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- 名も無き合戦場 --
- 名も無き合戦場 --
- (夏のまだ明るい夕暮れ時、草原の中岩山のように佇む。地面に突き立て並べられるは弁慶七ツ道具… ではなく)
準備は万端ッ! 後は待つのみよ!!(巨人が使うような柄長のグレートソード、片刃のバトルアックス、湾曲した先端を持つ槍…) (黄金の戦輪、銀のチェーンフレイル、ひと目で魔法の品と知れる翠の片手剣…そして、冴えた冷気を纏う大太刀。新たなる、七ツ道具) -- ベンケイ
- (一方、姿をあらわしたエルフは腰の剣…そして装飾のされた投げナイフのみの軽装) 重ねて言うけれど、この剣は渡せない
君を斃さない限り終わらないというなら…終わらせる(くすんだ蒼の瞳に覚悟の色) 今日は、そのつもりで来たよ …考えを改める気は無いかい? この街には君を友と呼ぶ人間も居る (思い返す、錬金術師の少年の笑顔) こんなことを続けていると、いずれ悲しませる事になるよ -- ジョーヌ
- (近付けば判るだろう。元々分厚かった怪僧の胸板はさらに厚みを増し、体躯全体も歪に…ひと回り巨大化している)
いぷきすであるか! 某(それがし)あれには己を偽るなと申しておるにっ! そう申した某が己を曲げては手本にならぬ!! 武人と剣を賭して試合うことを喪わばそれは某に非ずっ!! 問答は無用ぞ! 掛かって参れ!! 某を斃してみよ!! (組んでいた両の腕を開く。立ち上がった巨大熊のように。その不自然に隆起した胸元がかすかに蠢いたように見えた) -- ベンケイ
- …仕方ないね(構える。低く) 君の力は底が知れない。悪いけれど、全力を出し切る前に叩かせてもらうよ… エルフ流抜刀術で!
(ナイフが空を切る。仕込まれていた火縄から火花を散らして。追いすがるように走る。火の精霊に呼びかけながら) 焼き尽くす! (抜刀。剣の軌跡に舞い踊る業火が仁王立ちの弁慶を襲う。二太刀、三太刀… 折り重なる炎の渦を残して納刀と同時、炎に潜む精霊たちに再度願う) サラマンダーの牙よ…!(燃え盛る火が刃の鋭さを持ち、喰い付く) 切り裂け!! (再び裂帛の気合を乗せた居合いの一閃) (太刀筋に呼応するように、食い込んでいた炎の刃が一斉に奔り… 弁慶を撫で切りにした後火の粉となって爆ぜ消える) -- ジョーヌ
- 某かねてより己が何者であるか自問しておったっ! 父御(ててご)は知れず!母御(ははご)は某を3年宿した後に産み、身罷ったと聞く!
(岩を斬るような感覚。炎に包まれてなお、その向こうから響く声)鬼子よ忌み子よと言われ育ちしが! この街に来て某が何者か解った気が致すっ!! (食い込む炎の牙が僧衣を引き裂く… その下から、鋼のような赤銅色の肉体。そして、それを護るように組まれた鉄柱のような太く逞しい腕に火傷の跡) 某が生れ落ちしときっ!産婆は赤子の某の腕を6本捥いだと申す!! 悪戯をすれば残りの二本も捥いで捨てるとっ!(火の粉の向こうから、四対の腕を持つ怪物が…) (…魔人が姿を現す)それらしい傷跡も無きゆえ躾のための戯言と思うておったがっ! この地にて求めし薬を用いればこれ、この通りなり!! (突き立ててあった武器を手に手に取り、身構える。その様はさながら明王像 ※イメージ ) 今の技っ、全力ではあるまい! 迷いは捨てよ!! -- ベンケイ
- (煙る熱気の向こうに凝らしていた目が… エルフの切れ長な目が丸く見開かれる) …くっ! 馬鹿な
武神… だとでも言うのか(その神々しささえ感じさせる姿に息を飲む。身構え、水の剣の力を解放する) フォルデルライン (大河の水底のように、空気が重みを…濃厚な水の気配を含む) 僕の心を鎮めてくれ… 泉水のように… (同時に、エルフの瞳にあった「ゆらぎ」が凪いでいく。弁慶の言葉の通り、迷いは失せ去る) …この剣は フォルデルライン(ラインの源流)は、大陸を分かつ大河の分霊。山を穿ち、大地を裂く力の象徴だ (巨人を…巨神を前に、揺るぎなく構える。月を写す水面のように、清んだ目が弁慶を見据える。間合いに入れば斬る、と) -- ジョーヌ
