:dishonored
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CENTER:http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp028642.png CENTER:http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst071583.png |BGCOLOR(#000000):COLOR(#ffffff):''褐望のアロザール''| |BGCOLOR(#ffffff):#pcomment(:dishonored,1,below,reply)| -「いつだって君は遅いんだなぁ、12番」 -- &new{2014-06-27 (金) 22:44:01}; --嘲笑うような。否。嘲笑う声が耳に届く。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:44:41}; ---慣れたもの。けれど、悔しさがないわけではない。&br;そっと、目を伏せた。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:45:22}; ---「化け物を殺すのは得意なのに。人を助けるのは全然ダメだ。ダメダメだね」 -- &new{2014-06-27 (金) 22:45:51}; ---無意識のうちに、眉間に皺が寄る。&br;服の布地に染み込んだ化け物の血の匂いが、なぜだかやたらと鼻についた。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:47:22}; ---「けど、いいよ。いいんだ。それを許そう。だって、それが君の価値。おしごとなんだから」 -- &new{2014-06-27 (金) 22:48:06}; ---口でゆっくりと息をする。喉の奥に鉄錆の香り。 -- &new{2014-06-27 (金) 23:06:20}; ---「さぁ、12番。出て行っていいよ。また、今度」 -- &new{2014-06-27 (金) 23:06:54}; ---ついていた膝を地面から離し、立ち上がった。声の主に背を向ける。 -- &new{2014-06-27 (金) 23:07:26}; ---「あぁ、可哀想な犠牲者。生まれ変わったら、もっと上手に生きられますように」 -- &new{2014-06-27 (金) 23:07:51}; ---閉じていた瞳を開いて。部屋を後に。 -- &new{2014-06-27 (金) 23:08:18}; -はためく布地の音が、耳につく。&br;わざとらしくゆったりとした服の端々が、風に揺らされて音を立てる。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:35:43}; --耳をふさぐことなんて出来やしない。風を避ける事だって、出来やしない。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:36:17}; ---眼下。仄明かり灯す家々。僕は今空にいる。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:36:57}; ---目的に向けて。最短の距離を、最速で。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:37:28}; ---最短。街を走るよりも、屋根屋根を超えるよりも。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:37:45}; ---最速。既に馬よりも早く。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:39:39}; ---目的。それは、あぁ。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:39:52}; ---窓を破って飛び込んだ中。またしても人が死に、化け物はそこにいた。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:41:31}; -自分の髪の色が嫌いだった。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:22:46}; --理由を聞かれれば、きっと他人からはどうでもいい中身。&br;夕刻。日暮れの中。子供らが家に帰る時間の空と同じ色をしているからだ。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:23:56}; ---それでも染めたりはしなかった。それはきっと、意地だ。&br;帰る家がない己にとって、親の迎えに来る子らを見ることに何も感じていないと。&br;そういうことに、したかったからだ。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:24:57}; ---それこそどうでもいい話。そうであろうし、そうあるべきだ。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:25:46}; ---そういう意味では。この恰好は、否が応でも、己を惨めにする。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:27:50}; ---髪の色すら判らぬ程。眼のみを残して、布に包んだ姿。&br;仕事服。仕事。殺し。人ではなく、化け物を。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:28:44}; ---12番。11番までは皆死んだから。だから僕は、&ruby(ガイ・トゥエルブ){12番めの男};だ。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:30:03}; -褐望のアロザール -- &new{2014-05-07 (水) 22:39:48}; -歯を食い縛る。&br;歯列の隙間から漏れだす呼吸は、今にも叫びへと変わりそうで。&br;それを押し留めるのは、両の肩に触れた、二つの手があるからだ。&br;&br;「さぁ、行きましょう」&br;左後ろから、囁きかける声が聞こえる。&br;&br;「今がきっと、その時だから」&br;右後ろから、囁きかける声が聞こえる。&br;&br;己を後押す声が聴こえる。&br;&br;「貴方だから」&br;「貴方にしか」&br;&br;だから俺は、僕は。&br;両掌の中に、力を籠めて。&br;&br;「私達を、燃やして」&br;&br;今。別れを―――――― -- &new{2014-05-07 (水) 22:38:41};
