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* ラハヴ家出身 ネシェル・ラハヴ 440932 [#d8190b2d]
|ID:|440932|
|名前:|ネシェル・ラハヴ|
|出身家:|ラハヴ|
|年齢:|19|
|性別:|#listbox3(女,server,sex)|
|前職:|#listbox3(ごろつき,server,job)|
|理由:|#listbox3(故郷に錦を飾りたくて,server,reason)|
|状態:|#listbox3(冒険中,server,state)|
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|方針:|#listbox3(探検を優先,server,type)|
|難易度:|#listbox3(安全第一,server,diff)|
|信頼性:|#listbox3(気にする,server,conf)|
|その他:|&areaedit(){[[ステータス>ステ:440932]]/[[戦歴>戦歴:440932]]/[[名簿>名簿/437224]]};|
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// ※ ご注意「//////////」より上は変更可能個所以外はそのままにして下さい。
// タイトルの「家出身」の記述も含まれます。
|>|CENTER:[[http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst071335.png>名簿/437224]]|
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chapter:02 &size(30){『 居 候 』};&size(10){(未完)};
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「……んっ」~
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 閉じられた瞼の上からでも分かる陽の光が、眠りの底にあった意識を呼び起こす。~
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 ゆっくりと覚醒する意識の中、重い瞼をなんとか開き、自分の居る場所を確認する。~
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 体を動かすとギシむスプリングの固いベット。~
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 あまり柔らかくない枕。~
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 御世辞にもキレイとは言えないブランケット。~
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 無造作に散らかる部屋。~
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 窓から見える青い空。~
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 眩しい光に目を細め、日を遮るように腕を掲げる。一般的に見れば「汚い」と形容するのが妥当なこの部屋だが、今までの境遇と比べればここは天国かと思えるほどであった。~
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「やっぱり、夢じゃないんだ」~
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 此処に来てからの幾度目かの朝。そして幾度目かの幸せを噛み締める。もう慣れているはずなのに、どうしても笑みがこぼれてしまう。~
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「まったく、朝からなにニヤけてんのよ」~
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 突然の声にハッとし目を丸くして声の主へと顔を向ける。部屋の入口、半開きのドアの縦枠に腕組しながらよしかかる、ニヤニヤとした表情を浮かべた女性がいた。~
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「…ヒドイよネシェル。帰ってきたのなら声ぐらいかけてよ」~
~
 ベットの上で顔を赤くし恥ずかしそうにブランケットに顔を埋める。透き通るような白い肌、プラチナブロンドの髪が窓からの光で輝くようにその存在感を際立たせる。この部屋の惨状(生活的意味で)とは不釣合なほどに。~
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「アハハ、ごめんごめん。あんまりにも幸せそうな顔してたからね」~
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 白を基調とした仕事着であろうか、レザー系のマット仕上げの装いに彼女の褐色の肌が映える。そして左腕の赤銅色の義手がソレに異様さを付け加えていた。~
~
 二人の間で軽い世間話を交わしながらバタバタとアウターを脱ぎ捨てるとベットの空いてるスペースに倒れこむ。~
~
「という訳で。仕事で疲れたアタシは寝るから。あとは頼んだわね?クフィル。…あ、いつも言ってるけど外には出るんじゃないわよ?危ないから」~
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 それだけ語りかけるといく間もなく寝息を立て始めた。~
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 少し困り顔で笑みを浮かべつつ軽く溜息をつくと彼女、クフィルと呼ばれた少女は今まで自身に掛かっていたブランケットをうつ伏せに寝たネシェルへと掛けてやる。~
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 白いワンピース姿でベットから降り立つと、大きく背伸びひとつ。「よしっ」と小さく気合を入れたクフィルは頼まれごと、この家の家事一式を行うべく自らの戦場へと向かっていく。いつもの朝、かわらないある日の始まりであった。~
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#region(chapter:01 &size(30){『 掃除屋 』};)
chapter:01 &size(30){『 掃除屋 』};
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「よう、掃除屋。ちょいと仕事があるんだが…」~
