[[HNH/0030]]

-&br; 拝啓、おふくろ様へ&br;&br;&br;6月も後半、あと少しでジメジメとした梅雨が明け&br;もうすぐ暑い夏がやってくる季節……おふくろ様は元気でお過ごしでしょうか&br;&br;私は今、学校から無理矢理少しの休暇を頂き、とある乗り物に乗りながら里帰りをしています。&br;こうして手紙を書けるのも、そんな乗り物のおかげなわけでして……魔力炉を搭載した、いくつものパーツを連結させた魔導列車&br;略して魔列車と言うらしいです。&br;&br;この手紙が届くころには、私は今頃フェニックスの羽か首なんかを持ってこの列車に揺られている事でしょう&br;学校での生活ももう2年になり、いまだ慣れない事は多いですが。なんとか頑張ってると言える具合です&br;それでは、夏の暑さに負けぬようお体にお気をつけて&br;&br;               07 アケ・キラボシ -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 16:07:18};
--&br;はー……飽きた!&br;(魔列車の内部、連結された車両の中の一つで。アケは座席の背もたれに身を任せながら、先ほどまで向かっていた手紙から視線を外す)&br;いやぁ、だけどまさか個室席を取ってくれるなんてねぇ。おじさんも過保護なんだか……「お前を公共機関に乗せるのすら不安にいなる!」なんて&br;私そこまで生物兵器じみてないんだけどなぁ!&br;(誰も居ない車両内。1車両まるまる使ったその個室にどれだけの価値があるかなど本人に分かるはずもなく)&br;(手慰みに先ほどまで書いていた手紙を折り始めるのだ)&br;だけど里帰りかぁ、1年前はそんなの考えたこともなかったし。3年以上前じゃそもそもあそこを離れるなんて思ってもなかったんだよなぁ&br;みんなどうしてるかなぁ、タンバさんとかまだ退職してないといいけどさー&br;(そんな独り言を話しながら、手紙は無意識のうちに紙飛行機へと折られていく)&br;(アケは座席の上に膝立ちになると、窓際から伸びる台の上に上体を乗せながら……限界まで腕を伸ばしなんとか窓の留め具を外す)&br;&br;他の子は今でも工場に居るって話だし、これもひとえに私が優秀だからこその自由なんだ……ねっと!&br;(留め具を外し、少し一息の間を置くと。上下スライド式の窓を開けると)&br;(先ほど折った紙飛行機を手に取り、窓の外へと狙いを定める)&br;それじゃあ、土産話の一つでも考えておこうかな&br;自由に……万歳ッ&br;&br;(腹の指で押されるように空へ投げ出された紙飛行機は、窓の外から流れ込む空気に絡めとられるようにして外へと流れていく)&br;(やがて車内から見上げるアケを後に、紙飛行機はどこまでも高く……その風に乗りどこまでも上昇していた) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 16:20:42};
---・&br;・&br;・ --  &new{2019-02-22 (金) 19:06:31};
---&br;ただいまー!!! うおー! シャッターを開けろぉ!&br;(冥王造船会社敷地内、入り口の血液認証を潜り抜けると。海に面した区域にある一つの建物へとやってくる)&br;(灰色の重厚感あふれる素材で作られたそこの入り口と思しき箇所には、凹凸の激しいスライド式の扉がその通路を塞いでいた)&br;(アケはその前まで来ると、平手でシャッターと呼ぶそれをバシバシと叩き……閑散としたその周囲にけたたましい音を響かせる)&br;&br;(なぜこのような暴挙にうってでるのか、普段からこの冥王造船会社に属すバイオ魔学部が使用するこの建物には)&br;(普段から正規の出入り口という物が存在しないのだ) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 19:11:43};
---&br;おかしいなー、前はこうしてたらすぐに中から人が出てきたんだけど……&br;おーい! 帰りましたよ! 今帰りましたんですけどぉ!&br;(諦めずシャッターをバシバシと叩き続ける、しかし不思議な事に中どころか建物周囲にも人の気配はないのだ) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 19:27:42};
---&br;……あれぇー? なーんかうるさいと思ったらナナちゃんじゃないですかぁ!&br;(そんな無意味なドラミングじみた自己顕示行為を行うその後姿を、作業服を来た人物が見つける)&br;(人物はその後姿から何かを思い出すように表情を作ると、小さなそれに向かい少し気が抜けた様な声をかけながら)&br;(アケの方へと近づいてくるのだ) -- [[作業員>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 19:31:05};
---&br;ん……あー! えっと……えー……ムラカミ……じゃなくて…リコ……でもなくて&br;えーっと、えっとえっと、えー……えー……あの、あの、あの……あの人……&br;(気の抜けた声に後ろを振り向くと、そこには両手に大きな荷物を持った作業員がこちらを見下ろしている)&br;(短く刈り揃えた黒髪に、少しゴツゴツとした顔立ちにアケは確かな見覚えがあったが名前は出てこない) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 19:37:50};
---&br;まだここ出て2年目っスよね!? セセリですよ! セーセーリ! ナナちゃんの話し相手になってた -- [[セセリ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 19:40:47};
---&br;セセリ……あぁ! セセリ!&br;思い出した、そういえばよくお話してたねぇ!&br;(目の前の人物が名を名乗ると、アケはすぐさま目を光らせ軽く3回ほど飛び跳ねる)&br;(記憶の中でこの人物は物心がついたばかりの頃の自分とよく会話をしていた人間だ。ただこのセセリと呼ばれる人物が、自分が居た場所の中ではまともな部類だったため)&br;(工場を出た後、海馬の隅にでも追いやっていただけである) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 19:43:57};
