施設/バトリング場
- バトリングステージ --
- (バトリングのステージにゆっくりと異形の機体が入場する)
(例えるならば巨大な単眼を持つ白いゴリラ……機体名をゴーレム) (それはATとは異なる文明、別の技術体系により生み出されたゾイドと呼ばれる兵器にカテゴライズされる) -- ゴルゴラ
- (ゲートから足音を響かせながら、ゆっくりとダークブルーのATが現れる。武装はシールドとパイルバンカー。ザイルスパイトとミサイルはレギュレーションのために外されている。客席から見渡せる位置に進み、ハッチを開く)
(眩いばかりの照明に照らされ、小柄な影がシートから肩の上に移動する。一見すると酒場の踊り子のような服装だが、よく見ればスリングにヘルメットなどATにのるための服装をしているのがわかる) (客席からいっせいに起こるブーイングに挑発するように手を振り、身軽にシートに滑り込む) -- ヴィーネ
- (コクピットの中、ヘルメットの内で小さく口笛を吹く)大したもんだ……あの嬢ちゃん、あの年で場の盛り上げ方を心得てやがる
(客達は場違いな少女の存在に苛立ち、また彼女が無残に敗北する姿を想像して興奮を得る……ヒールにして、ヒロイン) (もし勝てば?それはスタイルとして受け入れられ、ヒーローになる 彼女に賭けている連中は特に、だ) (上手いやり方だ……こっちは俺がツラぁ出した所で意外性もねぇしな) なら……観客ども、ちょいと驚かせてやるか(コクピットの中、手早くコンソールを操作する 長年連れ添った愛機は即座に反応し) ドンッ(地面を強く踏む音と共にゴーレム……ホワイトコングの巨体が飛び上がり、障害物の上へと飛び上がる) ドン!ドン!ドン!ドン!(そうして、その場で大きく腕を広げ、ドラミングをしてみせる) -- ゴルゴラ
- まるでゴリラだな、ありゃ…(ハッチを閉め、モニター越しに相手をうかがう)だが、身軽さもゴリラ並みか…
グライディングホイールもついてない機体で、ついてこれるかな?(ペダルを踏み込み、踵と足の裏につけられたホイールを回転させる。障害物の上にいるホワイトコングを挑発するように、大きく周囲を迂回) (しながら、前、横、後ろと相手の機体を観察する。実際に戦うのは初めてだ) -- ヴィーネ
- (一見してすぐに分かるゴーレムの機体の特徴はまずその特異な形状
(そして手足の装甲があるのは正面にのみ、背中にも内部機構と直結していると思わしきパーツが露出している事だ) まずは無闇に仕掛けず見に回るか……冷静だな だが、そいつはこっちにとっても同じ事なんだぜ(モニターに映るナハトヴィーネの動きからコンピュータがその機体の能力を推定する) 全くの別技術、装甲やパワーは殴り合ってみねえ事には分からん、が……速さはこっちが上だッ (ゴーレムに命じ、障害物から飛び降りる……そのまま障害物を足場として横から蹴り三角飛びのようにして距離を詰める) -- ゴルゴラ
- (平地を疾走するスピードならローラーダッシュのほうが早い。しかし、障害物から障害物に飛び移る立体的な機動は、ATには出来ない速さだ)
く…(ATには出来ないスピードで直線距離を迫るホワイトコングに、小さく舌打ちし片足のターンピックを地面に突き立てて機体を一回転させる) (一回転させた後、再び同じ進路でローラーダッシュ。タイミングをずらし、着地したホワイトコングにタックルを入れんと、盾を構えて疾走する) -- ヴィーネ
- ターンピックかッ 方向転換が……速いッ!(着地の瞬間を狙われる……これは避けられない)
(ゴルゴラの反射が、ゴーレムへと伝わり激突の直後に反撃すべく衝撃へと備える) -- ゴルゴラ
- ギャリィ(右腕の盾が真っ白い装甲にぶつかり、火花を散らす)
(相手がきちんと防護の姿勢を取っていただけにタックルの効果は薄い)それなら…ッ! (ふくらはぎのジェットを展開し、点火!ホワイトコングを押すようにローラーダッシュのスピードをあげる) (同時に左拳のナックルガードを展開し、盾の下からアッパー気味にアームパンチ。火薬の爆発を利用した殴打で、装甲の隙間を狙う) -- ヴィーネ
