![[PukiWiki]](image/pukiwiki.png "[PukiWiki]")
#menu(empty) CENTER:このページは[[個人企画/聖杯戦争]]のランサーペア（[[カテン>名簿/480600]]＆[[トラフキン姉妹>名簿/479955]]）のログページです。~ CENTER:http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079396.png |CENTER:'' - お話目次 - ''&br;下から順にお読みなさる。&br;前回までのお話は[[こちら>:太陽と月の姉妹と夜明けの騎士]]。次のお話は[[こちら>:太陽と月の姉妹と夜明けの騎士2]]。| |CENTER:'' - お話目次 - ''&br;下から順にお読みなさる。&br;前回までのお話は[[こちら>:太陽と月の姉妹と夜明けの騎士]]。次のお話は[[こちら>:太陽と月の姉妹と夜明けの騎士3]]。| |BGCOLOR(#ffffff):300|c |#contents| CENTER:http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079396.png *命の意味 [#r561a9a3] -(娼館前、壁に背を預け入り口を見張っている…かつて見た少女の行動から恐らくはこの店の者であり…この時間帯に活動している事は聞き込みなどで把握していた)&br;(マルチナに関しての聞き込みにはかつて出会った格好のままで行いその背格好を娼館側に伝わるようにしておいた)&br;(だから自分がこの場に来るのはマルチナももしかすれば気付いている筈、そうでなくても目敏いランサーならば見つけるだろうとその姿を見せていた) -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-25 (金) 00:05:30}; --&COLOR(#0097a2){（いつも通り裏口を用心棒に開けてもらって、外に出る。子供が表から出入りしてるのは目立つという理由でいつも裏口だった）&br; 先生、お待たせしましたなのです。今日はちょっと寄り道して帰りますから…エリーゼさんが来てるみたいなのです。&br; （そう言うと、娼館前の植え込みの方へ歩いていく。夜明け前の、空気の冷たい時間帯）&br; &br; ……エリーゼさん。こんばんは（彼女の前へたどり着くと笑顔で話しかける）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-25 (金) 00:14:10}; ---&color(blue){おう（霊体化するでもなく、裏口の先で出迎える。基本的に男は常に実体化しているのだ）&br;エリーゼ？ ……あァ、アーチャーのマスターか（それ以上は問わない。葉巻に火をつけ、紫煙を飲み込んだ）&br;（少女が彼女の前へと行っても、やや距離のある後方で立ち尽くすだけ。マスター同士の対話に任せるように、何もしない）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-25 (金) 00:18:53}; ---(攻撃をする意志は無いと言うように腕を組んでいる、マルチナが現れれば少女に視線を向ける)&br;(それは少々厳しい物ではあるが以前よりは柔らかく…敵意も無い、何かが溶け出したかのようで)&br;(こちらに来ないランサーに目配せをする、アーチャーが倒れた事を既に知っているのかそれとも…と思うが考えるのはやめて)&br;今晩はマルチナちゃん、あの時振りね…今日は少し貴女の顔が見たくなって来たの&br;(僅かに微笑む、初めてマルチナに見せた物に近い微笑みを)…ねえ、戦いにはもう慣れたかしら？ -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-25 (金) 00:24:12}; ---&COLOR(#0097a2){（少女はもう、彼女の側にサーヴァントがいないことは知っていた）&br; （あの機械みたいな印象だけど、どこか優しそうな人…アーチャーは消えてしまったんだ）&br; （後ろで見守っていてくれる自分のサーヴァントが、もし、いなくなったら……そう考えると胸が苦しくなって）&br; （彼女の声ではっとする。顔が見たくて、その言葉にも驚いてしばらくきょとんとしていた）&br; ……なんだか、今日のエリーゼさんは姉様みたいなのです（笑顔を見て、そう呟いて）&br; えへへ…ぜんぜん馴れないです。先生が戦ってるのを見るのも怖いです…。&br; そ、そういうのはやっぱり覚悟が足りないとか言われてしまうのでしょうか…でもきっと最後まで馴れる事はないのです。&br; （なんとなく後ろのランサーを振り返り、また彼女に視線を戻す）&br; ……馴れない方が、いい気もして。戦いがやだなって気持ちを忘れたら駄目な気がして。}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-25 (金) 00:36:47}; ---(少女の胸に抱いた痛みを女は既に味わっていた、だからこそそれを乗り越えた顔は何処か晴れやかで)&br;あら…そう？私あんなに美人ではないわよ？(肩を竦めて)&br;(壁から背を離す、少女と視線の高さを合わせるように身体を屈めると首を横に振り)&br;本当の覚悟というのは背負う事、その辛い気持ちも…誰かを傷つけて奪う後悔も背負って生きる事こそが覚悟よ&br;(目を伏せる、悲しげに苦笑して)きっと…私はその覚悟を持てなかったから負けたのね、傷つけても、殺しても、死ねば逃げられると思っていたから&br;結局…私自身に負けたって事ね、マルチナちゃん…貴女は自分に負けては駄目よ？(優しく微笑んだ) -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-25 (金) 00:56:41}; ---&COLOR(#0097a2){（彼女の顔が近くなる。姉もいつもこんな風に話してくれて、なんだか懐かしい気持ち）&br; （…この人の願いを自分の手で刈り取ることがなくてよかった。そうしたら自分にこんな風に笑ってくれなかったかもしれないもの）&br; （そんな卑怯な事を少し考える）&br; その「覚悟」なら、私はしているつもりです…先生と約束しましたから。全部抱えて、血と肉にかえて生きる、そのつもりです。&br; （一つ一つ言葉を選びながら、真剣な眼差し）&br; （そして、彼女の表情を見て気づく……そうだ、もう、この人は死ぬことができないのだ、と）&br; （それは英霊に似ている。永劫の戦いの鎖に縛り付けられたあの人たちと）&br; （それでも、人を思いやる気持ちは残ってる。それが嬉しくて、悲しくて、表情がゆがんでしまう）&br; 私、負けるつもりはないです。自分にも、誰にも。&br; …エリーゼさんだってきっと…覚悟が足りてなかったとか、きっとないのです。&br; 精一杯考えて、精一杯やったことだから…！だから、そんな風にいったら駄目です。貴方のサーヴァントが悲しみます。&br; （慰める言葉はとても不器用で、もしかしたら逆に彼女を傷つけるかもしれない。それでも伝えなきゃと、微笑む彼女にぎゅうっと抱きついた）&br; だから…胸を張ってください。}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-25 (金) 01:23:49}; ---(その強い眼差しに本当に強い子だと思わされ自然と笑みが浮かぶ)&br;(恐らくは客を取っているのはあの赤髪の女性の方なのだろう、けれどマルチナも多くの辛い光景を見てきた筈だ)&br;(どれだけ大人達がこの子を想おうとも娼館とはそういう場所だ、どれだけ隠そうとも隠しきれるものでもない)&br;(それでも尚希望を抱き前を向けるのは良い大人に恵まれこの子自身もまた強いのだろうと…そう考えて)&br;(泣きそうな少女に気付くとハッとする、自分について考えこませてしまったのだと)&br;(けれど今は少女の言葉を否定するように首を横に振る)&br;いいえ…生きようとする願いと死のうとする願い、それは対極に見えて違うの&br;生きようとする方がずっとずっと強いのよ、それは…生物として当然、そして人として当然の願いだから&br;だから私は今はアーチャーにも、貴女にも胸は張れない(抱きつくマルチナを包むように抱き返して、優しくそう語る)&br;(傷つくどころか少女の言葉はたまらなく嬉しい、否とされるべき願いを是としてくれたのだから、それでも…)&br;私は…胸を張る為に歩こうと思うの、それはアーチャーの願いにも通じる遠い昔私が願った事を叶える道&br;バーサーカーのマスターが言ったの、その不死はきっと私にすべき事があるから与えられたのだと…&br;その使命を終えれば終わるかも知れないと(覚悟を決めるような振り絞るような声、弱い人間が前に歩もうとするような、そんな声で) -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-25 (金) 01:47:29}; ---&COLOR(#0097a2){エリーゼさんの願いも、悪いことではないと思うのです。ずっと置いていかれつづけるのはとても寂しい事です。&br; （そしてまたこの人はその永遠に戻らなくてはいけないのだ）&br; （彼女の腕の中、顔を見上げる。想像もつかない孤独を思うと、涙がこみ上げてくる）&br; （でも、彼女の言葉の続きを聞いて、希望がある事を知った）&br; （不死にも、意味がある。神様が彼女に何かを求めているから…零れそうだった涙が止まる）&br; そんな事を…あの子が…？（彼女に希望を示したのが、あの暗い瞳の少女だという事がとても意外で思わず呟く）&br; 私、アイリスさんを少し誤解していたのかもしれないです。人の夢なんてどうでもいいのかなって思っていたから…。&br; …私も、その話きっと本当だと思います。命には意味がある。そう信じたいです。&br; ああ、何か大事な事を見つけた気がします。エリーゼさんの長い命に意味があるように、私の命にも意味があるといいな…。&br; 私、エリーゼさんを応援します！（彼女の決意。それをぐっと後押しするように、明るい声でもう一度抱きしめる）&br; ……エリーゼさんの昔の願い、アーチャーさんの願い、聞いていいですか？}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-25 (金) 02:24:23}; ---(涙の滲む少女を見れば困ったような、眉を八の字に曲げた顔で微笑みながら頭を優しく撫でる)&br;(大丈夫、悲しい事でも辛い事でもないと告げるように…子供をあやす優しい手つきで)&br;(マルチナの涙が止まれば安堵したように頷き、けれど自分は…これからこの少女を再び困らせてしまう事に眉が戻らなかった)&br;そう…あの子のお陰、だから…本当は貴女に話さない方が良いのかも知れない、誤解させたままの方がきっと貴女は苦しまないから&br;でもこれもまた背負わなければ駄目…あの子もまた生きる為に戦っているの、それは寿命だとかそういう肉体的なものじゃないのよ&br;ずっとずっと誰にも認められなくて…認められる為に、出来るのだという事を示す為に戦っているの&br;例え…稀代の魔女になるというその願いで私と同じ永遠の生命を背負ってしまっても&br;…誰にも認められないという事はね、そこに居ないと言われている事と一緒なの…&br;(死には二段階ある、一つは肉体的な死…そしてもう一つは記憶からの死だ、その死から逃れるべく彼女を聖杯へと駆り立てたのだと…告げて)&br;きっとあるわよ、貴女の命の意味も…皆に愛されてきた事こそがそれを証明しているわ&br;(その言葉を待っていた、マルチナの励ましの言葉…自分は英霊の様な強い心を持たない、だから少しでも後押しが欲しくて)&br;(マルチナの暖かさに頬が緩む、けれど…その問いに僅かに悩み…またこの子を泣かせてしまうと苦笑した) -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-25 (金) 03:22:38}; ---アーチャーの…ウィリアム・マクスウェルの願いは世界平和&br;皆が今より少しだけ優しくなりますようにと願うつもりだったの&br;初めは大事な友達が住む世界がより良くなればという些細なものだったみたい&br;でもその為に彼は生涯を賭した、戦争を根絶する為に戦い続けた&br;彼自身それは矛盾だと分かってたわ、戦いを起こして戦いを消す事は出来ない…だから聖杯を求めたのよ…&br;(戦う事しか出来ず、それでも平和を求めて…その英雄の最期を悲しそうに語り…)&br;そして私の…エリーゼの…いえ、かつてカタリナと呼ばれた女の願いも世界平和&br;ううんもっと子供っぽいわ…皆がお腹一杯に幸せになれたらと…&br;(かつて貧しい国でずっと麦を育てていた事、大切な人が出来た事、その人が自分の焼いたパンを美味しそうに食べてくれるのが何よりも嬉しかった事)&br;(語り続ける、そんな日々がその願いを抱かせ……偶然出会った神の端末とも言える者にパンが満ちる事を願った日の事を)&br;(そして…大切な人は自分が老いない存在になろうとも生涯愛し続けてくれた事を)&br;(声が震える、泣きそうな、泣いている人間が発する声で…強く抱き締めて)&br;ごめん…ごめんなさい…余計な事まで話してしまって…でも…思い出してしまって……… -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-25 (金) 03:24:42}; ---&COLOR(#0097a2){いいんです。私…全部知りたい。聖杯を求める人がどんな願いと想いを抱えているのか。それを知ることが私の義務だと思っているから…。&br; （そしてアイリスの願いを聞く。彼女もまた、生きるために聖杯を求めているのだと知った）&br; （誰にも認められない。そんな事自分は考えた事がなかった。実験動物として作られたけれど、それでも姉は大切にしてくれたし、周りの大人も優しくはしてくれた）&br; （……もし、姉もいなくて、実験動物としても失敗作で…必要とされなくなっていたら……あんな風に暗い瞳になるのだろうか）&br; （それを踏み越えて、自分は生きようとしているのだ）&br; （……だから、私の命も、意味のあるものにしなくてはいけない）&br; （真剣な表情で、エリーゼに頷く）&br; &br; （彼女は、微笑みの後にサーヴァントと自分の願いを教えてくれた）&br; &br; （それは）&br; （大人が考える願いにしてはとても綺麗すぎて）&br; &br; （……子供の頭でも、夢物語だとわかるほどに）&br; &br; （……非情そうに見えた大人の二人は、実は一番子供のように純粋だった）&br; &br; （でも）&br; （だからこそ、英霊になるほどに強くなったのかもしれない）&br; （だからこそ、彼女は永遠の命を与えられたのかもしれない）&br; &br; （きっとそう。涙で震える彼女の腕の中で、温かさを感じながら思った）&br; &br; …素敵な願いです。誰もが願い、でも夢だと諦めてしまう…綺麗なもの。&br; （彼女を生涯愛した人。夢で見た光景を思い出す。カテンを愛し、側にいるために命を懸けたヴィヴィアンを）&br; 愛する人の「永遠」に、ついて行ってあげられなかった人を私は知っています。&br; 生きる時間が同じじゃなくても、側にいたかった。自分のいなくなった後の分まで愛してあげたかった、その気持ちを…私は知っています。&br; 彼女はただ側にいて、沢山思い出を作って…愛する人が思い出を胸に真っ直ぐ生きて行けるように愛し続けた。&br; その思い出が彼を苦しめることになっても…彼が「人間」でいるために、必要なことだと思ったから。&br; &br; ……今はもう会えなくなってしまったけど…その姿はみえなくなってしまったけど…。&br; きっと、愛する人の心の中にいるのです。寄り添って応援しているのです。&br; &br; （また後ろで見守っている人を振り返る。その仕草で、誰の話しをしているのかがきっとエリーゼにもわかるはず）&br; &br; 「側にいる。そして、信じて待っている」と、死の間際にその人はそう言ったの。&br; 永遠に戦い続ける運命にある人に。&br; それを乗り越えてまた同じ命のめぐりの輪に戻ってくれることを、信じて…。&br; &br; だからきっと、エリーゼさんの大切な人も側にいますよ。頑張ってって、応援していますよ。&br; そして、貴女が自分のところへたどり着いてくれるのを待っているのだと思います。&br; &br; （それは勝手な思い込み。知らない人の気持ちなんて、わかるわけがないけれど）&br; （でも、彼女には必要な言葉）&br; （でも、でも、きっと彼女を置いていった人もそう思っていると思うから。信じているから）&br; &br; ''……頑張って！カタリナさん！''&br; &br; （見上げた笑顔で最後の一押しを）&br; （泣いても、笑っても、進まなくてはいけないのなら…せめて真っ直ぐ前を向いて行けるように）&br; （残酷な一言かもしれない。それはわかっているけれど…だけどきっと、必要な言葉）&br; &br; &br; （朝焼けが全てを実りの色に染める。秋の麦の色と同じ、金色に）&br; （そして彼女は帰って行った）&br; （眩しい朝陽の向こうへと…………）&br; &br; &br; &br;}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-25 (金) 13:48:15}; *青い瞳の貴方の呼び名 [#w5b40094] -http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''某日。午後。'' --&COLOR(#0097a2){&br;「[[抱きしめないで 私のあこがれ&br; 密かな腕の中&br; このままでいいから&br; &br; その青い瞳 美しい愚かさ&br; あなたのなにもかも&br; 奇跡だと信じた…>つべ:aH0NZ1yFaU4]]」&br; &br; （すやすや眠るカテンの顔を上に乗っかって眺めながら歌う）&br; （少女の歌声はセイレーンの歌声と同じ…姉ほどの力はないけれど、歌声で眠りを誘う）&br; （サーヴァントには効かないかもしれない事は、気づいていない）&br; （子供特有の少し不安定な、囁くように歌声が、薄暗い部屋に響く）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079876.gif &br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020752.jpg &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079861.gif &br; &br; （いつかヴィヴィアンが歌ってくれた、子守唄）&br; （優しい暖かい手で頭を撫でてくれながら、カテンにも歌ったことがあると言っていた）&br; （今はもういない人の。ううん、私にはいるのだけど、先生にはもういない…）&br; &br; ……もし、私が人の子だったら、もう少し賢くて、強くて…先生をこんな目に合わさずにすんだのでしょうか。&br; （もし、人の子だったら。シルキィが消えそうな声で言った言葉を思い出して呟く）&br; &br; &br; ''……もし、私が……先生の子供だったら。''&br; &br; &br; （そんな言葉が浮かんで、広い胸の上に頭を乗せる）&br; ……私が先生の子供だったらよかったのにな。&br; &br; 「ぱぱ」「おとうさん」「ちちうえ」「とうさま」&br; ふふっ…なんて素敵な響きなんでしょう。姉様はどれがいいと思いますか？&br; ヴィヴィアンさんは、なんて呼ばれるのが好きなんでしょうね…先生は、なんて呼ばれたら嬉しいのでしょう。&br; &br; ……嬉しく、ないかなぁ。&br; &br; （独り言。呟いて瞳を閉じる）&br; （そんな平和な昼下がりの午後。彼の上でうとうと、夢を見る）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-24 (木) 22:42:17}; ---&color(blue){（マルチナがうとうとと、微睡み始めると）&br; （やすらかに寝息を立てていた男の左目が、うっすらと開かれる）&br; ……やれやれ、人を布団代わりにしやがって。おしとやかにみえてヤンチャだな。&br; （胸ポケットから葉巻代わりのココアシガレットを取り出そうとして、マルチナが乗っていることを思い出しやめた）&br; （サーヴァントはおおよそ、眠らない。眠る、という生理的現象を必要としないためだ）&br; （だがランサーは眠る。実際に人間と同じ、睡眠という現象に陥っているかどうかはさておき）&br; （眠りにつく、という行動は必ずする。朝に目を覚まし、昼を歩き、夕闇に戻り、夜に眠る。ごく普通の営みを）&br; （それはたとえ、己が英霊であろうと、死人だろうと変わりはしない、と男は考えていた）&br; （もっとも、夢というものを見ることはついぞなくなっているのだが……それでも、郷愁にかられることはある）&br; （寝耳にかすかに聞こえた歌声。遠い昔に耳にした懐かしい旋律は、しかし男が知るものより幼かった）&br; （歌声の魔性の如何に拘わらず、幼い少女の、ただ無垢な祈りに似た唄は、それだけで安らかなものである）&br; &br; パパ……ね。言われ慣れてねェな。父親みてェだ、って言われたことは何遍かあるが。&br; （マルチナの眠りを深めてやるように、背中をゆるく叩いてやりつつ、つぶやいた）&br; （過去生ではどうだったろうか。旅の法師「寡典」であった頃、男は転生の記憶の中で唯一度だけ子をなした）&br; （父上と呼ばれた記憶もある。あるいは、親父だとか、お父様とか、そんな感じだったかもしれない）&br; （どう呼ばれるにしても、自分には不似合いな響きだ、と男は考える）&br; ……子供を殺したヤツが親扱いってのは、どうなンだろうな。&br; （手応えが蘇る。