ソウルブレイブ クラリーチェ

  • (真夜中、部屋の中でごそごそと何かを漁る音が響く) -- ダープス 2012-11-08 (木) 20:41:51
    • …ふぁい! らいこーぶつれすわ!(目を輝かせながら跳ね起きた)でもよくご存知で……あら? 夜…ですの?
      あぁ…!(はかなく消えゆくマンガ肉の幻へ切なげに手をのばして 寝ぼけてはだけ放題のままむくれてお布団にもぐりこんだ)
      -- リーチェ 2012-11-08 (木) 22:08:22
      • (びくっと震えて頭を突っ込んでいた箪笥から振り向く)・・・・・・・・・・・・そうか、大好物なのかい・・
        (またごそごそちゃりちゃり、降り立って戦利品の袋に入れる) -- ダープス 2012-11-08 (木) 22:14:20
      • (すやぁ…と寝息を立てはじめて程なく夢の中へ)……あっ…ぁ……ら、らめれすわ…いけま、ひゃ…ぅ…ん、あぁ…!
        …こ、この…ろろぼーねこ!!(がばっ)……はぅ…?(挙動不審なナマモノに眠たげな視線が釘付けになる それは泥棒猫と呼ぶ他ない世にもあやしげなナマモノであった)
        -- リーチェ 2012-11-08 (木) 23:19:04
      • よっこいせっ(袋を担いだ所で聞える変な声)・・・なんだぁ溜まってんのか?この女・・・
        (眠り姫の面でも拝んでやろうと近づいた所で「泥棒猫」に反応してビクッとする)・・・・・・・・・(目をまん丸にして耳を伏せ、毛を逆立てて固まってる) -- ダープス 2012-11-08 (木) 23:31:19
      • (夢を見てるとしか思えない光景に警戒心ゼロでゆるゆるな笑顔を向けた)…………にゃ…にゃにゃー?
        にゃーん? にゃーにゃー…にゃーぅ? ですわー?(気分だけネイティブスピーカーのつもりで意思疎通を図ってみる)
        -- リーチェ 2012-11-08 (木) 23:45:34
      • ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(覚めた目で緩い女を見る)にゃー(一応鳴いて返すだけのノリはある猫だ)
        寝巻き、はだけてんぜ(一応指差して指摘しておく) -- ダープス 2012-11-08 (木) 23:59:17
      • にゃ?! い、いま言葉を…しゃべりましたわ! しゃべりましたわ!(こやつ本当に猫だろうかと器用に指?差す猫の手をつかまえる)
        (なるほど見れば見るほど賢そうな顔をしている なにせ泥棒猫なのだ 魔法のひとつだって使うかもしれない)
        …くちゅん!(小さくくしゃみして前をあわせ、人を呼ぶでもなく細く絞った灯りをともして)泥棒猫さんは泥棒猫さんですの? お眼鏡にかなう品はございまして?
        -- リーチェ 2012-11-09 (金) 00:20:30
      • にゃー・・・(今更ながらに猫の振りをするがもう遅いようだ、この女は完全に目を覚ましている)離せ離せ!(ぶんぶん手を振って振り払い)
        (明かりがともれば瞳孔がきゅっと絞られ目を細める)泥棒猫と確証を得る前に泥棒猫と判断するたぁ随分じゃねぇか、まぁそうなんだけどよ?
        (あっさり認めると袋を漁り)金貨がいくらかとベーコンに林檎に・・・(ごそごそ数えて)まぁそこそこってトコだな?(あっけらかんと言い放ち改めて袋を担ぐ)んじゃぁそういう事だから、オレぁお暇するぜ?(窓に向かって歩き出して) -- ダープス 2012-11-09 (金) 00:33:13
      • //すみませぬ、文通でお願いします・・ -- ダープス 2012-11-09 (金) 01:16:44
      • 現行犯でございますもの 落としのリーチェと呼ばれたわたくしですわ! ネタは上がっておりましてよ
        居直りましたわね 全部は困りますけれど、食べ物くらいならまあ…かまいませんわ もってけどろぼーですわ!
        そちらの棚の上の段に煮干がございましてよ お口にあえばよろしいのですけれど…(そう言ってベッドにもぐりこみ)
        (物言わず見守る剣にちらりと目をやり、まぶたが落ちるまでの僅かの間、名も知らぬ猫の仕草を見守るのだった)
        -- リーチェ 2012-11-10 (土) 20:15:18
      • 落としの・・・ってその二つ名使い方ちがくねぇか?
