洋上学園都市/違反部活動/売買部
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- 遺された手がかりを元に、3人は日記に書かれていた酒場へと辿り着く。
薄汚れた看板や、お世辞にも綺麗とはいえない店内では 柄の悪そうな男達と、やる気の無さそうな店員らしき男が、仕事を余所にくだらない話で盛り上がっている --
- (酒場の扉が出し抜けに開かれた。やってきたのは、このうらびれた店内には似つかわしくない小柄な少年である)
(ハンチング帽を被った少年は店内を一瞥した。目に燃えるのは、言いようもないほどの怒りである) ……酒場「タイムマシン」。ここで間違いなさそうだね。(遺品となった手がかりを手に呟けば、グリゼアと千尋に目を向け) -- レジェム?
- (ホルスターにレイジングブル・マキシカスタムを刺し、眼鏡の奥で鋭い怒りを燃やしたままタイムマシンにやってくる)
そうだね、レジェム。ここから先は戦いだよ……準備はいい?(緩やかに外骨格化が進んでいく) (悪魔化。変身を終えると髪の色素が薄くなり、翠色の光の粒子が体の各所から放たれる) -- 雨宮千尋
- (風紀の腕章を腕に着け、鋭い視線を店内へと向ける長身の青年。大凡風紀らしくはない風体だが、その纏う空気はレジェムと同じく怒りに満ちたもので)
あぁ……『何故か』手入れしても何も出ねぇ酒場だ。 -- グリゼア
- 「あ?何だテメエ等」
男達の一人が3人に気づいたのか近づいてくる 「おいおい、お前等何しに来たんだぁ?ここはお前等みたいないい子ちゃんがくるとこじゃねえぜ?」 恐らく彼等も下にいる連中とグルなのだろう、ニヤニヤといずれも嫌味な笑顔を浮かべる様を見るに、どうせ手は出せないと思い込んでいるようだ だが、それはグリゼアとレジェムの雰囲気を感じ取った直後、雨宮の様子の変化を見るなり、直ぐに変化する 「お、おい…お前ら何する気だよ?まさかここでドンパチやらかすつもりじゃねえよな?俺等酒飲んでただけだぜ?別にぶっとばされる様な事はしてねえよ…」 怖気づいた男が、気迫に押され一歩引きさがる --
- (引き下がった間合いはすぐに縮まった。男の首には鎖が巻き付いており、それを「巻上げ」た少年が肉薄したからだ)
(ゴッ、という鈍い音。華奢とはいえ重い膝が男の鼻っ面に叩き込まれる。鼻血を吹き出しながら倒れる男の顔面を、レジェムが踏みつけながら着地) ドンパチ? そりゃちょっと違うね。ボクらがやるのは……(両腕から生えた鎖をじゃらり、と鳴らし、薄く笑った) こんなところを巣穴にしてる雑魚どもの狩りなんだからね! ……行くよッ! (赤いマフラーがたなびいたと思えば、赤熱化した鎖が宙を舞う。縛り、打ち据え、焼き、縦横無尽に酒場を飛び交い誰と言わず打ち据えていく!) -- レジェム?
- (鎖と怒号、悲鳴が舞いあがる中、両手の拳に白い光が集まっていく)
そう、これは狩りだよ。狩られる側は大人しくしてたほうがいい………(彼女が歩くと拳の白い残光が鮮やかに跡を残す) 私は! 私たちは!! 怒っているんだからね!!(酒場にいた男たちを聖光撃で片っ端から殴り飛ばしていく) -- 雨宮千尋
- (両手に片刃の短刀を精製、手近なチンピラの首筋に峰を叩きこむ)
怪我したくねぇ奴はすっ込んでろ。加減出来るかどうか分かんねぇからな……! (人の波へと踊りこみ、問答無用で赤い刃を閃かせる。目指すは地下へと続く扉。一直線に) -- グリゼア
- 「ぎゃ!?」
顔面に膝をめり込ませた男が、短い悲鳴を上げ沈む 「ってめえ!!」 それを合図にするかのごとく、酒場にいた男達は一斉に3人に襲いかかる! だが所詮は街のごろつき程度、数々の戦闘を経験し、さらに異能をも携えた3人には敵う筈もなく、ある者は鎖に縛られ、ある者は光の一撃で吹き飛ばされ、ある者は赤い刃と体術に何をされたか理解できないまま沈められ あっという間に全員叩きのめされる。 書かれていた辺りの壁を見れば、吹き飛ばされたごろつきが隠し扉でもある壁を突き破り倒れている 偶然にも先の大立ち回りで破壊されたのだろう、目的の人物は恐らく下にいる筈だ --
- (飛び石を伝うように、倒れ、逃げ惑う酔漢どもを踏みつけながら壁の奥へと飛び込んでいく)
(燃え上がる鎖が明かりとなって隠し通路を導く……ほとんど飛び降りるようにその先へと急ぐが、警戒は怠らない) -- レジェム?
