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編集:MenuBar
約15年ほど前の出来事
--
2013-10-17 (木) 23:06:46
(その年は例年よりも少し肌寒く、桜の顔見せは遅かったように思う)
(私は窓辺から噴水に揺れる花びらを時折楽しみながら、いつものように鍵盤を弾いていた)
(いつ始めたかは定かではないけれど、今ではこの時間が何よりも幸せ)
(将来はピアノの講師か演奏家か……その辺りかなぁ) --
シルヴィア
2013-10-17 (木) 23:07:49
(そして公園にいて、響く音色からすぐさま何かの気配を察知する。捨てられた古着を詰めて着る少年が感じ取る)
…ハイソサエティな金の気配を感じる --
レナート
2013-10-17 (木) 23:11:10
(同じく、ボロよりは少しマシ程度の作業服を無理矢理着た少年が、隣で頷く)
ブルジョワジーって感じだな……聞いてるだけでポッケに手をつっこみたくなるぜ
当然相手のな --
ユウ
2013-10-17 (木) 23:13:41
…行くか〜〜〜〜〜〜〜〜!
なぁにちょっとほら、教養の深みに行くだけだわよ
(履きつぶされた汚いスニーカーで地面を蹴ってベンチから立ち上がり、ピアノの音色を辿っていく) --
レナート
2013-10-17 (木) 23:21:17
(少し疲れてきたから、メイドのフラニーにお茶を頼んだの。お砂糖は2つ)
(甘いものに慣れると太るから止めなさいってお母様はよく言うけれど、やめられないものは仕方ないわよね)
(ついでに焼きたてのサブレでもあれば、それだけでこれ以上ない幸福を感じていられるのに)
(彼女は焼き菓子がつくれないと言うの。……がっかり)
覚えさせるのも手かしら……?
(私は椅子に凭れ掛かりながら窓の外へと目を向けた)
(そこには小さな二人が、何故かこちらを見ていたのよね。というか、目が合ったというか)
……あら。何か用? --
シルヴィア
2013-10-17 (木) 23:21:51
(応と返事を返して、踵の潰れたボロ革靴で擦るように歩く)
(この頃のユウとレナートはだいたいいつもこうしてつるんでいた。2人でいるほうが何かと楽だったからだ)
(なにせ2人でいれば片方は何かにつけて囮に出来る。これは重要なことだ)
ん? おい、レナート。奴さんこっちに気付いたみてぇだぞ
もしかして、俺等感づかれるほど今くせぇのかな? --
ユウ
2013-10-17 (木) 23:26:55
(ひどい話だがどっちかを囮にするなんてこのころはザラだった。それでもつるんでいたのは楽だからというのもあるが)
(囮にした後でも必ず助け、見捨てることなんてなかったから)
やべぇな、噴水で洗ってくるべきだったか?めっちゃこっち見てるじゃん。
とりあえず笑顔だよ笑顔、ピース!ピース!ほら手を振れよユウ!
俺だけだと俺がバカみたいだろ --
レナート
2013-10-17 (木) 23:29:55
(そう、あの頃は、そうやって何でも助け合うのが当たり前だった)
お前がバカなのは今にはじまった事じゃねぇだろ
でも笑うのは大事だな、え、えーと……こうかな?(貴族の真似して手をふりながらにごり) --
ユウ
2013-10-17 (木) 23:34:32
(勝手に抜け出しちゃまた叱られちゃうし、仕方ないよね……少しはしたないけれど)
(そう思って私は窓から身を乗り出して、柵の向こうの二人に話しかけることにしたの)
ああ、ごめんね。勝手に外出ちゃダメだって言いつけられてるから、窓から失礼するね。
ねえ、君たちこの辺の子? お家は? 何処の屋敷に住んでいるの? --
シルヴィア
2013-10-17 (木) 23:36:13
ぼんじゅーる、れでぃー(精一杯のキメ顔で恰好を付ける、最高にダサイ台詞で)
俺達はフリーランス…ただのアウトローだ。そこらへんでブラついてたら素敵な音色が聞こえてね…つい足を
おい笑うなよユウ!俺聞いたんだぞコレでイケるって! --
レナート
2013-10-17 (木) 23:40:28
(唖然とした顔) --
シルヴィア
2013-10-17 (木) 23:43:40
ぎゃはははははははは! 何がぼんじゅぅーるだよ! 誰から聞いたんだよそんなでたらめ!
こういう時はこうすんだよ確か、おいみてろ
(前髪ふぁさぁってしているつもりだけどがさがさの髪がふぁさぁとかなるわけない)
よぉ、仔猫ちゃん、俺達はアブナイホシ……いや、デカ? まぁどっちでもいいやとにかく危ないんだぜ
アンタみたいな屋敷でノウノウと暮らしてるツバメじゃねぇんだ。火傷しないうちに有り金よこしな
(ドラマだかなんかで聴いた台詞をそのまま言っているので色々間違っている) --
ユウ
2013-10-17 (木) 23:44:00
え。 えー……? な、何を言っているのかサッパリわからないわ!
お外では今そんなのが流行っているのかしら……ごめんなさいね、面白い返し方がわからなくて……。
……あっ。 それとも私、脅されてる? --
シルヴィア
2013-10-17 (木) 23:51:33
おいユウてめぇ!どれも外れじゃねぇか!あ、あーえぇとちょっとまってお姉さん今考えるから
くっそこんなことならもっとなんかこう…なんかこう、なにかを読むべきだった!教養の深みに陥ってるぞ!
なぁお姉さんなんかないのこういう時にいうこう…台詞! --
レナート
2013-10-17 (木) 23:56:31
ば、バカな……!? 深夜にオフクロに隠れて見てたドラマじゃこれで当たりのはずなんだが……!
そ、そうだ、それだレナート! わかんねぇなら答え合わせしちまえばいいんだ! やい姉ちゃんこういうときどういうのが正解なんだよ! 教えろよ!
(最早支離滅裂だが、彼等は大真面目である) --
ユウ
2013-10-18 (金) 00:01:21
無理しなくても大丈夫よ。他に誰も見てないから。別にちょっと変な空気になったぐらいで……ねえ?
(私が振り向くと、茶を運んできたキャシーまでもが含み笑いをしていた。ああ、なるほど! これが正しいリアクションだったのね)
(私もつられて笑ったわ。ああ!でも二人は少し面白くなさそうな雰囲気。ちょっと選択肢を間違えたのかしら?)
そうだ、こんなところで立ち話も悪いでしょう? テラスで良かったら招待するわ。 このお茶おいしいのよ?
まるで血のような色合いからその名も……ってやだ、これじゃホラーだわ。 --
シルヴィア
2013-10-18 (金) 00:01:37
おいこれ俺知ってるぞ!?ヤカタモノだ!吸血鬼の本拠地に来ちまったよ!
紅茶の変りにお前らの血を吸うってヤツだぞやべぇ!
(鳴る腹の音)
いただきます(キリッ --
レナート
2013-10-18 (金) 00:04:55
バカいえレナート、こういうのは風呂入れだの体にバターを塗れだのいわれてからビビればいいんだよ
今は御相伴に預かろうぜ
そう、今はな(きりっ)
(彼はこれがかっこいいと、当時は思っていた)
ヤバそうになったらこのねーちゃん人質にとって逃げようぜ
そういえばねーちゃん名前はなんてぇんだアンタ? --
ユウ
2013-10-18 (金) 00:08:26
俺が当てよう。ずばりジュリアだ… --
レナート
2013-10-18 (金) 00:11:06
じゃあ俺はマリアだ --
ユウ
2013-10-18 (金) 00:12:16
ぶっぶー。どちらもハズレですー。 私の名前はどちらでもないわ、シルヴィアよ。
お父様が付けてくれたの。 同じ名前の花から付けたそう。
私は実物は見たことないけれど……本の中では綺麗だったなあ。
お父様は私に可憐であってほしいと思って名付けたのかしら? --
シルヴィア
2013-10-18 (金) 00:25:05
おしい、アだけあってたというのに…!
俺はレナート、名前は俺が付けた!俺だけの名前だ!
ていうかシルヴィアねえちゃんよぉ俺に聞くなよ!?俺は姉ちゃんのパパじゃないぜ…
でもシルヴァーみたくてかっこいいと思う --
レナート
2013-10-18 (金) 00:37:53
レディに対してかっこいいっていうのは褒め言葉なのかしら……? --
シルヴィア
2013-10-18 (金) 00:40:45
俺はユウだ。
useless
(
役立たず
)
とか
you
(
おまえ
)
とかっていっつもいわれてるからそれが俺の名前だよ
で、ねーちゃんの名前の由来の話しだっけか? 俺だってしらねぇよ。お前のとーちゃんにきけよねーちゃん
しかし、その様子だと本当に箱入りって感じみてぇだな。かー! うらやましいったらねぇぜ!
ああ、そうだ、じゃあこういうのどうだよねーちゃん
俺等が面白おかしく外側の話をしてやる。あんたは対価としてメシと茶を俺等に寄越す
悪くない取引だとおもわねぇか? --
ユウ
2013-10-18 (金) 00:45:49
このクッキーうまっ! --
レナート
2013-10-18 (金) 00:47:53
私は別に構わないわ。でも、本当に私を満足させてくれるだけの面白い話が、あなたたちにできるのかしら?
ほら、どうなの? 何か取っておきの話は? --
シルヴィア
2013-10-18 (金) 00:53:47
吸血鬼の女が待ち受ける屋敷のクッキーうまいってのじゃだめ?あっお茶おかわりで
最近で言えばあれだなー大根歩きが出たのは一昨日だっけ?ミミアルキの亜種の --
レナート
2013-10-18 (金) 00:59:48
えっ何それ! 私そんな生き物知らない……っ! --
シルヴィア
2013-10-18 (金) 01:01:57
ああ、ありゃ傑作だったな
他にも色々あるんだぜ、シルヴィアねーちゃん
外の世界には色々な事があるんだ、俺達屋敷もねぇし金もねぇけど毎日よろしくやれてんのは色々あって暇しないで済んでるからなんだよ
他にも色々あるんだぜ、とっておきの話がさ。早速だけどついこの前あった……
(それが、俺達とシルヴィアとの出会いだった)
(あの時は、得難い友がまた1人増えたと無邪気に思えた)
(でも今は……あの出会いすら、後悔の種でしかない)
(出会わなければ、俺もアイツも……きっと変わらずに済んでいたんだ)
(きっと) --
ユウ
2013-10-18 (金) 01:05:30
ミミアルキっているだろ?こう、耳で歩く砂漠の国の神みたいなアレ(チョキのポーズをテーブルに突き立てて歩く様子を再現する)
あれの顔が、ダイコンに張り付いてるんだよ。ダイコンが進化して歩いて喋るらしい。俺聞いたんだよ
ブンシィィィィって鳴くの。ちょっと漏らしかけた、ごめん漏らしたあんとき
(シルヴィアは嘘だか本当だか確かめようのない話を笑って聞いてくれた)
(だから俺も、なんでも話した。話せることが楽しくて…話すために何でも見つけて、聞いた)
(楽しかった。ちょっとした生きる間の時間が輝いて見えるくらいに)
(そう、だからこそ…失った時)
(何よりも世界が暗く感じたんだと…俺は思う) --
レナート
2013-10-18 (金) 01:10:46
10年前の公園
--
2013-10-14 (月) 23:28:14
(暑い、夏の日だった)
(あの頃の俺はいつだってスカンピンで、既に犯罪紛いの事に手を染めていた)
(それでまだ悪ガキのレベルで済んでいたのは、ここが毎日誰かが死ぬ冒険者の街だからだ)
(孤児なんて掃いて捨てるほどいる。治安だって二親揃ってる奴ばかりいるような場所じゃなけりゃあ、御察しってもんだ) --
ユウ
2013-10-14 (月) 23:34:03
あ”ー……あづい……(やっすい棒アイス片手に日陰のベンチで休んでいる)
(仕事帰りなので、作業用のデニムとタンクトップ姿のままだ)
(基本金がないので、半端に暇を持て余せば公園以外にいくところはない。この頃のユウはいつもこんな感じだった) --
ユウ
2013-10-14 (月) 23:39:48
おいユウ!何シケた面してるんだよ。またつまらねぇ仕事してやがるな?
