#menu(MenuBar/空中学園都市)

|CENTER:BGCOLOR(Black):&ref(http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp028037.jpg);|
|BGCOLOR(Black):COLOR(white):#pcomment(予定調和の最終決戦,1,below,reply)|
|#pcomment(星を落とす魔法,1,reply)|

-''空中学園都市エリュシオン''
--''屋上''
---(学園のすべての扉や窓が開け放たれている)&br; (白魔法 “アンロック”が暴走して、無差別にすべてを開いて、求める場所へと阻まれず進んでいったのだ)&br; &br; (屋上、そして、第二天文台の屋根)&br; (魔法研究会として、そして、そこに入り浸っていたアウラも)&br; (目に焼き付いた光景)&br; &br; (そこに、アルゴルは立っている)&br; (どこよりもルィンディの思いが染み付いたこの場所で)&br; (先程よりもずっと、意識を確かにして、燃えるような瞳を夜闇に、まるで星のように輝かせながら) -- [[“蛇神”アルゴル>予定調和の最終決戦]] &new{2014-03-06 (木) 23:57:11};
---(学園のすべての扉や窓が開け放たれている)&br; (白魔法 “アンロック”が暴走して、無差別にすべてを開いて、求める場所へと阻まれず進んでいったのだ)&br; &br; (屋上、そして、第二天文台の屋根)&br; (魔法研究会の部員も、そして、そこに入り浸っていたアウラにも)&br; (目に焼き付いた光景)&br; &br; (そこに、アルゴルは立っている)&br; (どこよりもルィンディの思いが染み付いたこの場所で)&br; (先程よりもずっと、意識を確かにして、燃えるような瞳を夜闇に、まるで星のように輝かせながら) -- [[“蛇神”アルゴル>予定調和の最終決戦]] &new{2014-03-06 (木) 23:57:11};
---(すっかり見慣れたところに、見慣れない影が一つある)&br;(たったそれだけでまるで別世界だ。其処に居るのが蛇髪を持つ蛇神だとすればなおさらだ)&br;&br;デートの場所としちゃ、気が利いてるじゃねぇか&br;弟と同じで、アンタもロマンチストなのか?&br;&br;(届くかどうかは分からない軽口を叩く。ほとんど、自分を鼓舞するために)&br;(石化するたびに肉を削り、身を打ってきたお陰で既に結構なダメージが蓄積している)&br;(対する向こうは未だ健在。魔法が暴走しているようだが……ダメージはこちらのほうが食っている。分の良い勝負とはいえない) -- [[アウラ>名簿/508324]] &new{2014-03-07 (金) 00:00:56};
---(答えはない)&br; (けれど、“彼女”はちょうど5年前にした約束が守られると、こんな姿になっても信じているロマンチストだった)&br; &br; &color(white,dimgrey){時の経過への恐怖。そして、変化の否定。};&br; &br; &color(white,dimgrey){白魔法────''リワインド。''};&br; &br; (呟かれると、星空が歪む。否、この屋上にある空間全体が、散発的に歪んでいる。アルゴルの持つ杖を中心として)&br; (“時間を巻き戻す”白魔法の禁呪)&br; (彼女の手の、砕けた杖がその形を取り戻していく。双蛇が巻き付いた彫刻の施された杖)&br; (煤けてもいない。色褪せてもいない新品の状態になった。ルィンディと片割れずつを分けあったときと、同じく)&br; (その行為に深い意味はない。ただ、“彼女”の意識と意志がそうさせた)&br; &br; &color(white,dimgrey){現世への恐怖。そして、その否定。};&br; &br; (いつの間にそうしたのか、“ヘイスト”の光を纏いながらアウラの背面をとる)&br; &br; &color(white,dimgrey){白魔法────''スリープ。''};&br; (催眠魔法を纏った杖が、突き出された。そして同時に、石化の睨みを発動させる) -- [[“蛇神”アルゴル>予定調和の最終決戦]] &new{2014-03-07 (金) 00:12:07};
---?!&br;(背後からの悪寒。それだけで感付く)&br;(視覚では気付けなかった、聴覚でも気付けなかった)&br;(恐らく、『ブーゲンビリア』の与えてくれた幸運の加護。それのお陰でギリギリ気付けた)&br;(それでも遅い)&br;(迫ってくるのは何かしらの魔法を宿した杖と石化の凝視)&br;(石化遅延をもっているとはいえ、いくらかは石化の影響で動きは鈍る)&br;(その僅かな隙を、この蛇神は狙ってきた)&br;(後退も反撃も間に合わない、そう思ったとき)&br;&br;(場が急速な寒気によって蹂躙され、同時に何かが蛇神へと飛来する)&br;&br;エイベルと……イザヴェルか!&br;&br;(助かった。僅かなその隙を逃さず俺は身を翻し、そのままバックステップで息を吸いつつ距離をとる)&br;(そして、息を十分に肺腑に溜め込んだ直後……灼熱の業火を蛇神に噴きつける!)&br;&br;(以前にように手加減をしたものではない。鋼すら溶解させる超高温。蒼炎の帯をそのまま叩きつける)&br;(急激な温度差によるダメージも、恐らく無視はできまい) -- [[アウラ>名簿/508324]] &new{2014-03-07 (金) 00:42:39};
