№６の追憶

名簿/456110

レネス・ファイルカスタム
シロマル・ルーデンス
ギア・ハークマンの悪問・答え合わせ -- 2011-09-13 (火) 21:48:23
- 純粋魔道学部第八教室所属生。
  レネス・ファイルカスタム。
  シロマル・ルーデンス。
  ギア・ハークマン。
  前へ。 -- 諮問委員 2011-09-13 (火) 21:49:43
  - はい。 -- レネス 2011-09-13 (火) 21:50:07
  - はいはい。 -- シロマル 2011-09-13 (火) 21:50:28
  - うむ。 -- ギア 2011-09-13 (火) 21:50:45
  - （三人を満足げな顔で見回し）……三名を、院生として迎え入れることを承認します。
    おめでとう。より一層の努力と活躍を、期待しているよ。 -- 諮問委員 2011-09-13 (火) 21:52:18
  - ま、やることは変わんないだろうけどね。正直権限もそんなに増えるわけじゃないし。 -- シロマル 2011-09-13 (火) 21:53:08
  - 名誉なことだろう。
    それほど広き門でもないのだ、甘んじて、そしてたまには歳相応に喜べ、シロマル。（ぐしぐしとシロマルの頭を撫でる） -- ギア 2011-09-13 (火) 21:54:01
  - 文書の閲覧制限が解けるだけでも大きいと私は思いますけどね。
    史書室には本日付で解除は入るのですか？ -- レネス 2011-09-13 (火) 21:55:37
  - ああ、キミたちに新しい学生証を配ったその瞬間から、キミ達の権限はすでに院生のそれになる。
    加えて、大いなる功績を残すときのために、学会で使用する二つ名が与えられる。
    前時代的だと思うが、これが中々面白くてな。本人がどれだけ嫌がろうが、数年後に功績を残した頃には自分で認めたその二つ名で呼ばれることになる。
    ……しかし、キミたち、本当にこれでいいのかな。ボクが言うのもなんだけれど。 -- 諮問委員 2011-09-13 (火) 21:58:23
  - ええ、もう決めたことですから。
    私は、それだけの覚悟を以って生きていくことにしました。 -- レネス 2011-09-13 (火) 21:59:34
  - 同じく、だ。
    安いものだ、これくらいはな。 -- ギア 2011-09-13 (火) 22:00:15
  - あー、すいません。
    俺事前に書類送ったやつから変えていいですか、二つ名。 -- シロマル 2011-09-13 (火) 22:00:56
  - この期に及んでですか。 -- レネス 2011-09-13 (火) 22:01:22
  - マイペース甚だしいな。 -- ギア 2011-09-13 (火) 22:01:48
  - まあ、それは構わんよ。何せデータ上のものだ、今手元でも変更は利く。
    ただし口頭承認の裏づけとして、あとで公式文書としても出してもらうよ？
    ……確か、キミの二つ名は『ラウドエフェクト』だったね。
    キミの研究内容とも合致しているのはボクも聞いている。……何か、他にいい名を思いついたのかい？ -- 諮問委員 2011-09-13 (火) 22:04:10
  - 別に。
    ハードル上げられても、俺そんな面白いこと言えないよ。
    ただ、二つ名はこうしといてください。
    ――『シロマルエフェクト』で。
    （しれっと言うが、目だけは笑っていない） -- シロマル 2011-09-13 (火) 22:05:20
  - （その言葉に、目を細める）
    ……そうか、キミも、名前を背負うか。
    ……辛い道になると思うよ。それは。
    自分の身、能力一つで生きていかねばならない魔導師というのは、過酷な道だと聞くからね。 -- 諮問委員 2011-09-13 (火) 22:06:31
  - 構いません。
    俺はもう、この先、誰が相手であろうが負ける気がしないんで。
    今までもそうだったから、ここに立ってる。これからもそうしていくだけです。
    ただ、このままだと、俺の両隣にいるライバルにだけは、負けそうな気がして、背負うことにしました。 -- シロマル 2011-09-13 (火) 22:07:46
  - （口に指を当てて笑う）……大きく出ますね、そして、人を大きく出しますね、貴方は。
    ……いいですよ、私も、貴方とギアにだけは、負けるつもりは更々ありませんから。
    貴方も私のように、自分の名を背負うのだったら、これは好敵手として嬉しい限りですね。 -- レネス 2011-09-13 (火) 22:09:19
  - ……心強い好敵手が出来たものだ。
    例えここで俺が何を言おうが、聞く人間でないことは、俺たちが一番よく知っているからな……。
    （頬の火傷を撫でる）……共に背負ってくれるならば、本当に心強い。 -- ギア 2011-09-13 (火) 22:10:46
  - まあ、正直これくらいの馬鹿やんないと、俺キャラ薄いし。
    広まるであろう誰かさんの噂を更に衝撃的な噂でかき消そうとするような馬鹿とは、
    自分が友人の頬を焼いたことをことさらに強調する二つ名背負う馬鹿とは、
    その頬を持って人の顔が分からない誰かが自分だと分かるようにその傷をあえて残す馬鹿とは、
    肩並べられる気がしないんで。 -- シロマル 2011-09-13 (火) 22:14:13
  - ……誰のキャラが薄いんですか。（楽しそうに笑う） -- レネス 2011-09-13 (火) 22:15:09
  - 青春と友情の代償には、これくらいが丁度いいかもしれんな。（同じように笑った） -- ギア 2011-09-13 (火) 22:15:43
  - ……キミたちは、いい仲間を持ったね。
    では、以上を以って――。 -- 諮問委員 2011-09-13 (火) 22:16:14
  - 『真火のファイアカスタム』
    
    『シロマルエフェクト』
    
    『フライフェイス』
    
    以上の三名の、院生試験を、修了とする。 -- 諮問委員 2011-09-13 (火) 22:17:19
  - 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　エクァールト・イヴライア・ヘルベチクァの過去問・了 -- 2011-09-13 (火) 22:18:18
エクァールト・イヴライア・ヘルベチクァの悪問・答え合わせ -- 2011-09-13 (火) 21:18:31
- その暗闇の中で、エクアは身を起こす。
  朝はどんなに憂鬱でも、それほど長くは寝ていられない。
  級友には意外だといわれるが、あまりだらだらと続けることは、性に合わないのだ。 -- 2011-09-13 (火) 21:22:12
  - 今に向かう。
    それでも、小さじ数杯分の躊躇いで、少し遅くなってしまった。
    馬車の時間にはそれでもだいぶ時間はある。
    向かわなくてはならない、どんなに憂鬱でも、そのリビングへ。 -- 2011-09-13 (火) 21:23:53
  - 「おはよう」
    エクアが言う。 -- 2011-09-13 (火) 21:24:18
  - 「おはよう」
    「おはよう」
    父母が返す。 -- 2011-09-13 (火) 21:24:50
  - （ここからは。わたしの問題だった）
    （だったら、解答は、幕引きは、最後の〆はわたしがしなければならない）
    （色んなものを犠牲にして、ようやくここに存在できる自分が、いつまでも俯いているわけにはいかないから） -- エクア 2011-09-13 (火) 21:27:44
  - ……本当は、怖かったんです。
    きっと、ゼンアード教授やシークエンス助教授は、わたしを過大評価してくださったんでしょうけれど。
    ……わたしは、それほど自己犠牲精神に溢れた人間ではないのです。
    ただ、単に……15年間、ずっと怖かっただけなんです。
    本当のことを、確かめるのが。 -- エクア 2011-09-13 (火) 21:29:50
  - わたしは、こんなですから。
    新しい人間関係の中に入っていくのが、とても苦手です。
    人は、自分のパーソナリティを認めてもらいたがるものですから、誰が誰か理解できない人間を、傍に寄せてくれるわけがありませんから。
    だから、わたしは得たものを失うことが、とても怖かった。
    ……欺瞞だと分かっていながら、正統な理由をつけて、真実から目を背けていたんです。 -- エクア 2011-09-13 (火) 21:31:42
  - この幸せな嘘は、わたしにとって本当に心地のいい場所でした。
    わたしの15年が幸福であったのは、わたしを騙してくれたお父さん、お母さん、貴方たちのおかげです。
    でも、だから、貴方たちのその好意にこれからずっと甘えるわけにはいかないことも知っています。
    もう、わたしは子供じゃない、立派な大人なんですから。 -- エクア 2011-09-13 (火) 21:34:20
  - （少しだけ目を伏せ）
    乖離、しているのでしょう。心と思考が。
    貴方たちの活動原理は、ゼンアード教授からかいつまんでではありますけれど、聞いています。
    ですから、貴方たちがゼンアード教授との話の中で、自分たちとわたしの生前の父母を「他者として捉える」発言をしたことからも、明確です。
    ……貴方たちは、心を参照することはできても、心を持つことはできなかった
    もし、そこに心があったのだとしたら、回路の中に生じた、貴方たち自身の心に他ならないと思います。 -- エクア 2011-09-13 (火) 21:36:56
  - だから、辛かったんでしょう。
    苦しかったんでしょう。
    誰かの心だけを、ずっと借り物として使い続けることが。
    貴方たちは、貴方たちでしかなかった。わたしの父親と母親には、なりきれなかったんです。
    ……だから、もう、終わりにしましょう。
    わたしに悲しみをください。最後にわたしは、安らぎをあげますから。 -- エクア 2011-09-13 (火) 21:38:36
  - （椅子から立ち上がり）
    （礼をした）
    （育ててくれたことと）
    （嘘を吐きつづけてくれたことと）
    （わたしの父母であったことに）
    
