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黒歴史一人遊び空間~
苦情その他は[[切り身妖怪>おしり]]へ~
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*いつかどこかであったこととか [#x2306557]
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-''Origin''
--その日彼らは「彼ら」になった
---目が覚めると、尻尾が増えていた。&br;いつも通りの簡素な白い服の下で、それは出口を求めてうねっていた。
---だが、自分はそれを動かしてはいないし、肌でその動きは感じるが、尻尾が肌を触る感覚はない。&br;これは一体なんだろうか……付け根は尻尾のすぐそばだけどと、服越しに触ってみる。
---やっぱり、触られてる感じはしないな。そんなことを確かめていると、突然そいつが服を突き破り、右手に巻きつき登ってくる
---「うぉ!? なんだこいつ……」&br;そいつは、尻尾と同じで黒かった。だけど、ふさふさの毛は生えていない。&br;気持ち悪くて巻きつかれた手を振り回すけど、全然離れてくれない
---手首、肘、肩と登ってきて、目の前に来た尻尾の先。それと、目が合った。
---わけがわからない。気が付いたら変な尻尾が生えてて、そいつは勝手に動いて、しかも目までついてる。&br;今までだって、おかしな姿に変えられて死んでいく兄弟は嫌ってほど見てきた。&br;だけど、勝手に動くったってぴくぴくするくらいで、こんな風に別の生き物が生えてくるなんて、見たことがない。
---『ニャンコ……』&br;そう言って「目」が笑った。まばたき一つしないけど、そんな風に俺には見えた。
---そうだ、確かにこいつは喋った。だけど、どうやって? 不審に思ったその一瞬で、巻きついていた「尻尾」は消えていた。
---幻覚だったのか? いや、あれは確かにあった事だ。手に残る感触を振り払うように振った。
---そんな俺をからかうように、二つの手が耳に触れる。びくりとして振り向くが、当然ながら誰もいない。&br;だけど、手の感触は変わらずあって、耳の付け根から先まで、毛並みに沿って撫でつけてくる。&br;イヤイヤと言うように頭振ったらその手は離れて、だけど今度は後ろから抱くように首に巻きついてきた。
---なんとなく、これはさっきの尻尾なんだという感じがした。&br;ちょっと不機嫌だけど、嬉しそうな気分が伝わってくる。体の一部だから、そういうのも分かるんだと思った。
---どうも、こいつはここが嫌いらしい。俺だって、こんな所に閉じ込められたままなのは嫌だった。&br;だけど、俺の力じゃ扉の一つも壊せない。そう言ったら、こいつは壁ごと扉をぶち抜いて、簡単でしょ? と笑ってみせた。&br;望んだことで、その力もある。だから、俺たちはここから出ることにした。
---部屋から部屋に移るときに命令してくる武器を持った奴ら、そいつらに命令したり、俺の体をいじくり回したりする白い服の奴ら。&br;そういうのを壁や床に叩きつけながら、迷路みたいな廊下を走る。&br;そんな中で、一人だけ感じの違うやつが廊下の真ん中に立っていた。
---身長は他の奴らとそう変わらないのに、存在感が全然違う。&br;あいつらは紙屑みたいに吹っ飛ばせたけど、こいつは鉄か何かみたいに重そうだ。そんな感じがする。
---「どこへ行く気だ?」&br;落ち着いた声、武器も持っていないのに。よほど自信があるのか?
---「外だよ」&br;こんな所に閉じ込められたままなんて、もう嫌だった。動かないなら無視して突っ切ろう。
---「外に出てどうする? お前はここでしか生きられん」&br;捕まえようというのか、僅かに体制を変えながら語りかけてくる。
---「知るもんか、閉じ込められるのはもう嫌だ」&br;ぶつかる直前で向きを変える、そのつもりで真っ直ぐ駆ける。受け止める気なら、それでかわせる。
---「それだけの力があれば、ここでも地位は掴める。私に従うなら施設からは出してやろう」&br;「いやだ、お前もこいつらの仲間だろう? そんなのと一緒なんて」&br;「黒い手」からも敵意が伝わってくる。こいつは、嫌いだと。
---「お前の仲間でもあるさ」&br;男の目が、変わった。すり抜けようとした俺の手を掴み、そのまま宙吊りにする。&br;「俺に仲間なんて居ない!」&br;身体を屈め、両足で男の胸を思い切り蹴る。
---男の手からは逃れられた、だけど、打ち付けた背中が痛い。&br;男は、倒れていない。効いていないのか?&br;「お前は、俺の複製だよ。そして同じ処置を受けている」&br;男の顔が、手が、獣の毛皮に覆われていく。&br;「まあ、私の方が高度ではあるがね」
---痛む背を曲げ手をついて、それでも体を起こす。ここで諦めたらなんにもならない。&br;「なんだそりゃ……自慢してんのか?」&br;「事実だ。だがお前はその力を手に入れた、ただの捨て石にはならんさ」&br;言ってる事はよく分からないが、一つだけ分かることがある。こいつは嫌いだ。&br;「だから……なんだってんだよ!」&br;気に食わない、ただそれだけの思いで拳を振るう。
---「そこらの野良猫じゃ虎には敵わんよ。そいつを使いこなさんとな」&br;あっさり拳を受け止められた。爪が食い込み、血が玉を作る。&br;「逃げたって、なんにもならんぞ。学もなにも無いお前にできるのは賊か、冒険者くらいだ。&br;どちらにしても捨て石には変わらん。それよりも、俺の下でそいつを使いこなせるようになれ。悪いようにはせんさ」
-''Advanced-1''
--完成された個体は、出来損ないに加えられたものを求める
-''Advanced-2''
--新たな個体は「彼ら」のようで、しかしより洗練されていた