[[乱蔵>名簿/475286]] [[鳳釵>名簿/475302]]


 乱蔵 &color(#800000){};  鳳釵&color(orangered){}; &br;
[[■ 想い出其の壱>http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst080758.mht]]

|BGCOLOR(slateblue):[[http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075496.png>編集:敢為邁往]] [[http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075497.png>差分:敢為邁往]]|
|BGCOLOR(#EEEDFF):#pcomment(敢為邁往,1,below,reply)|
#region(ログ)


-&color(#800000){っくしょい!(ぱたぱたと叩きを家具にかけて埃を落として行きながら、部屋の中を赤毛男が回っている。その最中、派手に響く大きな一つのくしゃみ)&br;流石に…寒いの……(風通しを良くするため、窓を開けているのだ、当然であろう。にしても去年までの己では思いつきもしなかったことだ)&br;ま…こういうのも悪くないの(叩きを再開しながら笑みを浮かべて独りごちる。今年くらいはしっかりとしておきたい、何しろ、この部屋で彼女と過ごす初めての年の瀬なのだから)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-12-30 (日) 23:19:02};
--&color(orangered){寒いねーでも頑張って一年の汚れを落とさなきゃね(盛大なくしゃみにくすくす笑いながら、こちらはゴミの選別と炊事場の掃除に取り掛かっていた)&br;(何しろ食事はほとんど自分が領域なのだから、その分勝手も充分に判っている 調味料もよく使うものとたまに使うもの、よく使うものは手に取りやすい位置にと配置し直していった)&br;ねぇ らんぞー君の所って、年の終わりにはお蕎麦食べるんでしょ? じゃあそれも用意して置かなくちゃね&br;(今年最後の食事なら豪華に行きたい所だが、それでは年越し蕎麦が入らなくなってしまう可能性もある では軽めに取った方がいいのだろうか それともお蕎麦も一緒に食べる?)&br;(うーんと唸りながらも掃除をする手は止まらず、炊事場周りは粗方片付いていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-12-30 (日) 23:29:54};
---&color(#800000){くくっ、普段からホウサ殿が頑張ってくれてるからの、そこまで大したものではないわ(あらかた埃を落とし終え、ふう、と一息を付き今度はちり取りと埃入れを手に取り床をはき出す)&br;あー…確かに食べるの。こっちに来てからはとんと食べておらんかったが(確か去年は盛り場へ繰り出して酔客と共にエールのグラスを打合せていた、更に去年は冒険の真っ最中に同行者と焚き火を前にしていた気がする)&br;用意できるのであれば折角じゃしそれもたぐるとするか(隅から隅まで、丁寧に埃を集める。どうせなら綺麗な部屋で年明けを迎えたいではないかと、念を入れて)&br;となると東国の酒も欲しい所じゃの…まだ買い置きはあったじゃろうか(ふと、手を止めて思い出す。数日前に己が煽っていたような記憶があるが)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-12-30 (日) 23:49:08};
---&color(orangered){普段からやってると大掃除の時は本当に楽だよねー 前はそれで苦労してたんだー&br;(養成校時代まではほとんど宿から宿への根無し草な生活をしていたので、定位置に落ち着くというのはこの街に来てから初めてだった 初めの一年、かなり苦労しながら家事をこなしていたのが懐かしい)&br;じゃあ、上にのっける天ぷらも豪勢にしよっか かき揚げとかー 精進揚げとか、あ、海老天ももちろん乗っけなきゃね&br;(しかし海老の天ぷらは綺麗に揚げるにはかなりコツがいる 上手く出来るか心配だが、まあ失敗してもそれはそれで味というもの)&br;ああお酒も用意しなきゃ…ってあれ? お酒はこの前らんぞー君が飲んでなかったっけ&br;(確か半端に残っていたので、年が明ける前にこれもさっさと片付けようという言い訳の元に飲み干してしまったのだ)&br;じゃ、お掃除が終わったら新年を迎えるお酒を買いに行こっか?(それもかなりの量がいるかもしれない お酒が好きな人は特に祝い酒が大好きで、新年を迎えるのならば尚更盛大になろう)&br;(手早く片づけを終え、料理の下ごしらえも大体済ませ、何かついでに買っておくものはないかとメモを取る 新年はお店もほとんど休みを取るので、もし買い忘れがあれば大変だ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-12-31 (月) 00:05:10};
---&color(#800000){ほう、それはそれは随分なごちそうになるの。いい年が越せそうじゃわい(からからと笑う。ぷりぷりの海老にサクサクの衣、それを想像しただけで腹が減る)&br;やっぱりか…確かにもう飲んでしまったような気もしておったんじゃが…ま、飲み納めをするなら大晦日のが相応しいじゃろうな。&br;(腕を組みさもあらん、といった様子で言う。もちろんただの飲みたい口実なのは彼女には丸わかりだろうが)&br;そうと決まればとっとと済ませてしまわんとの、あとはこちらを掃いてしまえば…っと(最後に残った部屋の角を掃いて埃をゴミ箱へ捨てる。やはりそこまでの量はなかった)&br;ふむ、これで掃除は終いじゃ(掃除用具を片づけ、手を洗い窓を閉め、思い出し思い出しメモを細々と取る彼女を眺め)&br;そちらの準備は大丈夫そうかの?なに、少々忘れ物があっても酒と蕎麦があれば充分じゃ(などと笑って言いつつ奥の部屋に移動しごそごそと出かける準備を始める)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-12-31 (月) 00:37:20};
---&color(orangered){私も大体終わったよー これで多分大丈夫 よし行こっか&br;(肩に厚地のストールをかけ、買い物籠と財布を片手に、もう片方は乱蔵の腕に絡ませる いつものお出かけスタイルだ)&br;(今日は寒い日なのでこれくらい密着しても止む無しと言わんばかりに、ぴったりと乱蔵に寄り添う 抱きしめる腕や触れ合う肩からの温もりが実に心地よい)&br;みんなもお出かけみたいだね(普段から人ごみが絶えないこの街でも、年末となると更にその活気は膨れ上がる それに商品の並びも普段とはまた違った目新しいものばかりだ)&br;(この街は各国様々な食材等の品物が取り揃っているが、今はそれに新年グッズが所狭しと陳列しているのが見える)&br;&br;ねぇ らんぞー君の所だとどういう風に新年を迎えるの? 何か特別なこととかするのかな&br;うちはねー 12月の初め頃から新年に食べるご馳走の用意をしてね、お餅も白や黄色いの用意するの&br;お餅が美味しいとその年は良い年なんだってー あとね、街の方では年が明けた時に爆竹鳴らして大騒ぎするんだって&br;(ニコニコしながら自分の故郷の年の瀬の風景を思い出す 新年の為に取り添えるのは何も食事だけではない 着物も新年のみ身に付ける豪華な衣装であった)&br;(姉はそれでも単調な色を好み着飾らない代わりに、自分はかなり盛大に飾り付けられた気がする それを見て父も兄も頬を緩ませていたものだ)&br;(ここでは流石にそんな衣装は用意出来ないが、それ以上に彼といることの方が嬉しかった 好きな人と共に新年を祝えることの喜びは、何にも代えがたいものだ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-12-31 (月) 01:04:26};
---&color(#800000){(丈夫な風を通さないしっかりとした作りの黒い羽織をはおり、この季節になるといつも着けている赤いマフラーを首に巻く)&br;よし、では行くか(それは不慣れな手編みらしい若干の不均一な編み目を見せているが、大事に使われているのがよく分かるものだった)&br;(片手に気持ちが和らぎ、心を落ち着かせる彼女の暖かさを感じながら、切り裂くような冷たい風が吹く街へと足を運ぶ)&br;&br;そうさのう、ワシの所では年が開けたら皆で御神木を向いて感謝の祈りを捧げるのが決まり事じゃな。そこで誓い言をする者もおる。&br;(故郷での光景を思い出しながら白い息を吐いてそう言う。もちろん寝ている者も居るから全員が一斉に、という訳でもないのだが)&br;ああ…こちらもたまにあるようじゃが、うちの里にも寺が無くはなくての、そこでは明ける前に鐘を突いたりしておるな。&br;(空いた方の手で鐘を突くふりをして言う。なんでも、煩悩の数だけ叩くのだそうだ、と付け加えながら)&br;餅はうちも食うのー。焼き上げた餅に醤油をかければそれだけで大層美味いもんじゃ。大根おろしや、きなこなどもあるとなおいいの。&br;(爆竹を鳴らすというのはこちらも聞いたことがある。さぞや喧しくて自分好みであろうと笑みを浮かべて彼女の故郷を思う)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-12-31 (月) 01:29:58};
---&color(orangered){(雑多な人ごみの中、はぐれないように更に近く寄り添いつつ、ニコニコしながら乱蔵の言葉に耳を傾ける)&br;やっぱり向江国では御神木が一番信仰されているのかな? 生き神様みたいなものらしいしね&br;あ、お寺で鐘つくのはこっちでもやってるんだよー 共通点多いと嬉しいね&br;(他宗教な土地柄なのか拘りはあまりない どんな神様でも受け入れて取り込んでしまう風習は、果たして州邑の地の特色なのかそれともやむを得ないものなのか…)&br;お正月と言えばお餅だよね 海苔も巻いて磯辺焼きとか、揚げ餅に醤油もすっごく美味しいよねー楽しみ&br;(沢山お餅買ったからいっぱい食べようねと、迫り来る新年に思いを馳せる 来年はどんな年となるのだろうか 二人の間でどんな思い出がまた刻まれていくのだろうか)&br;&br;(暫く行けば良く買い物に利用する通りにやって来た いつにも増して盛況な様子は流石年末だと言わんばかりである)&br;ふわー多いね えっと、買うものはお酒とーお蕎麦と天ぷら用の具材と…(指折り数えて確認しつつ、この盛況ぶりに心が踊って止まらない 皆一様に来たるその日に明るい未来を望んでいるのだろう)&br;(暫くはこのお祭り気分も当分止みそうにない 二人きりで過ごす初めての年の瀬という事もあり、その顔にはずっと微笑みが浮かんでいた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-12-31 (月) 20:26:33};
---&color(#800000){餅自体も縁起物じゃしな、神への捧げ物にもよくされておる。そういう意味ではうちの所は食わんじゃろうが、ホウサ殿のところの神様は色々食べそうじゃな。&br;(からからと笑って言う。年が明けたらのんびりと餅を焼きながら過ごすのもいいだろう、そのような穏やかな時は二人で過ごすのに相応しい)&br;(己も良く酒や肴を買い求める通りまでやってきたが、やはり年の瀬を過ごす町人達でごった返しているのはある意味予想通り)&br;おおう…えらい人ごみじゃな、買う物はもう売り切れとりゃしないかの(ただ予想以上なのはその人の数。同じように買い物に来ているのであればすでに買われているのではないか)&br;(こうやって年の瀬をどう過ごすか考えるのも己にとっては珍しいことだ、それが彼女と過ごす時のためということが、ただ、嬉しい)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-12-31 (月) 20:44:45};
---&color(orangered){むー それは私がよく食べるから(口を尖らせて抗議する 彼が狙ってそう言うのは判っているのだが、それでもつい乗ってしまう)&br;(すると馴染みの店の主がこちらに声をかける 今日はどんな目玉があるのだろうかと目を向けると、そこには生きの良い海老が箱いっぱいに入っていた)&br;わ、凄いおっきい海老! あれにしよあれに すいませーん それ二つ下さーい&br;(嬉々として海老に駆け寄り特に大き海老を二つ受け取る 箱詰めされた中には冷却用の小さな氷の塊が見えた 溶けない所を見るとこれも魔道具のようなものだろうか)&br;いいの買えたねー さ、次はお蕎麦かな どうせなら美味しいお蕎麦がいいねー打ちたてとか&br;(人ごみは更に増していき、寒さも更に高まって行くが今の二人にはさして気に留めるものではない 良い戦利品はそれだけで心を高揚させるものだ)&br;お蕎麦といえばさ、覚えてる? 前に美味しいお蕎麦食べにいったよねー&br;(夜のしじまに二人こうして歩きながら、その蕎麦屋にいった日の事を思い出す 美味しいお蕎麦を食べあいながら、語り合ったあの日を)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-12-31 (月) 21:43:43};
---&color(#800000){かっかっかっ!(不満そうに言い返してくる彼女に高笑いを返す。時折見せる彼女のこんな表情も可愛い物だ、だからこそからかってみたくなってしまうのだが)&br;ほう、これはいい出物じゃな、どれも生きが良くて飛び跳ねてきそうじゃわ(時折ぴちぴちと跳ねるエビたちに目を細める。なるほどこれは客を呼び込んでしまいたくなる)&br;これだけたくさんおるともっと買うていくたくなってしまうな、焼いてもよし揚げてもよし、これだけ生きが良ければ生でも充分いけそうじゃ(じゅるりと舌なめずりをしそうになるが)&br;っと、そうじゃそうじゃ、今夜の主役は蕎麦であったな。海老づくしはまたの機会としよう(と店を後にする。さて、どうせ今食べるなら生そばといきたい所だ)&br;(人熱れが漂う道行をゆけば、ふと彼女が懐かしそうに話す。忘れるはずもあるまい、それは今と同じように蕎麦を求めての夜のことだった)&br;もちろんじゃとも、あそこの蕎麦は美味かったのう。ホウサ殿と月を見ながら飲む酒も格別であった。…そう言えばあそこは蕎麦の販売もしておったな。行ってみるかの?}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-12-31 (月) 22:06:11};
---&color(orangered){ふふふ またいい海老もいっぱい出るよ 今度はカニとかも入れてさ、海鮮鍋もいいかもね&br;(自分もよく食べる方だが彼は更に食べる 二人で食べるのならかなりの量を用意しなければならないだろう)&br;(またあのお店に厄介にならないとね、と二人で笑いながら歩く 何気ないだが幸せな一時だ)&br;月見そばも味わいあったよねーお酒とお蕎麦がまた合って…そうだね 行ってみよう! あそこの店なら絶対美味しいもん&br;&br;(そしてあの時と同じ道を歩いて行く 街並みから少し外れた所 あの時は人通りが少なかったものだが今日は違った)&br;うわ…みんな考えるの一緒なのかな(店の前ではちらほらと人ごみが見える 自分たちの目的と同じく蕎麦を買っていくものも入れば、早めの年越し蕎麦を堪能する人たちも見えた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-12-31 (月) 22:20:50};
---&color(#800000){(二人で行く道ゆきは、あの時と同じように今日も丸い月が辺りを落ち着いた白い光で照らし出していた。だがちらほらと他にも道行く者を見るのは違っていて)&br;むう、こちらでは蕎麦自体が少々珍しいだろうからのう。買える場所に人が集まってしまうのは仕方あるまい。しかも美味い蕎麦ともなればのー。&br;(蕎麦屋の周囲に集まっているのは顔つきや身に纏うものから東国に縁のある者が多く見て取れる。店内に視線を移せば金髪の若者が楽しそうに蕎麦をたぐっているのも見え、笑みを浮かべる)&br;まあ、逆にじゃからこそここも量を用意しておるじゃろう、早々なくなりはすまい。ほれ、並ぶぞホウサ殿(と言いつつ、彼女の手を引いて店の入口とは別に作られた販売所の最後尾へつく)&br;ふむ…30分はかからんかの…?(彼女の風上に立ちながら列の進み具合を観察して言う。そして一つ思案して、自分の巻いた赤いマフラーをくるくると外し)&br;ほれ、冷えるといかんからの(などと言いながら目の前に立つ彼女にそのマフラーを巻く。己は寒さには強いから気にするな、などと付け加えながら)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-12-31 (月) 22:44:48};
---&color(orangered){そうだねぇ 私だって年越し蕎麦なんて今年が初めてだもん 知ったからには一度は経験してみたいしね&br;(美味い蕎麦の為ならば、並ぶことも苦ではない 寒いといっても雪が降っていないだけまだ良いというもの それでも握られる手の温かさに安堵しながら、二人揃って列の後ろに並んだ)&br;お蕎麦屋さんならお酒も売ってないかな? せっかくだしお酒も奮発していいの買っちゃおうか&br;(守られるように寒気が遮られていることを知り、その御礼にと彼が喜びそうな提案をする すると徐にマフラーを外す姿に小首をかしげていると)&br;…え、いいの?(白い息を吐きながら構わないという彼の姿に、思わず顔が綻ぶ)&br;…ありがとう(大好き と続けて言いそうになったが、周りに人だかりができている為直前でそれを止める 今は言えないが帰ったらいっぱい言おう)&br;(貴方のこういうさりげない優しさが大好きだと いつもいつも、私を思って守ってくれるその姿が堪らなく愛おしいと)&br;(列は進んでいく じっとしている分寒さが身に沁みるが、今の自分は心も身体も最高に暖かい)&br;(その暖かさを少しでも返そうと、乱蔵の傍からずっと離れなかった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-12-31 (月) 23:03:36};
---&color(#800000){かかっ!普段暖めて貰ってるのはこちらじゃしな。もう一本のマフラーも持ってくればよかったかの?(部屋に残した青緑色のマフラーを思い起こしながら笑って言う)&br;(そうして片方の手は袖口に隠しながらも、もう片方の手は彼女と繋いで待つ。その手の暖かさはこの寒さになんとも有難かった)&br;(それ以上に、彼女が自分の側にいて、手を繋いでいるということが、赤毛男の心を暖めてくれているのだが)&br;んーむ……おお、酒も売っておるようじゃぞ。流石は年の瀬じゃのう、用意がいいもんじゃ。吟醸のきちんとしたものさえ有りよる。&br;(列が進み、売り物がはっきりと見えてきて、赤毛男が楽しそうに笑う。この店が用意するならさぞやいい酒であろうと)&br;おお、そうじゃな、生そばを頼む。あとその酒を…二升ほど。ああ、包んでくれの(自分たちの番がようやく回り、注文をつけて出物を買って)&br;…ふむ、これで年越しの準備は万端じゃの。他に何か買うものがあれば帰りがてら買うとするかの(空いた手に包まれた二本の一升瓶を持って彼女へ言う)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-12-31 (月) 23:25:54};
---&color(orangered){(首元の暖かさがそのまま彼の優しさなのだと実感する そういえば、このマフラーも結構前のものなのにまだ大事に使ってくれているのがまた嬉しかった)&br;(握り合うその手を片時も離さず、無事蕎麦と酒も購入して来た道を戻る 白々とした月の光が今夜はより一層神秘的に見えた)&br;うん、お店の物見てほしいものがあれば買っておこうか そのお酒の量ならおつまみも多目に作らないとね&br;(そう言葉を交わしながら歩いて行く 先程よりも人の並みは減ってきて少し寂しい感じがした しかしそれもまた味わい深い しんみりと、粛々と、一年が終わろうとしているのだ)&br;…今年一年、色々あったね(初めて一つ屋根の下で暮らすこととなり、二人手探りながらも何とか一年を乗り越えることができた)&br;(この一年の何と充実したことよ それもこれも皆彼のお陰だ 私の人生の最大の幸せは彼によってもたらされた)&br;(願わくば、これからもずっと この人の傍にずっと……)&br;来年も&br;(白い息と共に言葉が漏れる 握りしめた掌に力がこもる その強さは願いの重さに等しい)&br;……こうしていようね&br;(何よりも、誰よりも、貴方の傍にいたい 私の願いは、ただそれだけ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-12-31 (月) 23:49:01};
---&color(#800000){(煌々と輝く月に見守られながら帰途へと付く。見上げればそこには雲ひとつない夜空に、ぽつんと、だが確かに輝く満月の姿)&br;(彼女の手を取り歩くその道並みは夜だというのに道が浮き上がり二人を導いているかのよう)&br;(流石に人の姿は殆ど見えなくなってきている。そんな道をのんびりと歩いていく。新年も逃げるものでもあるまいと)&br;ほんに色々あったのう。雑な暮らしをしておったから迷惑かけたの(苦笑を浮かべながらそう言う。自分の生活もホウサのお陰で随分と改善したものだ)&br;(彼女と共に過ごすことは喜びであった。彼女が側に居ることは幸せだった。彼女が有ってこその己だと、そう思えた)&br;おお、そうじゃな。来年も、その次も、その次も今のように…&br;(握りしめられた手。その強さに負けぬ程の強さで握り返す。もう二度と離すまいという程に)&br;…ずっと、一緒に居ようの。&br;(避け得ない別れが待ち受けていようとも。また巡り合い、いつまでも、いつまでも)&br;(そう願っていれば、辺りの家々から何やらざわめく気配がし、数少ない道行く人は顔を合わせて何事かを話している。何かと思っていれば、すぐにその理由に思い当たり)&br;明けましておめでとう、ホウサ殿。今年も宜しくの。(横を向いて満面の笑顔を見せて言う。感謝の祈りを目いっぱいに込めて)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2013-01-01 (火) 00:48:48};
---&color(orangered){(月の光に浮かび上がるような夜道を歩く それはまるで夢の様な光景で、現実なのか疑ってしまいそうなほど幻想的であった)&br;(だがこれが現実だというのは、彼の温もりが常に教えてくれる 愛しい人がすぐ隣で自分の手を握ってくれている 幸福な現実を)&br;(握り返される力がその幸福をより確かなものへと強めてくれる あまりにも幸せで、不意に涙がこぼれそうになった 彼と共にいてから、自分は随分涙脆くなったものだ)&br;ずっと…ずっとね(共にいたい気持ちと、己の罪に対するけじめをつけねばという気持ち そのどちらも捨てがたく、どちらも自分にとって大切なことだ)&br;(だがそれでも必ず彼と添い遂げてみせる 来るべき新年に向けてそう心に誓っていると)&br;…?(静けさから一変、突如歓声が沸き起こる 何事かと思えば、乱蔵が振り向きとびきりの笑顔で告げる言葉にはっとして)&br;…おめでとう! また今年も宜しくね(こちらも負けないほどの弾けるような笑顔でそう返した)&br;&br;結局間に合わなかったねー お蕎麦(せっかく海老も買ったのに、と箱を揺らしながら、それでもこの時間を惜しむように足取りはゆっくりと)&br;(新年を迎えたと言っても、いきなり世界が劇的に変わる訳ではない いつもと同じように時は流れていくだけだ だがやはり今日は、街中が特別な雰囲気で満たされていた)&br;(街に近づけは近づくほど、月明かりとはまた違った明るさに包まれた冒険者の街 もう飲みに入り出来上がっている人もいる)&br;(陽気な歓声を通り抜け馴染みの店に入り、ツマミになりそうな揚げ物や焼き物乾物を買うと、店の人におまけとして小さな包みをもらった)&br;あ、見てみて金箔だって 綺麗だねー(何かめでたい食べ物の上にちょんと乗っているのを見かけたことはある 確かにこれを少しふりかけるだけでもより一層豪勢に見えるだろう)&br;(店の人に礼を言って、その場を後にした)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2013-01-01 (火) 01:40:31};
---&color(#800000){まあ言っても年越し蕎麦じゃしな、年を越してから食べても問題はなかろう(からからと笑い言う。縁起物などそんなものだ。目を血走らせて守るようなものでもあるまい)&br;(などと、どちらかと言えばその縁起を守らせる立場の男が笑っていると辺りはゆるゆると賑やかになってくる。この辺りは繁華街だ)&br;(年を越した街は同じような時間帯のいつもより何倍も賑やかしい。ハメを外しがちな土地ではあるが、今日は大手を振ってハメを外せる日だ、無理も無し)&br;ふむ…色々あるの。ああこの辺りはつまみにも良さそうじゃな(などと田作り、黒豆、かまぼこなども買う。街の空気に触発されたのかもはや飲む気満々だ)&br;ほほう、金箔とはまた豪華な。年明け早々華やかになりそうじゃ(彩りとしては珍しい類のものではあるが、ある意味正月ならではだ。粋なおまけに同じく店員に礼を返した)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2013-01-01 (火) 02:04:20};
---&color(orangered){(予定よりも多目の買い物を終え、まずは大きめな鍋に大量のお湯を沸かし、その中に生蕎麦を入れゆっくりとかき混ぜ、また沸騰してから引き上げ素早く冷水で洗う)&br;らんぞー君 お酒は温めておく? それともお冷がいいかな(次に鰹だしや醤油で蕎麦つゆを作りながら、天ぷらの支度を済ませ、油を温める)&br;(衣を作り、恐る恐る油の中に投入し…)あっ!(衣が広がり失敗する)&br;じゃ…これは私ので(二匹目の海老天は上手くいったようだ 綺麗なきつね色に揚がった衣もしっかりとついて中々の出来栄えになった)&br;(蕎麦の上に天ぷらを乗せ、その上からあつあつの汁をかけて天ぷら蕎麦の完成だ)よーし出来たよー&br;&br;(器を机の上に並べ、買ったばかりの黒豆や田作りなども均等に並べていく 次々と豪華になっていく机の上を見て、満足そうに頷いた)&br;はーご馳走だね お正月に相応しいね(温めた雑煮も持ってくる 透き通ったすまし汁に焼いた餅とかまぼこと豆もやし、ほうれん草に人参と色鮮やかな配色だ)&br;(粗方並べ終わり一息つけば、遠くからまた人々の歓声が聞こえてくる 今日は夜が明けてもあんな感じなのだろう 心躍る気持ちが更に盛り上がりを増した)&br;さてと、あ、この金箔どれに入れようか(いざふりかけようと思うとどれが一番相応しいのか把握しかねた 量もそれほどないので全部にかけるわけにも行かないだろう)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2013-01-01 (火) 02:39:40};
---&color(#800000){(部屋に戻りその暖かさに一息つきながら早速蕎麦を茹でる準備を整える彼女、さて自分はと、酒の包みを解き一升瓶の栓を抜き始める)&br;この寒さじゃし燗で一杯、と行きたいところじゃな。ああ、そのくらいはこちらでやっておくの(と言いつつ酒を徳利の中に移し)&br;(手早く蕎麦を茹で、蕎麦つゆを作る横に並んで、小さめの鍋に水を入れ沸かし、沸騰した所で火を止め、鍋の中に徳利を入れてしばらく待つ)&br;(そして今度は天ぷらを作ろうとする彼女を横目に見守っていたが、ぶわ、と鍋の中で衣が広がり随分と大きな海老天が出来上がってしまう)&br;かかっ、火傷はせんかったか?なら良い良い。なかなか派手に出来ておるしそれはワシがいただくわい(からからと笑ってひょい、と自分側の方の器にそれを盛る)&br;&br;(そうして、ぐう、と腹がなるのを抑えつつ配膳を手伝いながら、人々の歓声の声を赤毛男も耳にする。新たなる年を迎えることに人々が喜びを高らかに叫んでいる)&br;(その気持ちも、よく分かる。今こうやって彼女と過ごせていることが、数時間前と比べてもなんと幸せなことか)&br;ふむ…、では蕎麦にかけてしまうか。今宵の主役を飾り立ててやろうぞ(と、自分の大きな海老天の上にぱらぱらとかけ、彼女のきちんと纏まった海老天にもぱらぱらとかける)&br;うむ…なかなかのものじゃ。では…今年も良い年にならんことを(食卓を一目眺め、感心しながら箸を手にして遥か遠き里の御神木に祈り、そして一つ、誓う)&br;つゆもよう出来ておる…これは美味い(ずるずると蕎麦をすすり、がぶりと大口で海老天にかぶりつく。暖かで染み入る味わいに思わず頬が緩む)&br;(そうして蕎麦に舌鼓を打ちながら、燗をした酒を自分と彼女の猪口に注ぎ、くい、と飲んで笑い合う)&br;(誓おう、新しい年に、御神木に、この暖かな食卓に。彼女を幸せにすることを。きっと、きっと)&br;(夜更けにも明かりが消えぬ街並みの中の、小さな部屋の小さなテーブルの上には笑顔と楽しげな声がいつまでも途絶えなかったという)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2013-01-01 (火) 03:30:12};
-──────────────────────────────────────── --  &new{2012-12-30 (日) 23:17:28};
-──────────────────────────────────────── --  &new{2012-12-30 (日) 23:17:19};
-──────────────────────────────────────── --  &new{2012-12-30 (日) 23:17:00};
-&color(#800000){(蒼天に輝く太陽も傾き始め、御神木が草原に落とす大きな大きな影も長く伸びていく)&br;(あとしばらくすればその影は市街地へと届き、やがては夕暮れになり辺りは夜を迎えるだろう)&br;(彼女と二人、手を繋ぎ重ね合わせて御神木の根の上、そそり立つ壁のような樹肌に背を預けて座り、伸びる影をただ静かに見ていた)&br;(この時がずっと続けばいいと願うのに、時は一刻一刻と過ぎ、決して止まることはない、僅かずつにでも伸びる影がそれを明確に示している)&br;(御神木の影に入ることは光栄なこととされ、幸せをもたらすと言われている。…その影を憎たらしく思ったのはこれが初めてだった)&br;&br;…のうホウサ殿。きちんとした文献なぞ無くて、伝説でだけ伝わっている話なんじゃが、な。&br;(男が口を開く。自らも思い出すようにしながら、彼女に語りかける。かつて耳にした向江国の物語を)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-25 (日) 20:53:49};
--&color(orangered){(先程、一番の思いの丈を吐き出し、泣いたからだろうか 脱力したように根本に座り、隣にいる乱蔵の温もりを黙って味わっていた)&br;(何を話すでもなく、ただこの一時を二人で堪能する 御神木の影がまるで刻限のようにじわじわと伸びていく様を見つめながら)&br;(あの影は私の行く道だ 御神木がそう指し示している たった一人で歩かなければならない真っ暗な道 その先にあるのは果たして希望か絶望か)&br;&br;…伝説?(思わぬ彼の言葉に、半ばぼんやりとしながら聞き耳を立てる 何でもいい 彼の声を最後の最後まで聞きたい)&br;(身体を少し彼の方へと向き直して、その開く口を、発する言葉を今か今かと待ち構えた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-25 (日) 21:04:00};
---&color(#800000){(誰に聞いたのだったか、本を良く読み漁っていた静次だったか、寝物語を聞かせてくれた母親にだったか。父からは戦の話しか聞いたことがないから恐らく違うだろう)&br;この国の始まりはの、初めに御神木があってそこに旅人がやってきたのが始まりじゃ(見上げる。空の半分以上を覆い尽くす御神木の枝ぶりを見ながら言葉を続ける)&br;その旅人は、男と女の二人組だったと言われておる。そしてその二人は、この御神木の元で身を休める内にこの地に根を下ろすことを決意したそうじゃ。&br;(その頃の御神木も、今と同じ姿だったのだろう。雄大で優しく、命あるもの全てを祝福するような生の象徴)&br;二人はここで旅人としての人生を終え、子を成し家族を作り、家族は村となり、そしてこの国となった。&br;&br;(そこまで言って、名残惜しそうに彼女から手をするりと離し、腰を上げて立ち上がる)&br;…その二人に習おうかとの。…ホウサ殿、右から御神木を回ってくれんかの。ワシは左から御神木を回るでな。&br;(如何に尋常ならざる樹とはいえ、御神木の外周は5分もあれば回り終える。二人で回れば更に短くなるだろう)&br;(真剣そのものの表情で彼女に視線を合わせ見詰める。その瞳には覚悟が燃えている)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-25 (日) 21:52:48};
---&color(orangered){(乱蔵の言葉一つ一つをしっかりと心に刻みつけながら、その物語の風景を自分なりに想像してみる)&br;(花々が咲き乱れる大草原の中に鎮座するその姿は、旅人を癒すために広く葉を広げて心地良い風をその根本へと送る)&br;(そこで休めばどんな疲れも立ち所に吹き飛んでしまいそうなほど、安らぎと癒しと平穏がある)&br;(きっとその二人は、旅に疲れたのではなく、ここが二人の目的の場所だったのだと悟り、喜んでこの地に骨を埋める気になったのだろう)&br;(やがてその癒しは様々な人達を引き寄せ、緑豊かなこの地は桃源郷のように人々を暖かく過ごさせていく 全てはこの大樹のお陰だと この樹はきっと神様に違いないと)&br;(まさに自然の理の如く、この御神木は人々に祀られるようになったのだ 日々平和に住まい生きられるのはこの御神木の恩恵だとして)&br;&br;(そんなことを夢想しながら、口元は無意識に笑みの形を浮かべていた 温かい物語だ 和やかで清らかなこの樹の下で聞くから余計にそう思う)&br;(その二人もこんな風にこの樹の根本で腰掛け、手を繋ぎながら様々な話しをしたのだろう 私達はその追体験をしているのかもしれない)&br;(そんなことを思っていると、ふいに握られた手が離れていく あ…と追うように手を伸ばしかけたが、それも途中で止めてしまった いつまでも未練がましくしているものではない)&br;(それでも残念そうに表情を翳らせると、次に発せられた乱蔵の言葉に思わず小首を傾げてしまった)……回る、の?&br;(意味が判らないが彼の視線の鋭さに何かを感じ取り、決意を込めてこくりと頷き、腰を上げて樹の肌に手を添え、彼とは反対側の方へ向き直った)&br;右側からだから…こっちでいいんだよね?(首だけ後ろに向けてそう確認する この向江国の祖に習うとは、一体何をするつもりなのだろうか)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-25 (日) 22:15:48};
---&color(#800000){そうじゃ、ホウサ殿はそちらから(不思議そうな色を浮かべてこちらを振り向く彼女に、言う。そうして自らも踵を返し、彼女に背を向けて)&br;ワシはこちらから行く。…それではホウサ殿(右手側に御神木の樹肌を視界に収めながら前を見る。彼女の居ない前を)&br;また、巡り逢おうぞ(そうして一歩を踏み込んだ。決意を滲ませた一歩を)&br;(御神木の張った根を昇り、降り、時にはまたいで生い茂る草を踏んで歩を重ねる。背中越しに彼女の気配がどんどん遠ざかっていくのが分かる)&br;(やがて、発せられていた気配はまったく感じられなくなり、一人の時間が訪れる。孤独の時が)&br;(一秒一秒が永遠のように感じられる。その手に温もりは無く、その耳に声は響かず、その瞳に微笑みは見えない)&br;(ただ強さだけを追い求め、戦いばかりを繰り返していた時を思い出す。我が身は敵に向かう為にあり、我が腕は邪を打つ為にあった)&br;(一人、死んでいくのだと思っていた。いつしか老い、刃は鈍り、何者かの牙にかけられて死ぬのだろうと)&br;(背の大木刀が揺れる。この大木刀を手にしたその時から、己の終わりは決まっていた、それでいいと、思っていた)&br;(何かが欠けた世界。取り落としたままの日々。荒神を倒し国を助けられれば十二分ではないかと)&br;(だが)&br;(手には持たず耳は聞かず目に映らなくとも)&br;(今、心には在る。忘れえぬ、何よりも暖かい存在が確かに在る)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-25 (日) 23:13:45};
---&color(orangered){…うん 必ずね(声に力強くうなずきながら、左手に樹皮のゴツゴツとした、しかし滑らかさも同時に感じながら、一歩ずつ歩み始める)&br;(独り、無言で歩き続ける、太い根っ子があるかと思えば、細い根っこが夥しく地面を覆っているものまで、大小様々な根が地面に潜り込み広がっている)&br;(それらに注意しながらじっくりと、着実に進んでいった)&br;(彼はどこにいるのだろう どのくらい進んでいるのだろう そんな気持ちが一歩進むごとに積み重なっていく)&br;(これから更に遠くへ離れてしまうというのに、たったこれだけで潰されそうなほどの不安に苛まれた)&br;(思えば彼と出会い、語り合い、同じ時を過ごし、同じ屋根の下で暮らし、今、この地で過ごす日々の中、近くにいるのが当たり前であったのだ)&br;(彼のいない一日などあり得ない 一日の内ほんの僅かな時間だけでも、この目には常にあの人の姿を捉えていた)&br;(当たり前では、なかったのに)&br;&br;(私はお家のために、家と家とを結びつけ、夏家の安泰を図るために嫁ぐのだ それが誇りであり喜びであった)&br;(だが今は違う どんなに夏家の為だと言われても、彼以外の人に嫁ぐなんて考えられない)&br;(起伏の激しい道のりに、無意識に息が上がっていた 疲れではない不安と恐怖でだ この御神木の手触りがなければ、私は二度と彼の元へ戻ることは出来ないような気がした)&br;―らんぞー君……らんぞー君―&br;(彼は待っていてくれる この御神木が導いてくれる この掌から伝わる確かな温もりが何よりの証拠)&br;(この御神木が、きっと私達を結びつける楔となってくれるだろう)&br;(祈るように願いながら歩き続け、やがて娘はその場所へと辿り着く そして―)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-25 (日) 23:44:13};
---&color(#800000){(樹肌に右手を添えて黙々と御神木の外周を歩き続ける。彼女も歩み続けていることを信じて、歩を止めず歩き続ける)&br;(やがて、終わりが近づく。もう少しで御神木の向かい側へとたどり着く。そこは樹の影の伸びた場所の反対側)&br;(暖かな光に溢れ、白く陽光が照りつけるその場所へ)&br;&br;(さくり、さくりと自分以外の誰かが草を踏む音が僅かに聞こえてくる)&br;(樹の丸みの向こう側に感じる。彼女の存在を、そして)&br;……ああ、なんと美しい娘なのじゃろう。&br;(言葉は自然に、ごく自然に溢れ出てきた。数分前に見ていたはずなのに、何十年ぶりに再会したかのように思える)&br;(再び目にした彼女はこの世の者とは思えぬほど美しく、意識せず目を細めたのは太陽の輝きのせいではないだろう)&br;ホウサ殿が背中に傷を受けた時のこと、覚えているかの(そのまま歩み寄り、彼女に近づく)&br;(武人として耐え難い傷を受け、苦悶に満ちた彼女にかけた言葉を思い出す、生きてこそ出来ることがあると)&br;また…始めればいいのじゃ。たとえ一時別れようとも、また始めればいい。一人ではなく…二人での。&br;(己は欠けていた、一人だけで生きられると思っていた。それを埋めてくれたのはこの世にただ一人の、彼女だ)&br;(ゆっくりと右手を伸ばし、その掌を彼女に差し出す。瞳には先程以上の覚悟の炎が燃え、硬く揺れ動かない)&br;(旅人であることを止め、別れ出会う儀式を経てこの地で生き続けるという新たな旅を始めた祖に習おう)&br;(必ずまた出会い、そして生き続けるのだ、二人で。他の誰でもない、自分と、彼女で)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-26 (月) 00:45:00};
---&color(orangered){(足音が聞こえる)&br;(走り出したい衝動を堪えながら、それでも急く心のままに足が早まる ぐるりと円を描いている為、かなり近づかないと確認出来ないのがもどかしい)&br;(感じ慣れた気配が近づくにつれ、心は躍り顔は綻び足は更に早まっていく)&br;(見慣れた袖の色が見え、何よりも待ち望んだ愛しい人の顔を確認した途端、息を呑み呼吸が止まる)&br;……なんと素晴らしいお方でしょう&br;(古の二人が何と言ったのかは知らない だが自然にその言葉が口をついていた)&br;(言葉とともに涙までまた溢れ出しそうになり、指で目元を拭って満面の笑みをたたえる 彼の細める目元の優しさが何より嬉しかった)&br;…うん、もちろん(戦いに敗れ、敗走という屈辱と共に受けた背中の向こう傷 一生の恥辱として背負って行かなければならないそれに対し、受けた恥は濯げば良いと言ってくれたこと)&br;(そんな彼だからこそ、自分の過去の辛さを聞いて欲しいと思ったのだ)&br;(その時にはっきりと確信した 私は、この人に嫁ぐのだと)&br;(彼の言葉に何度も頷く あの時と変わらない心の芯に響いてくる励ましの言葉を、大切に、大切に胸にしまった)&br;…離れても、ずっと一緒だもんね ずっと…二人で生きて行こうね&br;(差し出された手を両手でしっかりと握りしめる 彼の瞳に負けないくらいの覚悟を宿して、迷いを全て払拭させた)&br;(御神木の葉が風に乗って擦れ合う それはまるで二人を祝福する拍手のようにも聞こえ、ありがとうございますと心で御礼を良い、二人、手を握り合いながらその光景を見つめ続けていった)&br;&br;じゃあ、行ってきます!&br;&br;(こうして娘は独り旅立った その顔にはもはや不安も迷いもない 実に晴れ晴れとした顔であった)&br;(故郷に帰れば自分はただではすまないだろう 厳罰を下され恐ろしい責めを追うことになるやもしれない)&br;(だが彼女はそれに臆することなく、一歩一歩確実に前へと進んでいった)&br;(立ち止まるつもりはない 歩き続けていればいつか必ず、巡り会うことができるのだ 誰が何と言おうと、絶対に叶えてみせよう)&br;&br;―私たちは、膠漆の心で結ばれているのだから―}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-26 (月) 01:41:14};
-&color(orangered){(空はいつものように晴れ渡り、夏に向けて木樹も更に色濃くなり、その色合いが眩しく瞳を潤してくれる)&br;(これから見渡す空には必ず入道雲があり、その次にはいわし雲を背景に渡り鳥達の群れを仰いで秋を感じ取り、そして曇天の空に白い雪景色を楽しみに、冬の寒さを凌ぐのだ)&br;(だが私はそれを見ることなく、この地を去らねばならなかった)&br;(本当に、どうしてここに残ってはいけないのだろう 何度も自問自答を繰り返す だが最後に決まるのはいつも同じ答え けじめをつける為なのだと)&br;&br;…夏の御神木も更に綺麗だったろうね(根本から仰ぎ見て残念そうにそう呟いた 夏の季節は生命が一番活発になる時期だと言われる 御神木の葉の見事さを、一目でいいから拝んでいきたかった)&br;(だがそうやって言い訳してずるずる先延ばしにしても良いことはない 決めたのならそれを実行するまでだ それに―)&br;(後ろを振り返ると、いつもの笑顔で暖かく見守ってくれる瞳が目に入った この瞳に何度勇気づけられたことだろうか この人が見守ってくれるのならば、どんな困難でも打ち勝てよう)&br;(その瞳に向けてこちらもにこりと微笑む 彼の瞳に焼き付けるように)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-23 (金) 20:48:54};
--&color(#800000){(見渡す限り広がる青々とした大草原。遠く見える稜線も緑の色輝き、季節が変わろうとしていることがよく分かる)&br;(草原の端にはぽつりぽつりと建物の影も見える。あの中の一つに秋津の家もある、己と彼女が一つの季節を過ごした家が)&br;(神域として一般人はそうそう立ち入ることの出来ないここに、彼女を連れてきたのは他でもない彼女によく見て貰いたかったからだ)&br;(この御神木を、この国を、記憶に留めて欲しい。帰るべき場所へ帰らればならない彼女こそに)&br;&br;うむ、夏になると新芽が生えての。それが育ちきる頃には青々として実に力強いものじゃよ(まるで壁のような太さの御神木を横目に見ながら言う)&br;…また、その時になったら見に来ようぞ。一緒にの(いつかまた。緑芽吹き命溢れるその光景を、二人で)&br;(こちらを振り返る彼女の笑顔、心癒され、魂を震わせるその笑顔を刻み込む。決して片時も忘れえぬよう)&br;ホウサ殿…いつ頃、発つのじゃ?(御神木の枝から降りてきた渡り鳥が、ちち、と一声鳴いて飛んでいく。夏をこの国で過ごす種類の鳥だ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-23 (金) 21:26:20};
---&color(orangered){(彼の一言一句聞き逃すまいと見つめながら、緑に溢れ、より美しくなった御神木を想像する)&br;(この場所は本来簡単には立ち入り出来ないと聞いたが、それでも連れてきてくれたことが何より嬉しかった)&br;(この巨大さ、美しさ、逞しさ、そして神々しさ 故郷にも、いや州邑全域にもこれほど見事な木は存在しないだろう)&br;(私が彼に出会ったのも、この御神木に出会う為のものだったのだろうか それとも…)&br;もちろん ここにまた戻ってきたら、毎年見に来ようね(自然と戻るという言葉が出てきた 来るのではなく戻る 自分がこの国にどれほど心酔してしまったのかよく判る心境だった)&br;(小さな鳥の鳴き声が、繁る木々の隙間から空へと旅立つと同時に、彼の声が聞こえ暫く沈黙した)&br;…もうすぐ(それだけしか言えなかった 彼と離れ離れになることが近づいてくる度に、この身を引き裂かれるような辛さを感じたものだ)&br;(だが今は不思議と、その苦しみは薄れていた 現実を受け入れたのか、諦めてしまったのかは定かではない)&br;&br;らんぞー君 ありがとう&br;(また自然に言葉が出てきた それは何に対しての感謝の言葉なのか自分でもよく判らない 強いて言うのならば、全てのことに感謝したかった)&br;(貴方が私を見つけてくれた事 傍に来てくれた事 声をかけてくれた事 笑ってくれた事 楽しんでくれた事 そして、好きになってくれた事)&br;(夏の香りがほのかに感じる風が一陣吹く 泣きそうになる頬が、それで少し冷めていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-23 (金) 21:45:32};
---&color(#800000){夏だけではない、春も、秋も、冬も、その折々を共に見ようぞ。ここはもう…ホウサ殿の国でもあるんじゃからな。&br;(正式な儀を交わした訳ではないが、己と彼女が契りを交わしたのはもはや公然の事実となっている。彼女が望みさえすればいつだってこの国に居られる)&br;…そうか(その言葉を聞き、僅か黙する。胸の中を思いが巡る。その中には行かないで欲しい、ここに留まり続けて欲しいという思いが確かにある)&br;(しかし、それでも。それでも彼女がより良い自分自身であるために、振り向かず背を伸ばし前を向き歩くために行こうと言うのであれば)&br;(その背を押さずになんとする。信じて送れぬようでは彼女と共に立つ資格などない)&br;&br;(自然に、ごく自然にするりと放たれた彼女の言葉。それは確かに耳に届き胸へと染み渡り溶けていく)&br;かっ、それはこっちの方じゃわ!…本当に、ありがとうの(心から、心底からの感謝を込めて。貴方を好きになって、本当に良かったと)&br;(風が吹く、それは二人の間を過ぎ去って大草原を洗い流すように爽やかに駆け抜けていく。しばし、その中で二人お互いを見つめ、時が経ち)&br;いつかを思い出すの…、少し髪が伸びたのではないか?(そっと近づいて彼女の前髪を一房取る。あの街で過ごした時、草薫る丘の上での光景)&br;(二人だけで過ごした穏やかな時、それを思い出し、また同じ時ようなを過ごせる事を願いながら指を離せば、さらりと栗色の髪が流れ落ち)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-23 (金) 22:32:49};
---&color(orangered){(本音を言えば、止めてほしいという気持ちはあった 彼が行かないでくれと、ここにずっといろと、どこにも行かせないと言えば、もしかして踏みとどまったかもしれない)&br;(だが私は知っている 彼はそれを言うことはない 私の愛する人ならば、ただ信じて見送るのみ)&br;(自分の傍に必ず帰ってくると、ずっと信じていてくれるだろう)&br;&br;(風が結わえられた髪を軽く撫でるのを感じた後、ふいに彼の手が額に伸び、髪に触れる 額に手の甲の温もりに胸が飛び跳ねるも、すぐに離されていく温もりに胸中もすぐに落ち着いていった)&br;もう何ヶ月も経ったから伸びてきたね 帰る前にもう一度頼めば良かったかな(うふふと笑いながら、あの日の光景を鮮明に思い出していく)&br;(丘から一望できる、どこまでも広がる町並み 暖かく陽気な天気の中、今日のように風もとても心地良かった 耳元で聞こえるハサミのチョキチョキという音は、今でもはっきりと思い出せる)&br;散髪が終わったら、御礼に今度は私の膝枕で耳かきかな?(いたずらっぽくそう言って乱蔵の顔を下から覗き込む)&br;(最初の膝枕ですぐに眠ってしまった、子供のような愛しいあの寝顔を、またもう一度見てみたかった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-23 (金) 22:53:41};
---&color(#800000){(手に残る彼女の絹のような髪のさわり心地をしみじみと感じて、あの丘で過ごした時を思う)&br;(弁当を持ち込み、それに舌鼓を打ち、そのまま寝こけてしまったこともあった。ゆったりと流れたあの時間のなんと優しげで甘露なことであったか)&br;ホウサ殿の髪を切るのはワシも楽しいんじゃが…流石に今は鋏など持っておらぬからな。無念じゃよ(と手を広げ)また会うた時に伸びたままでおったら切ってしまうぞ&br;(それはいつのことになるだろうか。少なくとも彼女がまた髪を切る頃までには機会はないであろう。その事を考えれば、胸を締め付けるような思いになるが)&br;(あの時を思い出し、笑顔を浮かべる彼女に答えるのも、また笑顔で。彼女が後ろ髪引かれることのないよう、心残すことのないよう)&br;かかっ!それは是非また頼みたいものじゃな。その時はワシもホウサ殿の耳を掃除してやるとしようかの?(見上げる彼女のつぶらな瞳を見下ろして言う)&br;(言いながら暖かな陽だまりの中、己の膝の上で丸くなって寝転がる彼女の姿がありありと浮かぶようで)&br;(そんな時が訪れることを信じる。少しの間離れようとも、いつか、きっとまた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-23 (金) 23:37:49};
---&color(orangered){じゃあ暫く散髪はしないようにして置こうかな やっぱりらんぞー君に切ってもらいたいもん&br;(前髪を指に絡ませながら、いつか来るその時に思いを馳せる あの幸せな一時をまたもう一度味わえるその時を)&br;(同じような笑顔で、いつものように快活に応えるその姿に、彼の真心が手に取るように感じられ、また目頭に熱さを蘇りそうになる)&br;本当? えへへ じゃあお願いしようかな また会える楽しみが増えちゃった&br;(嬉しそうににこにこと喜びながら、それでも会話にほんの少しの沈黙が混じる このままずっと彼の声を聞いていたい こうやって彼の言葉を聞いている間は、この場に留まっていられる)&br;(見上げる視線は少し躊躇するように揺れ、やがておずおずと片手が彼の手に向かいそっと握り締める 最後の最後まで、彼の温もりを感じ取っていたい)&br;(だがこの温もりを感じれば感じるほど、自分の気持ちが揺れ動いてしまう恐れもあった ともすればここにいたいと言葉が出てきてしまいそうになる)&br;(ふと、前にも似たような思いをしたと気づく 自分の役目と自分の本心が合致しない恐怖 自分の軸が歪むこの感覚に、あの時と同様再び戦慄を覚えた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-24 (土) 00:09:54};
---&color(#800000){…ワシも練習し直して腕を磨いておくの。なあに久しぶりに静次の奴の髪でも練習台にするとするわ(からからと笑いながら人差し指と中指を鋏のようにちょきんと閉じて)&br;(やれあの時は実はほんの少し切り過ぎていた気がしただの、あの後風呂で髪を洗ってもらったのは本当に心地よかったなどと嬉しそうに話す)&br;(いつものように笑顔を浮かべながら身振り手振りを交えて少々大仰でさえあるように想い出を語り彼女の声を聞く。余計なことを考えないように。語る手を止めないように)&br;(そうしなければ、今すぐにでも彼女を引き止めてしまいそうになるから)&br;&br;(しかし。言葉は無限ではない。続く言葉がぽつぽつと途切れ初め、風のそよぐ音しか聞こえない時間が訪れ始める)&br;(いつしか笑みも消え、静かにお互い寄り添い、時を過ごしていれば、そ、と差し伸べられる彼女の手。ゆっくりと恐る恐る伸ばされるその手が己の手に添えられ)&br;(よく知るいつもの彼女のものではない、迷いを多分に含んだその手つきに、知る。彼女も恐れているのだ。…自分と同じように)&br;(沈黙。過去の想い出はもはや役には立たない。ここは、その終着駅なのだから)&br;(されど願う。彼女が彼女であることを。彼女が誇れる彼女であるようにと)&br;(思いを、意思を込めて揺れる彼女の瞳を見つめ、添えられた彼女の手を自分も片手を伸ばし握る。己の迷いを振り切るように、しっかと)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-24 (土) 01:50:25};
---&color(orangered){(楽しい過去の思い出 それが素晴らしければ素晴らしいほど、これより先の辛さが増して行く)&br;(彼が待っていてくれるのならば、どんな辛さも耐えようと心に決めたが、それでも辛さは容赦なく襲い掛かってくる)&br;(その恐れと迷いを伴う手に、彼の熱く頼もしい手が覆いかぶさるように握り返してきた)&br;(彼の想いが伝わる 彼の願いが伝わる)&br;(一度、深く呼吸をし、握る手をそのままに笑顔を向けて口を開いた)&br;ねぇ、覚えてる? 前に二人で腕相撲したよね 二回ほど&br;(唐突な言葉だと自分でも思う だがこれは今の内に言っておきたかった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-24 (土) 22:02:41};
---&color(#800000){(彼女が胸いっぱいに息を吸い込んで、また吐く。そうして見せた表情は笑顔。そうして放たれた言葉はかつての勝負事のこと)&br;(忘れるはずもない、今思えば彼女の手を初めて握ったあの時のこと。目を閉じれば今のことのようにさえ思えてくる)&br;覚えていないはずがあるまい?あの頃、女ながらに剛力を誇ると噂に聞いたでな、勝負を挑ませてもらったが予想を遥かに超えるものじゃった。&br;(己の技が勝利を収めた一回目の勝負。彼女の積み重ねた修行が勝利を収めた二回目の勝負)&br;…次にやれば勝つのはどっちじゃろうな(手の平の中の彼女の小さな手を握りしめて思う。どっちだっていい、己が勝っても、彼女が勝っても)&br;(ただ、また彼女と競い合いたい。技を比べ、力を比べたい。そんな思いを静かに言葉に乗せて呟いた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-24 (土) 22:41:11};
---&color(orangered){初めてらんぞー君が訪ねて来た時だったよね 初めはなんだろうってちょっとドキドキしてたんだー&br;それがまさか腕相撲だなんて思わなかったよ でもね それが何か嬉しかったの&br;(コロコロとおかしそうに笑いながらそう告げる 普通の女性ならばこんな事では嬉しいなどと思わないだろう だが自分はそれが嬉しかったのだ 彼が自分に興味を持ってくれたことが)&br;一勝一敗だもんね じゃあ次に会う時に決着つけようか それまでに私ももっと力をつけておくから(空いた右手を握りしめ、握られた手は優しく握り返す)&br;(この力を受け入れたい 競い合いたい きっと彼と共に歩む人生は、ずっとこんな調子なのだろうと思うと胸が踊り、高鳴っていく)&br;(自分の実力を競い合い、高めあえる人と巡りあえるなど、ましてやそれがこの世で一番愛する人などと、改めて自分の幸運に感謝した)&br;&br;…それじゃあ、二回目で私が勝った時、勝った方は相手の言うことをなんでも一つ聞くっていう約束も覚えている? 今、そのお願い聞いてもらいたいの&br;(先程と変わらぬニコニコ顔で、御神木の下、そう願った この御神木に立会人となってほしかったのだ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-24 (土) 22:54:47};
---&color(#800000){(流石にそう短くはない間彼女と一緒に居て、女性というものもある程度は分かってきた。それからすれば顔見知り程度の女性にいきなり力勝負を挑むことのなんとも奇異なることか)&br;(しかし、彼女は嬉しかったと、微笑みながら言ってくれている。そんな彼女だからこそ、己は心囚われてしまったのだろう)&br;ふふ、楽しみじゃのう。じゃがワシとて次は負けん。そう簡単に勝てると思うでないぞ?(握り返される手、その優しく込められた力の奥に秘められた力強さを思う)&br;(彼女に助けられてきた。それは力そのものだけではない、慈愛に満ちた優しげな心、時折見せる子供のように無邪気な瞳)&br;(それらの全てが己が助けになり支えてくれた。どんな窮地の時も、彼女を思えば乗り越えられた。そんな彼女が居てくれた事を誇りにさえ思う)&br;&br;おお、もちろん覚えておるぞ!どんな願いでも構わん、言うてくれればワシはそれを全力で叶えるまでじゃ。&br;(そう、彼女が願うならなんだって。願いは力になり己を動かすだろう、願いは思いとなり己の足を進めるだろう)&br;(なにせ真剣勝負の約束事だ、己に拒否する権利などありはしない。微笑みながら、耳をそばだて彼女の言葉をじ、と待つ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-24 (土) 23:44:21};
---&color(orangered){(自分の笑顔に笑顔で応えてくれる 嬉しいことも悲しいことも同じように感じてくれる それがどれほど幸せなことか それも全て彼が教えてくれたことだ)&br;(その彼に願うことは唯一つ これは彼を信頼していない訳ではない むしろ逆なのだ 彼がかけがえの無い存在であればあるほど、望まずにはいられないことだった)&br;&br;…忘れないで&br;&br;(優しい笑みを浮かべる彼の前で、少し震えでそう告げる)&br;私のこと、忘れないで ずっと、ずっと……忘れないで&br;(泣かないで言おうと思っていたのに、やはりそれは無理であった 言葉と共に吐き出される嗚咽が、告げたい言葉を遮られてもどかしい思いに駆られる)&br;私のことを 私のことも 私がらんぞー君のこと一番好きなことも らんぞー君が私を好きだっていう気持ちも 全部、全部、忘れないで…っ&br;(もっと伝えたいことはある だが涙がそれを全て押し流していく 嗚咽は徐々に高まり、いつの間にか大声で泣いていた)&br;(彼が私を忘れるなんてあり得ない だが自分の最大の願いはこれなのだ 彼をいつまでも想い、彼がいつまでも自分を想ってくれるように いつまでも、いつまでも)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-25 (日) 00:12:10};
---&color(#800000){(勝負の結果など関係ない。もし、あの時勝ったのが己だったとしても、己は彼女の願いを聞き入れたであろう。彼女の願いは…己の願いでもあるのだから)&br;(風が止み、辺りを静寂が支配する。一瞬の時が長く長く引き伸ばされ、何時間も経ったように感じさせる)&br;(そうして、彼女の唇から染み出すようにぽつりと漏れた、一言)&br;(幾年もの時をかけ凝縮されたであろう切なる願いが、一つ)&br;……そのようなこと…!(押し込んだはずの胸の痛みが蘇る。堰を切ったように溢れだすその想いの前に笑顔を浮かべられなくなる)&br;忘れることなど…ホウサ殿を忘れることなど出来るはずもない…!(しかし、それでも願わざるを得なかったのだ。願わなければならなかったのだ)&br;(彼女の存在は己の中に屹立として在る。暖かいその温もりは己の命尽きる時まで決して消えることはない。それを彼女も判っているはずだ)&br;(だが、だからこそ。思いが強ければ強いほど、ほんの僅かな欠片のような不安は比例して膨らんでいく。…男は彼女の流す涙を見て、それを知った)&br;忘れぬ…忘れぬよ、ホウサ殿の全てを未来永劫、いつだって忘れん…!(彼女の悲しみを和らげたいと、思いの丈を込めて口にする)&br;(そして、両手を伸ばし、大粒の涙をこぼす彼女の身体を胸に強く抱き留める。それは胸の痛みを癒そうとしたのか、流れる涙を止めたいと願ったのか。あるいはその両方か)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-25 (日) 00:56:31};
---&color(orangered){(泣けば泣くほどに悲しみが増して行くのが判る だが自分の涙を抑えることも止めることも、今の自分には出来はしない)&br;(彼の声が聞こえる 忘れぬと力強く断言するその言葉が、不安な心を安らぎへと変え、ほんの少し、涙が静まったように思えた)&br;(いや 止めたくれたのだ 私の涙を止めてくれるのはこの人しかいない 現に涙は徐々に静まっていく)&br;(抱きしめてくれる彼の胸の温かさが、全身を包み込んでくれる両腕の逞しさが、氷を溶かすように私の悲しみを溶かしていった)&br;…うん 絶対、だよ 絶対……だからね(ようやくか細い声を胸の中で呟く)&br;私も…絶対に、忘れないから 何があっても、絶対に……!(彼に負けじと力強く抱きしめる 耳元で何度も彼の名を囁く 心も身体も彼の全てでいっぱいになる)&br;(この一時を、私は決して忘れることはないだろう)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-25 (日) 01:26:55};