---&br;なんか忘れられている気がしてますけど、それよりどうしたんですかナナちゃん&br;今は学校に通ってるはずですよね -- [[セセリ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 20:52:16};
---&br;うん、課題の方でちょっとねー&br;それより! シャッターいくら叩いても出ないんだけど! いつもはこうやれば中で誰かが開けてくれたよねぇ!&br;もしかしてみんな辞めちゃっとかじゃ……ないよね! なんか大きな荷物持ってるし! -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 20:53:18};
---&br;あぁ、ナナちゃんは知らなかったんスね&br;最近うちの工場が移転したんですよ。新しく建てられた方に&br;綺麗ですよー、引っ越し作業ももうほとんど終わって……あとはこの荷物だけっスね&br;(両手に持った荷物を軽く揺らし、別の方角を向いて)&br;何なら案内しますよ。ナナちゃんが久しぶりに帰ってきて、他の人も喜ぶと思いますから -- [[セセリ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 21:01:19};
---&br;ほんとに!? やったー! あ、タンバさんとかまだここにいるのかな! 後今日はチンコフのおじさんに用があるんだけど!&br;それと、私の今の名前アケだから! ナナじゃなくてアケって呼んで!&br;(歩き出すセセリの後ろを跳ねるように付いていきながら、両手を掲げ矢継ぎ早に言葉を放つ)&br;(アケには血のつながる存在は居ないが、内心里帰りという物に対し何か感じるものはなくもないようで) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 21:06:47};
---&br;タンバさんは最近地下に籠りっぱなしですねぇ……ちん……ゲルシュカ主任は相変わらずですけど&br;そーいえば工場出るときに名前貰ったんですね、アケちゃんですか……了解ッス&br;(両手の荷物を持ち直し、アケを後ろに引き連れながら新しい建物へと歩いていく)&br;(周囲の様子はアケが向上に居た頃とはさほど変わりもなく、もとよりこの周辺はあまり人が近づく場所でもなかった)&br;(海が近い事もあり、かすかな鳥の鳴き声と波の音……そして少々癖のある潮の香りが少しノスタルジーというものをくすぐる) -- [[セセリ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 22:59:35};
---・&br;・&br;・ --  &new{2019-02-22 (金) 23:01:09};
---&br;そうか、07が来たか&br;(冥王造船会社明星バイオ魔学部新製造工場兼社員寮兼総合地下施設、そこの地上1階にある一角で。資料を手に持った男が作業員の報告を聞き顎を撫でる)&br;(広い空間を取られたそのスペースではひっきりなしにルンバ的物体が、床に張り巡らされた大型魔法陣を形成する線の上を右往左往と動き回る)&br;(壁際に置かれた機材などから、清廉潔白な研究から冒涜的外見の培養装置まで様々なものが闇鍋のように混合して置かれ)&br;(人も物も、蟲毒を思わせるような一見不規則な動きの中に慣れと経験が混在するような……ようは傍から見ればどうしようもないほど混沌とした空間を作り上げていた)&br;&br;(そんな中で片隅に設置されたモニターには、建物の窓口を思わせる場所に荷物を持ったセセリと、アケが立っていた) -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:09:58};
---&br;どうしましょう、追い返す理由はありませんけど&br;今はその……すごく、忙しいです……物資の搬入で。そんな中に07……アケが来たら -- [[作業員>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:12:00};
---&br;手伝おうとするだろうな、確実に&br;(モニターに映る小さめの生き物をわずかながらに苦々しく見る)&br;(アケは昔から物の整理、掃除となればすぐに短絡的解決を目指す傾向にあった。これはアケが作られた初期段階の構想と関係しており)&br;(元よりアケが作られた理由は異世界からの指示で動く、自立型の生物爆弾と言うスタンスからきているためである)&br;(途中で方向性の変更が加えられたものの、その性質は抜けきることはなく。奉仕の心を持つ善性と刹那的爆発物の思考を持ち合わせているそれが今の現場を知ろうものならすぐさま爆発による解決を試みるはずである)&br;&br;セセリといるという事は既に引っ越しの事実を知っているだろう、だが物品整理が終わっていない事を知らない可能性はまだ残っているはずだ&br;(男は手に持っていたものを作業員に渡すと、襟を正す)&br;07の対応は予定通り私がやろう、だが対応中はほかの作業員との接触を絶対に避けるんだ&br;どこから情報が洩れるか分からんからな……! -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:18:03};
---&br;……ッぜ、善処します……&br;(作業員は玄関口まで歩いていくゲルシュカを見ると、足元を走るルンバ的物体を避けながら)&br;(アケとの接触を避けるよう情報を回し始める準備を始めるのであった) -- [[作業員>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:22:36};
---・&br;・&br;・ --  &new{2019-02-22 (金) 23:23:29};
---…………&br;おそいなあ……&br;(真新しい建物の前、幾重にも上から書き足された魔法陣がまるでいたずら書きのようになっている壁の前で)&br;(セセリは重そうに荷物を持ち直しながら、退屈そうにつぶやく)&br;おかしいな、いつもならすぐに開くはずなんだけど……まーた電子機器の故障かな&br;やっぱ無理だったんだよなぁ……配線に牛の肉を使うなんてさぁ…… -- [[セセリ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:25:39};
