TGD/0007
※誰でも見られる状態にあるため、特にRPなしで、既知の情報として扱って構いません。
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- ――2019年10月24日 山田 健一 記す。 --
- ●世界同時多発的に発生した、研究機関の不調と、宇宙放射電磁波の影響について
宇宙放射電磁波は、電子機器の不調と関連付く。
太陽フレアにせよ、ガンマ線バーストにせよ、地球が公転によって影響範囲外へと外れてゆくことで、その影響は収まっていくと考えられる。
電子機器が復調したのはおそらくそのせいだ。核電磁パルスによる半導体の破壊が起きていれば、影響は不可逆であり回復はありえない。
魚が浜辺に打ち上げられて大量死していたことや、鳥類の異常な飛び方にも説明がつく。
ここで、GNウィルスはNウィルスが電磁波によって変異したという情報があるが、
今回の宇宙放射線はそういった変異には関与していないと考えられる。
あるいは、Nウィルスがより感染力の強いものになった、という可能性も考えられなくはない。
しかし、世界同時多発的なパンデミック、という現象を考えれば不自然である。世界的に一様に感染力が強まる変異をする、という事態は考えにくいからだ。 --
- ●NウィルスとGNウィルスについて
『永野県の郷土資料から見る、ネクロウイルスとの関連』による情報を与太話と断じないならば――
いや、断じるべきではない。自治体に働き掛けて遺伝子の捜索を行わせるほど、この伝承が真実であると確信している何者かがいるからだ。
おそらくはAMAHO製薬だろうか。ここでは断定は控える。
これらの起源は、鬼女・紅葉の伝承にあるものと考えられる。
伝承にある怪物が、ネクロウィルスによる変異者であるならば、
鬼でありながら理性を保ち、紅葉様と慕われたとある鬼女・紅葉は如何なる存在であったか。
……鬼女・紅葉はGNウィルスによる変異者であろう。
GNウィルスによって、ゾンビ化――ゾンビ化という表現は適切ではないのならば、超人化――した存在であると、山田は考える。
おそらく、GNウィルスに感染し、保菌し、発症し、ネクロウィルスと同じような肉体の変貌を持ちながら、GNウィルス固有の作用によって、理性を保ちえた存在だろう。
その遺伝子を持つ存在、というのが、GNウィルスを保菌することの出来る遺伝子を持った存在、
聖心まほろば女子学園にて情報が集められていた、保菌者の候補たち、なのではあるまいか。 --
- 通常の人間は、GNウィルスを保菌することは出来ないと考えるべきだ。
根拠は二つある。一つ目は、通常の人間でも保菌できるのならば、保菌者になりうる存在を探す必要は無いこと。
二つ目は、注射によって接種した浦見や小学生たち、服用した瑠依歌に起こった身体の反応を考えてみることだ。
全身への高熱と痛み。これはネクロウィルスによる抵抗反応だろう。
ネクロウィルスと、GNウィルスが戦い、前者の数を減らしたものの
……浦見の肉体ではGNウィルスが増殖することができず（ウィルスは他の生物の細胞を利用して増殖する）
補給の得られない孤立無援の部隊は、ネクロウィルスの数の猛威に敗れ果てた。
結果として、症状の緩和こそ起きたが、GNウィルスが肉体に定着しなかった以上、それ以上の症状の改善は得られなかった。……こう考えれば筋が通る。 --
- ●GNウィルスの保菌者『天穂真秀』の、ネクロウィルス感染様症状について
ここでひとつ疑問が湧いてくるのが、何故GNウィルスを保菌しているはずの『天穂真秀』が、ネクロウィルス感染類似の症状を見せているのか、という問題だ。
体内に取り込んだネクロウィルスの量に応じて、ゾンビ化あるいは超人化が進んでいる。
おそらくは、ネクロウィルスを餌のようにして、体内のGNウィルスが活性化しているものと考えられる。
完全にGNウィルスが発現しきったとき、彼女に何が起こるかは未知数だ。
依然、共同探索にて保護する必要があるだろう。
- ●正体不明の薬剤『ネクラリス』について
