく、起こる)
        ファイアーボール。
        (夜が真昼と見紛うほどに照らされる。3つの火球が、分裂した太陽だとのたまうように、中空へ浮かび、指先を向ける先はセイバー)
        (獲物へ、ボール状の炎が矢の様に翔ぶ!!) -- キャスター 2012-05-12 (土) 23:15:36
      • (巨大な黒犬に対しては斬撃で姿勢を崩すことに成功し、次はとミグズの姿を探す)
        (しかしいたはずの場所にミグズはいない―――――距離を離されてしまっている)
        道具の作成、そして殆ど詠唱もなくこの規模の魔術を行使して見せる……あなたはキャスターね。
        (赫焉として燃え盛る三つの火球に目を細め、再び刀を鞘に納める)
        (相手から火球が放たれ、同時にミグズに向かって駆ける)
        斬空!!(斬撃は虚空を切り裂き、同時に対魔力の力により放たれた三つの斬撃を三条の銀閃が切り払う)
        (二つに切り裂かれた火球たちが後方で炸裂するも構わずミグズに向かい、四度目の一閃を振り下ろす)
        手の内を見せなさい!!(それはカマイタチを作り出し、空気の刃となってミグズに飛ぶ) -- セイバー 2012-05-12 (土) 23:27:17
      • (大輪菊を夜闇へ華やかに散らす。火球は爆発して四散し消えて、音と光だけを残した。剣士の前に儚い花火と成り果てる)
        道具作成(トレース・オン)。(剣が創りだす銀の閃光も、威勢の良い怒声も、遙かな暗がりへ声を投げかけるのとまるで同じく手応えが無い)
        ((バチッ))
        (鎌鼬を押し退けたのは、キャスターが纏う雷電の防護壁だ。先程まで無かった魔導書が、掌に乗ってページを風に遊ばせている)
        (濁る魔力は留まるところを知らず、領域を濃く濃く強くしてゆく。宛ら拳銃をそうするように、魔導書をセイバーへ向けた)
        ────プラズマブラスト
        (突如として、防護壁がほどけて、辺りを舞う静電気の塊と化し、領域を青紫色に染めながら暴れまわった)
        (その無秩序が、指向性を得て、前方の標的(セイバー)に振りかかる。雷電を纏うプラズマ体の放射!!!)
        “バスカヴィル家の犬”なのだから、執念深く貴様を追うぞ。ほら、今だってその背中から、唸る声の代りを投げようとしてる。
        「“すす”になってしまえ」と。(背後の黒犬が大口を空け、純白なのが寧ろ悍ましい牙を掲げ、喉から業火を吹き付ける)
        (ただの人が浴びたらば、すぐさま炭へ変わり果てる威力を持った、凄まじき業火が、セイバーの背へ迫っている)
        ここは俺の法律(ロウ)の支配下で、刑罰を与えるも縛り付けるも、俺の胸先一つで決まる。無機質に、死ね!!! -- キャスター 2012-05-12 (土) 23:48:11
      • (表情を僅かに歪めて)猟犬が私を追う?(背後から迫る業火の気配にフ、と笑って)
        いいわね、それ―――――
        (プラズマブラストをひきつけながら後方に向けて跳ぶと炎を吐き出す直前の黒犬、その頭を踏み台にして大きく跳躍する)
        丁度良いわ。
        (依然、こちらへ向けて襲い掛かるプラズマ。空中高く跳ぶと半月を背にして腰に帯びた刀を手にし)
        法律(ロウ)運命(フェイト)も全てを切り裂くだけよ!! 神刀(じんとう)!!
        (肉体と精神の合一から放たれる風の刃は先ほどのカマイタチとは規模が違う。剣気を、プラーナを、獣性を、闘志を風の顎と変えて)
        (向かい来る紫電を切り裂き、空からミグズに襲い掛かる!) -- セイバー 2012-05-13 (日) 00:03:50
      • (背後を一瞥もせず、跳躍をやってのける敏捷性と直感は流石だと万雷の拍手を送りたい。そう)
        (最善手だが─────魔術師(キャスター)を相手に不用意が過ぎる)
        (魔術師の恐ろしさとは何だろう。指先一つで台風を引き起こし、小さな農村ぐらいなら平地にしてやれる事だろうか?)
