グリム童話の様な森の奥に、黒き魔女の住む 黒き館がありました
魔女の名前は『アレクツィア』
周囲の村では、悪い魔女という噂が流れておりましたが
決して、その村で彼女に救われたものも少なくありませんでした
周囲の村の人々は、静まり返って気配の無い館を不気味がっておりましたが
――……もう、その館に魔女が帰る事はありませんでした
黒い魔女の館は、まるで棺桶の様にも見えましたが――……その中で
独りの少女が、独りで主の帰りを待っておりました
時の止まった館の中で、ひっそりと
或いは、新しい主人を待ちわびる様に
今日も、主を失った館の時は止まったまま
静かに静かに、主を待つ時だけが過ぎて行く
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