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とある王国にある由緒正しき騎士の家系があった
かつて王国が隣国との戦争において窮地に陥った際、ただ一人で数百とも数千とも言われる敵勢を足止めし、国と王を救って散った英雄の子孫
当然、現在でも有力な騎士として名を馳せて代々王国騎士団の幹部を務める程の家柄
彼はそんな騎士の血筋の嫡男としてこの世に生を享ける
一族の期待を一心に背負った男児はすくすくと成長し、武道は勿論学問でも優秀な成績を収め、先祖の生まれ変わりとまで言われる程となる
騎士学校を主席で卒業し、騎士団入りした彼はそこでも頭角を現し若くして連隊長を任される異例の出世街道を歩んでいた
しかし、彼には人知れぬ悩みがあった
そこまでのエリートコースを歩めば、女子にはそれなりの人気は出るのは当然
顔立ちに関しては少々老け顔と言われるものの、悪いという程ではない
女性の方から交際を申し込まれた事、ご婦人から逢引を頼まれた事は一度や二度ではない
早く家庭を持てと家族には言われ、見合いの話も多数舞い込んでくる
だがそのどれにも、彼は首を縦に振ることは無かった
多くの者はそれを堅物な程の真面目さ故と捉えていたが、それは違った
そう、彼は一つの大きな罪を抱えていたのである
ロ リ コ ン
彼は愛情を穢れ無き少女にしか向ける事が出来なかったのである
溺愛していた５つ年下の妹を自らが成人した辺りで以前のような愛情を持って接する事ができなくなり
初めて愛する人が出来たと報告に来た時には心の中「ビィィィィッチ！！！」と叫んでしまったくらいである
騎士は大いに悩んだ
国を、民を、家名を守るべき自分がそんな事でいいのかと
生きるべきか、死ぬべきか
そこまで考える程に
大きな苦悩を抱えたままではあったがその働きは国中に轟く程で、悪党は彼の名を聞けば逃げ出す程に強くなった
父は言った
「お前は一族の誇りだ」
母は言った
「貴方のような子を産む事が出来て本当に幸せだ」
妹は言った
…何か言われた気がするがなんと言っていたのか記憶に留めていない
そんな中、国からは百年に一度その名を寄贈されるに値する者が出るか、とまで言われる栄誉ある称号
聖騎士の名が送られる事と決まった
記念式典が行われる数日前、彼は未だ苦悩の中にいた
式典の準備までの間、休暇を取らされていたが眠れぬ夜が続く
気晴らしの為と彼は街に新しく出来たという一件の本屋へと赴いた
そこで、彼の人生を変えるある本と出会う等とは露とも知らずに
聖騎士叙勲式当日
様々な式典が華やかに行われた
家族は泣いて喜び、同僚達は自分達の事の様に声援を上げ、国王も満足そうに聖騎士の誕生を祝ってくれた
式典も終わりに近づき、最後に新たなる聖騎士からのスピーチが行われる事となった
輝く白銀の騎士甲冑、精悍なる顔立ちには兜、腰に携えた剣を抜き放った彼は高らかに告げる
ＹＥＳ！ロリコン！ ＮＯ！タッチ！
我が剣は生涯、穢れ無き少女達に捧げる事を誓う！
聖騎士はロリコニア騎士団の創設を謳い、白馬に跨るとまだ唖然とした空気の漂う会場から飛び出していった
老若問わず、幾人かの騎士は熱狂的な雄叫びを上げて彼に付き従って行った
そのまま二度と彼と数人の騎士達は国に戻る事は無かったという
英雄の再来と言われた聖騎士は騎士団の歴史から抹消され
一族の誇りと言われた男の名は家系図から抹消された
しかし彼は構わず進む、一冊の書を胸に少女を守る為、生命を賭け戦い続けるのである
※彼の行った書店とはごるのあなの支店であり、彼が手にとった本は少女とのラブイチャ同人である
その著者は後書きで彼の語った口上と全く同じ事を書き綴っていたという
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