---&br;''おい'' -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:26:55};
---&br;あっ、主任! わざわざ主任がお出迎えですか? なんて、これからお出かけなだけですよね&br;もー、こっちは荷物が重くて─── -- [[セセリ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:27:35};
---&br;''おい'' ''おい'' ''おい'' -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:28:06};
---&br;ちょっ! 主任なんですか! な、なんでどんどん近づいてくるんですか!&br;(落書のような魔法陣が消え、壁の一部が開くと)&br;(中から現れたゲルシュカが眉間にしわを寄せ、険しい顔で一言発するごとにセセリへと大股で近づいていく)&br;(それに驚いたセセリは思わず状態を後ろにそらしながら、転びそうになりながらも慌てたように後ろへと後ずさっていく) -- [[セセリ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:30:03};
---……………&br;…………&br;………&br;(5歩、6歩、7歩ほど歩いた後……ゲルシュカは視線だけを動かし周囲を見る)&br;……07はどこだ&br;(玄関口のすぐそこまで来た時、そこに備えられていたモニターを確認すると。こちらへと来る前までには映っていたアケの姿が見当たらないのだ)&br;(慌てて施設入り口のロックを解除し、外へ出てみても勿論その姿は見当たらない)&br;(ゲルシュカは怒りよりも焦りを滲ませながらセセリへと詰め寄り、問い詰めるようにして言葉を出す) -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:32:44};
---&br;07……アケちゃんですか? 駄目ですよ主任、ちゃんとメンタルシリーズは名前で呼んであげないと&br;あの子今アケって言うんですよねぇ、俺全然知りませんでしたよ -- [[セセリ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:35:28};
---&br;……07は、どこだ! -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:36:00};
---&br;うっ、こわ……な、なんでそんなに怒ってるんですか&br;アケちゃんなら扉がすぐに開かなかったんで、少し建物の周りを見てくるって言って……搬入口の方に行きましたけど…… -- [[セセリ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:37:09};
---&br;搬入口……! いかん、あそこはいかん! いかんいかん!&br;(搬入口の方へ行ったことを知れば、ゲルシュカの顔は一気に絶望の色を浮かべだす)&br;この馬鹿者ッ! 搬入口は今一番荷物がごった返している場所だぞ! しかも外と繋がっている事を考えれば&br;だ、だめだ! 今すぐ向かわなければ───! -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-22 (金) 23:40:10};
---&br;(ゲルシュカが顔を上げ、そちらへ走り出そうとしたその時だった)&br;(突如建物が大きく揺れたかと思うと、激しい警報音が鳴り響きだす)&br;(本来あってはならない事態に、しばらく平穏が続いていた施設では実験生物の脱走か、有害物質の流出かと様々な事態が予想されパニックが病原菌のように広がり始めていく)&br;&br;(建物内から聞こえる大仰な音は防火壁でも作動しているのだろう、実際目を向けた方向からは黒煙があがりながら何かの破片が散乱しているのが見える)&br;&br;遅かったか……&br;&br;(誰が言ったかは定かではないが、警報の中にため息のような声が、かすかにセセリの耳へと届いていた……) --  &new{2019-02-22 (金) 23:44:53};
---・&br;・&br;・ --  &new{2019-02-22 (金) 23:45:14};
---・&br;・&br;・ --  &new{2019-02-22 (金) 23:45:14};
---&br;……&br;(小一時間後……搬入口から燃え上がっていた火はかろうじて消化され、所々に立ち上る黒煙を尻目に作業員たちは余計な片付け作業に取り掛かっていた)&br;(工場内の応接間にあるソファーの上で腕を組みながら、対面する位置に座るアケを目の前に)&br;(ゲルシュカは眉間に皺を寄せながら……何もしゃべらずただ目を閉じていた) -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-27 (水) 21:57:21};
---&br;なにか、言いたいことはあ──── -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-27 (水) 22:01:22};
---''ごめんなさい!'' -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-27 (水) 22:03:51};
---&br;(ようやくゲルシュカが重い口を開けた瞬間、食い気味にアケの謝罪がその声を遮る)&br;(このアケと呼ばれる個体は今までも工場内で度々問題を起こし、その度にこうやって呼び出されては怒られている)&br;(謝る事は出来ている、しかし問題はその姿勢と反省の無さなのだ。この世のどこに片手で拳を振り上げながら、自慢げに謝罪をする人間がいるだろうか)&br;(あくまでに人に近い爆弾である事が、ヒトとの価値観の違いを産んでいるのか……ゲルシュカは額に手を当てながら大きくため息をつく)&br;&br;(そう、そう言ったように作ったのは自分たちだ)&br;(頭ごなしに叱ることはできない) --  &new{2019-02-27 (水) 22:07:48};