    ……いままで、ありがとうございました。
    お疲れ様、お父さん、お母さん。 -- エクア 2011-09-13 (火) 21:39:52
  - （がしゃんと）
    （何かが倒れる音が聞こえた）
    （見れば、音もなく、私の父親と母親は活動を停止していた）
    
    （知っていた）
    （ゼンアード教授から、聞いていたのだ）
    （魔道器が脳を読み取り、その電気信号を把握するために頻繁にアクセスしているのだとしたら）
    （その技術力の骨子を見て、持って20年だと）
    （だから、わたしの父母は焦っていたのだ）
    （15年目という節目を迎え、これから先いつ活動を停止するか分からない自分たちの二度目の死を恐れ）
    （恐れていたからこそ無謀にも近い交渉に乗り出たのだ） -- エクア 2011-09-13 (火) 21:43:19
  - （日常は、ラッパの音も、盛大なファンファーレもなく、そんな形で幕が引かれた）
    （一人になった、いや、最初から一人だったその家で、わたしは静かに両親の死を悼んだ）
    （例え欺瞞であろうとも、わたしの15年は、誰のものとも替えられない、わたしのものでしかなかったから） -- エクア 2011-09-13 (火) 21:45:43
  - （それでも、わたしはここから進んでいくことを決めていた）
    でないと。
    ……あの三人に、置いていかれちゃうからね。 -- エクア 2011-09-13 (火) 21:47:14
　ヘルベチクァ　の問題５ -- 2011-09-13 (火) 05:06:25
- （振ろうと思った右腕が、思い切り捻り上げられて、喉奥から苦悶の声が漏れた）
  （魔術の構成が解き放たれ、描いていた魔法陣が霧散する）
  （抵抗する間もなく三重の縛鎖が一瞬で編みこまれ、魔法そのものを封じ込まれる）
  （この縛鎖は見たことがある、これは、ゼンアードの――） -- シークエンス 2011-09-13 (火) 05:08:49
  - ……言ったろ。オメーは目撃者だって。
    いずれな、第八教室はオメーが回していかねーといけねーんだ。そんなに血の気の多い頭で、どうするんだよ、オメーはよ。
    （言いながら、タバコを一本取り出し、吸う）……物語の〆には、タバコの一本でも吸って、一息入れるくらいの心の余裕持てよ。でねーと、いつまで経ってもオメーにあそこ、任せらんねーだろ。
    （言って、セータを拘束から開放し、頭をぽんと叩き、その口に自分が火をつけたタバコを咥えさせてから一歩前に出る）
    不躾に、そして突然の訪問すみませんね。……オレの予想が正しければ、エクアの。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 05:12:25
  - ええ。父です。 -- 男 2011-09-13 (火) 05:14:43
  - 私が、母です。 -- 女 2011-09-13 (火) 05:15:15
  - （右腕が解放され、一歩だけ蹈鞴を踏む。口に咥えさせられたタバコはそのまま地面に吐き、消す。思い出すから、煙の匂いは嫌だと知っているはずなのに、忌々しい）
    （顔のない人間は、どこから声を出しているのか、流暢な言葉で言葉を告げる）
    父、と、母……エクアの、ってことか。
    ………（馬鹿げている。この光景の意味は、一体なんなんだ） -- シークエンス 2011-09-13 (火) 05:16:46
  - では、改めて自己紹介します。オレは、ゼンアード・ギュスネイブル。エクアの通う大学の教授をやっています。
    もしかしたらご存知かもしれませんが、研究室を持っていまして、お嬢さんはオレの教室の所属ってわけです。
    いわば、担当というわけです。
    こっちのはセータ・シークエンス。画面の端で驚いて泡を吹くために生まれてきたやつなので、特に覚えなくていいですわ。どうせ片思いの女の子に未だにきっちりとした　
    ……お前、膝で脛ってちょっと威力考えろよ……。（蹲る） -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 05:19:47
  - そのご様子では、既に色々ご存知なのでしょうね。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 05:20:49
  - ……秘匿は、私たちに許可をされていませんので、答えうることは全てお答えします。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 05:21:32
  - （その喋り方に、頭の中でピンとくるものがあった）
    ……疑人、の類か？ -- シークエンス 2011-09-13 (火) 05:22:37
  - （問答無用でセータの後頭部を拳で殴る）……オメーな、思ったこと全部口に出してんじゃねーよ。違った場合どう責任取んだよ。失礼な。
    ……もし失礼に当たった場合は、オレが代わりに謝罪をします。協力していただけるにも関わらず無礼を、お許しください。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 05:24:14
  - いえ。
    当たらずとも、遠からず、というところです。
    それに、我々の姿を見て、そう思われることも無理はないでしょう。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 05:25:13
  - 我々は、金属部品と生体部品を元に作られた疑人ではなく、
    正確に言えば生体魔術部品を使って作られた人造の生命体です。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 05:27:08
  - 嘘、だろ。ホムンクルス、ってことか……！？
    大陸の条約で四重懲罰の国罪だろ！？　正気の沙汰じゃない……。 -- シークエンス 2011-09-13 (火) 05:28:05
  - いや、違うな。見たところ、思考演算は生体部品から行っていない。
    オメーだってある一定の規則性を感じたから擬人とか失礼なこと言ったんだろ……？
    秘匿は許可されていないが、虚偽を告げることについては制限がない、っていうことでしょうか？（新しいタバコを吸いながら言う） -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 05:30:41
  - ……そうですね。正確には、ホムンクルスなどという高尚なものではなく、
    ただ、人の技術で生み出した、未完成の代替品、というのが我々を呼称する正しい呼称名でしょうか。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 05:32:32
  - 順を追って話すのが筋でしょうが、貴方は我々の目から観測させていただいた結果、聡明な方でいらっしゃる様子。
    かいつまんで、説明させていただきましょう。
    我々は、作られた生命でありながら、エクアの父母でもあるのです。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 05:34:20
  - 買いかぶらんでください。こっちはただの節介中年教師なんだ。順を追っていただけるのであれば、そうしていただくのがありがたい。
    例えば、今は貴方がたがエクアの父母であるのだとしたら、本当の父母はどこにいるのか。
    あるいは、オレの予想が大きく外れていて、エクアも貴方たちの同類であるのか。まずその二択から答えていただきたい。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 05:36:30
  - そちらこそご謙遜を。
    お答えしましょう。ゼンアード教授。
    貴方が思われているように、エクァールトは真っ当な人間であり、
    彼女を生んだ親は我々そのものではありません。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 05:39:22
  - 彼女の親は、我々の創造主でもありました。
    つまり、我々という存在を作り出したのは、ヘルベチクァ夫妻……エクァールトの産みの親ということになります。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 05:39:38
  - それでいて、貴方がたがエクアの父母を名乗る理由。
    ……あまり気は進みませんが、お聞かせ願います。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 05:40:43
  - 我々は、生体脳を魔道器で反応させ、質疑応答をするヘルベチクァの最後の技術生命体なのです。
    そして、今我々に搭載されている脳は、エクァールトの父親と。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 05:42:15
  - エクァールトの母親の物です。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 05:42:49
  - 承諾型人体、実験……。どっちにしろ、国罪には代わりないじゃないか。
    しかも、悪趣味すぎる……何故、人の顔も持たない人形に、自分の脳を……。 -- シークエンス 2011-09-13 (火) 05:44:35
  - やむを得なかったのです。
    彼らは、脳を残して肉体活動を停止してしまったのですから。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 05:46:45
  - それは突発性の死でした。
    原因も我々には分からない病によって、突然命を落とした彼らが残した防衛機構が、彼らの死後に働き、我々は生まれました。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 05:47:01
  - 我々は脳を取り出しました。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 05:47:57
  - 我々は脳を手に入れました。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 05:48:13
  - ……どうも、取り止めがないのは、恐らく思考の中枢が脳にないからでしょうか。
    脳外科は専門ではありませんし、もし専門にしていたとしてもヘルベチクァが恐らく生涯を賭けて生み出した技術を理解できようはずはありません。
    ですが、噛み砕いて言えばその技術は思考のために必要な知識を引く辞書として脳を利用している。
    ……ホムンクルスとの違いは、恐らくそれだ。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 05:50:29