- 喉にトカゲの刺青!!(戦意喪失した男を掴み上げて)ルゥに根性焼きした男!! 有罪!!(殴り飛ばす)
右耳にピアスが三つ!!(向かってくる男の攻撃を掻い潜り)ルゥを面白半分で殴ってた男!! 有罪!!(腹部に一撃くれてから膝を蹴り、横合いから殴り飛ばす)
有罪、有罪、有罪ッ!!(嵐のような蹂躙が終わる頃、隠し扉を見て)ここから先が本番というところかな…… (レジェムの後を追うように闇へと身を躍らせる)グリゼア先輩、後ろの警戒はお願いします。 -- 雨宮千尋
- (乱戦となれば、逆に気を使う余裕は無い。殺さぬようにという点にだけ気を配りつつ、的確に急所へと攻撃を叩き込んでいく)
殿は任せろ! (その場にあったテーブルを変質、大剣を作り上げる。扉に飛び込むや否や増援を防ぐ意味を込めて即座に通路へと叩き込み、即席のバリケードを作り上げた) (念の為に後方を警戒しつつ、魔窟の底へと足を進める) -- グリゼア
- 螺旋状になった階段を下りていくと、大きな扉がやがて3人の前に現れる
扉を開けたそこにあるのは、酒と、露出度の高イコスチュームを身に着けた女性達 大音量の音楽が流され、ある者は踊り、ある者は酒を浴びるように飲み干す…それは、一見どこにでもある普通の酒場の光景 だが決定的に違うものがある、大きなステージと、そこに立たされた手枷と足枷を嵌められた、3人と同い年から、年下ぐらいまでの少年少女達 それぞれの首には値札が掛けられ、まさに今商品として売り出されている。 奥を見れば大きな鉄格子のなかに、同じように枷を嵌められた者達、恐らく彼等も売り物なのだろう… 『地下フロア』と本来書かれていた場所には、誰かが赤いペンキで大きく『Morlock』と書き直していた… 間違いない、この秘密の地下フロアこそが売買部の活動場所にして、本拠地だ! --
- (以前、ある街でモノビーストを狩った時の話だ)
(モノビーストは時折、狡猾な知性を身につけ、肉の盾となる人間を調達することがある。それがハンターキラーの一種だ) (狩人の間で「獣の子」と呼ばれるそれらは、年端もいかぬ少年少女。いずれもが、モノビーストのことを知らぬが何らかの理由で視る事のできるものたち) (そうした子どもたちは、モノビーストのことを魔獣だとは知らない。自分にだけ視え、孤独な自分を守ってくれる「いい怪物」だと思っている) (そういうふうに振る舞うのだ。奴らは。そして無垢な子供を利用し、狩人を翻弄する) (そうした手合いと、レジェムは戦ったことがある。その時は、なんとか仲間の狩人が子供を説得することができていたが……) (この状況は、なんだ。こんなことを人がやるのか。モノビーストではなく、人間が) (少年は過去を知らない。常識を知らない。それゆえに邪悪を知らない。ここにあったのは、人間の欲望と言う名の邪悪である) ……お前ら……(ここにたむろする連中の名など知らない。顔を覚えるつもりはない、だが) ……お前らァああッ!! (正直なことを言えば、ルゥの敵討ちだとか、そういう悲しみや、しみったれた感情は全て吹き飛んだ) (義憤が全身を支配していた。少年はあまりに怒りが強すぎるゆえに、いっそ冷静になった頭で、そこを見渡した) ……全員、ブチのめしてやる! -- レジェム?
