*漿穢法 [#ofebf0a8]
-移植型((魔法を使用したければ魔法を使える生き物の組織を移植すればよいという考え方))の魔法
**概要 [#hde2bd9c]
-漿液を穢す技法
-体内の水分を&ruby(スライム){液状魔法生物};の体組織(流体)で置換し、思念によって操る技術
--魔力の様なある種のエネルギーを使いこなすというより身体能力の延長の様に不思議を扱う


**入門法 [#p33c3141]
-主に二種類
+スライムから流体を抽出して投与する方法
--魔法や薬物により無害化する必要がある
--処理しきれていない場合、体の溶解、乗っ取り等々死に至る事もある危険な手法
--黎明期にはこれしか方法がなかった~
流派として確立してからは師に認められなかった者など一部でしか見られなくなった
+既に体得している者から受け取る方法
--既に手なずけられた流体を受け取る為に比較的安全となる
--特に理由がなければこちらが基本となる~
現在の主流
-対象者の免疫を上回る量投与すると、体内で自然増殖し始める
--この時2.の手法であれば対象者を殺してしまわない様制御ができる
--体内に入れた流体が体に馴染むのに時間がかかる為、数日間は寝込むことになるが~
それ以降は体の一部として流体の存在を感じとる事が出来るようになる


**修行法 [#r0c2028a]
***基礎修行 [#n7d303a9]
+体内操作
--まずは体内にある流体を認識し、操る事を覚える
---瞑想やイメージトレーニングを通して流体の存在をより明確につかみ、体内で循環させる~
液体を異物としてではなく体の一部として捉えられるようになることが目的
++身体強化
---流体移動の力強さだけで体を動かしてみる
---最低限自分の体を持ち上げられるくらいの力が発揮出来るようになる事が目標
++治癒
---体内の血管や骨、細胞の存在を認識し、継ぎ接ぎして行う
---最低限軽傷程度なら自力で治せるようになる事が目標
++生命維持
---より少ない流体で生命を維持できるようになる
---循環を工夫する事が求められる、次の修行の為の布石
+体外操作
--流体をある程度操れるようになると体外に出す事が出来るようになる
---この時点では基本的に液状で出せる量もそれほど多くない~
この状態でどれだけ自在に操り、また量を増やせるかが重要になる
---流体は体液の役割も兼ねている為、出し過ぎると死ぬ~
その為生命維持の修行と並行して行う必要がある
++物体保持
---力強さのほか、粘度の変化が必要になる
---一般的に身体強化よりも出力が低下する傾向にある
---最低限自分の体くらいは支えられるようになる事が目標
++感覚共有
---流体は思念によって操られるが、逆に流体が触れた物を思念として認識できる
---積み木の形位は認識できるようになる事が目標

~
-基礎修行段階では流体を自身から切り離すと制御を離れて壊死、稀に自立してしまう事がある
***発展修行 [#ed360170]
-体外に出した流体操作の練度を高める~
主にハード面とソフト面の傾向がある

+ハード面
--より細かく力強い操作が求められる
++温度変化
---加熱・冷却を図る
---後述の状態変化を覚えるうえで必須だが、~
最終的には温度変化と状態変化は分けてなされる事が目標になる
++状態変化:結晶化
---固体化させる
---冷却しての凍結から始め、最終的には常温での結晶化が出来る事が必須
---固体は全ての状態の中で最も強度が高く、基本的な武器として扱える為~
鉄以上の強度にまで高める事が目標になる
++状態変化:気化
---気体化させる
---加熱しての蒸発から始め、最終的には常温での気化が出来る事が必須
---気体は物を動かす力が弱い為、噴出力で自分の体を一瞬でも浮かせられれば上々とされる
---気体は全ての状態の中で最も範囲が広い、~
感覚共有との相性がよく、広範囲のセンサーとして扱える(気圏)~
気圏の範囲を10m以上に広げて維持出来る事が目標になる
---又、気圏の内側であれば流体を自身から切り離しても維持する事ができる~
(巨大な気体型スライムの腹の中というイメージ)
++状態変化:プラズマ化
---気体からさらに過熱し、プラズマ化を引き起こす
---プラズマは全ての状態の中で最も高い破壊力を秘めているが制御が非常に難しい
---どれだけ小さくても発生させる事が目標になる
++性質変化
---可燃性や発光性等、本来持たない別の性質を持たせる
---粘度の変化や常温での状態変化等、ここまでの修行ですでにある程度の性質変化は出来ているので、~
そこからの更なる発展を目指す
---どの様な性質を持たせるかは個人の自由となる為、バリエーションは非常に豊か
---単純に地力のハードルが高いプラズマ化に比べ、終わりが見えないという難易度の高さがある
-結晶の強度や気化の噴出力、温度変化等のパワーは使用者の意志力が要になる
--各々に求められる力には若干の差異がある為、プラズマ化が得意だからと言って必ずしも他の部分も強力とは限らない