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 ある日の昼下がり。不意に入ってきたこの依頼から、彼女にとって胸糞の悪い一日がはじまることとなった。~
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 ネシェル・ラハヴ。スラム街を拠点に死体の処理を生業としているフリーランサーだ。~
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 その腕前は折り紙付きで若いながらもスラム街に点在するマフィアからも一目置かれる存在である。~
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 そんな仕事をしている以上、汚い仕事など日常茶飯事。~
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 しかしそれでも嫌悪感を感じる、感じてしまう案件も少なくはない。~
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 今回の依頼がまさにソレであった。~
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 正直この依頼を受けるのは気が引けた。はっきり言ってしまうと依頼してきたこの組織が気に入らないのだ。この組織、糞溜のようなスラム街の中でも特に悪い噂が耐えない。まともな人間ならばまず関わりたくない部類に入る。~
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 まあ、スラム街に住まう人間にまともな者がどれだけ居るのか、甚だ疑問ではあるが…~
~
 とはいえフリーで働くこの身、下手に選り好みや贔屓をしていれば掃除屋としての沽券にも関わる。~
~
 特に最近はこの組織の依頼をあまり受けておらず、現状、拒否することはできない状態であった。実際、依頼に来た組織の下っ端から煽りにも似た嫌味を言われたのだから腹が立つ。立った。~
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 コイツ、この場で処理してやろうか、と思うほどに。~
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 この光景を目にして目を背ける者、嫌悪感を抱く者、悲壮感を抱く者等はおそらく正常である。もしそれらとは逆の感情を抱く者ならばそれは人としての在り方に疑問を抱かずにはいられぬであろう。~
~
 正直、ネシェルもこの光景には一瞬表情を曇らせた。悲壮感こそ抱かなかったものの、その表情にはありありと嫌悪感がうかんでいた。暗い個室、そこに数体の横たわる数体の人間を見つめて。~
~
「おやおや、掃除屋のアンタでもそんな表情するんだねぇ」~
~
 この光景をむしろ喜色をあらわにして見ている、ネシェルをここまで連れてきた男が話しかける。それに対しネシェルが苛立たしげに睨みつけるも男は嫌味な笑みを浮かべて受け流した。~
~
「…まったく、糞最低な趣味よね。反吐がでるわ。」~
~
 こぼすかのように言い放った。御世辞にもまっとうな仕事をしていない彼女からしてもこれである。~
~
「掃除屋。そういったのが好きな客が居るんだ。こっちもコレで商売してる以上最低だろうがなんだろうが、関係ないんだよ」~
~
 背後からの声。恰幅のいい中年男性が現れる。威厳のある雰囲気からこの組織の中でも上の人間であろうとは一目で分かった。~
~
「ハイハイ、そーですか」~
~
 投げやり気味に言葉を返すともう一度個室に眼を向ける。部屋の中には首や手足を鎖で繋がれた見たところ年端もいかぬ少女が数人横たわる。既に事切れているのか動く気配さえ見られなかった。体には無数の傷が見られ、凄惨な行為が行われていた事を伺わせる。~
~
 こういった幼児嗜好は残念ながら何処の世界にも存在している。彼女が以前立ち会った人身売買の現場でも高値で取引されていた。売られた子供たちがその後どうなるかなど、想像こそすれ、見ることなど無かった。その末路の一つをこうして目のあたりにするとは、彼女にとっても想定外であった。~
~
「おいおい掃除屋。さっきからうかねぇ顔してんなぁ。あ?こんなモン、スラムじゃ日常茶飯…」~
~
「黙れ」と言ったのが先か、それとも手のほうが早かったのか。ノーモーションで瞬時に腰から引き抜かれたククリナイフが先程からネシェルの神経を逆撫でる男の首を切り裂いた。~
 ~
 大きく綺麗に開いた傷口から噴出す鮮血。~
~
 苦しむこともなく、呻き声一つ出さずに絶命した男。そのまま突っ伏すように倒れこむと床を赤々と染め上げていった。~
~
「…テメェ!掃除屋!血迷いやがったか!?」~
~
 目の前で何が起こったのか、一瞬呆気に取られた幹部の男が事態を把握しようと声を荒らげ叫ぶ。左胸のホルスターに収まった銃を取り出さない所を見ると確実に動揺してるのであろう。~
~
「別に?アタシの仕事内容をただ増やしただけよ?」~
~
 振り向くように、入口付近の男に視線を向ける。目が合った瞬間、男の体全てに鳥肌が立ち弾のような汗が滲み出る。動悸が早くなり手足が微かに震え出す。それほどまでにネシェルからは殺気が放たれていたのだ。~
~
「大丈夫よ。心配しなくても仕事はキチンと片づけるわ。あと、こんな使えない男一人居なくなったところでアンタ等には痛くも痒くもないでしょう?」~
~
 転がる死体。見下ろすような視線で血の海に浸る頭を踏みつける。~
~
「そういう問題じゃねぇ!」と言おうとするのを既で押さえ込み飲み込む。懐に収まっている銃を引きぬき対峙することも考えたが、構えたところで引き金を引くこともなく床に転がる男と同じ末路を辿るであろうと本能が告げていた。正直ここはこれ以上事を荒立てずに穏便にさっさと仕事をしてもらって帰ってもらうのが最善なのだ。この哀れな部下は玉々、この掃除屋の逆鱗に触れてしまったのだと。~
~
「コッチとしても面倒事は御免だ。金はいつもん所に振り込んどく。分かったなら去ったと片付けて帰ってくれ」~
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 早くこの場を去りたいという思いからか要件を言うとすぐに立ち去ろうと踵を返す。が、すぐに振り向き言い放つ。~
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「今回だけは大目に見てやる。だが次もこんな真似をしてみろ。今度はお前をこの男みたいにしてやるからな」~
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 それだけ言うと足早にこの場を離れて行った。あの男なりの精一杯の虚勢だったのだろう。男ってのは面倒くさい。そう思いながら視線だけを立ち去る男に向け見送った。~