己の子孫を、その土手っ腹を、"糸切り丸"によって貫いたあの夜の記憶が）&br; （たとえ世界を超えようと、たとえ愛する人を得ようと、その過去自体は変わらない）&br; （変えようとも思わない。逃げようとも、目をそらすつもりもない。他のものと同様に、背負う）&br; （そして、だからこそ。男はただひとつ、子を持つ、その一点に於いてだけは、二の足を踏んでいた）&br; 嬉しくないわけじゃねェけどよ……慣れねェんだ。&br; 結局オレもただのガキさ。嫌なもの、苦しいものがどうしても許容できず、克服できてねェ。&br; （あるいは男が英雄であれば、そうした過去の汚点もまた、過ぎ去ったものとして受け入れ、乗り越えていただろうが）&br; （アキレスのように、あるいはジークフリードのように、もしくはバルドルのごとく）&br; （妻を失い、英霊となってなお、怖れ、受け入れることの出来ないものは、あった）&br; &br; （マルチナとキリルは家族のようなものだ。事実、言葉にしたし、ヴィヴィアンとともにそう考えてもいた）&br; （だが、いざその少女を、己の子として迎えたことを考えた時、男は珍しく言葉をつまらせる）&br; （親は子を見守るものだ。生き方を教え、背中を見せ、ただ従えるのではなく、ある時は先導し、ある時は隣同士で歩き）&br; （ある時には先を行かれる。さりとて、子が親を乗り越えたならば終わりかといえば、そうではない）&br; （その関係は永遠である。ある意味では、今なお愛する、亡き妻とのそれよりも深く、複雑な絆だ）&br; ……オレにも怖いものがあるとはな。&br; （自嘲の笑みを浮かべる。怖いものなのだと、受け入れられただけでも進歩していると言える）&br; でも……ま、そうだな。&br; お前がオレ達の子供でいてくれるなら……それも、悪くないかもしれねェよ。&br; （少女の赤い髪を撫でつつ、誰に言うでもなく、つぶやく）&br; （どうせなら姉妹まとめて面倒を見てやりたいところだが、あの姉のことだ、それは嫌がるに違いあるまい）&br; （おそらくそれでいいのだ。マルチナには親が必要であり、キリルにはもっと別の大切な誰かが必要なのだから）&br; （それはきっと、いつかに彼女が羨んでいたように、彼女を愛し、愛される誰かなのかもしれない）&br; （いずれにしても、自分ではそうなることはできないし、なるつもりもない。彼女もまた、それを否定した。ありえない可能性だ）&br; &br; （聖杯戦争はマルチナの願いから始まっている。無垢な祈り、それゆえに残酷な望み）&br; （仮に戦いを勝ち抜き、彼女の命を救ったとして……そのまま消えていいのだろうか、とも）&br; （己にはまだやることがあるのではないか。だが、それを叶えることは、「いまの」英霊には出来ない）&br; ……たらればだな。やめやめ。&br; （夢のようにとりとめもない思考を打ち切り、男は目を閉じた）&br; （昼が終わり、時刻は午後へと差し掛かりつつある）&br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020756.jpg &br; （日が暮れるまでは、こうして主人の眠りに付き合ってやるのも悪くあるまい。男はそう、考えた）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-24 (木) 23:25:07}; *踏み越えた者達 [#oee046fa] -もしもし、そこのお嬢さん（マルチナが出先から帰る途中、不意に声が上から降ってくる）&br;（見れば、そこには修道士の様な服を着た、巌の様に大きな男が立っている）&br;少々、お話があるのですが…よろしいですかな？（口調は丁寧、だが断らせる気は無いと言う様に、無言の威圧を見下し、かけてくる） -- [[シャンゴ>名簿/480615]] &new{2012-05-24 (木) 00:14:04}; --&COLOR(#0097a2){（オーナーの自宅から預かってきた書類の鞄を抱えながら娼館へ帰る途中、声をかけられて振り向く）&br; （…自分のサーヴァントよりも大きな人がそこにいて、一瞬怯えたような態度を取ってしまう）&br; ひぁ…… あっ す、すみません！はい、急ぐ道ではないのです…何かお困りごとですか？&br; （まだちょっと怯えは隠しきれないけれど、道に迷ったのかな？と素直に足を止めた）&br; （修道士のような格好だし、悪い人ではないだろうと思って）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-24 (木) 00:31:09}; ---（巨漢はにこりともしない、その目はどこまでも冷たく）&br;ええ…まあ、こんな所で話も何ですのでどうぞこちらへ&br;（そう言ってマルチナを案内した先は、使われなくなって久しい廃虚）&br;さて、単刀直入に…貴方は、貴方の娼館のオーナーについて、どこまでご存知ですか？&br;『節制』、或いは''ミハイル・ミハイロフ''という名前に…心当たりはありませんか？&br;（嘘等つかせぬとばかりに、威圧感は殺気に切り替わる。） -- [[シャンゴ>名簿/480615]] &new{2012-05-24 (木) 00:44:41}; ---&COLOR(#0097a2){（彼が笑わないせいか、不安な気持ちを抱えたまま後ろをついて廃墟へいく）&br; （いざとなれば姉が助けてくれる。なるべく迷惑はかけたくないけれど…）&br; （どうしてこんな所に？と尋ねようとした時、男が口を開いた）&br; （オーナーは故郷では追われる身だと聞いていた。だから追っ手なのだろうか）&br; （鞄をきつく抱きしめて、どう答えればいいか考える。見下ろす目はとても冷たい。怖くてもう、足は動かない）&br; ……私は、オーナーは、ミハイロフ家の人、という事以外は知りません…。&br; ミハイル…ああ、オーナーのお父様でしょうか…？昔お洋服を作っていただいたことがあります。&br; （言葉を選びながら答える。ミハイルという人は表向きは亡くなっている事になっていると、前に教えられたのを思い出して）&br; （逃げた方がいいのだろうか。何故こんな子供にそんな事を聞くのか、後ずさる足に小石がぶつかって、少しよろめく）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-24 (木) 01:05:17}; ---ほう、死んだ…そうですか…お亡くなりになられましたか…（口元に手を当て、嘆く仕草…）&br;（否、その抑えた口元から漏れるのは、笑い声）&br;いや失敬…お嬢さん、次に嘘をつく時は、もう少し上手につかれた方がいいですよ…（次があれば、と内心つけたし）&br;私はヴァルチャー・グリード。グリードという組織の一員です。ミハイルという男はかつてそこに在籍していましてね…&br;我等の組織を利用し、挙句勝手に逃げ出した故、今もこうして追い掛けているわけですよ。&br;期待はしていませんでしたが、やはり殆ど知らない様ですな…となると、やはりあのオーナーに…&br;（少し思案した後）…ミハイルならともかく、あのオーナーにならこの娘も有効なカード足り得るでしょう…（ローブを揺らしながら、巨漢が迫る。それだけでは無い、廃墟の闇から、何か猛獣が唸る様な声が響いてくる…） -- [[シャンゴ>名簿/480615]] &new{2012-05-24 (木) 01:25:42}; ---&COLOR(#C41A41){&COLOR(#0097a2){（オーナーの父親は昔はとても怖い人だったって聞いていた…この人はオーナーの追っ手じゃない、その父親を探してるんだ）&br; （生ける伝説と呼ばれるまでになった冒険者が恐れ隠れる組織の一員。彼はそういう人）&br; （一歩二歩と後ろにながって行く。彼から遠ざかろうと。けれど後ろの暗がりから、獣の唸り声が聞こえてきて、その場に凍りつく）&br; …や、やだ…近寄らないで…やだぁ…っ！！（鞄を取り落として、赤い呪印の浮かぶ右手で男を振り払う。泣き出しそうな悲鳴が廃墟に響き渡った）};&br; &br; ……人質にとったって、オーナーは何も言わないさ。&br; （次の瞬間、少女の小さな手は、大人の女性のすらりとした細長いものに変わり）&br; （長い赤毛をかきあげて、女はその場に立ち上がる。手には呪印。少女と同じ……）&br; あたしたちはただの道具……ミハイロフのホムンクルスだからね。変わりはいくらでもいる。&br; 悪いけど、ミハイロフのいざこざにかまってる暇はないんだ。あたし達にはやることがある。&br; &br; ''……ランサー！！''（サーヴァントの名前を呼ぶ。目の前の男から一刻も早く離れるべきだと直感が告げている）&br; （魔獣と合成されるために対峙させられたあの時の恐怖によく似ていて…こういう場には慣れっこな自分も、気を抜けば足が震えてしまいそうだった）}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-24 (木) 01:58:34}; ---&color(blue){（ふと。闇の奥から聞こえる、遠雷のような唸り声が、消えた）&br;（次いで響いたのは足音。ちょうど、猛獣の嘶きが聞こえた闇から、重たい足音がゆっくりと近づく）&br;たく……喚ぶの遅ェよ。見物してたこっちの身にもなれってンだ。&br;（葉巻をくわえ、顰め面で言う男。肩には3mを超える鉄柱のような長槍を抱えており）&br;（その穂先に貫かれるものがあり。猛獣だ。喉元を貫かれ、血を滴らせ絶命している）&br;ふッ（槍を振るう。ごしゃっ、と音を立て、廃墟の壁に猛獣の亡骸が投げ捨てられた）&br;よかったな、オレがゴミ掃除してなきゃ、今頃こいつ焼却処分で消し炭になってたぜ？&br;（キリルとで、シャンゴを挟むように後ろに立つ。マスターの前に翻らないのは、この場所からでも彼女を守れる自信があるからだ）&br;で、どうする禿頭（スノーボール）。イカレサーヴァント喚びだしてやり合うか？ 相手になるぜ。（鮫のように、笑った）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-24 (木) 02:17:11}; ---恨むならミハイルを恨みなさい。&br;ホムンクルスですか…フラスコの外で人間の様に歩き回れ、更に姿を変えられるタイプ等初めて見ました…ぬ&br;（驚きに、目を見張る。その手に描かれた呪印は、まぎれもなく…）&br;ふむ、贄にでも…と思いましたが、気が変わりました、この場で…！？&br;（突如響く聞き覚えのある声に、今度はこちらが身を強張らせる。）&br;成程、彼女は貴方のマスターでしたか…。（壁へ捨てられた猛獣は、少ししすると人間へ戻る。）&br;（死体から抜け出したライオンの霊は、シャンゴの元へと戻る）&br;いえ、今日の所は引かせてもらいます、ですが…いい事を知りましたよ、精々、月の無い晩には私の部下に気をつけなさい…勿論、満月の夜もね&br;（それだけ言い残すと、どこからか長柄の斧を取り出し、柄を地面へと打ちつける）&br;（一瞬の激しい雷の音と閃光の後、目を開ければ男の姿はすっかり消え去っていた） -- [[シャンゴ>名簿/480615]] &new{2012-05-24 (木) 02:27:29}; ---&COLOR(#C41A41){気がついてたなら早く来なさいよ（眉を顰めて不機嫌そうに呟く。カテンが来て安堵する表情を隠すように）&br; （あんな猛獣が潜んでいたなんて…自分の力ではどうにもできなかっただろう）&br; （それを彼は一瞬で…改めてサーヴァントの力を思い知る）&br; なんだ、知り合いだったのかい。&br; まったく…本当に聖杯戦争にはろくな男がいないね。&br; （背中に嫌な汗が流れた。今まで出会ったマスターは皆話は通じそうだった…でも、目の前の男は）&br; （こちらの言葉に心を揺らすことなんて絶対になさそうで…あのアイリスという少女よりもずっと躊躇いのない）&br; （猛獣が人の姿の死体に変わったのを見て確信する。妹を見る冷たい瞳を思い出し、背筋が凍った）&br; （……これを敵にしなければならないのかと）&br; &br; （雷鳴が響き目を焼くような光が消えた後…もうすでに男の姿はなくなっていた）&br; （ぺたんとその場に座り込み、ため息をつく。カテンの前だけれど恥ずかしがる余裕はなかった）&br; ……あー…オーナーの関係者はほんと、踏み越えた奴ばっかりで…凡人には辛いよ。&br; ……カテン、腰が抜けた。おぶっていって。}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-24 (木) 02:58:31}; ---&color(blue){ホムンクルスが言うか？（腰を抜かしたマスターにからかいの言葉を投げる英霊。緊張感がない）&br;ったく、男に限らず聖杯戦争に乗り出す時点でどいつもこいつもどっかイカれてンだよ。あ、オレは勿論除外な。&br;（言われたとおりにどっこいせ、とおぶり）……また重くなってねェ？ こないだよｒあっでェ！！&br;ったく元気なンだかどうなンだか……ほれ、帰るぞー。&br;（廃墟をあとにしていく。狂気の残滓を振り払うかのように、ひょうひょうと）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-24 (木) 03:03:31}; *大人の意地、子供の意地。英霊の願い事。 [#k249e66e] -（月が昇り始める頃、スラムを歩く一人と一匹の影）&br;（深く、静かにスラム街に落ちる二つの&ruby(やみ){影};）&br;&br;（スラム街の外れで、歩を止めた）……匂いがする。我と同じ匂いよな…さてはて。今度はどのような者と出会うのか。 -- [[ブチ猫>名簿/480748]] &new{2012-05-21 (月) 23:33:21}; --……お前がそういうのに鋭くて助かるな。（たしかに気配は感じた。が、それが聖杯戦争の参加者とは気付かなかった）&br;このところキワモノ相手が多かったからな、まともな奴だといいが……。&br;（落としていた視線を上げる、建物に近い月は平素より大きく見えた） -- [[那智>名簿/409560]] &new{2012-05-21 (月) 23:39:51}; ---&color(blue){（以前のキャスターとの戦いからこちら、マスターの居住地に加えスラム全体の見回りを始めていた槍兵）&br;（別に弱き者を守ろう、というわけではない。ただ、ああした連中が好き勝手に振る舞うのが気に食わない。それだけのことだ）&br;……へェ。マスター、悪ィがどうやらお客さンみてェだ。感じるぜ。&br;（薄く笑う。ライダーとの争いが水入りで終わったこともあり、鬱憤が溜まっていた男は闘争の気配に喜びを覚えたのだ。二人の前へと率先して足を向けて歩いて行く）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-21 (月) 23:43:09}; ---&COLOR(#0097a2){…先生？（うとうと半分眠りながら娼館の帰り道を歩く。側の大男の声でぱっと顔を上げて）&br; は、はいっ！！（気を引き締めて彼の後をついていく…戦いが楽しそうな雰囲気に、ちょっとだけ苦笑して）&br; 先生、なんだか嬉しそうなのです……怖い人じゃないといいんですけどね。}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-21 (月) 23:48:25}; ---（シロクロ斑模様の猫は二人の前に立ちはだかると、その周囲の空間にヒビが入る）&br;（ガラスの破砕音のような奇妙な音が鳴り止めば、そこに立っているのは一人の女）&br;（しかし二人が見ればわかるだろう、それは英霊の姿だということが――――腰に帯びた刀に手を掛けて薄く笑う）&br;…貴方もサーヴァントね。初めまして、私はセイバー。（ランサーに向けて、旧知の友人にそうするかのように小さく手を上げて）&br;最初に言っておくわ。巻き込みたくないのであればその子から離れなさい。私も無用の犠牲は好まないわ。 -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-21 (月) 23:54:52}; ---ランサー、それにマルチナか。（そういえば以前出会ったのもスラム入り口あたりのラーメン屋台だった）&br;（以前に言ったとおりだろう？ という顔をセイバーの後ろから二人に向け）巻き込むつもりはないが……離れておいたほうがいいぞ。&br;少し試したいことがある、行くぞセイバー。（実体を維持するだけの魔力から戦いに必要な分の魔力量に切り替わる）&br;（それは今まで供給されていたよりも多い量） -- [[那智>名簿/409560]] &new{2012-05-22 (火) 00:06:10}; ---&color(blue){へェ、手前ェが噂のセイバーか。可愛い子猫だとは思わなかったぜ。&br;（せせら笑うような挑発。葉巻に火をつけ、こきこきと首を鳴らす）&br;マルチナ、離れてろ。……大丈夫、あの様子ならマスターもそうだがサーヴァントも信用のできるヤツだよ。&br;アイツはそういう手合いだ。とにかく戦いたくて仕方ねェ、闘うために闘う……けど狂戦士とは違う、そのためなら自分の存在もかなぐり捨てられる、ってタイプのな。&br;（悠然と一歩踏み出す。右手には虚空から引き出された直刃の長柄武器、グレイヴが握られ）&br;こっちもこないだ出鼻くじかれたばかりでよ、暴れたりなかったトコだぜ！ おォらッ！！&br;（自己紹介は不要、とばかりに地面を砕き踏み込む。低く屈んで足首を狙った右から左へのなぎ払い）&br;（それで体勢が崩れるか、あるいは防がれるか避けられるか、いずれにしてもすぐさまグレイヴを反転させ、石突で相手の胸部中央を狙う二段構えの攻撃だ）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 00:12:09}; ---&COLOR(#0097a2){（ランサーの後ろからちょこんと首を出して、現れた人を見る。セイバー。話は聞いてたけど、思ったより華奢なひと）&br; （もっと筋肉のある女の人かと思ってたので、意外そうな顔で彼女を見る）&br; …こんばんわなのです。那智さん、セイバーさん。&br; （挨拶をぽつりとすると、ランサーを見上げて）わかりましたのです。先生、あんまり無茶はしないでくださいね？&br; （シルキィの館から帰ってからというもの、少女はずっと元気がない様子だった。彼とはなれるのも少し寂しそうな顔をしたけれど、素直に頷く）&br; （小さな靴音を響かせて、戦いをよく見ようと建物の中へと入っていく。廃墟の二階から見る算段だ）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-22 (火) 00:30:52}; ---………。（魔力が供給されると那智の顔を見る。最近はプログレスの使いすぎで那智に大きく負担をかけていたが――）&br;（しかし今は戦争。お互いの正義をぶつけ合う流れ―――手を抜いて戦うなんてできはしない）&br;（マルチナの挨拶に、どこか気が抜けて）…ええ、こんばんは。少し危なくなるから離れていてね？&br;その子猫に喉元を食い破られては英霊の名が泣くわよ。（挑戦的に手招きをし）&br;私が成すべき正義と、明日と、未来のために……いざ、尋常に''勝武！！''（相手に向けて駆けて）&br;（薙ぎ払いを軽く跳躍して回避し）''&ruby(ゆきわらし・かけつづみ){雪童・駆鼓};！！''（飛んだままの状態で上から下への斬り下ろしを三連続）&br;（それは軌道だけ見たならば猫が引っ掻いたような軌跡を描くはずだ。相手の二段目の攻撃を出させないための手数重視の攻撃） -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-22 (火) 00:37:48}; ---&color(blue){（肺か心臓を叩くために放たれた石突の一撃が三連の爪撃めいた剣戟により防がれる）&br;（「ガキキキン！」 重い金属音が響き、正面から攻撃を弾かれたランサーがざざざ、と地面を擦りながら後退）&br;へ、なるほど、ただの猫じゃなさそうだな（ヒュンヒュン、と音を立ててグレイヴを回転させ、刃を下に構え直し）&br;だったらこういうのはどうだッ！（再度の突進。空中に浮かぶセイバーめがけ、下からグレイヴを奔らせる）&br;（「ガリガリガリ！」石畳を噛むように直刃が振るわれ、両者の間に吹きすさぶ暴風！ セイバーに紙一重で届かない間合いを振りぬけば、風に乗るように自らも跳躍し）&br;そォらよ、''《墜龍》''ッ！！（柄の殴打を上から見舞い、セイバーを地面へ叩き落とそうとする！ かつての故郷に存在したウィザード達の流派の一つ、龍使い達が得意とする技だ）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 00:44:16}; ---！！（ランサーが乗った風、それに煽られて空中で制動を失う）&br;（体重と膂力の差は圧倒的、一撃でも受ければ後々不利になっていく―――風に巻き込まれながらも呼吸を、神経を律した）&br;（風は自らを守る盾。風は敵を穿つ刃。風は決して敵ではない―――瞬間、目が見開かれた）&br;（墜龍の一撃を受ける瞬間、風に靡く一枚の木の葉のようにセイバーの体が『軽く』なった）&br;（大陸で軽気孔と呼ばれるそれは極限の脱力を持って自らをどこまでも軽く、一片の羽のように攻撃を往なしてしまう）&br;（相手の攻撃を受けながら一回転する形になり、ふわりと着地しながら刀を鞘に収め）―――''&ruby(あまざさ){天笹};。''&br;（次の瞬間、剛の一撃をランサーのグレイヴに向けて放つ。相手の武器を狙う剛撃で姿勢を崩すことが狙いだ） -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-22 (火) 00:55:32}; ---&color(blue){手応え……なしか！&br;（自らが呼吸法と体に刻まれた経験で気功、すなわちプラーナを操るように、敵もまた同様）&br;（衝撃を水のように、あるいは浮かぶ羽のようにいなし、相殺される。