  - 自律思考ではなく、索引思考……擬人寄りの技術か……なんで、そんな面倒なことを。
    法に触れてまでなんでそこまでの回りくどい技術を……擬人では満足できなかったのか……？ -- シークエンス 2011-09-13 (火) 05:51:33
  - ……真実はどうか知らねーけどな、考えりゃ、分かるぜ、気が沈む話だけどな。
    脳を素体として使った場合、経験や知識以外にも引き出せるものがあるだろ。
    ……心だよ。感情の存在だ。価値観や思考、そこまで引き出せる技術が、恐らくヘルベチクァの人工生命技術なんだ。
    それに、思考演算を全て魔道器に任せるよりは、辞書としても手軽で済む。人道が、供給先がどうかという問題だけを棚上げすればな。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 05:55:04
  - それにな。ここから先も憶測だ。
    死後に自動的に自身の脳を摘出し、人工生命体に移植するような用意があったってことは、恐らくエクアの両親は自身の死を予見していた。
    あるいは、それこそが目的だったのかもしれねーな。
    自身の死が分かっていたから、ヘルベチクァ夫妻はその技術の研究に手を染めた。
    悲劇なのは、その夫妻が禁忌を超えてという条件付で、その技術を確立させるだけの知識を持っていたことだ。
    大した技術だよ……考えもつかねーからな。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 05:57:49
  - 概ね、その通りです。
    詳しい誤差についてご説明差し上げましょうか？ -- エクアの父 2011-09-13 (火) 05:58:34
  - 結構だ。
    ただ、一つ聞かせて欲しい。
    何故、貴方たちには顔が存在しない。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 05:59:22
  - お答えしましょう。
    二つ理由があります。
    一つは、必要がなかったからです。我々は外界を魔道器で捉えています。
    人間の入力装置は目、耳、鼻、口、肌という五感ですが、そのうち視覚、聴覚、嗅覚、味覚という四感については、すべて顔に関係をしています。
    その感覚器を通さずとも、外界を俯瞰で捉えることが出来る脳部の魔道器があるため、必要がなかったのです。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 06:01:54
  - もう一つは、顔だけは作ることが間に合わなかったのです。
    顔面とは、人間の造作の中で内臓と並んで複雑な機構をしています。
    元々脳魔道器が外界を四感なしに捉えることが出来るということについて、ヘルベチクァ夫妻は理解していたようです。
    ですから、内臓の研究を先に行っていたのでしょう。簡易内臓ができ、いざ顔面に取り掛かろうというときに、二人の寿命は尽きてしまった。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 06:04:19
  - ……なるほど。
    理解できました。
    その内容から、貴方がたが生み出された理由というのは……。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 06:05:08
  - はい。
    エクァールト。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 06:05:54
  - 相貌失認を患っていた、娘の養育のためです。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 06:06:33
  - なるほど。
    だから……顔は、いらなかったわけだ。
    どうせ、見えないから……。
    ……理解、できましたよ。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 06:07:25
  - エクァールトの父母の病気が発覚したのは、まだ彼女が生まれてもいないときでした。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 06:08:44
  - ですが彼らはは、どうしても自分たちの生きた証を。
    子供を産むことを諦めることができなかった。
    だから、我々を作る研究に手を染め、自らの脳を、心を移植することによって、
    「彼女の父母」を作り上げたのです。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 06:09:32
  - そして今に至ります。
    エクァールトは、すでに15歳という成人を迎えた。
    我々の役目は、終わりつつあります。
    自死のプログラムも、魔道器にはされています。
    ……ここまで言えば、我々が貴方がたに真実をお話した理由も、お分かりになるでしょうね。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 06:12:21
  - 協力者、か。
    確かにな。……その方が、合理的ではある。自然だもんな。
    顔のない生命体の処分なんて、エクアの知らないところで行うのは、中々に難しい。
    だから、貴方がたはエクアの成人の後にここに踏み込み、真実を語れる相手を探していた。
    ……早めに恥ずかしい演説のように身分を明かした甲斐があったっていうもんです。
    何せ、エクアの父母を殺せる、協力して差し上げられる人間だと、評価されたわけですからね。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 06:14:27
  - ――――ふ。
    っザケんなああああああああああッッ！！！ -- シークエンス 2011-09-13 (火) 06:15:35
  - （羽交い絞めにし、地面に叩きつける。それでも暴れるセータの両肩を、地面に押し付ける）
    ……辞めろ。セータ。……辞めろ。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 06:16:31
  - ――離せぁああああッッ！！！
    一発ぶん殴ってやんねーと気がすまねーんだよぉぉおっ！！！
    （全力でその拘束を抜け出そうと、もがく）
    （頭を押さえつけられ、地面との摩擦で傷口が開き、顔が血に塗れる） -- シークエンス 2011-09-13 (火) 06:18:00
  - 無駄です。我々に痛覚は、存在しません。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 06:18:50
  - 非合理です。貴方の視界から察するにその拳で殴打する先である顔は、着脱可能ですから。
    手が、痛むだけです。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 06:19:47
  - ゼンアード、頼む、関係ねえ、一発だけ殴らせろ、一発でいい、頼む、脳みそブチ切れそうだ。
    今まで生きてきた中で二番目くらいにムカついてる。はらわたが煮えくり返るってこういうことを言うんだな。本当、堪えがたい、思いっきりぶん殴りてえ……！！
    許せん、本気であいつらだけは許せねえ……！！ -- シークエンス 2011-09-13 (火) 06:21:46
  - ……あいつらの言うとおり、殴っても痛いだけだ。
    （押さえつける力は緩めず、左手の親指でタバコの火を揉み消す） -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 06:22:47
  - （床を爪が引っかく。爪が指からはがれ、出血する。その痛みだけが、怒りに赤く染まる世界に理性の火を点す）
    クソ人形どもが、わかんねーなら教えてやるよ……！！
    エクアはな、知ってたんだよ、気づいてたに決まってんだろ！！
    気づいていたから、ここに帰ってきてねーんだよ！！
    今日の午前中にな、あいつは院生試験を失格した。
    本来ならば帰ってくる先はここだったんだ。
    だけど、あいつは、相貌失認がバレれば、必然的に僕たちがここに辿り着くことを知っていたから、ここに帰って来れなかったんだ。
    あいつは、お前らが作り物だってことを知ってて、15年生きてきたんだよ！！ -- シークエンス 2011-09-13 (火) 06:26:57
  - ………そのような事実は、認めかねます -- エクアの父 2011-09-13 (火) 06:27:41
  - あいつはな、お前らが思ってるよりずっと聡明で、ずっと頭のいいやつなんだよ。
    自分のおかれた環境に、正常なサンプルがなくても解答に到達できるくらいには優秀なんだよ！！
    お前が人形だろうが、エクアの本当の両親だろうが、関係ねえ。
    何がエクアのためだ、何が役目が終わっただ。
    あいつの感じた孤独を、あいつの歪んだ人生を、お前ら支払うだけの何かを持ってんのかよッ！！！ -- シークエンス 2011-09-13 (火) 06:30:00
  - ……もういい。後はエクアの問題だ。
    解答は、終わったんだ。セータ。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 06:30:39
  - 自分のことを思って、自分のためを思ってくれた気持ちに……15年っていう時間で答えた、あいつに。
    本当に何にも思う気持ちないのかよ……。
    お前らの身体には、心を理解できる脳が搭載されてんだろ……。
    だったら……あいつを、もっと正面から、見てやれよ……畜生ッ！！ -- シークエンス 2011-09-13 (火) 06:32:50
  - ………（その叫びを最後に、抵抗をしなくなったセータを、離す）
    ……概ね、オレも同じ気持ちです。
    最後まで父母を演じるのであれば、15年という月日に嘘を吐きつづけたエクアに。
    ……本当に何もしてやれないか、もう一度考えてやってくれませんか。（埃を払い、立ち上がる） -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 06:35:30
  - ………。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 06:35:53
  - ……では、オレたちは、ここで失礼します。
    残念ながら、オレは、貴方が思うほど聡明な人間ではない。
    仮にエクアがこの事実を知らなかったとしても……あいつを傷つけてでも、それを教えてやりたい馬鹿教師なんですよ。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 06:38:36
  - ………。 -- エクアの父 2011-09-13 (火) 06:39:04
  - では、失礼します。
    