(明らかに品性の欠片もない分厚い財布を手に笑う。もちろんレナートやユウのような人間が持つ財布ではない)
俺は上々だったぜ、まったくキの抜けた金持ちってのはいけないねぇ溜めこんで --
レナート
2013-10-15 (火) 00:52:12
オイオイオイ
お前死ぬわ
いや、割りと冗談じゃなく死ぬぞてめぇ!?
見るからに腐ったロリコン親父が持ってそうな奴選びやがって……噛み付く相手は選べっていっつも口すっぱくしていってるだろうが!
(明らかに、現実的かつ先端まで余す事なく充実している今にも爆ぜんばかりの分厚いサイフを見てそう忠告する)
(あくまで忠告である。それが悪いなどという事は決してない。そういう連中だ)
まぁいいや、おい、臨時収入あるならなんか驕れよ
今日は1日クソつまらねぇ荷物運びやらされてハラへってんだよ --
ユウ
2013-10-15 (火) 00:57:14
見栄っ張りってのはダメだわ。こんな金、見せびらかすためにしかつかわねぇしよ
(抜くだけ抜き取ってそこらへんに放り投げる。無論噴水へ寄付だ)
豚にゃ俺を捕えられねェよ。俺は鼻が聞くんだ。
しゃぁねぇなぁ、前はバーガー半キレずつだったし、今日は豪勢に行きますか?
つっても身なりのいい店なんか行けるわきゃないが
オラッ食いたいものを言えオラッ!札束で殴るぞ!殴るわ --
レナート
2013-10-15 (火) 01:00:53
いてぇ!? 俺じゃなくてこれからいく店の人間にしろやクソが!
あと、食いたいもんなんてそりゃおめー当然肉にきまってんだろ。勿論豚とか鳥じゃねーぞ、牛だ牛
店にいくなんて勿体無くてアホらしいし17番街の肉屋いこうぜ、そんで塊で買ってきてここで焼くんだ
バーベキューと洒落込もうぜ
(当然きちんとしたバーベキューセットはないが、どうにでもできる) --
ユウ
2013-10-15 (火) 01:07:17
一頭行くか?行くか一頭?丸ごとやるか牛を!よっしゃ肉だ肉!
知ってるか?どんな健康栄養食より肉ってのは血を作るから血がサラッサラになるんだとよ
肉マジやばい(既に足は肉屋へ向かってる) --
レナート
2013-10-15 (火) 01:09:49
マジかよ! 俺は牛肉でしか摂取できない幸せ成分があるとも聞いたぜ、すげーな肉
(肩で風を斬りながら肉屋へ向かう。悪ガキで名の知れた彼等があるけば、普通の人等は避けて通る)
そうだ、こんなクソ暑いんだからコロナも欲しいなぁ
ギンギンに冷えた奴 --
ユウ
2013-10-15 (火) 01:11:10
(俺はそんな二人を見ているだけで楽しかった……両親が死に、塞ぎ込んでいた心をこじ開けてくれたのも、彼らだった)
(俺はまだ小さくて、この街のこともまるで知らずにいた。でも……それでもよかった)
(二人がいて、姉さんがいた。あの頃は……幸せだった) --
アーサー
2013-10-15 (火) 01:14:12
ユウ、君はすごいね! あんな苦いものをよく飲めるよ……。 僕には無理だな。オトナになったとしても飲める気がしないよ。
(俺はいつも、二人を見かけるたびすぐに後ろをついていった。このようにして。それが、俺の日常だったから) --
アーサー
2013-10-15 (火) 01:15:35
おいおい、アーサー、コイツを美味しく飲めないなんて人生損してるぜ?
お前は名前だけは立派なんだから舐められないようにしねーと駄目だぞ! 丁度いいや、今日は少しでいいから飲めよ!
肉とコロナの相性は最高だぞ、昔の偉い人も多分どっかでいってる!
(そういってがしがしとアーサーの頭を撫でる)
(あの頃は、それが当然だった。当たり前だった) --
ユウ
2013-10-15 (火) 01:18:45
これが…大人の味ってヤツさ…
(肉屋の帰り、肉塊を三人で抱えて酒も持って公園へ。無論肉と酒以外持ってない)
アーサー、覚えておけ。男ってのはなぁ…酒が美味くのめて一人前なのさ…
(みてな、とコロナを開けて口を付ける。男のダイナミックさを見せつけるために)
(噴きだす)
ってなんじゃこりゃあああああ!炭酸抜けきってるじゃねぇかああああ! --
レナート
2013-10-15 (火) 01:18:55
あははは! 今吐き出した分で普段食べてる1日分だよ!
そう考えるとこの巨塊は何日分……? ねえ二人とも! い、一度に焼いちゃって大丈夫かい?
誰かに取られたりしないかな!? --
アーサー
2013-10-15 (火) 01:21:29
あぁああああ!?(自分も口をつけて)
(噴出す)
んだよぉこりゃあああああ! 炭酸の抜けたコロナなんて牛のションベンみてぇなもんじゃねーか!
おい、どういうこったレナート、これ振り過ぎたんじゃねーのか!? --
ユウ
2013-10-15 (火) 01:22:47
そういうところがダメだっつーんだよアーサー! 男ならがっといっちまえがっと!
つか、そんな肉塊とっといても保存する手段も技術も俺等もってねーから今食うしかねぇんだよ、全部焼くぞ!
とられそうになったら逃げるか全部口につめるかちょっとだけ分ければいい --
ユウ
2013-10-15 (火) 01:24:20
クソァ!肉運んでて忘れてたのかよ!
コロナ全部炭酸抜けきってるじゃねぇか!
ユウ、アーサー!全部焼くぞ!こうなったら飲み水なんざ噴水ので十分だわ!空き瓶にくめくめ!(バシャバシャと噴水に空き瓶突っ込んで飲み水にした) --
レナート
2013-10-15 (火) 01:29:19
(暑い、夏の日だった)
(直射日光に照らされた俺たちは、目の前で肉汁を垂らす塊のように、じりじりと焼かれていた)
(手には飲めもしない気の抜けたビールと、乱雑な味付けのステーキ。子供の胃袋にはどう考えても刺激的過ぎたんだろう)
(ああ……今でもたまに思い出すよ。俺は思わずくさっぱらに吐き出して、こっ酷く怒鳴られたもんだ)
(でも……旨かったんだ。不思議と) --
アーサー
2013-10-15 (火) 01:29:48
(そう、茹だる様な夏の日差しの下で、俺達は笑っていた)
(盗んだ金で買った肉を噴水の水と不味いコロナで流し込んで、笑っていた)
(どうみたって今より酷いものしか食ってない)
(でも……あの時食ったあの肉の味が、今でも俺は忘れられない) --
ユウ
2013-10-15 (火) 01:33:34
(何もない、何もいない。そんなあの時はひどく無様だった)
(何も失うものなんてないほど、ないものばかりで)
(それでも今よりずっと、俺達は持っていた)
(今はそれしか、思い出せずにいる) --
レナート
2013-10-15 (火) 01:36:17
10年前の公園
--
2013-10-20 (日) 20:35:25
(比較的、涼しい日だったと思う)
(初夏の隙間に差し込んだ涼風を心地好く感じられる、確か、そんな日だった)
(まぁとりあえず過ごし易い日だったんだ)
(それだけは間違いない) --
ユウ
2013-10-20 (日) 20:36:49
(その日も俺はやっぱり悪ガキで、食いつめてて、15になってもやることは10の時からかわってなくて)
(それでも、確実に今よりはマシな毎日だった) --
ユウ
2013-10-20 (日) 20:41:39
はぁ……どうすっか、これ
(公園の隅。ベンチ横の木陰で俺は途方にくれていた)
(足元にいるのは小さな黒い仔猫)
(数日前からここにいる奴だ。ちょろちょろ足元に纏わりついてきて鬱陶しい)
やめろよお前、俺は何ももってねぇぞ……愛想振り撒くならもうちょっと金もってそうな奴を選べ --
ユウ
2013-10-20 (日) 20:45:57
(それでも日頃、此処に来る連中から何かしら貰っているせいか、何の警戒もなく、何の疑いもなく、仔猫は俺にすりよって来る)
(人が来たら何か貰えるともう覚えてしまったのだろう。全く、いい御身分だぜ)
にゃーにゃーうるっせぇなぁ……俺だって腹減ってるっつーんだよ! メシが欲しいなら他に誰か来るまでまってろ! --
ユウ
2013-10-20 (日) 20:50:13
今日もダメだわ…差引トントン、まったくこうシケてると腹まで涼しくてダメだわ
(白い紙袋片手に木陰に座り込む。子猫が紙袋に興味を持つのは当然のこと。中には…)
今日の稼ぎだけじゃ、飯はこれだけだなユウ(1つのサーモンサンドを半分に千切り、寄越す) --
レナート
2013-10-21 (月) 21:51:45
世知辛いもんだな……ほら、俺のほうはこんだけだ
(そういって、レナートに渡すのはやっすい炭酸飲料だ。1人1本は無理なので飲み回しである)
(そして、サーモンをちょびっとだけちぎって仔猫にくれてやる)
ほらよ、お前にもおすそ分けだ。今度魚屋からアジの1匹もギってこいよな --
ユウ
2013-10-21 (月) 22:03:22
…あぁ、すげぇわかる、この…色って感じの味。舌見て見ろよ、色めっちゃついてる
(口を開けて舌を出して見せる。んでまた返す)
先行投資っていうんかなこういうの…(パン一切れ千切って子猫にやる)
俺は今度なんて言わないから、来年ぐらいにマグロ持ってこいよマグロ
あぁー腹いっぱい飯くいてぇなぁー --
レナート
2013-10-21 (月) 22:06:06
うわぁ、引くほど真緑だわ。宇宙人みてぇ。多分俺もそうなんだろうな
(べーっとしながら受け取り、最後の一口を飲み干す。内容量の少ない炭酸飲料は僅か一往復でなくなった)
俺だって腹一杯くいてぇよ……こうさー、パンとかをこうがっがっとかっこんでぐいぐいぐいっとスープで流し込んでさぁー
……むなしいわぁ……おい、もう何もねぇぞチビ
俺とレナートの貴重な食糧を差し出したんだか、もう強請ったって何もでねぇぞ
これ以上罪を重ねるのはやめろ
(などと嘯きながらベンチでぐだーっとする) --
ユウ
2013-10-21 (月) 22:11:47
メロンがこんな味ではないのは俺にでもわかる…
あーあーマジもんのメロンくいたいなぁ。生ハムメロンとか食いたい
あと酒だよ酒、酒と肉だよ男なら。んで全部他人に用意させるの。ハハハ、ボーイ冗談はいけないよ みたいなヒゲつけてさ
虚しい…公園の雑草でもサラダなんてつくれねぇこの世の中間違ってる
(芝生に転がって腕枕であくびして、伸びをする)
コイツ絶対メスだわ…たかるだけたかって何もしやしねぇ、そういう女には関わりたくないぜ --
レナート
2013-10-21 (月) 22:25:30
マジかよー……あー、ほんとだわ、コイツ、メスだわ
(ぶらーと抱き上げながら横になって)
雑草っていえば……はっ!? レナート!
