名簿/478996
- （夜の孤児院、ギルバートと再会したあの孤児院 院長室で、ギルバートと差し向かい）
（今宵は珍しく、普通のワインである 肴は、ギルバートの疲れた顔） 随分と、手荒な来客が多い様だね、ギルバート？
元より不死の王なれど、戦疲れは顔に出るものなのかな （からかうように口の端をあげる 老年の紳士に向かい合うのは、歳若い子供であった） -- ベル
- （二人を照らすのは燭台に灯る蝋燭の炎、揺らめく光にしかし、二人の姿は影を作らない）
（男は苦笑して）そうからかわないでくれないか？ 心躍る来客が続いて少しばかりはしゃぎ過ぎただけさ
疲れと言うよりは……そう、好物を前にして食べそこねてしまった残念さが表情に出ていたかもしれないな？
（グラスを灯りにすかせば、ワインの透明な赤がやはり赤い影を作る。ゆらゆらと、ゆらゆらと） -- ギルバート
- 年甲斐もない、と言っておこうか、旧友のキミ ボク見たいに若い身体にセーブすれば、疲れも違うかもしれないよ？
（随分と力は弱まるけれど、とギルバートよりも二周り三周り小さな手を開いて見せた） まぁ、ボクのは自分がしたくてではないけれど
お預けかい？ ああ、其れは確かに残念だ …しかし、ワインセラーを探れば、上級の飲料は手に入るだろうに ボクとしては、贅沢な悩みに聞こえるね （くすくす） -- ベル
- 耳に痛い言葉だが、歳を理由に控えるようになっては、それこそ老いが始まってしまう
（永遠の生と若さを持つ彼らにとっては精神の老いる事こそが最も忌むべき事）
ふむ、今の君を見ているとそれも悪くはないと思える。 刺激的な日々が送れそうだ
が、表向きの顔という奴があるとそう自由には出来なくてね、今の立場を保てなくなったら考えてみるさ
（歳を取らない吸血鬼が同じ仮面を纏い続けるのには限界がある。今の立場と名前も、いいとこ後２０年と言った所だろうか）
ふふ、欲望にはキリも限りも有りはしない。 自らの手になる者も愛おしいが、天然に生まれた奇跡の雫も私を惹きつけてやまない
それに味見をしすぎては、蒸溜の過程に入った時に困るからね。 -- ギルバート
- 老いてしなびた吸血鬼など、古城の鎧と同じ ただ錆びてそこにあるだけの、見掛け倒しだ それはお互い、望む物ではないね
ああ、中々刺激的だよ 何より、うっかり血を吸いたくなっても、無理やりとはいかないのでね あれこれ考えるので、血の無い脳も生き返る
（冗談めかして笑えば、ワインを飲み干して） ボクが元の身体になれれば、少しくらい代わってあげる事も出来るのだけどね
今のこれでは、精々キミのワインと一緒に並ぶ位しか出来ないな （良い味だったよ、と空のワイン瓶を指で撫ぜ、立ち上がる） キミの蒸留したワインも、また飲ませておくれ
さて、見れば星も目を閉じて、空が暗い そろそろ夜も明けるようだ お暇するよ -- ベル
- フフ、気をつけ給えよ、一緒に居たらうっかり君の首筋に牙を突き立ててしまうかもしれない
（それ程に、今の君は魅力的だ。と、冗談を返し）
ああ、しばらくすれば別の蔵で育てた酒が手元に届くはずだ。 その時は君も招待させて貰うさ
もうそんな時間か…… では、しばしの別れを、アウグスティン殿 -- ギルバート
- お城ですか……（とりあえず扉をノックしてみる）あの、酒場でお見かけしたので立ち寄らせていただいたのですが…… -- カレン
- 旦那様から話は聞いております。 さ、中へどうぞ（と、門を開くと中には執事服を着た老人が待っている）
ここからは私、執事のアーノルドがご案内致します（と、深々とお辞儀をする） -- 門番
- これはご丁寧に（深々とお辞儀を返す）カレン・クラフトと申します。私のお見かけしたのは旦那様の方ですかね？
美形……じゃなかった、お顔立ちの整っていらっしゃるお若い方…… -- カレン
- （門を潜り赤い薔薇の咲く中庭をぬけて城の中へ）
はい、旦那様……ギルバート様ですな。 時折、街の酒場へと行くのですよ
（城の内部は外見以上に広く、初めて訪れる者なら迷ってしまいそうな作りをしている）
ほっほっほ 美しい女性にそう言っていただけたと知れば、きっと旦那様も喜びますぞ
（長い廊下には毛足の長い真っ赤な絨毯が敷かれ、壁には高価そうな美術品や絵画に混じって子供が描いたような絵も混じっている）
（そうして、奥まった扉の一つの前で立ち止まり、老執事が扉を叩く）
旦那様、先程仰られていた方をお連れしました
（直後、扉が内側から開き、年の頃２０の後半から３０くらいの、やや不健康そうな男が現れる） -- 老執事
- （中は所謂応接間、シガレットケースと灰皿が置かれた大きなテーブルを挟んで柔らかそうなソファーが置かれている）
ようこそ、お越しくださいました。 わたくしがこの城へとお招きしたギルバート・アードベックと申します（す、と優雅に一礼し）
今宵は私の招きに応じて下さった事、感謝致しますよ、美しいお嬢さん
アーノルド、案内ご苦労であった。 お茶を用意してくれるか？（と、老執事に紅茶の用意を命じると、老人は畏まりました、とお辞儀をして部屋を出る） -- ギルバート
- こんな広いお城を持ってらっしゃるなんて、よほど高貴な生まれの方なんですね……自分が場違いに感じます（きょろきょろ見回しながら城の中を歩く）
ギルバートさんとおっしゃるのですか。素晴らしい装飾品の数々ですね。見惚れてしまいます。
（ドアが開くと深々と礼を返して）はじめまして、カレン・クラフトと申します。この度はお招き頂きありがとうございます。
ご立派なお城の中を拝見させていただきました。高雅なご趣味でらっしゃいますね（微笑む） -- カレン