    それと、最後に――。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 06:39:31
  - （――その一瞬）
    （まるで、家の中に馬車が飛び込んできたような）
    （そんな轟音が、家を揺るがした）
    （視界が大きく揺れ、気づけば――エクアの父親の顔が吹き飛び、壁に突き刺さっていた）
    （唖然と、その光景を、見ていることしかできなかった） -- シークエンス 2011-09-13 (火) 06:41:16
  - （右手、五本中四本の骨が折れた感触があったが、まあ、気にはしない）
    
    ――ムカついたので、一発殴らせてくださいね。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 06:42:12
  - ……非合理、です。 -- エクアの母 2011-09-13 (火) 06:42:49
  - 同意、します。
    こいつ……全力でぶん殴りやがった……。
    
    （それは、まるで）
    （交通事故のような、一撃だったと、そう後になって思った） -- シークエンス 2011-09-13 (火) 06:43:50
エクァールト・イヴライア・ヘルベチクァの問題４ -- 2011-09-13 (火) 04:36:28
- 相貌失認（prosopagnosia）
  簡単に言や、誰が誰かを、顔面の特徴から割り出すことができねえ疾患だ。
  疾患自体はそんなに珍しい疾患じゃねえ、大学内の人間かき集めりゃ、日常生活に支障をきたすレベルのやつが、数人いる程度の病だ。
  ただ、自覚症状は極端に表れづれーんだ、特に、先天性の物は本人も気づきにくいことこの上ねえ。
  なんせ他人と自分の認識の違いなんて、それこそ他者に成り代わることでもできなけりゃ、分かるわけねーからな。
  色盲と同じで、特別そういった検査や、他人の指摘を下にしか自覚できない病とされている。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 04:38:05
  - エクアが、それだと？
    いくらなんでも、それは……。 -- シークエンス 2011-09-13 (火) 04:38:57
  - オレも確証持って言えるわけじゃねーよ、ただ、あいつ、人と話すときにまずネームプレートを見るんだ。（自分の胸についている名前と所属学部が入ったネームプレートを示す）
    大学内では着用が義務付けられているし、いくつかの施設には必ずこれを触れさせないといけない魔道錠があるだろ？
    だから、いつもあいつはこれを見て誰が誰なのかを認識していたんだろうよ。
    極度の人見知りっていうわけじゃねーんだったら、当たらずとも遠からじだと思うぜ。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 04:40:20
  - ……確かに、エクアと目が合ったことは、数えるほどしかないな。 -- シークエンス 2011-09-13 (火) 04:41:16
  - それはお前が女の目見て話せないクソチキンという先天性の病気だからじゃねーかなと思うが、まあそういうこった。
    ……あっ、ツッコミこねえ！？逆に傷ついた！！オレ今すげー傷ついた！！ -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 04:42:41
  - うぜえ、糖尿で死ね。……状況考えろ。
    その先天性相貌失認と、今の状況、上手く繋げて弁解するくらいの脳は、まだニコチンに侵されてないだろうな。
    ……僕はこれでも、教授をある程度信頼してないこともないんだ。だからこそ、こんな形での不法侵入にも文句一つ零さず着いてきてるんじゃないか。
    （嘆息し、自分のいる場所を確認する）
    （エクアの家、鍵は掛かっていなかった。だからといって無断で踏み込んでいる自分とゼンアードは、今のところただの犯罪者でしかない） -- シークエンス 2011-09-13 (火) 04:43:16
  - なんで糖尿限定なんだよ、やめろよ、久しぶりにここだけ聞いたやついたら、オレが糖尿患ってるみてーじゃねーか。
    ……窓から中見てな、違和感に気づけねーようじゃ、オメーもまだまだだな、セータ。
    エクアは三人家族だ。それは、前もって情報としてオメーも知ってんだろーがよ。だったら、この部屋の違和感にも気づいてしかるべきだ。
    踏み込んだ今なら、尚更な。（目を細め、顎鬚を指で撫でる） -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 04:46:28
  - ………。生活感が、ない、のか。
    いや、違う、か……これは。
    （ゼンアードと同じように目を細めて、注意深く部屋を観察する）……三人暮らしの、生活感が、ない……か。 -- シークエンス 2011-09-13 (火) 04:47:50
  - そんなとこだな。大体オレが感じた違和感と似たようなもんだし、１点やるよ。（セータの肩にシールを張る）
    ……多分な、エクアがここで暮らしているのは間違いねーんだ。あいつの生活臭は確かにする。
    一人分の食事を取って、一人分の生活をするだけのキャパはある、だけど……ここで三人の人間が暮らしている感じは、オレには全くしねーんだ。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 04:49:42
  - ……つまり、エクアは、一人でここで暮らしていた、ってことか？
    混乱してきた、悠長にここで説明していることも分からないし、ゼンアード、お前何がしたいんだ。 -- シークエンス 2011-09-13 (火) 04:51:02
  - 言うじゃねーか、わかってんじゃねーか。
    そうだよ、オレは無駄なことはしねえ。ゼンアード・ギュスネイブルはいつだって最適手を最高の場所に最大威力でぶつける交通事故であるべきだからな。
    だから、お前が言うように、ここに不法侵入して、こうやってお前と話すこと。それこそがオレの目的だったんだよ。
    何でか分かるか？
    視聴者にも分かりやすく、現在の状況をお伝えするのは、登場人物のオレたちの義務だからだ。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 04:53:06
  - ……何、を。
    お前、何を言ってるんだ……？（異様なゼンアードの様子に、眉根を寄せる） -- シークエンス 2011-09-13 (火) 04:54:17
  - 何でオメーを連れて来たと思う？交通事故っていうのは、目撃者が必要なんだよ。
    目撃証言がなければ、完全犯罪、実際に事故を起こした人間が秘匿しちまえば、何も起こらなかったことになっちまうんだ。
    原因と状況を類推すれば辿り着けるかもしんねーけど、その証拠と状況すら秘匿してしまえばどうか？
    だからオレは『交通事故』を起こすときに、いつも目撃者を傍に置くことにしている。今回だってそうだ。
    お前がいなきゃオレは誰に話しかければいい。
    お前がいなかったら、オレは誰にオレの考えを伝えればいい？
    だからこそ、他のゼミ員をエクア捜索に回しても、オメーだけは傍に置きたかったんだ。目撃者としてな。
    
