名簿/447527
序章 - 魔を狩るモノ - †
本編 †
- ─── 序章
- 空は分厚い雲によって覆われ、星明かりすら見えない夜
煉瓦造りの町並みが街灯の明かりによって照らされ、薄暗い夜の闇を遠くへ追い遣ろうとしていた だが夜の闇はそれで消えることは無かった。どんな明かりで照らそうとも影あるところに闇は生まれる 街の大道から外れ、入りくねった路地裏の奥で女性の叫び声があがった
- 袋小路となった場所で女性が壁にもたれ掛かって倒れている
衣服が無造作に引き千切られ、惚けた口からは涎が垂れ、濁った瞳の視線はここには無い何かを求めるように宙を彷徨っていた 何者かによって強姦でもされたのだろうか。人の目の触れない路地裏での悲劇、ここで何があったかは誰も知る由がない 「……何と惨いことを」 狭い路地裏に声質の高い女性の声が届く しかしその声の出所は犠牲者の女性ではない、路地の闇の中から一人の修道女が現れる
- 修道女は犠牲者の女性に深く同情し、憤りの声を堪えて祈りを捧げる
「申し訳ありませんでした。あと少し、私が早く到着していれば………」 凛とした意志の強さを感じさせる声。自らが原因ではないとは言え、助けることができなかったふがいない自分を悔やむ だからこそこのまま捨て置くことはできない。犠牲者となった女性を介抱するべく手を伸ばす 女性の腕を掴んだとき、反応の無かった女性の体が突如として動く 修道女の手を逆にこちらから掴み、女性の力とは思えない握力が加えられた 「………ぎ、ぎ、………ぎひ」
- 「………!」
修道女が息を飲む。犠牲者だった女性の口元が裂けんばかりに吊り上がり、人のものとは思えない顔立ちになる 「………げ、げげ。釣れた、上玉の女が釣れた」 犠牲者の口から思わぬ言葉が飛び出る。まるで自らを餌としているかのような口ぶりである 自分を助けようとした修道女を値踏みするような視線を送り、好色に満ちた色気を出す 見るものが見ればぞっとするような光景であったが修道女は落ち着いた口調で告げる 「………悪魔憑きの方でしたか」
- 悪魔憑きと呼ばれた者が逆に驚きの表情を見せた
「女性を犯してその体に憑依し、次々と住処を変えて犠牲者を増やす 女性を食い物にし続けるその行為、断じて許すわけには参りません 修道女の体に清浄な気が満ち、その腕を掴んでいた悪魔憑きの手が熱せられた棒を持ったかのように爛れる 「ぎ、ぎひゃああああああああああ!」 堪らず手を離してしまう。追い詰められるように壁際へと立たされてしまった 「き、き、貴様………。悪魔祓い(エクソシスト)か………!」
- 悪魔祓いの修道女が息一つ乱さず悪魔と対峙する
「───修道女クリス、主の名の下に悪魔を地獄の王サタンへと送り返します」 腰脇に提げたブックホルダーより聖書を取り出し、数あるページの中から手慣れた動きで目的の項目を探り出して聖なる言葉を紡ぐ 「……げ、げひ!女、女如きに!」 悪魔憑きが今まさに反撃に転じて飛びかかろうとしたとき、クリスの詠唱が終わった 「滅せなさい───」
- 淡い蛍火が聖書より飛び出し、悪魔憑きの胸へと降りかかる
その途端にその体が青白い炎によって包まれ悪魔が苦悶の叫びをあげる 全身を包むほどの炎の柱、その業火は中にいる悪魔憑きの姿を見えなくしてしまうほどの凄まじさであった しかし炎が消えるとその中から業火の中にあった犠牲者の体が現れる あの炎の中にあっても衣服はまったく燃えておらず、肌さえ火傷の一つすらない 悪魔の魂のみを焼却する聖女の技、それが彼女が放った力である
- 犠牲者の女性から悪魔の気配が薄まり、元の表情へと戻って壁へとその体を雪崩れさせた
「……う、ううん」 意識が戻ったのかその口から呻きが零れる ここは───
A:「完全に悪魔の魂を滅却する」 → このまま読み進めてください
B:「すぐさま女性を助け起こす」 → BADEND 「 悪魔憑き 」?
