OSP/0013
- 進捗どうですか〜?…なんてね。何か書けたりしたかい?(なんて軽い調子で眼鏡男がやってくる) -- ヴァルク
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- おう!ちょっと知恵を借りてえ!(男がやってくるのはいつも唐突だ、パーソナルスペースというものが家族に対して崩壊している)
まだ暑いんで狩りの時期じゃあねえんだがそろそろ次の季節について考えなきゃいけねえと思ってよ、とはいえここは孤児院だろ?一応血を流すのはご法度だ (とは言うが男が孤児院に居た頃は平気で獲物を持ち帰って酷く咎められている、そこから獲物を猟師に売ったり森で解体してから持ち帰るという悪知恵を鍛えた) とはいえここはまだ幼い子供も居れば不器用なのもいるんで考えたんだが…安全な狩猟罠の知識ねえか?危険な罠なら幾らでも知ってんだが… -- ゲルベル
- ぅえ!?(机に向かって物語の構想を練っていた際の唐突な訪問。思わず変な声が出た)
な、なになに……罠?安全、な?(呼吸を落ち着かせながらゲルベルの言葉を整理してみて、首を傾げた) ……罠って、そもそも危険なものじゃない?ケガとかさせるのが目的なわけだし… 魔術的なもの、とかになってくるのかなぁ…そうなると。眠らせたり、麻痺させたり……そういうのとかどう? -- ミティス
- まあな…基本的に狩猟罠ってのはバレない、外れない、血を抜くが前提だからどうしても人間が引っ掛かるとやべえのも多いのよな
最初は箱罠なんかも考えたんだがこれも結局トドメを刺さなきゃいけねえんで孤児院の教えとしてはあまり向いてねえ (どうやらこの男は自身は神の教えを守るつもりは無いが子供達には守って欲しいらしい、それだけ神の教え自体には学ぶ価値があるとでも言うようだ) 魔術的なモノ…魔術は縁がねえ!んーただ魔術触媒自体は持ってはいるんだが逐一補充させるのも良くねえよな(そういった触媒はそこそこ値が張る) 魔術的な作用を物理的にやる方法…眠らせる、…気絶?窒息させる…か? -- ゲルベル
- 窒息、窒息か……。そこまで行かなくても、意識を失えばいいなら…薬品とか?
(ふむ、とずれた眼鏡を指先で押し上げて何事か考えはじめ――やがて、自信なさげに視線をゲルベルへと戻した) 吸い込むと意識を失わせる作用のあるガスだったり、薬品だったり、ってのは…物語上では鉄板なんだけど… 実際にはどうなんだろう。それこそ、薬学の専門的な知識がある人の方が詳しいかもしれない。私は……流石にそこまでは、ね。 -- ミティス
- ああそういうのもあるな、遺跡に潜った時なんかは経年劣化の四文字をかなぐり捨てたような麻痺ガスとか睡眠ガスが出てくる事はあるぜ
そういうのは壁掘り起こしてみると魔術式が組まれてて踏み込んだ瞬間僅かに金属の筒に隙間が出来て…って構造だったりする (長い年月で整備の為の機構が壊れたが現物だけは残り続けたんだろうな、などと若干話が脱線しつつ) とはいえ薬品…薬品か、そいつはアリだな。子供がウッカリ巻き込まれない形で…撒き餌に仕込むとかなら運用は容易いか 箱罠に首吊る罠仕込めば動物狩れるか?とかミティスと話してて思ったがミティスのがずっと安全っぽいぜ -- ゲルベル
- 私の案は…その、狩りも冒険もしないからさ。そこまで発想が至ってない、っていうか…うん、なんというか
(言いよどむ。要するに相手の命を脅かすことを目的として思考を巡らせたことなど殆どないのだ。自分でも安穏とした案だな、などと思ってしまった) まぁでも…小さい子たちとの事故はさ、どんなに気を付けても気を付けすぎるってことはないだろうし。……そこだけは、ホントに気を付けてね? (じ、とゲルベルの目を見つめて念押し。自分も幼いころ彼の巻き起こす諸々のトラブルに巻き込まれたのを思い出しつつ) -- ミティス
- ヘッヘッヘエ!あの頃の俺を見てるなぁ?安心しろ!十数年の月日が俺を知性の無いゴリラから凶悪なゴリラへと進化させたんだからよお!
それにさっきも言ったが俺には殺す発想ばかりが出てきちまう訳よ、そいつは子供にいずれ管理を任せたい以上良くねえ発想なわけだ そういう意味じゃミティスの発想は孤児院向きなんだな(ミティスの考えを読んだかのように男は諭す) っつー訳でこれからミティスの案をブラッシュアップするぜ、子供らが触っても大丈夫な毒の調合もしないといけないしな(じゃ!と手を振り男は去っていった) -- ゲルベル
- ……大丈夫かなぁ。ゲル兄ぃ、昔っからやりすぎちゃうとこあるし
(わき目も降らず去っていく男の背中を見つめつつ、心配げにに苦笑するのだった) ……私も、たまにはあぁいうまっすぐさがあった方がいいのかなぁ (遅々として進まない執筆活動に思い至り、ため息交じりに机に戻っていくのだった -- ミティス
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- ミ、ミティス…てけすた(彼女の部屋に来るなり崩れ落ちた。が、ちゃっかり本を枕にしている普段の生活が忍ばれる)
いやー…聞いてよもう、うちの勤め先の書房で無茶振りされちゃってさぁ(ぶちぶちと言う。こんな愚痴がましいのは珍しい) -- ヴァルク
- ど、どしたのヴァル兄ぃ…?なんか、珍しいね…?
