ラ・アル家出身 ルー 418773 †
冒険者だもんね。何時かこういう事になるって、分かってた
恐らく同行者は、既に死んだ者と思ったのだろう。彼が目覚めた時、辺りには誰いなかった
あるのは、もう一人の犠牲者の骸、そしてさっきまで猛威を振るっていた巨大トカゲの亡骸
それらを後に、一人、同行者達が行ったであろう帰り道を辿る
傷だらけの身に、十月の風はさぞ冷たかったろう。唯一、温もりをくれた物といえば、首に巻いた、幼馴染から貰ったマフラーだけだった
死んだと思われる程の重症を負った身で、片道五日の道を引き返せる筈は無い
目覚めた所からいくらも進まぬ内に、彼は再び地面に倒れ付す
起き上がる力なぞ、もう無かった
がさ、がさ
倒れた彼の頭の傍で、何かが蠢き、枯葉を鳴らす音がした
彼は、最後の力で、僅かに頭を動かし、音の鳴る方を見詰める
多分、野兎だったろう。視界の外れに、垂れ気味の兎の耳が映った
それは、どうしようもない勘違い。其処に、彼が居る筈は無いのだから
けれど、彼は、とても親しい、たった一人の彼の名を呼ばずにはいれなかった
「…あぁ、シルヴィ ……」 またあした
道端だったり街中だったり野営中だったり †最新の3件を表示しています。 コメントページを参照 詳しく †12歳までこの街で暮らしていた狼獣人の少年(厳密に言えば人と獣人とのハーフであり、獣人では無い) 身なりや性格 †服装は見たまま。半身裸体にボロのマントと青い短パン 後門の狼 † |