---&color(#800000){(胸の中で細い肩を震わせる彼女、痙攣を起こしたかのように揺れていたそれも、時が経つにつれ収まっていく)&br;(暖かい。彼女が居ることを感じる。彼女が生きていることを感じる。彼女が想っていてくれていることを感じる)&br;(締め付けるような胸の痛みが薄れていく。己の鼓動を彼女が受け止めてくれている、そう思うごとに)&br;(信じる、彼女を、自分を。たとえ離れ離れになろうとも、心はいつも側に居るのだと)&br;(砂粒のような恐れさえ全て塗り潰してしまえと、彼女の中を己で満たし、己の中を彼女で満たそう)&br;(お互いを強く抱きしめる二人の姿はまるで一人の人のよう。支え合い、繋ぎ合い、認め合う人間の姿)&br;(止まっていた風が吹き始めた。野原に風が渡り、二人の時がまた動き始める)&br;(ざわざわ、と夏の匂いのする風が御神木の葉を揺らし音を立てる。悠久の時を生きる大いなる樹が、二人を見ていた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-25 (日) 02:32:32};
-&color(orangered){(春の訪れもそろそろ過ぎ去ろうとしているこの時期でも、花の香りは相変わらず濃厚に、そして豊かに周囲を魅了していた)&br;(これほど多くの花があるのに、香りは混ざり合うことなくそれぞれしっかりと主張している 不思議ではあったがこの土地ならおかしいとは思えなかった)&br;(御神木という名に相応しく、神秘的な雰囲気はその存在感を更に増して、周囲の花々の咲き乱れる光景を歓迎しているようだった)&br;(春の終わり、そして次に迎える夏の気配を感じるような日差しの下、そよぐ風に帽子が飛ばされぬよう軽く押さえ、見渡す限りの色鮮やかな絶景を眺め続けた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-10 (土) 21:15:41};
--[[http://notarejini.orz.hm/up2/s/qst081774.jpg>http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst081774.jpg]] --  &new{2012-11-10 (土) 21:15:56};
---    &color(orangered){きっもち良いー!(そう叫んでも仕方のないくらい、それは素晴らしい景色であった ここは祝福された土地だ そう再認識したくなるほどこの地に立っていることに感謝したくなる)&br;(戦いも終わり、心身ともにすっかり癒え、こうしてまた彼と二人で出かけられる日を心待ちにしていた自分にとっては、今日のこの日がどれほど嬉しいか、言葉には到底語り尽くせない)&br;(その気持ちの一端は、抱えてきた大きめのかごの中に込められている 今日の日の為に前日から色々と仕込んだお弁当だ 材料も自分で取り揃え、水屋を借りて作った料理は、彼の好きなおかずが所狭しと詰め込まれていた)&br;いい天気で本当に良かったね もう最高(翻す白のワンピース かつて暮らしていた土地で彼に買ってもらったものだ 薄手だが今日のような日ならむしろこれで充分心地良い)&br;(ワンピースと同じく揃えた白い帽子が、それぞれ日差しを眩しく照らしだし、より一層の爽やかさを振りまいていた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-10 (土) 21:16:12};
---&color(#800000){(荒神が倒れたことを世に知らしめ、祝う祭りも終わり、先延ばしにしていた秋津家当主の就任のごたごたとした雑事を終え、久々にゆっくりとした日を迎えることになった今日)&br;(かねてより彼女に見せたいと思っていた光景が目の前に広がっている。草花あふれるこの国の中でももっともその彩りが濃い場所)&br;(そこにあるのはどこまでも遠く抜けるような青い空と、陽光を受け色とりどりに輝き息づく花々と、それらの中にあって一際輝く存在感を示す真っ白な服を着た彼女)&br;(それはどこか夢の中にでも居るような、幻想的な光景。胸の中を風が駆け抜ける、一陣の清々しい風が。ああ、彼女を連れてきて、本当に良かった)&br;かかっ、ホウサ殿に天気の方が遠慮したんじゃろう!…しかし、ワシの見立ても捨てたものではないの、実によう似合うておるよ(目を細め、嬉しそうに辺りを見渡す彼女を見やる)&br;(勝手の分からぬ洋装であったが、元が良いからか、己の直感が的を射ていたか、雲海のような花の中に立つ彼女の姿は絵画よりも美しく網膜に焼き付いて離れない)&br;(さあ、と吹く風に、花々が揺れ、ワンピースの裾と大きなリボンが同じく風をうけひらひらとはためく。大きな帽子を飛ばされぬように抑える彼女に笑みを浮かべて)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-10 (土) 21:57:15};
---&color(orangered){えへへ…ありがとう これ着てらんぞー君て歩きたいなって思ってたんだけど、機会逃しちゃってたから嬉しい&br;(照れくさそうに頬を指でかいて、乱蔵の隣へ歩み寄り腕を取る この土地では珍しい服装で出かけるとかかなり好奇の目で見られたりもしたが、そんな視線よりも彼の見つめる視線の方がよほど嬉しかった)&br;今までも色々と見てきたけど、ここは別格だね! もう綺麗すぎて夢みたいー 本当に来て良かった&br;(寄り添ったと思ったら弾けるようにはしゃぎ回る姿はまさに子供のようであった 花の蜜を求めて飛び舞う蝶々よりも軽やかに裾を翻し、風の匂いを胸いっぱいに吸い込んで自然のごちそうを堪能した)&br;(少し落ち着いたのか、また視線は乱蔵の方へ 濃い空の青と広がる花畑に艶やかな緑の木樹 そしてその中にいる彼の姿をこの目でしっかりと刻み付ける)&br;(この素晴らしい景色も、彼と一緒にいるからこそこれほど美しいのだ 今まで楽しかった日々の記憶の中には常に彼がいる この景色も、彼がいてこその感動なのだ)&br;らんぞー君は贅沢だよね こんな綺麗な所で生まれたんだから(素直な気持ちでそう呟いた 自分の故郷でもこれほど美しい所は無い それは土壌の質も関係あるが、何よりあの御神木の存在が一番大きいだろう)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-10 (土) 22:16:24};
---&color(#800000){(とことこと彼女が歩み寄り、楽しげに己の腕を取る。そうして二人揃って視界の中、目いっぱいに広がる花畑を並んで見つめる)&br;(ここには何度か一人で来たこともあるが、一人で見るその光景と二人で見るものは比べ物にならない。今思えば彼女という点の欠けた画龍点睛だ)&br;そうじゃろうそうじゃろう、この辺りの野山は特に花や木が多いところでの。あの向こうの丘を越えればまた別の花が咲いておるし、さっき見えた森は果樹が連なっておる。&br;(少々誇らしげに言う。この一帯は国中の草木が集まり、あらゆる植物があちらこちらにある場所だ。人間が人為的に持ち込んだ物も多く、一部には諸外国の草花も根付いている)&br;(舞うように花々の間で遊ぶ彼女。くるくると表情を変え、時には花に近寄り虫と戯れる。そんな彼女を見ているだけで胸が幸せで満たされていく)&br;(ふと、気付けば、じ、とこちらを見つめる彼女の視線。何を心思っているのか、その瞳は穏やかでいて、それでいて少々の真剣味を帯びていて)&br;うむ、自分でも恵まれておると思うの。…ホウサ殿の国は緑に乏しいのであったか(向江国に付いた時の、この国を一望した彼女の表情を思い出す。そこには紛れもない驚きがあった)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-10 (土) 22:51:19};
---&color(orangered){へぇ…すごい まだまだいっぱいお花あるんだ あ、そういえば赤い実とかあったね あれ食べられるんだ どんな味なんだろ&br;(生まれてからこれほど多くの花々を味わったことがないのだろうか、興奮は収まってはまた高鳴りそしてまた収まると起伏が激しい それがまた楽しさを増幅させている)&br;(ふと目にした黄色い花に赤地に黒の水玉模様の虫がちょこちょこと歩いているのが見えた そっと指を差し出してその虫が指先に沿い、するすると指を伝って上がってくる)&br;(可愛い動物を見る目つきでその虫を右へ左へ移動させて遊びながら、やがて羽を広げてその虫が天に向かって消えていった)&br;…私、あんな虫小さい頃に見たことなかった あれだけじゃなくて他の虫や花や生き物も やっぱり…自然が少ないと生き物も少ないのかな&br;(少しシュンとしながらも、真っ白な紋白蝶を目にすれば再びその顔に笑顔が戻る)このチョウチョなら見たことある!&br;(初めて目にする生き物も、小さい頃から見慣れた生き物も、ここにはそれらが混在している そんな不思議な空間を飽きること無く、脳裏に焼き付かせるようにしっかりと見定めていた)&br;(この国がどれほど素晴らしいか この国がどれほど故郷にとっての救いとなるか それを正確に確実に伝えなければならない その使命も込めて)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-10 (土) 23:11:11};
---&color(#800000){ああ、あの実はたいそう酸っぱいぞ?砂糖漬けにして菓子に添えるもんじゃな、そのままでも食えんことはないがの。…帰りに摘んでみるか。&br;(からからと笑い言う。通好みの珍しい類の果実ではあるが、それも彼女の手にかかれば立派な一品になるだろう。それを、己はよく知っている)&br;(彼女の指を伝い天道虫がその小さな足を動かし登っていく。さながら名のごとく天を目指し高く、より高く)&br;(羽を広げて空へ飛ぶ天道虫を見上げ、今の季節にしては強い太陽の輝きに眩しげに手を掲げて庇を作り、目を細める)&br;命は繋がっておるからの、草木が少なければどうしても、の(落ち込んだ様子を見せる彼女に少々難しげな顔をしたが)&br;む。その蝶はそちらにもおったか。国は違えど、同じ生き物もおるのじゃな(そう言って、彼女の国を想う。厳しくとも、だからこそ)&br;しかし豊かであればそれでいい、という訳ではないからの。だからこそワシはこの国を出たのじゃし、…だからこそホウサ殿に出会えた。&br;(恵まれた環境は得てして停滞を呼ぶ。水をやりすぎれば木は枯れるのだ。彼女を見れば分かる、彼女の国は命少なくとも、逞しい、と)&br;…見てみたいものじゃな、ホウサ殿の国を(広がる青空の向こう、そびえる山々の向こう、たゆたう海原の向こう、その向こうへ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-10 (土) 23:46:27};
---&color(orangered){うん…私も、外に出て良かったって思う あのままあの国しか知らなかったら今の私はなかったよ らんぞー君とも出会えなかったんだし&br;それに、らんぞー君の故郷と私の故郷におんなじ生き物がいるってだけで嬉しい(違うようで同じ所もある それだけでも何かしらの繋がりを感じて嬉しかった 私の故郷もいつかはこんな緑豊かになるのだろうか)&br;その酸っぱい実も美味しかったら、故郷にも持って帰りたいなー 植えればあっちでも育つかな&br;(そうして少しでも多く、この国との繋がりを深めていきたい 愛しい人の生まれ育った地は、今や自分にとってもかけがえのない土地となっていった)&br;(だからこそ、自分の故郷も彼に見てほしい この国の豊かさにはまだまだ遠く及ばないが、それでも私の生まれ育った大事な故郷である)&br;…うん、いつか必ず その時はこうして一緒に見て回ろうね(彼の言葉が嬉しい 視線を同じく山々の稜線の更にその先に向ける もうすぐ帰る自分の故郷へと)&br;&br;(籠を木陰に置いてのんびりと二人で歩きまわる じっとしているのが勿体無いくらいの良日に、こうして二人きりでいられる一時が堪らなく幸せに感じた)&br;(腕に手を回して寄り添うようにゆっくり歩く 彼を感じながら見る景色はより一層華やかに、風になびく花々はまるでお辞儀をしているように愛らしい)&br;それにしても広いねー こんな広い花畑で走り回ったら楽しいだろうね&br;(言って少し躊躇する 普段の動きやすい恰好ではなく長い裾に走るには不安定なカジュアルサンダルだ 靴はともかくこれで走ると裾が翻ってとんでもないことになってしまう)&br;(裾をつまんでむーっと口を尖らしながら、あれこれ思案し始めた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-11 (日) 00:15:32};
---&color(#800000){(群生する花々は、少し場所を変えれば微妙に種類が変わり、それらが織りなす花々の絨毯は折々姿を変えて見るものを楽しませる)&br;(組んだ腕に彼女の存在を実感しつつ、この今が何よりもかけがえの無い日々であることを想う。彼女と同じ物を見、同じ風を感じる。なんと素晴らしいことか)&br;おおよ、花畑としてはこの辺りが一番広いし花の数も多いからのう、走ったとしてもそう簡単に端まではたどり着けん。&br;(服を手にして考え込む彼女を見つつ言う。さてどうするつもりなのか、確かにこのどこまでも続く花畑を駆けるは確かに心地よかろうと楽しそうに見守る)&br;(折角の純白に土が跳ねるかもしれない、花の茎を潰して汁が飛ぶかもしれない。しかしそれが何であろう。汚れれば洗えばよい)&br;かかっ、気になるならそっちを見んようにするぞ?(笑いながら言う。無邪気に駆けたいと思い、それでいて服を気にする彼女。そんな彼女が好きなのだ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-11 (日) 00:44:56};
---&color(orangered){(うーんと小首を傾げ、ようやく一計を案じたようにぱっと笑顔になり、裾を伸ばして端の方を縛る)&br;本当に見ない?(それで短くなった分むき出しの太ももが露わになるが、この開放的な空間ではそれも些細なこと ついでにサンダルを脱いで片手に持ち上げ裸足になり、もう片方には脱ぎ去った帽子のつばを握り)&br;よーし! じゃあここ一周してさっきのお弁当の所に早く戻った方が勝ちね&br;(いきなり勝負事を宣言し、言うが早いか相手の了承を確認することもなく、俊足の速さであっという間にその場から離れる)&br;(足元の花々には細心の注意を払いながら全力で駆け抜けるというのは中々至難の業だったが、それも訓練とばかりにむしろ嬉々として駆けていく)&br;(たなびく風よりも速く 後には巻き上がる風に舞い散る花びらを残しながら)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-11 (日) 01:02:29};
---&color(#800000){(見守っていれば、いそいそと服の裾を持ち上げて腰元まで伸ばしその端を器用にまとめて縛り上げ、身軽な格好になる彼女)&br;さて…どうかの?(言った手前、余り視線を向けず明後日の方向を見ていたが、視界の端に彼女のすらりとした足が露わになったのが分かる)&br;(それに少々気を逸らされている間に、彼女自身はすっかり準備を整えていて)&br;…む?勝ち?(と聞き返す間もあればこそ、ぶわ、と風を巻き上げて発射される弾丸のように彼女が突然駆け出す)&br;(してやられたか、にやりと笑いそんなことを思う頃にはもう、自分も地を蹴り走りだしている。どんどん小さくなる彼女の白い背中、左右に振れるおさげ、ばたばたと踊る帽子)&br;(出来るだけ花を潰さぬよう、一歩一歩跳ねるように駆ける独特の走法で色とりどりの花びらが舞う空間を突き進む)&br;(追いつく、その背中に。どこへ行こうとも、どんな速さで離れようとも、絶対に、追いついてみせる。そうして笑い合うのだ。いつだって)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-11 (日) 01:46:27};
---&color(orangered){(抜け駆けではあったが、こちらは普段よりも動きづらい服装な上裸足で両手に物を持っている これでは本来の走りは出せないだろうから目を瞑ってもらいたい)&br;(背後で乱蔵の気配が近づくのを感じる そうどんなに離れようとも追いかけて、追いついて、二度と離れぬように捉えて離さないで)&br;(そうこうしている内に、緩やかな曲線を描いてそのまま一気に籠の方へとひた走っていく まるで生き物のように跳ねるおさげも今は地面と平行に上がって降りる余裕もない)&br;(こうして二人で走るのもいつ以来だろうか 冒険者の街で暮らしていた時、訓練として二人でよく走ったものだ 走り終えてにこりと微笑み合うのが楽しみでもあった)&br;(楽しかった日々もこうして足早に過ぎ去っていく しかしそれはまた新たな楽しみを迎える為に前へと進むのだ)&br;(こうやって二人で駆け抜けていけば、怖いものなど何もない あの荒神を倒したように、どんな困難が立ち塞がろうとも乗り越えていけるだろう きっと)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-11 (日) 02:06:21};
---&color(#800000){(遠く離れていた彼女の小さい背中がぐんぐんと近づいていく。当然だろう、如何に身軽にしたとはいえ元々が走るには不向き過ぎる服装だ)&br;(それでも並の健脚では到底追いつけぬ速度で花々を巻き上げ、一気に駆け抜けていく姿は流石というべきか)&br;(駆ける。駆ける。こちらとて並の速度ではない、花粉も巻き上がっているのか、先ほどとは比較にならない程の花の甘い香りが充満する空気を吸い込みながら駆ける)&br;(疾風のように吹きすさぶ白い風と紺の風。みるみるうちに花畑を横断し、籠を置いた入口付近にまで近づいていく)&br;(あと少し、もう少し。加速し狭まる視界の中の彼女はもはやそのおさげの編み目まで分かるほどに追いついて、息が切れたか、何故だか胸が跳ね上がる)&br;逃がさん、ぞっ!(その先にはさっき彼女が置いた籠が視界に入っている。だがそれももはや意識には大して登らず、彼女を離したくないという思いが高まって)&br;(一際強く、蹴り足を踏み込んだ。まるで翔ぶが如く一気に迫り、その細い腰を後ろから抱きしめた。当然、滅多矢鱈に慣性のついた二人の体はそのまま花畑を勢いよく転がって)&br;(何回転しただろうか、ぐるぐると二転三転する視界。ばさばさと舞う花びら、何が起きたと逃げ出す虫達。ようやくその勢いが落ちた時には、籠があった場所を通り過ぎていた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-11 (日) 18:00:15};
---&color(orangered){(裸足の足は地面から伝わる衝撃を直に受ける為、身軽ではあるが速度はあまり出ない 地を踏みしめる力にも限界があった)&br;(だがそれでもいいのだ 今は命の危険もない 過酷な状況でもない 愛しい人と共に楽しい時間を共用する一時なのだ)&br;(それでも手を抜くつもりはなく、背後から迫り来る気配を感じながら、出来るだけ逃げ切る為に更に足を早めていく そうこうする内に件の籠が視界の先へ見え始めた)&br;(気配は更に近くなる だが上手くすればこのまま逃げ切れるに違いない)&br;(彼が近づいてくる)&br;(本当なら今すぐその胸の中に飛び込んでしまいたい衝動に駆られながらも、足は彼の温もりから少しでも遠ざかろうとしている 今の私の向かう先はあの籠の下 そこまで着けば後は思う存分彼の温もりを味わおう)&br;(そう心に言い訳しながら、もうすぐ目的の場所へ足を踏み出そうとしたまさにその時だった)&br;ふきゃっ!(彼の叫び声と共に腰に何かの存在を感じる それが乱蔵だと気づく前に身体は勢いそのままに前方へ転がっていった)&br;(受け身は何とか取れただろうが、それでも上手いこと彼が自分の身体を守る様に抱きかかえながら、何度も何度も視界が回転していく)&br;(やがてその勢いも静まり、先程まであれほど焦がれていた胸の中の暖かさに暫しじっと身を潜め、おもむろにもぞもぞとその中から這い出していく)&br;(上半身だけ身を起こし、ぽかんとした表情で呆気に取られていた 抱きしめられていたとしても、髪も服も草や花びらだらけで、靴や帽子は驚きのあまり手から離れていた)&br;…もー、らんぞー君てば(まさかこんな手段に出るとは思えず、ただただ笑い声を上げた その笑いも晴天の空に吸い込まれて消えていく 本当にこの人は)&br;大好き(今度はこちらから勢いをつけて抱きしめ、その唇を笑みの形で塞いだ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-11 (日) 18:26:27};
---&color(#800000){(転がり続けていた身体が止まり、湿った土の匂い、草いきれがむっと漂う花畑の中で、彼女を抱えてごろん、と寝っ転がる)&br;…して、この場合どちらが勝ちであろうかの?(悪戯っ子のように笑みを浮かべながら言う。そうやって笑う男の全身も花びらまみれ、所々土も着いて汚れている)&br;(そうして呆れたようにしながらも、抜けるような快活な笑い声をあげる彼女と共に、からからと笑っていれば、ふいに起こそうとしていた身がべしゃり、と潰され)&br;(唇に僅かに熱い柔らかな感触を感じて、愛おしさが湧き上がる。走ってあがった息も、まったく苦しくないと思えてくる程に)&br;…ワシもじゃよ(離れる唇、ぽつりと呟いて上気した彼女の顔を見れば、桜色に色づくその頬に白い花びらがついていて)&br;くく、花化粧も似合いじゃな(言ってその頬に口付けし、花びらを咥えて取る。そうして乱れた栗色の髪を撫で付け整え草を払い、手元に生えていたひなげしの花を一輪取り)&br;うむ…悪くない(そっとその髪に差して、果てしなく広がる青い空を背景に背負う彼女を見上げ、ひとり満足気に笑みを浮かべた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-11 (日) 19:13:15};
---&color(orangered){もう勝ち負けとかどうでも良くなっちゃった(抱きしめながらクスクスと笑いもう一度口付ける どんな花よりも甘美な甘い口づけ)&br;(離れればまた触れ合う唇が、自分の頬にそっと触れ、くすぐったさに小さく声を漏らし、お返しにと相手の頬をなぞるように口付ける)&br;もう…上手いんだから(走った後とはまた違う赤く染まる頬をうつむかせ、されるがままに綺麗にされ、さあご飯にしようかなと立ち上がろうとし、乱蔵の様子に暫く動きを止める)&br;(なんだろうと見守っていると、そこには一本の可憐な花があった 橙に近い朱色のそれは、おおぶりの花びらが四枚で形づくられ実に可愛らしい)&br;可愛い…(思わず言葉にすると、その花が自分の顔の近くにまで寄り添い、茶色の髪に紅い色合いが染め上がった 嬉しさと照れくささにますます顔を赤めるが、その顔は終始笑顔であった)&br;ありがとう…(花を贈られることがこんなに嬉しいこととは思わなかった これはこのまま枯らしてしまうのは惜しい 何か加工してずっと持てるように出来ないだろうか 雪音なら知っているかな?)&br;じゃあお返しにらんぞー君にも(彼の赤い髪なら何が似合うだろうかと、冗談交じりで周囲の花を探す仕草をする 探している内に本気さが少し増して行った)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-11 (日) 19:35:36};
---&color(#800000){ホウサ殿には暖かい色の花が似合うの(まさに花開くような笑顔の彼女に、更に満足そうに笑う。喜んで貰えてよかった、と)&br;(彼女の髪を彩るひなげしの朱色の花びらは彼女の優しげな心根をそのまま示しているかのように暖かく咲き誇っていて)&br;…む?ワシか?いやいやワシには花なぞ似合わん…(と茶目っ気のある表情で辺りの花々を吟味し始める彼女を止めようとしたが)&br;(だんだんと真剣な瞳になる彼女に言葉は続かず、やれやれ、と一つ息とついてその仕草を静かに見守る)&br;(華やかさなど縁のない身、そんな己に華が唯一あるとすればそれは座り込み、花をじ、と見つめる彼女の存在だろう)&br;(その彼女が選んでくれるのであれば、それも悪くはない、のかもしれない。そう、思わせてくれる)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-11 (日) 20:08:17};
---&color(orangered){(うーんとキョロキョロ探し、ついには木々の花まで探しにでかけ、ようやく帰ってくればその手の中には緑色の花が添えられていた)&br;これなんてどうかなー(ニコニコしながら自分と同じように乱蔵の髪にそっと添える 四枚の厚めの花びらが十文字に開き、一見沈丁花のように見えるが色が違った)&br;何の花だろうこれ でもいい香りだね あまーい(鼻を近づけてようやく香るほどのほのかに甘い香りは、やはり沈丁花に似ているがあれよりは少し薄い)&br;(乱蔵の顔の横に顔を近づけてくんくんと香りを楽しめば、ますます彼にお似合いな気がしてくる)&br;(二人揃って髪に花を差す姿が、よくよく見れば非常に滑稽にも見えそうだが、この行為がとても楽しく素敵な気分を味わえた)&br;(この土地に咲く花を身につければ、それだけで御神木の恩恵にあやかれそうで、更には大切な人からの贈り物とあっては幸福感が胸いっぱいに満たされていくのが判る)&br;さ、ご飯にしよっか(笑顔いっぱいでそう言い、乱蔵の手を取って立ち上がる この幸せな気分で食べれば、きっといつもよりもっと美味しく感じるに違いない)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-11 (日) 20:32:44};
---&color(#800000){(どこまで探すつもりかと、少々離れた場所まで行く彼女を見ていたが、帰って来た彼女の笑顔を見ればどうやら獲物は見つかったようで)&br;(その手に持っているのは一見若々しい葉と同じように見える黄緑色をした、しかしよく見れば筒状にすぼまる花弁があり、雄しべや雌しべの覗く花であり)&br;ほほう…これはまた珍しいものを。鬼縛りとはまたワシに似合いのを見つけてくれたの(す、と髪の毛に添えられる緑の花。微かに漂う香りは甘く、心を落ち着ける)&br;(耳元に近寄り花を香る彼女の仕草に、少々照れくさいものを覚えつつも)…ありがとうの(と感謝を込めて静かに呟き)&br;(やはり、悪くない。そう思う男の姿は、彼女が贈ってくれた緑の花が派手な赤い髪に一点咲いて、逆に落ち着きのある姿になっている)&br;おおそうじゃの、走り回ったから腹も空いたわ(手を引かれ、己も立ち上がる。手を繋ぎ花畑を歩く二人の髪には二輪の花。その口元には二つの笑みが咲いていた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-11 (日) 21:18:20};
---&color(orangered){(花の香りも運んでの昼食は、春にちなんだのか山の幸のものが多かった)&br;(普通のおかかや昆布の海苔巻きおにぎりから、山菜おこわのおにぎりに、たらの芽の天ぷらや筍の煮物、ゼンマイのお浸しと緑色も鮮やか)&br;(肉巻きごぼうや茹で豚などの肉料理も数多く、小ぶりな新じゃがの煮っころがしや鰆の照り煮といった茶色の中に、わさび醤油で下味をつけた菜の花の卵焼きの黄色が一番目立っていた)&br;らんぞー君のお母さんに色々教えてもらったんだー 菜の花の卵焼きなんて初めて作ったよ(お茶とお絞り、お皿と箸を用意し、頂きますと合掌してまずはおこわおにぎりを一口)&br;んーもちもち おこわ美味しいよね 山菜たっぷりいれたから栄養もたっぷりだって&br;(続いて菜の花の卵焼きを一口齧る 味見はもうしてあるのだが、このわさび醤油の味が普段作る卵焼きとは違って新鮮な驚きがあった)&br;(鶏肉団子も一口味わいながらも、春はやはり野菜が食べたくなる 遅い春だというのにたらの芽が手に入ったのは僥倖だった 天ぷらをかじればその苦味が旨さとなって舌を喜ばせる)&br;(初めて作ったのもいくつかあるが、それぞれ何とか美味しく出来上がることが出来た 作り方もちゃんと紙に書いておいたので、家に帰っても材料さえあれば同じものが作れるだろう)&br;(私が料理するなんて、それだけでもみんなびっくりするだろうなと微笑みながら、でもきっと美味しく食べてもらえるだろうと、隣にいる人物の様子に満足していった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-11 (日) 21:54:49};
---&color(#800000){ほほう…これはこれは(そのどれもが手間暇が十分にかかったことがよく分かる一品が並ぶ弁当を前にして、思わず居住まいを改めて腰を据える)&br;(きちんと用意されたお絞りをとって、手を拭き、少々土に汚れてしまった服を拭いて簡単に身を清める。そうして頂きます、と同じく手を合わせて唱え)&br;む…母上に習ったのか。確かにどれもワシの好きなものだらけじゃな(その心遣いに感謝しながら、おにぎりを一口大口をあけてかじる)&br;(もち米の弾力ある歯応えが歯に楽しく、塩気もいい塩梅に効いており、新鮮な山菜の風味がその味を引き立てる)&br;おお…上手く焼けておるの、やはり卵焼きはいいのう(箸で緑の菜の花がちらほらと顔を覗かせる卵焼きを一切れ取り、ひょいと口へ入れ)&br;これはまさしく母上の味…!流石じゃの!(思わず顔を綻ばせる。硬すぎず柔らかすぎず程よく通った火加減に、わさび醤油の辛味とほんのり感じる菜の花の苦味が嬉しい)&br;(幼いころはこの辛さと苦さが苦手で、母を困らせたこともあったが、剣をまともに振れるようになった頃にはもう、卵焼きといえばこればかりをせがんでいたのを思い出す)&br;(どうしたって食が進むその味に、二切れ三切れと箸を伸ばし、おにぎりもまたたく間に消えていく。普段よりなお早いペースで食べきったその後にお茶を飲んで一息つき)&br;(箸休めにと薇の浸しに箸を伸ばす。口の中に爽やかな香りが広がり、山菜特有の野性味ある渋味を感じる。アク抜きの加減も申し分なし、酒の欲しくなってくる一品だ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-11 (日) 22:32:33};
---&color(orangered){せっかく作るんだから、らんぞー君が美味しく食べられるものがいいなぁって らんぞー君が好きなものは私も好きだもん&br;(それに乱蔵の慣れ親しんだ家庭の味も教えて貰いたかったのもある 客人としてそこまでしてもらうのは図々しいだろうかと不安だったが、快く引き受けてくれた乱蔵の母親には感謝してもし足りない)&br;らんぞー君のお母さんて綺麗な人だよねぇ 料理も私なんかよりもすっごく上手で手際もいいし やっぱり何年も作ってきた人は違うね&br;(ああやって夫やわが子の為に毎日毎日料理を振る舞っていったのだろう 残念ながら私の家では夫人は料理をすることはない それは使用人の仕事である)&br;(だが母親が食べさせてくれた思い出はいつまでも心のなかに今も鮮やかに残っていた 同じ料理でも母が食べさせてくれる料理は何でも美味しく感じたものだ)&br;(卵焼きを食べて相好を崩す乱蔵を微笑ましく見守る 料理を食べている彼は子供のように無邪気な顔をしていた ああこんな風に美味しく食べてくれるのなら毎日だって頑張れる)&br;良かったぁ この卵焼きが特に好きって聞いたから頑張ったの でもやっぱりお母さんだね 子供の好きなものはずっと忘れないんだ&br;(そういえば父も、私が泣いた時や怒った時は、昔好きだと言ったお菓子をさり気なく持ってきていたものだ あれで緩和させようと思ったのだろうと今更理解して思わず笑みが溢れる)&br;(重箱の中には色とりどりおかずが入っているが、その中でも黄色に続いてひときわ目立つのは、桜色の生春巻きだった)&br;(鶏肉ともやしと大葉を巻いているが、その中に桜の塩漬けが入っているのが何とも季節にぴったりで進められた一品だ)&br;(別の容器に入ったゴマだれをつけて一口口にすれば、鶏肉のだし汁がよく染み込んだお肉とゆでたもやしのシャキシャキ感 味はあっさり気味にしてあるのは大葉と桜の塩漬けの塩梅を際立たせる為である)&br;春って感じだね ゴマだれでもいいけどこれもわさび醤油でも美味しそう(調味料は別の容器で色々と持参してある どれでも好きなものを付けて食べるのもまた、こういう食事ならではの楽しみ方だ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-11 (日) 22:55:44};
---&color(#800000){母上は家族の食うものは自分で作る、が信条だったからのう。元々市井の出であったこともあろうが、どうしても手が回らぬ時以外は毎日飯を拵えておったよ。&br;(飯は残すな、が口癖でもあった。日々の食事はどうしても漫然としたものになりがちではあるが、今思えば一食一食をきちんと味わって食べるようになったのは母のおかげかもしれない)&br;(そんなことを思い出しながら、鰆の照り煮をつつく。ほろほろと口の中で崩れるその触感を楽しみつつ、またおにぎりに手を伸ばし)&br;いやはや、元々の腕前もあるのじゃろうが素晴らしいもんじゃ。母上もさぞかし教えるのが楽だったであろうよ(そうしてまた卵焼きを食べてうんうんと感心の声をあげる)&br;(絶品のおかずの数々にぺろりとおにぎりを平らげて、次に箸を伸ばすのは華やかな色合いを見せる生春巻き。白い皮に透けて見える桜がなんとも風流で)&br;なんぞ食べるのが勿体無くなってくるの(そう言いながらも一つ摘み、ゴマだれにつけてぱくりと口にする。皮のしっとりとした食感と巻いた野菜の小気味良い歯応えがして)&br;うむ…充分に美味いが…(彼女が言ってみた通り、小皿にわさび醤油を垂らし、もう一つはそちらで食べてみる)これも美味い(濃厚なゴマだれも良かったが、鼻に抜ける爽やかな香りが清涼感を増した)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-11 (日) 23:33:24};
---&color(orangered){そっかぁ 元から料理作る姿勢が違うんだね でも私も家族の料理は自分の手料理にしたいかなあ 見習わなくっちゃ&br;(料理をつくる信念も、ちゃんとこうやって味わって食べてくれる家族がいてこそだと思う それが何よりの糧となるのだから)&br;(おかかのおにぎりと共に、茹で豚を一つとってハムハムと味わう 生姜汁に漬け込みニンニクやネギと共に煮込んだお陰でこれだけでも充分美味しいが、特製の甘酢ダレにつけて食べればかなり美味しい)&br;(これなら辛めなタレの方が美味しいかな 豆板醤でも試してみようとモグモグしながら色々思案する 同じ料理でも味付け方がそれぞれ違うというのも面白いかもしれない)&br;私なんてまだまだだよ でもそういって貰えると嬉しい もっといっぱい頑張るね(同じく卵焼きを口にして決意を更に固める)&br;うん 綺麗だよねー 桜の塩漬けが可愛くて見るのも食べるのも楽しめる春っていい季節だよね&br;(今度はわさび醤油で一口 やはりこちらも美味しい ゴマだれと交互に食べれば更に飽きが来ない たくさん作った春巻きも、二人の手にかかればあって言う間に無くなっていく)&br;(何時間も手間暇かけて作る料理も、ほんのわずかな時間で消え失せていく それを虚しいと思う人もいるが、本当に美味しく頂ければ苦労した分以上に報われるもの)&br;やっぱり来て良かった(今の私の幸せは、今まで悲しい思いを沢山したからこそかもしれない 人生は決して無駄にはできていない どんな体験も必ず人生の糧となっていくのだ)&br;(私の人生最大の幸せは、この人、秋津乱蔵に出会えたこと そして幸せを共にすることが出来たこと)&br;私、幸せだよ(その幸せを味わうためならば、どんな不幸が来ても怖くない)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-12 (月) 00:08:35};
---&color(#800000){(くし型に切られた筍の煮物を箸に取る。まるでひだが本当の櫛のように見えるそれを口にすればざくざくとした食感。ちゃんと味が染み込んでいるのも分かる)&br;(ぱらぱらと木の芽があしらわれた筍は彩り、風味も良く。それでいて鰹節の味がしっかりと出汁に出ている。細かい所まで気配りが行き届いている証だ)&br;(じゃがいもの煮っころがしも実に美味い。冷めても口当たりは良く、甘辛い汁が表面に絡んで、一口ほどの丁度いい大きさなのもあってついつい箸が出てしまう)&br;おおよ、どんどん作るといい、ワシもどんどん食うてやる。ホウサ殿の料理ならいくらでも食えるわ(からからと笑いおにぎりにがぶりと噛み付く)&br;(あの街で彼女と共に暮らすようになって、何度彼女の料理を食べたろう。もはや思い出せないくらいにそれは数多い)&br;(この国を出て冒険者としての勤めを始めてからは、慣れぬ異国の味ということもあってか碌にまともな物を食べてなかったのを思い出す)&br;(そのことを思えば、母の味は別としても、もはや彼女の味が自分の味でもあると言ってもいいだろう。今のこの身体を作った馴染み深い味だ)&br;うむ…舞う花に美味い飯。実に良い日じゃ(これで酒まで望むのは高望みだろう。そんなものはなくても、彼女が居る。彼女が心を込めて作ってくれたものがある)&br;(彼女が居てくれてよかった。彼女と出会えてよかった。彼女を想えてよかった。心より、そう感じる)&br;ああ…、幸せ、じゃの(噛み締めるように。この幸せを深く刻み込む。決して忘れえぬよう、決して打ち負けぬよう)&br;(幸せの記憶。それは人を強くする。芯に通った鋼のように、その者を支えうる。こんな日をまた迎えることを願い、そして彼女もそれを願っていることを信じ)&br;(吹き抜ける風が数々の花を散らし空に舞う。照りつける陽射しは強く輝き、遍く花々を照らしゆく。春が、終わろうとしていた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-12 (月) 01:11:51};
-&color(#800000){(「やあやあ我こそは秋津乱蔵なりィ!国を脅かし災い撒き散らす荒神よ、今こそこの御神刀で退治してくれようぞォ!」)&br;(恐らくはかつらであろう目にも鮮やかな長い赤髪を奮い立て、'乱蔵'が耳に触り良く通る声で大仰に名乗りを上げる)&br;(その手に持つ大きな木刀は持ち上げる動作から見るに軽い桐製のものだろうか。これも見栄えがよくなるよう模様が美しく彫り込まれている)&br;(ふんだんに金糸を用いた大層きらびやかな着物を身にまとい、こちらに向かい'乱蔵'が大見得を切るのは舞台の上。背景となる荒野の描かれた大幕の前だった)&br;&br;…のう、ワシはあんなに派手じゃろうか?(観客席とは別に特別にしつらえられた席に座り、隣のホウサに不思議そうに声をかける)&br;(その眼前で繰り広げられるのは丁々発止の舞台劇。本人よりも二回りは体格のいい、それでいてきりとした面の伊達男が絶妙の間でこちらに流し目を送っている)&br;(自分の倍はあるかという黒を基調に作られた'荒神'と戦う姿は舞うように。華麗に舞台を縦横無尽に飛び回り見応えのある戦いを演出している)&br;&br;(「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よォ!この夏鳳釵、流れ来た身なれど義によって、ア、助太刀致すゥ!」)&br;(これまたこれでもかと飾り立てられた重そうな桃色の道着らしきものを纏った'鳳釵'も舞台に現れた。多少線が細いが筋骨隆々の美丈夫として)&br;(かろうじて背中から下げたおさげが女性らしさを示しているが…戦いの舞台では配役はこのようなものなのだろうか。確かにその拳撃は体を一杯に使い派手ではあるが)&br;(そうして二人揃ってがくがくとからくり仕掛けで動く'荒神'と戦い、討ち果たすのをホウサとなんとも奇妙な気分で見届けていた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-28 (日) 00:11:56};
--&color(orangered){お芝居ってほら、見栄えよくした方が目にも楽しめるしね(くすくすと笑い声を抑えながらも、少し気恥ずかしい思いで目の前の芝居を嬉々として見つめていた)&br;(後々までこれが語り継がれるのかと思うと、あまり突拍子もない姿や展開もどうかと思うが、それでも観客席から沸き起こる熱狂的な声に、芝居独自の表現の仕方なのだろうと納得する)&br;…でも私、あんなに筋肉ばっかりじゃないよね?(思わず自分の腕を眺めて、見比べるように役者としての'鳳釵'を見て複雑な気持ちになった)&br;(二人から聞いた話を統合しつつ、より正確に記録するのは伝記的なもので、こういった芝居では過剰な表現はよくあること)&br;(自分の国でいう京劇とて、似たような展開も多い だが元ネタの本人は苦笑するしかないだろう)&br;(やがて芝居は終わり、盛大な拍手の波が周囲を揺らす その音に負けないように張り上げる役者の声)&br;(こうして物語として終わらせられた事を実感しつつ、再び訪れた平和に安堵のため息をついたのはもう何度目だろうか)&br;なかなか面白かったね らんぞー君役の人も恰好良かったけど、私はやっぱりらんぞー君が一番だなぁ&br;(拍手しながら乱蔵の顔を見つめ、改めてまじまじとその面貌を見つめる うん、やっぱり元のらんぞー君が一番恰好良いなと確信しながら、満面の笑みでそう応えた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-28 (日) 00:41:34};
---&color(#800000){かかっ、安心せい。本物のホウサ殿はもっとずっと可愛らしいわ(舞台で見せた先ほどの鬼気迫る打って変わって、やり遂げた笑顔で礼をする役者たちを迎える万雷の拍手)&br;(その拍手に自らも一手を加えていれば、横から感じる、じ、とした視線。それに気づいて照れくさそうな顔をしながら、頬をかいて嬉しそうに笑顔を見せて)&br;…ホウサ殿にそう言ってもらえるのは万の拍手よりも億の拍手よりも嬉しいもんじゃな。二枚目に産まれんでよかったとさえ思うわ(呵呵、と笑いながら腰をあげる)&br;(では観客達がこちらに気づかぬ内に早々に立ち去るとしよう、舞台で慣れた様子で手をあげて拍手に答える役者達とは違って、自分達の出待ちなどされてはたまらない)&br;さて、次はどこへ行くかの?屋台もたくさん出ておるししばらくすれば花火もあがる。ちと季節外れじゃがの(舞台小屋の出口をくぐりながら隣の彼女に問いかける)&br;(その先に広がっているのは日も落ちた大通りにいつもはどこに居たのやらと思うような、人、人、人の波。はぐれぬよう、彼女の手をそっと取ってどうするかと思案した)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-28 (日) 20:53:43};
---&color(orangered){えー らんぞー君はもっと恰好良いよ(照れくさい顔をしながら微笑みその顔が堪らなく愛おしく、更に言葉を続けながら自身も腰を上げる)&br;(当の本人がいると知れば観客はどんな反応をするだろうか あの役者のように大勢の人間に対応するのは並大抵のことではないだろう)&br;(でもあの舞台で戦うというのも気持ちいいかもとちらと思いつつ、出口を目指して静かに寄り添い歩いて行く)&br;&br;(出口を抜けたその先には溢れんばかりの人だかり それもみんな手に取り祝い続けるその姿に、この喜びを迎えられて本当に良かったと染み染みと実感する)&br;じゃあね、花火の前に色々食べておこうか せっかくだし色々なの食べたいなぁ&br;(まずは何を食べようかなと、適当に近場の屋台を物色する たこ焼き、イカ焼き、串焼き、わたあめにリンゴ飴 そのどれもが美味しそうで思わず目移りしてしまう)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-28 (日) 21:11:42};
---&color(#800000){(目立つ大木刀は置いてきたものの、時折ちらちらと赤毛の頭を見つけて何事かを言いたげな人間がいるが、皆隣のホウサと繋いだ手を見ると何やら暖かい視線を送ってそのまま行ってしまう)&br;おお、それはいいの!ちょうど芝居を見終わって小腹もすいてきた所じゃ(その視線に何やらむず痒い物を覚えつつも、彼女の提案に乗ってずらりと並ぶ屋台に近づいていく)&br;んーむ…ではまずはイカ焼きでも食うかのー(そうして一つの屋台に近づいていけばじゅうじゅうと香ばしい醤油の臭いをたてて一匹まるごとのイカが焼かれているのが目に入ってくる)&br;(「おぉ?乱蔵じゃねーか!…っと、今は当主様で荒神退治の功労者、だっけか?けけっ、随分とやらかしたもんだな!」屋台の主が声をかけてくる。よくよく見れば若い頃につるんでいた悪友の一人だ)&br;む…お主か!くかかっ、ちょうどいい、イカを二つ寄越せい。駄賃はいつも通り家につけておけ!(一気に昔に戻ったかのようなやんちゃ坊主の顔になり、偉そうにふんぞり返って笑いながら言う)&br;(「へっ、金なんていらねーよ、俺からの祝いだ、焼き立てのをとっときな!ほら、そちらのべっぴんさんの分もよ!」と言いながら投げつけるように己にイカを渡し、彼女にはちゃんと差し出して同じく子供の顔で笑った)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-28 (日) 21:33:10};
---&color(orangered){(どちらから先に繋いだのか、もう意識せずとも自然に繋がれる手が心地良い 最初の頃はそのまま外にデルのも気恥ずかしかったが、今は既にそれが当たり前のようで)&br;イカ焼きだね うーん美味しそうな匂い…醤油の焦げる匂いって食欲そそるよね&br;(うっとりと鼻孔で味わいながら、屋台の前へ行き注文しようとすれば、気さくな声で語りかける一人の男性に少し驚く)&br;(きっとらんぞー君の友達なのだろうとにこりと微笑み軽く会釈し、友人との軽いやり取りをする乱蔵の、まるで童心に返ったような表情に苦笑と微笑を織り交ぜ、小さく笑い)&br;わ、ありがとうございます(ホカホカの香りと共に手渡されるイカ焼きを、こちらも負けないような純粋な笑みで礼をし、大事そうに両手で持ち、我慢できずにそのままはくりと一口)&br;…ん、おいしー!(絶妙な焼き加減にイカのプリプリとした食感はたまらない それに絡まるように醤油の甘いタレが更に旨さを引き立て、二口・三口と止まらずはむはむと美味しそうに食べ続ける)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-28 (日) 21:54:54};
---&color(#800000){…っと、醤油がはねたらどうするんじゃ阿呆(言いつつも危なげなく宙を舞うイカを空中でぱし、と受け取る。これは明らかに取れるだろうと分かっていてやってるのだろう)&br;(綻ぶような笑顔を見せてイカを頬張る彼女を見て微笑みつつ、自らもばくりとイカにかぶりつく。甘じょっぱい醤油の味と共に焦げた醤油が立てる芳しい香りが口中に広がって)&br;ほう、こいつは美味いのう!なかなかの腕にではないか(にやにやと笑いながら絶賛する。そうすれば屋台の主が煙たげな顔をしつつ、しかし口元には笑みを浮かべ)&br;(「ははっうっせーよ馬鹿!そんじゃまた今度一杯付き合えな!…その子の話も聞かせろよ?」ひらひらと手を振って二人を店の前から送り出す)&br;(それに手を振って返しつつ、てくてくとイカを齧りながら歩き出す。さて次はどこへ行こうか、きょろきょろと見回していれば、風船釣りの看板が目に止まり)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-28 (日) 22:16:30};
---&color(orangered){(イカ焼きの主にもう一度軽く頭を下げ、次はどうしようか、食べ物もよいが食べ物以外にも結構面白そうなものがある)&br;(そして乱蔵の視点がふいに立ち止まった先を見れば、風船釣りという看板が目に入り、小首をかしげて看板を読み上げた)&br;…風船つり?(初めてなのか故郷にはそういう遊びはないのか、だが水に浮かぶ色とりどりの風船に、鮮やかな模様が描かれたそれはまるで水に浮かぶ宝石のように綺麗で瞬間目を奪われ)&br;綺麗ー…ね、ね アレしたい あれどうやって取るの?(すっかり興味を惹かれ、また子供のように瞳を輝かせて乱蔵の袖をひっぱり指を差す)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-28 (日) 22:34:39};
---&color(#800000){(一抱え以上もあるような大きな桶に浮かぶ色彩豊かな風船の数々。懐かしい、昔はよくやったものだと思いながら見ていれば、袖を彼女に引っ張られ、足を止めて)&br;む?やってみるかホウサ殿?この釣りは魚の釣りとは一味違うぞ(試すような笑みを浮かべ懐から店主に幾枚かの銭を渡し、釣り仕掛けを二本受け取り、一本を彼女に渡し)&br;この仕掛けの糸はの、紙で出来ておる。水に濡れれば容易くちぎれてしまうでな、水に濡らさぬよううまーくこの風船の輪に引っ掛けて釣る遊びじゃよ。どれ、ワシも久しぶりにやってみるか。&br;(釣り針と違い、余り鋭利ではない少々大きめの針に、ねじって作られた紙の糸。桶の前に座り込み、糸の上の方を持ち、慎重にゆっくりと引っ掛けられそうな輪を探しつつ下ろしていく)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-28 (日) 22:52:51};
---&color(orangered){紙で釣るの? へー…変わったやり方だね(乱蔵の隣に並んで座り、彼の仕草を観察しつつ自分も慎重に紙を移動させる)&br;(やがて目星がついた風船の輪にそろそろと紙を引っ掛け、ゆっくりゆっくりと持ち上げていく)&br;(慎重のあまりぷるぷると手が震え、その振動が紙に伝わったのか、はたまた濡れてしまったのか、音も立てずに解けるように千切れ、風船は無残にもまた水の桶へと逆戻りしていき)&br;あうっ…結構難しいね(残念そうに名残惜しげに風船を見ながらも、初めて体験したこの遊びに興奮は隠しきれず嬉しそうに風船の群れを眺めていた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-28 (日) 23:11:10};
---&color(#800000){(身も蓋もない話ではあるが、水風船での最大のコツは紙を濡らさないことだ。そのためには釣り針よりも深く糸を沈めてはならない)&br;(風船釣り屋もそのまま釣らせたのでは商売にならぬから、輪が水の上に出ていることはない、しかし全く釣れなくともいずれは商売上がったりだ)&br;釣り針を寝かさぬように、垂直に沈めるんじゃそれと…無理はせんことじゃな(つまり、必然、狙うのは比較的取れやすくしてあり、風船の輪が浅い所にあるものになる)&br;(静かに針を水面に差し込み…そこからは素早くかつ波を立てぬよう最小限の動作で針の先を輪の中に移動させ、強すぎず弱すぎず、しかし一気に仕掛けを引き上げて)&br;…ほれ、ワシの腕もまだまだ鈍ってはおらんな(そうして取れた水風船を掲げて、彼女に見せて。そしてまた風船屋から仕掛けを買い、水風船と共に渡した)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-28 (日) 23:30:33};
---&color(orangered){(自分よりも骨太の大きな手から信じられないほどの繊細な動きで、まるで職人の技のように鮮やかに水の弧を描いて風船は見事に釣り上げられた)&br;凄い凄い!らんぞー君凄い!(興奮気味に拍手をして成果を見上げる 朱色の表面に白と黄色の雲海模様がそれぞれ映えて目にも美しい)&br;(その水風船が自分の手の中に、そして再度仕掛けを手渡され今度こそはと意気込みながらじっくりと水風船を検分する)&br;(そして目に入ったのは深い色合いの紺の風船だった あの浅さと角度なら行けるかもしれない 乱蔵がしてみせたように慎重に針を差し、徐々に針は所定の位置まで移動する)&br;えいっ(掛け声と共に素早く引き上げれば、少し派手目に水しぶきを上げて風船が宙を舞った)&br;わぁい取れた 取れたよー(無邪気に言いながら自分の成果を乱蔵に見せ、そして自分が釣り上げたその紺色の風船を乱蔵に手渡した)はい、さっきの御礼&br;(そう言って乱蔵から貰った朱色の風船を大事そうに持ち、嬉しそうにニコニコとその風船を眺める 釣り上げられたのも嬉しいが、互いの成果を交換というのも嬉しいらしい)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-28 (日) 23:51:16};
---&color(#800000){むっ…(一本目の釣り針での動きとは別物の動きを見せる彼女。お手本を一つ見せただけで勘所を掴むのは流石の一言に尽きる)&br;(息を呑んで静かに見守っていれば紺色の風船がゆらりと揺れる。すわ失敗かと冷や汗をかくが、動じず慌てず、針は狙い違わず輪に吸い込まれていき…)&br;お見事!(紺色の水風船が屋台の灯りを受けてきらきらと水を弾いて輝き、無事宙へと。そしてその水風船は…己の手に)&br;む、くれるのか?ありがとうの(中指に輪を通し、目線の高さまであげてゆらゆらと揺れる彼女が得た水風船を眺める。その深い紺色を見ていると落ち着いた気分になってくる)&br;その風船、ホウサ殿によう似合うておるよ(朱色の水風船を嬉しそうに眺める彼女を見て、己も笑う。己の物は彼女の物、彼女の物は己の物。その有り様が、嬉しくて)&br;ふふ、これは二つはいらんかの(ぷらぷらと風船を下げながら、仕掛けを風船屋に返して、また歩き出す。口元には笑みを浮かべ、楽しそうに)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-29 (月) 00:17:41};
---&color(orangered){(お互いがお互いの風船を手に持ち、また祭りの中を練り歩く 今度は何が良いだろうか イカ焼きも食べ終わったのでまた食べ物が良いか)&br;あ、わたあめあるよ アレ食べよう(イカ焼きで慣れた舌を調整するように、甘さを求めてわたあめ屋の元へと向かう そして一番大きいわたあめを一つ選んで代金を渡して受け取り)&br;大きいから半分こしようね(最初からそれが目的だったのか、顔の大きさと同じくらいのわたあめを摘んで千切り、ぱくっと口の中へと入れる)&br;(口の中でしゅわしゅわと雲のように溶けて消える食感を楽しみつつ、その後から押し寄せる甘さに思わず口元がゆるみ)&br;(しかし甘いものだけでは口がしびれてしまうと、他の食べ物はないかとぐるりを見渡せば、東国の地には異色の看板が目に入ってきた)&br;見てみて フランクフルトだって こっちで見るとは思わなかったや&br;(かつて住んでいた街中ではさして珍しくもない食べ物であったが、この国に来てから見るとかなり別世界の食べ物に感じる それは他の人も同じなのか、物珍しさに他の屋台よりも人だかりは多そうだった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-29 (月) 00:45:46};
---&color(#800000){(行き交う人の波。家族連れや友人同士、大人も子供も大勢の人が居るが、昔は気にも留めなかった異性での二人組も多い。それに気づいてしまう理由にも直に気づくが)&br;(その理由が小走りに一つの屋台へと近寄り、すぐに戻ってくる。娘は甘いものが好き、というのは誰かに聞いたか彼女に教えられたのか)&br;見ていていつも不思議に思うておったが、何故こんなに大きくなるのじゃろうなあ(わたあめなぞ食べるのは何年ぶりか、食べ方さえ忘れてしまった)&br;(かぶりつくにも大きいしどうしたものかと思っていれば、彼女が目の前でお手本を示してくれた。なるほど千切ればいいのか、とそれに習い口へ運び、口中に感じるふわりとした柔らかな質感)&br;かかっ、食うても不思議なものじゃ!(続けて舌上で溶ける甘さ、そして砂糖が焼けた芳ばしい香り。これはなかなかの妙と、指についた飴をぺろりと舐めて拭い笑う)&br;(そして彼女が次の獲物を見つけたのに気づく、それは人々の興味を引いているのか人も多く己もそちらを見てみれば合点が入った)&br;ほほう…あちらでは何度か食うたが、里で見ることになろうとはのう(しかもよくよく見ればきちんとケチャップとマスタードの瓶まで用意してある。この東の片田舎にしては随分と本格的だ)&br;折角じゃし買うてみるか(と、フランクフルトを買い求める人の列の最後尾に二人揃って並び、フランクフルトを焼きながらも手際よく客を捌いていくのを見守る)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-01 (木) 00:32:25};
---&color(orangered){なんでだろうねー お砂糖いーっぱい使えばいいのかな? でもこんなに大きくするにはやっぱり腕がないと…&br;(などと軽くわたあめ談義に花を咲かせながらも、二人がかりなら大きなわたあめもあっという間に残り僅か)&br;(その合間に見つけた異色の食べ物に、そういう意味でも目について離すことは出来なかった)&br;うん!(元気よく答えながら、二人並んで静かに待つ 初めて見るのか珍しそうに覗きこむ人々)&br;(先程の自分のように買った端から一口齧り、熱々の肉汁に悶えつつもケチャップとマスタードが絡み合う肉厚の旨さに、舌鼓を打つ人たちを見て思わずほっこりしてしまう)&br;私も初めて食べた時、あんな感じだったなぁ…こんなに美味しい物があったんだーって感動しちゃったりね&br;(冒険者の街で、どれほど多くの外国料理を食べたことか どれもこれもあのまま家にいれば味わえなかったであろう数々)&br;(家を出て後悔した数と良かったと思う数 どちらが多かったのかもう検討がつかない だがそれらを全て抜きにしても、確実に良かったと思える事がすぐ隣にいてくれる)&br;…懐かしいね よく買い物帰りにああいうの食べて帰ったよね 買い食いとか立ち食いとかうちなら怒られそうだけど、でもどれも凄く美味しかったなぁ……&br;(きっと一人では味わえなかったであろう ただ食べるだけなのに、この人と共に食べるというだけでどんな物でも素晴らしく美味しかった)&br;(あの街には確かに自由があった たとえ束の間の自由であったとしても、私の人生に無くてはならない大切な時間だった)&br;(好きなものを食べる自由 好きな人と共にいられる自由 誰の目も気にすることなく、思いを語り合えた自由が)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-01 (木) 01:06:20};
---&color(#800000){(その焦げる肉の臭いから焼き串の一種だということは分かるだろうが、東国ではまず見ない赤と黄色のソースに多少困惑しながらも、それを頬張る客たち)&br;(一瞬その酸味と辛みに驚きの表情を見せるもそれらが肉汁と絡み合うことによって生まれるジューシーな味わいに直に笑顔を見せている)&br;ワシは洋辛子が慣れんでのう。山葵に比べれば辛みはそれほどでもないんじゃが…。しかし慣れると無くてはならんものになるよの。&br;(それは、そのままあの街の生活にも言えることだったろう。初めて見る西の国、しかもその中でもとびっきりの魑魅魍魎が跋扈するあの街だ)&br;(始めて訪れた時は同じ人間の街かと思えるほどであったが、今ではあの空気がこの世界になくてはならないものだということが分かる)&br;かかっ、そうじゃな、ホウサ殿は美味い店を見つけるのが得意であったからな!その慧眼を封じておっては勿体無いわ!&br;(更には、彼女も。初めはただの学友として出会い、過ごしていたのが今では己の側に側に居ないことなど想像もつかない)&br;(そうこうしながら、二人の順番まで列が進み、屋台の店主に金を渡してソースをかけた熱々のフランクフルトを二本受け取り、一本を彼女に渡し)&br;…ま、ホウサ殿と食べておったから美味かったのかもしれんがの(などと言いつつ、なかなかにボリュームのある腸詰にがぶりとかぶりつく。ほら、やっぱり美味い)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-03 (土) 22:00:02};
---&color(orangered){あれはこちらの料理には合わないよねー 外国の料理で使ってこそ美味しさが引き立つと思うの&br;ほら、こっちの醤油だって外国の料理に全部合うわけじゃないもんね(このフランクフルトとて、醤油をかければそれなりに美味しいかもしれないが、やはりこのケチャップとマスタードの組み合わせがもっと引き立つことができる)&br;(様々な味を知り、様々な文化を知れば知るほど、人生の楽しみが増えるというもの あの街はその楽しみを見つける絶好の場所出会った 改めてあの街に行って良かったと思う)&br;だってせっかくあんなに色んな料理が食べられる所だったんだもん 一つでも多く美味しいの食べなきゃ勿体無いじゃない&br;(意図としていないのだろうが、自分が酷く食いしん坊のように言われてむーっと口を尖らせるも、出来立てのフランクフルトを渡された瞬間にその表情は一変する)&br;(はむりと加えてはふはふと熱さに耐えながら噛み締めたと同時に、じゅわりと溢れる肉汁と絡み合うソース達 その一瞬が最高に美味しく)&br;(わざわざ言葉で言わなくとも、きっと自分は乱蔵と同じく、美味しいという顔をしていることだろう それほどの旨さがあった)&br;二人で食べると最高だね(ニコニコとしながら都度頬張り、半分ほど食べた頃だった 乱雑に入り組んだ人ごみの流れが、一定になっているのに気づく)&br;(みんなどこ行くのだろう 夜も更けてきた頃のこと ようやくはたと気づく)そろそろ花火が始まるのかな?&br;(それなら早く良い場所を取って置かないといけない だが屋台の食べ物ももうちょっと味わいたい 持っていけるようなものは粗方買っておくべきか)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-03 (土) 22:34:42};