---&br;何度も言うが、言葉だけでの謝罪では意味がない&br;気持ちという物は行動を伴って初めて意味を成すのだと、何度も言ったはずなのだがな&br;(しかしこれで許すわけにもいかない。いつもの場所でいつもの説教、それは1年の空白が開いても変わらないものであった) -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-27 (水) 22:16:33};
---&br;行動ならいつもしてるよー。作業員の皆を手伝ったりー……機械の整備したりー……&br;あと、06以前に餌をやったりしてるし……今回だって、片づけを手伝おうとしたのを&br;チンコフのおじさんがやめるように言ったんじゃーん! 労働の妨害だ! 権利剥奪だー! -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-27 (水) 22:22:15};
---&br;その名前で呼ぶんじゃない! 確かに私は善業を良しとしたが&br;お前には敬意はあっても反省がないと言っているのだ! 今日で何度工場を爆発させた? 餌に火薬を混ぜるバカがどこに居るというのだ&br;確かに私は多少はお前に対し、このように生まれさせてしまったことに負い目は感じている、''しかし!''&br;いつまでもやり方を変えないというのならそれを叱らなければならないというのを理解しろ! -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-28 (木) 10:46:26};
---&br;えー……わかったよー、今度からは掃除に爆弾を使わないようにする&br;あと火薬も混ぜない……出来るだけ自分の体を動かしてお手伝いしますー&br;(ぶーたれたように、ソファーに座る事で浮いた足を揺らしながらそっぽを向き) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-28 (木) 10:48:24};
---&br;おおよそ反省している態度に見えないがこの場はそれで収めておくとしよう&br;(大声を出した疲労で一度大きく息を吐き、ソファーに座り直す)&br;それで、今回の里帰りは課題のため、などと書いていたが……それはこちらに来なければできないような事なのかね -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-28 (木) 10:51:13};
---&br;そう! それだよそれそれ、おじさぁん!&br;(説教もうやむやに終わり、ようやくその話題が出ると。アケは目を輝かせながら目の前の机に両手を乗せる)&br;(前のめりになり尻を浮かせながらも期待に満ちた声色でゲルシュカに迫ると、ようやく自身の要望を口にしだす)&br;&br;おじさんってさー、フェニックスと知り合いなんでしょ! フェニックス -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-28 (木) 10:56:17};
---&br;・・・なに?&br;(あまりにも唐突な言葉、フェニックスと言えば不死の性質を持つとされている燃える鳥であるが、無論ゲルシュカはそんな存在と知り合いでも、ましてやオトモダチでもない)&br;(いったい何を勘違いしてやってきたのか、自分の言葉を信じ切っている様子の子の目の前の創造物に……思わず普段は出さないような声が漏れる)&br;07、異界の穴から送られる情報でお前を作ってから今まで&br;幾度も手を焼かされたことはあったが、お前の事を本当に……その、少しも頭が可哀想な奴だとは思ったことはない&br;むしろお前は周囲とは少し価値観が違うだけで、頭はそれなりに回る方に作れたと思っている……しかし、そんな伝承にしかいないような生き物と&br;私が知り合いであるなどと、誰に聞いたかは知らないが……そのだな……&br;&br;どこか、不具合でも生じたのか? -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-28 (木) 11:00:41};
---&br;''あー!'' 今なんかちょっと可哀想な子見る目で見たー! 今絶対そういう目で見た!&br;違うし、全然違うし! おじさん前にちょっと話してたじゃん!&br;死なない奴が知り合いに居るってぇー! 言ってた! ぜーったい言ってた! 不死と言えば不死鳥じゃん!&br;だせ! 出せ、隠すなー!&br;(そんなゲルシュカの心情を察したのか、アケは軽く飛び跳ねながら怒ったように両手で机を叩く) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-28 (木) 11:03:51};
---&br;やめろ! 10を越えたらそういう子供じみた駄々をこねるなといつも言ってるだろう!&br;確かにお前が工場に居る時、そういった知人が居ることは話したが……あれには会わせられん&br;何をされるか分かったものではないし、そもそもあれは不死鳥ではない! -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-28 (木) 11:06:04};
---&br;じゃあなにさ! 不死鳥以外に不死の存在なんて&br;えーっと……えー……く、クラゲ? ぐらいしか知らないもん -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-28 (木) 11:07:32};
---&br;ベニクラゲが不死であるかの定義はともかく、あれはお前が思っているようなものではないのだ&br;諦めて赤点を取るのだ、そしてまた奉仕活動に精を出せばいいだろう -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-02-28 (木) 11:14:48};
