愛するホタルへ この文面を書くのは何度目になるでしょうか、 これをホタルに見られているって事は、もうあなたとは会えないということですね。 そうなったわけじゃないのに、書いているだけで悲しくなります。 ホタルに、最後まで一緒にいられない事を謝っておきます。 ホタルに全てをあげることが出来なかった自分を恥じておきます。 わたしはホタルに色々貰ったのに、不公平でごめんなさい。 ホタルは知らなかったかもしれませんが、 ホタルが最初に、イヤリングをくれたとき、 あの瞬間からわたしは、ホタルの事が、頭からずっと離れなくなりました。 うちの里にはね、異性にプレゼントを上げるとき、片方だけが送る場合、 それはプロポーズの証って風習があるんだよ。 だから、イヤリングをもらったとき、すごいびっくりしたんだよ。 結局プレゼントをお返しする前に、告白を受けて、それが本当になっちゃって。 わたしは、それのお返しをするためにホタルに釣り合えるように、がんばりました。 結局ダメでしたけど。 あ、わたしが居なくなったからといって、わたしのために泣かないでください。 できれば、またドジをやったなって笑ってください。 前置きが長くなりました。 お金については、ホタルが自由にしてください。 工房をやっていくお金以外には、まったく使い道の無かったものです。 ホタルに使ってもらえるなら、わたしはうれしいです。 お墓には、ホタルに貰ったイヤリングを入れてください。 片方だけ、机の中に入っています。すぐに見つかると思います。 もう片方は、わたしがいつも冒険に持っていっています。 月のほうをいつも、専用のポーチに入れて。 冒険には一緒に行けないけど、いつも一緒だったんだよ。 ホタルにあげたペンダントも、出来れば一緒にお墓に入れてください。 ペンダントの刻印の女性は、わたしをモデルにしました。わかりにくかったかもしれないね。 いつも着けてくれててて、恥ずかしいけど、うれしかったよ。 でもそういう思い出はみんな、わたしに押し付けちゃってください。 ホタルは、わたしなんかよりもっといい人を見つけて幸せになってください。 ホタルはきっと、すぐ忘れることが出来ると思います。 本当は、引退して、結婚して、ホタルの子供がほしかったよ。 それでホタルを、「あなた」って呼びたかったよ。 でも、叶わなかった。だからきっぱり、コレでお別れ。 さようなら。今までありがとう。 あなたと居られた時間は、本当に幸せでした。 - あなたのディセアより -