        おぅもってく、あと其処には「もう」煮干はねぇぜ?(今は此処だっと腹を叩いて)
        ・・・頭ン中ストロベリームースみたいになってるお嬢ちゃんにダープス様から一つだけご忠告だ、譲れば負けってね?(寝なおすのをみるやくるりと反転、再度部屋を漁った後に帰っていくのだった)
        //(体調不良な所失礼致しましたっ) -- ダープス 2012-11-10 (土) 21:36:58
  • 発情薬が撒かれた -- 2012-11-04 (日) 17:24:35
    • (ぺろっ)これは…発情薬! …あぁっ舐めてしまいましたわ! 舐めてしまいましたわ! -- リーチェ 2012-11-04 (日) 19:38:32
      • ・・・・・・・・・・・・ -- ソウルブレイブ 2012-11-04 (日) 20:16:43
      • (おろおろしながら口をすすぐ) -- リーチェ 2012-11-04 (日) 20:37:42
      • ・・・・・・・・・・(ため息) -- ソウルブレイブ 2012-11-04 (日) 20:40:02
  • ………ぅ、ん…(人はときどき、「夢から醒めた夢」というのを見ることがある 今の自分が置かれた状態はまさにそれかもしれない)
    (ふんわり柔らかくていい匂いのする寝具に包まれ、薄く開かれた視界に飛び込むのは見覚えのない部屋や調度品ばかりで)
    ……。(きっとまだ、夢を見ているのだ とても怖い夢だった気がする 夢は夢のはずなのに、どうしてこんなに切なくて、ずきずきと胸が痛むのだろう?)
    (もう一度眠りなおそう 目覚めればまた、いつも通りの朝が始まるはずだ 夢の名残で枕を濡らし、お布団を深くかぶりなおした)
    -- リーチェ 2012-10-29 (月) 23:59:06
    • (覚醒すれば外から聞こえてくる音が嫌でも耳についた)
      (瓦礫が転がされ木材が放り投げられる音、覇気があるわけでもないがそれでも大きな声を張り上げて指示を出す女性の声)
      (冷たく朝露が混じった冷たい空気が部屋に吹き込んできた)
      (誰かが部屋のドアを開け、中の様子を見てからまたドアを閉めていった)
      (もし布団から顔を出せば壁に立てかけてある剣が目に付くだろう)
      (その剣は刀身の一部が大きく抉れうっすらとひびが入っていた) -- ソウルブレイブ 2012-11-03 (土) 08:55:40
      • ……………………………。 ……………。    …っ!(何の前触れもなく真っ白な寝具が翻り、少女は勢いよく身を起こす)
        寝ている場合ではございませんわ!(身体じゅうの傷や打ち身が一斉に悲鳴をあげた 急に動いて元気よく声をあげたせいだ)
        (自分を騙すことなどできはしないし、この身に巻かれた包帯が、傷の痛みが雄弁に物語っている)
        (忘れたふりなどしてはいけない 自ら選び、命を捨ててでも貫こうとした意志を 身震いするような真実の記憶を)

        (一体どれほどのあいだ眠っていたのか、おでこに手をあて、不連続な断片となって蘇る光景をつなぎあわせる)
        (自分は剣を得た その剣で竜と斬り結び、浅からぬ傷を負わせた にもかかわらず仕留めそこね、あっけなく敗れた)
        (理由はわかりきっている あと一歩のところで疑ってしまった 信じられなくなったのだ 自分自身を、勝利する己の姿を)
        (「ごめんなさい、勇気が足りませんでした」では散っていった人々があまりにも浮かばれない)……あれは、たしか
        (この剣も耐えられなかったのだろうか 砕けた刃は今にも真っ二つになりそうだ 痛々しいその姿は、挫けた心の写し身の様に思えた)
        -- リーチェ 2012-11-03 (土) 22:36:31
      • (その場に一人の戦士が居るかのように息遣いを感じさせる)
        (もしその剣を手に取る勇気があれば傷がいえるだろう) -- ソウルブレイブ 2012-11-04 (日) 20:16:17
      • (朝早くから誰も彼もがみな忙しそうに働き、傷ついた街並みに人々の声が、復興の槌音が木霊する)
        とにかく…わたくしひとりだけ、寝ている訳には参りませんわね 折れた剣は鍛えなおせばよいのですし
        (今すべきことはもう一度剣を取ること ベッドを抜けだし、不思議な存在感を放つ剣をつぶさにたしかめるべく手をのばした)
        -- リーチェ 2012-11-04 (日) 20:32:59
      • (触れた瞬間に刀身に入った傷が細く薄くなる、しかし癒えきることはなかった)
        '我を再び手にとり何を成す・・・次は生きては居れぬぞ・・・ -- ソウルブレイブ 2012-11-04 (日) 20:39:10
      • これは…?(握りこんだ手のひらを起点に何かが流れこんでくる様な感覚、小さな傷が消えていくさまを目の当たりにして息を呑み)
        !!!!(誰もいない部屋で聞こえた声、三つ編みおさげが跳ねて暴れた)……あ、あの時の! あまりおどかさないで下さいまし
        (胸に手をあてて安堵のため息をつき、こやつどうしてくれようというジト目で剣を一薙ぎして)知れたことでございましょう?
