武装神姫 MMS AGL:bk.ARNVAL
イモリン・ザイコ(16999) 活動記録
黄金暦90年5月〜91年4月
※斜体になっている文章は、対象者の手で記録が作成された当時、暗号化により閲覧が制限されていた部分である。


黄金暦90年 5月
よく帰って来られた……。今回、ひさしぶりにそう思いました。
敵がムカデであれば、と淡い期待で現地へ向かったのですが、現れたのは超巨大トカゲ。
討伐には成功したものの、補充で回された2名の仲間が、瀕死の重傷を負わされました。
意識不明のまま町まで搬送し、病院へ預けたため、名前を聞くこともできませんでした。

酒場へ報告に行くと、いつものように暗い雰囲気に包まれていました。
人は死ぬ。有名無名を問わず。人でないものたちもまた。
単純計算でいえば、私はこんな光景をもう50回近く見てきました。
良くも悪くも、慣れてしまいました。
悲しんだ後は、死んだ人の分まで楽しまなくては。それが、生きている者の義務。
そして私は黙祷を捧げた後、酒場を出たその足で不動産屋へ向かったのです。

それから数日、町を歩き回り、住宅地の一角にある下宿の2階を借りることに決めました。
いつもの酒場との距離は、徒歩で約10分。前の家の1/3です。
さすがに狩ってきた獲物の処理などはできませんが、それは市場の処理場を借りることにしましょう。
広さや立地を考えると手ごろな家賃でしたし、繁華街ほどうるさくもありません。
何より、窓のすぐ下が十字路であることが気に入りました。
今まで住んでいた小屋は、そこが町から続く道の行き止まりでした。周囲には何もない草原が広がっているだけ。
でも、今度の部屋は、縦横に道が延びている。ここからどこへでも行けるということです。
そう思ったら、分析しがたい感情が湧き上がり、私は契約書にサインしていました。

整備用の機材や大量の本を運ぶのは少し大変でしたが、ここが今日から私の住処。
ここから、5年目の冒険が始まります。

荷物の整理はとりあえず後に回して、次の依頼を確認しに酒場へ出向きました。
ですが……依頼書を見た時、私は思わず視覚素子の故障を疑いました。
3人なのです。依頼書に書かれている人数が、私を含めて。
今月よりも、さらに少なくなっているではありませんか。
出発までに補充はされるでしょうが、後から追加される人の実力は疑問視せざるを得ません。
しかも情報の信頼度は限りなく低いと来ています。
念のためマスターに確認してみましたが、申し訳なさそうな顔で首を振るばかり。
自分と同期ぐらいの冒険者がどんどん少なくなっているのは理解していますが、
それにしても、これは……。
ですが、せっかく移住したばかりの新居を、あるじ不在にするわけにはいきません。
いつものように、帰ってきます。

黄金暦90年 6月
3人+補充3人で、覚悟して臨んだ怪物討伐でしたが、全員無事に帰ってこられました。
フタを開けてみたらグールリーダー。
うさんくさい怪物討伐で肩すかしを食らうのは、これで3度目です。もう信用しません。
来月もグール……マスター、こんな依頼で3,200Gもいただいて、本当にいいんでしょうか?

……マスターといえば、アミィさんが、クロコさんの新しいマスターになったようです。
クロコさんの失ったものが、これでまたひとつ埋まりました。
お互いにとって、最善の選択であったと確信しています。どうか末永くお幸せに。

でも……それで気がついたことがあります。いえ、思い出したと言うべきでしょうか。
のどに刺さった小骨のように、ずっと論理処理の中でひっかかっていた違和感。
その正体を、ようやく私は悟ることができました。

私には、マスターと呼べる存在がいない。少なくとも、いた記憶がない。

あの時、クロコさんの元マスターは、私のことを「ブランク」と呼びました。
「マスター登録を削除された痕」があるとも。
ブランク……空白。
そう、私には空白がある。欠損がある……。

なぜ今まで疑問に思わなかったのか。なぜ今まで気がつかなかったのか。
まわりの仲間にはマスターがいる、あるいはいたことを当然と思っていながら、
自分にはそれが存在しない事実に。
マスターを持たずに稼働する神姫がいるという矛盾に。
マスターが死亡するなどの理由で、後からそうなる場合はあります。
クロコさんが一時期そうだったように、タネコさんや、おそらくアーンヴァルさんもそのタイプなはず。
でも、起動時からマスターがいなかったなんて……。
21年前、私が目覚めた時、目の前にいたのは姉さんだけで、
それからずっと、ふたりだけで暮らしてきました。
姉さんにマスターがいたという記憶も、姉さんがマスターに関する話題を口にした記憶もありません。