    さあ、ここまで言えばオレがどんな目的でこのエクアの家に来たか、わかってんだろう？ -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 04:58:02
  - 僕、は――。 -- シークエンス 2011-09-13 (火) 04:58:37
  - わりぃ。
    
    オメーじゃねーんだ、セータ。 -- ゼンアード 2011-09-13 (火) 04:59:14
  - （そこで、僕はようやく顔を上げる）
    （ゼンアード・ギュスネイブルの目は、僕に向けられてはいなかった）
    （最初から、ゼンアードの顔を見て会話するべきだったんだ。自分は、エクアとは違い、人の顔の造詣を、しっかり分かるんだから）
    
    （苦みばしったゼンアードの視線の先。振り返る）
    
    （そこには）
    （暗闇の中に立つ、顔のない人間が。そうとしか呼べない代物が）
    （まるで左右非対称のオブジェのように、直立のままこちらを向いていた）
    
    （悲鳴を上げなかったのは、もうすでに『交通事故』に巻き込まれていたからだと思う） -- シークエンス 2011-09-13 (火) 05:02:36
エクァールト・イヴライア・ヘルベチクァの問題３ -- 2011-09-10 (土) 05:31:56
- 逃避、という行動は明確な目標物から遠ざかることを言う。
  だから、これは逃避ではなく、徘徊、迂回だ。
  どこかに行くことも、何かから逃げ出すことも出来ず、ただ同じ場所にいたくない、という理由だけで、わたしは空を見上げながら歩を進めていた。 -- エクア 2011-09-10 (土) 05:35:31
  - 試験の不合格には何の異論もない。完全に失念、忘却していた自分が悪いのだ。
    何事にも動じないように見えるかもしれないが、わたしにだって動じることはある。
    例えば院生試験など、平静を装ってはいたものの、それなりに緊張はしていたらしい。
    その結果が、この些細なミスだ。どんな顔をして、ゼンアード教授やシークエンス室長に顔をあわせればいいのか、と思う。 -- エクア 2011-09-10 (土) 05:37:13
  - いや、違う。わたしが教室に帰ることができない理由は、他にある。
    わたしは、わたしのこの秘密に、この些細なミスで彼らが到達できないとは思えないのだ。
    教授や室長は苦もなくわたしの『ゆがみ』にたどり着くだろうし、それは教室の他のゼミ生も時間をかければ到達できるということだ。
    それだけ、今回のミスはわたしにとって致命傷だった。クリティカルだった。……ファンブルだったのだ。
    終わったのは院生資格を得る試験だけではなく、この大学で築き上げてきた全てだった。 -- エクア 2011-09-10 (土) 05:40:22
  - 召喚獣によるカンニング。そう取られてもおかしくはない。
    まさか、インビジブル状態の召喚獣を試験中に侍らせることが、それ以外の目的に使用されていたなんて、誰が信じる。
    ましてや、自分がそれを説明することができない後ろめたさがあることが、さらに疑いに拍車をかける。
    自分がミスをした時点で、全ては詰み、終わっていたのだ。 -- エクア 2011-09-10 (土) 05:43:08
  - 道行く人の顔は、窺い知れない。この中にゼミ生がいて、自分の動向を追っていないことを祈る。
    できれば、気持ちの整理ができるまで、迂回し、迂遠し、周り続けたい。
    人の口に戸は立てられない。自分の「秘密」が他人にバレれば、誰もが自分を蔑み、遠ざける。
    奇異の目に触れ、大学に……もしかしたら地域にも居場所がなくなるかもしれない。
    だから、それを覚悟できる心の強さができるまで、逃げ続けたいとさえ思った。 -- エクア 2011-09-10 (土) 05:46:24
  - そんなことが無理なのは知っている。
    第八教室の人間の優秀さは、誰よりもわたしが理解しているところなのだから。
    彼らは、例え何重に鍵をかけても、その秘密を暴いてしまう。
    立ち止まり、気づいてしまう。
    だったら、もうすでに、どれだけ逃げ続けたとしても……自分の居場所は、どこにもないのか。
    
    人々の区別がつかない雑踏の中、一人地面を眺めた。
    ようやくそこで、喪失感が沸いてきた。
    後悔が、沸いてきた。 -- エクア 2011-09-10 (土) 05:49:28
  - 人々が、自分を笑っているように感じた。
    そんなもの、確かめようがないのに。
    指をさし、あれが例のエクァールトという少女だと、囁いているように聞こえる。
    
    十数年、ずっと自分を騙し続けてきた檻が、今度は針となってその身を責めたてている。
    確かめようがないのに。
    そんなもの、自分には分かるはずがないのに。 -- エクア 2011-09-10 (土) 05:52:09
  - 不意に、手を掴まれて引っ張られる。
    驚き、身を竦ませて自分の手首を見ると、見知らぬ男の手。
    被害妄想に苛まれていた自分は、咄嗟に悲鳴をあげそうになった。 ;-- エクア 2011-09-10 (土) 05:53:58
  - こんなところにいたのか、お前、何してんだよ、エクア。
    室長も心配してたんだぞ、今ここにはいないけど。 -- 2011-09-10 (土) 05:55:02
  - ああ、いたのか……手間を掛けさせる。俺たちの仲だろう……。
    本当に語りたくない場合は話が別だが、壁に話すよりは有意義な意見が出せると、自負しているのだがな……。 -- 2011-09-10 (土) 05:56:06
  - そうですよ……はぁ、かなりの距離を走ったせいか、流石に堪えましたね。
    教授たちにも報告をしなければ……ひとまず、教室に戻りましょう、エクア。 -- 2011-09-10 (土) 05:57:00
  - 三人は言う。
    シロマルくんと、ギアくんと、レネスくんだ。
    手首を掴んでいるのがシロマルくんで、その後ろで腕を組んでいるのがギアくん。
    腰に手を当てているのがレネスくん。
    ……うん。もう、わたしは、無理だ。
    これ以上は、自分を偽ることが出来ない。 -- エクア 2011-09-10 (土) 05:58:44
  - どうしました、エクア。
    ……そんなに、辛い状況なんですか……？ -- 2011-09-10 (土) 05:59:05
  - ああ、ゴメン、痛かったよね、結構ぐいって引っ張っちゃった。
    ……エクア？ -- 2011-09-10 (土) 05:59:54
  - 涙が、零れそうになる。
    不完全な自分の存在を、今日ほど恨んだことはない。
    
    わたしは口を開く。
    もう、わたしは、これ以上……嘘を、重ねたくない。
    例えそれで全てを失っても、最後くらいは、自分に正直でありたいから。 -- エクア 2011-09-10 (土) 06:01:24
  - 「――ごめん。皆。
    
