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#menu(empty) CENTER:このページは[[個人企画/聖杯戦争]]のランサーペア（[[カテン>名簿/480600]]＆[[トラフキン姉妹>名簿/479955]]）のログページです。~ CENTER:http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079396.png |CENTER:'' - お話目次 - ''&br;下から順にお読みなさる。| |CENTER:'' - お話目次 - ''&br;下から順にお読みなさる。&br;続きのお話は[[こちら>:太陽と月の姉妹と夜明けの騎士2]]。| |BGCOLOR(#ffffff):300|c |#contents| CENTER:http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079396.png *太陽と月の姉妹と夜明けの騎士の誓い [#rfe46d04] |>|BGCOLOR(#ffffff):|c |>|http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''アサシン戦直後の夜・「春吉」からの帰り道。''| |>|・&COLOR(#0097a2){（「春吉」の帰り道、とぼとぼとカテンの前を歩く。廃墟だらけで、明かりもぽつぽつ少なくて、真っ暗に近い）&br; （肩を落として俯いて…落ち込んでいるように見えるけれど、そうじゃない）&br; （小さな少女は、その幼い心で一生懸命考えていた）&br; （アイリスに言われたこと、那智が言ったこと、先生が言ったこと）&br; （アサシンとカテンの戦い……全部を思い出して）&br; &br; （命を願いを犠牲にして、それでも綺麗でいたいなんて、おかしいことだってあの子は言った）&br; （でも、そうなんだろうか）&br; &br; &br; ''「誰かの犠牲の上に私達は立っている……今の食事ですらそうよ」''&br; &br; &br; （何度も何度も、その言葉が頭の中で響く）&br; （那智は彼女の妬みの言葉だといった）&br; （それでも彼女の言ったことは彼女自身が悩み考えた果ての答えのように聞こえたから…だから、一言で忘れてしまっていい事ではないはず）&br; &br; （ただ食べられなければどんな動物も死ぬように、自分も聖杯が手に入らなかったら死ぬだけ。生きることに綺麗も汚いもない）&br; （だからアイリスの言う事は正しい。生きることは命を踏みにじること、その命に綺麗なものなんてない…醜いものはあっても）&br; &br; &br; （後ろを歩くカテンを振り向く）&br; （大好きな青い瞳が、片方だけで自分を見下ろしていた）&br; （その瞳を無言でじっと見つめながらあの少女の言葉を考える）&br; &br; ''「誰かの犠牲の上に……」''&br; &br; （……私の願いのための最初に犠牲になった人）&br; （聖杯戦争で最初の後悔。この人に縋るんじゃなかった、サーヴァントというものをもっとよく考えるべきだった）&br; （死して尚戦わせるという事。両腕と片目片足を無くし、他にも沢山失ったものがあるはず）&br; （……その果てに待つのは安らかな眠りではなく……終わりのない戦い）&br; （「英霊」になればこの先他の聖杯戦争でも呼び出される可能性がある…自分の命のためにそんな存在にしてしまった）&br; &br; （彼はその道を選ぶのは自分のためだと言った。自分の意思だと言った）&br; &br; （私はその心を志を、燃える青い炎を、とても綺麗で尊いものだと思う）&br; &br; （……そうだよ。命を犠牲にして生きていても、人はこんなに綺麗じゃないか）&br; &br;&br;&br; （彼を召喚した教会の前で立ち止まり、右手を引っぱる）&br; ……先生、私考えたことがあるのです。そしてお願いがあるのです。聞いて下さいますか？}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-15 (火) 18:57:15};| |>|・&color(blue){（自らの前を短い歩幅で、肩を落として歩く少女を、ぼんやりと見下ろしていた）&br;（見つめる先は地面だ。だがそこから感じられるのは落胆や後悔ではなく、思案）&br;（彼女は思考していた。短い人生経験と、限られた環境、人間関係のなかで得てきたすべての経験を生かして）&br;（今日の経験を。敵である者たちの言葉と、自分自身の答えの意味を）&br;（それが感じられたから、いっさい声をかけることなく、ただついていっていた）&br;（アイリスも、那智も、間違ったことは言っていない。それを「違う」と断ぜられるのは）&br;（彼らのように、自分なりの答えと意志を持つものだけだ。そうでないものは、否定する資格さえない）&br;（闘うとはつまりそういうことだ。同調し、従うだけならば誰でもできる。だが、対することはそうではない）&br;（そのためには、自分自身で考え、自分なりの意志と覚悟を見せねばならない。聖杯戦争に限らず、人と闘うとはそういうこと）&br;（その結果として誰かを犠牲にしたのなら、それを背負うこともまた、闘うためには必要なのだと。男は考えていた）&br;&br;（弱肉強食は自然の理である。人と人との間でも不可避であり、争い合うと決めたならばそこには勝敗という概念が必ず生まれる）&br;（敗北の結果、それは犠牲となる。だがそこで終わりはしない。誰かを犠牲としたものは、犠牲としたものを背負わねばならない）&br;（その覚悟がないなら、犠牲にすること、犠牲にしようとしないことを否定することは、やはりできないだろう）&br;（アイリスはそれらをひっくるめて、エゴイズムとして飲み込むことを決め、先のような言葉を投げかけた）&br;（那智はそれらを知った上で、人を論うことを否としそう言った）&br;（生きること、闘うことにキレイも汚いも、善も悪もないように）&br;（そのどちらの言葉にも、また是も否もありはしない。はたしてマルチナは、対立するそれらを受け止めて何を見出すのか）&br;（そんな風に考えていたら、彼女が振り向いた。何も言わずに、片目で見返す）&br;（無限の戦いを生き抜いたその姿は、まさにマルチナのエゴのために身を擲った末の姿）&br;（男はその姿に至ったことを悔いてはいない。だが主が、それに引け目を感じていることは理解していた）&br;（体を失った。大切な人を亡くした。友を喪い、敵を殺し、いくつもの世界さえも手放してきた）&br;（慣れている、といえばそこまでだが……本人以外から見れば、それを苦境と見ることも自然だろう、と）&br;（だがたとえ、主であれ誰かであれ、自分以外の何者かがその様を嘆き、そうしてしまったことを悔やんだとしても）&br;（やはり男はそれを笑う。「自分で決めたことだ、だからいいじゃねェか」と一笑に付す）&br;（否定されたならば全力でぶつかるだろう。元に戻せると言われたならば、その誘いをはねのけるだろう）&br;（誰かのためではない、己のため。己の意志で選び、己の力で歩んできたその道を、誰よりも肯定するのは自分自身だ）&br;（男は考える。そうしている限り、命を捨てるものであれ、自分の意志で選ぶなら）&br;（それは他者に存在理由を拠らせず、己のためだけに在り続けること）&br;（すなわち、エゴイズムのために他者を犠牲にし、生きながらえ、善悪を悩むもの）&br;（人間にほかならないだろう、と。その強固な意志は、宝具としてその身に宿るほどに、研ぎ澄まされていた）&br;&br;（感覚のない右手を引かれ、首をかしげる）&br;ン？ あァ、いいぜ。聞いてやるよ。どうした？}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-15 (火) 19:30:10};| |>|・&COLOR(#0097a2){（夜は更けきって、月も沈みかけている…今日は沢山の事があった。一日だって思えないくらいに）&br; （遠くの空が白い。少女は彼の手を引いて、誰もいない教会の中、鐘撞き場へと上がる）&br; 足元気をつけてくださいね。ここ、とても古いですから。&br; うー…やっぱり夜明け前は寒いですね……でも、ここなら、月も太陽も見えるのです。&br; （腕をさすりながら、白く消えて行く月を眺める）&br; &br; ……私達は''「太陽と月の姉妹」''だとオーナーに言われていました。&br; 陽の光のあるうちは私の時間、月の光のあるうちは姉様の時間。&br; ''だから誓いを立てるのはきっとこの時間が相応しい。''&br; &br; （そう言って、彼の青い瞳を見つめる）&br; （今も昔もたった一つ変わらない、優しい光を）&br; &br; &br; 私、決めたことがあります。この先戦い続ける中、絶対に守る事。&br; 先生にも守ってほしい事です。&br; &br; さっきずっと、同席した二人のマスターの言った事を考えていました。&br; 特にあの女の子の言ったこと……。&br; &br; ''「誰かの犠牲の上に私達は立っている……」'' &br; 私は、これから１２人のマスターとサーヴァントの願いと命を犠牲にして、生きるために聖杯を手にします。&br; その上で卑怯なことはしたくない。それはあの子は選ぶ事もしない子供のごっこ遊びだと言いました。&br; &br; （今思い出しても、あの子の暗い瞳と声が胸を苦しくさせる）&br; （考えたくない、わからないと子供でいることへ逃げてしまいたくなる）&br; &br; ''……でも、それでも。''&br; 私は卑怯なことはしたくない。間違っていると思う事を生きるためだと見ないふりをしたくない。&br; &br; それがただの偽善で欺瞞でも。&br; &br; &br; ''先生、私達はこれから先戦いで卑怯だと思うことはしません。''&br; ''だから先生も、同じようにしてほしいです。''&br; &br; ''…そして、子供…いえ、マスターの命を奪わなければならない時は、&br; 私の命令を待ってからして欲しいんです。''&br; できれば自分でやりたい。これは、私の命のための戦いだから……でも、&br; それがただの足手まといになると思った時は、''私達が貴方に「殺せ」と命令します。''&br; &br; せめて、私の意志で命を奪いたい。きっとそれが何も出来ない私が背負える事。&br; &br;};| |CENTER:[[http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020520.jpg]]|&br;&COLOR(#0097a2){&br;&br;&br;&br; （私は後悔しています。先生を英霊にした事を）&br; （でも、先生は自分の意思で決めた事だって）&br; （そう笑うと思うから、言いません）&br; （後悔したって先生を英霊にしてしまったのは変わりない）&br; （ここで足を止めれば先生の存在が無駄になってしまう）&br; &br; （だから、それならばせめて）&br; （未来の果てから約束を守りに来てくれたこの人の前で）&br; （私は綺麗で正しくあろうとしていたい）&br; （貴方が守ってよかったと）&br; （永劫の争いの鎖に囚われる事になっても、悔いはないと）&br; （そう言ってくれるような人間になりたい）&br;};| |>|&COLOR(#0097a2){&br; （朝日が昇る。白い月が消えて行く…世界に鮮やかに色がついていく。その中で少女は凛とした声で高らかに） &br;&br;&br; ''……太陽と月に誓って。私は貴方の誇りになるよう、戦います…！！！''}; &br;&br;&br;-- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]]&new{2012-05-15 (火) 21:47:39};| |>|・&color(blue){（夜が西へと消えていく。蒼くも赤くもない月が地平線へ消えていく）&br; （それは男が異世界で望むことのできなかった光景。なぜならば）&br; （故郷においては侵略者が赤の月を昇らせ、守護者達が蒼の月を掲げたから）&br; （エミュレイターとウィザードの争いがある限り、けして<月門>の色は金色にも白にもならない）&br; （夢見る神が生み出した泡沫の如き世界においてさえ、つかみとれなかった当たり前のもの）&br; （それがこうして見えることに、男は今でも奇妙な感慨を抱く）&br; ン……あァ、心配ねェよ。底が抜けちまうかもしれねェがな。&br; （冗談めかして言いつつ、同じように消えていく月を眺めた）&br; （逢魔が時とは違う、灰色の刻。何者にも染まらぬ、自由な時間）&br; （マルチナの言葉に一瞥した。さぁ、と風が吹き、外套をあおる）&br; （青い瞳が蒼を見返す。変わることのない意志の強さを以て）&br; （其れは不変の光。男自身が放つ、人としての輝きだ）&br; &br; （そして誓言が灰色の空のもとに果たされた）&br; （彼女が、いや、彼女たちが、二つの心には窮屈すぎる体の中で決めたこと）&br; （それは最も辛き道。逃げもせず、隠れもせず、されど蹂躙もしない生き方）&br; （闘うことも、倒すことも、逃げることも、諦めることも、失うことも、得ることも）&br; （何からも目をそらさず、すべてと向き合い、背負うと決めた覚悟の言葉）&br; （並大抵のことではない。今口にしたとて、心が折れてもおかしくはない）&br; （それは無限の転生を、そのように歩んできた男が一番良く知っている）&br; （だからこそ誰かに背負わせはしない）&br; （自分のものだと。この苦痛も、喜びも何もかも、自分だけのものだと言い張り）&br; （背負う。そうやって生きてきて、今、ここにいる）&br; （その背中を追うように。自らの主であることを望んだ少女たちもまた、それを選んだ）&br; &br; （何も言わずに、葉巻を取り出す。高々と意志を叫んだ少女に背を向け、火をつける）&br; （視線の先には登りつつある朝日。灰色を白へと染めていく）&br; （男はかつて夜闇の魔術師だった。陽光を守るため、夜の闇を駆ける戦士だった）&br; （光を疎んじ、背を向けたこともあった。羨むように見て、苛立ったこともあった）&br; （だが、その夜の戦いはもはや、終わった）&br; （この世界へやってきたときに）&br; （己の死を以て終わるはずだった戦いが終わった時に）&br; （ゆえに、"騎西"という名を示すknight-westに）&br; （「太陽が東から昇り、夜は西へと追いやられた」という意味を持つnight-westの意味を込めたのだ）&br; （そしていま、自分はまた夜の闇の中にいる）&br; （それは憎悪のためか？）&br; （否である）&br; （祈りのために）&br; （醜くも気高く、病めど健やかであり、尊くも悍ましく、欲望であるがゆえに純なる願いのため）&br; （其れを叶えるため。また、尊き願いを踏みにじるため、ここにいる）&br; （己の意志で選んだ）&br; （その選択肢を与えたものもまた、己の意志を今、言葉にした）&br; （人は己を写す鏡だ、と男は考える）&br; （男が不機嫌ならば、それを見た人もまた顔を顰めるだろう）&br; （男が笑っていれば、それを見た人もまた笑みに変わるだろう）&br; （ならば己がただまっすぐにあり続ければ）&br; （誰かもまた、まっすぐに在り続けるはず）&br; （自分のために何かを成し遂げるということは）&br; （すなわち、自分以外の"全て"のために、何かを成し遂げるということ）&br; （背負うもののため）&br; （対するもののため）&br; （敗者のため）&br; （傍観者のため）&br; （進む先には未然だけがあり）&br; （あとにはただ必然だけが残る）&br; （その生き方は今、確かに伝わっていた）};&br;| |&color(blue){&br; （男が振り返る）&br; （白み始めた空に、蒼灰色の煙が舞った）&br; （笑っていた）&br; （笑って、ひとつしかない光で、輝かしいほどの気高き少女を見返した）&br; それでいい。&br; 辛いことがありゃ、どこかで折れるかもしれねェ。&br; それでもいい。&br; あるいは、曲げて、もっと大事な何かを為したいと思うかもしれねェ。&br; それもいい。&br; 自分自身で考えて、「自分はこうだ」と思うこと。&br; それだけはやめるな。&br; それだけができてりゃア、たとえそれが果たせなくても。&br; お前自身も。&br; お前のそばにいる人たちも。&br; お前と対する全ての人も。&br; きっと、自分自身を持ったまま進めるンだからな。&br; &br; （男は己を夜へと置く）&br; （それは太陽からの逃避ではない）&br; （陽が登るためには、夜もまた必要だから）&br; （夜を切り裂き、夜に生きるものが必要だから）};&br;|CENTER:[[http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020527.jpg]]| |>|&color(blue){誓うぜ。&br; （そして言葉を、放つ）&br; &br; ''アンタがオレの、マスターだ。''&br; &br; （太陽と月の姉妹へと、誓いを立てた）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-15 (火) 22:35:25};| *願いを持つものたち [#bfc01da7] -http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''アサシン戦直後の夜・自室'' --&COLOR(#C41A41){（アサシンと戦った場所から離れ、隠れるようにしてアパートの非常階段から昇り部屋に入る）&br; （住人に二人の姿を見られたら厄介だ。カーテンを閉めてカテンをいつも座っていた椅子に座らせる）&br; （…いつもはそれなりによく喋るはずなのに、女は必要なこと以外は話さない）&br; （なぜか彼の顔を見るのが怖くて、ずっと俯いていた）&br; &br; （魔力供給を強めれば切り離された腕をつなげることができると教わったので、彼に触れて魔力回路を開く）&br; （ターコイズブルーの瞳がうすぼんやりと光を放ち、カテンに魔力が注入されていく……）&br; ……これでつながるのか、その腕は。&br; ……腕、もうどちらも無かったんだな……そりゃ妹もごつごつした手だって思う訳だ…。&br; （消えて行く傷口を指でなぞりながら呟く）&br; &br; ……すまなかったね、名前、呼んじまって……酷い失態だ。}; -- [[キリル>名簿/479955]] &new{2012-05-13 (日) 16:43:57}; ---（口で腕を噛み、左手でキリルを抱える格好。あちこちの建物を軽々と跳躍して飛び石めいて行き来し）&br;（アサシンの気配遮断には劣るが、足取りを掴むにはサーヴァント並の力がなければ難しいよう、十分に追跡を警戒した上でアパートに戻る）&br;（うつむくキリルに声をかけることもなく、椅子に座るともう一度血を吐き出した。幸い、床は汚れなかったが）&br;けほ、ぐ……あぁ、とりあえず、アレだ。魔力を流しこンでくれ、あとはこっちの体がなンとかする。