- 面立ちが変わったの!! 其れよ! 其れを待っておったっ!!(誘われるように身を乗り出したかと思えば、その姿はジョーヌの眼前に)
(ひねる様に突き出される槍、打ち上げんと下段から振るわれる斧と片手剣、そして真二つに斬り落とさんと頭上より迫るグレートソード。「魔神三段」) 貰うた!!(耳元まで裂けた口が笑みに歪む)さあっ!凌いで見せよ!! -- ベンケイ
- (疾い。しかし弁慶の身のこなし、踏み込みの速さは過去にも経験済みであり… なにより、心を研ぎ澄ました今のジョーヌに動揺はありえなかった)
(濃い水の気配が、水の精霊たちがジョーヌを護る。槍の穂先はわずかに芯を逸れ、エルフのわき腹を抉り鮮血を散らす)凌ぎきるよ… (身を捩り、屈み。打ち上げられる二つの刃をかいくぐり… 打ち下ろされる大剣がとらえたエルフの姿は、水面の鏡像のように波うって消える) …行くよ (跳び退ったのであろう、弁慶の鼻先2間… 構えた細身の影が5つに分かれ、惑わせるように異なる軌跡を描きながら瞬時に弁慶を取り囲む) 「濁流剣」!(5人のステップに引かれるように、周囲に満ちる水の気配が「流れ」を作り出す。それは激流の渦となり、その輪の中心に弁慶を押し込める) (刹那、5つの剣閃が交差する。全てを飲み込み砕く、濁流の顎(あぎと)が弁慶に牙を剥く) -- ジョーヌ
- むっ!?(手応えは充分。しかしそれは水を斬ったものだったのか… 姿を消したジョーヌに僅かの間気付かず)
分身剣であるか!!(自身を取り囲む分かち身たちに気色ばむ。声に喜色が混じる)成る程っ!これでは身動きすること叶わぬ!! (濁流に足を取られながらも直立不動。一斉に襲い来る剣をグレートソード、片手剣、斧、槍、戦輪で受け止める。八重垣の守り) 正しくっ! 岩穿つ濁流のごとき剣よ!!(急流に飲まれた小船のように軋む音を立てて… 戦輪は割れ、斧の柄が折れる。血しぶきが舞う) ぬおおおっ!! だがっ!まだまだ足りぬ!! 足りぬぞ!(残った腕が、武具が、打ち払う。周囲を、ジョーヌを) -- ベンケイ
- (水そのものになったように…弁慶の動きに応じて、引く波のように納刀して跳び退る。戦況を、相手の心理さえも映し出す水鏡。明鏡止水の境地)
(ぱきり、手品のように取り出した水晶玉のような何かを指先に砕く。それはさる魔法商で買い求めた純粋な魔力塊) 氷精、召喚 (精霊語に応えるように夏の野原に木枯らしが吹く。エルフの周囲にだけ…淡雪がちらつく) 奥義でもって応えるしか、ないようだね… (雪の舞う中を駆け、間合いを詰める。「抜き付け」…居合いにおける抜刀時のひと太刀は特別なものとされ、静かに、優しく成されるのが理想とされる) 暗夜に霜の降る如く… (エルフの足音が、気配が、吹き付ける淡雪に混じり消える。触れた事さえ…斬られたことさえ気取らせない即妙の太刀が袈裟懸けに奔る) 「風雪即意付け」! (斬り下ろされた切っ先が返され、登り始めた月光を湛えて跳ね上がる。光の精霊を纏った刃が…その軌跡が月輪を描き、留まる) 「月影の太刀」! (そして今…地上の月に照らされ舞う雪花を朱色に変えんとばかり、横凪ぎの一閃が弁慶の首を狙い…払い抜ける) …改め! 「乱れ雪月花」!! (納刀。向き直り、残心) -- ジョーヌ
- (風雪即位付けと月影の太刀で体をVの字に斬られ… とどめの一閃に武神の首が宙に舞う。いつぞやの幻影のように、高笑いをしながら)
…見事っ! 見事よな!! じょーぬ・しゃるとりゅーずっ!! 斯様に美しう斬られては死ぬるより他なしっ!! 悔いも残らぬわ! (かんら、かんらと首が笑い…やがて地に落ちる。それきり、その大男の声を聞くことは無かった) -- ベンケイ
- …終わった。のか?(残心が解け、わき腹から流れる血に意識が遠のき片膝をつく。死してなお倒れない弁慶の亡骸を見上げて)
本当に、武神の生まれ変わり…だったのかもしれないな(よろよろと立ち上がり野原を後にした) -- ジョーヌ
- 名も無き合戦場
- …なんだろう、呼ばれた気がするのだけど(腰に佩いた剣がかすかな音をたてる) -- ジョーヌ
- (不意に、湧いて出たかのように大男が姿を現す。気配もなにも無かったところへ、突然に) …ぬうっ!?