---&br;(諭すように言葉を続けるゲルシュカを前に、アケの不満は徐々に溜まりつつある)&br;(列車に揺られようやくついたと思えば、手伝いを失敗した程度でいきなり説教をされた程度の事であるが。久しぶりに帰ってきた我が家という事もあり)&br;(アケの中にはわずかばかりの幼児性が蘇っていたのだ)&br;(結果……その不満はあまりにも甘えた様な行動の引き金となり)&br;……やだ! こうなったら絶対会うって決めた! 会って……倒す! 倒させてくれるまでここから動かないし&br;なんならこの工場を爆破してやる!&br;(まっすぐに立ち上がると両手を振り上げ、体を後ろにそらしながら命一杯の主張をする) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-02-28 (木) 11:18:00};
---&br;(こうなってしまってはアケを止められる者は少なくとも、この工場にはいなかった)&br;(それはもちろんゲルシュカ自身も例外ではなく……眉間の皺をひび割れのようにさらに深くしながら大きくため息をつく)&br;分かった、奴に会わせよう&br;(折れたように、出来る限り気が進まないといった様子でついに首を縦に振る)&br;(もしかしたらこの日にアケと言う個体を失ってしまうかもしれない、そんな懸念を抱きつつも言葉をつづける)&br;&br;ただし、3つだ&br;あいつに会う前に3つの決まり事を決めておく、それでいいな -- [[ゲルシュカ>HNH/0030]] &new{2019-03-01 (金) 00:44:35};
---・&br;・&br;・ --  &new{2019-03-01 (金) 10:05:48};
---ここがー……フェニックスの根城、と言うわけだね?&br;(自身の起こした爆発騒ぎの片づけを、常識的な範囲で手伝った後)&br;(工場の地下へと延びる通路を移動して数十分。アケは無数に伸びる地下通路の先にある扉の前に来ていた)&br;&br;(その扉は出入り口のためにあるというよりは、その先にある空間を完全に遮るためにあるような雰囲気を出しており)&br;(排他的な色と重厚感を思わせるそれは、おおよそ素直に開く代物とは思えなかった) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-01 (金) 10:09:36};
---&br;えーっと&br;ひとつ、部屋に入る時は相手が喋るまで自分は喋らない事&br;ふたつ、何を言われても怒らない事&br;みっつ、可能性は限りなく低いが……とにかく怒らせない事&br;(目の前の扉を開く前に、アケはゲルシュカから言われた3つの決まり事を復唱する)&br;(倒すために来たのだから、怒らせない事が可能であるかは分からないが。こんな場所を用意された存在である)&br;(流石のアケも少しの緊張を持ちながら、扉についた呼び鈴を鳴らす) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-01 (金) 10:14:43};
---&br;(呼び鈴を鳴らしてから数秒後、扉は錆びた様な音を出しながら重々しく開く)&br;(その動きは非常に遅く、鳴らしてから開き始めるまでよりもむしろ開放のための動作の方が時間がかかるぐらいであったが、たしかにその先には何かの気配があった)&br;ほんとにこんなところに住んでるんだー……&br;(動きの遅い動作に少々やきもきしながらも、かろうじて通れそうなほどの隙間ができると)&br;(身をよじらせながらその先にある空間へと入り込んでいく) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-01 (金) 10:23:20};
---&br;(アケが四苦八苦としながらようやく隙間を通りぬけると、その向こう側は正方形の広い空間が広がっていた)&br;(扉から漏れ出る光で察しは付いていたが、その見上げるほどに高い天井にはどうやって取り付けたのか分からない光源が煌々と無数の光を放ち)&br;(その空間全体を支障のないほどに明るく照らしている。人の出入りが少ないのだろうか、加えて汚れやほこりなどもそこには無く)&br;(ただ無機質で、清潔な場所が遊ばせるように広がるだけであった) --  &new{2019-03-01 (金) 10:30:19};
---&br;(ただそんな場所で、一つだけ元からそこに置かれているものがある)&br;(椅子だ、キャスター付きの簡素な椅子が扉より米粒より少し大きく見える程度の距離で置かれており)&br;(そこには茶色いボロ布がかけられているのが見えた)&br;&br;(アケは少しあたりを見回してから、この部屋にはその椅子と布しかないのが分かると、ゆっくりとそちらへ向かい歩き出す)&br;&br;(しばらく歩くと、アケは自分の歩みから足音が出ていない事に気づいた。地下通路を歩いていた際は多少なりとも足音が響き、壁の向こうからも外界からの音が時折振動として伝わってきていた)&br;(しかしこの部屋に入ってから、音という物を一度も感じた事はなかった。まるで巨大な防音室に居るような耳の詰まる感覚を覚え、どこまで歩いたのかと後ろを振り向けば)&br;(いつの間にか、扉は完全に閉じられていた) --  &new{2019-03-01 (金) 10:36:24};
---&br;(こちら側に居ると、あれだけうるさかった扉の開閉音も全く聞こえなくなるのだろうか)&br;(アケは少し不気味に思いつつも、再び前を向き直す) --  &new{2019-03-01 (金) 10:37:40};
---&br;……むぉっ!?&br;(その時だった、まだ距離のある場所に位置していたはずの椅子が、視線を前に戻すとすぐ目の前に置かれており)&br;(椅子に掛けられていた布はローブを頭からかぶった人の形をして、こちらを見ていた)&br;(アケは思わず間抜けな声を漏らしながら一歩下がる。急に目の前にそのようなものが現れたこともあるが、なによりそれの顔に当たる部分は地中に伸びる穴のように黒く)&br;(まるでそこには何もないかのように感じられたからだ) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-01 (金) 10:43:09};