- (その光景を見た瞬間、体の中の血が沸騰するかと思うほどの怒りが体を支配した)
(極度のストレスを感じ取り、体を暴走へと導く悪魔寄生体を必死に押し留める) (『人間ども』『ぶち撒けられてぇか』『殺す』『一人残らず殺してやる』そうモリオンが囁きかける) (理性で衝動を必死に押さえ込み、ホルスターからレイジングブルを抜き、天井に向けて一発ぶっ放した) (轟音。硝煙の匂いが幾分か頭の中をクールにさせてくれた) これがゴングだ……(ホルスターに拳銃を仕舞うと構えを取り)一人残らずッ!! 後悔させてやる!! (怒りの拳に、聖なる光が満ちた) -- 雨宮千尋
- (グリゼアがそのような光景を見るのは初めてではなかった。傭兵が、或いは正規兵がこのような振る舞いをするのは彼の居た戦場では常であった)
(故に、彼の感情が動くことは無いか? ──答えは否である) (手にした短刀は長剣と化し、重金属で硬質化した肌の上を、彼の怒りを表現するかのように赤光が流れる) 此処に居るんだろう (仇敵の姿を脳裏に浮かべ、即座に燃やし尽くす。確かに聞いたあの声は) ……出て来やがれクソ野郎。踊らせてやる -- グリゼア
- 三者が一同に怒りを爆発させ動く、最初は何が起きたかわからないという面々だったが
その手に握られた凶器や、怒りに満ちた表情が尋常ではないと理解するや、蜘蛛の子を散らすように逃げだす! ステージ上にいた商品達も、巻き添えを恐れ部屋の隅へ…と、逃げるもの達の中から十数名が、3人へ向け逆に歩を近づける。 何もない掌から火を放つもの、獣の様に変身する者、念動力の如く銃火器を宙に浮かせ操るもの…その全てが異能を持つ者達だ そしてその中から、さらに三人へ向け一歩近づくものが一人。見た目は雨宮達と同年代程、眼鏡をかけた鋭い視線の東洋人らしき女性が、口を開く 「お前等…総会とかいう連中の者か?いや、それとも公安の奴らか?どっちにしろ、随分派手にやってくれたなあ…何が目的だ?」 残った者たちはいずれも実力者なのだろうが、その中でもこの少女は殊更凶暴な闘気を纏っているのを感じる…恐らく彼女が彼等の纏め役と見て間違いないだろう -- ???
- どっちでもない。……覚えてないと思うけど、ルゥ・シメールって子がいた。ボクらはそのおかげでここまでこれたんだ。
(目を閉じる。少年を思った。悼み、偲ぶのはそれで十分だ。目を開く。女と、異能者達が目の前にいた) 目的なんて1つだけだ。お前らを狩りに来た。……ボクも、彼女も(千尋を見る)、そして本来、使命を背負っている彼も(グリゼアを示す)もだ。 お前たちのことがムカついてしょうがないからだ。お前らをほっとくなんて、絶対にイヤだからだ! (そして改めて、敵を見渡す。睥睨するように)他の奴らもやってるとか、青臭いとか、そういうお決まりの文句はいらない。 誰からぶちのめされたいんだ? ……かかってこい、一人残らず相手してやる。 -- レジェム?