---(“蛇神”アルゴルは、生命を司る神の成れの果てであるがゆえに)&br; (その性質は生命に強く引かれる。だから、寒気に動きを鈍らせることも、否定はできない)&br; (肉体を変質させ不死化しつつあり、その根本原理が鈍りつつある。それは、アルゴルの中にいる“彼女”の抵抗でもあった)&br; (不死であるがゆえに生命の力を利用できず、限りなく死に近づく。そのために)&br; (外気温の変化に対する恒常性も鈍らせたアルゴルは、霜の立つ冷気に動きを鈍らせた)&br; &br; (スリープが躱され。そして、頭に鉄の網が覆いかぶさる蛇頭が、まるごと動きを拘束された)&br; (それは“彼女”の裡に存在する何かに触れたようで、過剰に頭を振り乱す)&br; &br; &color(white,dimgrey){拘束の恐怖。外部からの施錠の恐怖。そして、その否定。};&br; &br; &color(white,dimgrey){白魔法────''アンロック。''};&br; &br; (魔法のように、網は剥がれる)&br; (網が空に浮かぶ)&br; (蒼い炎が迫る)&br; (包まれる)&br; &br; &size(14){'''''あぁああ゛あぁああああーーーっ!!!!!'''''};&br; &br; (焼け爛れる肌。屋上のコンクリートも溶解して、マグマのようにどろりと高熱の水溜りを作った)&br; &br; &size(14){'''''いぎいいぃい、ぁああああああーーーーっ!!!!'''''};&br; &br; (蛇の頭が、鎌首をもたげる。身体を灼かれながら、執念を頭ひとつに集中させたがごとく)&br; (アウラをすべての目で睨んだ。ひと睨みで、アウラの脚はまるごと動かない。加護すらも貫いて)&br; &br; はぁーっ、はぁーっ…………。&br; &br; (アルゴルは、第二天文台へ振り向いた。そして見定めた。ルィンディの姿を……)&br; (一歩、一歩、近寄る。その、頭の蛇を蠢かせながら)&br; &br; (一歩、一歩)&br; (もう、我慢はならない)&br; (5年、ずっと焦れた存在に、痛みを忘れて)&br; (すべての“瞳”で焼付けんとして)&br; (石化の呪いの目を向ける) -- [[“蛇神”アルゴル>予定調和の最終決戦]] &new{2014-03-07 (金) 01:01:06};
---(石を溶かし、天を焦がし、その上におわす筈の神すら今まさに焼く蒼い炎)&br;(本来、竜を倒すためのものだ。蛇程度で止められるわけもない)&br;(灰の溶岩に埋もれる蛇神に、追撃を噴きつけようとしたその刹那)&br;(炎の幕すら突き破り、凶眼が届く)&br;……なっ!?&br;(両足に突き刺さった呪いは精霊の加護すら突き破り、あっというまに両足を彫刻へと変えていく)&br;(くっそ、本気になられりゃこんなもんかよ……! 流石は神ってか、だけどな……)&br;&br;舐めるんじゃ、ねぇよ!&br;&br;(気迫と共に炎のブレスを『自らの足』に噴きつけ、表面の石を溶解させる)&br;あぐあああああああああ!&br;(肉と石が焼ける悪臭、そして激痛を対価として、自由を手にする)&br;(焼け爛れた両足が徐々に鱗に覆われ、竜化が加速するが……しったことではない)&br;(そんなことは、瑣末事だ)&br;&br;(友と、女と……己のためならば!)&br;&br;いかせるか、よぉおお……!&br;&br;(両足を引きずり、なんとか追いすがろうとするが……既に奴はこちらを向いていない)&br;(まずい) -- [[アウラ>名簿/508324]] &new{2014-03-07 (金) 01:21:30};
---(意志が、沢山渦巻いている)&br; (瞳の機能を“石化”ひとつに振り分けたアルゴルは、“におい”でしか人を見分けられない)&br; (心が、沢山渦巻いている)&br; (それは、ここにいる四人だけのものではない。そこまでに辿ってきた道に居る、人々のものをも)&br; &br; (炎の意志。氷の意志。そして、鉄の意志)&br; &br; (“彼女”は心を縫い留められた)&br; (“彼女”は時を縫い留められた)&br; (“彼女”は瞳を縫い留められた)&br; &br; (大きな鏡に瞳が吸い寄せられる)&br; (それは、今の自分を振り返らせるように)&br; (“蛇神”アルゴルの持つ瞳は、自らの瞳に射竦められて)&br; &br; あ……。&br; &br; (ゴルゴンを模った異形の神様が、きっとこの世で一番星に近い場所で、巨大な鏡に身を映して)&br; (幻想的な光景だった)&br; (そこに、敵意はなかった。アウラも、イザヴェルも、エイベルも、そしてルィンディも、彼女を打ち倒す英雄ではない)&br; (ただ、ただ、友のことを救おうとする、ちっぽけな人間だった)&br; &br; (“蛇神”はそんな、生命の思いに負け、て……)&br; &br; ''あ、あぁああ゛……!!!!''&br; &br; (立っている。髪の部分の蛇すべてが、爛れて崩れて風化したようになりながら)&br; (“彼女”自身が立っている。当然、そこに寄生する蛇神も一緒に)&br; (“彼女”)&br; (ルィンディの、誓いの姉君。クァムスィ・ロ・シェルトゥマクファ・タンバルグスもまた、人間として、心の力で立っている) -- [[クァムスィ>名簿/508104]] &new{2014-03-07 (金) 01:49:53};
---(星々に見下されて。かつ、かつと、革靴の音がする。静かな夜だった)&br;姉さん。(普段の姉に対するように、彼は、声をかける)約束を果たそう。 -- [[ルィンディ>名簿/508104]] &new{2014-03-07 (金) 01:56:41};
---(“クァムスィ”はほとんど死に体で、ルィンディのもとへ這いずり寄った)&br; (“蛇神”の不死性に身体を蝕まれ、意識もない。それは、本能だった)&br; &color(Black){うん。};&br; (口元が、微かに動く) -- [[クァムスィ>名簿/508104]] &new{2014-03-07 (金) 02:00:13};
---(約束)&br; (3つの約束があった)&br; (「独り立ちできるぐらい、立派で頼もしくなること」)&br; (「失われた“星を落とす魔法”を再現すること」)&br; (「世界のどこかにいる私と、いつか巡り逢うこと」)&br; (彼は、成し遂げた)&br;&ref(http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp028038.jpg); &br; (炎のように魔力が迸る。それ自体が光の奔流と化し、彼の意志へと従う)&br;&br;   &br; &color(dimgrey){'''星に願いを'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''重力を離れ 空の果てのあなたまで 手を伸ばしたい'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''胸に抱いた夢を たったひとつの夢を 叶えたい'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''暗く灯りを落とした心へ いまいちど 火をともしたい'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''あるのならば そのための方法を 知りたい'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''果てまでも見て いまいちど 心に焼きついたそれを見たい'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''一生ここで待ち続ける そんな運命でも 願いのためなら構わない'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''幻視したその姿を できるならば そのまま現実の姿に'''};&br; &br;&br; (魔力の青き輝きが、彼の背の入墨を伝う。