HMK/0012

  • (退院には3カ月かかった)
    (足は杖を付けば歩ける程度で、左腕はまだうまく動かせない)
    (深いひび割れの影響で美亜の右目はダメだった・・・顔に深々と残った傷跡が痛々しい)
    (結局あの剣が俺たちに齎したものは何一つとしてなかった)
    (この一年の事は思い出すだけで腹立たしいのに、忘れるなんてできそうにない)
    • (手の中にある封印された縁憑を見る)
      (こんなことをしても、たぶんコイツの本体は消えない・・・でもこうすれば、もうこの世界でコイツが暴れる事はなくなる筈だ)
      • じゃぁな
      • (軽く別れを告げて、スイッチを押す)
        (プレス機が動き出し、縁憑がつぶれていく)
        (スクラップになり、完全に力を失ったのを確認するとその場を後にした)
  • ヴァンフルドとの死闘の翌日、妹を伴い再び都庁に訪れる
    剣禍対は付近の掃討を優先し、コレクションルームの調査を後回しにしている
    コレクションルームを抑えられれば最悪彼らと事を構えねばならなくなる・・・それは流石に避けたい
    • 大丈夫か?美亜
      「うんっ」
      • (上手く動けない妹を背負い都庁に侵入する・・見回りの者がそこそこいるようだが、警備はそれ程厳重でもなさそうだ)
        (さほど苦労もせずにコレクションルーム迄たどり着けた)
      • ここだな…
      • (憑りつかれた者の性か、侵入してみればすぐに目的の物がどこにあるか気づいた)
      • 「お兄ちゃん・・あれ」
        あぁ・・
      • (それはひとりでに次々と形を変える鞘だった)
        (魔剣を手に、鞘に近づく)
        (不意に剣が震え、まるで嫌がる様に鞘から遠ざかろうとする)
      • 気づいた事があるんだ・・・
        百剣翁がどうやってお前をコレクションしていたのかって考えた時に、お前を封じる手段があるんじゃないかって・・・
        それに思い至った時、お前は何もしなかった
        俺がそれに近づいている時も、美亜と話している時も、お前は何もしなかった
        ・・・お前はこの鞘の事が認識できないんだ
      • (剣ががたがたと震える・・・柄から蟲の足のような物が生え、何とか逃げようとしているが・・そんな事を許すわけがない、しっかりと握りしめる)
      • もっと言えば・・・俺が何を求めて行動しているかもお前はわかってない・・・わからなくても推測はできたはずだ
        俺たちの認識できない処から攻めて来るから、無意識にお前をヤバい奴だと思っていたけど・・・お前は、あんまり頭も良くないんだ
      • (あるいはそれは、この剣が自身に課した縛りなのかもしれない)
        (奴にとってこれはただのゲームなのだから、負けの条件もちゃんと設定しているのかもしれない)
      • どっちだっていいけどな・・・これで終わりなんだから
      • (不意に妹が苦しみだす、人質のつもりだろうか?)
        (怒りが沸き上がる)
      • 往生際が悪いんだよ!このクソ魔剣が!!