(ぐったりした様子のヴァルクの枕元にしゃがみ込み、頭でも撫でてみようかと手を伸ばしては引っ込めて) 無茶、ブリ…??資料の整理、とか…編纂、とか、そういう系…?? (外に出ない彼女である。兄が書房勤めなのは知っているがそれだけだ。具体的に何をしているのかのイメージはさっぱりで) -- ミティス
- もー撫でて撫でてー。今の俺フェリみたいに撫でてもらったら俺の治癒魔術なんかよりよっぽど癒やされる気分(はぁー、とため息)
整理や編纂だったらどんなにマシだったことか…、というか普段からやってるしね…。いやね、一言で言えば…売れる小説をもってこい!って言われたの。うちの店長ババアに。 (なお普段だったら店主の事もババアなんて言わない)何か今小説を売り出したいらしくてさ。それも手垢がついてないようなフレッシュなやつ。新規開拓って感じでね。 ミーティースー……なんか良い作家とか作品…知らない…?俺はもう探し疲れた…売れそうなやつなんて分からん…(本にぐりぐりと頭を押し付ける。お行儀悪い) -- ヴァルク
- ん、んー……じゃぁ、こんな感じ…で。はい、おしまいっ(兄の言葉に促されるまま、くしゃ、と慣れない手つきで髪を手櫛で漉いてはすぐ手をひっこめた。照れくさい)
え、えぇー……?それは確かに…無茶ぶり、かも。売れそうな、って言われてもなぁ… (兄が押し付けられた難題に思わず苦い顔。売れそうな本、なんてのはある種賭けのような部分も大きい。マーケティング等、専門知識があればまた別なのだろうが) 私が好きで、マイナーな本ぐらいはいくつか見繕えるけど…それが売れるか、って言われるとなぁ……。売れてないからマイナーなわけで… -- ミティス
- (すぃ、と彼女の細い指先が灰色の髪を梳る感触がした。それは久しく…ともすれば孤児院に来る前からもう、忘れていた感触で)…心地よし…(かなり癒やされる眼鏡)
…うし。元気になった(スッと立つ。とはいえ根本問題は解決してないが)だよねぇ。実用書や専門書の類なら俺にも分かるよ?内容が良い本なら売れる。 けど小説とかになるとなー。いやこの際マイナーでも……(売れてないからマイナー。その一言は眼鏡に突き刺さった)…ですよねっ(膝に食らってしまってな…) 極端な話…今あるものじゃなくてもいいみたいなんだ。これから新しく書かれるようなものでも。むしろそれなら独占契約して利益がっぽがっぽだなんて言ってたし。 (そこまで言って…はた、とミティスを見る。にこぉ…と笑う)……ミティスさー…。なんか、ちょっと、書いてみない?(脳が湯だった男がなんか言い出した) -- ヴァルク
- …これで元気になるのか……。意外と単純、だったりするのかな(ぼそりと呟く。密かに尊敬していた兄の意外な姿にくすりと笑みが零れた)
——は??あ、ぇ、えぇぇ!? (久方ぶりに大声が出た。一体何を言っているのかこの人は) い、いやいやいや……無理でしょ。私、ただ本が好きなだけだよ??そんな…世の中の先生方みたいなことなんてそんな………無理だよぉ (色々と恐れ多い想像をしてしまって小さくなる陰キャである。物語は好きだが、それを自分で紡ぐなど考えたこともなかった) -- ミティス
- 男なんて単純なもんさ。俺みたいにちょっとひねくれてるのでさえ、ね(なんて、へらりと笑ったりしつつも…)
(うんうん、とその大声には分かるよ、という顔)だよね、俺もちょっとはね?チャレンジしてみたよ?でも無理。報告書なら秒で一枚書けるけど無理。 魔王を倒したこの主人公の気持ちを二十文字でお答えください、って問題に、たぶんお腹が空いてると思う、って答えたような俺じゃ無理。 でも…ミティスなら…老若男女、どんな登場人物でも、どんな物語でも良い感じに入り込めるミティスなら…!まずは一枚でいいんだって! それが無理なら十行ぐらいでも!いやいやこの際一行でも……ええい!一言でもいいんだ!何か書いてみてはいかがだろうか!? (溺れるもの藁をも掴むと言うが…彼女の様子としては、藁どころか髪の毛一本あるかどうか。それでも必死な眼鏡だ) -- ヴァルク
- (あまりにも必死な兄の様子に思わずたじろいでしまう。此処まで縋られて無碍に断れる程この少女のメンタルは強くはない)
わ、わかった、わかったから落ち着いてよヴァル兄ぃ…!書けるかどうかは分かんないけど、とりあえず、とりあえず……やっては、みる…けどぉ (落ち着かせるためにとりあえずの安請け合い。出来るなんて微塵も思えないが、こうでも言わないとこの兄がいろんな意味でどうなってしまうのかという悪寒があった) ……ほんとに、期待しないでよ?お話書くなんて……やったこと、ないんだからさぁ -- ミティス
- っし!!(すごい勢いのガッツポーズ)や、実のところミティスが何かを書くならどんなものになるだろうな、とは前からちょっと思ってたんだ。ふふふ楽しみにしてるよぉ(にこぉり。いい笑顔だ)
ま、一言が書ければ…、次の一言も書ける。もしそれがまばらで辿々しく物語という塊にならずとも、詩になら成り得る。それに何より…なんたって試すだけならタダだ。今の俺達には向いてるだろ? (なんて最後は冗談っぽく)実際…昔からたまに、文人って訳でもない素人が書いた詩集が売れた例もある。可能性はゼロじゃないさ(がんば!といった感じで応援し) よーし。これでババアにいずれ期待の新人現るからちょっと待って、って言っとこう(ちょっと据えた目をしながらそんなこと言いつつも…) まあ、無理そうなら無理で、問題は無いからさ。折角だったら気楽にね。売れる本がどうのとは別に…楽しみににもしてるからさ。じゃあね(と幾分は気楽になった様子で去っていった) -- ヴァルク
- う、うぅぅ…うまいこと乗せられた気がする…簡単そうに言ってくれちゃってさぁ。それならヴァル兄ぃでも書けるんじゃないの…?