頭からさかのぼり、いまは、肩のあたりまで)&br; (ひとつひとつ織られていく。一行が、何度も重なってひとつの図柄になっていく)&br; &br;&br; &color(dimgrey){'''星に願いを'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''武器はいらない 名誉もいらない ただ平和な心のみでいい'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''私には ただひとつのものさえあれば 転んでも構わない'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''導いてくれ その奥底まで 行かなきゃいけないんだ'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''すべてのものが巡るなら 今一度 ここに巡り来よ'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''楽しみも なにもいらない 生き急いだってもうなにも楽しくないんだ'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''もしも 私が間違っているとしても 私は正しいと思う'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''何もかも叶う 夢の中でさえ この思いが消えないのだから'''};&br; &br;&br; (魔力は空にまで満ちる)&br; (狼煙のように、立ち上ったマナが光り輝いている)&br; &br;&br; &color(dimgrey){'''星に願いを'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''腹をいくら満たしても 心はひとつも満たされない 気持ちは萎びるばかり'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''取り返しのつかないこと わかっている でも納得なんてできないんだ'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''響け 聞き入れてくれ そこまで声を届かせてみせるから'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''もう一度 同じ経験をするのだとしても 迷ったりなんかしない'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''空虚なんだ ぜんぶ 見えないものが私の心を支配しているんだ'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''失うことは怖い でも だからってないほうがいいなんてありえない'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''時を巻き戻してでも やりたいことがあるんだ 星よ'''};&br; &br; &br; &color(dimgrey){'''願いを聞き届けてくれ'''};&br; &br; &br; (走馬灯が流れだした)&br; (幼い頃から、遡る。「ああ、いや、違う……」走馬灯は、今から幼い頃まで遡るのだ)&br; (ならば、これはなんだろう?)&br; (長い道のりを歩き、沢山の間違いや失敗を犯してきた)&br; (それを償おうとして、沢山足掻いた)&br; (意味はあったのだろうか?)&br; (回想が、エリュシオン入学当時に辿り着く)&br; (「ああ……」「懐かしい……」)&br; (本当は、怖かったのだ。誰もが。他人と関わりたくなんて、なかった)&br; (でも今思い返してみるとどうだろう。「……私はなんて、馬鹿だったんだ」)&br; (四年間積み上げてきた人間関係が、私の脚を支える)&br; &br; (この日のために、すべてはあった)&br; (だから、すべてを回想して、経験しなおしているのだ、私は)&br; &br; (背の入墨が、雷のように、光り輝く)&br; &br; (生命の力を噴出させる)&br; &br; &color(dimgrey){'''&size(14){星よ};'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''&size(14){ここに来て照らしておくれ};'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''&size(14){その先に何が見えても構わないから};'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''&size(14){私の選択した この人生を歩みきってみせるから};'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''&size(14){どんなに過酷な運命が待ち受けていても どんなに辛い因果を背負おうとも};'''};&br; &br; &color(dimgrey){'''&size(14){だから わがままを許してください かなわなければ それは 死んでいるも同然なのです};'''};&br; &br; (わかった)&br; (遠い、遠い、道のりだった)&br; (ようやく、わかったんだ)&br; &br; &color(dimgrey){'''お星様になった あなたに 願いを いまいちど 地上に落ちてはくれませんか?'''