- ルゥは私の友達だった。弱さを分かち合った大切な友達だった……(怒りに滾る語気を隠そうともせず)
お前たちが使い潰した全ての命に平伏させてやる……! (目的を聞かれれば、白い輝きを持つ人差し指を相手へ向け) 正義…………雨宮千尋だ、覚えておけ!!(構えを取り) -- 雨宮千尋
- (二刀を担ぎ、首を巡らせる。ボスと思しき女に視線を合わせ、鼻で笑い)
手前らクズに令状は要らねえ。大人しく床にキスでもしてやがれ (挑発は端的に。しかし、燃える怒りを込めて) -- グリゼア
- 「ルゥ?あぁ、あの上で働いてたクソ役に立たねえチビか、何だあいつ死んだのかよ!」
火を操る異能の男が、挑発するようにレジェムの言葉へ返す。 「うざってぇし邪魔だしいなくなってせいせいした」 「黙れ」 続く言葉を口にしようとした男の言葉が、いつの間にか男の前にまで移動していた女の掌底に顎を打ち上げられ、中断される。 舌を噛んだのか悶絶する男を気にも留めず、ため息をつきながら女は語る。 「悪いな、見ての通り育ちのよろしくない奴等ばかりでよ。」 そして続いて女が語るのは、意外な言葉 「ステージのアレについてはともかく…そいつの件は多分、あたし等のせいじゃない、意味の無い殺しをやる程あたし等も暇じゃねえしな…っても」 す、と半身を前に出し少女が構える 「その様子じゃ言ったとこで納得しねえだろうし、何よりここまで来たってことはお前等が例のあたし等の事嗅ぎまわってる奴らで間違いないみたいだしな…」 年に見合わぬ凶悪な笑顔を浮かべ、殺意を放つ少女が言葉を続ける。 「悪いが、ここでお前等纏めて消えて貰うぜ…」 その言葉を合図に、異能者の手下たちも一斉に戦闘態勢に入る、そして 「シャアアアアアア!!!」 先程の炎の異能の男が火を放った瞬間、少女と、その手下達は散開、まずは様子見とばかり5人程の近接型の異能者達が3人に迫る! -- 麟
- (納得しない? 違う。ルゥのことはきっかけだ。彼の死は尊く、彼を死に追いやったものを倒さねば気がすまないのは確かだ)
(しかし今もって少年を突き動かすものはそれだけではない。いや、もはやそれよりも大きいものがある) (鎖で繋がれた者達の目を見た。彼らの呻きを聴いた。それをせせら笑うものどもの嘲りを聴いた) (気に入らないのだ。認められない。こんなものがのさばる世の中がわからない。ゆえに、ぶちのめす) (炎は無視。グリゼアと千尋の二人ならば、これをかわすどころか、返す刀でヤツを倒すことも不可能ではないという判断) (一人目の異能者が迫る。どうやらグリゼアと似た肉体変異系―――ただしこちらはせいぜいただの岩石程度のもののようだ―――が、比喩でない岩のような拳を振り上げた) (あまりにも緩慢だ。モノビーストのそれらにはもちろん、ヴィルや、怪物ルベウスのものにさえ届いていない。ゆえに少年が当たるはずもない……だが) (ガン!! と凄まじい音がした。少年はあえて、その拳に対して、鎖を巻きつけた己の小さな拳で応じたのだ) (岩石と同じ硬度を持つとはいえ、お互いに全力で叩きつけあい、しかもその間に金属が挟まったとあれば骨とともに拳は砕ける) (少年のものも同義。だが、その砕けた拳を痛みとともに握りしめれば、悶える男の顎に一撃。下顎が粉砕骨折し、男は昏倒) (二人目、三人目―――それぞれ体から刃物を生やし、もう一方は獣に変じた異能者だ―――の四肢を鎖の網で絡め取らんとする) 千尋! グリゼア!(四人目、五人目の動きが掴めない。仲間たちの名を叫ぶ声は、しかし彼らの体を気づかうものではない) (「代わりにブチのめしてくれ」と、少年の声が叫んでいた) -- レジェム?
- ……最初に言っておくけど。(ホルスターからレイジングブル・マキシカスタムを抜き)