---&color(#800000){(二口、三口とばくりばくりとフランクフルトを口にする。本場の味にも負けぬなかなかの物だ。この国にもこんな物があるとは思わなかった)&br;(不満そうな顔を浮かべたり、笑顔になったりとくるくると変わる彼女の表情を微笑ましく眺めながらフランクフルトを食べていれば)&br;む?ああ確かにそろそろ頃合いじゃの。まだ少々時間はあるが…一度始まったら動きづらくなるし色々と買うておくかの。&br;(もう人が移動し始めているのだろう、だんだん屋台の方は空き初めてきた。花火のアテを確保するなら今のうちかもしれない)&br;焼きそばに、たこやき、たい焼きにとうもろこし…お、りんご飴もあるの(きょろきょろと辺りを見回してひとまずりんご飴の屋台に近寄って)&br;辛いもの、甘いもの、と来たし次また飴といこうかの?(銭を払ってりんご飴を受け取る。それを彼女に渡してまた別の屋台へと移動する)&br;(これだけ色々あると迷ってしまうものだが、ふと大きな鍋に気づき)お、甘酒か。折角じゃし花火で一杯とでもいくかの。}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-03 (土) 23:26:28};
---&color(orangered){(屋台から大きめの袋をもらい、買ったものを次々と入れていく 普通ならずしりとした重さだが軽々と持ちながら次はどれにしようかと辺りを眺め)&br;わ、可愛いリンゴ 周りを飴で固めてるんだ(小さい姫リンゴが艶やかな飴色で固められ、その目にも鮮やかな赤さが更に増した様だ)&br;(すぐに齧るのは勿体無い 周囲の飴をペロペロと舐めながら進んでいく、途中から別の甘さが鼻をくすぐった)&br;甘酒もあるんだ 夜は冷えるしいいかもね(夏祭りには早い季節 今は人ごみが多いから良いがすぐに冷えがくるかもしれない しかも浴衣なのでいつもより寒さを感じるだろう 彼の提案にすぐに賛成した)&br;(ゆっくりと書き混ざっていく白濁したお酒 そのドロドロとした食感が飲むというよりも食べる方が近いような気がする)&br;(さっそく二人分頼み、紙の湯のみに入れられたそれをそれぞれ受け取り、まずはその香りを味わった)&br;いつも思うけど不思議な香りするよね お米なんだっけ?(匂いがなけけばお粥と間違えてしまいそうだと、少し傾けゆっくりと回して匂いを更に放出させる) &br;(祭りには欠かせないお酒だと聞くが、米や酒は禊の道具とされている為その意見もあるのかもしれない)&br;(そしてゆっくりと舌につけて熱さを確かめつつ味わっていく どろりとした感触と共に舌に広がる甘さ つぶつぶがしっかりとしており更に仄かに感じるのは生姜だろうか)&br;(甘酒の効果に加えて生姜も入っている為、身体はすぐに温かくなっていく)…はぁー 美味しい(思わずため息が出るほどこの甘酒は美味しかった 寒さに冷えた身体に甘さと熱さが実に心地良い)&br;もう一本買って、花火見ながら飲もうか(保温用もあるかと店員に聞きながら、竹筒に入れられた甘酒も購入を、しっかりと袋の中に入れた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-03 (土) 23:49:24};
---&color(#800000){(飴をちろちろと舐めつつ、少々もどかしくなって一口がり、とかじる。りんごの風味が飴の甘さと相まって辛さに慣れた舌に心地よい)&br;あんず飴もいいが、こちらの方が食べごたえがあるでの。わたあめもそうじゃが、よくも砂糖をこのように使うものよなあ。&br;(光を受けてきらきらと輝くりんごを見て感心したように呟く。料理とは不思議なものだ。彼女も作ろうと思えば飴細工など作れるのだろうか?)&br;ちと酒精が少ないから酒としては少々もの足りんが、これはこれで美味いものよな。体も温まるしの(と受け取った甘酒の独特の甘い香りを楽しんで)&br;うむ、米と麹を使って作るもんじゃな、同じ米でも作り方次第でこうも変わる(そう言ってふう、ふう、と軽く冷ましつつ甘酒を飲む)&br;(飴とも違う優しげな甘みと、形が残っている米の食感を軽く噛んだりなどして味わう。どうやら生姜も入っているらしい。その風味が甘さを引き締めている)&br;今日はホウサ殿も薄着じゃしな、悪くないじゃろ?(飲みながら竹筒にとぽとぽと酌まれる甘酒を見て、呵呵と笑う)&br;(袋を分けて己も持ちながら、川べりに向かって二人、とことこと歩き始める。進むにつれ段々と人の密度が増え、混み始めてきた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-04 (日) 00:27:55};
---&color(orangered){(リンゴ飴の飴部分をカリカリとかじりながら、甘酒をコクリと一口 砂糖の甘味と米の甘み、それぞれ違う甘みがなんとも奇妙に合わさってこれはこれで面白い)&br;お砂糖もお米も作り方次第でこんなに色々なものができるんだね 思いついた人凄いよねー&br;(私たちは過去の恩恵にあやかっている 過去の人達の頑張りのお陰で今の文明の発達があるのだ)&br;(荒神の恐怖が無くなった今、この国もこれからどんどん発達していくのだろうか そうだったら良いなと心から思う その発展に貢献できたのなら嬉しい限りだ)&br;うん 凄く温まってきた やっぱりこういう時はこういう飲み物がいいね(そろそろと川と人の流れに添って歩く どこそこで聞こえる会話は自然と囁き声だった)&br;(夜の世界は自然と静かにしていたくなる こちらも小さく囁きながら、それでも声が聞こえるようにと出来るだけ身を寄せた)&br;(こんなに大勢いるのに、皆、それぞれの世界を堪能している 祭りの雰囲気を味わうものや、平和を謳歌しているもの 家族や恋人同士の時間を楽しむもの 密集しながらも独立している)&br;(それがまた居心地が良い 異なる大陸の自分でもすんなりと自然に溶け込める空気がここにある それはあの冒険者の街と少し似ているようでまた違う 心にゆとりのある穏やかな空気だった)&br;&br;…こういうの、いいね(無意識にそういう言葉が出た)私、こういう風にお祭りに参加したことってなかったの&br;祭りは見たことあるんだけど、こうやって人ごみの中に入って好きなもの食べるんじゃなくて、設けられた場所に集まって祭りの様子を見るって感じだったかな&br;(王家の血筋を引く名家であるならば、本来民衆とはほとんど顔を合わせることもない別の世界での生活が常であった 年に数回の祭りに顔をだすのは、お披露目として畏敬を抱かせる意味がある)&br;(自分は高貴な存在で無くてはならない 同じ人ではあるが同じ位置ではないのだ 頭ではそう理解していても、心は常に疑問であった)&br;(その疑問はこの空気に触れて改めて実感できる 私は高貴な存在でいたくなかった 皆と同じ場所にいたかったのだ)&br;(せめて祭りの時ぐらい、心の赴くままに、興味のあるものを見て、食べて、親しい人とそれを楽しみたかったのだ)&br;ここに居られて良かった…(言葉に出来なかった長年の望みがようやく叶い、その笑顔は一層穏やかになっていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-04 (日) 00:51:54};
---&color(#800000){(封印されていた荒神は実害こそこの国に及ぼしていた訳ではなかったが、当時の向江国の人口の実に三分の一を失わせた恐れは根深く伝承として人々の間に伝わっていた)&br;(如何に鞘がついているとはいえ、抜けば必ず己を傷付ける刃が常に懐にあったようなものだ。完全に無視できるものではあるまい)&br;(それが解消された今、人々の顔にも心の底からの笑顔が浮かんでいるように思う。それは元より穏やかな気風を持つこの国の空気をより和らげてくれたことだろう)&br;(身を寄せる彼女に自らも肩を寄せ、川べりを進んでいけば広く開けた川原が見えてくる。彼女と何事もない会話を交わし、時折笑顔を浮かべ、そこを目指していく)&br;…む?(ふと彼女がぽつり、と呟いた。それを聞き、続く言葉に静かに耳を傾ける)&br;ふーむ…静次の奴も驚いておったが、やはりホウサ殿は随分と良い所の出じゃったんじゃのう…遠くから眺めているだけでは余り楽しくもなかろうに。&br;(改めて、彼女が望むにしろ望まぬにしろ自らの国では別格の身分であるのだということを思い知る。こうやって優しげな笑顔を浮かべ、楽しそうに歩を歩む姿からは想像もできないが)&br;(…しかし、考えねばならない)&br;(何故ならば、彼女はそう遠くない内にその自分と向き合い、そして…己はそれらをひっくるめた彼女自身と向き合わねばならないのだから)&br;(和やかな空気に似合わぬ少々鋭い目をほんの僅か見せたものの、そうこうしている内に川原へとたどり着く。既に人は多いものの、芋洗いという程ではない)&br;…あの辺りが空いておるの。もう少しすれば花火もあがる、うちの花火はなかなかに派手じゃぞ?(言いながら土手の方へと歩いていく)&br;(花火を楽しむためか灯りが殆どない人混みの中、彼女と離れ得ぬよう、逃さぬよう、荷物を持たぬ方の手をしっかと繋いで)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-04 (日) 01:59:54};
---&color(orangered){(自分の発した何気ない言葉から、よもやそこまで彼が考えているなどとは思わず、ただただこの祭りの寛いだ空間に思いを馳せながら、視界は徐々に開けていった)&br;(遠くには夜よりも暗い森林の影が並列しているが、花火を遮るような高いものは見当たらない なるほど確かにここなら夜空の華を存分に拝めることが出来そうだ)&br;(乱蔵の言葉に従い、固く繋がれた手の逞しさを頼りに、ゆっくりと土手の方へ上がっていけば、そこは更に人の姿はまばらになっていた)&br;(夜とはいえそこまで湿気もなく厚い芝生が良いクッションになりそうだ 落ち着ける場所を決めて荷物を置き一休みする そこまで疲れた訳ではないが、自然と一つため息がもれた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-04 (日) 20:08:14};
--- [[http://notarejini.orz.hm/up2/s/qst081691.jpg>http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst081691.jpg]] --  &new{2012-11-04 (日) 20:08:36};
---   &color(orangered){楽しみだねー花火 色んなのがあるんだよね 早く見たいなぁ(リンゴ飴を大事に舐めつつ、先程もらった水風船を軽く上下させる パシャパシャと風船の中で揺れる水の音が冷たくも心地よい音色であった)&br;(下から響く人々の声は、子供のはしゃぎ声から若い女性の賑やかな声に中年男性の笑い声 きっと乱蔵が小さい頃もああいう風にはしゃいでいたのだろうと微かに笑った)&br;(あの女の子達は友達なのだろうか姉妹なのだろうか この距離では顔の判別はつかないが何とも仲良さげに歓声を上げている その姿を見て、ふと雪音を思い出した)&br;雪音や静次君は今どこにいるんだろう 一緒に見られれば良かったね&br;(二人静かに楽しむのもよいが、ああいう風に大勢で盛り上がりながら見るのも楽しいだろう 雪音や静次の姿の次には、養成校で知り会った友達のことも思い出していた)&br;(毎年のように賑やかな行事がありそれこそお祭りのようにみんな楽しんでいた そんなに時間は経っていないはずなのに、随分と昔のような気がする)&br;&br;(右に左に聞こえるその喧騒も、やがてゆっくりと小さくなっていく)&br;(だが静まる風景とは裏腹に、人々の心は今か今かと期待に胸が膨らんでいることだろう その気持ちは自分にもありありと判った)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-04 (日) 20:08:54};
---&color(#800000){(暗がりの中で、彼女がうきうきとした様子で今か今かとその時を待っているのが分かる。先程からがりがりとかじって食べきってしまったりんご飴の串を咥えつつそれを見つめ)&br;今回は特別に前倒しじゃが、年に一度の花火師達の見せ場じゃからの、これを見にわざわざ他の国から来るものも居るほどじゃよ(自らも紺の水風船を手慰みにぶらぶらと揺らしながら誇らしそうに言う)&br;(そうして人々の様子を伺い、呟く彼女)ああ、静次は警備の方に回っておるよ、例年にない祭りになるじゃろうし万が一もあってはいけないとな(まったく働き者だ、と肩をすくめ)&br;雪音のやつも強引についていっておったから今頃一緒にこの辺りのどこかにおるんじゃないかのう(そうして、どこか懐かしげな様子を見せる彼女に、学校のことを思い出しているのだろうかと思う)&br;(あの学校は毎日がお祭り騒ぎだった、誰も彼もが光り輝き、今日を、明日を生き抜いていた。その生き様は今でも目をつぶればありありと思い出せる。その日々も、己の糧となり肉となっているのだろう)&br;&br;む…そろそろ始まるぞ(辺りの喧騒が徐々に静まっていく、皆星々が輝く真っ黒な空を見上げ、その時を心浮き立たせ待ち受けている)&br;(そこに居る人数にしては少々考えにくい程に辺りが静まったころ…ぽん、と小さな爆発音が響く)&br;(続けてひゅるひゅると音を立てて輝く点が空へ立ち登っていく。まるで星の仲間入りをするかのように、その光は、高く、高く)&br;(それを追い、視線を高く上げた、その瞬間)&br;(ぱあ、と一瞬で夜空に広がる華。尾を引き光り輝く、紫と緑の大輪の華。儚く消え行き、だが何よりも輝く美しい華)&br;(それが夜空に広がり切ったかと思った瞬間、どん、と身を震わせる衝撃が辺りを包む。一瞬遅れてきた花火の破裂音だ。その振動を心地よく楽しんで)&br;(先の花火、割物菊の光引きが消え去り、その余韻が残るうち、ぽん、ぽぽんと次々と光が川向うから連続で撃ちだされていくのが分かる)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-04 (日) 23:14:03};
---&color(orangered){御神木もだけど花火も有名なんて凄いねー ますます楽しみになって来ちゃった&br;(早く始まらないかなとウキウキしつつも、静次達の行方を聞いて驚き目を見開いて)&br;えー こんな時までお仕事してるの? せっかくのお祭りなんだからゆっくりしていればいいのに&br;(だがこの祭りを楽しめるのも、裏でそうした人達の尽力によるものだろう それは判るのだがやはり働きずくめというのもどうかと思う 雪音とてこうしてゆっくりと花火を見ていたかったろうに)&br;見かけたら休憩させようか 丁度食べ物もあるしね(などと言っている内に、静寂は徐々に深まっていき、無意識に姿勢を正していた)&br;(乱蔵の言葉に期待と興奮で待ち構えていれば、小さな音と共に輝く光が尾を引いて天に上がっていく 高く高く上がった先で、その光は瞬時に見事な華を夜空へ咲かせた)&br;…わぁっ!(思わず歓声が上がる それほどの見事な花火であった 視界いっぱいに紫と緑の鮮やかな輝きが、綺麗な華模様で広がっていく)&br;(それが消え去るかいなかという時に続けて打ち出される連弾は、見るもの全てを圧倒していく)&br;(あちこちから歓声と拍手が沸き起こる 対する自分は最初の一言以降、それすらも余裕が無いほどにその花火に目を奪わていた)&br;(その間にも、光の洪水は次々に形を変えて人々の目を楽しませていった 蝶々や傘、猫といった型物や、割物牡丹の丸い花火を囲むように更に巨大な円が打ち上げられる)&br;(続けてはいくつもの色違いの八重芯菊が間断なく打ち上げられ、息もつかせぬ迫力が夜空で余すこと無く繰り広げられていた)&br;(この世にこんな見事な光景があったとは 故郷の花火とてここまで見事だろうか さすがは乱蔵が自慢するだけのことはある 目の前の絶景が何よりの証拠であった)&br;(見ている内に、何やら目頭が熱くなるのを感じ始める 人は感動すると涙が出るという これも感動によるものなのだろうか 少し袖で目を抑えてもう一度花火を見つめた)&br;(見つめる内に、それだけではないことを実感した)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-04 (日) 23:43:34};
---&color(#800000){(次々と夜空で炸裂する輝く花々。その輝きは夜空を埋め尽くし、人々を圧倒し、そして見るものの心を震わせる)&br;(目にも華美な七色の輝きを空に作り出し辺りを美しい輝きに染める虹色牡丹)&br;(地上からいくつも並べられ、間欠泉のように黄色の光を吹き出し地平線を滝のように流れる仕掛け滝)&br;(ぽんと打ち上げられた後、一拍の間を置いて小さな数々の小花がぱらぱらと幾つも撒き散らされ、まるでそこに花束が在るかのように思わせる千本菊)&br;(あらゆる種類の花火が打ち上げられ、暗闇に包まれた夜を照らし出す。それは一つとして同じ物はなく、一つとして無駄のない美しい華)&br;(それはまるで人の世のよう。誰もが懸命に今を生きて、己を燃やし尽くし光り輝く)&br;(肌を震わせる連弾の振動。耳を揺さぶる一尺玉の大音響。ふと、横を見れば彼女が呆けたように空を見つめているのに気づく)&br;(色とりどりの光に照らされる彼女、その簪は花火の光を受けてきらきらと、くるくると色を変え煌めいて)&br;(同じように、彼女の目元が煌めいているのを目に留めれば…そっとその紫の浴衣に包まれた細い肩を抱き、静かに寄せる)&br;(今この時を、彼女と共に居られることを感謝する。焼き付けるようにその姿、夜空の輝きを、しかと見つめてただただ、魅入って)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-11-05 (月) 00:08:54};
---&color(orangered){(次々と目の前で現れては消える芸術の光華 余韻に浸る絶妙の間もまた、職人の技の真髄なのだろうか)&br;(どれほどの時間が経ったのかも判別できないほど、意識は空へ釘付けになり、一時の夢の世界が心を震わせていく)&br;(本当に夢なのかもしれない 夢と言われても納得してしまうほど、空の輝きは幻想的で優美で自分というものも忘れ去ってしまうほどであった)&br;(自分の身体すらも認識できないほど意識が飛んでいこうとしていたその時、ゆっくりと肩に回される温かい感触に意識はすぐに引き戻された)&br;(彼の胸の中へ、沈み込むように身を寄せる 彼の温もりや匂い心の臓の鼓動を感じながら、見上げる先は天上の華 なんて贅沢な一時なのだろう)&br;…らんぞー君 ありがとう(花火の音にかき消されるかもしれないが、邪魔にならない声音でそう囁いた)&br;一生の思い出が、また一つ出来たよ(目頭が更に熱くなるのが判る この涙は感動と喜びと悲しみの涙だ)&br;(この話しを家族に、兄にしたらきっとこう言うだろう 何故帰ってきたのだと)&br;(―そんな素晴らしい場所にいられたのに 何故―)&br;&br;(帰ったら最後、ここへはもう二度と戻って来られないかもしれない この花火も、一生に一度だけの思い出になるかもしれない)&br;(そうならない為にも、私はなんとしてでもやり遂げなければならない 例えどれほどの苦難が待ち構えていようとも、絶対に乗り越えて帰ってきてみせる)&br;(そして今度こそは、悲しみも何もない気持ちで、この花火を拝むのだ)&br;(こうやってまた二人で、一緒に)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-11-05 (月) 00:41:12};
-&color(orangered){(意識下では目が覚めているのだが、目を開ける行為にかなり時間がかかってしまった)&br;(貼り付けられたような瞼を開けた先は、長年の歳月が積み重なってようやく作られる年季のこもった飴色の天井 この国に着てようやく見慣れてきた乱蔵の屋敷の天井出会った)&br;(周囲はかなり明るく暖かいので朝という訳ではなさそうだ 昼間で寝過ごしてしまったのかと恥じ入って起きようとするのだが、身体は全身が鉛になったかのように重く力が入らない)&br;(更には節々の痛みに動くのも苦労するほどの状態に、そこでようやく異常だと気がついた)&br;―ああそうだ 私は―&br;(戦ってきたのだと、実感した これが戦地に赴き無事凱旋できた感覚なのか 何やら夢心地のようでイマイチ把握出来ない 本当に夢なのではないのかとも思う)&br;(だがこの身体の異常さが、かなりの負担をかけたという何よりの証拠であり、そこまでの負担のかかることをしたという証言でもあった)&br;&br;―らんぞー君は―&br;&br;(私は今、一人でこの座敷に寝ている この国に来た時から用意され以来ずっと使わせてもらっている客間の一室だ)&br;(彼もまた自室で寝ているのだろうか 彼の様子はどうなのだろうか もしかして私以上に重症なのかもしれない)&br;(幸いにも足の骨は無事らしく、ずるずると這うように入り口のふすまに手をかけ、死人のような顔色で立ち上がりながらそっと部屋を後にした)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-14 (日) 22:45:23};
--&color(#800000){(夢を、夢を見ていた)&br;(それは強大な何かに立ち向かう夢。時にそれはそびえ立つ壁であり、時にそれは天を突く巌しい山であり、時にそれは恐ろしい物の怪であり)&br;(己の姿も時に幼く、時には年を経て。手には馴染み深い大木刀を持つこともあれば、何の変哲もない木の棒を持つことも)&br;(挑むそれは一時のことだけではなく、夢の中独特の時間間隔がとてもとても長い間、ずっとそれをしていたのだと言っている)&br;(果てなく続く闘争。繰り返される攻防。いつでも前のめりに何かと戦っていた)&br;(そうした時、ふと、隣に自分以外の誰かが居ることに気付く。柄を握り続けていた手は、いつの間にか離れ、その誰かへ伸び──)&br;&br;…つっ…(左肩から走る激痛に目が覚めた。どうやら寝返りを打ってぶつけてしまったらしい)&br;(貫通された傷そのものは御神木の加護あって大事には至っていないが、完治には程遠い状態だ。左手も満足には動かず、骨折した時のように半分固定されている)&br;……ふぅ(左肩以外にも体の各所に巻かれた包帯が、傷の深さを物語っている。骨も何箇所か折れてしまっており身を動かすたびに鈍い痛みを呼ぶ)&br;(極めつけは全身を覆うかつて感じたことのない重い倦怠感。あの時、行った呼吸を思い出す。そしてその時湧き上がった力も)&br;&br;む、誰じゃ?(自室の外に人が来た気配がする。首だけでそちらを向き呼び止める)&br;…ホウサ殿か?(しかし、その者から感じる重たげだがよく知る気配に続けて声をかけた) -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-14 (日) 23:49:06};
---&color(orangered){(寝間着の下に巻かれた包帯すらも重く感じるほどに、心身ともに疲労していたがそれでも構わず歩き続ける)&br;(彼もきっと無事ではすまないだろう それでも生きている姿だけでも拝みたい 傍に寄って手を握り、触れられる所すべてに触れて確かめあいたい)&br;(客間から乱蔵の部屋まではそれほど距離はなく、偶然なのか家人の姿も今は見かけない いる気配は感じるがたまたまこの付近には来ていないだけの様だ)&br;(いま自分の姿を見咎められたらきっと部屋に連れ戻されてしまうだろう それほど自分の状態も決して軽いものではないことぐらい嫌というほど判る)&br;(だが彼の姿をみないことには、安心して休むことも出来ない ああもうすぐ もうすぐ着く この角を曲がった突き当り)&br;&br;(ようやくたどり着き、中の様子を伺おうと気配を探れば、いつもと比べて弱々しいながらも間違いなく彼の気配だと判る)&br;(静かな気配だから眠っているのだろうか 一言だけ声をかけて様子をみようと思っていた矢先、自分のことを察する彼の声が襖越しに聞こえてくる)&br;らんぞー君……(それだけでも涙がでるほど嬉しく、それを抑える為に少々声がくぐもってしまった)&br;(開けるよと一声かけ、そろそろと襖を開け中を覗き込む 自分と同じく、いやそれ以上に痛々しく包帯まみれで横たわる姿に、思わず息が止まった)&br;らんぞー君(もう一度彼の名を呼ぶ 見かけはかなり痛々しい姿だが、声の調子からすれば思っていたよりもずっと元気そうだ 私なんかよりもよほど負担がかかっただろうに)&br;具合、どう?(まだ顔色の悪いままに枕元へ近づき顔を覗きこむ 緩く結わえられた茶色の髪がさらりと数本彼の肩に垂れかかった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-15 (月) 00:41:28};
---&color(#800000){(襖から押し殺したような声が僅かに響いてくる。その誰かが何事を言ったかまでは分からなかったが…間違えるはずもあろうか。その響きを、その声を)&br;おう。…なんじゃ、ホウサ殿も酷い顔色じゃな(寝転がったままからかうような笑みを浮かべて言う。だが、生きている。彼女も、自分も)&br;(感謝を捧げねばなるまい、力を貸してくれた御神木に、そして何より命を賭して己に寄り添い、支えてくれた彼女に)&br;(正直、身体は殆ど自由に動かない。見えない粘土の中に固められているかのようだ。傷の痛みも全身をじくじくと周り巡り収まる気配すらない)&br;かっ!絶好調じゃな!(にかりと笑い言う。それでも、男ならば笑ってみせよう。彼女への感謝に比べれば痩せ我慢の一つや二つ、安いものだ)&br;(そして左肩に彼女の髪が垂れかかる。痛み走る肩の半ば麻痺した触覚にその感触は心地よく、僅か痛みが紛れた気がした)&br;(そこだけはどうにか動く右腕を持ち上げ、彼女の髪を撫ぜつつ、ちらりと視線を部屋の奥に向ければ大木刀が床の間に収められており)&br;…勝ったのう(まだ色黒いその大木刀と、こちらを見下ろす疲労の色濃い彼女の顔を見つめ返しながら、ぼつりと言った)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-20 (土) 21:59:45};
---&color(orangered){(荒神によって押しつぶされそうになった胸の痛みは、目覚めてからどんどん酷くなっていき、熱を込められたようにどくりどくりと脈打っている)&br;(鉛のように重い身体へ痛みは構わず駆け巡り、蝕まれていくが今はそんなことすらも構わないほどの、最高の笑顔がここにある)&br;(思わずこちらも微笑む いつものような笑顔は無理だったが、出るだけ自然に、この喜びを表すように)&br;(結わえる余裕もなかった髪が無造作に垂れて、包帯の巻かれた彼の肩を覆う その先を見つめ胸が別の意味で傷み、あの時の光景がフラッシュバックする)&br;(刺し貫かれる肩 苦痛に歪む彼の顔 どんなに懸命に拳を震わせても、解放されることはない永遠の地獄のような)&br;(徐々に青ざめていくのを感じていると、不意に温もりが感じられた 気がつくと彼の右手に髪を撫でられているのにようやく気付く)&br;(髪を撫でられただけでその体温が伝わる訳ではないが、彼の掌から伝わる生の温もりははっきりと感じ取れ、青ざめた心も溶かされていく)&br;(彼が生きているからこんなに温かいのだ 私が生きているから温かいと感じられるのだ 全ては、生き残れたからこそ)&br;…うん 頑張ったね らんぞー君(彼が死闘を繰り広げ、深手を追う姿はこれが初めてではない それでも何度でも嬉しいものだ)&br;(髪に触れる手に、そっと自身の手を重ね、頬を寄せてすり…っと一つすり寄せた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-20 (土) 22:28:28};
---&color(#800000){(少し弱々しいが、それでも彼女が浮かべる笑顔を見つめていれば、ようやく自分たちは勝ったのだという実感が湧いてくる)&br;ホウサ殿もの。御神木も頑張ってくれたし…ああ静次の奴もようやってくれた(一人だけではない、皆の力があってこその勝利だった)&br;(手に感じる彼女の体温に、それを痛いほどに感じる。彼女が居たから、彼女と出会えたから、彼女と共に戦えた)&br;…ありがとうの(愛しさが溢れ、胸を込み上げる。彼女の髪に指を差し込みながら首の後ろに手を添え、ゆっくりと寄せて二人の視線が交錯したまま近寄り…)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-20 (土) 23:21:00};
---&color(#E9967A){(あの時、結界の外まで引き、事態を見守っていた己を少々苦々しく思う。戦闘は専門ではないものの、最後まで側で見届けていたかった)&br;(兄の側に居るのは、もうこの6年で自分では無くなったのかもしれない。そう、今、兄の側に居るべきなのは…異国より来たあの娘なのだろう)&br;(6年、人が変わるには充分過ぎる歳月だ。その歳月で少年は大人になり、胸に抱き続けた夢に挑み…叶えてしまった)&br;(誇らしい、と思う。そして己はどう有るべきなのだろう、と思う。ならば己は己にできることを。そう考えながら廊下を盆を持ち乱蔵の自室へとやってくる)&br;乱蔵、起きているか?薬湯が出来たぞ(盆の上にあるのは病と戦いながら得た医療技術の粋を凝らして作った秘伝の薬だ。これで深く傷ついた身体を早く癒せるといいのだが)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-10-20 (土) 23:21:17};
---&color(orangered){皆頑張ったおかげだね(嬉しそうにコロコロと笑いながら、自分も役に立ったのだと改めて実感する)&br;(今まで生きた中で一番の死闘であった 色々とショックは大きかったが良い経験も積めた 何よりこの力が大好きな人の役に立てたのが一番うれしい)&br;(髪に触れていた手が滑るように後ろに回され項に触れる 少しぞくりと感じ、目が伏目がちになる)&br;(そのまま彼の力に身を任せ、絡み合う視線で息が触れ合うほどに近づき目を閉じて…)&br;(お互いの唇が触れ合う音が、静かな部屋にこだましたと同時に聞こえる声 その声の主に先程の音が聞こえたのではないかと慌てて身体を引き離し)&br;あっ…痛っ いたたたたたっ……(あまりにも激しく動いたせいか、胸に痛みがここぞとばかりにぶり返し思わず胸を抑えてうずくまった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-20 (土) 23:45:29};
---&color(#800080){(あの戦いからまだ僅かな時間しか空いていないが、それでもここ数日間の秋津家は中途半端な空気が流れていた)&br;(あの荒神が倒されたことは大変めでたいが、その一番の功労者二人が今現在療養中なのだ 本当ならば皆して拍手喝采大賛辞を送りたいのはやまやまだが、寝込んでいるのでそれもおあずけ状態である)&br;まあ大丈夫よ 頑丈だもの(乱蔵の頑丈さは幼馴染として充分熟知しているし、彼とまともに付き合える鳳釵なら似たような頑丈さだろう)&br;(証拠に寝込んでいるが活力は徐々に戻ってきているのだ きっともうすぐに元気になるはず)&br;(それとは別にして、静次の様子が気になっていた 共に荒神退治に向かったのだが彼としては納得できる働きも出来ず、きっとまた自暴自棄になっていることだろう)&br;(自分としては生きていたのだから嬉しい ただそれだけだ 誰がどれだけ活躍したとかそんなことよりも、みんな生きて帰ってきてくれたことが一番嬉しい)&br;(今日も今日とて見舞いがてら静次の様子も見に来ると、彼の後を追っていった 胸元につけた小物入れに添えられた鈴が、チリンと一つ涼し気な音を奏でる)&br;(乱蔵の部屋に向かったというが、なんだかんだと行って兄離れ出来ないのよねと苦笑しながら、自分は鳳釵の為にと用意した軟膏を持って足を進めていった)&br;(乱蔵の見舞いが終わった後、彼女の元へ寄ってこれを贈ろう この薬なら顔の傷も綺麗に消えるだろうし、同じ女として顔に傷など我慢出来なかった)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-10-20 (土) 23:45:53};
---&color(#800000){(触れ合う唇、その温もりが、柔らかさが何よりの勝利の報酬に思えてくる。そしてこれでこの国に澱のように残っていた懸念も消えた)&br;(一つの夢は叶った、そして今度は一つの現実を追おう。患いが解消された今、後顧の憂い無くこの国を変えることが出来る。そしてその後は……)&br;…む!大丈夫かホウサ殿!…つっ…ぬぅ…(胸を抑えて痛みを訴える彼女に慌てて身を起こそうとしたものの、まさしく骨の髄から響く痛みにままならない)&br;(誰か人を呼ぶべきか、大事になる前に対処せねばならない、そう思っていた矢先、がらりと襖が開かれ、見知った顔が現れて)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 00:33:13};
---&color(#E9967A){(声をかければ返って来たのは襖の向こうから聞こえてきたのは予想もしない女性の声、しかも痛々しげな呻きを上げている)&br;その声は…鳳釵殿か?(何故ここに、という疑問をあげる間もあればこそ、襖を開け放ち胸を抑える鳳釵に駆け寄って)&br;鳳釵殿、まずは落ち着いて…ゆっくり…呼吸を細く、長くするんだ。急に動かない方がいい、静かにそのまま座って…。&br;(努めて冷静な声を出すことを心がけながら、鳳釵の横に自らも座り、その様子を慎重に慎重に伺う)&br;(乱蔵ほどではないものの鳳釵も充分過ぎるぐらいに重体の身、恩国の人間に何かあってはならない)&br;…落ち着いたか?飲めるようならこの薬湯を飲むといい。この後そちらにも行こうと思っていたんだがな…やれやれ。&br;(軽くため息をついて、とぽとぽと湯を用意した椀に入れる、その間に人の気配に気付き、振り向けばそこには雪音が居て)&br;む、雪音も来ていたか。手が開いているなら鳳釵殿の介抱を頼む。乱蔵もまずは落ち着いて寝ておけ、無理をすれば死んでもおかしくないぞ。}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 00:33:37};
---&color(orangered){(痛みに声も出すこと叶わず、必死に静次の指導に添って何とか呼吸が落ち着いてくる 礼を言ってようやく姿勢を整え差し出された薬湯をこくりと一口飲んだ)&br;ふー…あ、ありがと 何とか良くなった(世話をかけてしまい面目無さそうに頭を下げると丁度その時雪音の来訪に気付く)&br;あ…雪音も来てくれたんだ ありがとー(先程の苦痛もどこへやら 呑気な顔でニコニコとお礼を言った)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-21 (日) 00:56:40};
---  &color(#800080){(乱蔵の部屋の近くで、何やら声が上がるのを聞き取り急いでその場に駆けつける すると胸を撫で下ろしてため息をつく鳳釵の姿とその横で介抱する静次の姿が見え)&br;え、なんで鳳釵がいるの かなり重症だったんじゃなかったの?(言われた通り静次に代わって鳳釵の背中をなでながら、ああ、心配で見に来たのかと瞬時に察する)&br;全く 目が覚めたと思えばさっそく無茶しちゃって あんたら二人はとりあえず怪我治すのに専念しなさいよね&br;(呑気そうな顔をしているが、まだまだ療養は必要なくらい顔色は冴えない 気持ちは判るがこんな状態では休むに休めないだろう)&br;(一目見たのならとりあえずは安心できたろうと部屋に戻るよう促すが、乱蔵が心配なのが少し渋るように彼の様子をじっと見つめる鳳釵の姿)&br;もう 今の自分の顔見てみなさい!(懐から取り出した手鏡を、鳳釵の顔の前にばっと突き出して叱責する こんな子供な所も似たもの同士なのかと先が思いやられた)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 00:57:00};
---&color(#E9967A){その薬は痛み止めの効能もあるが…どちらにしろ無理は禁物だ。普通の人間なら起き上がることさえ困難なはずなんだからな…。&br;(下手に鍛え上げられているのも考え物だ、とどうにか安定した鳳釵を見て思う。それほどまでに乱蔵のことが気になったのだろう)&br;…お前も飲めるなら飲んでおけ、飲む前に死んでしまったら責任は取れんが、飲んだ後に死ぬのであれば責任は取ってやる。&br;(などと呆れた声で言いながら寝たままでも飲みやすいように用意した吸飲みに薬湯を汲み、乱蔵に渡してやる)&br;(そうしていれば雪音が鳳釵に鏡を渡すのを横目で見やる。まったくだと内心思いながらも、だからこそなのかもしれないな、と考えて)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 01:29:44};
---&color(#800000){むう…すまんの。ありがたく頂く(右手で吸飲みを受け取って薬湯をごくりと飲む。少々口に苦いが失われた水分を得て身体がすっと楽になり)&br;(しかし静次はいつの間に自分で薬を作るようになったのだろう、己が見ていない所で弟も時を過ごし、得るものを得ていたのだと感慨深く思い)&br;ああ、雪音も余り攻めてやらんでくれ、ホウサ殿も悪気があってしたことではなし(そうやって怒る雪音、呆れる静次を見て、ふと考え)&br;…すまんが、静次、ちと手を貸してくれんか。一人ではまともにも起き上がれんでな(苦笑しながら静次に向かってそう言った)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 01:31:40};
---&color(orangered){(痛みに耐えていたせいか少しぼんやりする視界の中、雪音より差し出された手鏡をそろりと覗き込み…愕然とした)&br;(自分のあまりにもやつれた顔も衝撃的だったが、こんなひどい顔を愛しい人に見せてしまったのもまた失態であった)&br;ご…ごめん、なさい お部屋帰る……(まだ彼の温もりが恋しかったが、早く元の顔色に戻ってから改めて彼の元へ向かおうと腰をあげようとした時)&br;…?(弟の助けを借りて立ち上がろうとする乱蔵の姿に心配の眼差しを送る あの怪我もかなりのものだ 立ち上がっても大丈夫なのだろうか)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-21 (日) 20:38:12};
---  &color(#800080){(そうだろうそうだろうと頷きながら、鳳釵の手を取って移動しようとする 好きな人に見せるにはいささか血色も悪くお肌もボロボロだ)&br;(心配なのは判るがこれでさすがに大人しく引き下がるだろうと確信していた)&br;悪気がない分尚更たち悪いのよ 下手すりゃ私が悪者じゃないの&br;…って ちょっと大丈夫なの乱蔵 そっちも下手なことして、これ以上鳳釵に心配かけたらますます離れられなくなるじゃない&br;(これだから武人はと心のなかで文句を言いながらも、何をするのかと心配そうな鳳釵と二人見守り続けた)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 20:38:41};
---&color(#E9967A){(訝しげな顔をしながらも、容態自体は安定しているようではあるし、それに言い出したら聞かないのは嫌になるほど良く知っていると思いつつ、乱蔵に手を貸して)&br;しばらくは痛みも紛れるだろうが…無茶はするなよ。少しだけだぞ(傷に障らぬよう丁寧に肩を貸して立ち上がらせる。そうしてゆっくりと歩み出す兄に負担をかけぬよう気を使い)&br;(部屋の襖を開け放てば、すっかり登った陽射しが差し込み、辺りを照らし出す。それは命の輝き、あの時結界の外までも届いた、暖かで生あるものを育む光と同じ物)&br;お前にはあの時起こったこともきちんと教えてもらんといけないしな…(それはきっと語り継がれる。この国がある限り、脈々と続く英雄譚になるだろう。それだけのことを二人はしたのだ)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 21:43:37};
---&color(#800000){(ずきりと痛みを感じながらも、弟の肩を借りて立ち上がる。静次に肩を借りるなど何時ぶりだろうか、9歳の頃に崖から落ちた時か、12歳の時に物の怪に不覚を取った時か)&br;(大きくなった。弟ももう子供ではないのだ。そう懐かしみながら太陽の陽射しを身に浴びて廊下に出、その縁で立ち止まり、庭を見渡す)&br;(この庭で、一人、何万と大木刀を振るったであろう。それもこれも、今という日を迎えるためだったのかもしれない)&br;(明日を夢見て、今日を渇望し、昨日を振り切って進む。走り続けてきた、いつだってがむしゃらに)&br;…二人にな、ちと話したいことがある。聞いてくれるか(静かにそう言って、静次の肩から離れ、気を込めて足を踏みしめ振り返る)&br;(その視線は静次を見て、雪音を見て、そして最後に彼女の視線と合わさる。そこに込められた想いは万感を持って)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 21:44:00};
---&color(#800080){(明らかに無茶な状態であるが、こうと決めたら意地でも通すのは今に始まったことではない 自分はただ、黙って見守るのみ)&br;大丈夫よ鳳釵 本当に無理なら乱蔵だって最初から頼まないわ 昔からいつもああで…&br;(つい昔話をしようと口をついたが、この三人の中でその記憶がない鳳釵には逆に酷だろうか それに乱蔵の様子ならこれ以上は軽口を叩くこともない)&br;(鳳釵の手を取り、自分たちも彼ら二人の後を静かに追う 二人の兄弟が寄り添うように歩むその背中は、女の自分にはとても入り込めない絶対の絆が目に見え、少し心苦しくなった)&br;(そんな彼女の感傷を知ってか知らずか、乱蔵の言葉にぴくりと反応する)…何よ、改まって(そう言って思わず静次の方に視線を向ける 彼は自分よりもこの事態を想定していたのだろうか)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 22:09:00};
---  &color(orangered){(開け放たれた隙間から差し込む光が、目覚めたての目には少し強い 思わず目を細めるもその陽光はあの時みた光と似ている 御神木の守るこの世界に誕生した希望の光だ)&br;(雪音に付き添われて自分も彼らの後を追う 年期の入った飴色の廊下を歩き、縁側に立って見つめるその視線の先には、綺麗に整えられた東国の中庭があった)&br;(季節柄、庭に植えられた木々や草には色とりどりの花が咲き乱れ、一つ風吹けば雪のように舞う花びらの幻想的な光景に思わず見とれてしまう)&br;(この庭できっと彼は修行したのだろうなと思った この風景に見守られながら、幼い彼を想像する 今よりも低い背に幼い顔立ちだが、目の輝きは今と何一つ変わらず常にまっすぐに前を向いている)&br;(全てはこの瞬間を望み、叶えるためにと)&br;(まるで今そこに見えているかのように、じっと庭を見守っていれば、乱蔵の言葉に自然と視線が向いた)&br;(ああ、と吐息が漏れる ようやくこの時が来た また一歩踏み出せるこの時が)&br;(彼の眩しい視線に向かってゆっくりと頷き、同じくらいの想いを込めて微笑んだ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-21 (日) 22:09:19};
---&color(#800000){…ワシはの、ホウサ殿と夫婦になろうと思う(意思の篭ったその言葉は、力強く響く。差し込む陽射しにも負けぬ晴れやかな笑顔と共に紡ぎ出されて)&br;(走り続けてきた。その先にあった苦難は想像以上のものであったが、自分はそれを乗り越えられた。しかしそれは…自分だけの力ではない)&br;(いつのまにか隣に居てくれた彼女がいたから。一人では、なかったから。それを自分は…知った)&br;(一人ではなく、二人で。時に倒れても、時に立ち止まっても、二人ならきっとずっと歩み続けられる)&br;(ずっと、この国に帰る前から考えていたことではあったが、決死の戦いを経てその思いはより強く。より愛おしく。より暖かく)&br;(そうして痛みを堪えて、重い重い身体を引きずるようにゆっくりと彼女へと近づいていく。その一歩が何よりも遠く、何よりも近く感じる)&br;ホウサ殿…受けてくれるか?(彼女の前に立ち、右手を伸ばす。長年の戦いの傷痕があちこちに残り、今もまた生々しい傷走るその手の平が大きく開かれ、差し伸べられた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 22:49:12};
---&color(#E9967A){な…!(乱蔵が続けた言葉に目を見開き驚きを示す。二人の絆は硬く深いとは思っていたがまさかそこまでの仲だったとは)&br;夫婦だと…?いや、言われてみれば…むう…そういうことだったのか…(流石にただの同窓の友人ではないことは察していたものの驚きを隠せない)&br;………(めでたいことだ、荒神が退治されたのはもちろんだが、あの朴念仁の兄に良人が出来たというのも素晴らしいことだ。だが…しかし…)&br;(ちらりと雪音に視線をやる。それはつまり、婚姻を結ぶ相手が一人になったということ。驚き、迷い、恐れ、喜び、様々な感情が胸に生まれる)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-10-21 (日) 22:50:18};
---&color(orangered){(いつから夢見ていただろうか 自然とこの人とどこまでも共に生きるのだと思い始め、願い、祈ってきていた)&br;(昔、はっきりと告白をされる前の頃、それでもこの人は特別な存在だと認識し、それが恋なのだと、愛情なのだとはっきりと判り、彼も同じように想っていると感じて嬉しかった)&br;(この人以上に、傍にいるだけで暖かく穏やかな気持ちになれる人はいない 人を愛するということは、なんと素晴らしいことなのだろうかと それを教えてくれた彼に常に感謝していた)&br;(気持ちはもう判りきっていたが、いざはっきりと好きだと言われた時は、あまりの嬉しさに泣いてしまったのは、自分でも驚いたものだった)&br;(その感動が、いやあの時以上の感激が、身体の痛みを全て取り除き、湧き水のように活力がみなぎってくる)&br;(いつのまにか、雪音の手が離れたことも気づかず、差し出された手にそっと自身の手を触れた)&br;(無骨でゴツゴツとした硬い皮膚に、無数にある傷跡 その一つ一つの細部まで愛おしく包み込み)……はい 喜んで(先程よりももっと最高の笑顔で、彼の胸の中へゆっくりと添っていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-21 (日) 23:14:24};
---  &color(#800080){(乱蔵の言葉に再び視線は慌ただしく彼の方へと向き直された そのあまりの率直な告白に驚きつつも、乱蔵らしいと言えばらしいと返って納得する)&br;恋仲宣言かと思ったら、夫婦とか飛び越え過ぎでしょ まずは恋人だっての教えなさいよ(苦笑しつつも、この二人なら中々お似合いだと見つめなおした)&br;(乱蔵は昔から異性に対して興味を抱かない 掲げる目標が高すぎて他のことに気が回せないというのもあるが、根本的に色恋沙汰は無縁であった)&br;(なので彼がどんな女性が好みなのかもイマイチはっきりとはしなかったが、なるほど、似たもの同士でくっついたという訳か)&br;(まあ恋愛沙汰に疎いのは乱蔵だけじゃないけれど…とちらりと静次の方を見つめて少し驚く 彼もこちらを見ていたからだ)&br;私はとっくの昔に気づいていたわよ っていうかこの家の使用人だって気づいている人ちらほらいたのよ 本当に静次はこういうの鈍いんだから&br;(彼の視線の意味を読み取れず、おかしそうに笑う 何はともあれ目出度い この二人なら素直に祝福できる)&br;(身を寄せる鳳釵の幸せそうな顔に少し羨望を芽生えさせながら)無事討伐も果たせたら祝賀会もあるだろうし、ますます目出度いわね}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-21 (日) 23:16:19};
---&color(#E9967A){(お互いに見つめ合い、手を取り、身を寄せる二人を見てまるで別人のようだと思う。なんと嬉しそうで、なんと幸せそうなのか)&br;(特に馴染み深い兄の姿は見違えるよう。あのような慈愛に満ち溢れた表情をすることなどあったのか)&br;…俺はそういうのはよく分からんからな。まあ…何にせよいいことだ。いやはやしかし乱蔵がな…。&br;(その手のことへの疎さは自分以上だっただけにその衝撃もひとしおだ。いつものように飄々と楽しそうに言う雪音に改めて感心せざるを得ない)&br;(そして花のように開く笑顔を見せる鳳釵を見て思う。…自分も雪音をああして笑わせてやりたい、と)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-10-22 (月) 00:16:19};
---&color(#800000){(大きな手の平に重ねる小さな、しかし暖かな手。触れる肌の感触にかつてない喜びが溢れだして来る)&br;(様々な障害は依然、まだ残っている。変えるべきこの国のこと、彼女の故郷の家のこと、それらの問題が掻き消えた訳ではない)&br;(しかし、それでも彼女と共に歩もうと決めた。己はそうしたいと高らかに心は叫んでいた)&br;…ありがとうの。ホウサ殿(答えてくれて。受け入れてくれて。側に居てくれて。かけがえの無い人へ、かけがえの無い想いを)&br;すぐにとはいかんじゃろうが…いずれ共に暮らし、子を成そう。お主を幸せにしてみせる。この身に賭けても。&br;(彼女の顔いっぱいに広がる笑顔に、痛みを忘れ右腕でその身体を抱き締める。ああ、愛しくて堪らない。彼女が彼女であって、己の前に現れたことに感謝せざるを得ない)&br;(腕の内の彼女の存在が、己の幸せの形だと、今はそう確信できる。暖かな陽射しの中、その体温はより暖かく胸を焦がし震わせてくれた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-22 (月) 00:16:42};
---&color(#800080){(愛しい人を見つめる瞳がどれほど輝いているのか、きっと自分が一番判らないものだろう)&br;(鳳釵を見つめる乱蔵の瞳は、今まで見てきたどれとも違う、愛する人を思う男の瞳であった)&br;(同じく鳳釵も、いつもの無邪気な笑顔の顔ではない、その瞳はまさしく一人の女の瞳 二人共まさしく真実の愛を手に入れた瞳であった)&br;(羨ましいと思う 私は静次からそんな目でみられたことは少なくとも記憶にはない どこか一線を超えるのを躊躇しているような、遠慮がちの瞳が大半だった)&br;(私もいつかあんな風に笑える日が来るのだろうか、そんなことを考えつつ、抱き合う二人の会話を耳にし、少し思案した)&br;(すぐにでは駄目なのか いっそ祝賀会の時に公表してもよさそうだろうに ああそうか 鳳釵の家の方にも了承を取らないとね)&br;―そういえば、鳳釵の家ってどこだったっけ……― }; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-10-22 (月) 01:03:51};
---  &color(orangered){ありがとう…らんぞー君(今まで生きてきて、これほどの喜びは今まで味わったことはない 愛しい人に求婚される喜びは何物にもかえがたい)&br;(だがこの喜びを上回る歓喜はまだ巡ってきてはない だが必ずそれを手にいれて見せる 私達はそれを目指して今まで頑張ってきたのだから)&br;(掌や頬から伝わる彼の体温、どんな傷だらけであろうとも変わりなくここにあり続ける証を感じ、今まで生きてこられたことに惜しみない感謝を捧げた)&br;うん…必ず、必ず貴方と添い遂げてみせるから 貴方を…幸せにしてみせるから(そう笑顔で応えた後、身体は更に深く彼と重なりあう 胸の痛みなどもう覚えていない)&br;(この心の赴くままに自分も彼の背中に手を回して抱きしめる)&br;(この幸せのためならば、どんな苦難も乗り越えてみせよう たとえどんな責苦を負わされようが、必ず耐えて彼の元へと戻ってこよう)&br;(彼が待っていてくれるのならば、愛してくれるのならば、これほどまで心強いものはない)&br;&br;(うららかな春の陽気の中、互いの心の中へ固く契り合う 陽の光も更に暖かく、風の香りも更に優しい それはまるで、御神木も祝福してくれているようだった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-22 (月) 01:04:23};
-&color(orangered){(頬にひやりとした土の感触と匂いにまず気づいた やたら重いまぶたを無理やりこじ開け、自分の今の状況を戸惑う脳裏で何とか把握していく)&br;(―生きていた あの技は爆発的な力を引き出す反面、持続時間が短く後は気を失ってしまう 正直意識を手放した後に殺される覚悟もしていたが、運良く回避できたようだ)&br;(いいや、運ではない 彼がやってくれたのだ だから自分は安心して気が抜けてしまったのだ)&br;(ゆっくりと起き上がるのと反対に、未だわずかに上がる土煙の中、巨大な物体が横倒しになっていた)&br;(身体を保っていた均衡が崩れたように、所々から綻び、風にのって消えていく)&br;…勝った?(まるで二日酔いにかかったように頭が重く身体だるい よろよろとふらつきながらもゆっくりと、確実に、乱蔵の方へと歩いていく)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-02 (火) 23:04:10};
--&color(#800000){っはぁ、はっ…(肩で息をしながら崩れ去っていく荒神の巨体を見やる。その体はぴくりとも動かず、崩壊に伴ってぼろぼろと体を覆っていた岩と根も落ちていく)&br;(彼女が歩くのもやっと、という風に近づいてくるのが分かる。そちらへ向き直り、汗の張り付いた笑顔を見せて)&br;かかっ、烈火のような凄まじい攻めじゃったの、あんなものを食らってはあやつもひとたまりも…(ふらつく彼女に肩を貸そうと近づいたとき、足にこつん、と根の破片が当たる)&br;(先程の戦いの際に撒き散らされたものの一つだろうと、何気なくそれを拾いあげて見分してみれば、その質感、その纏う清浄な気に、言い知れぬ悪寒を覚える)&br;……っ!まだじゃっ!(手に取り見てまですれば間違えようもない、それは御神木の根と同じ物、であればあの岩もただの岩では…)&br;(何よりも、その身を朽ちゆかせていくというのに、荒神から感じる邪気は一向に衰える様子を見せず、それどころかむしろ強く、禍々しくなっている)&br;(戦慄がその身を駆け抜ける。封印は、全て解けていなかったのだ)&br;(その事実を裏づけるように、男の手に仄かに白く輝く禍布都神はその光を失ってはいない。まだ、祓うべきものがあるとでも言いたげに)&br;(ざらざらと風が荒神の身を砂のように溶かしていく、だが、その中心部には黒曜石のような一本角を生やした人型の何かが残って)&br;…すまんホウサ殿、肩は貸してやれなさそうじゃ(黒い肌、手と足と腰に生える灰色の剛毛。大地に膝まづいて俯き、動かない'それ'に大木刀の切っ先を向けた。まだ、終わらない)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-04 (木) 00:19:53};
---&color(orangered){あはは、自分でもびっくり……って、え?&br;(突如険しくなる彼の顔に不安を混じらせ、地面の上で微動だにしないそれを見つめる)そんな…&br;(鉛のように重くなった身体に更なる重圧がかかる あれだけやってまだ―)&br;(それでも無理やり身体を前へ前へと動かし、ひとまず乱蔵の傍まで寄り添い)&br;あれが、本体…なの?(背筋が寒くなるような気がするのはきっと気のせいではない 今まで感じていたドス黒い気配は比べ物にならないほどにより色濃くなっている)&br;(正直、今の自分にはもうどれほどの力が残っているのか判らない だが終わっていない以上、やらなければならない)&br;(泣きたくなるような心境だが泣き言を言っている場合ではなかった あの物体がいつ動き出し、自分たちを瞬殺していくか油断はならないのだ)&br;…ごめんねらんぞー君 もう、大して役に立てないかも(彼のゴツゴツとした無骨な武人らしいその手を、白色に包まれそれでも安らぎを感じさせるその大木刀を見て、無念そうにそう呟いた)&br;(これが、現状を把握した素直な感想だった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-04 (木) 00:48:30};
---&color(#800000){(要石から現れた時と同じように、すぐには動きを見せない荒神を睨み、切っ先を突きつけたまま様子を伺う)&br;(下手に攻撃を仕掛けては先程の二の舞になるかと、身長な足運びで間合いを測るも、先ほどと違うことが一つある)&br;(それはこうやって様子を見ている間にもどんどんと高まっていく邪気。…手遅れになるかもしれない)&br;&br;(焦燥を覚えている間に荒神の闇を固形化したような一本角に、焔が灯る。それは彼女が纏っていたものと真逆の焔)&br;(生命を否定し、光を切り裂き、見る者に不安と絶望を呼び起こさせる黒い焔だった)&br;(続けて指から伸びる角と同質の爪にも闇の焔が纏われ、荒神は…いや魃我はゆっくりとそれだけは変わらない虚無の瞳を見開いた)&br;(やはり完全に起きる前に仕留めるべきだったかと考えるも、魃我から吹き付ける邪気がそれを躊躇わせた)&br;(それはもはや不定形な空気ではなく、粘り気のあるどろりとした質感のある悪意。触れればそれだけで体力を削られる怨念の形)&br;&br;(この空気には覚えがある。それは彼の地での男の師、直刃の名を持つ人妖が放っていた漆黒の殺意)&br;(それと似たようで、違う。あの殺意は黒い意思ではあったが、どこか折れてしまうような純粋さを持っていた)&br;(だが魃我の振りまくそれは、そんな儚さなど欠片もない、おどろおどろとした汚泥のような邪念の塊だ)&br;いや、ようやってくれた…。ホウサ殿、まだ動けるか?(ホウサと魃我の間に割り込むようにして彼女の前に立つ)&br;(生命の力を燃やし尽くした彼女にはこの邪気だけでも毒になりうる。できれば退いて欲しいが…、あれはそれを許してくれる相手だろうか)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-06 (土) 21:17:49};
---&color(orangered){(乱蔵の傍から片時も離れず、荒神の様子を注意深く見つめていれば、その異様さは更に大きく深まっていく)&br;(陰鬱な焔を纏い、いや、纏わりつかれているようなその変様 かつて福を与えるものであったとは思えないほどの変わり様に動揺を隠せず、わなわなと表情は強張っていった)&br;(何をどうすればここまで変わってしまうのだろう どこまで堕ちていくのだろう その先に果たして終わりはあるのか)&br;うん…大丈夫 まだ動けるよ(つい、まだと言ってしまったが、疲労が蓄積された身体にこの邪念はかなり厄介だと肌身で感じていた)&br;(死闘を繰り広げ極限まで高めた緊張感が、不動の精神として辛うじて侵食を防いでいるが、それも時間が経てばどうなることか)&br;らんぞー君こそ平気? 大木刀もまだ元気はあるかな(この勝負の決め手となるのは彼とこの大木刀だ 自分はともかく彼らには無事でいて貰わないと)&br;(そうやって軽口を叩いてるだけでも、黒い汚念は更に広がっていく 先ほどまで緑豊かであった場所も徐々に枯れ木へと変貌していくようだ)&br;……勝たないとね(早く勝たないと、この美しい国が滅びてしまう 愛する人の愛する故郷が全滅してしまう)&br;(だがどうやって戦えば良い どうやれば勝てるのだろうか 焦りと苛立ちに歯ぎしりをしながら、懸命に勝機を見出していった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-06 (土) 22:17:48};
---&color(#800000){かかっ、おかげさんでワシもこいつもまだまだ元気じゃわ(気を張り、肌に纏わりつくような邪念を跳ね除け、どこ吹く風と言った風に胸を張る)&br;(しかしいつまでもそんな風に言っていられるか。そんな事を思いながら魃我を見やれば、何故かこちらには関心を持たず、辺りを見回している)&br;…何をしておるんじゃ?(疑問の声を上げれば、ぴた、とあらぬ方向で視線を止め、かぱり、と牙の生えた口を開ける)&br;(その口腔は大きさこそ先の姿から大分小さくなったものの、その虚無が与える圧迫感はより大きくなったように思えて)&br;来るか…!?(赤毛男が思わず身構える。しかし魃我はそれさえも気に止めず。大きく身を振り何もない空間を引き裂くように)&br;("がちん"とその顎を閉じた)&br;(その瞬間、辺りの空間一帯に硝子細工が軋んだような音が響く。次いで魃我の邪念が更に勢いを増し広がっていき)&br;そ、そんなことが…っ、四柱の結界を破りおった…!(結界を内側から破るなど早々出来るものではない、だが、それをあっさりと)&br;(そしてそれが示すことは…再封印の手は無くなったということ。そして、魃我を逃してしまえば…この国が滅ぶということ)&br;(御神木の結界は四柱の結界とは質も格も段違いだ、そちらの方が破られることはないだろうが、かといって結果は変わらない)&br;ぬううっ!これ以上好きにはさせんっ!(一刻も早く止めなければ。この姿、この力。こんなものは伝承にはなかった、魃我もただ石の中で寝ていた訳ではないのだ)&br;(邪念の渦を強引に推し割り、輝きを湛えた大木刀を振るい大上段に切り落とす。さしもの魃我も、禍布都神を受けてただでは…)&br;(そんな思いは、驚愕の表情に彩られ掻き消える。闇を纏った爪が、がちりと大木刀を受け、止めていたのだ)&br;(魃我が開いた手を振るい、その拳は男の腹へ吸い込まれ、めきめきと骨の軋む音を後に残し赤毛男の体が軽々と吹き飛ばされる)&br;(吹き飛ぶ直前、拳を振るった魃我が笑みを浮かべたように、見えた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-06 (土) 23:31:18};