(がばっと起き上がり、真顔で)
以前聞いた事があるんだが……食える雑草もあるらしいぞ? 試してみるか!?
なんか、それっぽい色とか匂いの奴ならいけるんじゃね?! --
ユウ
2013-10-21 (月) 22:34:27
マジかよ!雑草だろ!?いけるのか!?いってみるか、ちょっと片っ端からかじってみればいけるだろ
こう…やわらかい葉だよ、これ、これちょっとお上品じゃね?(モソモソ) 苦ッ ペッ!クソッ! --
レナート
2013-10-21 (月) 22:38:36
見た目じゃねぇよレナート、やっぱり匂いだ匂い
人間味覚と嗅覚は近いものだ、みてろ、このいかにもスパイシーな匂いがしてるやつならきっと……ああぐああああああ! し、舌が! 舌が痺れる……! もしかして毒かこれ?! --
ユウ
2013-10-21 (月) 22:50:11
吐け!吐け!吐いて水流しこめ!死ぬぞ!
まてよ、薬草も生えてるはずでは…?なんかこう、それっぽいのを口にいれろ!薬草がどこかにあるはずだ!
(結局公園に薬草なんてあるわけなく、水をしこたま飲ませてことなきをえたんだったと思う)
(何もなかった、何も手に入らなかった。満足するときなんて無かった)
(それでも俺達はあるものを分け合い、なければ考え…)
(一生懸命生きていた)
(俺達は、生きていた…) --
レナート
2013-10-21 (月) 22:54:01
10年前の公園
--
2013-10-19 (土) 22:01:38
(6月のある日。あれは、酷い雨の日だった)
(そんな日も俺は公園にいた。他に行く場所なんてなかったから)
(勿論、傘なんて持っていない。雨の日の傘はよく売れるからだ)
(でも、その日は傘を売ってしまった事を、ほんの少しだけ俺は後悔していた) --
ユウ
2013-10-19 (土) 22:57:01
おい!何やってんだよ!とっとこ入れ入れ!
(公園の一角、木々が植えられた雑木林から手招きする)
(そこには木の枝にひっかけられた…ブルーシートで作られた、屋根と壁があった)
抑えが足らねェんだよ、とっとと手貸せ! --
レナート
2013-10-19 (土) 23:03:21
(そう、傘があればせいぜい骨子が臨時秘密基地の増設程度にはつかえたろうにと)
うるっせぇなああ! 今はいったらこっちの端が吹っ飛ぶだろうが! なんか尖ってるもんねぇか、釘みたいなのよぉ!
あと何人かいりゃあもうちょっとマシになるんだけどな……レナート! そっちなんか太い枝とかねぇか?! あったら投げろ! --
ユウ
2013-10-19 (土) 23:08:39
おいおいおい飛ぶわ、こっち やばいやばい!
あぁ?煉瓦しかねぇよ!ゴミ箱になんかなかったのかよ!
柵、柵だわ柵!柵もってこいよ!あれとがってるし丈夫だからいけるだろ
クソ、こんなじゃ火つけるなんて先の先だぜ…
(そう、臨時秘密基地という名前の行く場のない俺らが作った仮設小屋…家無しの家)
(今まで2、3度撤去されてるがそれでも俺達はその度に組み直し、仕舞いには役所が諦めた場所) --
レナート
2013-10-19 (土) 23:12:11
さっき収集車きちまったから今日は何もねぇよ! くっそ、そんなに強い風ってわけでもねぇのに歯がゆい!
柵か! グッドアイデアだ、花壇からそれらしいのギってくっか!
……でもどっちが?(どちらか手を離したら、風でブルーシートが飛ばされてしまう。強風ではないのでそう遠くまで行きはしないだろうが、それでも面倒な問題だ) --
ユウ
2013-10-19 (土) 23:16:09
…お前行けよ、お前来たばっかりだし寒いだろ、体温めてこいよダッシュで --
レナート
2013-10-19 (土) 23:22:08
……いや、てめぇがいけよ。ずっとここでシート抑えてたんだから体力有り余ってるだろ?
(醜い面倒の押し付け合いである) --
ユウ
2013-10-19 (土) 23:23:19
…なら二人同時にいくか?柵を一本ずつかっぱらって、ブルーシートを回収してここに戻る
どうだ、公平で悪くないだろ? --
レナート
2013-10-19 (土) 23:24:44
……まぁ、このまま雨に濡れ続けるよりはマシだわな……
じゃあいくぜー? いっせーの…… --
ユウ
2013-10-19 (土) 23:25:44
せっ!(花壇の柵に向かって駆け出す。ブルーシートは飛ぶ!) --
レナート
2013-10-19 (土) 23:28:15
うおおおおおおおお!(すっとんだブルーシートを尻目に花壇へとかけ出し、柵に手をのばす)
(奇しくも、レナートと同じ柵に狙いを定め)
アレは俺の獲物だぁあああああ!
(そして早速脱線する) --
ユウ
2013-10-19 (土) 23:29:51
ざっけんなコラァァァア!俺が目ぇつけてたんだから俺のに決まってるだろうが!手を離せやあああ!
(そして飛ぶ他のブルーシート) --
レナート
2013-10-19 (土) 23:32:30
うるせぇえええ! お前はあっちのちょっと遠くにある方を手にとりゃいいだろうが! よし、こうなったらあれだ、これを一度ここにおいてからよーいどんで取りにいってビーチフラッグよろしく……はっ?! いかん、完全に脱線してた
(唐突に我に帰る)
まぁいいや、枝振りのいいの手にはいったしこれで俺等の秘密基地もまた……
おい、レナート、俺たちの小屋どこいった? --
ユウ
2013-10-19 (土) 23:38:31
……?
あ?
どこだ…?だってお前俺らの足跡の先に…
ない…ぞ? --
レナート
2013-10-19 (土) 23:41:13
ない……な……
って、いってる場合じゃねぇ! さがせ!! 柵はそのへん刺しとけ!!
俺は向こう、お前は向こうをさがせ! 見つけ次第また設営にとりかかるぞ! ちっくしょう!
(いつも、あの頃はそんな馬鹿な事ばかりしていた)
(それだけで、精一杯で……それだけで、満たされていた)
(そう、あの頃は、そうだった) --
ユウ
2013-10-19 (土) 23:49:06
くそっ!なんであんなところに引っかかってるんだよ!おいユウ、手を貸せ!肩車だ!
(あの時はいつも何かに向かってた。毎日何か、満たされていた)
(毎日が、忙しかった)
(俺達は…いつも駆け出していた) --
レナート
2013-10-19 (土) 23:51:57
8年くらい前の公園
--
2013-10-16 (水) 01:05:28
(春先。まだ肌寒い季節だった気がする)
(俺はいつものように公園でクダを巻いていて、いつものようにパンの耳を齧っていた)
(この時期、昼間は公園ではずっと焚き火が焚かれていた。夜も結構な頻度で焚かれていた。寒いので誰かが勝手にはじめて、勝手に維持されるのだ)
(相も変わらずロクな仕事にありつけてなかった俺はゴロツキのままで、相も変わらずすきっ腹を抱えていた)
……たまにはパンの耳じゃないもんも食いてぇな --
ユウ
2013-10-16 (水) 01:09:38
(春先に公園を通りかかる男が一人)
(時々公園で見かける、この街のマフィアの一人。劉 暁明と、名を知っていることもあるかも知れない)
(自分が求める理想に邁進する彼は、年若くして組織の区画を一つ任されていた急進派の一人だった)
(噴水の近くに陣取ると煙草を銜え、懐のライターを探していた) --
劉 暁明
2013-10-16 (水) 21:55:53
んじゃ、別のモン食おうじゃねぇか。見ろよちょうどいいカモがやってきたぜ
(新たな来訪者。自分より上そうではあるが、年若い人間を顎で指して笑う) --
レナート
2013-10-16 (水) 21:57:57
!? お、おい、レナートやめとけ! アイツはやべぇって!
そこらの小金持ちとはワケがちがうんだぞ!?(そう小声で忠告する。当然 劉 の方は見ない)
(目を合わせただけだってどんな因縁をつけられるかわかったもんじゃない) --
ユウ
2013-10-16 (水) 22:09:48
(懐から古いライターを取り出すと、ゆったりとした動きで煙草に火を点す)
(深く肺腑に紫煙を吸い込み、レナートとユウに背を向けてゆっくり歩き出して行く) --
劉 暁明
2013-10-16 (水) 22:14:56
それぐらい俺にもわからぁ。だが考えて見ろよ、噂通りならそんなナラしたやつがこんな公園でお時間潰すか?
お前も俺の気配を消す技、知ってるだろよ。見てろよユウ。今日はまた肉だよ肉。カモ肉おいしくごちそうさんだ
(そう言うとふっとうつむき加減にゆっくり焚火から離れて劉に向かっていく)
(静かに気配をけし、突然ぶつかり財布を抜き取るために) --
レナート
2013-10-16 (水) 22:20:23
お前のそういうすぐ調子乗るところが心配だっつってんだよ!!
おい、レナート! ああ、くそ! 俺はしらねぇからな……!
(いいながらも、懐に手をつっこみながら動向を見守る)
(いざという時のためだ) --
ユウ
2013-10-16 (水) 22:22:34
(レナートが接近した瞬間、懐に伸びた手を掴み)フ……いい度胸だ。
(無表情に公園の地面に向けてレナートを投げ飛ばし)
気配を消す手段を知っているのか……だがまだ甘い。 --
劉 暁明
2013-10-16 (水) 22:29:26
(言葉も出なかった。気づいたときには背中から公園の地面に叩きつけられて)
(太陽が目の前にあった。仰向けに、どこまでも澄んだ空と、俺が吐いた白い息が見えた)
(有り得なかった。どんなヤツでも俺の気配を感知することなんでできたヤツなんていなかったのに)
(俺は、ただ非力に地面に転がっていた) --
レナート
2013-10-16 (水) 22:33:29
レナート!!(叫ぶと同時に、懐から手を出して駆け寄る)
(だめだ、不意打ちでどうにかなるような相手じゃない。そうなればもうすることは一つだ)
す、すいません! うちのツレがとんでもないことを! どうかお許しを!
(即座に地面に頭を擦りつけて、謝罪する。もうこれしか手が無い。腕の一本は覚悟しなければならないだろうが、それでもレナートが死ぬよりはいくらかマシだ) --
ユウ
2013-10-16 (水) 22:35:41
(謝罪をするユウを前に口元に笑みを浮かべ)……謝る人間の顔じゃあないな。
お前は懐にとっておきを隠し持ってる、という顔をしている。いざとなれば躊躇いなく牙を剥ける人間だ。
(レナートを前に銜えていた煙草を離し)そこで倒れているお前も筋は悪くない。だが惜しいな……
こんなところで燻っているようでは、先も高が知れているというものだ。(怒っていないのか、余裕を持った態度で)…もう土下座はいい。 --
劉 暁明
2013-10-16 (水) 22:41:16
(その声が、親友の声が、男の声が現実に引き戻す。そして何よりもまず、俺は立ちあがった)
なぁアンタ!厳龍の人なんだろ!俺を組織に入れてくれよ!