- ガリガリガリガリッ!!(12tの巨体が押され、地面にゴーレムの両足の幅の溝が描かれる)
ドゴ!バギン(打撃音と共に装甲の隙間に拳をネジ込まれ、コクピットに火花が散る) (否、既にコクピットに相手のATの拳が生えている)い〜い思い切りだ……なッ(だが、ゴーレムが四肢に力を込めた瞬間、ピタリと動きは止まり) (相手の拳を装甲の隙間に咥えこんだまま、ゴーレムの機体を思い切り捻り、投げ飛ばしを仕掛ける) -- ゴルゴラ
- (ホワイトコングが身体をひねると、装甲に挟まった左拳が梃子の要領でもげる)
きゃっ!(腕部から排出された薬きょうを残し、ごろごろと機体が飛ばされる) (破損しないようジェットノズルをたたみ、回転にあわせて地面に拳の無くなった左腕でアームパンチ。上体を跳ね上げて体勢を立て直す) ふぅ…(と息をつく。距離が離れ、仕切りなおしだ。ターレットレンズが回転し、ホワイトコングの動きを注視する) -- ナハトヴィーネ
- ち、モニターはオシャカになっちまったか(装甲に挟まったままのナハトヴィーネの左拳を引きぬき、放り捨てる)
風通しも良くなっちまった……なッ(装甲の隙間からは直接敵の姿が見える 相手からも、こちらが見えているだろう) (コクピットに居るのはプロテクターとソフトメタルグロススーツに身を包んだ筋骨隆々の大男、肩までを覆う多機能ヘルメットで表情は読み取れない) 行くぜ、嬢ちゃん!これがこの試合、最後の勝負だ!(吠えるように言い、ヘルメットの内側で獰猛な笑みを浮かべる) (ゴーレムが急加速し、先ほどとは逆にタックルを仕掛ける 最高時速175kmの白い砲弾と化し、ナハトヴィーネを圧殺せんと迫る!!) -- ゴルゴラ
- ハァ…ハァ…(スコープ越しにホワイトコングの動きが見える)
ハァ…ハァ…(まっすぐにこちらに向かって突っ込んでくるのが見える。スピードはあるが奇襲ではない、素直な攻撃だ) ハァ…(落ち着いて待ち構える) !(直前に、グライディングホイールを逆回転、バックに入れる。左足のピックを地面につきいれて軸にして回転。回避を試みる) (同時に回転の勢いを乗せ、右腕のパイルバンカーを叩き込まんとする) -- ナハトヴィーネ
- ドンッ!!(避けざまに打ちこまれたナハトヴィーネのパイルバンカーがゴーレムのコクピットを貫く)
(ゴーレムはそのまま障害物に激突し……ゆっくりとコクピットのハッチが開放される) (中から現れた男は腹から大量の出血が見られる……位置的に、パイルバンカーが直撃したのだろう) (肉体が四散せず、またその状態で動けるのは超音速飛行する高高度爆撃機の背に乗っていられるゾイド人故か) (男はゆっくりとヘルメットを取る 黒い髪を褐色の肌を持つ壮年の男……それが不意に歯を見せて笑い) 嬢ちゃん……手前ぇの……勝ちだ(それだけ告げてごぼり、と血を吐いて倒れた) -- ゴルゴラ
- ギュゥゥゥ…ン(グライディングホイールの回転が止まる。確かに手ごたえはあった。ターレットがせわしなく回転し、ホワイトコングを見つける)
(ホワイトコングのコクピットが開いてパイロットが出てくると、勝利を確信し大きく息を吐く。シートに深くもたれかかる) (ハッチを開き、シートの上に立ち上がって客席に手を振る。ホワイトコングに賭けられただろう大量のチケットがまるで勝利を祝う紙ふぶきのように舞うなか、ヘルメットを脱ぐ。銀色の髪と汗がきらきらと照明に反射する) (倒れた相手パイロットをちらりと視線の端で捕らえ、何事も無かったかのように破損した機体でゲートの中に消えた) -- ヴィーネ
- 担架だ!早く担架もってこい!(スタッフが駆け込む) --
- (運びだされた男は幸い命に別状は無く、また男の機体はまるで己の意志があるかのように舞台を立ち去った) -- ゴルゴラ
|