風を殴ったような奇妙な手触り）&br;（対してずしん！ と重々しく着地。続く靭やかな一撃をグレイヴで受け、蹈鞴を踏む）&br;ぬおォッ！ 重かったり軽かったり面妖なヤツだぜ、面白ェ！&br;（姿勢を崩し、攻撃の隙を見せながらも、鋭い右足でトーキックを繰り出す！）&br;（体勢が整ってないため威力は十全ではない。だが、隙につられて敵が踏み込んできたならば、それに対するカウンターとなりえる）&br;（敵の威力を相手へ返す、すなわち竜使いの技''《九頭竜》''である。セイバーが踏みとどまったならば、その一撃は見事に空振ることになるが）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 01:01:11}; ---（さらに追撃で剣戟を浴びせようと加速した瞬間、何かの違和感に気付く）&br;（咄嗟に鉄拵えの鞘で蹴りをガードする）…ぐっ！（ただそれだけなのに衝撃で重く、鋭く体を貫く）&br;（バッと距離を離すと先の墜龍も完全に往なしきれたわけではなく、肩に鈍い痛みと熱が走った）&br;…その戦技、ただ体格に任せたパワー偏重型というわけではなさそうね。（刀を抜いたまま構えを取り）&br;（ふ、と短く呼吸を吐いた）&br;''斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬！！''（離れた距離から斬撃の連打、それは宙を切り裂き）&br;''斬空閃！！''（最後に刀を鞘に収めると相手に向けてカマイタチが無数に乱れ飛ぶ） -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-22 (火) 01:09:19}; ---&color(blue){ハッ、さすが猫だな、反射神経は中々だぜ！（敵の距離を離すように鞘を蹴り飛ばし）&br; （両手の感覚を確かめる。「天笹」のダメージは義肢に伝搬しており、わずかだが動きが鈍っていた）&br; そらそうだろ、柔よく剛を制すってヤツさ。これでも人生経験は豊富でな？&br; （両手でグレイヴを構える。距離をとればむしろそれは長柄の間合い、だがそうした理論は尋常の者同士の戦いに限定される）&br; （敵と己はサーヴァント。思った通り、放たれたのは真空の斬撃の雨嵐！）&br; やるじゃねェか……おおおおォォッ！！（迫りくるそれらをグレイヴの回転で受ける。だが鋼鉄の武器を以てしても遠当ての威力は大きく）&br; （義肢が裂かれ、刃こぼれし、ついには柄がバラバラになってしまった。肩口や太腿を切り裂かれた状態でなおも槍兵は立つ）&br; つつ……なるほどな。そこまで技を鍛え上げるたァ並じゃない、賞賛するぜ。せっかくだから隠し玉を見せてやるよ！&br; （そう言って虚空から新たな武器を取り出す。だが現れたのは、先ほどのグレイヴとは異なり、2m前後のごく普通の長槍）&br; （柄も鋼鉄ではなく、通常の長柄武器のような木製だ。青々とした刃を敵に向け、不思議と自信に満ちた様子で笑い）&br; （愚直にも飛び込む！ その体が淡く金色に輝き、次いで繰り出されたのは、先の斬空閃に勝るとも劣らない数の刺突の壁！）&br; しゃあっ、''《竜舞》''ッ！！（一つ瞬きするごとに十を超える槍撃の連続。一撃一撃は大したことのないものだが、その数が圧倒的だ）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 01:23:40}; ---猫のしなやかさを侮ってもらっては困るわね……！&br;（風の刃が相手を切り裂くと再び無形の位に構える）私は不器用で、刀を振るうことでしか自分を表現できなかった。&br;そのせいで悲しませてしまった人もいる。悠久の時の流れに置き去りにしてしまった人だっている。&br;それでもこの戦いは……この願いだけは！（旋空を抜くと月に翳す）&br;''矛盾の魔王との決戦というこの願いだけは、置き去りにしたくはないのよッ！''&br;隠し玉……？（相手が取り出したのは、ごく普通の長槍だ。一体何を―――その判断の遅れは、身の危機を招いた）&br;！？（瞬く間に無数の刺突が襲い掛かってくる！）は……あああああああぁ！！（その一つ一つを切り払っていく）&br;（――――が）あ、う…わあぁ！！（その全ては受けきれずに体に何発か刺突を受けて吹き飛び）&br;くっ……！（懐から何の変哲もないコルトSAAを取り出し、自己再生の時間稼ぎのためにランサーに向けて数度射撃） -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-22 (火) 01:38:07}; ---&color(blue){なるほど、そいつが手前ェの願いかよ。闘うために闘う、思った通りのヤツだな！&br; だが嫌いじゃないぜ、この上なく自分勝手だからこそ、全力でぶち当たってぶち壊してやれる！&br; （それは皮肉や揶揄ではない。お互いに譲れないものがあるからこそ、戦いとは清廉なものになるのだ）&br; （他者のためでなく、邪悪でなく、独善でなく、何かを願う。そこにマスターもサーヴァントもない）&br; （あるのはただ闘うか否か。全力で向かってくるものを全力で叩き潰す、これ戦闘者の本懐なり！）&br; ほォ、払ったか。やるな！ だがこいつはまだ序の口だぜ、セイバー！&br; （BLAMBLAM! 放たれた銃弾は、しかしランサーが長槍を振るうとたやすく払われる）&br; （その時、セイバーほどの手練ならば気づいただろう。銃弾を払う動きは、まるで"そこに来ることがわかっている"ように自然だ）&br; （因果逆転？ 否。未来予知？ 否。それは長槍が持つ力、不屈にしてあらゆるものを貫く男の生きざまそのもの）&br; 因果の糸を断ち切り、繋ぐッ！ 唸れよ、''《鬼切りの蒼き刃（イトキリマル）》''！！&br; （吹き飛んだセイバーめがけ長槍を擲つ！ それは真名開放、槍が持つ宝具としての力を引き出すためのもの）&br; （槍が迫る。直線的な動き。だがそれは、たとえ薙ごうと、防ごうと、避けようと、あるいは砕こうと）&br; （再び「槍が迫る」。薙ぎ、あるいは防ぎ、避け、砕いたとしても、またしても「槍は迫る」）&br; （その宝具はかつて、男が転生者として戦っていた頃、その証明として持ち続けた超器物「遺産」そのもの）&br; （男は無限の転生を生き続けた。仇敵を倒すためだけに。無限に戦い、鬼ごっこを繰り返し、やがてついにそれを討ち果たした）&br; （牛鬼の姿を持つ仇敵の張り巡らせた因果の糸を切り裂き、己の記憶と魂とを細い糸のように繋ぎ続けた唯一の武器）&br; （すなわち。宝具を以て振るわれた動作は、たとえ失敗しようと全く同じで繰り返される）&br; （男が「仇敵を倒す」という結果に至るために、無限の転生を繰り返したように）&br; （この場合ならば、「槍が擲たれ、セイバーを傷つける」という結果にたどり着くまで、無限回の試行が繰り返されるのだ）&br; （それは一瞬のこと。だが受け手にとっては無限の時間。宝具の持つ力を超越しなければ、無限の施行を覆すことはけしてできない）&br; （不屈とは敗けないことを指すのではない。たとえ何度敗けようと、己が目指す結果へ向けて歩み続ける意志を示す！）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 01:49:36}; ---ええ、手前勝手だわ……だからこそ譲ってくれとは言えないッ！&br;今の私の全てで最大の剣戟を放つ、この力で押し通るッ！！（撃ち終わったコルトSAAを懐に仕舞いなおし、苦痛に歪む口元で笑ってみせる）&br;浅いッ！（投擲された槍を一歩後退りながら切り払う）&br;（が、しかし――――）なんで……どうして…（切り払ったはずの槍が全く同じ軌道にある）&br;（超スピードで後退しながら切り払い続けるもその槍は決して消えることはなく）&br;（そして、）……あぐっ…（ついに壁に背をつけたセイバーの腹部を穿ち、貫き、壁に縫いつけた）&br;（女の顔が苦悶に歪み、流れる血が月を映し出す）&br;そん……な…私は、切り払ったはずなのに……ッ！&br;（その一瞬で何が起こったのか？ それを正確に知る者はこの場にはランサーしかいない）&br;（槍を引き抜こうと力を込めるも、呪われたかのようにビクともしない）……ぐっ。 -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-22 (火) 02:04:06}; --- &color(blue){（そう、マスター達にとってはただ、「槍が投げられ、セイバーが防御に失敗し串刺しにされた」ようにしか見えないだろう）&br; （だがセイバーと、ランサーにとってはそうではない。そこにいたるには極限の攻防が存在した）&br; （そして、いつかはありえる失敗/成功に、槍は辿り着いた。因果の糸を断ち切り続け、ついに己の思うものへと繋ぎ直したのだ）&br; 200回以上耐えるたァなかなかやるな、ホントによ。けど、こいつがオレの力だ。オレ自身が歩ンできた道のりだ。&br; （ずしゃり、ずしゃり。一歩、また一歩と槍兵が歩み寄る。斬空閃によって切り裂かれた傷口から血が噴き出そうとも）&br; オレも譲るつもりはねェよ。あいつが聖杯に込めた願い、それは自分自身の命だ。&br; 矛盾の魔王を打倒する、それが手前ェの善性から生まれた願いだってのはよくわかる。だからこそ、打ち砕く。&br; 貫き、押し通す！ それがオレの……いや、オレらのやり方なンでな。&br; （槍の柄を握る。力強く引き抜き、セイバーを自由とした。決着の一撃のためである）&br; （だが、決定的な一打のために宝具の力は使えない。仇敵を倒した最後の一撃は、己の友の存在と引き換えに齎されたものだから）&br; こいつで終いだ……ッ！！（なんの魔力もない凡庸なる一撃。血の滴る槍が下を向き、セイバーの心臓めがけ振り下ろされる！）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 02:10:36}; ---マルチナの……願い…ッ！（口からも夥しい量の血を流しながらランサーを睨みつける）&br;そう……（槍を抜かれるとさらに傷口から血が溢れ、項垂れる）そうなのよね……全てのマスターに、サーヴァントに、成すべきことが…欲する願いが……&br;（ランサーがトドメを刺す直前、その場に風が吹いた。強く、確かな西風だった）&br;&br;（振り下ろしたランサーの槍はセイバーの背後の壁を刺し砕いていた）&br;（ランサーの後方にいつの間にか立っていたセイバーの輪郭が、小さくブレた）&br;&br;うわあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！（血が逆流する痛みと不快感に耐える）&br;（白の極光が放たれ、セイバーの体の傷が高速で修復されていく）&br;''プログレスッ！！''（強制進化と共に光の粒子が舞い上がる）&br;（長い白髪に純白の衣、赤く煌々と輝く瞳に&ruby(ガーディアンブレード){神の力を携えし一刀};）&br;風の守護獣フェンガロンよ、力を……''ハイスピードリッパー！！''&br;（セイバーはランサーに向けて駆け、超高速ですれ違う。その瞬間に袈裟掛けと斬り上げの二連斬が放たれているッ！） -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-22 (火) 02:26:45}; ---&color(blue){（「ガキン！」 それは、セイバーにとどめを刺していたならばけして響かない音）&br; （何もない壁を貫いた音。それを認識した瞬間には、西風（ゼファー）が己の髪を撫でていた）&br; 何……ッ！？（背後を振り向く。アサシンを超える超・超高速移動。それは視界の端にさえ捉えきれていない）&br; なるほど……それが手前ェの宝具ってわけか！ 面白ェ！&br; （変貌していく白き輝きに笑みを深める。強さの先の先、人をやめてまで辿り着いた極地）&br; （それを味わえることに賞賛と喜びを感じる。直後に放たれた神風の一撃！）&br; （宝具を以てそれを防ごうとするが、あまりにも早すぎる一撃はたとえ無限回の試行を以ても防ぎきれない）&br; （ある時は柄ごと体を3つに分けられ、ある時は防御すら間に合わなかった）&br; ぐゥッ！！（かろうじて、二連斬が致命打になるのを防ぎ、肩口と脇腹に深い傷跡を残すに留めるのが精一杯だ）&br; ハ……こりゃア効くぜ、だが、そうさ、オレ達にもオレ達の願いがある……。&br; だから！ 倒れるわけにゃアいかねェんだよッ！！ ''《浄火の蒼炎（セルーリアン・フレイムズ）》''ッ！！&br; （第二の宝具！ 人ならざるものを善も悪もなく焼き払う蒼き炎を纏わせ、長柄の槍で突き、薙ぎ、斬り上げ、下ろす）&br; （だがそれは対魔力によって抵抗可能なものだ。強制進化したとはいえ、人の心を十分に残すセイバーにはたして通じるか）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 02:34:22}; ---！！（浄火の蒼炎を纏う攻撃を次々と切っ先で捌いていく）無駄よ。&br;（対魔力の効果がある銘刀・旋空は蒼炎をこちらへ届かせることなく削り取っていく）&br;（最後の振り下ろしを超速移動で回避し）くっ……（傷が塞がったとはいえ今も痛みを残す傷口を手で押さえる）&br;（しかし―――那智が魔力を多量に送ってくれているのがわかる。今までのように中途半端な戦いだけは絶対にできないッ！）&br;（相手の足元を狙った抜刀居合いの横薙ぎ一閃―――しかしその速さは通常時とは段違いだ） -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-22 (火) 02:50:14}; ---&color(blue){何……ッ、チ、魔力のある攻撃じゃア勝ち目はねェか！&br; （己の炎が削り取られるように雲散霧消していくのに舌打ちし、《浄火の蒼炎》を即座に解除）&br; （一挙一動ごとに血が吹き出す。だが痛みをしかめるより先に居合いのほうが疾い！）&br; （斬！ 跳躍して回避しようとした瞬間、左足が深く切り裂かれ、足としての意味を殆ど成さなくなり）&br; ぐおォ……ッ！！（まずい。冷や汗が頬を伝った時、魔力の気配が倍増したことを第六感で感じた）&br; ……へ、どうやらサーヴァント思いなのはどっちのマスターも同じらしいな（マルチナの声に、笑い）&br; こっちも行かせてもらうぜ！ オレに従えドラゴンハートッ、世界と繋がりその記憶を引きずり出す！&br; （義肢に光が走る。麒麟菊を模した文様は魔力の証左、その輝きが全身に転移した！）&br; 輝け、''《媒介たる幻燈の箒（ヴィジョナリー・ブルーム》''ッ！！ おおおおおォォオッ！！&br; （世界と術者を繋ぐ媒介器、メディウムの力がその身に宿る。蒼き輝きを放つ長槍を手に、正中線を狙った神速の三段突き！）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 02:57:50}; ---（相手の足を切り裂くと脇構えに刀を構え）ここで押し切らなければ勝ち目がないッ！&br;（次の斬撃を放とうとした瞬間、相手の義肢から光が放たれた）&br;何………！？（不味い、防御のために鉄拵えの鞘を左手で持つ。相手の輝きは止まることはなく）&br;（放たれるのは正中線三連撃、それもその攻撃は次元を、物理法則を捻じ曲げたかのように疾い）&br;（右手の旋空の刀の腹で一撃を受け、左手の鉄拵えの鞘にプラーナを通して一撃を防ぎ、そこで終わり）&br;（胸部に強烈な一撃を受けて後退り）&br;ぐううぅ！？（夢を司る守護獣アルテミドロスが折れた骨を、傷を強引に塞ぎ／繋ぐものの体力の損耗はどうしようもない）&br;（吹き飛ばされながらも何とか左手の鞘を支えに踏み止まり）&br;なんて男なの……これだけの攻撃を受けて怯むどころか宝具を仕掛けてくるなんて…&br;（いや、違う。自分もそれだけの覚悟を持って掛からなければこのランサーを倒すことなど夢のまた夢ということだ）&br;……欲望の&ruby(アギト){顎};に食まれて消えろッ！（ゆっくりと刀を鞘に収める。鞘に飲み込まれる直前の旋空が月明かりを映した）&br;''ダークデストラクション！！''（抜刀居合いと共に放ったのは、音もなく目にも見えない次元の断裂）&br;（欲望を司る守護獣ルシエドの力を借りた斬撃がランサーに向けて飛来するッ！） -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-22 (火) 03:14:17}; --- &color(blue){これだけの攻撃を受けたからこそだぜ、セイバーッ！ どうせ倒れるなら前のめりだ！&br; （マスターはすでに倒れている。ここで選ぶべきは持久戦ではなく短期決戦）&br; （そのためには、意志力に応じて威力を増すこの宝具以外にない。残された秘された2つの宝具いずれもが適さないゆえに）&br; （なによりその1つは秘中の秘、奥の手中の奥の手だ。純粋な力の比べあいで決着を狙う！）&br; （吹き飛ばされたセイバーに追いすがるように跳躍。さらなる刺突を放とうとした瞬間）&br; （月明かりが蒼を侵す。放たれたのは音も気配もなく、すべてを切り裂く次元そのものの断裂）&br; おおおおォォッ！！（その一撃がランサーの胴体を切り裂いた！ だが、青い輝きがその傷口を覆い、瞬く）&br; （《媒介たる幻燈の箒》の効果は生身の肉体の代用。魔力を極限まで受け持った今ならば、こうした疵もまた「後回し」にできる）&br; がは……ッ（とはいえ苦痛と衝撃は殺せるものではない。血を吐き、しかし笑い、なおも立ち上がる）&br; どうしたァ、オレの意志までは切り裂けてねェぞ、セイバーッ！！ おらァアアッ！！&br; （跳躍状態のまま頭上で槍を回転させ、勢いを増したところで脳天めがけ振り下ろす！）&br; 喰らいやがれ、''《ブレインクラッシュ》''ッ！！（命中力を欠いた、しかし全身の力を込めているがゆえに強烈な一撃！）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 03:20:58}; ---………！（ダークデストラクションを受けてもまだ攻撃の一手を打つその男に）&br;（強烈な痛みに退くではなく、勝利を求めるこの男に）&br;（今まで戦ってきた強敵たちと同じく―――敬意を持つに至った。この男と残された力全てで向き合わなければならない、と）&br;（ダークデストラクションで振り抜いた刀を逆手に持つと上方のランサーにタチムカウ）&br;''&ruby(ゼファー){希望の西風};''！！（全身全霊を込めた一撃でランサーの振り下ろしと交叉した）&br;&br;（着地と同時に膝を着き、それでも刀を握ったまま相手を睨みつける）&br;（その左目を頭から流れてきた血が塞いだ）……最後に一つ聞いておきたいことがあるわ。&br;あなた自身の願いは何……？（脳の損傷で霞む視界、機能を失った片耳）聖杯に託す……あなたの望みよ… -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-22 (火) 03:32:54}; ---&color(blue){（西からの風が吹く。希望を乗せ。意地を乗せ。敬意を乗せ。戦意を乗せ）&br; （振り下ろされるは頭蓋を破壊する一撃。白鯨（モビディック）に分類されるメディウムが持つ破壊力）&br; （龍が虎を喰むように。そして振り上げられるはやはり、猛虎の牙のような一撃）&br; （希望。人を生かし、歩ませ、進ませる力、それをもたらし、運ぶ風のような、斬撃）&br; &br; ……がはッ！（血を吐き出す。塊のような血は、全身から流れるそれらに混じった）&br; （満身創痍。地面に突き立てられ、己を支える槍がなければ、その体は倒れていただろう）&br; （だが倒れない。そう、そのために男は槍を使う。たとえどれだけの苦境に陥ろうと、膝をつかないために）&br; ハ……。''ねェよ、ンなモン''。強いて言うなら、手に入れてから考えらァ。&br; （全身を朱（あけ）に染め、男はなおも笑う）オレが戦ってるのは、オレがそうしてェからだ。&br; （マスターの願いのため、などと驕った事は言わない。強敵と闘うことも、マスターと共に闘うことも）&br; （全ては己あらばこそ。そこに願いなどない、あるのはただ、今を生きる一秒のみ）&br; （男の行く先には未然だけがあり、その後にはただ必然だけがある。そして、後でも先でもない今には、ただ「自然」だけが）&br; （だからこそ折れない。折れたとしてもまた立ち上がる。それは、もっとも残酷な生き方でさえあった）&br; これ以上続けっと、どっちかのマスターが死ぬな……痛み分けってとこか？（柄から手は離さず、惜しむように）&br; （そんな形の決着は互いに望むところではあるまい。言外に、そう告げていた）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 03:40:36}; ---（不死の身にあって脳を損傷したことは何度もある。不思議と痛みは少ないが、兎に角目が霞むのが嫌なところだ）&br;……そう。あなたも身勝手な戦いをしているのね。（立ち上がると出会った時と同様に薄く笑い）&br;私と同じだわ。（刀を鞘に収めた）そうね……死闘の果てに私やあなたが死ぬならともかく。お互いの大切な人が死ぬのは真っ平御免だわ…&br;……。（血に濡れたまま背を向けて歩き出し、プログレスを解く）また会いましょう、ランサー。&br;諦めたら取り返しがつかない、色んなもののためにね。（実体化を解くと那智と共に立ち去っていった） -- [[セイバー>名簿/480748]] &new{2012-05-22 (火) 03:46:27}; ---&color(blue){当然だろ。だからこそ歩いてける、だからこそ他の奴らを蹴落とせるンだからよ。&br;やれやれ……すっきりしたぜセイバー、やっぱオレ達は、手前ェのために戦ってこそ、だ。&br;（にやりと笑う。マルチナから送られた魔力の残滓が徐々に傷を癒していく、とはいえその被害は甚大だ）またな。そっちも犬死するなよ？ 猫だからな。&br;（よろけるようにして背を向け、廃墟へ向かう。