(恨めしい視線を向けるも効果はない。もはや逃れる術はないようだ) はぁ……。完成、するかどうかもわかんないけど。やるだけやって…みる、かぁ(嫌そうな顔。去っていく背中にため息をぶつけながら)
………。何書いたらいいんだろ。全然思い浮かばない……(しばらく一人で途方に暮れていたとか) -- ミティス
- (部屋の隅、今日ももくもくと冒険譚を捲る。そういえばと、はたと思い出したように)
ミティスは何かしないのか?(この事態にあたって、そこかしこでも見かけないなと。直球を投げた) -- ダリウス
- ―ぅ゛(喉奥から声ともつかない音が漏れた。ページをまくる手は止まり、油の切れたおもちゃのごとく、ぎこちない動きで顔を上げ―)
なに、か…したいのは、したいんだけど。ほら、私って……本読む以外に、何も出来ないし 下手に動いて、さ。逆に孤児院のみんなに迷惑とか……かけちゃうよきっと!だから、ね? (なにが「ね?」なのだろうか。貼り付けたような苦笑いの裏に見え隠れする臆病な心は決して隠し通せるようなものではないとは、分かっているが) -- ミティス
- (縮みあがった声帯から出る濁った声、露骨に動揺の隠せない不自然な動き)
まあ、無理をすることはない。俺たちは本来ならまだ親に甘えていていい歳だ。 (だが、親はいない。自分達で生きて行かなくてはならない) (こういった事態だから何かしなければという義務感と、自信のなさからくる無力感と、踏み出せぬ臆病さの間で苦しんでいるのか) だが……ふむ、俺が墓守の手伝いをはじめたときの話をしよう。 古い墓を掘って、遺骨を回収して納骨堂に納め、空いた墓に新しい死者を迎える。 その最初の工程、最初のスコップの一撃で、俺はみごと遺骨の頭蓋を粉砕した。 (いたって真面目に真顔で言った) -- ダリウス
- ―え、何それ(真顔で語りだしたかと思えばとんでもないことを言う。恥じる様子も無く、何てことのないように―)
そ、れ…結構、っていうか。かなり不味い失敗なんじゃない?遺骨の損壊って…故意じゃない、とはいってもさ (墓守としてやってはいけないことの上位に入るのではないだろうかと。思わず眉根をしかめて問いかける) それ、で……やっぱり、怒られた? -- ミティス
- (頷く。)俺の頭蓋が割れるかと思った。(しこたまぶっ叩かれたらしい)
だがまあ、かろうじて首にはならなかった。 その後も何度かしくじりはあったが、少しずつ仕事を覚えて行ったよ。 ……まあ、つまり俺が言いたいのは。(頬を掻く) なんとも陳腐な、語りつくされたような言葉だが。 誰にも迷惑をかけずに一人前になるものはいない、ということだ。(あと、くそでかいやらかしも意外と許される、と) -- ダリウス
- そう、なのかな。……そう、なのかも?(眉根の皺はそのままに、首を傾げて考える)
(言葉足らずで、ぎこちなくて。それでも、だからこそ、彼は自分の背中を押してくれようとしていることが伝わってくる) —それなら。……それならさ、ダリウス兄ぃは。……私がなんか迷惑かけても、許してくれる? (我ながらズルい問いかけだなぁと内心思う。この言葉足らずの優しい獣人に限らずとも。この孤児院の家族から帰ってくる言葉はきっと同じだ) -- ミティス
- 許す。(何か立派な、虚飾めいた言葉を引用することもない。少しも特別なことではないからだ。即答である)
俺たちは家族だろう。誰だって許すとも。 ……もしも万が一、許さなかったり根に持つ奴がいたら俺を呼べ。不在のシスターの代わりになってやる。 (最後は冗談めかし、笑顔を見せた) フェリのところで土いじりでもしてみるか。最初の一歩としてはちょうどいい。 -- ダリウス
- (想像した通りの言葉を、想像した以上の力強さで。固く、縮こまっていた心に優しく染みわたる清水のごとく)
——うん、ありがと。ダリウス兄ぃ (笑顔には、笑顔だ。先ほどまでの張り付いたような苦笑いと違い、安心感と、嬉しさと、その他諸々が混ざった、柔らかなもの) 土いじり、土いじりか……出来るかなぁ?(知識としてはあるものの、実際に畑仕事など数えるほどしか経験もなくて) ……もしさ、土弄りに疲れちゃったら…その時は、背中貸してね?(その毛並みの中に顔を埋めるのが昔から好きな少女であった) //ぶんつーすいっち!-- ミティス
- いいさ。(肩を竦める。当然のように。ずいぶんと解れた笑顔を見せるようになったと安堵する)
(この騒動が起こってからと言うもの、ミティスの表情の端々にのぞく影は、正直見ていられなかったからだ) 何事も最初は挑戦だ。いろいろやってみれば、向いていることも見つかるだろう。 (知識があるなら、意外なところで役に立つ何かが零れ落ちるのではないか、と期待したりもして) しばらくは予約済みにしておいてやる。(いつでも空いているかといえば、けっこう人気はあるのだ、ちびっこたちに) (ミティスが気に入っているのを知っているからか。そこを安心できる場所として確保しておいてやることにして) では、善は急げだ。早速行くか(などといって、連れ立って薬草畑の手伝いに向かったのであった) -- ダリウス
- //遅くなってすまない……次でしめちゃってくださいなー!おやすみなさい! -- ダリウス
- ……ふふ、私が独り占めなんかしてたらそれこそみんなに怒られちゃうかもね
(あの子も、あの子なんかも。なんて考えて思わず笑みが零れた) え、と、ちょっと、ちょっと待って…!せめてこのページ読み終わってから…っ!あ、あぁぁーー…… (未練がましく読みかけの本に手を伸ばすものの、勢いに流されてそのまま出ていくこととなってしまった) (数時間後、ぐったりしてダリウスの背中に顔を埋める少女の姿があったとかなかったとか) -- ミティス
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- 昼頃。僕はミティスの部屋を訪ねた。ノックをする。
「ミティス、僕だよ。レイモンドだ、少し相談があるのだけれどいいかな?」 -- レイモンド
- …レイモンド?相談って…本でも借りに来た?
