名簿/485632
- 黄金暦223年 2月 虎塞にて
(粛清の為の遠征の還り、軍を率いて立ち寄った街) (軍勢を遙か方向の駐屯地に起き、大山羊……黒咲を駆って山中に一息つきにきたところ) ……虎か。この地には多いと聞いていたが…… (巨大な虎と対峙している、6つ目の仮面の人物) -- 宗爛
- 兄者? 兄者ではありませぬか!(のっしのっしと王者の威風をまとって近づくもうひとつの巨体)
(その背に揺られ揺られる少女が花の咲く様な笑みをこぼした)虫採りならばこの先の沢へ行かれませ 何でも夕闇の降りる頃、世にも珍しい蝶が現れるとか―― -- 喬爛
- いや、少し遠征の帰りに立ち寄っただけだ。喬爛
(そういって、仮面を外せば、この男には珍しく険の無い微笑を返す) (目前な巨大な虎にも臆することなく近寄り、軽く微笑み返して頭を撫でれば、虎も途端に大人しくなる) お前ときたら総督府に顔を出しても見つかりもしない。ここにくれば会えるのではないかと少し思っていたのだ -- 宗爛
- さすがは兄者、この者らとの付き合い方をよく存じておいでのご様子(虎の大欠伸にくすくすと笑い)
なるほど、よいお心がけです 海越え山越えかけつけてこの喬爛を安堵させて下さいませ (こほん、と咳払いして辺りを見回してから虎の背に伸び)――まったく、従者も連れておられぬとは兄者らしい 皆置いてきてしまったのだな 私も一人の方が好きだ いずれ六稜に参上した暁の手土産にと獲っておいた毒虫十二種、みな世に現れぬ当地の固有種ばかりなのだが 手はずが済んでいてよかった…それとも、すでに存じておられたのやも -- 喬爛
- 人の世は息が詰まる……いまや俺の心が休まるのはこうして獣と触れている間だけだ
それは初耳だ。あとで喜んで頂くとしよう。毒の研究は薬の研究に繋がる。実を結べば、多くの民を救う術となるだろう。いつもすまないな、喬爛 (虎を撫でながら、黒山羊を傍らに止まらせてそう笑う) さて、しかし、今日お前に会いに来たのはただ世話話をしたいだけで来たわけではない ……飢饉と、それに纏わる粛清の話はすでに聞き及んでいるな? -- 宗爛
- (こくん、とうなずいて)…いつも何かに怯えておられた様な あまりお優しい方ではなかったが兄者は兄者だ いなくなれば世が寂しくなる
世の乱れとは政道の乱れにあらず! 名もなき民草が食うに困ることそれそのものだ(おなかの毛をもふる)いよいよ始まったのだな いや、父君が始められたのだ 私も兄者も無関係ではいられまい きっと巻き込まれるのだ、父の戦いに 兄者も存じておられよう? 我らが敵の名を(黒山羊の背中に手をのばし、身軽に乗り移って)…姿かたちなきその者の名を -- 喬爛
- (他の者が乗れば暴れる黒咲も、この快活な妹相手には嘶き一つあげはしない。昔からそうだ)
さぁな、俺には先見の力は無い。ただ、一ついえることがあるとすれば…… このままでは我々の民の多くが死ぬということだ 喬爛、今日お前に頼みに来たのはそれを未然に防ぐためだ 以前より持っていた交易路を、どうにか切り開いてもう少し数を増やして欲しい 我が六稜の地と虎塞の交易の頻度を増やし、流通を改善することで互いの力を維持していきたいのだ 帝国は幸いにも豊かだ。いかに飢饉といえど、金さえあれば餓えずに済むことはできる そのときのために、互いに蓄えを増やすための仕組みを、今作り上げておきたいのだ…… ……まぁ、返事はあとで書状でも構わない。即答しかねる事だろうしな (そういって宗爛が踵をかえせば、黒咲が喬爛を丁寧に地面に降ろして、主の傍へと近寄っていく) いい返事を期待している。長々とすまなかったな (そういって、胎違いの兄は山中へと再び消えていった) -- 宗爛
- 民ばかりで済むものか 左様に手ぬるい敵であればよいのだがな だがさすがは兄者! よいことを思いつくものだな…
相わかった!(即答)他ならぬ兄者の頼みだ 必要とあらば道中警護の者らを置こう 六稜の荷からは税の取立てを無くしてもよい ありったけ無理難題を並べ立てればよいのだ 私の役目は「決める」こと よきに計らえ、と一言言えばそれで終わりなのだからな また会おう兄者 それまで達者でおられるがよい(見送るように虎の咆哮が山野に轟き、霞の彼方へ吸い込まれていった) -- 喬爛
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