      • (剣を強引に鞘に納める)
        (全身からぎりぎりと音が鳴り、何かが抜き出されていくのを感じた)
        (全身を苛む痛みに思わず声を上げる・・・苦しむ美亜を抱きしめ、懸命に耐える)
        (自分たちの体から魔剣の影響が抜けていくのを感じる・・同時にこの一年自分を支えてきた力もなくなっていくのも分かって)
      • あっ・・・ぐっ・・・
      • (左腕と足に力が入らない・・・全身から血が噴き出す・・・)
        (この一年の戦いで多くの傷を負ってきた、普通の人間ではとっくに再起不能になってきたような傷・・・魔剣の力を失った事で身体強化で補ってきた分まで失ってしまったようだ)
        (そしてそれは美亜も同じで)
      • (妹の悲鳴が上がる、鉄のように固くなっていた呪いが解け、人間の皮膚が戻っていく・・・ひび割れた部分はそのままだから、深い傷となって血が出る)
        (懸命に抑えてやるけれど、どうする事も出来なかった)
      • (すべてが終わり、魔剣の封印が完了した後、力尽きて気を失っていた俺たちは悲鳴を聞いて駆け付けた剣禍対に保護された)
  •  
  •  
  • (今日も今日とて剣獣を狩り一息つく・・・)これだけ探して一匹か・・・(こんな状況がいつまでも続かないのはわかっていた)
    (十把一絡げな弱い奴らが段々といなくなって、相応に強力なのは残っているが、全体としては確実に沈静化に向かっていっている)
    (喜ばしい事な筈なのに素直に喜べない)・・・「倒してもいいやつ」が、減ってきてる・・・
    (否、そんな相手はたぶん最初からどこにもいなかったのだ・・美亜の為に誰かを傷つけなければいけなくて、でもそれで自分が傷つくのが嫌だから、斬ってもいい理由を無理やり当てはめて言い訳してきた)
    (でもそれももう限界が近い)早くどうにかしないと・・・
    -- 雅人 2021-05-30 (日) 22:09:47
  •   -- 2021-05-30 (日) 22:09:22
  •   -- 2021-05-30 (日) 22:09:17
  • ミ🗞 -- 2021-05-24 (月) 22:23:49
    • (…メモ帳で書いたせいか文字のエンコードが合ってないかもしれないので適宜テキストエンコードを変更して読んで欲しいんぬ) -- 2021-05-24 (月) 22:35:05
      • (エンコードを変更ってどうするんぬ?) -- 2021-05-24 (月) 22:45:00
      • (見れた!ふふふ、上級者向け過ぎて使いこなせてねぇぜ) -- 2021-05-24 (月) 22:47:49
      • (なんか……メニューの表示の辺りから……と思ったら読めたようで良かったんぬー) -- 2021-05-24 (月) 22:54:04
      • (こう、ローカルに保存してメモ帳で開いたらいけたんだぜ・・・やり方違ったか)
        (運命部分をピックアップしてくれて嬉しい!ありがとー)
        -- 2021-05-24 (月) 23:00:55
      • (読めればOKなんぬー!そこは是が非でもピックアップする要素だと思ったんぬー。読んでくれて有難うなんぬ!) -- 2021-05-24 (月) 23:39:50
  •   -- 2021-05-22 (土) 15:35:00
  •   -- 2021-05-22 (土) 15:34:55
  •   -- 2021-05-22 (土) 15:34:50
  • (ここ数日雅人の周囲で不可思議な気配が現れる事がある)
    (それは遠巻きに…時に随分な近距離から雅人達に対し視線を投げ掛けるがそれ以上近付こうとしてこない)
    (何よりそれは二人の視界の内には一度も入らなかった、まるで認識されては困るとでも言う様に執拗に姿を隠すのだ)
    (だがその感覚も終わる日が訪れた、いつものようにふと感じる視線…それが明確な足音を伴って近づいて来ているのだ) -- 三厳 2021-05-11 (火) 23:50:32
    • (剣獣や魔剣の類と戦っている時、食事をしている時、休んでいる時、誰かに見られているような嫌な感覚が嫌なストレスがいつもかかっていた)
      (でもそれだけで、実際には何も起こらなかったから油断があった事は否めない)
      (その奇妙な感覚にも慣れ始めて来た頃・・・その異変は起きた)
      「お兄ちゃん・・・」
      (近づく足音を恐れ、しがみ付いてくる美亜を宥めると足音から離れるように移動するが・・・いくら移動しても気配はついてくる、明らかな意思をもってこちらに接近してきているのだ)
      くそ・・何だってんだ(どうやって撒こうか考えていた所で美亜の方に限界が来てしまった・・・)
      (痛みを訴え、動けなくなった妹を休ませると、逃げ込んだビルのエントランスで足音の主を待ち受ける)
      ・・・
      -- 2021-05-12 (水) 21:28:06
      • 先に言っておきますが
        (出鼻を挫くようにまずは声、次いで男の姿がエントランスに現れる)
        今回は戦うつもりは無いんですよねぇ、ストーキングした件については謝らせて頂きますが
        少々私の用事と縁がありそうな気配がしたので監視させて頂きましたが…あ、お喋りしても大丈夫です?妹さん苦しそうにしてましたし
        (飄々とした表情で男は語る、場を弁えない軽さだが…それは同時に今の首都という鉄火場に於いてそれが日常だと感じさせる気配がある) -- 三厳 2021-05-12 (水) 21:48:52
      • ・・・そういって油断させる気じゃないだろうな(警戒心MAXな感じの目で刀を手にしている、妹は物陰に隠しているが気配で場所はわかってしまう事だろう)
        アンタ誰だ・・・俺たちはアンタの事なんて知らない、人違いなんじゃないか?
