―愛し合う二人は進むよどこまでも  黄金暦89年3月某日、酒場から少し離れた教会、 そこに純白のドレスに身を包んだ褐色の美女と各部を式典用に装飾されたロボがいた。 誓いの儀はなるべく静かに行いたい、との両者の希望により 教会には二人の他には神父と彼らの友人数名がいるだけであった。  一年前、ロボは巨大な怪物の討伐に向かう女に好意を告げ 無事生還した女がそれを受け入れたことから二人の愛は始まった。 ともに怪物討伐を生業とするため、常に生命の危機が迫っていたからか 二人の愛は驚くべき速さで加熱していったのだ。 男がロボであることや女が元は男として生を受けたことなど、 まるで最初から関係なかったかのように・・・。  (どうしようどうしよう・・・すっごい緊張してきた・・・あわわわわわ・・・。)  神父のありがたい説教の間、バブルはそれどころではなかった。 冠婚葬祭自体がほぼ初めてなのに加え、自らの結婚式、厳粛な空気 極度の緊張によりバブルのAIはショート寸前、今すぐどうにかなってしまいそうだった。 そんな状態でふと目に入ったのが隣にいる愛すべき女性の顔。 彼の視線と状態に気付いたのか、 シマシマは何も心配することないわとでも言わんばかりに優しく微笑み返す。 彼女の、この笑顔に、バブルはハートを射抜かれ そして何度くじけそうになった時も、彼は彼女の微笑みを活力にしてきたのだ。  (うん、大丈夫!お姉さんの顔見てたら落ち着いてきた・・・!) 「では、まず新郎から誓いの言葉を。」 「はいっ!  僕バブルマンは、シマシマを生涯妻として愛し続けることを誓います!  どんな時でもお姉さんのことを一番に考えて、二人の時間も大事にします!」 「よろしい、では新婦。」 「はい。  私シマシマは、バブルマンを生涯夫として愛し続けることを誓います。  同じ冒険者の身ではありますが妻として、彼の帰るべき場所を護ります。」 「よろしい。それでは新郎新婦、指輪の交換を。」  バブルは未だ若干の緊張を残しながらもプラチナ製の結婚指輪を彼女の左手薬指にはめる。 シマシマもそれに倣い、同じプラチナ製の指輪を彼の左手薬指にはめる。 「ではここに新郎バブルマンと、新婦シマシマを夫婦とすることを認める。    そ れ で は 誓 い の 口 づ け を 。」