(梗妃が張った穏形の結界から出てきたところを運悪く鉢合わせたのだ) どうやら拙い所を見られたらしいのう! 其方に恨みはないがっ! 暫し眠って忘れるが良い!!(大男は、その巨体からは想像できない俊敏さで太刀を抜きざま斬りつけてくる) (頭部を狙った峰打ちだ) -- ベンケイ
- ?!ッ (完全に不意をつかれ、切れ長の目を丸く見開く。周囲には誰も居ないと…精霊を視る目でも確かめていた)
(それなのに、眼前の男は忽然と現れた。まるで異世界からこの世界に出てきたかのように) …君はっ (しかし予想外の疾さで間合いを詰められるや、振りかぶられた太刀が眼前に迫る。相手の上背から察する破壊力は相当のもの) 暫し…って!永眠させる気かい!!?(腰の剣を抜きざま、太刀を受ける。並みの剣であれば折れ飛んでいただろう一撃を) …ッ! (濡れたような質感の青みがかった刀身が、石に打たれた水面のように波紋を広げ… 衝撃を逃がす) -- ジョーヌ
- 然らばっ!それまでっ!!(永眠させる事になってしまったとしても、それはそれで仕方が無いと打ち下ろす太刀が)
(岩をも砕く勢いが、力が。吸い取られるように相手の剣身に消える。美しい波紋に変えられて、散らされる)…なんとっ!! 妖しの剣よの!! …其方もっ!相当の使い手と見た!!(突如として目を輝かせる僧形の巨人) 太刀を賭けて某と戦えい!! -- ベンケイ
- …無茶な!!(どうにか太刀を受け凌ぎ、やっと言葉が出る) それにこの剣は、僕がどうこうできる物じゃない
女王から借り受けた、エルフの宝だ。たとえ一命を賭したとしても…これを賭けるわけにはいかないね (納刀し、腰溜めに構える。話の通じる相手ではないと、理性が警鐘を鳴らしている) -- ジョーヌ
- (頭巾の隙間から覗く目の輝きはいよいよ喜色に満ちる) 成る程っ!! 其方ほどの使い手が命を賭し抗うか!
善い! 此れは善い!! かつてこれほど血の滾る「試合」に逢うたであろうか!? (弁慶の体躯に見合う大振りの野太刀を「ぎりり」と上段に構えなおす。見下ろす目は得物を前にした獅子の様に愉悦に満ちながらも、一分の隙も感じさせない) 「千本狩り」武蔵坊弁慶っ! 参る!! (踏み込み、切っ先を鼻先に打ち下ろす遠間からのひと太刀。やはり、疾い) -- ベンケイ
- どうでも、やるというのだね…! (構えを、目を見れば解る。 …この男は、強い。そして弁慶の名には覚えがあった)
以前、広場で騒ぎを起こした大男。以降も刀剣強奪を繰り返しているという… 君が、そうか(蒼灰色の目で弁慶を見据える) 西の森の護民官… いや、「断罪の剣」が一振りジョーヌ …君を危険だと判断するッ! (腰を落とし構えた体勢から身じろぎもせず… 野太刀が振り下ろされる刹那、弁慶の小手をさらい上げるような居合いの一閃) (重い斬撃を「受ける」のではなく、斬り飛ばす… 鍛錬されたエルフの目で放つ精密な一刀、「飛水断ち」の剣) -- ジョーヌ