(ソファに腰かけながらの読書の途中。聞きなれた声に気だるげな応答である) -- ミティス
- 「ご明察だね。失礼します」
部屋に入ってから身振り手振りで説明をする。 「実用書ばかりで物語に明るくないので何か楽しそうなストーリーを借りたいんだ」 -- レイモンド
- へー…そりゃまたどういった心境の変化なのかな
(いらっしゃい、と視線だけを移して問いかける。特段そういったものに興味があるという印象もなかったのだが) おとぎ話で夢でも見たくなった?(くす、とからかうような口調。同い年の彼には少し砕けた態度も取れる陰キャであった) -- ミティス
- 「夢なら見ているよ、パン屋の経営という長年の夢をね」
頬を掻く。我ながら少しジョークが下手な部分があるようにも感じている。 「年上の人たちみたいなウィットに富んだ会話がしたい。そのためには、読書が必要だ」 -- レイモンド
- ウィット、ウィット…ねぇ(ふむ、と呼んでいた本を閉じて渋い顔)
そりゃまぁ、読書がそういった面の役に立たない…とは、思わないけどね? でもほら、ココに読書だけしてそういうのが苦手な実例がいるわけで…。私もそういうの、出来るようになりたいんだけどな (はぁ、と苦笑いしてため息一つ。自分よりよほど社交的であるレイモンドが今更?といった気持ちがないことはない) -- ミティス
- 「それはそれは」
目を丸くして、人と話すのが苦手という彼女を見る。 ブラウンの髪。頑丈なフレームの眼鏡。編んだ髪型、そして。 「……ミティスが会話が苦手なイメージがないのは、身内で同い年だからかな」 「しかしこれは困ったぞ、ジョークが下手なパン屋と社交性に欠ける本好きか。ウィットとは縁遠い二人になってしまった」 -- レイモンド
- そゆこと。ここのみんなとは家族みたいなもんだし。今更緊張なんてしないけどさ
(それ以外はさっぱり、と肩をすくめて見せた。基本的に外出しない彼女である。レイモンドが彼女のコミュ障っぷりを認知していないのも無理はない) —ま、この状況が出来の悪いジョークといえばそんな感じはするか(くす、と困った顔を浮かべるレイモンドを見て小さく笑う) とりあえず、物語がご所望ってことなら…その辺の棚にいろいろあるよ。伝記にサスペンス、恋愛ものに群像劇とか (ん、と部屋の一角の本棚を指さして)ウィットに富んだ…っていうなら…何だろ、伝記とかは違うよね? -- ミティス
- 「そういうことか……」
出来の悪いジョークの片割れが笑うのだから、僕ももう笑うしかない。 「群像劇じゃあないかな? いろんな人が出てきて、いろんな人の考えに触れられるし」 「アリアンロッド、運命の女神か……」 本棚を眺めながら悩む。悩む。悩む……選択肢が多いということは、悩みに直結する。 -- レイモンド
- 群像劇、群像劇かぁ(椅子から立ち上がり、レイモンドの隣に並んで本棚を前に腕を組む)
(指で本の列を端からなぞりながら暫し考えて―)ん、これとかいいんじゃない? (その中の一冊を取り出してレイモンドに手渡した。くすんだ金色の装飾が施された古ぼけた本) 「黄金の石碑シリーズ」、その1。むかーしむかし、どこかにあった冒険者たちの町のお話だよ その日暮らしの冒険者たちのいろんな冒険がオムニバスみたいな感じで収録されてるの 一見バラバラで交わりそうにない冒険者たちの道筋が少しずつ少しずつ互いに影響を受けて― (あらすじを語る口調に次第に熱がこもっていく。楽し気に語る口元は自然と笑みがこぼれていて) —コホン。と、まぁ、そんな感じで。初心者でも読みやすいと思う。うん、そういうことだから (一人で盛り上がっていることに気づき、照れ隠しに咳払い混じりに本を手渡した) -- ミティス
- 熱の籠もったトークを神妙な顔つきで聞いていて。
それから本を手渡してもらうと、感謝の言葉を告げた。 「ありがとう、とても面白そうだ。感想は返す時に伝えることにするね」 黄金の石碑。そんな物語を手にする。ずっしりとした感触。手触りの良い装丁。 「ワクワクしてきたよ、それじゃ早速読んでくるよ。代わりと言ってはなんだけど、今度新作パンを持ってくるよ」 そう言って部屋を出ていった。ミティスの本好きの熱に当てられ。僕は早歩きで部屋に戻っていった。 -- レイモンド
- ん、まぁ…うん、そこまで期待はしなくても、うん…いいかも?