---&color(orangered){(その頼もしい笑い声に、緊張していたこちらも心も溶かされていくかのような温かさ覚える)&br;(ああもう、この人は本当に…こんな時まで 思わず釣られて微笑みながらも、視線は彼と同じく魃我の元へ)&br;(件の悪神は岩や根が剥がれ落ち、いささか無骨さが消えさってはいるものの、逆に薄気味悪さが強調され、見るものに不安を与えるような佇まいであった)&br;(それがぐるりを見回している それもただ見ているだけではなく、確実に目的のある見回し方だ)&br;(そして、何かを見つけた)&br;何…? 何なの?(一見何もない場所であった だが魃我の目にはそれが見えているのだろう いや感じているのだろう 己を封じる忌々しい結界を)&br;(それがあまりにも呆気無く、魃我自身によって破られる 何が行われたのか視覚では判断出来なかったが、この身に突き刺さるような鋭い邪念が、事の重大さを教えてくれた)&br;そんな…じゃあ、もう再封印も?(更に最悪な展開になってしまった もう私達には負けるという選択肢も無くなってしまったのだ)&br;(元々負けることなど考えてはいなかったが、もし自分たちが破れても、再封印さえ出来れば犠牲者は私達だけでいい だが今の状態で負ければ犠牲者は数しれない)&br;&br;(様々な思いを巡らしていれば、魃我に立ち向かう乱蔵の背中が目に入る 絶望している場合ではない 私も…)&br;…! らんぞー君!(気を乗せた切り落としがいとも容易く受け止められ、お返しとばかりに魃我の拳が乱蔵の身体を吹き飛ばす)&br;(慌てて彼の身体を強引に受け止め、地への直撃を何とか食い止める 受け止めながらも先程見た光景が信じられないでいた)&br;(彼の身体を抱きとめ、ざりざりと靴が地を擦り後退し、止まる 荒く息を吐きながらもう一度先程の光景を思い出した)まさか、大木刀が…効かない?}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-07 (日) 00:10:32};
---&color(#800000){(先刻受けた巨大な拳とは比較にならぬほどの拳なのに、込められた力はそれ以上。空を舞いながら肋骨が何本か持っていかれたのを激痛で知る)&br;(甘かった、やすやすと巨体を切り裂いていた刃も、今の魃我にとっては必殺の刃たらしめないのだ。だが…)&br;…っぐぅっ!(受け身も取れず荒野に叩きつけられるかと思った身が、暖かな体に抱きとめられる。それは邪念に溢れたこの場において暖かい生命の温度)&br;がっ、がはっ!……わ、わからぬ、しかしあやつは身を守った…ならばまったく効かぬということもあるまい…(その暖かさを確かに感じ痛みに耐え、地に立ちまた大木刀を向ける)&br;(それに、元より神性を開放した大木刀が通じねば、他に打つ手がない。瞳に燃える炎は消えず、しかしじわじわと絶望が男の心に染み出してくる)&br;&br;(魃我はしばらくの間、まるで羽虫を追いやったかのように吹き飛ぶ赤毛男の姿を追っていたが、ふ、と御神木へ目を向け、そちらを見やる)&br;(口元が釣り上がり、僅か顎を開き荒野に黒い三日月が浮かぶ。それは魃我の笑みなのか、それとも)&br;(そうして、ふいに御神木に向けていた視線を切り、二人を見やる。それはもはや獲物に向ける視線でもなく、ただ邪魔な石ころを見るように)&br;(そして、巨体であった頃の鈍重な動きとは比較にならない速度で大地をひび割れさせて魃我が飛ぶ。狙いは男ではなく、大木刀でもなく)&br;(それに寄り添い、力を与えている少女。高高度から隕石の如く両腕を振り上げ禍津神が少女を亡き者とせんと迫り来る)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-07 (日) 00:56:08};
---&color(orangered){もっと…もっと力を込めれば(だがこの輝きが力が込められている証拠ではないのか 彼を支えるようにこちらも立ち上がり、再び対峙する)&br;(先程の一撃、遠目だったが確実に今までの比でない程の威力であったろう それも魃我にとっては渾身の一撃とも言えないような)&br;(ぞっとしつつ、視線を魃我から外さず、彼の者の各所にも目ざとく視線を這わせる 人体の形であれば人体と同じ弱点も持ち得ているのではないのだろうか)&br;(もしくは、この怨念の核となるものがあるのだろうか あの湧き上がるようなドロドロとした黒い邪念 だが無から有は作られまい)&br;(必死にそうして探していれば、不意に向けられる魃我の視線 その先には、御神木)&br;(真の目標を見つけたのか 御神木を潰せばいよいよ持ってこの国は終わりだ 絶対に起こってはならない)&br;(勢い、止めようと身体が動くが、瞬間びくりと固まる 魃我の視線がこちらに戻ってきたのだ)&br;&br;(それはもう、認識しているかも怪しいほどに、興味も何もかも薄れた冷え冷えとした視線であった)&br;(その冷たい視線が、一瞬の間を超えて迫ってくる)&br;あ…&br;(何故か、ぽかんとそれを見送ってしまった 魃我の淡々とした雰囲気につられてしまったのか、これから起こる大事もまるで想像出来ないほどに)&br;(意識が戻ってきたのは、もう防ぐことも躱すことも出来ない程の距離まで迫られた頃であった)&br;(胸に届く激痛 そこは先程魃我に一撃を食らわせた秘中 悲鳴は衝撃にかき消され、地にめり込まれていく)&br;(意識が既の所で離れてしまいそうだったが、辛うじてそれは免れる 痛みは怒りを引き起こし力も尽きかけた拳を振り上げ、胸にめり込む魃我の腕を両側から挟むように突きを放った)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-07 (日) 01:48:28};
---&color(#800000){(魃我の突進の勢いをもろに引き受ける形になってしまい、少女の足元から荒野にずん、亀裂が入り、その胸骨がびきびきと砕ける感触が魃我の手に伝わる)&br;(その感触を味わうように、いやもっとより味わいたいと更に拳を押し込もうとするが、そこに少女がなんとその状態から拳を魃我へと打ち付けんとする)&br;(気を纏っていなくとも、岩をも砕くであろうその一撃は、意識も朧であろうというのに狙い違わず魃我の肘へ吸い込まれていき、ご、と重く鈍い音を響かせるが)&br;(心地良い。この悲痛に塗れた一撃、苦境にあってもなお諦めず放たれた一撃、だが撫でられたようにしか感じぬその脆弱なる一撃が…心地良い)&br;(魃我が笑みを深め、何かに酔いしれるようにし、なおも拳を埋めようとしたその時)&br;舐めるなぁッ!!(流星のような攻撃に反応しきれず、彼女の一撃は痛痒を与えず。しかしそれは魃我の反応を引き付けるには充分で)&br;(だん、と気合を込めた踏み込みと共に大木刀による突きを撃ち放つ。それは彼女を苦しめる黒き豪腕を浅く切り裂き、その忌々しい力を緩めたが)&br;(それだけだった。腕を裂かれたことでようやく脅威としての大木刀の存在を思い出したのか、裂かれた腕をさほど気にせず、片方の手を揃えて爪を刃と成し)&br;ぐうっ!?(男へ返す刀で下から上へ逆袈裟にて黒の刃が襲いくる。間一髪、大木刀の柄を割りこませたが止めきれず着物は裂かれ、鮮血が虚空に舞った)&br;(そうして続けて歯を食いしばり痛みに耐える少女の前に立ち、その腹目掛けてまるで鞠でも蹴るかのように無造作な蹴りを見舞う)&br;(もう壊れるのか、二人を見てそう言いたげな魃我の大木刀に切り裂かれた傷痕は、既にじわりじわりと蠢く闇によって再生しつつある)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-07 (日) 23:08:02};
---&color(orangered){(たとえ力は微弱であろうとも、今の自分にとっては精一杯の挟み突きであった 傷などつかずとも、何も変わらずとも、このまま為すがままにされるのだけは我慢ならなかった)&br;(拳で挟む腕が更に突き進み、抑えきれぬ悲痛な声が魃我を更に陶酔させる 身体が傷つくよりもそれが何より悔しい)&br;(肺や心臓を押し潰される激痛に呼吸もままならず、喘ぐように手をのばす 鉤爪のように曲げられた指がビキビキと強張り、彼女の苦境をありありと物語っていた)&br;(だがそんな状況の中でも揺らぐことのないものは、彼女の目だった 最期の一瞬まで逸らすまいと睨みつけ、決して閉じられることはなかった)&br;(遠のきそうな意識の中、乱蔵の声が辛うじて耳に届く いつでも自分を勇気づけてくれたあの声を耳にするだけで、自分でも驚くほどの活力が漲って来るのが判った)&br;(胸を抑える力は弱まることはなかった 効かなかったのか弱かったのか、この状態では判らない その後聞こえる彼のうめき声も、生死を分ける程のものかも判らない)&br;(すると突然、身体が跳ね上がったのを感じた 突然のことで痛みよりも驚きが勝り、弧を描いて大地に跳ね落ちる)&br;(いっそ気を失った方がまだ良かったと思えるくらいの激痛が胸や腹を襲い、立ち上がることも出来ずにただ呻いていることしか出来なかった)&br;(呻きながら涙が溢れる 痛みによるものではない 蹂躙される屈辱に、太刀打ち出来ない無念さに、流れる涙を止めることも出来ない情けなさに)&br;(力が無いから駄目なのか 本当にそうなのだろうか 何かが足りないのか それとも余計なものを抱いているからか)&br;(泣きながら、喘ぎながら、苦悩しながらも、視線は必死に追っていた 魃我の方へ、乱蔵の方へ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-07 (日) 23:34:00};
---&color(#800000){(ざわざわと、ざわざわと邪念渦巻き死の香りが漂う荒野に遠くから潮騒のような葉々のこすり合う音が響いてくる)&br;(胸から溢れる血を止めようとしながらも、物のように跳ね飛ばされ、身動きさえとらなくなった彼女を見て烈火のような怒りがこみ上げる)&br;(その涙を止めたいと、彼女が己を呪うような涙は流れることがないようにと、いつか願ったのではなかったか)&br;(ざわめきは高まり、それに呼応してか、二人の有様に愉悦を覚えたのか、魃我の撒き散らす邪念はなおも、なおも強くなり、目に見える毒となって荒野を漂い始める)&br;(地に降りた雲海のごとく足に絡みつき、触れただけで痛みさえ覚える程になったその光景に恐ろしさを覚えずにいられない)&br;くっ…う、うおおおおッッ!(魃我が手を下すまでもなく傷つき倒れた彼女にとって、着物を血で染める男にとって、もはやその邪念だけでも死に至る毒となりうる)&br;(止めなければ、どうやって?分からない。だが今、刀を振るわねば、彼の禍津神を自由にさせては、それを待つまでもなく二人に死が訪れるは必定)&br;(絶望の足音を聞きながら、それでも、それでも男は前に進み、持てる力を出し切って鈍く輝く白刃を振るう)&br;&br;(『薊乃形』<荊棘>。時間差を作った二つの攻撃はもろともに力の前に弾かれる。『蓮乃形』<一蓮託生>。攻撃を誘い反撃を狙うも受け切れず血の華が咲く)&br;(『菫乃形』<墨壺>。刃と石突による嵐のような連続攻撃は、しかしそれをそよぐ風のように凌がれ。『扉乃形』<戸挟>。爪の守りを弾かんとすれども、残った角が大木刀を阻み)&br;(『櫻乃形』<華満開>。爆発的な衝撃は受けた魃我の身を揺らしたが、それを心地よしと笑みさえ浮かべ、即座に拳が男の腕を打つ)&br;(『椿乃形』<鬼落し>。巨体の手の平を割った一撃は、今の魃我には爪の一欠片を削ったに過ぎず、変わらぬ鋭さの爪が足を貫きぼたぼたと血を溢れさせ)&br;(『薄乃形』<湖月>。その構えを見た瞬間、魃我が動きを止め、むしろ迎え入れるように両手を開いた。当然、湖面の月を割り、先の魃我を討ち果たしせしめた白刃は縦一文に滑り──)&br;&br;な…!(呆然と、大木刀を、禍布都神を振り上げた体勢のまま呆然とせざるを得なかった)&br;(白刃を自ら受け入れた魃我は、むしろその痛みを楽しむかのように天を仰ぎ身を震わせ鷹揚と佇んでいる。そしてみるみる内にその傷は癒えていき)&br;(その傷が癒え切った時、満足そうに男に視線をゆっくりと落とし、虚無の瞳をぎょろり、と向け)&br;(一瞬の内に身を屈め、下から突き上げるように男の左肩を真闇の一本角で深々と貫き、虚空へと磔にした)&br;&br;(がらん、と中空に縫い付けられた男の手から大木刀が落ち、その輝きを失う。男から流れ落ちる血は魃我を濡らし赤黒く染めていき)&br;(その薄く開いた虚ろな顎は溢れ出る血を飲み、味わい、数千年ぶりに口にする絶望の甘露に酔いしれていた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-08 (月) 01:37:03};
---&color(orangered){(朦朧とする意識の中、耳に入る何かのぶつかり合う音だけを頼りに、よろよろと頭を巡らしその方向へ視線を向ける)&br;(ぼやけて見えないがはっきりと判る 彼は諦めない たとえ絶望しか無くとも諦めずに立ち向かう 私はそんな彼に惹かれ、目標にし、これまで生きてきたのだ)&br;(視界の中に一つの影が串刺しとなっと瞬間、かっと目を見開き朧気だった身体の感覚も甦っていた)&br;&br;…やめて(角に突かれ、宙釣りになる彼の人の姿に、怒りとも憎しみともつかない未知の感情が沸き起こる それを活力に身体を起こし、痛みを無理やり払拭させた)&br;…離して(ずりずりと足を引きずるように魃我の下へ いや、乱蔵の下へと向かう 拳を握り締める為に力を込めれば、口元からわずかに血が溢れ滴り落ちていった)&br;…らんぞー君を、かえして(魃我の足元までたどり着き、その巨体に見合う太ましい足へ、握った拳を振り上げ真っ直ぐ突き立てる)&br;(しかしその速さはあまりにも遅く、その力はあまりにも弱い だがそんなことはどうでもいい 遅いからなんだ弱いからなんだ それで拳を振るえない理由にはならない)&br;(口から繰り出す呼吸は己の気を高める呼吸法を行なっていた それでも残された力が極僅かではどれほど高めても意味は無い だが長年の鍛錬により意識はせずとも身体がそれを行なってしまう)&br;(どれほど絶望していても、私の身体は戦う為に動いている 命が尽きるまでそれは止まることはない)&br;(それに、あの人の目の前で戦うことを諦める姿など、絶対に見せたくはなかった)&br;&br;(何度も何度も拳を振るう 魃我に取ってはほんの僅か触れているだけの感触しかないだろうが、構わず振るう やがて両手でがしりと魃我の足を抱きしめ、力づくでも止めようとしていた)&br;(ふと、足の方に血が流れてくる 魃我の血ではない 上を見上げればその更に先の方から滴る乱蔵の血であった)&br;(その血が自分の手を濡らしていく まさに悪夢のような光景であった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-08 (月) 20:36:37};
---&color(#800000){(ああ芳しく郁郁たる味わいよ。その一滴一滴は深紅の煌めきを持ってこの身を潤す。ねとりと絡みつくその生命の結晶は何者にも代え難い)&br;(ごくり、ごくりと魃我の喉が鳴る。その喉が嚥下されるたび、荒野に立つ喰らう者は恍惚に耽溺し浸り酔う)&br;(だから魃我は気づかない、その足元ににじり寄る影に。もはや荒神にとってそれはほんの僅かな脅威とも成り得ないが故に)&br;(掲げた肉袋から漏れ出る血の量が少なくなってきた、名残惜しいが肉ごともう食らってしまおうか)&br;(そんな事を考えたその時、ぺたり、と足に感じる何かの感触)&br;(何かと思い目を下ろせばそこにあったのは先程蹴飛ばした少女。ぺたり、ぺたりと拳を打ち付けているその小さな命はまだ潰えていない)&br;(それは魃我には児戯に等しく、どうしようもなく無力なその姿を見て思い出す。…女の血肉はなお甘露であったと)&br;&br;(ぶん、と頭を振って出汁殻となった男から角を抜きふるい落とす。力の抜けた大柄な男の肉体はどさりと落ちて)&br;(足に絡みつき、楔となろうとしている少女の願い空しく無造作に屈み込みその細い首を、が、と掴み持ち上げ掲げる)&br;(そして少女を睨め上げて、見分すればどう喰おうか考え始める。指先からかじり喰おうかその腹わたを抜き出し喰おうか)&br;(考えを巡らせるほどにその指には凶楽の念が宿りじわじわと力を強め少女のか細く白い首を捩じ上げて)&br;&br;(荒野の石と乾いた土に叩きつけられる衝撃が意識を僅か、ほんの際で繋ぎ止めた。もう、体の痛みはほとんど感じず聞こえるのはざわめく葉々のみ)&br;(大地に伏しそれでも視線をあげれば、彼女が、どんな武士だろうと比肩する者居ないであろう闘志を未だ燃やし、魃我に取りすがっている)&br;く…おぉ…(彼女が、誰よりも気高き彼女が戦っている、ならば、己が寝ていられる道理があるか)&br;(しかし、それも満身創痍の身では、無残にも強大な力の前に敵うことなく)&br;ホウ…サ、ど…の(左手はもう完全に動かない、残る右手だけを震わせ伸ばし、大地に打ち捨てられた大木刀を握りしめ、それを支えにずるりと身を起こす)&br;(力が、力が欲しい。何者にも負けない、誰かを、この国を、…彼女を守る力が)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-08 (月) 22:11:20};
---&color(orangered){(もう首を上げる力も無き娘には、彼の人の投げ捨てられる姿すら目に追えず、どさりと大地に叩きつけられた音でようやく離されたことを知る)&br;あ…(先程の自分以上にボロボロの姿となった乱蔵の姿を見て、自分の中の何かが壊れ始める 次の瞬間発狂してもおかしくないほどに、精神を保てなくなっていった)&br;(それでも乱蔵の下へ向かおうとするも伸ばされた腕に掴まれひゅっと息が詰まる そのまま今度は自分が虚空に持ち上がり、魃我と同じ目線となった)&br;(霞む視界の中、魃我の瞳がこちらを凝視しているのが判る 私をどうやって食おうかと考えているのだろう どこから食われていくのだろうか それはどれほど恐ろしく辛いことであろうか)&br;(虚無の瞳を見つめ、娘は静かに思う)&br;&br;(私たちは慢心していたのだろうか 無責任な威勢の良さで対峙したのだろうか その無謀さに付き合わされ、この国の人達は無念の死を遂げていく)&br;(そんなつもりはない この世に絶対に勝てる保証のある戦いなどない だからこそ戦う時は常に最善を尽くすのだ 慢心も油断もあってはならない 勝つための最善の策を常に模索するのだ)&br;(更に首が締まるにつれ、声を枯らした鳥の鳴き声のような滑稽なうめき声が上がる ドス黒い邪念に直に触られ、首の肌がじわりじわりと炎症を起こしていく)&br;(手を持ち上げ魃我の腕を掴もうともがくも、既に持ち上げる力も気力もほとんど無い いよいよここまでかと本能が悟り、視線がのろのろと辺りを彷徨う)&br;(視線は、ある一人を探していた)&br;&br;―らんぞー君…―&br;&br;(私は、私の持てる力で頑張ったよ)&br;(手が伸びる 彼の方角へ差し伸べるように右手を震わせながら 朧気な視界の中、こちらに向かってくる愛しい人に向けて)&br;(愛してる 愛してる だから…ごめんね)&br;&br;(そしてその手が、ぱたりと落ちた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-08 (月) 22:53:50};
---&color(#800000){…ならん…(彼女が、)ならん…(彼女が、)ホウサ殿…(喰われてしまう)待っておれ…(させない)すぐ…(そんなことは、させない)&br;ホウ…サ…殿…!…ぐぶっ(伸びる彼女の細い手を掴もうと、大木刀を掴んだまま手を伸ばすも、喉から込み上げる血塊をばしゃりと吐き出す)&br;(落ちる彼女の手、そして男の命も今や燃え尽き、落ちようとしている)&br;(だが絶対に、諦めない)&br;(己が諦めてしまっては、全てが終わってしまう。己が生まれ育ったこの地が、心より想った彼女が)&br;(もはや意思の力だけで身を立たせにじり寄る。鈍い一歩を刻むたび、すう、と己が溶けて消えてしまいそうになる)&br;(それは生死の境目に立ち、周囲の無為自然とその身を同じくする水鏡の境地)&br;(彼の地での師の戦いによって気付き得たその境地において、男は声を聞く)&br;(それは枝々のこすれ合う音、青々とした葉が奏でる囁き声)&br;(無我に至ったその時、男は初めてその声を聞き…そして願った)&br;(強い願いは祈りとなり、切なる祈りは言霊となり捧げられる)&br;&color(white,black){のう…、大層な昔よりワシらを見てくれておったのじゃろう。ワシらは弱いからの、随分と頼っておったじゃろうな};&br;(その視線は魃我の向こう、悠々とその身をそびえ立たせる御神木へと)&br;&color(white,black){ワシらもできるだけ答えようとしておったが…どうなんじゃろうな、それもワシらの一人よがりなのかもしれぬ};&br;(揺らめきその身を震わせているように見えるのは錯覚だろうか、それとも)&br;&color(white,black){じゃが…もしそうでないとするなら…ワシらが互いに立ち、寄り添えていたのならば…};&br;(祈りは響く、か細く虫のような小さな声ながらも、確かに荒野を渡り響いていく)&br;&color(white,black){ワシらのためにだけとは言わぬ、皆が、命あるもの全てが明日を迎え生きるために…};&br;(男の素朴な言葉が、意思ある呟きが確かに伝わるであろうことを半ば確信し)&br;(そして…愛しきただ一人の人のために)&br;&br;&color(white,black){今こそ力を与え給え『倶倶野茅大神』よ};&br;&br;(それは秘中の秘、向江国の中でも限られた者の間にしか伝わり知らぬ御神木の真なる名)&br;(瞬間、男の手の内にある大木刀が目も眩むような神々しい白銀の輝きに包まれ、邪念に満ちた大地を真昼の太陽のような光で切り裂いていく)&br;(御神木を呼ぶ祝詞など秋津の歴史には存在しない。御神木は呼ばざるもの、ただその恩恵を受けられることに感謝するだけ)&br;(それでも、その結果が示している。倶倶野茅大神は秋津乱蔵に確かに答えたのだと)&br;&br;(残る力をかき集め、ここが正念場と軋む体を叱咤し踏み込んで右手のみで大木刀を振るう)&br;(先とは比にならぬ全てを浄化する鮮烈な輝きを纏う刃がするりと彼女を捕らえる腕を通り抜け、あろうことかその腕ごとかき消した)&br;(たたらを踏む魃我。その虚無の瞳は直接太陽を見たように眩しげに、忌々しげに細められ大木刀を睨んでいる)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-08 (月) 23:51:35};
---&color(orangered){(深く暗く重い闇へと堕ちていく これが死 何もない無の世界)&br;(昔、母が亡くなった頃、自分も死ねば母に会えるのだろうかと本気で悩んだことがある 死ぬのは怖いが母会いたさに屋敷の屋根から飛び降りようとよじ登りかけ、それを姉に止められたことがあった)&br;(そんな時ですら、姉は声を荒げるでもなく悲しむでもなく、極淡々と応える 人間いつかは必ず死ぬのだ ならば急いで死ぬことはない 母の方から会いたくなるほどに立派に生きてから死ねと言われた)&br;(今の私を見て、母は会いにきてくれるのだろうか)&br;(母ならば、悲しんでしまうだろうと思った 邪神に食わせる為に産んだのではないと こんな酷い死に方をさせる為に育てたのではないと)&br;(それでも、会いに来てくれるだろうなと思った 私の母なら、きっと)&br;(でももし今は母が会いに来たとしても、私はあの人の下へ帰りたい 心のそこから愛し愛され、真の幸せを与え合えるあの人の下へ)&br;(氷よりも冷たく、夜の闇より暗い場所へ沈み込んでいく 怖い暗い寒い 嫌だ嫌だ嫌だ)&br;(闇に包まれながら落ち続ける恐怖に無我夢中で手を上げもがく 光がほしい 一筋でもいいから光を 誰か誰か誰か)&br;&br;―誰か私の声を聞いて―&br;&br;―私はまだ、死ねない 死ねない 死にたくないの!―&br;&br;(ふわりと、まるで抱きかかえるような温かさと柔らかさに包まれた 漆黒の世界は今や純白の世界へと一瞬の内に変貌し、恐怖も寒さも今はない)&br;(包まれる心地よさが、自身の身体を癒していくのが判る 胸の息苦しさも喉の焼けるような痛みも無い 失った力が注がれ満ち溢れるように身体中を駆け巡っていく)&br;(そして次の瞬間、目が開いた)&br;…あ(気がつけば自分を捉えていた腕が消えて行くのが見える 拘束を解かれた身体は宙より落下していくも、身軽な動作でとんと地面に降り立ち、周囲をゆっくりと見回した)&br;眩しい…(ぽつりと、そう呟くしか出来なかった)&br;(乱蔵の手に持つ大木刀は、これまでとは比べ物にならないほどの輝きに満ち溢れるも、その優しさは目を焼くどころか癒しの効果すら感じられる)&br;(少しふらつきながらも乱蔵の下へ駆け寄り、その姿をはっきりと目に焼き付けた)&br;らんぞー君…その大木刀 それが、本当の姿なの?(今まで見てきたどんな光よりも暖かく、そして清浄に満ち溢れたその輝きは、この目で見ても信じられないほど神々しいものであった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-09 (火) 00:46:32};
---&color(#800000){(地に現れた太陽の欠片が辺りを照らし出す。光溢れ仄かな暖かさに満たされたそこを、確かに命ある足取りで彼女が歩んでくる)&br;(近づく彼女に答えるように、その光がゆらりと煌めいて彼女を照らし、その美しさに身を震わせて感じ入る)&br;…おう。これが…この力こそが…御神木、倶倶野茅大神の顕れじゃ(そうして御神木を見上げ、祈り、感謝すれば)&br;(爽やかな一陣の風が吹き、空からひらりひらりと雪のように大きな葉が舞い落ちてくる)&br;(それは地に落ちるまでに赤、黄色、橙の様々な色に変じ大地に降り積もっていく。彼の神も戦っている。二人だけでは、ないのだ)&br;&br;&size(18){''&#9608;&#9608;&#9608;&#9619;&#9619;&#9608;&#9619;─&#9608;&#9608;&#9608;&#9619;&#9619;&#9619;&#9608;&#9619;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;─&#9608;&#9608;&#9619;─&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9619;─&#9619;─&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;''};&br;(魃我が高く高く天津遍く呪われよと、声にならぬ咆哮を上げる。それは初めて魃我が明確に目の前の人間を敵として見なした瞬間だった)&br;(葉が舞い散り、光満ちる大地にあってなおも禍津神は猛り猛り猛り狂い狂い狂い。光を押しのけ闇を深めんとその力を引き上げる)&br;(ぎちぎちと音を立てて魃我の一本角が倍ほどにも伸び、纏う闇はもはやそこだけが世界を欠落させたかの如く遠近感を無くしていき)&br;&br;…もう休め。もう…呪わなくてもいいんじゃ(光によって痛みは和らぎ癒されたものの、満身創痍の体にその叫びは悲しみを持って染みる)&br;(全てを終わらせんと大木刀を大きく、高く振りかぶり…天から降りる光の刃が魃我に落ち、向かう)&br;(しかし魃我の腕を霧散せしめた白刃は空にて止まり、地に落ち切ることなく)&br;(それはを止めたのは虚無そのものと化した魃我の角。太刀の如くに振り上げられたそれが御神刀となった大木刀を押し留めたのだ)&br;&br;ぬ…うおおおお!!!!(最後の一欠片さえも命を燃やし尽くし、大木刀を右手のみで押し込こまんと力を振り絞る)&br;(だが、足りない。片腕では、あと一歩、その最後の一歩が押し切れない)&br;(拮抗する光と闇の中で、滅し尽さんとする力、祓い清めんとする力、二つの力がせめぎ合う)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-10 (水) 00:03:29};
---&color(orangered){(山吹色の温かい輝きが湧き水のように溢れだし、周囲の闇を晴らしていく 絶望の夜から希望の朝を迎えたように)&br;凄い…こんなに、こんなにも(感激に打ち震えながら、乱蔵に習って御神木に感謝の念を捧げる 頭を下げたその視界の端に、何やらチラチラとしたものが見えるのにようやく気づき)&br;(それを目で追えば色鮮やかな葉が大地に静かに降り積もっていく それを手に取れば感じられるのは癒しの輝き 触れる端から全ての傷つきしものを癒していく)&br;(先程味わった死地のように、暗く冷たく重い地であったそこは、今や春のような陽気に満ち溢れ、草木も生えなかった枯れた大地に活力が漲って行くのが判った)&br;(ああこれはまさしくあの御神木の御業に相違ない 死の大地を甦らせ、永遠の恵みを与えるが如く、その慈悲に限りはない)&br;(胸いっぱいにその慈悲の力を吸い込もうとした時、耳をつんざくような鋭い声が辺りに響き渡った この光景を許しがたく、怒りに狂わんとしているのは唯一人)&br;&br;(その悲鳴のような叫び声は、今までで一番悲痛に感じられ堪らなくなった)&br;…早く、止めてあげよう(呪わしき存在というのは、どれほど辛い存在であろうか あの死地のように救いを求めて這い上がり、もがきあがき、それでも先に希望などはない あるのはどこまでも続く絶望の道)&br;(自分の心の中には、既に魃我に対する憎しみも怒りも何も無かった 代わりにただただ悲しかった)&br;(もう終わりにしてあげたい こんな悲しい存在など、なりたくてなった訳ではないはずだ)&br;&br;(振り上がる光が魃我を救わんと真っ直ぐに落ちていく ああこれで…ようやく そう思っていた矢先に光の動きが止まった)&br;(最後のあがきと魃我が抵抗する 闇よりもなお暗く濃い黒い角が最後の抵抗をしている)&br;(咄嗟に御神刀を握る乱蔵の手に両手を添え、懸命に力を込めて押し切ろうとする だが予想よりも魃我の最後の力は強大であった)&br;&br;…らんぞー君(力を込めすぎて震える両手をそのままに、彼に視線を向けゆっくりと噛み締めるように言葉を紡ぐ)&br;私と呼吸を合わせて(言い終え、まずは一度大きく息を吸い、断続的に分けて吐く 最後に肺のすべての空気を吐き出すように長く長く吐ききり)&br;(今度は吸う回数を分けて長く息を吐く 小さく吐き大きく吸う 複雑な呼吸法を見せながら、体内の気を特殊な流れにしていく)&br;(それは、魃我に立ち向かった時に見せた、炎帝を発動させる呼吸法であった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-10 (水) 00:57:27};
---&color(#800000){(魃我も残る力を御神刀とぶつかり合う一点に注ぎ込んでいるのか、失った片腕のみならず、残る手足も光満ちる空間に僅かながら溶けていく)&br;(しかしそれでもその力は恐るべきもの。尋常ならざる鬼神の力に今すぐにでも大木刀ごと弾き飛ばされそうになるが)&br;ホウサ殿…!(彼女の添えられる手。暖かなその温もりが、一人ではないことを教えてくれる)&br;(一人の力では、一人だけでは何も出来ない。誰かが居てくれてこそ、人はきっと何事かを成し得るのだ)&br;&br;(二人の力によって拮抗が押し戻される、それでも積年の怨念は光の前に屈しることを良しとしない)&br;(幾千年も積み上げた邪なる力は、癒し、包み込み、清める御神木の力を断固として跳ね除け、塗り替えようとする意思に溢れている)&br;(その時、彼女がそっと呟く。そうして始まる独特な拍子を持った呼吸。伝わってくる、彼女がしようとしていることが)&br;(そこまで意識せずとも、自然、彼女との呼吸が合わさっていく。今まで彼女と重ねた修行の数が、二人で過ごした時が、それらが今結実していく)&br;(嗚呼、彼女が居て、彼女と出会えて、本当に…良かった)&br;&br;…ホウサ殿。共に…二人でゆこう。…&color(white,black){炎帝};&br;&br;(それは彼女が紡いた言霊。その力ある言葉を引き金にして、御神刀を握る二人から爆発的な力が巻き起こる。それは炎を通り越し、光輝いて)&br;(御神刀の輝きにも負けぬその光は二人の命の煌めき。御神刀の清らかで透き通った光とも違う、活き活きとした命そのものが脈動するかのような輝き)&br;(その生命の輝きを目にした魃我の動きがほんの僅かの間止まり、そこに憧憬の念を感じたのは己だけだったろうか)&br;(闇は光に消えるもの。万象繰り返された摂理を示すかのように、真なる闇を纏った魃我の角が、ぱきん、と乾いた音を響かせて粉々に砕け)&br;(そのまま振り抜けた白銀の刃が魃我を縦に両断し…悲しき禍津神は輝きの中に掻き消えていった)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-13 (土) 23:55:43};
---&color(orangered){(遥か昔、乱蔵のご先祖も二人の力を併せ持って魃我を封じることに成功した 二人がいて、ようやく成し得た偉業であった)&br;(きっとその時にはもう答えは出ていたのだろう 魃我を倒す為には一人の力でなし得ること能わず)&br;(それ故に、私達が出会えたのも偶然ではなく必然だったのだ)&br;…うん 行こう …&color(white,black){炎帝};&br;&br;(乱蔵の声と合わせて言の葉は言霊となり現象となる 形をなした声は二人の中に染み渡るように巡り巡って、輝かんばかりの力を与えた)&br;(瞬間、溜息のように吐息が漏れる 彼と呼吸を合せ発動させたこの技もまた、一人ではなく二人で行うことが正しいのだと知った)&br;(やっと、やっと私は辿りつけたような気がする それもこれも皆、彼のおかげ 彼に会えて…本当に良かった)&br;(同時に振り下ろした渾身の一撃 文字通り二人の全身全霊を込めた一撃が、魃我に巣食う闇を魃我ごと砕け散らせる)&br;&br;―おやすみ―&br;&br;(消えゆく魃我に向けて、静かに微笑みながらそう囁いた 子供を優しく寝かせる母親のように)&br;(こうして、人により生み出された闇は、人により祓うが道理の如く、長きにわたりこの地を荒らした神はその理を終えた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-14 (日) 00:42:30};
-&color(#800000){(ざわざわと、うごめくように葉の音が鳴り辺りへ響く。根本とまではいかないが御神木はほど近く、その威容はかつて無く大きく見える)&br;(暗雲立ち込める空の元、御神木が鳴らすそのざわめきは何かを伝えようとしているのか。それは激励か、…警告か)&br;(御神木へ一つ、目礼を捧げて踵を返し、立ち塞がる困難へと向き合う。幼い頃からの夢、秋津家の悲願、そして、未来へと続く礎)&br;(見渡す限り青々と茂る草原の中で、その一帯だけは草も生えず地肌を晒している。まるで命あるものを許さないという風に)&br;(生命溢れる向江国の中で、もっとも異質な場所。その中心部にあるのは、異様な存在感を持って有る、巨岩)&br;さあ二人とも…祭りの準備は万端かの?(ぼろぼろの太い注連縄のかけられたその岩を見て呟く。その纏う禍々しい空気は見ているだけでも分かる)&br;(見上げるようなそのごつごつした岩の大きさは三丈ほどもあろうか。武者震いを抑えながら、精神を集中していく)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-29 (土) 21:12:08};
--&color(#E9967A){…四柱を周辺に配しておいた。仮に…だが、何かあってもこれで再封印の陣は敷けるはずだ(秋津の中でも術に長じた者たちが三日三晩前から術式を執り行っている)&br;(その中でも取り分け優れた四柱と呼ばれる者が中心となった結界は既に作られている、もし荒神が逃げようとしても食い止められるはずだ)&br;それと、冬菜の軍も来ているぞ。…雪音が尽力してくれたようだ(そう言って薄く微笑みを浮かべる。そして、何かから話しかけられたように虚空に視線をやり)&br;ああムジナか、この度の手配はご苦労だったな…む、そうか。分かった。お前もそろそろ結界の外へ出ておけ。…心配するな(と聞こえぬ声と話し、二人へ振り向いて)&br;乱蔵、鳳釵殿。雪音から伝言だ。「みんな負けたりしたら承知しない、それと絶対に生きて帰ること!」…だそうだ(苦笑しながらここに居ない雪音の言葉を伝えた)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-29 (土) 21:12:34};
---&color(orangered){(目指すべき場所へ、一歩、また一歩と近づく度に、肌を刺すような異質な感覚に襲われる)&br;(あの神聖なる御神木が近いというのに、それを覆い隠さんとする禍々しき何か 姿形を知らずともそれがどれだけ恐ろしいのか、封印を解く前から既に嫌というほど感じていて)&br;(どうか見守り下さいと祈るように御神木へと一礼し、二人の男の背中を追う)&br;(ついに決着の時がやってきた この瞬間をこの国の人達はどれほど待ち望んでいたことだろうか この忌むべき存在を消し去って欲しいと、どれほどの年月が費やされてきたことか)&br;(突如、その巨岩は目の前に現れる 青々とした緑が不自然に切り取られ、その中央に鎮座する姿はそれだけで近付き難く純粋な恐怖を植え付ける)&br;これが…(背筋が凍る 震えが走る 狼狽か武者震いか おそらくどちらともだろう)&br;(封印されてもこの気配 これでごく一部なのか これが私達の倒すべき存在、私達の未来に立ちはだかる壁の一つなのか)&br;…絶対に 生きて帰らなきゃね(それでも、雪音の為に、向江国の為に、そして私達の為に、そう心に呟き力強くこくりと頷いた)準備は、ばっちりだよ}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-29 (土) 21:34:04};
---&color(#800000){(二人と視線を合わせ、その意思の最終確認を終わらせると、自らの背から大木刀を下ろし、ひとつひゅん、と振って手に馴染ませる)&br;では…行くとするかの。静次!頼むぞ!(構え、真っ向から巨岩を見据える。この要石を見つめ、物思ったこともあった)&br;(それもこれも全て、今、この時のために。この世に生を受け二十数年。幾千、幾万と振るった刀の、行き着く先はここなのだ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-29 (土) 22:19:47};
---&color(#E9967A){(ここまで来てしまえば後は己と、二人を信じるのみ。まったく、不肖の兄かと思っていればいつの間にやら大きく、強くなってしまった)&br;(その背を見やりながら、二人の前に歩み出て、忌まわしき巨岩の前へ進み出る。そうして呼吸を整え、懐から神木の枝を取り出ししゃん、と一つ振るい)&br;畏み畏み奉る───&br;(低く重々しい力ある言葉が紡がれ始める。その声は巨岩の作った荒野を滑り、響き渡る。言葉が一つ紡がれるたび、言葉が一つ増えるたび、巨岩の存在感がぶれ、揺れるような錯覚に捕われる)&br;(いや、よく見れば錯覚ではなくさらさらと巨岩から砂がこぼれ落ちているのが分かるだろう。そして注連縄が、僅かずつみりみりと音を立て、ねじれていき)&br;(遂には、ぶつん、と注連縄が落ちる。それに合わせて加速度的に巨岩の崩壊は進み、ぼろぼろと岩は割れ大小様々な破片が落ちていく)&br;(そうして、その後に残ったのは歪な人の形をした…体のあちこちを岩と根で覆われ、所々から剛毛が生える巨大な体躯を丸め眠っているような…静かなる荒ぶる神の姿だった)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-29 (土) 22:20:15};
---&color(orangered){(彼が構え、自分も構える 少し腰を落とし臨戦態勢へと入り、いかなる存在にも気圧されぬようにと歯を食いしばる)&br;(暫し時が止まったような世界で、静次の姿がゆらりと前へ進み、清浄の枝を一振るい、そして朗々と声を響かせる)&br;(混沌とした世界で唯一の命綱である注連縄が、サラサラと落ちる砂粒と共に壊されていく 歪み、捩り、徐々に破壊されていくその様は、崩壊という名そのものだ)&br;(私達が負けて再封印も叶わなければ、この岩のようにこの国も…)&br;(ついに岩は完全に砕け、封印は完全に解かれてしまった そして現れたその姿に…声を出せなかった)&br;(完全な異質に対する恐怖 命をかける責任と義務 後戻りはもう出来ない やるしかない やらなければならない)&br;(息を吸い込む音、心の臓が一つ鼓動する音すら、あれを刺激してしまうのではないかと、瞬きすらも躊躇してしまう緊張感が辺りを包んでいった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-29 (土) 22:47:20};
---&color(#800000){(ごくり、と喉を一つ鳴らしその異様をまざまざと見る。だがしかし、その姿はぴくりともしない)&br;(封印から解放された荒神は目立った動きを見せず、足を止め腕を垂らし石像のように動かない。人で言えば瞳に当たるであろう箇所も閉じられている)&br;(静次の儀式のせいだろうか、先程から感じていた邪気も鳴りを潜め、むしろ周囲は静寂と清浄に支配されつつあり)&br;(まさか封印の中で既に力尽きていたのだろうか?そんなことを思いながら訝しげに眉をひそめ、じりじりと近づいていく)&br;(そうして大木刀の一足一刀の間合いに入り込み、迷いを見せつつもゆっくりと大木刀を振りかぶり──)&br;&br;(その瞬間。何の前触れもなく荒神の瞳は開かれ)&br;(闇よりも深い黒い黒い眼が大木刀ををしかと見据え)&br;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9619; &#9619;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608; &#9619;&#9608;&#9608;&#9608;&#9619;&#9619;─&#9608;&#9608;─&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9619;───!!!!&br;(吠えた。漆黒の意思を波動として、音にならないこの世全てを呪うがような咆哮を高々と放つ)&br;&br;(まるで肌から染み込んでくるかのような濃厚な邪気がその咆哮と共に辺りに撒き散らされる。今まさに攻撃を仕掛けようとしていた赤毛男はそれをもろに浴び)&br;(一瞬、触れもされていないのに意識が僅か揺らいだ。それを歯を食い縛り耐えたが…それだけでは済まない)&br;!!…ぐうっっっ!(続けて振るわれる丸太より太い荒神の腕。即座に攻めを中断し、全力で受ける。だがそれでも、硬く重い物同士がぶつかり合う大きな音を響かせ)&br;(軽々とその身は吹き飛び、浮かされてしまう。その衝撃たるや、気を失わず空中で身を捻り足から着地できたのは僥倖としか言えない)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-29 (土) 23:44:11};
---&color(#E9967A){(最初は動きもしない荒神に緊張の糸を張りながらも思案していたが、邪気を放出し始めた荒神の威を感じながら額に汗を垂らす)&br;(伝承には聞いていたが、なんと禍々しいことか。これでは耐性の弱い者はたちまち気が狂ってもおかしくはない)&br;乱蔵!!(木っ端のように宙を舞う乱蔵を見て、鼓動は高まる。木片の人型を取り出し、素早く印を切って念を込めはじめ)&br;(この相手では並の式は役に立たない。ならば、初手から最大級の持ち駒を出すまで)&br;(持てる呪力を込めるだけ込めて、木片を荒神の前へ投げ放つ。それは空にある間にみるみる内に枝を伸ばし、根を伸ばし巨大な樹人となる)&br;(それはホウサも見たことがあるであろう樹人。だがその力強さはその記憶を更に上回るだろう)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-29 (土) 23:45:30};
---&color(orangered){(痛々しいまでの沈黙を乱蔵のにじり寄るような歩みがゆっくりと破っていき、そのまま一撃を食らわさんと振り上げたその時)&br;(真の沈黙を破ったのは、耳にとどめた瞬間に発狂しそうなほどの呪言であった)&br;らんぞー君!(だがそれよりも彼の身体がふっとばされた事に意識が集中し、追撃を恐れ着地した彼の前に回って怪我の具合を確認する)怪我の具合は、動けない所は無い?&br;(その間に静次の投げつけた枝が瞬く間に見覚えのある姿へと変容としていった)&br;(あれは静次の操る中でも最高位の存在だ 初めから一気に叩きこむつもりか だがそれには賛成だった 長く時間を取る訳にはいかない 長引けばこの邪悪な気に当てられてしまう)&br;(緑の巨人と岩の巨人が相対するその様は、目の前で見ているにも関わらずどこか現実離れしたような光景であった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-30 (日) 00:00:54};
---&color(#800000){…むぅ…大事ない(頭を振りながら彼女に答える。微かに脳震盪を起こしているようだが、骨や筋肉を痛めていることはなさそうだ)&br;(全身に残る衝撃の余韻に、養成校時代、怪しげな料理屋で食らった一撃を思い起こす。あの鋼鉄の教師イーグルが敬うあのボスの一撃に比べれば)&br;(…これしきの一撃、なんと身痒いことか)静次!あれを寄越せい!(樹人を操る静次に叫び、呼びかける。そうして静次が投げ放った包みを受け取り)&br;かかっ!喰らえい!(ばさりと包みを解き放てば、現れるは大型の火縄銃。この国にあるより高性能な、そしてこの戦いに挑むに辺り早合を改良した一品)&br;(いつか、クウィエースより手に入れたそれを撃ち、込め、撃ち、込め、撃ち、込め、樹人が肉薄するまでの間、何発もの鉛の玉を荒神の身に降らせる)&br;(いくつかは荒神の纏う岩に弾き飛ばされたものの、いくつかはその身を裂いて肉に食い込む。そしてそこから、黒い黒い血が噴き出)&br;(ほんの僅かに怯んだその隙に、樹人がどすり、と大地を揺るがして踏み込み、枝をより合わせた太い腕を荒神の身に打ち付ける)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-30 (日) 01:03:56};
---&color(#E9967A){(もしやのことにと持たされていた荷物を乱蔵へ放り投げて、そのまま意念を込め樹人を荒神へと向かわせる)&br;(その身は荒神より一回り小さいか。しかし構わない。だからと言ってやることは変わらないのだから)&br;律ッ!(轟砲が荒野に断続的に響く。乱蔵の火縄銃が火を吹いたのだ。この機を逃してはならぬと、樹人の動きを早め)&br;(先程乱蔵が受けたであろう何倍もの衝撃を弾かせて荒神の頭に樹人の太い腕が叩きつけられ、荒神がぐらりと揺れ、身に張った根がぶちぶちと切れた)&br;(手応えあり。続けざまにもう一度樹人に命を下し、再度腕を振るわせようとしたが…)&br;ぬぅ!?(動かない。樹人の腕はいつの間にか荒神に押さえつけられていた。そして即座に振り放そうとした静次の目に、何故か、荒神が笑ったように見えた)&br;(荒神がその大きな顎をゆっくりと開いていく。その奥は瞳と同じ、闇よりも深い闇。何もかもが、光さえ届かぬ虚無。その顎が腕に近づいて)&br;くっ…があああっ!!!(ばくり、と樹人の腕が食われる。だらりと垂らされたその腕はもはや数本の枝で繋がっているに過ぎない)&br;(烈火のような痛みを静次が襲う。'返し'が式を通し静次を蝕んでいるのだ。だとしても、これ程までに強い返しは記憶にない。迸る邪気が式を通し流し込まれているような)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-30 (日) 01:04:21};
---&color(orangered){(彼の一言にほっと安堵するも、先ほどの衝撃は生半可なものではなかっただろう)&br;(あの巨岩の肌は普通の岩の衝撃と考えてもいいのだろうか 気を拳に込めて繰り出せば岩くらいは壊す自信はある しかし相手は荒神と呼ばれる異質の存在 ただの岩とは訳が違うだろう)&br;(倒す倒さない以前にどんな攻撃が効くか効かないか、それからが問題なのかと少し不安になるも、乱蔵の威勢のよい掛け声と共に繰り出される次の一撃がそんな悩みを消し飛ばしていった)&br;(あれは確か養成校時代に彼が買った物 火花を散らして放たれる轟音にも驚いたが、何よりそれがあの荒神に効いていることに一番驚いた)&br;(攻撃は効く 倒せる可能性はある 勇気を奮い立たせて移動しつつ両の掌に練気を纏う 自分の攻撃が効くかの確認の為に)&br;(衝撃を受ける荒神に休ませる暇も与えず続けて繰り出されるは緑の拳 更に衝撃は荒神を襲いこれにより隙が生まれように見えた)&br;(しかしその希望を嘲笑うかのように大口を開けた荒神が、何の躊躇もなくバグリと食いつく様はまさに悪夢のような光景であった)&br;…っ 静次君 引いて!(張り上げる声は彼の悲鳴を抑えその耳に届くほどの大きさであった)&br;(吐き出す声も練り上げた気を爆発させる作用になる 移動する足が突如ぴたりと止まり、軽く地面を蹴ったかと思うと、両手を前に突き出し荒神に狙いを定め)&br;(その瞬間、掌を中心に光が膨らみすぐに凝縮したかと思うと、恐ろしいほどの速さで炸裂していった)&br;(『白南風流練気術【草矢】』本来は草原になびく一本の草でも、気を込めて放てば致命傷を負わせる威力のある技だが、今回使用したのは草ではない)&br;(込めたのは、草や石よりも更に固く頼もしい、先程打ち損じ地面に落ちた鉛玉だ その一つを目ざとく見つけ、蹴り上げ打ち放ったのだ)&br;(乱蔵の火縄銃と静次の樹人の攻撃を受けた箇所を、鉛玉を込めた光の筋が正確に狙い定めて向かった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-30 (日) 01:47:07};
---&color(#800000){くっ…静次!無茶をするでない!(有効打を与えたかに見えたが、甘い考えだったようだ。無理な連射をして焼き付いた火縄を投げ捨てる)&br;(元より火縄だけで倒せるとなど思ってもいない、それでも、隙を与えるには充分に役に立ってくれた)&br;(大木刀を構え直し、荒野を素早く駆け、荒神へ接近する。静次のあの苦しみようでは、樹人を早く引き離さねば危ない)&br;(そう思っていた時、背後から凛とした、強く高い声が響く。彼女だ、彼女の声だ)&br;(その声を聞くが早いか、赤毛男の脇を一閃の光が過ぎ去っていく。それは光、闇を切り裂き払う輝く生命の光)&br;(光は矢のごとく飛び走り、荒神へと突き刺さり──)&br;(弾けた。その身を裂き、纏った岩を砕き、荒神の身に深々と食い込み、弾ける。火縄を食らった時とは比較にならない量の黒い血が飛び散り、汚泥のような黒い肉が荒野に舞う)&br;&#9608;&#9608;&#9608;&#9608;&#9619;&#9608;&#9608; &#9619;&#9608;&#9608;&#9608;&#9619;─&#9608;&#9608;─&#9608;&#9608;&#9619;───!(荒神が吠える。その声はおどろおどろしく耳を犯し、肌を浸すが、しかしそれこそは彼女の業が効いている証拠)&br;(飛ぶ。彼女の残した光の軌跡を追うように、その道を突き進む。そして、中空にて体を捻り、ぐるりぐるりと回り、刃先を加速して)&br;(『椿乃形』<鬼落し>。何者を断つように鋭さを増した大木刀が身悶える荒神に襲いかかり、両断せんが如く迫る)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-30 (日) 03:02:53};
---&color(#E9967A){ぐうううう……(その身を苛む痛みは、病に倒れる己が身の痛みとよく似ていた。忌まわしい記憶を思い起こしながらも、歯を食いしばり耐える)&br;(だが、その痛みの苛烈さは病の時とは比較にならない。気を抜けば一瞬で倒れてしまいそうになりながら、それでも噛み跡から侵食され崩れゆく樹人に命を下そうとしたが)&br;(その時、光が弾けた。その光は痛みの嵐に耐える己を照らすようで、ふ、と身体が少し楽になる)&br;かたじけない…!(気のせいではなくホウサの攻撃の後、痛みは和らいだ。恐らくは、邪気が弱まったのであろう。しかし、それは消えた訳ではなく)&br;…無念…!二人共…。後を頼む…(樹人に込めた呪力が荒神に持っていかれ、そして今もなお式を通じて己が食われていくのが分かる)&br;(ここは退かねばなるまい、このままでは二人の足手まといになるどころか、荒神に力を与えかねない。樹人を収め残る呪力をかき集め大鳥を喚び出しそれに乗って後退していく)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-30 (日) 03:03:46};
---&color(orangered){(効いている! 確信に思わず笑みが溢れる 再度両手に気を貯めつつ、静次が引いたのを横目で見届け)&br;(全身を蹂躙されるようなおぞましい叫び声に歯を食いしばりながら耐える これしき耐えなくてこれからのことなど乗り越えられはしまい)&br;(光弾の筋を追い飛び跳ねる乱蔵の姿 纏う気迫は今までの非でない これが彼の、彼と大木刀が戦う真の姿で荒神に迫る)&br;(これで決まるのだろうか しかし決まってもおかしくないほどの迫力が彼にはある 荒神の動きと狙いに注意しながら、その先を見定め、彼の行く先を見届けていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-30 (日) 20:14:54};
---&color(#800000){(振るわれる大木刀は既に黒々と色を変えており、荒神と相対するに当たってその神性を出来るだけ高めている)&br;(その大木刀の鋼鉄をも断つ斬撃を恐れたか、先ほどの光の矢を喰らい傷ついたからか、人ひとりでは両手を回しても到底届かぬだろう太い腕を持ち上げ)&br;(初めて明確にその巨大な手の平で自らの体を守る姿勢に入った。しかし、大木刀の刃ならぬ刃はお構いなしに吸い込まれていき)&br;どうじゃ!…む?(覆われた岩ごと荒神の手の平を断ち切り、その一本一本が並の木ほどある指が乱れ跳ね飛ぶが)&br;気をつけい!ホウサ殿!(あろうことかその跳ね飛んだ指を無事な手で掴んでホウサへと投げ飛ばす。こちらは攻撃をした直後、割り込もうにも間に合わない)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-30 (日) 20:41:06};
---&color(orangered){やった!(大木刀の一撃は見事に荒神の手指を切断し、壊れた人形の如く散らばっていく 片手はこれでもう使い物にならないだろう)&br;(こうして確実に部位を破壊していけば勝利は得られるはず 自分は乱蔵の攻撃が当たるように援護に回れば)&br;…え?(まるで先ほどの自分の攻撃の真似をしているかのように、飛び散る指をこちらに向かって投げつけられた あの太さでまともに受けたらどうなることか)&br;(予期せぬ攻撃に対応が一瞬遅れる 戦いの場で生死を分かつ一瞬を その間にも指は容赦なく迫っていた)&br;(握る拳を振り上げ、真っ直ぐに下に向かって殴りつける)&br;(途端、土砂が光と共に間欠泉の如く吹き出し指との間に割り込んだ 気を大地に叩きこみ巡らせ、任意の場へ吹き上げる技【噴井】だ)&br;(しかしそれで指は勢いが完全に死んだ訳ではない 速度は落ちたもののこちらへ向かう軌道は落ちなかった)&br;…ぐぅっ!(咄嗟に飛び退りながら指を抱きとめるように抱えて転がる 胸や腹に衝撃が来たが速度を若干落としたお陰でまともに食らうのは防げた)&br;(げほげほと咳き込みながらも、視線は荒神から外さず距離を保つ 荒神にとって大木刀を持つ乱蔵が最大の脅威だが、こちらもまた完全に敵と認識されたようだ)&br;(今度はどれだ 指か、それとも切られた掌か)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-30 (日) 21:14:59};
---&color(#800000){(煌めく光の帯に勢いを削がれたものの、黒黒とした指先は勢い良くホウサに当たり、大地に落ちどろりと溶ける)&br;おのれぇ!!(ホウサへ指を投げ飛ばした荒神へ素早く平突きを繰り出すも、巨体に似合わぬ早い動きで半分ほどに傷つき欠けた手の平をもって防がれた)&br;(この一撃も肉を裂き、抉ってはいるが、それを対して痛痒に感じていない荒神に焦りを覚えつつ、続けざまの返す刀を振るおうとすれば)&br;(荒神が僅か、その顎を開いた。それは見ようによっては笑みにも見える歪な顔。そしてそれを向ける視線が、己ではなく彼女を見ているのに気付く)&br;くっ…!そんなにホウサ殿は美味そうに見えるかの!(荒神は、食らう。ただただ渇望に突き動かされ喰らい、咀嚼し、消化し、取り込む)&br;(煮ても焼いても食ってしまえば毒となる大木刀などより、生命の輝きそのものを迸らせる彼女はよっぽど魅力的に見えるようだ)&br;させぬっ!(逆袈裟に大木刀を切り上げようとした、その時、荒神が身を弛めたのが分かって)&br;(荒神が、その巨体が、飛んだ)&br;(目いっぱいに虚無の顎門を開いて、とびっきりのごちそうに口から飛び込むように、ちょっとした建物もあるその巨体が空を行く)&br;ぬうっ!!避けるんじゃ!(焦燥に駆られ全力でその後を追う、まともにあれを受けるのは尋常ではなく危険だ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-30 (日) 22:00:25};
---&color(orangered){(先程よりも乱蔵の攻撃が効かないように思える 気を乗せていないからか 隙をついて一気に叩きこまなければ)&br;(呼気により体内の気を変化させ調整しつつ、こちらも少し焦りを感じる 先ほどの攻撃による痛みもだが威力が途方も無い)&br;(油断した訳ではないにも関わらずこの怪我では、その内自分も引くことになるのでは)&br;(いいや引かない 自分が引く時はこの世から引く時だ 最期の一撃となろうとも絶対に引くわけにはいかない)&br;(闘争心を奮い立たせていれば、荒神の動作に何か違和感を覚え始めた)&br;(見ている)&br;(ぞくりと背中が粟立つ 間違いない 荒神は自分に集中している 何故自分にと疑問を抱えていれば、すぐに乱蔵の言葉によって解かれた)&br;たべ…る?(その瞬間 どうしようもない程の嫌悪感と戦慄が走った あのわずかに開けた口は、私を食らおうとしているのか)&br;(嫌だ 嫌だ 絶対に嫌だ 青ざめつつ純粋なまでの拒絶反応を示し、じりっと足に力を込める)&br;(荒神の身体が動き、宙を舞った その目指すべく着地点は………私)&br;(全力で駆け出す 乱蔵の元へと あれの直撃を受ければただでは済まないだろう それとは別としてあの口に近づかれるのは我慢出来なかった)&br;らんぞー君!(大地を押し込め削り取るかのごとく、力強い速さで逃げ切り、乱蔵の方へと手を伸ばした)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-30 (日) 22:24:33};
---&color(#800000){(間一髪、荒神の影が落ちる地面から彼女が飛び退り手を伸ばす。その手を掴んで胸の内に引きずり込み、荒神に背を向ける)&br;(大地を揺るがす轟音。口から加速度をつけて着地した荒神の巨体が、地面をひび割れさせ、自らの纏った岩をも壊しなながら大小様々な礫となってその背にびしびしと当たる)&br;(一拍の後、それが収まり振り返れば、大地からゆっくりと立ち上がる荒神の姿。割れた岩をぼろぼろとこぼし、這わせた根も衝撃に切れ幾つか落ちて)&br;(だが、気のせいだろうか。纏った岩が、根が剥がれるたび、荒神の邪気は増大しその禍々しさを増しているように思える)&br;…すまん、ホウサ殿。少々時を稼いでくれんか(腕の中に抱いた彼女へ言う。その声色は硬く響く。信頼と焦慮が入り混じった硬い声)&br;&br;(そうして前に立ち荒神に向き直り、自らの手の甲を噛みちぎり、ぼたぼたと鮮血を溢れさせ、その手を大木刀へ添えて)&br;(赤黒いその身を横たえた大木刀に対し、祈りを捧げるように、想いを伝えるように、朗々と力ある言葉を紡ぎ始める)&br;&color(white,black){&size(17){畏};み&size(17){畏};み&size(17){奉};る───};&br;(目の前の大木刀へ。捧げる言霊は囁きのようでいて、力強く独特の抑揚を持って響く)&br;&color(white,black){&size(17){此};れの&size(17){掌};に&size(17){鎮};まり&size(17){坐};す &size(17){掛};けまくも&size(17){畏};き&size(17){禍布都神};に &size(17){恐};み&size(17){恐};みも&size(17){白};さく};&br;&br;(二人を見失った荒神はしばし周囲を見渡していたものの、すぐにその虚ろな目を止め、ずしん、と重い一歩を踏み出す)&br;(虚無を押し固めたようなその瞳は、何を見つめているのか。既の所で逃してしまった垂涎の獲物である彼女をか)&br;(それとも、男が低く言霊を重ねるたびに紅く朱く鈍い輝きを灯す大木刀をか)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-30 (日) 23:42:40};
---&color(orangered){(愛しいその胸の中へと自らも飛び込み、しっかりと固く抱きしめ合う 先程味わった恐怖と彼の温もりに思わず涙がにじみ出て)&br;(そうする内にくるりと向きが代わったかと思うと、彼の背後から怒涛の勢いで音が、風が、礫が二人を襲った)&br;(あれから守って…―襲われ傷つく彼の背中を介抱しようとした瞬間、先程から感じていた荒神の狂気の気配が色濃く増しているのを感じ、無意識に彼の着物を握りしめていた)&br;(彼も気づいていることだろう あの岩が、根が、ある種の封印でもあるのだと それが全て剥がれ落ちた後は…)&br;(耳元で彼の声が響く 今までのどんな言葉よりも重く、強く、真剣に)&br;…判った 任せといて(顔を上げ、はっきりとそう頷いた あれに暫く一人で立ち向かうなど無謀も良い所だ 死んでこいと受け取ってもおかしくはない)&br;(でも私はやるんだ 他の誰でもない私が彼の助けになるんだ 私はその為にここに来たんだもの 私を信頼してくれる彼の為に 私自身の為に)&br;&br;(心地良い居所を離れ死地へと赴く こちらを見つめる虚無の瞳へと向かい一歩踏み出す 歌うような彼の祝詞を背後に置いて、特殊な呼吸法を開始する)&br;(吸ったかと思えば延々と吐き続け、短く長くと不規則な手順を踏みながら、体内から徐々に徐々に熱が込み上げていく)&br;(呼吸法を終えた後、技名を口にすれば発動する だが実際は一度も試したことはない 危険だからと言われていたからだ)&br;(これを行うのは確実に仕留められる時のみ行うように 仕留め損なえば後は無防備となり、なすがままにされるだけだと)&br;(私の今の力で仕留められるとは思えない だが時間を稼げることは出来るだろう 私の力が尽きたとしても、彼ならばきっと仕留められる)&br;(軽快な足取りで近づいていく 彼がこれから行うことの邪魔立てをしないように できる限り私に意識を集中させるのだ)&br;(それを思えば、自分が狙われているということも大いに役に立ったなと思った ただ簡単には食わせてあげられないが)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-01 (月) 00:21:55};
