[[どうにかなりましたか？　どうにもなりませんでしたか？>名簿/498187]]

-''第一幕 「雷電の男」'' --  &new{2013-05-06 (月) 02:27:33};
--――例題です。 --  &new{2013-05-06 (月) 02:28:06};
---&br;&br;ここに、一人の少女がいました。&br;&br;&br;物語の主人公に憧れる少女です。&br;&br;世界に蔓延る悪を滅ぼし、正義を成したいと思っている少女です。&br;&br;&br;だけど、少女には力がありません。大いなる謎を解けるような智慧があるわけでもありません。&br;&br;物語の正義の味方のような力など、どこにもないのです。&br;&br;&br;少女は正義を成したいと考えていました。&br;&br;世に蔓延る悪をうち滅ぼす者になりたいと思っていました。&br;&br;物語の名探偵のように、悪に恐れず立ち向かう力が欲しいと思っていました。&br;&br;&br;だけど、少女は何もできません。&br;&br;世の中の悪事に遭遇しても、ただ見ていることだけしか。 --  &new{2013-05-06 (月) 02:29:37};
---&br;&br;そこに、男がやってきました。&br;&br;男は、少女に何かを話しかけています。&br;&br;&br;「チク・タク、チク・タク、時間だよ！」&br;&br;「君の、物語の終わる時だ」&br;&br;「そう、すべて。君の物語すべて。意味など何も、ない」&br;&br;&br;時計を鳴らす男は少女に嗤いかけます。&br;&br;時間だよ、と告げます。&br;&br;邪悪な燃える三眼が少女を見つめます。&br;&br;&br;少女は何もできません。&br;&br;ただ震える事しか、できません。&br;&br;物語の主人公のように、果敢に戦うことなどできません。&br;&br;&br;チク・タク、チク・タク。&br;&br;時計の音は無慈悲に告げます。&br;&br;少女の最期を。&br;&br;&br;不思議な力を使う男があらゆる物理法則を歪めながら少女に迫ります。&br;&br;少女はただ震えるだけです。&br;&br;ただ怯えるだけです。 --  &new{2013-05-06 (月) 02:43:29};
---&br;&br;&br;――どうするべきですか？&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 02:49:00};
---&br;&br;&br;少女は、心を静めて冷静になるべき？&br;&br;少女は、相手に立ち向かって戦いを挑むべき？&br;&br;少女は、誰かに助けを求めるべき？&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 02:49:31};
---&br;&br;&br;――それで、どうにかなりましたか？&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 02:52:23};
---&br;&br;冷静になって、何かできましたか？&br;&br;戦いを挑んで、男に抵抗できましたか？&br;&br;助けはきましたか？&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 03:06:18};
---&br;&br;――解答です。&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:47:30};
---&br;&br;少女は何もできませんでした。&br;&br;何も選ぶこともできず、動くことも、抗うことも、できませんでした。&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:47:59};
---&br;&br;&br;――はい。&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:48:39};
---&br;&br;&br;そうなのでしょう。&br;&br;そういう風にしか、運命は巡らないのでしょう。&br;&br;いと高きところにあって、人を許す神なるものの救いもなく。&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:49:27};
---&br;&br;&br;そうして朽ちていくのです。&br;&br;そうして終わってゆく。&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:50:05};
---&br;&br;&br;だから、これでおしまい。&br;&br;何処かで誰かが嗤うのでしょう。&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:50:31};
---&br;&br;&br;夜空の月か、&br;&br;黄金の薔薇か。&br;&br;それとも虚空の果てで時計を鳴らすものか。&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:50:53};
---&br;&br;&br;ですから――&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:51:58};
---&br;&br;&br;これで、おしまい。&br;&br;さようなら。&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:52:25};