これは私みたいな悪魔憑きを撃つための銃だ…….454カスール弾使用、フルレングスアンダーラグとマズルブレーキを採用してるけど反動だけで人間の骨を砕く… これで撃たれるんだ。ショック死しても恨まないでもらうよ!!(異能を発動、雨宮の瞳孔が蒼に染まる) 『涙に浮かぶ未来』!!(視覚から伝わる情報は極限まで高速処理され、四人目の動きを予測する) 視えたッ!!(反動で落涙しながらも四人目の手を狙ってレイジングブルを撃つ) (それは人間の末端部位を狙いながらも、狙撃の精度で放たれる完全予知の一射) -- 雨宮千尋
- (火炎の着弾に最適のタイミングで割り込む。レジェム・千尋の両名をカバーするように立てた刃で爆炎を逸らし……煙が晴れて現れるは、黒銀色の魔人)
ハッ、詫びのついでにお縄についちまえよ。その方が何しか楽出来んぜ (嘲るように言い放ち、担いだ二刀を構える。無造作極まりない動きで、銃弾に倒れた四人目を踏み越え最後に残った五人目の異能者──雷光を放つ鋼拳を振るい、今にも必殺の放電を至近距離で繰り出そうとしている──の両腕を斬り落とす) (きょとんとした顔で肘から先が消失した男を蹴りつけ、奥で間合いを図っていた雑魚へと投じれば、暴走した雷光に一群が消える) (鋼玉の赤が雷光を照り返し、残った敵を睥睨するように向けられる。黒銀の魔人は、底冷えのする声で言い放った) まだやるかよ? やるよなぁ だったら、一人残らず根こそぎ、だ -- グリゼア
- レジェムの鎖に四肢を捕えられた二人は、無様にその場に転がる。次いで雨宮の射撃が襲い来る異能者達を次々と撃ち抜き、行動不能にし
最後にグリゼアの投げつけた腕の雷光が、後衛にいた異能者達を一網打尽にする! 「おいおい…やってくれるじゃねえか…!!!」 グリゼアが動き終わるのを狙い澄ましたかの様に、その懐に少女が入り込む…そし一瞬、腕に力を込めたかと思うと 「殺ぃっ!!」 あろうことか、グリゼアへ向け素手による手刀を、水平に降り抜く! 一見すれば暴挙とも取れるこの行動…だがしかし、間近にいるグリゼアには感じるだろう それが決して、単なる破れかぶれの一撃ではない事に、そして、彼女自身から放たれる不気味な、正体不明の殺気が! 「お前らにはこれだ!」 そして、グリゼアの感じた正体不明の殺気が爆発する!殺気の正体は…髪、如何なる力かは不明だが突如伸び始めた無数の髪が、針の様に鋭く、一直線に雨宮とレジェムへ迫る!! -- 麟
- くっ!?(間一髪、無意識の防御行動が、頭部や心臓といった致命的な部位に髪が刺さることを防いだ)
(クロスした両腕に、針と化した髪が突き刺さる。そしてそれだけではない、突き刺さった箇所の傷がぶちぶちと引き裂け、血が噴き出すのだ!)あ、ぐぅ……ッ!! (強烈な激痛に呻く。だが、モノビーストの多種多彩な異形のなかには、こうした【針山】も、【鑢】のように傷を切り裂くものも存在した) (貫かれた範囲は多い。だが一個一個は数マイクロミリの太さしか持たない髪なのだ。痛みさえ凌駕することが出来れば……)おォッ!! (両手を伸ばす。更に飛来した髪の毛が掌に突き刺さり、頬をかすめる。どうせ何らかの原因―――おそらくは異能―――で傷は開いていくのだ、ならば躊躇する理由は、ない!) (突き刺さった髪をがっしりと五指の間に握り締める。女の髪をこうも無残に扱うとは男の風上にも置けないことだが、あいにくこいつらは人の風上にも置けない集団だ) (傷の治癒に回していたカロリーを全て鎖の生成に移す。次々に刺さる髪と対応するかのごとく、レジェムの全身から無数の鎖が現れ麟へと迫るのだ!) さあどうする、かわすか? 受けるか? ……どっちでも、あとは仲間がやってくれるさ! -- レジェム?
- ……っ!?(意外ッ、前に出てきた麟の髪の毛が襲い掛かってくる)
くぅ!?(咄嗟に腕で防御するも左腕を傷つけられ、その傷口が開いていく) これは……異能ッ!?(傷つけられた部位が切断寸前まで傷口が悪化していく) ならば……(両手を祈るように組む)その呪いを上回る回復速度を送り込むだけだ!! 最終能力……聖なる息吹!! (翠色の光の粒子が周囲に満ちていく。それはレジェム、雨宮、グリゼアの三人の傷口を急速に塞いでいく奇跡の顕現) -- 雨宮千尋
- レジェム! アマミヤ!!