(個人的におすすめなのは事実だが、ここまで熱を込めてのプレゼンをしてしまったことが今更気恥ずかしく、ごまかすように言った) パン…うん、そっか。レイモンドはちゃんと…してるもんね。ん、頑張ってね (夢の途上で努力を続ける家族の姿が眩しくて、何事か言葉をかみ殺したような呟きを漏らしつつ見送ったのだった) -- ミティス
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- (ここんっ、と短く2つ鳴るいつものノック。続けて穏やかで落ち着いた男の声)ミティス、居るかい?前に話してた本が手に入ったよ。 -- ヴァルク
- (ノックの音がすれば視線だけを向け、訪問者の声が聞こえればがば、と体を起こして慌てて駆け出して)
ほ、ほんと?もう?流石ヴァル兄ぃ…。私じゃ外の本屋に買いに行くなんてハードル高くて… (きぃ、と音を立てて開く古びた扉の向こうから、罰の悪そうな顔でヴァルクを見上げる少女である) (巷で噂となっている人気ロマンス小説の新刊の入手を頼み込んでいたのである。自分では買いに行きづらいので、だ) -- ミティス
- (扉の隙間からこちらを見上げる斜め上の眼鏡越しの瞳に苦笑しつつ、片手の本を軽く上げて示す。題して『灰の王女と七つの声』だ)
(国土を灰で覆われた厳しい土地柄の小国の王女が、七人の魅力的な男性と出会い絆を紡いでいく物語。現代風に言うならばいわゆる乙女系小説と言った所か) ばっちり。…とちょっと言い難いとこもあってね、ちょっと説明させてもらってもいいかな(微妙に苦笑をして、視線だけで入っても?と問いかける) 品薄だったってのもあるんだけど…俺はこの手の本は余り読まないからいまいちピンと来ないね(人気なのは知っている、が、どうもそれが腑に落ちてないようで) -- ヴァルク
- ―あ、うん。どぞどぞ(ヴァルクの視線の意図を察し、は、と気づいたように扉を開き中へと招き入れる)
(ヴァルクの部屋と同じく本の山とでも言うべき乱雑な様子の室内もいつもと変わらない光景であった) んー…まぁ、男の人にはあんまりわかんない、かも?女の人でも、好みはあるだろうけど……いいんだよ、私が好きなんだもん (暗に子供っぽい、と指摘されているような気がして拗ねたように唇を尖らせる。決してヴァルクにそんな意図がないのはわかったうえで、だ) それで…説明って? -- ミティス
- (許可が下りればするりと部屋へと。こちらの部屋も自分にとって落ち着く光景だ。ただ置いてある本の種類は違うだろうが)
そもそも、俺小説の部類をそこまで読まないからね…有名どころとかは摘んでるけど(読書傾向として実用書や専門書、参考書や資料集など、その辺りが主だ) うんうん、でも好きな本を読みたい欲はとても良くわかるよ(少々失言だったか、と可愛らしく唇を尖らせた彼女に苦笑を浮かべて言いつつも) これ、紛うことなき新刊ではあるんだけど…残ってたのが実は乱丁本でね。それもあってかなり安く、タダみたいな値段で手に入れられたんだ(なんて少し申し訳なさそうに述べる) けど…まあ、"なんとかした"。読む分には問題ないようにしたけど、それでもいいかな?(ぱらぱらと本を捲りながら、説明を続けようと) -- ヴァルク
- 私とは…好みが全然違うもんね。私は逆に、ヴァル兄ぃが読んでるようなのはちょっと…うん、難しいかな
(こちらはこちらで小説、伝記等の物語好み。先日ヴァルクに魔術の実用書を借りたのはそれこそかなり珍しいことで) ん…乱丁を読める、ように…??(ん?と首を傾げつつ、視線をヴァルクの手元にある本へ向けて訝し気な顔) 読めるなら、それでいいよ。元々無理言ってお願いしてるんだし…でも、なんとかした、って。なにしたの?? (乱丁を整えるなど、そう簡単なことではあるまい。頭上に?マークを浮かべつつ) -- ミティス
- 俺の勤め先の小説コーナーの品揃えに関しちゃ、ミティスにアドバイスもらった方がいいだろうね。今度頼んでもいいかい?