自分のために意識まで手放したマスターを迎えに行くために）&br;&br;（次にマルチナが目を覚ました時には、ランサーの傷は癒えきり、あの激闘が嘘のように笑っていた）&br;（その理由を問うと、何も言わずに男は眼帯に隠された右目を撫でて、ただ笑みを浮かべていたという）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-22 (火) 03:51:14}; --http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''廃墟の二階。窓辺。'' -- &new{2012-05-22 (火) 00:32:57}; ---&COLOR(#0097a2){（壊れた木製の窓枠に座って、スラムの戦いを眺める。赤い靴をゆらゆらゆらして、子供っぽい仕草）&br; （…表情はどこか寂しげ。彼が、自分のサーヴァントが負けるとは思っていないけれど）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-22 (火) 00:38:47}; ---（そこから少し距離を置くように、しかしこちらも窓からサーヴァント同士の戦いを眺める）&br;おう、二段攻撃に備えての攻撃か、攻撃は最大の防御とはあいつのためにあるような言葉だな。（視線をマルチナへと移動させ）&br;……やけに寂しそうな顔をするんだな。うちのサーヴァントに取られたのが不満か？ -- [[那智>名簿/409560]] &new{2012-05-22 (火) 00:45:34}; ---&COLOR(#C41A41){&COLOR(#0097a2){（揺らしていた足を抱えて、膝の上に頭を乗せる）……違うのです。誰も悪くないんです。私以外は、誰も。&br; &br; （呟くと、少女の姿は};長身の女性に変わる。風になびく深紅の髪は同じ、振り向く青い瞳も同じ…微笑を浮かべて）&br; ……拗ねてるのさ。マルチナは戦いで役に立てないというのをこないだ嫌というほど実感したからね。&br; （紅を引いた唇が紡ぐ言葉は低い声。窓辺に下りて、黒くて長いドレスを揺らして無防備に彼に近づく。ひと目見ればわかる、水商売の女）&br; あんたとは初めまして、かな？あたしはキリル。色々事情があってマルチナと同じ体を共有してる。あの子の姉みたいなもんだ。&br; ……ふーん。結構いい男じゃないか。ふふ（からかうような口ぶりで笑う）}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-22 (火) 01:02:01}; ---（女は少し見ない内に変わると人は言う、しかし瞬きをしたその刹那に変わるなど誰が思おうか）&br;（しかしそれはマルチナのようでいてマルチナでない別人で、自分の常宿を根城にする女たちと同じ匂いがした）&br;俺は八神那智だ、いい男とはよく言われる。（本気か冗談か分からない口調でそう返す）&br;&br;（少し離れて見ればランサーは蹴りを放ちながらカウンターの体勢をとっているのが分かる）&br;（セイバーはそれに気付いたのか距離を取り遠間からの斬撃。ふむ、と小さく頷く）&br;役に立てない、か。この戦争は人の力が通用する次元ではないと思うが……きっとそういうことじゃないんだろうな。 -- [[那智>名簿/409560]] &new{2012-05-22 (火) 01:17:51}; ---&COLOR(#C41A41){（剣戟の響く中、目の前の男の頬に手を伸ばそうとして…急に笑い出す）&br; …くっ…''あっはっは！！''何あっさり認めてるんだい。変な男だね。&br; 男を相手に仕事してるけど…あんまりそう返す奴はいないね。&br; 聖杯戦争ってのは変わり者ばかり集めるのかね、まったく。まだまともな男に会った事ないよ。&br; （煙管を取り出すと、指先で炎を出し火をつける。たっぷり吸い込んで煙を吐き出し、窓の外へ視線を移した）&br; おーおー…楽しそうにしてるなあいつは。こうやってじっくり戦うのを見るのは初めてだけど、ほんと、人の無力さを痛感するよ。&br; …あのお嬢さんも、かわいい耳がついてるって言うのに、あの大男に負ける様子もないなんてね。&br; &br; それでも大事な人だけを戦わせるのは心苦しいもんなのさ。子供には。&br; あんただって男だろう？歯痒いとは思わないのかい？}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-22 (火) 01:33:22}; ---（自分はそこそこまともだと思っていたが、そもそもこの街でまともな人間はいないかと思い直す）&br;（煙管を取り出すキリルに自分も懐に手を突っ込んで、願掛けに禁煙していたのを思い出してそのまま窓枠に手をかけ乗り出すように下を見下ろした）&br;見た目に騙されるとあれは酷く手強いからな。（目を細め窓から身体を引っ込める）&br;&br;出来る事なら英霊に頼ること無くこの身で戦いたい、というのが本音だ。（ふぅ、と息を吐き）&br;ただ、共闘するにもサーヴァントとして召喚されたあいつはこっちの何段階も上にいるから邪魔になるだけだろう。&br;だからこっちは信頼して、あれが十全に戦えるように魔力を供給するのに専念しないとな。&br;（セイバーの悲鳴に近い声と直後に聞こえた銃声に振り向くこともなくキリルを見つめ）&br;&br;役割分担、というやつさ。&br;マルチナはまだ子供だから自分で何でもかんでもしたがるんだろう。&br;俺からすればなんて無茶なことをと思うが……子供だからこそ、知ったつもりになって色々諦めてしまった大人より出来る事がきっとある。&br;&br;（背後で膨れ上がる気配に宝具の発動を感じ取り背筋に冷や汗が走った）&br;それでも、俺はまぁ……大人な方だからな。子供に負ける訳にはいかないのさ。（セイバーへと送られる魔力量が更に増えるが顔色一つ変えない） -- [[那智>名簿/409560]] &new{2012-05-22 (火) 01:58:20}; ---&COLOR(#0097a2){&COLOR(#C41A41){（信頼。妹にもそれはある。けれどそれでも、自分のために戦う人のために何かしたいと思うのは当然で）&br; （でも大人は現実が見えるから。別の方法を探す。魔力を効率よく供給してやったり、力をより発揮しやすいようサポートしたり）&br; （そんな彼の願いというのはどんなものなんだろう。セイバーを戦わせることそのものが願いというわけではないと思うけれど…）&br; （「矛盾の魔王」窓の外からそう聞こえて、思考を中断し振り向く）&br; （…オーナーの妹を奪った前回の聖杯を思い出した）確かに見た目通りではないね…恐ろしいものと戦いたがるお嬢さんだ。&br; 真面目な変わり者。あんたも、あの子も。&br; あの子はただ、一生懸命なのさ。生きる事、何もかもに。&br; 真っ直ぐに向き合うことがあいつやあたしの思いに報いることだと思っ……くっ&br; &br; （宝具発動。それにごっそり魔力を奪われて体がよろめく。煙管が床に落ちた）&br; &br; っ……張り切りすぎだ。&br; しょうがないねぇ……。どいつもこいつも、融通の聞かない変わり者ばっかりで、困るよ。};&br; &br; （よろけた女性の姿がまた、子供の姿に変わり……）&br; …上手く分担することばかりがいい事じゃないです。&br; 私は…諦めたくないのです。&br; （壁に手をついて、一歩ずつ、窓際へ）&br; 守ることも、戦うことも、なんだって！&br; &br; （ターコイズブルーの瞳が開かれ、瞳が輝く。赤い炎のような髪が風もないのに揺れて…）&br; 私だって…負けません！&br; （子供は加減を知るわけがない。宝具発動で消費され、残った魔力を全て開放する勢いでランサーに注ぎ込む）&br; ''先生！！負けないで…！！！約束です！！私に勝利を！！''（そう叫んで、糸が切れた人形のように、その場に倒れこんだ）&br; }; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-22 (火) 02:37:14}; *家族 [#g315b89a] -http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''魔女と騎士の夢を見た、次の日。'' --&COLOR(#C41A41){（朝、赤い目をして仕事から帰ってくると、心ここにあらずな様子でテーブルで煙管をふかしている）&br; （向かい側に座っているカテンをじっーと眺めて）&br; ……あんた髭剃らないの（ようやく口を開いたと思えばそんなどうでも良さそうな台詞）}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-18 (金) 21:22:01}; ---&color(blue){ンが？（口いっぱいに朝飯代わりのホットドッグを一口で丸呑みした男がもごもごと口を動かして反応する）&br;オレふぁカミソリまへふるンはよ、サーヴァントになっへもふぉふぉはふぁふぁんふぇーふぁ（もごもごもご。何言ってるかわかりゃしない）&br;（だが夢で聞いたセリフと同じだ。カミソリ負けは相変わらずらしい。本人は喉に変なつまり方をし胸をどんどん叩いている））}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-18 (金) 21:27:43}; ---&COLOR(#C41A41){（何言ってるかはわからないけど、かろうじてカミソリ負けのような単語だけ理解できた）&br; （……夢と同じ）&br; （煙管を片手に立ち上がると、思いっきりカテンの背中を叩いてやる）&br; まったく、これがこないだアーチャーと死闘を繰り広げていた男と同じかね。&br; …本当、英霊がカミソリには負けるなんて、なんだか可笑しいね。&br; （呟いて水を持ってくる。いつもなら背中を蹴る位のことはするのに、今日は水まで持ってきた）}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-18 (金) 21:34:58}; ---&color(blue){げっほ、えほっえほっ！ さ、サンキュ……（水を受け取るとごっ、ごっ、と音を立てて飲み干す）&br;ぷはあっ！ ふー死ぬかと思った……あ、英霊だから死ぬわけねェか。ワハハ！（アメリカンジョークか何かのように笑う）&br;ンなこと言ったってな、オレだって飯から魔力が補給できるしよ、案外アイツだって似たようなことしてるかもだぜ？&br;手前ェよかあっちのマスターのが色っぽいしな（と、言うがそれは女に対する情があるゆえのジョークではなく、たんにからかいの意味をこめてだ）&br;しかし今日はまたかいがいしいな、なンだ実は意識だけマルチナとかか？ いや、アイツならンな減らず口は叩かねェな。&br;……ま、もう頬ずりねだってくるようなヤツもいねェしな。伸ばしてたって問題ねェだろ（食う？ と別のホットドッグを差し出しつつ）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-18 (金) 21:40:09}; ---&COLOR(#C41A41){（ものを食べることについてとやかく言ってるわけではなく、食べ方なんだけど）&br; （…と、いつもなら少し棘が入った言い方で返してくるはずが、黙ったままコップを片付ける）&br; （からかう言葉も特に怒ることもなく…あの金髪の幸薄そうな女を思い出して）&br; …まあ、そうだね。あの子化粧っ気ないけど（……なんと、素直に認める）&br; （向かいの席に戻って、ホットドッグを差し出されると首を振り）食欲ないからいいよ。&br; （またぼんやり彼を見つめる作業。マルチナなら兎も角、キリルがカテンを見続けるなんてことこれまで一度もなかった）&br; （頬擦り…やっぱり夢と同じ、あれは……）&br; いやね、変な夢を見てね。妙にリアルでね…あんたとヴィヴィの夢。私からしたらずっと未来の話さ。&br; ……あんた、薔薇のジャムは作れる？（頬杖をついて、夢で聞いたことを一つ聞いてみる） }; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-18 (金) 21:58:44}; ---&color(blue){さよけ。ンじゃオレが食う（もっしゃもっしゃ。男の掌でも余るサイズのものを二口で食ってしまう）&br;ふが？（普段なら蹴りか拳とともに尖りまくりの言葉が飛んでくるところ、簡素な肯定に首を傾げ）&br;（もう一度水でホットドッグを流し込み、乱暴な飯を終えたところで胡乱な眼差しをキリルに返した）&br;夢ェ？ なンだそりゃ。道理でさっきから妙に様子がおかしいと思ったぜ。&br;ジャム？ 作れるぜ、教えてもらったからな。オレの得意なレパートリーの一つだ（食後のデザートとばかりに葉巻に火をつけるとニヤリと笑う）&br;なンだ、オレの手料理が食いたくなった系か？ あいにくだな、あれ材料調達意外とメンドいンだわ。&br;っと。……そこまで知ってるとなると、そりゃアレだな。夢ってより、追想ってか、追体験ってか……。&br;オレ自身の記憶を垣間見たのかもな。令呪とサーヴァントの繋がりがマスターに作用して、そういうことが起きるってのは聞いたことがある。&br;（己の過去を覗きこまれたことに怒るでもなく―――偶発的なことなのだから、怒っても仕方ないのもあるが―――ふ、と椅子に背を預け、問う）&br;どこまで視た？ ヴィヴィがまだいた頃の話だろ。}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-18 (金) 22:03:23}; ---&COLOR(#C41A41){よく食うねぇあんたは。作りがいがあるよね。ま、それはあたしが作ったんじゃないけど。&br; （呟く言葉はどこか嬉しそう。実際嬉しかった）&br; （キリル本人はまだ夢のヴィヴィアンの気持ちが残っているのかもしれないとしか思っていないけれど）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079876.gif &br; &br; （彼がここにいること、それは奇跡）&br; （……その奇跡は彼の強い意志で成されたもので、妹の…自分達のためのもの。嬉しくないわけがないのだ）&br; （……罪悪感と後悔はそれ以上に大きすぎて、嬉しい気持ちに気づかないくらい）&br; （記憶と感情に戸惑いきっていたから、いろいろなことにリアクションが薄い）&br; &br; （それに……）&br; （……怒ろうとすると…夢でヴィヴィアンに優しく囁き涙を見せるカテンの顔がちらついて）&br; （それをヴィヴィアンの中で、つまり彼女の視点で見ていたものだから）&br; （………………気まずいことこの上ないのだ）&br; &br; （……あれは自分に向けられたものじゃないって、わかっているのに）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079861.gif &br; &br; （きっと、彼が一番大切に思っている記憶。強く心に刻んだ記憶が流れ込んできたんだろう）&br; （彼が葉巻に火をつけるのと同時に、自分も煙管から煙を吸い込んで、大きく吐く。気持ちのリセット）&br; んーん。薔薇のジャムは食べたばかりだから、そのうちでいいんだ。&br; あんたじゃなくてヴィヴィアンに薔薇のジャムのタルトをもらってね、その時に食べたの。&br; 夢であんたにヴィヴィが作り方を教えてたと言っていたから、聞いてみただけ……そうか、やっぱりあれは記憶。&br; 悪かったね。意識的に見たわけじゃないんだけどさ。&br; （二人が吐き出した煙が窓から逃げていくのを目で追いながら、ゆっくりと話す）&br; &br; ……ヴィヴィアンが、亡くなる所を見た。&br; ……その後あんたが戦い続けた記憶も、断片的に。&br; &br; ……笑ってた。ヴィヴィも、あんたも。}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-19 (土) 07:30:29}; ---&color(blue){懐かしいな、あのときゃお前らもケーキ作っててくれたンだったか。&br; 申し訳なさそうに出してくるマルチナがおかしかったぜ、気にするこたねェってのに。&br; （一年も前でないことを「懐かしい」と言って笑う。それが二人と男との時間の差だ）&br; （そうしてキリルが見たものを聞かされれば、懐かしむような表情はさらに深まり）&br; （おそらくはまさに、あの瞬間を思い起こしているのだろう。視線は遠くへ）&br; ……そうか。それも懐かしいな、昔のこった。&br; （はぁ、と重たいため息。紫煙に込められたものは様々で）&br; だったらあれこれ言う必要は、ねェよな。そうだ、ヴィヴィはオレより先に死ンだ。&br; ま、英霊になったンだから当たり前だけどよ。あいつなりに満足して逝けたらしい。&br; あいつらしいよ。駄々こねたりするでもなく……いや、駄々はこねたンだがな。&br; それはオレがあいつを置いていくことや、自分自身が朽ちていくことにじゃアなく。&br; オレがあいつにかかずらって足を止めちまうかもしれないこと、それ自体にだった。&br; &br; だから、オレは前を向いて歩いてくことにした。それが、ヴィヴィに対する申し訳ってヤツでもある。&br; 勿論、そうやって生きてきた以上、今さらそれを曲げられないってのもあったンだがな。&br; （苦笑。自分自身にさえ融通がきかないくらい、男の生き方は頑固なもの）&br; 前に話したろ？ オレはもともと転生者だった。異世界の地球、ファー・ジ・アースのな。&br; 何度生まれ変わったかわからねェさ。赤ン坊のまま死ンだこともあるし、老人として往生したこともある。&br; 戦士だったこともありゃ、戦わずに死ンで、あるいは平穏に過ごしたこともある。&br; ある時は貴族で、別のときゃア平民だった。法師をやったり、侍、旅芸人、警邏だったこともあったか。&br; 得物だって色々だ。槍、剣、斧、盾、槌、拳、弓、鎌、鞭、鎖……魔術以外はおおよそ。&br; けどな（もう一度紫煙を吐き出して、笑った）嫁に死に逝かれるってのは、あれが初めてだった。&br; 置いてったことは一度だけあったンだけどな。……キツかったよ、中々に。&br; だが、そう、お前が見たとおり、あいつは笑ってた。オレでも泣いちまったのに、笑って、逝った。&br; だったらオレが笑わないわけにもいかねェだろうさ。なにより……。&br; （男の右手が、右目を覆う眼帯に当てられる。黒革を、無機の指先が撫でた）&br; ヴィヴィは遠くへ行ったわけじゃアない。今でもオレの、いや、オレたちのそばにいてくれてる。&br; 多分な。お前が見たそいつは、ヴィヴィが見せてくれたンだろう。&br; アイツは自慢したがりだからなァ……「素敵な夫婦でしょう？」とか、見せつけたかったンだろうよ。&br; だから、ま、アレだ。&br; （出し抜けに身を乗り出し、手を伸ばす。キリルの頭をぽん、と叩き）&br; 気にすンな。見られてどうってアレでもねェ、ましてやマスターならよ。&br; お前らはオレらの家族みてェなモンだ、たとえお前らにとって、オレたちと触れた月日が短くてもな。&br; 悪かったとか言うことじゃねェし、見たなら見たで、そいつを頭の片隅にでも置いといてくれ。&br; どちらにしたってオレは約束を守る、そこは変わらねェんだし……そうだろ？&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-19 (土) 11:03:24}; ---&COLOR(#C41A41){（目の前の男が遠い未来、気が遠くなるほどの未来から来た事を&ruby(夢){二人の記憶};で実感できていたから）&br; （別れ際に渡したものを覚えているなんて思わなかったから、驚いて）&br; （そういえばこの夫婦は二人そろって「そういう人間」だったという事を思い出す）&br; （忘れっぽいのに、他愛のない約束なんかはよく覚えている。そんな二人だった）&br; （もしかしたら薔薇のジャムのレシピをあのタイミングでヴィヴィアンがカテンに教えたのは……）&br; （……妹がおいしいと大喜びだったのをずっと覚えていたからなのかもしれない）&br; &br; （そういう夫婦だった）&br; &br; （カテンが懐かしそうに妻のことを話す）&br; （その隣でヴィヴィアンが寄り添っているような気がした）&br; （ここに来て話している時、いつもそうしていたように）&br; &br; （彼がいないと何も出来ない。わがままなお嬢様。初めはそんな子だと思っていた）&br; （でも親しくなっていくと、ちょっと違う、わがままだけど優しくて…自分が正しいと思ったら曲げない、頑固な子だった）&br; （カテンも同じ。二人とも頑固さはいい勝負。お似合いの夫婦だと呆れながら言うと、彼女はいつも嬉しそうに笑うのだ）&br; （……褒めてないんだけど）&br; &br; （それから、いつか聞いた彼の今までの人生の話と…彼女の最期の時の話）&br; &br; （どきん）&br; &br; （胸が締め付けられる。愛してると涙を流す、彼の顔が鮮明に蘇って）&br; （ヴィヴィアンの顔は見ていない。でも、あの時、彼女の中の自分は笑っていたから……きっと笑って逝ったのだろう）&br; （彼を愛し、愛され、今まで感じたことがないくらいの幸せな気持ちで…）&br; &br; （眼帯をなぞり、彼女を思い出すカテンを見つめる）&br; &br; （……それを見せたのはきっと）&br; （私達がヴィヴィアンはどうしたのかと、いずれ尋ねるだろうから）&br; （自分の死を姉妹に話すという、とても辛い事を彼にさせたくなかったからだろう）&br; （……のろけもかねて）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079876.gif &br; &br; （……それにしたって、あの見せ方は少し考えなしだよヴィヴィアン）&br; （あんな風に誰かに愛されたことのないあたしには残酷だ）&br; （……望んではいけないことを望んでしまったらどうするんだい）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079861.gif &br; &br; （髪に手が触れて、マルチナにするように、自分の頭を撫でる彼）&br; （それを見つめる瞳はどこか……ヴィヴィアンが彼に向けるものと同じ）&br; （頭に触れる手を取り、頬擦りしようとして……）&br; &br; （……くすっと笑って）&br; ''やめた。''