- では、クラフトさん、とお呼びしても宜しいかな？
ふふ、身に余る光栄ですな。 仕事の関係で様々な地の、様々な物品を手にする機会があるものですから
さ、まずはお掛けになってください（と、ソファを勧める） -- ギルバート
- はい、カレンでもどちらでも……ギルバートさんとおよびしても？アードベック卿の方がよろしいでしょうか。
輸入関係のお仕事等でしょうか？
では……（ソファに座る）これも私とは縁遠い一品ですね……（微笑む） -- カレン
- ふふ、それではお互いにファーストネームで呼び合いましょう、カレン
ええ、初代が海運で財を成しまして、私はその三代目。 働いている方々ごと事業を継いだので私自身は楽をさせて貰っています
（テーブルを挟み、向かいに腰掛けて）そうとも限りませんよ、人生何があるかなど分かりません。 それに、この街にはそういった成功譚が多いそうですから（微笑みを返し、カレンの目を見る）
それに本当に手に入れたくとも遠すぎる物と言うのは、どんなに金銭があっても、買えるものではありませんしね -- ギルバート
- ありがとうございます。その方が私も気が楽です、ギルバートさん。
まあ、それはすごい……たった３代でこれほどのお城を。髪の色だけで13代も続いているだけの我が家とは大違いです（眉を下げて微笑する）
茸や鉱脈を発見して財を手に入れた方々ですね。私は怪物を討伐するのが使命ですので、少し縁が遠いですね（困ったような微笑を浮かべる）
それは「持つ者」の考え方……というわけではないのですよね。私にもあります、お金では買えないものが -- カレン
- 十三代もその美しいプラチナブロンドの髪が続いてるとは、そちらの方が余程価値ある奇跡ですよ
あるいは薬草、ですな……未だに古文書と宝石は見つからないそうですがね
それが何であるか、お聞かせ願えますかな？（ほんの僅かずつ、視線へと魔力を込める） -- ギルバート
- そう言っていただけると先祖も喜びます。こういったものもお金では買えないものかも知れませんね。
冒険者にもそういった幸運が舞い込むことがあるんですね。私も僅かですが財宝等を手に入れています。
（相手の視線に引き込まれそうになるが、逆に目を閉じ、俯き、鎧の下にある聖別された銀のネックレスを抑えるような格好で）
「愛する人」……ですね。 -- カレン
- ええ、冒険で為した財を元手に商売を始める者も居ますからな、何年も命がけでようやくといった所ですが
……む……些か、眩しいですね。（一瞬、体を硬直させる。まるで何か恐ろしい物を目にしたかのように） -- ギルバート
- 何をするにも命懸け、冒険者はよほど理由がないとなってはいけませんね（苦笑する）
（相手の様子にハッとしたように目を開け）どうかしましたか？……ああ、もう時間も遅いですね。危険な時間がやって来ます。
そろそろお暇しますね。今日はお招き頂きありがとうございました。（立ち上がり、深々とお辞儀をする） -- カレン
- 全くです。 と、私の様に大した理由もなく冒険者となった者が言える事ではありませんが
ご心配なく……少し、目眩がしただけですので（元から悪い顔色は紙のように白くなっている）
ええ……夜は危険な、魔物の時間ですから……馬車で、送らせましょう。 アーノルド、客人に馬車を（と、執事に声をかけ）
申し訳ない、本当ならば私自ら見送りたいのですが……（具合が悪そうにしながら） -- ギルバート
- 目眩ですか？……大事でなければ良いのですが。お身体ご自愛ください。（心配そうに）
では、お言葉に甘えて馬車で……いえ、今日はゆっくり休まれてください。
それでは、機会があればまたお会いしましょう。あいにく、私の家はギルバートさんをお招きするに足りるほどのものではないので……
（相手のことを心配しながらも、馬車を借りて酒場近くの家に帰る） -- カレン
- （うっそりと佇む古城の前に、紳士と思しき初老の男が立っている。客人用の窓口か、あるいはあたりを警戒する従者に声をかけたか）
（いずれにしても、男はこのように言う）失礼だが。ここは私が住むべき場所のはずだ。誰がキミ達を使役しているのかね？
（古参の下僕達ならば男の顔には見覚えがあるはずだ。他ならぬ、初代アードベッグそのままの姿をしている男が、にやりと笑った） -- 身なりの良い初老の男性?
- その日、城の門を守っていたのは若い門番と中年の門番の二人
若い門番が「爺さん、ここはギルバート・アードベック様の城だよ、もしかして道に迷った……」
若い門番の言葉を遮り、中年の門番が「待て、この方は……大旦那様！し、失礼したした。我々は現在ギルバート様の命でこの門を守っております！すぐに来訪をお伝えします。 それにしても、いつこちらにいらしたのですか？」
そうして中年の門番はピシっと姿勢を正し、年若い門番を中へと走らせる -- 門番
- 今さっきさ。キミ達の顔が見たくなってね（にこりと品のいい笑みを浮かべる紳士、姿形だけを見るならおそらく門番の記憶にあるものとそのまま同じだろう）
ああ、ぜひ呼んできてくれたまえ。話がしたいんだ、とても大事な話がね。
（無論、この姿は独自に手に入れた初代アードベッグの姿形と人となりの噂だけから模倣した仮の姿）
（中年の門番が注意深くその振る舞いを見れば違和感を見て取れるだろうが、そうしない限りは彼らの知る当人でしか無いだろう）
（どちらにしても用事はそのギルバード本人にある。初老の男は、本人しか知りえないだろう深い話題を狡猾に回避しながら、中年の門番と談笑した） -- 身なりの良い初老の男性?