何でもする!頼むよ! --
レナート
2013-10-16 (水) 22:45:11
(何とか、不興は買わずにすんだ。すぐに引き上げようとレナートの腕をひいたそのとき、コイツはとんでもない事を口にしはじめた)
おい!? 黙れレナート! 折角許してもらったのに余計なこというんじゃねぇ! 殺されるぞ!
す、すいません旦那! コイツちょっと頭がおかしくて……すぐに引き上げますんでどうぞ、どうぞ平に……! --
ユウ
2013-10-16 (水) 22:48:54
…いかにも私は厳龍の人間だが?(ユウを手で制し)組織はこの公園ほど甘くはない。
ただのチンピラでは食い殺される末路だけが待っている………
……お前は…(煙草を地面に捨てて踏み消し)狼になれるか? ただの走狗ではなく、私は狼を求める……何でもやると言ったんだ、それくらいの気概を見せてもらわなければな。 --
劉 暁明
2013-10-16 (水) 22:52:28
なる…俺は、力が欲しい!強く、ただ強い力が、強く!そのためなら俺はなんでもする!
俺はここでネズミのまま死にたくないんだ!!(ただただ何ものにも捕らわれない、純粋な願いと意志が口から飛び出していた)
(ごまかしのない、純粋な強さへの…力への願いが) --
レナート
2013-10-16 (水) 22:56:13
(レナートの慟哭ともとれる内情の吐露に……俺は最早何も口を挟めなかった)
(痛いほど、それが理解できたからだ)
(俺達には、力が無い。力がないから、いまこうなっている)
(それでも、俺は何処かで満足していた。今の生ぬるい現実に満足していたんだ)
(でも、コイツは違った)
(コイツは……もっと先にいこうとしていた) --
ユウ
2013-10-16 (水) 22:58:32
(少年の心情吐露に満足げに頷く。求めていた若くて我武者羅で無軌道で熱い力がそこにあった)
……来い、組織で仕事をさせてやる。最初は下っ端からだが、私が口利きをするんだ。使い捨てではない。
(背を向けて歩き出し)来るというのであれば、名を名乗ってから私について来るんだな。
(そのまま公園を後に歩き始めて) --
劉 暁明
2013-10-16 (水) 23:01:48
レナート!俺はレナートだ!(顔を輝かせるような、新たな道を前に…その先に進む、暁の光を目に映し笑う)
ユウ、お前も来いよ!おふくろさんのことだってある、このままじゃいつか使い潰されて死ぬだけだぞ!俺と来いよユウ! --
レナート
2013-10-16 (水) 23:04:51
(野望に輝くレナートの横顔は……眩しかった)
(俺のそれとは違う、俺はそのとき何と答えたか、覚えていない)
(だが、口汚い言葉でアイツを罵って、その場を逃げ出したんだ)
(まだあの頃の俺には……覚悟なんてなかったんだ) --
ユウ
2013-10-16 (水) 23:34:06
(別れ。冷たい言葉が俺を打つ。今思えばあの時が最初だったのかもしれない)
(袂を別つ最初の時。次はあの時エレベータの前で…)
(もしかしたら俺達は最初から同じ道を歩いていなかったのかもしれない)
(そして俺はその日から厳龍という組織の一人になった)
(ユウと、アーサーと彼女…馴染みのアイツらと別れて劉と共に、駆けはじめたんだ) --
レナート
2013-10-16 (水) 23:39:18
【7年前】
--
2013-10-23 (水) 21:42:18
(俺は今でも思い出す…7年前のあの時。俺はスイーパーとしての仕上がりを師である錨に試されるため…)
(劉は組織の裏切り者。末端ではあったがその金の出入りに虚偽を混ぜ、膨らませた金で非合法の身体強化薬物を独自にサバこうとした連中を始末するため)
(草木も眠る丑三つ時に追い詰め、寂れた倉庫…連中の会合場所で事に到った) --
2013-10-23 (水) 21:47:33
(俺の個人的見解としては…恐ろしく簡単だった。相手は絶縁状を突き付けられたものの元巖龍)
(その構成員らであったが、俺の銃と…劉の剣術の前では結果ただの肉塊でしかなかった)
(俺達は互いに、生きるもののない…薄暗い、月夜の灯りが差し込むこの場所に佇んでいた)
(血と鋼、肉と硝煙、闇夜と月が交わるこの場所で…ただ二人) --
レナート
2013-10-23 (水) 21:51:24
(刀を軽く振ると月下に血の飛沫が跡を残し)
………レナート。(懐から油紙を取り出し)いい仕上がりだ……あの時拾ったお前がこれほどの腕前になるとはな。
(劉は惨劇の後にあって不可思議なほど落ち着いていて) --
劉 暁明
2013-10-23 (水) 21:58:40
(熱を帯びた銃身を夜風が撫でる。硝煙が揺れ…)
俺は…強くなりたかっただけだ。あの時も…そして、今も
(隣に立つレナートも…静かに。昂ることなく夜の闇のように…)
劉…劉はなぜ、力を。なぜ組織にいる…(感傷的ではなく、ただいつも誰かが雑談するような易さで呟くように問いかけた)
(聞くべきであろう単純なこと、聞かずにおくであろう複雑な…一つにして二つ。二つにして一つの問いが、口から静かに吐き出された) --
レナート
2013-10-23 (水) 22:12:20
(夜風の中で油紙で刀を拭い、その場に血のべったりとついた紙を放り捨てた)
そうか……お前は、お前の望む力を…………(レナートの問いに僅かに微笑む。それは薄暗い倉庫の中でとても分かりにくい笑みだった)
私は組織の在り方を変えたい。組織はもっと大きくなれる……もっと多くの家族を守れるようになる。
そのために私は力を求める。(刀を鞘に納め)組織を駆け上がる………そのためにはレナート。
(レナートのほうへ向き直り)お前の力が必要だ。(その言葉を紡いだ) --
劉 暁明
2013-10-23 (水) 22:21:02
(その時…劉が見たレナートの顔は傷口を開き、無理やりに患部を取り出そうとするような顔であり…)
劉…俺は、家族なんて知らなかった。気が付いた時には独りだった。
親の顔もしらない。孤児院なんていう豚箱で目覚め、外に這い出し…ただ奪い、騙して生きる生活しかしてこなかった。
俺はそんなクズの生き方でさえ、容易く奪われることを知っていた。力が全てであり、力を持つものからすれば虫けらでしかないことも…
そんな時、劉が表れた。力が俺の前に表れた。俺は願ったよ。全てを奪い、全て意のままにできる力が欲しいと…
誰にも奪われない力が欲しいと…
だが組織の中で生きるうちに俺は、組織を知った。家族…は、わからない。本当に知らないから…どういうものか、ということも説明できない。
でも、俺は。この人たちのために生きたいと思った。守るために生きたいと、守るための力になりたいと、強く願った。
組織の力に…厳龍のための力に…だから、だから劉…俺は
俺は劉の力になる。組織を守る力として…俺はこれからも
ここには、俺の守りたいものがあるから
(今までになく強く…多く、それが全てのように吐き出された、紡がれた言葉は今までの生から塞がれていたものか)
(組織に入り、より静かに…寡黙になり。己に問い続けてきた中で…今日、劉の言葉を聞き得た想いという答えか)
(あの時、公園から出た時以来の笑顔…既に成人したが故…微笑みとなり)
(劉に応えた) --
レナート
2013-10-23 (水) 22:34:47
……家族は助け合うものだ…ウイスキーのように純粋で、暖炉のようにあたたかい…
私たち厳龍は、家族だ。家族のために力を尽くすのは当たり前のこと……
私もお前の力になろう。それが…………家族だ…
(噎せ返る血の匂いの中、二人は誓い合った)
(お互いのために戦うことを。家族のために尽力することを)
(月明かりが二人を照らし、未来までも薄明るく導いてくれるかのようでもあった)
(六年後。誓いは裏切られた)
(劉の理想は歪み、支配のために力を振るい、そして厳龍は彼の所持物となった)
(そこに、家族のぬくもりなど何もなく。そこに、掟の正しさなど証明されず)
(全てはゼロ――――始まりの時間へと収束してく―――) --
劉 暁明
2013-10-23 (水) 22:48:07
【6年前】
--
2013-10-20 (日) 16:11:07
(組織に入って2年。俺はユウとアーサー…シルヴィアに何度も会おうとしたが、様々な出来事が俺の足を阻んだ)
(そして俺がようやく…二つ名で呼ばれるほど組織の男として歩んで、ようやく時間が取れるようになり)
(ただピアノの、シルヴィアのピアノの音色を聴きにこの薄暗いバーに来ていた)
(俺は彼女のピアノが聴ければそれでいいと…思っていた)
(酒場の片隅の、薄暗い席でただただその音色に耳を委ね…) --
レナート
2013-10-20 (日) 16:15:34
(古く日に焼けた天井のプロペラめいた空調が、ゆっくりと周り続けている)
(客はまばら。ゆったりとした演奏が漣のように空間を満たしていた)
(私は何時も通り、この場所で、いつものようにいつもの曲を弾く)
(それが今夜だけは違っていた。私の目の前に、あの男が現れたのだから)
……ッ!
(キーを叩く指先がブレ、不協和音を醸し出す。客層の幾らかが首を傾げるのが見えた)
(けれども私はまた、何時も通りの演奏を続けた。私の代行者が行くのが見えたから)
(彼らは組織の手の者。正確には、私を傍に置きたいと言った組織の男……マッシュ。彼の部下たち)
(嗚呼、遠目にレナートを囲んでいるのが見える。手荒な真似はしないかしら。怪我人はでないといいのだけれど)
(チャーリーやヒギンズ、ミラ……ここには大切な常連客がたくさんいるし、あまり騒ぎは……)
(……私はそれが叶わぬ願いだということをすぐに思い知り、ため息をつくことになった) --
シルヴィア
2013-10-20 (日) 16:29:34
(どうでもよかったのかもしれない。まだ厳龍に入る前ではわからなかった裏社会の影)
(この店はまた、そうした裏社会の人間がその手にしていた)
(それでもよかった。俺はただシルヴィアのピアノを聴きたかっただけ)
(俺は、ただ男達に言われるがままに…黙って酒場を出た)
(何もせず、騒ぎもせず、ただ黙って店を出た)
(シルヴィアにも、誰にも迷惑をかけるつもりなんてなかった)
(マッシュが俺がどこの人間か知っていようが知らなかろうが…どうでもよかった。シルヴィアにとっても俺は邪魔なのだろうか。ただそんな疑問だけが頭に浮かび)
(店の外で夜風に迎えられた。何もなかった、あの後もシルヴィアはきっとピアノを弾き続けているのだろう…明日も明後日も)
(店で俺を囲んでいた連中が、人気のない夜道で俺を再び囲まなければ…マッシュは変わらずシルヴィアを囲えていたのかもしれない) --
レナート
2013-10-20 (日) 16:44:54
待って! 私はその人に用があるの。先に戻ってて構わないから……だから。
(慌てて店を飛び出した私は、彼らの「少しだけなら」という妥協に感謝しながらその背中を見送った)
(しとりしとりと降り注ぐ小雨の下で、数年ぶりの再会を果たす)
どうして戻ってきたの? あなたも……そしてわたしだって、もう昔の子供じゃないわ。
もう……大人よ。 --
シルヴィア
2013-10-20 (日) 16:56:17
シルヴィアのピアノが…聴きたかった
(ただそれだけ。初めてあったあの時のように…ピアノの音色に惹かれて)
(ただそれだけのために、垣根に登った時のように)
(静かに微笑み、応えた)
(大人になり、関わる組織も人間も変わってしまった今でも変わらぬ思いを呟き、応えるだけだった)
小雨が仕立てられたスーツを撫でる) --
レナート
2013-10-20 (日) 17:04:05
そんな……そんなの、勝手過ぎるわよ……。 ……馬鹿。
(私だって、彼が嫌いになったわけじゃない。みんなそれぞれこの街で、ただ生きていこうと足掻いただけ)
(世の中はいつだってクモの巣みたいに纏わりついて、誰もが知らずに身動きできなくなってゆく)
(良かれと思ってしたことだったのにも関わらず、私は何故だか不思議と罪悪感に囚われていた)
マッシュのおじ様がね、私を迎え入れようとしてくれているの。
あなたはまだ知らないかもしれないけれど、ずっと……ずっと上の人よ。
でも私だって勝手よね。ピアノを、音楽を……何処かでまだ夢を捨てきれていないから……。
……私は未だ、あの店にいるの。 --
シルヴィア
2013-10-20 (日) 17:15:15
(自由とはなんだろうか。しがらみだけが増えていく。それでも俺は、その増えた何かを守るために)
(シルヴィアが幸せになるにはどうすればいいのだろうか。ピアノを弾き続けるためには?)