&br; ''……あたしは、ヴィヴィアンじゃない。''&br; &br; （笑顔で向ける瞳にはもう、彼女と同じ慕情は宿っていない）&br; （彼の手を放すとキセルの煙を吸い込んで、窓の方へ深く吐く。陽の光が煙を彩り、綺麗だ）&br; &br; ……羨ましいよ。&br; あたしもいつか、あんな風に人を愛して、愛されたいもんだね。&br; （ぽつりとこぼした言葉は、自分でも驚くもの）&br; （続く言葉も、彼女らしからぬもの。でも、本心だった）&br; &br; カテン。&br; ……あたしは、マルチナと同じようにもう謝ったりなんてしない。&br; ただ、''ありがとう''と。そう言わせてもらうよ。&br; ''あんた達が守ろうとした約束に、その心に相応しいよう生きてみせる。''&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079876.gif &br; &br; ''……ほんと、頑固者同士、お似合いだよ。あんた達は。''&br; &br; （視線を戻しそう言うと、煙の向こうの彼の隣で……ヴィヴィアンが嬉しそうに笑った気がした）&br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst080007.jpg &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079861.gif &br; &br; &br; &br; &br; &br; （そして）&br; &br; &COLOR(#0097a2){……先生。&br; （マルチナが椅子を降りて、彼の元へ一歩二歩、勢いよくジャンプして、首に抱きつく）&br; （娘が父親にそうするみたいに、花のような笑顔で髭面に頬擦りをして）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079876.gif &br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020621.jpg &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079861.gif &br; &br; ''私、大好きです。先生も、ヴィヴィアンさんも、姉様と同じくらい…大好き…！！''}; &br;&br;}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-19 (土) 18:32:57}; ---&color(blue){（キリルの言葉に一瞬きょとんとしてから、男は声をあげて笑った）&br; ははは！ ……そりゃそうだ、ヴィヴィは一人だけだよ。&br; お前はお前、キリル・トラフキンだ。マルチナがマルチナ・トラフキンであるようにな。&br; オレもオレだ。カテン・ナイトウェスト、それ以外の何者でもねェ。&br; だからオレらは生きるンだ、たった一人の自分らしくな。そいつだけは、てめえ自身の味方だからよ。&br; （そう言って、羨む言葉には、父親のような笑みを浮かべて言った）&br; 出来るさ。お前がそう望み、そのために歩き続けるなら、必ず。&br; ……ま、その前にもうちと淑やかさを学ばないと無理だがな？ くくくっ。&br; （なんておどけてみせて。すぐに面持ちを戻して、紫煙を吐き出す）&br; ああ。申し訳ねェとか、そこまでしてもらったならとか、そういうのはやめろ。&br; オレは……オレ達は、オレ達がそう願ったから、ここにいるンだ。&br; だから、お前らも願え。お前ら自身の、お前らだけが持つ願いってやつを。&br; そういう生き方が、オレは好きだしよ。頑張ってこうや。&br; &br; （そうしてマルチナがやってきて、頬ずりすると驚いて）&br; オイオイ、ヒゲ生えまくりだっての……たく、ヤンチャなヤツ。&br; （すぐに破顔して頭を撫でてやる。一瞬、その手の甲に誰かの掌が重ねられた気がした）&br; ありがとよマルチナ。オレもお前らと出会えて、良かったと今でも思ってる。&br; 家族みてェなモンだよ。お前もキリルも……。&br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020625.jpg &br; （「そうだろ？ ヴィヴィ」）&br; （この場にいなくて、けれどたしかにいる最愛の人へと、心のなかで言葉をかけた）&br;}; -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-19 (土) 21:42:40}; *懐かしい未来へ [#o4c0f8a3] |BGCOLOR(#000000):COLOR(#ffffff):|BGCOLOR(#000000):COLOR(#ffffff):|c |>|・（自分を抱いて眠る客の肩越しに、月を仰ぐ）&br; （今日は特に寒いせいか月がとてもはっきり綺麗に見えた）&br; （窓の外は凍りつきそうなほどだけれど、娼館の中の自室……名前もまだろくに覚えてない客の腕の中はもう少し暖かい）&br; &COLOR(#C41A41){……こんだけ寒いんなら、雪の一つでも降ればいいのにねぇ。つまらない。};&br; （呟いても、客は目を覚まさない。苦笑して、瞳を閉じる）&br; （あまり客がいる時は眠らないのだけど…………なんだか眠い……）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079984.jpg &br; &br;&br;&br;&br;&br; （……気がつけばベッドの上）&br; （娼館の自室ではない。どこかの家だろうか。木造で古めかしい天井が見えた）&br; （すぐ横にはベランダへいける窓があって、月が見える…さっき自分が見ていた月と同じ……）&br; &br; &br; &COLOR(#800080){……あれ？（自分の手を見る。なんだか違和感がある、自分の声にすら）&br; あたし、私は……。んー？……なんだっけ？なんか夢見ていたのに忘れてしまったのよ。&br; いい夢だったか、悪い夢だったすらわからないわ。なんだか損した気分……。&br; ……ああ、でも未来の貴方に会っていた様な気がするの。&br; &br; （ベッドの隣で椅子に座ってこちらを見ている金髪の男に話しかける。傷だらけで、柄の悪そうな大男）&br; （話す女の微笑みは弱々しく。シーツの上におかれた手は紙のように白い）&br; （喋るのも彼女にとって力がいるのか、時々途切れさせながら言葉を繋ぐ）&br; （……誰が見ても「もう長くはない」、そう思うだろう彼女はそれでも、金色の瞳に強い命の輝きを宿していた）&br; &br; もっと髪がぼさぼさになっててね、傷もいっぱい増えてて…でもとってもかっこよかった。ふふっ。&br; 髪伸ばすのもいいかもしれないね？ワイルドで素敵よ？&br; &br; あ、でも、私がもういないからって……ひげ剃るの不精したら駄目よ、カテン。}; -- &new{2012-05-17 (木) 23:39:06}; &br;・&color(#3366cc){ン。起きたか？ ヴィヴィ。&br;（椅子に座って、無骨な手で花瓶の手入れをしていた男。そばには濡れた手ぬぐいがある）&br;（妻の体を拭くためだ。今、彼女は自分一人で身づくろいにさえままならないほどの状態にあった）&br;（そんな様子に表情を曇らせることもなく、一つ足りないピアス以外は生前のものと何ら変わりない風貌で笑う）&br;あンま長話しないほうがいいぞ、もう夜も遅いからな。大丈夫、どれだけ小さくてもお前の声は聞こえるよ。&br;（椅子に座り直り、顔を近づけ耳元で囁く。紫色の髪を掌が撫でた）&br;未来のオレ……か。は、そりゃもしかすると、アイツらとの約束を果たした後のオレなのかもな。&br;髪ねェ……ならお前くらい伸ばしてみるか？ 鬱陶しくて切っちまうかもな。&br;ハハ……ま、そうだな。オレ、こう見えてもカミソリ負けしやすくてよ。どうしてもメンドいし。&br;ま、覚えとくよ。ほかならぬヴィヴィの頼みだ、大丈夫。心配ないぜ？&br;（囁いて、額に口付けた。……唇から伝わるのは、どうしようもないほどの体温の低さ）&br;（けれど男は表情を曇らせはしない。いつもどおりに笑って、いつもどおりに触れ合う。そういう性格だから）&br;腹でも減ったか？ 果物持ってきてやろうか、たしかこないだもらった林檎がまだ残ってるしよ。}; -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-17 (木) 23:58:49}; &br;・&COLOR(#800080){ふぅ…なんだか今日は冷えるね…カテンの手、あったかい…あいかわらずおっきい手。ふふ。&br; 平気…今日は気分がいいの。カテンが眠くなかったら、お話に付き合って？&br; 夢の貴方を思い出したいの。きっと貴方の言う通りあの子達を助けに行ったカテンだわ。&br; 髪は背中に届くくらいで、一つにしばっててね、痛みきってたけど、それがまた素敵。&br; 無精ひげもあったわ。でも私あれあんまり好きじゃないなーだって頬擦りすると痛いじゃない？&br; どんな魔物にも、神様と呼ばれた存在にさえ負けない貴方が、剃刀には負けちゃうってなんか可愛いから、許したくなっちゃうけど。&br; （髪を撫でる手に頬擦りをして話し続ける）&br; （他愛のない話だけれど、思いつくことは何でも話しておきたかった）&br; （キスだって、もっといっぱいしたい。でも、もう自分は起き上がることができないから、彼にしてもらうだけ）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; （眠ったらきっともう…貴方に会えないだろうから）&br; （その前に沢山、想いを伝えておきたいの）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; 林檎はいいや。おなかいっぱいなの。薔薇のジャムなら少し食べたかったけど…ほら、こないだカテンに教えて作ったやつ。&br; でもあれ昨日使い切っちゃったしね…えへへ、残念。&br; （もう手の力も租借する力も弱くて、上手く食べることができない。恥ずかしいからそうやって避ける）&br; （死の床にあっても夫の前では綺麗でいたかったから……体の世話をしてくれている彼にはわかってしまうだろうけど）&br; &br; （そうやって今までずっといつも通りおたがい振舞ってきた）&br; （彼と旅を続けるために自分を時の止まった存在にと魔術をかけた体が、&br; 次元を超える度にどこかおかしくなっていく事に気づいたのはいつだったか）&br; （隠し通して、けれどついに限界が来て倒れ、そのままその世界にとどまれば彼と永久に一緒にいられた）&br; （でも女はそれを選ばなかった。未来の約束のために、彼は英霊になるためにもっと強くならなくてはいけなかったから）&br; （その足を止めさせるということは、彼に約束を破らせ、古い友人達を死に追いやる事と同じ……）&br; （…………そんな事を、「ヴィヴィアン」が許すわけがなかった）&br; （体が動く限り彼と共に次元を廻り………………そして今、最期の夜。多分、夜明けまでもたない）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; （やぁね、自分が死ぬのってなんとなくわかるって聞いてたけど、ちょっと残酷だわ）&br; （声もうまく出ない。カテンに近づいてもらわなきゃ、届かないなんて…言い訳に悩むわ）&br; &br;&br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; 前はよくベッドの中で夜明けまでお話してたよね？だから今日も夜明けまで付き合って頂戴な。&br; ねえ抱っこして、カテン。今日は寒いわ…雪でも降るのかしらね？さっきまで綺麗だった月が翳り始めてる……。&br; （そう言って、小さな声が不自然にならないように、抱っこをねだる）}; -- [[ヴィヴィ>名簿/473083]] &new{2012-05-18 (金) 01:22:55}; &br;・&color(#3366cc){そうだなァ、もう冬めいてきてるからな。明日からは毛布出しておくか。&br; （温もりを伝えるように、髪を、頬を、額を撫ぜてやる）&br; （そのたびに伝わる。生命そのもの、物質化しづらいものが、失われつつあるのが）&br; （生命の原動力、プラーナを操る自分だからこそわかる。もはやヴィヴィアンという存在は、生きてはいけないのだ）&br; （その時は近づいている。いや、目の前だといっていいだろう。すでにゴールラインを超えている可能性すら）&br; （それでなお、こうしてヴィヴィアンがいることは、ひとえに彼女の心の力故に他ならない）&br; （辛いだろう。苦しいだろう。何度となき死を迎えた自分だからこそ、その気持ちはよく分かる）&br; （……残される側に回ることは、そう多くない。こちらの世界に来てからは、回数も増えたが）&br; （愛する人がいなくなること。それはおそらく、初めてだった）&br; （こうしてその時が迫ってみると、不思議と心が落ち着いているものだ、と男は内心述懐した）&br; （そばにいられるからだろうか。ヴィヴィアンは一秒一秒を懸命に生きて、自分とともにあろうとしている）&br; （それを嘆くことは、ヴィヴィアンの意志を否定することだ。だから、彼女の思うままに付き合うべきだと、判断したのだろう）&br; （他愛もないことをぺちゃくちゃと―――もっとも、現実はぽつりぽつりとだが―――話す妻の姿に、笑みがほころぶ）&br; いい加減頬ずりする癖、直せっての。ワイルドなンだろ？ オレもひげ、伸ばしてみっかな。&br; （未来の話。二人では迎えられない時間の話。今だけ、この瞬間だけ共有できる、ありえない世界の話）&br; （乾いていく唇を潤すように、くちづけて、にこりと笑った）&br; &br; ン……そっか。残しといたほうがよかったなァ、でもアレヴィヴィの手製だけあって、めちゃくちゃ美味くてよ。&br; 今度またやってみるべ。オレもけっこう自炊とかできるからよ？ ほら、お前が居候してた頃は、よくオレが用意してたろ。&br; （強がりとも見えるその思いやりを、「それでいい」とばかりに、話に同調してあげて）&br; （事実どれだけ衰えていたとしても、気高く在ろうとする姿。それそのものが美しい、男はそう感じている）&br; （いつもどおりの会話。姿も変わらず―――もっとも、男の場合は魔術でもなんでもない、いわば魂の力だ―――、声も変わらず）&br; （ヴィヴィアンだけは衰え、ずれ、きしみ……それを教えられたときも、激昂するのではなくただ抱きしめた）&br; （そして、付きあわせた。ただ一度の約束を果たす、それを目指して。いや、ヴィヴィアンがそうあることを選んだ）&br; （男が自らの意思で英霊となることを選んだように。その隣りにいるべき女性もまた、己の意志で死を選んだのだ）&br; （だから否定すべくもなかった。永遠の停滞よりも、たとえ破滅であれ前に進むべき道を、歩く）&br; （たとえ時間を止めたとしても。その姿はまさしく人間で、だからこそ、男にとって愛すべき伴侶足り得た）&br; （……その強がりのツケが、いま来ていた。代償を支払うべく、死神はすぐそこまで迫っている）&br; （追い払うべくもない。もう十分、時間は過ごした。せめてその幕切れは満足たるものであるように）&br; （切なる純なる、けれど傲慢で貪欲で醜く、だからこそ美しい祈りのため、二人は語らっていた）&br; ふ、ったくいつまっでも甘えンぼうだよな……はいはい、わったよ。オレがあっためてやる。&br; （シーツごと妻を抱き上げて、二人くるまるようにして。きゅう、と、せめてその体だけは強く抱きしめた）&br; ……大丈夫、聞こえてるよ。たとえ声が出なくなっても、大丈夫だ。お前が伝えようとしてくれる限り、オレは絶対聞いてやる。&br; 離したりしねェさ。安心しろ、……怖くないぞ、心配するな。……な？&br; （そよそよと。髪をなで、さかんにキスをおくって、労るように。お世辞だとか、取り繕う言葉ではない）&br; （真に思いやるゆえに。心配ないよ、と、幼子に語るように、その言葉はどこまでも純粋で、暖かかった）}; -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-18 (金) 01:44:19}; &br;・&COLOR(#800080){（……明日）&br; （彼ももうわかっているのに、目の前の妻が明日の朝日を見ることはない事を。だけど、明日の話）&br; （それが嬉しくて…………同じくらい悲しかった）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br;&br; （……言ってもいいのに、置いていくなと。泣いたっていいのに）&br; （英霊になる事、それは……貴方をまた終わりのない戦いに独りで向かわせる事）&br; （それを止める事ができたのはきっと私だけだったのに……）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; （約束なんか忘れて、孤児を引き取って幸せに……そんな未来も選択できた）&br; （時を止めたせいか、…それとも夫の子殺しの罪の呪いか、魔女はついに子供を授かることは無く）&br; （二人を自分の子供のように思っていたから余計に、見捨てることを許せなかった）&br; （そして彼と離れて生きることもまた同じくらい嫌だったのだ）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br;&br; （……考えてみたらなんてわがまま）&br; （初めて会った時からずっと、わがままを言ってばかりだったな…どんなわがままも貴方は「嫌だ」とは言わなかった）&br; （駄目と言う事はあっても、感情で、気持ちで拒絶をすることはずっとなかった）&br; （……ああ、一度だけあったな）&br; &br; （「初めて」の夜）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; （唇が触れる。優しく。その時に思い出して、くすっと笑う）&br; ……ふふ、なんだか昔の事思い出しちゃった。頬擦りも恥ずかしかった頃よ。&br; いいじゃない頬擦りくらい。あ、でもお髭ちゃんと伸ばしたらそれはそれで新感触かしら……興味はあるわね。&br; （本気なのか、冗談なのか。そんな事を口にしながら彼に抱きしめてもらう）&br; （不自然に息が切れる。喋りすぎたかな。全然足りないのにな。まだ雑談しかしてないじゃないのにな）&br; （でも、こうやって抱いてもらえば、声も小さくてすむし、寒くなくなる。さっきから小さな震えが止まらないの）&br; 寒いから、私があっためてあげるのよ？お嫁さんゆたんぽなの。&br; （抱き返す腕は弱い、ただ服に指をひっかけてるだけで精一杯だ）&br; &br; （二人がヴィヴィアンの「死」を意識したときからずっと毎日を噛み締めるように生きてきた）&br; （幸せだった。初めてであった時、あの試験の一年みたいに毎日が大切で）&br; （今、愛する人を失う時ですら、彼の優しさに包まれて、私はなんて幸せなんだろう）&br; （望むだけ、キスしてもらって、望むだけ触れてもらって）&br; &br; 怖くないわ、カテンがいるもの…幸せよ、私。こんな、死ぬときまで幸せでいいのかしらね…？&br; &br; （ずっと二人が避けてきた「死」という言葉をその時初めて口にした）&br; &br; もういいの。こんな時まで強くなくても、いいのよ。カテン。&br; この死は、私のわがままなの。約束を破ることも、貴方と離れることも嫌がった私のわがまま。&br; だから…わがままな私を責めたって、いいの。&br; &br; （抱き返していた手を彼の頬へ伸ばす。ゆっくり、ゆっくり……ひんやりとした手が彼の頬に触れた）&br; &br; ……覚えてる？初めての夜の事…こんな寒い日だったよね。&br; 雪のクリスマス…私は今と同じ姿で、貴方の前にいた……。&br; &br; （途切れる言葉も、弱々しい息も、もう隠さない）&br; &br; ……ああ、雪よ。綺麗ねカテン…貴方のいた世界の、白拍子が舞う様ね…。&br; &br; （寄り添って彼と見る窓には雪なんて降っていない。青い月が静かに輝く）&br; （だけど、彼女の目には……窓の外に、真っ白な雪。それは桜にも見えて、眩しそうに瞳を細める）}; -- [[ヴィヴィ>名簿/473083]] &new{2012-05-18 (金) 03:57:52}; &br;・&color(#3366cc){（それは虚栄だろうか）&br; （否である）&br; （それは御為ごかしだろうか）&br; （否である）&br; （たとえヴィヴィアン・ナイトウェストが死したとしても）&br; （たとえその肉体が冷たい屍に変わっても）&br; （妻は）&br; （愛した女性はともにある）&br; （その魂は永遠に自らのそれとともにある（My spirit will go on）と、誓ったから）&br; &br; ……あぁ、オレも思い出してたよ。&br; 懐かしいな……お前がオレのところにいきなり転がりこンできて。&br; イケメンがどうとか、監禁がどうとか言ってよ。&br; 何度けっぽりだしても人の部屋に入りこンで、ベッドにまで潜りこンできて……。&br; で、そうだ。花見行ったりさァ。海ではしゃいだり、色々あったよな。&br; いつのまにか、お前のこと好きになって。&br; お前も、オレのことを信じてくれて。&br; 色々あったけど……全部、楽しかったよ。