メモリーを隅から隅まで漁っても、自分のマスターに関する記録は発見できない。
それとも、思い出せないようなプロテクトでもかけられている?
だとしたら、なぜ? わからない。
そもそも、私は本当に神姫なのかも、わからなくなってきた……。

今までそれで問題がなかったのだから、このままでいいという考え方もできる。
でも、一度気がついてしまった事実は、忘れることができない。
私は知りたい。自分の過去を。
それが仮に不可能ならば……せめて、これだけでも知りたい。
マスターができるというのは、どんな気持ちなのかを。

黄金暦90年 7月
アミィさんが、亡くなった。
嘘……嘘……嘘……

黄金暦90年 7月 某日の追記
さまざまなことが、一夜のうちに起きました。
クロコさんがアミィさんの後を追おうとし、居合わせた人々によって復旧され、
その場に死んだはずのアミィさんが現れ、責任を感じたエクセルさんが失踪して、
シンキオーさんブロチャオさんに連れ戻され……。

こうして振り返ってみても、私自身、まだ整理がつきません。
いずれも自分が知らない間に起きたことが、悔しくもあり、かといって
そこに自分がいたと想定しても、何もできなかったのではないかと思うと
みじめな気持ちになります。

自らの命を絶つ……それが機能的に不可能な私には、
彼らの思考を、本当の意味で理解することはできません。
できたとしても、したくありません。
失われたものは戻ってこない。なのに、自ら失おうとするのは、
たとえ本人が納得していようとも、よくないことだと思います。

逆に、失われたはずのアミィさんが戻ってきたことは一体……。
本来なら喜ばしいことですが、奇跡で片づけていいものなのかどうか。
様子が落ち着いたら、話を聞いてみなくては……。
ともあれ今は、みんなが無事でよかった。

黄金暦90年 8月
初めて超巨大サソリと遭遇。うわさどおりの強敵でしたが、全員無事に帰還できました。
また、「怪物ハンター」の称号をいただきました。
来月も巨大な怪物討伐ですので、この1年のうち10ヶ月が巨大怪物との戦いになります。
もっとも、相手が何者であろうとかまわない。
私は狩人。機能停止するその時まで、戦い続けます。

[追記]
関係者にお礼を述べて回りました。
皆さん、いい人たちばかり。彼らがクロコさんとアミィさんを見守っていてくれれば、きっと大丈夫。
そして私も、自分にできることをしなければ。
あとはアミィさん本人に早く会いたい。聞く限りでは元気な様子らしいのですが、
だったらなぜ、私たちに姿を見せてくれないのでしょう。今、どこでどうしているのか。
それはそれとして、アルエさんのところでまた呑みすぎて迷惑をかけてしまいました。反省……。

黄金暦90年 8月 某日の追記
アミィさんは戻ってきた。ただし、肉体的には死んだまま。
アンデッドは、私の姉を奪った相手。理性を失い、人を襲うそれを、私は憎んできました。
それなのに、よりによってアミィさんが、そんな存在になってしまうなんて……。
可能性のひとつとして予想はできていたはずですが、いざ正解が目の前に現れた時、
私はしばし、言葉を失いました。

でも、生きているという定義は何なのでしょう。
私のような機械人形も、見方によっては、命や魂を持っていないと言うこともできます。
しかし、自分が存在していることを否定されたくはありません。

酒場には、アンデッドや不死者の冒険者もいます。その体で、愛する人と暮らしているかたも知っています。
アミィさんの心臓は、確かに動いていないかもしれない。
でも、その命は、強い目的のために燃えているのだと思います。
その魂は、死すらも越える、尊い光に満ちているのだと思います。
私のセンサー類で観測はできませんが、そう感じました。
だから私は、どんな形であれクロコさんのもとに戻ってきてくださったアミィさんを、肯定します。
我ながら、ダブルスタンダードだと言わざるを得ません。
でも、そんなことで悩む段階は、もうとっくに通り越しています。
あのふたりが寄り添って「生き」られるなら……私は、偽善者でいい。

黄金暦90年 9月
アミィさんが、依頼でまたも重大な傷を負ったらしい……。
いたたまれない報らせに、思わず耳をふさぎたくなりました。
あのおふたりが幸福になることは、許されないとでもいうのでしょうか。
そんなこと、あっていいはずがない。
ふたりの依頼に関与することができない自分を、恨めしく思います。
私の幸福などどうでもいいから、その分をあのふたりに、どうか……。

