:Dの微熱

FA/0084?

• レンファリサ大陸、ヴィルヘルミナ領、フィモレへと続く商用街道……
  を作るために切り開かれた森の道中にて彼女は生まれた
  ──ダークエルフと言う存在は何かと誤解を受けやすい
  エルフが堕ちた存在だとも、エルフとは全く別の悪しき種族だとも
  過去の記録は定かではないがこうした迫害を受けて世界中に散り散りになっている種族もいる
  ある者は汚染された森へ、ある者は地下深くの洞窟へ、そしてある者は──
  住み着く土地を探し転々と旅をする。彼女の種族は旅をするダークエルフであった
  必要最低限の食料を探し、必要最低限の寝床を確保し、そして何者にも邪魔をされない安寧の地を求めて……
  
  子供に恵まれない夫婦の間に生まれた彼女。すぐにキャラバンの権力者による命名の儀を執り行う予定であった
  だが闇魔術の使い手であり種族の中でも一番の権力者が彼女に触れた際
  眩いほどの光が発せられ、その手を醜く焦がしてしまった
  彼女はそのダークエルフの怒りに触れた。闇に生きる彼らにとって光は大敵──
  何故そのような力が宿ったかは分からぬが彼女の存在は危険なものとされ……処分された
  両親はそれに強く反対したが皆がそれを許さず彼女は近くにある魔獣の棲む森と噂される妖精の森へと捨てられた
  
  本来は誰かが常に側で護らなければ死んでしまうか弱い命……それが魔獣や獣の居る危険な場所へと晒された
  ……しかし、彼女の光の力は強く、それら全てを拒み、弾き返した
  やがて彼女はそこに棲む妖精に目をつけられて共に暮らすようになる
  彼女はそこで妖精に育てられた。森の動物とも打ち解けるようになり
  妖精の言語を学んだ。彼女はそこで「ディー」と言う名を貰った