&br; （抱きしめた。消えそうになった息を、大気ごと腕に繋ぎ止めるように）&br; （足りない。ずっと永遠に。けれどそれは叶わない。その終焉を一秒でも伸ばすように）&br; （ヴィヴィアンの望みはカテンの望みで。それを毎日、いつ終わりが来てもいいように、繋いできた）&br; （それが今、終わろうとしている）&br; （終えてもいいと、妻は言う）&br; （静かに、首を横に振った）&br; &br; わがままなのはオレのほうだよ、ヴィヴィ。&br; お前と一緒に逝ったりもせずに、これから一人で歩ンでいく。&br; 生徒の、そいつの大切なヤツとの約束を守るために、さ。&br; だから、責めるとか、苛むとか、いいンだ。&br; （頬に触れる手に、手を重ねた。笑って、泣きそうになって、結局笑った）&br; 覚えてるに決まってンだろ……クリスマスはいつも波乱万丈だもンな。&br; 大人になって出てきてさ、シンデレラみてェに0時になって魔法切れて……。&br; 嗚呼。&br; そうだ、こうやって、雪が降ってたっけか。&br; オレがオレを超えて、お前を愛するって、誓った時と。&br; 同じだな。&br; （窓を見る。雪は降っていなかった。けれど、見える。見えるとも、そう思って、抱きしめる）&br; なァ、ヴィヴィ。&br; ……ヴィヴィ、なァ……聞こえるか？ ヴィヴィ……。&br; （何度も、名前を呼ぶ）&br; （消えてしまうその瞬間まで、何度も、何度も）&br; &br; （そうしてやがて、くちづけて、撫でて、いたわって、温めて）&br; （抱きしめて）&br; （強く）&br; （強く抱きしめて）&br; （肩を震わせて）&br; （けれど笑って）&br; （言った）&br; &br; …………愛してるぜ、ヴィヴィ。&br; どれだけ時が経っても。&br; どんなことがあっても。&br; おれがどうなったとしても。&br; お前は……お前だけが。&br; おれの、大切な人だ。&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020587.jpg &br; ……ありがとよ。ずっと、一緒にいてくれて。&br; これからも、ずっと一緒にいてくれて。&br; ずっと一緒だ。ずーっと、な……。&br; （こぼれ落ちる涙を隠しもせず、けれど満面に笑って）&br; （最後の口づけを、返した）&br;}; -- [[カテン>名簿/473572#l5c5ff46]] &new{2012-05-18 (金) 04:27:26}; &br;・&COLOR(#800080){（心は遠く、少女だった過去へ）&br; （側にいるだけでどうしょうもなく楽しくて）&br; （好きで、好きになってほしくて一生懸命だったあの頃）&br; &br; 桜舞い散る中で、貴方に抱かれて……そう、夢で貴方に好きと言ったの…。&br; 夏の陽射しの中で、貴方にキスをねだって…花火の中やっとキスしてもらえて。&br; ……ああ、そうよ、あの時貴方に好きだと言ってもらえて、どんなに嬉しかったか。&br; 気が遠くなるほど長い長い人生、人の何倍もの時間を生きてきた貴方の最後の時間を、&br; 貴方は私にくれると言ってくれた……。&br; &br; 風の吹き抜ける川原で、貴方の涙を見たこともあったね…？&br; 私は貴方を抱きしめる事ができる幸せをあの時知ったの……。&br; &br; （……一つずつ、一つずつ、思い出をたどる）&br; （出逢った最初の一年を、二人でもう一度歩いていく）&br; &br; あれから長い時間がたったけれど、カテンの笑顔は変わらないね。&br; 自信あって、かっこよくて…ちょっとだけ、子供っぽいのよ。&br; （もう、上手く手を上げていられない。彼に手を重ねてもらってやっと、頬に触れていられる）&br; （泣きそうな顔で笑う彼の胸元で、自分が贈った青い魔法石が光った）&br; ……これも、クリスマスの時にプレゼントしたものよね…私の世界の、海の魔法石……。&br; 大好きなカテンの瞳の青い色。貴方の炎と同じ色…。&br; （囁きながら、魔法石に口付ける。どうか、どうか、この人を守ってと、想いを込めて）&br; &br; （……そして）&br; （……一年は巡り、桜の季節を迎える）&br; &br; （試験終了、最後の日）&br; （最後の瞬間まで、いつものようになるべく過ごそうとして……そう、今みたいに）&br; &br; ……ふふ、あの時とも同じね。貴方の膝の上で、抱きしめてもらって…他愛の無い話をして……。&br; 私達はいつも、あの一年をたどっていた気がするわ……あの愛しい一年…を……。&br; &br; （言葉が自然に途切れた）&br; &br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079871.gif &br; &br; （……息が上手くできないのに、苦しくも無くて、変ね）&br; （貴方の言葉も聞こえているのに、声が出ないのよ）&br; &br; （人形のように微笑を浮かべながら、彼の声を聞く。夢を見ているような気持ちで）&br; （唇が触れる感覚は、まだ、わかる。……それがとても幸せ）&br; &br; ''（愛してる）''&br; &br; （カテンが囁いた言葉）&br; （ああ、なんて素敵な響きなんだろう……）&br; （まだほんの１５歳の少女が恋焦がれた、たった一言の貴方の言葉）&br; &br; （ぽたぽたと、春の雨のように暖かい涙が、頬に降り注ぐ）&br; &br; （そういえば、試験最後の日も、カテンは泣いてたね）&br; （私が我慢してるって言うのに、泣いちゃって）&br; （駄目な人ね）&br; &br; （やっぱり私が側にいないと駄目なんだわ）&br; （なんて、思ったり……ふふ、思い出すとちょっと恥ずかしい）&br; &br; （大丈夫よ、側にいるわ。私が死んでも、私は貴方を守る）&br; （貴方を愛したあの人と同じように……）&br; &br; &br; ''（だから泣かないで）''&br; ''（幸せなのよ、私）''&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079869.gif &br; &br; &br; （唇が重なって…離れる。もう手を頬に伸ばすこともできない。ただ、彼の涙で濡れた頬に、頬擦りをした）&br; （そして内緒話をするような小さな声で、彼の耳元で囁く）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079985.jpg &br; &br; ''……カテン。私、側でね、待ってる……から。''&br; ''英霊になって、永久に戦いを続けることになっても……''&br; ''貴方がきっと、そこを乗り越え、また私を抱きしめてくれるって……信じてる……''&br; &br; ''私の最後のわがまま…聞いて……いいでしょう？''&br; &br; （耳をくすぐるように、くすっと笑う） &br; （それはあの時、少女が異世界へ帰る時によく似ていて………………）&br; &br; &br; &br; ''愛してるわ………私の…… …''&br; &br; &br; &br; （……青年が、何か返事をする前に……彼女の体から力が抜けた）&br; &br; &br; &br; &br; &br; &br; （眠るように、微笑を浮かべたまま） }; -- [[ヴィヴィ>名簿/473083]] &new{2012-05-18 (金) 06:45:37}; &br;・&color(#3366cc){（そうして、少女は、愛した伴侶は、妻は、息を引き取った）&br; （青く輝く魔法石を、二人の愛の絆たるペンダントを胸に、男は涙を流し続け）&br; （……やがて、一人旅立った）&br; &br; （それから男は、いくつもの世界をめぐり、その都度戦場に現れた）&br; （あるときは流浪の戦士。あるときはひとりきりの軍隊。あるときは謎の槍兵として）&br; （その戦いは語り伝えられたものもあれば、吟遊詩人の一節にさえ現れないものもある）&br; （たとえば"錆びつかせるもの"ムルトゥアとの戦い）&br; （たとえば<魂が消えた都市>での丁々発止）&br; （たとえば「夏の女王」ティアンドラを前とした決闘）&br; （たとえば《光り輝く都市》シラノール・オストを救う冒険）&br; （たとえば……）&br; （………）&br; （……）&br; （…）&br; （男は）&br; &br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020589.jpg &br; （戦って）&br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020590.jpg &br; （戦って）&br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020591.jpg &br; （戦って）&br; &br; （……戦い続けて。）&br; （虐げられるものを背に）&br; （悪逆なるものを前に）&br; （信頼出来る仲間を隣に）&br; （輝く空を頭上に）&br; （変動する大地を足元に）&br; （無数の世界をめぐり）&br; （無窮の戦場を渡り）&br; （無限の敵を倒し）&br; （無敵の友を守り）&br; （戦ってきた）&br; &br; }; | |[[http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020592.jpg]]|&br;&color(#3366cc){（やがて、男を呼ぶ名がいくつも生まれた）&br; （《蒼炎の英雄（スペルスカード）》）&br; （《魔女なき蒼き騎士（イモータル・ブルー・ナイト）》）&br; （《隻眼にして不具の槍兵（ヴィジョナリィ）》）&br; （《因果の糸を担うもの（ストリング・スティング）》）&br; （《決戦存在》、《希望の星》、《永遠の王》、《光の刃》……）&br; （あるものは男を英雄（ヒーロー）と呼んだ）&br; （あるものは男を寄る辺なき放浪者（フォーセイクン）と呼んだ）&br; （あるものは永遠の戦士（エターナル・チャンピオン）と呼んだ）&br; （だが、男は英雄ではない。放浪者だが、その心は常に一つどころから離れない）&br; （男の永遠を保証するものはなく、ただ一秒を生き続ける戦士である）&br; （その旅路の先にあるものは千辛万苦であり、たどった道は精思苦到）&br; （けれど男は歩みを止めない。たとえ己を取り巻くものが天歩艱難であれ、止まらない）&br; （旅路の終焉はすでに約束された場所だから。そこを目指すための歩みを、けして止めはしなかった）&br; （幾多の友が去っていった。数多の仲間が逝った）&br; （いつしか男の名前を覚えている者もいなくなり、人ならざるものへと昇華され）&br; （定命の存在（モータル）をやめ、英霊（イモータル）となってなお、男は歩み続ける）&br; （寂しい？ 寂しいとも）&br; （悲しい？ 悲しいとも）&br; （苦しい？ 苦しいとも）&br; （だが、嗚呼、だからこそ！）&br; （愛する人はともにある。約束は胸にある。自分が自分であるべき理由はそこにある）&br; （だから）&br;};| |>|&color(#3366cc){&br; http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp020593.jpg &br; （男はいつも、笑っていた）&br;}; -- &new{2012-05-18 (金) 06:55:20};| |>|BGCOLOR(#ffffff):COLOR(#000000):900|c |>|http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079986.jpg &br; &br; （空が白み）&br; （夢は終わる）&br; &br; （それは青い月が見せた夢）&br; （呪印を通じて、聖杯が見せた過去）&br; &br; &br; （客の男の腕の中で、目を覚ます）&br; （カーテンが開けっ放しだったせいで朝日がまぶしい）&br; （なぜか驚いた顔をしている男に首をかしげる……明るい所で見たら好みじゃなかったとか？そんな事を思って）&br; （けれど怖い夢でも見たのかと聞かれて、頭を撫でられた）&br; &COLOR(#C41A41){…ちょっと何？！…子供じゃないんだから私…… あ、れ……};&br; &br; （……そこで初めて気づく）&br; &br; （……自分の頬を伝っている涙に）&br; &br; &br; （気づいたら涙はもっと溢れてきて、止まらなくなって）&br; （名前もわからない男の腕の中で泣きじゃくるしかなかった）&br; &br; &br; （ヴィヴィアンの最期の言葉が耳から離れない）&br; &br; （……伝え切れなかった、最期の言葉）&br; （あたしは知ってる。なんて言おうとしたのか、知っている……）&br; &br; （彼女の中で、見ていたのだから）&br; &br; &br; &br; &br; &COLOR(#800080){''「愛してるわ………私のカテン」''&br; ''「一緒に行きましょう。約束の…懐かしい未来へ………」''};&br; &br; &br; &br; （……そうして、時は廻る。約束の&ruby(未来){過去};へと） -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-18 (金) 08:04:35};| *ケレースとマールス [#te8b30dc] -http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''某日・スラム街の路地'' --&COLOR(#0097a2){（スラム街の入り口のあたり、赤い花の小さな鉢植えを抱いて白いエプロンドレスの少女が歩いている）&br; （薄暗い路地で歩くその姿は誰かに襲ってくださいと言わんばかりの無防備さ）&br; （少女もそれがわかっているのかいないのか、今にも泣きそうな顔で同じ場所をうろうろと歩いていた）&br; ……こ、困りましたね…「春吉」の店長さんの住んでる場所、この辺だと思ったのですが……。&br; 先生についてきてもらえばよかった……ここ、どこでしょうね……？}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-15 (火) 23:18:25}; ---(そうしてマルチナが怯えながら歩み…再び同じ所を歩もうと振り向こうとした瞬間にその肩を叩く手)&br;(音も無く忍び寄り…肩を叩いたそれは女の細指であり屈強な男に触れられるものとはまた別種の驚きをマルチナに与えるかも知れない)&br;(直後に声、その声は静かな物ではあるが…大人が子供に向ける物特有の優しい声だ)&br;どうかしたかしらお嬢さん、迷子？それともお母さんとはぐれて？&br;(そう言いつつも服装を見て判断する、衣服から見てこの辺りには似つかわしくないが…マフィアか娼館の子だろうか？)&br;(怯えさせないよう背を屈めて優しい笑みを見せる、演技ではなく素のもので) -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-15 (火) 23:42:46}; ---&COLOR(#0097a2){（姉に交代しようか。この辺の地理なら彼女の方が詳しいはず）&br; （そんな事を考えていると…白い手が肩に触れた。そして彼女が喋り終わる前に）&br; ''姉様…？！''（思わずそう口にして振り向く。自分と同化している姉に会えるはずがないというのに）&br; あ……す、すみません、人違いなのです…（優しい声の主は姉と全く似ていない綺麗な金髪。ガッカリした様子で呟く）&br; （どこか見覚えがある人。思い出せないけど。優しそうな人だ。姉様が冒険者の時に出会った人だろうか）&br; （……ここはスラム。優しい顔の人攫いは一杯いる。じっと見つめながらしばらく無言）&br; （けれど、その笑顔があんまり優しそうだったから、大丈夫かなって話をしてみることにする）&br; ……人を探していたのです。花の鉢植えをもらったのだけど…葉っぱが枯れてきてしまって。&br; もらった人にどうしたらいいか聞こうと思ったんですが…みつからなくて。&br; （そう言いながら鉢植えを持ち直す右手の甲には……&COLOR(red){''赤い呪印''};）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-15 (火) 23:59:52}; ---(姉、と呼ばれた後にガッカリされれば笑みのまま申し訳無さそうに眉を八の字に曲げて)&br;貴女のお姉さんでなくてごめんなさいね？(そう返しながら顔を見詰められれば僅かに首を傾げて)&br;(恐らくは自分を警戒しているのだろう、スラムでなら当然の反応だ…だからこそ元々此処に住んでいる子なのだろうと察して)&br;(無言の後に逃げられず語りかけられればその信頼に嬉しそうに微笑んだ)&br;そうだったの…でも子供一人でこんな所に来るだなんて駄目よ？&br;今度は大人の人達と、大丈夫…花って結構強いのよ(そう微笑みのまま告げれば表通りに出れば帰れるかしら…などと呟き)&br;(送り届けようと視線を外そうとした瞬間に目にした赤い呪印、そう…あまりに特徴的な)&br;(酷く顔が引き攣る、他のマスターを相手ならばこのまま振り向かせて後ろから撃つ事も出来ただろう)&br;(だが相手はあまりに幼い子供、それも純粋そうな…)あ…なたは…&br;(脇へと下げたホルスターに手を伸ばそうとする、しかしそれは動揺と葛藤によりあまりに遅い、それは不穏な空気として少女に伝わる事だろう)&br;&br;''貴女は…！'' -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-16 (水) 00:23:26}; ---&COLOR(#0097a2){（声も顔立ちも、姉とは似ていない。喋り方だって違う）&br; （でも……少女は彼女を姉に似ていると思った）&br; （子供を、自分をとても優しく扱う大人はいつもこんな風に笑うから）&br; ごめんなさい。知っている人のお家だから、迷うとは思ってなくて。&br; お姉さんはお花の事詳しいんですか？&br; （鉢植えの花は周りの葉は枯れてきてはいるけれど、中央からは新しい葉が伸び始めていて）&br; （生え変わっているだけ。少女はまだ気がついていないけれど……）&br; ……こんな小さいのに、大丈夫なんでしょうか。花はすごいですね！&br; （素直に信じて安心しきった笑顔を向ける）&br; &br; （この人についてきてもらって……そう思ったのに、彼女の顔は強張ったものとなり）&br; （……そこでようやく気づいた）&br; &br; （綺麗な金色の髪。姉様とは少し違う青い瞳……微笑んだ、顔）&br; （……どこかで見たことがあるはずだ）&br; &br; （そうだ、この人は）&br; &br; （アサシンが持っていた………………''首''の……）&br; &br; （''ガシャン！！''）&br; （鉢植えが地面に落ちた。少女は後ずさり、足元の瓦礫に躓いてそのままぺたんと座り込んでしまった）&br; ……せ、''先生っ！！先生…！！！！！！！！！！！！！！''&br; （瞳は恐怖に染まり、女を見つめながら叫ぶ）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-16 (水) 00:41:36}; ---&color(blue){やれやれ……ここにいたか。&br;（頭上から声。次いで、事も無げに建物の屋上から飛び降り、二人の間に着地する巨漢）&br;よっ、と。迷子になったマルチナ探してたら、おやまァ、意外な相手に出会ったモンだ。え？ 一瞥以来だな。&br;（狂乱するマスターと対称的に、飄々と女を認めたランサー。葉巻に火をつけ、黒い外套を翻す）&br;その様子だと、何も襲撃に来た、ってわけではなさそうだが……ま、保護に来た、ってわけでもねェよな。&br;闘う気がないなら、背中向けてあっちに走れ。そうでないなら……。&br;（顎でしゃくる）喚べよ、手前ェのサーヴァントを。アーチャーのクラスをいただくもの、そのはずだろ？}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-16 (水) 00:48:09}; ---(気付かなかった、気付けなかった、当然だ…僅かにでも目にした女はこんな少女ではなかった)&br;(鉢植えが落ちれば…その音は更に女の顔を深く悲しみに歪めて)&br;何故…何故貴女の様な子供が…こんな…(だがその顔もランサーの登場で一瞬で変わる)&br;(驚愕から険しい戦う者の顔になり…即座に冷たい表情へと変わり)偶然よ、ただの偶然………でも千載一遇でもあるわね&br;ありがとう…紳士的な人は嫌いじゃないわ(ニコリと微笑む、あまりに仮面染みた笑顔を、そして息を吸い込めば…)&br;&br;&size(20){''アーーーーーーチャーーーーー！！！''};&br;&br;(後悔をかなぐり捨てるかのような絶叫、それと共に銃を抜き取って)&br;&br;相手はランサー！そして子供のマスターよ！(既に敵の情報を躊躇う事無く叫んだ) -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-16 (水) 01:03:44}; ---（呼ばれれば、呼び出したものの焦燥を消すかのような光が隣に向けて放射され）&br;（その中から徐々に現出した奇跡が形を露にしていく、その者。英霊、弓騎士アーチャー）&br;これでほぼ全員のサーヴァントとであったことになるか。しかし呼び出すならもう少し場所を考えてほしいなマスター&br;これでは相手の土俵に呼び出されたも同じだが…？&br;それに子供も大人も戦場では関係ない。一度武器を手にしたら二度と抜けることはできない、戦争とは皆等しく地獄に落ちる世界だ。&br;(戦術性にかけた呼び出し。状況が状況でもあるがエリーゼの動揺もまた汲み取り。