[[名簿/419392]]

-……ここで五件目か。(黒いスーツに身を包んだ長身瘦躯の男が、今は誰も済むことのない廃屋へと足を踏み入れ、静かな足跡を虚空に響かせた。)&br;そう、こういうところでいい……(帽子を取って古びた机の上に置くと、鞄諸々もその机の上に置き、居間に置かれていた長いすに男は腰をかけた。&br;この廃屋は男がとても安い値段で買い入れたもので、この街での一時的な拠点とするものである。このような不気味で綺麗でもない廃屋を買おうとするものはおらず、町外れではあるが、破格で手に入れることが出来たようだ。)&br;すぐにまた別の街に行くのだからな……(そう呟くと、色々なものが散乱した家の掃除を始めて行ったのだった。) -- [[幸彦>名簿/419392]] &new{2010-08-26 (木) 00:10:55};
--(一通りの掃除も終え、何とか人が住めるような状況まで持ち込むことが出来、男は小さく息を吐いて、またあの長いすに腰掛けた。)&br;……この街は面白そうだ。色々な研究対象が眠っているのやもしれん……(様々な地方の伝承、祭、魔物を研究していく放浪の旅を続けていた彼にとって、定住は縁遠いものではあったものの、この街では今までより長居することになりそうだと、男……幸彦は考えた。)&br;……冒険者稼業は生活の足しにでもなればそれでいい。魔物を近くで見れるいい機会でもあるからな……(近くにあった机を引っ張り寄せると、真っ黒い巻物のような書物を取り出し、それを広げた。そこには膨大な注釈が付されており、また今日も注釈を加えるつもりらしい。この書物こそ彼が異端の学問に走った原因でもあった。)&br;(特に今は来客も講義する相手もいない。しばらくは研究に打ち込めそうだと幸彦は思った。彼の最終的な目的……失われた、人類が生まれる以前の時代の禍々しき真実に近づくために。) -- [[幸彦>名簿/419392]] &new{2010-08-26 (木) 00:29:24};