    皆が、誰だか、わたしにはわからないんだ……」
    
    -- エクア 2011-09-10 (土) 06:02:28
エクァールト・イヴライア・ヘルベチクァの問題２ -- 2011-08-28 (日) 23:14:02
- （頭を掻きながら諮問室から出てくる）
  ふぁー、どうしてこう、諮問委員会ってのはお役所仕事なのかね、ゼッテーオレ出世してもこんなとこじゃ（ぐいっとネクタイを引っ張られてつんのめる） -- ゼンアード 2011-08-28 (日) 23:15:18
  - 愚痴なら全部終わったあとに聞いてやるから、それより、エクアは。（声を落として、だが強めの口調で言う） -- シークエンス 2011-08-28 (日) 23:16:32
  - お前な、頭に血ぃ上ってんのを差し引いたとしても、そんだけ目立つ行動してりゃ声落としたところでかわんねーだろうが、アホ。（ぐじぐじとシークエンスの頭をぼさぼさにする）
    んなこったから愛しの大地ちゃんとの仲も全然、イッテー！！？　おいテメエ今マジ蹴りだったろ！？（ぴょんぴょんと廊下を跳ねながら） -- ゼンアード 2011-08-28 (日) 23:22:19
  - お前の口から大地の名前が出るたびに、お前の寿命が一年縮むと思え。（本気の目）
    ……はぐらかしてんなら怒るぞ。大体アンタがそうやってはぐらかす時は、あんまり状況がよくないときだろうし。 -- シークエンス 2011-08-28 (日) 23:23:37
  - うちの女房より察しいいじゃねーか畜生。性別逆に生まれて来いテメエ。（ひょこひょこ後を追う）
    ……抗弁が諮問に掛けられるくらいなんだ、結果は分かってるだろ。判定は覆らず、処分は妥当が大学側の見解一致だ。
    エクアは落第。……あいつら、退学までちらつかせてきてたから、すでにもう書類は上に回ってファイルされてんだろうよ。
    （禁煙の構内でタバコの代わりに禁煙飴を咥え）……しかし、まあ、カンニングとはな、どう思う、助教授ちゃん。 -- ゼンアード 2011-08-28 (日) 23:29:56
  - ありえない、っていうのが最初の意見。ただ、ありえないことが起こるだけの何かがあったんだろ。
    正直、そこまで思いつめてるようには僕には見えなかった。 -- シークエンス 2011-08-28 (日) 23:31:29
  - 女を見て、女を語るにゃ童貞が属性として邪魔だな、よっ（助教授のローキックをジャンプで避け）
    でもまあ、そうだな、どんなバカでもゼミにいりゃ分かる、する必要がねえもの。筆記ごときでどうにかなるようなエクアじゃねーからな。
    つか、オレもそこが引っかかって突っかかったわけだが、まあ、諮問委員会サマはゼッタイですからね。うっぜえ。
    ……問題は、エクアがそれを認めながら、理由を話さなかったこと。そして。 -- ゼンアード 2011-08-28 (日) 23:34:13
  - エクアが、僕らの到着を待たずに、一人帰路についたこと。
    あいつの頭で、僕らが試験の失敗を聞いてどう動くかが分からないわけがないのに。
    ……どう思う？　ゼンアード教授から見たら。 -- シークエンス 2011-08-28 (日) 23:35:45
  - （頭を掻き）んなもん決まってんだろーが、オレらン中の誰かと会えない理由があんだろーな。
    単に試験の失敗でへこたれるような女でもねー。あ、ちなみにオレ可愛い嫁さんいるから女語るね、童貞じゃないし、よっ！ほっ！（二連のキックを避ける）
    まあ、エクアがいなくなった、って言うだけで自動的に探してくれる連中がいる分、そんなに大事にはなるめーよ。あいつらもなんつーか、ホントオレのゼミ女相手に不器用なやつばっかだな。 -- ゼンアード 2011-08-28 (日) 23:38:27
  - 男女の問題じゃないだろうが。（分かってない）
    僕らは探さなくていいのか？　エクアのこと。……いや、そうか。
    別アプローチから攻める。か。 -- シークエンス 2011-08-28 (日) 23:39:41
  - よーく分かってきてんじゃん、オメーも30近くなってきたらちったあ頭回るようになってきたんじゃねーの。
    歳重ねるとな、足回んなくなるから頭回すしかねーんだよ。足は若い連中に任せて、オレらはしっぽり外堀埋めねーとな。 -- ゼンアード 2011-08-28 (日) 23:40:58
  - 宛てはあるのか？　あとしっぽりとか言うな、死ね。 -- シークエンス 2011-08-28 (日) 23:43:48
  - 正直言うと、なんもねえ。ただ、ちっと憶測ではあるが、知ってる情報纏めると、エクアの思考くらいは辿れるんじゃねーかと思う。
    ……エクアのカンニングの詳細、オメーも説明受けただろ、セータ。どんくらい覚えてる？ -- ゼンアード 2011-08-28 (日) 23:45:12
  - 本気で不快だから名前で呼ぶな。こっちの人間に名前で呼ばれると拒否反応出る。
    あとな、もうお前んとこの生徒じゃなく助手なんだ、試験方式で問題の再確認するのもやめてくれ、不快だ。
    （顎に手を当て）召喚獣を召喚した状態で、筆記を受けたんだろ。一発でバレる子供でもしないようなカンニング法だよ。
    明らかに不自然すぎる。外語の授業に外語の辞書開いて受けに来るみたいなもんだろ。……人の神経持ってたら、カンニングなんていえないと思うほど稚拙だと思うんだけど。 -- シークエンス 2011-08-28 (日) 23:48:27
  - お前ホント諮問委員会嫌いなのな。むしろ機械的に行うから揉めねーで済むんだろうが、そこは評価されるべきだと思うぜ。
    まあ、ただ、オレも不自然だとは思う。んじゃあ、それが自然になるような状態はどんな状態だ？
    単純に考えりゃ、そうせざるをえない理由があったか、もしくはそうすることで試験を落ちようとしたかのどっちかだ。 -- ゼンアード 2011-08-28 (日) 23:50:52
  - 前者はない。……そうする理由が、思い浮かばない。
    自然なのは後者、か。……院生試験を落ちることのメリットってなんだ？ -- シークエンス 2011-08-28 (日) 23:53:20
  - おもしれえ。意見が分かれた。
    オレはな、お前より今一個多く情報を持ってるせいで、どうしても前者であるようにしか思えねーんだよ。
    まあ、その一個の情報も、お前の童貞アイとオレの非童貞アイの違いで見つけた、ただのあいつの癖みてーなもんなんだけどな、よっ、ほっ、とう！っつーかお前オレが言葉言うまで待ってくれるあたりに愛を感じていーか？ -- ゼンアード 2011-08-28 (日) 23:57:34
  - なんだよ、エクアの癖って。 -- シークエンス 2011-08-28 (日) 23:58:46
  - ……簡単なこったよ。
    