        -- 2021-05-12 (水) 22:00:49
      • 斬ろうと思えば寝静まった頃を狙いますよ、そろそろ私に追われるのにも疲れてきた頃合いでしょう?
        若しくは慣れてきた頃合いか…いや、まあ更に警戒心を煽る様な事言うのは止めときましょうね
        私は疋田三厳と申します、元公務員でしてね今はとある魔剣を追う日々をば。あっ必要なら手放しますよこれ(そう言うと腰から刀を鞘ごと取り出す)
        まあとは言えそちらは知らなくてもこちらは見知った…というか感じてはいたんですよ
        ショッピングモールでのゾンビ退治の時に妙な気配があるな、と…それを追ってきた形ですので。あっ置きます?(地面を指差して) -- 三厳 2021-05-12 (水) 22:31:38
      • ・・・っ(まぁすでに警戒心を煽られてしまったわけだが、焦った感じで刀を構え直している)
        ・・・いいから、捨てるなら早くしろよ
        (ゾンビ退治と聞けばあの時かと歯噛みする・・・ゾンビが徘徊する街を迂闊に歩き回れなかった事、剣禍対への興味を抑えられなかった事が目を付けられる要因となってしまった)
        あれは・・・剣禍対が対処した事件だろ?・・・(何故公務員でない人間が関われていたのかと不思議そうだ)そうらしいって話を聞いたから、どんなもんか見に行ったんだ・・・それだけで追われたんじゃ堪らない
        -- 2021-05-12 (水) 22:57:33
      • おっほっほっほ!解き解すのが大変な感じがしますよこれ!分かります分かります、守るものがあるとそうなります
        まあ私もう守るモノ無いんですけど(何か奇妙な事を言いつつ男は刀を鞘ごと地面に置いて)
        成程、つまりは助けを求めているんでしょう?ただの興味で見に行ける環境じゃありませんし危険を感じたなら遠ざかります
        ですのでその助けが出来るかどうかも含めてこうして会いに来た次第なんですよ、今のとこ国の方針で危険な魔剣使いを民間と協力して優先的に捕まえる時期ですので
        まごまごしてると手遅れになる人も出ますからね(それは少年の焦りに漬け込んだ話術、だが同時に事実でもあるのだろう…子供が二人だけでは何も出来ないぞと)
        なので妹さんの様子を見させて頂いたらなー…と、ああ勿論私の目的に近いかの確認もしたいので(男の視線は妹が隠れているであろう場所に思い切り向いている) -- 三厳 2021-05-12 (水) 23:10:16
      • ・・・(助けを求めていると言われても答えない、図星を突かれて答えに窮したといった様子だ)
        (迷いからしばし黙する・・・苦しむ妹の息遣いが焦りを呼ぶ・・・今ここでこの男を切りつければ美亜はひとまずの安寧を得るが・・・剣禍対とのつながりを仄めかされた事で迂闊な事が出来ない)
        ・・・妹に変な事したら斬る(それだけ何とか返すと美亜の方へ行くように促す)
        (エントランスの物陰、顔の半分が硬質化した少女が玉のような汗を浮かべ、熱に浮かされた様子で喘いでいる)
        -- 2021-05-12 (水) 23:34:46
      • おや少し前身といった所ですか、ご安心なさいな魔剣に汚染される以上の変な事なんかありゃしません
        (そう言ってへらへらと笑いながら男は少女の元へ、美亜の前まで来れば跪いて少女の様子を観察する)
        (先程までとは打って変わって男の様子は真剣だ、脈を測ったり熱を指で確認したりの初歩的な事を始め硬質化した皮膚の質感などを確かめる)
        …通常ならこれだけ汚染されたら金属の毒素で死ぬか重篤な症状になっている筈だがまだ余裕があるな
        性質としては私の追ってる奴に近いが………こっちは悪意が見えるな、あっすいませんさっきそこに置いた刀持ってきてくれません?