- （やがて門が開き、ギルバートが現れる）
（彼は中年の門番をねぎらい、初代アードベックの姿をした人物を歓迎する）
お祖父様、ようこそいらっしゃいました。 忙しさにかまけて、中々お会いする時間が取れず、申し訳なく思っておりました
（そう言って、自ら城の中へと案内する） -- ギルバート
- （笑顔で応対し、城の中へと案内されていく偽装者）
（その途中、ふと案内するギルバードの背中へと言葉を投げかけた）
……さて、気付いて振舞っているのか。あるいは本当に気づいていないのか。
いずれにしてもご招待感謝する。吸血鬼ではないが、やはりこうした話は人目のないところでしたいものだ（同時に、初代アードベッグの姿が「ぐにゃり」と歪み）
（黒衣をまとい、覆面をした暗殺者の姿へと変わる。かいま見える双眸には瞳孔がなく、肌は青白い） -- 身なりの良い初老の男性?
- （案内した場所は吹き抜けとなったホール、宴となれば料理が並び客人が談笑するであろう空間は今はただ寒々しく広い）
次からは化ける相手の年齢も調べる事をお勧めするよ。 老アードベックは既に８０過ぎだ、その姿は些か若すぎる
（ゆっくりと振り向き）もし哀れな門番が気づいてしまったなら、私はとても胸の痛む行為をしなければならない
さて、見覚えのない顔だが、死神の類かな？ ここなら人間の目も耳も無い……話とやらを聞こうじゃないか -- ギルバート
- なるほど、我々の掴んだ情報が古すぎたのか、あるいはこういった手合いへの警戒を済ませていたのか……。
私の名はヴェイル。ギルバート・アードベック。孤児院を経営し、私財の半分以上を慈善事業に投じる心優しき資産家。
しかしその裏の顔は、人間を育て上げ血を啜る残虐非道な吸血鬼……今経営している孤児院は「天使の取り分」のためのもの。間違いないな？
死神になるかどうかはお前次第だ。私は主・"動乱の"メダロスより命を受けこの地へやってきた使節にすぎない。今のところは、な。
（沈着冷静な何者かの口調を"模倣"しながらも、用件を続ける）我らと同盟を結ぶつもりはないか。条件は、お前の邪魔者となるであろうハンター達の抹殺だ。 -- ヴェイル?
- （苦笑して）よくもまあ調べあげているものだ、残虐非道という部分を除けば概ね合っているよ
（メダロスの名に眉を微かに動かし）なるほど、貴様は彼の『存在』の下僕だったか。 君の主の高尚な趣味は良く知っているよ、直接出会った事は無いがね
さあ、それでは顔をよく見せてくれないか？ 死神の顔を見るのは一度目の死を迎えた時以来なものでね （ヴェイルを死神と呼ぶ、つまりは……交渉は決裂だ） -- ギルバート
- いかにもその通り。望むならばお前の社会的地位を守るための幾ばくかの配慮もしてやろう。この街で狩りをするならば、善人の皮だけでは足るまい。
無論、断れば……（言いかけたところで、奥ゆかしくも決定的な言葉が出た。相手は庇護を嫌い、堂々と宣戦布告を叩きつけたのだ）
（そこからの行動は早かった。右手に隠した刀身約90cmのレイピアをきらめかせ、余さず心臓を狙い刺突を放つ！） -- ヴェイル?
- 全く、交渉にもならないな。 極上のワインの瓶を砕き、しかも私の愉しみを奪おうだなんて
（電光の如き速度で突き出されたレイピアはギルバートの胸に深々と突き刺さり……しかしそこからは一滴の血も流れない）
（にやり、と笑う）どうやら、君は私の死神とは成り得ない様だ。こんな物では吸血鬼の肉体に傷を付ける事も出来はしないよ（一瞬でギルバートは霧へと姿を変え、その後、ヴェイルの背後に現れる）
だが、私に剣を向けた報いは受けて貰おうか（触れるようにヴェイルの両の肩に手を置く） -- ギルバート
- ！！（迂闊だった。敵は吸血鬼、常人のように殺せる敵ではないのだ。使うべきは右のレイピアではなく、左に隠したもう一方、銀のそれだったのだ）
（霧が背後に移る。肩に手を置かれ、ひんやりとした死の気配が暗殺者の背筋を叩いた）
……ッ！！（このまま吸血されるか、あるいは首をねじ切られるか。どれであれ、それを由とするヴェイルではない）
（左手の銀の武器、自在に形を変えるそれをレイピアからショートソードへ変え、背後に立つギルバードの脇腹を狙い引くように振るう！） -- ヴェイル?