(思わず仲間の名を呼ぶ。殺意の発露の正体を認め、しかし今は) ……ッ、やべっ (懐に潜り込む少女。比喩でなく光速の反射速度を得たグリゼアが選んだ選択肢は、手刀に合わせバックステップを行うと同時に、二刀を手放す事であった) (少女の手刀が赤い剣を打ち払い、グリゼアの胸を浅く薙ぐ。薄い筈の傷口が、見る間に血を流し始め……) (だが、その刹那に次の攻撃への布石は完成している!) (剣を手放した両手に形成されるのは、重金属タングステン製の手甲。ナックルガードには肉を叩く事に特化した、重く鈍いスパイクが無数に並ぶ) (レジェムと千尋の言葉に警戒は募る。だがそちらに意識を奪われる訳にはいかない) (胸の傷口のじくじくとした痛みを意識から切り離し、両拳を握り締め) 殴り合いで分があると思うなよ……! (大気の壁を叩き水蒸気爆発すら起こして、周りの調度品を吹き飛ばしながら再度の踏み込み。狙うは少女の顔面、レジェムの鎖による反撃にタイミングを合わせ──) 喰らって寝てろォ!! (──鋼の拳を射出する!) -- グリゼア
- 「ひゃはは!!『拷問婦人』の加減はどうよ!?」
三つ編みがバラけ、長い髪を鬼女の様に振り乱しながら女が嗜虐的な笑みを浮かべる、だが、それは捕えた筈のレジェムから迫る無数の鎖に、驚愕の表情へと変わる 「な、あの野郎の異能か!」舌打ちすると、残った髪が相対する様に鎖に絡みつき、次々と鎖は止められていく、だが、大量の鎖の全てを止めた代償に、女の操る事が出来る髪の毛の量は残り僅かに さらにそこへ来て、自身の異能を打ち消すかのような、聖なる息吹による超回復 傷の悪化とせめぎ合うように急速に怪我を治癒するそれは、僅かづつだが傷を癒していく そして、意識をそちらへ向けていたが故に、回避不能のグリゼアの拳が、女の眼前へ! 「な、くそ!!」 咄嗟に残った髪の毛を間に割り込ませ、クッションの様にする事で衝撃を打ち消し、さらに両手でブロックする女&bg;「ぐあ!!」 だがそれでも力を殺しきることは不可能だった、勢いよく吹き飛ばされた女は、壊れたテーブルや椅子にぶつかりながら、転がっていく -- 麟
- (倒れたレジェムを庇うように前に出て両手を交差させる)
聖なる息吹、セイクリッドブレスはありとあらゆる状態異常も打ち消す……! お前は負けたんだ!(麟に拳銃を向けたまま)お前たちみたいな悪魔を倒すためなら、私たちはどんな手でも打つ! もう逃げられはしないぞ、観念して風紀警察の縛を受けてもらう!!(レイジングブルの銃口が鈍く光った) -- 雨宮千尋
- (力を使い果たし倒れたレジェムに心の内で頭を下げる。拳を握りしめたまま倒れこんだ女へとゆっくりと近づき、見下ろす)
仕切りが倒れちゃ後はどうしようもねェだろ。それともまだやるか、お嬢さん? (がん、と壁を蹴りつけ) ボスは……奴は何処に居る。 -- グリゼア
- \へ〜イそこのカップルさん!ちょっと助けてほしいヨー!!!/
二人が麟に詰め寄ったその時、場違いにのんきな声ががれきの中から聞こえてくる、、見れば、そこには逃げ遅れたと思われる学生が一人、縛られたまま 瓦礫から這い出してきている -- ???
- ……っ!(とりあえず麟はグリゼアに任せると判断してレイジングブルをホルスターに戻して、瓦礫の下から這い出てきた学生に小走りで近づいていく)
大丈夫? 怪我はない……? 自分の足で歩けそう?(指からの光線で拘束を焼き切り) -- 雨宮千尋
- ……ッ待てアマミヤ!!
そいつは……ッ!! (手甲を分解し、ナイフを引き抜き有無を言わせず投擲の構えを取って……思わず、一瞬目の前の少女から意識が逸れた) -- グリゼア
- ふひ〜…酷い目にあったヨ…いやーありがとうネ雨宮ちゃん!(ヒョイと立ち上がったモックと呼ばれた青年は、雨宮に感謝の言葉を告げると)
さて、それじゃあ…
「ちょっと寝ててネ」
右手がとすん、と雨宮の腹部に当たった、と思った次の瞬間 男の手は一瞬にして、変身後のルゥを思い出させる、鋭い爪の生えた異形の手へと代わり、雨宮の腹をその爪で貫いた -- モック
- ………? なんで私の名前を……?(そのどこか間抜けな問いを口にしながら、腹部は剛爪に刺し貫かれていた)
あ……ぐぁ……(呻いて後ろに一歩、二歩と下がる)血……血が、こんなに……っ (全身が外骨格化していく。その暴走の前兆を寸前で押し留めながら必死に自己再生能力を働かせ) -- 雨宮千尋
- (全ては遅い。光速の反応速度を持ってしても、千尋が爪によって貫かれるのは防げない)
モック・モッキー……!! 矢張り貴様かァ!!! (怒りが視界を満たす。投じられたナイフは分かれ、変質して大量の直剣となり、黒の青年の元へと殺到する!!)