+ソフト面
--より繊細な操作が求められる
++憑依
---流体を別の器物に染み込ませて動かす
---自分の体を動かすよりも扱いが難しくなってくる為、やり過ぎると壊れて飛び出してしまう
---基本的に水との親和性が高く、水分を多く含む物ほど扱いが容易になる~
逆にそうでない物ほど慣れが必要~
---人の治療などを行うのはこれと治癒の複合でかなり難易度が高い
---水と融合させ、自分の体重分程の容量を扱えるようになる事が目標になる
++核生成:形態維持
---流体内の濃淡に差をつけると、その間に思念波を留める事が出来る~
これを複雑にしていくと自分の代わりに思念を発し続ける、所謂スライムの核(コア)になる
---コアは自身から切り離しても存在を維持する事が出来る
---外装となる物(シェル)で包む事で保護する事が出来る~
この状態で最低限30分、流体を維持出来る事が目標になる
++核生成:自立行動
---コアをより複雑化する
---体を維持するだけでなく、徐々にプログラミングした通りに動作するようになっていく~
より小さく、複雑なコアを作れるほどに優秀と言える~
---簡単な迷路がクリアできるくらいの能力を持たせることが目標になる
++核生成:統率力
---複数のコアを運用する
---実力以上の数のコアを作ると管理出来ずに動作しなくなったり暴走することがある
---バックアップ一つ、サポート一つ、予備一つで計3つ以上のコアを管理できる事が目標になる
++核生成:遠隔操作
---コアは二つに分割する事で動作を共鳴させる~
この性質を利用し、手元に残したコアに逐一手を加える事で遠隔操作が可能になる
-シェルはコアが適応できればどの様な形でもよい、コアの保護が主目的なので最悪なくてもよい
-普通の生き物と遜色ない程に複雑な動作ができるコアが作れる者は稀である


~
-どちらか一方ではなく両方を修めた者が師範代と認められ、応用修行に進める
***応用修行 [#l004ca89]
-ここまで培った能力を統合し、自分だけの秘義とでもいうべき能力を開発する~
所謂固有能力
--これが完成した時、師の元を離れて自分の弟子を取る権利を得られる
--必要条件のみを満たしてきた場合はここで躓く為~
ここに至るまでに何かしらの得意分野を伸ばしておくことが奨励されている



**クラス [#c73ffcb7]
-ビギナー
--下積み時代から流体を受けとった者

-ノービス
--基礎修行を修了したビギナークラスが昇級~
以下、各合格基準
--体内操作
---身体強化~
 自分の体を持ち上げられる程度
---治癒~
 軽傷程度ならすぐに直せる程度
---生命維持~
 バスケットボール大の流体を出しても運動に支障がない
--体外操作
---物体保持~
 自分の体を支えられる程度
---感覚共有~
 積み木の形位は認識できる程度

-ミドル
--発展修行の基準9つの内5つ以上を満たしたノービスクラスが昇級

--ハード
---温度変化~
 液体気体固体の3態を維持したまま温度を変化させられる(プラズマは基準に含まれず)
---状態変化:結晶化~
 鉄以上の強度
---状態変化:気化~
 10m以上の気圏を維持できる
---状態変化:プラズマ化~
 発生させられる
---性質変化~
 通常にない変化を起こせる

--ソフト
---憑依~
 水に同化させたとき、自分の体重分ほどの容量を扱える
---核生成:形態維持~
 核を宿したスライムを3日以上維持できる
---核生成:自立行動~
 無監視状態で指定したプログラムを実行できる
---核生成:統率力~
 3体以上のコアを同時に使用できる
---核生成:遠隔操作~
 行える

-エキスパート
--発展修行を修了したミドルクラスが昇級、師範代
---ただ昇給条件を満たしているだけでは応用修行で躓くため~
この頃までに何かしら得意な分野を伸ばしておく事が奨励される

-マスター
--応用修行を修了したエキスパートクラスが師、あるいはその代理に認められて昇級
**危険性 [#z40ba439]
-人間の体の半分以上は水分で出来ており、~
これを魔物に置換するという事は血も肉も内臓も脳も体の半分以上を魔物に冒されるという事である
-魔物との融合により肉体的、精神的に何かしらの影響が出る事が懸念されている
--あんまり深くは考えてないけど、魔族の上級者に会ったときに怯えるくらい?
--マスターとならなければ弟子が取れないのは、~
自分の流体を完全に律する事が出来る者でなければ、ある種の寄生生物ともとれる流体に逆に支配されてしまう可能性を懸念した為