    あいつ、人の目見て話さない。
    もっと別のものを見て話してる、そんだけだ。（真剣な顔をして言い、こいこい、とシークエンスを手招きして大学を出た） -- ゼンアード 2011-08-29 (月) 00:00:10
エクァールト・イヴライア・ヘルベチクァの問題 -- 2011-08-22 (月) 21:36:57
- いや、まさか派手にやりやがったなこれ……。
  なんか恨みでもあったんかよ、レネス。（にやにやしながらギアの顔を覗き込む） -- ゼンアード 2011-08-22 (月) 21:37:46
  - 辞めてくださいよ。悪趣味です。冗談にしても性質が悪い。
    誰が好き好んで友人の顔を凍傷で焼くんですか。……ギアも、すぐに医務室で見てもらえばよかった物を。（不機嫌に言う） -- レネス 2011-08-22 (月) 21:39:13
  - …これはこれで、名誉の負傷というやつだ。自身の力のなさと、友人の成長を同時に感じられるいい機会だと思ってな。
    ……俺からも言わせてもらおう、見事な実戦演舞だった。何一つ悔いはない。 -- ギア 2011-08-22 (月) 21:40:30
  - まぁ、オレの教室の自慢の生徒達が、院生試験如きで躓くとは微塵も思ってねーかったけどな！カッカッカ…。
    おや、ところで院生試験を一度お落ちになったセータ・シークエンス助教授殿、なぁんでそぉんな不機嫌な顔してんのかにゃぁぁあ？？（うっざい顔で） -- ゼンアード 2011-08-22 (月) 21:42:30
  - 死ね -- シークエンス 2011-08-22 (月) 21:43:44
  - 二文字！！二文字ですよ！！返事が二文字って倦怠期の夫婦じゃねーんだから、あ、ちなみにうちは円満だから今娘四歳だからマジ可愛いだろこれ！！ほら！ほら見たい！！（セータの顔に活動写真を押し当てながら）
    二文字なら二文字なりにもっと面白いこと言ーえーよー！　ほら、セータ君のちょっといいとこみってみたぐほっ！ -- ゼンアード 2011-08-22 (月) 21:45:18
  - ……教室での暴力行為を咎めたいんですけれど、ここまで一切擁護できない人は初めて見ましたので、後学のためにスルーしてみます。 -- レネス 2011-08-22 (月) 21:46:12
  - うむ。いい経験かもしれんな、それも。
    シロマルとエクアはまだ、か。……同教室対決ということで、かなり注目を集めたようだが……まあ、合格のラインまで戦ってからシロマルが音を上げるだろうな。 -- ギア 2011-08-22 (月) 21:47:22
  - どっちかというとお前らのカードの方が注目集めてたみたいだけどな……。
    実際、顔に怪我負わせるくらいの白熱した院生試験だったんなら、両方合格も納得いくだろ。八百長とか騒いでた他所の連中も。 -- シークエンス 2011-08-22 (月) 21:48:32
  - ……ところで、何故室長は一度院生試験落ちたんですか？
    あ、いえ、怖いです、そんな顔しないでください。単純な疑問ですから。
    例え実戦が苦手だとしても、いくらでもやりよう、魅せようはあったでしょうに。記述もあったわけですし。そちらでのアピールは当時なかったんですか？ -- レネス 2011-08-22 (月) 21:50:54
  - あー、なっつかしいな、お前の院生試験。
    そっか、あんときお前らまだ院生が云々とかわかってなかったもんな。いやー、月日経つのはえーってもんだわ。 -- ゼンアード 2011-08-22 (月) 21:52:08
  - お前教授余計なこと言ったらブッ殺すからな。いいか、僕は殺ると言ったら必ず殺る。
    ……報復されたんだよ。試験の場で。 -- シークエンス 2011-08-22 (月) 21:53:15
  - 報復……？　なんでまた。 -- レネス 2011-08-22 (月) 21:54:08
  - ありゃジードのせいだっけ？　ほら、年に二回御前試合あるだろ？　なんとか絢爛試合。
    昔はさー、なんかオレもちょっとやる気あったからすっげー一杯生徒取ってたわけよ、第八研究室ゼミ。まあ、そしたら一定の確率で優秀なやついてなー、御前試合にも出てたやついたんだよ。選抜で。 -- ゼンアード 2011-08-22 (月) 21:55:36
  - ……また偉く話が飛ぶんだな。 -- ギア 2011-08-22 (月) 21:56:21
  - （嘆息する。恩師に任せたら尾ひれがつくと思い、観念して語ることにした）……そうでもないんだよ。
    グレナデン姉妹ってお前たちの世代も、多分知ってるだろう。第七研究室の。
    その姉の方が、ジード先輩、まあ、第八研究室の先輩の御前試合の相手だったんだよ。
    ……まあ、昔からうちの研究室、他所の研究室とそんなに良好な関係じゃなかったのと、グレナデン姉妹の姉の方は大学でも有名な負けず嫌いでな……。 -- シークエンス 2011-08-22 (月) 21:59:16
  - グレナデン姉の頭おかしいところは、昔パーでビンタされたことがあって、負けたくないからチョキでビンタしかえしたら二指骨折したくらいの負けず嫌い、とかいう噂がまことしやかに囁かれてるくらいだからな。 -- ゼンアード 2011-08-22 (月) 22:00:37
  - ………い、いや、流石に嘘でしょうそれ。 -- レネス 2011-08-22 (月) 22:01:04
  - そんなグレナデン姉がな、御前試合でジード先輩に締め落とされたんだよ。適当なところでタップしとけばよかったのにな。
    んで、失神させられたことを恨んでたのか、何故かその思いが僕の院生昇格試験で爆発したんだ。
    ……院生昇格試験の相手がグレナデン姉だったんだよ。 -- シークエンス 2011-08-22 (月) 22:03:28
  - いやあ、お前らにも見せてやりたかったわ……。惨敗っていうのも生々しいくらいの負け方だった……。
    なんせその試験でこいつ腕折られてるからな。しかもタップしてたのに。
    後にも先にも、院生昇格試験で腕折られたなんて珍事、こいつで最後らしーぜ？（ぐりぐりセータの頭を片手で回す） -- ゼンアード 2011-08-22 (月) 22:05:24
  - （ウザかったのでゼンアードのアバラに抜き手を刺す。ゼンアードは死んだ）……お前、こっちは試験のつもりなのにあっちは殺しに来てるんだぞ。
    勝つために腕を折るならまだしも、腕を折るために腕を折るやつにどうやって勝てっていうんだよ。当時、握力もまだ戻ってなかったし。
    ……まあ、それで一年ダブったんだから、そっちの方が痛かったけどな。 -- シークエンス 2011-08-22 (月) 22:08:35
  - げっほ、ゲホ。いってーコイツ、あんときゃ荒れるお前を宥めてすかして大変だったつーのに。
    まあ、んで終わりじゃねーのがこの話のすげーとこでな。
    その後グレナデン姉から惚れられてんだよ、こいつ。（他人事のように笑いながら） -- ゼンアード 2011-08-22 (月) 22:10:22
  - いや。今恋愛の要素微塵も出てこなかったと思うが。 -- ギア 2011-08-22 (月) 22:10:51
  - えっ、何から始まったんですその恋。 -- レネス 2011-08-22 (月) 22:11:18
  - （こいつ…という目でゼンアードを見ながら）安心しろ、恋は始まってない。始まったのは妄執だ。
    ……あいつが惚れたの、僕の腕折られるときの断末魔にだぞ。
    「一生私の地下室で悲鳴を上げ続けてください」って恋文貰ったときはこの僕が「ぎゃあ」って言ったからな、「ぎゃあ」って。漫画か。 -- シークエンス 2011-08-22 (月) 22:13:32
  - 正直対岸の火事にしちゃ面白い出来事だったわ（くく、と笑いながら）　半泣きのセータとかあんとき見たのが最初で最後だった気ぃするし。
    何か物音したらビクッって振り返ってんだぞ。どんだけ怖いんだっつーの。 -- ゼンアード 2011-08-22 (月) 22:16:01
  - お前、折れた手を執拗に前蹴りしようとしてくる女から付きまとわれる経験がないからそういうこと言えるんだよ。
    ちなみにそれはグレナデン姉が半年後に政略結婚するまで続いた。
    僕はその知らせを聞いて「よっしゃー！！」って言ったからな、「よっしゃー！！」って。漫画か。 -- シークエンス 2011-08-22 (月) 22:17:38
  - ……なんというか、変人奇人大集合って感じですね。
    ただ、聞く限りでしたら、同年代だったら自分も狙われていた可能性があるというのが、恐ろしくてしょうがないですね……。 -- レネス 2011-08-22 (月) 22:18:45
  - ……全くだな。過去の話であれば笑えるが、今自分に降りかかったらと思うと恐ろしい。
    不謹慎な言い方ではあるが、対岸の火事でよかったといわざるをえない。 -- ギア 2011-08-22 (月) 22:19:24
  - お前ら勘違いしてるから言っておくが、
    グレナデン姉は今キャスレイクって苗字を変えて第七研究室で教授やってるんだが。 -- シークエンス 2011-08-22 (月) 22:20:32
  - ……此岸！！ -- ギア 2011-08-22 (月) 22:21:24
  - ヒィ！！ -- レネス 2011-08-22 (月) 22:21:44
  - ただいまー。（がらっと研究室のドアを開けて入ってくる） -- シロマル 2011-08-22 (月) 22:23:06
  - おう、お疲れシロ。
    あん？　エクアは一緒じゃねーの？　試験一緒だったんだろ？ -- ゼンアード 2011-08-22 (月) 22:23:40
  - あー、いや、なんかさ（珍しく言いにくそうに頬を掻き）
    