&br;（口元を拭いながら指示を出し、やがて魔力を感じれば、押し付けられた腕の切断面が淡く輝いた）&br;まァ、な。さっき見せたあの宝具、あいつはオレの体も燃やしちまう。使ってる内に、真っ黒焦げってわけだ。&br;（謝罪の言葉にはひとまず応えず、懐から葉巻を取り出すと火をつけた。すでに格好はスーツとコートに変わっている）&br;ふゥ……しゃアない、はじめての実戦だ。技術はともかく、対人を想定した魔術師としての動きはそう訓練してなかっただろうしな。&br;（それ自体は問題ない、とばかりに首を振り、次いで右腕の調子を確かめる。手袋を外せば、そこには無骨な青銀の義肢）&br;で。どうだ、実際に観てよ。オレも他のサーヴァントがどれだけの力を持ってるかは割りと未知数だったが。生き残れてよかったぜ。 -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-13 (日) 16:58:19}; ---&COLOR(#C41A41){…タバコの前に血拭いなさいな（心配そうな、ちょっとあきれた顔で葉巻を奪うと口元の血をタオルで拭って、また葉巻を戻してやる）&br; （洗面器にタオルを浸して血を洗い、赤く濁る水を見つめる。全く動けないどころか、大事な真名まで漏らしても彼は自分を責めない）&br; また難儀な宝具を使ってるもんだよ。自分まで燃やしてしまうなんて…なんだか、あんたらしい気もするけど。&br; （妹の願いを「自分のために」叶えると言って指切りをした姿を思い出して、そんな事を口にする）&br; （人の願いも悲しみも痛みさえも全部自分のものにして背負おうとするような、そんな姿を思わせる宝具だ）&br; そうだね…素直に言わせてもらうと「化け物同士の戦い」だって思ったよ。あたしもたいがいだけど…あの生首の女はマスターだっていうし&br; アサシンとあんたの戦う姿は目で追うのがやっとさ。……あんな子供までいるなんて……思わなかったよ。&br; （タオルを絞り窓際に干して振り返る。明かりを青く反射する金属の義肢が見えた）&br; （……妹の頭を撫でていたあの温かい手は、もう無いのだ）&br; …………それにあんたが、あんな子供を殺そうとするなんて…思わなかった。&br; （彼は変わってしまったのだろうか。それとも、自分が知らなかっただけか。カテンの目の前に立ち、戻ってきて初めて、彼の顔を見る）}; -- [[キリル>名簿/479955]] &new{2012-05-13 (日) 20:42:54}; ---おう、悪ィな……たく、霊体になっても血は流れるし内臓やられりゃこのとおりだ。&br;ま、血も吐かなくなったらいよいよ人間やめちまってるからこれでいいけどよ（椅子に深く背を預け、嘆息した）&br;お前らから見た「今」のオレも同じ力を持ってる。けど、「今」のオレの体がこの炎で燃やされることはねェ。&br;ここにいるオレの体が燃えるのは、つまりオレがサーヴァントであるって証明だ。こいつは、人でなしを善悪の区別なく消し去るモンだからな。&br;（だからこそ。かつて仇敵を追っていた頃の、「鬼ごっこ」に興じていた自分もまた、その炎によりこころと体を焦がされた）&br;（分岐した世界の果てでもまた、男は英霊であることを目指すうち、再びその炎によって体を喪ったのである）&br;あの生首はアーチャーのマスター、らしいな。話には聴いてたが、ありゃ不死者の類だろう……アサシンのマスターもだいぶガキだったが。&br;それどころかマルチナよか小さなガキもマスターにいたよ、ライダーに守られてたみてェだな。話に聴いただけじゃ、すでにバーサーカーのマスターも動き出してる。&br;（手袋をはめ直し、肩を回した。そして、自らの正面に立つキリルの顔を見返す）&br;マスターを直接狙うってのは、立派な戦略の一つだ。あンなガキであれ、令呪を持ち、サーヴァントを従えてる以上お前と同じ資格者なンだからな。&br;正直、オレはあのガキに対するカマかけのつまりでやったンだがね。生き残ったのは、アイツ自身の抵抗意志の証左だよ。&br;……で？ お前はどう思う。オレが、あンな年端もいかないガキをぶっ殺そうとしたことについて。肯定するか、否定するか。 -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-13 (日) 21:01:39}; ---&COLOR(#C41A41){…そう。じゃああの青い炎はあたしも燃やせるんだろうね。&br; （人ではない。当たり前だ、英霊なのだから。そうなるように彼に願ったのだから）&br; （だけど、どうしてだろう……酷く後悔してる。自分も、妹も）&br; （助かりたい一心で彼に縋った。それに彼は答えてくれた。とても幸せな事なのに）&br; （…カテンを人でなくしてしまった。取り返しのつかない大事な何かを失わせた気がして）&br; （けれどそれは口にする事はできない。願ったのは自分達なのだから）&br; （……ただ、泣き出しそうな顔にはなってしまったかもしれない）&br; &br; 不死者か…（娼館の主、小さな少年を思い出す。アサシンのマスターの少女も、そういう類なのだろうか）&br; （…中身は大人であれば、まだやりやすいのに）&br; （彼がこちらを見ると、少しだけおびえてしまった。戦略といえど子供を殺すことを躊躇わないような口ぶりに）&br; （ぐっと唇を噛み締める。それをさせてるのは自分だ。怯えてどうするのだと）&br; …あたしは…あたしは……&br; （どう思うか、''そんなの嫌に決まってる！！''二度とするなと気持ちでは叫びたい）&br; （……でも、そんな事では、そんな気持ちじゃ、この戦いに生き残れないだろう）&br; （わかっているんだ、妹を助けるためには仕方のないこと。目の前の青年を人ではないものにしてまで求めること）&br; （躊躇ってはきっとだめなんだ。でも……）&br; （言葉の続きを口にすることはなく、ただ首を振った）&br; ……ごめん、今は答えられない……ちょっと、感情的になりすぎてる。&br; （ふーとため息をつくと、自分の両頬をぱしんと叩いて）&br; &br; ……ん、さっきの話だけど、色々とあたしの知らない間に見てまわってきたようだね。&br; 外に飯でも行こう。いい店があるから、そこで食べながら話そう。&br; （無理矢理笑顔を作ると、ショールを羽織って家の扉を開ける）}; -- [[キリル>名簿/479955]] &new{2012-05-13 (日) 21:31:46}; ---ンな顔するなよ（キリルに対して、葉巻をくわえた男は笑っていた）&br;たしかにこの力はオレさえも灼く。けどよ、オレは人間をやめたつもりなンてこれっぽっちもねェ。&br;オレは人間だ。人間で沢山さ。そうでなきゃ、自分のために闘うことなンて出来るわけ無いだろ？&br;人だからこそ、限りがあるからこそ、オレ達は抗うンだ。運命、てェヤツにな。&br;（そのふてぶてしいまでのエゴイズムは、宝具の形にまで昇華されている）&br;（だが今はサーヴァントであることを選んだ。その選択することもまた、男が己を人と驕る証左である）&br;（そして、言葉を選ぶような、吐き出したいものをこらえるような焦燥と苦悩）&br;（その様子を、じっと見つめる。それこそが重要なのだと言わんばかりに）&br;（事実その通りだ。己の意志のために他者を蔑ろにする、その外道に対し、悔み、憤る心を忘れてはならない）&br;（躊躇してはならない。事実だ、だが''躊躇しなければならない''のだ）&br;（必然を必然と受け入れた時点で、人は歩みを止める。いかなる必然、偶然、当然にさえもなお、「それでも」と叫ぶこと。男はそれを求めていた）&br;（だからこそ、今ここで端的な答えを出すのではなく、己を激したキリルの振る舞いに、にやりと笑う）&br;それでいい。感情で生きることを忘れたら、人間は終いだぜ。&br;どれだけの聖人であれ、己を律しようとする意志があるとしたら、それは「己を律する」っつー感情のもとに動いてる。&br;それさえもなくなったらそいつは機械さ。オレは、ンなヤツとコンビを組むつもりはねェからな。&br;（同じく笑い、コートを翻してその後に続いた） -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-13 (日) 21:44:51}; -''ラーメン屋台・春吉'' --&br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079876.gif &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079913.jpg &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079861.gif -- &new{2012-05-13 (日) 21:39:35}; ---&COLOR(#0097a2){（やってきたのはスラムの入り口、明らかに安全とはいえない場所に無防備にぽつんとあるラーメンの屋台）&br; （カテンを先導するのはマルチナ。手を引いてにこにこと歩く）&br; （交代したのはキリルが考え事をしているからとか、頭を使うのは妹の仕事だからとか、そんな理由）&br; （少女は姉の記憶もある。けれどカテンが子供を殺そうとしたことにも、あの戦いのことも何も言わなかった）&br; （……何か思うところはあるようだけれど。手を握る力はいつもより強め。どこか不安を感じているのかもしれない）&br; &br; ここですよ！はるよしというのです！&br; おじさんーにんにくラーメンチャーシュー増しお願いします！！あとウーロン茶！！&br; 先生はなににします？あ、おでんもありますからね？&br; （暖簾を上げて店主の前の小さなカウンターにつくと慣れた様子で注文。カテンを振り返って手招き）&br; （店主も彼女を良く知っているらしく「マルチナちゃん、新しいお父さんかい？」と聞いてきた。真っ赤になって違うと首を振っている妹）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-13 (日) 22:03:11}; ---新しい、て。せめて生き別れの親父が見つかったとか言ってくれよオヤジ。&br;（手を引かれている間、特に先ほどのことに触れようともしなかった男が苦笑する）&br;しかしまたオヤジくせェ店知ってンな。キリルが仕事明けに使うとかか？ らしいチョイスだよ。&br;（暖簾を窮屈そうにくぐり、店主に会釈する。マルチナとは顔見知りなのだろう）&br;あー、オレはとんこつラーメン特盛、味玉メンマチャーシューマシマシにライス大盛りと生中。野菜も多めで頼むわ。&br;（体格に見合う大量の注文をこなすとカウンターに座る。さすがにいささか窮屈だ） -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-13 (日) 22:12:15}; ---&COLOR(#0097a2){ふふ、顔立ちも髪の色も違いますからね？この方は家庭教師の先生なんですよおじさん！&br; （カテンが隣に座ると、ちょっとだけ彼のほうへと移動する。近づくと食べにくいけれど、子供はくっつきたがるものだ）&br; 先生そんなに食べられるんですか？食べられなかったら手伝いますね？&br; （ほどなくして出された目の前の品を見て目を丸くして、割り箸を割る）&br; いただきます！！…はふはふ…ここは姉様が帰り道によく寄るんですよ。&br; おでん持ち帰りもやっているので私のお土産に買ってくれたりするのです！えへへ…煮卵ともち巾着がおすすめですよ。&br; &br; （食べながら他愛の無い話を続けて…ラーメンも残り少なくなった頃に、ようやく本題）&br; （たまごをおつゆにつけながら、隣のカテンを見上げて）&br; …先生、さっきの姉様との話の続き、私にしてください。他のサーヴァントや…マスターの話を。&br; あ、おじさんは大丈夫です。口固いですから！だから姉様もよくここへ来てて…。&br; ……その、マスターに、私より小さな子がいるって、本当ですか？}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-13 (日) 22:26:54}; ---そうそう、家庭教師な。ついでに言うとボディーガードってとこかね（嘘ではない）&br;（やがて運ばれてきた品を前に、こちらからも軽く身を寄せてやりながらマルチナを見て）&br;ン？ まァな。これでも食は細くなったほうだ。&br;あァそうだ、割り箸割ってくれるか？ この手だと力の制御がやりづらくてよ（両手の義肢を晒して笑った）&br;（そして割ってもらい、キリルの話を聞いて「まったくあいつは」と笑いつつ、麺をすすり）&br;&br;あーオヤジ、おでん追加。ハンペンとコンニャク、あと巾着にソーセージな……と。&br;ン、そうだなァ……（頭をかいて、少々考えた後）ま、そうだな。手前ェも知るべきか。&br;（そうして話す。アサシンやライダー、それらのマスター、シルキィから聴きだしたバーサーカーなどについて） -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-13 (日) 22:36:22}; ---&COLOR(#0097a2){（割り箸を嬉しそうに割ってあげて、なんだか自慢げ）&br; （あっというまに料理をたいらげさらに追加注文するカテンを「信じられない」といった顔で見て）&br; わ、わたしも！もち巾着とはんぺんお願いします！（なんとなく対抗意識）&br; （そして食べながら話の続きを聞く……）&br; &br; ……以外と、女の人が多いのです。&br; （食べかけのはんぺんをつつきながら呟いた。姉同様女子供と戦うのは気が引ける）&br; （覚悟は決めていたはずなのに…）皆おっかない男の人ならよかったですね。&br; これからどうやって戦っていきましょうか……あの不死者のマスターも気になりますし…&br; バーサーカーのマスターも女性のようですね。&br; （ぽつりぽつりと取りとめのない言葉。少女なりに戦略を考えているのだろう）&br; （どうやって戦っていくべきか。彼に聞いてみようか、英霊になるほどの戦士なのだ、それが一番良い気がして）&br; （でも、その前に）&br; ……私、その、森で色々話してくれた子と会ってみたいです。&br; マスターというのは、どういうものなのか、知りたい。}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-13 (日) 23:01:35}; ---（教会からの帰り道、森から随分離れてしまい魔力にそう余裕もなく）&br; （霊体化して付き添ってくれているライダーに先日のサーヴァント…ランサーがいる、と聞いた時少女は大いに戸惑った）&br; （気づかれぬうちに逃げるべきか、と。）&br; （…しかし、ランサーの傍らにいる少女は、ひょっとして彼のマスターなのだろうか…）&br; （キメラの背の上で迷って迷って、自らのサーヴァントにこわごわ了承を得てから）&br; &br;…あの&br; （のれんの向こう、夜の闇の中から聞こえる車輪の音と細い声。）&br; （噂をすれば影。車椅子に乗った少女がそこに居た） -- [[シルキィ>名簿/480589]] &new{2012-05-13 (日) 23:14:54}; ---&color(blue){そうだなァ、けどオレとしちゃ納得だよ。&br;言っちゃ悪いが、男と女で我欲が強いのは女のほうだ。&br;わがままは女の武器とも言うだろ？ 殺し合いじゃなきゃ愛嬌なンだろうが、ね。&br;（なまじ、女の姿をとる仇敵を追い続けていただけに、それはよくわかる）&br;（そしておでんをつつきつつ、マルチナがそんなことを言い出せばきょとんとしたあとくすりと笑い）&br;それなら重畳だ。……すぐそこにいるからな。&br;（ライダーがこちらを感知したように、こちらもまたライダーを感知している）&br;（そして彼が一人で出歩くはずはあるまい。思った通り、そこには白の少女）&br;よう。また会ったな、名前聴いてなかったけどよ。&br;（ひらりと手を振り、一瞬考えてから、口を開いた）&br;ランサー、もといカテン・ナイトウェストだ。こっちのはマスターのマルチナ、よろしくしてやってくれ。&br;（あっさりとそう言って、マルチナの隣を勧めた）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-13 (日) 23:38:45}; ---&COLOR(#0097a2){…そういうもんですかね（自分も女だ。納得できるようなできないような、そんな気持ちで呟く）&br; （はんぺんを口に入れた瞬間、後ろから小さな声が聞こえてきて、あれっ？と振り返る）&br; （子供の声だ。こんな時間に、スラムの入り口で…子供？）&br; （不思議そうにきょろきょろしていると、カテンの口からとんでもない事実）&br; （路地の影に見つけた少女……車椅子のこの子が、マスター？）&br; （二人を見比べてなかなか声が出せないでいる）&br; （でも、会ってみたかった子が目の前にいるのだ。自分より年下の子供と話すのは何年ぶりだろう）&br; 先生、椅子ちょっとあけてあげてください。車椅子入れるように。&br; （そう言って椅子から降りると、少女の方へ歩いていく）&br; &br; ……こんばんわ、なのです。おでんを買いに来たんですか？&br; （赤毛を揺らして首をかしげながら、白いワンピースの少女の青い瞳が、幼いシルキィを覗き込む）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-14 (月) 00:00:53}; ---（まさか今真名を名乗った？と目を丸くして）&br; （それを咎める様子も無く、また自分に対して攻撃の命令を出す様子も無いマスターにより戸惑う）&br; （罠かもしれない…と自分が収まることを想定して開けられたスペースを見ながらもじもじと両手を合わせて）&br; （しかし目の前で揺れる赤毛に、覗きこむ青い目に思わず警戒心が緩む）&br; （少なくとも今まで見てきた他のマスターやサーヴァントより優しそうに見えて）&br; こ…こんばんわ…&br;あの…お、おでん…（困ったように、恐らくそこに彼女のサーヴァントがいるのだろう そちらを見て）&br; …そっか、食べ物なのね おでん…&br; （美味しいの？と小首を傾げる） -- [[シルキィ>名簿/480589]] &new{2012-05-14 (月) 00:23:02}; ---&color(blue){あァ、今の真名なンだよ。うちのマスターはドジでな、黙っといてもバラしちまうだろうし。&br;（キリルの痛烈な失敗を、笑い話か何かのようにけろりと語る。その言葉に皮肉や邪気のたぐいはない）&br;（霊体化したライダーの警戒した視線を受けつつ、開けたスペースに来るよう促し）&br;オヤジ、ちくわとガンモ。ンで、そのあと子供サイズの醤油ラーメン頼むわ。&br;ガキが食うのに適当かはさておき、美味いのは事実だ。いいチョイスしてるぜこの店。&br;ついでだ、ラーメンも食えよ。どうせオレが奢るし。あ、オレ日本酒追加で。}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-14 (月) 00:28:24}; ---（三人が和気あいあいとしているところに、ラーメン屋に入るには不釣り合いな格好の黒いウェーブの髪が特徴の少女が来店する）&br; （…………）&br; （ランサーと、あの子は……それと見たことのない女の子）&br; （三人を横目に、近くの席に腰掛ける。