抗生物質という名目で、天穂真秀に投与されていた薬剤。この存在は無視できない。
あるいは、事態解決の鍵になりうるものと考えられる。
これの正体として立てられる仮説は３つ。
��GNウィルスの活動を抑制し、周囲に感染を引き起こさせない。
��継続的な投与によって特定の遺伝子を活性化させ、GNウィルスを保菌しうる体質へ作り変える。
��そのほか、全く未知の作用。
�，砲弔い胴佑┐襦�GNウィルスの活動を抑制することが可能なら、ネクロウィルスも然りだろう。
根治させる薬とはいかないまでも、エイズウィルスの発病を予防する薬のようなものは開発できていたはずだが、
現状そのようなものは確認されておらず、国連軍も厳重な防護服着用のもと調査にあたっていることからして、�，任△覯椎柔�は低いと考えられる。
�△砲弔い胴佑┐襦�
GNウィルスを保菌しうる遺伝子は、時とともに鬼女・紅葉の血が薄まるにつれて、その性質を薄れさせていったのではあるまいか。
何らかの投薬――その成分については推測しえないが――によって、その遺伝子を活性化させる目的で投与していた可能性は考えられる。
聖心まほろば女学院にて情報を詳細にトラッキングされていた少女たちは、いずれもこの『ネクラリス』を服用していたのではないか。
その作用が誰に発揮されておらず、誰に特に発揮されているのか。それを見極めるための情報収集だったのではないか。
これは完全に山田の推測である。調査のうち、いずれ明らかになるだろう。
��の可能性は、決して忘れてはならない。先入観は真実を見抜く瞳を曇らせる。
真実に辿り着くためには、確実な情報から推論を重ねることだ。 -- 山田 健一
- ●『敵』とは誰か
『敵を殺せ。敵は近くにいる』。
感染が進んだとき、脳裡に現れる衝動。
これがネクロウィルスによって惹起させられている思考だとすれば、その矛先は間違いなく天敵であるGNウィルスの保菌者――天穂真秀だろう。
ここゴールドホームにゾンビが集まっている、その上夜に活動が活発化するのは、ゴールドホーム特有の現象だ。
おそらくここにしか存在しないGNウィルスの保菌者――天穂真秀が昼間は出かけており、夜の間はここに帰ってくる。
ゾンビの活動の活発さとの相関は、偶然とは呼べまい。
我々の中で、これまで以上にゾンビに近づいた者が生まれたとき、もっとも優先すべきは天穂真秀の身柄の保護だろう。 -- 山田 健一
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- ――2019年10月25日 山田 健一 記す。 --
- ●10月24日 医療コンサルタント 八女氏から得られた情報
▶ネクロウィルス関連情報
・ネクロウィルスは非常に変異する速度が早い。常に変異を続けることによって、ワクチンを無力化する。
・ネクロウイルスはアフリカに発生し、有史以前から人類と共にあった。
これに感染した者は、飢えと性欲だけを満たそうとする亡者の様になり、あるいは人を超えた怪物、鬼や悪魔とよばれる存在になりはてた。
・八女氏の見解：『世界各地の怪物伝説、その一部がネクロウイルスによるものならば、怪物退治の伝説がその対処法である』
・ネクロウィルスの本来の感染力は然程大した事はない。主に液体を伝い感染するほか空気感染もするが、40度以上にならないと活動が活発にならないはずだった（今は違う）。
・研究の成果なり資料なりがあるのはＡＭＡＨＯの研究所や、まほろば総合病院。だが、そこはウイルスの爆心地であり、防護服などが無ければさらなる浸食は免れない。
▶GNウィルス関連情報
・GNウィルスは、Graduated Necro Virus。まほろば総合病院で研究されていた。そこにはサンプルもあるはず。 --
- ●AMAHOの研究所やまほろば総合病院の探索についての注意事項（私見）
これらへ向かう場合、防護服の着用を推奨したい。
また、まほ液を摂取した人間は、多少なり状態に余裕があるか、
あるいはGNウィルスが少しでも体内に残留していればネクロウィルスに対する抵抗力があるはずなので、積極的な探索への参加を推奨したい。 --