};&br; &br; &br; &br; &br; &br; &br; &size(24){'''&color(dimgrey){白魔法────────&ruby(リザレクション){星を落とす魔法};};'''};&br; &br; &br; &br; &br; &br; &br; &br; &br; &br; &br; &br; &br; (光の柱が、エリュシオンに立った)&br; (それは、真夜中の空をあかあかと照らした)&br; (まるで、夜明けがきたかのように)&br; (落ちた&ruby(ほし){太陽};が昇るかのように)&br; (光は花びらのような破片となってほどけていく)&br; (石化した身体や、傷ついた身体は、ぜんぶ、癒やされていく)&br; &br; &br; (彼の、姉も。悪夢のような姿ではなくなり)&br; (彼のよく知る、もとのままの姿で、“生き返る”)&br; (不死の蛇神はリザレクションで滅びた)&br; (学園第二天文台は、望遠鏡のすぐそばに星を見た)&br; (照らされて映える姿が、満足そうだった)&br; (「きっと第一では絶対に見られないぞ」)&br; (なんて、えばるみたいに……) -- [[ルィンディ>名簿/508104]] &new{2014-03-07 (金) 03:00:59};
--''学園第二天文台''
---(慣れた階段を登り、そこに辿り着く。初めてここに来た日のことが甦る) (彼は第二天文台を背にして、立った)&br; (もう、アウラと姉の打ち合いは始まっている)&br; (それを見届けることに、恐怖はない。そして、自分に対しても)&br; &br; もしも、これが、私の因果であるのなら。運命であるというのなら。&br; それを打破し、乗り越えてみせる。&br; &br; (彼は一匹の蛇が巻き付いた杖を屋上の床に立てて、魔力を集中しはじめる)&br; (背の入墨が光り輝く。制服のシャツ越しにもわかる。魔法の回路の神聖な燦めきが、ぼんやりと灯りになる)&br;&br;フォロー、頼む。イザヴェル。エイベル。……私は、もう、逃げない。 -- [[ルィンディ>名簿/508104]] &new{2014-03-07 (金) 00:16:17};
---(ルィンディの悲壮な決意を背に、瞑目し、こくり、頷いた)&br; (攻勢に転じる合図を聞き届けると、閉じられていた本のページが脈動を始める)&br; &br; (蛇といえど神、神といえども蛇)&br; (変温動物である蛇は通常、極端な寒冷期では活動を停止する)&br; (至極単純な常識。こんなものが、自然の尺度を超越した蛇神に通じると信じることは、浅はかなのか)&br; (けれども神の摂理を崩すためには、どうしても人間の道理が必要だった)&br; (無数に謳われる御伽話の中で化物を倒す勇者はいつも、弱く儚いただの人間なのだ)&br; &br; (手によく馴染んだ古びた魔導書が、氷の魔力を増幅する)&br; (空に映える満天の星座から、小さな白い粒が深々と舞い始めた)&br; (アウラの言葉通りに、この一枚絵が男女の睦まじい情景だと錯覚しそうな夜の空気が)&br; (魔導書のページが捲られることで、蛇神の皮膚を突く痛みに変わる)&br; (魔力を場に流し込むことでの、空気の瞬間的な冷却)&br; (かつてルィンディが、場を対象とする白魔法を使ったことから着想を得た技術だ) -- [[イザヴェル>名簿/508107]] &new{2014-03-07 (金) 00:19:30};
---(ごく近く、眼下に屋上、蛇神と竜の激戦を望んで、居慣れた天文台に陣取る) &br;(ようやく覚悟を決めたのだろう。集中を始めるルィンディは、男の顔をしていた) &br;(援護を願うルィンディに頷いて) &br;任せろ。 &br;(それだけ言うと、蛇神の視線を貰わないように気をつけながら、天文台の屋根の上に躍り出る) &br;(その方が彼にとっては都合がよかった。音で、気配で、対岸の戦いの様子を探ることが出来るから) &br;(目を閉じ、耳と肌とで状況を把握する。眠りの呪文、そして邪眼) &br;(手に生成されたのはクロスボウ。盲撃ちという言葉に反し、狙いは異常なまでに正確だった) &br;(見えてもいないのに、極めて精密に、クォレルが射貫かんとするのは蛇神の頭) &br;(鏃に繋がった鋼線が魔術を伝えて、命中の寸前に形状が変化する) &br;(それは全頭を覆う拘束具。本体と蛇髪、視線の全てを遮るような) &br;(恐らくはアンロックで弾かれるまでの僅かな間。全ての方位より邪眼の脅威を消さんとする) -- [[エイベル>名簿/508275]] &new{2014-03-07 (金) 00:31:37};
---(魔法とは人間が望んだ願いの体現。効力は術者の想像力で飛躍的に上昇する)&br; (無軌道に場に垂れ流していた魔力の矛先を、蛇神のみに定める)&br; (イメージは針金、糸、鋼線。細い枠組みを展開させ、足元から頭までをすっぽり覆う)&br; (蛇神を凍らせる。いや蛇神に触れている時間の概念そのものを)&br; (時間とは本来常に流れる悠久なもの。数多の魔術師と研究者たちが挑み、散って行った禁忌の領域の一つ)&br; (何故時間を操る魔術は一般に不可能であると定義されているのか)&br; (理論の確立ができないから、単純な難度、挙げれば無数に存在する理由も、簡単な言葉に集約される)&br; (試しもせず、不可能だと諦めたためだ)&br; &br; (絶対を誇る『睨み』の瞬間が訪れる)&br; (アウラが耐えている。エイベルが待っている。ルィンディが控えている)&br; (運命とは、奇跡とは、待つだけで頬笑みはしない。奪って掴み取るもの)&br; &br; (全てに理由があるとすれば、自分が深く考えず氷魔術を磨いていたことも、今の瞬間のためだと断ぜられる)&br; (術式が解放された魔導書から幾重にも交錯する光の筋道は、敵の繊細な神経を逆撫でする新たな投網)&br; (神すらも律する時間の牢獄が、狂える蛇神を抑える)&br; (エイベルの術式が完璧に仕上がるまで、魔眼の発動を遅らせればいい)&br;(時間よ、止まれ)&br;&br;エイベル、『鏡』を! -- [[イザヴェル>名簿/508107]] &new{2014-03-07 (金) 01:25:05};