(彼女を見て…答えは出ていたことを悟る)
(ここに来たおかげで知ることができた。組織を守ることが、彼女を守ることに繋がるのだから)
(劉のために、シルヴィアのために、組織のために俺は…戦い、守り続けることができる)
(どんなに辛く長く、先が見えない世界でも俺は…)
ピアノ…聴けてよかった。
(別れの挨拶としたのか、それを済ませると本当に少しの間の邂逅を背にし…歩いていく)
(振り返らない。立ち止まらない。俺には守るべきものが、守り続けるべきものがあるから) --
レナート
2013-10-20 (日) 17:25:03
5年前
--
2013-10-23 (水) 22:45:12
草木も眠る丑三つ時だというにも拘らず、多くの護衛が屋敷の内外を隙なく監視している
ここはとある厳龍幹部の屋敷、敵対する組織『王虎』の中でも、その凶悪さで知られる
凶虎と呼ばれる殺し屋に命を狙われた彼は、こうして妻子と共に屋敷に籠り
いつ来るとも知れぬ殺し屋の来週に神経を磨り減らす日々を送っている --
2013-10-23 (水) 22:50:00
(男は内にいた。内の中で何かを待つように、ただ静かに佇んでいた)
(組織を守る、家族を守る…そのために男は。不安に駆られる彼や妻子に対し静かに佇み…頷き約束する)
(外より若干少ない護衛を率いて、男は待つ。虎を…待つ) --
レナート
2013-10-23 (水) 23:17:09
(やがて夜も更にふけ、今日はもう襲撃はないかと一瞬誰もが油断したその時)
(庭の方で突如大きな爆発音が聞こえる、とうとう来たかと待ちくたびれた外の護衛達は、一斉にその爆発音のする元へ)
(だが、それこそが罠…爆発音の元にあったのは、ボロボロのスクラップと化した古い車、そして、護衛達が)
(その車にある程度近づいた次の瞬間)
(庭に仕掛けられていた第二の爆弾が次々と起爆、瞬く間に外の護衛達を一網打尽にする)
(そしてその爆音に紛れ時折聞こえる短い悲鳴と銃撃音…間違いない、ついに例の殺し屋が現れたのだ) --
ヨイチ
2013-10-23 (水) 23:26:35
(爆音、悲鳴、銃声…外に聴きながら男は内でただ待っていた)
(怯える彼らと、護衛の中にいて…ただ静かに闇の中に沈み込むように男は待っていた)
(恋い焦がれることもなく…初めからいないかのように、男は外の騒がしさとは真逆に…) --
レナート
2013-10-23 (水) 23:31:50
へ、天下の厳龍もこの程度か…
(レナートのいる部屋の一つ前の部屋から、銃声と次いで悲鳴、そして扉が開かれ)
(とうとう殺し屋『凶虎』が姿を現す、その姿を見た何人かの護衛は、思わず驚愕の声を上げた)
(彼らの前に現れた殺し屋の正体、それは…年にして15、6程度の、まだ年若い少年だったからだ)
(はじめはレナートを除く誰もが目を疑ったが、その目が幾多もの修羅場をくぐり抜けた、血に飢えた獣の眼である事が)
(どこか彼らを引きいるレナートや、劉に近い、それでいて決定的に違う眼が、彼らを戦闘態勢へと変えるには十分な理由であった) --
ヨイチ
2013-10-23 (水) 23:40:14
「このガキが!」「調子に乗るな!」
(その何かを肉体の感受で察した部下たちは一斉に銃を虎へ向けて放つ)
(武闘派ゆえに荒くれものの気質が強い男達はそうしなければならない意地とを合わせてヨイチに牙を剥く) --
2013-10-23 (水) 23:50:24
(その意地を見せんと虚勢を張るための、一瞬の猶予が、レナートの部下達の生死を分ける事になる)
雑魚が…吠えるのだきゃあ上手だな…!!
(そう言って彼が取りだしたのは、手榴弾)
(そのピンを抜くと、レナートの部下たちの頭上へ投げ)
(自身は素早く取り出した二丁の拳銃でレナートの部下達へ発砲しつつ、柱の影へ)
(少しして落ちてくる手榴弾、とはいえまだ爆発まで猶予はある、だが…)
(次の瞬間、柱の陰から撃たれた銃弾が手榴弾を掠め、軌道のそれた手榴弾は壁へ向かい、跳ね返り丁度レナートの部下達の中心へ転がった途端)
(爆発を起こす!) --
ヨイチ
2013-10-24 (木) 00:03:50
(そして男達が血煙となったこの部屋で…煙が晴れるまでもなく、何かが割れる音がする)
(防弾用の強固な素材で作られたテーブルが、割れる。男の足により蹴り上げられ、彼らと自身の盾になっていた丸テーブルが割れ…)
(二丁拳銃の男が姿を現す)
…外へ(あいつは俺が、と続けずともその視線は柱へ向けられ…彼らを遠ざけるように促す)
(ただ一人と一人、銃火を交えるために…) --
レナート
2013-10-24 (木) 00:08:48
少しはマシなのがいるみてえじゃねえか
(正しく獣といった様子の男が、獰猛な表情を見せ、レナートの元へと近寄ってくる)
(相手を舐めているからではない、男同士の決闘で不意打ちをするような野暮な相手ではないと、あの一瞬のやりとりでレナートの事を察したからだ)
あんた名前は?
(丁度撃ち尽くした銃のマガジンを、あろうことか相手の前で悠長に変えながら)
(男はレナートへと言葉を投げかける) --
ヨイチ
2013-10-24 (木) 00:25:43
レナート
(ただ一言。逃げ去る彼らを背にヨイチの前に立つ。彼らを逃がす為か、それとも別の思惑あってか)
(ヨイチの悠長なマガジン交換を待つ。まるで釣りに来た日…相席を求められた時のような…気安さで名前を応え…待つ)
(二人の語りも、視線も鉄火場の中などとても言えない雰囲気でありながら…この場所の空気は確かに一触即発の危うさを含んでいた) --
レナート
2013-10-24 (木) 00:31:15
…そうか、あんたが…
(簡素な答えが一つ帰ってくると同時に、マガジンの交換を終えた男が、笑みを浮かべる)
おれぁ与一、十神与一ってんだ、最もあんた達の間じゃ『凶虎』の名前の方が有名だろうが
…一度やりあってみたかったんだ、厳龍最強の掃除屋、『レナート・"ブラッド"・バラッド』と
(まるで構えろと催促するように、男は銃を構える)
安心しな、待ち伏せなんて野暮な事はしねえ、お互い思いっきり弾けようや…(俄かに、空気が張り詰める) --
ヨイチ
2013-10-24 (木) 23:19:01
(近く、そしてお互いの間合いの内だろうというのに気安く語るヨイチに男は黙って構える)
(その構えに応えるように構える)
…来い、十神与一!
(空気が弾け、男は床を蹴り駆ける) --
レナート
2013-10-24 (木) 23:24:09
いくぜぇ、レナートォ!!!
(レナートに答えるように男もまた、スプリンターの様な
極端な前傾姿勢で飛び出すと、レナートへ二丁拳銃を向け、指を引く)
(年も若く、同年代の中でも特別背が高いわけでもない男の体格…だがそれは)
(銃撃戦においてはその前傾姿勢の突進と合わせる事により)
(高速で動く小さな的という、相手からすればこの上なくやり辛い標的となる)
(両の手の銃から炎とともに吐き出された弾丸は、どれも寸分たがわずレナートを狙い襲ってくる!) --
ヨイチ
2013-10-24 (木) 23:32:20
(縦、その身長の程からくる攻防一体の姿勢。そこから放たれる弾丸は確かに多くの物を屠って来たろう)
(それが並の相手でなくても、ダメージは必至。では男はその場で倒れたか)
(否、駆けた。かけて、飛んだ。そのまま体を晒すのではなく…手を伸ばすように体の投影面積を減らし…)
(二丁拳銃ではあるが片方の、右手の銃でヨイチを迎え撃つ)
(顔を、胸があった場所を掠める弾丸を意に介さず。踏み込み飛び込んだ先は互いの近接の距離!)
(着地の踏み込んだその瞬間。着地した右足を軸にヨイチへ回し蹴りを放つ!) --
レナート
2013-10-24 (木) 23:43:27
(言葉を上げず、獲物の期待以上の動きに獰猛な笑みを浮かべる)
(そしてこちらもまた、銃を握ったままの手をつき上げ、残った弾丸をレナートへ向け吐き出す)
(先に放たれたレナートの弾丸が腕を掠めても気にも留めない)
(最初の突進といい、まるで自分が銃弾に当たる事はないとデモ言うようなその動きは)
(レナートに男の無根拠な自信と傲慢さではなく、むしろあらゆる物への諦観と底無しの虚無感)
(そして生というものに価値を見出せない、深い絶望の一端を見せつけた)
っし!
(レナートの意図を察すると、その蹴りに合わせるように自身も一歩を踏み出し)
(回し蹴りで相殺する、互いに踏み込む形になったため威力は弱められる形になったものの、それでも蹴りを受けた脚からは、強烈なしびれが伝わり、レナートの蹴りの威力を物語っている…) --
ヨイチ
2013-10-24 (木) 23:59:11
(自らの瞳を通して見える。目の前の瞳からにじみ出るのは…狂気、否。生や、世界。自身の意味さえ見いだせない)
(虚無感…?いや、絶望感に近い。そんな瞳をしていた。享楽的な言葉で飾られた…絶望感)
(そう…それは)
はぁ…っ!
(蹴りが交差し、肉と骨がきしむ音が響く。刈り取れず。ではこの距離で何を?手は決まっている。)
(足を轢けば、殴るように突き出される…拳銃。至近距離での、一撃がまさに致命打になる銃撃を叩きだす!) --
レナート
2013-10-25 (金) 00:11:11
(決まれば文字通り必殺の一撃、フィニッシュブローとなるレナートの至近距離の銃撃はしかし)
あめぇ!!
(グリップの底で叩き落とすように繰り出された一撃が、銃の軌道を斜め下に逸らす)
(逸らした銃から放たれた弾丸が太ももを掠める)
っぉお!!