- ●天穂真秀の父親のSSDから得られた情報
・父親は真秀に関する詳細なデータを追跡・収集していた。そこには、ネクラリスの服用状態も含まれる。
・真秀はネクロウィルスに感染したことで、GNウィルスの被験体に。
・真秀はGNウィルスを保菌できた。その理由は、生まれつきの抵抗力の低さ。
・その抵抗力をさらに下げるための薬が「ネクラリス」。これの継続投与により保菌は完全なものとなる。
・真秀へのネクロウィルスの投与によりGNウィルスの培養も可能
・真秀が保菌したまま一般生活を送らされていた理由は、本人への影響、周囲への影響と感染。それらを観測するため。
『新型ウイルスが、ネクロウイルスに対し救いの薬となるのか、それとも更なる毒となるのか？それを見極める必要があるからだ。』 --
- ●SSDより得られた情報からの推論
「ネクラリス」を服用しGNウィルスに対する抵抗力を下げれば、一般的な人間でも、GNウィルスの保菌者になれるのではないか。
体内に根付いたGNウィルスがネクロウィルスを駆逐したあと、「ネクラリス」の服用をやめれば、身体の抵抗力は元に戻り、GNウィルスは免疫機構によって排除される。
その後には、双方のウィルスが駆逐された、健康な肉体が残るだろう。
※『「ネクラリス」の服用をやめれば、身体の抵抗力が元に戻る』ことの根拠は、継続的な服用が必要であったこと。効果が不可逆であるなら、それは必要ない。
※『GNウィルスは通常の免疫機構によって排除される』ことの根拠は、抵抗力の低い真秀だけが体内にGNウィルスを保菌できたこと。これを逆にいえば、抵抗力が高ければGNウィルスを保菌できない。
この仮説の懸念点は、「ネクラリス」の効果の程度が未知数であること。
「ネクラリス」はもともと抵抗力の低い真秀のための薬品であり、一般人の抵抗力をどこまで下げることが出来るかは不明である。
しかしながら、サンプルおよび製造方法を入手し、然るべき研究機関に引き渡せば、そう遠くない未来に一般人用の「ネクラリス」が作られうるのではないか。
その根拠としては、真秀の父親がネクラリスの製造について「すぐに作られた」と記述を残している点がある。
薬品としては、そう難しいものではないのかもしれない――多分に希望的観測が混じっていることは付記しておく。 --
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- ――2019年10月26日 山田 健一 記す。 --
- ●はまぐり
《「浜栗」の意という》マルスダレガイ科の二枚貝。内湾の砂泥地にすみ、殻は丸みのある三角形で、殻長8センチくらい。
殻表は滑らかで、黄褐色に褐色や紫色の模様のあるものが多い。
北海道南部より南に分布。養殖もされる。殻は貝細工・胡粉 (ごふん) の材料。《季 春》「からからと―量る音すなり／松浜」
出典：デジタル大辞泉（小学館）
Ｎウィルスパンデミックとは何の関わりもない。
山田はそろそろ新鮮な海産物が食べたい。
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- ●ＡＭＡＨＯ製薬研究所跡にて、国連軍特別捜索隊隊員より得られた情報のまとめ
・ネクロウィルスの研究はＷＨＯが世界各国に依頼したもの。それを民間受託したのがＡＭＡＨＯ。
・しかし、ついでに別の研究もしていた。
・現状パンデミックしているネクロウィルスは、人為的に進化速度が速められたもの。
・事件の首謀者である天穂博士・ＧＮウイルスのアンプル・「ネクラリス」の現物はすべて『隊長』が保護している。
・『隊長』の所在は中央区にある天文台。 --
- ●本日ラジオより受信された音声
『…ザ…ちら国連ＷＨＯ特別捜索…まほろば記念天文台に籠城中だ！至急救援を…長くは保たない…！
…ウイルスおよび首謀者…者のための薬物を確保しており…ザザ…ザム…』 --
- ●上記から導かれる、喫緊の行動
