[[名簿/498109]]

-''第六章''
-''第五章''
--''『汝、魔を断つ刃』''
---&br;　&br;　&br;'''──双眸の黄金瞳の少女は戸惑う'''&br;　&br;　&br;'''何が起きているのか、と'''
---&br;　&br;　&br;巨大なロボットが、巨大な機械の悪魔を両断している&br;　&br;　&br;朝食のパンを斬るように&br;　&br;　&br;何事もなかったかのように、両断していく&br;　&br;　&br;隣に佇む白髪の少年は語る&br;　&br;　&br;「…あと２つ。１２の盤上の悪魔が砕ける」
---&br;　&br;　&br;何が起きているのかわからない。いや、わかる。&br;　&br;　&br;悪しき何かが、打ち倒されたのだ。&br;　&br;　&br;黄金瞳は、理解する。
---&br;　&br;　&br;──極東帝国鉄道　黄金暦　三月&br;　&br;　&br;重力騎士は、機械の悪魔を両断した。&br;　&br;　&br;神を殺す、幻想を殺す、悪魔を殺す、鐘の同義の存在&br;　&br;　&br;１２のうちの１つ&br;　&br;　&br;うち９体は既に破壊され、残りは３つ&br;　&br;　&br;そのうちの１つは今ここで砕けた
---&br;　&br;　&br;「残り２つ、後はどこに…？」&br;　&br;　&br;'''──洋上学園都市'''&br;　&br;　&br;「…何？」&br;　&br;　&br;少女の呟きが、白髪の少年の耳を捕える&br;　&br;　&br;「マルセイユ実験の、継続実験か…？しかし…」&br;　&br;　&br;少女はなぜ理解できたか、自分ではわからない。&br;　&br;　&br;その黄金瞳が、列車の中で捕えていたことも、理解できておらず&br;　&br;　&br;「なら簡単だ、急ごう相棒！」&br;　&br;　&br;「あぁ、&ruby(ツェッペリン){飛空艇};クラウ・ソラスならすぐだ」&br;　&br;　&br;茫然とする少女に、黒髪の…重力騎士から降りた少年は&br;　&br;　&br;「何してるんだ？お前も来るんだよ！こんなところでどうするつもりだ」&br;　&br;　&br;──それは、最もなんだろうけども&br;　&br;　&br;──説明ぐらい欲しいものである
---&br;　&br;　&br;──極東帝国鉄道　黄金暦２４８年３月&br;　&br;　&br;&ruby(ツェッペリン){飛空艇};クラウ・ソラスは飛ぶ。&br;　&br;　&br;洋上学園都市へ向けて…
---　&br;　&br;　　&br;　&br;　　&br;　&br;　　&br;　&br;　&br;　&br;　　&br;　&br;''つづく''
-''第四章''
--''『世界の卵』''
---&br;　&br;　&br;'''──回答です'''
---&br;&br;&br;'''少年は英雄でもない人とし戦い続けます'''&br;&br;&br;'''続けることを決めました'''
---&br;&br;&br;'''それを望んだから'''&br;&br;&br;'''誰でもない。誰かの笑顔のために…'''&br;&br;&br;'''流れゆく'''&br;&br;&br;'''時間の外で'''&br;&br;&br;'''永劫の──人として'''
---&br;&br;&br;'''戦士でもなく'''&br;&br;&br;'''騎士でもなく'''&br;&br;&br;'''──神でもなく'''
---&br;&br;&br;'''永劫の人'''
---&br;&br;&br;''──新大陸──''
---&br;&br;&br;「やられた…！クソッ！最後にこんなもん残しやがって…！」&br;&br;&br;──45口径&ruby(オート){自動装填拳銃};の銃声が響く&br;&br;&br;「痕跡は追える。今からでも間に合うはずだ。」&br;&br;&br;──更地と化した新大陸の砂漠で&br;&br;&br;「急ごう、海空」&br;&br;&br;──修道士姿の少年は&ruby(ツェッペリン){飛空艇};を呼ぶ&br;&br;&br;「ロジャー…こいつは一筋縄じゃいかないかもしれない。」&br;&br;&br;──黒いジャケットを翻し、少年も続く&br;&br;&br;「鐘が既に起動していただと…？結社め」&br;&br;&br;──風に乗り、流れていく新聞&br;&br;&br;日付は──&br;&br;&br;──12月25日
---　&br;　&br;　　&br;　&br;　　&br;　&br;　　&br;　&br;　&br;　&br;　　&br;　&br;''つづく''