        あれ病気に効く魔剣なのでちょっと試したいんですよね(そう言って男は自身の魔剣を指差す) -- 三厳 2021-05-12 (水) 23:57:10
      • (三厳を警戒しつつも不安げな様子の美亜に「大丈夫だ」と声をかけ撫でている)
        (しかし剣を取ってくるように言われれば)な、何を・・ふざけるなよ
        (そんな事許すわけがないと言いたげに反論するも)・・・(結局は持ってくる、ただしかなり目が据わってきている)
        -- 2021-05-13 (木) 21:56:22
      • へっへっへぇ、私を斬ってみます?それも良いでしょう、一時だけの安寧の為に修羅になる生き方も今の貴方にはありますよ
        (それは挑発しているとも取れる言い方ではあるが…冷静になれば他にも選択肢はあるぞ、という言葉にも取れるだろう)
        (そんな事を男は笑いながら口にしつつその刀剣を鞘ごと少女の後ろに持ってくる)ちょっと鞘に寄り掛かって貰えます?
        これが簡易な呪いや病気の類ならこれで対処可能だが…(そう言う男の口調はどうにも効果は無さそうな口振りだ)
        (とはいえ男の持つ剣はある剣豪が生涯剣豪や化生を斬る為に振るった魔剣でもある、多少は効果もあるだろう…あくまで多少、高次元よりの汚染には微々たるものだが) -- 三厳 2021-05-13 (木) 22:10:02
      • ・・・っ・・黙ってろ!(残念ながら言葉の裏まで読み取る余裕は無いようで、これ以上刺激するなと言うように一喝する)
        (荒い息を吐きながらも呻き、兄の助けを得て寄りかかる形に・・・・すると成程確かに効果はあるのか徐々に呼吸が緩やかになっていくが・・・・)
        「あぅっ・・・うぅぅっ!」
        (突如苦しみだし、身体からびきびきと嫌な音が響き始める)

        美亜!・・・わかった!わかったもういい!やめろっ
        (何のことはない、少女を冒している症例そのものは相応のスキルがあれば対処可能なのだ)
        (だがそれは兄妹に憑りついた剣の不興を買う行為であり、故に守り手である兄に警告しているのだ「そこまでにしておけ」と)
        -- 2021-05-13 (木) 22:45:26
      • (効果が現れたのを確認すると男は表情を変化させる、ただそれはより険しい物となる方向にだが)
        (そして少年がやめろと叫べばその鞘を少女の後ろから外す、やれやれと言う風に煙草を口に咥えて)
        成程これでオタクの魔剣の詳細が分かりました、偶発的なモノじゃあなく分かっていて妹さんに取り憑いてますね
        で…楽しんでやってると(今の所は男に出来る事は無い、一時的に侵食の『縁』を斬る事も出来るが大した時間稼ぎにもなるまい)
        このやり口からして幾つか保険掛けてるでしょうねぇ…解く方法はある筈ですが(今はまだ下手に手を出すべきではなく情報収集が必要だと男は語る)
        まあ一先ず妹さんの為に斬って斬って斬りまくって下さいな、剣禍対には…お好きに相談を、人手は要りそうですしね
        (男は少女に対し頭を撫でてごめんな、辛い思いをさせたと素直に謝る…胡散臭い雰囲気から一転してその表情は申し訳無さそうな苦笑が浮かんでいた) -- 三厳 2021-05-13 (木) 23:07:26
      • (男が鞘を外せば差引ゼロといった様子で少女は落ち着く・・・妹をしかと抱きしめ慰めると)
        ・・・今のがアンタのせいじゃないって事はわかってる・・・何もかも、このクソッたれな剣のせいだ
        (うすうす感じていた事、この剣は自分たちをいたぶって楽しんでいる・・・だから、その楽しみを邪魔されれば機嫌を損ねる)
        ・・・・・・・疋田さん・・アンタが悪い人じゃないって事はわかったよ・・・色々疑って悪かった
        ・・・(意識がないが斬って斬って斬りまくれば回復する事だろう)
        -- 2021-05-13 (木) 23:35:28
      • いやあ…悪い人ですよ、私ゃこの子に取り憑いた魔剣は私の目的の魔剣が生み出した剣獣の類かと想定していたのでね
        ただ予想とは違っただけです…そうだったのならもうちょっと荒っぽい事にはなってましたから
        (煙草に火を付ければ踵を返して)ですがまあ一応元公務員でもありまして?困ってる人を助けるのも義務ですんでね
        何か困った事があったらご連絡を(そう告げると男は名刺をひらりと少年に投げ渡す)
        では…あんまり一人で抱え込むもんじゃあありませんよ(ひらひらと手を振ると男は去っていった) -- 三厳 2021-05-13 (木) 23:46:16
      • ・・・?(話が見えないといった様子で眉根をひそめ・・・初めて手にする名刺というものをまじまじと見る)連絡・・・(できるのかな?)