---&color(#800000){(彼女の小さな背を見届けながらも言霊は続く。僅かに瞳を閉じ、響くその声はまるで静謐なる儀式を執り行っているかのよう)&br;(…彼女が居て、本当に良かった)&br;(こんなことは、彼女以外の誰にも頼めないだろう。命を賭しての時間稼ぎ、それを快く引き受けてくれる彼女に言い知れぬ頼もしさを覚える)&br;(恐れが、無い訳ではない。だがそれでも、頼めるのは彼女しかいない。それさえも汲み取ってくれた彼女には言葉も無い)&br;(そうして、言霊は低く静かに紡がれ続ける)&br;&br;(大木刀を持つ男は動かず、ただ何事かを呟いている。その手に持つ荒神から見れば木片に等しい大木刀はしかし、朱く染まり荒神の記憶を揺さぶる)&br;(何かに突き動かされ、その男を叩き潰し捻り潰し押し潰し、その手に持つ木っ端をへし折らねばならないと朧気に感じ始めたその時)&br;(一人の少女がその間に立ち塞がる。もし荒神に人の感情を読むことが出来るのであれば、その顔に浮かんだものは悲壮でも決死でもなく)&br;(覚悟。心に決めた事をやり遂げる、唯一つの強い意志であることが分かったかもしれない)&br;(しかし荒神は人に在らず、喰い尽くし、破壊し尽くし、ありとあらゆる命あるものを虚無へ返すだけの禍津神)&br;(生命の輝きを高め、よりそそられる一品と化しつつある少女を捕らえ食らいたいという本能に従い)&br;(傷を負っていない手を伸ばし、彼女の意思とは関係なく無造作に、無慈悲にその強大な力を振るわんとする)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-01 (月) 00:58:19};
---&color(orangered){(背すじも凍るような禍々しい空気が漂ってくる そのまま前進すればその気にあてられ穢れてしまいそうなほどに)&br;(だが背後からそれを打ち消すような清浄な空気が穢れを押し留めていく まるで守護しているように)&br;(いや、護られているのだ 彼の清廉なる魂を持って)&br;(思えば初めてあった彼も、とても清らかな人だと思った 初めて手にした大木刀の清らかさもそうだが、何よりそれを振るう彼が一番清らかだったのだ)&br;(だから、大木刀は彼に振るわれているのだろう 高め合う清浄な心の持ち主同士として)&br;(ここから先は、一歩足りとも近づけさせない 彼らを穢れさせてはならない)&br;(穢れは私が一身に引き受けよう 戦うということは、業を背負うに等しい 荒神の業も乱蔵の業も大木刀の業も、今は私が一身に引き受けてみせる)&br;&br;(荒神が迷うこと無くこちらに向かって手を伸ばす 己が本能のままに、誰と分かち合うこともなく)&br;(ふと、それがどれほど恐ろしいことなのだろうかと思った この神とて始めは誰かの役に立ち、幸せをもたらす存在であったろうに)&br;(そう思うと、尚更早く終わらせてあげたいと心に思った 恐怖も悲愴も憎しみも今は何も表われない ただ倒さなければならない相手を倒すのみ)&br;&br;黒南風流秘奥義 【'''炎帝'''】&br;&br;(さらりとその名を口にする 言葉は言霊となり娘に力を与える 突如爆発したかのように娘を中心に気が溢れ出した)&br;(その勢いは荒神の差し出す手を抑えるかのごとく、爆風のように押し留める)&br;(静かに彼女は禁断の技を発動させた 炎を纏うがごとき体内の気を溢れ出させるその姿からその名はついたのだろう)&br;(だが理性は辛うじて残っている 最後の一線を途切れさせないようとする心と、本能の赴くままに目に付く全てを破壊しようとする欲求の拮抗によって、力は更に上がっていく)&br;(娘の口がぱかりと開き、初めは小さく、徐々に大きく声が響いていく 最後にはとてつもない野獣が発する雄叫びのように 内なる気を口からも発するように)&br;(突如、娘の姿が掻き消えた 恐ろしいほどの速さで跳躍し、伸ばした腕に向かって高々と片足を天に向かって掲げ、轟音と共に振り下ろしていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-01 (月) 01:44:28};
---&color(#800000){(何もにも抗えぬその力、大木を引き抜き、家など一撃で跡形もなくすその力に少女は敢え無くその身を捧げる…はずだった)&br;(伸ばした手の先で爆発的に高まる生命の輝き。それは目に見える程の質量を伴って火となり、炎となって少女を覆い、炉の如く焔を吹き出させる)&br;(内丹を極限まで高めた証であるその焔は、今まさに迫ろうとしていた荒神の手に吹き付ける。それだけで剛毛の生えた荒神の手はちりぢりとその毛を焼いて)&br;(仔兎が、鳳凰となった)&br;(身を焼く攻撃的なその生命の焔の圧力に、僅か手の侵攻が遅れ、その間にも少女の力は膨れ上がっていく)&br;(だがしかし、荒神にとってそれは珠玉の獲物が、至高の宝石へと変わったようなもの。生命の迸りを押し潰すかのように手を伸ばすことを止めない)&br;(荒神は恐れない。何故ならそれは与える物だから。荒神は怒らない。何故ならそれは向けられるものだから。荒神は悲しまない。何故ならそれは己自身が生むものだから)&br;(焔にくべた枝のように焼け爛れながらも、荒神は止まらない。止まることを知らない。荒神にあるのはこの世全てを呪いただ喰らいたいという欲求のみ)&br;(ならばそれを止めるのは)&br;(それ以上の力だろう)&br;(今まさに少女を捕らえ、鷲掴もうとしたその時、その手の内の中から少女の姿が消える。虚ろな瞳がそれをまた捕らえる前に彼女の姿が現れたのは伸ばした腕の肘の上)&br;(耳をつんざく爆発音が響く。極大の勁が込められた少女の蹴りは鬼神の振るう斧の如く。計り知れない威を持って問答無用に荒神の肘を爆散させ吹き飛ばす)&br;(純然たるその攻撃力に荒神の巨体が仰け反り、片腕を失った身をよろめかせ、押し留まる)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-01 (月) 03:37:57};
---&color(orangered){(片腕を蹴り飛ばし、よろめくその巨体に、着地と同時に斜めへ被弾しその腹に拳をめり込ませる)&br;(針で突くかのごとき貫手【青時雨】 狙い違わぬ関元へと深く突き刺さり、その姿勢から、章門、電光、&#33211;中、水月、活殺と流れるような動作で貫手を放つ【青嵐】)&br;(連撃はそこからとどまることを知らず、心の臓の周りを拳撃・肘打ち・掛け蹴り・膝蹴りと予測もつかない早業の連続 そのあまりの激しさについた名は【驟雨】)&br;(疲れをものともせず、更に攻撃を加えながらも体内では内に気を貯め続け、拳から肘から膝から足から、伝わってくるのは虚無の孤独)&br;(そしてついに、その気を爆発させる時が来た それは戦うことへの歓喜か、荒神の末路への悲哀か、その存在そのものへの空虚か)&br;(本人にも判らぬ雄叫びを上げ、拳を振り上げ秘中に狙い定め、迷うこと無くまっすぐにめり込ませる)&br;(様々な思いを込めた一撃 込められた気が拳に触れる肌に注がれ凄まじい勢いで荒神の体内を駆け巡る)&br;(それはまるで落雷に打たれたかのように、叫び声を上げることすら許されないほどの衝撃が内から襲いかかる)&br;(体内のありとあらゆる組織に電流を這わせたかのような壮絶な激痛 神経は千切れ、骨はきしみ、肉は焦げ付き、内から崩壊していく苦悶の地獄 【鳴神】)&br;(最後の最後 気の尽きた拳がゆらりと落ちる そしてそのまま身体は真っ逆さまに落ちていく)&br;(落ちていくその朧気な視界の中で、乱蔵が動いたのが見て取れた)&br;&br;―間に合った―&br;&br;(そのまま地面へと無念の表情で崩れ落ちた これから先の彼の活躍を、その目で見れないことが悔しかった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-10-02 (火) 00:17:32};
---&color(#800000){(少女の生命の奔流が瀑布となって虚無の禍津神を打ち据える。人であれば経絡を周り巡っているであろう精気、しかし荒神に流れるるは禍々しき邪気)&br;(それが、適所で打ち込まれる炸裂弾のような勁に循環を絶たれ、止められ、千々にちぎられていく)&br;(鳳凰の羽のように、輝く焔の残滓を残し目にも留まらぬ動きを見せる少女に荒神は為す術もない)&br;(一つ、轟音が響くたび、一つ、空気が割かれるたび、じりじりと僅か後退さえしはじめる)&br;(そうして荒神に比べれば小さな、小さな拳がしかし太陽のごとく燃え、荒神の胸に吸い込まれていき…)&br;(乾いた、高い高い音が激しく荒野に響く。それは地に落ちた霹靂。雷にも等しい生命の迸りが放たれ荒神の巨体を激しく苛んだ)&br;&br;&color(white,black){&size(17){荒振神};をば &size(17){神掃};へに&size(17){掃};へ&size(17){給};へと &size(17){畏};み&size(17){畏};みも&size(17){白};す───};&br;(血に濡れた手を大木刀に滑らせれば、脈動し蠢くように赤黒い大木刀がその血を吸い)&br;(それに呼応して朱く紅く、大木刀が仄かに鈍く光を帯びて)&br;&color(white,black){───その威、示し給え『大祓乃太刀』。};&br;(祝詞が終わる。文字通り生命を燃やし、荒神に立ち向かう彼女が作ってくれた時がそれを成した)&br;(その瞬間、大木刀の灯していた赤黒く光が、白く清らかなる光に変じた。それは邪悪を祓い、魔を討つ力)&br;(神なる刃を携え、男は走る。彼女の作ってくれた機を逃してはならぬと)&br;&br;(仄かに白輝く大木刀を握り締めて荒野を駆け抜ける。片腕を失い身を焦がす荒神に向かい飛んで身を捻り背を見せたまま接近して)&br;(『菊乃形』<隠逸花>。その身で覆うように大木刀を隠し、攻撃が生きる間合いのぎりぎりまで見せず)&br;( -接技- 突如、捻った身を戻す勢いを乗せて袈裟懸けに振り下ろす。荒神の胸を切り裂く刃。そのまま着地して更に飛び)&br;(『薊乃形』<燕雀>。全身で繰り出される平突き。連撃の流れにまま繰り出された突きが、しかしやや逸れて突き進み)&br;( -接技- 否、途中で軌道を変えて燕が舞うように翻る。知覚しにくい角度から大木刀の先端が残る手の防御を掻い潜り胴体へ襲いかかる)&br;(『椿乃形』<辻風>。腹を突き込まれ間欠泉のように吹き出す血、滑らかに大木刀を引き戻して次の一手を繋ぐ)&br;( -接技- 鎌鼬の如く鋭き刃と化した大木刀の刃を持って足を狙い横薙ぎに薙ぎ払う。柱のような荒神の足が大きく傷つき、ぐらりと揺れ)&br;(『薄乃形』<湖月>。その隙を逃さず風を斬り、音に先立つ雷速の速度を持って地面を擦りながら逆さ唐竹にて刃が振るわれる)&br;(それはこの地にて伝えられた伝説の再現、湖面の月を真っ二つに割る神速の刃のみ成し得る妙技)&br;(反応させる間すら与えずに腹から頭にかけて、縦一文字のほの白き剣閃が巨大な体躯を轟、と割った)&br;&br;(『花鳥風月』。それは通常一つ扱うにも困難な昇形を続けざまに繰り出す奥の手の一つ)&br;(ましてや鳳凰に爪割かれた身に、神威の力纏った大木刀を受けるならば、どのような大妖も滅し祓われざるを得まい)&br;(どう、と土煙を撒き散らし大地に倒れ付す荒神。岩と根を纏ったその全身は表面から崩れ落ち、ぼろぼろと塵に帰っていく)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-10-02 (火) 01:36:02};
-&color(#800000){(ほう、ほう、と梟の鳴く声が闇の静寂に閉ざされた夜の中僅かに響く。吹き付ける風もそよそよと、ただ静かに流れ行くのみ)&br;(とうに日付も変わった夜闇の中、秋津の屋敷も深く静まり返り、一見動くものの姿は見受けられない)&br;(しかし闇夜に目の利く者が目ざとく見ていれば気付いたかもしれない、明かりも付けず寝間着姿で廊下を行く赤毛男を)&br;(更にその者が注意深く観察を続けていれば、赤毛男が常と違う独特な歩法を用いて殆ど音を立てず歩いているのも分かるだろう)&br;(夜更けに家人の迷惑を考えてかもしれないが、それにしては少々念が入り過ぎな忍び足に首を傾げもしただろうが)&br;(そして赤毛男は一つの部屋の前にたどり着く。そこは客人が泊まる際に使われる部屋。その前で立ち止まり…一つ深呼吸をして)&br;…入るぞ、ホウサ殿(十中八九寝ているであろうが、流石に一声かけておくべきだろう、と小さく呟いて少し待ち、す、とふすまを開けた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-12 (水) 00:27:41};
--&color(orangered){(春の夜の風が、障子を通して聞こえてくる そよそよと草がなびく様が目に浮かぶようで)&br;(そんな小さな音すらも聞こえるほどに静かな夜だった これだけの大きな屋敷だ 日中はそれなりに人のざわめきも聞こえ、その賑やかさがこの家の暖かさを感じさせるほどである)&br;(だが夜はやはり静かだった 春の気候がちょうど眠りを誘うのは昼も夜も同じ事 今日も用意してもらった布団の中で、心地よい眠りに誘われようとしたその時)&br;(遠くから、気配を感じた)&br;(屋敷では時折見回る人もいるが、その人の気配ではない 気配を隠す気配を感じる しかしそれが誰なのかは判らない)&br;(内心複雑な心境になった あの昼間の出来事 乱蔵と戦い静次と対決した日は、色々な意味でこの家の歴史の転換期となることだろう)&br;(まさかその関係か やはり部外者が余計な真似をと心よく思わない人もいるだろう)&br;(忠告なのだろうか それとも平穏を乱すものとして夜襲なのだろうか 近づく足音もほとんど聞こえない 明らかに辺りに気を配っている)&br;(こちらも気配を殺しつつ、そっとそばがらの枕を片手に持ち上げ、じっとその気配が訪れるのを待った)&br;(待ってはいても半分は心配のし過ぎではと、こちらに来るかも判らないと思っていたが、その気配はどんどん近づき、やがて部屋のふすまの前まで来た時、その考えは全て捨て去った)&br;(深呼吸する呼吸音を感じる その後に開ける気か そばがら枕を持つ手に力が入り、暫しの時がたった後、開けると予想しふすまに向かって枕を投げつけようと―)&br;―え?(声に驚き、夜中になのに思わず普通に声を出してしまい、その驚きのせいで構えの姿勢のまま乱蔵を出迎える羽目になってしまった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-12 (水) 00:46:01};
---&color(#800000){……?(手を伸ばしてふすまを開け放ったままの姿勢でたっぷり一呼吸分、ふすまを開ける前からは一寸たりとも予想もつかぬ彼女の姿とはた、と見つめ合う)&br;……!(空いた手でば、と口元を覆う。思わずこみ上げてくるものを遮るために。じわじわとゆっくり波のように潜み、そして現れる時は間欠泉の如く)&br;(いかん、これは我慢できぬ、と彼女が起きていたこと幸いと部屋の内側へ入り、後ろ手にふすまを締めて)&br;…ふはっ…ふ…ふははははははははっ!(それでもそれまでの苦労を台無しにしないよう、声はできるだけ抑え目にしておおいに笑う。まったくの遠慮なしだ)&br;い、いや悪気はないんじゃ、許せ(それはこんな夜更けに訪れたことか、未だ声の調子と表情から消えない笑いのことか。たぶん両方だ)&br;その調子なら体の方は問題なさそうじゃな、流石に随分と消耗しておったが今すぐにでも一戦交えられそうじゃ。なんなら枕投げでもいいぞ?(ん?と意地悪げに枕を受け止めるように片手をひらひらさせ)&br;(己と決して軽くはない戦いを繰り広げた直後に行われた真剣勝負。秋津の歴史でも類に及ばぬ程の激戦は、それをして彼女には爪痕を残さなかったようだ。まずは一安心という所か)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-13 (木) 00:43:59};
---&color(orangered){(気まずい沈黙の中、何かを堪えるように入ってきたと同時に、それが発散される姿を顔を真赤にして眺めるだけしか出来なく)&br;…そんなに、笑わなくてもいいじゃない(自分の勘違いに恥ずかしさで一杯になりながら、しまいには照れ隠しのように枕でバシバシと乱蔵を叩く)&br;大体こんな時間に来るのが悪いんでしょ! らんぞー君のバカ馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!(先ほどの事実を一切無かった事にしたいと言わんばかりに、枕を打つ手は止まらない)&br;(しかしそれもようやく落ち着いたのか、不意に動きは止まり、何事も無かったのかように枕を布団の上に乗せくるりと振り返り)&br;…それで、どうしてこんな時間に?(いくら自分の家とはいえ、夜分に女性の寝室を訪れるのはいささか問題ではないかと言わんばかりに、じろりと彼を見つめた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-13 (木) 00:54:22};
---&color(#800000){かかかっ!すまんすまんっ(上げた手で枕の猛攻から己をかばいつつ、楽しげに笑う。あの日見た拳の猛攻に比べればなんと可愛らし気なことか)&br;少々笑い過ぎたの、いや申し訳ない(ぼふんぼふんと枕を受けながら、ようやくこみ上げた笑いが落ち着いてきたのか、普通の調子に戻り)&br;(彼女も許してくれたのか、しばしの後大人しくなってくれた。…いや、この睨む目を見るに許し切ってくれた訳でもなさそうだが)&br;うむ…そのな、二人きりで少し話したくての(先ほどとは打って変わって真面目な表情を浮かべて言う)他の者に邪魔されずに、の。&br;(もちろん、この国に来てから常に人に囲まれていたという訳でもなく、時折二人きりになることはあったが、腰を据えて話をするような機会は殆どなく)&br;ホウサ殿にはきちんと知ってもらいたいことがあるでの(さて、何から話そうかと、言いながら考えているようなどこか遠くを見る瞳で)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-14 (金) 00:39:41};
---&color(orangered){(冗談めかした相手の顔が、きりりと引き締まるのと同時に語られる言葉 それに対し今までとは比べ物にならないほど嬉しそうに破顔して)&br;…そっか そうなんだ ……嬉しい(頬が少し赤くなりながら、今度は上目遣いに微笑み)私も、らんぞー君と二人きりになりたかったの&br;(そっと寄り添い、つかの間の二人きりの時間をじっくり感じる 以前はこれが当たり前だったのに もう遠い昔のように感じる)&br;うん……聞かせて(隣から彼の横顔を、ここではない何かを見つめるその瞳を見つめた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-14 (金) 00:47:32};
---&color(#800000){(少々行儀が悪いかと思いながらも、座布団代わりに布団の上に座り、その上で彼女と膝つき合わせて向かい合うように寄り添って)&br;まずはワシと共に戦ってくれること、それを感謝する。ありがとうの(そう言って居住まいを正し、軽く頭を下げ感謝の意を示し)&br;じゃが命の危険さえ伴うというのに、ホウサ殿に何と戦うのかも教えないのは心苦しいとも思うてな。…ちゃんと言うておかなかったワシが悪いんじゃが。&br;(そこまで言って、少し視線を逸らして頭を掻いて)まあ、殆ど知らずともついてきてくれると言ってくれたのは…正直嬉しかったがの(そして、またホウサに向き直り、視線を合わせ)&br;なんとなく察しはついておったようじゃが…昔何度か話したことがあったの。ワシらが戦うのはこの国に封印された荒御魂、人に仇無し狂える神と化した…荒神じゃ。}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-15 (土) 21:39:00};
---&color(orangered){(まだ寝る前だったので、ひんやりとした布団の上に正座をして向かい合う)&br;(告げられる感謝の言葉と下げられる頭に少し目を開き、次に柔らかく細めて)私の方こそ…ありがとう きっと貴方の力になるから&br;うん 具体的な話ってあまり聞いてなかったね あくまでらんぞー君の問題だから、部外者が深入りするのもと思って私もあまり聞かなかったけど&br;…でも、もう部外者じゃないもんね 貴方の問題なら私の問題だもん いつでも、どんな時でもついて行くから&br;(気まずそうだった視線が再び向き合う その瞳はいつにも増して真剣味を帯び、この事態の深刻さも伺えるようで)&br;人に仇なす神…そもそもなんで神様がそんな風になっちゃったの? もともと何の神様だったんだろ(単純な疑問に小首を傾げて訊ねる)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-15 (土) 21:54:08};
---&color(#800000){(彼女の微笑みに、厳しい戦いに挑む緊張感が解れ、心持ちが少し落ち着いたのを感じる。そうだ、いつもこの笑顔に助けられてきた)&br;ホウサ殿はもう立派に関係者じゃよ、あの戦い、実に見事であった(あの時、彼女が見せた強い意思を静次は文字通り身に沁みて感じているはずだ)&br;それに、まあ、その、将来的にはホウサ殿も名実ともにワシの家に関わることになろうしの、まあ、早いか遅いかだけの違いじゃわ(などと笑って言って)&br;(そして彼女の問いに、昔読んだ古文書の記憶を掘り起こすようにして、思い出し)元々は五つほど隣の国で祀られていた豊穣の神だと言われておる。&br;他の国のことゆえ、詳しいことは分からぬが、ある年に東国のこの辺り一帯を例のない厳しい飢饉が襲ったことがあっての…。&br;その年を境に、その国は地図から消え去り、荒神が生まれた。残された記録にはそう残されておる。…向江国もその時は危なかったようじゃの。}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-15 (土) 22:41:28};
---&color(orangered){らんぞー君の傍にいる為には、強くなくちゃね! 頑張ったもん(夜なので今更ながら少し押さえ気味に笑い声を上げて、拳を強く握る)&br;(彼に相応しい女性であるように 彼の家に相応しい人間であるように ここまで頑張れる人間になれたのも彼のお陰にほかならない)&br;あ…うん(少し照れ笑いを浮かべ、しかししっかりと頷き)なるべく早く、そうなりたいけどね&br;(そして話は始まる 彼の家の、彼の国の歴史が)…その荒神がその国を滅ぼしちゃったのかな それとも滅んだ後に誕生したの?&br;でも、なんでまたそんな物騒なのになっちゃったんだろ その飢饉と関係あるようだけど&br;(お伽話にもよくある話 もともと善神だったものが何らかの邪気に当てられ悪神になると そしてその悪神は次々に邪気を振りまき目標を変えていく)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-15 (土) 22:54:51};
---&color(#800000){そう遠くは…ないのではないかの(それは遠い未来のことではないだろう。決死の戦へと向けた意思とはまた別の、決意に似た思いを込めて言う)&br;恐らくは…両方じゃろうな。人に祀られ崇められる神は願い求める人そのものに影響される。生き地獄のような飢餓に襲われた人々が今まで頼ってきたものを呪ってもおかしくはない。&br;それにその年は戦も多くての。飢饉によって戦が起こったのか、戦によって飢饉が加速したのか…その怨嗟の念は神を貶めるに相応しいものであったのじゃろう。&br;幸い、天然の要害でもあるここは戦火を逃れておった。その国と向江国の違いは…それだけだったのかもしれん(そう、複雑な感情を込めて言う)&br;(回りを険しい山々で囲まれている向江国は、御神木の加護を抜きにしても守りやすく攻めにくい土地だ。荒神も転じる前は人々を飢餓から守ろうとしていたかもしれない)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-15 (土) 23:40:54};
---&color(orangered){豊穣の神として祀られていたからこそ、飢饉が起こってしまってはね…(少し沈む声でそう呟く 飢えにあえぐ人たちはどれほど世の無常を感じただろうか)&br;(その人達の負の想いが善神を悪神に変えてしまい、負の連鎖の末路は国の滅亡 遠い昔であっても、故郷の地でなくとも、やはりこういう話は気分が重くなる)&br;…そういう差が生死を分けるんだよね 戦になるかならないかの差なんて、普段気にもとめないものだったり&br;(自国も戦の絶えない国ではあるものの、まずは蓄えを欠かさず更には無闇やたらに戦をしかけずを前提にしている 何のために戦いをしているのかを、常に頭に叩きこんで)&br;(それでもやはり戦は物入りだ 続けば続くほど戦えぬ民から疲弊していき、その精神はやがて崩壊していく)…それで、その荒神はその後こちらに来たの?}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-16 (日) 00:02:27};
---&color(#800000){(声の調子を落とした彼女に、彼女にも思う所はあるのだろうと考える。以前聞いた話からすれば戦とは無縁ではいられなかったはずだ)&br;その通りじゃな、だからこそ少々気に食わんが春間の奴らはようやってくれてるのじゃろう。聞けば静次の奴もそちらの方面にも出張っておるようじゃ。&br;戦なぞ、やらずに済むのであればそれが一番良いからの。きっと雪音の奴もそう言うじゃろう(だがそれも、今現在豊かなこの国に生まれた者だからこその言葉なのかもしれないが)&br;…うむ。その国を滅ぼした後、周囲の国をいくつも滅ぼしての。元々それらの国も飢饉で弱まっておったからひとたまりもなかったじゃろう。&br;数々の国を滅ぼすうち、荒神は『魃我』と呼ばれるようになり、尽きることない荒廃をもたらしたそうじゃが…向江国でその歩みを止めた。&br;(子供の頃、何度も読み漁った古文書に書かれていた歴史、その情景を脳裏に描きながら、淡々と口にする。過去は過去、起こってしまったことは変えられないと)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-16 (日) 01:51:16};
---&color(orangered){魃我…(それがこの地域を苦しめた存在の名前 そしてこれから倒すべき名前)&br;(名を口にした後一度ごくりと喉をならす 名はそれだけで力を持つ この名にも発した瞬間にその荒神に力を与えるとも限らない)&br;この国も滅ぼそうとした時に、らんぞー君のご先祖様がこの国の人と力を合わせて封印したって訳だね&br;…つまり、ご先祖様は倒すことは出来なかった それをらんぞー君が倒す(おそらく何代にも渡って力をつけただろうが、それでも)…責任重大だね&br;その封印って一度解放すると、もう二度と同じように封印はできないの?(先祖から乱蔵までの間にも、きっと彼のような人はいただろう だが未だに封印されてるということは)&br;(討伐に失敗して再封印されたか、時が来るのを待って力を蓄え技を洗練させ、そしてこの代になったのか)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-16 (日) 20:36:48};
---&color(#800000){そういうことじゃな。向江国は周りの国に比べれば比較的国力が残っていたからの、魃我を迎え撃つことが出来た。&br;御神木の結界も踏み込まれはしたものの効果はあったそうじゃしな。…じゃが、耐えることは出来ても跳ね除けるには至らず、ひと月もの間国を荒らされながらも戦ったそうじゃ。&br;(それは厳しい戦いだったろう、当時は今と比べ人口も少なく、戦いのための技術も、邪を制する術も発展している今とは違う。文字通り命を盾にして耐えていたのだ)&br;それは…恐らく可能であろう、としか言えんな。何しろ封印されてから今まで、一度も封印は解かれたことがないからの。&br;最低でも、封印された時と同等以上に力を削がねば、再度封印することは難しいじゃろうて。秋津の宗家がやったようにの。&br;……仮に、もし、の話じゃが、静次にはワシらが失敗した時の時の備えを頼んでおる。父上にもこの件は了承させた。まあすんなりとはいかんかったがの。&br;(言って寝間着の袖をまくり腕を露わにするとそこには幾つかの打ち身の傷が生々しく残っている。つまりはある種の力づくだ、とそれを見せて笑った)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-16 (日) 21:45:40};
---&color(orangered){酷い戦いだったんだね…私達が戦う時は、被害が及ばない場所にしないと&br;(この美しい国が荒らされるなど誰が許せようか 御神木の加護の下で平和に暮らす人々を、美しいこの自然を、踏みにじられてなるものか)&br;(一度ゆっくり目をつむり、開いたその瞳は決意の固まる輝きに満ちていた 私の第二の故郷となるかもしれないこの国を守れるのなら、私の全身全霊をも捧げよう)&br;そっか…封印の中でも傷は癒えてるだろうしね(だが再封印を当てにしては決死の覚悟が削がれてしまう それはあくまで緊急処置として考えておかなければ)&br;(目の前に晒される腕にその思考は一時中断される この傷跡がこれから為すことがどれほど大問題なのか、身体に叩きこまれているようで)&br;(その傷跡に、そっと手を差し伸べる その傷や痛みをせめて半分だけでも引き受けたいと言いたげな動作でそっと撫で)&br;私のお姉ちゃんが言ってた 何かを為す時は成功を強く望むことは勿論大事だが、もし失敗した時の責任を取る覚悟もちゃんと考えて置かなければならないって&br;(撫でる手が更に先、手の方に向かって伸び、互いに手を組むようにがっちりと握りしめる)もし、失敗した時は…(その力強さが、彼女の覚悟を如実に物語っていた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-16 (日) 22:19:52};
---&color(#800000){ワシ達が戦っておる分には問題ないの。ホウサ殿にはまだ案内して無かったが、御神木の根本は広い草原になっておる。…そこから逃さねばの。&br;(そうして彼女が一呼吸の間、静かに目を閉じ、開いた時には清廉なる意思の力に満ち満ちていて。その覚悟に心震え、思わずぞくりと武者震いをする)&br;(父親も武に生きた男だ、口で説明するより直接その身で語った方が深く理解してもらえるだろうと手合わせたのはつい先程のこと)&br;(元々、当主交代の際には先代と刀を交え力を示し、認められる必要がある。それが多少早くなっただけの話)&br;(当主が行うのであれば、前代未聞のこの試みに対する皆の不満も幾分か和らごうという見込みの結果でもあった)&br;姉上殿の言う通りじゃな…ふれが回るのはこれからじゃが、これでこの家の当主はワシになる。人の上に立つからには責任もきちんと取らんとの。&br;(未だ熱の残る傷痕を彼女の手が撫ぜれば、その熱がたちどころに消えるような気さえしてくる。そして握り締めた手は硬く、強く。痛いほどに)&br;…失敗なぞせんよ、ワシとホウサ殿が挑むのじゃ、これで倒せぬようなら未来永劫倒せぬわ(矛盾するようだが、もしものことを考えつつも大事に挑む際には深く考えすぎるべきではない)&br;(思慮は恐れとなり、恐れは刀を鈍らせる。だがそれでも…ほんの一瞬、考えてしまう。万が一、再封印さえも出来ず命の危機に瀕したその時、彼女だけは、と)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-16 (日) 23:19:12};
---&color(orangered){そっか じゃあ御神木様が一番近くで見守ってくれてるんだね それなら凄く心強いね&br;…おめでと 当主になる戦い、見てみたかったな(それは出会ってから彼が語っていた夢の一つ そして晴れて彼の夢の一つは叶えられた 無事、とはいかなかったようだが)&br;お祝いは、この戦いが終わってからかな?(つい口にでた自分の弱音をかき消すように、彼の思案を振り払うように、握る力は慈しみに変わっていく)&br;だから、絶対に勝つからね!(いつもの笑みが顔に浮かぶ 私達の人生はこれからもずっと続くのだ)&br;(握る手はそのままに、姿勢を改めて正して)じゃあね ちょっと早いけど当主なったらんぞー君に言葉を送るね&br;これ、私の旦那様がその家の当主になった時に言えって言われているんだけど&br;(記憶にしまった言葉を思い出すように、視線を斜め上に逸らし、やがて再び戻して声を張り上げるように大きく息を吸い)&br;''将とは必生であってはならない 将とは必死であってはならない 将とは忿速であってはならない 将とは廉潔であってはならない 将とは愛民であってはならない''&br;(言い終えた後、意味が判るかな? と小首を傾げてじっと見守った)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-16 (日) 23:44:23};
---&color(#800000){(握られた手に込められた思いに、僅か心をよぎった陰りは跡形もなく無くなる。そうだ、生きて帰るのだ、己だけでもなく、彼女だけでもなく…二人で)&br;かかっ!荒神討伐の記念にもなるからの、国をあげて盛大に祝うとしようぞ、とびっきりの酒と飯を目一杯用意しての。三日三晩歌い騒ごうぞ。&br;(まあ準備をするのは静次の奴だが、と笑って言えば、背筋を伸ばし、足を整えて身を正した彼女が言葉を紡ぐ)&br;おう、ありがとうの。…なんだかこそばゆいの(夫に贈る言葉と聞けば少々の照れを見せて、しかし記憶を探る彼女にこちらも身を正して向き合い)&br;(暗い部屋に朗々と響く彼女の言葉を神妙な顔をして聞き取る。語る彼女の姿を目に焼き付け、その一字一句を聞き逃しはすまいと)&br;まさにこれからのワシに必要になる言葉じゃな。そのどれもが美徳となる心がけじゃろうが、それも過ぎれば悪しき行いになるということか。&br;生に拘れば動きは鈍り、死を恐れなければ無様に骸を晒し、軽率に走れば足元を救われ、清くあろうとすれば泥を被れなくなり、民に心置いてばかりでは大局を見失うであろう。&br;……有難く頂戴致した(一つ一つを吟味し、腹に落としこみ、決して忘れぬよう心に刻む。少し早い贈り物、その大事な言葉を)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-17 (月) 00:35:29};
---[[http://notarejini.orz.hm/up2/s/qst081203.jpg>http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst081203.jpg]]
---&color(orangered){(さすが私の旦那様だと内心誇らしく思い、更に笑みを深めて距離を近づける)&br;(闇夜に唯一つの明かりが二人を照らす うっすらと輪郭を照らしだす淡い光が、二人を優しく包むように)&br;貴方ならきっと大丈夫 歴代で一番の当主になれるよ 私も、精一杯貴方に尽くすから&br;(これから行うことは、必ず生きて帰れる保証はない だが人生には幾度かは命を賭して行うこともあると言われてきた)&br;(私にとっても彼にとっても、それが今なのだ この人生で必ず行わなければならない事なのだ)&br;(私達の出会いは、そういう運命だったのだ)&br;(この掌に感じる温もりが誰よりも心地よく、彼の存在を誰よりも求めたのも、今、この時の為だったのかもしれない)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-17 (月) 21:34:00};
---&color(#800000){(仄かな光が彼女の柔らかく力強い微笑みを照らし出し、夜目に慣れていた瞳にはその姿が菩薩のように優しげにも見え)&br;…本当にワシにはもったいないわ。もし、ワシがそんな歴史に大きく名を残す傑物となれるなら、それはホウサ殿のおかげじゃろう。&br;(一人では出来ないことも、二人でなら。それが、心より信じ合った、心より愛する人なのであれば尚の事)&br;(不可能な事も飛び越えられる。どんな困難であろうとも、寄り添い支え合って、きっと)&br;(夢を叶える強さを追い求め、西へ旅だったのもあの地で彼女に出会うためだったのだろう、そう思える程にもはや彼女が居ないことなど考えられない)&br;ホウサ殿に会えて…良かった(触れる温もりを、心の芯の部分に染み込ませ、静かに呟く。何の飾りもない、真摯なる一言を)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-17 (月) 23:25:33};
---&color(orangered){そうなれる様に頑張るね ずっと貴方の傍で…貴方の為に生きる&br;(淡い光の下であっても、その存在はこれ以上ないほどに逞しくも頼もしい この人の存在を知らなかった自分の人生が、どれほど味気ないものであったことか)&br;(感謝をするのは私の方だとその言葉に満面の笑みで応える 私の人生に意義を見出してくれたのは、他ならぬ貴方自身)&br;貴方に出会えて本当に良かった 生きていて本当に…良かった&br;(光の中で潤む瞳が煌く 彼の言葉が、真の言葉が震えるほどの喜びに変わり体中を駆け巡り、幸せに満ちあふれていくのが判る)&br;(衣擦れの音と共に、また少し二人の距離が縮まっていく もっと愛しい温もりを感じたいが為に)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-17 (月) 23:38:53};
---&color(#800000){じゃが、余り無理はし過ぎんようにの、ホウサ殿が居てくれればワシはそれで充分に心強いからの。&br;(頑張ってくれるのは嬉しいが、彼女に負担をかけすぎても本末転倒だ。先程の彼女の言葉ではないが、過ぎたものはなんであれ災いを呼び込む)&br;(だがそれも、彼女が浮かべる花開くような笑顔に無粋な心配かと考える。彼女の幸せが、己の幸せであること、それも彼女は判っているだろうから)&br;(僅かな明かりしかない暗闇の中で彼女が身を寄せるのが分かる、それを胸に抱き寄せ、しかと捕まえる)&br;…ホウサ殿を幸せにしてみせるからの。絶対に(彼女の柔らかい肢体を抱き締める腕に力を込めて、決意を滲ませるかのように)&br;そのためにも…生きて帰るぞ(この温もりがあれば、戦える。かけがえの無い力を得た今なら、もはや負ける気などしない)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-18 (火) 00:06:30};
---&color(orangered){(抱き寄せられる腕の太さ、筋骨隆々とした胸に頬を寄せ、目を瞑って一心に感じ取り、耳に届く言葉に思わずほろと涙が溢れる)&br;私を幸せに出来る人は…(頬を摺り寄せ、こちらからも更に身を寄せて)貴方だけ…&br;(彼がいてくれるのなら何も恐れるものはない 彼の為ならばどんなことでも頑張れる この温もりがあれば、戦える)&br;うん…もちろん(抱きしめられまま力強く頷き、その顔をそっと持ち上げ、息がかかるほどに近い唇を彼の元へと向かわせていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-18 (火) 00:24:00};
---&color(#800000){(薄暗闇の中、ぼやりと見える彼女の存在をより感じ取ろうとすれば、抱きとめた腕からかすかに緩やかな鼓動が伝わってくる)&br;(とくん、とくんと響く命の鼓動の感触に彼女が今ここに有り、確かに息づいていることを実感する。生命は巡り、繰り返す。その小さな環が彼女の中にもある)&br;(そんな素朴な事に、言い知れぬ感動を覚えていると彼女が不意に上を向きこちらを見上げる。交錯する瞳、その眼に滲む涙)&br;(それを愛おしいと思う間もあればこそ、身を抱き寄せて熱く口づけを交わす。燃え上がる心、それは死地へ向かう己の高ぶりがそうさせるのか)&br;(いや、それは違うと心の中で自問する。この胸の高まりは戦にあって荒ぶり猛るような物ではない、もっと暖かく照らし包むような…)&br;(刃の振り方ばかりしか頭になかった自分に、ただ一人の彼女が教えてくれた、愛する気持ちだ)&br;(思いのままに、しばらくの間彼女の柔らかな唇と深く深く重なり合う。息が苦しくなる程お互いの温もりを感じれば濡れた頬の感触に気付き)&br;…ホウサ殿に涙は似合わぬよ(その頬に幾度も口づけて、涙の雫を舐め取っていく。ほんの少し塩気のある…彼女の味がした)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-20 (木) 00:31:18};
---&color(orangered){(人を愛するというのはどんな気持ちなのだろうか 見つめ合い、触れ合い、愛を確かめ合う幸せとはどんなものなのだろうか)&br;(幼い頃から、お家の為にいつかは顔も知らぬ男を夫と呼び、その人に生涯尽くすのだと ただ漠然とそう思っていた)&br;(できることならその夫とは、父と母のように仲睦まじくありたいと、それだけを願って)&br;(ああそんな頃が存在していたのかすら思い出せないほど、私は愛を知ってしまった 彼が存在だけでも充分に嬉しい それがこうして目の前にいて、私を愛してくれているなんて)&br;(自分よりも大きなその唇に包まれるように、ゆっくりと動かしてその感触を確かめ合う 世界で一番近くにいてくれることを証明するように)&br;(優しい囁きが熱を持って頬を滑り、流れ落ちた涙を拭っていく その熱を求めるようにもう一度軽く口付け)&br;私、小さい頃は泣き虫だったんだよ ほらわたし三人兄弟の末っ子だから(甘えん坊でね、と淡い光に合わせるように小さく笑うも、その後少し視線を落とし)&br;…でも、お母さんが亡くなった時が、一番泣いてたかな}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-20 (木) 00:49:24};
---&color(#800000){(名残を惜しむような淡い口づけの後、彼女が照れるように僅かに微笑みを浮かべる。それを見て彼女の少女時代を想う)&br;今でもホウサ殿は喜怒哀楽豊かじゃが、小さい頃はもっとそうだったんじゃろうな。ワシも昔は親に叱られてたまに泣いたりしたものじゃが(自らも懐かしげに思い起こす)&br;まあそれ以上に静次の奴が犬に襲われたりしてよう泣いておった。今でこそ澄ました顔をしておるが、あやつも相当なものじゃったぞ。…今思えばあれがワシの原点だったのかもしれんな。&br;(誰が為に剣を振る。初めて握った剣は落ちていた木の棒で、初めて戦った相手は近所の野良犬だった。結果は痛み分け、どうにか撃退できたのが御の字か)&br;…あほう。親が死んだ時は誰だって思う存分泣いていいんじゃ。…辛かったろうの(労るように、彼女の頭を撫でる。その時の彼女の悲しみを癒せればと、埒もないことを考えながら)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-21 (金) 00:53:21};
---&color(orangered){騒がしいってよく怒られたけどね へぇ…らんぞー君が泣いてる所なんて想像できないや いっつも笑い飛ばしてるんだもん&br;(しかし自分の子供の頃を思い出せば、厳しい修行についていけない自分が悔しくて泣いていた時を思い出す 彼はとても頑張る人だ だから同じように泣いていたのかもしれない)&br;静次君まで…だからあんなに表情が固めなのかな どちらも泣いてる姿が想像できないや(弟を守る為に戦ったというその思い出が、とても誇らしく自信に満ち溢れたその声が、まるで自分のことのように嬉しく感じた)&br;…らんぞー君は、そのまま大きくなったんだね(どこまでも純粋で、自分よりもまず他人を優先で、人のために戦うことを選んだ貴方 そんな貴方だから私も好きになったのだ)&br;(対して私は、やはりあの頃のまま大きくなってしまった)&br;(撫でられる暖かさがありがたい反面、彼に対して申し訳なくなってくる 彼は色んな事を乗り越えているのに、私は……)&br;(すがるように彼の胸の中に埋もれながら、ぽつりと何気なく)ねぇらんぞー君は、親に甘えたことある?&br;(例えば兄弟の内親はどうしても下の子に目を奪われてしまうことが多い 病弱ならば尚の事 そして兄弟の内健康な方は、しばしば放ったらかしにされていることもあると)&br;(だとしたら彼は、甘えるべき時に甘えられたのだろうかと気になったのだ それは自分が末っ子だからということもあり、充分に甘えさせてもらったから)&br;(母が亡くなった後は尚更で、あの厳しい姉ですらもただ優しくされた時もあった 彼はそういうことも、体験しているのだろうか)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-21 (金) 01:12:33};
---&color(#800000){(先程胸に身を寄せた姿とは少し違う様子の彼女が呟いた一言に、片眉をあげて少々訝しげな表情を見せる)&br;(今夜彼女が初めて見せた弱々しさは、彼女が己の想い人である前に、一廉の武人である前に、一人の人間であることを思い起こさせ)&br;そうさのう…、一度だけ、そういうこともあったの。あれはワシが8つになるかならんかの頃じゃったか…(記憶の奥底を探りながら言い)&br;(今は自分の寝所に置いてある大木刀を持つような仕草を見せ)その頃にの、例の大木刀を使って稽古をつけられるようになったんじゃ。&br;最初の頃は楽しみで仕方がなかったんじゃが…その厳しいこと厳しいこと…腕が上がらぬ、足腰も立たぬ事は日常茶飯事じゃったな(などと笑いながら)&br;(もはや今では自分の体の一部と言っても過言ではないくらいの大木刀だが、稽古のたびに持たされるその重みは文字通り重圧となってのしかかっていた)&br;それでの…、それが嫌で嫌で堪らなくなってしもうて…逃げた。(情けないやら、恥ずかしいやらといった表情で、そんなことを言い)&br;まあ逃げも逃げたりで家中駆けずり回って父上から逃げ切って、母上の所に転がり込んでの。…しばらくの間その背中にずっと抱きついておったよ。}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-22 (土) 00:42:07};
---&color(orangered){(共に暮らしていたあの頃、彼の中ではもうすでに馴染み深く、自分よりも深く長く彼と一緒にいたあの大木刀を思い出す)&br;(並のものであればあれを振り回す前にまず持ち上げることから難儀なものだろう それを八歳の頃からなどと どれほど過酷な毎日だったか 豪快に笑い飛ばすその姿が、尚更それを思い起こさせて)&br;(その辛さに逃げ出してしまうのも仕方ないと、くすりと笑って掌を彼の頬に当て、なんとも言えないその表情を慰めるように撫でた)&br;ふふっ…可愛い らんぞー君にもそんな可愛い頃あったんだ(どんな人でも母親に救いを求めてしまうものだろう 母親とはそれだけて、慈悲と包容と安らぎの象徴なのだから)&br;それで? お母様はどうしたの(ただ武人の妻として、その子の母親としては少々勝手が違ってくるもの さて彼の母親はそんな困った子供に対してどう対処したのだろうか)&br;(母を幼い頃に亡くした為、母親像が漠然としかないのもあり、また後々、彼との子ができた時の参考にしようかなと、実に楽しそうな表情で続きを待った)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-22 (土) 01:02:05};
---&color(#800000){(頬を撫ぜる彼女の作る小さな笑みに、己のみっともない話にも使い道があったものだ、と苦笑を浮かべて言葉を続け)&br;どうだったかの…余りはっきりとは覚えておらんのじゃが…(なにぶん10年以上も昔のことだ、瞳を輝かせる彼女を前に視線を天井にやり思案して)&br;初めは随分優しくしてもらった記憶があるの、あの頃は母上も忙しゅうて余り話せておらんかったから、色んな話をしたの。&br;久しぶりに頭を撫でてもらったりもしての(と自分の頭をぽんと叩いて言う。あの時はもうそういうものは卒業したものだと思っていたが、存外に嬉しかった)&br;じゃが、ひときしり愚痴を聞いてもらって、それでも離れようともしないワシに母上は言うた。「静次の分まで、振っておあげなさい」とな。&br;…家を継ぐこと、剣を学ぶこと、色々と諭されたが…一番それがはっきりと覚えておる(しみじみと感慨深さを滲ませて言い)&br;……まあ、それでしぶしぶ戻ろうとして母上の部屋から出たら影で父上が待ち受けておったのは大層驚いたが。あの時は怒鳴られると思ったが、そうでもなかったの。&br;(今なら、その理由も何となく分かる気はする。先刻、剣と剣で語り合った父の想い、それが分かっているから)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-22 (土) 01:48:14};
---&color(orangered){(これまでの話しを聞いて、心が嬉しくなるのを感じた 彼の母親は、私が思っている以上に素晴らしい人だと)&br;(自然と溢れる笑顔で彼の昔話を聞きながら、その情景をゆっくりと思い出していく)&br;(辛さに逃げ道を求め母親に縋る幼子 そしてその迷える我が子に進むべき道を諭す母 その二人を黙って見守る父 なんと暖かな親子の一幕だろう)&br;…素敵なお母様だね(我が子が一番心に強く響く言葉を知っている 子の心を理解できる母親なのだろう)私も、そんな母親になりたいな&br;それにお父様も素敵だね 子供を信じている証拠だね(何故力をつけねばならないのか、何故それほどまでに過酷に鍛えるのか、その意味を様々なやり方で彼に教えてきたことだろう)&br;(彼の良さは、その両親から授けられたのだろう だからこそここまで真っ直ぐに育ったのだろう)&br;(羨ましいと心底思えた 彼は立派に親の期待に応えている それは応えたいと思う両親であったからこそ)&br;(―私もそうだったのに 期待に反する行為ばかりで、尚更自分の不甲斐なさを噛み締めながら、彼の胸元に更に身を寄せ、着物をぎゅっと掴んだ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-22 (土) 20:19:35};
---&color(#800000){ワシが言うのもなんじゃが…良い母じゃと思うの(時には厳しく、時には優しく、自分の体を鍛えたのが父ならば、心を鍛えてくれたのは母だと思う)&br;ふむ…心配ない、ホウサ殿だったら、きっと良い母親になれる。ワシが保証するの(情深き彼女のこと、子が出来ればその子にも惜しみない愛情を注ぐであろう)&br;(それに、ただ甘いだけではない、きちんと躾け、子を導ける心根の強さも持ちあわせている)その点ではむしろワシの方が父上のようにできるか…剣を教えてやるのなら出来るんじゃがな。&br;(いつか公園で話したように、もし、二人の間に子が出来たと想像しても子に接する己に明確に実感が沸かないのは正直な所だ)&br;(もちろん、ただひたすらに剣で打つような傲慢な親になるつもりなど微塵もないが)&br;(そんなことを思っていれば、ぎゅう、と締め付けるように強くその身を寄せ、抱きついてくる彼女。そんな彼女の背に腕を回し、抱き締めながら)&br;…ホウサ殿のご両親も、ホウサ殿の成長を喜ばぬはずはあるまい。心配せずとも親とはそういうものじゃろう(彼女の事情は少なからず知っている、だがそれでも、人の親であるならば)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-22 (土) 20:48:26};
---&color(orangered){私のお母さんも、生きていたらきっと同じ事していたと思う…(朧気な記憶の中の母も、彼の感じる母親像と似たようなものだったと思い出す)&br;そうかな? そうだったらいいな…らんぞー君だってきっと子供にとってとても良い父親になれるよ 私が保証するね&br;(オウム返しのように、しかしはっきりとそう告げる 純粋に温かく優しく厳しく大きく、子供たちはそんな風に父親を見るだことだろう)&br;男の方がそういう自覚が難しいっていうね お母さんは十月十日早く子供に接するけど、父親は産まれてからが本番だもの&br;(親になる実感が十ヶ月も差がつくのが父親と母親の違いだろう だが彼ならば自分のお腹の大きな姿を見てわが子の姿に思いを馳せるだろう)&br;(男の子だろうか女の子だろうか どんな顔立ちでどんな思いで人生を歩むのか その道をどうやって諭していこうか 親には親の楽しみがある)&br;(身を寄せるその背中に暖かく力強い感触を覚え、その存在に縋るように顔を埋める 呟く声は少し震えを混じらせ、今も悔やむ思い出を彼に委ねるように囁いた)&br;&br;…私のお母さんが死んだのは、私が五歳の頃で 悲しくて悲しくたまらなかった もともと身体が弱かったから、三人も子供生むのに耐えられなかったって聞いて、尚更悲しかった&br;そんな私を励ますようにお父さんがつきっきりで鍛えてくれたの 悲しみを乗り越えられるくらい強くさせようと&br;でも私は、数年経ってもそれが判らなくて、なんでこんなにお父さんが厳しいのか理解できなくて&br;それでついて、私はこう泣き叫んだの お父さんは私の事が嫌いになったんだって 私さえ生まれなきゃお母さんは死なずに済んだのに&br;お母さんを死なせた私が憎くて嫌になったんだって…(私を鍛えることが父親にとっての愛情だっただろうに あまりにも幼く、拠り所を失った心にはそれを受け止める余裕もなかった)&br;&br;その時の、お父さんの、目&br;一生忘れられない……&br;(胸に埋もれる頭が震えている その時の恐怖が、怯えと悲しみが今もなお鮮明に蘇ったからだろうか)&br;&br;私は、言ってはいけないことを言ってしまったと、その時ようやく気づいて、また泣きながら謝ったの&br;いま謝らないと、許してもらわないと、私は本当にお父さんに嫌われるって 怖くて怖くて…&br;お父さんは黙って私を抱きしめて、頭を撫でてくれた お母さんがいつもしてくれたようにずっと&br;(ひとしきり言葉を吐き出した後、ゆっくりと顔を上げ、乱蔵の顔を見つめる 目は先程よりも赤く染まり、しかし決意の輝きは更に増していた)&br;それから私の目標は、両親が私を産んで良かったと思えるくらい強くなることになったの 誰かの役に立てるように頼もしくて強い人間に&br;だかららんぞー君が私を頼ってくれて、本当に嬉しかった これが成功すればきっと自分を誇りに思えるよ(だから必ず連れて行って 貴方の役に立てるように立派に戦ってみせるから)&br;(貴方の為に、私の為に、この戦いは絶対に負けられない)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-22 (土) 21:33:07};
---&color(#800000){(抱いた肩が小さく揺れているのが分かる。己の胸に顔を隠した彼女の表情は見えず、伺うことはできない)&br;(それでも、ぽつぽつと紡がれる彼女の呟きの声色に、察することは出来た。これは彼女の記憶、忘れることなど出来ない後悔の記憶)&br;(静かに耳を傾けて聞くそれは己が先程語った想い出と似たようで、決定的に違うのは母親の不在)&br;(子を優しく包んでくれる母親の存在は、あまりにも大きい、それを母恋しい盛りの幼少期に失い、更には自分自身の存在が遠因であるなど)&br;(彼女の父親は、良い父だったのだろう。父親自身も妻を失い悲しみに暮れたこともあろうが、それを乗り越え、子のために立ち上がったのだ)&br;(それが上手く伝わらなかったのは、己もよく知る男親ゆえの不器用さか。愛情の形は一つではない、容易く伝わるものもあれば伝わりにくいものもある)&br;&br;(彼女が絞りだす用に呟いた一言に思う。その時、彼の人が瞳に写したのはなんだったのだろうか…怒りか悲しみか、それとも、やるせなさか)&br;(身を震わせる彼女の体を労るように抱き締める。気に病むことはない、ただ、少しすれ違ってしまっただけ)&br;(早世してしまった彼女の母も、不器用だった彼女の父も、そして幼すぎる彼女も、誰も悪くない。そんな切ない記憶)&br;&br;(だが、そんな想い出を経て残ったものは、培ったものは…今彼女の中に確かにある。己は今、確かにそれを見ている)&br;うむ…ホウサ殿の父上も、そしてきっと母上も誇らしゅう思うじゃろう、ホウサ殿は強くなったと。立派に立てる武人となったと。&br;(いつか来るその時のため、彼女が胸を張って立てるように…乗り越えてみせる。二人で、きっと)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-22 (土) 23:05:04};
---&color(orangered){ありがとう…(そう言って、充血した瞳を細めて柔らかく笑う その決意がより固まったのは、ほかならぬ彼のおかげ)&br;(そっと、感謝の想いを込めて口付ける 貴方が産まれてきてくれたこと 私と出会ってくれたこと 私を愛してくれたこと 私に、生きる力を与えてくれたこと)&br;(こうして抱きしめ合い微笑み合い愛情を確かめ合う度に、それが私の源になる 彼がいてくれてようやく本当の自分になれたのだ)&br;(愛おしい…愛おしい…互いの温もりを感じ合いながら、夜は刻一刻と過ぎていく 虫の音も更に大人しくなり、静まり返る屋敷内は更に夜の深さを増していく)&br;らんぞー君…まだ帰らないで(今日はもう少し傍にいたい 今日はいつもより彼を求めているような気がする 来たる日の死地への旅立ちに高ぶっているのだろうか)&br;(いいやそれだけではない 心に秘めていた苦しみを吐露した反動か、彼を求める想いがいつもより強くなっているのだ)&br;せめて…お布団が暖まるまで(我ながら大胆な願いだと思う 彼の屋敷で、まだ未婚の男女同士が深夜に部屋の中にいるということだけでも非常識であるのに)&br;(これが彼の家族にバレたらどう思われるだろうか ああそれでももう彼を求める気持ちが抑え切れない)&br;(過去の悲しみからくる寂しさか 触れ合う温もりによる劣情か ただただ思いのままに求める恋慕か 自分でもよく判らない)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-22 (土) 23:31:07};
---&color(#800000){(時折言葉を囁きながら、互いに手を取り、身を離し、また身を寄せて。彼女がここに居ること、それを感じることに無上の喜びを覚える)&br;(久しく無かった二人きりの時間は、穏やかにしめやかに続いていく。こんな暖かな時を与えてくれる人など、彼女以外には考えられない)&br;(僅かに聞こえていた夜の音もだんだんと小さくなり、静寂が訪れる。草木も眠る丑三つ時を迎えた頃に、腰を浮かせた赤毛男に彼女がぽつりと呟いて)&br;む…そうじゃな(大事になるのを避けるため、家人の目を盗むようにして訪れているが、家の者が起き出すのはもうしばらくかかるだろう)&br;(座布団代わりに座っていた布団はただ一対。彼女の部屋の彼女の布団なのだから当たり前ではあるのだが、となれば意味する所は分からいでか)&br;では…ホウサ殿が寝付くまでの(少々の照れを見せながら、掛ふとんを起こしてその内側へ潜り込む。そしてその内から腕を伸ばし、彼女を迎え入れるように)&br;…ほれ、參れ(微笑みを浮かべて彼女を誘う。こうやって褥を共にすることも、あの街で過ごした部屋を引き払った時以来か)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-23 (日) 00:18:11};
---&color(orangered){(もしかしたら拒否されるかもしれないと内心思っていたが、彼の微笑みが有難く、半ば抱きしめるようにその腕の中に身を投げる)&br;(ひんやりとした布団の感触も、横たわる二人の体温があるのならば何も問題ない)&br;(そのまま上からかぶさり唇を押し付けるように重なり合えば、先程よりも尚彼を感じ取り)&br;(しばし互いの唇を味わいながら、手は相手の腕を胸を撫ですさり、その度に彼がここにいることに喜びを感じ取っていく)&br;(あの街の最後の夜に共した時よりも更に濃厚に、愛おしげに、漏れる息はこの上なく熱く、重なる身体は更に重なろうと密着していく)&br;ふ…ぁ(息継ぎの為に唇を僅かに話せば、薄暗がりの更に暗い布団の中、わずかに見える朧気な彼の輪郭 それをなぞるように両手で彼の顔を包み込み)&br;…今日は、眠れないかも(怪しく笑う声をそっと響かせ、少し身体を浮かせて今度は彼の額に口付ける 愛情も慕情も織り交ぜながら額にこめかみに頬に)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-23 (日) 00:33:13};
---&color(#800000){(次々に交わすくちづけは深く、絡み合う視線は熱く。二人分の温もりで暖められる布団の内側に篭る熱気は、常の体温のものではなく)&br;(肌が触れ合うたびに、肉の柔らかさを感じるたびに、高ぶり乱れていく男と女。互いが互いの熱を受け取り、更にその熱を高めて返す連鎖の炎)&br;(額に受けた口づけに目を細めくすぐったそうな顔をして、こめかみや頬に感じる唇の感触に蕩けそうになる)&br;くくっ、では少々強引に寝かしつけるとするか?(薄く笑みを浮かべて彼女の腰に手を回し、ぐいとそのまま布団の中で体ごと周り上下を入れ替える)&br;(その力強さと反比例して優しくぽふ、と枕に彼女の頭を乗せれば、彼女の手を握り指を絡ませて封じ、そのまま組み伏せるようにして彼女へ口づけを降らす)&br;(最初は唇へ、一つ深く唇を重ね、そのまま頬を滑らせるようにして首元へ。そこで愛おしげに一つ、二つ彼女の首を吸い、舌で舐めてさせしてみせる)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-23 (日) 01:37:11};
---&color(orangered){ん…? あっ(回される腰の手が回転させるように身体を回され、半ば強引に仰向けにされる)&br;(暗闇に見上げればすぐ近くに彼の顔 両手は深く組み合わさり敷布に沈み込むように抑えられ、抵抗してもびくともしないだろうが抵抗する気などさらさら無い)&br;(そのまま歓迎するよう近づく唇に触れ合い、目を閉じてされるがままになっていれば、その熱は下の方へと降りて、着物から除く首筋に狙いを定める)&br;んっ…(小さく呻くも少しくすぐったそうにするだけで嫌がる様子はない むしろその感触を楽しんでるようにうっすらと微笑む)&br;(以前、お酒に酔った拍子に似たようなことが起こったが、あの時の燃え上がり方とは違う 欲望に身を焦がすというよりもじゃれているという方が近いか)&br;あん 舐めちゃ…だめ(その舌の動きを封じるように、彼の頭を両手で抱きしめ自分の胸元に押さえつける)&br;(そのまま抱き枕よろしく全身で抱きしめるようにぎゅっと力を込めた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-23 (日) 02:03:32};