半ば抗議染みた言葉が口からでる。しかし、その言葉は状況把握の一句）&br;（ようはここでランサーと戦うには不利だぞ、と。マスターに、ここにいるものらランサーのマスターと彼自身にも告げていた） -- [[アーチャー>名簿/480578]] &new{2012-05-16 (水) 01:22:26}; ---&COLOR(#0097a2){せんせ…っ（立ち上がり、現れた男の外套に隠れるようにしてしがみつく）&br; （彼女の悲しそうな顔、演技じゃない。姉様みたいな人がマスターにもいるんだ）&br; （怯えと言うよりは戸惑った表情で、エリーゼを影から見つめた）&br; （あの時と同じ……首が浮かべた笑みと同じ表情）&br; （そしてついさっき……自分に向けられていた優しい笑顔。そのどちらが彼女の本当の顔なのか）&br; （現れたアーチャーと彼女を見て、カテンを見上げる）&br; ……先生（戦うかどうか、迷っている、そんな顔。子供相手でもなく大人相手だというのに）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-16 (水) 01:33:48}; ---&color(blue){（外套に隠れるマルチナをかばうように立つ。それは明らかに敵を意識した動きだ）&br;（姿が瞬時に変わる。蒼を貴重としたコートに鎧防具、肌を覆う黒いインナースーツには無数の疵）&br;（右手には巨大なハルバード。得物としても防具としても機能しうるそれを両手で腰だめに構え、笑う）&br;戦略眼は確かみてェだな。ついでに言や冷静だ、やりづれェ相手だぜ。&br;（正々堂々とした状況。それはつまり、ランサーが得意とするフィールドにエリーゼとアーチャーを誘い出した、ということだ）&br;（相手に余裕を与えるように見せ、実際はその精神性も含め優位を得ている。地の利が戦いを最も左右する、とは生前からの男の鉄則である）&br;さァどうする戦争屋（マーセナリー）。ここでやり合うか、それとも撤退するか……ま、喚びだした以上は決まってるがよ。&br;（マルチナの迷いはさておき、すでに敵は得物を手に取り、サーヴァントを喚びだした。自衛ではない、相手はこちらを敵と認識したのだ。その仮面の下はさておき）&br;シッ！（ゆえに待ったなし。石畳を踏み砕きながらの突進で間合いを詰め、アーチャーの顎下・胸部中央・臍下めがけ神速の三連刺突を繰り出す）}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-16 (水) 21:15:35}; ---分かっているわ…分かっているわよアーチャー(表情は既に普段通り、だがアーチャーからすればその冷静さは明らかに目減りしていて)&br;この場は一旦引くべきだった、もっと効率的な方法はあったわ…(深呼吸をするかのように言葉を紡ぎ自分を落ち着かせようとする)&br;(しかしマルチナが見詰めれば心がざわつきエリーゼから冷静な思考を奪おうとする、相手の背景を考えようとしてしまう)&br;(こんな子供が何故望むのか、相手を気遣ってしまうような子がと)&br;(故に、女は思考を放棄した…願いは自分にもあるのだ、最低でも6人の、最大で12人もの絶望を生み出すと決めたのだ)&br;アーチャー…指示を、今の私の思考ではこの戦場では足手纏いになると判断します…&br;(そう、ランサーの言う通りアーチャーは至ってクレバーだ…そう在るから、それこそがアーチャーという英霊そのものだから)&br;(そう告げると眼は一段と昏いものとなり銃をランサーとマルチナを線上に捉えた) -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-16 (水) 21:40:32}; ---（虚空に金髪が、マガジンポーチが３つ、ニーパッドがひとつ…落ちた）&br;(半身捻り、ランサーの攻撃をかわす。 かわした。だがそんな一言で済むような容易な結果から想像しうる短絡的な過程予測ではない）&br;（石畳を踏み砕き、一撃が致死の神速の突き、砲撃。喰らえば対空砲で撃たれるようなものであろう）&br;（ボディアーマーすら紙切れに等しくなる死の宣告が三連。だがなぎ払い、すなわち斬撃で来ないことは導きだせた）&br;(なぜなら。このランサーという男は…いや、ランサーとマスター・マルチナという少女の関係は姫と騎士の如く）&br;(ランサーにとって有利な条件で守り迎撃できるシチュエーション…故に。故に攻撃といえど『マルチナを背に守ることを基軸に考えられた戦い方』となるのだ）&br;(ランサーが薙ぎの斬撃を行えばそれを迎え撃つ私が取る行動の影響がその背にいるマスター・マルチナに危険を及ぼすか否か…）&br;（つまりどうあってもランサーが盾になる、ランサーとそのランサーの攻撃が盾にならなければいけない戦法なのだろう）&br;（最もそれは、私がどいう戦いをしてくるかわからない初手のみであって。次以降はまた変わってくるだろう。臨機応変に対処できる柔軟さも持ち合わせている空気を纏っているのだ、このランサーという男は）&br;（そしておそらくこのランサーという男にとって。マルチナというマスターは戦いの枷でもあり、戦いの根幹なのだろう）&br;（そういう手合いにとってマスターを狙い、枷を存分に利用する戦い方は実に有利に事が運ぶ）&br;（だがしかし。このアーチャーは知っている。そういう枷が。背に守る者がある人間こそ何者よりも強くなる力を持っていることも…であるから）&br;マスター・エリーゼ。銃を仕舞い、そこの少女と茶でも飲んでいるといい。（手に現れた短く銃身を切り詰めた7.62mmバトルライフル…金属フレームが鈍く光るM14EBRを手に主を促す）&br;（この初手以降、ランサーがどういう手を取ってくるかもわからないが。マルチナを背に戦い続けられるような相手になにかしらのきっかけを与える可能性を孕みつつ戦うというのは不確定な危険要素が多い）&br;(故の、リスクコントロール。マルチナを遠ざけることが。ある種の蓋になるだろうと）&br;(その判断はエリーゼにとって子供に銃を向けなくて済む…免罪符になったかもしれない）&br;（標準的なアサルトライフルよりも口径の大きい火薬の光がスラム街に明滅する。あれが伝説の、英雄の槍ならこちらは現代の戦槍。バトルライフルで迎え撃つ）&br;(槍と立ち向かう場合、相手の体のどこを狙えばいいか。否、槍を狙うのが最適だろう）&br;（この重戦車のごときランサーを小突いても勝機は少ない。この槍を狙い、叩き小突きつつ…勝機をうかがうのが定石）&br;（しかしその定石がいつまでも通じる相手ではないことは、射撃主も理解していた） -- [[アーチャー>名簿/480578]] &new{2012-05-16 (水) 23:04:34}; ---&color(blue){（回避。最小かつ最良の動作運動、その動きから槍兵は軍隊格闘術の片鱗を読み取った）&br; （無論、その装備からして近代装備を駆使することは容易に理解し得たが。問題はその技量だ）&br; （槍の長所はリーチ、加えて刺突だけでなく、剣と同様になぎ払う、あるいは振り上げ/下ろす線の攻撃である）&br; （この閉所においてその二択、読み違えることは致命的な隙につながる。だが目の前の弓兵たる男は、それをあっさりと導き出した）&br; （それはすなわち、この「戦場」を構成する要因を即座に把握、理解し、分析、また計測したということ）&br; （先の言葉は嘘ではない。男は老若男女、行きとし生けるものが等しく殺しあう地獄で生き、そして今そこにいる戦士なのだ）&br; （飛び上がり、ないし伏せを要求するなぎ払いの攻撃は、生まれた隙を考慮してもマルチナへの危険度を増すのみ）&br; （ゆえに相手と自分の関係性を崩すことなく攻撃できる刺突に絞られたことが、こうもあっさりと予測された）&br; （「やりづらい相手」。自分自身が放ったその言葉を、心中で反芻する）&br; （この男はやりづらい相手だ。特に自分のような、戦場で培った経験を糧として闘うものには）&br; （戦術とは定石の奇跡的なまでの重ねあいだ。無限に存在する「方程式」のなかから、互いに敵の虚を突くものを選択しあう）&br; （ゆえに。その戦い方には必ずある程度の法則性が生まれる。それをもっとも破れるのは、定石を知らぬビギナーの思いつき）&br; （あるいは機転を知るベテランのそれだけだ。いかな玄人とて、同じ熟練者を欺く機転を意図的に生み出すことは難しい）&br; （さらに厄介なことは、ランサーのような人間が、背後に人間を守る状態で行う戦いにおいて、規格外の力を引き出すことを理解していること）&br; （ある意味非科学的、非常識的とさえいえるその要因さえも、戦術に組み込み、こうして破綻のない行動ができるのは、まさに英霊）&br; （敵は英雄だ。幾万もの部隊を動かし、一発の弾丸を以て戦争を終え得る英雄。生きるために殺すもの）&br; （人類のエゴイズムから生み出されたはずの戦争という概念において、生物的本能たる競争を見出す矛盾の輩）&br; （アーチャーの出し抜けの言葉でそれを完全に認識する。敵は、余計な外因を方程式から取り除くことで答えを狭めた）&br; （それはこちらの手を狭めるに等しい行為。マルチナという存在が消えたことで、計算不可能な答えが導き出される確率は致命的に減る）&br; （不確定要素の排除は戦闘においてもっとも重要な行為である。それをこの状況で、事も無げにやってのける……）&br; ……マルチナ、行け。手前ェがいなけりゃ、こっちも存分に戦える。&br; （はたしてそれはエリーゼに対する憐憫もあったのか。あえて敵の術中に乗り、背後のマスターに撤退を促す）&br; （これで状況はイーブンだ。敵を引き込み、地の利を得たはずの戦闘を、完全に五分五分に戻された）&br; （「腹の見えねェ男だぜ」 喉奥でそう呻くとともに、男が構えた自動小銃に致死的危険を感知する）&br; （スプリングフィールドM14。優秀ながらも完全とは言いがたい性能を持つM1ガーランドの後継機として開発された、死の刃）&br; （そのさらなる軍隊用発展系がEBR、すなわちEnhanced Battle Rifleだ。平たく言えば、より殺戮に特化した道具ということ）&br; （セミオートマチックによって放たれる7.62mm弾頭はまさしく死の戦槍。陣形を組んで襲い来るファランクスの突撃行動にも似る）&br; （しかも狙いは得物である槍だ。小回りの効く自動小銃と異なり、破壊力を得るために重量を増したハルバードは離れれば回収が難しい）&br; チッ！（ぐるん、と全鉄製のハルバードを回転させ、銃弾を弾く。NATO弾のけして軽くはない衝撃が、義肢をきしませる）&br; （攻め込めない。だがこのまま防ぎ続ければ、いずれ槍を弾かれ、あるいは防御の隙を突かれて槍衾となるのが最期だろう）&br; （だがそれは定石だ。手堅い必勝策である以上、対応策もまた同様に存在する）&br; （「ギン、キキン！」セミオート連射の間隙を縫い、半歩後ろに退いて深く構えた）&br; おォらッ！！（そして渾身の力を以てハルバードを下から上に振り上げる！ 石畳を抉るように戦斧が刻み込まれ、瓦礫ごと弾丸をなぎ払う）&br; （そして石の飛礫を弾幕とし、一歩踏み込んだ男が、振り上げた斧をアーチャーの頭蓋めがけて思い切り振り下ろした！）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-16 (水) 23:41:19}; ---&COLOR(#0097a2){（恐怖でちゃんと考えられなかったけれど、彼女は多分自分の事を知らなかったのだと思う。あの時生首を見たのは姉だ）&br; （だから迷子の子供に手を差し伸べたあの優しい笑顔は……きっと、本当）&br; …せんせ……（地面を削る槍の音にその小さな声はかき消される）&br; （止めてどうするのか。遅かれ早かれ敵なら戦わなくてはいけない…ならば黙るしかないのだ）&br; （邪魔をするのは、足手まといになるのは、嫌だ。これは私の戦いなのだ）&br; &br; （エリーゼの瞳が昏く染まるのと同じく、戸惑いを見せていた少女の瞳は強い意志に輝く）&br; &br; （…………そして戦いがはじまった）&br; &br; ''はいっ！！……先生！約束です！！堂々とした勝利を！！''&br; &br; （カテンの声にそう応えて、路地の向こうに身を隠そうと走りだす。この場で突っ立っているだけならいい的なだけだ…！）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-16 (水) 23:45:31}; ---(撃つ、撃ち殺す、モノに変えてしまう…その冥いコールタールの様な粘度の高い思考で少しでも揺らぐ心を抑えようとする)&br;(何時でも引き金は引けると自分に言い聞かせ…その重い指を少しでも軽くすべく決意をした直後のアーチャーの言葉)&br;(一瞬意図が読めなくなる、何故？と…思考を放棄した結果の僅かな停滞)&br;(しかしその僅かな言葉だけで銃が随分と軽くなったように感じる、しかしそれでもと僅かに考えこんだ瞬間)&br;(英霊同士の凡人からは予測出来ない高度な方程式を理解すべく考えた瞬間…既に幼い少女は走り出していた、その戸惑いが少女が完全に廃墟に隠れるだけの時間を与えてしまった)&br;&br;アーチャー………(こちらは少女の様には叫べない、既にそんな純粋さは既に捨ててしまっている)&br;(だからこそ告げる)私の願いはどうあっても変わらない、…どんな犠牲を払っても…任せたわよ&br;&br;(銃を仕舞いこちらも走りだす、せめてこの戦局を有利にすべく…若しくは…少女を更にこの戦場から遠ざけるべく) -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-17 (木) 00:03:10}; ---（戦況が拮抗。あるいは停滞した場合。相手は必ず打破する手を打って来る）&br;（例えば。一箇所に銃座を置き。掃射し制圧していれば、ロケット砲や炸薬で諸共に吹っ飛ばすとか）&br;（近接武器の使い手に距離のある場所から銃撃を加えていれば、必ず距離を詰めようとしてくる）&br;（これらもまた、戦場の定石。そういう手を打って来ることは相手も承知でいかに取らせないか。取られた場合いかに対処するべきか現場で導かなければならない）&br;(例えばこの攻防も。現代の戦槍。個人がもつファランクスの兵隊たち…M14EBR エンハンスド・バトルライフルによる突きの連続にも射抜かれるべき弱点はある）&br;（それは弾。銃全てが持つ特徴でもあり弱点でもある）&br;（Ｍ１４はそのＮＡＴＯ7.62mmの口径ゆえに装弾数20発とされている）&br;(手に持つものもまた同じ。故に弾切れを起こさせないように戦術的に弾を補給…素早いマガジン交換。タクティカルリロードが必要となる）&br;（これはまだ発射する前の弾を残したまま現在のマガジンを落とし、全て装弾されたマガジンを挿入することで極力隙をなくすことだ）&br;（15から18発撃ったところでマガジンをポーチから引き抜き、トリガー前方のマガジンリリースレバーをマガジンで叩き、挿入されていたマガジンを落としながらの挿入）&br;（その時間、実に三秒に満たず。何度も繰り返してきたその行為、目を瞑ってでも可能な戦術射撃がランサーを押さえ込んで『いた』）&br;（そう、これもまた定石の打ち合いの如く。押さえれば当然。ランサーは状況を打破しに掛かる。事実…このリロードにかかるたった3秒にも満たない時間を。感じ始めている気配がある）&br;（それは表情、いや体の動きか。とかく首筋に喰らいつかんとする忠犬のごとく…機会を伺う目の力がある）&br;（そしてその瞬間は訪れた。マガジンリリースレバーをマガジンで叩こうとしたとき。いやマガジンをポーチから抜いたその瞬間。なんたる読みか）&br;（絶妙なタイミングでこのランサーは地面に戦槍を突き刺し、振り上げ剥がしにかかり。飛礫の散弾砲撃を打ち込んできた）&br;(戦場にて。流れた砲弾が地面を抉ったときに生まれ飛び散ぶ砂、石つぶては散弾である。その砲弾から生まれた質量エネルギーがそのまま加わり弾けるのだ）&br;（このランサーが産み出したものを同じ。当たれば人間の肉を削げ打ち抜き、かつ避けれるような点ではなく面の攻撃が迫ってくる）&br;（だがそれも、状況の打破の一手の1つ。いやその先こそランサーの目的はある。距離を詰めること、即ち相手の手を封じつつ確実に槍で殺せる距離まで進むのが狙い）&br;（それもまた、定石なのだ。Ｍ１４にマガジンが挿入されることはなかった。なぜならその手から落ち、既に別のものが握られているから）&br;（飛び散る瓦礫を亀裂を描きながらも弾き、防ぐもの。ポリカーボネイト製ライオットシールドがそこにはあった）&br;（さらに。防ぐだけではなく石畳を蹴りランサーに向かう一手。距離を詰めて来ると解っていれば、下がる選択肢がある。しかし、それでもさらに踏み込む一手を持ち。盾ごと貫かれてしまう）&br;(必要なのは…槍の効果範囲の内側。叩き割らんと振り上げられた斧より下の、柄のところからがその振り上げた一手を止める手段となる）&br;(ひび割れ雪の結晶のように見える透明なライオットシールドが戦槍の振り上げを何とか押し防ぐと、刹那、右手に現れた45口径の自動拳銃が…）&br;（ランサーの顔目掛けて鋼鉄の弾頭を炎の共に吐き出した） -- [[アーチャー>名簿/480578]] &new{2012-05-17 (木) 00:37:56}; ---&color(blue){（戦術のぶつかり合いはすなわち破壊の繰り返しである。敵の策を壊し、敵の状況を破壊し、新たに己の状況を敷く）&br; （いわば法則（ロウ）のぶつかり合いだ。互いの戦術的可能性（ポジビリティ）が嵐のようにせめぎ合う）&br; （論理的戦闘の果てに物理的闘争が存在する。ことその戦いにおいて勝敗を左右するものは経験でもひらめきでもなく）&br; （敵を己が得意とするフィールドに誘い込み、圧壊する詰将棋のようなもの。一挙一動で敵の可能性を破壊していくのだ）&br; （銃器という近代火器が持ち得る致命的弱点―――すなわち装填の隙を男は見逃さない）&br; （なぜならば、アーチャー同様、生前は異世界よりやってきた存在であり、その異世界でもまた銃器は一般的だった）&br; （相手にしたことも一度きりではない。ここにきて、互いの前提条件は再び振り出しに戻されたのだ）&br; （いかに短縮化したとしてもそこには隙が生まれる。それを食らうようにして斧が振り上げられ、降ろされた）&br; （防具がなければ間違い無く致命傷。防具があったとしても、生半可なものであればまず致命傷は避け得ない）&br; （全力だからだ。105kgの全体重をAクラスの筋力でブーストし、さらにサーヴァントとしての魔力も込められた一撃）&br; （敵が人外のものであれば宝具たる《浄火の蒼炎》を惜しげもなく発動したところだが、今回は効果が望めない）&br; （サーヴァントは人外の存在だ。だがこの男は、限りなく戦争機械でありながら、人間として判断をしている）&br; （先のマルチナを逃がす選択がまさにそれだ。敵は、人間の可能性を知り、それを利用するすべも心得ているのだから）&br; （だから敵のリロードを先読みして攻撃を放った今でも、この男を一撃で両断できるつもりはランサーにはなかった）&br; （予測通り。なんらかの魔術的方法により喚び出されたライオットシールド、現代日本においても機動隊が用いる防具にして武器）&br; （熱可塑性プラスチックによって銃弾さえも防ぎうる強固さを有するそれは、おそらくはサーヴァントの力により魔力的に保護されている）&br; ぬ……おォッ！！&br; （同様に魔力強化され、しかも高ランクの筋力を以て叩きつけられた斧をして、叩き割れない）&br; （恐るべき衝撃。上方からの押し潰すようなそれを受けながら、傭兵は一歩踏み込む。力強く、敵の裡へ向かうように）&br; （二撃目を放てば、おそらく叩き割れる自信はある。だがその時にはすでに、次の盾を用意されているか、別の策を弄されるか）&br; （そしていま可能性はぶつかりあった。可能性嵐（ポジビリティ・ストーム）が両者の論理空間に吹きすさぶ）&br; （その隙を制したのはアーチャー！ 45口径大型拳銃の死の顎が、黒々とした砲塔を頭蓋に向ける）&br; （頭蓋狙いに同様の方法で返す皮肉。だがそれは、単なるアイロニー以上に相手の戦闘意欲をそぎ落とす最善の一手）&br; （BLAM!! 致死的マズルフラッシュを以て弾丸が放たれる。強化された感覚はそれをスローモーションのように知覚する）&br; （回避？ 不可能だ。敏捷性に富むアサシンならまだしも、ランサーのそれは平均を上回る程度）&br; （この近距離で放たれた大口径拳銃の弾丸を避け得るほどのものはない。もはやこれまでか……そう思われた時！）&br; （「ギィン！！」 頭蓋を粉砕したとは思えぬ甲高い音。原因は左腕だ。斧から離された義肢で銃弾を防御したのだ）&br; （無論、ライオットシールドと異なり、防弾性に富む魔道具ではない。関節系がきしみ、動作性を低下させた）&br; こ、なくそがッ！！（だがそれでいい。精密な動きなどもとから期待していない、とばかりに左の義肢を握りしめ）&br; （拮抗状態にあるハルバードの柄を強く殴りつける。ビシビシビシ！ ライオットシールドのヒビがさらに深まる）&br; （さらにもう一打！ 破砕したライオットシールドからハルバードを引き抜くと、手首の回転を以て石突と穂先を反転させ）&br; （接近状態を解除すべく、アーチャーの腹部めがけて石突の一打を繰り出す。後退したなら、さらに踏み込んで柄で殴りつける腹づもりだ）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-17 (木) 01:02:24}; ---（相手が自分の思う価値観を持っていると思い込むのは外交においても、人との付き合いにおいても愚者としか言いようがない思考である）&br;(人は何種類かのタイプに分類できる。という考えもそうである。戦術、戦闘において相手を夢想し戦いの手を読むには直に合間見えることが何より重要だ）&br;（それはまた、経験に基づき構築され、また新たな経験となる）&br;(今、目の前にいるランサーという英霊…生前にどういう人間だったか、名前は…などはわからない）&br;（しかし登場から今までを見て解ることがいくつかある。