黙って会話に聞き耳を立てるようにしながら） -- [[アイリス>名簿/480571]] &new{2012-05-14 (月) 00:38:31}; ---&COLOR(#0097a2){（赤毛の子供は、彼女がこの店に食べ物を買いにきたのだと単純に思っていて、おでんを知らない彼女を不思議そうに眺める）&br; （そして彼女のサーヴァントがいるらしき方向に礼儀正しくぺこりと頭を下げて）こんばんは！&br; おでんを知らない…？じゃあ、ラーメンでしょうか？それとも知らない食べ物の匂いにつられて…？&br; （そこでカテンの声。名前を聞いて彼女がびっくりした顔してる理由がようやくわかった）&br; …ああ、そう言えば姉様も気にしていましたね…サーヴァントは名前教えたらいけないんでした！……私のはいいんでしょうかね…？&br; まあ良いのです、マルチナをよろしくお願いしますね？私貴女に会ってみたかったんですよ。お話を聞きたくて。&br; 一緒にご飯を食べましょう！あ、先生のおごりのようです！やったっ！先生煮卵追加もお願いします！！&br; （ぱたぱたカウンターの前に戻って、「あ」という声と共に少女を振り返って）…貴方のお名前は？&br; （マスター同士ならいいのかな、そんな風に思って、手招きしながら無邪気に尋ねる）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-14 (月) 00:40:00}; ---（義体では何かを食べるということにあまり意味はない。単純に気分だけの問題である）&br;（だからこそラーメン屋台に目を引かれ、腹が減った――気分になった）&br;ラーメンをいっぱ……。（何ともアンバランスな客に一瞬面食らう）&br;（更に言えば客の内ウェーブの黒髪の女は森にいたあの女だ）&br;（が、なんだか雰囲気がのんびりとしているのでこちらも気を取り直し注文し直す）ラーメンを一杯くれ。 -- [[那智>名簿/409560]] &new{2012-05-14 (月) 00:48:27}; ---（じろり、と自分の後に続いて店内へと入る那智の方へ鋭い目を向ける）&br; （途中で言葉が途切れたのが気になった）&br; （只の客なら言葉が詰まるだろうか？……更に言ってしまえば自身の方を見て少々面食らった様な顔をされたような気がした……のだ）&br; （聖杯の事で考えすぎてピリピリしているだけかもしれない……見たことは無い相手なのだから）&br; （おでんも美味しそう……と思いつつ、ぼんやりメニューを考えるが先にラーメンだけ注文した） -- [[アイリス>名簿/480571]] &new{2012-05-14 (月) 00:53:28}; ---（そのどれでもない、と首を振って）きょ…教会に…&br; そしたらおにいちゃんが…ランサーのおじちゃんがいるって言ったから…&br; （真名とは重要なもので、少なくともサーヴァントにとっては生命線だ…と覚えていた少女は、混乱したまま頷く）&br; あの…真名がわかると…調べられて、弱点とか、わかっちゃうから…&br; …おごり？（おごり、ってなにかしら と再びライダーのいるらしき方へ顔を向けて）&br; （花の咲いたような少女の明るさに気圧される、と同時に惹きこまれていく）&br; （思わず立場も忘れそうになって）あの…シルキィ…&br; （開いたそこへ、車椅子を押そうとする手が止まった。暗闇に紛れる色の髪にドレス）&br; （スラムの、それもこの屋台の中では異様に目立つ少女の姿を目に留めて、明らかな怯えの色が目に走る）&br; （ひょっとして、やはり、騙されていたのか、と車椅子を引いて） -- [[シルキィ>名簿/480589]] &new{2012-05-14 (月) 00:54:49}; ---&color(blue){なるほどな（新たに増えた二つの気配に目を向けもせず、日本酒をぐいと煽る）&br;ま、そうだろ。だから普通は隠す。オレもそのつもりだったが、アレだ。マスターはそうじゃないらしい。&br;何かを隠し、誰かを欺き、虚を突き、敵を屠るってのは立派な戦術だ。&br;オレは実際にそいつをマスターに示してみせた。だが、うちの主人はそれに困惑を見せた。&br;正道を歩みたいってわけだ。たとえ、自分の望みのために、他者の希望を踏みにじるとしても、な。&br;だから飯の席で戦いをやらかすつもりはねェ。言っても信用されるかはわからねェが、ここにおびき寄せたつもりもねェ。&br;ここは戦場じゃねェ、ラーメン屋だ。とりあえず飯、食おうや。&br;（怯えるシルキィの前に、がんもとちくわが運ばれてくる。気前のいい店主はお持ち帰りができるようにしてくれたようだ） };-- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-14 (月) 01:00:45}; ---&COLOR(#0097a2){今日は千客万来なのです。よかったですねおじさん！&br; （アイリスと那智を見ると店主ににっこり笑う。店主も珍しそうな顔をしていたけれど嬉しそうに注文の品を作っていた）&br; （近くはスラム街。でも、二人はとてもスラムにいるような人間に見えなくて、流石の子供も少しだけ不思議に思った）&br; どこかの本で紹介でもされたのかもしれませんねー。でも賑やかなのは嬉しいです！&br; （車椅子の少女が名前を教えてくれたので笑顔はもっと嬉しそうに輝いて）よろしくシルキィさん！&br; もうラーメンできちゃいますよー早く………あれ？どうしたんです？？&br; （急に怯えた様子の彼女をきょとんと見つめて）何か苦手なものラーメンに入ってます？&br; （少女は駆け引きを知らない。二人がマスターな事にも気づいてなくて）&br; （カテンの言葉もその通りだけれど、どうして今言い聞かせるのかよくわからなかった）&br; （でも、多分今ちゃんと答えるのが良いのは解る。おびえたシルキィにきっと必要な言葉なのだろう）&br; …はい。私は嘘は嫌です。ずるい事もなるべくしたくないです。&br; この戦いは私の命を繋ぎとめるのための戦いです。だから何でもしたい。&br; ……でも、命がかかっているからこそ、犠牲の上に成り立つ命だからこそ、&br; せめて卑怯者ではいたくない。そう思っています。私も、姉様も。&br; &br; （離れている少女に手を差し伸べて、堂々と）&br; ……だから怖いことなんて何も無いのですよ。ご飯の時は暴れてはいけないのは皆きっと知っていますし。 }; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-14 (月) 01:14:17}; ---（漏れ聞こえるマスターやら戦場やらの単語でなんとなく状況を理解し、あの女がここにいる理由も分かった）&br;（ので、席を移動し三人の横に座る）面白い話をしているな、俺も混ぜてくれ。セイバーのマスター八神那智だ。&br;（それだけ言って出てきたラーメンを受け取り食べ始める） -- [[那智>名簿/409560]] &new{2012-05-14 (月) 01:09:22}; ---（森であった小さな小さな少女は、幼いながらにも聖杯の知識があると受け取れる）&br; （名前を言いかけて怯える様に縮こまるのを見れば、やはりあの子は私の事を知っている……森があの子のフィールドであり、私を拒んだのであれば 何処から見ていたのであろう）&br; （シルキィを捉えるアイリスの目は、まさに"蛇の鋭い眼光"を思わせて、シルキィを知らず知らずのうちに恐怖に縛り上げる形となる）&br; （それはバーサーカーのマスターである事を知っているからか……それとも、奥底に垣間見える まだ表面には現れていない狂気が子供特有の敏感な感覚で感知したからか）&br; （ランサーの話を耳に、「こいつも善側のサーヴァントか……」と思いながら割り箸を割る）&br; （もし、手段を選ばなかったら昨日の時点で彼女をどうにかしてたわよね……と自身に問い、改めて確認して）&br; （そして、会話に混ざるように自己紹介と自身のサーヴァントをぽろりとこぼす那智に、「自分のサーヴァントの存在まで語るとは……随分と緩やかな……」と思いながら水を飲む） -- [[アイリス>名簿/480571]] &new{2012-05-14 (月) 01:17:35}; ---（そしてどうやらマスターが増えたらしい、とわかれば少女はますます怯える）&br; （そも、ランサーの言葉は難しくて少女にはまだ理解出来ない。罠と思えば総てが罠に思える）&br; （この状況でランサーの言葉を信じきれる程少女は強くなく、また居直って席に着けるほど肝が座っている訳でもなく…）&br; …あ…&br; （差し伸べられた手を見て、右手が震える）&br; （信じたい、と思うけれど）&br; 何もないなんて、ないわ…だって… だって…（その女の人は、と怯えの色もそのままに首を振る）&br; （少なくとも今の少女にとって、絶対的に信じられるのは自らのサーヴァントだけで）&br; （退くも進むも恐怖で出来なくなった少女は、耐え切れなくなったように救いの手を求めて叫ぶ） おにいちゃん……！&br; （ここから逃して、と） -- [[シルキィ>名簿/480589]] &new{2012-05-14 (月) 01:32:14}; ---&color(blue){（シルキィのその振る舞いには、既視感があった）&br;（かつての生徒たち。マスターであるキリル。そして、過去の自分自身）&br;（言葉で屈服させるためのものではない。自分の言葉は、彼女に思考を促すためのものだ）&br;（ここまできて教師気分か、と内心ひとりごちる。エスリーにやってみせたように、これもまたシルキィ自身に己の立場を考えさせるためのものだった）&br;（怯える様子に取り繕ったり、なだめる様子もなく、背を向けたまま二人―――一人と一体―――に手を振り）&br;さよけ。ンじゃ、またな。&br;（事も無げに言うと、ようやく那智とアイリスに目を向けた）&br;と、いうわけだ。うちのマスターは、清濁併せ呑ンで中道を行くつもりらしい。シンドいだろうにな、オレはそれを切り開く役目だけどよ。&br;因果なモンだぜ、オレらはさておき、バーサーカーとセイバーのマスターがそれぞれ勢揃いか（言葉を裏腹に、運ばれてきたゆでたまごをあんぐり食った）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-14 (月) 01:38:16}; ---……了解した、マスター。（屋台の入り口まで歩み寄ってから）……すまない、こういう場は多分に慣れてないんだ。気を悪くしないで欲しい。&br;（尤も、此れから先、再び剣を向け合うかも知れないのだから、余り意味のない弁解だったかもしれないのだが）&br;&br;さぁ、帰ろう、マスター。（訝しげな目を店主に送られたので軽く頭を下げてから、車椅子を押して、屋台を出る）&br;&br;（出てから、考える。マスターの為を真に思うなら。もう少し他人に慣れさせるべきではなかろうかと。もしもまた一人になった時、自分の力で生きていく為にも。）&br;（その為に何を成せばいいのか、それを思案しつつ歩き出す） -- [[ライダー>名簿/480590]] &new{2012-05-14 (月) 01:48:00}; ---&COLOR(#0097a2){マスター？お兄さんも？今日はびっくりする事だらけなのです。&br; やっぱりマスターは名乗っても大丈夫なのですね！&br; ご飯は皆で食べるのが楽しいですしいいですよ！&br; …ね？賑やかな方が貴女も楽し……&br; （人が多くて、楽しかったらこの少女も笑顔を見せるだろうか。そんな幼い考えは打ち砕かれて）&br; （さっきよりも怯えきった表情のシルキィを見て、言葉を失う）&br; ……どうして、そんな顔するんです…？怖くないです…あ、でも、敵になるからやっぱり怖いのでしょうか。&br; でも、でも、今は私……ただ、お話がしたくて……それだけで。&br; （自分より小さな子を怖がらせてしまっている。ただその事に酷くうろたえてカテンを見る）&br; （彼ならなだめる言葉を知っているだろうから。でも、彼はなだめるわけでもなく、あっさりと別れの言葉）&br; …せ、先生……&br; （怖がらせているのに引き止めるのはかわいそうだ、でも…）&br; …せっかく仲よくなれそうだったのに。名前を教えてくれたのに…。&br; （俯き小さな声で呟く。その時、耐え切れなくなった少女の叫びが聞こえて、弾かれたように顔を上げた）&br; &br; （…実体化したライダーは想像して頼りずっと優しそうな人だった）&br; （縮こまる少女の車椅子を押して、遠ざかっていく……それを、何も言わず見送ることしかできなかった）&br; …あ……残念、なのです。&br; &br; （しょんぼり、席について項垂れる）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-14 (月) 01:53:50}; ---クラスとマスターなんぞ遅かれ早かれ分かるものだからな、真名くらいは伏せたほうがいいとは思うが。&br;（怯え、そして逃げ出す少女に目をやり）俺が来たせいかな、すまないことをした。&br;（その言葉はシルキィへ向けたものかそれとも項垂れるマルチナへかは分からないがポツリと呟く）&br;で、お前がランサーとそのマスターか。（仏頂面のままずるずるとラーメンをすする）&br;ま、うちも似たような方針だな。 -- [[那智>名簿/409560]] &new{2012-05-14 (月) 02:07:52}; ---（溜息が出る）&br; ……っていうか、反吐が出るわ&br; （今までの沈黙を破ると、溜息交じりにランサー達の方をじろりと睨みつける）&br; 嘘は嫌。汚い事やずるい事はしたくない……けど何でもしたい？&br; それが既に矛盾しているし、何処が清濁併せ呑んでんのよ（そして、更に鋭い視線がマルチナを捉えて縛り付ける）&br; ……ここはね、学校の道徳の授業の場じゃないの&br; 自分の願いの為に誰かの思いを踏みにじって&br; 蹴落として、絶望を突き付けて それで私は『綺麗でありたい』『正しい事をしたい』……ですって？&br; だったら聖杯の参加自体がままごと遊びよ、あんたにとって&br; というか、そうとしか聞こえない。誰かをこれから傷つけて、サーヴァントを殺す自体にもなってくる……もし、そうなったら「ごめんなさい」って謝るの？&br; やっている事は変わらないのに正しくありたいのは泥水に自分が汚れたくないから？ -- [[アイリス>名簿/480571]] &new{2012-05-14 (月) 02:15:15}; ---&color(blue){（対照的なそれぞれのマスターの言葉に、へ、と乾いた笑みを浮かべる）&br;また痛烈なこったな。けどよ、ンな矛盾はとっくにご存知よ、オレもマルチナも、キリルもな。&br;自分のわがままを叶えるためなら誰かを蹴落とすしかねェ、それがこの聖杯戦争の絶対的なルールだ。&br;避け得ない。どれだけ手段を選ンでも、自分以外のサーヴァントを消し去り、マスターの力を奪い、あるいは殺すことになる。&br;&br;それがわかってるからこそ。&br;その重さ、その暗さ、その矛盾を背負って、なおも前に進む。&br;清濁を併せのむってのはそういうことだぜ。&br;正しく在る、ってのはなにも善の指標に忠実にあることだけじゃアない。正義ってのはつまり、自分自身の中にあるモンだ。&br;（よく煮こまれた薩摩揚げを頬張る。日本酒で流しこんで、ニヤリと笑った）&br;「泥なンてなンだい」、ってことさ。どれだけ泥に塗れても、どれだけの人間に謝ることになっても、その責を引き受け、自分が正しいと信じることを為していく。&br;少なくとも、オレはそれをするつもりでここに来た。マスターがどうなのかは、正直知らンがね。&br;（アイリスを見てから、那智を見る）手前ェんとこはどうなンだ。綺麗事だけで生きるのか、それともそのためには邪道にも踏み込むのか。&br;あのガキはそれをまだ選びきれる状態じゃねェ、だから帰った。だからオレも止めなかった。&br;（最後に、マルチナを見た）&br;お前はどうする？ 選ばずに任せるか、どちらかを選ぶか、どっちも背負うか。&br;マスターとして答えてやれ。これもまた、戦いだ。}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-14 (月) 02:22:56}; ---（皆の話を聞きおえる前に、残りのラーメンを口に運び食べ終えると まくしたてる）&br; 清濁なんて私から言わせれば、呑み込んだうえで自分がどちらに染まるか……だと思うわ&br; &br; まだ呑んでないうちから清濁併せのんで中道なんて言うからガキのままごとだと言わせて貰ったまでよ&br; 正しさね……正義すらも主観であるのは私も同意するわ。あんたの中にある正しさという正義を貫く心意気には同感する&br; 私は私の正義を貫くまで……といっても。それが貴方で言うところの"邪道"であるのでしょうけれど&br; 欲望が渦巻く聖杯で、誰かを貶めて苦しめて悪いだなんて私は思わない&br; 道の選択として問われた答えを返すなら。……寧ろ私は自らその道を選ぶわ&br; （たとえそれが自分の首を絞める行為だとしても）&br; 誰かの犠牲の上に私達は立っている……今の食事ですらそうよ&br; ……御機嫌よう&br; （会計を行うとお店から出て行く） -- [[アイリス>名簿/480571]] &new{2012-05-14 (月) 02:41:41}; ---&COLOR(#0097a2){あ…あの、お兄さんのせいじゃないです。あの子を余計怖がらせてしまったのは多分私なので…す、すみません。&br; よ、よかったら私とお話を……（子供ながらに気を使って、精一杯明るい笑顔で答える。そうだ、まだマスターの人はいるのだし）&br; （あの子にはまた今度、二人でお話を聞こう。そう自分を元気付けて、もう傍らの少女にも同じ笑顔を向けて……）&br; &br; （……けれど、その笑顔もすぐに曇ってしまう）&br; （少女の突き刺さるような言葉。綺麗な子なのに、その言葉はとても暗く、呪いの様で）&br; （そんな風に、憎悪とも取れる気持ちをぶつけられたことが無かった子供は泣き出しそうな顔で押し黙る）&br; &br; （そんな自分の代わりに、カテンが話す。多分自分の口で言わなければいけないこと）&br; （泣き出してカテンの後ろに隠れても、姉に交代してもきっと怒られない）&br; （でも、そうするのは卑怯なのだ。涙こぼさないように瞬きもせずぐっとこらえる）&br; （…カテンがこちらを見て問いかけてきた。泣かないで考える時間を用意してくれていたのだと思う）&br; （だから、ちゃんと答えなきゃ）&br; &br; わたし……死にたくないです。生きていたいから戦います。もうこれしか方法がないから戦います。&br; ごめんなさいって思ったら謝ります。駄目だと思ったことはやりません。ただ、それだけです。&br; 全部にごめんなさいも、全部に知らん振りもできません。&br; 選ぶとか、そういうのは今言うのはできません。&br; 私は、''自分が生きていて恥ずかしいって思わないように生きたい。''&br; …それだけです。&br; &br; （きっとたどたどしい。