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 その後の手際は実に素早い。男が恐る恐る見に来たときには既に部屋の中は綺麗に片付いていたという。それは本当に僅かな時間であったという。~
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 夕刻。郊外にポツンと佇む古い教会。古いながらもいろいろと手を加えているのか中々に凛とした神の家としての風格を赤い夕焼けを背景に醸し出していた。~
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 その裏、一筋の白い煙が立ち上る。土葬が一般的なこの街にとってこの火葬場はふだん使われることのない物であった。~
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「で?いつもはさっさと片付けちゃうアンタが、わざわざ教会にしかも火葬をお願いとかどういう風の吹き回しよ?」~
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 火葬場の炉の前で聖書を手に聖句を唱えていたシスターが振り向き、近くの壁に俯き気味によしかかるネシェルに話しかける。~
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 話しかけてきたシスター、この街での幼馴染であり、聖職者でありながら曰く悪友であるキョヌー・マシーンに視線を向ける。視界にサラサラなブロンドのロングヘアーと艶めかしい体のラインが浮き出た黒い正装。そして巨乳が眼に入る。正直昔はネシェルの並程度の胸よりも貧相なモノだったはずなのに、いつの間にこんなに大きくなりやがった。ギギギ…という内なる思いについては今回は割愛しておく。~
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「別に、他意なんて無いわよ。」~
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ただそれだけを告げる。本心では傷だらけであった子供等をせめてこういった形で弔ってやろうという思いがあったのだが、キョヌーに対する気恥ずかしさからなのかそっと心の奥へと閉じ込めた。~
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「はいはい、とりあえずそういう事にしておいてあげるわ」~
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 ネシェルの本心を見ぬいてか、口元をにやけさせながら話す。ネシェルにはムスッとした表情で対抗する他、手段は残されていなかった。~
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「にしても、噂では耳にするけどこんな最低なことする人間もいるものね」~
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「そんなもんよ。こんなのだってぶっちゃけ氷山の一角。こうして弔ってもらえるだけ、幸せなのかもしれないわ」~
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 嫌悪感を露にするキョヌーに対し、淡々とした口調で答える。出てくるのは子供等の話。あの時首を掻っ切った男はここでは弔われてはいない。それはそうだ。すでにネシェルが何時もの方法で処理済みなのだから。一緒ではこの子たちが報われないのだから。~
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「さて…と。あとは私が済ませておくから。ネシェルはもういいわよ」~
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「そう、ありがとうね」~
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 全てを燃やし尽くしたのか、火葬場の煙突から立ち上ってた煙も今はもう殆ど収まりかけていた。~
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「あ、ところでさ。あのことなんだけど…」~
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 そうキョヌーが言いかけたとき、教会の表側から人影が二つ、此方へと向かってきた。~
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 人物を確認するなりネシェルの顔が曇る。半ば威嚇するような目付きで見知った顔を睨む。~
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「これはこれは、断罪の剣が教会に何の御用かしら?カインにクラージュ」~
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 紅い髪をした男が二人。その共通した装備と紋章から断罪の剣に所属するものだと分かる。~
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 断罪の剣(パニッシャー)~
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 この街においての治安維持組織である。施設部隊であるにも関わらずその組織力は近隣の国にも及ぶ程と言われている。そしてそれは言ってみれば裏社会で仕事をするネシェルにとっての相反する存在であった。~
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 とはいえ平時ではそれなりに付き合いもある間柄ではあるが如何せん、今は仕事の丁度仕事の処理の最中である。警戒しない訳にはいかなかった。~
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「仕事中すまないな、シスター。ちょっと聞きたいことがあってね。…おっと、ネシェルもいたのか。…丁度いい。お前にも聞いておこう」~
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 ネシェルのさっさと帰れオーラにもなんのその。仏頂面でカインが口を開く。~
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「私が知ってることならいいわよ」~
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「アンタ達に教えることなんて何も無いわよ。あっても言わないけど」~