- （ざくり、と脇腹を切り裂かれ鮮血が服を染める）そう、それでいい……吸血鬼を傷つけたいのならば、せめて銀の武器を使わねばな
（しかしギルバートのその表情は苦痛に歪むそれではなく、狂気と愉悦の笑み）
では、授業料を頂こうか（その言葉と共にヴェイルの右肩に置いた手にごく軽く力を篭める。もっとも、それは吸血鬼の基準でのごく軽く、だったが） -- ギルバート
- ギルバード・アードベッ……グッ！！（うめいた。驚愕に瞳孔のない目が開く。同時に、「ぼきり」という鈍い音が響いた）
（一撃である。吸血鬼にとっての「軽い」握力だけで、信仰の鎧は砕かれ、右肩の骨が完全に破砕したのだ）
……ッ！！（苦渋と怒りに表情を歪ませながら、切り裂いた傷めがけ左肘を叩き込もうと腕を振るう。体を引き剥がし、そのまま逃走するためだ） -- ヴェイル?
- ほう、もげ落ちなかったか……（ヴェイルの右肩を握り砕いた吸血鬼は感心したように呟く）
（ヴェイルの左肘は文字通りギルバートの脇腹に突き刺さる。 もしヴェイルに通常の人間と同じ感覚があるのならば氷の様に冷たい内臓に包まれる感覚を得るだろう）
（しかし）思い切りの良さは認めよう。だが君は吸血鬼について無知過ぎる……力を以って吸血鬼に挑むというなら伝承くらいは調べて出なおしてきたまえ
（ギルバートの表情は変わらず、体勢も崩れない。素手で吸血鬼の肉体を傷つけられるのは狼とその眷属のみ。ギルバートは興味を失ったかのようにヴェイルの肩から手を離す） -- ギルバート
- （直接効果がなかったとしても、体勢を崩すことくらいは出来るものだと踏んでいた）
（しかしそれが思い上がり。まるで氷に触れたような底冷えする感覚に、冷徹な暗殺者をして精神を揺さぶられる）
……く（相手はもはや自分を敵とさえ見ていない。狡猾に人間社会に混じり、仮面を被る吸血鬼は、それゆえに「鬼」、暗殺者風情がそう簡単に太刀打ち出来る存在ではないことを心根で理解した）
……この場で私を見逃したことを、後悔するな（だらりと垂れ下がった右腕をかばいつつ、与えられた隙をしかし捨てずに身を離し）
（ぎらりと、畏れが混じるように見える視線を残し、銀の剣によって切り裂いた空間から姿を消した） -- ヴェイル?
- ああ、後悔などしないとも……。 君の主に伝えてくれ給え、いつか貴方の血を頂きに参上するとな
（空間が閉じた後、老執事を呼びつけ掃除を命ずる）
（そして彼自身は、メイドの一人と伴ない地下へと向かう。 若き血によって傷を癒すため） -- ギルバート
- （雨が降りしきる夜、孤児院のドアをノックする音が響く）
すまないが、この雨で難儀をしている 屋根を借りたい
（ドアを開けば、獅子を思わせる巨漢が雨に濡れて立っていた） -- ヴィクター
- （扉が開き、初老の女性が出迎える）あらあら、大きな方。 突然の雨でしたからね、難儀したでしょう。さ、どうぞ上がってください
風邪をひいてはいけないわ、タオルと着替えを持ってきますからね、それまで暖炉の近くで暖まっていってくださいな（婦人は一瞬男の体格に驚いたようだったが、にこやかに暖まってゆく事を勧める） -- 院長
- 感謝する 着替えはいい、タオルを
（院長に礼を述べて、重い靴音とともに孤児院に入った 男の足元に雨が滲んでいく）
（厚意にならって暖炉の傍に腰を下ろしていると、物陰から一人の子供が好奇心に満ちた目でこちらを見ていた）
やあ （言葉をかけると照れたように引っ込んでしまった 苦笑する） -- ヴィクター
- （遠巻きに見ていた子供たちの一人、おそらくは一番年長の男の子とちょうど目があう。その子は恐る恐る前に出て）
こ、こんにちわっっ！（おっかなびっくり、でも好奇心が勝った様子で頬を興奮で真っ赤にして挨拶する） -- 子供
- （コートからナイフと半紙を取り出す 素早い手つきで折りたたんだ半紙にナイフを走らせ、細やかな切れ目を入れていく）
広げてごらん （それを、前に出てきた紅顔の少年に差し出す 少年が紙を開くと、動物が楽しそうに跳ね回る見事な切り絵が現れた）
（歓声を上げて、子供たちは寝室に戻っていった 入れ違いでやってきた院長より渡されたタオルで、黒髪を拭う）
（そのときだった 壁にかけられた写真に目が留まった）
（歳の程は30手前くらいだろうか、痩せ型の、すこぶるがつく美男子である なぜ孤児院にこんな写真が飾ってあるのだろうか）
あれは？（写真を顎で示しながら、院長に尋ねた） -- ヴィクター
- ふふ、良くできているでしょう？ あれはこの孤児院に出資してくださってる方の肖像画よ。（よく見れば、それが写真ではなく肖像画である事が分かるだろう）
ギルバート・アードベック様、海の向こうの遠い国の方なのですけｒど、親を無くした子供の為にと……（どこか夢見るように、彼女は語る）
その絵も、ここから巣立っていった子供が描いたものなのよ -- 院長
- 成る程 （慈善家というわけか 一歩近寄って、口ひげを生やした男の顔を見つめる なるほど写真ではなく絵であった）
（写実的に描かれた絵の男は、どこか残酷そうな面立ちをしていたが… 人は見かけによらないものだと思いなおし、視線を反らそうとした時だった）
（絵の男、ギルバートの瞳が、赤で塗られていた事に気付いたのは）