答えになってないかもしれない。でも、必死に考えて、震えた声で答えた）&br; ……先生、これでいいでしょうか。私の答え、へんですか…？}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-14 (月) 02:53:30}; ---あいつの言葉は自分に出来ないことをしようとする相手への妬みにしか聞こえなかったな。（丼の底をさらって麺を探す）&br;負け惜しみと言い換えてもいいかもしれないが。（全て食べ終えたのを確認するとスープを飲み干して）&br;開き直られると厄介なタイプではある。その兆候は……見えていたな。（水を流し込む）&br;（諭すような物言いのランサーにこいつは苦労性だなとぼんやり思った）&br;（そして少女がたどたどしくもしっかりと答える様子を見つめる）&br;生きていて恥ずかしくない、か。（その言葉を聞いてほんの少しだけ仏頂面が柔らかくなる）&br;さて、質問の答えだがセイバーは正道が大好きだからな。それに準じた行動を取るさ。&br;しかし、それだけではどうしようもない局面はいつか必ずやってくる。その時は俺が邪道に踏み込むことも厭わない。&br;あいつがまっすぐに生きるのなら、俺が多少曲がりくねっても最後は正しい場所へと繋がるはずだからな。（代金をラーメンの器の横に置いて立つ）&br;今度は戦場で会おう。またな。（そのままスラムの暗がりへと消えていった） -- [[那智>名簿/409560]] &new{2012-05-14 (月) 03:03:25}; ---&color(blue){なるほど、な。手前ェらの考えはそれぞれよくわかったぜ、ありがとよ。&br;（去っていくアイリスに手を振る。子供のままごと、その認識は正しい）&br;（聖杯戦争はまだ序幕だ。本当に誰かを犠牲にし、踏みにじらない限り実感など出まい）&br;（それは彼女も、自らの主人も同じ事。自分がやるべきことは、これからなのだと納得し）&br;手前ェは、なるほどな。泥をひっかぶることも厭わない……ハ、気が合うな。&br;（お姫様を守るように過保護になるわけではない。並んで歩き、されど必要なときには己が前を歩こうという覚悟だ）&br;（隻眼で以て那智を見返し）あァ、そのうちな。手前ェんとこのサーヴァントとも闘りあうことになるだろうし、な。&br;&br;（そして、残されたマルチナ。すがるような声に、ぽん、と右手を置いて撫でてやった）&br;上出来だ。手前ェのその言葉、その答えを忘れるな。用意された解答だけを選び取る必要なンてどこにもねェ。&br;前に言ったよな？ 助けて欲しいなら、「助けて」って叫べばいいってよ。&br;泣きたい時は泣けばいい。選べなきゃ、選べないって答えればいい。&br;そしてイヤなモンはイヤと言え。やりたいこと、欲しいものをそのままに叫べ。&br;後はそのままに突き進む。生きるってのは、そういうことだ。&br;実際ンとこ、それもまた言葉でしかねェ。シルキィが、敵に怯えてここから去ったようにな。&br;本当にそれがお前の肩にのしかかった時。辛かったら辛いって、言え。負けちまっても、まァいいだろ。&br;けど、抗うことはやめるな。自分がこう言ったことを思い出して、できる限りは踏ン張ってみろ。&br;……やれやれ、妙な飯になったモンだな。まだまだ聖杯戦争はこれからだ、頑張ろうな二人共。}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-14 (月) 03:12:36}; ---&COLOR(#0097a2){誰かの犠牲の上で成り立っているからこそ、せめてその人たちに恥ずかしくないように生きたい。&br; それは甘いことなのでしょうか…軽蔑されるべきことなのでしょうか…（少女が冷たく言い放ち、さり行く後姿に呟く）&br; （もっと、自分がちゃんと答えられていたらあの子もあんな風に寂しく暗い思いを口にしないですんだのだろうか）&br; （言われた事を必死で考えていると、もう一人のマスター…那智の声）&br; （彼の言葉もじっと見つめながら一つ一つ考える）&br; （きっと今自分はこの二人に、先生にとても大事な事を聞かせてもらっている。この先生きるために大事なこと）&br; （彼の表情がほんの少しだけ和らいだのが不思議だった。嘲笑ではなくて、なんだか、嬉しそうな）&br; …なんだか、お兄さんは先生みたいなこと言うのです。&br; （ほっとしたような嬉しいような顔になって呟く）&br; （セイバーはどんな人なんだろう。真っ直ぐな人。なんとなく自分の姉を思う）&br; （戦場で、という言葉には何も答えられなかった。はい、と言う程この人を敵にしたいとは思えなかったから……）&br; &br; &br; （………カテンの大きな手が、頭に乗る）&br; （二人がいなくなって、我慢していた涙がぽろぽろ涙が零れてきた）&br; …ひっく…あ…わたし、わた……し…先生……っ&br; いいんでしょうか、これでいいんでしょうか……わたし、人にあんな風にいわれたことなくて…っ&br; （物の様に扱われたことはあった、でも、憎悪の対象のように見られたことはなかったから）&br; （戸惑って、悲しくて、苦しくて、逃げ出してしまいたかった）&br; でも、逃げたら駄目なんです。わかってたから、わたし……っ一生懸命考えてたけど……っ&br; （上出来だと、さらに道を指し示してくれる人に応えなくてはと必死に言葉を口にする）&br; &br; （店主は何も言わなかった。ただ涙が収まって、二人で席に座りなおした時、暖かいお茶を二人に出してくれて）&br; （それを啜りながら、落ち着いて隣のカテンを見る）&br; （しばらく躊躇った後、ぎゅっと彼に抱きついた）&br; ……私、精一杯頑張ります。ちゃんと自分で考えて、答えを出していきます。&br; えへへ、先生の手は作り物でもあったかいきがします。&br; （さっきまで自分の頭に乗っていた大きな手…義手を手で触れて、笑顔を見せる）&br; &br; ……こんなになってまで、私を助けに来てくれて……ありがとう…先生。&br; （そっと手をなでて、小さく呟いた声は少し涙に震えていた）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-14 (月) 03:42:05}; ---&color(blue){いいンだよ、あれでな。お前は、自分で考えて自分で答えを出した。だからそれでいい。&br;逃げてもいいンだ。けど、それは最後まであがいてからにしろ。最初から逃げを選ぶのだけはダメだ、今泣くのも、勿論いいのさ。&br;&br;（そうして茶を飲みながら、考える）&br;（本当に誰かを踏みにじらねばならなくなった時、はたしてマルチナはそれに耐えることができるのか）&br;（わからない。だが、耐えようとせねばならない）&br;（実際に出来るかどうかではない。その意志こそが、大事なのだと）&br;……オレもだよ、お前らのおかげで、また教師をやれてンだからな。&br;（浮かべた笑みは、子に向けるようでもあり）&br;（戦友に向ける、頼もしいものでもあった）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-14 (月) 03:51:31}; *英霊召喚 [#n9cb145c] |BGCOLOR(#000000):|BGCOLOR(#000000):COLOR(#ffffff):800|BGCOLOR(#000000):COLOR(#ffffff):|c |>|>|''黄金暦217年 ８月 使われていない教会''| |■■| http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079870.jpg &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; （深夜の誰もいない教会。銀の腕輪をつけた手が薔薇色の水銀で魔法陣を描いていく）&br; （いつものような娼婦の格好ではない。動きやすいように体にフィットした服装。魔術師には見えなさそうだけど）&br; &COLOR(#C41A41){……見よう見まねだけどこれでいいのかなマルチナ。};&br; （暗闇の中、独り言）&br; （けれどその姿はすぐに幼い少女に変わり）&br; &COLOR(#0097a2){……はい、間違った箇所もないです。オーナーの教えてくれた通りに描けています。};&br; （暗闇にまた別の幼い声が響く。模様の入った銀の腕輪を撫でて）&br; &COLOR(#0097a2){えへへ、オーナーとヴィヴィアンさんのくれた腕輪すごいですね？おかげで夜でも問題なくいられます私。&br; 星を見るなんて久しぶりです。夜空に輝く月ってなんて綺麗なんでしょうね、姉様。};&br; &br; （腕輪は少女の時間を圧縮して自在に使用できるようにしたもの）&br; （それは寿命を自分の意思で使う事。マルチナが自分で頼んで作ってもらったものだった）&br; （次元の魔女・ヴィヴィアンの異界の魔法の知識と、ラズールカが持っているこの世界の魔法の知識、彼の夫の知識も借りて）&br; （リラはどこかから魔法石を山のように持ってきて使えって押し付けて帰っていくし、皆が少女のために惜しみなく力を貸してくれた）&br; &br; &COLOR(#0097a2){……生き残りたい。姉様、私、まだ生きていたいです。};&br; &br; （優しい人たちの顔を思い出して、少女は呟き…次の瞬間には、長い髪の女性に戻っていた）&br; &br; &COLOR(#C41A41){……大丈夫、きっとあたしが……あたしとカテンが助けてあげる。};&br; &br; （月明かりがステンドグラスから降り注ぐ。昼とは違う優しい光が魔法陣を彩って、薔薇色の水銀と合わさってとても綺麗だ）&br; （その前で、女は右腕をかざす）&br; &COLOR(#C41A41){…………………………………………はじめよう、マルチナ。};&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079886.jpg &br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; ''素に銀と鉄。礎に石と契約の菫。祖に銀の二つ角。''&br; ''降り立つ風には壁を。自我の門を閉じ、愚者は神使より角笛を奪え。''&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; （ミハイロフ家が探してきた文献から写した召喚の呪文）&br; （何度も翻訳を繰り返し写されてきたものだから、原文とは少し違っているらしい）&br; （……上手くいくだろうか）&br; （今まではミハイロフの強大な魔力で引き寄せてこれた）&br; （自分達はホムンクルス。魔道で作られた生き物。並の魔術師よりは魔力はずっとあるけれど……）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; ''閉じよ（みたせ）！閉じよ（みたせ）！閉じよ（みたせ）！閉じよ（みたせ）！閉じよ（みたせ）！''&br; ''繰り返すつどに五度、ただ満たされる刻を破却する！！''&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; （少女達の姿は交互に変わり、順番に言葉をつづる）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; ''……告げる''&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; &COLOR(#0097a2){''…………告げる！！''};&br; （少女が叫び、魔法陣に青い光が満ちて、あふれ出す）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; ''汝の身は我が下に、我が命運は汝の槍に。''&br; ''聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ！''&br; &br; ''誓いを此処に。''&br; ''我は常世総ての善と成る者、''&br; ''我は常世総ての悪を敷く者。''&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; （ここまでは文献の通り。そして彼を手繰り寄せるための言葉を付け加える）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; ''汝、無窮の世界を巡る旅人。''&br; ''青き炎の仲介者。''&br; ''我は道の果てに契約せし者。''&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; &COLOR(#0097a2){……先生。未来の先生。&br; 約束、覚えていてくれていますか？&br; 私を助けてくれるって先生は約束してくれたの！};&br; &br; （魔法陣の光に向かって少女が語りかける。青い光はさらに強くなり、かざした腕はびりびりと震えて）&br; &br; （……未来のカテンは約束を守っただろうか）&br; （遠い未来の果ての今際の際に、小さな子供との約束なんて覚えているだろうか）&br; &br; &COLOR(#0097a2){''……私は、先生を信じています！！''};&br; &br; &COLOR(#C41A41){……覚えてなかったら、後で殴りに行く。};&br; （少女の姿は大人に変わり。赤い唇は弧を描いて笑みを作り、最後の一文を解き放つ）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; ''汝三大の言霊を纏う七天、''&br; ''来たれ転生者！！次元の魔女の守り手よ……！！！！''&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; （眩い光があたりを埋め尽くし、視界を奪う……………………！！！） -- [[キリル>名簿/479955]] &new{2012-05-12 (土) 00:31:45};&br;&br;&br;（青い光が消えた）&br;（魔法陣の上には、しかし青い影がそこにあった）&br;（炎である）&br;（燃え盛る青い炎が、轟々と渦巻き、そして人の姿を取った）&br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020415.jpg &br;（外套を纏う2m近い男の脚は、左が具足に包まれ、右は銀色の金属）&br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020416.jpg &br;（男の右手は黒い手袋に包まれ、左は青い金属）&br;（不具であった）&br;（ボロボロになった外套の下に鎧を隠し、歴戦を感じさせる佇まい）&br;（コートの襟から覗く鎧と、その下のインナースーツにさえ、無数の傷跡）&br;（そして顔。右目を眼帯で覆い、頬と左目、そして顔中に傷を持ち）&br;（ほとんど枯れ果てた稲穂のように傷んだ金色の髪）&br;（その隙間から、しかし力強い青い眼光が、覗いた）&br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020417.jpg &br;（相貌は重々しく。睨むように術者を見下ろし、瞬いた）&br;&br;……よう。来たぜ、約束通りな。&br;（ヒビだらけの唇が開かれ、響いた声は低く重かったが）&br;（言葉は一切変わりもせず。次いで浮かべた笑みは、刻まれた皺のように深く、やはり変わりなかった） -- &new{2012-05-12 (土) 01:12:23};&br;&br;&br;（…………初めは別人に見えた）&br; （その姿は変わり果てて、痛々しい姿というよりは恐ろしいといった方が良い位）&br; （ただ戦い続けていた）&br; （そう見える）&br; &br; （妹が慕い見上げていた青い二つの炎は一つは失われてしまったのか眼帯で見ることができない）&br; （妹を撫でていた大きな手は一つは冷たい金属に変わり）&br; （妹を膝に乗せていた温かい膝も、一つ冷たい金属に変わり）&br; &br; （ただでさえ傷だらけだったのに、また傷は増えて）&br; （ただでさえ無愛想で威圧的だったのに、声をかけるのを躊躇うくらいで）&br; &br; （でも、でも……それは確かに待ち望んでいた男の顔で）&br; &br; （前よりも低い声で、前と同じように笑うそのひとは……確かにカテン）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020423.jpg &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; （………………涙が零れた）&br; &br; （会いたかったのは、待ち望んでいたのは妹のはずなのに）&br; （キリルの瞳から熱い涙）&br; &br; （……待っていたのは、キリルも同じだった）&br; &br; &COLOR(#C41A41){……変だね。&br; 信じて、応えてもらえるのがこんなに嬉しいなんて……思わなかったよ。&br; 久しぶり、カテン。あたし達には1ヶ月くらいだけど、あんたにとっては…何年なんだろうね。&br; &br; 馬鹿な人。死ぬ間際まで子供の約束を覚えていたのかい？};&br; （透明な涙を拭うこともせず、首を傾げて笑う。憎まれ口を言っても、表情は幸せそうで）&br; &br; （彼からもらった銀のピアスが月明かりを反射して光り……女の姿は、少女の姿へと変わった）&br; （満面の笑みを浮かべて、男にむかって駆け出す）&br; &br; &COLOR(#0097a2){''……先生！！！''};&br; &br; （彼にとっては酷く昔、懐かしい呼び方）&br; （幼い少女はそのかわり果てた姿にも躊躇い無く両手を広げて…抱きついたのだった）&br; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-12 (土) 02:55:23};&br;&br;&br;ハ。そのバカに無理を言ったのは手前ェらだろうによ。&br;（変わらない笑い、変わらない減らず口）&br;（不敵な笑みを浮かべる口元には、数千年を閲した彫像のように無数の傷）&br;（生やしっぱなしの無精髭は、さながら生した苔のようであり）&br;（どこからともなく葉巻を取り出して銜えると、左の親指に青い炎を灯して火をつけた）&br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020424.jpg &br;泣くヤツがあるかよ、え？ ただ約束を守っただけだろうに。&br;（なんでもないことのように言う。いくつの世界を渡り、どれほどの時間を過ぎたのか）&br;（そのかたわらに愛した人はいない。それほどの時間を経て、それほどの道を歩いてきたのだ）&br;（だがそれを些細なことと笑う。すでに無限の転生を経た男からすれば、全てが後日談なのだから）&br;（後悔をしないならば、その道を遠きものと惜しむ必要もなく）&br;（およそそれが大義や誰かのためならば、けして出来ない行程さえもなしとげる）&br;（全ては己のためであるがゆえ。