        (軍隊を引き連れて蹂躪でもすればそれに事足りるし、自然現象に任せれば労せずともそれが起こるかもしれない)
        (濁った魔力を展開して、剣を一振りするのと同じように火球を撃ち放つ事だろうか? それは、単なる武器に過ぎない)
        (伝承にある死を運ぶ黒妖犬を召喚し、襲い掛けさせる事だろうか? 否。見知って為舞えばそれは毛の生えた獣でしかない)
        (魔術師は、彼は、闇そのものだ。逢魔の世界を創りだし、裡側にあらゆる“恐ろしい何か”を秘める闇そのものだ)
        (濁流の底に何があるのか、何が流れてゆくのか、誰も知れない。巻き込まれて溺れかけた者以外は知る事もない)
        (本当に一番恐ろしいのは“何が来るのか解らない事”。剣士なら剣を操り、弓手なら遠くから何かを射るだろう)
        (定石が無い。譬え万全のちからを振るおうと、それではいけない。横合いから殴りつけられれば、真っ直ぐな力は容易く歪む)

        “運命”? 今、運命を斬り裂くと言ったか……???(半月の下弦が、琥珀色の虹彩へ映り、中心で狂気の輝きを放つ)
        (セイバーの背にある月光が、降り注いで“彼”の奥底にある、無限地獄を引きずり出す。そして、その言葉すらも冥府の門の鍵となる)
        ────じゃあ、やれよ。やって見せろよ!!! 今──すぐに、その大それた事を、俺の目の前で────!!!!
        (静かな月の冷静さを心の海に宿しているような、そういう平静は、時化のように消えて無くなり、荒れ狂う)
        (雷撃の防壁でも防ぎきれぬ、破魔の一刀を見定めると、怒声とは反して怖いぐらいに精確な手管で、懐から金色の短刀を手へ握る)
        《第一質料》(プライモーディアル・アース)──────串刺しの刑だ。運命がお前を“ずたぼろ”にする。
        (金色の短刀を地面に突き立てれば、短刀に宿りし《原初の土》と呼応して、孤児院の周囲に広がる土壌を隆起させる)
        (浮き上がるは、大地。ただの土が、堅牢な鍾乳石と化し、荊棘の鋭さを先端に宿して、幾多も地面から衝き立ってくる)
        (それは神刀の刃を相殺して、猶も増え続ける。中空へ見を躍らせたセイバーへ、目付きの鋭い大地が洗礼を下す)
        (即ち、槍衾。地は槍となり、風を切り突き立つ)ストラクタイト -- キャスター 2012-05-13 (日) 01:16:48
      • !!(瘴気が噴出した――かと思った。彼の、ミグズの叫びにはそれほどの狂気が秘められていた)
        (神刀を放って死に体となっていた身に大地が、槍となって襲い掛かる)
        くっ!(その幾つかを何とか切り裂き、ただの土塊へと還すが――数が多すぎる)
        (プラーナを込めた足で空中を蹴ってまだ幾重にも襲い掛かってくる槍衾から逃れようとするも)
        うっ!?(その一つが右肩を刺し貫き、真っ赤な血が流れる)斬……界!!
        (大地に旋空を突き立て、対魔力で地面を流れる魔力を断ち切るも浅からぬ傷を受けた後)
        悲しい人ね、貴方は……(ミグズに向けて言の葉を紡ぎ)強く運命に拒絶され、それ故に聖杯に願いを求めた。
        そんな眼をしている。(曇りなき眼光が、ミグズを貫いた) -- セイバー 2012-05-13 (日) 01:41:54
      • (魔導が溢れ返る。喰い放題もいいとこだ。人間性が凶暴な刃となり、月から魔力を抽出し、濁流が世界を蹂躪する)
        (半月の朧月を演出(バック)にして、キャスターの影が獣のように見えた。大地に伸展する黒い影が、彼の意識を表している)
        (濁った水底にあった“土左衛門”が水面に顔を覗かせたのだ。それは死人の眼窩であり、それを視認すれば視線から引きずり込まれる)
        (濁った魔力が色濃く変わる。天候の悪い空に浮かぶ、吊し雲が勢力を増すように、不吉な感覚が強まってゆく)
        どうした? 運命を斬り裂くんじゃなかったのか? 覚悟もナシにそんな台詞をほざいたのか? その口から?