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 対照的な二人の返答に今度はクラージュが口を開く。カインの男らしい印象とは真逆の、傍から見たら女の子な印象を与えそうな顔立ちではあるが仏頂面なのは二人共通であった。~
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「最近、子供の失踪事件が頻発しててな。さる貴族の令嬢も行方不明なんだ。その捜索依頼を断罪の剣が受けて目下捜索中なんだ」~
~
 その言葉に微かにネシェルが反応する。その探し人については酒場の掲示板でも目にしている。その時はあまり気にしておらず、頭の片隅に留める程度のものであった。だが問題なのは今回処理した子供の中にその貴族の子が含まれていたことなのだ。処理している間はまったく気が付かなかったが、こうして言われて思い出される。~
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 さり気無くキョヌーの方を見る。キョヌーもどうやら彼女も気がついたのか同じように視線を向けてきた。~
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「さあ、私には分からないわね。残念だけれど」~
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「アタシも知らないわ」~
~
 多分二人の考えは同じであっただろう。ここで馬鹿正直に答えていれば断罪の剣はスラム街に、あの組織へと文字通り断罪するために部隊を送り込んでくるだろう。そうなれば確実に戦闘が行われる。そしてそれは他のマフィアにも飛び火し今までいままで保たれてきたスラム内のパワーバランスが一気に崩壊。考えるも恐ろしい展開が待ち構えていることは予想に難くない。~
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 そうなればネシェルは仕事どころではなくなるし、郊外とはいえ、スラムに近いこの教会も被害をうけるのは必至である。つまりは自身の損得勘定を秤にかけた結果、見なかったことにする方がとりあえずは良いと結論付けた結果なのである。~
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「…ふむ、そうか。知らないものは仕方ないな。仕方ない、とりあえず引き上げるか」~
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 残念そうに呟くカインと二人の考えを何気なく知ってか、大きく溜息をつくクラージュ。~
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「とりあえずは今回は二人とも知らない。そういう事にしておく。いいか、今回だけだからな」~
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 念を押すような一言を残し、立ち去っていく二人。気がつけば若干の冷や汗がネシェルの体に流れていた。~
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「あっぶなー、私顔に出てなかったかしら」~
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「大丈夫、多分出てなかったと思うけど…多分感づいてたとは思うわね。ところで…聖職者って嘘ついてもいいもんなの?」~
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「フフン、私の信仰する神はTPOを認めてくださるから。それとも正直に言って欲しかった?」~
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「うん、いや、それは勘弁で…」~
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 そんな何気ないやりとりで張り詰めていた場の空気が一瞬にして和む。~
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「そういえばさっき何いいかけてたのよ、アンタ」~
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 カインとクラージュが来る前、キョヌーがいいかけてたことを思い出す。~
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「ああ、そうそう。ネシェル、貴女あの子どうするのよ。」~
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 キョヌーの言葉にハッとする。そう、運んできた子供の中に一人だけ息のある者がいたのだ。今はまだ意識が戻っておらず、教会内で休ませているのだ。既に知り合いの医者に口止め料を支払い診察を受け、命の別状はないというお墨付きまで貰っている。~
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「言っとくけど、ウチじゃ預からないからね。依頼を受けたのはネシェルよ。火葬とか弔うのは手伝ったけど、あの子に関しては貴女の領分なんだからね」~
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 忘れようと、考えないようにと、半ば現実逃避していたところにキョヌーの言葉が現実に引き戻す。本来なら処理してしまうのが一番手っ取り早い。しかし今の自分にそれが出来るのかと問いかけると明確な答えが出せないでいる。~
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 そうしている間に日は沈み、辺りを闇が覆いはじめる。~
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 まるで今のネシェルの心のように、これから先の見えない未来のように。~
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 夜空を仰ぎ見る。いつの間に流れてきたのか雲が星を覆い隠していく。~
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 時折、流れる雲の切れ間から月を覗かせながら。~
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※勝手に自キャラSSに出演して頂きました~
 [[キョヌー・マシーン>名簿/437364]]~
 [[カイン・ツヴァルゲン>名簿/423183]]~
 [[クラージュ・ブリコルール>名簿/437325]]~
 ここに謝っときます。ごめんなさい。(土下座)~
#endregion



//俺が出てる! ありがとー
///こちらこそありがとー