        ・・・あ、あぁ・・・あ、お、俺は・・雅人だ・・・こっちは美亜・・・(言っていなかった名前を告げ、去っていく男を見送ると)
        大丈夫だ、もうちょっと我慢してくれ美亜・・(妹に声をかけ、剣を手に外に飛び出していった)
        -- 2021-05-14 (金) 00:00:24
  •  
  •  
  • (狼めいた剣獣に刀を突きたてる)
    ・・・っ・・(中から出てきた人間の姿を見ればやはりつらい・・というより、いつかこの感覚がマヒしてしまうのではという怖さがあった)
    お兄ちゃん・・・
    (美亜が声をかけてくる)美亜・・・動いて大丈夫なのか?
    うん・・大丈夫・・・楽になったよ
    (あれから俺たちは魔剣の所持者になったらしい・・・らしいというのは剣は美亜しか見ていないから)
    (その剣もどこにあるかもわからない・・・拾ったはずの美亜自身もどんな剣だったかよく思い出せないらしい)
    • (確かな事は、魔剣によって美亜が何かの病気にかかって体がどんどん鉄のようになっていっている事と・・・)
      ・・・(欲すれば手の中に刀が現れる・・・自分にこの武器が与えられて、これで誰かを傷つければ美亜の症状は抑えられるという事)
      (妹の体にこんな事をした奴は、俺たちの認識できないところからいつでも美亜を殺してしまえるという事)
      落ち着いたならいいんだ・・・兄ちゃん、この人を安全な所まで運ばないといけないから、ご飯は少し待っててくれな?
      うん・・・
      • (持ち上げる動きに隠して歯噛みする・・・こんな状況になった事でようやく妹に優しくなれたのは何の皮肉なのか・・身を守る力を得たことで色々考える余裕もできた気がする)
        (スマホの充電もようやくできて、情報が入ってきた・・・)
        (今東京には剣禍対とかいう組織が入ってきているらしい・・・接触できれば助けてもらえるかもしれないけど・・・今の美亜から無理に剣を引き剥がすのは危険だと確信できる)
        (症状をおさえられる手段が自分の持つ武器にしかない以上、拘束されるような事態も避けないといけない)・・・慎重に・・やらないとな・・
  • (毎日毎日、移動できそうなタイミングを図り、少しずつ・・・ひと月近くかけてようやく東京を抜け出せる目途が立った)
    (窓から見える通り・・そこを抜ければ封鎖の境界はすぐだ)
    長かった・・・けどもう少しだ
    (偵察を終え、美亜を待たせていた部屋に戻る)いくぞ(妹の手を取り、立ち上がらせると移動を開始する)
    • (もう少しだ・・・日常に戻れる希望に胸が高鳴り、自然と足が早まる)
      (その拍子に手が緩み・・・同時)
      あっ
      (妹が別の方向に走り出した)美亜!?
      剣がおちてるっ
      • (剣?そんなものがどこにあるというのか・・・いや、それより)美亜行くな!危ない!(慌てて追いかけるも、「運悪く」転がっていた瓦礫に躓く)
        パパとママを生き返らせられるやつかも
        (まるで何かに吸い寄せられるような足取りで美亜が駆けて・・・悲鳴が上がった)美亜!!