---&color(#800000){(単純な膂力だけで言えば基本的には彼女が上、もし彼女が本気で嫌がればその両手は押しのけ跳ね除けられるだろう)&br;(だが指の根元で深く絡みつく二人の手の平は、もっと深く重なりたいと時折蠢いてなお求め合う)&br;(高まる熱に火照った肌をなぞる舌には、ほんの僅か汗の味がして。それは先程味わった彼女の涙とよく似て違う、極上の甘露)&br;(彼女が漏らした熱いくぐもった声に、なおも暗闇の中、うっすらと浮かびある彼女の白い首筋に口づけを続けていれば)&br;…むっ?むぷっ(両手の拘束をあっさりと解かれ、頭を抱え込まれる。そして彼女の豊かな双丘の谷間に顔が埋まってしまい)&br;(そのまま力強くぎゅう、と抱きしめられてしまう。これでは身動きが取れない、正確には取りたくなくなってしまった)&br;(呼吸が苦しくなるのも、彼女の柔らかで弾力ある膨らみを頬に感じていれば逆に心地よく思えてくるが)&br;(しかしここは負けてられぬと、その体勢のまま舌を伸ばし、彼女の胸の谷間にちろりと舌を這わせる)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-23 (日) 02:42:54};
---&color(orangered){ふっ…うぅん(優しく頭をなでるように抱えていると、その中心部に熱いものが肌をなぞり、思わず身をくねらせて小さく身悶える)&br;(抱えたままの姿勢で動けば、左右の胸の柔圧が彼の頬を交互に襲いくるも、彼女にはその感触も判らずじまいで)&br;駄目…声、出ちゃう(肩に口元を押し付け、唇が開くのを抑えながら、お仕置きとばかりに更に腕の力を込めて彼の動きを更に封じ込める)&br;(着物の隙間から覗く肌に埋もれる愛しい人 少しずらせばすぐに露わになってしまいそうな危うさながらも、恥じらいより増すのはただただ愛しい気持ちのみ)&br;―愛しい 愛しい人…―&br;(肌に触れれば触れるほどに、身体は彼を求めてしまう それはすでに彼女にとっての自然の摂理の如く当然の反応となり、幼少より学んだ貞節の教えなどすでに奥底に仕舞いこんでいた)&br;(頭を抱きしめ首筋や耳元を優しく指でなぞり、太ももを擦り合わせ、少しでも長く彼の身体を愛撫する 彼が喜べは喜ぶほどに、自身の喜びとなるように)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-23 (日) 20:20:58};
---&color(#800000){(舌がほのかに桜色に上気した彼女の肌をなぞれば、ぴくりとその身が反応し、艶かしくその肢体をねじり、蠢かせる)&br;(効果ありかとほくそ笑むも、押さえつけられる腕の強さがなおも強くなり身動ぎさえも困難になる)&br;(これでは声も出ぬのは己の方だ、などと彼女の悦に塗れた呟きを聞き取りながらも、その声を耳にしてなおも愛しさが募る)&br;(しかしいよいよ頭の中が霞がかってきたのは、息も絶えてきたか彼女の肢体に溺れたか。このまま沈み込み、一つになってしまいたい)&br;(触れる彼女の指先から伝わる温もりにそんなことをぼやりと思い、心の赴くまま布団に寝転ぶ彼女へと手を伸ばし)&br;(腰から脇腹、脇腹から僅かに浮いた背中、そしてその背筋へと、薄手の衣ごしにさわりと指先で触れるか触れないかの強さで撫ですさる)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-23 (日) 21:13:58};
---&color(orangered){(舌先だけでも高い感度で喘いだ後では、彼の掌の動きがさきほどよりも深く身体を疼かせ、くねらせる肢体が更に激しさを増す)&br;(そこまで強く触れていないにも関わらず、身体は過剰なまでに反応してしまうのは、この闇の中相手の顔が見えないからか 自分の越に入る表情を見られないからか)&br;(いつもよりも大胆になるのは、文字通り秘め事をしている緊張感が快感を更に高ぶらせているようにも思える)&br;(それでも頭の中はすでに彼の存在で満ち満ちて、周囲の気配など感じられなくなるほどに没頭してしまう)&br;あ…ん もっと(背中をのけぞり、もどかしい彼の愛撫に身をよじって促すように小さく囁いた)強く…して}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-23 (日) 21:45:08};
---&color(#800000){(くすぐるような手つきで彼女の身を撫ぜれば、悦楽に鋭敏になった彼女の肌はその感覚を何倍にも高めるだろう)&br;(彼女が身をよじればよじるほど、彼女が漏らす吐息が熱を帯びれば帯びるほど、もっと悦んでもらいたいと、心地よくなってもらいたいと思う)&br;(肌をなぞる指に意識が逸らされて両の手の拘束が緩んだのをいいことに、覆いかぶさるように身を寄せて、頬こするように彼女の耳元へ唇を寄せる)&br;駄目じゃよ…捕まえてくれたお返しじゃ(静かに耳へ囁いて、そのまま彼女の耳たぶを唇で食む。何度か少しずつ位置を変えて甘く食み)&br;(時折人によく馴染んだ獣がそうするように、歯を立てて少しだけ強く噛む。噛めばその跡を舌で舐め、這わせてその裏をなぞりつつ息を吹きかけて)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-23 (日) 22:22:53};
---&color(orangered){(抱きしめていた身体がいつの間にか抱きしめられる状態になるも、もうそんな事などどうでも良いほどに理性は快楽に溶かされゆるやかに停止していく)&br;(自分よりも大きな身体に包みこまれ、耳元へささやく声がそのまま愉悦をもたらし思わず小さい悲鳴を上げた)&br;(それでも彼の舌はその蹂躙を止めず、むしろ徐々に徐々にその快楽を強めていく たったこれだけでも喜悦の声を抑えることも出来ず、抵抗する気力も更に萎えていった)&br;意地悪…っ(泣きたいほどの興奮を持て余し、縋るように彼の身体を全身で抱きしめる)&br;(抱きしめながら片手は彼の腕へ伸び、袖口へ潜り込ませ、直接腕をたどたどしく撫でる 例の打ち身の傷を癒すように、彼の痛みを取り除くように)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-23 (日) 22:46:18};
---&color(#800000){(自分の唇が彼女の肌に触れ、舌が彼女の味を感じ取るたび、己の耳元で小さな嗚咽が溢れる。いつもとは違うその艷やかな音色に更なる高まりがふつふつと湧き上がるのを感じる)&br;(薄明かりのみの暗がりの中、発汗によって湿り気を帯びた肌を見せる彼女の身体がどんどんと弛緩し、寝間着は乱れ胸元を大きく露わにしている)&br;(自らがしたことではあるが、ごくり、とその淫靡なる艶姿に喉を鳴らし、見惚れていれば、その彼女の腕が伸びてきて)&br;(抱きとめられつつ、その手の平は傷痕へ。興奮によって忘れていた痛みを思い起こし、ぴり、と痛みが蘇ったが、熱い彼女の体温がそれを溶かしていく)&br;(そのたどたどしい手つきが愛おしく。手を取りそっとその甲に口付けた、その時)…む?(もはや完全に二人の世界となっていた屋敷に、僅かな、ほんの僅かな気配を感じる)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-23 (日) 23:52:57};
---&color(#8B4513){はぁー…。仕方ないとはいえ、私も静次様と鳳釵様の手合わせ、見てみたかったです(などと独り言を呟きながら夜の屋敷を行くのは一匹の小動物)&br;(聞けば丁々発止の大立ち回りであったという。そもそもが静次は殆ど手合わせなど行わないし、自分は伝達・諜報が主な役目だ。そのような場で喚び出されることなど無いのだが)&br;(それでも、己の主人の見せ場だ、力になれずとも姿だけでも目に収めたかった)鳳釵様の手の程も見たかったですし…あれ?(と、その当のホウサの部屋の近くまで来れば、襖越しに分かる仄かな灯り)&br;鳳釵様ー?起きておられるのですか?(夜行性ということもあり、時折見回りなどしているムジナだが、その灯りを疑問に思って問いかける。記憶ではホウサは夜更かしをする質ではなかったのだが)}; -- [[ムジナ>名簿/475286]] &new{2012-09-23 (日) 23:53:23};
---&color(orangered){(呼気は荒く胸は激しく上下しながらも、手は自然に伸ばされもどかしげに身体を撫で回す)&br;(求める喜びも、求められる喜びも共に味わいながら、衣擦れの音を響かせ身体を擦り付けるように合わせて、熱さをも感じるほどに体温は高まっていく)&br;(闇の中、乱れた着物も構わずもっともっととせがむように、無我夢中で彼の身体を撫で回し、伸ばした腕がふいに取られ、その手の甲が熱く染まれば、恍惚の表情で彼の名を呼んだ)&br;あぁ…らんぞー君……&br;(まさにその呟きと同時だった それまでその気配すら気付くことがなかったことにも驚いたが、常とは違う陶酔した声は、きっと部屋の外の存在にも届いたことだろう)&br;(最初一体何が起こったのか判断することも出来ず、だが今まさに自分の部屋を訪ねてきた者がいることにようやく気づき、彫像のように固まってしまった)&br;(ここにらんぞー君がいることがバレたら 一緒に眠っていることがバレたら…!)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-24 (月) 00:21:49};
---&color(#800000){(聞き慣れた声が襖の向こうから響いてきて、一気に睦まじく艶かしい空気が霧散する。見れば彼女もその身を硬直させ、固まってしまっていた)&br;(いずれは大手を振って彼女とのことも知らせるつもりではあるが、今このタイミングで知れ渡ってしまうのは少々まずい)&br;(彼女とのことは諸事が落ち着いてから、皆に知らせたい。彼女が祝福され、暖かに迎え入れられるためにも)&br;ぬぅ…、まだあやつは気づいておらん。どうにか言いくるめられんか(と、手を添えてぎりぎり聞き取れるくらいの小さな声でホウサにそう言って)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-24 (月) 00:47:28};
---&color(#8B4513){ん…?(と聞こえてきた声はいつもと違う響きを持って)乱蔵様?乱蔵様がどうかしたのですか?それに…具合が悪そうですが、大丈夫ですか?&br;誰か人を…(病であれば一大事、誰か治療が出来る者を呼ぶ必要があるが何分時間が時間だ、どうするべきかとと声に迷いを見せる)}; -- [[ムジナ>名簿/475286]] &new{2012-09-24 (月) 00:47:52};
---&color(orangered){(混乱は僅かな間だった 声を潜めながら乱蔵の耳元へ口を寄せ)じっとしてて…動かないでね&br;(言って返事を待たずに素早く布団から出て襖に向かい、驚きの速さで襖を開け閉めムジナを見つけてニコリと微笑む)&br;ムジナじゃない 夜の見回り? ご苦労様&br;(とりあえず彼の存在を悟らせる訳にはいかない 乱れる着物もそのままに少し息を切らして部屋へ行く手を遮るように佇んだ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-24 (月) 00:53:48};
---&color(#800000){(なんとも情けない話ではあるが、事を大事にしないためにはここは彼女に任せるのが得策だろう)&br;…うむ、承知した。(しかしいよいよとなれば、覚悟を決めるべきだと、静かに彼女が行くのを見送って考える)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-24 (月) 01:10:16};
---&color(#8B4513){ああ鳳釵様、これはご夜分遅く失礼をば(部屋に近づく前にホウサが現れて、寝乱れたその姿に少々驚きながら非礼を詫びる)&br;労いありがとうございます…、しかしお体は大事ないのですか?風邪を引きになられたのであればよく効く薬もありますよ。&br;(重い病という訳ではないようだが、夜目に見えるホウサは僅かに息を切らし、その肌も赤らんでいる。丸薬ぐらいなら直にでも用意できるのだが)}; -- [[ムジナ>名簿/475286]] &new{2012-09-24 (月) 01:10:41};
---&color(orangered){う、ううん 大丈夫大丈夫 ほら今日は戦いっぱなしだったから目が冴えて眠れなくって&br;(本当は別の意味で眠れなかったのだが、まさか馬鹿正直に言えるはずもなく ひたすら元気なことを強調する)&br;でもゆっくり休めば大丈夫だから、心配しなくていいんだよ さ、まだ見回りの途中なんでしょ 私は大丈夫だから行って行って&br;(しゃがみ、ムジナの小さな頭を撫でて誘導するように言葉を添える 内心は心臓が踊り狂うように激しく高鳴っているのだが決してそれを悟らせてはいけない)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-24 (月) 01:23:30};
---&color(#8B4513){(そう答えるホウサの声は確かに病の者が出すような声ではない。むしろ常よりも調子が良いようにさえ聞こえる)&br;はあ、そうなのであれば…(だとしてもこんな夜中に息せき切らせているのは不思議ではあるが。一人で手合わせを思い起こし鍛錬をしていたのだろうか)&br;ですがくれぐれもご自愛なされますよう…鳳釵様も荒神に挑むと耳に挟みました。来るその時まで、しっかりと力を蓄えてくださいね。&br;(短い毛の生えそろった頭を撫ぜられ、その心地よさに目を細めながら進言する。己はその場に立つことさえ叶わないだろうが、静次が認めたホウサは違う)&br;それでは、良い夢を…(ぺこりと小さな頭を下げて礼をして、音もなく屋敷の闇に消えていく。その背も、やはり小さく)}; -- [[ムジナ>名簿/475286]] &new{2012-09-24 (月) 01:54:05};
---&color(orangered){うん 本番までにもっと鍛えておくね ありがとうムジナ きっと勝ってみせるから&br;(遠ざかるその小さな背を見送り、ほっと一息ついて静かに部屋に戻った)&br;(組格子の行灯から漏れる淡い光が、辛うじて周囲を照らしだすその中で、一つの布団はこんもりと盛り上がっている)&br;(足音を立てずにその布団に近づき、そっと屈んで小さく声を出した)&br;…行ったよ 多分気づかれてないと思う&br;(言いつつ彼の顔を見るのに勇気がいった 再び理性を取り戻した頭で、先ほどの痴態を思い出しては赤くなる顔を隠しきれず)&br;(恥ずかしさに気まずく顔を俯かせ、ようやく自分の着物が乱れていることに気づいて慌てて正しながら視線を合わせるのに随分と苦労した)&br;(もしムジナが来ていなかったら自分たちはどこまでしていたのだろう あまりにも自然に彼と重なり合い、そのまま最後までしていてもおかしくない状況だった)&br;(複雑な気持ちながらも、ムジナが来てくれて良かったと心の中で呟いた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-24 (月) 22:37:38};
---&color(#800000){(気配を誤魔化すのにやらぬよりはマシと布団に潜り込み、息を潜めていれば二言三言何事かを話すような声が聞こえ、しばし後、静寂が訪れる)&br;(どうなったのであろうかと、想像を巡らしつつ覚悟を決めていれば、静かに呟く彼女の声がすぐ近くでして)&br;…むぅ、いやはやなんとも(バツの悪そうな顔と声で起き上がり、ぽりぽりと頭をかいて如何ともし難いものだ、と思い)&br;その…なんじゃな。…ちと盛り上がり過ぎたかの(彼女の様子が大層可愛らしくて色めいて、つい調子に乗ってしまった)&br;(俯きながら緩んだ衣を整える彼女を横目でちらちらと見ながらも、自分も寝間着の襟元をぴ、と張って気分を引き締める)&br;(それはそれ、これはこれ、だ。彼女を愛しく思えばこそ、軽率には一線を超えるべきではない。ある意味良い冷水となった)&br;…まあ、お互い大戦前の大事な身じゃ、ここは大人しくし身を休めておくとするか。ワシは朝方を見計らって戻るとするかの。&br;(言いながらばさり、とこれも乱れていた布団をはためかせ整える。そのことがなんとも言えない照れを思い起こさせるが、努めて平静を装って彼女を促し)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-26 (水) 00:54:31};
---&color(orangered){う…うん(生返事で頷きながらも、ようやく彼の顔を見つめるほどには落ちつけた)&br;(それでも未だ生々しくこの身体に残る彼の手触りに、また顔が熱くなる 勢いの過ちほど愚かなことはない それで大事になってしまっては目も当てられない)&br;(しかしそれでも、あの喜びは本当だった)&br;そう…だね(布団を直す彼を見つめ、そろそろと近づき布団の中に潜り込む 先ほどの熱さはまだしっかりと残り、自分とは違う残り香も鼻孔に感じられた)&br;じゃあ…もう少しだけ一緒に(今度は自分から布団をめくって彼を誘う 先ほどの後で流石に不味いかと思ったが、共にいられる時間があるのなら少しでも長く傍にいたい)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-26 (水) 01:19:01};
---&color(#800000){(どことなくおっかなびっくり布団に入る彼女の姿を見つつ、さて己は枕元で彼女が寝付くまで見守るか、と畳に腰を据えようとするが)&br;ん、…そうじゃな。無為に体を冷やすこともないかの(少しだけ考えるような仕草を見せて、灯りをふ、と吹き消し腕を広げ迎え入れるような格好の彼女の隣に身を滑らせる)&br;(これはこれ、それはそれ、だ。節度を守るならばこれくらいの役得はいいだろう。それに闇の中こちらを見つめる彼女の瞳とその温もりは、先程とは違う意味で魅力的だ)&br;かか、ぬくいの(二人分の温もり残る布団に身を埋め、一人分しかない枕の横に腕枕で並び、彼女と並んで寝転がる)&br;(その程よい狭さがが二人の距離を遠すぎず近過ぎない程に保っていて、やおらまた熱がぶり返さぬよう気をつけながらも彼女と視線を合わせ微笑んで)&br;…とは言え、今すぐには寝れんじゃろうし…そうさの、寝物語代わりにまた昔話でもするかの。あれはワシが12の頃の夏祭りのことだったか…&br;(布団の中、熱く身を重ねることはなかったが、それでもその手は繋がれて。体を包む穏やかな温もりと、手の平の感触が眠りを誘う)&br;(静けさに包まれた屋敷の、ある一つの客間でゆっくりと時は過ぎていく。初めはぼそぼそと小さな話し声、それが徐々に途切れ途切れになり、遂には規則正しい呼吸音へ)&br;(次に二人が目覚めたのは日もとうに上がった朝過ぎのこと。戻る姿を家人に見つからぬよう頭を捻らせたのはまた別の一幕──)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-27 (木) 00:51:50};
-&color(#800000){(人体の急所である点穴の一つを突かれ意識を失った彼女を両手に抱き抱え、石畳を降りて見守っていた二人の元へ)&br;(経絡を絶たれ練り上げた気が霧散した彼女の寝顔は、猛々しさを溢れさせていたつい先刻の彼女とは比べ物にならぬほど穏やかで、安らかな顔で)&br;…とまあ、こんな所じゃな。どうじゃ、遊んでいた訳ではないことがようく分かったじゃろう?(誇らしげに言うその言葉は己の修行の成果だけではない、彼女の武にも)&br;(そして荒く乱れた息を整え静かに長椅子に彼女の身を横たえて、一瞬あちらのお伽話のように口付けをすれば起きるのではないかと考えたが、二人の視線を感じて拉致もない考えを消して)&br;ホウサ殿?おーいホウサ殿ー(彼女の頬を軽くぺしぺしと叩く。並の武術家なら半日寝込んでもおかしくはないが彼女の鍛え方は並ではないと呼び掛けて)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-09 (日) 21:53:11};
--&color(#E9967A){(立ち会いが始まった時からずっと向けていた真剣な視線をやっと落ち着けて、石畳の上から戻ってきた二人を迎える)&br;認めざるを得んな…。確かに昔のお前とは到底比べ物にならん。それに…最後のあの業。あれはまさか、…お前の業か?&br;(以前は使えなかった一つ使えるようになればそれだけで当主の座を約束されたような業を幾つも放ち、そして、この国のどんな使い手にも、どんな文献にも存在せぬ業を見せた)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-09 (日) 21:53:29};
---&color(orangered){(乱蔵に抱きかかえられ、安堵の表情のまま観客の二人の傍に戻る その寝姿は先程あれほどの戦いを見せた人物とは到底思えぬほどの穏やかさに溢れかえっている)&br;(穏やかで風も心地よく、本来ならば昼寝にはもってこいの陽気であったろう そんな中深い眠りに入っている頬に軽い衝撃が襲いかかり、思わず眉根をしかめて首を横に振り)&br;んぅん…やぁっ(くずるように目を覚まし、目の前の乱蔵の顔をぼんやりと見つめ、ようやく自分の置かれている状況を理解した)&br;…あ、私、負けちゃったんだ(あははと苦笑混じりで微笑む その顔は負けた事に対する後悔も何もない あるのは全力を尽くした後の清々しさのみであった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-09 (日) 22:13:41};
---  &color(#800080){(戦いを見るのは初めてではない 自分の家は軍事担当だ 戦う光景など身近なものでもあった)&br;(しかし今回の戦いは、今まで見てきた中のどれも違う まさに初めてみる戦いがそこにあった 鳳釵の身体が吹っ飛び石畳に叩きつけられてもすぐさまそこに駆けつけられず、息を呑んで見守るしかなく)&br;(戻り、椅子に横たわる鳳釵を見て、ようやく一息つき、そっと鳳釵の傍に寄り添った)…大丈夫、よね?&br;(恐る恐る訊ねるも、当の乱蔵は呑気に鳳釵の頬をぺちぺちと叩いている そんな杜撰なと思わず叱りつけようとした所、あっけなく目を覚ます鳳釵にその怒りも引っ込み、盛大に溜息をついた)&br;…もう、これだから武人って奴は でも凄かったわ二人共 乱蔵も一応成長したのねぇ(感慨深げに頷きながら、二人に水の入った竹筒を手渡した)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-09 (日) 22:13:58};
---&color(#800000){む、起きたか。身体は大事ないか?(お互い様々な打ち身や擦過傷があるが、大きな傷は負っていないはずだ。自らが打ち据えた傷を気遣うその姿もこの二人には日常で)&br;(雪音から竹筒を受け取って水を飲み一息つく。激しい戦いの後の一杯の水はよく染み通って)一応とはなんじゃ一応とは(と礼の変わりに憎まれ口を叩いて竹筒を返し)&br;ああ、あの業はホウサ殿とやり合う内に思いついた業じゃ、『拳乃形』と名付けた。後で伝書に書かねばならんな(彼女と交わした拳を感慨深く思い起こしながら静次に言う)&br;(秋津家の武術家は物の怪に対抗するために研鑽を積む中で業を考案していくことがある。赤毛男は今までかつての当主達、当主ならずとも類まれなる使い手が残してきた業の数々を利用してきたが)&br;(そこに新たなる一頁が増えることになったのだ。幾度と無く味わった彼女の拳、そしていつか彼女に贈った花にちなんだ、拳の業が)&br;そうじゃ、それでの静次、話は変わるが…(想い出に浸る表情を引き締め視線を鋭くし、静次を見る。積年の思いを込めて)&br;一つ、頼みがある。……要石の封印を解いてくれぬか(幼い頃から思い描いていた、夢とも言っていいだろう。その実現のため、前を向き進むため)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-09 (日) 22:59:04};
---&color(#E9967A){(自分自身では扱えなかったものの、憐華流の業の一通りは頭に入っている。そのどれにも該当せぬのであれば、そういうことだったのだろう)&br;…そうか、お前も業を残す程になったか…(その成長ぶりにどこか眩しいものを見るかのように乱蔵を見る。いつだってこの兄は己の前を歩いて行く。その姿を見失いそうになるくらいの速さで)&br;(だが、続く兄の言葉に表情から一切の色を消し、言葉を全て失う。そして一拍の間、深い深い沈黙へ落ち)&br;……本当に、やるつもりか(どうにか、どうにかその一言だけを絞り出した。知っている。その大望は大木刀を受ける前から乱蔵が折りに触れ言っていたことだ)&br;(とはいえ、それは夢物語、この国を、御神木を全て滅しかねない荒ぶる神を解き放つということ。入念に準備を重ね、被害を抑え込む用意をしたとしても…挑む者の生命はまったくと言っていいほど保証できない)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-09 (日) 22:59:27};
---&color(#800080){あら、身体を鍛えるばっかりで秋津家の嫡流としての自覚なんて全くなかった癖に&br;(続いて用意していた救急箱から容器を取り出す 打ち身・切り傷に効く塗り薬を木綿生地の清潔な端切れで掬い、丁寧に拭き取った鳳釵の顔の傷に優しく塗っていく)&br;鳳釵も本当に武人なのね 顔に傷がついてもお構いなしなんだもの あ、乱蔵は自分でやってよね(ニコニコしながら容器を手渡そうとしたその瞬間)&br;(彼の言葉に思わずそれを落としそうになる それほど信じられない言葉を耳にしたからだ 彼は何を言っているのか 夢であっても質が悪い)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-09 (日) 23:22:02};
---  &color(orangered){(散々動いた身体に竹筒の水はまさしく甘露のように美味かった 刻々と味わい終わると今度はひやりとした感触が頬に触れる 冷やした手ぬぐいが火照った顔をゆっくりと拭っていった)&br;ん…む そ、そんなことはないけど、でも傷が怖くちゃ戦えないしね(おとなしく手当を受け、礼を言って今度は自分の番とばかりに冷たい手ぬぐいを持って彼の顔に触れようとした時)&br;(彼の発した言葉に、空気ががらりと変わった気がした 肌を凍りつかせるようなことを彼は言ったらしい)&br;要石の封印て…(何? と言う前にその答えはすぐに思い至った それは彼と出会って数ヶ月の頃、彼の故郷はある恐ろしいものを封印していると)&br;(顔を拭おうとした手が止まる 次の行動に移せない 彼は自ら死地に赴くと言っているも同然なのだ)&br;(また、行ってしまう 愛しい人が死地へと向かってしまう それは彼の積年の夢であった その為に生きる彼を、私がどうこうする権利はない)&br;―それでも―&br;(手が無意識に乱蔵の元へと向かい、彼の手の甲を覆うように握り締める その見つめる瞳の意味は、激励か懇願か)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-09 (日) 23:22:19};
---&color(#800000){(硬く重い静次の返した言葉に、同じく硬く重い思いを込めた視線を返す。冗談などではない、そして夢でもない)&br;(沈黙をもってのその返答は、覚悟を伝えただろう。見果てぬ先にあるもの、それを乗り越えるための、一点の曇りもない信念を)&br;(そうして静次と斬り合うような視線を戦わせていると、手に暖かさを感じる。それは良く知る暖かさ。己が己であるための温もり)&br;(彼女が向ける瞳に、静次に向けていた視線とはまた違う、強い信頼を込めた瞳を向け、一つ、静かに頷く)&br;…ホウサ殿にも頼みがある。ワシと一緒に…ワシと共に…戦ってくれ。&br;(それは彼女にも等しく甚大なる危険を負わせるということを意味する。だが、側に居て欲しい。命を賭け、夢を賭け大一番を張るその時だからこそ、側に)&br;(彼女の強い力を信じ、彼女と共に有ることがまた自分の力になると、信じているから)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-10 (月) 00:01:44};
---&color(#E9967A){(乱蔵の向ける強い視線は、伊達や酔狂でそんなことを言い出したのではないと痛いほど感じさせる)&br;(確かに今の乱蔵は、秋津の歴史を紐解き歴代の当主達と比べても頭ひとつ抜ける程の実力を持っているだろう)&br;(しかし、それは数千年の歴史を持つこの国に置いて誰もが成し得なかった偉業。成功する見込みは誰にも分からない)&br;…な!(そして、乱蔵がホウサに放った言葉に、もはや驚愕の声を隠しきれなくなり)&br;正気か乱蔵!鳳釵殿も確かに強い、強いが他国の人間、それを巻き込むつもりか!?(それに、そんな道理を差し引いたとしても…生きて帰れるか)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-10 (月) 00:02:08};
---&color(orangered){(握る手の暖かさを、幾度この手で確かめたことだろう 何度この幸せを確かめたことだろう)&br;うん…(その幸せを守れるのならば、その幸せと共に出来るのならば、私はどんな死地にでも赴こう)&br;うん…うん(何度も頷き、目尻に涙を浮かべる 彼に役に立てるのならば、共に歩めるのならば、私の存在が彼の力になるのならば、何を拒絶することがあろうか)&br;(もしここで命尽きたとしたら、事は重大になるかもしれない だがこれは私の試練なのだ これを乗り越えなければ、私は故郷に帰る資格はない)&br;ありがとう 頑張るからね(私を信じてくれる彼に応える為に、力強く笑顔で応える そして手ぬぐいをそっと乱蔵の頬に当て、労るように丁寧に拭っていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-10 (月) 00:29:13};
---  &color(#800080){(それは遠い昔のこと 世の中の恐怖をまだ充分に把握できていない子供の戯言 夢はでっかく持つに限ると言われ、素直にでっかい夢を求めていた子供の頃だ)&br;(そんな時代ならば仕方ないだろうが、今の乱蔵はもう充分に成人し分別のつく大人なのだ 冗談や戯言で片付けるには不謹慎すぎる)&br;(そしてこの男が、こういう場でそんな冗談をいう男ではないことは知っている 自分が理解しているのだ 静次はもっと痛感していることだろう)&br;(それだけでも信じられぬ事態なのに、よりにもよって事態は更に深刻さを増していった これには静次が声を荒げるのも最もなこと)&br;(彼女は部外者であり、そして故郷ではかなりの地位の家の人間 もし何かあれば国際問題になるだろう 下手をすれば儀丁と相対する危険性もある)&br;(だが、一人の女性として鳳釵の喜びは充分に理解できた 愛しい人が死ぬかもしれないのに、傍にいられない悲しみは計り知れない)&br;(そんな彼女を、乱蔵はよほど信頼しているのだろう だからこそ危険な場所と承知で鳳釵と共するのだ)&br;―女になんて欠片も興味なかった癖に、あっという間に私達を飛び越して―&br;あら、それを言ったらその封印を施したのはどこの誰だったかしら?&br;(二人に助け舟を出しながら、静次の荒げる息を整えるように背中を撫でる もう過呼吸こそないがこれがすっかり癖になってしまったようだ)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-10 (月) 00:29:32};
---&color(#800000){(己の身勝手な我儘かもしれない、いつか覚えたそんな想いは彼女の浮かべた笑顔にかき消され、更なる信頼へ上書きされる)&br;有難うの、ホウサ殿を絶対に死なせはせん。そしてワシ自身も…死にはせんよ(彼女が拭う赤毛男の頬にも笑顔。そこには確かな絆があった)&br;(そして雪音の言葉に、ありがとう、と雪音にも礼を返す。常により良くあろうと、前を見て動き続けていた彼女には分かってもらえる気がしたのだ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-10 (月) 00:49:52};
---&color(#E9967A){(先ほどの手合わせで、そして目の前で見る二人の間で硬く結ばれたものを感じる。ただの修行仲間でも、学友でもない、強い絆を)&br;ぬ…それは…(背を撫ぜる雪音の言葉に少々頭が冷える。言われるまでもない、荒神を封印した秋津家の宗家はどことも知れぬ旅の流れ者)&br;(国や人種が事を成すのではない、事を成すのに必要なのはただ強い意思のみ)&br;よかろう、そこまで言うのであれば…その力、私自身が試させてもらう(そう言って椅子から立ち上がり石畳の上に上がる)&br;(ここで己に屈するようでは荒ぶる神の前に立たせはしない。それが彼女を救う事ににもなる。だがもし己に勝つようならば…)&br;…鳳釵殿の意思、それを示してみせろ(それは彼女が、兄が選んだ道、そうとなればもはや文句は言うまい。後は二人が行く道を支えるだけだ)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-10 (月) 00:51:01};
---&color(#800080){私は乱蔵の為じゃなくて鳳釵の為に言ったのよ(半分冗談、半分真実を織り交ぜて軽やかに笑う そう何事も後ろ向きでは上手くいくのもいかなくなる)&br;(不意に撫でていた背中がすっと離れ、まっすぐ石畳に向かいその上に上がり、戦闘体勢へと入っていった)&br;(さきほどの二人の戦いもまた凄かったが、静次の符術はそもそも戦いの質が違う それを乗り越えられれば二人の勝機は更に高まるかもしれない)&br;(それでも、危険なことには変わりない だが二人を信じてみたいと思った)&br;(乱蔵が鳳釵を心から信頼しているように)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-10 (月) 01:28:57};
---  &color(orangered){もちろん 絶対に生きて帰るんだからね 私達にはまだまだやることいっぱい残ってるんだから&br;(私達の描く未来を確実のものとするためにも、この戦いは絶対に勝ち取らなければならない これは彼のためであり、この国の為であり、そして夏家の為でもあるのだ)&br;(私は、ただ強くなる為に力を求めてきたが今は違う 私の為では強くなれない 私の力はこの人の為にあるのだから)&br;(自分の決意に呼応するように、静次の低く抑揚のない声が耳に入る 視線を向けると石畳に上がる彼の人の姿は、やはり兄とどこか似ていた)&br;(乱蔵の顔や手にさっと薬を塗り、すっくと立ち上がりにこりと微笑む)…望む所!(張り上げる声と共に再び石畳へと足を伸ばす)&br;(今までに私は何度試練を与えられ、そして果たせなかっただろうか 失望の声はその度に自身を傷つけ苛んでいく その痛みに耐え切れず、私はそこから逃げ出した)&br;(だがもう逃げ出す気は無い 乱蔵がいる場所が私のいるべき場所なのだ それ以上の場所などどこにもない)&br;(認めさせる 乱蔵の隣は私の場所なのだと 認めさせて見せる 絶対に)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-10 (月) 01:29:16};
---&color(#800000){くくっ、違いない。ワシらはここで止まれはせんからな(絶望の未来を見るではなく、希望の未来を信じる、そんな姿になんと勇気づけられることか)&br;(塗られた薬が傷に染み入り、伝える痛みさえ頼もしい。そうして困難へと笑みを浮かべ挑む彼女を見、その小さな背を嬉しそうに送った)&br;(雪音と二人、椅子に残って石畳の上で向かい合わんとする二人の姿を見つめる。己は本当に幸運だ、彼女という信じるべき人と出会えて)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-10 (月) 02:00:44};
---&color(#E9967A){(力ある文字で書かれた符を何枚も重ね取り出す。それを空へと押し付けばらりと滑らせれば、ぴたりと虚空に張り付き静次を囲み半円を描く)&br;律ッ!(短く放たれた呪言により符から生まれいでるは、翼を大きく広げた鷲、顎を開き牙を見せつける狼、濡れたような輝きを返す大蛇、数々の式に縛られた獣の群れ)&br;(主の命令を今か今かと待受ける獣達の瞳はその全てがホウサの姿を爛々と捕らえて離さない)&br;(続けて符の貼付けられた人型の木片を取り出し、目の前に持ち上げ瞳を閉じ、口の中で何事かを呟いて呪念を込め、頭上へ高く投げ放つ)&br;(木片は中空にありてみるみる内に枝を伸ばし束ね腕とし、根を伸ばし束ね足とし、静次の身の丈四倍はあろうかという巨人となり静次の背後へ、ずん、と重い音を立てて降り立つ)&br;(るおおお、と人ならぬ樹の巨人が体中の葉をざわめかせたか、木皮を擦ったか分からぬような奇妙な呼び声を上げる最中、静かに懐に手を入れ)&br;(取り出したるは以前の宴の際ホウサも見たであろう扇子。それを優雅に広げ一振り、ニ振り、三振り、舞を踊るように振るい)&br;(四つを振るった時にはひとりでに手元を離れ、くるくると静次の周囲をいつまでも落ちることなく蝶のように舞い続ける)&br;&br;…来い鳳釵殿。曲げられぬ物があるなら…(討伐の時にさえ早々は見せぬ気を込めた瞳でホウサを射抜くように見つめ)&br;推し通してみろッ!!(獣が吠え、巨人が唸り、男が叫ぶ。その瞳は兄が選んだ女なのならば、絆を結んだ人ならば、乗り越えられると…信じていた)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-10 (月) 02:01:00};
-&color(#800000){(所は秋津の家の離れ、いくつかある武練場の一つ。よく晴れた空の元、円形状に丸く敷き詰められた石畳の上に一人の男と一人の女)&br;(吹き抜ける風を心地よく感じながら、かつて武を磨いたこの場所で、彼女に向かい立っていることに奇妙な可笑しさを覚える。心地良い違和感を)&br;…よくここで血反吐を吐くほどしごかれたもんじゃわ。懐かしいの(大木刀を案山子のごとく横に肩にかけ、そのまま身を捻って筋をほぐす)&br;(ひよっ子だった自分を見られているようでどこかむず痒いが…悪くない。長く旅をし腕を振るう機会はそうなかったが、調子は上々、久方ぶりの大木刀を握る感触もしっくりと来て)&br;(ぐるりと首を回して彼女を見据える。真剣な瞳と、楽しげな口元を合わせて)さあさ、では見せてやるとしようか、ワシらの修行の成果をの。&br;(石畳の脇に設えられた簡素な椅子に座る静次と雪音を視界の端に捕らえたまま、嬉しそうに言う。己の学んだものを見せられるのもだが…彼女の武を見た弟達の反応が楽しみだ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-08 (土) 00:56:43};
--&color(#E9967A){父上はお前には厳しかったからな…(実際に血を吐く乱蔵や、骨さえ折られることさえここで見たことがある。だがそれは期待の裏返し、己にはかけられなかったものだ)&br;…しかと見せてもらおう、半端なモノでは納得せんからな(一瞬たりとも見逃さぬと、ひた、と二人の立つ武練場を見る)&br;(話を聞いて納得はしたものの、心の隅にはやはりどうしても僅かなわだかまりは残っている。それを消してくれることを期待して)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-08 (土) 00:57:08};
---&color(#800080){幼心にも酷いものだったわね うちよりも厳しかったんじゃないのかしら(防衛の要である冬菜の家は代々様々な武人を生み出しているが、秋津家は物の怪退治専門だ 実践の差というものだろうか)&br;(静次の隣でそんなことを話しながらも、これから起こるであろう出来事に少し心配することがあった)&br;乱蔵 鳳釵を傷物にしたらちゃんと責任取るのよー(軽口を叩きながら大丈夫だろうかと不安になる 自分よりも背の低い彼女で、あの大木刀をどう相手するのだろうか)&br;(軍事の家に生まれたとて、雪音はそもそも戦いはあまり好むものではなかった 出来るものなら避けたい 無意味に傷つくのは愚か者のすることだ)&br;(だがこれからの戦いは必要なことであろう ならば自分がこれ以上口出すものではない 期待を込める静次とはまた別に、座を正し改めて二人を見守る目付きとなった)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-08 (土) 01:21:24};
---  &color(orangered){(手首をくりくりと捻りながら、足首もついでにぐりぐりと回し、とんとんとつま先を石畳の上で軽く叩きながら靴の調子を整える)&br;(万全に万全を重ねなければ、これから始まる戦いは私の存在意義にも繋がるのだから)&br;ふふっ 目に浮かぶね(彼の追憶の呟きに張り詰める緊張感がふと途切れ、口元になお笑みがあふれた)&br;(自分も昔、父や姉にしごかれたことを思い出す そしてボロボロになった自分の怪我を、兄が丁寧に治してくれたことも)&br;(あの思い出を無駄にはしない 全身全霊を持って彼を迎え打つのだ)&br;うん! たっぷりと見せてあげようね 私達が学んだことを(元気よく頷き、そして右足を半歩後ろに引き、ゆっくりと腰を落とす)&br;(いつもの穏やかな表情は今や消え去り、一人の武人の顔つきがそこにはあった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-08 (土) 01:21:38};
---&color(#800000){(浮かべていた笑みは彼女が構えるのと時を同じくして鳴りを潜め、大木刀の先端を彼女へ向け、こちらを射抜くような眼差しに相対する)&br;(その瞳には力満ち満ちて、全身から闘気が溢れ出しているのをぴりぴりと肌で感じ取る。彼女の調子もすこぶる良いようだ)&br;(それでなくては、それでこそ。見つめ合う二人の視線が絡み合い、お互いの一挙一足を逃さまいと石畳の上に独特の空気を生み出す)&br;(先に動いた方がやられる。見ている者にそんな思いさえ抱かせるような張った空気の中…無造作にも思える程にごく自然に、赤毛男が大木刀を上段にぴたりと構える)&br;(それは注視していた観客の二人にさえ先ほどと構えが違うことに違和感を覚えさせぬ程当然のように行われ)&br;(次の瞬間、赤毛男が石畳の上を滑るように動き、その大木刀が弧を描き彼女の頭上へ襲いかかった段になってようやく理解する。火蓋は切って落とされたのだと)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-08 (土) 21:13:49};
---&color(orangered){(もう幾度、こうして彼と相対しただろうか 養成校から卒業して一年間、独自に学び得てきた実力を互いにぶつけあい、確認しあい、高め合っていった)&br;(交じり合う視線の意味も、その構えから繰り出される先も、今の二人にしか読めないものであろう)&br;(その構えが動く 読んだ先通りの速さと動きで迫る ギリギリまで惹きつけ、左足を先程下がった右足と同じ距離の分だけ下げ、その反動を利用し左足で大きく振り上げる)&br;(大木刀が下がるのと同じ速度の蹴りが、彼の顎に向かう 靴の中に仕込んだ金属も含み、一見華奢な足からは想像つかないような、空気を引き裂く重低音が響いた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-08 (土) 21:29:13};
---&color(#800000){(音が響く。地の果てまでも響き渡るような重い大音響が文字通り音の早さで武練場を駆け抜けていく)&br;(振るい落とされようとする大木刀に即座に対応した彼女の蹴りにまた即座に反応し、脳天へ落ちるはずだった大木刀を捻り軌道を変えた)&br;(結果として跳ね上げられた蹴りと大木刀がぶつかり合い、かみ合い、打ち鳴らし合った)&br;かかっ!!流石じゃ…のっ!(その速さもさることながら、その重さ。こちらが両の手で打ち下ろした大木刀に片足で拮抗しうるそれに感嘆の声をあげ)&br;(そのまま座るようにして身を低くしながら彼女の残る足を狩るべく大木刀を水平に薙ぎ払おうと刃を振るう)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-08 (土) 21:50:23};
---&color(orangered){(天に向けた足先に木刀が触れ合い、靴と木刀がぶつかり合ったとは思えないような奇妙な衝撃音が修練場に響き渡る)&br;(左足からビリビリとしびれが駆け巡ってくる 触れる木刀から注がれる彼の気合を感じ、身も心も躍り上がるような高揚感に思わず目を輝かせた)&br;そっちも…ねっ!(薙ぎ払いの構えを目に留めた瞬間、未だ板の間についている右足のみで跳躍する)&br;(そのままくるりと一回転し、軽やかにトンと着地した瞬間、滑らかな動作で乱蔵に襲いかかった)&br;(こちらの攻撃は素手だ 距離を詰めるのは必然 手首を翻し握り締める右拳が乱蔵の腹へと一直線に突き進んでいった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-08 (土) 22:10:48};
---&color(#800000){(足を払おうと振るわれた大木刀は哀れ空を切り、ひゅんと空気を裂く音を残して過ぎ去る。普通の相手ならばこのような無理な体勢から飛んだ場合、どうしても姿勢は崩れる)&br;(攻撃を受けた後であれば尚の事。続けざまに攻撃を仕掛け、その隙を突くべきだが…それは相手が普通であれば、だ)&br;(最小限の高さで、全くぶれの無い体幹を維持し危なげ無く着地、尚且つこちらへ彼女が踏み込んでくる。ここで無理に攻撃を仕掛けてはこちらがお陀仏だ)&br;(槍の如く鋭さを持って放たれた拳に対し、身を引きつつ体を捻り避けようとする。しかし…伸びる。後半歩、その少しの差が赤毛男の誤算の差、彼女の修練の差)&br;ぐぅっ!(芯には入らなかったものの、右脇腹を捉えた拳から爆発的な衝撃が広がり、右半身が弾き飛ばされるが…、動きは止めない)&br;釣りじゃ…!もってゆけ!(『菫乃形』<応雨>。弾かれる体の勢いをそのまま利用し背を向け、打たれたその脇腹から彼女の打突の勢いも載せた大木刀の石突が伸びる)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-08 (土) 22:47:42};
---&color(orangered){(日々の修練は実り、今までとは比べ物にならないほどの速さと伸びによる拳は、完全には決まらなかったものの相応の威力は放てたようだ)&br;(拳から伝わる彼の分厚い筋肉が躍動し、押し返すように反発する 更に押し出すような形で拳をねじり上げ、殴り飛ばす)&br;(声が先か激突が先か、視界の端から伸びてくる石突が見える だが体勢により回避は難しい)&br;くっ…!(咄嗟に左腕を振り下ろし、伸び来る石突の軌道を下に逸らそうと試みる 腕にはめられた手甲が腕に響く威力を殺すも、勢いは殺せず脇腹に激痛が走り思わず顔をしかめた)&br;(ぎりっと痛みを噛み締めるも、痛みの中に好機を悟り、伸びた柄を両手でがしりと握り締め、綱引きのように引っ張った)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-08 (土) 23:05:24};
---&color(#800000){(攻撃の瞬間こそがもっとも無防備な瞬間。その瞬間を狙う目論見は見えずながらも大木刀の柄越し当たったことを伝えてくれた)&br;(だが浅い。防御をしづらい攻撃の直後、更には出どころを読ませぬ背越しの一撃をよくも凌ぐ。彼女に見えぬ笑みを浮かべ)&br;ぬっ…?(しかし浮かべた笑みは疑念のものへと変わる。柄が動かない、まるで大地に突き立てたかのように微動だにしない感触に危険を感じる)&br;(今背の向こうで何が行われたかは明白だ、彼女相手に力比べとなっては少々分が悪い。片手で大木刀を保持し引かれる力に逆らわず、振り返るように身を開き)&br;(勢い良く半回転しながらの肘打ちを彼女の頭があるであろう位置へと叩き込まんとする。打ち倒すことが目的ではない、彼女を振り払うための一撃だ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-08 (土) 23:31:35};
---&color(orangered){(抵抗があるかと思いきや、木刀はそのまま力任せに引っ張られ続くように彼の身体もぐっと近づき)&br;(更に勢いをのせた肘打ちが側頭部に襲い掛からんとするその姿に、瞬間二つの判断が同時に現れる)&br;(せっかく縮まった距離をまた開かせるのは惜しい しかし握ったままでは防御も迎撃も出来ない 離すかこのままか)&br;(木刀を握る力がふっと途切れる 両手を離した証拠だ そのまま大きく後退し肘打ちをかわす)&br;(無意識の判断だったが、彼の目的通りになってしまったかと少し不満そうに唇を尖らせる 彼の掌の上も時と場合に寄る 振り回されているようではいつまでも勝つことはできない)&br;(すぅっと息を吸い込み、丹田に力を込める そこを中心に身体の中の気が身体をかけ巡っていくのが判る)&br;(巡る気はやがて拳に集約されていく この一撃で決める そう誓った瞬間に余計な要素はすべて脱力していった)&br;…行くよっ!(自分の出せる最大速度でまっすぐに彼の元へ向かう いつだって最後は真っ向勝負だった ならば今回もそれで決めて見せよう)&br;(重さと速さを乗せた連撃が繰り出される 彼に対して想いを込め、大木刀に対してその熱意を込めて)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-09 (日) 00:09:34};
---&color(#800000){(また向かい合った彼女の内息が更に充実していくのが分かる。応じるように呼吸を整え、己の全身を緩ませ、かつ縮める)&br;(矛盾するその二つを可能にしたのはあの街で過ごした修行の日々。昔この武練場で大木刀を振るっていたあの頃とは比べ物にならない滑らかで素早い体捌きを見せ)&br;(凄まじい速さで襲い来る彼女へ向かい、前へ、前へ)&br;(全身を使い、目一杯の自分そのものを真っ直ぐぶつけてくる彼女に、思わず笑みが一つ、こぼれ)&br;(『櫻乃形』<華満開>。爆発的な衝撃を撒き散らす豪の剣は巧みに拳に威力を削がれ、逸らされ石畳に罅を入れるに留まり)&br;(『椿乃形』<鬼落し>。鬼の首をも落とす研ぎ澄まされた刃は触れることさえ出来ず虚を舞う体術に空を切り裂き)&br;(『薄乃形』<湖月>。伝説に残る何者にも捕らえられぬ最速の技をして、三度見せたその業は放たれる前から軌道を読まれ手甲にて防がれる)&br;(彼女が次々に繰り出す拳と、己の大木刀がぶつかり合い、交錯し、離れ、また出会う)&br;(ひとつ剣戟と拳の音が響くたびに、二人の距離は少しずつ、少しづつ縮まり、二人の傷も少しずつ、少しずつ増えていく)&br;(そして大木刀を如何に短く持とうと、柄の業を駆使しようとも有効に使えぬ間合いを彼女が貫こうとする瞬間が訪れて)&br;(退くか?…死んでもごめんだ)&br;(横から半円を描いて振るわれた彼女の拳をがちり、と食い縛り覚悟を決めて食らう。頬に拳がめり込む、顔が吹き飛ぶ、意識を手放しそうになる)&br;(しかし、それを犠牲にして…更に前へ踏み込む。そこは彼女の両手の内、今すぐ彼女が両手を内側に閉じれば、抱き締めることも出来る距離)&br;(連打を放つ火照った彼女の体温、熱く荒い吐息、そんなものさえ一瞬に切り取られた時間の中で感じられる程に密着したそこで、右手を大木刀から離し)&br;(そっと愛しい人の水月に拳を添えて、自分の中の全てをその一点に振り絞る)&br;…『拳乃形』<朋>(爪先から髪の毛の先まで、あらゆる力をあらゆる手段で稼働させ、連動させ、駆動させ、ただ一点に)&br;(それは憐華の業の歴史に無い一つの業が生まれ落ちた瞬間。男が女に贈る唯一つの華だった)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-09 (日) 01:24:18};
---&color(orangered){(相手より放たれる豪の力を削り取るように威力を殺し、その反動は足元の石畳を次々に弾き飛ばす)&br;(続けて繰り出される真一文字の斬撃も、身体はおろか服の糸すらも切ること叶わず)&br;(そして構えと気迫から感動と共に甦るあの伝説の技が来ると予想し、目にしかと焼付け忘れることもないであろうその動きを吸い込むように受け流す)&br;(全ては彼との修行によって体得できた動きだ 未だ故郷にいたのならば、絶対に会得できなかったであろう私の力)&br;(一発一発を全身全霊を込めて打ち付け、響くように大木刀が応える この響きは彼の声だろうか 互いの力を体感しながら喜びに打ち震えているのだろうか)&br;(嬉しい 嬉しい 嬉しい 私は強くなれた 彼のお陰で今の私があるのだ もう彼無しで私の人生などあり得ない)&br;(この拳が彼に当たる度に、彼の攻撃が私に当たる度に、彼との絆がより一層深まっていくような気がする いいやきっとそうだ それが私達の愛し合い方なのだ)&br;(痛みは喜びにかき消され、疲れは高ぶる思いに飲み込まれていった もっともっともっと もっと彼に応えなくては どこ、どこ、どこ、どこ、どこ?)&br;(見つけた)&br;(彼の決定的な死角を見つけ、その思いは最高潮に達する 一度だけ大きく息を吸い込み、全ての気合を乗せて愛しい人の頬を目掛けて拳を唸らせた)&br;(彼は逃げない 拳を放つ前からそう予感していた 彼もまた全力で受けてくれる 私の愛する人はそういう人だ)&br;(頬を抉るように綺麗に撃ち抜かれる拳 そしてまた予想する 彼は倒れない)&br;(彼は倒れなかった)&br;(踏み込み、抱くように身体を寄せる 戦っているはずなのに、このまま抱きしめあってもおかしくないほど自然に 両の手から大木刀が滑り落ちる 石畳の上に硬い音が響こうとしている)&br;(だがその音は、自分が石畳に叩きつけられた音の後によりかき消されていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-09 (日) 02:18:13};
-&color(orangered){(日が頂点より少し傾いた頃 空を覆い尽くすほどの木々の下に、四人の男女が車座になり思い思いにくつろいでいた)&br;(風が乗せる緑の匂いや甘い花の香りが、鼻孔をくすぐる度に食欲を高ぶらせていく 相好を崩しながらお絞りや箸や皿を用意し、幾つかある重箱を真ん中に敷き詰めていった)&br;(水着から簡素な服に着替え、濡れた髪は半分ほどくるくるとまとめて上に持ち上げた姿は、いつもとはまた違う雰囲気なのは髪型のせいか水泳後の気だるさからか)&br;(何はともあれ四人での食事に心踊らせながら、パカパカと重箱を開けていった)&br;(中身は定番のおにぎりが各種類に、これまた定番の卵焼きや唐揚げ、他には煮物や魚の照り煮 他には豆腐と鶏肉の和風ハンバーグにじゃがいもといんげんの和え物 紅白なますに春雨サラダなどなど)&br;(とりあえず作れそうなものを片っ端から入れているようなおかずが所狭しと入れてみたものの、やはり東国だからか調味料にも限界があった)&br;マヨネーズが無かったんだよねー 本当にあの街はなんでもあったね(つくづくあの街の凄さに感心しつつ、お茶も配られたのを確認しながら合掌した)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-01 (土) 21:47:36};
--  &color(#800080){(確かにここの木陰は今の気候なら最高の憩いの場であった 釣りの時に少し汗ばむくらいの暑さも今はすっかり冷えている 胸元の小物入れから小さめの手ぬぐいを出して、少し汗を拭うだけで事足りるくらいだ)&br;今の時期だと花の観光が多いでしょうし、こちらにはますます人来ないから気楽に過ごせるわね&br;(人数分の食器を鳳釵と共に用意しながらお茶の用意もする 途中で汲んだ湧き水で水出ししたお茶がそろそろ頃合いだ 涼を求める舌にはさぞ甘露となろう)&br;(そんなことを考えながら、ふと何気なく見た鳳釵の弁当の豪華さに、思わず静次の湯のみに注いでいた茶を少しこぼしそうになるくらい目を見開いて驚き)&br;…これ、全部鳳釵が作ったの?(かろうじてこぼしはしなかったが、今はもうそんなことを気に留める余裕はなかった まさか彼女がこれほど料理が出来るとは失礼な話しだが予想だにしなかったからだ)&br;(うん そうだよーと朗らかに応える彼女を見て、乱蔵はもしやこれに釣られたのではと下世話なこともつい考えてしまう)&br;(そして同時に自身の作った弁当のことも思い出し、そっと自分の持っていた籠を隅にやった)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 21:47:56};
---&color(#800000){(彼女と同じように髪をまとめ後ろへまとめ薄手の着流しを着た赤毛男。だが落ち着いた雰囲気を見せる彼女とは違いちっともその気配もないのはその纏め方の乱雑さ故か)&br;(待ちに待ったと舌なめずりをしながら次々と開けられていく重箱の数々に目を輝かせ、一つ一つ開くごとにその中身に見入りつつ)&br;ほお…これは良く用意したものじゃなぁ。いつもながら見事なものじゃ(うんうんと頷きながら、雪音から配られた茶を飲んでまずは喉を潤す)&br;(これだけの料理を頂くのだ、それを食べる喉の準備も万端にせねばなるまい)ふむ?ああ確かにまよねーずはこちらでは使わんものじゃからのう。&br;しかしホウサ殿ほどの腕があれば作ろうと思えば作れるのではないか?(その口調は彼女の料理の腕前を完璧に信用しきったもので。その信頼に基いておにぎりを手に取り)&br;うむ…美味いの!(ばくり、と一口大きくかぶりつき、笑顔を浮かべる。程よい硬さに握られた米粒は一つ一つが際立ち、塩加減も絶妙。具のあさりの佃煮も実に良く合っている)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 22:33:23};
---&color(#E9967A){…っと、危ないぞ雪音(自分の持っていた器から茶が零れそうになるのを、きわどい所でズラして受け止める。何をそんなに驚いているのかと己も重箱を見れば)&br;(ずらりと並ぶのはそれだけでちゃんとした晩餐にもなりうる数々の品々。重箱の大きさから量はあるであろうことはなんとなく想像はついていたが)&br;(その美しく、かつ食べやすいように並べられ、彩りも考えられていることは容易に分かる見た目からして、食べずともその技術の程はわかろうものだ)&br;…鳳釵殿はあちらで料理の修行でもしていたのか?まよねーず?(などと色々な疑問符を浮かべていたが、視界の端に雪音が自分の籠を脇へ押しやるのを捕らえて)&br;(思わず口をへの字に曲げてしまう。気持ちは分かる、分からぬでもないが…)おい。お前も作ってきたんだろう(と、横から籠を奪い、中の包みを取り出して)&br;(自分でも何が気に食わなかったのか自覚しないまま、つい先刻まで食べたくないと切々と願っていた弁当を雪音に構わず勝手に解き出した)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 22:33:42};
---&color(#800080){あ、ちょっと静次! やだ返してよ(奪われた弁当箱を奪い返そうと手を伸ばして苦戦する この弁当をみた後では自分の弁当など霞んで見えるというよりも、無かったことにしたいほどだ)&br;(しかし願いも虚しく開けられてしまった中身に思わず目をそらす いびつな形のやたらでかいおにぎりから、それでもはみだすほどの具が見える しかも複数)&br;(おかずを締める色合いは、彩りというのを放棄したような茶色というよりもむしろ焦げ茶色 肉が多いのは魚は調理が面倒だからという理由にほかならない)&br;(唯一褒められるのはかろうじて形は整えているということだろうか 均衡を保つ和の心は失っていないようだ だが頑張って探しても褒められそうな箇所はそこだけであった)&br;馬鹿! わざわざ見せなくていいでしょこんなの!(顔を真っ赤にし、涙目になって思わず声を荒げて睨みつける 何故彼はわざわざ私に恥をかかすのか、今すぐ心から消え去りたくなった)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 23:07:06};
---&color(orangered){(気まずい二人の空間を、どうしたものかと乱蔵と顔を見合わせてしばし考え)…じゃあ私、そのおにぎりもらうね&br;(警戒する獣を前にしてできる限り刺激を与えないよう細心の注意を心がける漁師のように、慎重な動作でおにぎりを一個そーっと手に取り、あぐっと一口ほおばろうとして)&br;…ん?(噛み付いた段階で首を傾げ、そのまま更に小さくはぐはぐと噛み締めて眉を上げた)&br;凄い! これお肉と鮭とイクラと昆布が入ってる! 豪華ー(取り合わせはともかく、そこまで酷い味でもないのでそのままもぐもぐと食べ続けた)&br;(そんな彼女を尻目に少し目を逸らしていた雪音の口から、一個一個食べるよりは、手っ取り早いかなって思って…と気まずい漏れた言葉は果たして届いていたのかどうか)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-01 (土) 23:07:24};
---&color(#E9967A){(弁当を取り返そうとばたばたと手を伸ばす雪音の頭に手を伸ばして阻止し、抗議の声をあげるのを無視して黙々と弁当を開ける)&br;(現れたのはホウサの弁当とは比べ物にならぬ不恰好でがさつな弁当。子供が泥をこねたようなごつごつの握り飯にこれまた泥の色をした揚げ物や焼き物の数々)&br;(それを一見し、ふむ、と一つ頷いて躊躇なく己の拳よりも一回り大きいおにぎりを手に取り、先ほどの乱蔵に負けぬ程の大口を開け、がぶり、と噛み付く)&br;……ふ、腕を上げたではないか(その言葉は少し優しげに。内心、前が甘いおにぎりならば今度は塩の塊のようなおにぎりかと思っていたのだが、充分に食える味だ)&br;言ったろう。人には得手不得手があると。お前はお前に出来るものを作った、比べるものでもあるまい(抗議の声をあげていた雪音を静かに見、言い聞かせるように)&br;…胸を張れ。背を伸ばせ。お前はそうしていればいいんだ(身を縮こませる雪音など、見たくはない。たぶんきっと…そういうことだったのだろう)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 23:49:42};