ギルバート・アードベック・・・（何かを思案するように、その名を呟く） -- ヴィクター
- ？ 何か気になることでもおありになって？（ヴィクターの様子に不思議そうに尋ねる） -- 院長
- いや （院長の声に我に返ると、タオルを返した）
貴族には珍しい、素晴しい人徳の持ち主だと・・・
海の向こうの出自だと言われたが、住まいは何処に？ -- ヴィクター
- ええ、こちらに来た時などは子供たちにお土産を持ってきてくれたり、とても気さくで優しい方ですわ
今はこの街から少し離れた所にある古いお城に住んらっしゃいますの。
ほら、断崖絶壁にあるあのお城ですわ（港から見えるそこは、地元ではそれなりに知られた場所だった。ギルバートは何年も誰も住んでいなかったそこを地元の貴族から譲り受け、この街での拠点にしているのだという） -- 院長
- （そこか・・・ 月光に不気味に浮かび上がる城を見て、低く呟いた）
（いつの間にか雨は止み、月が夜を照らしている）
止んだようだ、夜中に邪魔をした
いい孤児院だ、子供達も健やかに育つだろう （礼を述べてドアを開き、もう一度振り向いた）
最近夜が物騒になっている、くれぐれも戸締りには気をつけて （そう言い残して闇を切り裂くように歩いていった）
ギルバート・アードベック・・・ -- ヴィクター
- 良いんですのよ、困った時はお互い様ですわ
宜しければまた何かの折にでも遊びに来て下さいね。子供たちが喜びますわ（にこやかに言ってヴィクターを見送った） -- 院長
- 吸血鬼である貴方が眠りの為棺桶の中で寝ていると
眠りを妨げる様に僕たる使用人の一人からひとつの情報が寄せられる
その内容は「一人の狩人がこの城に向かってきている」という内容の物だ
棺桶の中からその報告を聞いた城主たる貴方は狩人の無謀さに唇をゆがめ一笑に付す
しかし予め先触れを送った使用人は貴方を恐れる様にその先鋒隊が全滅したことを告げた
驚きと来訪者への期待を抱いた貴方ができる事は大まかにふたつ
今すぐ城を捨てて逃げだすか。城門を開け狩人を迎え撃つかだ
ここは岐路。吸血鬼である貴方にとってありもしない人生の岐路である
貴方は道のどちらを選ぶ？迫る危険から逃げ出すのも、向かい合うのも貴方の自由だ --
- ほう、日のある内とは言え、一人で正面から訪れるとはな
（尖峰隊として送られた者たちはただの人間とは言え、正規の訓練を受けた兵たちだ。それを全滅させるとなれば、その狩人は只者ではあるまい）
（そこで、彼は何かを思いつき、邪悪な笑みを浮かべる）アーノルド、面白い趣向を思いついたぞ。 その者を歓迎してやろうではないか -- ギルバート
- はっ、旦那様。 して、その趣向とは？（尋ねる老執事にギルバートが耳打ちする）
ほう！それは面白う御座いますな……では、その様に（老執事は深々と頭を垂れその場を辞する） -- 老執事
- 黒く捻くれた森を進む狩人は、最初に討ち果たした者たち以外にはさしたる障害もなく城門へと辿り着く
堀には橋が渡され、両開きの城門の前には斧槍を持った二人の門番が立っている。 彼らは斧槍を交差させ、堂々と誰何の声を挙げる
「本日はそなたの様な者が訪れる予定は無いはず！」「名を名乗り、用件を言うが良い！」 --
- //分かりました、お気になさらず --
- （城門の前で足を止めた狩人、その身は焼け付くように赤い色に覆われていた）
・・・カウェント・ロッソ。ハンターだ
城主に面会しに来た（威風堂々と、または大胆不敵に門番達に告げる赤い衣服の狩人） -- カウェント
- 門番の一人、やや若い方が「ハンター？猟師には見えぬが、一体いかなる用件で旦那様に？」
そして年上の…・・・中年の門番が「待てよ……カウェント・ロッソ……冒険者の、『あの』カウェント・ロッソか！」（こちらは、カウェントの名を聞いた事があるようだった。驚きの中に若干の敬意が混じる声でその名を呼ぶ） -- 門番
- …また人間か。ここの城主はずいぶん変わっている様だ
悪いがお前らと話をしている暇はねーんだ。取り次ぐつもりが無いならこのまま通るぞ（敬意も興味の視線も無視してシニカルに笑う） -- カウェント
- 年若い門番はその言葉に「確かにこの街で人間ばかり働いてる場所は珍しいかもしれませんねえ」と答える。やや暢気で話し好きな性格しい
中年の門番が言う「失礼、私達も仕事ですから。 面会したい、だけで通す訳にもいかないのですよ。ご用件を仰って頂ければすぐにでもお取次ぎしますが？」こちらは真面目に職務を果たそうと -- 門番
- なるほど…無知は罪だ（この男達は城主が吸血鬼であることを知らないとあたりをつけ）
冒険者が貴族の所に来てるんだ、依頼に決まっているだろう？城主さんに頼まれてな
内容は他人に軽々しくいえねーんだ。悪いな（軽く笑って手を振り）取り次いでくれる？ -- カウェント
- 「成る程、そういう事でしたか。 はい、それでは少々お待ち下さい、旦那様に伝えて参ります」
得心した、といった様子で背を向けて門の隣にある通用扉へ向かう -- 中年門番
- やれやれ…随分お遊びが好きな奴だ（頭の中で次の策を考えつつ）
なぁ、オイ。ここの城主さんはどんな奴なんだい（若い門番に話しかけてみる） -- カウェント
