名簿/512719
- 5月1日
近頃、島の外の人間が増えている。対した観光資源もないのに、ドウシテ……。 キット、またあの「事件」の噂を聞きつけて、物好きが集まってきているのだろう。 こんな、地獄のような、監獄のような島には、何もないのに……。 お兄様を殺した島。私を苦しめ続ける島。コンナ場所は私の世界じゃないのに……。 どうせ、それで人が集まるなら、またあの事件が起きてしまえばいい。 「案山子」に皆殺されてしまえばいい。 私を嬲りお兄様と私の愛も踏みにじった全て、消えてしまえばいいのに。 あア…… みんな、消えてしまえばいいのにナア。 お兄様お兄様お兄様。私を愛してくれたのはお兄様だけ。お兄様。 お兄様を殺したこの島を、この瓶詰の地獄を、私は許さない。 許さない……。 案山子になりたいナア……そんなことを、思った……。
ソウいえば、電話線が切れたとか小さな坊やが騒いでいた。でも私には同じこと。私はこの島から出られない。ここは瓶詰の地獄……。
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