ああ、自分の依頼のことも一応書き留めておかなければ。
またもやサソリと遭遇。しかし直行コースだったので、あっけないものでした。
次は、また3人で人型討伐です……アミィさんをひどい目に遭わせた死霊やムカデではないのが残念ですね。
苦戦が予想されますが、帰ってこなくては。

黄金暦90年 10月
はいはいガッカリガッカリ(//情熱−307)。「マスター、お酒!」
ボスがグールチーフ程度では、何の足しにもなりません。
ため息をつきながら、自分は他の人のアシストに徹していました。
(//ボス前までの戦闘3回でいずれも3連続攻撃し、倒したザコ1匹)

報酬金額と敵の強さは、ほとんど関係がない気がしてきました。
それから、依頼書に欠員がある時に限って中身が簡単すぎることが多いのは、
少人数でも問題ないレベルだから……つまり、残務処理を押しつけられているに違いありません。
こんな仕事で『手練れの弓手』とか『死体砕き』とか呼ばれるようになっても、
死んでいった方々に申し訳ないだけです。
「マスター、おかわり! あと質の良い依頼書!」

今回は『とても出来の良い杖』を入手しましたが、自分では使いこなせないものを
もらっても嬉しくありません。最近、『非常に出来の良いロングボウ』『ありふれた指輪』
そして今回の杖と、それまでの数年間が嘘のようにアイテムを拾えているのですが、
どのみち先に入手した『上質なクロスボウ』しか使う気はないので、また壁の肥やしになるだけです。
この武器が、もっとふさわしい人に渡っていれば、その人はもしかしたら……
「マスター、瓶ごとちょーらい!! それと非常に上質なレーザーライフル!」

……さて。
愚痴をこぼすのと死者への哀悼は、このへんにしておきましょう。
今夜に備えて、少し頭を冷やしておかなくては。

[追記]
あれ以来、可能性のひとつとして考えてはいたこと。
決して起きてほしくはない可能性。
最善に期待し、最悪に備える。
もしその時が来たら、私たちは、決して許されることのない咎人となる。
でも、私たちはすでに共犯者。その存在が、今はうれしい。

黄金暦90年 11月
コボルドロードでした。以上。
こんな楽な依頼ばかりこなしていては、もうクロコさんやエクセルさんには
能力成長で追いつけそうもありませんね。
そのふたりが、来月は同じパーティだそうです。無事を祈っています。

黄金暦90年 12月
リザードマンキング、熟練のリザードマンらと交戦。
最初に毒ガスの罠を受けた以外は、特に危なげはなかったものの、
普段の2〜3ヶ月分の経験を蓄積できました。いつもこれぐらいならいいのですが。
ただ、宝箱の解錠に2度も失敗したのが反省点です。
クロコさん、エクセルさんら神姫関係者も無事で、まずは落ち着いて新年を迎えられそうです。

来月は、初めてオーガ討伐の依頼が舞い込みました。
オーガといえば、牧本さんら多くの冒険者を倒してきた相手。気を引き締めなければ。
2度目の同行となるトマトさんは、今月娘さんを亡くされたそうです。
家族を失う悲しみは、私も理解できるつもりです。どうか心の傷が早く癒えますように。

[追記]
この町に来てからクリスマスらしいクリスマスをしたことがないと気がついたので、
山鳥を獲ってきて、丸焼きやフライド・キジを作りました。
思いのほか大猟だったので、お世話になっている人たちへ差し上げた以外に、
運任せで決めた人のお宅へもお裾分けしてきました。初対面なのでかなり緊張しました……。
喜んでいただければいいのですが。

でもやっぱり、あの人には声をかけられなかった……。
自分の勝手なこだわりにすぎず、あの人に失礼だというのは分かっているのに。

黄金暦91年 1月
手練れのオーガ、オーガキャプテンなどと遭遇。
同行者のうち2名が大きな傷を負う、はげしい戦いとなりました。罠がなかったのが幸いです。
トマトさんも立ち直られたようで、すばらしい活躍を見せてくださいました。
5年目も後半に入り、手強い敵が増えてきた気がします。ようやく、かもしれませんが。
充実感、と言うのでしょうか。それとも、新年最初の仕事だったことも影響あるのでしょうか。
自室に帰り着くと、私は取るものもとりあえずクレイドルに倒れ込みました。
必要な充電時間を過ぎても、なお再起動しなかったのは異例のことです。
目覚めはすっきりしたものでしたが、窓の外が暗いのと時間を確認して、びっくりしました。