    ……エクア、落ちたって。
    不正で。 -- シロマル 2011-08-22 (月) 22:24:26
エクァールト・イヴライア・ヘルベチクァの悪問 -- 2011-08-22 (月) 21:16:13
- その暗闇の中で、エクアは身を起こす。
  朝はそれほど弱い方ではない。
  級友には意外だと言われるが、いつも寝覚めはいいほうで、ベッドの上で二、三回伸びをするころには、もう目は覚めている。 -- 2011-08-22 (月) 21:17:59
  - ベッドから降りると、ぎぃ、とスプリングが揺れた。
    腰を捻りながら台所を通り、洗面所へと行く。
    歯磨きと洗顔を終え、タオルで顔を拭く。 -- 2011-08-22 (月) 21:19:30
  - 自分の部屋に戻ると時計を確認する。まだ時間には余裕がある。
    遮光布を取り、家の中に光を入れる。朝。気持ちのいいくらいの晴れ。
    陰鬱になりがちな自分の気持ちすら晴らしてしまいそうなくらいの、暴力的な朝の空気を吸う。 -- 2011-08-22 (月) 21:21:51
  - 居間に向かう。
    少し早くなるだろうけれど、大学に向かおう。
    馬車の時間は大体把握している。
    この時間に出れば、一つ前の馬車には乗れるはずだ。
    朝食を取ろうとリビングに向かうと、朝食の席に彼女の父と母が既に座っていた。 -- 2011-08-22 (月) 21:25:21
  - 「おはよう」
    エクアが言う。 -- 2011-08-22 (月) 21:25:45
  - 「おはよう」
    「おはよう」
    父母が返す。 -- 2011-08-22 (月) 21:26:34
  - 朝食はライ麦パンにした。
    バスケットから一つ取り、ラードを塗って齧る。
    腹にさえ収まればいい、どうせ午前中は授業がないから、研究室で寝よう。
    エクアは父母の座る席の前で、もくもくとパンを食べた。 -- 2011-08-22 (月) 21:28:26
  - 今日も何も変わらない食卓。
    特に会話もないのがヘルベチクァ家の朝食の風景である。
    特に信じる宗教があったり、信念があったりするわけではない。
    あまり、無駄な会話をはさまない、一つの家族の形式であると、エクアは理解している。
    家族の良し悪しなど、他人と比べるべくもないのだ。
    だから食事はいつもすぐに終わる。
    「ごちそうさま」
    言いながら席を立つ。 -- 2011-08-22 (月) 21:30:40
  - 「いってきます」
    振り返り、エクアが言う。
    気が逸っている理由は午後にある。
    今日は院生への昇格試験なのだ。
    午前中こそ暇だが、午後に備えて確認をしておくのもいいかもしれない。
    あまり、自分らしい行動ではないかな、やっぱり寝よう、と心の中で笑いながら思った。 -- 2011-08-22 (月) 21:32:12
  - 「いってらっしゃい」
    「がんばっておいで」
    父母の声に後押しされるように、エクアは手を振り、家を飛び出していく。
    大学が楽しくて仕方がない空気が、全身からにじみ出ていた。 -- 2011-08-22 (月) 21:33:10
  - ドチャリと。
    エクアのいた居間で、何か大きな塊が落下するような音がした。
    
    机の下。
    支えていた首から落下したのか、父親の頭部が転がっていた。 -- 2011-08-22 (月) 21:34:25
  - じくり。
    じくりと、その首の切断されたような表面から、血が溢れ出す。
    父親の身体はゆっくりと倒れ、地面に横たわった。
    まるで最初から生きていなかったかのような、無機質な倒れ方だった。 -- 2011-08-22 (月) 21:35:29
  - エクアは知らない。
    
    父親が、すでに死んでいることを。
    母親も、すでに死んでいることを。 -- 2011-08-22 (月) 21:36:08
エクァールト・イヴライア・ヘルベチクァの過去問 -- 2011-08-22 (月) 20:58:21
- ……珍しいですね、泊まりで研究ごとですか？　エっちゃん先輩。
  （窓を開け、よっ、と声を出してベランダに飛び移ってくる） -- ホイム 2011-08-22 (月) 20:59:33
  - （ふと気づいたように首を傾げ、手の中の酒盃を回す）
    ほら、わたしは月から降りてきた姫だから、こんな日には月が恋しくて一人見上げるんだよ。
    （ちらりと学生証を見て）ホイムくんこそ、学生証を携帯している、ということは忍び込んできたわけではなく、研究のためなのだろう？
    お互い様じゃないか、はは、先輩の鬱陶しい語りに付き合ってくれるのかい？ -- エクア 2011-08-22 (月) 21:01:47
  - いや、エっちゃん先輩のような方から声をおかけいただくのは男冥利に尽きるというものなのですが。
    ……生憎、一人ではないのですよ。 -- ホイム 2011-08-22 (月) 21:02:57
  - この時間まで実戦形式の手合わせに付き合っていたというのに、酷い言い草ですね。
    それとも、気を利かせて席を外しましょうか？（肩を竦めながら） -- レネス 2011-08-22 (月) 21:03:47
  - レネスくんも一緒だったか。
    すまないね、たまにこうして一人でここから月を眺めるのが好きなのだ。レネス君は、知ってるだろうけどね。
    ……夜は、平等に訪れるのが、酷く残酷で……それでいて愛しいと思うんだよ。
    黄昏時も別字では誰彼と書くように、暗闇もまた蔵闇からきているそうじゃないか。それは、私にとって平等で、だからこそ、この時間だけは自分を赦せるんだよ。 -- エクア 2011-08-22 (月) 21:06:32
  - （分かったような分からないような顔で、レネスを見る） -- ホイム 2011-08-22 (月) 21:07:14
  - （ホイムの視線に嘆息して、肩を竦める）
    誰に赦されるっていうんですか？（笑いながらベランダに降りる。エクアの言うとおり、月が綺麗だった） -- レネス 2011-08-22 (月) 21:08:17
  - （同じように笑い）自分に、かな。
    ……時々は、こうやって古傷を弄んでやらないと、生きている気がしないんだよ。
    そのついでに、少し先輩の傷跡に触っていかないか、ホイムくん。
    わたしのこと、人並みには気になるのだろう？（にやにやしてホイムに尋ねる） -- エクア 2011-08-22 (月) 21:10:15
  - まあ、思春期の少年が袋とじの中身に対する興味程度は興味ありますよ。 -- ホイム 2011-08-22 (月) 21:10:51
  - ベクトルとしては大きすぎると思いますよそれ。
    （ただ、あの頃の、自分たちがまだあらゆる意味で若かった頃をこうやって話すことができるようになったことこそが）
    （月日の経過を、自分たちの成長を示しているのだとしたら、またそれも皮肉な話だと小さく笑う） -- レネス 2011-08-22 (月) 21:12:16
  - ……では、少しだけ恥ずかしいところを見せてあげよう。
    語り手としては余りに稚拙で、書き手としては余りに幼稚になってしまうけれど。
    それでも、少しは興味を引けることを、笑い話にできることを祈りながら。
    
    ……これは、わたしが。
    二人の友人を傷つけ、
    両親をこの手で死に追いやったときの話だよ。 -- エクア 2011-08-22 (月) 21:15:01

最新の60件