(だがやはり、それを意に介さず、自身はさらに一歩踏み出し、レナートへ銃を密着させ)
(更に空いてる方の手でレナートを抱えるように抑え、確実に仕留めるべく、蹴りの後即座にリロードした拳銃で)
(今まさにレナートの腹を貫かんとその指に力を込めようとしている) --
ヨイチ
2013-10-25 (金) 00:27:24
(ヨイチの引き金を引く音が鳴る。引き金を引いた金属の音のみ…腹は貫かれることはなかった)
(レナ―トは抱えるように抑えられた体をもがき、放そうとはしなかった。むしろ銃に向けて体を押し付けていた。狂気に近い所作で銃を封じた)
(体を押し付け、スライドを銃口から押すことでハンマーが完全に落ち切ることを防ぐ…一手)
(男はためらいもせず決断し、そして…)
…同感だ!
(この超近接距離でグリップ底を用いた殴打を繰り出す!) --
レナート
2013-10-25 (金) 00:41:20
…!?は、トンでもねえな…ぐぁ!!
(自身を更に押し込む事で撃鉄が落ちるのを防ぐ…一歩間違えれば内臓をぶち抜かれる行為を、この土壇場で堂々と行う胆力に、敵ながら畏敬の念すら覚える男)
(だが、それも一瞬、撃鉄での一撃をもらい、世界がゆがむのを自覚すると、辛うじて空いた手で苦し紛れの銃の乱射を行いながら、バックステップで距離をとり近くの柱の影へ)
流石は最強の掃除屋だな!想像以上の実力だぜ!イカレ具合も本物だ!
(口でレナートを煽りながら、その真の狙い…天上の巨大なシャンデリアの真下へレナートが近づくのを、コッキングしなおした銃で)
(狙いをつけつつ、その時を待つ) --
ヨイチ
2013-10-25 (金) 00:51:40
お前も大したヤツだ
(ジャケットを銃弾でいくつか切り裂かれ、柱へ飛ぶヨイチを見送りつつも…男は呟く)
(なぜだろうか、言葉が出る。劉と入るときのように…言葉が、口を走る)
教えてくれ、お前はなぜ殺し屋をやっている。
(問いかけ、そして歩いていく。ヨイチの元へ。ヨイチが狙うシャンデリアの真下を通るだろうルートで) --
レナート
2013-10-25 (金) 01:00:32
そうだな…この道しかなかったから、って所か(相手は気づいていないことを確認し)
(あえて意味のないであろう、身の上話に応じて更に注意をそらす)
生まれたときから路地裏暮らしで、偶々拾ってくれたのが殺し屋だった、ってだけさ
今はもう、そいつもいないがな…俺が殺したのさ、そう、こんな感じでな!!
(そしてレナートがシャンデリアの真下に来ると同時に、柱から飛び出しシャンデリアの支えを撃ち抜く!)
(支えを失った巨大なガラスと金属の塊が、正しく凶器となりレナートの真上から襲いかかる)
(そして、ヨイチは神経を研ぎ澄ましレナートを見据える…この男はこの程度では死なない)
(だが、あれだけの巨大な物体を避けるとなれば、必ず回避直後に隙が僅かにだができる筈)
(男の狙いはそこであった、その無謀ともいえる単騎での突撃とは裏腹に)
(男が真に得意とするのは相手の動きを予想しての予測射撃や、精密射撃)
(まず単騎駆けで相手の出鼻を挫くとともに指揮を乱し、そこからできる隙を狙い相手を一人づつ確実に仕留めつつ、自身は最適な回避行動をとる)
(それこそが男の真の戦い方にして、無謀な突撃を繰り返しつつも生き残っていた理由、それはまさに、強かさと獰猛さを併せ持つ野生の猛獣の如き戦法)
(そんな男の全神経を集中させた一撃が、殺意が、シャンデリアの脅威の陰からレナートを冷徹に狙い澄ましていた) --
ヨイチ
2013-10-25 (金) 01:13:27
(シャンデリアは落ちた。しかしレナートは避けなかった)
(そこでまず、ヨイチの予測。計算を狂わしたのだろうか)
(シャンデリアが落下し轟音を立てても男に隙はなく、ただそこに立っていた)
俺もだ。生まれた時から、こういう生き方しかできないでいる…
(男は巨大なシャンデリアの、照明の枝と枝の間に…最低限の、そう足を擦るぐらいの動きで入り込み…立っていた)
(先ほどの撃鉄が落ちることを防いだ所作も。このシャンデリアでのことも。気狂い故か…いや)
(それは…この死地でのあらゆるものへの傍観、虚無感、絶望感)
(そう。誰かと同じく…そのような、深い。深い厭世のような…世界から疎外された者にしかわからない闇があった)
いや…死んでいないだけかもしれないな…俺も、お前も --
レナート
2013-10-25 (金) 01:25:41
な…(今度こそ驚愕する)
(かつて、如何なる敵の隙も見逃さずその命を刈り取った筈の男が)
(歴戦の戦士であるとともに冷徹な始末屋である男が、驚愕の余りレナートの前に隙を晒す)
(そして男は見た…自分と同じか、それ以上に深い闇を…)
(身震いが走る、それは…生まれて初めて感じた、目の前の己と同質でありながらそれよりも暗く深い暗黒に対し生じた、恐怖という感情)
…く、くっそぉぉおお!!!
(初めて味わう恐怖を振り払うがごとく)
(半ば破れかぶれ気味に、それでも急所を正確に狙った殺意を乗せた弾丸が、レナートへと放たれる) --
ヨイチ
2013-10-25 (金) 01:50:49
教えてくれ…お前は力がある。だがなぜ、つまらないとわかっていながら…続けるんだ…
(急所を狙う、という生存本能か。適格な射撃こそがまさに読めてしまう軌道となった)
(急所をかすめるも、一発も致命だにならず。銃声の中を歩いていく)
お前は力もあるのに…なぜ、腐り続けているんだ…死人のように…自分自身を貶めるような…
(そして、柱まで歩みより・・・問う)
何もかも捨て、嫌い、奪い、その先で屑のように死ぬのか…俺もお前も…
生まれた時のように…
俺は、嫌だ
(世界に愛されたいわけでも、世界を愛したいわけでもない)
(そういった生易しい願いや、世界への憎悪でもない。それらすらも彼方に追いやった先の…何かが。同質である男が同質である男に問う)
(鬱屈とした、沈んだ…静かな…だが溢れださない…爆発しない虚無的な質を伴う言葉が向けられた) --
レナート
2013-10-25 (金) 02:06:34
う…く…
(既に冷静さを欠いた男の攻撃は、レナートには通じない)
(やがて、柱の前までレナートが来た時、男は姿を現し…自身の武器を、床へと放る)
…わかってんだろ…何だかんだ言っても、俺達にはその道しか無いし
それ以外の道を歩むことは許されない。クソみたいな一生を闇の中で過ごす事を、俺もアンタも定められてんだ
…殺せよ、あんた程の男に消されるなら悔いはねえ…
(男への問いに対する答えは、男のこの世への)
(そんな生き方しかできない自分達への、憎悪と自己嫌悪と、諦めが混じっていた) --
ヨイチ
2013-10-25 (金) 02:18:32
(銃を向ける。ヨイチに向けられた銃の引き金が引かれた。金属のハンマーが落ちる音が鳴る)
(弾は出なかった。入っていなかった…先ほどので、マガジンの弾は空だった)
それでも…俺は生きたい。今が死んでいることと変わりなくても…闇の中でも俺は
自分で決めて、この道を歩き…生きたい
この世がどうしようもないごみ溜めの中でも…歩き方は選べる
(銃を下ろす。これでもうお前を殺したとでもいうのだろうか)
ゴミの中に埋もれて死ぬか、ゴミの山の上で死ぬか…歩き方次第だとは思わないか --
レナート
2013-10-25 (金) 02:31:22
(銃で撃たれたと思った瞬間の男の顔は、苦しみから解放されたように安らかな表情をしていたが)
(直後に、いまだに生きている自身に気づき、レナートへと顔を向け)
…できるっていうのか?そんな生き方が、俺達に?
(銃を下された男は、しばしの間立ちつくし思案に耽っていたが、やがて)
…なあ、無茶を承知で頼みたい、俺を、あんたのそばに置いてくれねえか?
見てみたいんだ…本当に、俺達にそんな生き方ができるのか…
(レナートの、自分以上の闇が語る、その希望の言葉に心を動かされた男が)
(その生きようとする姿に、在り方に感服し)
(あろうことか敵対組織の殺し屋に舎弟にしてくれと頼み込む、それは本来ならば許されない行為) --
ヨイチ
2013-10-25 (金) 02:49:30
俺も見てみたいんだ…暁を。夜明けを…ごみの上でも…夜を割く、明かりを
(俺はあの時…ヨイチの顔を見て確信した。俺と同じだったことを…)
(この世界がどうしようもなく嫌で、もっと嫌なのはそれでも生きなければならないこと…そんな自分も嫌だったことを…)
(初めから。ずっとこの闇の中を彷徨っていたからこそ分かる共感のようなもの…そして、組織に入ることでヨイチがまだ見ぬ…生き方を知ったからこそ…)
(俺はその後、組織に入る時を数えて2度目の頼みを劉に誓い、ヨイチを迎えた)
(組織に向けられた刺客であっても、俺は…) --
レナート
2013-10-25 (金) 03:05:19
(あの日、ただ闇の中で朽ち果てるだけだった自分は…レナートという男に救われた)
(自分と同じ闇の中にあってなお、必死に足掻き、人らしく生きようとする様に)
(十神与一という男は感銘を受け…同時にレナートという男と共に彼の言う生き方を送りたいと思い、忠誠を誓った)
(以後、王虎を抜けた男は正式に厳龍の一員として迎え入れられ)
(レナートの下で舎弟としてつき、彼の一番の相棒として、部下としてつき従うようになる)
(それは闇の中を孤独に生きた虎がほんの一時だけ得た、つかの間の安らぎの、始まりの話) --
ヨイチ
2013-10-25 (金) 03:30:32
【数年前】
--
2013-10-15 (火) 21:08:14
(この街に急進的に進出する大陸系犯罪組織厳龍。その武闘派閥の片翼と呼ばれる班が存在した。)
(急進的な若き幹部、劉の片腕とも呼ばれるレナート率いる”ブラッド・レイン”)
(裏切り者、組織に仇なす者を必ず血の雨に変える死神が率いる始末屋組織) --
2013-10-15 (火) 21:24:21
(そのリーダー、レナートの舎弟であり実質No2と呼べる…いや、実質始末屋としての相棒がヨイチ・トガミその男だった)
(舎弟と言うには何かと指図もせず、何も問わず。ただ問われれば応える。しかし男と認め、安易に手を貸すことはない)
(ただ舎弟と一言で表すには難しくも、それ以外に表すには余す言葉ばかりの関係だった)
【埠頭:倉庫街】
(そして今日も敵対組織の構成員、その頭が率いるやくざ者相手に血の雨を降らせていた) --
レナート
2013-10-15 (火) 21:30:56
「巖龍の連中だ!ノコノコとあらわれやがって!皆殺しにしろ!」
「魚の餌にしてやるぜ!気持ちよく死にな!」
(銃火が、銃弾が、鉄火が交差する。ピアノを弾くように引き金を引き)
(その指先が魂を刈り取っていく。死神の鎌のように、二丁の刃が魂を奪う) --
2013-10-15 (火) 21:47:19
は…魚の餌になるのはそっちだろうが…!!
アニキの手を煩わせるまでもねえ、こんな連中全部おれが風穴開けてやらあ!!
