あくまで妄想の産物。 実際に分岐させようとすると中の人の心が折れる上に、周りに多大な迷惑がかかり誰も報われないやつ なのでもう一度言うけどあくまで妄想! ■バッドエンド1(分岐条件:1学期に血臥崎とシエテが戦闘に至らなかった場合) これといった妨害も受けず、昼は七緒が情報収集を行い、夜は怪異狩りに勤しむ魔法少女シエテ。 素性を知られない以上、学校内でも目立たない存在のまま静かに過ごす。その心は狂信の歓喜に満ちていた。 このルートでのみ、妨害者がいない事で討伐ペースが緩くなり 器としての完成前にはらわた喰らいの所在を掴む。 マナどころかオドまで消費しきって半ば相討ち同然ながら、単独での仇討ちを果たす。 奈々崎七緒としての死が間近に迫る中、はらわた喰らいを吸収し、全ての未練を断ち切った魔法少女は叫ぶ 「この身、女神様に全てを捧げます!それこそが…僕の責務にして、本懐…!」 狂笑が薄暗い地下に響き渡る。こうしてここに、器は完成した。 ■バッドエンド2(分岐条件:銀幕の怪異戦前までに血臥崎と出日への好感度が一定値以下) 二人の活躍によって劇場に巣食う怪異は打ち滅ぼされ、その脅威から助け出された七緒。 しかし当人はそうは思っていなかった。深く依存し、信じていた存在の二度に渡る喪失と、そこからの絶望。 咄嗟の機転で拳銃自殺だけは阻止されたが、一度壊れてしまった彼の心まではどうにもならなかった。 もはや学校生活どころか日常生活もままならず…七緒が伊上高校に復学する事は無いだろう。 病室のベッドの上で、時折誰かの名前を呼び、穏やかに微笑む毎日。そこには戦いの運命も、未来も無い。 過去の中にだけ生き続ける彼は、ある意味苦痛から解放され、幸せといえるのだろう。 ■バッドエンド3(分岐条件:地下壕調査で倉守の協力を得ず、血臥崎と出日への好感度が一定値以下) 単独での事前調査の段階で、はらわた喰らいの中に瓜生一冴の気配を見た七緒。 回収予定だった毒薬の代わりに、別の薬品を持ち帰り…何事も無かったかのように計画を進める。 そして作戦当日。雨水貯留施設跡で、血臥崎及び出日姉弟の前で、自らに注射を打つ。 困惑する3人を前にこう語る。毒薬なんて嘘、怪異因子を植えつけるための薬品だと。 「皆、騙しててゴメンね…あれは、一冴なんだ…僕、決めたんだよ。二人で、こんな酷い世界…一緒に壊しちゃおうって」 そうしてはらわた喰らいの隣に並び立つゆらめきナナは、異形へと化していく… 「だからさ、お世話になった皆は……特に念入りに、片付けてあげるね?」 口調は穏やかながら、ゆらめきナナの口元に浮かぶ笑みは、魔法少女シエテのそれと同質だった。 ■バッドエンド4(分岐条件:異能を最終段階まで上げる) 全てを乗り越えた上で、それでも七緒の心の中で瓜生一冴という存在は大きな意味を持ち続けた。 心に空いた穴を埋める存在が居ない以上、死者に支えを求め続けるよりほかなかったのだ。 そうして正義の味方として戦い続けた先で、異能は成長し…自らと周囲の時間軸すら歪められるようになる。 その時点で、この世界線から奈々崎七緒という存在は忽然と姿を消す。まるで神隠しにでもあったかのように。 そして彼が舞い戻る先は2019年7月。十回以上のタイムリープを経て、瓜生一冴がはらわた喰らいに殺される事を回避。 共闘することで逆に、はらわた喰らいを討伐する。既に一度戦った相手だった事も幸いした。 …本来ならばここでめでたしめでたしのハッピーエンドとなってもいいのだが、この時間軸の七緒が邪魔だった。 秘密裏に本来の七緒を殺害し、この世界線での本物に成りすますが…些細な違和感からどうやっても勘付かれてしまう。 成長前の性格との違い、本来この時点では知り得ない情報や能力。別人と疑われる要素は幾つもあった… だが、これから起こる未来を知っていることで有利に立ち回れる面もあった。 ある時は不審に思い嗅ぎまわる同級生を始末し、ある時は時間操作で不利な証拠を隠滅し…打てる手は悉く使い尽くす。 それでも最後には瓜生一冴が、自分の知る七緒ではないと気付いてしまうのだ。 それは何十回、何百回と繰り返そうとも覆せなかった。 いつしか心は擦り切れ、一緒に親しく過ごせる僅かな時間だけを求めループし続けるようになる。 怪しまれ、別人である事実を突きつけられれば一冴までも殺し、また7月に戻る。 繰り返せば繰り返すほど、自分の中の一冴と現実とのギャップに苛まれ、ループそのものが苦痛になってしまう。 何故気付かれてしまうのか?何故分かってもらえないのか。 そう考えた七緒はひとつの答えに辿り着く。 躊躇わず人を殺し、自分自身も嘘で塗り固めた今、自分は魔法少年ではなく、とっくに化け物となってしまっていたのではないか? その違和感に気付く一冴は、この世界線の七緒をどれだけ愛していたのか。そして自分は、それではない。 全てを理解した上で、最後のタイムリープに臨む。 7月よりも前に戻り、助けを求める電話で一冴を呼び出し…彼の目の前に、七緒の死体を晒す。その上でこう名乗る 「僕は……殺した相手に成り代われる怪異だ。こいつの体は頂いた」と 自らの心臓に矢が突き立つのを感じながら、一人思うのだ。 「あぁ、なんだ…最初っからこうしていれば良かったんじゃないか……」 自分の体から力が、命が失われていくのを感じながら、満足げに笑って ゆらめきナナという存在は消失した。