(なんて割と本気で言いながら笑う。自分が選んだとてベストセラーしか並べられない。彼女ほど物語を摂取し、そして真摯な人間を他に知らない) (ぱらぱらと捲って…ある一点で手を止めて、開いたまま彼女へ本を示す。見れば、明らかに紙と文字の質が違う頁がある) ここ、本当は抜けてたとこだったんだ。予約済みだった同じ本もあったからさ、店員さんに頼んでちゃんとした本を見せてもらって写本したよ。 (ぱらら、と続けて頁を捲る。紙の質が違うのはおよそ10頁ほどか。物語としては序盤終わり頃、四人目の男性である狩人と王女が出会う場面だ) (その部分だけ、文字がいきなり綺麗になっている)人様の本をじっくり見れなかったからざっと見だけど内容は合ってるはず。一語一句ね。これでもいい? -- ヴァルク
- ―(ぱちくり、とあっけにとられて瞬きを数度繰り返した。まさかの力技だ)
(めくられるページ。印刷でない丁寧な手書きの文字から、ヴァルクがかけてくれた手間を感じ取り、なんとも言えない気分になった) ……うん。これでいい。っていうか、これがいいな。世界に一つだけの、私のためだけの本。ってことじゃない? (少し紅潮した顔で感慨深そうにうなずいて、柔らかな笑顔を浮かべた。ここまでしてもらって、うれしくないハズがない) (家族同然の相手が、自分のために手間暇かけてくれた一品もの。例えオリジナルはベストセラーの大量生産品だとしても、この本にはきっと適うまい) —ありがとう、ヴァル兄ぃ。 -- ミティス
- はは、そういう事になるのかな?できれば紙自体も同じのを使いたかったけどそれは厳しかった(ホッとした顔をしながら、彼女が浮かべた笑顔を見てこちらも笑顔で本を渡す)
どう致しまして。ミティスはこれを読んでどんな想像の翼を広げるのかな、って思いながら書いたよ。そう言ってもらえるなら本当に嬉しい。 しかし、これで俺も知ったけど、これ、いい本だよね。王女様の心情とかが俺でも分かるくらいに情感たっぷりに書かれててさ(うんうん頷きながら) 共感は……余りできなかったけど(恋とかしたことないし男だしなぁ、と苦笑しつつも)なんとなくだけど恋する女の子ってこんな感じなのかなって思ったよ。 折角ミティスが良い機会をくれたんだし、どうせなら既刊借りてもいいかい?(と部屋を見渡し) -- ヴァルク
- ふふ、いいでしょ。切なかったり、ときめいたり、熱くなったり…ヴァル兄ぃみたいに普段こういうの読まない人にこそ、おすすめだったりするんだよ
(受け取った本を大事そうに抱きしめながら得意げに語る。気に入った、言葉がうれしかったようで) まぁ…恋する女の子がこんな感じか、ってのは。うん、私も実感としてはわかんないんだけど。でも、素敵だなって。いつか私もって。そう思うよ (自分も恋の経験などない。ないけれども、物語に綴られる王女の「恋」と「愛」に対する憧れはつのるばかりで) —あ、いいよ。確かあの辺の棚にあったと思うから (本の一角を指し示すと、自分はいそいそと一人掛けのソファに腰かけて早速本を読み始めている) -- ミティス
- いやはや、これも勉強だね。乙女心は秋の空よりって言うし、確かに俺もこういうのもっと読んだ方がいいのかもしれない。
(と、どうにも恋愛の機微を楽しむというよりは、知識として得ようとしている様は、この眼鏡男のサガが出ている所ではあったが) うん、ミティスならいつかきっと素敵な恋も出来るさ。こんなに可愛いんだし(などと明らか身内贔屓の親が娘を可愛い、というノリで言う眼鏡。たぶん曇ってる) ……まあでもそのためには、もっと外に出るようにしないとダメだとも思うけど…(とおいめ。王女も狩人と森で出会っていた。流石に家一軒の中では無理かなーという顔しつつ) (示された場所から、何冊かの本を抜き取って題を確認し、頷いて)これ借りてくね。楽しみに読ませてもらうよ(と、早くも新刊を読み始めた彼女に微笑みを浮かべ) ああ、あと前に言ってた、考え。まとまったら遠慮なく言ってよ。それじゃ(本の世界に羽ばたき始めた彼女を邪魔しないように、そっと部屋を出ていった) -- ヴァルク
- ヴァル兄ィに褒められてもねぇ…ヴァル兄ぃ、身内に甘いんだもの(本から視線を外し苦笑する。身内に甘いのはお互いさまではあるが―)
う、うー…外、外ねぇ……。出られない、ことも…ない、けど。多分。…きっと。恐らく (語尾がどんどんと小さくなっていく。自信はまるでない) —考え、か。うん。……もうちょっと考えて。ちょっとやってみて。それで、躓きそうなら…うん、頼らせてもらおうかな (本からちらり、と去っていく背中に視線をやって答える。もや、と抱えていた悩みが胸中で渦まくも、やがて物語への没入とともに薄れていった) -- ミティス
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- (でかい図体で間借りしていた部屋の隅、ぱたんと本を閉じる。読み終えたのだ。ノンフィクションの、いわゆる冒険記の類である)
(意外にも、というか。狼は昔から時折こうして本を読みに来る。インクの匂いが落ち着くのだと狼は言った) 続きはあるか。(表紙を見せる。断罪の剣の称号を得た伝説的な冒険者の半生が綴られた書物だ) -- ダリウス
- ―もう、読み終わったの?面白かった?(男の声に自分が読んでいた本から視線を移し、くすり、とほほ笑む)