- (ジョーヌに伝わる手応え。それは重い一撃を打ち払うものではなく… 弁慶の右の手首を半ばまで切り裂いたものだった)
ぬうっ!! 其方っ!霹靂刀(抜刀術)の使い手か!! …あやうく両の手を喪うところであったわ! (頭巾の皺が笑みに歪む) (人間離れした野性的な勘が弁慶の切込みを鈍らせた… 計算しつくされた一刀なればこそ、狂いが生じた) でやあ!! (中空で止まった野太刀の切っ先が再び打ち下ろされる。血を吹く右手首も意に介さずとばかり豪快に…しかし避けるのは容易いだろう) 愉しいのう! (打ち下ろされた太刀がなお伸びる。最初からそのつもりだったのだろう、踏み込みは続いている) そうれ!! (触れてもいない地面を、小石を砂を巻き上げんばかりの勢いで斬り返しの太刀が飛ぶ。横薙ぎに、広く、広く) -- ベンケイ
- (一拍遅れてきた打ち下ろしを納刀しながらかわし、隙を突こうとするも間髪なく横の一閃。相手を手負いと甘く見た若いエルフは判断を誤った)
間に合わな…!?(相手の剣圧に押されるかのように、剣を盾に真横に跳ぶ。それが精一杯。一瞬の後、重い衝撃を受けて吹き飛ぶ細身の体) (少し離れた枯れ木にぶつかり、地に落ちる。息が詰まる) …ぐ はっ、 う (転がるように身を起こし、無理に息を吸って身体の動揺を押さえ込む) フォルデルライン …少し力を貸してくれないか (搾り出すような精霊語に応えて、エルフの持つ剣が水の気配を放つ。周囲の空気が変わる) (通り雨でも降ったかのように、辺りが水の匂いに満ちる) 全力で、行くよ -- ジョーヌ
- 如何いたした! もう仕舞いであるかっ!(倒れたジョーヌに向かい歩み出そうとするも、たちこめる水の香に気付き足を止める)
…ほほう! これなるは妖しの剣の力かっ!? 善いぞ! 善い! 全力で参れっ!!(利き腕からはなお血を流しながら、笑う) 其方の力っ!某に見せるがよい!!(再び、長い踏み込みの薙ぎ払い。エルフが背にする枯れ木ごと断ち刈り取らんとする剛の剣) さあっ! どう躱す!! -- ベンケイ
- (せまる弁慶に背を向け、枯れ木の幹を蹴り高く跳ぶ) 大気の階(きざはし)よ (同時に、精霊語で呼びかける。風の精霊へ)
(剛剣を眼下に弁慶の頭上を月面宙返り…上下逆しまの体勢から、打ち下ろしに抜刀。「秘剣つばめ返し」 今は力を解放した清流剣から清らかな水が舞う) …ここからだ! (落下しざま、身を翻し宙を蹴る。呼びかけに応えた風の精霊を。そしてさらに一太刀、水飛沫の軌跡を残して) 次! (同じように重ねて3度…異なる向きから異なる太刀筋で、水の剣閃が奔る。気紛れな春の風に煽られ吹き付ける雨のように) …これが 「五月雨斬り」だ!(最後に地を蹴り、跳び退きつつ剣を鞘に。深く構え、残心) -- ジョーヌ
- ぬっ!?(薙ぎ払う太刀の先からエルフの姿が消える。勘の鋭い大男は、すぐさま振り仰ぐ)上であるかっ!!