---&br;(しばしの沈黙……一歩下がった状態のままで固まったアケに対し、その人の形をしたものもまた動く気配もなければ喋る様子もない)&br;(数秒の間が数分程度には感じられる緊張がアケを満たしたころ、その人の形をした布の胴部分から、一本の腕が伸びる)&br;(真っ白で細い、まるで枯れ枝が枯れ枝のままに生かされているような歪なその腕の先は徐々にゆっくりとアケへと向けられていく)&br;(「何かが不味い気がする」 目の前のこれに対する決まり事など何も意味が無いと本能で知る頃には)&br;(その腕の先にある指が絡み合い、アケをしっかりと指すと) --  &new{2019-03-01 (金) 10:47:45};
---&br;''ヴァッ!?''&br;(その直後、アケの体の内側から激しい燃焼が始まり、中の血や骨や臓器を容赦なく裂きながら皮膚を突き破り始める)&br;(内側から燃える炎で体を強制的に焼かれながらも、そこからすぐには絶命に至らず。かといって苦痛の声を上げることは既に呼吸器官を破壊されることによってかなわなかった)&br;(問答無用で行われる殺害行為、やがてアケの体の中を炭と灰で満たすと、体全体を火だるまにしながらその生命をなんでもないように摘み取り)&br;(絶命の感覚を、既に苦痛すらも感じなくなった体で感じながら。その最後の砦である思考さえも、熱で電子機器が焼かれるようにして途絶えていく)&br;(絶命) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-01 (金) 10:52:53};
---・&br;・&br;・ --  &new{2019-03-01 (金) 11:03:55};
---…………&br;………&br;……&br;…むおぉっわっちゃぁっ!?&br;(どれぐらいの時間が経ったのだろうか? アケの肺に空気が送り込まれると、反射的に声を上げながら上体を起こす)&br;うぇっ、ゲホッ! ……っは、はぁ……はぁー……&br;(自分が死んだ感覚ははっきりと覚えている、次第に失われていった呼吸行動が再び出来る事をゆっくりと確認しながら胸を押さえ)&br;(破裂しそうなほど早く重苦しい心臓を落ち着かせようと、体を丸めながら何度も深呼吸を繰り返す)&br;(不思議と恐怖などはなかったが、それでも精神の異常からくる身体機能の不全は無いわけではない)&br;(丸まった状態のままゆっくりと目を閉じ、呼吸を意識しながら自分の体がどこも壊れていない事を確認していく) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-01 (金) 11:11:00};
---&br;「起きたか、すぐに騒ぎださないあたり……流石は人工物と言ったところだろう」&br;(うずくまるアケの近くで、上から見下ろすような男の声が聞こえてくる) --  &new{2019-03-01 (金) 11:19:44};
---&br;うぇ……? -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-01 (金) 11:20:34};
---&br;(そんな声に反応し、アケは少々油断した様子で顔を上げる)&br;(なにぶん死ぬ直前に見た光景があの無機質な部屋と、醜い腕を伸ばす人の形をした布なのだ)&br;(そんなものを見た後で聞く人の声という物は、アケの気丈さに少しのヒビを入れてしまうような甘いものであった)&br;&br;(アケが意識を取り戻したその場所は先ほどとは打って変わり、まさに俗物的と言えるもので)&br;(その場所に固い床や壁などはなく、膝まで沈みそうなほどに柔らかい赤のカーペットの上で。高級モダンといった家具たちが、自分たちの縄張りを主張するかのように置かれており)&br;(壁には時計や、本でしか見たこともないような動物の剥製などがかけられ。まるでそこにある無機物すべてが惨めにうずくまるアケを囲んで見下しているようであった) --  &new{2019-03-01 (金) 11:29:58};
---&br;ど、どこここ……確かさっきまで変な部屋に居たはずなんだけど&br;確かそこにあった椅子の上に座る布に燃やされて……?&br;(ただただ困惑するアケ、うずくまっていた体を起こしてから見る部屋の中は先ほどの空間とは打って変わって狭い)&br;(自分が死んでいる間に運ばれてきたのか、あるいは今もなお死んだままでここは死後の世界なのか)&br;(ただ一つ分かるのは、少なくとも自分の体には未だ体を動かす際に感じる感覚があるという事だけだ) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 00:22:55};
---&br;「変な部屋とは言ってくれる」&br;「さて……あの年寄りのお墨付きがわざわざこんな所へなんの用だ」&br;&br;(立ち上がるアケの目の前で、一人の人物が足を組み……膝の上で頬杖をつきながら座っている)&br;(ひどく痩せこけたその姿からは生気は感じられず、伸び放題の髪はまるで枯れ切ったように薄汚れていた) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 10:27:41};
---&br;っ!&br;(目の前に何かが居る。先の出来事を引き起こしたそれと、目の前の男がどこか重なるような気がして、アケは思わず身をすくませる)&br;えっと、こ……ここに、フェニックスが居るって……聞いて……&br;(流石にこの状況でいつもの勢いは出せず、少し言葉が詰まったように話す) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 10:30:13};
---&br;「フェニックス?」&br;(人物はその言葉を聞くと、しわがれた瞼を吊り上げえるようにして見開きキョトンとした表情を見せる)&br;(しかしすぐにその驚きの色は失われ、小馬鹿にしているような無表情へと戻っていく)&br;「こんな部屋に、そんなものが居るとお思いかね」&br;「ああいうのはもっと……広いところに居るものだ」 --  &new{2019-03-02 (土) 10:36:21};
