―泡男と泡姫と  二人が初めてお互いの愛を身体を以って確かめあって数週後 酒場二階の奥、女が住処としている部屋に一人の女と一体のロボ、いや男。 シマシマと初めて結ばれた時にわかったことだがバブルマンには外装の下に 機械仕掛けではあるが、人間の少年とほぼ同じ姿の身体を持っていたのだ。 しかし彼がこの姿でいるのは愛する人であるシマシマの前でだけ。 彼なりの貞操観念的なものがあるのだろう。 そんな二人は今日も冒険の話や酒場であったことを語り合う。 「ねぇねぇお姉さん。」 「どうしたのバブルくん?」 「泡姫ってなぁに?」 「ぶふっ!?」  シマシマはそのあまりにも突飛で、普段の彼からはまず出てこない言葉に 思わず飲んでいたダージリンティーを噴きこぼしかけた。 「だ、大丈夫お姉さん!?」 「けふっけふっ・・え、ええ大丈夫。でもどうして急にそんなこと言うの?  それ以上にどこでそんな言葉聞いてきたのかしらぁ?」 「えっとね、前に酒場でみんなとコードネームのことでお話してたら  泡姫って言われたんだ。僕、男の子なのにお姫様ってどうしてだろうって気になってさ。  だから聞いてみたの・・・もしかして僕何かイケないこと言っちゃった?」 「ううん、そんなことない、そんなことないけど・・・・。」  彼女は思考した・・・果たして彼に教えてよいものかと。 彼、バブルマンは稼働年数こそ20年を越えるが中身はまだまだ子供。 つい先日、自分が彼をリードすることでなんとか初体験は迎えられたが 10代前半の少年と変わらない今の彼の姿を見るとより一層考えざるを得ないのだ。 (流石にこの状態のバブルくんに教えたり、するのはちょっと犯罪かしら・・・。)  自分が言った言葉に戸惑いだす恋人の姿を見て、バブルは不安になりだす。 彼女の様子だと自分が言った言葉は恐らく性的な意味のものなのだろうと気付き 恥ずかしさのあまり、彼の顔は見る見るうちに赤くなっていく。 「あ、あわわわ、ももももしかして僕エッチなこと聞いちゃったのかな?  そうだとしたらごめん!本当にごめんよお姉さんっ!」 (・・・か、かわいいっ!)  元々バブルに子供の部分を感じていたが今の彼は見た目だけなら完全にショタっ子。 そのショタが自分の目の前で顔を真っ赤にして慌てふためいている。 この光景を目の当たりにしたシマシマの脳内会議では全会一致であることが決定された。 「えっと、バブルくん落ち着いて聞いて。まず私はあなたの言ったことで困ってない。  それに・・・確かにエッチな言葉だけど私たち、もうそういう関係のはず。  ね?だからバブルくんが謝ることなんて何もないの。わかった?」 「う、うん。わかった。」 「それでね・・・その、泡姫って言葉がエッチなことだってのもわかったわよね?  それでもバブルくんは知りたい?」  今度はバブルが戸惑うことになった。 確かに彼女とはすでに何度か身体を重ねた経験もあるし、 その行為も気持ちよさもあるが、彼女との愛をより一層感じられるようで大好きだ。 出来ることなら彼女ともっともっと愛し合いたい。 だが子供ゆえの気恥ずかしさからか、普段自分からはなかなか言い出せないでいるのだ。 よってそういったことを誘うのはたいてい彼女からで、彼は受け手に回りがちになる。 これを男として情けない、と彼が思うようにまでまだ至ってないのがこのカップルの難点か。 「・・・うん、教えてお姉さん。」 「わかった、それじゃあ場所を変えましょう、ここよりもふさわしい場所があるから。」  舞台は変わって酒場近くの温泉宿、二人はここの個室風呂に来ていた。 この個室風呂、利用する用途がおおよそ絞られてくるためか マットレスなどを完備しているどころか防音やジャミング処理なども完璧に施されており、 どこぞのウルトラマンに代表される覗き魔などから完全に護られたカップルに人気の場所なのだ。 「ねーお姉さん、お風呂でどうするの?」 「それを今から教えるの。さっ、早く脱ぎましょう?」  個室風呂の脱衣所までバブルは外装を纏いバブルマンの姿で来ていた。 その外装を脱ぐことで中の人間素体が露になる。 こうしてワイリーナンバーズ・バブルマンは一人の少年、バブルへとなるのだ。 彼が外装を脱ぎ終えたときには彼女は一足先に一糸まとわぬ姿となっていた。 「やっぱり綺麗だ・・・。」 「うふふ、ありがと。それじゃあ入りましょうか。」 「うんっ!」  二人で入浴すること自体は今までに何度かあったが今回は事情が違った。 シマシマは浴室の床にマットレスを敷き、その上に腰掛ける。 そしてさっきまでの優しい笑みを浮かべた表情から一転して厳しめの口調で言った。 「いい、バブルくん。泡姫っていうのはこういう個室のお風呂で  お客さんとして来た男の人相手に一緒にお風呂入ったり  マッサージしてあげたり、エッチなことをするお仕事をする女の人のことなの。」 「うn・・・ええっ!?」 「前にエッチなことは好きな人同士でやることだって教えたけど  世の中にはそういうことを商売にする人もいるの。  お金に困った女の人の中にもたまにこういうことをする人がいるらしいけど。」 「ふえっ・・・じゃ・・・うう・・。」 「安心して。私はそんなこと絶対にしないし、私が裸を見せるのはバブルくんにだけ。  それにバブルくんも他の女の人とこういうことしたいだなんて思わないでしょ?」 「うん、僕が大好きなのはお姉さんだけだから、お姉さんとだけしたい。」 「ふふ、ありがとう。じゃあ・・・ご褒美をあげようかな。おいで、バブルくん・・・。」  そう言うと、元の優しい雰囲気に戻ったシマシマは 浴室の隅にあったボディソープを手に取り自らの全身に塗布し、バブルを迎える。 改めて自分だけを愛してくれる、そんな彼女の言葉と笑顔に安心したバブルは 先ほどまでの不安や恐れを全て忘れてシマシマの胸に飛び込んだのだった。 <<ちゅうだんセーブ>> とうじょうじんぶつ バブルマン・カプコム(ID:19025) シマシマ・パンツァ(ID:30791) かいたひと バブルマン・カプコム(ID:19025)