[[IK/0025]]

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-賊のねぐらとも見えぬ 主は不在か(もとは酒でも詰めていたであろう水がめの蓋をずらし、黒い水面に浮かぶ羽虫を眺める) -- [[トゥラン>IK/0005]] &new{2018-03-31 (土) 19:11:20};
--(トゥランの訪れた草庵はみすぼらしいものである。飾り気など全く無い、廃屋にも見えかねないものだ。)&br; (彼が覗く瓷は、開拓が始まってから放置され続けてきたものである。)&br; ──僕に御用かな。世間を離れて隠遁しようとする者の草庵を訪れるとは珍しい。&br; (草庵の奥から現れたのは大して目立つところもない中肉中背の男。あちらこちらが繕われた道袍を纏っている。) -- [[徐周>IK/0025]] &new{2018-04-01 (日) 03:38:43};
---鳥も通わぬ山奥に好き好んで隠れ住む物好きの顔が気になってな そうか、お前が主か(DIY精神あふれるあばら家の片隅に積まれた書を一冊開いてみる)&br;理由は二つに一つだろう 何かを求めてここに来た あるいは、何かから逃れてここにいる お前はどちらだ、隠れし者よ -- [[トゥラン>IK/0005]] &new{2018-04-01 (日) 22:56:28};
---(トゥランが開いた書物は経書の類であった。しかし、書は痛み埃も被っているため長らく開かれていないことがわかるだろう。)&br; いかにも僕はこの草庵の主だ。草庵の名は、あー……玄真庵とでもしておくか。つまりはそんなところだ。&br; (徐周はトゥランを値踏みするように見る。自信の栄達に資するものかどうかを判断しようとしているのだ。)&br; ……僕は何も求めてなどいない。祖国での名誉争い、政争、戦争、それらのことに嫌気がさしてね。&br; だから遠く祖国を離れ、この見知らぬ土地で隠れ住むことにした。逃れるといえば、喧騒から逃れるためと言えるな。&br; (あわよくば士官の道を求めて、という真意は述べない。あくまで隠者としての自身を嘯く。) -- [[徐周>IK/0025]] &new{2018-04-02 (月) 01:09:06};
---トゥラン・リューネブルクだ 王の許しを得て新たな村を作っている ここでは誰もが異邦人だが、お前の名は特に耳慣れぬ響きだな&br;……異なことを言う(薄くくすんだ色の埃を払い、書を元に戻す)浮世の習いに倦み疲れ、人のおらぬところに逃れたというのだな 何も求めぬなど嘘であろうよ&br;ここにはお前の名を呼ぶ者がおらぬ ならばいないも同然よな 今日の夕刻を待たずに野垂れて死のうが、百年(ももとせ)の後に枯骨を晒そうが同じこと&br;世の全てを厭いながら、お前には未だ生きる理由があるのだ それは我らが夢と呼ぶものに相違あるまい 玄真庵、お前の夢は何だ? -- [[トゥラン>IK/0005]] &new{2018-04-02 (月) 01:30:26};
---──な、何を言うッ……! 君も聞いた通りだ。僕は俗世の喧騒に嫌気がさした。それだけのこと。(何も求めぬなど嘘と言われれば、徐周の態度が崩れ始める。)&br; 見よ、この草庵を。世捨て人でもなければ誰がこのような藁で作ったような家に住むものか。夢も何もかも捨てたから僕はここにいる。&br; 遥か東の京師より喧騒を逃れてここまでやってきた。君の言う通りここでは僕の名を知るものもいない。誰も覚えてなどいない。幽霊のような者……僕はそうなりたいだけよ。&br; ぬ、う……。(未だ生きる理由があると言われれば返す言葉もない。本当に隠遁生活を送りたいのならば、このような人里にいるはずもないのである。)&br; 言っただろう……僕に夢などない。ないからこそ、このような辺土まで逃れてきたのだ。大体何だ君は。何故そのようなことを僕に問う?&br;このようなあばら家に住まう者に、村作りの手伝いを頼みに来たわけでもないだろう。&br; (彼の質問には答えず、何故夢などを問うと問い返す。隠遁者にしてはあまり余裕のない態度である。) -- [[徐周>IK/0025]] &new{2018-04-02 (月) 01:52:15};
---何故と問うか、玄真庵(すこし深入りしすぎたかと思案しながら、奇妙なことばかり言う人間に好奇心が抑えきれずに話を続ける)&br;知れたこと! この世界は夢見る者が作るのだ 夢を失くした者には、退場する自由も与えられている だが、お前はここに踏みとどまっている&br;捨てきれぬ望みが、抑えきれぬ願いがなければ叶わぬことだ……ああ、そうか お前は夢に潰されたのだな&br;到底抱えきれぬ大望を抱いてしまったのだ そして今や、夢見たことを恥じ入ろうとしている 所詮、人に語れぬような夢だったのだとな&br;お前の言葉は嘘ばかりだ 違うか? 違うというなら吼えるがいい(まなざしの奥に野望抱くものの熱を感じ、くろぐろとした目を細める) -- [[トゥラン>IK/0005]] &new{2018-04-02 (月) 02:13:16};