(頭を狙ったであろう剣閃が頬を掠める。頭巾が裂け、散る水飛沫に血飛沫が混じる) なんとっ!! そこか!!(ジョーヌの跳ねた先を打ち払わんと薙ぐも、追いつかない。さながら五条大橋、牛若丸と弁慶の伽話のごとく) (続く太刀も身に受け、朱に染まった姿で片膝をつく。落石が地を打つような音を立てて)たいした技よ!! しかしっ!某とてこれで終わりはせぬ!! 大技を繰り出したる後の今こそが好機よっ!!(突如膝を折った姿勢から、伸びのある突きを放つ) (片膝をついたのは油断を誘うためか、自然に突きの動作に移るためか… いずれにせよ、しっかりと残心しているジョーヌには通じない事だろう) -- ベンケイ
- …あれを受けて、倒れないとはね (残心。油断せず心の構えを解かぬことがエルフの…ジョーヌの生死を分けた)
今度こそ… 奔れ!フォルデルライン!! (突きと、抜き打ちの一閃。必殺の一撃を手に手に、二人が交差する) -- ジョーヌ
- (タイミングは万全だった。ジョーヌの剣は狙いを過たず…頭巾に覆われた首が宙に舞いながらなお、カッカッカと笑う)
(…そんな幻覚さえ見えるほどに) いやさ! 凌いだり!凌いだり!! 此れは死んだかと思いしにっ!! (辛くもジョーヌの一刀を避け、大熊のような掌で首筋を撫でる… 突きを放ったはずの太刀は半ばからぽっきりと折れていた) 恐るべき使い手よな!! どうやら太刀で渡り合うは無理と見える! 時と場所を改め、万全の態勢にて仕切りなおしとさせてもらおうぞっ!! (なおも血が吹き出るを意にも介さず、野太刀を捨て不敵に笑う)その時にはその剣っ!某が貰い受ける!! (言い終えるやフッと姿を消す。現れたとき同様に忽然と。さながら異世界にでも消えたかのように) (後には折れた野太刀と点々と続く血の跡… あるいは、血の跡を辿れば弁慶消失の謎も掴めるかも知れない) -- ベンケイ
- (弁慶の姿が消えれば残心も解けて…) 痛たた… くッ!(体の痛みが戻ってくる。耐え切れず、片膝を付く)
…あれで、万全じゃないとはね(苦笑しようとして、痛みに顔が引き攣る)とりあえず、今日はもう動けないな (弁慶の消えた辺りを眺めて…) いずれ、か(身を起こし、ゆっくりとしたペースでその場を後にした) -- ジョーヌ
- 東夷軍先鋒 激震!獄焔の玄骸!の巻 --
- 襲撃された街の外
東夷軍の先陣を任されているのは泣く子も黙る極悪外道の男、李玄骸! 傍若無人。躊躇いも情けも無く、今宵も東夷を率いて大暴れしたようだが……? --
- チッ……全く手ごたえのない連中だったぜ…(骨刀を肩に担いだまま舌打ちを一ツ) -- 玄骸
- 欲求不満そうね?
(月夜の中、部下達と玄骸が離れたのを見計らってその声は発せられた) --
- あァん? 一体何者だ……
(月下にあって声の主を探し、周囲の気配を探る) -- 玄骸
- (声の聞こえた方角を見れば、声の主は木の上にいた。玄骸がギョロリと目を向ければ応じる様に降りてきて姿を現す)
よっと……私はあんた達、東夷軍幹部の暗殺を命じられた者よ。倭州でも随分暴れてくれたみたいじゃない? -- ミコト
- ハッ、倭州で暴れたのは鬼王丸と梗妃だろうがよォ……ま、俺が行っても殺戮はしたと思うがな。
それにしても暗殺たぁ大それたこと言ってくれるぜぇ……?(骨刀を足元に突き刺し) ブチ撒けられてぇかああああああああああああぁ!!(圧倒的な殺意の奔流を放つ) -- 玄骸
- っ……! (ぶつけられる「凶」の濁流。裏の世界を知っていなければ一瞬で足が竦み、立っている事すら儘ならなかっただろう)
…本当は、こうして正面切って相対したくはなかったけどさぁ (暫く監視していて、玄骸という男の動物的臭覚は鋭さは知ることが出来た。仮に寝込みを襲ってもこの男はむくりと起き上がって凶刃を弾くだろう) 一体、どんだけ修羅場潜ればこんなゴキブリみたいな殺人鬼が生まれんのよ… -- ミコト
- ハッハァ! 油虫呼ばわりたぁ傷つくねぇ……やっぱり手前ぇは解体してやるしかねェようだなァ!!
真空斬!!(刀から空気の刃を放ち、ミコトが立っている木を両断せんとし) -- 玄骸
- くノ一舐めんなっ! (脇差を抜きながら横へ飛べば、背後にあった木は紙を切るようにあっさり両断される)
一振りが……大き過ぎるんじゃないのッ! (持ち前の速度で一気に間合いを駆け抜け、剣閃を放つ! 隙を突いた。普通の反応速度ならば避けられない、と確信して) -- ミコト
- くのいちねぇ……(包帯の下で爛々と右目の緋が輝き、剣閃を紙一重で回避する)
シノビを殺すのは初めてだぜッ!(両断された生木が倒れる音を聞きながらニヤリと笑う) フンッ!!(骨刀を持ったままミコトの腹部を狙って膝蹴り) -- 玄骸
- 避けた…?! ――がっ、ふ…!