      • (結論を言えば、そこには確かに魔剣があったらしい)
        (俺が言った適当な事を信じていた美亜は、だからこそ不用意にそれに近づいて憑りつかれた・・・)
        (だからまぁつまり・・・こうなったのはあんな迂闊な事を言った俺のせいなんだ)
  • その日はなんて事の無い休日の筈だった
    家族で東京にきて、水族館やスカイツリーにいって、ちょっといいレストランで食事をする・・・ただそれだけの面倒くさい日
    友達と遊んでいた方が良かったけれど、妹がせがむものだから仕方なく付いていった・・・それがウチの家族の運の尽きだったようだ
    • なにが起きたのかなんて判らない
      突然起こった爆発や衝撃、逃げ惑う人々の波に飲みこまれた事くらいしか覚えていない
      ただその混乱の最中に母さんが、俺達を守る為に親父が斬られて死んだことは確かで・・・
      • そんなこんなで俺たち兄妹は今、無法地帯と化した東京のど真ん中から何とか脱出を試みている
      • 誰も信用できない・・・魔剣を持っている奴はもちろん、持っていない奴だってどうだか
        誰も彼もが自分たちを狙っているように見えて仕方がない
        兎に角まともな警察なり自衛隊なりがいる所まで逃げのびなければ
      • スマホの充電が切れる前に確認できた情報では都心部を離れさえすれば安全みたいだ
        そこかしこにいるヤバい奴らから身を隠しながら、何とか逃げ延びないといけない
    • お兄ちゃん・・・
      (妹・・・美亜が不安げに声をかけてくる・・・この状況を受け入れさせるのにずいぶん苦労した、いつもはもっと聞き分けがいい筈なのに・・よっぽどショックだったのか、何歳も幼くなってしまったみたいだ)
      (俺だって泣きたい、何もかも投げ出したいけれど・・・兄だから、俺がしっかりしないといけないから・・・ただそれだけで何とか正気でいられている)
      • ・・・不安がってもしょうがないだろ?とにかく東京を出ないと・・・ほら、腹減ったんだろ?取ってきたから
        (コンビニから拝借してきたプロテインバーと水を渡す・・・こんな物より先にスマホの充電器がなくなるんだから世の中どうかしてると思う)
        これもうやだ・・・ママのご飯がいい・・・
        (美亜の顔がくしゃりと歪む、母さんの事を思い出してしまったらしい・・・これはまたぐずる奴だ)
      • (焦燥感にかられながらなんとかなだめようとあれこれと適当な事を口走る)
        (「家に帰ったら兄ちゃんがご飯作ってやる」だとか「この前やりたがってたゲームもやろう」だとか、明日どうなるかもわからない状況で何一つ約束できない事ばかりだ)
        (美亜もそれはわかっているから簡単には泣き止まない・・・困り果て、苛立ちすら覚え始めた所で妹が反応を還す)
        本当?
        ・・・え?魔剣があれば・・・パパとママも・・生き返るかもしれないの?
        (本当に自分がそんな事を言ったのだろうか?・・・いくら魔剣に不思議な力があるからと言って、両親の命を奪った物に希望を求めるなんて事を)
        (疲れと焦りでもう何が何だかわからなかった)
        あ・・・あぁ・・そうだよ、きっとそうさ・・・魔剣には色んな奴があるんだ・・・きっと人を生き返らせることだってできるさ
      • (なんだろう・・・何かが自分たちの間に入り込んできたような・・・奇妙な感覚がある)
        (それを振り払うように首を振ると)でも、兎に角今は危ないから、一度東京を出て、警察とか、自衛隊とかに頼って、それからお願いしてみよう・・・いいな?
        (そう・・・これでいい筈・・とにかくこの奇妙な感覚から抜けださないと)
        うんっ
        (妹の機嫌は直ったが・・・まとわりつくような気持ち悪さは消えなかった)
  • テスト -- 2021-05-01 (土) 22:53:48

Last-modified: 2021-06-27 Sun 17:54:46 JST (1031d)