---(黒黒とした眼に射られ、徐周は身構える。この男は赤の他人の境遇など詮索してどうするつもりなのか、と。)&br; (よもや自らと同じ──俗に言えば、この新興国で一発当ててやろうと画策する者なのではないかという疑念が過る。)&br; 君に何がわかる……! 人の心を覗き見るような真似はやめろ! 君は妖怪、異類の類か……!?&br; (過去を見透かしたような言葉に口調が更に強まる。強まる故は、彼の言葉が全て的を射ていたからにほかならない。)&br; いいだろう、君が何を企んでいるか知らないが好き勝手に言われるのは嫌いだ。君のような男に舐められでもすれば僕の「目的」が果たせなくなる。&br; (かつて持っていた自信や誇りは打ち砕かれたとはいえ、元来の性格は早々変わりはしない。侮られるということを周は何よりも嫌うのだ。)&br; 僕は夢に潰された。龍だと思っていた自分が、実際にはただの蜥蜴に過ぎぬと知ったのだ。&br; 祖国での夢は叶わなかった。だが、今一度天は僕に運を与えた。この土地で僕は再び栄華の道を歩むと決めたのだ。&br; 今に現実になる夢だ。君に語って何の問題があろうか!(と、言ってのけた後にしまったという顔をした。相手に乗せられるようにして語ってしまったのだ) -- [[徐周>IK/0025]] &new{2018-04-02 (月) 02:47:42};
---何もわからぬとも お前が自ら語ることの他には……人は己の語りうる以上のものにはなれぬのでな&br;(自嘲の言葉は己を激するためのもの、熱は全く冷めていない そう見てとると双眸はますます細まる)&br;ははは、異境に渡り田夫野人に身をやつしながら位人臣を極めんと望むか 成程、それは夢と呼ぶに相応しき大望だ&br;夢に潰され、心砕かれ、尚もこの地に希望を見たか いかにも、お前のそれは夢を捨てた者の目ではあるまい&br;賢しらに虚言など吐きおって、捨てるべきは愚かになれぬ己の方であろうよ(夢の話を聞くのは楽しく、わずかに語気が和らぐ)&br;お前は龍ではないが、蜥蜴でもあるまい お前は人だ 夢見て暮らす生き物だ そして今は再起を待つ身か&br;話の礼にひとつ珍しいモノを呉れてやろう(大きな雑記帳の栞に使っていた短冊状の紙に筆を走らせ、護符のような代物に仕立てる)&br;枕の下に敷いて眠れ 力ある護符だ 夢を叶える助けになるだろう(書の上に残し、徐周の庵を出ていった)また会おう、玄真庵 お前の話は愉快だった&br;(護符は黄粱の夢を見せる仕込みだ 夕餉の煮炊きが終わるまでの僅かな時間に、望めば天寿を全うするまで栄華の夢を楽しめるだろう) -- [[トゥラン>IK/0005]] &new{2018-04-02 (月) 03:30:34};
---……クッ、何のつもりなんだ君は……! 僕の夢など聞いて君に何があるというのだ!&br; お、おい、それは……?(こちらの話を聞けば、相手は何やら楽しそうな様子を見せる。とはいえ、徐周にはその語気の変化でぐらいしか察することはできなかったが。)&br; (トゥランは短冊に筆を走らせると、それを「護符」だと言い残し、草庵を去っていった。)&br; 何だったんだあの男は……くそっ、真意を隠して隠遁していたというのに勢いで話してしまったじゃあないか……。&br; 力ある護符だのと、どうせ妖しげな妖術の売り込みにでもきたのだろうが……少しぐらい試して見るとしよう。&br; (昼寝とばかりに枕の下に護符を敷いて眠る──周は夢を見た。)&br; (それは今はなき祖国での栄華を極める夢であった。第に登り、高級官僚としての道を開き、武においては辺境の夷狄を平定し、文においては宰相までに上り詰めた。)&br; (文武両官を極め、美しく慎ましい妻を得、優秀な子息に恵まれて──繁栄と幸せの内に天珠を全うする。)&br; (僅かな時間の間に、徐周は自ら求めていた栄華の全てをここに経験したのであった。泡沫の夢の中で。)&br; ……夢……なのか。(目覚めと共にそれらの栄華は消え失せた。徐周の瞳からは、あり得た栄光を惜しむ涙がこぼれ落ちた。)&br; だが……これで人生は虚しいものだとは思わない。死はいずれ来るとしても、僕はこの地で栄華を極めて見せる……。 -- [[徐周>IK/0025]] &new{2018-04-03 (火) 01:28:35};
-辺土より出づるも、第に登ること能わず、絢爛たる京師を離れ、山野に隠れて神仙の道を求むれど得られず。&br; 遥か西域に入りて彷徨し、名さえ知らぬ土地へと流れし我が身。&br; 新しき国に到りて、我が運ついに開けり。今こそ高き位の官吏へと登るべきときなり── -- [[徐周>IK/0025]] &new{2018-03-31 (土) 17:03:44};
--隣に置かれている壺がとても気になる。&br;「あくまのつぼ」とはいかにも神変不可思議ではないか。&br; よもや今度こそ本物の天下の霊物じゃないか……ああ、とても気になる。&br; ……否否。僕はここで栄達の道を進むことを決めたのだ。今更神仙趣味に本当に走って何になろうか……。 -- [[徐周>IK/0025]] &new{2018-04-01 (日) 04:08:16};