- 「旦那様？ちょっと変わり者だし、見た目は怖くて不健康そうだけど、お優しい方だよ」
若い門番が言うには孤児院の経営だけではなく、行く所の無い若者に教育と働く場所を与えてくれる。と、そして自分もそういった一人だったと語る
そうこうしている内に門が開き、執事服を着た老人が現れる。 老人はゆっくりとお辞儀をして
「お待たせ致しました。カウェント・ロッソ様、旦那様がお会いになるそうです」
そう言って、門の中へと案内する
若い門番は「良かったな、カウェントさん。 それじゃあ帰りにまた」と、声をかけた -- 若い門番
- さんはいらねーよ（笑いながら手を一振りして。中へと入っていく）
（城の中へと通された男の表情からは既に先ほどの笑みは消えている） -- カウェント
- 門を潜り、薔薇の植えられた中庭を超えて城の中へ。
廊下には毛足の長い絨毯が敷かれており、壁には見事な絵画や調度品に混じって、子供が描いたと思われる絵も飾られている
やがて城主の執務室と思しき場所に辿り着くと老執事はその扉を叩く
「旦那様、アーノルドに御座います。お客様をお連れ致しました」老執事の言葉に扉の内から一言「入れ」という返答がある
「それでは、どうぞ……私は同席を許されておりませぬでな」老執事が扉を開き、中へ入る事を勧める
部屋は、広いが質素な執務室だ。 目に付く物と言えば年代物と思われる木製の執務机と奥に飾られた真紅の全身鎧のみ。そして、その男は執務机の前に立ち、カウェントを歓迎するように声をかける
「ようこそ、カウェント・ロッソ。吸血鬼を狩る者よ」その男は物語に出てくる吸血鬼のような夜会服ではなくスリーピースのスーツを身にまとった痩せぎすでやや不健康そうな男だった -- 老執事
- 海の貴族。ギルバード・アードベックだな（問いかけではなく断定に近い口調。目の前の不健康そうな男から漂ってくる気配がその正体を如実に語っているからだ）
…何をしにここへやってきた（問いかける。深くかぶられた帽子のせいで表情から考えを読み取るのが難しい） -- カウェント
- いかにも、お初にお目にかかる（すっと優雅に挨拶をして）
ふむ……何を、とは随分と抽象的な問だな。（顎髭に手をやり、天井を仰いで思案する）
そうだな、見ての通り体が弱くてね、ここへは静養に来ているのさ。 と言う理由ではどうかな？ -- ギルバート
- …吸血鬼が態々海を渡って静養にね…面白いジョークだ
答えるつもりが無いならいい…（そこまで言うと執務机の壁をさす。いや、壁ではなくその向こうにある「海」を）
黙ってこの街から立ち去れ -- カウェント
- スリルがあって良い気分転換になるものだよ、船旅も（笑い、君もどうだい？と冗談めかして言う）
だが君のそれは面白くも無いな、ただひたすらに無作法で不躾だ。 残念ながらその頼みは聞けないな
（見たところ、ギルバートは武器を持っていない。そして今は昼間、例え活動可能であっても吸血鬼の能力は大幅に制限される）
（しかし、彼はその状況に緊張した風もなく、カウェントに応える） -- ギルバート
- 頼み。…ね（唇が笑いの形を刻む。自嘲の形へ）
（ゆっくりと白い繊手が上がりその背から伸びる大剣の柄へ添えられる）
（そして床を蹴り吸血鬼に向かって走っていき）
（銀光一閃。肩口から閃く一撃がギルバードに向かって襲いかかる） -- カウェント
- やはり……そう来るかね。（背にしていた執務机の上を後転し、それを盾に最初の攻撃を防ぐ）
（頑丈な机は派手な音を立てて真っ二つに砕け散り、それからやや遅れてギルバートの胸にじわりと赤い血が斜めに滲む）
（そして、それと同時……執務室の扉を開け、老執事が駆け込む）
「旦那様、ご無事で？ おのれ、貴様、旦那様を狙う賊であったか……」（老人の言葉はどこか、予め用意された台詞でも喋っているかのようであった）
（そして、廊下の方からは複数人の足音が響く、恐らくは警備の者たちだろう） -- ギルバート
- ﾁｯ！（老執事が開けた扉の向こうから聞こえる足音に軽く舌打ちする狩人が再び疾走する。城主の場所ではなく奥の壁へ）
（外界に通じるその場所に大剣を振るう、再び煌めく光の帯）
（人ひとり通れる穴が石壁に穿たれるとその穴から赤い姿が外へと飛び出していった）
（石壁の中で夜の訪れが近いと感じ取っていた狩人は兵士達の戦いよりも脱出を選んだのだった。その背後に控える脅威を感じとって）
（部屋の中へ飛び込んできた兵士達が開いた穴から外界を覗く時にはすでに狩人の姿は無く茜色の海とその彼方に沈みゆく夕日が映っていた） -- カウェント
- その場では誰もカウェントの後を追おうとはしない、ギルバートの正体を知らぬ兵士たちにとっては逃げた賊よりも主の怪我の方が重大事だったからだ
ギルバートは慌てる兵たちを落ち着かせ、老執事による手当を受けながら指示を出す
やがて兵たちがそれぞれの役割を果す為にその場を離れ、吸血鬼と老執事だけがその場に残る --
- これ程の大物だとは思いませなんだが、旦那様の思いつき通りの結果となりましたな -- 老執事
- いや、難しいのはこれからだろう、アーノルド。 ここからは人間の手腕がどれほどの物かに期待しようじゃないか
（主従は語り合い、朗らかだがどこか残酷に笑いあった） -- ギルバート