        正義を言葉にしたその唇で、“運命を斬り裂く”などと、“逆らってみせる”ように。糞猫。糞猫、畜生、畜生ッッ!!
        その瞳は、乗り越えた者の眼だ。瞳孔が瞭然と定まり、未来を見据える強い瞳だ。畜生、畜生、畜生ッッ!!!
        擦り潰して、ミンチにして、犬の餌にしてやる。糞っ、なんでお前みたいのが生きて、俺は死んでるんだ。不公平だぞ、嘗めるな。
        見下して良いと思っているのか。そんな眼で、そんな眼で。たまたま運が良かっただけの癖に。苦労して、報われやがって!!!!
        (叫びは、背後の黒犬が聞き届けた。主人が哭き咽ぶ声を、大きな耳が吸い込んだ。そして、ただ直向きな獣の殺意と変わる)
        (膝を突いて、崩れた大地の砂へ涙をぼろぼろ落とすキャスターの傍から、大きな影が這い出でてきた。バスカヴィル!!)
        GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAhAHAAHAHHHHAA!!!!!!
        (猛然と、口の裾から炎をぼうぼう垂らしながら、ぎらぎら石炭の瞳を煌めかせ、大地を砕いてセイバーへ突進する) -- キャスター 2012-05-13 (日) 02:14:36
      • (右腕はまだ満足に動かない。精妙なる指先の操作を要求される抜刀居合い『早撃ち』は使えない)
        (すぅ、と呼吸をし)だからどうした!!(バスカヴィルを左拳で思い切り殴りつけた)
        ……痛っ!(力任せに叩き付けたせいで折れた左手の指に顔を歪め)…英霊の力というのも考え物ね。
        貴方が言っていることは無茶苦茶だわ。やはりキャスターは狂気の淵にいるようね……
        (向こう側で炸裂する閃光に目を細めて)撤退ね、残念だわキャスター。貴方と分かり合うことも、倒してあげることもできなくて。
        (右肩の傷が花盗人の不死性によって再生されると右手を軽く握り)
        ……この戦い、預けるわよ。(那智と合流し、その場から逃げ出して) -- セイバー 2012-05-13 (日) 02:27:35
      • (硬く強く握られて、血や汗を握りしめて、振り上げられた拳にバスカヴィルは弾き飛ばされる)
        (隆起して荒れ果てた大地にその横腹を擦りつけて、闇の黒毛に土埃をつけ、口の端から血を吹き出し、それでもなお立ち上がる)
        (主人の憤懣に触れたからだ。幾ら、邪妖精の黒犬といえど、犬であることに変わりはない)
        (決意を改める未来を見る瞳へ、主人の代りに睨みを返し、魂まで震え上がる吠え声を上げ、身を低くした)
        (涙に濡れた声帯から、そのときに差し止められる)……バスカヴィル。いいんだ……。もういい、もういいから。おいで……。
        (悲しみに憂いでいる。その悲しみはどこから来るのか、聖杯戦争そのものか、月の光の中からか、伺い知れない)
        (しとしと降りしきりの雨は、突然に雷鳴を響かせる。キャスターの顔が、憎悪に歪む。目の端が釣り上がり、白目が血走る)
        (バスカヴィルは彼の魔力の中にひっそりと姿を溶けこませて、消えた。今度は、キャスターが己の主人へと歩む)
        (何か、種が芽吹き蕾を咲かせたかの晴れやかなる表情をする主人へ向け、言い放つ)あの、薄穢い野良猫は、特に念入りに殺す。誰が見ても解らないくらい、ぐちゃぐちゃにしてやる。
        (ただの一行の言葉へ色濃い狂気が載っていた) -- キャスター 2012-05-13 (日) 03:07:20
      • (狂気に堕ちゆく己がサーヴァントを、まるで至高の芸術作品が完成しつつあるかの様な心持で、見つめる)
        貴方の力は見せてもらいました、素晴らしい…としか言いようがありません。いやはや、年甲斐もなく興奮させてもらいましたよ。
        (キャスターの、運命に抗えなかった負け犬の、身勝手な怨嗟の籠った一言に、満足げに頷き)
        ええ、ええ…存分にやりなさい、キャスター。セイバーだけではありません。
        他のサーヴァントにも、マスターにも…教えてやるのです。貴方の深い絶望を、悲しみを、覚悟を…憎悪をね
        (それだけ言うと、孤児院へと踵を返す、少しばかり土地が変形してしまったが、元より人等殆ど来ない僻地だ、関係ない)