---(高熱の気配。苦しみの声。拡大し膨張し夜闇を埋める威圧感) &br;(その伸展する矛先は、明確に此方だった。乞い求めるような意思が大気を通して痛いほどに伝わってくる) &br;(確信する。邪眼が来ると) &br;(その到来を、氷の網が、檻が食い止める。時間すらも凍てつかせて、神の歩みを遅らせる) &br;(それを為す、イザヴェルの声がする、鏡を、と) &br; &br;(―――つまり、己が役目を為すべきはここだ) &br; &br;(エイベルの動きは迷い無い。思考にすら、一切の淀みがない。ただそのためだけに動く) &br; &br;(空中に銀線で格子を描く。言葉通りのワイヤーフレームが、生成物の輪郭を描いてゆく) &br;(生成物は天文台すら陰にするほどに巨大。この時のために幾度も幾度もイメージを重ねた) &br;(選んだ素材は銀。これ以上の素材はあるまい。魔を祓うにはこれだと相場が決まっている) &br; &br;(ルィンディは『神話をなぞる』と言った) &br;(邪神を打ち倒すために、『アイギス』を作ってくれと) &br;(ヘパイストスが作り、ゼウスが娘であるアテナに与え、やがてペルセウスが手にして、メドゥーサの討伐に用いられた鏡の盾) &br;ゴヴァノンもまさか、ヘパイストスの代わりをやるとは思わなかったろうよ &br;(エイベルの『一夜鍛冶』は、異なる神話に登場する鍛冶神、彼が持つという魔槌に付与されていたものをモデルに組み上げられていた) &br;(彼にそれを与えた人物が、彼との戦いの中でそう語った) &br;(その戦いを乗り越えて、エイベルは今ここに立っている) &br;(友を助けるために。友の愛する家族を、姉を、救うために) &br; &br;(やがて鏡を置く土台が成った。建築学の資料を参考にして設計されたそれは、上に乗るものの重量を確かに支える形をしていた) &br;(さらに鏡を納める額縁が成った。蛇の眼すらも惹き付けるように、神すらも魅了するように、それは黄道を巡る星座達で精密巧緻に飾られていた) &br; &br;そのおっかない顔を自分で見てみろよ。弟に会う顔はしてないぜ &br; &br;(そして、最後に。夜を切り取る額縁の空虚を埋めるように、銀鏡が成った) &br;(それは魔を映し曝すに相応しく清らかで、凪いだ水面よりも滑らかで) &br;(虚像と実像の境を失わせるほどに、いっそ透き通るようですらあった) &br; &br;(完全に、完璧に。虚像とは思えぬほどに、その死の視線すらもあるがままに) &br;(&ruby(アイギス){銀の鏡};が、蛇神の姿を映し出す―――) -- [[エイベル>名簿/508275]] &new{2014-03-07 (金) 01:34:00};
---(白無垢の鏡と、ダイヤモンドダストの降る空気と、身を砕き蝕まれるアウラへ、順繰りに視線を送り)&br;あとは、まかせてほしい。&br;(ルィンディ・ロ・ベルサ・セッドヘクシンシェ・タンバルグスは、歩み出た)&br;(人の身であるとは信じられないほどの、強大な魔力をたたえて) -- [[ルィンディ>名簿/508104]] &new{2014-03-07 (金) 01:51:48};
---(役目を終えた銀の鏡は、それすらも虚像、まぼろしであったかのように姿を消していた)  &br;(それを生成したエイベルは、身の内の魔力をほぼ使い切り、屋根の上に転がっている)  &br;行ってこい、ルィンディ  &br;(笑みとともに片腕を挙げ、最愛の姉の元へと歩むルィンディを見送る)  &br;(端役の出番はここで終わり。あとは袖から、舞台の顛末を見守るだけだ) -- [[エイベル>名簿/508275]] &new{2014-03-07 (金) 02:07:17};
---(主役を最期の壇上へ登らせるためのお膳立ては済んだ)&br; (どんな形であろうと、物語の結末は必ず訪れる)&br; (待ち焦がれた姉という読者へ、未だ白紙のページへの扉を開き、筆を取ってFinをその手で書き記すために)&br; (男は赴く)&br; ……待ってるから、答え。&br; (気を張っていた膝が崩れ落ちる。二、三度瞬きした瞼はやがて動きを止め、軽い寝息を立て始めた) -- [[イザヴェル>名簿/508107]] &new{2014-03-07 (金) 02:23:36};
---(再生した竜の足、そして右半身を晒したまま……無言でルィンディとすれ違い、エイベルとイザヴェルの隣に座る)&br;(地べたに直接座りこんで見送る)&br;(言葉は必要ない)&br;(ただ、主役を舞台にあげて、笑って見送る)&br;(ここからは、アイツの仕事だ) -- [[アウラ>名簿/508324]] &new{2014-03-07 (金) 02:49:07};
---(うちあがる極光が暖かい光を放ち、傷が嘘のように癒えていく)&br;(昇る日の光。天に昇る&ruby(ほし){魂};を照らすその光源)&br;(第二天文台で俺が初めてする、天体観測)&br;&br;星を落とす……か&br;ハッ! 確かに落としたな&br;&br;(天に昇るはずだったそれを、叩き落として引き戻した)&br;(全く、思った以上の力技で、思った以上に巧妙だ)&br;&br;(『穢れ』すらも赦す日の光)&br;(地が赦さないそれも……天は赦す)&br;(自然と、右目だけから流れる涙を拭いもせずに、親友と姉の抱擁を見守る)&br;&br;ここでしか見れない、いい星だぜ……ルィンディ&br;&br;(夜天を照らす黄金の旭日)&br;(約束は果たされた)&br;(日は昇り、星は落ち、悪夢は醒める)&br;(それをみてただ静かに……俺は笑った) -- [[アウラ>名簿/508324]] &new{2014-03-07 (金) 03:40:04};
-''空中学園都市エリュシオン''
--''庭園''
---【GE272/12/07/22:00】&br; &br; (庭園には、白色の椿が咲き乱れていた)&br; (ひとつのベンチに腰掛けて、フードを被った長身の女は頭垂れている)&br; (そこにある、微かな、微かな温もりから離れられないのだ。夜天が彼女を見下ろし、あざ笑うように、星が瞬く)&br; (“彼女”の中にある記憶が語りかける。「あれは、へびつかい座」「私達を見守る生命の神様だよ、ルィンディ」)&br; (「私達は生を全うしたあと、屑星になってあの星座の内側に混ざるんだ」)&br; (ただ見上げる。彼女の姿は、か弱い女性そのものに見える) --  &new{2014-03-06 (木) 21:50:29};