エゴイズムの証左ならばこそ、自分を裏切るものなどいはしない）&br;（つまるところ。「自分のため」という理屈は、どこまでも男を戦わせてしまうのだ）&br;（最も単純で、もっとも自分勝手で、そしてもっとも得をしない生き方）&br;（それを貫いた果て、わがままを叶えてやるために英霊となった男）&br;（実際のところ、その姿は彼女たちが約束した男の直接の未来ではない）&br;（一秒ごとに変化する無数の分岐、その一つたる可能性から喚び出された存在である）&br;（だからといって、約束をした男と変わるわけではない。全く同じ、本人だ）&br;（ゆえに、浮かべる笑顔も同じ。抱きついてくる教え子を迎え、頭を撫でてやる様子も、変わらない）&br;やれやれ。ま、変わるわけもねェよな、一ヶ月二ヶ月じゃよ。&br;これからシンドいぜ？ 今のうちにたっぷり泣いとけ、ふたりともな。 -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-12 (土) 03:22:25};&br;&br;&br;（キリルには変わり果てた姿に見えた）&br; （けれどマルチナには何も変わっていないように見えた）&br; （皺も傷も増えているけど根っこの部分、自分が大好きな部分は何も変わっていないのだから）&br; （鎧だから抱きしめる体は硬いけど、頭を撫でる手も前よりごつごつだけど）&br; （先生は先生だ）&br; &br; &COLOR(#0097a2){私はもう泣かないですよ。嬉しい時は笑うんです！};&br; &br; （姉の涙、妹は驚かなかった）&br; （ずっと頼る人もいなくて、抱きしめてくれる人もいなくて、それでも自分を必死に守ってくれて）&br; （そう、何もかもずっと我慢してきたのは姉も同じ。好きだと思う人がいたのに、踏み出すこともできなかった）&br; （その姉がやっと、信じられる人を見つけたのだから……涙は、安心した証の涙）&br; &br; （ステンドグラスの月明かりの下、笑顔を浮かべて後ろに下がる）&br; （天井から零れる光が少女の全身を照らすと……その姿は姉のものに変わった）&br; （もう涙は流していない。微笑を浮かべている）&br; &br; &COLOR(#C41A41){……そうね、しんどいのがはじまる前に…積もる話もあるし……。&br; &br; ……とりあえず、屋台に飲みにでも行こうか？今日はあたしが奢るよ。};&br; &br; （そんな気の抜けるような事を言って機嫌よさげに歩き出す）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020426.jpg &br; &br; &COLOR(#C41A41){ほら、早くきなよ。};&br; （振り返り、彼に向けたその笑顔は……妹にとてもよくにていた） -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-12 (土) 05:03:36};|http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079867.gif| *予感 [#cd9718b5] -何者かの使い魔と思わしき烏が頭上を旋回し、目の前に降り立った。&br;その嘴には一通の手紙が咥えられており、そっと君に差し出す。内容はこうだ。&br;&br;『聖杯戦争に参加なさる、全ての皆様へ。各々マスターの証たる令呪が、その御身に刻まれたかと存じます。&br;よって本日より、当[[「聖ジョヴァイト教会」>個人企画/聖杯戦争/設定]]は、公式的な中立地帯として、参加者各位に開放されることと相成りました。&br;敗退が決定したマスターの受け皿や、不幸にも巻き込まれてしまった民間人の保護等、お気軽にご利用ください。&br;この聖杯戦争が滞りなく、円満に終了できることを目指して。&br;微力ながら私、シスター・ジュリエットが、監督役の任を務めさせていただきます。&br;お気に留まる点が御座いましたら、是非一度お尋ねくださいませ』 -- &new{2012-05-11 (金) 04:48:06}; --&COLOR(#0097a2){鳥さん…何でしょう？（すぐに内容を読み始め…）&br;（内容を読み、もう逃げられないのだという事を実感する）&br;（逃げるつもりも毛頭ないですが。読み終わった手紙を赤い日記帳に挟んで）&br;&br;……さあ、姉様、先生を迎えに行きましょう（誰もいない教会へと走っていくのだった）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-11 (金) 22:54:53}; *未来の約束 [#mac98a7b] ||BGCOLOR(#000000):COLOR(#ffffff):800|BGCOLOR(#000000):COLOR(#ffffff):|c |>|>|BGCOLOR(#000000):COLOR(#ffffff):''黄金暦217年 ７月 使われていない教会''| |BGCOLOR(#000000):■■|BGCOLOR(#000000):COLOR(#ffffff):・&COLOR(#0097a2){（初めに話したのは、自分がそう遠くない未来消えてしまうこと）&br; （少しずつ「マルチナ」の時間が減って行っていて、おそらくこのままだと…数年のうちにマルチナの時間は消える）&br; （……こういう話はどういう顔をすればいいかわからなかったので歩きながらが良かったのだ）&br; （子供が自分の死を見つめて話をする様は彼には辛いものかもしれない）&br; （でも姉は自分が傷つくと思っているから言い出せない。だから自分で）&br; &br; （そして聖杯戦争の事。オーナーから教わった簡単な仕組みとルール、自分達がマスターに選ばれたこと）&br; （生き残るためにその聖杯にかけてみようと姉と決めたのだと話した）&br; （……サーヴァントがまだ決まっていないことは、話さない）&br;&br;&br;&br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079870.jpg &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; （かしゃん）&br; （教会の中に入ると、足元に散らばった壊れたステンドグラスが音をたてた）&br; （話をいったんやめて、色硝子の上をまっすぐ祭壇の方へと歩いていく）&br; &br; …ここ、お気に入りの場所なんです。ステンドグラス、皆割られてしまっているのだけど…ほら。&br; （祭壇前の、ひときわ大きいステンドグラスを指差す）&br; （周りのものは見る影もないのに、その一つだけは傷一つついていなかった）&br; これだけ残っているんです。きれいでしょ？あとね、ピアノも残っているんです。私ちょっと弾けるんですよ。&br; （ほこりをかぶってガタガタの長椅子の間を楽しそうに駆け回って、鍵盤の抜けたピアノのもとへたどりつく）&br; （調律されていないから酷い音のはずなのだけどそれさえ利用して、不思議と心地よいメロディを壊れた教会に響かせて）&br; &br; （……弾きおわると、鍵盤を一つ押しながら青年を振り返る）&br; （高い住んだ音に、言葉を乗せて）&br; &br; &br; このまま私達の側にいてもらえば戦いにきっと巻き込んでしまう。''だから、お別れなんです、先生。''&br; &br; &br; （薄暗い教会の中で、深い海の色の瞳が、彼の空と同じ色の瞳を見つめる）&br; （赤いおかっぱの髪が、風になびいて、少女の表情を隠した）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-11 (金) 02:19:53};&br; ・（手を引かれながら話を聞く男の顔は、すでに教師のそれではない）&br;（ましてや暖かくおおらかで、相手を許容する、親代わりのそれでもない）&br;（戦士である）&br;（鋭く敵を探り、己を知り、闘いの流儀を知ろうとする戦士の貌をしていた）&br;（代用品のココアシガレットを捨て、タバコをくわえる）&br;（しゅぼっ！ と勢い良く灯った青い炎で紙巻に火をつけつつ、先を促す）&br;（聖杯戦争については無知ではない。養成校において、アルムや季來、スィーニ、ユランといった人物と会ったためだ）&br;（それゆえに、代理戦争の持つ危険性とエゴイズムについても、間接的ながら把握していた）&br;（マスターに選ばれると言うことの意味。その意義。それらについても）&br;（話さないようにしていることについても、どことなく察しているような表情）&br;（だが明言はせず、教会までの道を相槌だけでつないで）&br;&br;（ステンドグラスを見上げる。そこには、壮麗極まる宗教的美があった）&br;……（次いで、ピアノと、それを弾くマルチナへと目を向ける。双眸の色は、変わらない）&br;（やがて旋律が終わり、それを次ぐように紡がれた言葉には、しばし険しい表情のまま立ち尽くし）&br;（すっかり灰まみれになったタバコを炎で消し炭に変え、紫煙混じりのため息を吐き出して、口を開いた）&br;……そのセリフは、「どっち」のモンだ。&br;キリルか。それとも、お前か？ マルチナ。&br;どちらでもあるのかもしれないな。まァ、なンであるにせよ、オレにとっちゃどうでもいいことだ。&br;今更、戦う覚悟はあるのか、とか、どういう意味かわかってンのかとか、そういうことを言うつもりはねェ。&br;殺し殺される覚悟があるってことだろ。それ自体は、まァ、マルチナはともかく。&br;冒険者やってるキリルなら、腹は決めてるはずだわな。死ぬことが決まってるってなら、お前もよ。&br;ただよ、マルチナ。それと、キリル。お前ら、一つ覚悟しきれてねェことがあるよ。&br;つまり、だ。手前ェらに戦う覚悟があったとして、そのために誰かを待たせる……それを、避けようとしてる。&br;ここで関係を断ち切れば、オレ達が安全になる。そう思って、ンなこと言い出したわけだろ。&br;実際ンところは、違う。お前らは、自分たちに関わってきた誰かの命や、あるいは意志ってモンを、背負おうとしてねェんだ。&br;生き残るためにその道を選ンだンだろ？ なら、自分たちが戦う覚悟だけじゃなくてよ。&br;そのために誰かに迷惑をかけて、頼って、どうしようもねェときに「助けてくれ」って叫ぶ覚悟も、決めろよ。&br;（「逃げるな」と。ここまで踏み込ませ、踏み込んだ相手を今更突っぱねたところで、それは根本的解決にならない）&br;（それは自分がよく知っている。かつて、仇敵を追うために様々な人々を突っぱねてきた自分自身が）&br;必要なンだろ、サーヴァント。&br;死ンでも何かを求め、聖杯にすがる英霊ってヤツが、よ。&br;（それ以上は言わない。ただ、避けようとしている言葉を自分から口にすることを促すように、静かに見つめ返した） -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-11 (金) 02:59:11};&br; ・&COLOR(#0097a2){（青い炎が燃え上がり、煙草が萌え散る。…綺麗だな。姉様もあんな風に使う）&br; （先生と姉様が仲悪いのは、似ているからだろうか。正反対だからだろうか……）&br; &br; ……私は私です。姉様が私の声で話すことはできません。&br; &br; &br; 本当は、またしばらくしたらお願いしに行くって言って、そのまま濁してお別れにするつもりでした。&br; 不誠実だとはわかっています。&br; でも、話したら二人を巻き込む可能性は高くなるから…姉様と相談してその方法をとろうと思いました。&br; （ピアノから手を放して、ステンドグラスを背に一歩進む）&br; &br; 背負いたくなんてないですよ。初めて心を許した他人の命なんて。&br; 自分の死が見えているのに、誰にもそれをとめることができないから奇跡に縋るしかない状態なのに、&br; そんなことまでできないです。戦うのだって怖い。&br; &br; だから黙ったまま姿を消すつもりだったんです。&br; 二人が生きていてくれたらそれでいい。&br; もし私達が死んでしまっても、先生とヴィヴィアンさんと、娼館の従業員の皆さんが&br; 少しでも覚えていてくれたらいいなって思ってました。&br; &br; （淡々と語る言葉はとても大人びていて、誰かに言わされていると疑われても仕方ない）&br; （けれど全て少女の心からの言葉。毎日少しずつ死んでいく恐怖と戦う子供の想い）&br; （感情を押し込めて話すから、そういう風に見えるだけ）&br; &br; （本当は、戦うのだって嫌です。死にたくないけど人を傷つけたくないです。でも死にたくないのです）&br; （叫びだしそうな想いを押し込める。だってそれを言ったら姉様が傷つく）&br; （誰にもどうにもできないから選んだ道なのに、きっと姉様は自分を責める）&br; &br; …でも、話してしまったから、私は我侭を言ってみようと思います。&br; 聞いたのは先生です。私は話すことすら怖いことを話しました。&br; &br; &br; ……だから、私の我侭を聞いてください。先生。&br; &br; &br; ……私達のサーヴァントはまだ、決まっていません。&br; サーヴァントは、死んだ人がなるものだけど…未来に死ぬ人も、過去に呼べると聞きました。&br; &br; （天井の隙間から降り注ぐ光が、揺れる紫煙を幻想的に彩る中、硝子の擦れる澄んだ音を立てて少女は歩く）&br; （そして青年の目の前立つと、無表情に顔を見上げた）&br; &br; これから先、可能な限り強くなって、いつか遠い未来に死ぬ時に世界と契約して英霊になってください。&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; &br; ………………そして、私のサーヴァントになって。&br; &br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; ……私、死にたくないです。怖いです、消えたくない。&br; 日記でお話しするだけじゃ寂しいです。姉様にあいたいです。抱きしめてもらいたいです。恋だって…！！&br; &br; （感情が、溢れ出る）&br; （無表情だった顔は見る間に歪んでいって、大粒の涙が頬から服に落ちる）&br; （嗚咽で先の言葉が続けられない。でも、必死に声を絞り出して…）&br; &br; ………………先生…私を助けて…&br; &br; （静かな教会の中、消え入りそうな声で、でも確かに呟いた）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-11 (金) 05:19:31};&br; ・（はたしてマルチナが自分で思った言葉なのかどうか、疑って問うたわけではない）&br; （むしろこの姉妹が、いろいろな意味で嘘のつける手合いでないことは、この二ヶ月でよく理解していた）&br; （問うことはいわば、水面に石を投げることだ。真実なのかと問うことで、相手にも自分にそれを考えさせることとなる）&br; （すなわち、考える時間、そしてタイミングを与えたのだ）&br; （本当に自分たちで考えたことなのか。その選択、思考、答えに後悔はないのか……そういったことを）&br; &br; （そしてぽつりぽつりと、抑えた声が真実を告げる）&br; （怖いという感情。背負いたくないという、利己的な消極的欲求）&br; （それらを言葉にして、自らに放つこともまた、マルチナ自身にそれを認識させるための一種の実習だ）&br; （サーヴァントの選別を先延ばしにしてきたことは、事実彼女の言うとおり恐怖や不安があるからだろう）&br; （だが、そこでよそを向き、後回しにしていたのでは、待っているのは悲劇だけだ）&br; （そうではいけない。怖いこと、嫌なこと、それらに向き合い、立ち向かわなければならない）&br; （そうするのは自分自身だ。一種、有言実行とでも言うべきか、それをカテンに伝えさせることで）&br; （どう思い、どう感じて、どう判断したのか。それを振り返らせているのだ）&br; &br; （声なき叫びは、どうあがいたとしても表情に出る）&br; （いくら感情を抑えたとして、孤独に慣れ、恐怖と戦い続けているとして）&br; （子供なのだ。ましてや、教え子である。二ヶ月の間、その所作をしっかりと見てきた）&br; （姉は妹を守り、妹は姉を労る。それゆえのすれ違い、それ故の強がり、それ故の忍耐）&br; （表と裏の異なるコインのように、けれどそれらはどちらが欠けてもコイン足り得ないように）&br; （根っこの部分では全く同じの二人の思いやりあいと、内面を、カテンなりに見つめてきたつもりだ）&br; （だが、「戦わなくていい」とは言わない。「やめておけ」とも、言わない）&br; （カテンは英雄ではない。ただ、人よりほんの少し勇気を持ち、ほんの少し人生経験が豊富で）&br; （ほんの少し、自分勝手なだけの男だ。英雄であることをやめた、むしろ不甲斐ない冒険者崩れである）&br; （ゆえに、そのすべてを背負ってやり、「あとは大丈夫」などと、正義の味方のような事は言わない）&br; （しかし、悪党でもない。ましてや、自分以外のものから目を背ける、冷血漢でもないのだ）&br; （だから問うた。だから聴いた。そして、だから、これから出る言葉を、本人に言わせる）&br; （押し隠された望みを無理やり引っ張り出し、手を差し伸べてやることなど男はしない、そこまで器用ではない）&br; （男にできることは……）&br; &br; （そして、言葉は紡がれた）&br; （涙がこぼれた。感情の奔流が、エゴイズムとして世界に生み出された）&br; （受け手はただ、幻想的な光景の中を、押し黙ったままに少女を見下ろす）&br; ……わったよ。&br; （やがて、頭をかいて言うと、その場で膝を曲げ、目線をあわせてぶっきらぼうに言った）&br; それでいい。我慢なンてするな、教師は万能じゃねェからな。正直オレも察しは悪い。&br; 怖ェと思ったら怖ェと言え。逃げていいとは言わないが、怖くないって強がる必要はどこにもねェ。&br; それが一番勇気がいるってのはわかってる。けどよ、その勇気がなきゃ、お前はこれから先の戦いを勝ち抜けないぞ。&br; だから、それでいい。わがままも言え。子供がいちいち、大人ぶって口噤もうと、すンな。&br; （笑って、頭を撫でてやる。けれどすぐ、表情はまた戦士のものに戻った）&br; 助けてやるよ、お前のこと……お前らのことを、な。&br; ただし、それはオレが世界と契約がどうとか、サーヴァントだからとか、あとは……あー、まァなンだ。&br; カワイソウだからとか、そういうことじゃねェんだ。わかるな？&br; お前が、生き残りたいって、自分で思ったから、自分を救おうとしてるように。&br; オレも、お前を、お前らを助けたいって、自分で思ったから、自分でそうするンだ。&br; きっと、未来、死ンだオレが喚び出されれば、聖杯の掟とやらで、オレとお前らはマスターとサーヴァントってことになるンだろう。&br; けど違う。それじゃア、サーヴァントだからマスターのために戦う、ってことになる。それじゃア、ダメだ。&br; サーヴァントになったとしてもオレはオレとしてお前らを助けに行く。だから、お前らも、マスターとしてじゃアなく……。&br; ただ、助かりたくて、わがままを言いたくて、それで戦いに挑む。