        (キャスターからは見えない男の表情は、闘争の愉悦に、醜く歪んでいた) -- シャンゴ 2012-05-13 (日) 03:26:21
  • 何者かの使い魔と思わしき烏が頭上を旋回し、目の前に降り立った。
    その嘴には一通の手紙が咥えられており、そっと君に差し出す。内容はこうだ。

    『聖杯戦争に参加なさる、全ての皆様へ。各々マスターの証たる令呪が、その御身に刻まれたかと存じます。
    よって本日より、当「聖ジョヴァイト教会」は、公式的な中立地帯として、参加者各位に開放されることと相成りました。
    敗退が決定したマスターの受け皿や、不幸にも巻き込まれてしまった民間人の保護等、お気軽にご利用ください。
    この聖杯戦争が滞りなく、円満に終了できることを目指して。
    微力ながら私、シスター・ジュリエットが、監督役の任を務めさせていただきます。
    お気に留まる点が御座いましたら、是非一度お尋ねくださいませ』 -- 2012-05-11 (金) 04:49:37
  • スラムの外れ…ある孤児院の地下、おぞましき生贄の儀式を行う祭壇は
    祭事の熱狂とは程遠い静寂に包まれている…その祭壇の前の広間にある二つの影
    一つは金髪の青年、赤い龍の刺繍が入った、フード付きのジャージが特徴的だ。
    もう一人は…2mを越える、この街では珍しい、黒い肌の大男
    広間に人の血で描かれた円陣の前に座り、静かに瞑想を続ける
    陣の外部には、円陣を囲む様に五茫星、十字、その他ありとあらゆる陣が、本来の図とは逆さに描かれている
    -- 2012-05-09 (水) 22:47:53
    • なあ、俺魔術とかまだよくわかんねえけどよ…ホントにこれでいいのか?
      なーんかよく見る絵とは逆さな気がすっけど
      (瞑想を続ける男に、疑問の声をかける男。ある事情から魔術の才を得たとはいえ、その知識はまだまだ、駆け出しの者にすら劣る程度だ) -- 2012-05-09 (水) 22:50:32
      • ええ、これで問題ありません。(対して瞑想を続ける大男は、そんな青年の疑問を一言で否定する)
        私が今回呼ぼうとしているモノは、本来この陣を用いて呼ぶものとは、反対の性質をもつものですので
        (上半身裸の男は、淡々と己が意図を相手に伝える。その巨躯もさることながら、更に異様なのはほぼ全身を覆う様な)
        (入れ墨の様に彫り込まれた呪文式。魔術に精通する者なら、魔力を高めるもの、術の効果を高めるもの、その他あらゆる効果を持つ呪文が彫り込まれているのに、気づくだろう。) -- シャンゴ 2012-05-09 (水) 22:59:52
      • あーそうかい(ふん、と鼻息をつき)どーでもいいけど、ちゃんと呼ぶモンはしっかり呼んでくれよ
        こっちだってそれなりに苦労して集めたんだからな…失敗しやがったら承知しねえぞ
        (まだ疑いの抜けきっていない青年は、睨む様に大男の背へ視線を向ける)
        (その言葉が嘘では無いのは、何よりも殺気が物語っている。)
        しっかしまあ…こんなボロいメダル一つで何が出てくんだか…(大男へ、古びたメダルを投げ渡し) -- 2012-05-09 (水) 23:29:33
      • (投げられたメダルを、片手で受取り)
        わかっていますよ、カープ。貴方には感謝しています、貴方のおかげで、私はこの大いなる戦いに、最高のパートナーを呼び出す事が
        できるのですから(カープと呼ばれた青年へ微笑みかけると、受け取った触媒を陣に置き
        円陣の前へ戻ると、胡坐の様な姿勢のまま)
        (男は、呪文を唱え始める…) -- シャンゴ 2012-05-09 (水) 23:33:10
      • 素に銀と鉄。
        礎に石と契約の大公。
        降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
        -- 2012-05-09 (水) 23:35:55
      • 閉じよ 閉じよ 閉じよ 閉じよ 閉じよ(みたせ みたせ みたせ みたせ みたせ)
        繰り返すつどに五度
        ただ、満たされる刻を破却する
        -- 2012-05-09 (水) 23:37:53
      • ――――告げる。 -- 2012-05-09 (水) 23:39:41