(「相手に避けられた」という衝撃は次の瞬間には「自分が避けられなかった」という驚きに変わっていた 詰まる呼吸を辛抱し、バックステップしつつ苦無を投げつけて間合いから逃れる) -- ミコト
- ふん。(投げつけられるクナイを骨刀で器用に切り払い)蹴った感じ普通の女だなァ……
どこが特別なんだ? シノビらしいところってよぉ……どこまで甚振れば実感できるのかねェ……? なんつってなぁ!! クハハハハハハハハハハハハハハハ!!! -- 玄骸
- っ……人のお腹で普通とかなんとか判断すんな変態がっ
そういうアンタはどこが特別なのか…試させて貰おうかしらっ!? (次に投げたのは火炎を纏った手裏剣! 火遁の術というものだろうか、闇夜に燦々と輝く三つの曼珠沙華 先ほどの苦し紛れに放った苦無と違い、正面と左右から追い詰めるように玄骸目掛けて飛来する!) -- ミコト
- おいおい、本当は斬った感触を確かめたいところなんだぜェ……? つれないことを言うなよ。
(火炎を纏った手裏剣を前に嘲笑を浮かべる。燃え盛る手裏剣が体中に突き刺さる) ハハハハハ。ちゃんと痛ェじゃねぇか……!(体にもその炎が燃え移るが、男は微動だにしない) (体に刺さった手裏剣を一本一本抜き、捨てると血こそ流れるものの、すぐに火の中で沸騰して目立たなくなった) ヒヒヒヒヒヒッ……(骨刀を炎が伝っていき、すぐに体を焦がしていた炎は武器に集中する) この程度の火じゃなァ……ぬるいんだよ…俺を燃やし尽くすには足りねェんだよォォォォォォォ!!! (燃え盛る骨刀を携えて袈裟掛けに斬りかかる) -- 玄骸
- 炎を……意のままに操っている…?
(手裏剣が刺さりながら笑う程度の奴は五万と見てきたが、流石にその能力には驚きを隠せない) くっ…普通の生き物なら大抵火は怖いもんだってのにね! 水遁・河童喇叭!! (口の前に手で筒を作ると、そこから水弾が発射される! 狙いは骨刀だ) -- ミコト
- 昔なァ……この体を地獄の炎が包んだよ…その時、死にかけこそしたが、今はこの通りってワケよォ。
ふん!!(放たれた水弾を切り払うと、若干骨刀の炎の勢いが弱まるが男の突進は止まらず) せりゃあ!!(ミコトの胸元へ向けて骨刀を突き出す、刺突攻撃) -- 玄骸
- ジュッ…!
(水弾は骨刀の纏う獄炎によって一瞬で蒸発した…まさに焼け石に水。しかし二人の間には水蒸気の霧ができる 玄骸がその霧を抜けてミコトを捉えた!と、思われた……だが) 忍法霧隠れ……ってね!! (霧に紛れて玄骸の背後に回っていた暗殺者。玄骸の首目掛けて逆に刺突! 今度こそ完璧な奇襲に違いない!) -- ミコト
- が………っ…(背後から首を刺し貫く刃)ぐ………(がくりと力が抜け、動きが止まる)
……なーんちゃってなァ?(拉げた声、振り返りざまにミコトに斬り上げの斬撃) -- 玄骸
- これでっ――え? (相手の肩に乗り、深々と刺し貫いた筈だった。普通の人間なら殺せていた奇襲…)
この出鱈目が! くっ、あう゛ぅぅぅぅ……!? (斬り上げを脇差しで受け止めるが、玄骸の腕力もまた並外れており身体の軽いミコトは軽々と吹き飛ばされる) こんなろぉ……! (飛ばされながら追撃に備え、背中に隠す忍者刀に手を伸ばし) -- ミコト
- くくく……もうな、喉を刺し貫かれたくらいじゃ死ねねェのさ…(眼を見開き)俺はなァ!!!
(骨刀の鍔元から切っ先まで炎が奔る)必ず死なァす……!!(そのままその場でグルグルと回りだす) (切っ先が旋風を生み、そこに炎が走り、炎の竜巻が作り出される!) 秘剣・火之迦具土(回転を止めると同時に刃を振るうと、炎の竜巻はミコトへ向けて襲い掛かる) -- 玄骸
- 不味った……簡単に殺せるとも思ってなかったけど、まさかこれほどの相手とは…とんだ強行偵察だわ。ったく!