(最初こそこの狼の訪問に逐一おびえて緊張していたものだが、それも今は昔。失礼ながらこの見た目に似つかわしくない狼の一面が、彼女は嫌いではなかった) そこの棚のー…どこだったかな。確か、上から3段目のあたりにシリーズで並べてたはず (書物で埋まった本棚の一角を指さして。英雄譚というのは個人的にも好ましくあるところだ。題材となった男に関する書物はシリーズでそろえてあるのだった) -- ミティス
- 悪くない。(機嫌よさげに尻尾が揺れていた)
この男の、死霊やゾンビの倒し方は参考になる。グールとの生態の違いも的を射ている。 この後はヴァンパイアに挑むらしいのだが、いいところで終わってしまってな。 (商売的には有効な引きの持たせ方だった。棚の高いところの本を悠々と取り出して、またページを捲り始める) ……この記述は必要か?(未来の妻との出会いから、いかに親密になったかを描くのろけパートが始まったのだと、読んだことがあるからにはわかるだろう) -- ダリウス
- あー…あぁ、奥さんとの出会いパートか(言葉の足りないダリウスの言葉に一瞬眉を顰めるも、すぐに合点が行ったのか苦笑いして)
まぁ、彼の人生を記した伝記だからね。それだけ…奥さんが彼の人生に占めるウェイトが大きかった……ってことじゃないかな? (ダリウスのいうこともわからなくはない。が、一人の人間の人生を記すにあたり、これだけのページを割いて描かれる出会いというものに想いを馳せれば何となくわかるのだ) ダリウス兄ぃにもさ、そういう出会いとか…そのうちあるかもしれないよ? -- ミティス
- 想像しがたい。(辞書か医学書でも読んでいるかのような、難解な表情を浮かべている)
(狼はそういったことには疎い。シンプルに言って堅物であった) (だが、言われてみればこれは他者の人生のきわめて重要な部分なのであり、それを興味がないとか気が乗らないとか、理解しがたいとかいった理由で読み飛ばすのも) (なんとも行儀の悪いというか、淡い罪悪感を覚える行為に感じてしまうのもまたこの狼であって) (むむむ、という表情。蝸牛の歩みで読み進めている……) 両親がそういう仲になって、俺が生まれたということは知っているが。(なれそめを聞いたわけでなし) -- ダリウス
- ―ふふ、やっぱりダリウス兄ぃには難しいかな?(想像した通りのリアクションに思わず頬が緩んだ)
こういうのは…うん、そうだね。伝記以外のいろんな本を読んでいけばさ、多分わかるようになるよ 私も…実感としては理解できないけど。そういうのを素敵だなって、そう思うぐらいは……出来るからね (得意げに語ろうとするも、自分も本質的に共感出来ているわけではないのを思い出し、少し気恥しそうに語尾が弱くなった) いつか王子様がー…だなんてさ、夢見る歳でもないのはわかってるけど。それでも、そういうのにロマンを感じるってのは…うん、悪いことじゃないよ -- ミティス
- (難しい。そういって頷いて)……そういうものか。
(だからといって、恋愛小説――この部屋にもおそらくわりと多いだろう――など読む柄ではないのだが、と少し困ったような顔をした) ミティスは変わらんな。(彼女のそういう憧れめいた感情、恋に恋するたちであるというのは察するというのもおこがましいほど、とうの昔に明らかであって) 何度言ったかわからんが、王子様はいわゆる大貴族の令嬢などと結婚するのではないか?(現実をつきつける。乙女のロマンを介さぬ狼であった) -- ダリウス
- (ダリウスの冷静な言葉にむ、と口をへの字に曲げる)
そりゃ、現実ではそうだよ?そのぐらいはわかってるって。だからこそ、だよ (開いていた本を閉じ、椅子から立ち上がるとしかめっ面でダリウスに近づいていく) 普通は結ばれないような二人が、燃えるような恋をして、すべてを捨てて結ばれる…!ってのがいいんだって、もうこれ何度目? (熱弁である。幾度となく繰り返したこの問答。何度やっても互いの認識がすりあうことは無いのだが―このやり取りもまた、嫌いではなかった) -- ミティス
- 数えるのをやめてから2年は経つな。
(そう大真面目に答えてから、狼はくつくつと笑った。孤児院の家族たちのなかでも親しい者でしか聞くことの無い、狼の笑い声) 何度言われてもよくわからん。捨てない方が良いに決まっているだろうに。 (その笑い声が示すものはおかしみと許容であった。現実を口にするものの、夢を見ることを本気で咎めたりはしなかった) (やがて日暮れを示す、カーテンから透ける赤味を帯びた光線を見やり) 仕事の時間だ。(ぽんと軽く、しかめつら浮かべるミティスの額で表紙をバウンドさせるようにしてから、本を棚に戻して) (また読みに来る、そう言って狼は部屋を後にするのだった) -- ダリウス
- ―もう、そんな時間か(額を小突かれ、うっと小さく声漏らした)
……うん、いってらっしゃい。何時でも来ていいからね。私は…うん、大概ここにいるからさ (去っていく背中に小さく手を振って見送った。ダリウスの姿が、去っていく扉から差し込む陽光に照らされてやけに眩しく見える) ……仕事、ね。うん(埃っぽい部屋に残されて一人呟く) (何事か考えながら部屋の中を落着きなく歩き回り―—やがて、ため息とともにソファに座り込んで読書に戻るのだった) -- ミティス
- (人間には致命的に相反する存在というものはいる、その中でも闘いと冒険の為に飛び出したこの男は極めつけだろう)