      • 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
        聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
        -- 2012-05-09 (水) 23:40:37
      • 誓いを此処に。
        我は常世総ての善と成る者、
        我は常世総ての悪を敷く者。
        -- 2012-05-09 (水) 23:41:54
      • 汝三大の言霊を纏う七天、
        抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
        -- 2012-05-09 (水) 23:43:28
      • さあて、何が出てくっかね…(儀式の様を眺めながら、そんな事を呟く)
        (何れ、時が経てばあの学校からも、この戦争に呼び出される者がいるのだろうかと、ふとそんな考えが頭をよぎった) -- カープ 2012-05-09 (水) 23:46:59
      • (漆黒の闇の懐に、黒い“もや”が湧き上がる。高く積み上がった雨雲が気流に揺すぶられて空を黒く染め上げるように、)
        (逆様模様の儀式はくまなくそれに包まれる。乱層の雲が積み重なり、雨の予兆を絵画の如く上天へ映し出すのと似ている)
        (然れど、降り注ぐのは雨でも雹でも雷でも無い。祭壇が満杯になるまで、つがれた黒い“もや”はそこで動きを止める)
        (暖かくもなく、冷ややかでもない。湿っぽくも、乾いてもいない。明るくもないし、暗くもない)
        (見えるもの全て黒く包み込むのに、見えなくはならない。掴みどころを見つけたかと思うと、掌から抜ける水の様だ)
        (人の温もりを感じられたかと思えば、鋭い爪を串刺して血を縊り取る魔物の怖気が傍にある)
        (銀白色の朝陽が昇って、乱反射の輝きを世界中に広げたすぐそばから、日没して永遠の闇に生物を皆閉じ込める)
        (悪意もなければ、善意を持って接する事もしない。嬉しさを踏みしめて、悲しさを底抜けに落としてゆく)
        (濁流は遍く感情を内包して流れ行く。これは全てのものを流れの中にとどめている。この流れは全ての源であり、全ての行き着く先である)

        (もやは二つの瞳に、言霊紡ぐ唇に、五本四つの手指と足指に、臍と心臓に、からだへと姿を変えて、人影を浮かべる)
        (濁流に呑み込まれて何もかにもが輪郭を失っていた祭壇も、もとの表情を取り戻す)
        (儀式の成る前と後の違いはたった一つ。二つの人影に向い合せて、男が一人立っている)
        (穏やかに泰然としていながらも、芒洋とした鬱屈を胸中に溜め込んでいるような、異様な印象を与える青年は、)
        (軍服と軍帽の様な格好を纏ったいでたちで、漆黒色をした吸い込まれそうな髪を垂らして、)
        (無感情に眉一つも動かさずに、心底に憤懣の気焔を燃え上がらせ、驚く程冷めた頭と考えで二人を見詰めて、)
        (闇を覘かせず光を看過しない、濁流の魔力を濃霧よりも尚強く纏い、妖しき世界の亀裂から漏れ出るような強い力を脈動させた)
        (濁流の底に、息づく何かが見える。そこに沈んでいるのは、黒妖の獣である。牙を剥きだして、まなこを石炭の様に光らせる)
        黒犬(ブラック・タン)は祭壇をひと睨みして、青年の肩あたりへ、無形のままに渦巻き始めた)
        (“彼”が初めて、口を開く)

              BlackTan種の負け犬
              ────問おう、お前が俺の主人(マスター)か──。 -- キャスター 2012-05-11 (金) 02:19:36
      • …儀式は、成りました。始めまして、ジェラード・ブラックタン
        いえ、今は魔術師のサーヴァント、『キャスター』でしたな
        (獰猛な笑みを浮かべると、巨漢が立ち上がる。猛禽のような瞳が、ジェラードを見つめる。) -- シャンゴ 2012-05-11 (金) 02:29:57
      • はあ!?(もう一人の、ジャージの男が信じられないという声を出す)
        ジェラードって、あのジェラードか!?うちらの幹部、『愚者』と『塔』の知り合いで、『死』を倒した上
        サーヴァントまでぶっ潰したっていうあの!?
