洋上学園都市の七不思議のひとつには、消失学区というものがある
その学区の痕跡は何処にも存在せず、しかし何処としても存在できている
──── ある者は霧に包まれた学園区へと迷い込み、
──── ある者は生者なき落第街へと誘われ、
──── ある者は機械だけが操業を続ける工業区へと入り込んでしまったという
これらの現象は怪異として生徒たちの間で囁かれており
──── ある者はそれが統治機関の実験によって生まれた特異空間であると噂し
──── ある者はそれは虐めを受けた生徒が力の暴走の末に学区を飲み込んでしまった結果だと恐れ
──── ある者はそれを選ばれた異能力者だけがいける特別な場所だと臨むように言った
怪異は決まった姿を持たずに噂と共にその姿を変えるが、唯一明らかとなっているものがある
その場所は今ではなく失われた過去の姿で現れる事となっており、貴方がこれは怪異だと知覚したとき…
──── その場所は時間と空間を問わぬ 《 消失学区 》 の中なのである
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