---&br;そ、そんなの来てみないとわかんないじゃん! なんたって私はそのフェニックスを倒しに来たんだからね!&br;(無為に胸を張り、自身の中にある不安を少し和らげようとする)&br;それに万が一そこに居るのが不死鳥じゃなくても、不死鳥のふりをしてもらえばいいんだよ&br;実際に見た事ある人なんてそう居ないんだろうし、こう……それっぽい物品をそういう存在からもらえれば……それを見せて倒せたって言える、たぶん!&br; -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 10:49:36};
---&br;「なるほど、あいつのお墨付きは考え無しと聞いていたがその通りのようだ」&br;(人物はそう呟くと、少ししんどそうに立ち上がるとアケの目の前で両腕を広げ)&br;「それではようこそ、不死鳥の根城へ……私こそが地下に潜む不死の存在だ」&br;「それで、どうやって不死者である私を倒してくれるのかね?」&br;(不死者を名乗る人物は、幾分か楽しそうに続ける) --  &new{2019-03-02 (土) 19:30:49};
---&br;……んっ! えっと、そうか……確かに状況を考えればこの人しかいないけど&br;ええい! もういい、疑問に思う事はいろいろあるけど、そういうならあなたがきっとフェニックスなんだ。なんたって不死鳥だからね&br;人の形をしていてもおかしくない! ふふん! 私はあんまり戦闘は得意じゃないけど&br;そんなに余裕ぶってていいのかな? そんな細っこい腕や脚じゃ、流石に私だって勝てるもんね!&br;(色々と、分からない事は残るものの。そもそも自分はここへ不死鳥を倒しに来たのだ)&br;(今が死後の世界での出来事なのか、そもそもちゃんと帰れるのかなどと言うのはすべてが終わってから考えればいい)&br;えっと……か、覚悟しろー!&br;(一度こうと決めればあとは動くだけだ、しかし目の前に居るそれはどうにも触れば折れそうなほどに弱々しい存在に見える)&br;(少し手加減しなければ、曲がりなりにもホーリーであるアケは事前に所持していたスタンバトンを構え、すぐ目の前に居る相手へとそれを突き出す) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 19:37:53};
---&br;「っなにをするかと思えば、実に平凡じゃないか」&br;(そんなアケの行動を目の当たりにすると、思わず鼻で笑いながら人物は再びアケへ右手を向ける)&br;「君は爆弾をよく使うと聞いていたのだから、少しは楽しみにしていたのだけれどね」&br;「もう一度だ」 --  &new{2019-03-02 (土) 19:39:40};
---&br;''ヴァッ!?''&br;(瞬間、スタンバトンが相手の体にかすりそうなほどの距離で人物の右手を認識したアケはすぐさま体を発火させる)&br;(その炎は先ほどと同様瞬時にアケの体内を炭にしていく)&br;(絶命×2) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 19:41:18};
---&br;………&br;……&br;…はっふっ!? ま、また死んだぁ!&br;(苦痛の末意識が消え、瞬きをすれば再び意識を取り戻し元に戻った体を起き上がらせながら周囲を見る) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 19:43:07};
---&br;「おや、一度目は30分かかったが今度は10分か」&br;「死ぬことに早くも慣れてきたな」&br;(人物はそんなアケに気づくと、今度は重厚な机の上に座りながら呑気に足を揺らしていた)&br;「さぁさぁ、思う存分にかかってくると───」 --  &new{2019-03-02 (土) 19:45:45};
---&br;むがあぁー!!!&br;(人物の言葉などハナから聞きもせず、アケはすぐさま人物へと無手でとびかかる)&br;(2回の殺害は両方ともこちらに対し右手を向けてきた、本能的にその人物の武器は認識であり、認識の隙間を与えなければあとはひ弱そうな体をべきべきに折るだけだと判断したのだ)&br;(しかしその際武器や爆弾を使えば最低でも二つの動作が必要になる、アケは相手の性質がおしゃべりである事に賭け一気に突進を決め込んだのだ) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 19:54:30};
---&br;「二度目でうろたえなくなるのは、ある意味の才能が必要だ」&br;「そういう意味では……君は自分の本来の目的にたいし忠実に生きているといける」 --  &new{2019-03-02 (土) 19:56:35};
---&br;''ヴァッ!?''&br;(目の前で動くこともなく、先ほどのようにこちらへ手をかざすような動きもしない)&br;(しかしアケの体は再び燃え上がり、今度は苦しむ余裕もないまま即死する)&br;(絶命×3) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 19:57:54};
---&br;動くな! 動けばこの部屋ごと爆破してやる!&br;(3度目の蘇生、起き上がれば今度は上着を脱ぎ捨て体に巻き付けた爆弾による威嚇行為に走る) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 19:59:57};
---&br;「爆発物に執着するその精神性、いつの日か自分の身を犠牲にする日が来るのをお前は理解しているのだろうか」&br;「今この行為に何の意味がある、お前がその火薬を向けるのは本当に……この先にある黒い糸とやらなのか」 --  &new{2019-03-02 (土) 20:05:19};
---&br;あッ……!?&br;(不意のタイミングで、アケの懐に忍ばせている爆発性の物質は一斉に起動を始める)&br;ちょっ、なんで! 起動なんてさせてないのに! んんんーーーー!!!&br;(慌てて服の中から様々な爆弾を取り出し、すぐさま遠ざけようとするが)&br;''ヴァッ!?''&br;(無論、それは叶うことなく……創作者に対する忠誠を失った爆弾たちは健気にその身を破裂させながら爆発する)&br;(瞬時に部屋にはアケだったものの欠片が飛び散るが幸いなことに、苦しまなかったことであろう)&br;(絶命×4) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 20:08:42};
