起床後、過去の報告書を整理している

報告書を整理し終え、マッチを擦りタバコをくわえる

開け放った窓からオンブバッタがひらりと舞い込んだ
背負ったオスごとつまみ上げ、庭に放り出す

本来の月見草の野生種は、滅多に見つからないほど弱々しい
それに比べ、庭に茂る月見草は格段に生命力が強い

立ち枯れることもなく一年中花開く月見草を餌として求め、虫が集まる事務所の庭
いずれは鳥でも居つくようになるかもしれない

緑茶を購入するために、書類提出の報告を兼ねて錬金術店へ

店の主人・アデルと話し込む
アデルが言うには、かつて亡くしたリケルという拾い子と似ているらしい

「あなたぐらいの歳になっていたら同じような顔付きになっていたかもね」

拾い子を息子と呼び、懐かしむように語るアデルを見て、鹿乃子の面影が浮かぶ
今生きていれば、どんな顔をして笑うのか
アデルの微笑みが、胸の中で夢想へと繋がっていった

緑茶と一緒にアルカネットの花を貰った
花が纏うかすかな冷気は、錬金術の名残だろうか
事務所に戻り、デスクに花を飾った

緑茶を啜りながら、報告書を書いている
書き上げてから二杯目の茶を入れた
飲み終えると、心なしか気分が落ち着く

少しアルコールを体に入れてから、床についた