そういうつもりで、オレの力を使え。&br; そう在る限り、たとえオレが英霊になったとしても、オレ達は今と何も変わらない、対等な仲間同士だ。そうだろ？&br; そうでなきゃ、背中を預け合うってことはできねェさ。約束だ、オレは必ずお前達を助けに帰って来る。&br; だからお前らも、自分の目的と、そのために戦う覚悟だけは忘れずに待っててくれ。&br; （また笑って、指きりげんまんをしてやる）&br; （男は英雄ではない。己の意志と力を世界に、あるいは主に捧げ、矛となり盾となることは出来ない）&br; （男は英雄ではない。正義のため誰かのため、弱きを助け強きを挫き、ボロボロになることは出来ない）&br; （男にできることはただひとつ。手の届くところにいる誰かに肩を貸してやり、対等に歩いていくことだけ）&br; （たとえ英霊になるため、世界に契約したとして）&br; （たとえ未来、命を落とし、守護者として召喚されたとして）&br; （自分であることだけは失わないと、傲岸不遜に言ってみせたのだ）&br; （いうなれば。「これはお前らのためじゃない、自分のためにやってやるだけだ」というところか）&br; （どこまでも自分勝手で、素直ではなく、だからこそ）&br; （どこまでも強く、"必ず"という言葉さえも使えるくらい、しっかりとした約束だった）&br; &br; （意地悪な男は、英雄でもなんでもない男は、いちいち手を伸ばしてやることなどしやしない）&br; （だが、手を精一杯に伸ばし、涙を流して、助けを求める誰かがいたなら。そして、それが聞こえたなら）&br; （「それでいい」と笑って、伸びた手を掴んでやる程度には、人に応える心があった）&br; -- &new{2012-05-11 (金) 05:48:49};&br; ・&COLOR(#0097a2){（少女は涙をぬぐって、青年の大きな手と指切りをする）&br; （何も知らない人が見たらきっと、親子だって思う。娘の我侭を聞く約束をする父親）&br; （本当にそうだったらよかったのに）&br; （私には父も母も存在しないけれど）&br; &br; はいっ！！私は我侭になります！！&br; （泣いて赤くなった目を細めて、ちょっとずれているような事言って笑う）&br; （今までずっといい子であるように生きてきたから、我侭になるのもまっすぐで）&br; （少女は姉と一つの体になってから、初めて心から安心できた気がした）&br; （今まで姉が自分の記憶を持つから、泣くこともできなくて、寂しいと口にする相手もどこにもいなかったから）&br; &br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; （そして、約束の証にピアスを一つもらう。召喚の依り代にもするつもりで）&br; （銀のわっかのピアスを自分の左耳につけると、髪をよけて嬉しそうに見せた）&br; …えへへおそろいです。先生と私と、姉様と三人で。&br; &br; （ステンドグラスから少女に当たる光は虹色）&br; （天井の隙間から降り注ぐ光は神の世界を描いた絵画の様に暖かく綺麗で）&br; （小さな天使は、祈るように両手を組んで、青年を見る）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; &br; きっと、きっと、私と姉様をこの運命から救ってくださるって………&br; &br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; （少女の体は揺れて、青年に倒れこむ……時間だ）};&br; &COLOR(#C41A41){（……よろめいて、彼の腕を掴んだ時には、もうマルチナではなかった）&br; &br; （けれど少女と同じ縋るような瞳。妹よりも心細そうな顔をして）&br; &br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; &br; ……信じてるよ、カテン。&br; &br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; （そう呟く）&br; （昼を告げる鐘が、遠くで響いた………………）}; -- [[キリル>名簿/479955]] &new{2012-05-11 (金) 22:39:27};&br;|BGCOLOR(#000000):http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079867.gif| *姉妹の決意 [#ib9a567a] -http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''黄金暦217年 ７月'' --&COLOR(#0097a2){&br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079861.gif &br; カテンがマルチナの家庭教師を初めてから丁度２ヶ月）&br; 歴史の話、世界の成り立ちのお話、勉強とはちょっと違うけどお料理の話、色んな事を教えてもらった。&br; 妻のヴィヴィアンもそのうち一緒に来るようになって、マルチナとキリルの世話をあれこれ焼くようになった。&br; 彼女が来る日は家事をやらなくていい日、マルチナでいられる時間の限り勉強を教えてもらったり、遊んでもらったり。&br; &br; もうすぐ消えてしまうかもしれない自分が学んで何になるのだろうと思わないこともなかったけど、&br; 先生とのお話は楽しくて、来ると約束した日は前日からそわそわして待っていた。&br; ……いきのこれるかも、しれないし。&br; ……サーヴァントとして誰を呼び出すのか、まだ全く決まっていないけれど。&br; &br; ……二人はどちらからともなく、その事を先延ばしにしていた。&br; 初めて二人の家に招いた賑やかな夫婦との優しい時間を、できるだけ長く続けたくて。&br; けれどそろそろこの時間に終わりを告げなければいけない。&br; &COLOR(red){聖杯戦争};が始まるのだから。&br; &br; やるしかないのだ。&br; このままではマルチナが消えてしまうのだから。&br; &br; ……マルチナはもう、昼を告げる教会の鐘を聞くことができなくなっていた。&br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079861.gif &br; &br; （カテンが来る少し前、マルチナは赤い交換日記を開いて姉へのメッセージを書きこむ）&br; &br; 『姉様へ&br; カテン先生に家庭教師を初めてもらってから今日で２ヶ月なんですよ。&br; なので知っていると思いますがチーズケーキを焼いておきました。&br; 私は味がわからないから、姉様が少し食べて確認してから先生が帰る時に渡してくださいね。&br; なるべく私からわたすつもりだけど、もしかしたら前のように急に私の時間が減ってしまうかもしれないから&br; ここに伝言を書いておきます。姉様は見えていると思うから、いざとなったらよろしくね？&br; 姉様はヴィヴィアンさんだけでなく、カテン先生にもかなりお世話になったのだから&br; お礼をちゃんと言わないと駄目ですよ？どうして嫌いじゃないのに、仲よくできないのでしょう。&br; 大人って………』&br; &br; …あ、これ以上かいたら姉様が落ち込む気がしますね。ふふ、やめておきましょう。&br; （独り言。テーブルにペンを置いて時計を見上げる。外は生憎の雨だ。土砂降りとも言っていい）&br; 先生、今日これるかな…これなかったら、姉様とケーキ山分けでしょうか…あ、オーナーや姫子さんにおすそ分けしようかな。&br; …でも、上手くできてると思うから、先生とヴィヴィアンさんに食べてもらいたいなぁ…。&br; （冷蔵庫を開けてケーキの箱をちらりと眺め、また閉じる） }; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-10 (木) 22:02:44}; ---（一瞥以来からの教師関係は存外に長く続いた）&br;（旅の合間にこちらの世界にやってきては、そのつど変わった話をせがむマルチナにあれこれと語って聞かせ）&br;（ときにはキリルに遭遇して減らず口を叩き合ったり、マルチナとキリルの「変化」についても理解を深めたりもしていく日々）&br;（そんな教え子の話をしていたら、妻であるヴィヴィアンも興味―――もっとも最初はぷりぷりと怒って嫉妬したのだが―――を持ち）&br;（まるで我が家のように二人して入り浸って、単なる教師と教え子というより、ちょっとした家族のような触れ合いにまでなっていた）&br;（もっとも、マルチナはさておき、キリルは相変わらず二人に不信というか、懐疑の眼差しを遠慮無く向けており）&br;（仔細を知っているヴィヴィアンはそれに腹を立てることもなく、むしろいちいちおどけてからかうカテンに怒るくらい）&br;（マルチナのなかの諦観にも気づかないでもなかったが、それをいちいち指摘して何が変わるわけでもない）&br;（それゆえ、あくまでそれには触れず、マルチナが、時にはキリルが望むように教師として、親代わりとして応対してやり）&br;（先延ばしにされていく事実も触れられることなく、ただただ穏やかな時間は続いていった）&br;（そして、それを終えようとする決意もまた、どことなく、カテンに感じられていた……そういうところだけは聡い男である）&br;&br;（ともあれ、その日も授業の約束があった）&br;（雨音がペンの音と、崩れかけた階段を登る男の足音をかき消す）&br;（マルチナが冷蔵庫をそわそわとチェックしている頃、ちょうどカテンはドアの前にいて）&br;やれやれ、ヴィヴィのヤツ荷物持たせやがって……よっ、と。&br;（なにやらバスケットを小脇に抱え、体勢を持ち直してからドアをノックする）&br;おーいマルチナ、あーキリルかもしれねェか。先生様が来たぞー。&br;ちょっと手空いてねェから開けてくれ、はよはよぅ。 -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-10 (木) 22:20:11}; ---&COLOR(#0097a2){（何度も冷蔵庫を開けては閉め、ああそろそろ姉に怒られる、そう気づいた瞬間、ドアの向こうから強い雨音にも負けない声）&br; （……待ち人来たる）&br; ''はーい！今あけますね！！''傘のせいかな？それともヴィヴィアンさんに何かもたされて来たのかな…？&br; （タオルを持って、急いで扉を開ける）…いらっしゃい！先生！！&br; （見上げた顔はいつも通り明るい笑顔。けれどどこか緊張しているような、あまり良くないことを相談する時の、子供の顔）&br; （ドアを開けて中に彼を招き入れる）すごい雨ですねー今日はこれないかなってちょっと思っていました。&br; （抱えてる大きなバスケットを見ると、どんぐりみたいな目を丸くして）…どうしたんです？こんな雨に日に大荷物なのです。}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-10 (木) 22:37:00}; ---おう、今日も元気だなマルチナ。あータオルは大丈夫だ、オレ、雨には濡れねェからな。&br;（ウィザードの基本スキルである<月衣>は、本来常識的なすべての影響を術者からカットするものである）&br;（非常識な異世界であるこの世界でその力は発揮されないが、一種のバリアのようにして雨程度を弾くくらいならば可能だ）&br;（事実、傘も持っていないのに雨つぶ一つ浴びていないチンピラは鷹揚に笑って中へと上がり）&br;おう、これか。これはなァ（どん、とテーブルの上に置いて包みをはがすと、バラの香りを仄かに漂わせる色鮮やかなタルトがおさめられている）&br;バラのジャムを使ったタルトらしいぜ。食いたかったのに「二人に渡すまで食べちゃダメ」とか言われてよ。つわけで、ヴィヴィからの贈り物だ。&br;（マルチナとキリルがそれぞれ食べることを想定しているのだろう、タルトは相応の大きさだ） -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-10 (木) 22:45:35}; ---&COLOR(#0097a2){えへへ、元気だけが取り柄ですから！…あれ？合羽着てきたのではないのですか？&br; …便利なのです。雨の日のお買い物の時とか…！！さすが先生ですね（いいなぁ。と話しながらタオルを戻し）&br; （椅子に登ってテーブルの上のバスケットを覗き見る。薔薇の香りがふわっと漂う）&br; わ…！すごい！…いい匂い…姉様が好きな香水に似ているのです。ヴィヴィアンさん覚えていてくれたんでしょうか。&br; さっそく切りますね！お茶の用意はしてありますので、食べながらお話しましょう！&br; （嬉しそうにケーキ用のナイフを持ってきて、おさらに一切れずつ分ける）&br; （テーブルはなぜか古い冒険者名簿が積み上げてあり、いつもの勉強の本はどこにもなかった）&br; （ダージリンの紅茶を濃い目に入れて、先生の隣に座る。ケーキを食べる前に、じーっと見上げて）&br; ……今日は、勉強を教えてもらうのではないのです。あの…お話があって。&br; （言いにくそうにすぐに俯いて、ケーキをフォークで取る）…食べたら話しますねっ いただきます！}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-10 (木) 23:17:31}; ---あいつ、バラが好きだからなァ。出会った頃に比べりゃ器用になったモンだよ、ホント。&br;（タバコ代わりのココアシガレットをかじりつつ、ケーキ用のナイフを手早く持ってきたのに気づけば首を傾げ）&br;おンや？ 用意がいいな。なンだ、もしかしてデザートを予想済みだったとかか？&br;（くすりと笑いつつ、頬杖をついてはしゃぐ様子を見守り、次いで卓上の様子に目をやった）&br;妙な勉強だな、過去の偉人でも調べてるのか？ 野垂れ死にした冒険者にンなのがいるとは思えねェが。&br;ま、なンでもいいがよ……って、どうした、妙に重苦しい言い方だな。&br;（ぽん、と頭に手をおいて顔を覗き込む。だが、今は甘味に舌鼓を打とう、ということならそれに納得し）&br;ほいほい、忙しねェやつだ。じゃ、オレもいただきますっと。&br;（同じようにフォークを手に取り、しばらく紅茶とデザートを楽しんだ）&br;&br;（ややあって。きれいさっぱりなくなった皿の上でフォークを転がしつつ、マルチナの方をみやり）&br;……で？ 話ってのはなンだ。まさか恋の相談か？ マルチナにもついにンな相手が現れたか……。&br;（最初からキリルの可能性を除外するあたり意地が悪い男である。おどけてみせるが、何か真摯なことであることはわかっていた）&br;ま、怒ったりしねェから話してみ。どした。 -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-10 (木) 23:28:51}; ---&COLOR(#0097a2){（ケーキの話をされると少しどきりとして、たまたまだと返す。お土産のケーキの話、まだ秘密にしておきたくて）&br; （…それに、こんな綺麗でおいしそうなケーキのすぐ後に、ごく普通のチーズケーキを見せるのは恥ずかしかったから）&br; （二人で薔薇のタルトを食べながら、本題とは関係ない他愛のない話。タルトは見た目に負けずにやっぱり美味しかった）&br; （大人の味ってこういうのなんだろうなって。いい匂いで甘さも控えめで、上品）&br; （薄紫の綺麗な髪のヴィヴィアンを思い出していた。姉様みたいにいい匂いで…抱きしめられると柔らかくてあったかい）&br; （…もうしばらく彼女に抱きしめてもらえないのだと思うと、どうしても表情が曇ってしまった）&br; &br; （食べ終わり紅茶を入れなおして、どう話すか考える）&br; （家事をしながら話す内容を考えるのは姉妹共通。紅茶のカップを彼の前において、覚悟を決める）&br; ……えへへ、恋の話だったら良かったんですけれどね。残念ながらまだそういう人は居ないのです。&br; 姉様には、憎からず思う方がいらっしゃるようですよ？（くすくす笑う。彼のちょっと意地悪な冗談で、緊張が少し解れた）&br; （視線を彼へ向けて）あの…家庭教師のお話なのですが、しばらくその、お休みをお願いしたくて。&br; いつまでというのはまだわからないのですが…何年もかかるかもしれないのです。&br; ……理由は、その、ええと…。&br; &br; （……いつもからは考えられないくらいしどろもどろ。ああ、もっと上手く言うつもりだったのに）&br; （大きな手でなでてもらうのも、膝に座らせてもらうのも、ご飯を一緒に食べてもらうのも）&br; （全部またなくなって、部屋でひとりぼっちになるのかと思うと）&br; （見上げていた瞳から、勝手にぽろぽろ涙がこぼれてきてしまって）&br; &br; あ、あれ…ご、ごめんなさい。何でもないの。&br; ま、また、おちついたら、お勉強教えてほしいです。私、一人でも勉強しておきますから…っ…。&br; （……自分が生きていたらだけど。それは言葉にできなくて、小さく背中を丸めて泣きじゃくる）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-11 (金) 00:30:13}; ---（ぽん、と）&br;（はじめて家庭教師を買って出た時のように、マルチナの頭に手が触れた）&br;（そしてぐしゃぐしゃと髪を撫でる。ぶっきらぼうだが、乱暴ではない手つきで）&br;何でもない時に女が泣くわけねェだろうによ。そういう強がりは姉貴譲りだな？&br;ま、なンかあるってのは感じてたよ。もともと、手前ェらはそのカラダの事情もあるわけだしな。&br;とりあえず、あれだ。別にオレはいなくなったりしねェから。泣かなくたって大丈夫だぜ。&br;ンで、ま、泣きたいだけ泣いて……落ち着いたら、話してみ。どういう事情なのかをよ。&br;キリルのヤツなら多分、「そこまで踏み込むな」とか言うだろうがよ。&br;何の理由も告げずに、今日でしばらくお別れです。なンて、そンなの筋が通らないぜ？&br;（そう言って、膝の上にクッションを置くと、そのうえにマルチナを載せてやり、泣き止むまで頭を撫でてやった）&br;……オレだってよ、お前らと話すの、結構楽しいンだ。&br;理由もわからずそれをやめろってのはなかなか、な。それだけのことがあンだろうがな……よしよし。 -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-11 (金) 00:39:23}; ---&COLOR(#0097a2){（しっかりしていても、孤独に馴れていても、死を覚悟してさえいても子供は子供）&br; （安心できる大人が側にいると上手く強がれなくなってしまって、涙が零れる）&br; （大きな手があったかいせいで、なかなか泣きやめない）&br; （……楽しいなんて、嬉しいことを行ってくれたら余計に）&br; （嗚咽のせいで言葉にならない声で「はい」と返事をして）&br; &br; （……ようやく涙が止まる頃には、外の雨も止んでいた）&br; （窓から差す光が冒険者の名簿にあたり、涙でぼやけていた瞳には光っているように見える）&br; &br; （全て話そう、そう思い顔を上げようとして………………その時、一つの事を思いついた）&br; &br; （……冒険者名簿。