---&color(#800000){ほう、いつのまにか雪音も料理をするようになったのかの。変われば人は変わるものじゃなあ?(笑いながら言い、こちらを見るホウサには気にしなくてもいい、と視線で答え)&br;(ぺろりとホウサのおにぎりを平らげた赤毛男も不恰好なおにぎりを取り頬張る。しっちゃかめっちゃかな具の取り合わせは意外にも悪くない)&br;なんじゃ、普通にいけるではないか(あれほど顔を赤らめるものだから、さぞかし酷いものかと思っていたが。続けて揚げ物をひょいと摘み、がりがり、と固い食感のそれを食べ)&br;まあこれも…味は問題ないの。このぐらい歯応えがあるのもたまには面白いの(これはこれで、ともしゃもしゃと食い続けた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 23:50:06};
---&color(orangered){うんうん 下味はちゃんとついてるしね 私も前はよく焦がしたり味付け失敗したり、色々やっちゃったんだよー&br;5年間毎日してようやく形になったんだし、雪音も頑張れば自分の納得できるもの作れるよ(これはこれでいいと思うけど、とその爆弾おにぎりをもうひとつ掴んであぐあぐと食べる)&br;毎日練習したのもだけど、やっぱり食べてくれる人がいると張り合いでるよね(ねー と乱蔵の方を向いて小首を傾げながら同意を求める)&br;(自分の作った味というのは自分では判りにくい部分もある だから人に食べてもらうことも大事なことだ それに、食べてほしいと思う人がいることも大事)&br;さ、雪音も食べて食べて(お茶を飲みながら自分のお弁当も差し出す 自分の自信作を人に食べてもらうこともまた、料理をつくる上での一つの楽しみだ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-02 (日) 00:22:01};
---  &color(#800080){(静次のおにぎりに口をつけた瞬間、思わず下を向いて俯き目を瞑る また微妙な感想を取られるに違いない しかも先に素晴らしい料理を目にしたのだ 尚更比較され絶望されてしまう)&br;(普段の雪音を知っている人間ならば、その怯え様こそ信じられないような目で見られそうだが、今の彼女には彼に失望されることが何よりの恐怖であった)&br;(しかしその彼の口から予想もしなかった言葉は、しばらく雪音の脳裏では処理できないでいた)&br;(一体彼は何を言ったのか、目尻に涙を溜めた目で静次を見つめ)…ほ、本当?&br;(得手不得手の話は確かに先程した しかし自分は出来ることを増やしたい それもこれも彼の為に、彼の人生の中で喜ぶことが少しでも増えてほしいと望んでのこと)&br;&br;(でも私は、少し勘違いをしていたよう)&br;&br;(彼の言った通り、背筋を伸ばして胸を張り、更に微笑んでみせる その凛とした姿は一輪の白百合の様に そうすることが、彼の為のような気がした)&br;…ありがとう みんな ごめんなさい迷惑かけちゃって うん頂きます(微笑みながら丁寧に三角に握られたおにぎりを手に取る)&br;(中身は醤油で和えたおかか おかずの味を引き立たせる為にあえておにぎり自体の塩加減は控えてあった)…美味しい 乱蔵が喜ぶ訳ね&br;(おにぎりの味を噛み締めながら、これが彼女の愛情なのかと手本にするようにその味わいを記憶していった)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-02 (日) 00:22:38};
---&color(#E9967A){…私が嘘を言う理由もなかろう(そう答え、大きなおにぎりの続きを食う。元々大食をするような質ではない、今度は一口ずつ丁寧に食べ進めて行って)&br;(茶を飲んでそれを飲み下しながら、雪音がようやく安心したような様子を見せたのにやれやれと)&br;(彼女が料理を作り始めたのはここ最近のことだ、普段の生活では料理など自分でする必要もなく、始めた目的も流石にもう分かり過ぎる程分かっている)&br;(その思いが嫌なはずはない、ないが…それで彼女が本来の輝きを失ってしまっては意味が無い)&br;(涙さえ僅か浮かべていたような雪音の姿はそこに無く、そこにあるのは冬の雪の輝きを思わせる透徹した女の姿)&br;(それを見、ほんの少し…薄く微笑む)&br;(そうだ、それでいい。それでこそ雪音だ。心の中の澱が溶けたような心持ちになりながら、やっと雪音のおにぎりを食べ終わり、ホウサのおにぎりにも手を伸ばし)&br;なるほどな、毎日の鍛錬が秘訣、と…。しかしその口ぶりだと乱蔵は随分と良く鳳釵殿の料理を食べていたようだな。修行をしていたとは聞いたが…。&br;(見た目から察した通りの味に、乱蔵達は一体どんな修行をしていたのやら、と少し考え出して)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-02 (日) 01:18:45};
---&color(#800000){おう、ホウサ殿も最初に比べればめきめき腕をあげたからの!なあに、雪音も作り続けていけば見紛う程になろうて!&br;(ホウサの言葉に今まで食べてきた彼女の料理を思い出すようにする。そのどれもが味だけではない、心の込められた素晴らしいものだった)&br;(と、うんうんと頷いていれば、静次が少々訝しげな視線を向けてくるのに気付いて)&br;む?なんじゃ、ただ飯を食ってただけではないぞ?それにホウサ殿も料理を作ってただけではない(自信ありげにその視線に答える)&br;(そして僅かに思い巡らせ、間を置いて)そうじゃな…いい機会じゃ、今度その腕の程を見せるとするか(と静次を見、ホウサの方を見て言った)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-02 (日) 01:19:02};
---&color(#800080){(落ち着けば彼らの言葉の一つ一つが身にしみる 人の温かさが身にしみるとはこの事か 向ける視線の先に薄く微笑む彼の顔 結局私は彼に助けられてばかりだ)&br;(その恩を、いつかまとめて返したい その機会があれば、きっと)&br;やっぱり毎日の積み重ねが大事なのね(卵焼きに舌鼓を打ちながらも出汁の効いた味わいにたまらずもう一個)&br;私も5年後にはこれぐらい美味しいの作ってやるわよ やる気はあるもの!(やはり美味しいご飯を食べると心も和むものだ 先ほどの姿など霧散してしまったかのようにご機嫌で次々に食べる)&br;(そして二人の関係はどのくらいの期間があるのだろうか この料理もそういう関係になる前からなのか などと気を抜けばすぐにそういう詮索をしてしまう自分を戒めて)&br;…ん? 腕? 門前試合でもするの?(レンコンの煮物を口元を手で隠しもそもそと食べながら、ちらりと乱蔵の方を見つめる)&br;(試合はいいけどあまり静次に負担かけさせないでよね という気迫の篭った眼差しだった)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-02 (日) 01:42:52};
---  &color(orangered){(どうやら場は元通り穏やかなものに戻ったようだ 良かった良かったと胡瓜の浅漬けをぽりぽりと齧りながら、静次と雪音の二人を眺めてこちらも微笑む)&br;(やっぱり兄弟だなぁと、先ほどの静次の姿を思い出す 自分が言うべき言葉を澱みなく、まっすぐに相手に向けて語るその姿はまさしく兄と同じ、いつも向けてくれる姿そのものだった)&br;(そんな二人を微笑ましく見つめていると、ふいに上げられる乱蔵の声 唐揚げとこくんと飲み込んで彼の視線に応える)&br;静次君に手合わせ見てもらうの? わぁいいいね やろうやろう(言葉の意味とは裏腹に、大層呑気に何度も頷いた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-02 (日) 01:43:13};
---&color(#E9967A){やる気があるのは結構なことだが…ん、これは…大判のつくねか?(鶏肉と豆腐の和風ハンバーグを取り、口へいれる。素朴だがしっかりとした味わいに感心して)&br;まずは基本をきちんと覚えるようにしろよ。その辺りがしっかりしてるからこその鳳釵殿の料理なんだからな(と雪音に釘を刺すことは忘れない)&br;(乱蔵の提案に気楽に応じるホウサ、その様子からすれば手合わせをすることも日常であったのだろう。となればここはぜひ見ておくべきだ)&br;それは望む所だ。これで家を出る前より鈍っていたら…承知せんぞ(そう言いつつも内心はそれは無いだろうとも確信している)&br;(破天荒で先の読めぬ兄ではあるが、先に自分が言った通り…兄は兄には出来ることをするために旅へ出たのだろうから)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-02 (日) 23:02:01};
---&color(#800000){(ホウサの料理と雪音の料理を交互にぱくつきながら、雪音の刺すような視線をどこ吹く風と受け流して、口を開き)&br;何を言いたいかなんとなしに分かるが…雪音も今日割と無理矢理静次の奴を連れてきておったよな?(などと笑って嫌味の一つでも返し)&br;(ここで小休止、と茶をごくりと飲み、ふう、と息をつく。そしてホウサが快諾したのを聞けば頷いて)&br;よし!では決まりじゃな!今度仕事が空いた時に教えい。とくとワシらの腕前を拝ませてやるわ(それに…静次には見せるべきだ。その後の事を考えれば)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-02 (日) 23:02:22};
---&color(#800080){わ、判ってるわよ ただ美味しいものを組み合わせればもっと美味しくなると思うじゃない&br;(そう言って基本もできていないうちに、色々と工夫していき最終的に珍妙なものが出来るのがオチなのだが、なぜ失敗するのか彼女にもわかっていないようで)&br;(静次に続き乱蔵にまで釘を刺されて暫しむっと顔をしかめ)私のは釣りだもの 釣りなら無茶なんてしようと思っても出来ないでしょ 乱蔵みたいに山道を走ったり無茶なことはさせないわ&br;(ツンと形の良い顎を明後日の方に向けながら、もう一口卵焼きをもぐもぐ頬張る どうやらよほど気に入ったようだ)&br;…ま、身体の方は大分良くなったようだし、これくらいなら大丈夫でしょうけど(心配しつつもその手合わせは二人の兄弟の問題であろう ならば他家の自分がこれ以上口をはさむことはあるまい)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-02 (日) 23:34:47};
---  &color(orangered){んふふー 楽しみ ここしばらくは旅ばっかりだったからあまりちゃんとした組手も出来なかったもんね ようしそうと決まったらこれから身体ならしておかなきゃ&br;らんぞー君 お腹が落ち着いたらもうひと泳ぎする? 今度は湖一周とか 今度は負けないよ!&br;(お腹も大分満たされ、先ほどの疲れもほとんど癒された やはり外での行動は体調にも良い いつもより身体の調子が良いと感じる)&br;(それはこの国に来てからずっと感じていたことだ その要因も大体検討はついている あの御神木のお陰だろう)&br;(私達の目的の為にも、この国との関わりの為にも、この手合わせ必ず良い結果を出さなければならない)&br;(これが私のいま為すべきことだ 彼と共に人生を歩むための大事な試練)&br;(身体が少し震えてきた だが失敗を危惧する恐れや緊張からではない 心はどこまでも明るく心地よい)&br;(もしかして、これが武者震いというのかもしれない 故郷では一度足りとも経験出来なかった新たな体験に、更に心は躍った)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-02 (日) 23:35:07};
---&color(#E9967A){ほほう…判っていると…。ではいつだか食べたサバの味噌煮にあんこを使ったあの料理はどういうことだ…?&br;(まるで和菓子を目指したのかと思うような激烈な甘さと魚の生臭さが別世界の境地を引き出してとても食えたものではなかったのを思い出し)&br;(そして乱蔵に痛い所を突かれ、そっぽを向く雪音に追い打ちをかけるように)だがな雪音。乱蔵のあれは論外だが…お前が朝いきなり釣りに行く、と言い出したのも大概だ。&br;今日の予定が丸潰れになったからな…(やれやれと呆れ顔を浮かべつつも)…まあ、だがしかし来てよかった(申し訳程度に一言付け加えた。それは紛れも無い本音)&br;(乱蔵とホウサが息を合わせて肩に力を入れたのを見て)…ふむ、では楽しみにしておこう(乱蔵は兎も角として、ホウサの実力は完全に未知数だ。泳ぎを見れば身体能力が高いのは分かるが)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-03 (月) 00:28:08};
---&color(#800000){かかっ!確かにたいぶ久しぶりになるのう。ワシも今から腕が鳴るわ!(とぐるぐると腕を回して辛抱たまらぬ、といった風に)&br;お?いいぞ丁度体を動かしたくなってきた所じゃ、一周と言わず三週でも十週でも泳いでやるわ!(立ち上がり体の筋を伸ばし始めて)&br;(調子の良さそうな彼女を見て、頼もしい、と素直に思う。そんな彼女が隣に居てくれることで、己も力を分けられている気がする)&br;(だからこそ、静次にもそんな彼女のことを知ってほしい。己が誇るべき、彼女の事を)&br;(そうして知ってもらうことはきっと良い事だろう、そして…)&br;(森に遮られ見えないが御神木の方向を見て、しばし物思う。幼い頃見た夢。その願いが叶う時にも彼女に側に居て欲しいと、そう思った)&br;(そんな彼女に視線をやれば、楽しそうな表情を浮かべしかし震えている。すぐにその震えの意味を察し、微笑んで…その肩をぽん、と叩く)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-03 (月) 00:28:26};
---&color(#800080){あれは…その、お砂糖がなかったから 甘いのは同じだしと思って…ごめんなさい(やはり目を逸らして言い訳をするが、さすがにあれは無かったなと素直に反省する)&br;でも静次ったら調子のいい時はいつもいつもいつも仕事ばっかりしてるじゃない たまには強引にでも外に連れ出さないとしまいには根が生えちゃうわよ&br;(ぷーっと頬を膨らませながら抗議する 共に外出できないのは嫌だが、たまには日に当たって身体を休めてほしいという心境も含まれている)&br;(その願いが通じたのか、後半の言葉にぱっと顔を輝かせ)ふふっ でしょでしょ こうやってたまには外に出るのも他大切よ せっかく身体が良くなったんだもの 動かなきゃ損じゃない&br;(まだ彼の身体が弱かった頃、独り部屋で休んでいる時、時折じっと障子の向こう、外の世界を求めるように眺めていたのを知っている)&br;(今ようやくその願いが叶ったのだ 外に出て何の問題があろう まぁ確かに彼の仕事が遅れるという問題はあるが、少しくらい目を瞑ってくれるべきだ)&br;それにしても、鳳釵ったら乱蔵の相手ばかりしてたの? こいつ脳筋だから相手するのキリがないわよ よっぽど相手したいのなら別だけど&br;(などとさりげなくカマをかけてみる 自分の想像通りならばきっと彼女は嬉々として相手していることだろう)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-03 (月) 01:00:50};
---  &color(orangered){(震える身体を持て余していると、肩に暖かい温もりを感じる 振り返らなくても判るくらい何度も感じたこの世で一番の温もりを)&br;(おもむろに顔を向け、予想通りの彼の笑顔にこちらも思わず微笑み、肩に触れるその手に自身の手もそっと触れ…)&br;(ようとした時、雪音の言葉にはっと我に返り、慌ててその手を引っ込める)&br;あ、え、ああ、らんぞー君とはその、息が合うというかやりやすいというか、こちらに合わせてくれるから凄く助かってるの だからいつもお願いしちゃうかな&br;(あははーと笑うも心の臓は激しく鼓動を上げている 二人の関係はいつかこの二人に教えたい だが今はまだ違うような気がする)&br;ありがとう、らんぞー君 んじゃご飯も済んだことだし、片付けちゃうね(言ってせかせかと食器を片付ける あまり顔を見せたくないのは熱を感じているからだ きっと赤くなっていることだろう)&br;(いつかは話したい それは例の手合わせの後かもしれない 今度二人きりになった時改めてその件について相談するべきだろうか)&br;(これからの事に関して二人の関係は重大なことだ ぜひ知ってもらう必要はあるが、いざ話すとなると上手く説明出来るのだろうか)&br;(ぐるぐると堂々巡りする考えに、ふと乱蔵の方をちらりと見つめる 相変わらずの彼の笑顔 焦っているのは私だけなのだろうか)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-03 (月) 01:01:09};
---&color(#E9967A){(四人が輪になって過ごす陽光の下の団欒。照り返す日光は木々に遮られ穏やかに降り注ぎ、今日という日の一幕を照らす)&br;(目を細め、それを享受し受け止める。伸ばしても届かなかった手の向こう、障子の向こう側の世界がここにはある)&br;ああ…そうかもしれんな。だが私には少々、眩しい…(手でひさしを作り、その下から三人を見つめ呟く)&br;(外に出たことがない訳ではないが、いつ倒れるか分からぬ恐れを抱えずとも良くなったのはここ最近のこと)&br;(そんな身には今のこの状況もどこか夢うつつめいて映る。今にもこの胸が痛みを訴え、あの頃に逆戻りするのではないのかと)&br;(ふ、と自嘲の息を一つ付きいかんな、と考える。これではこうやって連れ出してくれた雪音にも申し訳ない)&br;(ホウサに楽しげに声をかける雪音を眺め一人思う。床に臥せっていた己には出来なかったこと。それをするのが皆への恩返しにもなるのではないか、と)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-05 (水) 00:27:48};
---&color(#800000){(触れた肩ごしに向けられる愛おしい彼女の微笑み、そして彼女が手を取ろうとして…慌てて姿勢を正した)&br;む?ああむしろホウサ殿にはワシも学ばされることばかりじゃったわ。助かってたのはこちらの方じゃわ。&br;(雪音のカマに大して赤毛男から見ても平常心を保てなくなっているホウサを見て、ようやく赤毛男自身も雪音のカマに気付き苦笑して)&br;(大当たりだとばかりににやにやと笑っている雪音を尻目に、誰とも目を合わせようとせず食事の片付けをする彼女を手伝い、手際よくまとめていく)&br;(彼女とのことは近々皆に話さなねばなるまい。どこか焦りを見せる彼女の横顔を見ながらそう思う。彼女を幸せに迎えるためにはそれは必要だ)&br;(だが…もう一つ、彼女とは話さねばならないことがある)&br;(僅か、戦場に居る時のような真剣な表情を浮かべる赤毛男。穏やかな湖のほとりの昼下がりに似合わぬその顔に気付いた者は居ただろうか)&br;(己の我儘かもしれない。一人よがりな自分勝手な考えかもしれない。それでも…彼女と共にあること、それは力になると確信して)&br;(湖面は静かに水鏡の如く。光を照らし返しきらきらと輝いて。それぞれの未来を思う四人を照らし出すように…揺らめき煌めいていた)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-05 (水) 00:29:58};
-&color(#800000){(太陽は既に天頂を周り、恐らく時間としても昼時を過ぎた頃。春にしては強い日差しを良く隠す木陰に移動し、一息つく)&br;(背の低い草が天然の緑の絨毯になっているその場所に、どかりと腰を下ろして水と戯れ程よく疲れた体を休める)&br;やはり暑い日は水遊びに限るのー(大きく伸びをしながら目を細め、来て良かったと思いつつ彼女を見れば、ふと気付いて)&br;…む、ホウサ殿…ちと焼けたか?(今日この日差しばかりで焼けたのではないだろう、ここに来るまでそれなりに長い時間を旅して来た)&br;(船に乗ることも多かったため、恐らくはそれもあるのだろうと、露わになっている腕から肩にかけてを眺め回し)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-28 (火) 00:09:54};
--&color(orangered){(汗ばむ陽気が幸いしてか、なかなかの遊泳日和となった昼下がり 風通しの良い木陰で少し休憩をとることに)&br;水も綺麗で気持よくて最高だったねー(軽くお茶を用意しながら、ふぅと一つため息をつき)休憩したらもう少しおよ…ん? え、そっかな?&br;(指摘されて自分の身体を様々な角度を変えて観察する 普段の衣装は二の腕の半分から露出している、その境目から確かにうっすらと小麦色に変わっているのが分かった)&br;あー…本当だ 抜けるまで何日かかるかなぁ らんぞー君も…(焼けているだろうかと改めて視線を向ける途中ですぐにまた戻す)&br;(水の中なら平気だったが、日の下で見るには色々な意味で目に悪い)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-28 (火) 00:29:35};
---&color(#800000){そうじゃろうそうじゃろう、ここは余り人も来ぬからな、汚されることも無い(茶を受け取って、ごくりと飲み干す。水の中に居ても喉は渇く、一杯の茶が有り難い)&br;(彼女が言われて自分の腕を確認するのを楽しげに見る)いいではないか、健康的でその肌色もワシは好きじゃぞ?(などと気なしに言う)&br;(そういう赤毛男は着ている着物の関係上、顔と胸元ぐらいしか焼けていないが…すぐに目を逸らした彼女がそれに気付いたかどうか)&br;ん…?ま、まあ心配せんでもこの日差しもそうは続かぬじゃろう!(とそんな彼女の仕草に、水を珠のように弾く胸元をじろじろと己が見ていたのに気付き、慌てて視線を逸らして)&br;(先ほどまで二人で泳いでいた湖面の方へと視線を移す。その向けた奥には緑に包まれた浮島があり)あー…ホウサ殿は泳ぎは得意な方じゃったか?(などと思いついたように言った)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-28 (火) 00:57:16};
---&color(orangered){(逸らしながらもお茶を一口すすり)…そう? ありがとう 昔は特に気にならなかったんだけどね&br;でも雪音のような色白もいいなぁて羨ましくなっちゃった(自身の容姿が気になったのも、やはり彼に恋をしてからだろうか)&br;らんぞー君の服装ならあんまり焼ける所もないし、私も日差し強い時はああいう服着ようかな&br;(遊泳の疲れによる気だるさも大分落ち着いてきた頃、どこか一点を見つめる乱蔵の視線に自分も向かい)&br;うん 泳ぐのは好きだからね 長く泳ぐのも大丈夫だよ(彼の意図を察したのか、もう一口をお茶をすすり浮島の距離をさりげに確認した)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-28 (火) 01:07:20};
---&color(#800000){(その言葉を聞くとにやり、と笑みを浮かべてそう来なくては、と一言嘯いて腰を上げる。そうしてまた一つ伸びをし、準備を整える)&br;ならばあそこに浮島が見えるじゃろう?あそこまで一つ勝負といかんか。泳ぎ方は自由、先に浮島へ着いた方の勝ちじゃ。&br;(今までの水遊びで充分に体もほぐれている。泳ぐこと自体も久しぶりだ、折角なら思い切り泳ぎたい)&br;あちらに居た頃はホウサ殿とようかけっこもしたもんじゃが…、泳ぎの方は力のほどを知らんしの、一度それも見てみたい。&br;(それも彼女と競い合えるならなおのこと良しだ。そう話しながらまた湖へ近づいて、ある程度水の深さがある切り立った縁へと立つ)&br;では…ここから行くとするか。ホウサ殿が勝ったら…今晩の酌はワシがさせてもらうとしよう(などと笑って言い、先程無造作なものとは違うきちんとした飛び込みの構えを取る)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-30 (木) 00:01:28};
---&color(orangered){よぅし その勝負受けた!(お茶を片づけひょいと立ち上がり、指定された場所へ悠々と進み)&br;私もらんぞー君の泳ぐ姿ってあまり見なかったしね いっちょお互い確認しとこうか(ほぐれた両腕をぷらぷらとさせて乱蔵の隣に立ち、遠目に見える浮島をじっと見据える)&br;ふふ じゃあらんぞー君が勝ったら食べたいおかず作って食べさせてあげる(にこにこと微笑みこちらも腰を屈めて構えた 微笑んでいるがその口元は真剣そのものであった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-30 (木) 00:14:38};
---&color(#800000){かかっ!それは楽しみじゃの!板せり尽くせりということか!(などと楽しそうに答えながら、身を弛め水を往く魚を脳裏に描き集中し)&br;あの鳥が木陰に隠れたらそれを合図にしようぞ。…くく、負けんぞ?(二人の前を行く鳥を見つめながら集中を高め…そして)&br;ふっ!(短く一息を吸い、腕を伸ばし身を宙に踊らせる。一瞬の内に湖面が近づき、着水。響く水音は赤毛男の体が立てたにしては小さく)&br;(合わせて、するりと吸い込まれるように水面に飛び込んだ身の上げる水しぶきは先の飛び込みとは比較にならないほど少ない)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-30 (木) 00:30:00};
---&color(orangered){うん分かった あの鳥だね(それを最後に言葉は止み、鳥が小さく囀りながら木陰に身を潜めた瞬間)&br;(全く同じ姿勢と勢いで、その姿はまるで飲み込まれるよう水の中へと入っていった)&br;(耳のそばで立つザバンッという音が水中の中でくぐもって聞こえ、しばらくその身体は水の中を足だけでするすると進んでいく)&br;(その息が少し切れかけた頃、ようやく水面に顔を上げ息継ぎと共に大きく腕を振って、背後に水をかき出すように旋回する)&br;(乱蔵よりも短く細い腕だがその力は常人の女性と比べるものではないことは明らか なるべく飛沫を上げずにただ無心で浮島を目指していった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-30 (木) 00:38:33};
---&color(#800000){(もしこの勝負の始まりを合図に使われた鳥が見守っていたのならば、鳥は確実に二人の姿を見失っていただろう)&br;(飛び込みで水面に上げた波紋が殆ど消え去るほど時が立てども二人の姿は湖面には現れず、その間、湖は誰もいない穏やかで静かな湖へと戻っていた)&br;(まるで元から誰も居なかったのはないかと思えるようになった頃…ざばり、と緑を映す湖面に赤毛頭が現れ水しぶきをあげる)&br;(一時の間を置いて栗色の三つ編みを泳がすホウサの姿が水面を割って現れる。まずは水面下での勝負はホウサに一身の分か)&br;(息継ぎの合間にちらりと彼女の姿を見れば活き活きとしなやかに水をかき分けていて。刹那の間その姿に見惚れこれは負けられぬと鋭く、早く腕を回転させ猛追をかける)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-30 (木) 01:00:35};
---&color(orangered){(しばしの静寂を保っていた湖面が、二人の人間によって一斉に破られる しかし二人はそれを気に留めているゆとりはない 勝負をするからには負けるわけにはいかないのだ)&br;(水中戦ではこちらに分があったものの、隣ですさまじく速くなる彼の泳ぐ姿を見て、思わずこちらも笑みが溢れる)&br;(この人は本当に、なんと私の闘争心を掻き立ててくれるのか)&br;(恋というのはこういうことも起こるものなのだろうか だとすれば私は良い恋をした 私の目標となれる、私を掻き立ててくれる人がそばにいてくれる)&br;(腕の長さには敵わないならばと、旋回する速さと力に集中する 水を切るように泳ぎ、目的の浮島はもうすぐそこまで来ていた)&br;(もう彼の姿を目にできる余裕は無い ひたすら前へと泳ぐ 泳ぐ 泳ぐ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-30 (木) 22:39:08};
---&color(#800000){(気合を込めたかいあって、彼女に並び、半身ほど差をつけたのを彼女が水を跳ねさせる音、水を切る振動を肌で感じとって知る)&br;(だがしかしこれしきで油断することはならない、今は自分が僅かに有利だろうが…ほら、思った通り)&br;(腕をふるう拍子、水を蹴る足の拍子、それぞれが一段と早くなったのを感じて嬉しくなる。だからこそ、それでこそ)&br;(こちらも回転速度はそのままに、無駄な動きをできるだけ排除し、水に抵抗し己が身を押し留めてしまう要素を削ぎ落していく)&br;(鋭利な刃が熟練した使い手によって水を切るが如く。鋭く、疾く。この讃えるべき彼女に負けぬように)&br;(もはや自分が先んじているか彼女が先んじているか分からぬほど、全身を動かすことに没頭し始めた頃、す、と周りに僅か影が落ちる)&br;(浮島のすぐ近くへ及んだのだ。前を確認すれば浮島の大地が壁のごとくあり、最後の一泳ぎと力を振り絞って泳ぎ、手を伸ばし)&br;(どうだ。壁に触れ水の中で声なき声をあげる、そして隣の彼女へ顔を向け、見るが…そこにはまったく同じような姿勢で腕を伸ばしこちらを見やる彼女の姿があり)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-31 (金) 00:13:22};
---&color(orangered){(肺が破れるのかと思うほどの激しい呼吸と、全身が包まれる猛烈な疲労 しかしそんなことに構ってはいられない あと少し あと少しで)&br;(手を伸ばし少しでも速くその浮島を手にしようともがく その勢いはまるで壁に激突するかのようにゆるむことはない)&br;(そしてついに右手が壁に触れる 目的の場所にようやくついた達成感も冷めやらぬ気持ちで乱蔵の方をみやると…そこにはすでに彼もいた)&br;はぁっ…はぁっ…はぁ… あ、あれ? 私、負けちゃった?&br;(彼の姿はいつからそこにあったのか判断しようがない こんな時審判が入れば良いのだがそうもいかず)&br;(勝ったのか負けたのか判らない困惑に疲労が蓄積され、思わず浮島の縁にぐんにょりと寄りかかった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-31 (金) 00:22:33};
---&color(#800000){(透明な水の壁の向こう、こちらを見る彼女の視線も少々の困惑の色を浮かべており。ぷは、と水面に顔を上げて二人顔を見合わせて)&br;ふっ、ふっ…ふうっ……むう…分からぬな…。殆ど着いたのは同じではあったようじゃが……。&br;(水の中に居る関係上、どうしても横を行く相手の動向を図るのは難しい、お互いがお互い全力を出していれば尚の事だ)&br;(ぷかぷかと水面に浮かびながら腕を組んで一声唸り…にやりと笑う)うーむ…勝敗が分からぬならば…向こうの岸へ向かってもう一度じゃ!&br;ふはははっ!今度は有無を言わさぬ差をつけてくれるわ!(高らかに叫び笑いながら、浮島の縁を蹴り、一足お先にと水を切る。へたれているならば置いていってしまうぞと)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-31 (金) 00:48:25};
---&color(#E9967A){(一方その頃、のんびりと釣りを楽しむ桟橋の二人。何事もない穏やかな二人の時間を益体もない話で過ごしながら釣り糸を垂らし)&br;…いや、だからな。無理をして飯をこしらえんでもいいのだぞ?お前にはお前の得手不得手もあるだろう……ん?&br;(少々の嫌な予感を覚えながら、遠くに視線をやれば、そこに見える浮島に魚とも、ましてや船とも違う水しぶきを垣間見て)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-31 (金) 00:48:56};
---&color(orangered){あっ! ずるい!(高らかに宣言しながら遥か向こう岸へと一歩リードする乱蔵の姿に、こちらも慌てて水中に潜る)&br;(どこにまだそんな余力が残っているのか いやこれはもう意地なのだろう 二人の武人は沸き起こる躍動感を有らん限り放出させながら湖面の平穏を乱していった)&br;(その向こう岸に誰がいるかなど、ここの地理には疎い鳳釵には到底検討もつかずに…)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-31 (金) 01:05:07};
---  &color(#800080){(風が少々暑い陽気など吹き飛ばしてしまうくらい爽快さを乗せて肌を冷やしていく そんな心地良さを味わいながら、ゆったりと静次と共に過ごせる時間を楽しみつつ)&br;…だ、大丈夫よ 今日のは以前と比べたら大分マシになったの! 母様も味見して食べられないことはないって言ってくれたもの!&br;(良家の息女らしく花やお茶などの習い事は問題ないのだが、ことこういう家庭的なことに関しては不得手の部類に入ってしまう)&br;(そんな口惜しさをバネに今日も頑張ったのだ 食べる本人の意志には目をつぶって)&br;(そんなことを考えて竿を左右に揺らしていると、静次のつぶやきにようやく気づいたのは遥か向こうから上がる水しぶき それも二つ)&br;…ねぇ あれ、こっちに来てない?(上がる飛沫の軌跡を目を凝らして見ると、それはまっすぐこちらに向かっているように見えた)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-31 (金) 01:05:28};
---&color(#800000){(本気で出し抜こうとしていた訳ではないが、すぐさま気を入れて追って来る彼女に水の中で楽しげに笑う)&br;(そうこなくてはと、また先程の泳ぎに比肩するような速度に徐々に近づいていく。そしてそれと比例するようにしてどんどん近づいてくる岸)&br;(泳ぎに夢中になっている赤毛男には、その向かう先に桟橋があること、そこによく見知った人間が二人居ることなど文字通り眼中にない)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-31 (金) 23:46:42};
---&color(#E9967A){…来ているな…。というか…あれはまさか…(雪音と顔を見合せている間にもみるみる水しぶきは近づいてくる。そして近づく程にその正体は否応にもよく分かり)&br;やはり乱蔵ではないか!おい!やめろ!こっちに来るのではない!…ああこれでは台無しではないか!(相手は水の中、聞こえはすまい、すまいが無駄とは分かっていても声をあげてしまう)&br;(コツを掴んできた雪音と二人合わせ折角数匹ほど連れていた所なのだ、これからというのにあんな盛大に暴れ回る大物が来てしまっては…)&br;(蜘蛛の子を散らすように、いやもっと酷い。蜘蛛の子を吹き飛ばすように魚は逃げ去るのは自明の理)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-31 (金) 23:47:50};
---&color(orangered){(最初はムキになっていたものの、再び水の中で肩を並べて進むのはそれはそれで楽しかった)&br;(さきほどの勝負に対する熱意とはまた違い、今は純粋に二人だけの空間、二人だけの時間に心が満たされる)&br;(あまりの楽しさに前方のものすら見落としてしまうほど、心は彼で満たされていた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-01 (土) 00:05:38};
---  &color(#800080){え、嘘 乱蔵なの? ってことはもう一つのは鳳釵!?(半ば信じられない声でこちらに突進してくれる二つの水影を驚愕の表情で見守り)&br;ってちょっとちょっと 魚釣りどころじゃないわよ このままじゃぶつかっちゃう…!&br;(慌てて竿と疑似餌を回収し、魚を入れた魚籠ももたつく手で引っ張り上げる その時間すら容赦のないほど距離は縮まり、もう互いの距離はほんの僅かとなっていた)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 00:05:56};
---&color(#800000){(水の中で桟橋の柱が見えてくる。またも彼女の存在は自らの隣にあるのを感じる。そうだ、いつだって彼女は己の隣へと)&br;(もはや勝敗の行方が気にならなくなってきたその時、片手を伸ばし柱へと手をつく。勢いのついた赤毛男の体を受け止めた柱はぐら、と揺れ桟橋全体を揺らし)&br;…ぷはっ!かかっ!また同着かの!…うむ、これも良い。ここはお互い勝ちとし…む?なんじゃお主らここにおったのか(と水面からこちらを睨む静次と雪音を見上げ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 00:31:38};
---&color(#E9967A){なあ乱蔵よ。泳ぐのはよい。もちろん良い。そのために来たのだしな、存分に泳ぐといいさ。だがな(ぴくぴくとこめかみを震わせて目を伏せたまま呟いて)&br;なぜよりにもよってここへ来る…?これではもうここの釣り場は使えぬではないか!(最後は射抜くように鋭く言い放ち。非難するように指を突きつけたが…その隣に浮かぶホウサに気付き)&br;…む、鳳釵殿もか。まあ大方乱蔵がよく見もせず先走ったのだろうが…(はあ、と一つ息をついて、気を取りなおしたように)…まあ仕方ない…鳳釵殿に免じてここは許してやる。&br;(折角このような所まで遊びに来たのだ、余り事を荒立てても卿が削がれるだけだろう)…にしてもまさか湖の入り口からあの速さで泳いできたのか…?なんとまあ…(と別の意味で呆れたように)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 00:31:58};
---&color(#800080){わ・わ・わっ や、やだ落ちる!(ぐらりと揺れる桟橋にへたり込み、せめて落ちるまいと静次の袴をがしりと握り締める)&br;(そして水面から上がるその顔は、静次の予想通り彼の兄であり見知った脳天気男の脳天気な顔であった)&br;…なんじゃじゃないわよ! 危ないじゃないの落ちたらどうしてくれんのよ せっかく今日は気合入れてきたのに!&br;(見当違いの怒りをぶつけながら、同じ時にぱちゃりと上がった鳳釵の顔にこちらも呆れながら)&br;鳳釵も…こんな筋肉バカと付き合わなくていいのよ? っていうか鳳釵はお客様なんだから接待くらいしないさいよこの馬鹿!&br;(やはり矛先は乱蔵に一点集中する 当然だ せっかくの静次との二人きりの一時とようやく面白くなってきた釣りを台無しにされたのだ)&br;(だが静次が許すと言っている以上、自分がこれ以上怒鳴っては彼の面目も潰してしまう 渋々といった感じで引っ込み、代わりに鳳釵を改めてまじまじと見つめ)&br;(―なるほど 似たもの同士がくっついたって訳ね と悪気もなく見つめ合う乱蔵と鳳釵をこう分析していた)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 01:06:05};
---  &color(orangered){(やはりほぼ同着であったがもうこの歳どうでも良かった 精一杯彼と泳げる以上に嬉しいことなどあろうか)&br;ぷあっ はー楽しかったってあれ? なんで二人がいるのー?(ぷかぷかと浮きながら呑気に告げるも、静次の怒気に気づいたのか、ようやく今の状況を理解できたのか)&br;…あ、そっか! ここで釣りしてたんだーごめんね お魚逃げちゃった&br;うん 最初は途中の浮島までだったんだけど、だんだん一緒に泳ぐのが楽しくなってきちゃって(あくまで呑気な調子だがそれでも常人と比べるとその差は歴然 静次の呆れ顔も仕方のないことだろう)&br;お魚逃がしちゃったお詫びに、私のお弁当ご馳走するね 入り口の方が木陰があってのんびり出来るし さ、らんぞー君 戻って用意しとこー&br;(言いつつ、先ほどのお返しとばかりにくるりと方向転換して、彼の返答も聞かずに一足早く来た方へと戻っていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-09-01 (土) 01:06:23};
---&color(#E9967A){…ぬ(自分の足にしがみつく雪音の背に無意識に手を添え支えていた己に気付いて、そしてそれに雪音が気付いていないことにほんの少しの安堵を覚えて静かに離す)&br;(…もし、雪音が落ちでもしたらただでは済まない大騒ぎに発展するだろう、今でさえ散々なのにそれは避けたい。そう、それだけ、それだけのことだ)&br;雪音も落ち着け。こいつが馬鹿なのには微塵の疑う余地もないがそれを言った所で魚が戻ってくる訳でもない。&br;(そう言う静次の顔も、しかめっ面は抜け切っておらず内心は雪音とほぼ似たようなものだ。しかしホウサが詫びにとした提案に眉を崩し)&br;…ああ、それはいいかもしれんな。言われてみれば腹も減った。そろそろ休むのも良い(目に見えて安心した表情になったのは誰が見ても明らかだったろう)&br;(拒否するつもりまではないが、雪音の弁当が不安だったのも事実。なにしろ彼女自信の母が評して食べられないことはない、だ)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 02:32:03};
---&color(#800000){…お主ら…流石に人のことを気軽に馬鹿馬鹿と言い過ぎではないかの?(とは言いつつも、まったくその顔はその事自体を気にしていない顔だ。良くも悪くも)&br;まあ、静次もたまには思い切り泳いでみるとええ、もう溺れる心配もないしの。良ければワシらでみっちりと泳ぎを教えてやるぞ。&br;(などとにやりと笑いながら弟を見上げていれば、のんびりとしたホウサの声。ああそうだ、ここまで思い切り泳いで食う彼女の飯はさぞかし美味いことだろう)&br;(弁当の味を想像しながら楽しみにしていると、ふいを突くように彼女がすい、と泳ぎ出す。少しの間が空いた。その間に彼女は水に乗るように速度を上げ)&br;かかっ!してやられたか!(後を追う。勝負をつけるためではない、ただ彼女の隣へ並ぶために。しかしその腕振りは力強く、今日今までの中でもっとも鮮やかであった)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-09-01 (土) 02:32:28};
-&color(orangered){(その森の奥深くは、ともすればむせ返りそうなほどの緑の匂いで充満しており、木々の葉や湖面に照り返す陽光が、まるで宝石のようにキラキラと輝いている)&br;(旅の疲れを癒す為にととっておきの場所を提案され、素直についていった場所がこの森の奥深くにある湖であった)&br;(こんな美しい湖は今まで数えるほどしか見たことがない 時折吹く風に漣だつ湖面は森の緑を反映しているように淡い緑色)&br;(生い茂る木々が多いのか少し薄暗いがその暗さが静けさと相まってその神秘性を増して言った)&br;ふわー…(言葉では表せない感動を、この国に来てもう何度したことだろうか)&br;(しかし飽きるということは決して無い まだまだ未知の場所があるのだろうが今はこの湖の美しさに目を奪われるだけで精一杯であった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-25 (土) 21:56:07};
--&color(#800080){凄いでしょ あまり人もこないから自然なままなのよ(まるで自分のことのように自慢げに言うが、自慢したくなるだけのことはある)&br;(この湖にはあまり人は来ない 第一に森の奥深く過ぎることと、第二に深さがあるので子供たちには危険だということ)&br;(第三にもっと近くにこれよりも大きく明るい湖があるので大抵の人間はそちらに行ってしまうのだ)&br;(だが雪音はこちらの方が好きだった 何より静かで綺麗だ こういう所には友だちと来てわいわい騒ぐよりも、恋人と二人きりでしんみりと楽しみたい)&br;(まあこの二人なら絶好の場所だろうとこの場所に目星をつけて提案したのだ)&br;さ、存分に泳いで楽しんで 私は静次と向こうで釣りに行ってくるから&br;(もちろんこちらも二人きりになれる機会は逃さない 鳳釵に案内という理由で無理やり外に出したかいがあった)&br;(それくらいしないとこの人はあまり外に出たがらないのだ せっかく身体も良くなったのにこれでは勿体無い)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 21:57:06};
---&color(#800000){(がさり、と鬱蒼と茂る低木をかき分けて森へと進み入った先に広がるのは懐かしい落ち着いた湖の景色)&br;(風光明媚な風情の湖を見つめながら、昔は暑さ厳しい夏ごろには涼を求めてここへ良く入り浸ったものだったと思い起こし)&br;ふむ…ここも変わらんの(木陰から空を見上げ太陽を見やる。今日の日差しは真夏とまではいかなくとも、初夏の強さにも似て)&br;ちぃと季節には早いが、泳ぐにはうってつけの日和じゃな(呆然としているホウサに向かってにかっと笑って言う)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 22:28:49};
---&color(#E9967A){ふう…今日は三つの国に親書を出さねばいけなかったのだがな…(そうぼやくように言うのは釣竿と釣り道具を手に持つ静次)&br;(何やら色々と企んでいるような顔の雪音を片眉を上げて見やるが、それを今言っても詮無きことだ。最終的に同意したのは自分でもある)&br;…ふ、仕方あるまい。精々大物を釣って帰るとするか(床と縁の切れなかった生活が長かったためか、どうにも遠出までして遊ぶということに慣れない)&br;(ここへも二人に連れられて時折訪れたことはあるが、その時も同じような事を思ったものだ。だが、折角の機会だ、どうせなら己も楽しむべきだろう)&br;(そう、以前とは違うのだから。そう割り切って雪音の先に立ち、釣り場を求めて歩を進める)…おい乱蔵、失礼のないようにな!(そんな一言を残して)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 22:32:26};
---&color(orangered){うん! 凄い凄い こんなに綺麗な森に湖なんて素敵素敵! もう眺めているだけでも充分すぎるよー&br;(そんなことを言いつつも、ここまで来るのに少し汗をかくくらい今日は暑い陽気であった ここに来た理由の一つも避暑を求めてのことである)&br;(しかしそれ以上に素晴らしい風景に暑さも忘れてしまうほどだった 泳ぎたい気持ちはあるが今しばらくはこの風景を堪能して置こうとキョロキョロ辺りを見回していった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-25 (土) 22:49:15};
---&color(#800080){あん 待ってよ静次ったら んじゃ何かあったら呼んでね 乱蔵なら場所判るでしょ(両手で籠の取っ手を大事に握りながら、ひらりと身を翻して静次の後を追う)&br;(せっかくの二人きりの時間だ 二人の距離をより縮める為に今から気合が入り、口元も思わず笑みがこぼれていた)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 22:49:36};
---&color(orangered){泳ぐのも楽しみだね〜 そちらも釣り頑張ってね 日焼けには注意だよー&br;(去りゆく二人に向かって片手をブンブン振った後、せっかく外出するのだからと水屋を借りて作ってきた、お弁当の詰まった籠を日陰に置いておく)&br;んじゃ、私あっちで着替えてくるね(丁度良い茂みを見つけて水着の入った袋を手にスタスタと歩いていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-25 (土) 22:50:18};
---&color(#800000){かかっ!そんなことは要らぬ心配よ!(背を向ける静次に笑って返し、その後を慌ただしく追う雪音の念押しにも笑って)&br;おうよ、随分と久しぶりじゃがここはワシの庭みたいなもんじゃからの、そっちも心配せんでいい(妙に嬉しそうな様子の雪音をやれやれ、と見送り)&br;(物珍しげに辺りを眺め回す彼女を目を細めて見やる。どうやら大分この風景もお気に召してもらえたようだ。ここまで来たかいがあったというもの)&br;承知した!虫には気をつけてのー(籠を置いて茂みへ消えていく彼女を見送って、ではこちらも準備をするかと一息ついて、勢い良くその場で着物を脱ぎだす)&br;(ばさり、とその辺りの木に着物をかければ鍛え上げられた筋肉が露わになり、それと同時に腰には目にも鮮やかな赤い褌が現れて)&br;(今日は着替えるまでもなく元より水練用の装備をしてきてある。備えあれば憂いなし。用心には網を張れ、飛ぶ前に見よ)&br;(そうして一人準備運動を始めながら、さて彼女はどのような水着を着てくるのだろうと期待を高まらせていった) -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 23:17:29};
---&color(orangered){(思ったよりも大分時間がかかったのは、生地が少し窮屈だったからなのだが、これくらい肌に密着していた方が水中では有利だろう)&br;(黒に近い紺色の水着に何とか着替え終え、脱いだ服を袋に詰めて再び乱蔵の元へと急ぐ)お待た…せ&br;(かける言葉がくぐもったのは、彼の姿を目にしたからに他ならない いつも見慣れた着物姿 更には何度も抱きしめているその肌を露わにしたその姿に多少戸惑いを覚えたのだ)&br;(男の水着姿など養成校時代も見ていたのだが、元来は肌を露わにするのを恥じらう文化の住人 やはり異性の裸体を目にしては緊張してしまうもの)&br;&br;(ほんの少しだけ赤らめた頬もすぐ戻り、気を取り直して軽く準備運動を始め、いよいよ湖へと足を向けた)&br;(縁に跪き、湖面に片手をそっと差し込む)…あ、そこまで冷たくないね(ほどよい冷たさと水の柔らかさは手に触れただけでも充分に判る 辛抱堪らずそのままじゃぼんと湖の中に足を踏み入れた)&br;わぁい! きっもちいいー(湖の中はおわん型に中心に向かって深くなっているようだ じゃぼじゃぼと歩いてどんどん水の中に入っていく)&br;(ヘアバンドは外しているが、水中でバラけないようにといつもの三つ編みだけはぷかりと湖に浮かんでいる)&br;(頭までつかったかと思うとすぐに顔をだすを繰り返し、あっという間に頭まで水浸しになってしまった)ほら らんぞー君も早く早くー}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-25 (土) 23:34:37};
---[[http://notarejini.orz.hm/up2/s/qst080873.jpg>http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst080873.jpg]]
---&color(#800000){(水に入る前は体を充分に解さなければ筋肉が攣る危険性がある。折角の遊行で溺れてしまっては元も子もない。入念に腕を伸ばし、足を伸ばす)&br;(…とはいえ。本格的に水練をする訳でもなし。実の所必要以上に気を入れて準備運動をするのはじっと待っているだけではどうにも想像が膨らみ過ぎての腹の落ち着き所がないからだ)&br;(彼女の水着姿を見るのは養成校の臨海学校以来か。随分と昔ではある。それに、それとは違う機会でその柔肌を見ることもあったが、だからと言ってそうそう慣れるものでもない)&br;(他の誰とも違う、どうしたって意識してしまう愛しい彼女の姿なのだから)&br;おう!(そして、その彼女からかけられた言葉に答えながら視線を向ければ)……おう!!(少々間を開けてまた返事。呆けてしまっていた。返事をしたか忘れてしまうくらい)&br;(太陽の下で見る紺色の衣装に身を包んだ彼女の姿は、陽光をいっぱいに浴びて健康的な色香を存分に振り撒いている。いつか見た水着とも、衣装ともまた違う艶やかさに目が廻りそうだ)&br;(その時、彼女が顔を仄かに顔を赤らめたのに気付く。まじまじと見過ぎたか、と勘違いして慌てて視線を外し準備運動をする彼女の隣で己も続きを行ない、その後に続いて)&br;っと、そんなに一気に奥へ行くと危ないぞ?(はしゃいでずんずんと湖の中心へ進んでいく彼女に苦笑する。あれよあれよという間に濡れ鼠だ)&br;(そんな水の滴る紺の水着がただでさえ押し込み切れていない彼女の体の線を強調し、きらきらと輝いて眩しい。なんと目に悪い鼠であろうか)&br;よーし!そこで待っとれ!(またもや見とれてしまいそうになる己を振り切って、水面から少し高い縁へと走りだし…そこから高く飛んだ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-26 (日) 00:16:08};
---&color(orangered){(水の中は割りと透明で中央に向かって暗い空間が漂っている 足がつく所でのんびりしていたかと思うと、水の中に潜って深みの中に身を投げたりと遊泳を堪能していった)&br;(そんな中、彼が掛け声をあげたかと思うと、その姿は宙に浮かび、派手な水しぶきと共に勢い良く水の中へと沈んでいく)&br;(水しぶきを頭から浴び、堪らず笑いながらも自身も水の中に再度身を躍らせ乱蔵の後を追った)&br;(水泡に包まれる彼の手を掴み、揺らぐ三つ編みをそのままに、水の中でにこりと微笑んだかと思うと、導くように水面上へ引っ張りあげていく)&br;(もう一度ぷはっと息をついたその隣で、乱蔵も無事水面から上がったのを確認してから、もう一度愉快そうに笑った)&br;(水の中ではどうしてこんなに無邪気になれるのだろうか まるで幼少の頃に戻ったかのように全てが楽しくおかしく素晴らしく感じる 乱蔵の方へと泳いで近づき、心の赴くままに彼を抱きしめた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-26 (日) 00:38:46};
---&color(#800000){(目一杯の笑顔をたたえて彼女の近くの水面めがけまっしぐらに飛ぶ。みるみる内に近づく湖面、綺麗に飛び込もうなどと一寸たりとも考えちゃいない)&br;(派手に体ごと叩きつけるように湖に飛び込んで、大量の水と大きな水音をまき散らして水の中へ沈み込んでいく)&br;(彼女は少しは驚いたろうか?そんな子供じみた思いを浮かべてつま先から頭の先まで包み込む水の冷たさを目をつぶって全身で楽しむ)&br;(準備運動と彼女の姿に火照っていた体には丁度いい、そんなことを考えていれば手に触れるぬくもり)&br;(目を開ければそこには透き通る水の中で微笑みたゆたう彼女の姿。まるでそのまま水へ溶けて消えてしまいそうに可憐で)&br;(繋がれた手をぎゅ、と握り返して、水面へ。光きらめく境界線上の表へと、登る、登る)&br;(そして水面から顔を出し大きく息を吸い込めば、どうにも笑みが浮かぶ。隣へ浮かぶ彼女を見ればやはり笑っていて)&br;(彼女が近づいてくるのに気付き、己も泳いで近寄る。水の上、ふわふわと浮かぶ浮遊感を感じながら取り合う手、重ね合わせられるびしょ濡れの二人の体)&br;(ひんやりとした水の中で、抱き締める彼女の体は先ほどと同じように暖かく、濡れて密着する体はその熱をより伝えてくれるようで)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-26 (日) 01:11:06};
---&color(orangered){(少し体温の下がった自身の身体が彼の体温を求めるように、抱きとめる腕に更に力がこもる)&br;うーん(じっくりと堪能するかのように頬ずりしながら、時折その頬に軽く口づけ、ため息をつくように言葉を漏らした)&br;やっぱり、らんぞー君といる時が一番幸せ…&br;(彼に告げる言葉なのか、それとも無意識に吐かれた呟きなの、どちらともない気だるげな声が彼の耳を震わせる)&br;&br;(彼の故郷に来て、乱蔵という人を改めて実感できた 彼はこの土地でこの空間で育った まさにこの国そのものなのだ)&br;(あの御神木が彼をこんな風に育てたのだと思うと、彼に惹かれた理由も納得できた あの素晴らしい木の下で育った素晴らしい人 そんな人に巡りあえて、私は本当に幸運だった)&br;らんぞー君…(身体を少し離し、同じ高さの額をコツンと当てる いつぞや彼にされた時は心臓が跳ね上がる思いだったが、今は別の意味で鼓動が早まる)&br;ありがとう(この恋心を実感するだけで、私の胸は高まりを覚えて止まらない だがそれもまた心地良い、この水の中ならいつもより素直にこころの赴くままになれる)&br;(心地良さにうっすらと目を閉じたまま、ゆっくりと唇を近づけていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-26 (日) 01:33:18};
---&color(#800000){(ちゃぷ、ちゃぷと二人が身動ぎをするたびに微かに水音が鳴る。風は吹き通り、木々のざわめきを背景として)&br;(うっとりと呟かれる言葉に、胸が震える。それはまさに今自分が自分が思っていたことと同じだったから)&br;(通じ合える喜びに打ち震えながら、彼女の濡れた頬に手をやり優しく撫ぜる。そんな人が隣に居ることの幸せを痛切に感じながら)&br;&br;(す、と彼女が身を離せば、額を寄せて。水に濡れた前髪が乱れ、張り付いているその額が己の額に固い感触を伝えてくる)&br;(その額からも熱を感じる。より高まった、彼女の心を表しているような熱い熱が。きっと、己の思いも熱と共に伝わっているだろう)&br;ホウサ殿…(しかし幾度と無く聞いた彼女の言葉、静かに呟かれたその言葉が、今はどこか儚く感じて)&br;(繋いだ手を握り直す。離したくないと、ずっと側に居て欲しいと。水の中彼女が曖昧にぼやけてしまわぬよう)&br;(空いた手で彼女の肢体を少し強引に引き寄せながら、強く想いを込めて熱い口づけを交わした)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-26 (日) 02:11:37};
--&color(#E9967A){(乱蔵達と別れた後、雪音を伴ってしばらく湖沿いに歩いて景色を楽しみながら、手頃な桟橋までやってくる)&br;…たまには遠出も良いものだな。心が洗われるようだ(体調に不安の無い状態で触れる自然はこれほどまでに違うのかと感じて)&br;(湖で舟を使うために作られた桟橋には小さな舟が繋がれており、ぷかぷかと風に揺られている。その桟橋の先端までやってきて、釣り道具を置き)&br;お前と釣りをするのも随分久しぶりだが…餌の付け方は覚えているか?(釣竿に仕掛けを作りながら、雪音に問いかける)&br;(場合によっては疑似餌を使ってみるのもいいかもしれない、などと思いながら釣りの準備を整えていく)&br;(仄かに緑づいた色の湖面は陽光を返し煌めいて、二人の来訪者を迎え入れるように静かに息を潜めていた)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-26 (日) 22:01:58};
---&color(#800080){そうでしょそうでしょ これを機に静次もどんどん外に出てみなさいよ&br;(隣を歩く静次の晴れ晴れとした表情に、こちらもご機嫌な顔で寄り添うようについていく 確かにこの景色は綺麗だが、本当は彼と共に出かけられれば場所はどこでも良かったのだ)&br;(しかも昔のように体調を気にしながらではない これからはこういう機会も増えるのだろうか そう思うと乱蔵が家を出て良かったと思えるものだ まあ結果論ではあるが)&br;(やがて桟橋付近にたどり着き、籠を置いてこちらも釣り支度を始め)ん? 覚えているわよ えーっと(などといいつつ、手つきは滑らかとは言い難い)&br;(苦戦する焦りからかついつい無意識に口を尖らせてしまうその姿は、どれほど容姿が大人びたとしても、中身はまだまだ釣り合っていないのが丸わかりであった)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-26 (日) 22:17:41};
---&color(#E9967A){悪くないが…公務に支障がでない程度にな(時折物の怪討伐の手伝いに出ることはあるが、己の主な仕事は秋津家の内務的な仕事だ)&br;(たびたび遠出をするような事は難しいだろう。乱蔵のように奔放な振る舞いは自分にはそうそう出来そうもない)&br;まあ…近場を視察がてら見て回るくらいなら…(そう言いつつ雪音の手元を覗き込めば口ぶりとは裏腹におっかなびっくりとした手つきで)&br;はぁ…そんな所で見得を張ってどうする。貸してみろ(雪音の釣竿を取って手際よく小さな小魚に似た疑似餌をつけていく)&br;(木製の体を鮮やかな色合いで塗られた偽物の餌は太陽の光を受けて光を弾いていて)ほら、これならいちいち餌を付け直さないでもいいだろう。}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-26 (日) 22:41:27};
---&color(#800080){そうやって普段家にいるんだから、尚更たまにはお天道さまに当たらなきゃ 外出るっていっても届けや退治くらいじゃないの&br;(家の中で会ってもいいが、やはりこうやって二人きりの時も持ちたい と言ってもこの人はそれ以前の問題なのだが…)&br;うっ…何よ 私だって頑張って静次の手を煩わせないようにしてるのよ&br;(しかしお手上げなのか素直に竿を渡し、自分とは違って器用につけられていく餌をまじまじと見つめる それが偽物だと知ると途端目を見開いて)&br;へぇ…派手な色よね こんなんで本当に魚がかかるのかしら(しげしげと色んな角度でその疑似餌を見つめ、しかしこれだけでいいのなら確かに楽だと、気を取り直してひょいと獲物を水面に飛ばした)&br;…さて ここからが長いのよね でもまぁ待つのは嫌いじゃないわ(魚なら待てばいずれ来るのだから良い 待っても来ない大本命より遥かにマシだ)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-26 (日) 22:55:03};