(……だが。この選択肢は) (目の前の敵から意識を外すという選択肢は、誤りであろう) -- グリゼア
- 「どこ見てんだボケが」
その言葉が聞こえた時には、グリゼアの視界が高速で揺らぐ…否、実際には、凄まじい速度で吹き飛ばされたのだ。 「ほんと、お前みたいな頑丈な奴は相手してて楽だわ。直ぐ油断してくれるしよ。」 瓦礫から起きあがっていた少女が、首を鳴らす。その顔には勢いを殺しきれず受けた拳による、傷跡が。だが、女の方は気にも留める気配はない。 「外からじゃなく内をかき回すような衝撃は初めてだろ?異能じゃねえぜ、まあ簡単にいやあ…気とか、そんなもんだ」 グリゼアの硬質化した外側の下、体の中をまるで鉄球が跳ね返り暴れるかのような衝撃が、絶えず続く、まともに食らってしまった今、暫くは立つ事すら難しいだろう 「おせえよモ―ロック…お前がちんたら仕込みしてる間に、手下が何人かくたばっちまったぞ」 麟の言葉が、グリゼアの予想を決定づける、そう、あの男が…あの男こそが -- 麟
- モック・モッキー……(負傷と出血からよろよろと後ずさり、そのまま尻餅をつくように倒れこむ)
モーロック………(思えば、疑うべきだった。この中にある全てを。だが、もう遅い) -- 雨宮千尋
- 「HAHAHA!いやあごめんネ〜、自分で自分を縛るのって結構難しくて、サ!」
モ―ロックと呼ばれた青年が手を上げるような動作をした瞬間、床が割れ巨大な石の壁が現れ、グリゼアから放たれた剣は全て阻まれる!それはまさに、ルゥを惨殺したあの時の力と全く同種のもの… 「はぁい、久しぶりネ、グリりん!ミーの事覚えてるかナ?と言っても、今まであずーっと偽名だったから、本当のミーの事なんて知る筈ないカ」 大袈裟に、まるで役者が舞台から観客へ挨拶するかのように頭を下げると、二人へ向け笑顔を向ける。それは、いつも男が皆へ向けていた笑顔と全く変わらない、人懐っこそうな明るい笑顔 だが、事この場においては、その場違いな雰囲気はうすら寒い不気味さしか感じさせない 「改めて自己紹介するヨ、ミーの本当の名前はモール・グリード、この街ではモーロックとして 売買部の部長をしているネ、ヨロシク♪」 そして麟の方を指差し 「あっちはミーの仲間で麟って言うヨ、ま、これも偽名だけどネ あっちの本当の名前はウィドウ・グリード ネ!」 そして、再度二人へ向かい、まるでいたずらが成功したかのように笑いながら 「どう?びっくりしたかナ?」 と、気軽に語りかける -- モーロック
- (とん、と。軽く触れるような感触が訪れた時、加熱した思考は育ての親の言葉を思い出していた)
(──曰く、拳法使いを相手に油断をするな。一度発勁が入れば、戦闘続行は望めぬと思え)
──ッが、ぁ……ッ!! (背中で壁を感じた時には、出鱈目な痛みと重量感が腹腔を支配していた。血反吐をブチ撒けつつ、薄れそうな意識を繋ぎ止め──)
(──そうして次いだモック……否、モーロック、モールの言葉に思い出す)
(──曰く、『グリード』には気をつけよ。奴らは腐臭と鮮血の主。肥溜と金貨の王。世界の裏側で、生者の生き血を啜り肥え太る強欲の悪鬼──)
ぐ……クソ、が……ッ!! (ぎり、と奥歯を噛み締め、萎えかけた脚を振り絞る。この程度の痛みで、限界に達したレジェムと傷ついた千尋を見殺しにする事など許されない) (震える手でナイフを抜き、変質。長剣を剣製し、構える) -- グリゼア
- (必死に深呼吸をした。出血はまるで止まらない。破壊の爪痕は想像以上のダメージを自分に与えているようだ)
グリード……あの悪名高き『グリード』か…! い、一体何が目的でこの街に…… (深呼吸するごとに悪魔寄生体が血流を早める。新たな力への覚醒へとその体を導かんがために) -- 雨宮千尋
- モール「簡単に言えば、材料調達ヨ、ミーのボスが『教皇』って言って、キメラとか人体改造とかその辺のスペシャリストなんだけド