---&color(dimgrey){姉さん。&br; (庭園の入り口あたりでそう呟く彼もまた、年若い少年そのものだった)&br; (これから決戦に臨む勇士などとは、かけ離れている)&br; (「そうだ、私は」「こんな夜空の日に……きょうだいの契を交わしたのだ」)&br; (頭の中で、時が巻き戻る。このまま、何もかも忘れて姉に抱きついてしまいたい衝動に駆られた)&br; (そっと、後方に目を馳せる)イザヴェル。……エイベル。&br; ……聞いた通りに、姉はいま、蛇神の支配が薄いようだ。姉の意識自体は戻っていない。けれど、いまが機会だ。&br; 頼む、のである。(手が、震えている)}; -- [[ルィンディ>名簿/508104]] &new{2014-03-06 (木) 21:56:09};
---(貧民街からルィンディの残り香を辿って移動してきたのか、この風景だけを切り取れば害意のない単なる女性だ)&br; (しかしその素性を知っている。憐れみすら覚える堕ちるに至った業を知っている)&br; (文字通り"血"に彩られたグランギニョールは、幕を引かれなければならない)&br; (ルィンディの動揺は当然のこと。家族を手にかける畜生の行為に臨む人間としては、平静を保ちすぎているとも言える)&br; ……分かってる。私もいる、エイベルもいる。&br; 一人じゃないこと、覚えてて。 -- [[イザヴェル>名簿/508107]] &new{2014-03-06 (木) 22:01:49};
---あれがルィンディの姉さん、か &br;(小声で、囁くように言葉を交わす。遠目には、石化の呪いを振りまく悪神に呑まれたようには思えない) &br;(長身だが、華奢な印象を覚える。フードの奥は暗く見えないが、あまり覗き込むべきではなさそうだ) &br;(どこか。どこか―――畏ろしい気配がある。見ていると、心の奥より勝手に痺れが湧き出すような感覚があった) &br;任せろ。 &br;(笑みを浮かべて、肩を竦めながら、ルィンディに頷いた。彼の震えを取り除くのは、俺よりも適役が脇にいるようだ) &br;(家族と殺し合うことで心にかかる負担は、知りすぎるほど知っていた。自分がことは、少しでも代わりに戦ってやることだけだ) &br;(ただ静かに意識を集中させる。これから始まる戦いに向けて) &br;(静寂を乱さず、金属生成の魔術で鋼糸が紡がれてゆく) -- [[エイベル>名簿/508275]] &new{2014-03-06 (木) 22:06:54};
---(“彼女”は音の残滓に惹かれて、ここに来た。 “彼女”は自分の求める温もりがそこにあることを知って、心が締め付けられている)&br; (“彼女”の心は大動脈が直結した、本能そのもの。人としての心はなく。神としての心はなく)&br; (“蛇神”として、その本能は発露する)&br; (椿咲き乱れる中、からりと澄んだ冬の夜空の下で)&br; &br; (''どくん'')&br; &br; (その力が、脈動する。この場に居る皆の魂を震わせる)&br; (嵐が潜在的に持っている恐怖と似ていた)&br; --  &new{2014-03-06 (木) 22:16:27};
--- &color(dimgrey){(「ここは……」「私が、よくティン・ホイッスルの演奏に使っていた……」)&br; (見渡して気づく。季節ごとに様変わりする風景のせいか、三ヶ月ごとに別の場所のようになる庭園)&br; (「たしか、アソビやキヨリにも聴いて貰ったっけか」きっと、姉はその“におい”を追ってここに来たのだ)&br; &br; (その回想を吹き流すような威圧。彼は、蒼白となった)&br; いけない。&br; (イザヴェルとエイベルの存在が、意志を繋ぎ留める。「けれど」「拙い」)&br;(「こっちに、来る……!!」)}; -- [[ルィンディ>名簿/508104]] &new{2014-03-06 (木) 22:16:53};
---(“蛇神”アルゴルは、フードを脱ぐ。ばらりと黒い蛇の髪をくねらせて、ルィンディたちのほうを向いた)&br; (双蛇の巻き付いた杖を片手に立ち上がり、ごつ、ごつとタイルを砕きながら、歩みを進めてくる)&br;(穢れたものの放つ瘴気。ゾンビーや、グールなどが放つ特有の悪しき空気が、“アルゴル”を纏い始めた) -- [[“蛇神”アルゴル>予定調和の最終決戦]] &new{2014-03-06 (木) 22:18:14};
---(庭園に充満する張りつめた空気が一段と重さを増す)&br; (かつて古代文明では、自然現象は神の怒りとして恐れられた。今でも嵐や津波が被害を齎さないよう、貢物を捧げ祈願する地域も少なくない)&br; (人智が及ばない強大なもの。小さな身体の本能に根ざす恐怖が、地上に降りるにあたり形を成した)&br; (まがりなりにも『神』と呼ばれた存在の前に、人は矮小で無力だ)&br; (無力だからこそ、抗う術を探す。今の自分たちのように)&br; (額から零れる汗が地面に滴る。会戦の火蓋までの導火線は、短い)&br; (懐に伸びる手が一層の緊張を強いた) -- [[イザヴェル>名簿/508107]] &new{2014-03-06 (木) 22:27:19};
---(痺れは悪寒となって背筋を突き上げた) &br;(畏怖心を誘う、人の世にあらざるべき『神』の気配) &br;(エイベルは初めてそれに対面する。うねり蠢く蛇の髪。歩みを進めるだけで路が砕け、放つ瘴気はそれだけで恐怖を煽った) &br;(深く静かに呼吸する。相手が神だろうと何だろうと、やることは同じだ。出来ることをする) &br;(凪いだ心で、鋼線の先に短剣を生み出し、構える) &br;(蛇神の足音が、秒読みのように迫ってくる) -- [[エイベル>名簿/508275]] &new{2014-03-06 (木) 22:31:32};
---(無数の凝視。2つと無数の凝視)&br;(それに捉えられれば、蛇の毒は時を凍らせ、命を凍らせ……物言わぬ石とする)&br;(僅か、それが瞬き目前の犠牲者を捉えようとした……刹那)&br;(駆ける)&br;(駆ける。ただ駆ける)&br;(その健脚は疑わない。なぜならそれは悪魔の呪い)&br;(その双爪は疑わない。なぜならそれは神の加護)&br;(そして……その幸運を疑わない。何故なら、それは……)&br;&br;(愛する魔女の願い)&br;&br;(右手を振るう。解けた包帯が蛇神の視線を遮り、邪眼を止める)&br;(空中で石化、四散し、砕ける包帯)&br;(彼岸と此岸の間に押し入り、俺は笑う)&br;(エイベルに、イザヴェルにそしてルィンディに……背中を見せて、笑う)&br;&br;面白そうなことしてんじゃねぇかお前ら&br;――そろそろ混ぜろよ、親友&br;&br;(にぃと、微笑む) -- [[アウラ>名簿/508324]] &new{2014-03-06 (木) 22:39:07};
