3年B組家出身 高崎曜子 84452 †
ID: | 84452 |
名前: | 高崎曜子 |
出身家: | 3年B組 |
年齢: | 15 |
性別: | |
前職: | |
理由: | |
状態: | |
その他: | ステータス/戦歴 |
接続状況: | もう戻りません |
生徒手帖に記された手記 †
○月×日 高崎曜子
こんな事をしてどうなるのか分からないけれど、日記をつけようと思う
今も指が震えている、悪夢だ でも、何か、私がここに生きていた証を残しておきたい
○月■日 高崎曜子
私は今、桜中の教室でこれを書いている。でも、私がいるのは東京都足立区ではない
私、高崎曜子が今いるこの場所は、おそらく日本ではなく、最悪な事に地球ですらないかもしれない
これを読んだ人は私の気が狂ったと思うだろう。私自身そうであることを願う
○月△日 高崎曜子
今私たち3年B組の生徒がいる街は、一見中世ヨーロッパ風の建物が並んでいる
最高に笑える事に、街中を歩いている人々も中世風なのだ。具体的には鎧やフードを身につけ腰に剣を刺し馬に乗っている
漫画?アニメ?ゲーム?私たちはいつからフィクションの住人になってしまったんだろう
○月◎日 高崎曜子
この街で皆働く事にした。私たちの財布に入っていた夏目漱石は見事、ただの紙切れと化したからだ
仕事は全て『ギルド』と呼ばれるところから、『酒場』を通して、私たち『冒険者』(爆笑)に渡されるらしい
つまり『酒場』が派遣会社で私たちが派遣社員といったところか
この街に『酒場』と呼ばれる場所はいくつもあるが、店主によって渡される仕事の質にはばらつきがあるらしい
安いが安全な依頼ばかりを回す者、逆に危険で高額の依頼を回す者
自分に合った酒場を見つけるのが最初の仕事というわけだ
○月□日 高崎曜子
魔法使いがいた。笑える。ここはハリーポッターの世界ってこと?冗談じゃない ふざけるなよ!
○月▼日 高崎曜子
初めての仕事がやってきた。『ゴブリン退治』、ゴブリンだって!ゴブリンゴブリンゴブリン!
支給されたのは一本の鉄の棒。死んでも『剣』だなんて呼べる代物じゃなかった。これは棒だ、豆腐だって切れやしない
洞窟の前まで案内された時、いきなり泥水を被せられた。「香水の匂いで気づかれる」からだそうだ
もう怒る気力も無い
生きているということを今日ほど実感した事は無い
ゴブリン、化け物だった。ロードオブザリングにでてきた化け物そっくりの
私は何も出来なかった。ただ叫んで泣いて、棒を振り回していただけ 気が付いたら他の人が全て終わらせていた
泣きながら怪物の死体から耳を削ぎ落とした。これを持っていけば報酬が貰えるからだ
でもそんなのもうどうでも良かった。早く帰りたい。帰って熱いシャワーを浴びたい
思い出したらまた体が震えてきた。もう寝よう
明日目が覚めたら、全部夢でありますように
2月 †
2月○日 高崎曜子
全部現実だったってオチ
酒場で『マスター』と呼ばれる(要するに店主、社長だ)人から聞いた
なんとこの世界の暦は12ヶ月で、今は2月だと言う。まさか、もしかして、ここは地球なのか?
以前"パパ"に連れて行かれて見た映画を思い出した。自衛隊が戦国時代に飛ばされてしまう話だった。確かラストは全滅していた
そしてもう一つ、嫌なものを思い出した。有名なホラー作家の漫画
『漂流教室』
2月×日 高崎曜子
この街の治安は『冒険者』によって守られているらしい、というより『冒険者』以外では守れないのだ
魔王を一人で打ち倒す伝説の英雄もいなければ、杖を振るって人間を蛙に変えてしまう魔法使いもこの世界にはいない
しかし、片手で人の頭を握りつぶしたり、一言呟いて人間を灰に変えてしまう魔法使いはいると言う事だ
問題を起こすのは『冒険者』で、それを自治するのもまた『冒険者』なのだ。それより力のあるものは、この街では『ギルド』と『酒場』だけだ
2月14日 高崎曜子
街中が浮かれている、何かと思えば今日はバレンタインデーらしい
笑いが止まらない。バレンタイン!バレンタインだって!