(血気盛んな男は、レナートの指示を聞くよりも前に独りさきがけ、銃を出し遅れた間抜けの頭に風穴をあける)
(だがそれでも、言葉とは裏腹に決して前に出過ぎる事はなく…むしろ己を囮とする事でレナートが絶妙な位置でサポートができるよう、こちらもまた)
(最適な位置で派手な撃ち合いを演じる)
(それはレナートという存在を進に信頼しているが故の行動) --
ヨイチ
2013-10-15 (火) 22:35:42
(ヨイチの獰猛とも言える駆け込みに感嘆する若い新入りらを余所に男は静かに影から影へ)
(音もなく動き、銃火を浴びせ、一人ずつ、1つ、2つと命を奪っていく)
(咎めることなどない。ヨイチは狂った男でも狂犬でもない。強かな虎。猛虎に見え、静かに研がれた牙で食いかかる虎。)
(この死線でそれが当然の如く何よりも信じるに値するものだというのは、語るに及ばず)
(ヨイチと、若い衆や静かなる男に翻弄され…武鷲と呼ばれた傭兵くずれのヤクザ者達は血の雨に変わった)
終わったな、ヨイチ
(後には血臭と硝煙の臭いが。それも潮風で薄まる気配をのぞかせていた)
(男は語り飾る人間ではない。それが、ヨイチらの働きが当然であると。当然に無事に戦い終えたことが信頼の証拠だと語ることすら憚るような…)
(そんな男と、男達) --
レナート
2013-10-15 (火) 22:47:55
ああ、これだけ派手にやられりゃあ、しばらくは手ぇ出してきやしねえでしょう
(全滅させた相手に対ししばらく、といったのには訳がある。)
(ここ最近増えてきた現象…武鷲の様なごろつきの愚連隊が、急に力をつけ強盗などの襲撃行為を繰り返す事件)
(一見繋がりのないそれらは、裏の世界の視点で見ればそれは見事に、厳龍の息がかかった店や下部組織を狙った襲撃ばかりであり)
(その裏で意図を引く何者かがいる事を、明確に表している)
ええ…ですが同時にこいつは始まりですアニキ、俺達を舐めてるどこかの誰かへの
反撃の宣戦布告でさあ
…すまねえなアニキ、こんなごろつき共の相手、本来なら俺や若いのだけで片づけるべきなのに… --
ヨイチ
2013-10-15 (火) 22:59:59
(経済的な裏取りなら厳龍にもエキスパートがいる。しかし厄介なのはこういった武力で直接的に仕掛けてくるヤツらだ)
(もちろん…ごろつきがいくら束になろうと俺達が敗北することはないだろう。過信ではなく、事実そうなのだ)
(しかしそういった連中に手を貸している…直接的な武力によって巌窟に巣食う龍を突こうとしている)
(様子見にも思える…何かが、姿の見えぬ悪魔が潜んでいるような気配。ヨイチとレナート…それは劉も、察していた)
(これから大きな戦いが待っていることも)
ヨイチ
仕事はあがりだ。飲みに行こう
(手を煩わせたから、と呟く男に男は遮るように言葉を紡ぐ。)
(少なく、短く。組織だから、兄弟だから…仲間だから気にするな…そんな心を打つ詩のような言葉ではなく…ただ短く若い衆らにも) --
レナート
2013-10-15 (火) 23:11:32
(その言葉に、安堵と、レナートの信頼への例えようもない感情が胸へと込み上げてくる)
(それはかつて一人で仕事をこなしてきた、孤独な殺し屋『凶虎』であった頃は、決して味わうことのなかった感情)
(この感情が湧きあがる度、耐性の無い男は自然と、嬉しさと感動で目に涙が浮かぶのを堪え切れない)
へへ、すまねえな…ホントならあの人と飲みに行くはずが
こんなむさくるしい男と二人酒なんて…俺でよけりゃあ幾らでも付き合いますぜ!
(目元を拭うと、先に足を進めるレナートの元へ) --
ヨイチ
2013-10-15 (火) 23:19:25
(ただ静かに微笑み、車へ向かう。若い衆は若い衆で自由に飲ませるのが気楽でいい)
(組織の中で立場というものが増えると自然とこうなるからこそ)
(ヨイチのような男が暖かく、ただ言葉に…顔に表せない感情がそこにあった)
(そしてまた、俺は組織の人間になっていることを暖かくも…また、彼女と離れていることを冷たく思いつつも俺は…)
(ここが本当の居場所だと、守るべき場所だと)
(大きな嵐の前、杯を交わし深く飲み込んでいた…) --
レナート
2013-10-15 (火) 23:42:27
(その男の横に並びたてる事に、何物にも代えがたい嬉しさと誇りを感じる)
(怖いものなど何もない、自分は彼の相棒として)
(そしてゆくゆくは劉の親分の、より高みに登るであろうレナートの、忠実な刃であり盾として)
(この組織を守れるような男になりたいと、そう思わせる力を、目の前の人物は持っている。)
(酒を交わし、笑顔を浮かべ、いつも、いつまでもこんな日が続く事を)
(この時の男は望み、願っていた…) --
ヨイチ
2013-10-16 (水) 00:04:16
5年前の公園
--
2013-10-23 (水) 03:09:21
(確かあれは、アーサーが組織に入った直後の事だったと思う)
(たった5年前だっていうのに、今思い出そうとすると酷く昔に思える)
(とりあえず……ガキの頃から飲みなれたはずの酒が嫌に苦く感じたのだけは、今でもよく覚えている)
(馴染みのバーで、俺はうなだれていた)
マスター、ついでくれ……もう二十歳すぎたんだから、いくら飲んだっていいだろ…… --
ユウ
2013-10-23 (水) 03:22:18
(夏芽・ミュラーは当時、店を継いだ直後である。今と変わらぬ微笑を、今よりも少し幼い顔に浮かべ、その日もバーへ酒を卸した後の事だった)
(クダを巻くユウの隣に座り、懐から紙巻煙草を取り出して。慣れた手つきで火を点け、隣に微笑を向ける)
なんだか浮かない顔だね。女の子にでも逃げられた?
(当時から、嫌に大人びた物言いをする少年であった) --
夏芽
2013-10-23 (水) 03:26:40
んだよ、夏芽か……おい、てめぇもう仕事それで終わりだろ? 酌しろや
奢ってやるからよ
(赤ら顔の仏頂面でそういって、カップをつきだす)
アーサーのバカまで、レナートんところにいっちまったんだよ
あの劉って野郎は信用ならねぇとおもうんだけどな……ったく、どいつもこいつも何考えてやがんだか! --
ユウ
2013-10-23 (水) 03:30:42
うん、今日は此処で終わりだね。……はは、それじゃお相伴に預かるとしましょう
(置かれた瓶から琥珀色の液体をカップへと注ぎ、自分もショットグラスにそれを注ぐ)
(大人しく話を聞きながら、うん、うんと続け)なるほどなぁ……
信用ならない相手だからこそ、奇妙な魅力がある。ユウだって、妙な駄菓子にチャレンジしたくなる時があるだろう?
駄菓子とマフィアの若頭を同列に語るのもおかしいのかも知れないけれどね。……それで、ユウはどうするのかな? --
夏芽
2013-10-23 (水) 03:40:05
(注がれたグラスの中身を呷り、一息で空にしてからアルコール臭い息を吐き出す)
俺は賭け事にチャレンジなんざしねぇよ
するとしたら……積み込んでからだ
(そういってまたコップをつきだす) --
ユウ
2013-10-23 (水) 03:52:23
堅実だね。俺もどちらかと言えばユウに近いけど
(突き出されたコップに酒を注ぎ、マスターに軽く腹に入れるものを注文する。そういう所は嫌味な程に気配りの出来る子供)
年下の俺が言っても生意気だと思うけれど。レナートも、アーサーも。焦がれているよね。欲しいと思うのに、欲しいものがもう見つからない。
……ユウ、君も。 --
夏芽
2013-10-23 (水) 03:57:39
へっ……知ったような口ききやがって
酔ってなきゃ殴ってたかもな、今は酔った頭にその言葉がイヤに沁みらぁ、はははは!
(自嘲気味に笑って、夏芽のはからいでマスターが出してくれたチーズを乱暴に齧る)
……そうさ、俺も、あいつ等も……力に焦がれていた
でも、その力は俺達じゃあ多分……もう届かねぇんだ
それこそ悪魔に魂でも売り渡さない限りな
……連中には、その覚悟があったって事なんだろう
俺にはねぇよ
俺は……あいつらとは違う。ただの意気地なしの臆病者だ
あいつ等みたいに向こう見ずにはなれない、力もない
俺じゃあ……あいつ等には届かない……
(そういって、顔を伏せる。上ずった声を隠すように) --
ユウ
2013-10-23 (水) 04:19:30
あはは、生意気なのは性分、とは言ってもこれは怒られても仕方がない物言いだったね。ユウが今酔っぱらいで助かったと思うよ
(そう言って笑い、ユウが語る弱さ、コンプレックスを静かに聞く)
ねぇ、ユウ。俺にはね
俺にはみんな同じに見えるよ。劉さんも、レナートも、アーサーも、ユウも。
望むものを手に入れる為の力が欲しい。だけど、「望むもの」は具体的な物じゃあないから、自然求める物は強大な力になるんだ
ねぇ、ユウ。君が欲しい物は、何?
(問いかけは静かだった。15歳の少年の言葉とは思えぬ、奇妙に静かで、そして得体の知れない誘引力があった)
それはきっと一線なんだ。誰もが無自覚に、心の裡に引いている「超えてはいけない」というライン。
単にみんなは、それを踏み越えるのが君より早かっただけ。そう考えた事はないかい? --
夏芽
2013-10-23 (水) 04:32:19
(今思えば……コイツはずっとそうだった)
(コイツはずっと、囁くだけだった。たった一言、囁くだけ)
(それだけで……相手を思うままに操ってきた。俺にはそう見えた)
(コイツはそういう毒だった)
(あのとき、どんな風に答えたのかは覚えていない。きっとレナートに酷い事を言った時と同じように、臓腑から吐き出したような、汚臭のする言葉を零していたのだろう)
(しこたま飲んでいたせいかもしれないが、もう、その後で覚えていることは……一つだけだ)
(そう、一つの事実だけ)
(俺もそのとき、悪魔に魂を売り渡したという……悪夢のような確信だけが……脳裏に刻み込まれていた) --
ユウ
2013-10-23 (水) 05:07:49
(夏芽・ミュラーは変わらない。これまでも、これからも) --
夏芽
2013-10-23 (水) 05:13:26
4~5年前
--
2013-11-02 (土) 21:18:37
(何時だかはもうはっきりしないし、はっきりさせる必要も恐らくない)
(とりあえず、それくらい前だったように思う)
(それ以上は、はっきりと思い出せない。思い出したくないのかもしれない)
(どうでもいい。どっちにしろ昔の話だ)
(もう決して戻る事のない……昔の) --
ユウ
2013-11-02 (土) 21:21:18
(たしか、厳龍に入って暫くした頃のことだ)
(レナートはもう頭角を示していて、アーサーも上手く才能を生かしていて……まぁ、俺はそれなりに適当にやってた)
(そして、姉さん……シルヴィアは、このバーでピアノを弾いて生計を立てていた)
(そんなもんだから、よくバーに集まってどうでもいい話を確かしていたんだ)
(そんな気がする。そうだった気がする) --
ユウ
2013-11-02 (土) 21:29:16
(客も疎らになった地下バーで、静かにピアノを弾く)
(シルヴィアはクラシックしか習っていなかったが、ジャズを覚えるまでにそれほど時間は必要なかった)
(生活の為でもあったし、何より楽しかったからだと、後に彼女は答えている)
相変わらず浮かない顔してるわね。うちの弟みたいにもうちょっと笑ったらどう?