---(腕をなくし、脚をなくし、蛇神は空っぽの形骸となり、ただその神性だけを残している)&br; (器となった“蛇神”に、ルィンディの姉の心が注がれて動く。それが、“蛇神”アルゴルの原理)&br; (ルィンディの運命の根幹にいる、巨大な存在である)&br; (心がルィンディを求めている。求めているのならば、そこへ行くまで。行ってどうなっても構わない)&br; (複雑な愛情が、単純な行動へ)&br; &br; (しかし、アルゴルは惑っていた)&br; (目の前に躍り出た、先日に“見”覚えのある者といい、)&br; (冷徹な雰囲気の少女といい、)&br; (強い意志を持つ瞳の少年といい……)&br; (そのどれもからルィンディの“におい”を感じる)&br; (「なぜ?」)&br; &br; (残酷な根本原理が、ひとつの答えを弾き出した)&br; &br; '''''&size(14){あぁあぁあぁあぁぁああああぁぁぁぁあぁあぁあぁぁぁぁああああ────!!!!!};'''''&br; &br; (狂乱の叫びが庭園に鳴り響く。それは、空をこえて、天蓋すらも揺らすように)&br; (きらきらした、宝石の破片のような光の粒子が、アルゴルの杖から迸る)&br; &br; &color(white,dimgrey){滞り、置き去りにされることへの恐怖。そして、その否定。};&br; &br; &color(white,dimgrey){白魔法────''ヘイスト''。};&br; &br; (一足で、アウラの眼前に“アルゴル”が迫る。その烈眼視と併せて、横薙ぎの殴打を放つ。目にも留まらぬ速度で、それを連打する) -- [[“蛇神”アルゴル>予定調和の最終決戦]] &new{2014-03-06 (木) 23:00:49};
---(共にぶつかりあう彗星の如く打ち合う。向こうは杖による乱打)&br;(対する此方は、両腕を駆使した連打。しかし前とは違う)&br;(包帯を外し、赤髪をなびかせ……『穢れ』た半身……黒鱗を露にし、煤けた爪を晒すその半身……既に竜のソレと化した右半身を晒して組み合う)&br;(去っていくルィンディに笑う。あいつは分かっている)&br;(己の役割を、そして……俺が見られたくないものを)&br;&br;そうだ、それでいい! ルィンディ、ケツは持ってやる!! てめぇはてめぇのやることをやれ!!&br;たまりきったレポートのツケ……今此処でまとめて返してやるよ!!&br;&br;(邪眼によって石化が始まる。だが時間はまだある。ブエルの精霊の呪いにより、石化するまでにはいくらか時間がかかる)&br;(だが一瞬でないならそれで十分)&br;(むしろ石化した箇所を武器として、連打を裁き、合間合間に痛打を打ちこみ、爪撃を振りかざす)&br;&br;どうした姉ちゃん! もっとかかってこいよ、魔法でも何でもブチこんできやがれ&br;俺はアンタも、アンタの弟も!!&br;一人にはしない……アンタの弟が! 皆にそうしたようになッ!&br;&br;(勢いをつけて踏み込み、とび、背後から一撃。爪を振るう) -- [[アウラ>名簿/508324]] &new{2014-03-06 (木) 23:14:35};
---(“竜”と“蛇”が相討つ)&br; &br; (ヘイストにより高速化した杖捌きが、柄で、頭で爪を払う。変幻自在の杖術は、それを液体のように受け流した)&br; (だが、黒鱗の爪は杖を砕く。堅牢なはずの杖は、ぼろ、ぼろとその材質を剥がれさせてゆく)&br; (爪に裂かれ、打撃に砕かれる。しかし、アルゴルは意に介さない。回復魔法もなく、その傷痕はすぐさま治癒していく)&br; &br; (アウラの言葉を聞いている)&br; (なぜだか、必死に“何か”、 “誰か”のために闘う姿が胸を打つ)&br; (攻勢が鈍り、アウラの一撃が背へ深々と刻まれた)&br; &br; &size(14){──────!!!!};&br; &br; (ひゅるり)&br; (杖が、ぐりんと周り、白い魔導がそれを纏う)&br; &br; &color(white,dimgrey){傷痍の恐怖。血への恐怖。そして、その否定};&br; &br; &color(white,dimgrey){白魔法────''ヒール。''};&br; &br; (様子がおかしい。アルゴルを纏っていた瘴気が、白い魔力と劇物のように反応して、ばちばちと音を上げる)&br; (アルゴルの皮膚が爛れ)&br; (自壊へ、進んでいく)&br; &br; &size(14){あ、ぁああ゛ぁあああ。'''''あぁあああああ゛゛ぁああーーーーっ!!!'''''};&br; &br; (苦痛の声を上げて、彼女は、どこかへ駆け出してゆく)&br; (その背は、我らが皆懐かしき)&br; (エリュシオン、冒険者学部校舎へ) -- [[“蛇神”アルゴル>予定調和の最終決戦]] &new{2014-03-06 (木) 23:32:31};
---(石化した傍から石化した箇所を相手に打たせ、ときには自分で肉ごと切り落として石化箇所を剥落させる)&br;(こうすれば、骨まで届くことはない。つまり、石化によって動きは鈍らないですむ)&br;(竜の力……否、『穢れ』により、肉は再生する。石化よりはいくらか遅い速度だが、それでも暫し打ち合うには十分)&br;ッラあぁあぁあああぁあああああ!!!&br;(裂帛の気合と共に振りおろした爪は深々と背に刻まれる……が、回復魔法で再生することはわかっている)&br;(相手の悲鳴に反応し、深追いをせず、一度距離をとり追撃と魔法に備えたが、それが逆によくなかった)&br;&br;何?!&br;&br;(蛇神は追撃するどころか……背を向けて、一目散に駆け出してしまった)&br;(しくじった。そうだ、相手の狙いはそもそも、最初から……俺じゃない……!)&br;&br;ちぃっ!!&br;&br;(相手と己両方に舌打ちして後を追う)&br;(間に合ってくれ!) -- [[アウラ>名簿/508324]] &new{2014-03-06 (木) 23:43:35};
--''庭園の片隅''
