愛するホタル・ムーンボウへ これを、ホタルに読まれてるって言うことは、わたしはもうこの世にいないって事だよね。 ホタルと一緒になっておいて、先に逝ってしまったことを謝っておきたいと思います。 ごめんなさい。 早く工房を開きたくて、早めに引退したくて、焦っていたのかもしれません。 無茶がたたって、分に合わない依頼を受けてしまったのでしょう。 最後まで詰めが甘いところが抜けない女でした。 ホタルと過ごす毎日は、それまで生きていた時間よりずっと楽しくて、かけがえの無いものでした。 ホタルが最初の恋人であって本当によかったと思います。 出来ればもっと、仲良くなって、あなたの名前をもらえれば、と思う日もありました。 変なことを書いてしまいました。 えっと、わたしの遺品については、全てホタル・ムーンボウへ譲渡します。 お金はわたしが持っていても、使い切れなかっただろうし、ホタルに使ってもらえればわたしも本望です。 お金以外の遺品は、多分殆どないでしょう。あっても捨てちゃっていいです。 お墓と式は、やらなくていいです。 やるんでも質素でいいです。柄じゃないので。 ホタルから貰ったイヤリングは、太陽のほうだけ机に入っていると思います。 片方はわたしがいつも冒険に持っていっていました。 月のほうを。いつもホタルと一緒にいられたから。 イヤリングは、お墓に一緒に入れてください。 くれぐれもホタルが持ってちゃダメだよ。 いなくなったわたしなんかを、ずっと覚えていなくていいです。 ホタルはかっこいいから、わたしなんかよりもっといい人を見つけて、 今よりずっと幸せになってください。 ならないと、化けて出ちゃうからね! 少し長くなりました。 出来れば、最後はお話しをして別れたかったです。 それじゃあ、さようなら。ホタル。 - あなたのディセア・コードウィル -