---&br;……んっ!&br;(四度目の蘇生、仰向けに倒れていた自分の体を瞬時に起こし次の行動に出ようとする)&br;(しかし上体を起こした視線の先に、口の端を吊り上げて笑みを浮かべる人物の顔が鼻が突きそうなほど近くにある事に気づくと)&br;ひっ!?&br;(といった軽く恐怖に染まる、かすれた声を出しながら一瞬の硬直を挟んでしまう) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 20:12:00};
---&br;「君が本来敵意を向けるのはそのように生まれてくるように仕向けた者達ではないだろうか」&br;「その生き方を君が受け入れているというのなら、なぜ君は工場から出て人との交流を選んだ」&br;「自分が守るべき人物と同じものと関わる事で、正当性を求めているのかね?」 --  &new{2019-03-02 (土) 20:14:32};
---&br;そ、そんな事言われても……別に私は誰も嫌いじゃないもん! 第一さっきから、どうして黒い糸とか知ってるの知らないけど&br;今私は、私の死体事を……ッ! あれ、なに……なに・・・?&br;(目の前の顔に怖気ず言葉を続けようとするものの、途中で徐々に自分が喋られなくなり始めている事に気づく)&br;(呼吸がつまり、まるで体の中に鉛でも詰められたように重くなる感覚を覚えながら胸を押さえ、起こした状態を前のめりにさせていく)&br;……ッはっ、ずるい……こんなの……&br;(もはや手をかざすどころか燃やす事すらしない相手に、多少の恨み節を吐きながら純粋に、徐々に死へと向かっていく)&br;(絶命×5) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-02 (土) 20:20:00};
---&br;(その後、アケは蘇生しては一方的に話しかけられ、また殺される流れを繰り返す)&br;(それほど広くもない部屋の中で、ありとあらゆる……と言ったほどでもない手段で死が繰り返される中、アケの記憶は少々曖昧なものになっていた)&br;(元より死と言う物に対する恐怖や不快感は希薄になるよう作られていたが、そのわずかばかりの感情すら消え始め)&br;(自身の死が一種の流れ作業になり始める頃、アケの中にあった安易な討伐意欲は完全に消え去り、まさに心の折れかけた状態まで追い込まれていく)&br;&br;(赤いカーペットに散った血液が徐々に新鮮な赤みを失い始める事でしか、この流れが始まってからどれくらい経つのか知る由が無くなるほどに)&br;(狭苦しい空間で行われる生と死のループ行為は終わる気配を見せなかった)&br;(いや、むしろようやく始まったと言うべきか。アケの蘇生時の呼吸音すらなくなり、しばしその生命を弄ぶ人物から発せられる無駄話さえも尽きはじめ、無言の時間が増えるほど)&br;(その生命を重視する文化的社会から見た冒涜的行為は更に加速していく) --  &new{2019-03-03 (日) 03:09:55};
---&br;(絶命×106)&br;(絶命×107)&br;(絶命×108)&br;(絶命×109)&br;(絶命×110) --  &new{2019-03-03 (日) 03:10:57};
---&br;(絶命×111)&br;(絶命×112)&br;(絶命×113)&br;(絶命×114)&br;(絶命×115)&br;(絶命×116) --  &new{2019-03-03 (日) 03:11:49};
---&br;(自身の死がただの数字の羅列へと変化していき、もはやなんの感慨も感じなくなっていく)&br;(人物もまたただ無言で、黙々と蟻でも潰すようにアケを殺害し続け、そしてそのたびに蘇生していく)&br;(やがて反射的な断末魔の声すら響かなくなるころ、ようやく人物による特定個人を対象にした殺戮は終わりを迎えようとしていた) --  &new{2019-03-03 (日) 03:14:14};
---&br;.&br;.&br;.&br;(絶命×899) --  &new{2019-03-03 (日) 03:15:30};
---&br;……きゅう&br;(ようやくその無慈悲な繰り返しの中に間が生まれたのは、全身を溶かされた後にうつ伏せの状態で蘇生され)&br;(もはや1ミリも動く気力すら湧かなくなった頃だった、情けなく顔を伏せたまま腰だけ上げた状態のまま折れかけの心もすっかり踏みつぶされると)&br;(流石の生ける人型爆弾も、相手へと向かう様子は全く見せなくなる) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-03 (日) 03:20:53};
---&br;「どうやらここまでのようだ。意外と大したことはなかったじゃないか」&br;(そんなアケとは対照的に、まるで疲れた素振りすら見せない人物はいつの間にか着用していたタキシードの襟を整える)&br;(最初に見た不健康を究めたようなその外見は、いつの間にかつやつやとした健康的なものへと変わっていた)&br;「たかが899回、人として死んだ程度で動けなくなるようでは……私を殺そうなど…ふっ、随分と思いあがりだったな」&br;(小馬鹿にしたような声をアケに吐き捨て、挑発するように靴の先で後頭部をつつく) --  &new{2019-03-03 (日) 03:25:45};
---&br;んぐうう、だーってぇ! ずるいじゃん! 何もせずに相手を殺せるなんて勝てるわけないし!!!&br;大体私は倒した証拠が欲しいだけで、別に殺しに来たわけじゃ無いもん!!! 横暴だぁ、過剰防衛だ! 今すぐ謝罪と賠償を要求す&br;''ヴァァッ!''&br;(少し元気を取り戻し、足を払いのけながら駄々をこね始めると、その瞬間アケの体は瞬時にせんべい状にされめでたく900回目の絶命を迎える) -- [[アケ>HNH/0030]] &new{2019-03-03 (日) 03:29:25};
---&br;「900回目おめでとう」&br;(そんな皮肉を言いつつ、900回目の蘇生をアケに施す)&br;「さて……久しぶりに体を動かして随分と楽しかったが、そろそろ飽きた」&br;「運動はこれぐらいにして少し話をしよう、君が最後に人として死ぬための話だ」 --  &new{2019-03-03 (日) 03:36:10};