最近そのための材料が思うように集まらないらしいのヨ、で、思いついたのが (売買部のステージを指差し)これネ!ふふふ、かわいいお姉ちゃんとも一杯知り合えたし、楽しかったヨー」 麟『あたしは単にトラブル起こした時の始末屋として、連れてこられただけだけどな…っと、何だ、まだ動けるのかよ つってもその様じゃ三人ともまともに動けそうにはねえみたいだけどな」 二人が揃って、一歩近づく、放たれる殺意は、三人に死を予感させるには十分だろう…が、ここで思わぬ事態がおこる 上の方で響く大量の足音、恐らく事前に通報した風紀警察の援軍が、ようやく到着したのだろう -- モール&ウィドウ
- (絶望的な思いが胸に去来する。万全の三人であれば五分の戦いも不可能ではない)
(だが、今の状況では……増援として訪れた風紀警察の身すら危うい) (故に) ッアマミヤァ! (床に剣を突き立てる。直後隆起した床が、鋼の剣山へと変じ) (間隙を縫うようにレジェムを抱きかかえ、叫ぶ) すまねぇ! 退くぞ!! -- グリゼア
- (上からは風紀警察の声。しかしあと僅かの時間で私たちを始末して逃げ出すことくらいグリードの手管を持ってすれば容易いだろう)
(僅かな時間を稼ぎ、倒れたレジェムとボロボロのグリゼアに半死の私を連れて上階へ逃れる、問われるのはそんな方法) (ある、その方法が今の自分には、ある!) モール・グリード……そしてウィドウ・グリード…(口を開くと、犬歯が鈍く光った)私はあなたたちを許さない。次は、必ず倒す!! (次の瞬間、雨宮の口は自分の右手の血管を食い破った。その失血と激痛がトリガーとなり、雨宮の体の血液が逆流する) (狭い地下の中に仄赤い光の粒子が満ち、雨宮の服のあちこちを破ってさらに外骨格化が進む) (悪魔寄生体と宿主との親和率、99.9999%―――――エンドレスナインに到達) (全身の傷が逆再生のように修復され、怪物は立ち上がる) ウオオオオオオオオオオオォォォォ!!!(暴走した雨宮の意識はそれでもクリーンで) (その瞬間、グリゼアが地面を刃として隆起させ、その隙を見計らってゴツゴツした右手でグリゼアの手を掴み) 聖翼光!!(進化した悪魔寄生体が齎した新たな力、光の翼を広げる) (そして障害物をその強靭な肉体で吹き飛ばしながら、雨宮はグリゼアと、グリゼアが抱えるレジェムを抱えたまま地面すれすれを高速飛行) (階段を翔け上がり、酒場『タイムマシン』内部まで飛翔した) -- 雨宮千尋
- ウィドウ「っ!!あいつ等…!!」
追おうとするウィドウを、モールが引き止める 「ダイジョブヨ、それに、放っておいた方が色々面白く動いてくれそうだし、ね さて、と…」 モールと呼ばれた男が、息絶えた手下達の元へ歩み寄ると、突如黒い霧がモールの足元から現れ、あっという間に死体を包む…そして… 「う…ここは…」 それは、信じがたい光景であった。来航を受け消し炭となった筈の彼等が、霧に包まれテ数秒足らずで、その体が完全に、まるで時間を巻き戻したかのように復元し、蘇生されたのだ。 それはあの両腕を切り落とされた男も、同じであった モール「ほらほら、死んでる場合じゃないヨ!ちゃっちゃと撤収して、これから次の事を考えないとネ〜」 最初は戸惑っていた部下たちだが、やがて蘇生は異能による力だろうと自分達の中で結論付けると、素早く秘密の出口から逃げだしていく… ウィドウ「あたし等も行くぞ…」 ウィドウもそれに続き、出口から酒場を去っていく モール「あ〜い…はは…最後にもう一回、バーっと楽しめるといいネ〜…」 一人そんな事を呟いた後、最後に地の底の王も、塒だった場所を後にした -- モール&ウィドウ
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