---&color(dimgrey){(瘴気。これは不死の者の証拠。きっと、“あれ”は剣で膾にしようが、「死なない」)&br; (稀代の白魔道士である姉がそうなったのでは、お笑いではないか。「これが、私の因果だとでも言うのか」)&br; (徐々に勢力を増す瘴気が、倦怠感を引き起こす)&br; &br; (「どうすればいい?」)&br; &br; (このままでは“計画”も満足に成らない。イザヴェルも、エイベルも、“睨み”に縫い留めれたかのよう)&br; (ただ、対峙しただけだというのに、その先にある敗北が目に見えた。「ここで、死ぬのが運命だと言うのか」)&br; (「また」「また、大切な仲間を巻き込んで……?」)&br; (アルゴルが、睨みの姿勢に入る。静かに、静かに、死が、光の速度で近づいていく) &br; (「どうすればいい?」)&br; &br; (答えは、躍り出た人影の中にあった)&br; アウラ……!!?&br; &br; (微笑み。私は、それを理解した)&br; (駆け巡る。逡巡。「あ、あ、ああ……!!」この場でとるべき答えは、ただひとつ。「う、う、ぅう……!!」)&br; (「“死”」脳内を翳めて、思考能力を奪っていく一文字)&br; (だけれど、彼は、駆け出す。アウラとの距離が開いていく方向へ)&br; &br; ''皆……こ、っちへ、来て!!''&br; &br; (それを、信じた。友の命を、天秤にかける。“運命”を共にして貰うことを、決めた)}; -- [[ルィンディ>名簿/508104]] &new{2014-03-06 (木) 22:47:24};
---(ゼロに傾きかけた勝算の均衡が、アウラの登場により針の比重を反対側に置く)&br; (もう後戻りはできない。ここが始発点。針の向きを維持したまま、端まで寄せる)&br; (チェスや将棋のゲームの駒とは違う。自分たちは人であり、行動には揺らぎが生じる)&br; (試行の末に導かれた解が例え机上の空論だとしても)&br; (振られた賽に全て6が出ると信じて指す)&br; (けしてやり直しのない綱渡りに、この身を投じる)&br; (「任せる」。自分をそのままチップとして賭けてくれた、勇敢な男に感謝の念を捧げて) -- [[イザヴェル>名簿/508107]] &new{2014-03-06 (木) 23:03:49};
---(抗えない死の予感に、計画を措いて戦闘態勢に入っていたのは、あるいは生存本能というべきか) &br;(希釈しきれない恐怖に汗しながら、視界を遮るべくイメージを展開しようとしたとき、闖入者) &br;(あの包帯男は……確か、アウラといったか) &br;(死の視線を涼やかに止めてのけ、ルィンディのことを親友と呼んだ。それだけで、信頼できると断じた) &br;ちょいと情けないが、アンタは腕が立ちそうだ。一旦任せたぜ &br;(用意していたナイフは、金属箔のベールへと姿を変えた) &br;(表面は粗い。不用意な視線の反射、流れ弾を防ぐ意図。安全圏へ確実に撤退するための、それは視線避け) &br;(その場に展開すれば、ルィンディの言葉のまま、後方へと駆け出す。ここはそれが最善だと信じて) -- [[エイベル>名簿/508275]] &new{2014-03-06 (木) 23:07:38};
---&color(dimgrey){(場違いに芳しく花の香る庭園の花壇へ、屈み込み、煉瓦の壁に身を隠す)&br; (涙が溢れそうだった。色の違う感情が混じって、悲しみとも喜びとも言えない涙が眥にたまる)&br; (貴重な隙間だった。この時間を、大切にしなければならない)&br; (彼は、杖を両手で固く握る。四拍のリズムで呼吸をはじめる。白魔道士。否、人生を通して魔道士として訓練してきた、何百と繰り返した精神統一)&br; (それでも、手は、身体は震えている。精神の安定に、身体がついていかない)}; -- [[ルィンディ>名簿/508104]] &new{2014-03-06 (木) 23:18:24};
---(ルィンディとエイベルに続き、防波堤の中へ身体を隠す)&br; (アウラが稼いでいる暇を費やし、反撃の準備に繋げるため)&br; (本来の予定より大幅に余裕ができているはずの砂時計は、一刻一刻と削られてゆく)&br; (傍らを見れば、やはり嚆矢となる当人が、怯えという呪縛に囚われているようだった)&br; あなたには仲間がいる。あなたの身体に蓄積させた時間を、確かなものだと信じて。&br; ルィンディ。あなたがその両の瞳で見てきた全ては、けして裏切らない。&br; だから発って。あなたの望みを叶える時は、今なの。 -- [[イザヴェル>名簿/508107]] &new{2014-03-06 (木) 23:40:18};
---あの身体……竜、か? &br;(逃走際、ちらと見えたアウラの右半身。エイベルの故郷では、それは災厄の象徴だった。ごく近年まで、竜害は百年にも渡って続いていた) &br;(共に戦うのは複雑な気持ちだった。だが今は飲込もう。神の相手を任せるのに、これ以上の適役は望むべくも無い) &br;(努めて、己の感情を理性の支配下に置く。畏怖も、恐怖も。花壇に咲く花々の芳香は、その役に立ってくれた) &br;(そうしているうち、苦悶に歪んだ声が聞こえる。気配が遠ざかる。手痛い一撃を受けて逃げ出したか、それとも何か他の要因が作用したのか) &br;(迂闊に視線を向けられないから、正確なところはわからないが) &br;追うしかないな &br;(気配が遠ざかる先には校舎がある。深夜にも残っている学生がいないとは限らない) &br;(動くならば、早いほうがよかった) -- [[エイベル>名簿/508275]] &new{2014-03-06 (木) 23:43:55};
---&color(dimgrey){(あの、いつも巻いていた包帯の下にあるアウラの素顔は、鱗と爪。爬虫類ではない、それよりもっとおどろおどろしいもの)&br; (そんな姿を晒しながら、私を励まして。ただ、ひたむきに信じて……)&br; (イザヴェルの言葉が身に染みる。「まだ」「私は、答えも出していないのに」彼女の宣言どおりに、私の痛みを請け負ってくれている)&br; (一人では潰れそうになるぐらい重い重い、過去と、現在が、少しだけ軽くなる)&br; (エイベルはこの状況下で冷静に判断を下している。こちらの有効な手段はただひとつ、私の “星を落とす魔法”のみだというのに)&br; (それだけが希望だというのに、それを信じてくれている)&br; &br; (震えの正体は、はっきりとした)&br; (「私は、イザヴェルたちを信じている」「けれど、私自身を信じられなかったのだ」)&br; &br; (もう、迷いはない)&br; (「……不死化の進行が激しいのか」これは好機でもあった。治癒魔法が逆向きにはたらく)&br; (アルゴルが向こうのは校舎の方角)&br; (もう、どこに行くかはわかっていた)&br; &br; 行こう。(走りだす。我らが母校へ)}; -- [[ルィンディ>名簿/508104]] &new{2014-03-06 (木) 23:53:07};