- （孤児院を経営する彼の下に、商談が持ちかかった。街のパン屋だという少女が、彼が経営する孤児院にパンを卸したいと申し出たのだ）
で、ですよ！私のお店のパンでしたらその辺のパンより質はもとよりお値段も格安なんです！
絶対絶対、損はさせません！……い、如何でしょうかー？（熱意たっぷりにまくしたてたあと、顔色をうかがうかのように） -- パルフェ
- （少女の商談を受けたのは背は低いがガッシリとした体格の身なりの良い老人）
（彼はギルバートの執事であり、この街での商いについても任せられているアーノルドという者だと名乗った）
（少女の提示した金額に対し） なるほど、確かに安い……しかし、これではそちらに殆ど利益が出ないのでは？
それに孤児院へ収めるとなれば長期的な取引となります。 小麦相場の変化によっては大きな損をする事になるやもしれませんぞ -- 老執事
- う、確かにそうかもしれないですけどー…此処にパンを卸してるって実績があれば、また新しい商談の糸口にもなるんです！
それにですね、孤児院の子供達がうちのパンを好きになってくれたらー…それは将来の常連さんを育てることにもなるでしょ？
（老人の指摘にも笑顔を崩すことなく少女は答える）それにですねー、私のパンで孤児院の子供達を笑顔に出来たら、それはとっても素敵なことですから！
（明るい笑顔の花を咲かせる少女。この孤児院が存在する本当の目的を知らないからこその笑顔に思えるだろう） -- パルフェ
- （老人はその言葉に眉ひとつ動かさず） …………良いでしょう
ではそこまで仰るのならまずは三月、貴方のパンを納めて頂きましょう。 以降の契約はそれいかんによって、それで良いですかな？ -- 老執事
- ―はいっ！願っても無い…！絶対、絶対満足させてみせますから！
よーしよし、久々の大口契約ゲットですよー（ぐ、とひそかにガッツポーズをしつつ）
それにしても、私財を投げ打って孤児院を運営するだなんて…ギルバート卿というのは出来た方なんですねー？
（少し、探りを入れてみる。この街に孤児院は数あれど、貴族の道楽で経営されているようなものは数少ない）
（ましてや、海を隔てた土地に本拠を構える貴族がわざわざこの街で孤児院を経営しているというのが少し引っかかった）
（確かに、冒険者の多いこの街では孤児も他の土地よりは多いのだろうが―） -- パルフェ
- （商談の成立にお互いに握手を交わす。老人のゴツゴツとした手は人生の半分以上を船の上で過ごしてきた海の男のそれだ）
ええ、旦那様は立派な方ですよ。 年老いて船に乗れなくなった老骨にこうして仕事をくださる
が、それだけでは納得しきれないでしょう？ 貴方も仰るとおり子供たちはいずれ大人になる
そうなれば我々の顧客となりますし、あるいは働き手となるものも居るでしょう
それに行き場がなく、犯罪に手を染める子供が減れば、治安もよくなり商売もしやすくなる。 善意ではありますが、計算が無い訳でも無いのですよ -- 老執事
- フフ、計算とはいいますけども、決して己の利だけを追求しているわけではない辺り、やっぱり人格者なのですね？
（老人の言うことには納得がいく。確かにそういう理由であれば、ある程度の筋は通ってはいるが―）
それじゃ、私も未来のお客さんのためにしっかり丹精込めたパンを焼きあげますね！
では、今日の所は私はこれで。……次に訪問した時は、是非ともギルバート卿にお目通り願いたいものです
（この老執事の言葉は筋が通っている。通っているが、それだけではあまりにも清廉潔白過ぎる）
（裏の道を歩いて来た人間として、それだけでは心のどこかに小さなひっかかりを感じてしまっていた） -- パルフェ
- ええ、先の話も旦那様の照れ隠しが半分、といった所でしょうな（そう言ってここに来て初めて老人が笑う）
しかし私欲のみでの商いはいずれ行き詰まるのも事実……お嬢さんも商売人ならば分かる事でしょう
はい、そのように旦那様に伝えておきましょう。 きっと、お会いになって頂けますよ
それでは、ここから街までは遠いので、帰りは当家の馬車をお使いください -- 老執事
- （その笑顔に裏表は感じられない。少なくとも、この老人は本当にギルバート卿のことを出来た人だと思っているようで）
―えぇ、お客様あっての商売人ですからね。その心構えは忘れることのないようにしています（真実がどうあれ、商売人としてはそのポリシーは忘れてはならないもの）
フフ、その時を楽しみにしてます！…あら、良いんですか？でしたら是非お願いしますー。ちょっと、女の細い足じゃぁ辛くてですねー
（あはは、と苦笑いしながらも提案を受け入れた。何かあったとしても逃げ切る自信はあった。何もないのなら時間の節約で丁度いい） -- パルフェ
- ええ、もちろんですとも。 むしろ、女性を一人で歩いて帰らせたなどと知れたら私が旦那様に怒られてしまいますな
（老人がパン、パンと二度手を叩き、御者となる部下を呼ぶ）
それでは、この者が御者を務めます故、何かあれば遠慮なく命じてくだされ（老人の部下らしき男がぺこりと頭を下げる） -- 老執事
- あ、どうもお世話になりますー（ぺこりと頭を下げた男に合わせて此方も頭を下げ）