まほろば記念天文台に籠城しているのは、『隊長』で間違いないだろう。
そこには首謀者である天穂博士と、ＧＮウィルスのアンプル、「ネクラリス」の現物が存在する。
そして、彼らの状況は切迫している。
したがって、探索班は全隊で『まほろば記念天文台』を目指し、これの救援にあたるべきである。
何隊かでも辿り着ければ、彼女らを助け出せる可能性はある。
物品に関しては後からの回収が可能かもしれないが、本件の首謀者である天穂博士が死亡しては、失われる情報があまりにも多すぎる。
彼女の持つ改造ＮウィルスならびにＧＮウィルスに関する詳細な情報が失われては、
これからの未来において、人間世界を復旧するにつき、致命的な悪影響を及ぼす可能性すら考えられる。
彼女を救出できるか。このことに――非常に皮肉なことに、世界の命運が掛かっている。
今、山田が提案しても、乗ってくれる者は多くないだろう。それどころか、かえって逆効果となってしまいかねない。
誰かがこれを読むか、自発的に気が付いて、皆に働きかけてくれることを祈るほかない。
『天穂博士の救出には、命を懸ける価値がある』
この見解が、仲間たちに共有されることを切に願う。 --
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- ――2019年10月28日 山田 健一 記す。 --
- ●天文台にゾンビが集まっている理由について
報告を受けるにつけ、天文台への道中にゾンビがあまりにも多すぎる。
天文台に向けて途方もない量のゾンビが集まっていると考えるべきだろう。
かつて、天文台から発せられた放送のことを考える。
ゾンビの襲撃を受けてバリケードを突破され、全滅した。そんな放送だった。
とすれば、その時から既に、ゴールドホームにおける天穂真秀と同じか、それよりも強力な誘因が天文台に存在していたことになる。
そうでありうる存在とは何か。
手持ちの情報から考えうるものは、天穂真秀より強力な保菌者の存在だろう。
しかし、彼女より強力な保菌者の存在は否定されている――死亡した国連軍の兵士の証言では、彼女が第一目標だったはずだ。
少なくとも、AMAHO製薬より提供された情報の中には、天穂真秀以上の保菌者の存在は報告されていないと考えるべきだろう。
とすれば、残される可能性は――
鬼女・紅葉。
我ながら、突拍子もない仮説だ……。 --
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- ――2019年10月29日 山田 健一 記す。 --
- ●温泉
ちょうきもちよかった。 --
- ●もっと具体的に？
本日入浴したのは、木曽山脈沿いに湧く御岳温泉である。
御嶽山のふもとに湧き出す茶褐色の濁り湯は、天然かけ流し。
泉質はナトリウム・マグネシウム・カルシウム炭酸水素塩・塩化物温泉。
このナトリウムやマグネシウムを豊富に含むことで、それらが空気と反応することで茶褐色に変色するのだ。
その温泉成分がまろやかな肌触りで体を温めてくれる。
効能は神経痛・筋肉痛・関節炎・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり、うちみ、
くじき・慢性消化病・痔疾・冷え性・病後回復・疲労回復・健康増進・きりきず・やけど・慢性皮膚炎・虚弱児童・慢性婦人病とある。
ゾンビ化、と付記されていれば最高だったのだが、そこまでは望むまい。
疲労回復と関節のこわばりに効いてくれるのが、慣れない防護服での行軍に疲れ切った体に実に心地よい。
ちなみに温泉の底に湯の華と呼ばれる泥が溜まっているが、これは沈殿した温泉成分で、これを掬って水道水に溶かすだけでも温泉としての効能は十分である。
泥の貯まるタイプの温泉地ではよく販売されているので、一度試してみてはいかがだろうか。自宅で手軽に本格的な温泉が味わえる。
ただし、追い炊き可能な循環釜には適さないので注意されたい。 --
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