姉と手分けして調べたけれど、誰を召喚したらいいのか絞りきれなくて途方にくれていた）&br; （……サーヴァント。それは、死んだ者でも……未来に死ぬ者でもいいのだ）&br; &br; ……先生、全部お話します。姉様に怒られるかもしれないけど、今は私の時間ですから。いいんです。&br; ちょっと散歩しましょう？雨上がったみたいなので…お気に入りの場所に案内します！&br; （涙をぬぐってにっこり笑うと、彼の手を引き廃墟のようなアパートを出て歩き出す）&br; （初夏の眩しい陽射しの下、ぽつりぽつりと聖杯戦争の話をしながら……）&br; &br; &br; &br; （姉様はきっと、私が馬鹿なことを考えてるって今思ってる）&br; （……でも、この人なら、もしかしたら）&br; }; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-11 (金) 01:27:29}; *マルチナの先生 [#if1fe53b] -http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''黄金暦217年 ５月某日、朝'' --……フムン、ここか（メモ代わりのコースターを手に、寂れた町並みを歩いていたチンピラ）&br;（やがて見つけた、今すぐにでもつぶれて崩れてしまいそうなボロボロのアパートを見上げ、つぶやいた）&br;（くわえているタバコをポイ捨て……しようとして、そのまま青い炎で消し炭に変える）&br;ずいぶんひそやかな雰囲気だな、魔法使いのすみかとしちゃ適当かもしれねェが。&br;（新しいタバコの代わりにハーブを銜え、階段を登る。カツン、コツン、と、無音の空間に乾いた靴音が響く）&br;（そして三階。角の部屋、その扉の前にたどり着くと、蝶番の錆びたドアをノックし）&br;あー、姉貴から紹介聞いて来たカテンだ。マルチナ、いるかァ？&br;（声をひそめる。他の住人に名前を聞かれたら困る、ということに備えてである） -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-09 (水) 21:05:07}; ---&COLOR(#0097a2){''＼はーい！お待ちください！！／''（中から聞こえてきたのは元気のいい子供の声。ぱたぱた軽い靴音が聞こえてきて扉の鍵を開ける音）&br; よいしょっと…いらっしゃいませ！！わーほんとに来てくださったんですね…！！どうぞどうぞ！&br; （ひょっこり顔を出したのは聞いていた年齢よりも幼く見えるおかっぱの少女。扉を開け放つとキッチンと一緒になっているリビングに戻っていく）&br; （名前だけであっさりあけるのは子供としては無用心かもしれない。少女はテーブルの上の酒瓶を片付けて用意していた本を置く）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-09 (水) 21:20:14}; ---（子供の声と物音に自然と口元がほころぶ。なんだかんだで教師なだけに元気な子供には好感を抱くというもの）&br;（もっともマルチナが顔を出した時にはすっかりいつものしかめっ面で）おう。邪魔するぜ。&br;つってもマルチナ、もうちと警戒しとけ。名前知ってるたァいえ、見た目までは知らねェだろ。悪い強盗だったらどうする？&br;（悪い強盗そのもののツラで玄関を通り。酒類を見ると）キリルのか。あいつ、だいぶ飲兵衛みてェだな。 -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-09 (水) 21:38:50}; ---&COLOR(#0097a2){（ピアス姿で傷のある無愛想な顔も、高い背で見下ろされても、見るからに活発そうな少女は怖がる様子もなく）&br; （まるで青年の事を初めから知っていたかのように振舞っていた。カテンに用心の無さを指摘されると、きょとんとした顔）&br; えっ？だって……あ、そっか…す、すみません！（すぐに大慌てで謝る）&br; （少女はキリルの記憶も断片的にだけれど持っている。青年とキリルが話をしたから、顔も声もどんな人かも知っていて…）&br; （……つまり、彼がカテンだとわかっていたから、つい）……き、気をつけます…。&br; （はーっとため息をついて、準備してあったのか紅茶と手作りのクッキーを持ってくる。姉に話を聞いてから楽しみで毎日朝準備して待っていたのだった）&br; はい、お勉強の時はお菓子と紅茶を飲んでもいいのです。姉様はたっぷりのブランデーを入れたのが好きで…ええ、お酒大好きなんです。&br; （話しながらテーブルにセットをおいて、どうぞと手作りのクッションがおいてある椅子をすすめ、隣に座る）&br; …えへへ、あ、あらためて、マルチナ・トラフキンともうします。よろしくお願いします！&br; カテンさん…あの、先生とお呼びしてもいいですか？}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-09 (水) 21:57:57}; ---（少女の視線は、人懐こい子供のそれだとしてもいささか馴れ馴れしいというか）&br;（正しい表現をするなら、「初対面の人間に向けるもの」ではなかった。まるで、どこかで会ったことがあるような）&br;（……とはいえ、それは転生者であったカテンにとってはそう珍しいものではない）&br;（むしろ自分がそうする側だったことが多いくらいだ。そんなことを自分に対して向けてくるのは、かつての仇敵くらいなもの）&br;……いや、ま、いいけどよ（久々に思い出した、どろりとした黒い感覚に微妙なものを思い出しつつ、ひらひらと手を振り「気にしていない」と応じた）&br;（窮屈そうに195cmの体を屈ませて部屋の中を歩く。さすがに天井に届く、ということはないが、姉妹二人が暮らす部屋は広々とは言いがたい）&br;おう、ありがとよ（勧められた椅子に座ろう……として、クッションに気づく。筋肉で100kgを超える重量の自分が座ったらせんべいになりそうだと考え）&br;（ひょい、と持ち上げたそれを膝の上に置く。チンピラめいた見た目の割にファンシーな座り方である）&br;はいよ、よろしく。ああ、構わねェぜ、礼儀正しい生徒は教師としても楽でよろしいです。&br;（ぽんぽんと大きな手で頭を叩いてやると、教師時代の仕事道具を<月衣>から取り出し）&br;さて、今日は何の勉強をするかね。一般常識レベルの基礎教学ならできるぜ。テーブルマナーとかそういうのは勘弁な。 -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-09 (水) 22:08:26}; ---&COLOR(#0097a2){（姉との記憶の共有がおこりはじめたのはつい最近。まだ馴れてなくて、姉の記憶なのに自分の記憶のように振舞ってしまう）&br; （変に思われたようだけど、どうやら彼は見た目の印象よりだいぶしっかりしている人のようだ。…姉様はチンピラだって言ってたけど）&br; （そんな事を考えながらじーっと見つめていると、なんだか面白い座り方をしてきた。笑い出しそうになるのをこらえてしばらくぷるぷる）&br; （大きな手で撫でられると、にっこり笑って）はいっ！じゃ、じゃあカテン先生とお呼びしますね！&br; ええと、勉強はですね…あれっ、先生は魔術師なんですか？そう言えば姉様が先生が青い炎を使っていたと言っていたし…。&br; 魔法、教えていただいてもいいでしょうか？あと、普通の学校のお勉強も少し…。&br; （得意教科を聞いていなかったので色々そろえていた中から初心者向けの魔道書を取り出し、どきどき）&br; …ところで…どうしてクッションお膝に乗せてるんです？その上に私が座ってもいいんでしょうか？&br; （潰さないようにという青年の気持ちには気づかず、どうしてだろうとやっぱり気になっていたので聞いてしまった）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-09 (水) 22:35:18}; ---ふ、懐かしいなその呼び方も。養成校以来だぜ、よろしくマルチーズ（傷だらけの顔に薄く笑みを浮かべて頷いた）&br;っても、残念ながらオレ、魔法はそこまででもねェんだよな。いや、実践はそこそこにはできるンだがよ。&br;（実際に青い炎を指先に灯してみせ）こいつは魔法とは違う、オレ自身の能力みたいなモンだ。&br;学術的な魔法はあンまわからねェんだ、悪いな（苦笑して謝る。ウィザードである以上、基礎的な魔法は使用できるが、理論はいささか苦手なのである）&br;それ以外ならいけるな、数学でもやるか？ あとは歴史とかよ、ハイラーグみてェな国なら、ヴィーラがまとめてた資料持ってきてあるし。&br;（虚空からあれこれと教科書を取り出しつつ、ふと言われたことにはバツの悪い顔になり）&br;いや、ほれ、オレ重いからよ。このまま座ったらせっかくのアレがこう、なァ。&br;しかも座るって、いや、うーん……（頬杖を突いて考えこむ。これがからかい半分の成人女性ならげんこつでも叩き込んでいるところだが）&br;……ま、いいか（これだけ小さな子供ならそう問題になることでもあるまい。ヘタに距離を取って悲しませてもいけない）&br;そのほうが勉強しやすいならそれでいいぜ、ほれ（ぽふぽふクッションを叩いて） -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-09 (水) 22:42:54}; ---&COLOR(#0097a2){マルチーズ？！…わ、私犬じゃないですよ！マルチナです！（わふっ！）（両手をじたばたさせて抗議）&br; …魔法だめですか。私も先生や姉様みたいに炎を操れたら良かったんですけど…ほかは得意なのあったりするのですが。ふう。&br; 他にはー…（何を教えてもらおうかな、悩みつつクッションの謎が解けると「ああ！」と手をぽんと打って）&br; そんな気を使う人はじめてみました…先生は優しいですね？じゃあ今度はぎゅーっと綿を詰めて潰れない物を作っておきましょう。&br; あ、あの、誤解は解けたのですし、別に無理にとは……その、先生が嫌でなければ、はい。&br; （姉や娼婦達にはよく膝に抱っこしてもらえるけれど、男の人にはされた事がなくてどんな気分なのかなと興味があったので、遠慮しきれずにもじもじ）&br; …じゃ、じゃあちょっとだけ…足が痛くなったら言ってくださいね？&br; （カテンの膝によじ登ると歴史の本とノートを広げる。すわり心地はなんか固くて、でも安定感があって…「お父さん」の膝の上のようだと思った）&br; （……ホムンクルスにそんな存在はいないのだけれど。人の話を聞いて想像していた「お父さん」。こんな感じなのかな…）&br; えへへ…では、歴史を教えていただきたいです。ハイラーグの方の詳しい本は我が家にはないですから。&br; （顔を見上げてちょっと照れながら笑う。振り向かないで上を向いても顔が見えるなんてやっぱり大きい人は違うななんて思いながら）&br; &br; （そして二人でお茶をクッキーをつまみながら異国の歴史の話。物語を読んでいる時みたいに想像しながら話を聞く）&br; （北の雪国とは全然違う、けれど同じ人間の集まりだから似ているところもあって…違う国なのに同じとこもあるなんて不思議ですねと何度も言った）&br; （そのうちお昼の鐘が近くの教会から聞こえてきて、少女は慌てて膝から降りる）&br; あ！お昼！先生、良かったらうちで食べていきませんか？私作りますから！&br; いつもご飯一人なので…嫌じゃなかったら是非。すぐに用意しますね！&br; &br; （嬉しそうに言うと背を向けて、年期の入ったキッチンに走り…………突然、糸の切れた人形のように床に倒れてしまった）&br; （うつ伏せになった少女の手から玉ねぎがコロコロとカテンの足元に転がる） }; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-09 (水) 23:13:17}; ---ほいっと（よじ登るマルチナを抱えてやり、どっしりと丸太のように大きな膝の上に乗せる）&br; （こんなことをしてやるのは普段、妻であるヴィヴィアンくらいなものだ。彼女も彼女で恥じらったりせがんだり毎度忙しいが）&br; （もじもじしながらちょこんと座るマルチナの様子はそんな妻のわがままぶった振る舞いとは違ったもの）&br; （平たく言えば、父とのコミュニケーションに戸惑いを覚える思春期の娘のような）&br; （ふと、記憶が蘇る。かつて、白拍子の女とともに子を成し、育てていた頃の記憶）&br; （ヴィヴィアンとの逢瀬の間にも、そんな記憶を思い出したことはあったが、男女の愛情なくこうしたやりとりをするのは初めてのことだった）&br; 思ったより軽いなマルチーズ……って、そうか、犬扱いはダメだったな（じたばたする様子に苦笑しておとなしくさせ）&br; まァ心配すンな、こちとら105kgもある。それに比べりゃ、手前ェくらいどうってことねェよ。&br; だからこそクッションなンぞ使ったらペチャンコだからな、マルチナの軽さくれェなら問題ないみてェだ。&br; （顔を見上げられると、なんだか気恥ずかしさと苦々しいものがこみ上げてきた。その様子がまるで子供だったから）&br; （子殺しの記憶が蘇る。それを嫌悪するわけではないが、もちろんいい気分がするわけでもない）&br; （とはいえ、それは今ここにいるマルチナには何の関係もない。だから面には出さないようにし、「集中集中」と理屈をつけて）&br; （本の方を向けさせてやり、絵本を読んで語るように授業を始めた）&br; &br; ンでな、あっちには色々と特産品があってよ。そういや、オレが冒険者してた頃にゃ西方商船てェとこにも厄介になってな。&br; 懐かしいぜ、はじめて遭遇したのは学園で海行った時だったっけなァ……羊肉の丸焼きがけっこう美味くてよ？&br; 機会があったら行ってみるといい、まだこの町にも寄ってるだろうからな。ああ、そういやこないだ行った世界じゃ……。&br; （世界の壁も飛び越えて繰り広げる旅の一幕を語って聞かせてやる。様々な人々、時には人間ですらないものとの交流を）&br; （珍妙不可思議、奇々怪々の珍道中である。授業というか、ほとんどカテンの思い出話になったところで、昼の鐘が鳴り響き）&br; おっと。もうこンな時間か、悪い悪い（胸元から懐中時計を取り出して時間を確認し、降りてったマルチナを一瞥） &br;ン？ あァ、そうだな。別にどっかで食ってもいいンだが、ヴィヴィはまだ魔法の授業で忙しいしなァ。&br; しかしまァしっかりしてるこったな。ま、キリルに料理のたぐいができるようにも思えねェけどよ。&br; せっかくだ、オレも手伝ってやるよ（クッションを隣の椅子に置いて立ち上がる）&br; 野菜なしチャーハンなら得意だぜ、男の手料理ってやつ、を……っと、オイ！&br; （倒れる兆候は察していた。だが手を伸ばすより先に少女はうつぶせに伏せ、伸ばした手は玉ねぎを掴むにとどまり）&br; マルチナ、大丈夫か！？ もしかして病気なのを隠してたとかじゃねェよな、その様子は見当たらなかったが……ッ。&br; （玉ねぎをキッチンに放ってマルチナの小さな体を抱え上げる。脈拍、呼気、顔色、体温、それらを瞬時に確認）&br; （医学には明るくないが、はたして肉体的異常があるのかどうかをつぶさに確かめる。熟練の冒険者ゆえの機転だ）&br; -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-09 (水) 23:58:45}; ---&COLOR(#0097a2){（青年の腕の中瞳を閉じた少女はぐったりとして、呼吸もどんどんゆっくりに浅くなっていく…まるで死んでいくような）&br; （異常を調べていた彼の腕にかかる重みが突然変わり）};&br; &br; &br; &COLOR(#C41A41){（彼が腕の中を確かめた瞬間には、血のような赤く長い髪を床に広げて、海の色の瞳をゆっくりと開く……）&br; （……キリルの姿がそこにあった）&br; &br; （近くにあるカテンの顔を見ると、頭を抱えて起き上がる。黒いドレスをのろのろと調えるとそのまま座り込んで）&br; ……あー…大丈夫、病気じゃない……あと、あたし料理洗濯裁縫キッチリできるほうなんで。&br; （少女との会話の続き。低い大人の女性の声だけれど。女は気まずそうにがりがりと頭をかく）&br; 別に、あたしが変身していたわけじゃないよ？あんたの膝に座って羊の丸焼きに腹の音鳴らしてたのは紛れもなくあたしの妹のマルチナだ。&br; ちょっと事情があってね…あーどっから話したものか…て言うか話さないで帰れ忘れろでもいいんだけど…マルチナが泣くだろうし。うーあー…。&br; （唸りながら苦渋に満ちた表情で髪をわしゃわしゃしていたけれど、不意にぽんと膝を打つ）&br; ………………………………………………………………………………よし、とりあえず飯にすっか。&br; あんたは大人しく座ってて。作りながらどう話すか考えるから。お昼はパスタでーす。&br; （そう言うと青年の方に手を置いて立ち上がり、髪を結い上げるとキッチンに立つのだった）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif &br; &br; （そしてベーコンと玉ねぎのたっぷり入ったぺペロンチーノ辛口を振舞うと、食後の紅茶にどばどばブランデーを注ぎながら話し始める）&br; あたし達姉妹はホムンクルス…作られた人間って奴でね、魔術の実験のために生まれたんだ。&br; ある魔術師の使った魔物との合成魔術の暴走であたしと妹の体は一つになった…マルチナをあたしが吸収する形で。&br; 陽が登って夕陽が沈むまではあの子の時間。夜はあたしの時間。そんな風に自然に体が安定してたんだ。&br; でも、最近あの子の時間がどんどん短くなってきていてね。午後前にあたしになっちゃうなんて初めてだけど…。&br; まあ、そんなわけで、妹は学校に行けないのはこういう理由。&br; ……すまなかったね。先生を頼むのなら多少話しておくべきだったかもしれない。ホントに来てくれるとは思ってなくてさ。&br; （ブランデーと砂糖のたっぷり入った紅茶をすすり、深くため息をつく。結ったままだった髪の紐を解く）&br; （しばらくの沈黙。廃墟のようなアパートに、鳥のさえずりが聞こえてくる）&br; （鳥の飛び立つ音がして、ようやくまた口を開いた）&br; ……先生の話は、無かった事にしてもいいよ。あの子との話はあたしに筒抜け出し、いい気はしないだろ。}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-10 (木) 00:42:07}; ---呼吸が弱まってるな、けど体温に異常はねェ。心拍数も正常、発汗・発熱・黄疸などの異常もなし……。&br; どういうこった？ むしろこれじゃア……（どことなく、強まっているような気配さえする）&br; （と。顔をあげたところでずっしりと重みが変わり）うおっ！？&br; &br; （慌てて目線を戻すと、海色の藍瞳と目があった）&br; ……キリル？ あっ、え、ナンデ！？（自分が誰を抱きとめているかに気づいて慌てて手を放す）&br; （のろのろと、まるであたりまえのことのように装いを整えるキリルの様子に、はじめてのことではないと理解した）&br; いや、まァ手前ェがそう言うならそうなンだろうが……アッハイ。