大まかなイメージでは現場の指揮官として非常に有能であろう機転と、性格を持ち合わせている）&br;（先のマルチナという…マスター、少女を背にしていたのもそうだ）&br;(決して規範、模範的な人間ではないが情やそれらに近いものを芯としており老若男女問わず人が惹かれる要素を持つ人間だったろう）&br;(戦士として評価するならば、正道の者。戦って気持ちのいい相手といえる）&br;(事実、今このボディアーマーを穿ち、変形すらさせつつ打ち抜いたその石突も）&br;（人間として、戦士としての技量のみで戦っているのである）&br;(砕け散ったポリカーボネイトの破片を浴びつつ石畳を転がり起き上がるも言い様のない吐き気が襲う。実体化しても食事はしないのだが…出たものは赤）&br;（内蔵を完全にやられたのか血を吐きながら…役目を終えたボディアーマーを脱ぎ捨てる。紐を引けばすぐさま脱げるものは、こういうとき便利だが）&br;(思えば45口径を弾いたあの義手も。人間として戦い続けた結果なのだろうか。）&br;（だとすれば。たとえ死に英霊となってもこのランサーという男は、人間であったころのまま…その信念、流儀、生き方を変えることなく今もここにある）&br;（かつての教え子、リルカ＝バントラインと同じく…正道を生き、己の命ずるままに良しとし有り生きる者なのだ）&br;（そしてそれを強さにできる、いやそれが強さである者たちなのだ）&br;（将棋を、チェスを打っている最中に詩文を書くような感覚を拭い、また相対する槍騎士に向き…相手が今まで打って来た手を思い出すと…つい言葉漏れた）&br; &br;強いな&br; &br;（何が、とは言わなかったが） -- [[アーチャー>名簿/480578]] &new{2012-05-17 (木) 01:41:30}; ---&color(blue){（敵を知り己を知れば百戦危うからず、という言葉がある。彼を知らずして闘うは一勝一負なり、とも）&br; （すなわち己がいかなるものかを知り、敵の成り立ちを知れば、必然的に戦略というものは読めるし、編み出せる）&br; （イメージトレーニングが近代の基礎体力作りにおいて有効とされるように、そうした頭脳的闘争もまた駆け引きの条件）&br; （無限の輪廻を生き、ただ一人の仇敵を追い、それによって操られた……あるいは魅入られた敵と無数に戦ってきた男）&br; （そのランサーをして、アーチャーという英霊は特異だった）&br; （英雄である）&br; （ありとあらゆる道具を効果的に使い、戦術的に最適なものを、単に機械的ではなく人間的に選びぬき）&br; （実行し、翻弄し、ある時には退いてみせる。戦術の天才、戦法の鬼才。戦争という地獄を生き抜いたもの）&br; （黒々とした血を吐く男に追い打ちを仕掛けようとしたが、それより先にマスターの変異を感知した）&br; （何らかの理由でキリルに変わった。戦闘に入り込んだか、あるいはそういう駆け引きをしたのか）&br; （いずれにしてもここが分水嶺だ。お互いに手の内はまだ読み切れない、このまま戦えばはたしてどちらが勝つかはわかるまい）&br; （そんな逡巡が男にも伝搬したか、ふと、喀血混じりに、アーチャーが嘯いた）&br; （ひょう、と風が吹く。戦場に時折吹き抜ける、乾いた、しかしどこか安らかな風）&br; （戦豚達を慰める女神のそよ風か。猪武者を駆り立てる軍神の鬨の声か）&br; （どこかに砂の香りがした。いないはずの、しかしここにいるように感じさせる、無数の戦士たちの気配を感じた）&br; （それが男の背負うものか。納得し、片目で男を見下ろし、にやりと笑うと応える）&br; 手前ェもな。&br; （何が、とは言わない。否、あるいはその存在そのものを指すか）&br; （非道も躊躇なく行うだろう。正道に在ることを望む男と、戦争の輩はある種対極的だ）&br; （だが、たとえ邪道であれ、己で選び、その道をひた走るならば、たとえそれが血塗られたものであれ男は理解を示す）&br; （そして、その思いには必ず誰かが応えるはずなのだ。きっと男はそうした者たちに囲まれていたに違いない）&br; （内心そうひとりごち、追撃を諦める。仮にサーヴァントに勝ったとして、マスターが討たれたなら意味は無い）&br; （ここに来てアーチャーの張った伏線は功を奏した。はたしてそれが、ランサーにとってなのか、アーチャーにとってなのかはわからない）&br; 次に殺るときゃ狙撃でもすンだな。もっとも、やらせるつもりはねェけどよ。&br; （別れの餞別とばかりに言えば、ハルバードを虚空に消し、壁を蹴って建物の屋上へと軽々消えて行く）&br; （向かったのはマルチナ達が去っていった方角。マスターの回収に行ったと見るに余りある情報）&br; （見逃したわけではない。ここで仮に踏み込んでいれば、先のヘッドショット以上の致命的な一撃が襲っていたに違いない）&br; （退いたのだ。男たちはぶつかり合い、潰し合い、そして拮抗し、逃走を選んだ。戦術勝負の軍配は、はたしてどちらに上がったと見るべきか）&br; （それを知るのは、おそらく天上で闘いを見守る軍神だけであろう。戦争屋にとって、もっとも忌むべきそのものだけが、知るのだ）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-17 (木) 01:59:44}; ---それが最良の手段であるならば、実行するまでだ。&br;（もっとも目の前の男が言うように。容易く実行できる気配はなかった。）&br;(涼しげな風を追うように力強い風が過ぎていく）&br;(見逃されたか、退いてくれたかはわからない。ただ言えることはある）&br;（あのまま戦えば。ついに出るであろう…世界の奇跡。英霊としての戦い方が現出する）&br;（そう確信めいたものがあった。それは拮抗、停滞を覆す英霊にしかできない手…それを行わない理由などあるまい）&br;（マスター同士に動きがあったか、ランサーは武装を解除し彼女らの方へ飛んでいく）&br;（今、ここでランサーの背後を狙わない理由と。おそらくランサーがマスターらと合流しても…エリーゼを狙わない理由は同じ軸にあるものではないだろう）&br;(エリーゼが不死者であるのもある。しかし…あのランサーという英霊は。しないという確信めいたものがあった。だからこそ今、英霊として現出しているのだろう）&br;(戦いの結果は、勝利か敗北かしかでなく。戦いの最中もその結果のためだけに動いている。事実自身もそうして戦ってきた）&br;（だがしかし、今この場は曖昧なまま流れた。二つあり、それがまたひとつである真理の中に去来する空虚であり実なもの…）&br;（それが戦いか、情か。いや大きな流れで戦いはまだ続いているのだとしたら…）&br;（そうした因果、いや結果と過程を歩むランサーは必ず大きな障害に、敵となるだろう。正道を行くものとはあまりに対極過ぎるのだ。自分は）&br;（実体化を解き…闇に消えるように霊体化を果たし、ランサーに遅れるようにマスターのもとへ行く。彼女はあの少女と何を交わし、何を得て失ったのか…）&br;(今はまだ知らない） -- [[アーチャー>名簿/480578]] &new{2012-05-17 (木) 02:20:52}; --http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif ''スラム街・廃墟内'' ---&COLOR(#0097a2){（スラムを走るのは馴れている。瓦礫に転ぶことなく少女はその場を離れ、すぐ側の広い廃墟の中へ飛び込んだ）&br; （ドラム缶や大きな木の箱が積まれている中、小さな体はすぐに見当たらなくなってしまう）&br; &br; ……かくれんぼは、得意なのです&br; （木箱の陰に隠れて、じっと耳を澄ました）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-16 (水) 23:45:48}; ---(少女を追いかける、見えなくなったその姿を焦りながら探したが…見つからない)&br;(だが子供の足ではそう遠くへは行けない筈だ、そして子供とは得てして隠れるもの…怒られると分かっている時などは特に)&br;&br;(故に叫んだ、言葉で炙り出すように…)&br;マルチナちゃん！！…これから一方的に私から告げるわ、だから答えなくてもいいしそのまま逃げてもいい&br;けれど望めるのなら聞いて頂戴…私は…私は死ぬ為にこの戦争に参加しているの、ランサーのマスターならば不死者のマスターが居る事は知っているでしょう？&br;それは私よ…私はもう何百年と生きているわ、ああして首を刎ねられた事は何度だってある、火に焼かれた事だって数えきれないわ&br;でもそんな事は苦じゃない…辛いのは別れる事、大事な人は皆皆私より先に老いて死んでしまった…&br;私は！！！私はもう嫌なの！！！優しい人達が死んでいくのを…見たくないのよ…！&br;(振り絞るような声、それは演技などではなく…アーチャーにすら明かしていない苦悶の声で)&br;これは神の奇跡、神の代行者とされてしまったその日から解けない奇跡…&br;だから私は新たな神の奇跡で私を塗り潰したい、ただの人で在りたいの…&br;貴女の願いがどんなものか私は知らない…でも他の機会で叶うのなら諦めて頂戴…&br;いいえ諦めて、子供がこんな事をしては駄目…人を殺めればその業は貴女を絶対に救わない&br;人を殺して次に進めると…思う？(この叫びは打算だ、だが同時に本心からでもある)子供は笑って、明日を夢見て生きなさい… -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-17 (木) 00:23:32}; ---&COLOR(#0097a2){（軽い足音。男の人じゃない。彼女が追いかけてきたのだ）&br; （ようずをうかがっていると突然、思いがけない事…彼女の大きな声）&br; （驚いて一瞬声を上げそうになったけど、自分で自分の口を塞いで我慢する）&br; （……もっと驚いたのはその内容だった）&br; &br; （''不死者。''自分達姉妹を見守っていてくれる娼館のオーナーと同じ）&br; （彼女が……そうか、あの生首は幻術でもなんでもなく、彼女自身…！）&br; （……彼女がどんな思いで生きてきたか、それは…声で、よくわかった）&br; （……彼女がやっぱり、優しい人なのだという事も…………）&br; &br; （ただの人でありたい。それは自分も同じ。だけど願いはまるで逆）&br; &br; （このまま隠れて息を潜めて、先生が戻るのを待つのがきっといい）&br; &br; ''（だけど、私は）''&br; ''（誇れる戦い方をすると先生に誓ったから）''&br; ''（子供に人殺しをさせたくないと、当たり前の事を願ってくれるこの人から、逃げるのは卑怯なことだと思うんです）''&br; &br; （カタンと音がして、エリーゼが上を見上げると木箱の上に探していた少女が立っていた）&br; （薄暗い廃墟。その壊れた天井の隙間から零れる光の下に）&br; （少女は怯える様子もなく、陽に透ける金の髪の女を見下ろす）&br; &br; ''私の願いは「生きる事」''&br; どんな魔法ももう効かないんです。聖杯しかないのです。このままだと私は数年持たずに消えてしまうのです。&br; 沢山考えました。誰かを犠牲にしてまで生きたくないと、そう思ったこともありました。&br; でも、死にたくない。死にたくないのです。私はまだ生きていたい…！！！&br; &br; 「誰かの犠牲の上に私達は立っている……」生き物の命を奪い、血と肉にして私達は生きています。&br; 私はマスター達の願いを、サーヴァントの命を奪い、血と肉にする事を決めたのです。生きるために。&br; &br; ''……貴女は、諦めないでいいです。けれど、私も生きることを諦めません！！''&br; （小さな体からどうしてこんな大声が出るのか。廃墟に響き渡る声は力強く響き渡る）&br; &br; ''……姉様！！''&br; （少女は木箱から飛び降りながら叫んだ。一瞬で子供の姿が};&COLOR(#C41A41){大人の女性の姿に変わる……あの時、アサシンに首を奪われ消えた時にいた女に）&br; &br; また会ったね。&br; （紅を引いた唇は弧を描き、手には虹色に光る小さな魔法石。それを彼女の足元の床に叩きつける）&br; （パキンと澄んだ音と同時に、その場所から炎が燃え上がった！！）}; -- [[キリル>名簿/479413]] &new{2012-05-17 (木) 01:09:40}; ---(叫び終える、どれだけ取り繕うともどれだけ仮面を被ろうとも孤独は漏れ出る)&br;(強く在れない女は、英霊などになれない女は、なのに人ですら居られない女は声と共に想いを載せる)&br;(少女は知る筈の無い事だが…女は涙を流せない、それ程に心が身体を動かす事を世界は許さない)&br;(だからこそ言葉にして載せたそれは…女の思惑通りに少女を導いた)&br;(見上げれば少女の姿…だがその答えは女に悲しげな笑みをさせるには十分過ぎて)&br;&br;まるで逆ね…そうね、貴女のように未来を望みたくなる境遇なら仕方が無いかも知れない&br;明日を願い生きる事は誰にだって許されて然るべきだわ&br;でもね…マルチナちゃん、''綺麗な言葉で置き換えては駄目''&br;''貴女は人を殺そうとしているのよ''、私の考えは非常に傲慢だわ…人とソレ以外を分けている&br;そしてそんな私が死ぬ為に戦っているのは尚傲慢だわ、でも…''傲慢だから絶対に諦めない''&br;(言われずともと言うようにそう言葉を返す、既に女の顔は悲しげな笑みでも、仮面の笑みでも無く戦う者の険しい顔で)&br;&br;(少女が飛び降り姿が変われば驚く事も無く諦めのようなため息を見せる、既に敵と認識している以上驚きは見せない…気付けなくても仕方がないと言うように)&br;&br;ええ、あの時振りね&br;(炎が足元で舞い上がる、身が炎を包めば僅かに苦悶の顔を見せるが…険しい顔のままキリルの元へと歩んでいき)&br;マルチナちゃん…彼女の中で見ているのならその眼に焼き付けなさい、これが貴女が望む未来&br;(皮膚が、脂肪が焼けていく…女の末端は炎の内に黒く変色していて)それでも貴女は笑う為に戦うのね？&br;&br;なら…私も…''躊躇わないわ''(キリルと、そしてマルチナの瞳に己の姿を写す、燃えるがままに脇のホルスターから銃を引き抜こうとする殺意に満ちた女の姿を)&br;(大口径の銃による至近距離からの射撃、確実な殺害を念頭に置いた不死者が故の攻撃を行おうと…) -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-17 (木) 01:57:04}; ---&color(blue){（（「ギン！」）&br;（だがしかし、死の弾丸が放たれることを阻止したのは、両者の間に割り込んだ一本のジャヴェリンであった）&br;やめとけ。それ以上はお互いに退けねェとこに踏み込むことになるぞ。&br;アーチャーも言ってたろ？ 「この状況は不利だ」ってな。オレらにとっても、アンタらにとっても同じ事だぜ。&br;（ふわり、と高所から降り立った男は、そのままキリルを動く方の右腕で抱えるとV字を描くように、対面の窓枠に飛んでいく）&br;ガキを殺すってのは生半可なことじゃねェし、な。経験があるだけによくわかるぜ。&br;（振り返らずに誰に言うとでもなく呟く。マスターに、離別の言葉を告げる間を与えるように、そのまま数瞬動かない）&br;}; -- [[ランサー>名簿/480600]] &new{2012-05-17 (木) 02:11:25}; ---&COLOR(#C41A41){（少女が大人の姿に変わったのは、魔法を使うためだけじゃなかった）&br; （子供の姿だと彼女はきっと躊躇うと思ったから）&br; （それは卑怯な気がして少女は姉の姿になった）&br; &br; ''（お互いの願いをかけた戦いは対等な状態で行うべきだから、と）''&br; &br; （二人の体が入れ替わることは切り札にもなるうる。隠しておくべきだ。それでも）&br; &br; …子供に道を誤らせないためにそこまでするあんたを、その心をあたしはとても綺麗なものだと思うよ。&br; そして、子供を大切にするあんたを思い、対等に戦わせるためにあたしに体を譲る妹も。&br; （燃え盛る炎の中、女が焼けていくのを見る。実験施設で何度と見た仲間の死ぬ光景の一つに、よく似ていた）&br; （妹もおそらくは同じ事を考えているだろう…目をそむけてやりたい。でも、それは妹は望まない）&br; （さらに火力を強め焼き払おうと手を伸ばす。死なない生き物。それでも一瞬で再生するほどではないだろう）&br; （不死者が銃を引き抜くその瞬間新しい魔石を砕こうと……）&br; &br; （……けれど女同士の戦いは一本のジャヴェリンによって止められた）&br; &br; いいタイミングだね、まったく。不死者って言うのは厄介だよ。体よりも、その気性が。&br; （明らかに自分に不利な状況だった。ため息をつきつつ大人しく抱えられる）};&br; &COLOR(#0097a2){（……キリルの姿はいつの間にかマルチナに戻っていた）&br; （窓際で立ち止まったカテンを仰ぎ見て、そしてエリーゼを見下ろす）&br; &br; &br; ……ごめんなさい。騙すつもりではなかったのです。本当に迷っていたの。&br; 助けようとしてくれて、優しくしてくれて、ありがとう…。&br; &br; &br; （ぽたぽたと、水滴が瓦礫に落ちてくる……見開いた青い瞳から）&br; （……少女は初めて、涙を流した）&br; （泣くつもりなんてなかったのに。悲しい気持ちが勝手に涙を流した）&br; （優しい人を傷つけてまで生きることが、とても悲しくて）&br; &br; （泣いちゃ駄目だ。あの人が戦いにくくなってしまう）&br; （後悔したら駄目だ。英霊になった先生の気持ちが、無駄になってしまう）&br; &br; （そう思うのに涙ははらはらと流れ落ち）&br; &br; &br; &size(8){………ごめんなさい。};&br; &br; &br; （その言葉はとても小さくて彼女に聞こえることはない。僅かに唇が動いただけに見えるだろう）&br; （そして女を見つめたまま、少女はサーヴァントに連れられて姿を消すのだった）}; -- [[マルチナ>名簿/479955#f9cd2e23]] &new{2012-05-17 (木) 03:00:02}; ---(女も既に察している、眼前の少女は戦おうと…エゴを押し通してでも生きたいと自分に証明する為に…対当なのだと証明する為に姉と変わったのだと)&br;(だからこそ引かねばならない、ここで引き金を引けねば自分は勝つ事など出来ない)&br;(生きたいという願いは非常に強力な願望だ、何故ならば生物として当然の本能なのだから)&br;(故に引かねばならない、自らのエゴが勝る事を証明せねばならないのだ)&br;(何よりも…少女の想いを無碍にしてしまう事が残酷に思えて)&br;&br;賞賛とは受け取らないわ、それは甘さ…勝つ為には不必要なものよ&br;(そこから先は口にはしない、だからこそそんな甘さを持つ子供が愛おしく、守りたいのだと…女としての情を口を閉ざして隠す)&br;(キリルが魔石に手を出せば引き抜く速度を更に早めようと、先に放たねば更に焼かれ再構築の間アーチャーに影響を与えるかも知れない)&br;&br;(そう判断した直後のジャベリン、ランサーが舞い降りキリルを抱えてその場を離れた事に僅かに驚くが…令呪が消えた感覚が無い以上アーチャーは敗北していない)&br;(ならばランサーは撤退しようとしているのだ、アーチャーが追い詰めたからか…それとも別の理由からかは判断出来ないが少なくともまだランサーは戦えそうで)&br;&br;(それならばアーチャーが追ってくる確率は高い、戦意に満ちた瞳のままジロリと視線を向ければキリル…いやその時には既にマルチナへと戻っていて)&br;(完全に撤退する腹積もりかと判断して銃を下ろす、ランサーは速度に優れたクラス…撤退に力を注げば追えるクラスなど極々僅かだ)&br;(振り向いてランサーと…マルチナを見る、自分に何を伝えるつもりなのかと、再びの宣戦布告なのかと…)&br;&br;&br;(謝られても女は眉間に寄った皺を崩さない、正道にある少女ならばそうも言うのだろう)&br;(彼女の言葉は嘘ではない、そう信じてしまう…心は揺れても未だ表に出さず)&br;&br;&br;(涙を流されようとも眉間の皺は崩さない、苦しもうとも勝ち残る事を望んだのが我々だ)&br;(銃を強く握り、手から炭化した部分が剥がれ落ちれば…白く無傷な手、ランサーの目には耐え震えているのが分かってしまおうとも構わずに更に白む程握り)&br;(少女の覚悟が、そして優しさが女の心を酷く傷つけるには十二分に過ぎて…)&br;(それでも耐える、他者に絶望を与える事を覚悟した己に相手を想う必要など無いのだと)&br;&br;&br;&br;(それでも…それでも耐え切れなかった、彼女が僅かに唇を動かしてしまったから)&br;(読唇術を知らずとも分かってしまう、子供は言ってしまうものなのだ…悪いと認めてしまえばその一言を)&br;&br;&br;&br;(眉間の皺は崩れない、だがそれはより一層深く…人が泣いた時特有の顔を作らせて)&br;&br;(銃を落とし、膝を突き、叫んだ…去る少女の背にも聞こえてしまう程に)&br;''馬鹿！！！バカ！！！バカ！！！！！泣かないでよ！！！謝らないでよ！！！&br;戦うのよ！！？殺しあうのよ！！？なら言いなさいよ！！！次は倒すって！！！自分が勝ってみせるって！！！&br;私だって傷つけたくないわよ！戦いたくないわよ！でも戦うしかないじゃない！！！&br;…生きたくて…生きたくて…！！！死にたくて…！！！死にたくて！！！それを選ぶしかなかったなら！！！&br;&br;ウッウウウ…''(それ以上はその在り様が心が軋む事を許さず…平静へと引き戻す)&br;(それでも心は直ぐに軋んで、軋む度に地面を叩いて、幾度も幾度も地面を叩き続け…)&br;(戦士達と女達の戦いは勝者は無く…一旦の幕を閉じるのだった) -- [[エリーゼ>名簿/480573]] &new{2012-05-17 (木) 04:03:59};