-''第三章''
--''『混沌調悪』''
---''魔界編''
---&br;　&br;　&br;'''──これは英雄の物語ではない。'''
---&br;　&br;　&br;'''ただ強く。挫けぬ不屈の英雄を志す者は無用である。'''
---&br;　&br;　&br;'''──これは邪悪の物語ではない。'''
---&br;　&br;　&br;'''ただ蹂躙し。凌辱せし邪悪たる者は無用である。'''
---&br;　&br;　&br;'''──これは邪悪と戦う人の物語である。'''
---　&br;　&br;　&br;邪悪とは戦うしかありません。　&br;　&br;　&br;でなければ、誰かが　&br;　&br;　&br;もっと多くの人が傷つき悲しみます。　&br;　&br;　&br;しかしそれは暴力。一度手に取れば　&br;　&br;　&br;暴力の螺旋が　&br;　&br;　&br;死の螺旋が待ちうける。　&br;　&br;　&br;それでも少年は戦いました。
---　&br;　&br;　&br;'''悪鬼！'''　&br;　&br;　&br;'''悪鬼！'''
---　&br;　&br;　&br;'''外道！'''　&br;　&br;　&br;'''外道！'''
---　&br;　&br;　&br;'''鬼畜！'''　&br;　&br;　&br;'''鬼畜！'''
---　&br;　&br;　&br;誰にも理解されません。　&br;　&br;　&br;それもそのはず。　&br;　&br;　&br;その手にあるのは武力。　&br;　&br;　&br;武力を持ち振るうものの言葉を誰が聞くものか。
---　&br;　&br;　&br;それでも少年は戦いました。　&br;　&br;　&br;──戦って　&br;　&br;　&br;──罵られて　&br;　&br;　&br;──傷つけられても
---　&br;　&br;　&br;少年は不屈ではありませんでした。　&br;　&br;　&br;少年は人間でした。　&br;　&br;　&br;どうしようもなく、優しかったから　&br;　&br;　&br;何度も何度も傷ついて　&br;　&br;　&br;その度に泣いて　&br;　&br;　&br;涙なんて枯れればよかったのに　&br;　&br;　&br;心が摩耗してしまえばよかったのに　&br;　&br;　&br;少年にはできませんでした。　&br;　&br;　&br;何度も何度も膝をついて　&br;　&br;　&br;その度に嗚咽を漏らしても　&br;　&br;　&br;戦い続けました。　&br;　&br;　&br;──苦しんでいる誰かのために　&br;　&br;　&br;──戦うと決めた自分のために
---　&br;　&br;　&br;それが自分だから。　&br;　&br;　&br;──だからこそ　&br;　&br;　&br;──愚かでも　&br;　&br;　&br;──自分であり続けたいから
---　&br;　&br;　&br;「カイは本当に馬鹿だね」　&br;　&br;　&br;「でも、私は知っているよ」　&br;　&br;　&br;「カイが本当に正義の味方だってことを」
---　&br;　&br;　&br;「この世界には、困ったら助けてくれる人がいるって」　&br;　&br;　&br;「ずっとずっと覚えているよ」　&br;　&br;　&br;「だから、疲れたら休みに来てもいいんだよ」
---　&br;　&br;　&br;今にも泣いて　&br;　&br;　&br;抱きしめたくなるほど　&br;　&br;　&br;辛く、優しく、暖かく
---　&br;　&br;　&br;されど足は止めず　&br;　&br;　&br;そうすると決めたから　&br;　&br;　&br;巻き込まぬと　&br;　&br;　&br;頼らぬと　&br;　&br;　&br;決めたから　&br;　&br;　&br;そんな人がいるというだけで十分だったから　&br;　&br;　&br;戦えるんだと
---　&br;　&br;　&br;'''女は死んだ'''　&br;　&br;　&br;'''女は凌辱された'''　&br;　&br;　&br;'''女は愉悦の雫となった'''　&br;　&br;　&br;'''女は邪悪の贄となった'''
---　&br;　&br;　&br;その傷が　&br;　&br;　&br;'''その嘲笑が'''　&br;　&br;　&br;その涙が　&br;　&br;　&br;'''その愉悦が'''　&br;　&br;　&br;その優しさが　&br;　&br;　&br;'''その邪念が'''　&br;　&br;　&br;あるからこそ　&br;　&br;　&br;──戦うのだ。