        決心はついておりましてよ あれはわたくしの至らなさが招いたこと、修行あるのみですわ 身も心も強くなって、今度こそあの竜を討ち果たしますわ
        …復讐やはなむけのつもりはございませんわ 禍根を断ち、人を生かす剣といたしましょう
        ところで…(鈍く光る刀身を穴の開くほど見つめて)どこから声が出ているのでしょう…ふしぎですわ! ミステリーですわ!
        -- リーチェ 2012-11-04 (日) 21:15:45
      • ・・・・・・・・・・・・・・・・
        ならば汝が想いに答えよう・・・我が担い手よ・・・

        (反響する掠れた声は低くノイズが響いていく)
        担い手よ、まずは傷を癒すのだ・・・傷を癒した後にヤツを倒すすべを教えよう・・・ -- ソウルブレイブ 2012-11-04 (日) 21:26:46
      • 以前、父が申しておりましたわ この世には人の言葉を話し、使い手に奇跡の力をあたえる”意志ある剣”が数多眠っていると
        あなたがその一振りならば…(予言が現実のものになった、ということだろうか)お名前を! お名前を教えてくださいまし!

        (竜は通常、災害のひとつに数えられる 嵐を倒せる者などいない様に、竜を討つなど分別ある大人の言うことではない)
        (実現不可能ゆえの英雄譚なのだ それでも、万に一つの可能性があるとしたら? 夢を現実にするチカラが目の前にあるとしたら?)
        (信じてみたくなるに決まっている 信じたばかりに身を滅ぼそうとも悔いはない そう思えるほどの危なっかしい誘惑だ)
        お任せいたしますわ! この身体ではどのみち鍛錬などできませんし…(一閃、二閃 軽々と振るい、痛みに眉をひそめて)
        クラリーチェ・ピエラ・カヴァルカンティ! わたくしの名前ですわ いかようにもお呼び下さいまし どうぞ、よしなに
        -- リーチェ 2012-11-04 (日) 22:06:31
  • (窓から差し込む太陽の光が香の煙に遮られる。僅かな光がしわくちゃな手を照らし、その手から放り投げだされたルーンの宝石と骨が転がる)
    (乾いたため息が深くつかれ正面に控えていた大臣に向かい指を伸ばす)
    何かが・・・起ころうとしている・・・それが・・・よいことか・・・わるいことかは・・・わからぬ・・・
    じゃが・・・この国の行く末を左右することはたしかじゃ・・・・
    (牙と鉄鉱石がひとりでに転がる)
    北じゃ・・・北へ・・・騎士を遣わせよ・・・そこで運命が動く・・・ -- 2012-10-27 (土) 22:08:58
    • 港町『ノクターン』 -- 2012-10-27 (土) 22:09:49
      • (王都から北へ2週間、豊かな海産資源と諸外国への交易が盛んな港町ノクターン)
        (街の背には美しい山々が人々に自然の厳しさと雄大さを教え、南に広がる海があくなき探究心を刺激する)
        (街は今!かつて無いほど活気付いていた!北方駐留軍400の勇猛な戦士たちが北海を支配する7000の海人族を打ち負かしその財宝を持ちかえりこの町へ向かっているのだ)
        (大量の財宝、何より多くの人々を奮い立たせる戦士たちを迎えるべく街の人々がひっきりなしに宴の準備を整えているのだ) -- 2012-10-27 (土) 22:21:28
      • (気の早い者たちのさえずる噂話は人口を介して何重にもふくらみ、今やちょっとした英雄譚の有様を呈している)
        (勇士たちの凱旋を待ちわびる人々の中に、堅牢な甲冑でその身を鎧う少女の姿があった)
        (腰まで伸びた長い髪は闇にかがやく光のようにまばゆく白く、純真にして無垢なる瞳は春風そよぐ空の色にも似ていて)
        (いかにも、この土地の者ではない 少女もまた、故郷を遠くはなれてさすらう異邦人だ)
        (当地に滞在を始めて半月あまり 北を目指す旅の終わりか、はたまた通過点に過ぎないのか、答えが出せずに逗留を続けている)
        (ともかく、騎士道物語を愛する少女はこたびの壮挙を我がことのように喜び…街に満ちあふれる祝祭の気配を心から楽しんでいた)
        (そんなある日のこと…)