さてさて、それではどうもお邪魔致しました！今後も長いお付き合いになればいいですねー（浮かべた笑顔を崩すことは無く。そのまま用意された馬車へと乗り込むのだった） -- パルフェ
- （少女を門まで見送り、呟く）ええ、長い……長いお付き合いが出来る事を願っておりますよ -- 老執事
- （孤児院の前、子供達が遊ぶ夕暮れの街道 其れに混ざっている見覚えのない子供の姿）
（子供達を迎えに出て来たギルバード 其れに駆け寄る子供たち 遅れて、その少年が会釈をした） -- ベル
- （久しぶりにこの街の孤児院を訪れた時、遊びに出ていた子供たちを自ら迎えに行こうと思ったのはほんの気まぐれだった）
（だが、それは後になって思えば何らかの虫の知らせ、あるいは運命的な何かに引き寄せられたのかもしれない）
（子供たち一人一人の名前を呼び、再会を喜ぶ）
アンリ、すっかり大きくなったな、見違えたよ！ 悪戯ばかりして先生を困らせてはいないかい？（一番年長の少年の頭を撫でて、そんな事を聞けば少年はいい子にしてるよ！と元気よく返事をする）
ベスも、大きくなったなあ（そう呼ばれた7歳くらいの女の子はレディですもの！とすまし顔）
クリフ、私のことを覚えているかな？ 前に会った時はまだ言葉を話はじめた頃だったか……（一番小さな男の子は不思議そうな顔をしながらも年上の少年たちが喜んでいるので無邪気に笑っている）
（そして、見覚えのない少年に目を留め）（見覚えがない？本当か？）（その少年の顔に本当に見覚えがないのか？）（少年の瞳、髪、そして何より身にまとう空気、それらに覚えがある）（膨大な記憶の中、思い出される名がある）
（優雅に会釈を返し）お久しぶり、と言うべきですかな？ 今は何とお呼びすれば？ -- ギルバート
- （まるで貴人に対するような義父の様子に、年長の子供が目を瞬かせる 年少の子が、遊んでくれたんだと笑顔で報告する）
（その向こうで、少年は微笑んでいた） 前の様に呼んで下さい、ギルバート ボクの知らぬ内に、随分とー…
（子供達が見ているので、易しく微笑んだ その無邪気とも思える笑みのまま、赤い目だけをギルバートに）
随分とセラーを拡張したようだ 今年もワインは良い出来かな？ （世間話のように、見抜く） -- ベル
- （子供たちの話に耳を傾け、微笑んで）私はこの方と少しお話をするから先に帰っていなさい
（そうして少年に向き直り）では前のように……アウグスティン殿 （どこか、懐かしむように）
フフ やはり君には隠せませないか。 ああ、特にこの街では良い葡萄が得られるのでね
ふむ……それは言葉で語るよりは実際に味わって貰った方が良い
いかがかな？ 今宵、私の城で旧交を温めながら食事会でも -- ギルバート
- 素直な子供達だ 良き育ちを受けた者の血は清く身を満たす いつの間に醸造家に鞍替えしたんだい 『お父さん』？
（去っていく子供達に微笑んで、ヒラヒラと手を振り替えしながら、言う言葉は生臭く血が滴る）
君の食の好みは知っているからね 浅い仲ではないつもりだから …しかし、お互い思ったよりもこの世に縁があるようだ
（また逢えるとはね、と可笑しそうに笑う 言葉、仕草は、昔よりも随分と柔らかい 面影と喋る内容から覗ける記憶の含蓄がなければ、本人とも思えぬほどに）
君の招待ならば （返事は躊躇わず ギルバートが何を思うかを確かめる事もせぬ） 断る口は持たないね ギルバート・アードベッグ -- ベル
- この趣向を始めたのはさて、いつ頃の事だったか。 君と最後に会った時より後なのは確かなはずだ
嬉しい事を言ってくれるじゃないか。 しかし意外でもある、君がそんな事を言うとはな
（かつての彼からは想像も出来ない穏やかな言葉、しかし自分たち不死者にとって、長く会わぬ内に変化が訪れるのは珍しい事でもないと納得する）
では、行くとしようか （その言葉に合わせるようにゴト、ゴト、とゆっくりと大きな黒い馬車が現れる。） -- ギルバート
- 歳を取ると、古い知り合いが恋しくなる物なのやも知れないね （驚くギルバートが納得したような様子を見れば、冗談めかして返し）
では、招待を受けて （胸に手を当て、一礼 その手をするりと広げれば、礼服にマント 在りし日の服装のミニサイズである）
（その馬車に乗れば、杖を肩に置き） 君の舌が平穏に鈍っていないかを、見て差し上げます （そう言って目を細めたのだった） -- ベル
- フフ、だからかも知れないな、今この街に血族たちが集い始めているのは
ならば、君を唸らせる為にとっておきを開けるとしようか
（二人が馬車に乗ったのを確認して、御者がギルバートの城へと馬車を走らせる）
（街を抜け、捻くれた木々が生い茂る黒い森の中を進み、やがて見えてくるのは断崖絶壁の上に建つ古城） -- ギルバート
- なげえックス！ --
- 済まないね、これでも縮めたのだが -- ギルバート
- セップク！ --
- 良いだろう、早速やってみせてくれたまえ -- ギルバート
- 黄金暦216年 ５月
- 断崖に建つ古城の地下深く、出入口のない隠し部屋に一つの棺がある
それはこの城の主の真なる住処、ただ一つの領土
その棺の蓋が重々しく開いてゆく --
|
![[PukiWiki]](image/pukiwiki.png "[PukiWiki]")