---　&br;　&br;　　&br;　&br;　　&br;　&br;　　&br;　&br;　&br;　&br;　　&br;　&br;''つづく''
-''第二章''
--''『流転する世界』''
---''機神胎動''
---&br;　'''──『物語』だ。'''
---&br;&br;&br;'''『物語』を&ruby(はじ){創};めよう。'''
---&br;&br;&br; '''デタラメを入れ、語りを遮りながら。'''
---&br;&br;&br; '''ゆっくりと、ひとつひとつ'''
---&br;&br;&br; '''風変りな出来事を打ち出して'''
---&br;&br;&br; '''歪んだ世界の物語を育もうじゃないか。'''
---&br;&br;&br; ──例題です。&br;&br;&br; 少年は戦い続けました。&br;&br;&br; 諦めない心&br;&br;&br; 弛まぬ努力&br;&br;&br; 魔導に剣術&br;&br;&br; そして、摂理の力。異能を手に入れました。
---&br;&br;&br; あらゆる物質的現象さえ&br;&br;&br; 時間さえものともしないその力を手に入れて&br;&br;&br; 少年は邪悪と戦いました。&br;&br;&br; それで勝てましたか？&br;&br;&br; 滅ぼせましたか？&br;&br;&br; いいえ、できませんでした。&br;&br;&br; それは無理というものです。&br;&br;&br; 勝てる道理がない、理屈がない&br;&br;&br; だから、無理なのです&br;&br;&br; 少年はどうするべきですか？&br;&br;&br; 諦めるべきですか&br;&br;&br; 努力を捨てるべきですか
---&br;&br;&br;''オォォォォォオオオオオオオオ！！！！！''
---&br;&br;&br;いいえ。&br;&br;&br; 少年は叫びました。&br;&br;&br; こんなのは絶対におかしい！&br;&br;&br; 勝つ！諦めない！&br;&br;&br; 何度死にかけようとも！&br;&br;&br; 努力もやめない！&br;&br;&br; 倒すんだ！&br;&br;&br; 心を、瞳を、口をめいっぱい開いて叫びました。
---&br;&br;&br; するとどうでしょう。&br;&br;&br; 同じくして彼らと戦おうと決めていた者が表れたのです。&br;&br;&br; 神の摂理に挑む者である、と&br;&br;&br; 彼は言いました。&br;&br;&br; そして少年に手を差し出します。&br;&br;&br; 今はまだ生まれていない。&br;&br;&br; だが共に、打ち勝つための力を。&br;&br;&br; 人のための力を作り、人のための力で邪悪なる神の摂理を滅ぼそうと&br;&br;&br; 二人は誓いました。
---&br;&br;&br; ──それは&br;&br;&br; 神が敷いた摂理という名の舞台を&br;&br;&br; 破壊する、機械の神＜デウス・エクス・マキナ＞
---　&br;　&br;　　&br;　&br;　　&br;　&br;　　&br;　&br;　&br;　&br;　　&br;　&br;''つづく''
-''第一章''
--''『覚醒と起点』''
---''神の摂理に挑む者達''
---&br;&br;──話をしよう。&br;&br;
---&br;　&br;ここに一人の少年がいます。&br;　&br;少年は目がとてもよい子でした。&br;　&br;生まれもってなのか、なんでも見えました。&br;　&br;ですから少年は、自分を育ててくれたおじいさんと、おばあさんが&br;　&br;とてもいい人というのを知っています。&br;　&br;御爺さんは言いました。&br;　&br;「大地に芽吹く命と共にあるのが私たちで、君も私たちも大事な家族だよ」　&br;　&br;と。　&br;　&br;おばあさんは言いました。&br;　&br;「だから、気にしなくていいのよ。おやすみなさい。」&br;　&br;　&br;おじいさんも、おばあさんも。とてもいい人たちでした。&br;　&br;　&br;だから少年が愛する二人と、二人が愛する自然と、世界が大好きでした。&br;　&br;ありのままに写す、その瞳が、見える世界を知る世界を愛おしいものだと、教えてくれました。