        -- リーチェ 2012-10-27 (土) 22:58:27
      • (まだ澄んだ空気が心地よい朝、顔なじみになった癖毛のある羊飼いの少年が少しはにかんだ様子でお祝いだから、とリーチェに一輪の花を渡して早足にこヤギと一緒に街の外へと駆けて行った)
        (その日の朝食は冷えたミルクと焼きたてのベーグル、カリカリに焼いたベーコンの上にはスクランブルエッグが山盛りに盛られていた)
        (食事を居に収め街に出ればバザーは早くも賑わい通りに花びらが舞う)
        (ふと武器を売る露天に気を引かれる、見渡しの良い場所に開かれた店の置くには美しい山が望める)
        (陳列された武器はこれと言っていいものが並んでいるわけではなく、樽の中に乱雑に剣が入れられていた) -- 2012-10-27 (土) 23:12:44
      • (少年の好意にこぼれるような笑顔でこたえ、花は旅の仲間たち、四人のベテラン騎士と囲う朝の食卓を飾った)
        (ところ変わって武器屋前 一点ものばかり並ぶ品揃えも、よくよく見ればどこかの横流し品の様な大量生産品ばかりだ)
        ……はぁ…(それでも嘆息せずにはいられない 胸に手をあて、恋する乙女のように憂いを帯びた表情で売り物の剣をチラ見する)
        (剣の一振りすら持てぬ騎士など聞いたことがない 干しブドウぬきのレーズンパンと同じではないか)
        (力の調節がきかず、使う端から「潰して」しまうので今は無手無刀に落ち着いている というのは建前で、半ば禁じられているのだ)
        (そういう事情でいたし方ないにせよ、ついつい足を止め、のぞいていってしまう自分がほんのり哀れに思えた)
        -- リーチェ 2012-10-27 (土) 23:49:51
      • (リーチェの憂鬱をよそに街の人々が海の方向を向いて指を刺す、白と黒の龍が描かれた帆が水平線から上ってくる)
        (歓声がそこかしこから上がり多くの人々が屋根を上り勇士達の帰還を喜んだ)
        (その中で物乞いがただ一人だけ山へ向いて指を刺す)
        (不意に武器屋の方向からどくんっと脈打つ音が聞こえた) -- 2012-10-28 (日) 00:23:58
      • (投げ入れられた一石が平らかな水面に波紋を広げる この街に起きたのはそういう現象で、誰もが海原の彼方を望んだ)
        (その歓喜の渦の中にあって、ただ一人沈黙を守る人間がいた 節くれだった指の先をたどれば北の峰々がそびえていて)
        ?(いかにも意味ありげで、意味など元よりないのかもしれない 胸の高鳴りと水を差された気分がないまぜになって、狐につままれた様な顔をして小首をかしげる)
        (悪戯ざかりの子供たちが先を争って港へと降りていく ついて行ってみようかと踵を返した刹那、その鼓動を聞いた)……
        (武器屋の主人は往来まで物見に出ている 聞きとめたのは自分だけかもしれない 何かが始まりそうなそうな気がして、振り向いてみた)
        -- リーチェ 2012-10-28 (日) 01:06:47
      • http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst081658.png -- 2012-10-28 (日) 01:19:01
      • (細波の様に歓声は潰えていた、否それは最初から歓声だったのだろうか・・・)
        (街へ影が落ちる、白い飛膜には薄っすらと赤い血管が浮かび太陽を覆い隠していた)
        (白く、あまりに攻撃的な外見のドラゴンが街の中央にそびえる塔に鎮座していた)
        (大きく広げた口から世界が崩落する音が響く、鋭くささくれ立った鱗に覆われたドラゴンの胸が大きく膨らみ鱗越しに肋骨が浮かび上がり金属が擦れ合う不快な音が町に響く)
        (その場に居る誰もが予感した―何かが起こると)
        (パニックを起こし逃げようとした人々が悲鳴を上げた、だがそれはドラゴンののどから巻き起こる振動にかき消されてしまう)
        (肺を満たす空気が振動し、共鳴を起こす・・・そして天地が揺らいだ)
        (凄まじい咆哮は音というよりもはやエネルギーのかたまりであった、巨大な咆哮の波動が待ちの上空を歪ませる!)