- 悪魔祓いとし此処は警戒を解いてはならない
なぜなら犠牲者の体から完全に悪魔の気配が消えきっていないからだ 「残念ながら死んだふりは私には通じません」 クリスが見透かすような口ぶりで犠牲者の女性を威圧する 途端、女性の口から慌てた悪魔が飛び出して来る 小鬼のような醜悪な姿が悪魔の正体だった だがそれをクリスは見逃さず、指に填めた指輪の魔道具へと気を集中させた 「───今ここでアナタを罰します。聖痕(スティグマ)の槍!」 指輪を逃げる悪魔に対して向ける。澄み切った蒼の光が指輪より放たれ、槍となって悪魔を刺し貫く 「ぐぎゃああああああああああああああ!」 胸を貫かれた悪魔が断末魔の叫びをあげ、槍の刺さった箇所から灰となって消えゆく 悪魔が消滅すると同時に魔力の槍も無くなり、今度こそ完全に悪魔を祓うことに成功した 「───Amen」 クリスが両手を合わせ、主への祈りを捧げた
- その後、女性はクリスの手によって助け出され今夜の記憶を消される事となった
しかし女性の味わった苦痛は決して消えるものではなく、それはこれまでの被害者にとっても同様であった 所属する教会へと戻ったクリスは礼拝堂の中で犠牲者たちへの黙祷をするべく祈る
- ───人の世の光と闇、その闇の中に彼らはいた
通称悪魔、地獄より遣わされた尖兵たちが闇を住処として人を堕落させるべくその活動を広げる しかし悪魔たちの敵対者、天使たちはこれを良しとせず人間たちに悪魔と戦う力を与えた 悪魔を退治する力を持った人間、それらを人は悪魔祓い(エクソシスト)と呼んだ ─── 次回へと続く
序章BADEND -悪魔憑きと呼ばれて- †
- ─── 序章 BAD END
- 修道女として苦しんでいる人を見逃すことはできない
犠牲者の女性が小声で何かを呟いている 肩を貸してその言葉に耳を傾けようとする。だが届いたのは言葉でなく穢れた魂であった
- 「───!」
まだ悪魔が生きていることに気付き、慌てて身を引き剥がそうとしても全ては遅かった 犠牲者の口から悪魔が飛び出し、クリスの耳の中から体内へと入って乗り移ろうとしていた 「く……ゆ、油断しましたわ………」 悪魔と戦うときは時に冷酷とならざるを得ない、基本の心構えを忘れていた 彼女の清らかな気は悪魔の邪念によって乱され、携えていた聖書を落としてしまう
- クリスへと憑依した悪魔がその邪なる心でクリスの魂を穢していく
「……ん、…あぁ…あぁ……はぁ」 まるで全身を愛撫されてるような倦怠感が身を支配し、その口から甘い吐息が漏れ出す 「……は、早く………除霊しないと……」 完全に支配される前に追い出さないと犠牲者の女性と同じ道を辿ることになる 意識を振り絞って落としてしまった聖書を掴もうと腕を伸ばす しかし掴んだのは腕では無かった
- 「ひ!?ひぁああああああああ!!」
伸ばそうとした手は自らの胸を掴み、意志から離れて弾力溢れる膨らみへと力を込めていた 「な、なんで……」 そう思いかけた時だ。ふつふつと心の中である言葉が生まれていた
─── 堕落せよ ───
その言葉は重々しい枷となって彼女の心を縛りつつあった 指は胸を揉むことを止めず、それから与えられる快楽に彼女の頬が紅潮していた
- 「(ち、違う………。この言葉は悪魔の囁きなの……!)」
憑依した悪魔が彼女から力を奪おうと、その身を穢す姦計であった 早くこんなことは止めないといけない。頭の中で理解していても、体がその言うことを聞いてくれない こうなれば浄化の呪文をと口を開こうとすれば 「げ、げひ。いいなあ……この体ぁ」 これまでの凛とした口調と真逆の卑しい言葉がその口から飛び出す 悪魔の憑依が進み、ついには自らの意志で喋ることすら困難になってきたのだ 「……ひ、ひひひ。すげえや、こんなにも霊力に満ちた体は、は、初めてだぜ………!」 体を奪われることで霊力も取られ、悪魔が回復するだけでなくその力をも強めてしまう 「……ち、違う!こ、これは私……私の体ですの……」
- 気力を振り絞り体の自由を取り戻そうとする