(それでも稀に孤児院を訪れては中庭でリュートで自身の冒険譚を歌う男の姿を目に、耳にしているかもしれない) (それは空想を好む少女にとっては棘であったろうか、それともより花咲く栄養となっただろうか…) (が、今は実物が目の前に居て猛りに猛った二の腕の力こぶを見せつけている)俺の脳だ -- ゲルベル
- ―—ヒッ 肉だるま
(たじろぐ。一歩後ろに後ずさる。窓の外から聞こえてくる男の武勇伝は彼女の空想の礎の一つとなっていた) (なっていたのは事実だが、こうして目の前に曝け出された男の筋肉は少々刺激が強かったようで) あっ、あの、あのあの、私別にその、ゲル兄ィのことは嫌いではないけどその、刺激が、ね?強すぎるから (男の滾る筋肉から迸らんばかりの「益荒男」力に必死に目を背けるか弱い生き物であった) -- ミティス
- フッ(肉だるまという単語に何か最上級の尊敬を受け取ったのか対象的に深い笑みを浮かべる)
刺激を感じたら休まないとよ、筋肉ってのはただただ鍛えただけじゃあ逆に弱っていくもんだからな ただ俺が言いてえのはそういう事じゃなく俺の知識は経験を土台とした生きるためのモンばかりだ、当にパンのみに生きてきた身体って奴さ 今教会に必要なのはパンだけでなくマナたる神の言葉、知恵が必要なんでミティスの知恵も貸してくれと言いたいのさ (極めた爽やかで極めて屈強な男の笑顔、血腥い世界で生きているのに魂に闇を感じさせない) -- ゲルベル
- っ、あ、そういう…?(回りくどい。というか前半の筋肉見せたくだりは必要だったのだろうか?ミティスは訝しんだ)
—ん、と。私の知識…が、生かせるならそれは勿論協力はするよ?だけど……ねぇ? (刺激の強い筋肉を直視しないよう、顔を背けつつ視線の端に鍛え上げられたゲルベルの体を見やり) …やっぱりさ、直接的にお金稼いでる人たちと比べると……ね。別に商才とか、あるわけでもないし。ヴァル兄ぃみたいに…人付き合いもできないし (視線を外し、うつむいてため息。言葉にするとより顕著に感じられる周囲との差に自嘲的に口の端を持ち上げた) -- ミティス
- (僅かに視線が重なる度に筋肉がピクッピクッと動いている、まるでその視線を感じているぞ…と筋肉そのものが応えているかのように)
ああまるで俺にはその感覚が分からない…直接的にお金が欲しい時は酒場にいって腕相撲を持ち掛けて一稼ぎするしな だがむかーしとある古い遺構に寄りかかった時こんな言葉が書いてあった、「言葉は銀、沈黙は金」ってな 血が抜けすぎてた俺は少しでも回復する為にその場で静かに休んでた折…突然石床がズレて古い宝飾品を手に入れた事があった そう時には……………………んん………適したエピソードじゃなかったな(ニコリ) つまり知識だけでも人を助ける事があるって話だぜ、例えば壁の補修に麻とか使っていいのかとかだ。戦場に居た頃は嵩増しで使ってたが長期的な補修にはアリ?ってよ (知識でいえばアリ、だ。東国では漆喰で埋める際に麻の植物などを刻み混ぜる事がある…どうも男は知っていて口にさせたいらしい) -- ゲルベル
- えっ 何、何なのそのエピソード…ちょ、気になるんだけど!(引っ込み思案な割には好奇心旺盛な彼女であった)
………あり、だけど(ぐ、とどこか悔しそうに答える。ゲルベルの意図を察してはいるが、ここで意地になって拒絶するほど強くもない) —ねぇ、結局私にどうして欲しいの? (はぁ、と浅くため息をはいて顔を上げた。流石にここまでされて何の意図もなかった、ということもないだろう。彼なりの励ましなのかもしれないと思ってはいるが―) -- ミティス
- 妥協を弱さと感じたな?違う妥協は余裕を残す為の重要な機能だぜ、そして何故俺が心が読めたと思う?今適当に吹いてるからだ
(恐らく冗談を交えた話術なのだろう、傭兵上がりに多い方法だが…果たしてそうだろうか?単に本当に野生の勘で口にしている可能性も否めない) おっ乗ったな、ここで上手く乗せて詐欺だったじゃないかと言われた事はよくあるんで安心して話半分でいてくれよ!俺もよく騙されてたからな! まーつまりこうした方が良いと思ったらどしどし言いな、最初は細い筋肉かも知れないが使う度価値ある筋肉になるだろうさ (口を出しての失敗を恐れるな、と言いたいらしい。まず第一歩である、と。)そういう訳で俺はミティスの知恵を待ってるぜ それが言いたかった、以上!(物理的にバチン!という音のするウィンクをして男は補修に戻っていった) -- ゲルベル
- ……何だったの、ほんとにもう(作業に戻りゆく背中を見やり、さらにため息。言いたいことだけ言って去って行かれてしまった)
もっと積極的に、ってことなのかなぁ。…私が?いや、孤児院のみんなとは…話せるけども (とはいえ、それだけで何か孤児院の直接的な助けになったと本当に言えるのだろうか?) (やたら逞しい腕でてきぱきと補修作業をこなすゲルベルの背中をしばらく見つめながら、思案にふけり―) ……でもま、ありがとね。ゲル兄ぃ (それでも、励まそうとしてくれたことは事実なのだろうと。小さくつぶやいておいた) -- ミティス
- てすてす… -- ミティス
- ……これで、良いよね。うん、出来てる出来てる。
流石にね、私もね、このぐらいはね、うん、出来る出来る。出来てる……よね? -- ミティス
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