        …まあしかし、俺等にとっちゃ縁が深いといえば、縁は深いのかね…(しげしげと、呼び出された黒衣のサーヴァントを見ながら) -- カープ 2012-05-11 (金) 02:32:57
      • (痩せこけた野犬の、落ち窪んだ眼窩から覗く爛々とした瞳と同じ輝きが、彼の虹彩に宿っている。睥睨がシャンゴに向けられた)
        ────その名で呼ぶな。(その否定は、端的にして雄弁な存在証明となる。彼は、“黒犬”ジェラード・ブラックタンそのものだ)
        (されど、溌溂として生気に満ち溢れ、英霊への戦いにすら身を擲げうつ勇士の面影は無く、代りに狂気がそこへ詰め込まれている)
        (目を凝らし、暗中を手探る様にカープとシャンゴの姿を捉える。“まとも”でない臭いをすぐに嗅ぎつけて、喉の底から笑う)
        あ、は、は、は。その語り口に『死』(アラン・スミシー)の名前。おどろおどろしい祭壇には饐えた臭いときている。
        俺は“グリード”に喚ばれたのだな。あ、は、は、は。滑稽だ。……忌み嫌い、対立したあの、俺の対極に、今の俺が居る。
        終に俺の運の悪さもここまできたか。はは、はは。それどころか、あの黒花や傾奇者の様に、サーヴァントか。
        勘弁を願いたくても見逃してくれない、無限に織り成す地獄はこんがらがって、“これ”か。なんて、なんて、ザマだ……。
        (見かけは快活の笑い声でも、声帯が及ぼす声の波長は揺らぎ、狂気を内包する事を示す。顔に手を当て、手前勝手に俯いた)
        (濁流とも似た滂沱に流れる魔力のかたちは、また黒犬となって、“キャスター”の傍に寄り添う。離れることなく、従順に) -- キャスター 2012-05-11 (金) 03:00:54
      • ですがそれは些細なことでしょう?(キャスターの笑いを遮る様に、男が一言)
        かつての貴方とならともかく、今の私達は共に闘うべき戦友であり
        同じ目的を持つ協力者でもあり、主とその従者でもあります。過去の因縁は一先ず置いておき
        今は手を組み死力を尽くし戦わなくては、手に入る物も手に入りません。
        この場にこうして現れたという事は、貴方も何か、叶えなくてはいけない願いがあるのでしょう?(諭す様に、穏やかに語りかける)
        私の名はシャンゴ・ソポナ。グリードとしての名は『ヴァルチャー・グリード』と申します、以後お見知りおきを。
        (右手を差し出し、握手を求める。まるで自分は、キャスターの仲間だとでも言わんばかりに) -- シャンゴ 2012-05-11 (金) 03:24:26
      • (シャンゴの語調は論理的にして柔和であり、教会の神父が聖句へ講釈を添えて優しく語るのと同じく、崇高へ至る言葉の鎖となる)
        (されどキャスターは、それを理解して腑に落ちるには及ばず、口に入れて嚥下するは叶わず、吐き捨てて唸るように呼吸をした)
        (差し出された右手に平手を食らわして。矢を受けた獣の獰猛さをその瞳に宿らせ、言葉を犬歯で爪弾いて曰く)
        譬え貴様が世界の滅亡を願い、俺以外の何割の人々が死の淵に瀕そうと、数多の国が崩壊して全ての秩序が乱れようと、
        叶えたい願いがある。身を切り、魂を摩り減らし、心の硝子を曇らせて、後に残る俺の存在が煙や霞程度になろうとも。
        然し、主人以外を求める心算は毫もない。
