トメシチさんへ: 遅くなっちゃってごめんなさいね。とりあえず出来たわ。翻訳機(?)の紹介有難うっ。 通したんだけど…大丈夫なのかしら…何かそのまま出てくるのとかあって… お手数だけど、ちょっと見て貰えると助かるわ。トメシチさんの台詞には「**」が付けてあるの。 問題なければ、お手数だけどそのままアップロードして貰ってもいいし(あ、この文は削ってね、 添付ってご存知かしら…ページの上のメニューの1つ「添付」で出来るわ。 そこに置いて貰えれば取りに行くし。 勿論、これで問題なければそのままアップしちゃうわ。 それと、内容なんだけど…もっとシリアスな方がよかったかしらね? 紹介文と絵からコッチ方面でも大丈夫かと思ったんだけど…ダメなら言ってね。 出番が少なくて申し訳ないです… 題名:狼鍋 「はぁ…」 イリスは、この依頼での何度目かの溜息をつく。 片道2日での依頼でも面倒だという彼女には、片道4日というのは苦痛以外の何物でもない。 現地に着き、依頼者や関係者からの聞き取りも終えて…今日で、出発から6日目。 「討伐か…やりたくないな…」 彼女の胸中に、弟が討伐で死んだ事が過ぎる。 しかも、彼女にとっては初めての討伐依頼。 「はぁ。今更、そんな事言っても仕方ないわよね…明日から頑張ろう!  トメシチさんもいるし、大丈夫!よし、寝る!」 彼女は宿屋のベッドに潜り込んだ。 トメシチ・ブンさんは、以前にも一緒に珍しい茸捜索をした間柄。 酒場も一緒で、それ以来少しお喋りしたりもしている。 見たことも無い髪型に、見たことも無い服装…余り人の事は詮索しない彼女だったが、 何となくタツキ(タツキ・エンブデン)ちゃんと同じ国の雰囲気を感じていた。 お喋り好きの彼女のため、男5人女1人という構成では自然と話し掛ける機会も増えてしまう。 実際、タツキちゃんと同じニッポンという国のアキタから来たという話… 故郷では農夫をしてたという話… 農夫の頃は作物が収穫出来なくて苦労したという話… 最初、見た目はちょっと怖いと思っていた彼女だったが、段々話しているうちに打ち解けるようになった。 「…大丈夫よね。きっと」 ギ ュ ッ 彼女は、シーツを握り締めた。 〜翌朝〜 「さぁ、いよいよこれからが本番だ。皆も冒険者やって長いから分かってると思うが…  罠や敵の出現には十分注意するように。では、出発!」 リーダー役の人が指示を出す。 目的地の森は、木々が生茂り、小道は細く、見通しは悪い… カ ン カ ン カ ン カ ン 事前の打ち合わせ通り、トメシチさんが先頭に立って10フィート棒で罠が無いか慎重に歩みを進める。 その後ろを、私たちは付いて行く。 (今の所順調ね。敵も罠も無いし…このまま目標が見つかれば…) 彼女は心の中で思った。 カ ン ッ 先頭のトメシチさんが、不意に歩みを止める。 空を仰ぐかのように体をそらし、クンクンと臭いを嗅いでいる。 「どうした!?」 **「すげ悪さする臭いがすど!」 「わるさ!?」 皆がざわつく… 「えっと、トメシチさん。通訳すると、それは罠があるってこと?」 **「そうなしがらす!」 (何で、言葉が通じるのに通訳する必要があるのかしら…) 彼女は思った。 「落ち着け。各自注意するように」 リーダーの人が指示を出す。 丸太、落とし穴、ガス、岩石…色々な罠の事が思い浮かぶ。 **「そこだべ!」 バ シ ッ トメシチさんが、近くの木を棒で叩いた。 ビ ュ ン 数本の矢が飛んでくる。 (え?矢!?  ちょっと待って、こういう時は…盾で防ぐ!って盾なんて持ってないわ。  じゃぁ、矢より早く逃げる!って、そんな事の出来る人なんていないわ。  それが出来るのは、酒場で見かけるMSとかいう機械くらいね。  うー、どうしようどうしよう。そうだわ、地面に伏せる!) バ サ ッ 他の者も同じように地面に伏せる。 しかし、矢が飛んでくる間にこんなに考えてられるだろうか(※脚色してありますが無害です ヒ ュ ン 矢は誰にも命中せずに、森の中に消えていった。 「皆無事でええ!」 「「「どこが無事だ!!」」」 一人立ったままのトメシチに対して、総突込みである… 「ま、まぁ、結果的に無事だったから良かったじゃないのっ」 彼女はフォローする。 「まぁ、警戒してるのとしてないのとでは違うからな…  とりあえず、少し休んでから動こう」 リーダー役の人が休憩の指示を出す。 (ちょっとこういうのも楽しいかも…) 彼女は座りながら思った。 〜後日〜 …以上、この証拠品をもって狼退治依頼を達成した事を証明し、報償の金貨1,100枚を請求いたします。 署名、イリス・アカイキツネ。っと。 「出来たー。早速、ギルドに報告ね。お金♪お金♪と」 彼女は、足取り軽く町に出てギルドへと向かう。 「途中に宝箱もあったし、今月はラッキーだわ」 カ ラ ン カ ラ ン 冒険者ギルドの中は今日も人で一杯だ。 彼女のように依頼の報告をする者、次の依頼を見る者、そして新たに冒険者になろうとする者。 その中に、彼女はすっかり見慣れた姿を見かける。 「あら?トメシチさん?」 **「なんが、おめイリスでねが」 「アナタも報告に?」 **「だども」 「じゃあ、一緒に提出しましょっ」 **「んだ」 2人揃って書類を提出する、トメシチとイリス。 「確認しました。それでは、今回の報酬です。  お疲れ様でした。次回も宜しくお願いします」 「わーい。お金♪お金♪  ねね、トメシチさん時間ある?あったら、これから酒場で飲まない?」 **「いがね、こえがら家で鍋すど」 「鍋!いいわね!!ねね、アタシも混ぜて貰っていい?」 **「ええ、やった」 「…ん?でも何の鍋かしら?」 **「狼鍋すど」 「狼!?それ食べられるの?っていうか、その材料ってまさか…」 トメシチがニヤリと笑った **「ためしてみでけれ」 「い、いいわよ。い、行こうじゃないのさっ」 ギルドを出て、2人連れ立て歩く。 自分で言ったのはいいが、ちょっと後悔している彼女だった。 ---- 出演: トメシチ・ブン ID:12378 http://notarejini.orz.hm/?%CC%BE%CA%ED%2F12378 イリス・アカイキツネ ID:14068 追記: 罠はありましたが、音が出るだけの罠でした。