        (すぐそこまで来ていた英雄たちを乗せた船が巨大な拳で叩き潰されたかのようにこっぱ微塵になった)
        (木材がくだけちり船の中から人や大砲がこぼれでて波が砕け散る海のそこへと飲み込まれていく)
        (龍の足元に居た人間は崩れ落ちる塔の瓦礫に飲まれるより先に波動の余波を受け目と耳から血を流し死に絶えた)
        (塔の方角からリーチェの目の前に今朝すれ違った羊飼いの少年らしき足が降り注いだ)
        (目の前の現実を受け入れられず街の人々はしばし硬直した・・・) -- 2012-10-28 (日) 01:31:49
      • そん、な…!(つい一瞬前までは当たり前に存在していた人々の営みが紙細工のように脆く果敢なく潰えていく)
        (どこからともなく火の手が上がった 阿鼻叫喚の声は龍の咆哮にかき消され、衝撃波の直撃を受けた数人が血を噴きだして斃れた)
        (逃げ惑う人の数は秒刻みで減っていく 目の眩むような現実に理解が追いつかず、我に返った時には一人ぼっちになっていた)
        (じん、と痺れる頭に何度も読んだ物語の一節がよぎる それは人の命を奪い、街を滅ぼし、国をも喰らう人類の天敵)
        (個体の数だけ呼び名がある 畏怖をこめて囁かれる名がある 作り話だとばかり思っていた その怪物は、たしか、こんな姿をしていた)
        ……っ…ぁ…ぇぐ…(見覚えのあるそれに目をとめれば胃液がこみ上げ、救いのない末路に嗚咽まじりの嘔吐を繰り返す)
        (人の死を見届けるのは決して初めてではない けれど、死と紙一重の恐怖に身体の自由が利かず、胃の腑が空になるまで吐き続けた)
        -- リーチェ 2012-10-28 (日) 02:14:10
      • (呪詛にも似たドラゴン語が高らかに響き、グッグッグと愉快そうに喉を鳴らしドラゴンが笑った)
        (その空気の振動に古よりその血に刻まれてきた恐怖の記憶が蘇り、誰もが逃げ出した)
        (街を守るべき衛兵たちも少しでも身軽になろうと鎧兜を打ち捨て当ても無く逃げ惑う)
        (ドラゴンが首をまっすぐに伸ばし、のどからもう一度あの音が鳴り響く)
        (今度は街に向けて咆哮が打ち出された!赤レンガの町並みがまるでドミノのように崩壊していく!)
        (家々の中でおびえていた人々はその崩壊に飲み込まれ瓦礫の波と衝撃波が多くの命を奪う)
        (砂塵とレンガが吹き荒れる通りでリーチェの視線は不思議とそのドラゴンの胸に釘付けになった)
        (3回目の咆哮のために入り大きく膨らんだドラゴンの胸部に剣が突き刺さっている)
        (その剣を視界に捕らえた瞬間 ど く ん とリーチェの胸が脈打つ)
        (頭に声が響いたのだ)

        我 は 剣  汝 が 秘 め し 勇 姿 の 証
        古 の 悪 を 討 た ん と 汝が 望 む な ら ば
        そ の 覚 悟 を 我 に 示 せ
        汝 が 魂 の 輝 き で  そ の 恐 怖 を 踏 破 せ よ
        -- 2012-10-28 (日) 07:13:39
      • (しっかりな、と誰かに肩を叩かれた気がして正気づき、業火に君臨するアルビノの暴君を見上げる)
        …………ぁ…(もう一度あたりを見回せば、押っ取り刀で駆けつけた先輩騎士がそこにいた)
        (一人でも多くの人々を身を挺して逃がそうとした衛兵がいた)………あぁ…!