(静かに一曲弾き終えて、カウンターの隅で黄昏ている幼馴染に話しかける) --
シルヴィア
2013-11-02 (土) 21:40:30
遠慮しとくよ、仲間内で不景気な面するのは俺の役割なんでね
(すっかり飲みなれた少しだけ高いウィスキーを舐めるようにちびちびと飲みながら、そう嘯く)
笑うのはアーサーの担当。馬鹿やるのはレナートの担当。そんでケツ拭くのが俺の担当
で、それをみていちいちお節介焼くのが姉さんの担当なんだろ?
相変わらずはお互い様だ
(そういって、楽しそうに口端を吊り上げる)
それはそうと、お互い今の仕事は上手くいってるみたいだな
順風満帆って奴だ --
ユウ
2013-11-02 (土) 22:11:39
(否定も肯定もせずにクスクスと微笑んだあと、さらに深く微笑んで、柔らかく答える)
ええ、とっても上手くいっているわ
クラシックも好きだけど、ジャズってとっても面白いのよ?
譜面がないのにキーを組み合わせれば曲が出来上がっちゃうの
クラシックのそれと比べると荒削りだけど、それでもその瞬間にしかないメロディが生まれるのは……とっても新鮮で素敵だわ
ユウもやってみたら? 型に嵌れない貴方達にはぴったりじゃないかしら --
シルヴィア
2013-11-03 (日) 10:19:17
そういうのは弟にやらせてくれ
俺みたいな無教養な人間にゃ無理だよ無理 --
ユウ
2013-11-03 (日) 10:25:21
あら、ユウだって弟みたいなものじゃない? --
シルヴィア
2013-11-03 (日) 11:20:46
(若干憮然とした表情になって)
へぇへぇそうですね、確かに弟みたいなもんですね
どうせ俺は姉さんとくらべりゃガキですよ --
ユウ
2013-11-03 (日) 11:21:52
何拗ねてるのよー
弟扱いしてそういう態度取られると、私も期待しちゃうわよ?
(にまにまとからかう様な口調で、可笑しそうに微笑む) --
シルヴィア
2013-11-03 (日) 11:23:37
そういうこというと俺も死ぬほど期待するからやめろ。ほんとマジで --
ユウ
2013-11-03 (日) 11:24:33
ふふふ、じゃあ、今は冗談って事にしておいてあげる
(そういって、ユウの額を人差し指でつつく) --
シルヴィア
2013-11-03 (日) 11:28:24
……ああ、今はとりあえずそういうことにしといてくれ
(されるがままに額をつつかれ、頬を染めながらぶっきらぼうにそう呟いた)
(今でも、時折彼女の笑顔が脳裏に浮かぶ)
(儚げな彼女の笑顔が。悪戯めいた彼女の笑顔が)
(不思議と、笑顔しか思い出せない)
(いや、違う)
(きっと、笑顔しか思い出したくないんだ)
(俺は、過去を逃げ場にしてしまったのだから) --
ユウ
2013-11-03 (日) 11:33:39
3年前……いや、もう4年前か
--
2013-11-03 (日) 22:14:15
(俺には、義理の母親がいた)
(どんな女だったのかは、もう思い出せない)
(違うな、これも他の思い出と同じ事だ)
(思い出したくないんだ) --
ユウ
2013-11-03 (日) 22:30:10
(そんな母親が、死んだ)
(簡単な葬儀が終わった後、俺はいつものように公園に佇んでいた)
(ずいぶんと、久しぶりに着た気がする)
(厳龍にきてからは、すっかり顔をだしていなかった) --
ユウ
2013-11-03 (日) 23:07:05
(もう公園で遊んでる子供たちの顔も、下手をすれば知らない子のほうが多いかもしれない)
(アーサーやレナートと3人で駆けずり回っていた頃が懐かしい)
(ぼさっとそんな風に考えながら、喪服のままタバコを咥えて、空を仰いでいた) --
ユウ
2013-11-03 (日) 23:16:59
(ついさっき知った事だが、俺の母さんは……暗殺者だった)
(元々その道のプロだったのだ。俺をひきとったのだって子連れのほうが何かとカムフラージュに向いていたからだろう)
(ついさっき、それも思った事だ。何せついさっきまで知らなかったんだから) --
ユウ
2013-11-03 (日) 23:18:52
(深く深く溜息をついて、ベンチに腰掛ける)
(あの頃、毎日のように座っていたベンチだ)
(俺の身体はあの頃よりは少しばかり大きくなっているはずなのに……イヤに広く感じる)
1人減っただけのはずなんだけどな
(そう呟く。無論、返答はない) --
ユウ
2013-11-04 (月) 13:47:41
(きっと俺はこれからずっと……どう考えても、どう悩んでも、出るはずのなずの答えを求めて生きるのだろう)
(いや……違うな)
(求める事すらせずに、諦め続けて生きるのだ)
(まるで、死体のように)
(そう、漠然とした確信が俺の中にあった) --
ユウ
2013-11-04 (月) 14:17:20
(『母親の血』に塗れたナイフを公園の屑篭に放り投げて、踵を返す)
(そして、静かに自分に言い聞かせる)
(自分は……シルヴィア姉さんを殺した暗殺者を殺しただけだと)
(ただ、組織の命令に従って……そうしただけだと)
(全ては詭弁であると、自覚しながら) --
ユウ
2013-11-04 (月) 14:24:57
(あとはきっと、腐って落ちるだけだ)
(もう、先なんてない。未来なんてない)
(ただ腐乱して朽ち果てるまで、あてもなく彷徨うだけ)
(生ける屍には、それが似合いだ) --
ユウ
2013-11-04 (月) 14:29:46
【一年前】
--
2013-10-14 (月) 22:27:26
(厳龍が表社会の事業に向けて打ち建てたビル。その最上階に向かうエレベータで一人、拳銃にマガジンを差し込む男がいる) --
2013-10-14 (月) 22:28:55
(長い長い静寂が続く。思う。直前に話したアイツのことを。アイツは来なかった。それでいいのかもしれない)
(アイツは恐らく生き延びるだろう。穏健派が既に方々で始末されているのを聞けばわかる。)
(マオは失敗したのだ。いや、情報が筒抜けだったのだろう。今やそれらはどうでもいい)
(止めなければならない。劉を。今の厳龍を。俺は、止めなければならない)
(劉の右腕として血で語ってきた俺だからこそ…止めなければならない)
(例えその命を支払っても、俺は、お前を…) --
レナート
2013-10-14 (月) 22:36:07
(エレベーターの表記数字が最大数に達し、扉が開く。出迎えたのは…いや、待ち受けてる男の名前を叫ぶ) --
2013-10-14 (月) 22:37:33
劉!
--
レナート
2013-10-14 (月) 22:37:58
(男は最上階、そこから空を見上げている)
(もうすぐ夜が明ける。厳龍が裏切り者を始末し、この街の掌握に向けて動き出す
夜明け
(
アカツキ
)
が)
レナート……お前はどうやら狼だったようだな…(腰の刀に手を置き、自然体で男を迎える)
そしてその牙を私に向けるとは………(劉の眼に狂気が色濃く映る)
嬉しいぞ、レナート。
--
劉 暁明
2013-10-14 (月) 22:43:30
'劉…これが…
これがお前の目指していた景色なのか!
マオは、張大人お前を…!(拳銃を2丁、かつて自身の隣にいた男に向ける。俺とお前は…同じ場所にいないのだと言外に告げるように) --
レナート
2013-10-14 (月) 22:49:36
そうだ、レナート。私が求めたものは分け合う心ではなく、支配する力。そのために恐怖と暴力が要るのであれば、私はそうしよう。
(刀の柄頭に手を置いたまま姿勢を低くする)
お前は選んだんだなレナート……私とは違う道を。(歪んだ笑みを浮かべ)
これでお前の血の味を確かめられる。
--
劉 暁明
2013-10-14 (月) 22:56:14
厳龍は…それを求めていなかった…!劉、お前が厳龍を変えたんだ!恐怖と力で…
(劉の間合いへ向けて、一歩、二歩と歩み…そして)
俺は…!(言葉は消えた。言葉が届く距離から離れ、そして今。その距離は近く)
劉!
(引き金を引く。魂を容易に奪う弾丸が、鉄の火が唸る) --
レナート
2013-10-14 (月) 23:09:28
穏健派どもにはそれが我慢ならなかったようだがな……だが、それでいい。
(お互い、一歩ずつ歩んでいく。それぞれの道を踏みしめるかのように)
これで邪魔者は全て始末できる。この街は私のものになる……そのための最後の障害がお前だ。
レナート!!
(姿勢を低くしながら相手に接近し、銃弾を掻い潜りながら懐から取り出した飛刀を2本投げる) --
劉 暁明
2013-10-14 (月) 23:27:43
(既にお互いの手は見えているといっていい。その先にどういう結果が見えているとしても)
(ピアノを弾くように銃弾がガラス壁を、内装を破壊し)
(飛来する短刀を銃底で叩き落とす)
(冷たい風が、冷たい殺気が交差する)
(銃と、刀が交差し死線が掠める)
(お互い致命的な一打が入らずに、しかし…どちらかの死は確実に近づいていた) --
レナート
2013-10-14 (月) 23:41:53
(それは死闘だった)
(レナートの銃弾は劉に確実に至近弾によるダメージを蓄積させていく)
(そして劉の持つ刀『虚空』もまた、振るわれるたびにレナートの肉体に痛みを刻んでいく)
(決着は近い)
死…ねぇ!!(返す刃で逆袈裟にレナートへ切り上げの斬撃) --
劉 暁明
2013-10-14 (月) 23:54:59
(銃弾が劉を打ち、虚空が自身を切る)
(二丁のうち一丁は切られ…そして、死闘の果てに)
…ッ!(残る一丁で防ぐ前に、銃ごと胸は切り裂かれた)
かっ……!
(意識に虚空が…訪れた。そして…) --
レナート
2013-10-15 (火) 00:04:51
(虚空がレナートを切り裂き、その感触を味わうと共に跳ね返った血が口元を伝う)
ああ……これが…(舌を唇に這わせ、その味を確かめる)
お前の血の味か。
(虚空を持つ右手を軽く振って血を払い、そして空いた左手でレナートの顔を掴む)
レナート…最期だ……言い残すことはあるか?(どこまでも冷たい風が二人の間を吹き抜ける) --
劉 暁明
2013-10-15 (火) 00:20:21
(体が浮く。浮遊感、死に近い世界が俺を誘う。しかし、それでも俺は)
…ッ
(言葉は出ない。言葉にすることなどあったのだろうか、今思えば…それもわからない)
(動きそうな体を全て動かそうとする力さえ…奪われ、意志だけが、その目が劉を射抜くように見つめ…そして…) --
レナート
2013-10-15 (火) 00:36:50
さらばだ。(顔を掴んだままのレナートをビルの最上階から突き飛ばした)
(その高揚感は、一年経った今でも夢に見る)
(今、ここに。劉 暁明は完成したのだから) --
劉 暁明
2013-10-15 (火) 00:40:47
(覚えているのは、暁の空)
(覚えているのは茜色の空)
(覚えているのは冷たい風と暖かい光)
(思い出せないのは…) --
レナート
2013-10-15 (火) 00:46:03
【つづく】 --
2013-10-15 (火) 00:46:22
Last-modified: 2013-11-12 Tue 04:27:00 JST (3817d)