        意のままに操れる嵐であり、大地の鳴動であり、尻尾を捲いて燃え上がる大火であり、全て呑み込む濁流であろうとする。
        貴様にとって俺は“そう”。求めれば掌でそれを起こそう、踏み鳴らして呼び覚まそう、叫びを上げて喚起しよう。
        賛美も憎悪もなく、ただそれだけだ。そして、俺が求めるはただ一つ。
        (祭壇の地へ跪き、立膝に腕を載せて、静かに呼吸をした後に吠え声を響かせた)
        俺に勝利を、さもなくば名誉ある死を。────よろしいか、主人(マスター)。 -- キャスター 2012-05-11 (金) 04:02:02
      • (差し出された手を払われてなお、笑顔を崩さぬ巨漢…否、むしろそれは、より満足げなものとなり)
        成程、慣れ合うつもりは無い、と…素晴らしい。(ただ短く、そう告げると)
        貴方の覚悟はわかりました、ならば私は…いえ、私達は(広間の入り口付近から、彼の信者達が続々と姿を現す)
        (その何れもが、期待と欲望に満ちた視線を、キャスターに送る。)
        全力を以て、この戦いに勝利できるよう、貴方のサポートを行っていきましょう。
        持て余す程の膨大な魔力も、使い切れぬ程の触媒も幾らでも用意して見せましょう。
        存分に力を振るい、敵を滅ぼしなさいキャスター。そして…
        我等の手で、聖杯を勝ち取りましょう(聖職者然とした先程までの様子からは想像もできぬ、獰猛な笑みを浮かべ)
        さあ、キャスター…戦争を、殺し合いを始めましょう… -- シャンゴ 2012-05-11 (金) 22:05:18
      • (嘗ての己ならば、手どころか申し出もにべ無く跳ね除けて、令呪の拘束すら引き千切り、己を縊り殺していただろう)
        (去来するは無常感にも似た、自分への失望だった。奇跡をちらつかされれば、溺者が藁を掴むが如く、それに縋り付く)
        (聖杯戦争に首を突っ込み、人々の平穏だけを祈って、限りない死地へ飛び込んだ“彼”はどこにもおらず)
        (孤独の寂寥に耐えかねて、心の表面を罅割れさせて狂気へ浸り、数多の他人を犠牲に吊るしあげてでも救いを求める)
        (そんな、浅ましい存在へ自分が変じてしまったのを、ありありと感じ取る。目の前の主人と同調してしまった事が最上の証左だった)
        (表皮に取り繕われた慇懃さを消して、純粋なドス黒い欲望を振りまく主人は、唾棄してもしきれない程に悍しく思える)
        有象無象の区別なく、立ちはだかる者は討滅してやろう。火蓋はもう、切られたのだ。仰せのままに。マスター。
        (闇の中で取り交わされた契約は、歪なひずみを秘めている。地獄の底からの金切り声もかくやという、軋みの音を立てている)
        (祭壇の魔の中で、円を描いた信徒共の視線に包囲されて、絶望的な覚悟を決めた。願いを叶えるという、薄穢い覚悟だ)
        (────その瞬間こそ、我らの聖杯戦争の始まり。地の底から上げられた唸りが、今、地表で鳴り響くのだ) -- キャスター 2012-05-11 (金) 23:06:06
  • では、始めますか… -- シャンゴ 2012-05-09 (水) 01:07:05

Last-modified: 2012-09-16 Sun 03:58:56 JST (4239d)