        (わが子をかばう若い親たちがいた 矢を射掛けて一瞬でも時間を稼ごうとする冒険者がいた)
        (消えゆく命を繋ぎとめようと力を尽くした魔術師がいた 敵わぬと知りながら立ち塞がった兵たちがいた)
        …う、あ、あああ、ぁ、あああああああぁぁぁぁっ!(なにもかも過ぎてしまったことだ 喪われた意志は二度と還らぬ)

        (魔性の竜は嘲笑う 力なき意志に価値などなく、路傍の石のごとく打ち捨てられるものなのだと)
        (弱くて未熟な自分には、ほかの誰かの想いまで背負うことなどできそうにない けれど、それでも、自分一人の決心ならば)
        取りに来い、とおっしゃいますの?(声なき声の導きに応え、胸の高鳴りを信じて最初の一歩を踏み出す)
        (呪縛はとうに解けている その足どりは刈り取る者の疾駆へと際限なく加速して)…お安いご用ですわ!
        この手に剣を! 剣を下さいまし! 折れぬ剣を! 毀れぬ刃を! 迷いを払う心の剣を!!
        (変わり果てた街並みを突き進み、増幅された跳躍力に身を任せて 電光石火の勢いのまま、胸の剣を力任せにねじ込んだ!)
        -- リーチェ 2012-10-28 (日) 12:10:49
      • (リーチェが手を伸ばした柄には白骨化した手がついていた、皮のストラップに恐らくは腕に楔を打ち込んで剣を固定したのだろう死してなおその手が離されることはなかったのだ)
        (この剣の使い手の覚悟がどれほどのものであったのだろうかリーチェが骨の上から剣を握り締めると剣が薄っすらと輝いた)
        (幾重にも折り重なり鋼よりも硬いうろ後を剥ぎ取って剣が引き抜かれた)
        (3度目の咆哮が鳴り響くことは無かった)
        (ドラゴンの胸に突き刺さった剣が引き抜かれ、その激痛に唸り声を上げて尻尾を振り回す)
        (痛みが竜の記憶を掘り起こす。熾烈に自分を追いたて誰よりも自分を追い詰めた戦士との戦いの記憶を!)
        (竜が体を震わせ鋭い鱗をリーチェに向けて打ち出した!) -- 2012-10-28 (日) 17:41:17
      • 通った…!(煮えたぎる熱湯のような血潮が噴出し、高温の血煙をまともに浴びて少女の姿はまだらに染まる)
        (刀身は身の丈よりも大きく成人男性の身長程度 常人ならばいざ知らず、少女にとって目方は軽すぎず重すぎず手に馴染んだ)
        (肉厚に鍛え抜かれた刃には無数の細かな傷が刻まれ、歴戦の巨獣の牙を思わせる不動の趣を漂わせている)
        (二度三度、真っ向から斬り込んで確信を得た これならやれる やらなければデッドエンドだ きっとここが死に場所になる)
        ごめんあそばせ? 力の加減は…苦手ですの!(雨霰と降りそそぐ刃を斬り払い、重装騎士の本懐とばかりに複合装甲で受け流す)
        お覚悟下さいまし!(枯骨が軋んで啼き、真紅の戦化粧に似合いの戦叫が孤独な戦場に木霊する 鱗を削ぎ肉を断ち無尽蔵に血を奪って、それでもまだ決め手が足りない)
        (一体どうすればこんなに大きい生物を殺せるのだろう? 龍殺しの英雄譚には肝心なところが書いていなかったのだ)
        (どうすれば、と惑い、太刀筋が鈍った刹那、尻尾の直撃を受けて横薙ぎに吹き飛んだ!)
        !! -- リーチェ 2012-10-28 (日) 21:42:31
      • (最初から勝てぬと踏んでいたのだろうか・・・尻尾でリーチェを薙ぎ払った隙を突いて翼を広げる)
        (ドラゴンが甲高い悲鳴を上げながら天へと羽ばたく!!)
        (一筋の赤い血を流しながらドラゴンは北へ、遥かなる頂へと消えていった・・・)
        (砂塵が舞い上がる中、リーチェは瓦礫と奇妙な剣を手に倒れていた) -- 2012-10-29 (月) 00:33:08

Last-modified: 2012-11-10 Sat 21:36:58 JST (4183d)