だが悪魔の力はどんどんと増していき、彼女の魂に欲情の心が芽吹きつつあった 「……ひ、ひひ。無駄だよ。あーあ、マヌケなシスターはこうしてか、体を奪われ……」 胸を揉んでいた掌が下腹部へと伸び、アンダーウェアの上から大事な場所へと指を這わせる 「悪魔の虜となり、身もこ、心も支配されたとさ……ひ、ひひ」 指に力がこもり、服の上からまだ男すら知らぬ割れ目を押し広げる 生まれる熱に彼女の意識は悲鳴をあげ、その口から甘い声がこぼれた
- クリスの心が快楽へと染まりつつあった
同時に身が穢れることへの恐怖・不安がその内で広がり、人間の負の心を好む悪魔はますますその力を強める 「……ひ、ひひ!」 胸やスカートの裾の服を掴むと、左右反対に両手を引っ張って無造作に服を引き千切る 破かれた服の下から色白の肌が露出し、汗ばんだ肌が色気を醸し出す 「(……い、いや!誰か………誰か助けて……)」 悪魔によって意志の力を弱められ、クリスはおびえる子羊へと変容していた
- そんなクリスの心へと語りかける声がある
いんだぜ、堕ちてしまっても。お前はよくやった─── 自分の考えてることではない。まるで言い聞かせるような声、悪魔の囁きだ 「(……い、いや!私……私は……穢れたくなんて……)」 だが悪魔はクリスの心をおとしめるべく、アンダーウェアも破いて女性器を丸裸にする 「(い、いやです!や、やめてください!)」 これからすること、されようとすることはこれまで悪魔を祓ってきたクリスにとってよく分かっていることだった ───堕ちろ。快楽のままに 指が陰唇を押し広げ、無理くりに指を入れると鈍い痛みが走った ………処女膜が裂けたのだ。しかも悪魔に体を奪われたとはいえ、自慰によってだ それだけでクリスの心は痛み、無意識的に瞳から涙が溢れた
- 破瓜の傷みが彼女の心を蝕む
純潔を失えば悪魔祓いとしての力は半減、いや失ってしまうことになるだろう 急速に悪魔に体を乗っ取られていくことを彼女自身が知覚していた 悪魔の持っている知識、記憶、感情、欲望、そして魂が堰を切ったようになだれ込んでくる 「(あ、……だ、駄目。た、堪らない……こ、こんなの耐えられない……!)」 悪魔と一つになりつつあるのを感じる。避けなければならないことなのに彼女に生まれた色欲がそれを悦んでしまう 「(……な、なんていやらしい体だったのかしら。私は……)」 改めてみれば自分の体が劣情を催しても仕方ないと思い込んでしまう ───犯せ、犯せ、犯せ、犯せ 「(……犯したい、堪らない、したい、捧げたい!)」 どこから彼女の意識なのか、どこから悪魔の意識なのか境界が薄れる 「……ん、あぁ……主よ。私はアナタの下へはい、イケないようです……あぁん」 悪魔は霊力に満ちた彼女の魂へと固着し、清らかな魂を淫乱な娼婦にまで貶めてしまった 彼女は自由にしゃべれたが、その言葉は悪魔が抱いてる欲情を代弁してるに過ぎない 「わ、私は……あぁ…はぁ。主を見限り、悪魔となりますぅ!」 (胸に提げた十字架を忌々しく引き千切り、教会に関係したアクセサリーを全て捨ててしまう) 「ふ、あは!あは!私はもう自由ですの!快楽こそ私にとって新しい主ですの!」 信仰という最後の良心を捨て、彼女の魂は完全に闇へと染まる 悪魔祓いとしての力を失い、信仰心を捨て、クリスは悪魔憑きと成り果てた 「……ん。はぁ…あぁん。犯したくてたまりませんの」 火照りから身を捩り、誘うように手に填めたすべすべとした手袋を噛む 「あぁ!はぁ!悪魔、悪魔憑き……最高ですわ………!」 彼女の視線に悪魔から開放された犠牲者の女性が入る 先ほどは助けるのに必死で気が付かなかったが、よく見ると中々に欲情を誘うスタイルの持ち主だった 悪魔の記憶は彼女に憑依していた頃のも持ち、クリスにも彼女から得た快楽を知り得させた 「……あ、はぁ…あ、ん。犯す喜びがや、やっぱり最高ですものね」 未だ意識が戻らない犠牲者の女性の上にクリスが跨がる。その表情は卑しく歪んでいた───''
こうして悪魔憑きとなったクリスは自らが陵辱者となり、次々と女性たちを毒牙へとかけていった クリスの潜在的な霊力が悪魔の力を何倍にも強め、仲間だった教会の悪魔祓い達をも退け犯して行った こうなれば彼女自身が悪魔となってしまったといっても過言ではないだろう 人は堕ちたシスタークリスをこう呼んだ、淫魔(サキュバス)と───
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