全体の構造について:  中空になっている点が特徴的。 結晶構造について:  鱗は通常、主成分はケラチン(たんぱく質の一種)であるが、  この鱗には二酸化ケイ素(石英=水晶を成す物質)が最も多く含まれている。  属性子(※それぞれの属性の存在を粒子として扱った場合の呼び方)と、  物質と属性子とを結びつける調和体とを含んだ結晶構造である。  鱗に含まれている属性子は氷子、風子。  調和体は氷子および風子、物質に、同時に調和する。  (物質とは別のレイヤーで属性の力が重なっているのではなく、   物質と同レベルで合わさり、結晶化している構造)  二酸化ケイ素が主成分であるにも関わらず、  ケラチンでできているような柔軟性がある。氷子、風子の働きであると考えられる。 考察:  中空になっているのは、以下の目的のためであると考えられる。  ・空を飛ぶための軽量化  ・断熱(体内で氷を扱う生物の鱗と考えられる)  ・風子の活性化  ・外からのダメージの軽減   ―4つ目の目的について捕捉。    この鱗は属性子を結晶構造に含むため柔軟性があり、さらに中空であることで、    大げさに例えるのならばゴム風船のような構造であると言える。    水晶を主成分としている場合、氷子を活性化させる作用はあるが、    物理ダメージに弱いという難点を同時に抱える事となる。    しかし今回の鱗は、ゴム風船がそうであるように柔軟で、物理ダメージに強い。  また特筆するべきは、この鱗に含まれる調和体の小ささである。  複数の属性に調和する調和体はこれまでにも発見されているが、  属性が多いほど調和体は複雑で大きくなり、安定する条件が厳しくなる。  一方、今回発見された調和体は、一般的な二属性調和体の凡そ1/2の大きさである。  このように単純で、調和体としての働きを成すものが発見されたのは驚くべき事である。  調和体は物質に属性子を結びつけるものであるが、  調和体が小さい事は以下のメリットを生む。  ・同じ体積に結合する属性子が多くなる  ・これからの研究が待たれるが、人工合成が成功した際には   材料が少なく済み、また合成時間も短縮される  今後、今回の鱗から発見された調和体の構造をさらに解析し、  他属性への応用を試みたい。  今回の鱗の弱い点としては、炎属性の攻撃が考えられる。  炎子の多い環境では氷子が減少し、結晶の硬度が増す事が確認されている。  中空であるため、炎子の発散する熱により中の空気が膨張し、  炎子が高密度に存在する場合、結晶にひび割れを生じる可能性が示唆される。  鱗は氷子を含むが結晶構造であるため、水のように割れた箇所が戻る事はなく、  中空であるメリットが全て失われてしまう。  しかし恐らく、この鱗を持つ生物は氷を扱うか、  もしくは炎子の極端に少ない寒冷地に住むと考えられる。  そうでなければ、この構造の弱点を補う事は難しいだろう。