---&color(#E9967A){(そうして雪音の分の仕掛けを作り終え、自分の釣竿には毛糸や鳥の羽の一部を用いて作った毛針の仕掛けを作り始める)&br;こまめに竿を引いて、そいつを泳がせるんだ。さも本当の魚のようにな(そうして自分の仕掛けを作り終え桟橋の端へ立ち)&br;(ひゅん、と重りの重さを利用して頭上で糸を旋回させ遠くへ毛針を投げ込んで、様子を見る)&br;私も待つのは得意だが…お前の場合待ちきれないんじゃないか?(堪え性が無いのとも違う、雪音も待つ時は待つが…)&br;(それ以上に押しが強いのだ。喧嘩している子供を見れば話を聞く前にまず両者に拳骨を落とすし、泣く友が居れば静かに寄り添うではなく連れ出そうとする)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-26 (日) 23:19:47};
---&color(#800080){あ、そっちの方が綺麗じゃない 今度はそっちにしてね(鳥の羽が気に入ったのか、指をさしつつ今はこちらの餌で釣りを始める)&br;本当の魚のように…こう?(湖面に揺れる影を出来るだけ魚影に似せるように竿を動かし、しばらくするとコツが掴めてきたのかスイスイと泳がせる)&br;(その一方で、静次の疑似餌が更に遠くに消えていく 風が木々をたなびかせる音の中に、ちゃぽんと沈む音が一瞬現れ霧散した)&br;…もう待てない ―って言ってもそれで良い方に進展する訳でもないじゃない&br;(昔からどっちつかずな状態が嫌いだった それで色々失敗したことも多々あるが、なぁなぁなのが一番嫌なのだ)&br;(しかし、こと恋愛に関しては自分の意見だけで解決する訳にはいかない 押しが強くて仕方なく、などという状況はゴメンだ 嫌なら嫌とはっきり言って欲しい)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-26 (日) 23:45:52};
---&color(#E9967A){その餌木で釣れたらな。…おまえにしてはなかなか覚えが早いようだし、すぐに釣れるだろうさ。&br;(最初はぎこちなかった雪音が泳がせる偽物の魚影は、しばらく見ている間に活き活きとした動きを見せ始め)&br;(着水した毛針が水面をゆったりと流れている間、それを見てこちらはのんびりと魚を待つ)&br;違いない。いくら焦ろうとも上手くいかない時は上手くいかないものだしな、だが…(言葉を繋ぎつつ桟橋へ腰掛ける)&br;(そうして待つ間も、繰り返し疑似餌を泳がせ、投げ込む雪音を見やって)お前はそれでいい。そうしているお前は…悪くない(と静かに呟いた)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-27 (月) 00:06:47};
---&color(#800080){(すーっすーっとゆっくり左右に竿を動かし、しなり具合を確認しつつ、少し奥の毛針もちらちらと見つめて)&br;お前にしてはってどういう意味よ これくらいなら余裕よ余裕(ムキになると意識がばらけるのか、疑似餌がパチャパチャと水面に踊り出る)おっとっと…&br;(そうしていると、静かな湖の中に響く静次の言葉が耳に入る 悪くないというその言葉は、いつもの調子とは違ってどこか暖かい)&br;(ああずるい と少し悔しくなった これで自分を満足させてしまうこの人は本当にずるい)&br;…ねぇ静次 世間一般のいい女の基準って知ってる?(先の言葉にあえて応えず、話しを少し別の方向へと持っていった)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-27 (月) 00:21:37};
---&color(#E9967A){ああそれはな、甘いおにぎりなどという衝撃的なものを作るお前にしては、という意味だ(としばらく前に食べた珍妙な味を思い出して)&br;(そうして毛針の動きを見張る傍ら、横目で見ていれば水面を跳ねる疑似餌。言わぬことではない、これでは飛魚だ)&br;(やれやれと頭を振って呆れていれば、座った己の頭の上から雪音の声が降ってくる。湖面をずっと見ていた己にはその表情は見えず)&br;…分からぬな。美しい女だとかそういうことか?(長らく床で過ごし、成人してからも家の手伝いと術の勉強ばかりしていた自分にはさっぱり検討もつかない)&br;(そんな己には流石に常識的な範囲で、見目麗しければ'いい'と世間では言われるであろうことくらいしか想像が及ばない)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-27 (月) 00:46:10};
---&color(#800080){だって! おはぎだって甘いんだからお握りに砂糖でもいいじゃないの!(本当は塩と砂糖を間違えたのだが、それはそれでまた呆れられるので意固地になっただけである)&br;(しかし今は釣りをしている最中だ 大声の響きで魚を警戒させてしまうのでは、すぐに静かにすまして座り直した)&br;(そして問いかけたその言葉に小さく一つため息をつく まさに本の通りの人だ 流行には完全に疎く、常識は主に本の中なのだ)&br;(彼は頭はよいし真面目だが、生身の人間の価値観も知らずに上に立つのもどうかと思う)&br;いい女っていうのは、相手を待たせるくらいが丁度いいのよ(言って、竿を一旦引き、疑似餌を手元へ寄せながらぽつりと呟く)&br;男はその逆だけどね}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-27 (月) 00:54:31};
---&color(#E9967A){(己の隣に座る雪音の表情を見れば、呆れているのか落胆しているのか微妙な顔を見せて軽く息を吐いていて)&br;ふむ…そういうものか…難しいな。やはりお前が言うように私ももっと外を見なければならんのかもしれん。&br;(呟かれた言葉にそう答えながらも、その言葉が言葉通りの意味でないことぐらいは察しがつく。だが…己は待ち過ぎた)&br;(長らく自分の咳で目を覚ますような不安定な身体を抱え、儘ならぬ生活を続け、乱蔵のように破天荒にも、雪音のように情熱的にもなれない)&br;…む!(その時、毛針が僅かにゆらぎ、ちゃぽん、と音を立てた。すぐさま合わせを入れ釣り上げようとするが…)&br;……逃げられたか(その感触は軽い。ああ、やはり儘ならぬ。儘ならぬが…、これでいいのだろうか?そう、心の中で声がしたような気がした)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-27 (月) 01:24:38};
-&color(#800000){「さあさ今宵は皆々方お集まり頂き恐悦の至り!我が息子が戻り、異国からの客が参られた今日という日を記念して幾ばくかの酒と料理を用意した!ぜひ楽しんでいってくれ!」&br;(大広間の一室、奥に設けられた高座から低く、だが朗々と響く声。その秋津家現当主の声を受けて居並ぶのは冬菜、春間、夏野の各家の者たちの顔ぶれ)&br;(そして、当然の如く秋津家の主だった面々。それ以外にもちらほらと分家の者の顔も見える。昨日の今日で集められたにしては錚々たる面子であった)&br;(言葉が終わると皆が盃を持ち上げ、一斉に飲み干す。そうして宴が始まる。夜を彩る酒の香りと料理の味と人々の熱を内に抱えて)&br;&br;(今回の主賓である二人へ次々と挨拶に来る他家の者たちが途切れ、一段落した頃に、ふう、と一息ついて隣の彼女へ問いかける)&br;かかっ、すまんの、皆ワシはともかくホウサ殿が珍しいのじゃ。飲み過ぎてはおらんか?(などと言いつつ、己は空いた杯を満たし更に飲もうとしている)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-19 (日) 23:14:33};
--&color(#E9967A){…ふう、乱ぞ……兄上も相当珍しがられてますよ。いったい何時ぶりに姿を見せたと思ってるんですか(急ごしらえにしては充分過ぎる量と種類の料理を摘みながら言う)&br;ああ、しかし確かに鳳釵殿、兄上からお聞きかもしれませんがこういう時は放っておくといくらでも酒を注がれますのでご注意を(そう言う静次の杯は殆ど減っていない。どうやら苦い想い出があるようだ)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-19 (日) 23:15:24};
---&color(orangered){(旅装束から今までの部屋着よりも少し豪華に着替え、用意された席に鎮座しながらも目はずっと周囲を観察していた)&br;(ここにいる人達は、皆それぞれこの国の重鎮だと聞かされ緊張した面持ちで構えていたのだが、張り上がる声と共に始まる宴に思い思いに料理を味わう姿に少し緊張は薄まっていった)&br;(自分の前を訪れ次々とされる挨拶に、何度頭を下げたのかもう覚えてもいない だが歓迎されている雰囲気は充分実感できてこちらも笑顔は途切れなかった)&br;ん、大丈夫 らんぞー君に鍛えられたおかげかな? それに料理も美味しいから飲んでばかりも勿体無いしね らんぞー君こそあまり飲み過ぎないようにね&br;(帰省した安堵感からか今までよりも彼の酒のペースが早いことに注意しながらも、普段よりは丁寧に箸を操り品よく料理を頂きながら、口元を袖で隠してコロコロと笑い)&br;ふふふ…本当にらんぞー君の言った通り みんなお酒好きばっかりだね …でも静次君は苦手な方なの?&br;(弟とは同い年ということもあり、満たされたままの杯を幾分砕けた口調で問いかけた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-19 (日) 23:33:42};
---&color(#800000){久しぶりに里の酒を飲むからのう、ついつい手が出てしまうというものじゃ(からからと笑いながらも、次の酒は少々控えめな量を注いで)&br;ああ、こやつは体が弱かったからの、元々殆ど飲まなかったんじゃが無茶をしおったことがあってのう(懐かしむような表情をして瞳を細め)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-20 (月) 00:00:35};
---&color(#E9967A){くっ…、あの時は乱蔵が面白がって煽ったのではないか!(きっ、と睨むようにして兄を見る。そうでなければ節度は踏まえていると主張して)&br;(品のある物腰とは裏腹に楽しそうに笑うホウサからは宴の始まりの頃にあった硬さは取れている。場の空気も程よく弛緩しているのも分かり己も少々気を抜いて)&br;味そのものは嫌いではないんだがな、何分心の臓に負担をかける。それでもここ最近は飲みつけるようになったが…それもホウサ殿のおかげだったとはな。改めて感謝する。&br;(ホウサへと頭を下げる。自分の体が劇的な改善を見せた謎の経緯は聞かされていたものの、そこで二人のおかげ、と言わないのはささやかな意趣返しか)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-20 (月) 00:01:42};
---&color(orangered){気持ちは判るけど、酔いつぶれて寝ちゃわないでね(二人で暮らしていた時は、たまに飲み過ぎて酔いつぶれてしまい、寝室へ運んだりしたものだ)&br;(二人の兄弟のやり取りにまた笑い声を上げて)ああなるほど 駄目だよ身体弱い人にそんなことしちゃ&br;でも今は飲めるようになったんだね 良かったね静次君(身体が弱った頃の彼を知らないので、どれくらい改善されたのかは実感できないが、口調や言葉から楽になれたということは充分に把握できた)&br;私は何もしてないよ らんぞー君が望んだ事だし、治ったのはカナエル先生の力のおかげなんだから&br;でもいきなりきついお酒じゃなくても、食前酒や食中酒で軽くいっぱい嗜むのもいいよね ご飯も進むしね&br;(弟の身体を治るようにと願ったのは、あくまでも兄として純粋な想いが込められていたのだ それはやはり考慮してもらいたい いや自分がそんなこと言わずとも彼は受け入れていることだろう)&br;私もらんぞー君と出会うまでは全然お酒飲めなかったけど、この人にお酒の美味しさを教えてもらったんだー 美味しく味わえるのが増えるの楽しいよね&br;(そう言って自分も杯を傾け、彼の故郷の味を身体に染み込ませ、実に美味しそうに味わっていった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-20 (月) 00:17:13};
---&color(#E9967A){しかし鳳釵殿は自分のために願いを使うことも出来たはず…ならばやはり感謝しかあるまい(薄い微笑みを浮かべる。この男が表情を綻ばせたのは今宵これが初めてで)&br;ああそれはそれは…。いい事ではあるがこいつは無茶な飲み方をするからな、その言い分では随分迷惑もかけていたようだ。まったく…(酒を教えるのはいいとして、それで潰れていては世話がない。呆れ顔で兄を見る)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-20 (月) 01:17:09};
---&color(#800080){(そうして三人が酒を楽しむ最中、ちりん、と微か鈴の音がし、まるで冬の夜、雪がふわりと舞い降りるように白い装束の女が現れる)&br;(そのまま滑るようにホウサの前へやってきて、凛とした視線を向け粗のまったくない流水の如き仕草で体を折り、見事な座礼を彼女へと捧げ)&br;…初めまして。冬菜雪音と申します。何卒お見知りおきを(涼やかな声でそう名乗る女の上げた顔から滑り落ちる髪は一本一本が絹糸のような滑らかさを持ち)&br;(そして続けて赤毛男にも向き直り、周りの視線が無いことを確認し気安くにっこりと笑って、ちょいちょい、と手招きをする)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-20 (月) 01:17:59};
---&color(#800000){ん?誰じゃ…?(と近づいてきた女にわずか訝しげな顔をしたものの、ホウサへと名乗った名を聞いて、驚きの顔になり)&br;その声…雪音じゃと!?なんとまあ女らしゅうなって…(手招きに応じて近寄りまじまじと見つめようとすれば)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-20 (月) 01:18:20};
---&color(#800080){''なぁにやってんのよあんたはッッ!''(きちんと座った姿勢から烈火のごとく突き上げた拳が赤毛男の腹に突き刺さった)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-20 (月) 01:19:28};
---&color(#800000){ぐふぅっ!?(と予想もしないタイミングで予想もしない行動にどうしようもなく身をくの字に折る赤毛男)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-20 (月) 01:20:27};
---&color(#800080){ほんっっとにもー!皆にさんざん心配かけさせといてのこのことー!こんなんで済んで感謝しなさいよ!&br;(一息に強い調子で言い切って、呻く赤毛男をぎらりと睨めつけた後、今度は悪戯っ子のような顔でホウサを見)&br;あは、ごめんなさいね、お客さんの前で騒々しくしちゃって(などと先ほどとはまったく違う朗らかな顔で笑った)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-20 (月) 01:20:58};
---&color(orangered){でも結果的に静次君の身体が治ったからやっぱりこれで良かったと思うよー らんぞー君の家族なら尚更&br;(うっすらと、だが確実に彼が笑ったのを目に留め、こちらの笑みは嬉しさに増々深くなる)あ、笑った顔はそっくりだね やっぱり兄弟だね&br;(改めて静次の顔をまじまじと見つめながら、呆れた様子で兄を見つめる弟、それに対してどこ吹く風の兄の様子をおかしそうに楽しんでいると)&br;&br;…ん?(耳に心地よい音色が近づいてくる 何事かとそちらに顔を向けると、そこには一輪の雪の華を思わせるような美しい女人が目の前にやってきた)&br;あ…え、あ、は、初めまして…夏 鳳釵といいます こちらこそお見知りおきを(淡く儚げな雰囲気ながらも、周りの喧騒をかき消すほどの美しさを誇るその女性の苗字を耳にし、少しひっかかるものを感じ)&br;(顔をあげようとする直前、まるで巨大な岩を鉄球で力任せにぶち当てた様な壮絶な音が隣から響き渡り、今度は慌ててそちらの方を見ると無残にうつ伏せる乱蔵の姿)&br;……え、あ、あの、何? その(相手の花ひらくような素晴らしい笑みに対応できず、何が起こったのだろうと雪音と乱蔵を交互に見続けて)&br;(助けを求めるように静次の方へと視線を向かわせた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-20 (月) 01:40:31};
---&color(#E9967A){嗚呼…(天を仰いで嘆息する静次。見れば高座の父も畳に突っ伏す息子の姿を見て高笑いを上げている)&br;(薄情と言っていいのか、それこそ雪音が言う通りこれで済んでマシと言うべきか)&br;おい…雪音、気持ちは分かるがもう少し長く取り繕ったらどうだ。鳳釵殿が驚いているだろう(二度目の嘆息は何のことやら?といった顔をした女へと)&br;こいつは家は違うが昔から乱蔵と私との腐れ縁でな。それに…わた……いや乱蔵と私の許嫁候補でもある(と驚き冷めやらぬホウサへと語る)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-21 (火) 00:16:03};
---&color(#800080){(そう自分のことを語る静次が僅か言い淀んだのを耳ざとく聴きとって少々不満そうな顔を見せる)&br;もう…殆ど決まってるようなものなんだからそこは言い直さなくてもいいのに。…まあ、そういうことになるわね。今の所は。&br;それじゃ改めて宜しく、鳳釵さん。あっちの流儀だと手を握るんだっけ?あ、でも大陸もそうだっけ?あれれ?(などと疑問符を浮かべつつも、無邪気に右手を差し出して)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-21 (火) 00:16:24};
---&color(orangered){(諦めなのか呆れなのか判らない静次の顔と、一連の出来事を文字通り一笑に付す彼の人の父親の様子で、これが特に問題のない光景なのかと少し納得しつつ)&br;…あ、貴女がらんぞー君の言ってた許嫁候補の(一瞬の間が訪れる こんなに綺麗な人だったとは予想以上だ)&br;え…ええ、宜しく、雪音さん……ああ大丈夫 作法はこちらと似たようなものだから(それでも差し出された右手をこちらも差し出す手で握り締める)&br;でも…候補じゃなくて、もう相手は静次君で決まったの?(やはりそこは気になるのか、少し真剣な眼差しで問いかけた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-21 (火) 00:32:15};
---&color(#E9967A){(ちょっとした騒動に気付いた何人か場の客達も相当酒が入っているのか、やあやあ見事見事、などと言って囃し立てている)&br;(腹を抑えて起き上がる兄も一杯食わされたといった顔で、その光景に昔を思い出し、やれやれと瞳を伏せる)&br;そんなことまで乱蔵は話していたのか…、ああその通りだ(しかしまさかこんなお転婆だったとは思いもよらなかったろう、とホウサの間を解釈し)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-21 (火) 01:06:08};
---&color(#800080){そうなんだ!良かったぁ、間違ってたらどうしようかと。私は余りこの国の外は知らないから(握りしめられた手をぶんぶんと上下に振って嬉しそうに)&br;(そして僅か変わったホウサの瞳の色に気付き、ん?と小首を傾げたが)それはねぇ…もう殆ど決まってたんだけど…(と乱蔵の方をちらりと見て言う)&br;乱蔵が帰ってきたからちょっと分からなくなっちゃったわね(と苦笑を浮かべ)でも…関係ない、かな(続く言葉は小さく、だが想いを込めて強く)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-21 (火) 01:06:35};
---&color(orangered){(握られた手を振られる勢いに、こちらもようやく自然な笑みで肩の力を抜いて)&br;私も、東国に来たこと自体初めてなの そもそも外に出たことなんてなかったからね&br;でもびっくり こんな綺麗な人とは思わなかったー らんぞー君そこら辺は全然説明してくれないんだもん&br;(しかし彼らしいと言えば彼らしいと、起き上がり先ほどの続きと言わんばかりに杯に手をかける乱蔵にくすりと笑いかける)&br;あ…そうなんだ そっちも色々と大変、みたいだね(しかし想いに輝くその瞳の意味は、同じ女としてすぐに察しがついた 彼女もまた、譲れないものがあるのだ)&br;…お互い、頑張ろうね(こちらも小さく、雪音にしか聞こえないくらい小さくそう囁き、スッと乱蔵の方へ身を寄せ)&br;ふふふ、いいの貰ったねらんぞー君 私のとどちらが効いた?(徳利から慣れた手つきで乱蔵の杯に酒を注ぎながら、からかうような調子で訊ねた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-21 (火) 01:22:37};
---&color(#800080){あら、一応観光もできる所とは言えこんな東国の片田舎まで来るんだから旅好きなのかと思ってた(とその笑みに親近感が湧き)&br;あはは、お褒めに預かり光栄だわ。ま、そこの唐変木には案山子だろうが絶世の美女だろうが同じようにしか見えないのよ(そう言ってころころと笑う)&br;それに体を磨いているのはそいつに見せるためじゃないしね(と付け加えて、さてどうだ、と静次に視線をやるが…当の男はしかめっ面で膳を突付くばかりで)&br;(はあ、と溜息をついていれば、そっと呟かれるホウサの言葉)…お互い?(その問いの答えが返る前に、彼女は自分の席に戻った乱蔵の元へと)&br;(その自然体の仕草、彼を見る暖かな視線、掛ける言葉の何気なさ、酌をする熟れた空気、理由は色々ある。だが何よりも、感覚で、心で分かってしまった)&br;…なるほどね。仲良くやれそう(にこりと微笑む。彼女はどうやら'仲間'のようだ。…当然のように彼女の酌を受ける乱蔵を見るに、一歩先行かれてしまっているようではあるが)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-22 (水) 00:35:35};
---&color(#800000){つつ…雪音の拳を食らうのも久しぶりじゃわい(苦笑いを浮かべて、ホウサの注いだ酒をぐい、と飲む。慣れ親しんだその盃に酒の美味さも増すようで)&br;ん?そりゃあどう考えようと断然ホウサ殿じゃよ、腰の入り方が違うわ!(からからと笑う。女性に殴られたことを気にした様子も無しに)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-22 (水) 00:36:01};
---&color(#E9967A){……鳳釵殿が?なんともはや、それは意外だな…(始めて見た時は朗らかな明るい印象の娘だった、そして先ほど見せている振る舞い良さから拳を振るうようには見えなかったが)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-22 (水) 00:37:00};
---&color(orangered){あーそんな感じ らんぞー君てばそういうの全然興味無さそうだもの(ねぇ? と含みのある笑みでまた酌をしながらも、ちらりと静次を見つめる)&br;(雪音の様子を気にかけるでもなく騒がしい宴を物静かに見つめるその姿は、やはり乱蔵の弟だからかそういう事には興味を示さないのか)&br;(いや、まだ知り合って日は浅い もしかすると気づいてはいても表に出さないだけかもしれない)&br;(これが日常的なこと 何もおかしいことはないと言わんばかりに豪快に笑う乱蔵に思わず苦笑しつつ、静次のつぶやきに振り向いて)&br;うん 私の家は武家だからねー 私は武術習ったの らんぞー君とも時々組手してたんだよ(ねー と今度は屈託のない顔で乱蔵に同意を求めた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-22 (水) 00:54:51};
---&color(#800000){あっちではよう打ち合ったもんじゃのう…、ホウサ殿の体術は見事なものじゃぞ?雪音もおなごにしては動ける方じゃが流石に負けるじゃろうな!(などとにやにや雪音を見て)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-24 (金) 23:26:09};
---&color(#800080){な、なによぅ!私だって薙刀があれば結構なものなのよ!…そ、それに私は別に強くなくたって別にいいし…(思わずムキになって反論するも、そっぽを向いて髪を撫で、気にしてないという風に)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-24 (金) 23:26:37};
---&color(#E9967A){(時折酒を舐めるように傾けて、黙々と膳の上の料理を口に運んでいく。雪音やホウサの向けた視線にも気付いてはいたが、かといって特別な反応は見せず)&br;乱蔵と組手とは…こう言っては失礼だが、見かけによらず随分と腕が立つ様子…しかし…武家?(むしろホウサの言葉に反応し、眉を潜める)&br;鳳釵殿は確か儀丁の出であったか。…もしやとは思うが夏家との繋がりが?(大陸との交易も行なっている向江国の豪族として、ある程度は向こうの事情にも通じている)&br;(名を冠していれば即関わりがあるという訳でもなかろうが、気品ある物腰と武術の腕前が合わさればそんな問いが出もしよう)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-24 (金) 23:26:59};
---&color(orangered){あはは でも雪音さんもさっきの凄かったよー 普通の人じゃまず出せない速さだったし&br;(二人のやりとりを微笑ましく眺めながらも、静次の問いかけにきょとんとした顔で)&br;繋がりも何も、私夏家の直系なんだよー 上に二人いるけど&br;(儀丁の王の血筋でもある立場を特に重要視していないようなほわわんとした調子で応えた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-24 (金) 23:41:27};
---&color(#800080){ふふん、そっちの方も磨いてるからね!(などと得意げに言って凹凸に欠ける胸を張る)何かあった時に守れるものは守りたいし、ね(そう言って少し複雑な笑みを浮かべる)&br;(本来ならば余り必要の無い武術の腕を鍛えたのは、もしもの時、仮に、病床につく動けない誰かが居ればその誰かを守るため、その必要も今では無くなり嬉しいような寂しいような心持ちになり)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 00:12:23};
---&color(#E9967A){(のんびりと答えるホウサに苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる静次。しかし本人が気にしていないものを大袈裟に取り立たすのも無粋と一つ深呼吸をして胸を落ち着けるが)&br;な…!それは真か!……くっ…それならばなおの事もっと丁重にもてなさねばならなかったものを…乱蔵!だから事前にきちんと話をしろと……&br;(乱蔵を睨みつけつつ、それでも漏れ出てしまう怨嗟の念。ああ、兄が戻ってから間も無いというのにもう何度この視線を向けたことか)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 00:12:41};
---&color(orangered){(乱蔵から弟の身体のことはある程度聞いている 彼女はその為に強くなったのだろう そのもどかしい笑みから判断してこちらも励ますような笑顔を見せる)&br;そっかーうん 守りたいものは自分で守りたいもんね 人任せには絶対したくないもんね&br;それに、頑張っていればきっとその心意気は通じるよー ね?(混ざり合えない2つの心に揺れ動く雪音に、あえて明るく声をかける 彼女には頑張ってほしい 同じ恋する女として)&br;ええー止めて止めて 私自身は三番目だからそんなに偉くないし 恭しくされるの苦手だからこういう宴の方が気楽で好きだなー&br;(今度は恨みがましく兄を睨む静次を沈めるように、片手をパタパタと振って却下し、未だ騒がしく酒を飲んで陽気に騒ぐ向江の国の人達を楽しそうに眺める)&br;こっちの方が歓迎されてるって感じだしね だからお気になさらずー(そう言って少し薄めた酒の入った杯を静次の前に持ってくる そんな固いこと言わずに今は飲めということだろうか)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-25 (土) 00:25:37};
---&color(#800080){あは、通じればいいんだけどねぇ。これがなかなかうんともすんとも(こちらの気分を軽くしてくれるようなホウサの言葉に返す言葉もまた軽くなり)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 00:49:37};
---&color(#E9967A){鳳釵殿がそれで良いのならば良いんだが…(大いに酒を飲み、大いに飯を食い、大いに騒ぐ里の者達をにこにこと見るホウサは本心から楽しそうだ、ならばこれで良かったのだろう)&br;ああ、この国の者は客を迎えるのが好きだからな、気に入ってもらえたならばみなも喜ぶ(差し出された盃を受け取り、ひとつ見つめて、ぐ、と飲み干す勢いで煽る)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 00:49:52};
---&color(#800000){かかっ!家のことなどどうでもよかろう!ホウサ殿はホウサ殿じゃ!そんなことを言うならここは一つ舞でも舞って場を盛り上げい!(などと笑って弟を煽り出す)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 00:50:09};
---&color(orangered){大丈夫大丈夫 真心は通じるものだって言うし 私もお手伝いできるのならなんでもするよー だから何かあったら言ってね&br;(初対面とはいえなかなか気心が通じ合う二人 それを尻目に真逆な雰囲気の兄弟を面白そうに見つめ)&br;せっかく知り合ったんだし、身分とか抜きにしてお付き合いしていきたいなー らんぞー君ともそうだったしね せっかく知り合えたんだし&br;おもてなしが好きってだけで良い国だと思うよー うちは色々と面倒でややこしくて…わ、静次君て舞踊も出来るの? 見せて見せてー(冗談か本気かどちらとも取れない声で無邪気に促す)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-25 (土) 00:59:18};
---&color(#E9967A){(薄まっているとは言え、喉を滑っていく酒の熱さをじんわりと感じながら、こうやって酒が飲めるのも彼女のおかげだと思うとまた味わいが変わって感じ)&br;む…大したものではないが、それで少しは鳳釵殿の興が増すなら披露しよう(そう言って懐から扇子を取り出し、雪音を見やり)雪音、笛を頼む。いつものでいいぞ。&br;(部屋の中央に歩み出て、座して時を待つ。そうすれば酒に酔いしれていた宴席の面々も静次に気付き、徐々に注目を浴び始め)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 01:51:41};
---&color(#800080){はいはい、静次が踊るのも久しぶりねぇ(どこか嬉しそうに答えて、部屋を一旦出て笛を持ちすぐに戻ってくる。そうして充分に場が整った機を見計らい、すっと笛を構え)}; -- [[雪音>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 01:52:02};
---&color(#800000){(広間に素朴な笛の音が響き渡る。それを合図として静次が扇子を、ぱ、と広げゆっくりと立ち上がり…舞が始まる)&br;(最初は緩やかな動作で小さく、だが少しずつ拍子を上げる笛の音に合わせるように、大きく腕を振るい、動作も大きくなり)&br;ほお…!静次の奴、舞の腕も上がっておるな!(舞の盛り上がりに赤毛男が手拍子を打ち出す。周りの客もやんやと声を上げて同じように手拍子を打ち出して)&br;(ひらりひらりと扇子を縦横無尽に閃かせ、時には大胆に、時には繊細に手足を動かし舞う静次。その動きは笛と手拍子と一体になり時折小さく跳ねさえして見せる)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-25 (土) 01:52:31};
---&color(orangered){(雪音の笛の音に合せ緩やかにかつ大胆に舞う静次の姿に、思わずほぅっ…と言葉が漏れる)&br;(やはり東国の舞はこちらとは違う 以前家に仕えていた芸姑の舞をふと思いだす)&br;(あちらは軽やかにかつ派手さもあり見てて心躍るモノがあったが、東国の繊細な動作と諸所のキレは魅入ってしまうほどに芸術的だ)&br;(それに笛の音との息のあった舞が二人の信頼関係を如実に物語っていた 心なしか雪音の顔も嬉しそうに、愛おしそうに見える それに、静次も)&br;…いいね こういうの(隣の乱蔵にだけ辛うじて聞こえるほどの、小さな声で囁いた 舞が良いのか二人の間に漂う雰囲気がいいのか それとも両方か)&br;(先ほどまでの騒がしさはどこにいったのか、まるで音を隠してしまったように皆は一様に上機嫌で手拍子をあげるその姿に習うように、自分も無意識に手拍子を行なっていた)&br;(良い所だなと素直に思えた あの御神木の見事さ、それの醸しだす雰囲気と空気と大地 そこに暮らす人々 そして歓迎してくれる向江の国)&br;(顔は笑みを保ちながらも、心は漣のごとく様々な思いで揺らぎ始めている)&br;&br;(―果たして自分が故郷に帰ったとしても、一体誰が私を歓迎してくれるのだろう)&br;&br;(このような目出度い席で考えることではないのは重々承知している だが考えは止まらない)&br;(それでも帰らねばならない 自分が犯した罪を償うけじめの為に しかし―)&br;(ふと、笑顔で隣に座る乱蔵を横目に見る 故郷に帰ってきた彼は、やはりどこかしらホッとしたような、安堵の顔をしていた)&br;(そんな彼が、素直に羨ましかった)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-25 (土) 02:23:17};
-&color(#800000){(馬を走らせて来た道中とは違い、街中の街道をぽくぽくと常歩の速度でゆっくりと二人の乗った馬を歩かせる)&br;(左右には黒々とした瓦の載った木製の建物がずらりと軒を連ねており、道行く者たちはほぼ全てが東国の着物を纏い歩いている)&br;(そして前を見れば目指していた御神木の鷹揚とした立ち姿。根本は街並みに隠れ見えないがここまで来ればそれ一本が普通の大木に匹敵するかのような枝ぶりまで見えよう)&br;(馬に乗った己の赤髪と、背中の大木刀を目ざとく見つけた昔の知己が時折声をかけてくるのに懐かしさと共に答えながらかつて過ごした街を行く)&br;もう少しゆけばワシの家じゃ、まさかワシの顔を忘れてはおったりしたらどうするかの(碌に理由も告げず家を出てきた割はまったく悪びれた所のない声で言う)&br;そうしたらこのまま二人でどこかへ行ってしまおうか(などと冗談めかした声で背中の彼女へ声をかける。もちろん本気ではないが、それもいいかもしれない、などと笑いながら)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 21:31:34};
--&color(orangered){(綺麗に整地された街道をおもむろに進めていけば、いよいよ人も建物も多く生活の場を感じるようになり)&br;(これまでもずっと心を捉えて離さないあの御神木も、もうこの距離からでも充分すぎるほどの圧倒感で鎮座している)&br;(その姿にもまた見惚れてしまいそうにぼーっと見つめていると、乱蔵に声をかける人たちの声にふっと視線をそちらに向け、軽く会釈しながら改めて身を引き締めた)&br;(今の人達に、自分はどう見られていただろうか 御神木の気を取られすぎていたが、いよいよ彼の家族にも会うのだ 第一印象は出来るだけ良くしたい)&br;あははどうだろ 成長しすぎて大人びた様子になったら気付かれなかったりしてね&br;(そういえば最初に彼と会った時と今は変わった所はあるかな、とざっと彼を上から下まで観察しながら、次の言葉に少し間を開けて)&br;…誰も待ってなかったら、どこかに行っちゃってもいいよね(背負う責任も何もないまっさらな一人の人間ならば、どこへ行こうとも問題はない その時はまた前のように二人っきりで暮らそうかと、こちらも笑いながら応えた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-12 (日) 21:42:52};
---&color(#800000){(彼女は気付いただろうか、街並みには所々に花や木が飾られており、それなりに賑わう人口密度の割には建物の間々に草木が生えて姿を覗かせているのを)&br;(物によっては建物そのものと樹木が一体化しているような所さえ時折見受けられ、自然との調和を考慮した街造りがされている)&br;山で見た時に何かを感じておったようじゃが…この辺りは御神木の加護に守られておる。生命を助け禍々しきを退ける加護にの。&br;(などと言いながら後ろを向けば、こちらを見分する彼女、その視線にきょとんとして)かかっ!ワシはどこか変わっておるか?自分では分からぬからのう!&br;ホウサ殿はそうじゃな…美しゅう、強くなった。身も心も、の(だが少し身が固いか、と彼女の肩をぽん、と叩き)だからの、そんなに緊張せんでもええ(などと笑う)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 21:58:49};
---&color(orangered){(ぽんと叩かれ励まされれば、単純なまでに顔を和らげて)ありがと…らんぞー君は強く逞しくなったと思うよ それで見違えたりするだろうけど、らんぞー君のこと忘れることなんて絶対ないよ、きっと&br;(緊張に強張る身体をリラックスさせる為に、一度大きく深呼吸する 御神木の近くだと心なしか空気まで美味しく感じられた)&br;(それで少し余裕が出てきたのか軽く周囲を見渡し、先程彼が言っていたことを確認する)&br;街中まで緑があるのは、これ自体がお守りみたいなものなんだね 御神木の加護が傍にあれば安心できるね&br;(改めて見てみれば、建物の合間や街道の隅々まで確かに花々が彩りよく生えている それだけでも街の雰囲気が暖かいモノに感じられ、感心したようにキョロキョロと眺めていた)&br;そっか…らんぞー君はこういう所で育ったから、今のらんぞー君があるんだね(その事に関しても、御神木に感謝したくなっていた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-12 (日) 22:16:09};
---&color(#800000){ええ所じゃよ、まあ…のんびりとし過ぎている感はあるがの(問題は無くはないものの、己が産まれ育ち、愛した街、そして国だ)&br;(出来うるならば、彼女にも好きになってもらえれば、嬉しい。少なくとも今の所悪い印象は無いようでなによりだ)&br;(彼女に向けていた体を戻し、手綱を握り直せば目の前を通りすがっていこうとしている小さな獣の姿。普通なら気にも止めなかったろうが)&br;…あ。(それは見知った顔、以前あの街で二人の前に現れた獣であって獣でない、式と呼ばれる存在の…狸の姿であった)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 22:29:38};
---&color(#8B4513){(それは珍妙な顔。何が珍妙かと言えば普通感情など読めないはずの獣の顔にありありと驚きの感情が現れているのが分かるからだ)&br;…あ。(と浮かべた驚きの色が、みるみる抗議の色に変わっていくのもまた珍妙で)もう!来るなら来るって連絡をくださいよ!&br;出ていく時に何も無しでその後もずっと何も無し、帰ってくる時まで何も無しですか!(小さい体をめいっぱい生かして抗議をする狸。だが最後の方は諦め気味で)}; -- [[ムジナ>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 22:30:23};
---&color(orangered){(以前彼は言っていた 自分の国は平和過ぎて、ゆるやかに濁っていると それを忘れていた訳ではない そして今も彼はそのことを思っているのだろう)&br;(やがて身体の向きを戻して真っ直ぐ前を見る彼の横顔 その顔に何と声をかければ良いのかしばし考慮していたが)&br;…ん?(とつぜんの間の抜けた声が、それも二人分交わされるのを何事かと目を見張ると、もう一人分はいつぞやの狸 いや確かムジナと言ったような)&br;ムジナ! ムジナだー 元気してた?(思わず馬から飛び降りて、抗議激しいムジナの前に走り寄り腕を伸ばす また抱きしめようとしているようだ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-12 (日) 22:40:38};
---&color(#800000){(あー、と間の抜けた声をあげてがりがりと頭を掻く。どうやら失念していたらしい。元々マメに連絡を取るなどという質でも無し)&br;かかっ!頼りがないのが元気な証拠だとでも思っておけばいいんじゃ。まあ…帰ったぞ(などと苦笑してムジナへ言い)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 22:57:06};
---&color(#8B4513){はあ…まあ兎も角帰っては来たんですから良しとしましょう…静次様に連絡しておきますね(ため息をついて、渋々という体で納得するムジナ)&br;(瞳の色を変え、思念で今の出来事を己の主人へ伝えれば乱蔵の後ろから飛び降りたホウサに気付き)&br;ん…?そちらは…ああ!鳳釵様!ようこそはるばる向江国へ!(一転、明るい声を上げて歓迎の意を示す。彼女に罪は無し、失礼をしては式の沽券に関わる、が)&br;ひょう!?(思わず伸ばされた手に妙な声がでる。いつだかの呼吸困難の記憶が蘇り、しかし逃げるなどと更に失礼な真似をできるはずもなく、哀れ狸は囚われて)}; -- [[ムジナ>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 22:58:36};
---&color(orangered){(抵抗すら出来ぬ狸は、そのまま豊満な胸の中に埋没するかのように抱きしめられ)&br;わぁいわぁい久しぶりー どのくらいぶりだっけ? 約束通り来たよー&br;それにしてもらんぞー君は事前に連絡してなかったなんて(しかし自分も念の為に確認してはいなかったのだ あまり強くは言えないだろうが、それでムジナに迷惑がかかるのもいただけない)&br;上の人がしっかりしないと、下の人は困っちゃうんだよ ねームジナ 何か言われたら私も弁解するから安心してね&br;(あくまでムジナの立場を思いやってのことだが、今の状況がこの式にとってどういう状態なのかは考えてはいないようだ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-12 (日) 23:06:15};
---&color(#800000){おーおー、羨ましい事になっとるではないか。それも報告してもええぞ?(赤毛男も馬を降り、手綱を引いて二人の元へ寄ってきて)&br;それを受けた静次の奴の顔が見物じゃ(ムジナの状況を見てにやにやと意地の悪い笑みを浮かべている)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 23:23:56};
---&color(#8B4513){お…お久しぶりでございます…。乱蔵様を連れて頂き誠に感謝の…こふ(柔肌の圧力に言葉が途切れる。決して不快という訳ではないが…如何せん彼我の大きさの違いが狸を襲う)&br;ぷ、ぷはっ!ふう…まったくです、まあこの場合何か言われるのは乱蔵様ですので…(どうにか顔を上げ、ひとまず呼吸だけは確保して答えつつ)&br;…ん、静次様から返答が…とっとと来い、だそうで(とその言葉は赤毛男へ。じっとりとした視線のおまけ付きだ)}; -- [[ムジナ>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 23:24:28};
---&color(orangered){約束したもんね ちゃんと連れてきたよー でないと私も申し訳がないもんね&br;(乱蔵の意地悪そうな顔に首を傾げて疑問に思いつつも、例の弟の返答に)催促きたよらんぞー君 早く行こう行こう&br;この道真っ直ぐでいいのかな? 御神木はご挨拶してからだね(ムジナを抱きしめつつ、片手は馬の手綱を握って歩いて行こうと足を進めた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-12 (日) 23:31:21};
---&color(#800000){(そして二人と一匹は馬を引いて街道を行く。しばし歩めばだんだんと更に視界の中その大きさを増す御神木)&br;(それが首を傾けても容易には視界に入りきらなくなった頃、周りの建物と比べれば一回りも二回りも大きな武家屋敷が正面に現れて)&br;ここが秋津の屋敷じゃ。馬は…この辺りに繋いでおけば良いかの(と近くの木に手綱を結び、両開きの門の前に立って腕を組み感慨深げに家を眺める)&br;変わらぬの…ここは全然変わっておらん(どこか嬉しそうに呟いて門に手をかけ、力を入れて押し開いて)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 23:50:04};
---&color(#8B4513){…そりゃ早々には変わりませんよ。ちゃんと謝ってくださいね?(色々と諦めた雰囲気でホウサの腕の中、それを見守り)}; -- [[ムジナ>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 23:50:40};
---&color(orangered){(悠々と御神木を目指して歩いていけば、今までとは違う大きさの屋敷が目に入り、もしやとほんの少し立ち止まる)&br;あれが…らんぞー君のお家(馬を繋いで改めてその外見をまじまじと眺める)&br;(自分の国とは違うが、それでもその建物の立派さは良く判り、彼の家がそれだけこの国の中枢なのだというのも容易に理解できた)&br;(故郷に足を踏み入れた時よりも更に嬉しそうな乱蔵の様子にこちらも嬉しくなりながら、ムジナとのやり取りにくすくすと笑って後に続いた)…お邪魔しますっ}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-13 (月) 00:03:17};
---&color(#E9967A){(門の奥を進めば、屋敷の入口には少々線の細い仁王立ちの男が、一人。乱蔵と同じ髪色をした、しかししなやかな流れるような髪を後ろに撫で付け)&br;(前に垂らされた一房の髪の横に並ぶ二つの瞳は深い静かな色を湛えているが、よく見れば分かるだろう。隠し切れない感情の塊が見えているのを)&br;……まずは。乱蔵。よく帰った(低く低く抑えられた声。色々な思いが渦巻いているのであろう、堰を切って溢れだしてしまわぬよう、よく抑えこんでいる)&br;…しかし、しかしだな…。''遅いッッ!!''一体どこで何をやっていたのだ!私達がどんな思いで待っていたと!(だが一旦言葉に出してしまえば、その努力も敢え無く)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-13 (月) 00:26:03};
---&color(#800000){(己を出迎えた弟を見つければ、小走りに駆け寄って。そして浴びせかけられた強い言葉にもどこ吹く風でそのまま近寄り)&br;おお!!元気そうではないか!どうなることかと思っておったが、ワシらの願いは届いておったようじゃな!(と静次の肩を抱き、嬉しそうにばんばんとその背中を叩く)&br;(そんな無邪気な喜びを見せる赤毛男に大して、静次の方と言えば呆気に取られた顔をして先ほどの勢いを完全に失ってしまい)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-13 (月) 00:26:50};
---&color(#8B4513){(いつにない重苦しい空気を纏う己の主人に、内心びくびくとしながらホウサの胸の内に居た事これ幸いと自ら埋もれるようにしていたが)&br;(完全に噛み合ってない二人にこれまた毒気の抜けた顔を浮かべている)}; -- [[ムジナ>名簿/475286]] &new{2012-08-13 (月) 00:27:15};
---&color(orangered){(門をくぐり、あまり無作法にならない程度に周囲を観察しながら歩いて行くと、ふと玄関口の前に誰かが立っているのが目に入った)&br;(乱蔵と同じく赤く燃えるような、しかし乱蔵よりも真っ直ぐな髪質を持つ一人の男性 掴み切れない表情だがまだ若い)&br;(きっとあの人が、と若干ムジナを抱く両腕に力がこもり、埋もれるムジナを更に深く抱きしめて)&br;(発せられる声や言葉は疑いようがない きっと兄の安否をずっと気にしていたことだろう それなのに引き止めるような形で更に一年長く独り占めしていたことに罪悪感を覚えていると)&br;(いつものような豪快な様子で、気にすることもなく彼の背中を叩く彼の人の姿 だが誤魔化しているのではない あれは心から喜んでいる顔だ)&br;(カナエル先生に願った祈りは、無事彼の身体を直してくれたのだと、こうしてこの目で確認出来たことからこちらも幾分安堵し力を抜けて)&br;あの…(そしてゆっくりと、呆けている静次の目の前に歩み寄り、ムジナを抱き上げながら深々とお辞儀をし)&br;初めまして 夏 鳳釵と申します ら…お兄さんには大変お世話になりまして(出来るだけ静かに、そう挨拶をした)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-13 (月) 00:39:21};
---&color(#E9967A){願い?な、何の話だ?(呆けた表情のまま疑問の声を浮かべたが、今の状態には、と気付き)ええい離れろ!(と兄を振り払い)&br;と、ともかくだな、この家を継ぐ身でありながら、何年も連絡もせずしかも国宝たる大木刀を持って…(と恨み節を続けようとしたが、もはやその言葉に力はなく)&br;(むしろ、内心暖かい懐かしさを覚えてしまう。そうだ、いつもこうだった。この男はこちらの都合などお構いなしだ。まったく…いつだって)&br;…お、おお、これは見苦しい所をお見せしました。鳳釵殿ですね、ムジナから聞き及んでいます(丁寧な礼をするホウサに、秋津静次と名乗り、こちらも折り目正しい挨拶をして)&br;この馬鹿が連絡も寄越しませんで大したおもてなしもできませんが、どうぞごゆっくりと。どうせあちらでもご迷惑をかけていたことでしょうし(とホウサに労るように声をかける)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-13 (月) 01:05:19};
---&color(#800000){その辺りは後でゆっくりと聞かせてやるの。ワシがあっちで何をしていたのかも、の(振り払われる手も任せたまままた楽しげに笑い)&br;それにしても…ワシが居ない間、ありがとうの。色々と苦労をかけた(その言葉と表情に込められているのは深い信頼と、感謝の意)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-13 (月) 01:05:51};
---&color(orangered){こちらこそ突然お邪魔してしまう形ですみません それにそちらの方も、お兄さんから色々と(にこりと笑みを浮かべて乱蔵の方をみやり)&br;(そして二人の兄弟の流れる独特の雰囲気を感じ取り、こちらも穏やかな気持になっていく 互いを思いやり、気遣う気持ちが手に取るように判った)&br;(それにしても、らんぞー君とは本当に正反対だなと、少し笑いがこみ上げてくるのをぐっと我慢し、気を紛らわせるようにムジナの背中をなでなでしながら乱蔵の方へと向き直り)&br;らんぞー君も、弟さんの事よく話していたもんね お家の事任せっぱなしでとか身体のこととか、本当に色々と…}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-13 (月) 01:21:37};
---&color(#E9967A){う…(乱蔵がそんな顔をしてそう言ってしまえば、もう二の句も次げなくなってしまう)&br;(悔しいが本当に理由も無しに人に理不尽に押し付けるような人間でもないのは良く分かっているが故に)&br;…いいだろう。だが秋津に泥を塗るような真似をしに行ったのなら許さんぞ(しかし、釘を刺すのは忘れない。それはこれ、これはこれだ)&br;私の話を?こいつが?(一体どんなことを話していたのやら、まさか有ること無いことを吹きこんだりはしていないだろうが)&br;(そんなことを思いながら、ホウサと乱蔵が話す親しげな空気を感じて、僅か頭を捻った)}; -- [[静次>名簿/475286]] &new{2012-08-13 (月) 01:48:53};
---&color(#8B4513){あの…そろそろお部屋に上がったほうがいいのでは?(三者三様の姿を見せる人間たちに頃合いを見て声をかける)&br;(ホウサに背中の毛皮を撫ぜられ心地よさを感じながら、ひとまずは大事なく一件落着したようで良かったと胸を撫で下ろす)&br;(何にしろ、これで元通り。6年前の秋津家の空気が戻ってきた。さて、それでは客人をもてなす算段を考えねば)&br;(それは春を目前にしたある日の事、御神木の元で起こったそんな他愛もない出来事だった)}; -- [[ムジナ>名簿/475286]] &new{2012-08-13 (月) 01:49:16};
-&color(#800000){…ホウサ殿、足は大事ないか?(数々の木が生い茂る深い山中、街道と言うには少々心細い道を進む)&br;(以前あの街で登った秋の山とは一段も二段も違う険しい山並みに額に汗を光らせながら彼女に声をかける)&br;ここの峠を越えればそこはもう向江国じゃ、国境は見えんが…それよりもっと分かり易いものが見えるじゃろうな。&br;(とっておきの宝物を見せる子供のような顔をして笑う。二人が歩く道はもう少し進めば開けた山頂付近へと出る)&br;(船を乗り継いで、東国の港からしばしの時をかけ峠を渡り、とうとうここまでやってきた。赤毛男にとってはおよそ6年ぶりの帰郷)&br;(そして共に連れた彼女に取っては初めての来訪だ。胸に去来する幾つもの思い。しかし今はただ二人でここに来れた事だけを喜んだ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-11 (土) 22:39:54};
--&color(orangered){うん 大丈夫だよ ありがとう らんぞー君は大丈夫…ってらんぞー君の方が慣れてるか&br;(軽口を言い合いながらも、地面を踏みしめながら少し汗を拭う 船を降りて随分と歩いた、あとどれくらいなのか判らない状況では疲労も更に重なるというもの)&br;(しかし疲れた顔はしていない それよりも早く彼の故郷がみたい ただその一心が身体の疲れを忘れさせていた)&br;判りやすいもの…判りやすいものかぁ ふふふどんなだろう(検討はついているが、実際にこの目でみないことには始まらない)&br;(彼の人の自慢の宝物だ さぞかし素晴らしいものだろう 期待も充分に高まっていた頃に踏みしめる靴がそろそろ頂上に到達せんとしていた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-11 (土) 22:53:52};
---&color(#800000){(そして、二人が踏み込んだ一歩。その一歩を持って二人は向江国の民となり大地に立った)&br;(眼下に広がるのは今居る山裾から広がる緑広がる平地。所々に青々とした森が存在し、豊かな自然を蓄えていることが分かるだろう)&br;(森が途切れ緑なす平原の奥には、ぽつりぽつりと自然の物ではない幾何学的な建物や田畑が広がり、それはある一点を中心として密度を増している)&br;ようこそ、向江国へ。ホウサ殿を心から歓迎するの。'あれ'もきっと…歓迎しておる(その風景に背を向けて、彼女に向き直り客人を迎え入れるように片手を広げる)&br;(そんな赤毛男の片手の向こう。それを見たのならば、草原よりも、森よりも、何よりも、まず最初に目に写ったろう物があるはずだ)&br;(それは大地にそびえ立つ、大きな、とてもとても大きな樹。十里以上もの距離が離れていてもなお力強く放たれる存在感)&br;(まるで視界に映る緑なす生命全ての象徴だとでも思えるかのような、雄々しくそこに立つ、此の国そのものとも言える…御神木の姿だ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-11 (土) 23:30:06};
---&color(orangered){(呼吸を忘れてしまったかのように、口をぽかんと開けてその場から動けなくなった)&br;(これほどの緑溢れる大地を有する国など、自分は今まで見たこともなく、はたして自身の故郷の大陸ですらあるのかどうかも定かではない)&br;(目のしみるような大自然に、吸い込まれるように一歩足を前に出す 視界に入る雄大なその地が更に広がり、顔を動かさないと全体を把握できないほどであった)&br;(しかしやはり一番の見所は、遠くにありながらもまるですぐ目の前にあるかのような迫力を誇る、巨大な木 あれが彼が常日頃言っていた御神木に違いない)&br;(感動のあまり賛辞の言葉すら出てこず、もどかしい思いで目に焼付け、そしていきなり乱蔵の方を振り返り、子供のような輝く笑顔でようやく声を出した)&br;…早く、早くあそこに行こう! あの御神木へ!(興奮冷めやらぬように乱蔵の手を掴み、自分が案内役のように前へと歩いて行った)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-11 (土) 23:47:49};
---&color(#800000){(忘我の体となっている彼女の横顔を見つめ、満足そうに笑みを浮かべる。どうやら己の国の眺望はお気に召したようだ)&br;(そうして己も本当に久しぶりに見る御神木の雄大なるその姿をしばし見つめ思いを馳せる。どことなく、己の背の大木刀も空気を変えたように思える)&br;(生まれた時から見上げ続け、遠く離れても忘れることなど無かった。自分は帰って来たのだ、故郷へ。そう実感していれば)&br;(弾けるような笑顔でこちらの手を取る彼女。手を引き次々に足を進め意気揚々とした様子で、そんな姿を嬉しく思い)&br;かかっ!本当に気に入ってもらえたようじゃな!重畳重畳!(そんな彼女に赤毛男も足並み揃え、歩幅も大きく山道を行き)&br;山を降りれば馬を貸す場所もあるからの、そこからは馬で行くとするか。ホウサ殿は馬術の心得は?(と問い掛けた。無ければ無いで己が乗せればいいことだ)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 00:11:58};
---&color(orangered){気に入らない訳ないよー 綺麗だしおっきいしあんな凄いのがこの世にあるなんて信じられない! らんぞー君はあの木と共に生きてきたんだね&br;(羨望の眼差しを御神木と乱蔵と交互に見つめながら、それがどれほど素晴らしいことかを熱弁する)&br;私の国、というか大陸はね、あまり自然が多くないんだー 土が悪いというか…え、馬?&br;(馬で行けば歩いて行くよりかは遥かに良いだろうが、少し困惑した表情で口を閉ざし首を横に振った)&br;ほんの数回くらいしか練習したことないから、ほとんど乗れないかも…良かったら乗っけてくれる?&br;(先ほどの威勢はどこにいったのか、申し訳なさそうにそう呟く 時間があればこれを機に練習するのだが、今はそんな時間もなさそうだ)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-12 (日) 00:24:40};
---&color(#800000){おおよ、ワシに限らずあの御神木はこの国の生き物全部の親と言うても過言ではないじゃろうな。&br;(そう語る彼女の瞳の色を見れば、それはただ単純に珍しい物を見ただけではないどこかしら羨ましげな色を見せて)&br;ふーむ…、なるほどの…。そのような場所では難儀するじゃろうな…(だが、だからこそ人は強く生きられるのかもしれない。彼女を見てそう思い)&br;喜んで。少々馬の扱いが荒いかもしれんがそれは我慢してくれの?なあに、馬など乗っていれば慣れるもんじゃよ。&br;(しゅん、としてしまった彼女の逡巡を払うように笑い。では道行きの間だけでも教えよう、と付け加えて言い、二人揃って山を下って行く)&br;(旅の終着駅となる、雄渾なる巨木、その麓を目指して)}; -- [[乱蔵>名簿/475286]] &new{2012-08-12 (日) 00:44:01};
---&color(orangered){そっか…この地はあの御神木が作ったんだね 見れば見るほど不思議な感じ&br;(遠くからでもその圧倒的な高さを把握できるが、あれを真下で見たら今の感動の比ではないだろうと再び胸が踊る)&br;うん んじゃお願いね 出来るのなら一緒に行けるようになりたいもん(再び戻った笑顔でニコニコとほほ笑みながら、彼の横を付かず離れずついていく)&br;(さきほどの疲れはもう感じない この地に足をつけてから、まるでその疲れはどこかへ流れ出てしまったかのようだ もしかしたらあの御神木が吸い込んでくれたのかもしれない)&br;(そんな夢の様な話も、あの御神木をこの目で見た後ではもしかしてと信じてしまいそうになる それほどあの木から発する何かを、初見の彼女ですら肌で感じるほど驚異的なものであった)&br;(やがて馬を借り、その背に乗って目的地はますます近づいていく そして心は様々な思いで満たされていく)&br;(期待と不安 羨望と緊張 前向きにも後ろ向きにもなりそうな激しい心の動揺)&br;(だが進み続ける 彼が隣にいてくれるのならば、これほど心強く頼もしいことはない)&br;(これから起こる全ての事を、私はありのまま受け入れ、そして来るその日に全て持って帰り、この感動を必ず家族に伝えるのだ)&br;&br;(ほんの少しだけ、帰るのが待ち遠しくなっていた)}; -- [[鳳釵>名簿/475302]] &new{2012-08-12 (日) 01:21:17};