~
**Tips [#f75abfbc]
-容量問題
--流体は術者の体液なので、当然出し過ぎると死ぬ~
体内の循環を工夫する事で、常人より遥かに無理がきく体になっているが限界はある
-力量問題
--流体は水と同化させる事でその容量を増やす事が出来る→容量問題の解決~
ただしそれを扱っている術者は変わらないので、ここにも限界が存在する~
--仮にある術者の力量が100で、普段容量100の流体を扱っているとする~
水と同化させ容量を1,000に増やしたとしても、力量は100のままなので~
単位体積当たりに掛けられる力が1/10になってしまう~
 それは力の分散により細かな所に気が回らなくなったり~
 結晶化の脆化、温度や形状、状態の変化の鈍化といった形で現れる~
 反面、力量を高める訓練としては優れているので、トレーニングによく扱われる
-力の集中
--仮に力量100の術者が容量10の流体を扱った場合~
上記とは逆に単位体積当たりに掛けられる力を10倍にする事が出来る~
 より繊細な操作、結晶の硬化、機動の俊敏化につながる為、有用とされている~
質量を得たいか性能を得たいかの選択になり、どの程度が扱いやすいかは人による
-コアの特徴
--コアによるオート操作は術者自身によるマニュアル操作に比べて反応速度と正確さに秀でている~
その為、単純作業の繰り返しや人間の反応速度を超えてしまった状況への対処に向いている
--反面、最初にプログラムした通りの行動しかできない為~
状況が複雑になるにつれて術者自身のコア作成能力が問われることになっていく
--コアによる結晶化や気化、温度変化や形状の洗練さ、扱える流体の量は術者自身の力量に準ずる~
その為、力量を高めようと思ったら術者自身が努力するしかない
-コアの統率力問題
--力量を超えた量の流体に対し、複数のコアを配置する事で解決を図る事が出来る→力量問題の解決~
コア一つ一つを優秀に作り上げる必要があるほか、それぞれの連携も求められる為~
これまでとは異なる情報処理能力、統率力といった技量が求められるようになる~
それをさらに統率するコアを作るといった解決方法もあるが~
ある程度自立しているコアたちに対し、全容を把握できなくなる程に肥大化する事は危険を伴う
-地水火風への対応
--漿穢法では物質の四態を地水火風になぞらえている~
水というよりは状態変化に肝がある魔法
--地の技法:結晶化~
水の技法:流体本来の形~
火の技法:プラズマ化~
風の技法:気化~
-応用修行について
--何かを考え、想う力で流体は動作する~
そして培ってきた思い出や意識、誓いなどで思念の力には変化が生じる
--この性質を利用し、好みや特定のルールを守ると誓ったりすることで基本的な性質を高める事が出来るので~
応用修行において良く活用される
-技~
--漿穢法では基本的な技術のみを課題とし、専門的な部分に関しては各自で工夫させるという手法を取っている~
それでも有用な護身術は自然と師や兄弟子などから伝授される、以下にそれらを記す~
--ナイフ格闘~
 結晶化させた武器と身体強化の連動で戦う~
 地味だが実は一番無駄がない扱い方で、トップクラスの突破力を誇る~
 格闘技術や体格に自信がある者が好んで使う
--矢じり~
 結晶化によって矢じりを形成、コアを搭載して気化の噴出力で飛翔させる~
 ナイフ格闘が苦手な者が使う、上記に並んで一般的な武器~
 気圏内でのマニュアル操作も可能だが気化に秀でてくると反応速度が足りなくなる為、コア搭載が一般的~
 結晶化の強度、気化の勢い、これらを制御するコアの性能が大きく影響する為、実力差がはっきり表れる特徴がある
--根~
 一定以上の密度の流体を突き立てる事で対象の体内に侵入し、影響を与える
--治癒~
 体内の流体を精緻に操作し、細胞壁をふさぎ、骨を接ぎ合わせて結晶化で補修し、神経を継ぎ合わせて体を癒す~
 治療というより修理に近い手法~
 他者に使用した場合、継承させてしまう恐れがある為、自分に行うときほど大胆な治療が出来ない
--バックアップコア~
 流体操作の要は思念であり、それゆえに漿穢法師は基本的に頭が弱点となる~
 これを補うための方策~
 体内にコアを配置し、致命傷を負った際に自分の代わりに治療を行ってもらう~
 ミドルクラスの一部やエキスパートクラス以上の術者と戦う場合、流体を全て奪うかコアを見つけるかの勝負になる
---体内に設置したコアを書き換え、体を動かす事もできる~
前述の通りコアは反応速度や正確さに優れている為、反射神経以上の正確な運動ができる~
加えて力の集中の論理により設置したコアの数だけ強化力が上昇する
--空域~
 気化した流体でも弱いが物を動かそうとする力は生み出せる~
 これを用いて他者の行動阻害と味方の運動補助を同時に行う事で運動性能に大きな格差を生み出せる~
 周りがどう動くのか、自分がどう動くのかを常に考える必要がある為、常人には扱えず、コアの使用が奨励されている~
 ナイフ格闘との相性が高い