(空中で二本目の刀を抜き放ち二刀流の構えを取るが、まずは目の前の螺旋焔をなんとかしなくてはいけない) 出し惜しみしてらんない。口寄せの術……お出でませ、鴉天狗・比津弥坊!! -- ミコト
- ハッハァ!! 無駄無駄ァ!! 炎の渦に抱かれて炭屑になっちまいなァ!!
(炎の竜巻は轟々と炎を巻き上げ、周囲の全てを焼き尽くしながらミコトに迫る) -- 玄骸
- 歌舞伎天狗比津弥坊、ここに参上ッッッ!! (ボンッと白煙の中からミコトと契約しているやたら派手な天狗が現れた!)
しっかし、いきなり何なんでぃこの山火事はぁ? 風呂を沸かすにゃあ、ちぃとばっかし大袈裟過ぎんぜぃ奴さん! (天狗は空中で先ほどの玄骸と同じく身体を回転させ始め、みるみる内に巨大な竜巻を作る。天に伸びた竜巻は雨雲を伴った小規模な暴風雨だ!)
喰らいなァ! 天塀須斗・大旋風〜!!
(天狗の葉団扇で扇ぎ、獄炎の竜巻に風雨の竜巻をぶつける! その力は互角。何とか食い止めている) ……こいつぁ悪い諧謔じゃねぇの? 法力を極めた俺っちの竜巻止めるなんざ、人間業じゃねぇぜ!! -- 比津弥坊?
- 何……召喚陣か! あのアマ、厄介な術を覚えてやがるぜェ……!!
(両者の放つ暴風と炎の竜巻は互角、ゆえに二つは絡み合って相殺し、消滅した) フン……天狗を召喚して俺の火之迦具土を止めるたぁたいしたもんだ…女、名前は? -- 玄骸
- (竜巻の激突に乗じて玄骸の背後から二本の刀で斬りかかるも、背負うように動いた骨刀に防がれていた…
二対一。卑怯とも言える奇襲でさえもこの男は看破したのだ。今日は一旦退くべきだとミコトも弁える) ……風魔、風魔命。本当は名乗りたくないけど…そういう方針にした風魔忍軍の馬鹿頭領にでも礼を言っといて 勿論、会うのは死後だろうけど……(言って刀を引くと天狗が飛んで来て擦れ違い様にミコトを抱えて逃げていく――) -- ミコト
- 風魔命……風魔の者だったか…(凶眼はあれだけの戦いの後でも決して衰えることなくミコトを捉えて)
行っちまったか……(その場に血を吹き捨て)なかなか面白ェ戦いだったな…… 野郎ども、待たせたな……船に戻るぞ。(玄骸は部下を連れてどこかへと立ち去って行き) -- 玄骸
- なんだなんだ…? 玄骸の親分が小娘と戦ってやがるぜ?
(派手な戦闘の音に気付いたのか、ちらほら東夷のならず者達が集まってきた) --
- ヒュー!見ろよあの俊足!まるで風みてぇだ! -- 赤鬼
- …霧が濃くてよく見えねぇべ(伸び上がって覗き込む) -- 三つ目入道
- だがよ、玄骸親分の超反応には勝てねぇぜ -- 青鬼
- うわー…何なんですかあの玄骸さんって御方? 不死身なんでしょうかー… -- 鬼子
- …あん人ぁ本当に人間でヤンスかねぇ(背後から刺されてなお動じない様に血の気の引いた様子で)
おっかねぇおっかねぇ…(逃げるように退散) -- ギンジ
- おっかねぇ、ですか…確かにドン引きですけど、味方なので頼もしいとも言えますよ
…ああでも、巻き込まれたら怖いので私も帰ります (比較的消極的な者達は帰っていく) -- 鬼子
- なんてでけぇ炎の竜巻だありゃあ!? -- 赤鬼
- あの小娘、天狗を出しやがった!? 竜巻と竜巻の怒突き合いなんて見たことがねぇ!! -- 青鬼
- ……よく分かんねぇが、こいつぁ玄骸親分の勝ち…だよな? ヒャア!やっぱすげぇぜ!! -- 赤鬼
- はっはっは!流石は東夷の斬り込み隊長だぜ!これからもついて行かせてもらうぞ!! -- 青鬼
- 名も無き合戦場 --
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