---&br;　&br;しかし、世界は優しくはありません。　世界はそうできているのです。&br;　&br;ですから。少年の前で焼ける家が。　湖畔にある家が。誰かのお墓がある、と聞かされていた家が。&br;　&br;　&br;汚され、潰され、凌辱されていく様が。&br;　&br;ただ、邪魔だからという理由で壊され、殺されていく様が。&br;　&br;　&br;この世界の真実なのだと。この世界なのだと。　この世界の有様なのだと。&br;　&br;仕方ないのだ。これが世界なのだと。茫然とするしかないのでしょう。　&br;　&br;　&br;だってこれは世界なのだから。　これが真実なのだから。　&br;　&br;　仕方ない。　&br;　仕方ない仕方ない仕方ないしょうがない仕方がない&br;　&br;仕方ない仕方ない仕方ない&br;　&br;しょうがない仕方ない仕方ない仕方ない&br;　&br;しょうがない仕方ない仕方ない仕方ないしょうがない&br;　&br;仕方ない仕方ない仕方ない&br;　&br;仕方ない仕方ない仕方ない仕方ない&br;　&br;仕方ない仕方ない
---&br;　&br;　&br;　&br;''残　念　で　し　た''
---　&br;　&br;　&br;　&br;''仕方ないよね、それが世界だもん''&br;　&br;　&br;　&br;''しょうがないさ、それが世界だ''
---&br;　&br;　&br;　&br;はい。　&br;　&br;　&br;　&br;そうなのでしょう。&br;　&br;　&br;　&br;そういう風にしか、世界はできていないのでしょう。
---&br;　&br;''残　&br;　　　　　　　　　　　　　　念　&br;　　　　　　　　　で&br;　　　　　し''
---&br;　&br;　&br;　&br;　&br;''&size(25){誰　だ　お　前　は　！　！　！　！};''&br;
---&br;　&br;　&br;　&br;少年は虚空に叫びました。　&br;　&br;　&br;誰もいないはずの虚空に。　&br;　&br;　&br;しかし少年は見えていたのです。暴れ、凌辱の限りを尽くす彼らが纏う極彩が。　&br;　&br;　&br;そこから流れ出ているのを。
---　&br;　&br;　&br;くすくすくす　&br;　&br;　&br;あははは　&br;　&br;　&br;そうか。君は僕が見えるのか。　&br;　&br;　&br;どうしてだろうね。　&br;　&br;　&br;そうか。君のその瞳は　&br;　&br;　&br;
---　&br;　&br;　&br;お前たちが、二人を！おじいさんとおばあさんを！みんなを殺させたのか！殺したのか！　&br;　&br;　&br;　　&br;　&br;　&br;意味があることだよ。僕らの中でのね。　&br;　&br;　&br;戯れでもあるかな。だってこれは──　&br;　&br;　&br;あぁ、うん。来たか。　&br;　&br;　&br;君と同じ瞳を持つものが　&br;　&br;　&br;
---&br;　&br;　&br;　&br;''&size(15){&color(#ffffff,#000000){『魔導剣：一心奥義(エンチャントブレイドアーツ：ワン・オブ・ワン)』};};''
---''&size(15){&color(#ffffff,#000000){≪レール・ビームライフル≫──!!!};};''
---&br;　&br;　&br;　&br;すまない
---&br;　&br;　&br;　&br;力が及ばず。
---&br;　&br;　&br;　&br;あれは、何なんだ！&br;　&br;　&br;　&br;あの、あれは…！あいつは！なんなんだ！&br;　&br;　&br;　&br;
---&br;　&br;　&br;　&br;少年は慟哭しました。やり場のない怒り。いいえ。その先はわかっているはずです。　&br;　&br;　ですから、自分と同じ髪色を持つ男に叫びました。　&br;　&br;　あれが、何なのかを。
---　&br;　&br;　あれは異界の者。異界の悪魔、邪神。この世に邪悪な摂理を敷き、戯れに介入するもの。　&br;　&br;　己が愉悦のために人を惑わし、苦しめる悪であると。　&br;　&br;　自分と同じ髪を持ち、自分の師匠と同じ瞳を持つ少年に応えました。　&br;　&br;　そして問いました。　&br;　&br;　戦う力が欲しいかと　&br;　&br;　修羅よりも、悪鬼よりも、死ぬよりも険しい道になるが　&br;　&br;　彼らと戦う力が欲しいかと
---　&br;　&br;　　&br;　&br;────そして、少年は　&br;　&br;　　&br;　&br;　　&br;　&br;　　&br;　&br;　&br;　&br;　　&br;　&br;''つづく''