その後、クロコさんが遊びに来ました。
巫女という異国の装束を着て、わざわざボディまで換装したその徹底ぶりには、
いつもながら感心させられます。
最近はアミィさんともども、あの件以前の明るさを取り戻しつつあるように見えます。
きっと、お互いがそばにいることで、相乗効果を生んでいるのでしょう。
少し羨ましくもありますが、あのおふたりを私なりに守っていきたい。
そのための力を蓄えるためと思えば、仕事にもいっそう励みが出るというものです。

クロコさんを見送った後、ふと気がつきました。
そして、エクセルさんからいただいたアウタスキンを着て、鏡の前に立ってみました。
白いセパレーツの衣装。そこから伸びる私の手足は……黒。
この色合いって、何かに似ているような……。
データベースを検索した結果、それらしきものを発見しました。
「ジャイアントパンダ」という熊の一種に、そっくりです。
いえ、別にパンダに他意はないのですが……でも……。
そういえば、これを着て初詣に行ったのですが、その時の映像記録を再生してみると、
私は周囲の人間から妙に視線を集めているように思えました。
あの視線は、もしかして「パンダみたい」と思われていたからなのでは……?
それに気がついた瞬間、私が受けた衝撃を、どう表現すればよいでしょう。
とりあえず、しばらく鏡の前に座り込んで、半ばフリーズしていたのは事実です。

人間の一般的な美意識から推論すれば、あの時の私はひどく違和感のある格好だったに違いありません。
当の私はというと、そんなことに気がつくこともなく、ひとから初めて衣服をもらったという
うれしさに浮かれているだけでした。
時と場合をかんがみて、肌色素体に換装すべきだったのです。
なんて恥ずかしい……。それに、エクセルさんのご厚意を、仇で返してしまいました。
普段……というより、起動してからこのかた、服というものを着た経験がほとんどないため、
まったく思い至りませんでした。
そもそも、素体のままでいることも気にしていませんでしたが、周囲の人間から見て、
私たちメガ神姫の格好は、どう思われているのでしょう。
アーンヴァルさんや、元人間のかたがたのように、私も普段から服を着た方がいいのでしょうか。

とはいえ、ボディの換装には、やや抵抗があるのも確かです。
万が一、換装中に事故でも起きたら、頭部AIと胸部CSCりのリンクが断絶し、自分という存在が
消えてしまうのではないかという恐怖感があります。
私たちにとっては、武装状態が人間でいう着衣状態にあたるのかもしれませんが、
アーマー着用で街中を出歩くわけにもいきません。
常に衣服を着ていても、動きに制約が出るというデメリットは看過できません。
肌色素体のまま出歩く……さすがに論外です。
どうしたものでしょう。今後、検討すべき項目がひとつ増えました。

黄金暦91年 2月
今回もオーガが相手でした。強さも前回と同レベル。
ただし、前回の経験を活かし、だいぶ余裕をもって戦えたと思います。
次はリザードマン討伐。近隣に棲む怪物の掃討が続いていますね。

今年もバレンタインの季節がやってきました。
いろいろなものを作って、いろいろなところに配りに行って。
この町に来てから、お菓子作りや料理のスキルがだいぶ向上したと思います。
(といっても、もちろん素人レベルではありますが)
チョコを配ったり、あいさつを交わす人も、だいぶ増えました。

なんだか、すべてが順調で、怖いくらいです。

もちろん、自分の内外に問題を抱えている部分もあります。
酒場の内外でも、新たな悲しみは日々生まれています。
知り合いの中から、来年にはいなくなっている人がいるかもしれない。

でも、そうした問題はいつか解決されると信じてやみません。
目の前にある小さな幸せが、いつまでも続くと信じてやみません。
……私もずいぶん楽観的に、そして利己的になったものです。

黄金暦91年 3月
リザードマンキング、熟練のリザードマン、手練れのインプと交戦。
オーガに比べれば、与しやすい相手でした。その分、経験の蓄積もそれなりでしたが。
来月も確定でリザードマンだからいいのですが、そろそろまたガッカリ依頼が来る予感がします。

今月、ふたりかたが神姫ボディで復活していました。
神姫センターに登録されている元人間(英霊もいますが)も、いつの間にか増えたものです。
しかも、皆さん個性的でバイタリティにあふれ、元々の神姫である私の方が圧倒されそうです。
人間の生きる力には、いつも驚かされます。アミィさんも含めて。
たとえば自分が、いきなり人間のボディに移植されたらと考えた場合、
果たして彼らのように、前のボディの時と大差ない振る舞いができるかというと……。
愚にも付かない想定と分かってはいますが……たぶん無理な気がします。
もちろん、私には分からない、人には言えない苦労もあるのでしょう。
それでも彼らは、己の境遇を受け入れ、生きることに前向きであろうとする。
それは、私たち神姫には、理解したくても一生理解できないことなのかもしれません。

ちょうど、人間が服を着る感覚を、私が本当には理解できていないように。
……それはちょっと違うかな?
ともかく、人間(や、それ以外の知的生命)と私は、似て非なる存在。
それがいいことなのか悪いことなのかは、わかりませんが。
私にもマスターができれば、彼らの感覚が少しはわかるようになるのでしょうか……?