---&br;&br;残　　　　　　　　念&br;&br;　　　　　　で&br;&br;　　　　　　　　   　　　　　し&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:53:18};
---&br;&br;　　　　　　　　　　　''&color(#ffffff,#000000){世界介入};''　&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 18:54:18};
---&br;&br;「諦めるな。助けを呼べ。お前は一人ではない。誰しもが、“輝き”を持っているのだから」&br;&br;&br;声が響く。&br;&br;声が響く。&br;&br;――貴方は……誰？&br;&br;&br;――眩い輝きとともに――&br;&br;――空を駆ける雷電ひとつ――&br;&br;&br;少女の前に、一人の男、いえ、雷電が現れました。&br;&br;空に輝く、並ぶことなき雷電です。&br;&br;世界の果てで戦い続ける世界の敵が、現れたのです。&br;&br;&br;――貴方は、正義の、味方？&br;&br;&br;「正義の味方であるものか。私は――世界の敵だ」&br;&br;&br;――でも、貴方は。私を、助けて……。&br;&br;&br;紫電が走り、時計鳴らす男と雷電の男が対峙します。&br;&br;「チクタクマンの化身の一つよ――世界は、貴様の遊び場ではない」&br;&br;「チク・タク、チク・タク。では、どうするというのかね？　かの地を救えなかった、君が」&br;&br;「私は戦い続けよう――輝きを護るために」&br;&br;&br;「世界の敵よ、時間だ。断罪の時だ。一度許されたその身を、また罪に染めるというのか」&br;&br;「何が罪か。貴様も――私と同じく、世界の敵だ」&br;&br;&br;雷電と混沌が衝突しました。&br;&br;たとえ一人となっても、世界のために戦い続けるものが。&br;&br;少女の運命を、変えたのでした――&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 22:11:11};
---&br;&br;「諦めるな。助けを呼べ。お前は一人ではない。誰しもが、“輝き”を持っているのだから」&br;&br;&br;声が響く。&br;&br;声が響く。&br;&br;――貴方は……誰？&br;&br;&br;――眩い輝きとともに――&br;&br;――空を駆ける雷電ひとつ――&br;&br;&br;少女の前に、一人の男、いえ、雷電が現れました。&br;&br;空に輝く、並ぶことなき雷電です。&br;&br;世界の果てで戦い続ける世界の敵が、現れたのです。&br;&br;&br;――貴方は、正義の、味方？&br;&br;&br;「正義の味方であるものか。私は――世界の敵だ」&br;&br;&br;――でも、貴方は。私を、助けて……。&br;&br;&br;紫電が走り、時計鳴らす男と雷電の男が対峙します。&br;&br;「チクタクマンの化身の一つよ――世界は、貴様の遊び場ではない」&br;&br;「チク・タク、チク・タク。では、どうするというのかね？　かの地を救えなかった、君が」&br;&br;&br;「私は戦い続けよう――輝きを護るために。あの悲劇を、二度と繰り返さぬために」&br;&br;&br;「世界の敵よ、時間だ。断罪の時だ。一度許されたその身を、また罪に染めるというのか」&br;&br;「何が罪か。貴様も――私と同じく、世界の敵だ」&br;&br;&br;雷電と混沌が衝突しました。&br;&br;たとえ一人となっても、世界のために戦い続けるものが。&br;&br;少女の運命を、変えたのでした――&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 22:11:11};
---&br;&br;&br;――そして、少女が気が付くと、そこには雷電の男だけが、立っていました。&br;&br;――教えて、貴方の、名前は？&br;&br;「私は世界の敵だ――そして、そう、探偵だ」&br;&br;&br;彼はそう言い残して消えてしまいました。&br;&br;名前も、はっきりとした姿も、少女はわかりませんでした。&br;&br;だけど、少女は、彼の「輝き」を見たのでした。&br;&br;&br;少女はそして、変わりました。白い彼のように雷電たる彼のように、世界を護りたいと決意したのです。&br;&br;努力して努力して、彼女は“バリツ”を身に着けました。&br;&br;&br;彼女は、学園都市にて、《異能》を手に入れました。&br;&br;望んだ力です。どのような悪をも滅ぼす正義の、、輝きたる《奇械》の力です。&br;&br;おとぎ話の力を、手に入れたのでした。&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 22:12:15};
---&br;&br;&br;――そうして。&br;&br;彼女は探偵となりました。雷電たる彼と同じように。世界を護るために。輝きを護るために。&br;&br;「正義の味方」であるために。&br;&br;&br;だけど、問題が、ひとつ。&br;&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 22:12:48};
---&br;&br;''Q.そも、正義とは？''&br;&br; --  &new{2013-05-06 (月) 22:13:19};
---&br;&br;つづく --  &new{2013-05-06 (月) 22:13:42};
-――例題です。 --  &new{2013-04-21 (日) 23:39:36};
- --  &new{2013-04-20 (土) 01:34:12};