確かに露天で売られていたこげ茶色のそれは、かつて私達のいた世界にあったそれと同じもののようだった
思わず財布から金貨を取り出し、買い占めてしまった。何故かは自分でも分からない、なんでもいいから以前と同じことをしたかったのかもしれない
帰り道でオーガイト?という男性と知り合った
ドカタ仕事?をしていた方で、歳は18、でも逞しいからだの持ち主で、クラスの男子達とは比べ物にならなかった
少し乱暴だけれど、とても良い人そうだった
後でチョコを持っていこう
2月■日 高崎曜子
オーガイト?さんが死んだらしい
吐いた
家庭科室の冷蔵庫にしまっておいたチョコレートは全部捨てた
2月◎日 高崎曜子
今日は二度目の依頼をこなす日だ。前回はいわゆる適正試験で、今回からが本格的な仕事になるそうだ
報酬も前回の3倍。この街で暮らし始めて分かった事だが、金貨300枚あれば1ヶ月をぎりぎり生活できる
その3倍ともなればかなり楽になる。頑張りたい。余裕があって初めて人は人たりえる
同行者が3人死んだ
何が起きたのか全然思い出せない。ただ目の前でミンチにされたメンバーの顔と、飛び散った内臓の匂いだけが私の頭にこびりついている
わき腹が痛い、死ぬほど痛い、巻きつけた包帯がどす黒く変色している
森を歩いていたらいきなり現れた毛むくじゃらの何かに襲われた。その時に受けた傷だ
血が抜けて頭がガンガンする、依頼は失敗だった。どうでもいい
あんなふざけた依頼を持ってきやがって。あのマスターいつか殺してやる殺してやる殺してやる……(以降1ページ殺してやると書かれている)
3月 †
3月□日 高崎曜子
腹の傷が癒えたら随分と落ち着いてきた。しかし結構目立つ跡が残ってしまった、泣きたい……
暇な時間を訓練にあてることした。幸いなことに学校は校庭ごとこの世界に飛ばされてきている
トラックを軽く走った後、例の『鉄の棒』を素振りした
改めて持つととても重い。長さは60cmぐらいしかないのに……。この60cmという距離、私たちはあの化け物どもにここまで近づかなければならないのだ
3月×日 高崎曜子
ギルドの職員が金八先生と話があるといってどこかへ行った
帰ってきた先生が青い顔をして言った
カク ガリ、城島 譲治、刹那・F・セイエイ、橘 正樹、朝比奈 雛乃、ジョン・カーター、チキン・ジョージが死んだ
不思議とあまり衝撃は受けなかった、何故だろう。涙も出なかった
素振りを30回やって寝た
3月◎日 高崎曜子
不思議な事に気が付いた。筋肉はそれほど付いた様子が無いのに、明らかに力が付いている
これも魔法とかそういったものなのだろうか
この街の冒険者たちの中には異常なまでの身体能力を持つ者がいると聞いた
彼らはこう呼ばれるらしい。 『英雄候補』
3月▲日 高崎曜子
以前黒丞君たちが話していた大衆食堂へ行って見た。名前はナンダロー食堂だって、変な名前
入ってみて驚いた、小さな女の子が一人で切り盛りしている!給仕も料理も全部一人で!(これが英雄候補ってやつ?)
そして驚いたのは客層の若さ、私たちと同い年ぐらいの少年少女たちが集まって食事をしていた、まるで学食だ
しかも凄い人数で、私も席に着いた途端数人に取り囲まれた
彼らに共通しているのはひとつ、皆笑顔で明るいという事。「どうして?」と私は聞いてみた。「明日死ぬかもしれないのに?」
「覚悟しているからさ」
と一人の男の人が笑顔で答えた。
「この街で冒険者をやるってことは、もう、死んでるってこと。二度目なら怖くないだろ?」
3月▽日 高崎曜子
素振りをしながら昨日言われた事を思い返した。覚悟を決める、それはつまりこの世界で生きていく道を選択するという事だ
以前の暮らしを思い出す。バスに揺られて毎日学校に通い、眠気を噛み殺しながら授業を受け、昨日見たドラマの話で友人たちと笑い、部活でへとへとになって家に帰る
あの生活がつまらなくて価値が無いものだったなんて、私は絶対に思わない。そんな考え反吐が出る
でも、こんなに生きているという事を嬉しいと、ただ生きているという事がこんなにも素晴らしいと思った事があっただろうか
私は、初めて感謝した、私を産んでくれた母に。
顔も知らぬ父に体と顔を目的に弄ばれ、捨てられ、それでも忘れられずに父にすがって生きているあの母に
そして、私は覚悟を決めた
3月●日 高崎曜子
今日で三度目の仕事の日だ。これを書き終えたら出発しよう
仕事を回してくれる酒場は以前と変えた。今度の仕事は『人型の怪物退治』、恐らくゴブリンだろうとマスターは言っていた
ゴブリン、初めてゴブリン退治をした日のことを思い出す。もう、何年も前のことのようだ
軽く『剣』を振り回してみる、ブンと気持ちのいい音がした。私はもうあの頃の私とは違う
なんだかすごくすがすがしい、きっとこれが生きている実感ということなのだ!
きっと生きて帰ってこよう、みんなで笑いながら話そう。「酷い冒険だった」って
それじゃ、行って来ます
伝言板 †
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