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CENTER:http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp028642.png CENTER:http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst071583.png |BGCOLOR(#000000):COLOR(#ffffff):''褐望のアロザール''| |BGCOLOR(#ffffff):#pcomment(:dishonored,1,below,reply)| -「いつだって君は遅いんだなぁ、12番」 -- &new{2014-06-27 (金) 22:44:01}; --嘲笑うような。否。嘲笑う声が耳に届く。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:44:41}; ---慣れたもの。けれど、悔しさがないわけではない。&br;そっと、目を伏せた。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:45:22}; ---「化け物を殺すのは得意なのに。人を助けるのは全然ダメだ。ダメダメだね」 -- &new{2014-06-27 (金) 22:45:51}; ---無意識のうちに、眉間に皺が寄る。&br;服の布地に染み込んだ化け物の血の匂いが、なぜだかやたらと鼻についた。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:47:22}; ---「けど、いいよ。いいんだ。それを許そう。だって、それが君の価値。おしごとなんだから」 -- &new{2014-06-27 (金) 22:48:06}; ---口でゆっくりと息をする。喉の奥に鉄錆の香り。 -- &new{2014-06-27 (金) 23:06:20}; ---「さぁ、12番。出て行っていいよ。また、今度」 -- &new{2014-06-27 (金) 23:06:54}; ---ついていた膝を地面から離し、立ち上がった。声の主に背を向ける。 -- &new{2014-06-27 (金) 23:07:26}; ---「あぁ、可哀想な犠牲者。生まれ変わったら、もっと上手に生きられますように」 -- &new{2014-06-27 (金) 23:07:51}; ---閉じていた瞳を開いて。部屋を後に。 -- &new{2014-06-27 (金) 23:08:18}; -はためく布地の音が、耳につく。&br;わざとらしくゆったりとした服の端々が、風に揺らされて音を立てる。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:35:43}; --耳をふさぐことなんて出来やしない。風を避ける事だって、出来やしない。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:36:17}; ---眼下。仄明かり灯す家々。僕は今空にいる。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:36:57}; ---目的に向けて。最短の距離を、最速で。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:37:28}; ---最短。街を走るよりも、屋根屋根を超えるよりも。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:37:45}; ---最速。既に馬よりも早く。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:39:39}; ---目的。それは、あぁ。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:39:52}; ---窓を破って飛び込んだ中。またしても人が死に、化け物はそこにいた。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:41:31}; -自分の髪の色が嫌いだった。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:22:46}; --理由を聞かれれば、きっと他人からはどうでもいい中身。&br;夕刻。日暮れの中。子供らが家に帰る時間の空と同じ色をしているからだ。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:23:56}; ---それでも染めたりはしなかった。それはきっと、意地だ。&br;帰る家がない己にとって、親の迎えに来る子らを見ることに何も感じていないと。&br;そういうことに、したかったからだ。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:24:57}; ---それこそどうでもいい話。そうであろうし、そうあるべきだ。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:25:46}; ---そういう意味では。この恰好は、否が応でも、己を惨めにする。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:27:50}; ---髪の色すら判らぬ程。眼のみを残して、布に包んだ姿。&br;仕事服。仕事。殺し。人ではなく、化け物を。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:28:44}; ---12番。11番までは皆死んだから。だから僕は、&ruby(ガイ・トゥエルブ){12番めの男};だ。 -- &new{2014-06-27 (金) 22:30:03}; -褐望のアロザール -- &new{2014-05-07 (水) 22:39:48}; -歯を食い縛る。&br;歯列の隙間から漏れだす呼吸は、今にも叫びへと変わりそうで。&br;それを押し留めるのは、両の肩に触れた、二つの手があるからだ。&br;&br;「さぁ、行きましょう」&br;左後ろから、囁きかける声が聞こえる。&br;&br;「今がきっと、その時だから」&br;右後ろから、囁きかける声が聞こえる。&br;&br;己を後押す声が聴こえる。&br;&br;「貴方だから」&br;「貴方にしか」&br;&br;だから俺は、僕は。&br;両掌の中に、力を籠めて。&br;&br;「私達を、燃やして」&br;&br;今。別れを―――――― -- &new{2014-05-07 (水) 22:38:41};
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