&br; （なんだか妙な雰囲気である。ズレた空気に頭をかきつつ、正体無く立ち続け）&br; 忘れろ、はオレのほうがよくねェよ。ここまで来て何も聞かずに帰れってのは無茶な話だぜ。&br; （むすっとした表情で腕を組む。とはいえ強要するわけにもいかないので、そのまま頷くのを待つ）&br; そうだな。腹が減ってるとどうしてもイライラしちまう、きっとマルチナと同じで手前ェも腹へってンだろうしよ。&br; （なんとなく事情は察せつつあった。ぶっきらぼうに言うと、背を向けてリビングに戻る）&br; （勉強道具やお茶のセットが広げられた机の上を掃除しながら、なんともいえない表情になるのだった）&br; &br; （そうして食後。冷めた紅茶を口にしながら、キリルの言葉に耳を傾け）&br; なるほどな。アルムセンセと似たようなモンか……ま、それ自体はあの街じゃ珍しくもねェ。&br; そういや生徒にもそンなヤツいたっけか、あいつら何やってンだか……ンで？&br; 時間によって分かれてたのが、最近不安定になってきたと。妙な話だな。&br; （ため息を聞くとぐっと紅茶を飲み干し、ティーセットを無造作に机に置いた）&br; 気にすンな、教師やってりゃ色ンなヤツを見る。ましてや、オレは何度もオレを繰り返してるからな。&br; ……っても意味わかンねェか。せっかくだ、ンな話聴いたンだし、オレも身の上の一つや二つ話してやるよ。&br; （そういって、沈黙の後、自分自身の過去を話した）&br; （かつて転生者であったこと。どうしても許せない鬼を追い、ただひたすらに戦い抜いたこと）&br; （その最後にこの世界へやってきて、やがて教師となったこと）&br; ……とまァ、そういうわけだ。オレもオレで、背負うものがあるのさ。&br; どうしてこンな話したと思う？ いや、別に不幸自慢しようってワケじゃなくてよ。&br; 手前ェらに事情があるように、オレにも事情がある。そしてオレは、それらを全部受け止めた上でやってきた。&br; 受け止めてくれるヤツがいた。生徒もダチも、色ンなヤツのを、受け止めてもきた。&br; つまり、手前ェらのもそのひとつにするだけってことだ。どうってこたねェ、オレは気にしやしねェよ。&br; むしろ話しやすいくらいだな。あァ、でもマルチナに手前ェの悪口いえねェのは面倒かもなァ。&br; （なんて、冗談めかして笑う）&br; 乗りかかった船だ。どうせなら、やれるとこまで付き合わせろよ。ま、所帯持ちだからべったり家庭教師は無理だがな。&br; 生徒の事情くれェ背負えないで何が教師ってンだ。マルチナだけじゃねェ、手前ェもせっかくだから教え子だよ。&br; それとも、オレにそこまで関わらせるのは嫌か？ キリル生徒（元同僚の口調を真似て、にやりと笑んだ）&br; -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-10 (木) 01:06:26}; ---&COLOR(#C41A41){（妹をどうやって慰めようか。きっと聞き分けよく気にしないというだろうけど、酷くがっかりするだろうななんて考えて）&br; この街に何人かホムンクルスがいたって言う話はオーナーから聞いてる。妹がそういう生まれなのだと言う話もね。&br; （妙な話）&br; （その言葉に表情が変わってしまうのを押さえられなくて、しばらく目を閉じる）&br; （元々ホムンクルスなんて不安定な存在なのだ。今まで吸収された妹の自我が保たれていたのが奇跡だっただけ）&br; （徐々に、今まで合成されてきた魔物たちと同じように、妹も自分の中に融けてきているのだ）&br; （それを口にすれば妹にも伝わるかもしれない。妹も自覚していることだけど…きっと苦しむと思うと言えなくて、押し黙る）&br; （その沈黙を破るように、青年のカップを奥音が響き……）&br; &br; （彼自身の話を聞かせてくれた。繰り返される転生と終わりの見えない戦い…その果てにたどり着いた世界）&br; （…記憶を持ったままの転生。それを妹にしてやれたらどんなにいいか…そんな事を考え…すぐに夢のような話だと考えるのをやめた）&br; （妹も、この記憶が残っていたら同じ事を思うかもしれないと思うと、胸が苦しくなって俯く）&br; （あっさりと受け入れられたことへの戸惑いも手伝って、言葉が出ない）&br; （信用していいのだろうか。何か裏があるのではないかと、どうしても考えてしまう。野良猫のような瞳で笑顔の男の心を探る様にじっと見つめる）&br; ……ずっと妹と二人、お互いだけ信じて生きてきた。あたし達を人として扱う奴なんていなかったんだ。&br; だから、あたしはまだオーナーもリラも信用できない……もちろんあんたも。何の見返りも無く手を差し伸べる奴なんて信じられない。&br; だから、あたしは誰にもあたしたちにこれ以上踏み込んで欲しくない。&br; &br; ……でも、妹は違うんだ。&br; あの子は人を信じるのを怖がらない。&br; あんたが全部知って、それでも教師としてまた来てくれるならマルチナは飛び跳ねて喜ぶだろうさ。&br; ……嫌じゃなかったら、たまにでいいからさ、またマルチナに勉強教えてやってよ。&br; お茶とお菓子くらいはご馳走するからさ。そのうち、いい酒もね。&br; （妹に似た言い方をして、薄く笑う）&br; （信じられない、でも、嫌なわけじゃないんだ。本当は嬉しいと言ってもいいくらいなのに）&br; &br; ま、あたしは遠慮しておくよ。信用云々の前にあんたとは上手くやれそうに無いからねー。妹だけね、妹だけ。&br; （へっ とそっぽ向いて口の端をゆがめ、食器を持って立ち上がる）&br; ……今日は悪かったね。……………………………………ありがとう。&br; （食器を洗う流しの音にまぎれて、背を向けたまま小さなお礼の声）}; -- [[キリル>名簿/479955]] &new{2012-05-10 (木) 02:19:42}; ---何の見返りもなく、ね。オイオイ、オレが何の見返りもなくこンな話してると思うのか？&br; （どっしりと椅子に背を預け、タバコ代わりのハーブをくわえながらふんぞり返る）&br; （野良猫のような表情を、岩のようにがっちりと、意志の硬さを感じさせる笑いで見返し）&br; オレは聖人君子じゃねェよ。ましてや、カワイソウだなンつー博愛精神も持っちゃいない。&br; 言ったろ？ アイツはオレの生徒だ。で、アイツと一心同体である以上、手前ェもオレの生徒だ。&br; 生徒の言うこと、やること、抱えてることは教師のモンでもある。手を差し伸べるとかそういうことじゃねェんだよ。&br; マルチナが、そして手前ェがオレを先生と呼ンだ時点で、手前ェらの事情は全部オレのモンだ。&br; 一つ足りともくれてやらねェってか？ お生憎様、生徒が教師に勝てるわけねェだろうによ。&br; （踏み込む、とか、手を差し伸べるというのは、それぞれの居場所が違う者同士の言葉だ）&br; （そうではないと男は言う。自分が教師であり、相手が生徒である時点で、それはもう同じ領域の話なのだと）&br; （だから手を差し伸べるとかではない。男は、困っている誰かに手を差し伸べる英雄などではない）&br; （ただ、自分と同じ場所に立つ誰かに肩を貸してやる、ごくごく当たり前のことをしているだけなのだ）&br; （少なくとも、本人にとっては。それがあっさりと言え、実行できる。そういう男なのである）&br; &br; 信じろたァ言わねェよ、もう手前ェがどう言おうがあがこうが、これはオレ「ら」の問題だ。&br; だから頼まれずともまた授業にゃ来るし、マルチナには思い出話の続きもしてやらァ。&br; 手前ェも手前ェで一般常識ってのがどうにも欠けてるからな、しっかりしごいてやるぜ。&br; （びしっ、と指を突きつけて笑う。遠慮しておく、という言葉はまったく聞きゃしない）&br; （ともすれば善意の押し付けとも取れるだろう。ずかずか土足で踏み込む、なんとも無遠慮な男だ）&br; （だが男は英雄ではない。誰かのために何かをしたり、なにかを背負うような、滅私奉公の戦士ではない）&br; （自分のため、自分が持つものを背負う、ただ自分勝手なだけの男）&br; （その「自分のもの」が身内にまで広がる、そういう傍迷惑で面倒で、なにより得をしない心根の持ち主なのである）&br; オレの生徒で最初から物分りがよかったヤツなンて片手で数えられるくらいだぜ。&br; 手前ェのそのひねくれぶりも慣れたモンだ、そのうちオレのことを教師として尊敬するくらいにしつけたるよ。&br; （けらけらと軽口を叩いて言い、小さな声が聞こえれば、応えずにふっと笑い）&br; さァて、ンじゃ腹も膨れたし、さっそく午後の授業の続きだな。&br; オイ、イヤそうなツラすンな！ 手前ェも生徒だってさっき言ったろうが！&br; （キリルとぎゃあぎゃあと騒ぎあいながら、そのあとしばらく授業という名のいがみ合いを繰り返したという）&br; -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-10 (木) 02:35:40}; *呪いのしるし [#oa70797a] -http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''黄金暦217年 ４月某日、昼'' --…マルチナ、その右手ちょっと見せて（娼館の中、帳簿を持って走る小さな少女を呼び止める） -- [[ラズ>名簿/13003]] &new{2012-05-07 (月) 21:51:15}; ---（少女は言われたまま手を差し出す。赤い刺青のような痣が入った手）&br;（それをそっとなでて）…これ、どうしたの？ -- [[ラズ>名簿/13003]] &new{2012-05-07 (月) 21:53:11}; ---&COLOR(#0097a2){…私にもわからないんです。数日前から急に現れて。何かの呪いかもって姉様が調べたんだけど、こんな模様どこの本にものってなくて…。&br;（帳簿と赤い日記帳を胸に抱いたまま、不安そうな顔で自分より少し背の高い少年を見つめる）}; -- [[マルチナ>名簿/479413#f9cd2e23]] &new{2012-05-07 (月) 21:56:05}; ---（…呪いと言えばその通りかもしれない。妹を二人も奪ったものだから）&br; （けれどそれを口にすれば少女は怖がる。だからただ笑って）&br; 大丈夫だよ。呪いじゃないよ。ミハイロフの鬼が言うのだから間違いない。ね？&br; （安心させるように髪をなでる）&br; …ね、ちょっとキリルとお話してもいいかな？ごめんね、まだ陽も傾いていないのに。 -- [[ラズ>名簿/13003]] &new{2012-05-07 (月) 22:01:20}; ---&COLOR(#0097a2){（少年の言葉に素直にほっとした表情になって）&br; よかった…はいオーナー。今かわりますね？&br; （そう言うと目を閉じて… ……）}; -- [[マルチナ>名簿/479413#f9cd2e23]] &new{2012-05-07 (月) 22:03:38}; ---&COLOR(#C41A41){（次の瞬間、少年の前には少女によく似た背の高い女性が跪いている）&br; …手、放して（頭の上に乗せられた手を横によける）&br; …もう切り替えてもしょうがないかもよ。マルチナがあたしの記憶を持ち始めている…断片的にだけど。&br; で、何？}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-07 (月) 22:10:48}; ---（きつい目つき、その見た目そのままの口調の女の言葉に眉を顰める。彼女の態度に怒った訳ではない。いつものことだ）&br; （彼女が口にした言葉、問題はそっち）&br; あう…本題に入る前に…確認なの。&br; …マルチナ…最近あんまり店にいないよね？ううん。いる時間が短くなっているんだ。夕方にはもういない…。&br; もしかして、マルチナの時間が短くなってる？マルチナがキリルの記憶も持ってるのは…その時期？ -- [[ラズ>名簿/13003]] &new{2012-05-07 (月) 22:18:27}; ---&COLOR(#C41A41){（少年が表情を変えるのを見て、目をそらす）&br; …そうだよ。&br; （一言だけ）}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-07 (月) 22:27:01}; ---どういうことか、わかる、かな。&br; ……わかるよね（問い詰めてこない。だから深く言う必要はない。それがどういう事か姉妹は知っているから） -- [[ラズ>名簿/13003]] &new{2012-05-07 (月) 22:38:00}; ---&COLOR(#C41A41){（跪いたまま俯く）……わかる。わかるよ。&br; あたしにも…マルチナにも…！！（声はだんだん大きくなり、深い海を思わせる瞳で少年を見つめ、肩を掴む）&br; …なあ、あんた鬼なんだろう。ホムンクルスを作り始めた奴なんだろう？&br; なら、どうにかできないのか？！マルチナをあたしから取り出す方法って無いのか？！&br; 日に日…マルチナの時間が短くなってるんだ。あたしの記憶をマルチナが持ち始めている…少しずつ、あの子があたしの中に溶けてしまっていってる…！！&br; このままじゃあの子…あたしの中に消えてしまう…！！！&br; （叫ぶ声は廊下に響き、少年を掴む指は肩に食い込む）&br; （溢れ出る涙は黒いドレスの胸元へ吸い込まれていって）&br; あたしは…死んだっていい。あの子を助けてよ…なんとかして……！}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-07 (月) 22:55:39}; ---（肩の痛みにも表情を変えず、ただ縋る女の髪を少女と同じように撫でる）&br; …ごめんね、一つになってしまった魂を元の二つに戻すことは僕にもできないんだ…ごめんね。&br; （赤い痣の浮かんだ彼女の手に、自分の手を重ねて）…でも、この痣が君達に出たのなら。&br; 二人がもう一度抱きしめあえるようになるかもしれないの。&br; この痣はね、僕の妹を奪っていった…聖杯に選ばれた証。&br; （跪いて縋る女を無表情に見下ろし、呟く） -- [[ラズ>名簿/13003]] &new{2012-05-07 (月) 23:01:54}; ---&COLOR(#C41A41){（外は少しずつ陽が傾き始め、空が赤く染まり始める）&br; （金色の光の下、銀髪の少年の言葉が、神様の言葉みたいに聞こえた）&br; …もう、一度…？&br; そうだ、この痣はなんなんだ…？急にあらわれて…刺青なんて入れた覚えないのに。&br; （少年に手をとられて、その場に座り込んだまま彼を見る）&br;……聖杯って…何の事だ…？}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-07 (月) 23:07:00}; ---（縋るように見つめる女の手を握り、淡々と幼い声は語る）&br; 聖杯はね、何年かに一度出現する魔道器のようなものでね、''何でも願いを叶えられる物''なんだって。&br; それをめぐる戦いを……''「聖杯戦争」''って言うんだって。&br; …今回もマスター候補はミハイロフ家の誰かだと思ってたんだけど…。&br; （彼女の右手の、赤い痣をなぞり）&br; …キリルとマルチナか。&br; 聖杯は…姉妹に縁があるのかな。&br; &br; &br; &br; 今からミハイロフ家は二人の味方。なんでもしてあげることができるよ。聖杯の取得は国のじいさまがたの命令でもあるの。&br; でもまあ、せいぜい利用して二人のために使ってしまえばいいさ。&br; まずは、強い英霊探しかな…うむ。あ、その前にちゃんと説明してあげないとね…あうー僕も全部知ってるわけじゃないんだけど…。&br; &br; （屈みこんで、いつもみたいに子供らしい笑顔）&br; 大丈夫今度こそ、きっと二人とも幸せにしてあげる。 -- [[ラズ>名簿/13003]] &new{2012-05-07 (月) 23:58:36}; --http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''黄金暦217年 ４月某日、朝'' ---&COLOR(#0097a2){『姉様』&br; 『マルチナは、消えてしまいたくないです』&br; 『だからオーナーの言ったとおりにしてみようと思います』&br; 『姉様は無償でバックアップしてくれるオーナーを信用できないと言いますが、私は信じたいです』&br; 『あの人の妹さんへの想いは、姉様のものとよく似ていると思うから』}; -- [[マルチナ>名簿/479413#f9cd2e23]] &new{2012-05-08 (火) 00:28:12}; --http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''黄金暦217年 ４月某日、昼'' -- &new{2012-05-08 (火) 00:36:45}; ---&COLOR(#0097a2){（化粧部屋をぱたぱた掃除中、衣装置き場に鮮やかな赤いリボンを見つけて、綺麗だったので欲しいなって思ってオーナーに頼みに行く）&br; （英霊探しと言ってもぴんとこなかったし、残り少ない時間はいつも通りに過ごしていたかったから）&br; （それを執務室で見たオーナーは、しばらく考え込むとぽんと手を打って言った）&br; 「それ、前にここでウェイトレスしてた子のリボンだと思うよ。確かお母さんとお父さんの思い出の品だとか…」&br; …さすがにそんな大事なものをいただくわけにはまいりませんねー…もしかしてなくして困っているかもしれないですし、届けてきましょうか？&br; 「うん、お願いするよ。まだ陽も高いし、大丈夫だよね？場所は…確か、旦那の方と連絡取れるとこでよかったと思う」&br; あ…どうでしょう、道の途中で姉様に変わってしまいそうですから…姉様にお願いしておきますね？}; -- [[マルチナ>名簿/479413#f9cd2e23]] &new{2012-05-08 (火) 00:37:36}; ---:コメなのをいいことにメモリさんの何でも再現できる神？様のメモ帳のページを・・・&br;渡そうとおもったけど、これ受け取った方も何かカッコヨク使わなきゃ！みたいなアレが発生するので&br;やめて、メーカーズマーク一瓶でも置いておくわ！バーボンウィスキーの傑作だと思います。 -- [[メモリ>名簿/438888]] &new{2012-05-08 (火) 06:13:43}; ---&COLOR(#0097a2){おはようございます！あ、あれ、お酒をいただきましたよ？！}; -- [[マルチナ>名簿/479413#f9cd2e23]] &new{2012-05-08 (火) 11:18:50}; ---&COLOR(#C41A41){（胃が痛いときに酒飲んだらやばいよなーでもなんか飲みたいなーと食い入るような視線で瓶とにらめっこ）&br;今回あたしたちだと使いどころが難しいので、わりとダークサイドのほうの奴に渡すと面白いことになるかもと思ったりする。}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-08 (火) 11:22:24};