黄金暦91年 4月
[入力 91年5月]
……ようやく、この日のことを記録に残す気持ちになれました。

エクセルさんは一度死に、蘇りました
人間ではなくなったものの、人格は変わっていません。それは本当に喜ぶべきこと。

クロコさんが一人で救出に向かったこと。それは業腹だけれど、賞賛すべきこと。

私はまた、何もできなかった。
アミィさんが行方不明になっていた時も、私は恐怖に震えて、ただ座り込んでいただけ。
モコマさんの助力を請うたときも、自分がその場に居合わせたのはただの偶然でしかない。
クロコさんを説得したつもりで悦に入り、その真意も見抜けず、ただ待っていることしかできなかった。

そうこうしているうちに、22回目の起動日を迎えていたことにも気づかなかった
それもまた、無駄に時を重ねただけ。

クロコさんが身を捨てて行動したのに、私は小賢しい口で自分を慰めていただけ。
エクセルさんやアミィさんが、人であることを捨ててまで戻ってきたのに、
私はその場に立ちすくみ、前にも後ろにも進めずにいる。

こんな私に、誰かを守るなどと、思い上がりもはなはだしい。
こんな弱虫、置いてけぼりを食らって当然だ。

もっと強くなりたい。身も心も。
自信を持って、誰かを守ると言えるようになりたい。
心の方はどうすればいいか分からないけど、体の方は、とにかく経験を積み、性能を上げていくしかない。
もっとトレーニングを積み、強い敵と戦って、その経験をまたフィードバックして……。
いっそ、私も体を改造してもらおうか。武器を内蔵したり、身体能力を強化したり……。
実力が伴わなければ、いくら心を強く持とうが意味はないのだから。



86年5月〜91年4月の総合データ
冒険回数:60回
※赤字部分は前回の集計以降に増加または獲得した分
獲得した財貨:221339G相当(+73975G)
獲得アイテム:ごくありふれたクロスボウ/上質なクロスボウ/ありふれた手袋
         /非常に出来の良いロングボウ/ありふれた指輪/とても出来の良い杖
        ※91年6月現在、「上質なクロスボウ」「ありふれた手袋」を装備中
獲得した称号:山岳の/駆け出しの/半人前の/弓術入門者/弓術初級者/一人前の
         /弓術中級者/弓術上級者/熟練の/懐が暖かい/練達の/小金持ちの         /怪物ハンター/手練れの弓手/死体砕きの/コボルド二十体殺しの (獲得順)
        ※91年6月現在、「怪物ハンター」を適用中

戦闘データ
戦闘回数:175回(+37回) 1依頼平均:2.916回
とどめを刺した敵の合計:118体(+27体)
※赤字部分は前回の集計以降に変化があったもの
ゴブリン12 コボルド20 オーク6 リザードマン10
下っ端ゴブリン1 コボルド5 オーク1 手練れのリザードマン3
ゴブリンの衛兵1 下っ端コボルド3 手練れのオーク3 熟練のリザードマン5
熟練のゴブリン9 手練れのコボルド3 オークの精鋭1 リザードマンキャプテン1
ゴブリンキング1 コボルドの衛兵1 オークロード1 リザードマンキング1
熟練のコボルド3
コボルドの精鋭4
コボルドキング1
アンデッド22 狼・虎19 不定形6 インプ6
ゾンビ3 4 ブラックプディング4 インプ1
下っ端ゾンビ1 下っ端狼2 オーカーゼリー1 下っ端インプ1
手練れのゾンビ3 手練れの狼2 ウーズ1 手練れのインプ4
グール6 狼男5
下っ端グール7 熟練の狼男4
グールリーダー1 狼男の精鋭2
グールチーフ1
オーガ4 トロル0 巨大8 その他5
手練れのオーガ4 巨大蟻5 大蝙蝠2
超巨大ムカデ1 大鼠2
巨大トカゲ1 大蛇1
超巨大サソリ1